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宇都穂南 RES
3年 宇都
夏休み課題 1〜15

1.ルックバック/監督:押山清高(映画版)
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。
しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

原作は藤本タツキの読切漫画。線を何度も重ねる特徴的な絵柄を映画では雰囲気そのままに表現しており、綺麗な線に整えて放送した同作者の『チェンソーマン』アニメ版とは全く違っていた。
京アニ事件を明確に匂わせる内容である。藤野は作中で京本が事件に巻き込まれなかった世界を妄想するが、結局はそれは幻想であり、事件が起こってしまった世界で漫画を描き続ける藤野の背中を写したところで映画は終わる。藤野と京本が名前からして作者の分身であろうことから、京アニ事件で作者が抱くことになった喪失感と、現在の作品づくりへの姿勢が表現されているのではないかと思った。

2.仄暗い水の底から/監督:中田秀夫
5歳の娘・郁子の親権をめぐって別れた夫と争っている松原淑美は、新しい就職先である出版社の近くにあるマンションへ引っ越す。はじめは快適そうに見えたマンション暮らしだが、大きくなる天井のシミや、上階の子どもの足音など、淑美の気にさわることが次第に増えていく。そんな中、淑美は真夜中にマンションの屋上にあがる郁子を目撃する。

古いホラー映画の画面は暗く画質が粗いので、現在の鮮明で明るい画面よりも雰囲気が作りやすい利点があったと思う。その暗いグレーがかったような画面の中で、赤いバッグが目を引き不気味な存在感があった。
この作品はホラー作品ではあるが、おそらく主題は母娘の絆である。母親を求める霊と、それを気の毒に思うのと娘を守りたい気持ちで霊についていくことを決心する母親が描かれる。
また終盤、エレベーターから大量の泥水が出てくるシーンは『シャイニング』のオマージュかもしれない。『シャイニング』に出てくるのは息子と母親の組み合わせだが、子どもを守ろうとする母親の強さが表現された作品という点で共通点がある。

3.クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記/監督:佐々木忍
現代に恐竜をよみがえらせた一大テーマパーク“ディノズアイランド”が東京にオープン。世はまさに恐篭フィーバー!しんのすけたちはその頃、シロが出会った小さな恐省“ナナ”と、特別な夏を過ごしていた。そんなナナを巡って、争奪戦がスタート!ディノズアイランドをオープンさせたバブル・オドロキーは、あの手この手でナナの居場所を探す。「ある秘密」がバレる前に……。

映画で登場させたキャラクターとは映画が終わるときに別れなければならないが、その手段として“死”が用いられていた。クレヨンしんちゃんの映画で人が死んだことは過去にもあったはずだが、一度は野原家に家族として迎え入れられた小さい生命体を最後に死なせることにかなり驚いた。
「承認欲求の暴走」や「支配してくる親からの自立」といった現代らしいテーマが取り上げられていたが、作品自体は様式美に則っており、あまり新しい展開はなかった。

4.レキシントンの幽霊/村上春樹
氷男は南極に戻り、獣はドアの隙間から忍び込む。幽霊たちはパーティに興じ、チョコレートは音もなく溶けてゆく。短篇七篇を収録。

なんとなく怖さを感じるような話を集めた短編集である。表題作「レキシントンの幽霊」には、「これは数年前に実際に起こったことである。」とあるが、村上は主人公と同じマサチューセッツ州ケンブリッジに住んでいたことがあるため、もしかすると本当に起こったことなのかもしれない。知人の家で泊まり込みの留守番をしていたら夜中に大勢の幽霊が現れパーティーをする音が聞こえたという話である。家の持ち主の台詞「つまりある種のものごとは、別のかたちをとるんだ。それは別のかたちをとらずにはいられないんだ」から、幽霊が出てきたときに姿を消していた、この家の寂しがりやの犬がその幽霊たちの正体だったのではと想像したが、想像の域を出ない。このような絶妙に考察しにくい話ばかりの短編集である。

5. 半神/萩尾望都
双子の姉妹ユージーとユーシー。神のいたずらで結びついた2人の身体。知性は姉のユージーに、美貌は妹のユーシーに。13歳のある日、ユージーは生きるためにユーシーを切り離す手術を決意した……。

わずか16ページの漫画だが、自分が切り離すことを決めた妹に自分の影を見るシーンには寒気がした。昔の少女漫画の繊細な絵がこの話にマッチしている。
姉妹間格差というものは二人姉妹の姉である私も意識して生きてきており、創作物では妹や末っ子の方が善人として描かれがちなことに疑問を持ってもいた。
ユージーは人生をユーシーの存在に制限され、負担に思っている。この問題は障害児・きょうだい児問題にそのまま繋がっているだろう。ユーシーを切り離したユージーが心安らかにすごせるようになるわけでもないというところが示唆的である。

6.おたんこナース/佐々木倫子
病院に勤務しはじめて5週間の新米看護婦・似鳥ユキエは、まだまだわからないことだらけ。にぎやかな性格の彼女だが、失敗と緊張の連続に涙することも。患者の前では笑顔をと心がけているユキエだが、どうしても相性の悪い患者が1人いる。それは、腸の病気で入院している高校3年生の男の子・三浦君。何かにつけて突っかかってくる彼と、なんとか心を通わそうとするユキエだが…

ジャンルはお仕事コメディ作品である。佐々木倫子の作品には破天荒な女性キャラクター(とそれに振り回される男性キャラクター)がつきもので、今作は主人公の似鳥ユキエがそのタイプである。ギャグシーンも多いが、専門的な内容を面白く紹介したり、患者から看護師への暴言、終末ケアの問題、尊厳の問題などを取り扱っている回もある。

7.ブルーホール/吉呑太雄
とあるマンションの部屋の一室に足を踏み入れた人間は、皆行方不明になっていった。
マンションの大家は、いま話題の「オカルト調査団」にその部屋の調査を依頼するのであった。

今作はYouTubeで見ることができる、自主制作ホラー映画である。
「先の見えないような暗闇」「大量の水」に対する根源的な恐怖感を煽るようなホラーだと思う。なぜマンションの一室が異世界への入り口になったのか、あの世界は何なのか、元の世界へ戻ってこられるのか、などは説明されず終わってしまう。多くの場合、規則性を見つけると物事の怖さは薄れるので、この部屋の理不尽さやわからなさが怖さに繋がっていると思う。


8.蠱毒(poison)/山河図
一人暮らしの山下の家に来た村井と、その友達の石森。次第に打ち解けていくようで、3人の会話にはずっとどこか違和感がある。石森は山下の秘密と村井の魂胆に気がついて__。

この作品もYouTubeで見ることができる自主制作ホラー映画である(現在は公開停止中)。会って少ししか経っていない女子同士の雰囲気ってこんなかんじだよね、と頷きながら観ていたら気持ち悪い空気感がそのまま延々と続く。おそらく内容としては、山下は頭部を欲する怪異、それを利用して石森を殺そうとする村井と、その魂胆に気がついて先に村井を殺してしまう石森、というよくあるホラー映画の流れであるが、この作品の気持ち悪さは映像から出ていると思う。話している人物の顔が影になっていたり、灰皿の上にいる虫を写し続けたりと画面が気持ち悪い。虫の映像はタイトル「蠱毒」にかかっていると思われ、さらに「蠱毒」と山下の言う「孤独」もかかっているはずである。

9.辺境・近境/村上春樹
久しぶりにリュックを肩にかけた。「うん、これだよ、この感じなんだ」めざすはモンゴル草原、北米横断、砂埃舞うメキシコの町……。NY郊外の超豪華コッテージに圧倒され、無人の島・からす島では虫の大群の大襲撃! 旅の最後は震災に見舞われた故郷・神戸。ジャンルは紀行文。

村上春樹の特徴的な文体は小説だから自然に馴染んでいるのかと思っていたが、紀行文でも不思議と馴染んでいる。紀行文なので初対面の人物を描写する場面が多々あり、それが多様で面白かった。松村映三氏の写真や、安西水丸氏の絵なども楽しめるし、うどんの食リポも読むことができる貴重な作品である。(ちなみに私はこの夏休みに、この本に出てくる神戸のピザ屋に行った)

10.富豪刑事/筒井康隆
キャデラックを乗り廻し、最高のハバナの葉巻をくゆらせた“富豪刑事"こと神戸大助が、迷宮入り寸前の五億円強奪事件を、密室殺人事件を、誘拐事件を……次々と解決してゆく。金を湯水のように使って。靴底をすり減らして聞き込みに歩く“刑事もの"の常識を逆転し、この世で万能の金の魔力を巧みに使ったさまざまなトリックを構成。SFの鬼才がまったく新しいミステリーに挑戦した傑作。

全4話が収録されている。第2話では登場人物が突如「こちら」を向いて読者に話しかける。そして話し終わるとまた向こうに向き直って話が進むというメタ的な展開がある。次の第3話では、途中から文章にA、A'、B、B'、…と記号がふられ、「この順番で読むと謎解きを楽しめる」「この順番で読むと時系列順に読める」と指定される。
終盤になるにつれ、登場人物や地の文(作者)のメタ発言が増えコメディ要素が強くなっていくなど、構成において随分と実験的な作品である。

11.狂つた一頁/衣笠貞之助 (サイレント映画)
妻子を顧みず、長い旅に出ていた船員の男。置いていかれた妻は精神に異常をきたし、閉鎖病棟に入っていた。彼は病院で小間使いとして働きながら、妻を見守る。そんなある日、結婚を控えた2人の娘が病院に訪ねてくる。男は隙をついて妻を逃がそうとするが、妻に抵抗されてしまう。ささやかな夢と悲しみにはさまれ、男は幻想を見るようになる。

サイレント映画を観慣れていないので、ストーリーを全く頭に入れずに観たところ解釈した内容と実際の内容が全く違った。
精神科の閉鎖病棟が舞台で、さまざまな患者が登場する。妻の隣の房で踊り続けている女の患者や、3人組の男の患者など、台詞がなくても鬼気迫る狂った演技が観ていて怖さを感じるほどである。男の幻想で、病棟の患者たちに笑いの能面をつけていくシーンがあったが、原作を書いた川端康成が撮影の際に急遽言い出したことであったらしい。原作小説も読んでみたい。

12. グスコーブドリの伝記/宮沢賢治
グスコーブドリはイーハトーブの森に暮らすきこりの息子として生まれた。冷害による飢饉で両親を失い、妹と生き別れ、工場に労働者として拾われるも火山噴火の影響で工場が閉鎖するなどといった苦難を経験するが、農業に携わったのち、クーボー大博士に出会い学問の道に入る。課程の修了後、彼はペンネン老技師のもとでイーハトーブ火山局の技師となり、噴火被害の軽減や人工降雨を利用した施肥などを実現させる。ところがイーハトーブはまたしても深刻な冷害に見舞われる。ブドリは火山を人工的に爆発させることで飢饉を回避する方法を提案する。しかし、クーボー博士の見積もりでは、その実行に際して誰か一人は噴火から逃げることができなかった。犠牲を覚悟したブドリは、止めようとするクーボー博士やペンネン老技師を冷静に説得し、最後の一人として火山に残った。ブドリが火山を爆発させると、冷害は食い止められ、イーハトーブは救われたのだった。

作品内ではたくさんの男性キャラクターが主人公ブドリを育てる。父親のグスコーナドリ、てぐす飼いの男、「赤ひげ」と呼ばれる農家の男、クーボー大博士、ペンネン技師など、実に多くの男性がブドリに知識と経験を授けている。それに対して女性キャラクターはそもそもあまり登場せず、妹のネリ以外名前も明かされない。母親の名前すら出てこないのである。農業に携わって苦労を重ねる男たちが1人の青年を育て上げ、飢饉を回避しました、というどこかスポ根魂を感じさせる作品だと感じた。

13.伊豆の踊子/川端康成
孤独や憂鬱な気分から逃れるため伊豆へ一人旅に出た青年が、修善寺、湯ヶ島、天城峠を越え湯ヶ野、下田に向かう旅芸人一座と道連れとなり、踊子の少女に淡い恋心を抱く旅情と哀歓の物語。

これは恋心を描いた作品なのだろうか。個人的には、悩みを抱えた一高生の主人公「私」が、茶屋の病気の爺さんや乞食のように言われる旅芸人一行、孫3人を連れて水戸へ帰る婆さんなどの、なんというか「リアルな」社会的弱者と接するというところが重要なのではないかと思った。

14.銀河鉄道の夜/宮沢賢治
気弱で孤独な少年ジョバンニと親友のカムパネルラは、銀河鉄道で天の川に沿って南十字へと向かう。この鉄道の不思議な乗客たちは、天上に向かう死者たちであった。死者たちの口からは「本当の幸い」について繰り返し語られ、ジョバンニもまた、何がみんなの本当の幸いなのかと考え始める。

ジョバンニが銀河鉄道に乗る前に、今日の分の牛乳をもらいに行ってくると言って家を出る。学校では天の川の授業をやっていたり、銀河鉄道の中ではカムパネルラと天の川を見る場面があったり、天の川(milky way、乳の川)と牛乳を掛けていると思われる。

15.星の王子さま/サン・テグジュペリ
操縦士の「ぼく」は、サハラ砂漠に不時着する。1週間分の水しかなく、周囲1000マイル以内に誰もいないであろう孤独で不安な夜を過ごした「ぼく」は、翌日1人の少年と出会う。話すうちに、少年がある小惑星からやってきた王子であることを「ぼく」は知る。

青空文庫(大久保ゆう訳)と集英社文庫(池澤夏樹訳)を読んだ。青空文庫はほとんどがひらがなで書かれたおそらく子供向けのもので、集英社文庫は大人が読みやすい訳になっている。
王子さまは、自分の小さな星に自分の大事な花を置いて旅をしていた。王子さまは砂漠の星空を見て「星がきれいなのは、見えないけれどどこかに花が1本あるからなんだ……」と言う。同様に、砂漠がきれいなのはどこかに井戸があるからだとも言う。この部分について、『天空の城ラピュタ』のエンディング曲「君をのせて」の一節、「あの地平線輝くのは どこかに君をかくしているから たくさんの灯がなつかしいのは あのどれかひとつに君がいるから」と同じ意味なのではないかと思った。
2024/10/23(水) 00:50 No.2070 EDIT DEL
3年 橋原 RES
夏休み課題1~30

1.『ディセンダント ライズ・オブ・レッド』(映画)
監督:ジェニファー・ファン
〈あらすじ〉かつてロスト島にその悪名を轟かせ、マレフィセントの娘・マルと敵対していたアースラの娘・ウーマ。時は流れ、オラドン高校の新校長となったウーマは、暴君として知られる恐ろしきヴィラン“ハートの女王”の娘・レッドを学校に迎えようと招待状を送る。ハートの女王はオラドン高校、そして特にシンデレラに対して積年の恨みがあり、娘がオラドン高校に通うことになったことをきっかけに、復讐を果たそうとクーデターを起こす。そんなさ中、レッドはシンデレラの娘クロエと共に過去にタイムスリップしてしまう。2人は協力して、過去の世界のまだ若きハートの女王を、悪の道に引きずり込むきっかけとなるトラウマ的な出来事を防ごうと奮闘する。

〈考察〉本作は『ディセンダント』シリーズの4作目になるが、続編発表が出た時から次回作のメインキャストはどうなるのか不安でもあり、予想がつかないという視聴者の声が多かったと考えられる。しかし今までのメインキャラクターたちはウーマ以外登場せず、新しいキャスト、キャラクターをメインにしていることで、これまでのシリーズのファンを極力悲しませることなく、新たなヴィランズの子供たちのストーリーを面白く展開させている。そして本作はミュージカルであるが、オープニング・ナンバーから掴みとして抜群なインパクトのあるかっこいい曲であり、主人公のキャラクター像も物語の世界観も冒頭から視聴者にわかりやすいものとしていると感じた。

2.『異世界スーサイド・スクワッド』(アニメ)
監督:長田絵里
犯罪都市、ゴッサム・シティ。A.R.G.U.S長官のアマンダ・ウォラーはある任務のため、ハーレイ・クイン、デッドショット、ピースメイカー、クレイフェイス、キング・シャークを招集。ゴッサムの悪党(ヴィラン)共が送りこまれたのは、ゲートによって繋がった剣と魔法の世界、オークが闊歩しドラゴンが空を翔ける"異世界=ISEKAI"だった。ISEKAI到着直後から暴走するハーレイ達だったが、王国の兵隊に捕まり監獄送りに。女王アルドラとの交渉の末、掴み取った解放の条件は敵対する帝国軍の征圧。自由を得るため、ハーレイ達はファンタスティックでデンジャラスな戦地へ向かう。命懸けのミッションを背負ったハーレイ達はこのISEKAIを生き抜くことができるのか。決死の特殊部隊=スーサイド・スクワッドのド派手な"暴"険譚が今、幕を開ける。

DCコミックスを原作とした、アメリカの映画でも有名な悪役たち、スーサイド・スクワッドがもしも異世界に行ったらというストーリーであり、原作や映画を好きな人には非常に面白い内容になっていると考える。また原作や映画をあまり知らない人でも、日本発のオリジナルアニメーションのため、楽しめる内容である。悪役だからこそ思いつく発想や困難の切り抜け方など、悪役というキャラクターの魅力が詰まっており、王道の正義を語るヒーローものでは味わえない面白さがあると感じた。しかし普段は悪役という立場ではあるのだが、本作では主人公として描かれていることやその性格も純粋さ故のものであり、また舞台が戦争中であることから、視聴者側からすると一概にどちらが悪で正義なのか分からないような、主人公たちがあまり悪役に見えないような部分があると感じた。

3.『杖と剣のウィストリア』(アニメ)
原作:大森藤ノ 作画:青井聖 監督:𠮷原達也
一人前の魔導士をめざして魔法学院に入学した少年ウィル。努力家の彼には魔導師として致命的な弱点があった。それは、“魔法がまったく使えない”こと。同級生や教師から冷たい視線を浴び、時にはくじけそうになりながらも、強い気持ちで邁進していくウィル。杖は使えなくとも剣を執り、魔法至上主義の世界で戦い抜く。自分だけに与えられた力を信じて。そして、大切な人との約束を守るために。

主人公が迫害を受けても諦めずに上を目指す理由は、ひとえに幼馴染への愛故のものであるのだが、それが傍から見たらふざけた理由に思えても決して軽い気持ちではなく、強く一途な思いである。そしてそれを貫き通すこと自体も主人公の愛の強さを物語っており、主人公の行動全てがその気持ちから来るものとして、その原動力とも言える思いがこの物語の根幹になっているのだと考える。またタイトルのウィストリアは魔剣譚という意味であるが、そこからも魔法と剣、すなわち杖と剣が交わる物語だということが分かる。そして主人公の名前ウィルと幼馴染の名前エルファリアの2人の名前が合わさったようでもあり、幼馴染のエルファリアは主人公と対称的に魔法の天才である。そのことからもこの物語が二人の魔法と剣の物語だということを強く表していると考える。またエンディングではエルファリアの気持ちを歌っているなど、主人公だけでなく幼馴染の気持ちも非常に強いというのがこの物語をさらに面白くさせており、物語が進むにつれ二人の愛の強さや、主人公の特殊性、杖と魔法2つが組み合わさることで得られる力などが分かっていき、その事もタイトルが物語を表しているのだと感じた。またバトルシーンなどの作画が非常に綺麗であり、そこがアニメ最大の魅力であると感じた。

4.『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』(アニメ)
原作:藤原ここあ 監督:大橋明代
悪の組織はあらゆるものを侵略し、あらゆるものを滅ぼす。残忍にして狡猾なその組織ブレーンには、王の片腕たる悪の参謀がいた。地上侵略の危機に立ち上がる、薄幸の魔法少女・白夜。しかし彼女と対峙した悪の参謀・ミラは、なんと白夜に一目ボレしてしまい。魔法少女と悪が敵対していたのは、かつての話。殺し愛わない、ふたりの行く末は?

原作は大体四コマ漫画ということもあってギャグ要素満載な話だが、悪の組織の幹部と魔法少女が惹かれ合っていく過程として、悪役が魔法少女を溺愛する中で今まで我慢して生きてきた魔法少女の本当の気持ちを引き出していくなど、相手を尊重する二人の優しい恋愛を描いている。また魔法少女を導く御使いというキャラクターが最もまともではなく、むしろ一番悪役なのではないかと思う場面もあり、ストーリーとしても読み応えがあると考える。そして魔法少女ということもあり変身シーンも可愛く、色彩も物語にあった薄い色合いでふわふわとした世界観が演出されていると感じた。

5.『デリコズ・ナーサリー』(アニメ)
原作:末満健一 監督:錦織博
名門デリコ家の貴族であり、将来を嘱望されている《血盟議会》のエリート議員 、ダリ・デリコ。吸血種たちの最高統治機関である《血盟議会》からある任務を命じられるものの、ダリはにべもなく断ってしまう。業を煮やした同期議員であるゲルハルト、ディーノ、エンリケが説得に向かうと、そこには自ら幼子をあやすダリの姿が。吸血種の貴族たちによるノブレス・オブリージュ育児奮闘記。高貴なる貴族の吸血種たちが我が子の《育児》に奮闘する裏で、伝説の吸血種《TRUMP》に纏わる怪しい陰謀が渦巻く。2009年に劇作家・末満健一によって上演されたオリジナル演劇作品『TRUMP』。その『TRUMPシリーズ』の新たな展開として描かれる完全新作TVアニメーション。

演劇を原作とする作品であることも珍しく、本編の演劇シリーズでは吸血鬼たちの辛く悲しい物語ではあるのだが、本作はその間の唯一息抜きができるような作品として知られている。本作はその点からも高貴な吸血鬼達による育児の奮闘物語としても吸血鬼を取り巻いた陰謀渦巻くストーリーとしてもどちらの観点からでも見所がある作品だと考える。しかしやはり一番の魅力は、序盤の無邪気な可愛い子供たちとその子供たちに狼狽える父親たちであり、見ていて癒されると感じた。また本作の続編の物語である漫画『TRUMP』を読んだことがある人は、本作の子供時代と漫画本編のギャップに悩まされ、本当にこれからあの未来が来るのか、パラレルワールドであって欲しいなどという複雑な心境になり、見ていて辛くなるだろうと感じた。それ故に漫画の結末を知っている人から見ると、救いでもあると同時に救いのない絶望が襲ってくる作品でもある。

6.『TRUMP』(漫画)
原作:末満健一 漫画:はまぐり
吸血種<ヴァンプ>と人間の血が流れる少年ソフィは、養護院からクランと呼ばれる施設へと入所した。そこは繭期――人間でいうところの思春期を迎えた吸血種の少年たちが集う学園。周囲の吸血種から冷ややかな目で迎えられる中、ソフィはある一人の少年と運命的な出会いを果たす。劇作家・末満健一の人気シリーズの原点となる物語をコミック化。繊細かつ多感な少年たちの葛藤を美しく紡ぎ出すゴシック学園ファンタジー。

 本作は前述したアニメ『デリコズ・ナーサリー』と繋がっており、本作を読む前に、本作の過去の物語であるアニメを見ると可愛かった子達の成長した姿にまず驚かされ、バッドエンドともとれる結末になんとも言えない辛い気持ちに襲われること間違いなしだろう。しかし本作を見てからアニメを見ても複雑な心境になることは間違いないのでどちらを先に見た方がいいのかは答えが出ないと考える。本作での登場人物たちの関係性はあまり良い関係性と言えないため、アニメで改善されたのではなかったのか、なぜこうなってしまったのかという疑問が尽きなく、アニメの後何があったのかと非常に気になるものがある。そのため本作の前の話をいずれ漫画で見てみたいという気持ちや、他の演劇作品も漫画化やアニメ化して欲しいという気持ちに読者はなるだろうと感じた。そして結末がハッピーエンドとは言えないため、そのことからも原作である演劇作品が非常に重い話であることが伝わる。

7.『FAIRY TAIL 100年クエスト』(アニメ)
原作:真島ヒロ 漫画:上田敦夫 総監督:石平信司
フィオーレ王国随一で、お騒がせ魔導士ギルドとしても有名な「妖精の尻尾フェアリーテイル」。そこに所属するナツ・ルーシィ・ハッピー・グレイ・エルザ・ウェンディ・シャルルの最強パーティーは、旅立ちの時を迎えようとしていた。目指す先は遥か北の大地・ギルティナにあるという世界最古の魔導士ギルド「魔陣の竜マギア・ドラゴン」。魔導士ゼレフや黒竜アクノロギアとの死闘を乗り越えたナツたちが次に挑むのは、<S級クエスト>の更に上級である100年以上誰も成し遂げたことがないと言われる伝説級の難関依頼、<100年クエスト>。『FAIRY TAIL』の最終話からそのまま続く、正統続編。心躍る新たな大冒険が再び幕を開ける。

『FAIRY TAIL』の正統続編ということもあり、本編でナツが挑戦したがっていた100年クエストに挑むという内容とそのアニメ化というのがまず視聴者からは非常に嬉しいと考える。本作でも本編のキャラの気になっていたその後などを知ることができ、報われなかったキャラ達が報われていくところを見られて気分も晴れるだろう。特に11話に登場したゼレフとメイビス、その子供たちは全視聴者が感動し、ナツの想像の中だとしても嬉しい限りだろうと感じた。このような本編で晴れなかった気持ちも続編ということで晴れさせてくれ、しかも漫画では真島ヒロ先生が描いていないもののアニメでは今までのシリーズと何も変わらない為、正統続編であることが身に染みて分かることが本作の最大の魅力であると考える。

8.『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』(アニメ)
原作:燦々SUN 監督:伊藤良太
久世政近の隣の席に座るアーリャさんは、いつも彼に対して冷ややかな目線を向けている。けれど、時々ボソッとロシア語で彼にデレていて……。その言葉を政近も聞き逃しはしない。なんと、政近はロシア語のリスニングがネイティブレベルだったのだ。気付いていないと思い込み、時々デレるアーリャさん。そして、その意味を理解しながらも、気付いていないような振りをする政近。ニヤニヤが止まらない、二人の恋模様の行方は。

 普通のラブコメにも見えるのだが、物語が進むにつれ政近の秘密やチートぶりが顕になっていくところがより一層ストーリーに引き込ませると感じた。しかしやはり根本はラブコメであるというところも面白く、政近とその周りのヒロインたちとの絡みが王道で面白いと感じさせる。そして一見強力なライバルでありヒロインに見える周防有希が実は政近の実妹であるという設定は、作者自身最初兄妹設定は無かったがあまりにも負けヒロインすぎて可哀想だから実妹にしたと語っており、その設定が物語を広げ最も面白くさせていると考える。原作でも人気の場面である11話の政近の表情が映像で見られたことで、政近と有希の似ている兄妹としての部分がより分かりやすくなっており、アニメでもより視聴者を興奮させる演出が多いと感じた。またエンディングが1話ごとに代わり、アーリャ役の声優による有名曲のカバーであることも面白く、話ごとに合っている選曲でもある。

9.『俺は全てを【パリイ】する』(漫画)
原作:鍋敷、カワグチ 漫画:KRSG
世界をめぐり、怪物と戦い、人々を守る。そんな冒険者に憧れる少年・ノールに下されたのは、「全てにおいて、一切の才能がない」という残酷な判定だった。でも才能がないなら、誰よりも努力すればいい!身につけた最低スキル──攻撃を弾く【パリイ】を十数年もの間ひたすら磨き続け、ついには千の剣を弾けるように成長する。しかし、どれほど極めても最低スキルだけでは冒険者にはなれず、ノールはいつの間にか世界最強クラスの力を手にしながらもそれを自覚することもなく、街の雑用をこなす日々をおくっていた。そんなある日、
魔物に襲われている王女・リーンを偶然助けたことで、ノールの運命の歯車は思わぬ方向へと回り出す。

主人公が無自覚に無双していくという小説家になろう王道のバトルファンタジーものであるが、主人公の強さは努力を積み重ねてきたものであり、強さを威張らないというような純粋さ故のものであったりするため、最強主人公に対し嫌悪感を抱くこともあまりないと思われる。またこれまで主人公が行ってきた各分野の修行の師匠がそれぞれのプロフェッショナルであり、それぞれのキャラが主人公のことを絶賛していることや主人公は冒険者界隈において伝説になっていること、主人公が自分の規格外の強さについて全く知らないというところが早く気づいて欲しいと読者に強く思わせていると感じ、物語の続きを気にならせる工夫だと考える。

10.『僕のヒーローアカデミアTHE MOVIEユアネクスト』(映画)
原作:堀越耕平 監督:岡村天斎
ヒーロー対ヴィランの最終決戦直前の完全新作オリジナルストーリー。全面戦争の影響で荒廃した日本に、突如現れた謎の男。出久たちに対して、自らを【オールマイトに代わる新たな象徴】と称し、「次は俺だ!」と高らかに宣言するその男の名は、ダークマイト。姿形はオールマイトそっくりだが、その思想は全く違い、自身の野望ために“個性”で作り出した巨大な要塞に人々を次々と取り込んでいく。出久や爆豪、轟たち雄英高校1年A組は、ダークマイトと、彼が率いる謎の犯罪組織“ゴリーニ・ファミリー”に果敢に立ち向かっていく。果たして、【新たな象徴】ダークマイトの野望を阻止し、世界を守ることができるのか。

 原作の決戦の最中に起きた話として映画を繋げるのが上手いと感じた。本作の映画の中でも燈矢や初代が登場し、原作勢も興奮するような感動場面が散りばめられていたと考える。また今回もオリジナルキャラクターが素晴らしく、毎回劇場版に登場するキャラクターは惹かれるものがあり劇場版の魅力である。そして最後には劇場版の続きもしくは原作、アニメの続きを思わせるような描写があり、もし劇場版の続きであったのなら原作が完結した今次は何をするのかなど視聴者をより一層楽しみにさせる演出だと感じた。

11.『刻刻』(アニメ)
原作:堀尾省太 監督:大橋誉志光
佑河家に代々伝わる止界術。止界術を使うと、森羅万象が止まった“止界”に入る事が出来る。ある日、主人公樹里の甥と兄が、誘拐犯にさらわれてしまう。救出の為にやむを得ず“止界術”を使うが、そこにいるはずのない自分以外の“動く”人間たちに急襲される。彼らは、止界術を崇める「真純実愛会」。止界術を使用する際に必要な“石”をめぐり、止界の謎、佑河家の謎が徐々に解明されてゆく。

一家に伝わる止界術という特別な術で無双していくような話かと思ったが、1話からその術を破るものたちが現れいきなり戦いになり、午後6時29分からずっと変わらずその時間が繰り返されるという予想できないストーリー展開が魅力であると考える。また登場人物たちもそれぞれ個性的であり、一家の中で特別な力を持つものが力を駆使し突破していくところなど魅力が多い作品である。そして冒頭のシーンが最後に繋がるところがなるほどと言わせるような構成である。また本作ホームページに時計が着いている演出が時を司る話として非常に面白い演出だと感じた。

12.『毒を喰らわば皿まで』(漫画)
原作:十河 漫画:戸帳さわ
竜の恩恵を受けるパルセミス王国。その国の悪の宰相アンドリムは、娘が王太子に婚約破棄されたことで前世を思い出す。同時に、ここが前世で流行していた乙女ゲームの世界であること、娘は最後に王太子に処刑される悪役令嬢で、自分は彼女と共に身を滅ぼされる運命にあることに気が付いた。そんなことは許せないと、アンドリムは姦計をめぐらせ王太子側の人間であるゲームの攻略対象達を陥れていく。ついには、ライバルでもあった清廉な騎士団長を自身の魅力で籠絡していく。

単なる悪役令嬢系異世界転生ものという訳ではなく、悪役令嬢の父親が主人公であり、そして前世を思い出したから性格が変わるということもなく、ゲームの中の悪役という立場から一切変わらずに、非常に頭が切れる冷酷非道な人物として振舞っていることが特徴である。徐々に良い人物に見えていくがそれすらも計画など、一貫して悪役としての考え方などもぶれず、全てにおいて冷静に物事を判断し、様々な策略を巡らせ、結果的には全て主人公の掌の上という点が本作の最大の魅力である。そして原作も分かりやすく面白いのだが、漫画の美しい繊細な絵で描くことで、綿密に考え込まれた世界観や主人公の美しい悪役としての人物像をより魅力的に演出しており、登場人物や物語の魅力が漫画になることでより一層高まっていると考える。

13.『松かげに憩う』(漫画)
原作:雨瀬シオリ
描かれるのは、幕末の器才・吉田松陰。幕末という狂乱の時代の中で、教育とは何か、人とはどう生きるべきなのかを説く。今まで描かれていなかった伊藤博文のやりのこした想い。高杉晋作がなぜ、狂乱のカリスマとなれたのか。そして、なぜ吉田松陰という幕府転覆の核が生まれ、その男の目に日本の未来がどう映っていたのか。全日本人必読の美麗ヒストリーコミック。時代を越えて“狂”のレクイエムが鳴る。

吉田松陰と伊藤博文や高杉晋作などの背景を細かく描いており、歴史の勉強にもなる作品である。また作者の絵の雰囲気によって、当時の時代の世界観などを重厚かつリアル描き出しており、作者の絵が作品に非常に合っていると感じた。吉田松陰という人物が最期なぜああなったのかという部分を、正義感が強く、頭が良く人一倍未来が見通せたが故に見過ごせなかったというような人柄、それに伴う過去、教え子たちなどの関係のある事柄と、一人の人間の中にある狂気の部分を魅力的に描き、それらを丁寧に紐解いていくことで繋がるストーリーが惹かれ、面白いと考える。そして本作からは吉田松陰への尊敬と畏敬の念が伝わるようであり、まさに吉田松陰へのレクイエムであると感じた。

14.『結ばる焼け跡』(漫画)
原作:雨瀬シオリ
昭和20年、上野。終戦直後の焼け跡で、全てを失った者達の魂が爆ぜる。自分以外の家族を失った戦争孤児・兼吉は、絶望の中でもがき続ける。だが謎の青年・金井田との出会いが、少年の心を解きほぐし…?

戦後の日本を舞台として、戦後の人々の暮らしなど悲惨な現状を如実に描きながらも、あったかもしれないフィクションのような過去を持つ金井田という主人公を登場させることで、フィクションとノンフィクションが上手く混ざりあった作品になっていると感じた。しかし実際金井田のような人物がいてもおかしくないため、過去に日本でこんなことがあったと戦後という時代をリアルに描いている作品でもある。また金井田と最初に出会った兼吉の二人の絆の深さやお互いに心から大切に思っているという描写が回を追うごとに描かれ、非常に感動すると感じた。

15.『しょせん他人事ですから』(漫画)
原作:左藤真通 作画:富士屋カツヒト
ネット炎上・SNSトラブルに遭ったことはありますか。誹謗中傷を受けた女性が出会った弁護士はネット案件に強いようだけど、だいぶ変わり者…?誰もが今日にも被害者に、そして加害者になる、現代の闇!他人事ではいられない誹謗中傷&情報開示請求のリアルドラマが幕開け。

誰もが被害者になり加害者にもなるという現代のネットトラブルの闇をリアルに細かく描いており、現代の人々が必読した方が良い非常に勉強になる作品である。SNSで顔が見えないからと言って、誹謗中傷やその記事をリポストしただけでも身元を割り出すことも訴えることもでき、些細なことで他人や自分の人生を狂わせてしまうという現実を突きつけられ、見えないことで他人を時に面白半分に時に深く考えずに叩くという人間の恐ろしさも知れる作品だと感じた。

16.『赤と白のロイヤルブルー』(映画)
原作:ケイシー・マクイストン 監督:マシュー・ロペス
ケイシー・マクイストンの同名ベストセラー小説を映画化し、アメリカ大統領の息子とイギリスの王子の恋の行方を描いたロマンティックコメディ。アメリカ初の女性大統領の息子アレックスとイギリスのヘンリー王子は、ともに端正なルックスとカリスマ性を兼ね備え国際的な人気を集めていたが、互いのことを軽蔑しあっていた。ある日、王室行事での2人の口論がタブロイド紙で大きく報じられ、米英関係に亀裂が入りそうになってしまう。事態の修復を図る関係者たちは2人を強制的に仲直りさせ、やがて両者の間には思わぬ友情が芽生えはじめる。

アメリカ大統領の息子とイギリスの王子の恋という物語の設定からも面白さが伝わる作品であると考える。立場ある二人の美しい青年の美しい恋を美しい映像で見ることができ、キャストやストーリーの素晴らしさを身に染みて感じた作品であった。また本作のキャラクターのインスタグラムのアカウントがあることが、二人が現実世界にいると視聴者に錯覚させ喜ばせる演出であり、制作側の非常に粋な視聴者への心遣いだと感じた。

17.『逃げ上手の若君』(漫画)
原作:松井優征
1333年、鎌倉。幕府の後継として生きるはずだった少年・北条時行は突然の謀反で故郷も家族も全て失う。しかし時行は、生き延びることに関しては誰よりも秀でていた。信濃国の神官・諏訪頼重に誘われ、少年は逃げて英雄になる道を歩み始めた。史実を描く逃亡譚。

中先代の乱で知られる北条時行にスポットを当てた作品として、詳しく描かれており、歴史好きの人にもそうでない人にも面白く分かりやすく読めて学べる物語だと考える。史実を元にしているため知っている偉人の名前が出る度に興奮し、その一人一人についても詳しく、その時代の思考も特徴も学ぶことが出来る。教科書では数行で終わってしまう間に、北条時行という人物がその周りの何人もの人達が力強く生き抜き死んでいった事実があったのだと再確認させられるような作品でもある。また前半の舞台である長野県の諏訪大社は、個人的によく訪れる馴染みの場所でもあり嬉しく感じた。そして今期のアニメとしても非常に評価が高く人気になる作品だと考えるため、本作の影響で諏訪大社に訪れる人が今後多くなるのではと考える。

18.『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(ドラマ)
原作:宮木あや子 脚本:中谷まゆみ/川﨑いづみ
おしゃれ大好き!スーパーポジティブ!河野悦子は、夢のファッション誌編集者を目指し、出版社に入社。なのに、配属されたのは、超地味な校閲部。しかし、夢を諦めずに地味な仕事でも真っ向勝負。時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させるなど校閲の仕事を超えて大暴れ!今日も、ド派手ファッションという戦闘服に身を包み、校閲の仕事に立ち向かう!夢を叶えた人にも、まだ叶えていない人にもエールを送るお仕事ドラマ。

出版社の校閲部という仕事に焦点を当てており、このドラマで校閲という存在を知った人も多いだろう。主人公の河野悦子という人物から、夢を諦めないこと、たとえ望んでいなかった仕事だとしてもその仕事の楽しさは自分次第で決まるということが強く分かる作品だと感じた。また編集者、出版社、作家、それぞれについても詳しくなり、校閲という仕事の面白さが全面に描かれていることが魅力だと考える。そして河野悦子の毎話のファッションも非常にオシャレで可愛いことから、視聴者の気分が上がると共に、たとえ地味な仕事でも何の服を着てもいい、仕事へのやる気は自分で決めるという河野悦子の人柄が表されていると感じた。

19.『ACCA13区監察課P.S.』(漫画)
原作:オノ・ナツメ
 組織に生きる男たちが泡沫に隠してしまうもの。古い約束、人知れぬ信念、大切な存在。ACCA5長官として組織をけん引した彼らは、何を思い、あの場所にいたのか。「ACCA」本編に隠された思いがにじみ出す過去編。

 本作は『ACCA13区監察課』の外伝作品であり、本編の最中それぞれの登場人物は何があったのか、どんな思惑が交錯していたのかが描かれている物語である。本作を読むことで本編への理解度も面白さも高まるので、本編を読んだことがある人は必ず読んだ方が良いと感じた。本編では描かれなかった主人公ではない五長官たちなどのサイドストーリーを知ることで、各キャラクターへの好感度も上がると考える。

20.『うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%』(アニメ)
原作:紅ノ月歌音、ブロッコリー 監督:紅優
超人気アイドル「HAYATO」に憧れ、 作曲家を夢見た少女・七海春歌は念願叶って競争率200倍の芸能専門学校「早乙女学園」作曲家コースに入学。春歌の前に現れるのは、アイドルを夢見るまばゆき6人のプリンスたち。数々の試練も訪れる春歌と麗しきうたのプリンスたちのドキドキ青春ラブコメディ。2010年6月にPSPゲームソフトとして登場した人気ゲームのアニメ第1弾。

 タイトルやキャラクターは少し知っていたものの、ストーリーなどは詳しく知らなかっため、本作で6人のアイドルグループ誕生に繋がる過程などを知った時は感動した。またアイドルとプレイヤーというゲームコンテンツの古参の作品でもあるが、似たようなコンテンツとして『あんさんぶるスターズ!!』や『アイドリッシュセブン』などが挙げられ、本作ではキャラクターほぼ全員が主人公に明らかな恋愛感情を抱いているという点が最近の似たゲームコンテンツとの最大の違いではないかと考える。そして魔法などのファンタジー要素も登場し、主人公とアイドルたちの歌によって繋がる強い絆を描く上で空中を周りながら飛ぶなどの演出があり、ツッコミどころも満載な作品であるのでストーリーでも演出でも視聴者を楽しませる部分が多いと感じた。

21.『A3!ACT4第14幕、第15幕』(ゲーム)
シナリオ:トム 開発:リベル・エンタテインメント
第四部では新生フルール賞の概要が発表され、MANKAIカンパニーもその新たな仕組みに翻弄されることになる。そしてMANKAIカンパニーでは無事に春組第十一回公演を終え、新生フルール賞のランキングも着実と上がっていく。第14幕では春組から繋いだバトンを夏組が受け継ぎ、第十一回公演『Water me!!〜333年の約束〜』を、第15幕では秋組が『ピカレスク・リターンズ』を上演する。

第14幕、第15幕では夏組と秋組が第十一回公演を公演したが、春組同様旗揚げ公演の続編である。旗揚げ公演の続編であることはやはり視聴者に感慨深さを感じさせるものであるが、ストーリーもまたそれぞれの団員の新たな挑戦と旅立ちを描いており、挑戦したことで得られた経験と思いを糧に公演を一段と素晴らしくさせている。そして新フルール賞へ向けて本気で向かっているみんなの熱量を感じさせるストーリーであった。いつか見て想像した二次創作かと見紛う程の興奮するような内容であり、新キャラクターと団員たちとの掛け合いなどもまた視聴者を楽しませる内容だと感じた。総じて各キャラクターの成長が描かれ、旗揚げ公演からの成長をひしひしと感じ取ることができ感動すると共に、視聴者もカンパニーも次の第16幕へ向けて冬組の舞台が整った万全の状態であると考える。それ故に次の冬組の公演が非常に楽しみであり、現在は視聴者全体の期待が高まっている状態だと感じた。

22.『ディズニー ツイステッドワンダーランド 1~7章chapter10』(ゲーム)
シナリオ:枢やな 開発:f4samurai
この物語が描くのは、「悪役たち(ヴィランズ)」の真の姿。魔法の鏡に導かれ、異世界「ツイステッドワンダーランド」に召喚されてしまった主人公。辿り着いた先は名門魔法士養成学校「ナイトレイブンカレッジ」。行く当てのない主人公は、仮面の学園長の保護を受け、
元の世界へ帰る方法を探し始める。しかし、そこで待ち受けていた生徒たちは、才能豊かだが、協調性皆無の問題児ばかりだった!はたして主人公は、彼らと協力し、元の世界へ帰ることができるのか?そして、ヴィランズの魂を持つ、生徒たちの秘密とは?ディズニー公式が送る、リズムとバトルで紡ぐディズニーヴィランズ学園アドベンチャーゲーム。

協力がウォルト・ディズニー・ジャパンという強力な布陣であり、ストーリーもディズニーの作品、キャラクターの設定が細かく反映されているためディズニー好きにはたまらない作品だろうと考える。また原案・メインシナリオ・キャラクターデザインを『黒執事』の枢やな先生が担当しており、キャラクターデザインが作品をより引き立てている非常に魅力的な作品である。そして設定の細かさもさることながら、それに伴う伏線も豊富であり、ストーリーに漂う不穏さとストーリー展開の面白さが尋常ではなく、さすが枢やな先生と言わざるを得ない。現在7章chapter10まで進んでいるが、ここからの展開とまだ登場していないヴィランズの登場、4年生たちなど解明されていない部分がまだ多くあるので、これからの展開も期待が尽きない。また学園は男子校であるのだが、主人公である監督生が女性であるか男性だと思うかによって解釈なども変わってくると感じた。ゲームをプレイしている人は恐らく女性が多いため、女性だと考える人も多いが単純に男子である可能性も高い。ゲームでは明確になっておらず、コミックス版では章ごとに主人公が変わりどちらもいるなど、プレイヤーの期待を裏切らないような配慮がされていると考える。そして今までのストーリーを振り返り、やはり2章にはオーバーブロットなどの謎が多いと感じ、ハーツラビュル寮も謎が多いため、これから描かれる7章で何か繋がって来るのでは、何か明かされるのではという期待が高まっている。

23.『ヒプノシスマイクJust Friend、Not For You』(ドラマトラック)
原作:KING RECORDS
2017年9月に始動した音楽原作キャラクターラッププロジェクト“ヒプノシスマイグ”。
ラップミュージックには、日本のヒップホップシーンを牽引するラッパー・トラックメーカーがクリエイターとして参加。キャラクター性の強い音楽と、物語性の強い音声ドラマを原作として、コミック、ゲームアプリなど様々なメディアミックスを行う。時はH歴。人の精神に干渉する特殊なマイク「ヒプノシスマイク」の登場により、戦争は根絶された。女性党首率いる“言の葉党”が政権を握り、言葉の力が武力に取って代わった世界で、男たちはラップで優劣を決するようになった。イケブクロ・ディビジョン、ヨコハマ・ディビジョン、シブヤ・ディビジョン、シンジュク・ディビジョン、オオサカ・ディビジョン、ナゴヤ・ディビジョンの6つのMCグループによる男たちの威信をかけたラップバトルが始まる。その後言の葉党が失墜するという事態が起きたものの、目前に第3回ディビジョンラップバトルを控えた各々の、過去のしがらみやバトルに向ける真意が明かされていく。

 本作はシブヤとシンジュク・ディビジョンの最新ドラマトラックであり、言の葉党の失墜後と第3回ディビジョンラップバトルを控えた状況のそれぞれのディビジョンのストーリーが描かれている。シブヤでは、帝統の母親の正体を仲間に明かし、また幻太郎の兄が登場するというそれぞれの家族の真実が明らかとなったが、ここに来ての幻太郎が兄になりすましていたことなど、仲間へ真実が露見することが描かれ、待ち望んだ展開と驚くべき真実に視聴者は非常に感慨深かったと思われる。そして幻太郎と兄の関係性に『あんさんぶるスターズ!!』のHiMERUと要が思い浮かんだ人も多いと考える。シンジュクでは一二三の仄仄との過去が明かされ、今までも少しずつ語られてきたことで辛い過去だということは分かっていたが、やはり予想通りの酷い仕打ちであり、それでも仄仄のことを理解したいと願う一二三になんて優しい人物なのかと一二三の凄さを実感する内容であった。しかし一二三には自分だけだと思わせたかった仄仄だが、一二三の一番傍にいる独歩を篭絡できなかったことが仄仄の最大の失敗であり、一二三が倒れなかった理由であることが挙げられ、独歩と一二三の絆の強さも再確認された内容だと感じた。

24.『地面師たち』(ドラマ)
原作:新庄耕 監督:大根仁
 土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金をだまし取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く。2017年に実際に起きた被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしている。100億円の市場価値を持つ希少な土地に目をつけた地面師詐欺集団は、あらゆる手段を使って前代未聞の巨額詐欺を成功させようとする。

地面師という詐欺グループの話で実際に起きた事件を元にしており、内容もNetflixだからできる地上波ではできないような攻めた内容であったと考える。各話の中に「辰年」や「ピーコック」、あの女抱けるかなど同じフレーズが度々登場し、言葉が往復している。それが後にもまた語られ、同じような場面に繋がっているため、前の会話の中に伏線が多く張られていると感じた。

25.『双星の陰陽師』(漫画)
原作:助野嘉昭
少年陰陽師焔魔堂ろくろはトラウマから夢を諦め漫然と日々を過ごしていた。ある日突然少女陰陽師化野紅緒と共に陰陽頭土御門有馬に「双星の陰陽師」の称号を与えられる。「双星」の役割とは人類の宿敵「ケガレ」との戦いに終焉を齎す「神子」を生むべく、夫婦になることだった。2人は反発するが共に過ごすうちに互いのトラウマを乗り越え、絆を深めていく。

本作は10年もの連載を経て最近完結したのだが、小学生の頃から読み続けてきた身として10年共に育ってきた身として非常に感慨深いものがあった。ケガレを無くすために神子を産むことを目的としていた本作だが、最終的にその目的を成し遂げるという終わり方が非常に綺麗であったと考える。ろくろと紅緒が、陰陽師が、ケガレ達が夢見た世界へと根本から解決していくという過程が、途中紆余曲折あったもののまとまった完結となり、最初のろくろの目標から一切変わらずに進んできたというのが伝わる内容である。

26.『推しの子』(アニメ)
原作:赤坂アカ 作画:横槍メンゴ 監督:平牧大輔
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」地方都市で、産婦人科医として働くゴロー。芸能界とは無縁の日々。一方、彼の“推し”のアイドル・星野アイは、スターダムを上り始めていた。そんな二人が“最悪”の出会いを果たし、運命が動き出す。ゴローが死後に前世の記憶を持ったまま、推していたアイドルの子供に生まれ変わる転生もの。

ファンタジー設定でありながらもサスペンスや芸能界の闇をリアルに描き出していることが本作の特徴であり、引き込まれる内容である。アニメになったことで、誰かの憧れや火をつける原動力になる時の人物の目の輝き、誰かにとっての星になる時の演出が非常に綺麗に描かれており、圧倒的だと感じた。また2期の舞台編では、役柄と演者が混じり合う演出が素晴らしいと考える。

27.『ファミレス行こ。』(漫画)
原作:和山やま
あの「地獄のカラオケ大会」から4年。大学1年生の岡聡実は、東京で「普通の大人」になるべく学業に勤しんでいた。しかし、ひょんな出来事から始めた、深夜のファミレスのアルバイトをきっかけに奇妙な縁は、再びめぐり始める。バイト先のファミレスに現れるマンガ家・北条先生、マンガオタクでバイトの先輩・森田さん、そして、あの夏の日に出会ったヤクザ・成田狂児など、個性豊かなメンツが聡実くんの日常に関わってきて。『カラオケ行こ!』のその後を描く続編。

 同作家『カラオケ行こ!』の続編であり、読者は非常に待ち望んだ作品であったと考える。前作では中学生だった岡聡美が大学生になった内容であり、前作のラストから繋がっている。前作同様面白さはそのままに、また聡美と狂児のふたりの掛け合いが見られることは大変喜ばしいことである。しかし徐々に二人の関係性に少しずつ変化が訪れ、特に最新話の12話では二人の間に少し波紋が広がるという最高な展開に読者は胸が張り裂けそうなほど悶えることになるだろうと感じた。

28.『忘れ得ぬ貴方との邂逅』(漫画)
原作:Nichtigall 作画:Ganno
 仮面が半分に割れ、この世のものとは思えない彫刻のような顔が現れた。しかし、賛嘆してやまない美男子を前に、芮康吾の表情は徐々に崩れ落ちた。あの顔が見分けられないはずがなかった。「あなただったのですか…?」黒天主の末弟子が敬愛し、恋慕してやまない男。行方不明になったと思われていた白羅宮主がそこにいた。

1話が未来の話だとしてすぐに2話から過去の話へと飛ぶのだが、過去からどうやって1話の冒頭に繋がるのか、それをそれより以前の過去の話も絡めながら繋がっていくという内容であり、それぞれの登場人物の心情や関係、思惑に目が離せないと考える。白羅宮主が何を思って耐え難い扱いに耐えてきたのか、なんのために顔を焼き身分を捨てたのか、何を一番大切に考えているかなど徐々に明かされていくストーリー展開に感動する。またその父親や母親についての真実も未だ明かされておらず、これからまた何があって1話に繋がるのか非常に楽しみな作品であると感じた。

29.『魔王と勇者の戦いの裏で』(漫画)
原作:涼樹悠樹 漫画:葦尾乱平
やがて世界は勇者マゼルと魔王の戦いにより命運を決する。そんなRPGのゲーム世界に貴族の子息として転生したヴェルナー。スキルは『槍術』と平凡で、紛うこと無くモブキャラであった。このままではモブとして死を待つだけ……そう判断したヴェルナーは悲劇を回避するため、生き残る術を模索し始める。頼みは、勇者と築いた友情と前世の知識と知恵のみ。伝説の裏側で奮闘する凡人の本格戦記ファンタジー。

主人公はゲーム世界のモブキャラクターに転生したのだが、元々生き抜こうと努力していたところを勇者と親友になったことをきっかけに、ただのモブでは無い重要人物として世界の平和を目指す一端になり活躍していくというストーリーが単純に面白い。主人公は謙遜しているものの頭が良く、私利私欲に走らず、冷静にひたむきに努力を重ねていく性格であり、こういう系統の話では珍しく、主人公に非常に好感が持てる作品だと考える。また主人公と勇者の友情にも感動し、ゲームでは語られない世界で、魔王と勇者の戦いの裏で、何があったのか、主人公は何をしたのかと語られていく物語構成に惹かれるものがあると感じた。

30.『たまのこしいれ ―アシガールEDO―』(漫画)
原作:森本梢子
 江戸時代にタイムスリップし、気づけば大名家にお輿入れしてしまった令和の17歳、速川月。夫となる病弱な志喜家嫡男・晴貴が実は毒を盛られているらしいと知り、現代に連れ帰り病気を治そうと隠密作戦を決行するが――!? 少しずつ近づくふたりの距離。ときめきはもう止まらない!?『アシガール』と同じ世界観と、その後を描く物語。

 本作は同作家『アシガール』のスピンオフ兼続編であり、主人公の月は『アシガール』に登場した主人公の弟・尊の娘である。『アシガール』を読んでいた読者にとっては、『アシガール』の馴染み深い人物達が登場し、その後が見られたことで歓喜するだろう。主人公はさすが前作の主人公・唯の姪であり、尊の娘なので猪突猛進な性格と天才発明家気質なところがあるという両者に似ている部分が演出されていると感じた。また現代ではそれほど時間が経っていないがタイムスリップした先は前作の何十年も後という設定である。それが後にこれから唯や前作の登場人物は出てくるのか、唯や子供たちのその後の話は詳しく描かれるのかと読者に期待させており、これからのストーリーが非常に楽しみな作品だと考える。
2024/09/25(水) 21:06 No.2069 EDIT DEL
2年渡辺 RES
夏休み課題 16-30
16.『映画ドラえもん のび太の魔界冒険』(映画)
監督:芝山努 原作:藤子不二雄
【あらすじ】
 空想の世界を実現させる、「もしもボックス」で創りだされた魔法世界。そこで、ドラえもんたちは、魔学博士の満月とその娘美夜子に出会う。なんと、魔法世界の地球は、魔界の悪魔に狙われていた。
【考察】
 最初から最後まで伏線だらけで子供だけじゃなく大人も楽しめる作品だった。見れば見るほど新しい発見がある。細かな描写まで見逃せない。
 
17.『よだかの星』(小説)
著者:宮沢賢治
【あらすじ】
よだかは醜い鳥であった。そのためよだかは他の鳥たちから嫌われ、いじめられていた。よだかは鷹の仲間ではないが、その強靭な翼と鋭い鳴き声がどことなく鷹に似ているため、その名前となったが、鷹はこれを嫌がっていた。ある夕方、鷹がよだかの巣にやってきて、「市蔵」に改名しろと命令する。よだかは断ったが、鷹は改名しなければ殺すと脅してくる。
【考察】
 鷹に殺すと言われたよだか自身が虫を食べてしまい、よだかも捕食者側になってしまうという描写にとても宮沢賢治らしさを感じた。一見弱いように見えて気高いプライドを持っているところにも自身の宗教観を貫いた宮沢賢治を彷彿とさせられた。
 
18.『猫の事務所』(小説)
著者:宮沢賢治
【あらすじ】
軽便鉄道の停車場のちかくにある猫の第六事務所は猫のための歴史と地理の案内所。そこには大きな黒猫の事務長、一番書記の白猫、二番書記の虎猫、三番書記の三毛猫、そして、四番書記の竈猫がいた。かま猫は三人の書記にいじめられながらも、仕事に励み続ける。
【考察】
 この時代にもこんなに具体的に物語を書けるほど、いじめが存在していたのかと思った。事務所の中でいじめながら自分の地位を守っていたものたちが、自分たちよりも身分の高い人たちによってあっけなくやられてしまうのがリアルだなと思った。あんなに苦しんでいたいじめがこんなにあっさり解決してしまうのかというむなしさと物語が急に終わってしまう感じがリンクしているなと思った。
 
19.『マニアック#6 黴』(アニメ)
監督:田頭しのぶ 原作:伊藤潤二
【あらすじ】
海外に赴任している間、建てたばかりの家を嫌いな教師に貸した。久しぶりの我が家に帰ってみると、そこは変わり果てていた。壁も、天井もカビだらけになっていたのだ。そのカビの原因を探っていくうちに、恐ろしい出来事が起こる。
【考察】
 ほぼモノクロなので漫画の方が見ていてゾワッとするなあと思った。黴について謎が明かされることもないのでただ気持ち悪いだけだが、最初の家を見て回るシーンが気味が悪くてとてもいい。
 
20.『マニアック#6 蔵書幻影』(アニメ)
【あらすじ】
書庫は恐ろしい数の蔵書で溢れていた。五郎はその蔵書に異様な執着を見せる。1冊の蔵書がなくなり、さらに五郎はおかしくなっていく。
【考察】
 オタクも社会的に認知されてきて“痛バ”など、同じ絵柄の缶バッジを大量に買ってバッグに付ける行為が流行っている中、“収集癖”というのをホラーに落とし込んでいるのが流石だなと思った。身近なテーマから生まれている話が多いので見ていてとてもワクワクするし面白い。
 
21.『マニアック#1 怪奇ひきずり兄弟 降霊会』(アニメ)
監督:田頭しのぶ 原作:伊藤潤二
【あらすじ】
引摺家は六人兄弟。父母は既に亡くなっている。長男の一也はある日、公園で写真を趣味としている美しい女性サチヨに出会う。怪奇現象が好きだというサチヨに気に入ってもらいたい一也は引摺家主催の降霊会に彼女を誘う。そして始まる降霊会。サチヨの目の前で亡くなった父の霊が次男、四五郎に降りてくる。そして、奇妙な出来事がサチヨの目の前で次から次へと起こるのだった
【考察】
 伊藤潤二作品では双一シリーズに並ぶギャグ回な気がする。伊藤潤二自身もお笑いが好きなので、ギャグを書きたかった感じが伝わってくる話。ただ、絵もキャラデザも不気味なのでハード目なコメディになりがちなのも伊藤潤二作品らしいなと思う。
 
22.『マニアック#7 墓標の町』(アニメ)
監督:田頭しのぶ 原作:伊藤潤二
【あらすじ】
かおるは兄の運転で、親友の泉が引っ越した町に向かう。だが、二人の車は途中、少女をはねてしまう。気が動転しながらもたどり着いたその町は、死んだ者たちが墓標に変わってしまう不思議な町だった。泉の家に身を寄せた二人だったが、泉の妹が帰宅していないことがわかり、捜索が行われる。かおる達がはねてしまったのは、泉の妹だったのか? 
【考察】
 マニアックシリーズでは一番わかりやすいホラー。伊藤潤二作品は基本起承転結の結をぼやかして終わることが多いのだが、この話の途中の緊張感のある雰囲気が一番好きなのでそこが味わえてよかった。
 
23.『秘密』(小説)
著者:谷崎潤一郎
【あらすじ】
元いた環境から逃げ出したくなった「私」は、とある寺に住み着いた。夜な夜な読書したり酒を飲んだり変装したりして街に繰り出していたが、古着屋で見つけた小紋縮緬の袷をきっかけに本格的な女装をはじめる。
【考察】
 谷崎の時代に女装という文化があったのが衝撃であった。自分の欲で女の秘密を暴きながらも身勝手にも興味をなくしてしまうという人間の醜さを露わに書き出している点、化粧をする場面の妖艶な文章にも谷崎らしさを感じた。
 
24.『刺青』(小説)
著者:谷崎潤一郎
【あらすじ】
「世の中が今のように激しく軋みあわない時分」、多くの人々が刺青をしてその意匠を比べ合っていた中に、清吉という、元浮世絵職人の彫り師がいた。清吉は美女の体に己の魂を彫り込みたいという宿願を持っていたが、満足する女を見つけられずに過ごしていた。そんな中、駕籠の簾から女の美しい白い足がこぼれているのを見て、清吉はこれぞ自分の求めていた女だと確信した。
【考察】
 谷崎の耽美主義的思想を大いに感じられる作品の一つだと思う。耽美主義では「美」を最高の価値観とするが、谷崎の中での「美」は女性なのだろうということをひしひしと感じる。また、無垢な少女が男を支配する女性へと変わった姿は、当時の女性像とはかけ離れていたのだろうと思うとやはり谷崎の趣味嗜好が出ているなと思う。
 
25.『春琴抄』
著者:谷崎潤一郎
【あらすじ】
容姿端麗な春琴には舞の才能があったが、彼女は9歳の頃に病気で失明し、三味線を学ぶようになる。彼女は三味線の才能も持っていた。春琴に仕え、世話係をしていた佐助も三味線を学ぶようになり、彼女の弟子となる。春琴は気性が荒く、稽古は激しい。ばちが飛び、叱声が響き、佐助は泣き出す。しかしそんなサディスティックな師匠の人格否定のレッスンを、佐助は待ち遠しく感じるようになる。
【考察】
 この小説には他の作家に見受けられるような問いかけや訴えは感じ取れず、ただひたすらに美への陶酔のみを感じる。佐助の行き過ぎな春琴への信仰ともいえる描写を読むと美への恍惚とした感情をこちらも持ちそうになる。
 
26.『サマーゴースト』(映画)
監督:loundraw
【あらすじ】
高校生の杉崎友也、春川あおい、小林涼の3人は、それぞれ家族や友人、将来について悩みを抱えていた。インターネットを通じて知り合った彼らは、花火をすると現れると噂される若い女性の幽霊"サマーゴースト"に会いに行こうと思い立つ。
【考察】
 40分という短編映画でありながらも、キャラ同士の衝突、各々の葛藤、キャラの成長とすべてが丁寧に描かれていてとても見応えがあった。線の細い儚い雰囲気の映像とたびたび出てくる花火の映像、夏らしさ満点の映像だった。
 
27.『ガヴリールドロップアウト』(アニメ)
監督:太田雅彦 原作:うかみ
【あらすじ】
天界にある「天使学校」を首席で卒業したガヴリールは更なる修行のため人間界に下り、高校に通うこととなった。「立派な天使になって人間達を幸せに導く」と誓った彼女だが、下界の様々な楽しみを知ってしまい、いつしか「ドロップアウト」して自堕落な生活を送るようになってしまっていた。
【考察】
 ダメダメキャラにドジっ子、お姉さん系などありとあらゆる系統の女の子の学園生活を描いているので、みんな好きなキャラができそうだなというイメージ。昔はやっていたことにも納得した。日常系なので頭を空っぽにしてみられてよかった。
 
28.『ふしぎ遊戯』(アニメ)
監督:亀垣一 原作:渡瀬悠宇
【あらすじ】
受験を間近に控える中学3年生の夕城美朱と本郷唯は、ある日図書館で見つけた「四神天地書」という古い本の中に吸い込まれ、異世界に入り込んでしまった。迷いこんだ世界で暴漢に襲われる美朱と唯は、額に“鬼”の文字を持つ少年・鬼宿に助けられる。この出逢いが、全ての始まりであった……。互いにすれ違い、敵対していく美朱と唯。過酷な運命の中で惹かれあう鬼宿と美朱。朱雀と青龍の戦いが今始まる。
【考察】
 小学生のころに見たときは恋愛ものとしてしか見ていなかったが、見返してみると設定が面白く、キャラも立っていて飽きずに見られた。昔のアニメなので今の大御所声優が大量に出ているのも見どころ。朱雀七星士の身体に刻まれる文字も里見八犬伝と繋がっているのだなと思った。
 
29.『グリッドマンユニバース』(映画)
監督:雨宮哲
【あらすじ】
フジヨキ台の高校生、麻中蓬は学校帰りにガウマという風変わりな男と出会った。ガウマは怪獣使いと名乗り、行き倒れ寸前だった自分を救ってくれた蓬に何かと絡み始める。ガウマを中心として、蓬、夢芽、暦、そして暦のイトコの飛鳥川ちせが加わって対怪獣チーム・ガウマ隊が結成されるのだった。ガウマ隊に立ちはだかるのは、ジュウガ、オニジャ、ムジナ、シズムたち怪獣優生思想である。ガウマ隊と怪獣優生思想、仲間と仲間の戦いの果てに待つものは何か?
【考察】
 クロスオーバー作品ということで、映画館でも見たが見返してみても面白かった。このキャラ同士はこう絡むのだなというのが見ていて面白い。劇場版なのでメカシーンもがっつり動くし、若干のハルヒっぽさのあるストーリーといい、やっぱり好みの脚本だなあと思った。
30.『ブレンド・S』(アニメ)
監督:益山亮司 原作:中山幸
【あらすじ】
ツンデレ・妹などなど、店員さんのいろんな「属性」が楽しめる喫茶店で、新人アルバイトの苺香が店長にリクエストされたのはなんと「ドS」キャラ!?一生懸命働くうちに、意外と「ドS」の才能が開花してしまい…。踏まれたって全部がご褒美、倒錯的ワーキングコメディ!
【考察】
 様々な属性のキャラがいるのでアニメといえばの物語展開が多くて久しぶりの感覚だった。各々の恋愛模様も合間に挟まってきたり、オタクが共感できるネタがあったりとみていて飽きなかった。
2024/09/24(火) 23:35 No.2068 EDIT DEL
2年渡辺 RES
夏休み課題 1-15
1.『20世紀少年―第1章―終わりの始まり』(映画)
原作:浦沢直樹 監督:堤幸彦
【あらすじ】
“ともだち”と呼ばれる教祖が率いる不気味な教団が現れ、同時に世界では謎の病原体による突然死などの怪事件が頻発する。コンビニを営む中年男性ケンヂは、一連の事件の内容が、子供時代に自分と仲間たちが書いた空想の予言書と酷似していることに気付く。ケンヂは世界の危機に立ち向かうべく昔の仲間たちを集め、“ともだち”の目論見を阻止し、正体を暴こうと行動する。
【考察】
本作品は3部作に分かれており、始まりとなる第1章では第3章で描かれる物語が先立って流れるため、初見では何のことかさっぱりわからない。しかし、すべてを見終わった後にもう一度見てみると、本作が3部作の1作目として如何にちゃんと機能しているかということがわかる。序盤から少ない映像で伏線を散りばめながら、日常にじわじわと近づいてくる違和感をうまく描いていた。定期的に挟まれる少年時代の記憶の映像がなんだか奇妙で目が離せなくて、とても引き込まれた。物語はケンヂたちの小学校の同窓会のシーンから動き始める。なぜ、この同窓会は中学や高校ではなく小学校なのか。この物語は“記憶”がとてもキーワードになっていると感じた。“ともだち”の正体を追いながら、ケンヂたち自身の記憶も追想していく。そんな物語の始まりとして、この1作目はとてもいいエッセンスになっていると感じた。また、3章に出てくる物語が1章の冒頭に出てくるというのも私たちにケンヂたちと同じように記憶の追想をさせる効果があるように思った。
 
2.『20世紀少年―第2章―最後の希望』(映画)
原作:浦沢直樹 監督:堤幸彦
【あらすじ】
 一章の頃の戦い(血の大晦日)から15年後。歴史では2000年の人類滅亡計画はケンヂとその仲間が行ったものとされ、それを阻止した“ともだち”は救世主として崇められていた。血の大晦日以降、ケンヂは行方不明となったもののケンヂの姪・カンナは高校生へと成長し、仲間たちもまたそれぞれの方法で“ともだち”の正体を追っていた。
【考察】
 “ともだち”の存在が社会の中で一般化して、世界に馴染み、社会が丸ごと洗脳されているのが見ていてとても不気味で政治と宗教が絡んだ時の奇妙さを感じた。本作では物語はケンヂの姪であるカンナを中心に回り始めるのだが、ケンヂの無鉄砲さとカンナの若さゆえのまっすぐさはとても似ており、物語の進み方は1作目と似るところも感じた。一方で、ケンヂとは違いカンナだから与えられた映画への効果もあったと思う。世界が“ともだち”に支配され、ケンヂが悪者とされている世界で、その真実を知っているのはカンナや仲間たちと我々視聴者のみである。映画の中でカンナはいら立ちやもどかしさを感じているシーンが多く、視聴者の感情とリンクすることが多く、より映画の中にのめり込みやすくさせる効果のある登場人物だと感じた。
 
3.『20世紀少年―最終章―ぼくらの旗』(映画)
原作:浦沢直樹 監督:堤幸彦
【あらすじ】
それぞれの方法でともだちを追い続ける仲間たちとカンナ。そんな彼らのもとにある曲が流れてくる。その声はケンヂの歌声にそっくりで…。戻ってきたケンヂは仲間たちと共に、“ともだち”の正体に迫り、"ともだち”がなぜ生まれてしまったのか、謎に迫っていく。
【考察】
 ラストのシーンが原作とは異なるという話を多く見聞きしたのだが、長編作品を三部作の映画に落とし込むには仕方ないかと思った。ただ三部作というところだけで見れば話はとても見やすく理解しやすくなっていた。ケンヂに憧憬を抱いていた“ともだち”がケンヂに裏切られ始まったこの物語。1作目をもう1度見てみると同窓会のシーンのケンヂや仲間たちの薄情さを強く感じるがそれがとてもリアルだった。“ともだち”はケンヂたちのことを思いながら生きてきたのに当の本人たちはまるで覚えていない。1作品目でケンヂの母親が店のおにぎりを勝手に食べ、「それ万引きだぞ」とケンヂが言うシーンでケンヂは幼少期に万引きを擦り付けてしまったことを思い出すような描写はない。“ともだち”が出てくることがなかったら、ケンヂにとっては思い出すことのない些細な出来事のままだったのだろうなと思った。全編を通してみると子供の無邪気な残酷さを感じた。
 
4.『0.5の男』(ドラマ)
監督:牧田百音・沖田修一
【あらすじ】
 古くなった実家を二世帯住宅に立て直すことにした立花家。しかし、そこで引きこもりの兄・雅治(40歳)がどこに住むかが問題になる。議論の末、ハウスメーカーの提案で2世帯+0.5世帯(雅治)の“2.5世帯”で暮らすことに。“2.5世帯”での暮らしによって外の世界に放り出された雅治は少しずつ変わっていく。
【考察】
 40歳で引きこもりの男が主人公というなかなかインパクトのある設定。引きこもりの高年齢化が近年問題になっている中で、40歳実家暮らしの引きこもりの男に焦点を置きながらも深刻になりすぎず、コミカルに描かれていた。大きな事件が起きることもなく、優しくてたまにクスッと笑えて見ていてとても楽になるドラマだった。
 
5.『HUNTER×HUNTER』キメラアント編 第76話~第136話(アニメ) 
原作:冨樫義博 監督:神志那弘志
【あらすじ】
カイトがいたのはアイジエン大陸中央にある「カキン国」の奥地。3年前から仲間と共に新種の発見と生態調査を主にした生物調査をしていたのだ。興味がわいた二人は新種探しに挑戦。研ぎ澄まされた感覚と高い集中力で次々に新種珍種を見つけていく。一方、ヨルビアン大陸に打ち上げられた謎の生物は、王を産むという女王としての使命を全うすべく、体を回復させるための大きな獲物を求め動き出した。
【考察】
 キメラアント編前までのストーリーでは、ゴンがずっとキルアにとっての光だったが、イカルゴとの回でキルアが誰かにとっての希望になっていたのがとてもよかった。ゴンが光でキルアが影として描かれることが多かった今までのストーリーと比べ、キルアの存在がゴンを救ったり、キルア自身が光に包まれる描写があったりとキルアの成長をとても感じられた。
 
6.『オペラ座の怪人(字幕版)』(映画)
監督:アーサー・ルービン
【あらすじ】
オペラ座の交響楽団だったエリックは、ピアノ演奏曲を書き上げ音楽出版社に持ち込むが喧嘩となり、顔に硫酸をかけられ醜いようしとなってしまう。オペラ座の地下室に逃げ込んだ彼は、プリマドンナの代役を務めるクリスティーヌを成功させるため、次々と罪を重ね始める。
【考察】
オペラ座の怪人といえばといった曲は全くなく歌唱シーンは出てくるといってもクリスティーヌが舞台で歌うシーンのみで意外にもミュージカル映画の要素はなかった。この映画は世間でよく語られる「オペラ座の怪人」のストーリーというよりもなぜオペラ座の怪人が生まれたのかという前日譚的な要素が多く含まれていると感じた。また、作中で光り輝く舞台できらびやかな衣装を着て歌うクリスティーヌとそれを暗闇で聴くファントムという対比表現が随所に見受けられた。
 
7.『オペラ座の怪人 25周年記念公演inロンドン(字幕版)』(ミュージカル)
監督・演出:スティーヴン・ダルドリー
【あらすじ】
アンドリュー・ロイド=ウェバー作のミュージカル「オペラ座の怪人」25周年を記念して、キャメロン・マッキントッシュがプロデュースした、これまでにない壮大なスケールの豪華な舞台の映像版。ロンドンの有名な劇場、ヴィクトリア朝の豪奢さを誇るロイヤル・アルバート・ホールで行われた絢爛豪華な記念公演。特別出演のゲストも華を添える。
【考察】
 オペラ座の怪人の有名な演目を多く聞くことができて、世間一般に語られるオペラ座の怪人の物語を知ることができた。長尺のミュージカルであったものの、セットもとても豪華で見飽きることもなく見ることができた。同じ曲をシーン・キャラ、歌詞を変え、歌い、ミュージカルならではの方法で登場人物同士の対比や物語の展開を進めていた。
 
8.『らき☆すたOVA(オリジナルなビジュアルとアニメーション)』(アニメ)
原作:美水かがみ 監督:武本康弘
【あらすじ】
OVAならではの実験的な映像や、TVでは描かれなかったキャラクターの意外な素顔を凝縮。一方で、普段通りのほのぼのしたやり取りもたっぷり堪能できるファン必見作。
【考察】
 まさにOVAといった感じであった。特にこの中で物語が進むわけでもなく、ぼーっとみられるような茶番が続いていて疲れた時にみて癒される感じの内容だった。
 
9.『トリック劇場版 ラストステージ』(映画)
監督:堤幸彦
【あらすじ】
ある日、天才物理学者・上田次郎は村上商事の加賀美慎一から、海外の秘境にあるレアアース採掘のために力を貸して欲しいという依頼を受ける。採掘権は獲得したのだが、その地域に住む部族が立ち退きに応じない。彼らが信奉する呪術師が持つ不思議な力、未来を予知したり人を呪い殺したりするトリックを見破るため、上田は自称超売れっ子天才美人マジシャン・山田奈緒子の力を借りることに。
【考察】
 全編通してほかの作品だったら深刻そうにみえるシーンでもうまい具合にギャグっぽく見せているのが上手だなと思った。シリーズの最終回ということでラストの終わり方も良い余韻を残す終わり方で見ていて「おおっ」となった。
 
10.『ヴィ―ガンズ・ハム』(映画)
監督:ファブリス・エブエ
【あらすじ】
肉屋を営むある夫婦が経営難に陥る。そんな中、店を襲ったビーガン活動家の1人を、夫が誤って殺してしまう。死体の処理に困った彼は、それをハムに加工して売ることを思いつく。
【考察】
 最初はヴィ―ガンに対する偏見を皮肉ったシーンが多数見受けられたが、話が進むにつれ、この世のすべての偏見を集めましたと言わんばかりの数のセリフが出てきた。物凄い勢いのブラックコメディなので心から笑えるかというと微妙なところではあるが、「これ皮肉か」と気づいたときにちょっと鼻で笑える感じの映画だった。本作はフランスの作品なのだが、実際に2018年ごろにフランスでは菜食主義者の人たちが肉屋を襲撃する事件が多発していたらしく、この作品はその問題を取り上げてコミカルにしたものなのだなと分かった。
 
11.『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(映画)
監督:吉川惣司
【あらすじ】
峰不二子にねだられ、エジプトのピラミッドから「賢者の石」という石ころを盗み出したルパン三世。不二子はその石の入手をマモーと名乗る不気味な男から依頼されていた。そんな中、すり替えた偽物を渡してマモーに捕らえられたルパンは、賢者の石が不老不死の力を得るために必要な秘宝だと知る。
【考察】
本作はルパン三世の劇場映画の第一作目である。この映画はTVアニメシリーズ2の人気を受け作られたものであるが、「初期の頃の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします」という制作趣旨が明言されているだけあって、TV第1シリーズのアダルトでハードな作風となっており、大人のほうが見やすい作品となっている。ルパンが階段を上ったり下ったりして逃げ回り、突然背景が絵画の中にその中で逃げ回るシーンやヒトラーとナポレオンが突然出てくる場面がありながらもその中にテクノロジーが発達していることがわかるシーンが挟まっていて、「王と鳥」の映像みたいだなと感じたのだが、それもこの映画制作時の裏テーマとして「映画を盗め」というものがあったといわれており、そのため様々な映画のパロディが散りばめられている。
 
12.『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(映画)
監督:小池健
【あらすじ】
 秘宝「リトルコメット」を狙い東ドロアに潜入したルパンと次元。東ドロアでは自国の歌手が隣国・西ドロアで暗殺される事件が起こり、緊張状態が続いていた。そんな中、ルパンと次元は捜査網をかいくぐり盗みに成功するが、一発の銃弾が次元を襲う。
【考察】
 スピンオフ作品である本作のラストに少しだけであるが、『ルパンVS複製人間』のマモーが出てきていた。『次元大介の墓標』と『ルパンVS複製人間』は物語上での繋がりは描かれることはなかったものの、マモーの登場により本作が『ルパンVS複製人間』の物語の前日譚としての役割を担う形にもなり、すべてが同じ時間軸で起きているということを視聴者たちに改めて明示している。また、ルパンといえば赤色のジャケットというイメージがあるが、本作では水色のジャケットを着ていたり、次元も緑のジャケットを着ていたりと全体を通して全キャラがとてもファッショナブルな服装をしていて視覚的にも見応えがあった。加えて、次元が自身の服装について「俺はGIVENCHYからFENDIまで幅が広い」と言及するなど本作のキャラクターデザインのこだわりを感じた。
 
13.『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』(映画)
監督:小池健
【あらすじ】
ヤクザの組長の護衛を務めていた若き五エ門は、隙を突かれて組長を殺される。犯人は戦場で2000人もの敵を殺したという元兵士ホーク。インターポールもマークする、この凄腕の暗殺者への復讐を誓った五ェ門は、奔走するうちにルパンと名乗る怪盗と出会う。
【考察】
 石川五ェ門にフォーカスした作品ということで、五ェ門が白の和服とシンプルな服装なのでそれが際立つようにほかのキャラには意識的に黒などの服があてがわれたように感じた。五ェ門が手間取る相手というのがあまり見たことがないのでとても新鮮な映像だった。途中の鍛錬のシーンが長すぎて中だるみしているなと思ったものの、そこも五ェ門の生真面目さを描いているという意味では味なのかなと思った。
 
14.『西園寺さんは家事をしない』(ドラマ)
脚本:宮本武史 山下すばる 原作:ひうらさとる
【あらすじ】
家事をしない家事アプリ社員の西園寺さんは、38年かけてやっと手に入れた自由な独り暮らしを満喫中!ところがそんなある日やってきたのはシリコンバレー帰りの天才エンジニアの楠見くん。変わった年下男子には大きな“秘密”があって!?家事力ゼロの西園寺さんが挑む、ラブ&ファミリー物語!!
【考察】
 ほのぼの系の恋愛ドラマだった。多様性の時代にちょうど良いドラマだなと思った。がっつり恋愛シーンというよりも家族の形とか家族について考えさせられる作品だった。
 
15.『僕と魔女についての備忘録』(漫画)
著者:三つ葉優雨
【あらすじ】
幼い頃、とある森で100歳超えの魔女に拾われた渉。 ほどなくして、魔女さんと過ごす毎日を「備忘録」として書き始める。 魔女さんと過ごすこの愛おし日々を、ずっとずっと忘れないために。 
【考察】
 ちょっと大人向けの童話のような恋愛漫画でありながらも御伽噺のような雰囲気を感じた。叙情的なシーンも多くしっぽり読みたいときにぴったりだった。短めで終わり方もきれいなので暇なときにまた読み返したい。
2024/09/24(火) 23:32 No.2067 EDIT DEL
2年 赤羽美咲 RES
夏休み課題30作品
アニメ28作品、アニメ映画2作品

1アイカツ!第1シーズン(1~50話)
《あらすじ》
歌、ダンス、ファッション、ステージ・・・少女達のトップアイドルを目指す成長ストーリーの第一期。弁当屋の娘である中学1年生の“星宮いちご”は、弟の“らいち”が大ファンのトップアイドル神崎美月のコンサートチケットを手に入れるため、親友でアイドル好きの“霧矢あおい”を頼る。あおいのツテでチケットを手に入れた3人はコンサートへ行き、その魅力にいちごは人生初の衝撃を受けた。そんな折、あおいが美月も通う名門アイドル養成校「スターライト学園」で編入試験が行われることを知り、一緒に受けるよういちごを誘う。これといった夢や目標の無かったいちごは母親の後押しもあり受験を決意、いちごはパフォーマンスが、あおいは筆記試験が特に評価され、2人はスターライト学園に編入した。
物語の終盤、毎年恒例の学園内No1アイドルを決める大会「スターライトクイーンカップ」が開催され、いちご含め主要メンバーは全員準決勝進出、いちごが決勝へ進出し、2年連続クイーンの憧れの美月と対決する。しかし、この時いちごは渡米する決意を固めていた。決勝戦は美月の辛勝に終わるもいちごは大急ぎで空港に向かい、あおいをはじめとする仲間達と別れ、アメリカへ旅立っていった。一方で美月もスターライト学園を辞め、表舞台から姿を消した。そこで、第1シーズンは幕を閉じた。
《印象》
将来の夢を母親に尋ねられて母親とともに“お弁当屋さん”になりたいと言った主人公が、何気なく友達についていったライブをきっかけに“アイドル”という自分の夢を見つけていく過程が、とても成長物語らしいという印象を受けた。また、50話というとても長い物語の中でライブ映像の進化だったり小さいころには気づけなかったが、今回見てて目覚ましいものがあるなと感じた。

2おかしな転生(1~12話)
《あらすじ》
貧乏領地・モルテールン領の次期領主として期待される少年:ペイストリーに転生した前世天才菓子職人の転生物語。変わらぬお菓子づくりへの情熱を胸に、転生した世界でもお菓子づくりに励む主人公。自分の家の領地の赤字問題や戦争問題などに尽力しつつも「お菓子を作りたい」という気持ちの根幹がぶれない主人公から目が離せない。
《印象》
転生物語の中でも元お菓子職人の経歴が、珍しく思えて惹かれたので、視聴。面白かった。個人的に主人公とリコリス(作中で婚約者になるご令嬢)の恋模様がほほえましかった。

3クールドジ男子(1~24話)※15分アニメ2クール
《あらすじ》
一際目を引くクールでかっこいい男子たち。どこか近寄りがたい彼らは“全員ドジ”だった。財布を忘れたり、電車でイヤホンを付けず音楽を流したり、コンタクトなのにメガネを上げる仕草をしたり、曲がるストローだと気付かず逆に刺して使ったり、傘と間違えて靴べらを持ち歩いたりしてしまう。しかし、そんなドジさえもクールにキメてしまう、それが「クールドジ男子」。ドジもするけど等身大で頑張る彼らの日常譚。笑って癒されるドジコメディ。
《印象》
自分もかなりドジをしてしまう方なので共感性が本当に高かった。ドジをしてしまうことがある人が見たら同じように共感を味わえると思う。特にドアの押し引きを間違えるのは私自身よくやってしまうので思わず笑ってしまった。この物語では、どんなドジを登場人物がやってしまっても、楽しく物語が進んでいくので終始良い気持ちで見ていられるのも魅力だと感じた。

4新しい上司はど天然(1~12話)
《あらすじ》
上司からのパワハラで精神と胃をやられ、広告代理店の営業職に転職した主人公の桃瀬。しかし過去のトラウマが原因で「新しい上司もまたパワハラ上司だったらどうしよう…」と、初日早々に胃痛で動けなくなってしまう。そんな時、一緒に外回り中だった新しい上司・白崎がとった行動とは?予想外の上司の「ど天然」に、癒されるお仕事コメディ。
《印象》
パワハラ上司に耐えかねて転職をした主人公だが、転職をして新しい職場での楽しくほっこりする日常を送ることになり、見ていて「良かったね」と思える作品だった。数年後に社会に出る自分にとっては働く職場によって日常がこんなにも変わるのかと思わされる作品でもあった。また、白桃という捨て猫が登場し、白崎に飼われることになるのだが、「どうせ捨てられるんだ」と思ってしまっている猫が心を開いていく様子も作品のメインでは無いものの印象的で微笑ましかった。

5ヲタクに恋は難しい(1~11話)
《あらすじ》
隠れ腐女子の桃瀬 成海とゲームオタクの二藤 宏嵩、2人の恋愛を描いたラブ・コメディ作品。原作は漫画でアニメ化された作品である。隠れ腐女子でOLの桃瀬 成海は転職先の会社で幼なじみの二藤 宏嵩と再会する。桃瀬が会社ではヲタクであることを隠していることを知らない自身もヲタクである二藤。うっかり同僚の前で桃瀬がヲタクであることを話してしまう。桃瀬は二藤としばしば呑みに行くようになり、そのうち恋人として付き合い始める。その後不器用な2人が2人なりに恋人になっていく物語。
《印象》
タイトルはだいぶ前から知っていたものの、何となく見てこなかった作品の一つ。2人ともヲタクというそれぞれが夢中になれる好きなものがある2人の恋は見ていて新鮮だった。恋愛も大事だけどお互いの好きな物もそれぞれ大事で、そんなそれぞれをお互い理解し尊重しているような恋物語だった。

6田中くんはいつも気だるげ(1~12話)
《あらすじ》
いつも無気力な主人公・田中と、彼を取り巻く同級生たちの学園生活を描いた青春コメディ。だらけるということに全力を尽くす主人公と賑やかな登場人物たちが交じりあい、楽しく見れるコメディ作品となっている。
《印象》
主人公が極度の面倒くさがりで、雨の日に傘を差すのが面倒くさくてびしょ濡れで登校してくるような主人公なので、そのキャラクター性でまず笑いを誘う。さらに、彼を取り巻く登場人物たちもそれぞれ個性があり、だいぶ過保護な友達や秘密を抱えたマドンナや主人公に憧れて弟子入りを目論むクラスメイトなど、色々な人物達が加わっていくので、そこでまた面白い作品になっている印象だった。あまりシリアスでなく頭を使わず、終始楽しく見ていられる作品だった。

7花野井くんと恋の病(1~12話)
《あらすじ》
高校1年生の主人公の日生ほたるは花野井くんがカフェで女性と別れ話をしていたところを友達のきょーちゃんと共に目撃する。その後、雪の中椅子に座る花野井に傘を差し出したことがきっかけで告白され、お試しで付き合うことに。お互いのしたいことを叶える「したいことノート」を作り、初めて手を繋いだ。お試し交際から本当に付き合い始めたほたると花野井くんは徐々に距離を縮めていく。恋が分からない女子・ほたるちゃん×愛が重すぎる男子・花野井くんの恋物語。
《印象》
本屋さんで漫画を見かけたことがあるくらいで一切触れてこなかった作品。花野井くんは好きな子のためならなんでもしてあげたいタイプの男子で、自分の身を顧みず彼女に尽くしてしまう一面を持っていたが、ほたるちゃんと恋人になり自分の身も大切にお互いを思いやる恋愛を学んでいく物語だった。ほたるちゃんも花野井くんもお付き合いをきっかけにお互い成長していって成長物語でもある印象を受けた。

8氷属性男子とクールな同僚女子(1~12話)
《あらすじ》
現代を生きる雪女の末裔の氷室くんは、感情があふれると吹雪を起こしたり、雪だるまやかまくらをつくりだしてしまう新社会人。ちょっとユニークだけれど優しい同僚の冬月さんへの秘めた恋心が高まって、周囲を凍てつかせてしまうことも。 一方、周りからはクールに見られがちな冬月さんもミステリアスな氷室くんに興味津々。 二人の関係は日々の仕事や会社行事を通して少しずつ変化していき、プライベートでも一緒の時間を過ごすようになっていくが、どちらも恋愛には不器用であと一歩の距離が縮まらない物語。一見クールな二人が織りなす、心温まるお仕事系ファンタジーラブコメ。
《印象》
雪女の末裔、不死鳥の末裔、妖狐の末裔、など人外じみたキャラクターが沢山出てくるものの、あくまで普通に受け入れられ、数ある個性のひとつとして人間社会に溶け込んでコメディとして成立してるのが印象的な物語でした。内容もほっこり系で安心して見ていられました。

9勇者、辞めます(1~12話)
《あらすじ》
剣術や魔術、様々な技術に精通する勇者に魔王軍は敗れ、戦後再起を図るべく活動していた。そこへ、かつての勇者であったレオが訪れる。単独で魔王軍を倒したその強大さを危険視され、人間の国から追放されていたレオは、戦後の様々な問題を抱えている魔王軍にまさかの就職希望。魔王に認められず採用されなかったので、正体を隠したまま入ると、迅速に魔王軍を立て直していく。まもなく、レオは新たな幹部にまで昇格する。しかし、彼の真の目的は「世界を救うために」生み出された自身が、存在意義を失い、後に「救うために世界を壊す」存在にならないように自分を滅することであった。
《印象》
敵として戦った魔王軍に就職を希望するというのがクレイジーすぎて面白そうだなと思い、手を出した作品。最初はコメディのように楽しく物語が進んでいくが、途中からシリアスが多くなってくる。急に話が重くなったと感じる人もいそうだが、私は面白かった。自らの存在意義を満たすことで喜びを感じる人間の心、それが失われた時の恐怖、などの心情描写が人間として共感できる部分も多かった作品。

10私がモテてどうすんだ(1~12話)
《あらすじ》
主人公の高校生・芹沼花依は、男同士が仲良くしているのを見て妄想するのが大好きな肥満体の腐女子。ある日、花依は大好きなアニメキャラが死んだショックで体重が激減。それがきっかけで美少女に変身。同じ高校の4人の美少年から熱烈なアプローチを受けるようになる。相変わらず腐女子な彼女は、真っ当な恋愛観で接する努力をしながらも、全く実らず、ずれた考えで彼らと接することとなる。
《印象》
主人公がとにかく斜め上の思考回路を持っていて、視聴者として見ていても、それはずれてるのでは、と思う機会が多かった。人によってはもどかしい気持ちになる作品だと思った。そこも含めて楽しめれば、ドタバタとした恋模様を面白く見ていられる作品だった。特に主人公・花依の体型が元に戻ってしまった回では、見た目がぽっちゃりに戻ってしまい、それでも気持ちが変わらないのか登場人物たちが葛藤する様子が描かれていて、中身が大切だけど見た目も大切という人間の思考が現れているような気がした。

11無能なナナ(1~13話)
《あらすじ》
能力者と呼ばれる特殊な能力を持った少年少女たちがいた。彼らは"人類の敵"と呼ばれる怪物と戦うため、孤島の学園に集められ、日夜訓練を行っていた。しかし、実は能力者達こそが"人類の敵"であり、ナナは能力者達を秘密裏に始末させるために"委員会"から送られた能力を持たない刺客だったのだ。次々に能力者達を始末するナナだったが、もう1人の転入生である小野寺キョウヤから疑いの目を向けられるようになる。また、純真な心を持つ犬飼ミチルと交流することによって、ナナの能力者への気持ちに変化が生じる。
《印象》
この作品は漫画の方をどこかで無料で一巻だけ読んだくらいの作品だったが、気になっていた作品。推定殺害人数という"委員会"から教え込まれた文字でしかない情報を信じてナナは様々な方法で能力者を殺害していくが、犬飼ミチルという便利な駒として最初接していた登場人物との関わりを通じて、ナナは段々と"委員会”に対して不信感を持つようになっていく。推定殺害人数とは本当に正しいのか?能力者は全て悪なのか?と疑い始め、犬飼ミチルに段々と心を開いていくナナだが、アニメは衝撃的なラストを迎えてしまう。これからナナがどうしていくのか気になるような終わり方となっていて、原作に興味をひかれるようなラストになっていると感じた。

12覆面系ノイズ(1~12話)
《あらすじ》
聴く者を惹きつける歌声を持つ少女・ニノと、彼女の幼馴染で初恋の相手であるモモ、そして作曲が得意な少年・ユズという、音楽的な才能に恵まれた高校生3人を中心に、それぞれの想いがすれ違いながら交錯していく「音楽×青春×片恋ストーリー」。
《印象》
小・中学生頃、漫画作品の方で心を奪われていた作品のひとつ。財力がなかったので、漫画も買えず、中途半端なところまで何回も読み、続きを読まないままそのまま成長し、今に至っていた作品のアニメがU-NEXTにあったため、視聴。ニノ・モモ・ユズの三角関係も見所だが、それぞれの心情に踏み込んだ心情描写も見ていて良かった。アニメの段階では基本片恋で全てが終わるのでモヤモヤする部分もあるが、漫画の方をまた読んでみたいと思えた。

13ゲーマーズ!(1~12話)
《あらすじ》
趣味はゲームと言う以外目立った特徴もないモブキャラぼっちゲーマーの雨野景太はある日突然に学園一の美少女でゲーム部部長の天道花憐に声をかけられる。そこから景太の日常は一転する。こじらせゲーマーな登場人物が沢山登場する。すれ違い青春錯綜系ラブコメ。
《印象》
とにかくすれ違いが多い。人によってもどかしいと感じる人もいそうだが、楽しく見れる範囲であると感じた。それぞれの登場人物の解像度が高く、人物像にも説得性があってよかった。

14外科医エリーゼ(1~12話)
《あらすじ》
主人公・高本 葵の前世は“悪女皇后“エリーゼ。数多の悪行を働き人々に不幸をもたらした彼女は、夫・リンデンによって処刑されるという最期を迎えた。 現代に生まれ変わった2度目の人生では、過ちを償うべく外科医として人のため生きてきた葵だが、ある日飛行機事故で帰らぬ人になる。 しかし、目を覚ますと今度は1度目の人生に戻っていた。 処刑される10年前に転生したエリーゼの目の前に現れたのは、自分のせいで命を落とした家族たちだった。3度目の人生は悲劇のきっかけとなったリンデンとの結婚を回避し、医学の知識を生かして再び医者になりたいと決意。ところがそんなエリーゼの道のりには、さまざまな困難が待ち受けていた。運命にあらがう“天才外科医”の、ひたむき医療ファンタジー。
《印象》
漫画の方のこの作品を漫画アプリで結構な範囲を無料で読んだことのある作品。内容が好きだったのでアニメも見てみたく視聴。転生後の人生から転生前の人生にまた戻るというのが印象的な作品だった。天才外科医としての技術を引き継いで転生して後悔していた前世をやり直す爽快なお話だった。

15悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~(1~12話)
《あらすじ》
主人公の女性は前世でプレイしていた乙女ゲームRPG『光の魔法と勇者様』(略称:ヒカユウ)の世界に、悪役令嬢にしてゲームの裏ボスでもあるユミエラ・ドルクネスとして転生した。主人公は自分が倒される結末を回避するためにゲームのストーリーに干渉しないと決めるが、不測の事態に備えてレベル上げを徹底したことから強くなりすぎてしまい、王立学園入学時にはレベル99に到達していたことが発覚する。レベルを詐称しているのではないかと疑われたり、ゲームの主人公であるアリシアから魔王なのではないかと疑われたりしながら学園生活を送っていく物語。
《印象》
漫画版を単行本で追っていた作品。アニメもあったのかと気づき視聴。主人公の「何かが嫌になったら逃げてしまおう、腕っぷしでなんとかなるよ」という達観した価値観が印象的な作品で、精神状態が前世の影響で大人な主人公が学生生活を送る様子も楽しめる。

16ひきこまり吸血鬼の悶々(1~12話)
《あらすじ》
ムルナイト帝国の名門貴族ガンデスブラッド家の令嬢、テラコマリ・ガンデスブラッド。
吸血鬼なのに血が飲めないコマリは、魔法が使えない、運動ができない、背が伸びないという三重苦に悩まされ、3年間の引きこもり生活を送っていた。しかし、ある日親バカの父がとんでもない就職先を見つけてくる。その名も『七紅天大将軍』。
それは本来帝国の猛者しかなれず、3ヶ月に一度のペースで他国に戦争を仕掛け勝利しなければならない超ハードな役職。絶対に断りたいけど、皇帝直々の任命なので辞めることすら許されない。
本当の実力がバレたら即破滅。それでもコマリはハッタリと可愛さを武器に己の任務を遂行。最強(?)吸血姫による歴史に残る快進撃。
《印象》
主人公のテラコマリは自分が弱いと思い込んでいるが、実は記憶を失ってしまうだけでかなりの強さを持っていたりしていて、ギャップ萌えが激しいキャラクターだった。でも弱いと思っているのに大切にしているメイドのために立ち向かう姿などは感動させるものがあった。

17わたしの幸せな結婚(1~12話)
《あらすじ》
舞台となるのは、日本古来の美意識と西洋文明の流行が織りなすロマンの香り高い明治大正を思わせる架空の時代。継母たちから虐げられて育った少女・美世が、孤高のエリート軍人・清霞と出会い、ぎこちないながらも、互いを信じ、慈しみ合いながら、生きることのよろこびを知っていく。政略結婚から始まる和風シンデレラ・ストーリー。
《印象》
漫画作品の方で単行本で追っている作品だった。アニメが最近やっていたと知り視聴。個人的に声優の声の解釈違いもなく、とても良かった。愛されることになれていない主人公の心をどんどん溶かしていく恋愛模様はとても微笑ましく見れる作品だった。

18山田くんとLv999の恋をする(1~13話)
《あらすじ》
彼氏がネトゲで知り合った女性と浮気し、そのまま別れを告げられてしまうというサイアクな出来事に直面した女子大生の主人公・木之下茜。話を合わせるためにネトゲをはじめていた茜の元に残ったのは、彼氏との愛と共に育んでいたはずのキャラだけだった。ストレス発散のため、ネトゲの狩り場で暴れていた茜は、たまたま遭遇した同じギルドの「山田」に失恋の愚痴をこぼすものの、「興味はないすね」と、そっけなく返されてしまう。だが、キレイになって元彼を見返そうと参加したオフラインイベントで、再びその言葉を耳にする。それが“山田”との、運命的な出会いになる。王道ラブコメディ。
《印象》
漫画の方をアプリで追っていた作品。とても好きな恋愛作品で何回も読み返しているが、アニメも楽しく見られた。個人的には作画も綺麗で声優の解釈違いもなく良かった。ずっと幸せでいて欲しいなと思わせてくれるカップルだと思う。

19 HoneyWorks 10th Anniversary “LIP×LIP FILM×LIVE”(映画)
《あらすじ》
クリエイターユニット、HoneyWorksプロデュースの元で人気を広めてきたバーチャルアイドル“LIP×LIP”が初の主演を務めるアニメーション。物語に加え、バーチャルライブも存分に楽しめる。HoneyWorks作品ではお馴染みのキャラも登場し、物語を盛り立てる。
《印象》
LIP×LIPはHoneyWorksの曲を聞く時によく聞いていて、知っていたユニットではあったけど、この映画を見てキャラクターの人物像や結成までの道のりなどを知れてますます好きになれるような映画になっていた。最初は仲が良くなくて相性が悪いように見えていた2人がだんだんと良きパートナーに成長していく成長物語だ。ストーリーも良かったが、ライブの方もアニメバージョンもバーチャルライブの方も見ていて圧巻だった。

20 ホリミヤ(1~13話)
《あらすじ》
クラスの人気者で派手なギャルの堀京子と、暗くて目立たないオタクの宮村伊澄。本来交わるはずのない二人はある日偶然、お互いの秘密を知ってしまう。互いのギャップに驚きながらも「秘密の共有者」になった二人の距離は急速に縮まっていく。
《印象》
主人公カップルを始め、友情や恋愛など色々な人間関係が交錯する青春物語だった。キャラ一人一人も個性的でどのキャラの感情にも共感できる部分があり、面白かった。ちょっとしたシーンの隙間に水彩画のような絵が映り込む時があり、これは感情表現の一環なのかな、と思い興味深かった。原作は漫画なので、漫画の方も読んでみたいと思った。

21 ホリミヤ-peace-(1~13話)
《あらすじ》
20で挙げたホリミヤの原作マンガのストーリーのうち取り上げられなかったストーリーを時系列順に挙げていくような作品。
《印象》
13話の「卒業」で20の方の『ホリミヤ』ではヒーローの宮村視点だった場面がヒロインの堀さん視点になっているのがすごく印象的で、表現としてうまいなと思った。

22 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(1~12話)
《あらすじ》
童貞のまま30歳を迎えた主人公・安達は「触れた人の心が読める魔法」を使えるようになってしまった。地味な魔法の力を持て余していたある日、ひょんなことから営業部エースのイケメン同期・黒沢の心を読んでしまう。黒沢の心の中は、なんと安達への恋心でいっぱい。ちょっと不思議な魔法の力が巻き起こす、“爽やかイケメン”から“30歳拗らせ童貞”へのダダ漏れ好意ラブコメディ。
《印象》
BL作品に抵抗は無いもののあまり映像で見たことは無かったため、少し身構えながら視聴。この作品は元々漫画版で少し読んだことがあったのだが、2人の恋模様が面白さを保ったまま、原作に忠実に繊細に描かれていて見ていて良かった。個人的には声優の解釈違いもなく、安心して見れた作品。

23 赤髪の白雪姫(1~12話)
《あらすじ》
林檎のような赤髪を持つ主人公・白雪。その珍しさを気に入ったラジ王子の愛姿にされかかり、生まれ育った国を出ることに。 隣国の森に辿り着き、そこで出会い、力を貸してくれたのはクラリネス王国の第二王子・ゼン。 出会った二人が互いの手をとり、様々な人との出会いの中で足音を重ね、道を行く物語。
《印象》
白雪姫というタイトルと白雪という名前の主人公から、童話白雪姫に通じるものがあるのかなと思っていたが、あまりその面影は感じなかった。ただ、活発で勇気のある主人公とヒーローとなる王子の恋模様は見ていて美しいなと思った。ありがちな恋敵は不在。

24 赤髪の白雪姫2nd season(1~12話)
《あらすじ》
23の『赤髪の白雪姫』の続編アニメ2期。1期で良い別れ方をしていなかったラジ王子から、招待され、クラリネス王国に来てから帰っていなかったタンバルンに帰国することになる。それから主人公白雪が拉致されたりと物語は目まぐるしく進んでいく。
《印象》
1期よりもより恋模様が進展した2期。「白雪を王子妃に考えている」という言葉もゼンが発せるほどに進展する2人の関係。宮廷薬剤師見習いだった白雪もついに一人前の宮廷薬剤師になるまでに成長していた。特に恋敵が出てくることも無く、2人の恋模様は1期同様ただただ美しく描かれていた印象。

25劇場版 ソードアート・オンライン-プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツォ(映画)
《あらすじ》
TVアニメをはじめメディアミックス展開している、川原礫の小説『ソードアート・オンライン』シリーズを、原作者が物語の視点を変えてリブートしたオリジナル劇場版第2弾。ゲーム“ソードアート・オンライン”の世界にプレーヤーが閉じこめられて1カ月が経った頃、アスナはコンビを組んだキリトと、最上階を目指し順調に攻略していく。しかし、ふたつのゲーム攻略最前線ギルドの対立と黒幕の存在が、ふたりを死と隣り合わせの戦いに巻き込んでいく。
《印象》
第1作『星なき夜のアリア』と同様、2012年に放送されたソードアート・オンラインとは違う視点で描かれていて、面白かった。第1層ボスクリア後、キリトがソロへの道を行こうとして、そのままアスナと別れていた物語をアスナが追いかけることによってパーティを組む方向へと変わっている。そして今回の『冥き夕闇のスケルツォ』ではパーティを組んだ2人のその後が描かれ、5層攻略に挑むストーリーとなっていた。2人の相棒としての立ち位置が早まっている印象で、2012年『ソードアート・オンライン』ではもっと後半にこの感じが出ていたのでこの後、モノガタリがどう進んでいくのが楽しみだ。

26休日のわるものさん(1~12話)
《あらすじ》
地球侵略を目論む悪の組織で”将軍”と呼ばれる主人公は、地球防衛組織「レンジャー」と日々死闘を繰り広げる。けれど、仕事の日と休日はきっちり分けたいタイプ。日々の激務に疲れた心身を癒すべく、パンダを見に動物園へ行ったり、アイスを買いにコンビニに行ったりと地球でオフを満喫する一面も持つ。完全オフモードで充実した休日を過ごす、そんな“わるものさん”の日常を描く、心癒されるヒーリングコメディ。
《印象》
悪役にも休日があるのだという新しい視点が新鮮な作品だった。母星のために地球を侵略したいものの、オフで地球を満喫している主人公だったので、シリアスが途中ではいるのかと思いきや、少なくともこのアニメ版ではその辺のシリアス展開はなかった。(漫画の方は読んだことがない)
コメディとして笑える部分もありつつ、桜の木とその近くの木の擬人化(精霊?)の少女と少年の恋などには感動させられ、見ていて単調になりすぎてなくて良い作品だと思った。

27ゆびさきと恋々(1~12話)
《あらすじ》
女子大生の雪は、ある日困っているところを同じ大学の先輩・逸臣に助けてもらう。聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪にも動じることなく、自然に接してくれる逸臣。 自分に新しい世界を感じさせてくれる逸臣のことを雪は次第に意識し始めて。聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリー。
《印象》
聴覚障害の主人公を中心とするラブストーリーはどんな描かれ方をするのだろうかと興味があり視聴。終始綺麗なラブストーリーだった。恋敵も出てくるものの、直接的にもめるなどはなく、平和に幕を閉じていて、サブキャラ達もそれぞれが別々に幸せを見つけていて、後味も良かった。

28会長はメイド様!(1~12話)
《あらすじ》
文武両道の完璧な会長は、実はメイドさんだった。
元・男子校だった星華高校は、男子生徒が全体の8割を占めている。数少ない女子生徒は粗野で無神経な男子に耐えるのみの毎日を送っている。そんな状況を打開すべく、初の女生徒会長になったのが鮎沢美咲生徒会長。文武両道の美咲は、親律ある学校生活をもたらすべく日々奮闘していた。だが、美味にはある秘密があった。"メイド喫茶”でアルバイトをしていること。周りにバレないようにと願いながらアルバイトを続けるある日、学校一のモテ男・碓氷拓海に見られてしまい、最大のピンチ。美咲の、生徒会長”ど"メイド”の二重生活が始まる。
《印象》
若干絵柄が昔めで抵抗感があり、なかなか見れていなかった作品。漫画版は読んだことがあり、面白かったので視聴。ストーリーが面白くて絵柄が途中から気にならなくなっていった。私は絵柄を見て作品を見るのを控えたりしていた節があったが、この作品を見て、意外と見ていくうちに、気にならなくなってくる場合もあるのだなと学んだ。ストーリー自体はあらすじ通りの恋愛ものだが、ヒロインの鮎沢美咲もヒーローの碓氷拓海もどちらも現実に有り得なくはないけど個性的なキャラクターで想像しやすくて良かった。

29ミイラの飼い方(1~12話)
《あらすじ》
ごく普通の生活を送る男子高校生・柏木空はある日、旅先のエジプトにいる自称“冒険家”の父から突如、ミイラを送りつけられる。「面白いミイラを見つけたからお前に預けることにした!」と書かれた父の手紙におののく空。だが、送られてきた大きな箱から現れたのは、全長12cmのミイラだった。そこから空とミイラの共同生活が始まった。
《印象》
珍しい生き物たちと主人公たちの日常を描いた作品だった。あらすじ記載の通り、主人公の空はミイラ(後にミーくんと名づける)と一緒に暮らすようになり、親友の他月やクラスメイトの茂木さんや大地という登場人物が登場しそれぞれ珍しい生き物と暮らすようになる。お話自体はすごくほっこりする日常物がメインで見やすかった。飼い主立ち位置の登場人物同士、友情が芽生えたり深まったりという友情物語的側面もあったので、単調になりすぎない作品だと感じた。

30経験済みな君と経験ゼロな俺がお付き合いする話(1~12話)
《あらすじ》
加島龍斗(リュート)は冴えない陰キャ男子で16年間彼女ナシ。 そんなリュートの憧れは、クラスメイトの白河月愛(ルナ)。学年一の美少女ギャルで、恋愛経験も豊富。 遠くから見ているだけで十分だと思っていたけれど、友人との賭けの罰ゲームをきっかけに告白し、なんと付き合うことになる。恋愛経験ゼロの陰キャ男子と経験済みなギャル、住む世界が違いすぎる二人が織りなす凸凹だけど、ピュアでリアルでドキドキがつまった極上青春ラブストーリー。
《印象》
罰ゲームで告白させる友人群にはあまり好感がもてなかったけど、主人公カップルは価値観も生き方も凹凸で違うけど、お互いを尊重していくストーリーになっていて、うまくいっていて良かったと素直に思えた作品。漫画作品を知っていて気になってたものの、あまり手を出してなかった作品の1つだったので見れてよかった。
2024/09/24(火) 22:04 No.2066 EDIT DEL
3年 上田 RES
夏休み課題

1 『ルックバック』(映画) 原作:藤本タツキ 監督:押山清高
あらすじ
 学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。
 以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
 しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
 漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。
 二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。
しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

考察
 漫画を描く小学生のリアルな様子が印象的なシーンから始まる作品。作中の漫画がアニメーションというよりも、効果音が書かれていたり人物が鉛筆のようなタッチで描かれていたりと、動く漫画というような表現がされているのが面白かった。また、圧倒的な画力を持つ同級生・京本の存在により、資料を買って本気で絵を勉強する姿と確実に上手くなっていく絵には胸を打たれた。変わらず机に向かい続ける姿と、対照的に移り変わっていく四季に、どれだけ藤野が努力しているのかが現れていた。最も好きなシーンは、京本に自身の漫画を褒められ、徐々に高くなるスキップで帰宅するシーン。原作の漫画でも最も印象的なシーンだったが、動きがつくことでより藤野の嬉しさが伝わってきた。
 途中、亡くなってしまった京本が生きていた世界線の彼女からメッセージを受け取るというファンタジー要素があり、いかに京本が藤野にとって大きな存在だったかを感じさせる。

2 『さよなら絵梨』(漫画) 作:藤本タツキ
あらすじ
 私が死ぬまでを撮ってほしい──病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。現実と創作が交錯しエクスプローションする、映画に懸けた青春物語!!

考察
 メディアとはどういうものかを考えさせられた作品。作中冒頭のドキュメンタリー映画では母が余命宣告されたことで温かな家庭が壊れることへの恐怖が描かれているのかと思いきや、母の入院先が爆発するという唐突な結末で終わる。観賞していた生徒たちからは不評であり、私もなぜこのような映画を主人公が作ったのかよくわからなかった。しかし、実は温かな家庭は編集により演出されたもので、実際の母は息子を出来損ないだと考えているような人物だったことが明かされる。共に生徒を見返すような映画を作るヒロイン・絵梨が母と同じように病気で衰弱していく姿は見ていて切なかったが、「映画を酷評していた生徒たちを泣かせて見返す」ために作られた映画のため、作者の掌の上で転がされているように感じた。

3 『よふかしのうた』 20巻(漫画) 作:コトヤマ
あらすじ
 完結巻! 夜に出会えた全てにありがとう。
 ついに互いへの恋愛感情を自覚したコウとナズナ。
 しかしそれは、吸血鬼と人間、ふたりの関係がこれ以上 今のままでいられないことを示していた。
「楽しかった!君に会えて良かった!」
 恋と青春は真夜中に生まれた。
ふたり たのし よふかしラブストーリー完結!!

考察
 「吸血鬼に恋をした人間は吸血鬼となり、吸血鬼は恋した人間の血を吸うと死んでしまうが、吸血鬼・ナズナと吸血鬼になりたい少年・コウは両想いである」という板挟みの状況で、綺麗な状況に持っていったと感じた。ナズナが「恋心を忘れるまで会わない」と決めたことでコウは学校に通う生活を再開し、健康的な毎日を送ることになる。吸血鬼と関わり合った経験を糧に探偵の助手となり、吸血鬼の起こす事件を解決する道を選ぶという展開も無理がないながらに意外で面白かった。また、探偵助手になった理由が姿を消したナズナを探すためでもあったことで、綺麗な再開で結末を迎えていたように思う。

4 『夢で見たあの子のために』(漫画) 作:三部けい
あらすじ
 青年の生きる目的は復讐!だが、その目的の先に待つものは果たして何だ!?
 幼少期に家族を惨殺された中條千里は、ただ復讐を果たすためだけに生きている。生活の全て、学校の全て、復讐という目的を果たすのに必要な力とお金を得るため、自分が汚れるのも厭わない…。心配する幼馴染み、残された肉親の思いも振り切って果たそうとする、人生の全てを懸けた復讐劇の先にあるものは、果たして千里に何をもたらすのだろうか?メディアミックスで話題になった「僕だけがいない街」の著者が新たに紡ぎ出すハードサスペンスがここに開幕する!!

考察
 双子同士痛みや視覚を共有できるため、それを手がかりに離れ離れになってしまった片割れを探すというサスペンスである。何故家族が惨殺され、双子の片割れが行方不明になってしまったのか、そして何故突然共有できていたはずの痛みと視覚が共有されなくなってしまったのかといった謎により、読者が引き付けられる。様々な人物の協力や思惑によって少しずつ真相に迫っていく様は、話の作り方が上手だと感じた。本当に少しずつしか謎は解明されないが、無理に引き伸ばしているわけではなく、最後まで緊張感を持って物語に集中することができる。

5 『ブルーピリオド』(映画) 原作:山口つばさ 監督:萩原健太郎
あらすじ
 ソツなく器用に生きてきた高校生・矢口八虎は、美術の授業の課題「私の好きな風景」に困っていた。
 悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を描いてみた。その時に絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたと感じ、美術に興味を持ちはじめ、のめり込んでいく。そして、ついに国内最難関の美術大学への受験を決意するのだが…。
 立ちはだかる才能あふれるライバル達。正解のない「アート」という大きな壁。
 経験も才能も持っていない自分はどう戦う!?八虎は【自分だけの色】で描くことができるのか。

考察
 原作における藝大受験終了までを描いた映画。本編を2時間の尺に収めるためにカットされた部分が多く、大きな苦労をせずに絵が上手くなっていったかのようになってしまってはいたものの、綺麗にまとまった作品だったように感じる。個人的には、可愛いもの好きで女装をしているユカちゃんの葛藤がきちんと描かれていたことが嬉しかった。原作でも用いられた絵画が多く登場し、カラーの状態で見ることができるためファンも楽しく、そして原作未読の人も気軽に観ることのできる作品である。

6『 ブルーピリオド』(漫画) 作:山口つばさ
あらすじ
 熱くて泣ける美大受験物語!
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。
その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。
 美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポコン受験物語、八虎と仲間たちの戦いが始まる!

考察
 芸術に対する熱が胸を打つ作品。他人に合わせて上手く生きてきた八虎が初めて自分の好きなことを見つけ、やりたいことを貫くように成長する姿が格好良い。美術作品を鑑賞し、様々な技術を吸収していく様子や、藝大に進学してからの創作に対する葛藤や悩みなどが等身大に描かれており、自分でも創作がしたくなるような作品である。新たな気付きを得て作品に反映し、完成したのを見たときには、架空の人物や作品であるにもかかわらず感動してしまうため、続きが楽しみである。

7『僕のヒーローアカデミア』第7期(アニメ) 原作:堀越耕平 監督:中山奈緒美
あらすじ
 超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オール(OFA)を受け継いだ。デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指し、ヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと共に成長していく。
 デクたちの雄英2年目の春。ヒーローたちが死柄木たち敵ヴィランの掃討作戦を決行し、まさに“全面戦争”と言える激闘が繰り広げられる。双方が大きなダメージを受け全面戦争は一旦の終結を見るが、ヒーローへの信頼は揺らぎ、社会は荒廃する。その中でOFA後継者としての使命感と周囲の人々を傷つけたくないという想いからデクは孤独な戦いを続けるが、クラスメイトたちの熱い思いを受け、ひとりじゃなく、皆で立ち向かう決意を新たにする。
 そして、いよいよオール・フォー・ワンや死柄木弔たちがデクの前に現れ、最終決戦の火蓋が切られる!オールマイトらが考案した作戦で敵ヴィランを日本各地に分断したヒーローたちは、それぞれの地で敵ヴィランたちに対峙し、激しい戦いが繰り広げられる。
果たしてデクたちは、皆が笑顔になれるあの日々を取り戻すことはできるのか―。

考察
 今までの訓練が決戦に生かされ、雄英高校の生徒たちが頑張ってきたことが最も伝わる今作。あまりフォーカスされなかった生徒にもスポットがあたり、キャラクターたちの魅力が掘り下げられているため、個人的に好みである。特に障子目蔵や口田甲司は今まであまり目立たない印象だったものの、今回どのような人物であるのかしっかり描かれていた。中でも最も成長したと感じるのは爆豪勝己である。前シーズンで出久に謝罪し、昔から出久が自分の一歩先を行っているのだと認めた勝己の「お前にまだ追いつけるかな」という台詞は彼の大きな成長を感じさせる。

8 『ラーメン赤猫』(アニメ) 原作:アンギャマン 監督:清水久敏
あらすじ
 猫だけで営むお店『ラーメン赤猫』、そこにバイトの面接で訪れた人間の珠子。
 正直に犬派と答えた彼女はあっさりと採用が決まり、任されたお仕事は猫たちのお世話係。
 ブラッシングを通じて垣間見える猫模様に、様々なお客様が織りなす人間模様。
 身体も心も温まる『ラーメン赤猫』、
愛しさ大盛り、召し上がれ。

考察
 漫画がアニメ化されたことで、猫による接客がより視覚的に表現できるようになっているのではないだろうか。CGを使ってラーメンを描いており、手描きよりもリアルなため、グルメ漫画に劣らず美味しそうに表現されている。従業員であるハナがかつてアイドルだったと明かされた回では、実際に曲が描き下ろされ、ハナが歌って踊るMVの特殊エンディングが使われているほか、野良猫を一時保護する回では脱走した猫視点のスピーディーな映像があったりと、アニメーションならではの要素が多くあり、アニメ化することの意味がしっかりと感じられる作品。
9 『2.5次元の誘惑』(アニメ) 原作:橋本悠 監督:岡本英樹
あらすじ
 3次元の女子に興味無し!
漫画研究部部長・奥村は今日も部室でひとり、
画面の向こうに映る愛してやまない2次元のキャラクター・
リリエルの名を叫んでいた……。
 そんな奥村のもとへやってきたのは
「リリエルになりたい」という3次元女子・天乃リリサ。
 彼女は、漫画の中に登場する女の子のエッチで可愛い「衣装」が大好き。そして、奥村に負けないくらいリリエルを愛する仲間(オタク)だった!

考察
 原作の美しい作画に負けず綺麗な作画である。動きと声がつくことで、作品の特徴であるオタクたちのオタクらしさに拍車がかかっている。何故かリリサのコスプレ姿を見ると、架空の作品のコスプレであるにもかかわらず「あの作品のあのコスプレだ」と思わされる。それほどまでに奥村とリリサのコスプレや2次元への愛がリアルに描かれているということだろうと思う。漫画の方が描き込みを増やしやすいため、色気を強調する表現が多々見られたものの、アニメではコストの問題からその表現が難しい。しかしその分好きなものに全力投球する高校生たちの姿が純粋に描かれているように感じる。

10 『【推しの子】』2期(アニメ) 原作:赤坂アカ/横槍メンゴ 監督:平牧大輔
あらすじ
 人気マンガ『東京ブレイド』の舞台稽古が始まった。
 劇団ララライの役者達に囲まれ、大きく飛躍するかな。
 かなの才能を認めながら、ライバル心を激しく燃やすあかね。
 才能と熱意のある役者が集う中、アクアは演技すらも利用してアイの死の真相を追い続ける──。
 そしてアイドルとして母の背中を追い続けるルビーは……。

考察 
 舞台編は動きの迫力が重要なため、アニメ化に向いているのではないかと考える。1期から変わらず安定した作画と声優陣の演技力によって臨場感が生まれている。「演技」「芝居」も作中で多く触れられている重要なポイントであるため、実際にキャラクターたちを「演じて」いる声優陣が乗せる声に説得力がある。やはり今回最も重要なのはメルトが舞台上で良い演技をすることができたシーンだろう。アニメオリジナルの抽象的なシーンによってメルトの心情の変化が表現されているため、かつて自分がどのような演技をしていたかを知らずに作品の質を落としていた彼が今回の舞台にかける本気が伝わってきた。

11 『先輩はおとこのこ』(アニメ) 原作:ぽむ監督:柳伸亮
あらすじ
 男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。
ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。
「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。
 しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ!
 さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。
 可愛いものが大好きな、まこと。まことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。
 まことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。
 3人の、恋と友情と、成長の物語がはじまる――。

考察
 原作の作画のまま動いているかのような高再現で、可愛らしいタッチが特徴だった原作のファンにも嬉しい仕上がりになっていた。声もキャラクターにハマっており、特にまことの声は少し高めの男性声優を起用することで「あくまでかわいいものが好きな男性」が主人公であることがきちんと描かれていたように思う。ギャグも多いこの作品だが、それぞれのキャラクターが大きな悩みを抱えており、しっかりと掘り下げられる。声と動きがつくことにより細かなニュアンスが表現できるため、作品とアニメ化がマッチしている。

12 『地縛少年花子くん』 22巻(漫画) 作:あいだいろ
あらすじ
 七不思議・時計守の依代を狙うつかさたちによってかもめ学園は大混乱に陥ってしまった。
 依代が破壊できる寧々はつかさに連れ去られ、時計守の境界へ侵入する。
 そこで待ち受けていたのは、三人の番人――!!
 学園七不思議怪異譚、時計守裁判の開廷!

考察
 これまで寧々のクラスメイトとして協力し合ってきた茜が立場上敵対せざるを得なくなり、序盤から一気に緊張させられる展開となった。また、現実とは違う異空間で物語が進んでいくため、ファンタジックな風景の描き込みも大きな見せ所となっている。ところどころギャグを挟み、暗すぎる雰囲気にならないようになっているため読みやすい。長い間仄めかされていたつかさの正体がついにはっきりと明かされ、大きな謎の一つが解けた。突然行われた過去改変により新たな現在が作られ、これまでの人間関係や起こった出来事がなかったことになってしまったことへの悲しさや虚しさに読者が教われて終わるため、次回どのような展開になるのかが楽しみである。
13 『忘却バッテリー』(アニメ) 原作:みかわ絵子 監督:中園真登
あらすじ
 中学球界で名を馳せた完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火、切れ者捕手の“智将”・要圭の怪物バッテリー。全国の強豪校からスカウトを受けていた彼らが進学したのは何故か野球無名校の東京都立小手指高校だった。さらに圭は記憶喪失で野球に関する知識も失っていた。
 そしてかつて彼らに敗れ散り野球から遠ざかっていた天才たちも、偶然同じ高校に入学しており…。
 巡り合い、再び動き出す彼らの高校野球ストーリーがいま始まる―!

考察
 スポ根の熱量はしっかりとありつつ、野球漫画とは思えないほどクセの強いキャラクターが多数登場する作品。圭のアホモードと智将モードのギャップに宮野真守さんがとてもハマっており、緩急がついて面白くなっている。それでいて全く野球がわからない人にもわかるよう、自然な流れでルールの説明をしてくれるため、野球そのものに興味を抱くきっかけにもなり得るだろうと思う。特に圭がイップスになりかけるシーンでは、カメラに向かって球が飛んでくるため、圭の恐怖を追体験できるような演出がされており、より視聴者が感情移入できるようになっている。
14 『ささやくように恋を唄う』(アニメ) 原作:竹嶋えく 監督:真野玲
あらすじ
 高校入学初日、
新入生歓迎会でのバンド「SSGIRLS」の演奏を見た新入生の木野ひまりは、ギターボーカルを務めていた朝凪依に憧れ、彼女に“ひとめぼれ”をする。
 その気持ちを伝えられた依は、ひまりに“ひとめぼれ”という名の恋心を抱くことに。
 憧れと恋心。同じ“好き”でも異なる気持ち。すれ違うふたりの関係に、バンドメンバーの想いも絡み合い…。
 ふたりの“ひとめぼれ”は、やがて鮮やかな青春を奏で始める——

考察
 「ひとめぼれ」から始まる女性同士の恋愛物語。ひとめぼれのきっかけが先輩のバンド姿であり、ライブシーンが重要となるため、描き下ろし曲が多数ある。歌唱担当と声優が違うものの、違和感なく視聴することができるため、キャストが選び抜かれているのだろうと考えられる。ひまりと依のピュアな恋愛だけでなく、依のバンドのメンバーとライバルバンドのすれ違いも重要なポイントとなっており、バンドあるあるの拗れた人間関係と百合が上手く噛み合った作品だと感じる。
15 『WIND BREAKER』(アニメ) 原作:にいさとる 監督:赤井俊文
あらすじ
 その拳で、街を守れ!
 週刊少年マガジン公式アプリ「マガジンポケット」人気ランキング首位常連で単行本は発売即重版連発の超話題作!
 にいさとるによって人気連載中のヤンキー漫画「WIND BREAKER」。
 孤独な不良高校生・桜は、ケンカのてっぺんを目指して、超不良校として名高い風鈴高校にやってきた。
 しかし、現在の風鈴は“防風鈴 ボウフウリン ”と名付けられ、街を守る集団に変わっていたことを知る。

考察
 「街を守るヤンキー集団」「主人公が街の外から来た人間」という設定が中学生向けであると感じ、最初は少し苦手な雰囲気の作品であったが、登場人物の掘り下げが始まってからは面白くなった。集団の活動方針がおかしくなってしまった原因やそのトップの丁子の過去など、完全な敵役として描かれるのではなく、過ちを犯してしまったものの信念を持った人物たちであることが明らかになり、人物像に厚みが出たように思う。今後ボウフウリンのメンバーたちも同じように人物として魅力的な面が見えてくるのだろうと思うと、制作が決まった続編もぜひ見たいと思った。
16 『正反対な君と僕』(漫画) 作:阿賀沢紅茶
あらすじ
 真逆な2人の等身大ラブコメディ!
 空気を読んじゃう元気女子・鈴木が惹かれたのは、自分の意見をはっきり言える物静か男子・谷くん。大好評の読切が連載化!付き合った2人が楽しめる!共感マックスの等身大ラブコメ、ここに開幕!

考察
 とにかく内面描写が正確な作品。阿賀沢先生の作風でもある。高校生のリアルな日常を描き、「自分がどうしてこういうふうに感じるのか、またはそのような行動を取ったのか」といった自己分析が多く、自身の問題点を見つけて成長するキャラクターが多数登場する。物語が進むにつれて様々なカップルが誕生するが、そのどれもが「正反対」な人物たちであり、それでいてそれぞれが全くタイプの異なるカップルであるため、様々な魅力を持つ彼らの日常を楽しむことができる。また、デジタルコミックであることを活かし、毎話缶ジュースやお菓子といったささやかなアイテムにカラーがついており、今回はどこにカラーが使われるのかを探すという楽しみ方もできる。

17 『ラーメン赤猫』(漫画) 作:アンギャマン
あらすじ
 人間のいない、猫だけが営むラーメン屋に面接に来た珠子。猫の店長に猫好きか聞かれ、珠子は正直に犬派と答えるとあっさり採用される。しかし仕事内容はラーメン屋ではなく、猫のお世話係で…!?

考察
 猫が喋って働く世界観だが、現実の猫とリンクしており、「行きていく上で必要があれば喋れるようになる」「大抵の猫は働きたがらない」とその特殊性が強調されている。読者が赤猫に行きたくても行けない理由が作られているため、赤猫へは行けないものの実在するかもしれないという考え方で作品を読むこともできる。猫たちと珠子が親睦を深めていく様子だけでなく、店の客にも注目すべきである。常連が多く、メインキャラクターではないにもかかわらず個性的な人物が多数登場する。ジュエルに続き新たな猫が従業員として働き出したが、水を運ぶことが難しい様子や、昼食をスプーンを使わず通常の猫のように食べる描写など、まだまだ働く猫として未熟な面を見せることで、よりリアリティが増した。
18 『かがみの孤城』(映画) 原作:辻村深月 監督:原恵一
あらすじ
 学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。
 ある日突然部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。
 さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。
 期限は約1年間。
 戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。
 互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。
そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

考察
 鏡の先に異空間があるという設定はありがちだが、そこで出会った人たちと願いを叶えるために鍵を探すという設定は面白いと感じた。城に招待された人のほとんどが学校に通えないという共通点を持っていたり、さらには同じ中学に通っていたりと、七人が呼ばれた理由が徐々に明らかになっていく展開はワクワクする。実は全員が違う時代を生きており、アキだけがカウンセラーとしてそれぞれと関わりを持っているということが明かされたときは衝撃だった。それまでに張られていた伏線が次々と明らかになり、一気に展開が変わるため、驚かされる。ミスリードも巧みで、童話を活かした面白いものだと感じた。

19 『海のはじまり』(ドラマ) 脚本:生方美久 プロデュース:村瀬健 監督:風間太樹
あらすじ
 この物語の主人公となるのは月岡夏(つきおか・なつ/目黒蓮)。大学時代に、ふとしたきっかけで付き合うようになった同級生・南雲水季(なぐも・みずき)と幸せな日々を送っていました。しかし、就職活動を迎えようとしていたある日、突然、彼女から別れを切り出され、そのまま2人は別れることに。それから7年がたち、新しい人生を歩んでいた夏でしたが、大学時代の友人からの連絡で、水季が亡くなったことを知ります。別れを告げられて以来一度も会うことがなかったこともあり、その事実に実感が湧かないまま葬式へと向かった夏は、そこで海(うみ/泉谷星奈)という名の幼い女の子と出会います。その女の子が、水季の子どもだということを知った夏は驚きを隠せません。そして、彼女の母親から、自分が海の父親だと聞かされます。水季が、自分の知らないところで、自分との間にできた子どもを生み、何も言わずにその子どもを育てていたことを知った夏は、水季と海が過ごした7年という月日に思いをはせ…。

考察
 人の行動は誰かの人生を大きく変えてしまうが、それでも選択は自分のためにしていいのだというメッセージが込められているように感じた。水季は夏との子どもを一人で産む決意をした。その結果、様々な別れを生み出すこととなり、個人的には状況が変わる前の方が幸せだっただろうと思う。しかしそれはどうしようもないことであり、誰かが悪いということもない。一概に「正しい」「正しくない」を決めることのできない問題を次々と登場人物たちに課すことで、選択は自分が思う方を選ぶのが正解なのだと考えさせられた。
20 『プリパラ』(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬
あらすじ
 真中らぁらは、明るく元気で、声が大きなことがちょっとコンプレックスの小学5年生。女の子ならいつか必ず訪れることができるアイドルテーマパーク「プリパラ」の招待状「プリチケ」が届くことを夢見ていた。ある日おつかいの途中で、らぁらは「みれぃ」という子のプリチケが道端に落ちているのを発見して・・・。

考察
 7月放送開始だったため、通常よりも1クール短い放送であったものの、綺麗にまとまっている話であったと思う。最も印象的なエピソードは校長が改心する回である。顔と名前を変えてアイドルになれるプリパラで仲良くなっても、プリパラ外で会おうとすると誰か分からずすれ違ってしまった友人と20年の時を経て再開するという、大人が見ても泣けるような内容だった。クライマックスのファルルがトモチケをパキったことで眠りにつくという展開も、光ると奇跡が起こるコーデで彼女を起こす綺麗な流れができていた。プリパラを嫌っていた校長も、ボーカルドールであるファルルも友達になることができ、キャッチコピーである「み〜んなトモダチ、み〜んなアイドル」によく合った結末だと思った。
21 『プリパラ』第2期(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬

あらすじ
 キラキラ輝くプリパラは、女の子の憧れの場所!小学6年生になった真中らぁらは、今日もプリチケを持って、プリパラライブをするためにプリズムストーンショップへ向かっていた。改めてプリパラを案内するツアーバスに乗るらぁら達。新しく解禁となる「プリパラドリームシアター」に胸を躍らせる6人の前に、強烈な2人組が現れる!

考察
 せっかく組んだ3人チームを強制解散させられるという理不尽な始まりの第2期。新イベントのための5人チームを組むためとはいえ、キャラクターたちが苦労の末にチーム結成したことを知っている身としては少々辛かった。しかし、新キャラクターの登場により見たことのない組み合わせのチームを見ることができ、彼女たちの新たな一面を見ることができる良いシステムだと思う。また、後半からは才能の差をキャラクターに思い知らせるような、シビアでシリアスな展開となり、第1期に続き大人にも刺さる工夫がなされている。また、ひびきは敵として描かれるが、過去を知るとこれまでの行動に納得できるようになっている。「み〜んなトモダチ、み〜んなアイドル」は守りつつも、違う思想の持ち主を登場させることで作品に新たな視点をもたらしたのではないだろうか。
22 『アイドルランドプリパラ』(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬
あらすじ
 クラスの片隅であまりモノの生活を送っているさえない高校一年生・香田澄あまりは、
ある日謎の小学六年生・らぁらと出会う。
らぁらに連れられて「アイドルランドプリパラ」にやってきたあまり。
誰でもアイドルになれる夢の世界だったプリパラだが、実は史上最大の危機に陥っていた!
 あまりはらぁらに「友達を助けて」と頼まれて…

考察
 厨二病の黒歴史も持つ初の高校生主人公が登場し、少し対象年齢が上がったように感じる。アプリ限定配信のため、需要に合わせた設定をしているのだろう。システムエラーによる記憶喪失が起こったが、筐体が稼働停止し多くのプレイヤーがプリパラから離れた状況と重ねられ、うまく世界観に入り込めるようになっている。今回はマリオという明確な悪意を持つキャラクターが登場したが、それはあまりの黒歴史時代に生み出したものであり、ちょうどアニメ放送当時に観ていた高校生の共感を多く得るような設定になっているのではないかと思う。1クールしかなく、今までのプリパラに比べ圧倒的に短いが、書き下ろし曲がかなり多く、ボリュームのある作品である。

23 『ギヴン-柊mix-』(映画) 原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
あらすじ
 高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶 秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。真冬加入後初のライブを成功させ、立夏は真冬への想いを自覚し、ふたりは付き合い始める。
 その後も活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。
 その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島 柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は、「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。
 さらに柊は、立夏に「お前とやってみたいことがあるんだ」ともちかけ……。

考察
 『ギヴン』において、初めて柊と玄純にスポットが当たる作品。柊が玄純を好きなことは仄めかされていたが、今まで秘められていた玄純の柊に対する大きな感情が明らかになった。視点は柊であるものの、感情の描かれ方は玄純の方が多かったように思う。柊のことをどれだけ渇望しているか、4人の幼馴染の中で感じていた疎外感、それを柊にぶつけるシーンは観ていて心が揺さぶられた。楽曲もこれまで通りセンチミリメンタルが書き下ろしている。「ジャンクフードのような曲」と柊が自身の作る曲を例えていたが、その通りの曲で驚いた。syhのサポートを立夏が引き受けたことで生じた真冬との感情のすれ違いもところどころで描かれ、次作に繋がる終わり方をしていてよかったと思う。

24 『スタジオカバナ』(漫画) 作:馬あぐり
あらすじ
 真面目が取り柄の女子高生・牧ゆかり。そんな彼女が最近気になるのは、自分とは正反対の非行少年とよばれるクラスメイト・日下優助。周囲と馴れあわず、ミステリアスなオーラを纏う優助の世話係になってしまったゆかりは、ある日優助が音楽スタジオ「Studio Cabana」へ入っていくのを見てしまう。こっそりつけた先でゆかりが見たのは、普段の優助からは想像もできないような「恋」の歌を歌う姿で――。

考察
 王道の恋愛少女漫画かと思いきや、人の心情に深く踏み込んだ作品だった。主人公であるゆかり視点では純粋で優しい世界が描かれるが、優助視点では重たくドロドロとした、恋愛のダークな面が描かれる。心に溜まって吐き出せない春雪への恋心を曲に綴る優助の痛々しい姿と、自分に向けられる気持ちを知りながら承認欲求を満たす春雪は見ていて苦しいものがあるが、だからこそ「曲によってしか気持ちを吐き出せない」ということに納得できるようにも思える。優助との距離を一気に詰めたきっかけであることからも、この物語において大切なのは「曲」であると考えられるが、作中の台詞やモノローグの言葉選びが詩的で綺麗なものであるため、世界観に合っている。
25 『少年のアビス』(漫画) 作:峰浪りょう
あらすじ
 何もない町、変わるはずのない日々の中で、高校生の黒瀬令児(くろせれいじ)は"ただ"生きていた。家族、将来の夢、幼馴染。そのどれもが彼をこの町に縛り付けている。このまま"ただ"生きていく、そう思っていた。彼女に出会うまでは――。生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。"今"を映し出すワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール、開幕――。

考察
 閉鎖的な町の陰湿な空気と、そこから逃げ出したくてもできない少年少女の話。綺麗な絵と対照的に大人の汚さが現れているのが特徴的だと思う。この町で起こる出会い全てが悪い方向に進む原因となっており、どこまで行っても闇が続くような苦しい雰囲気を持っている。唯一の光だったチャコも令児と共に死ぬことを望んだシーンは、どうしようもない絶望感が襲ってくる。また、令児の母が令児を自分の思うままにするために、周囲の人々を操っていたが、令児が面と向かって「嫌いだ」と告げたシーンや、令児の担任が母に飲み込まれず対抗しようとするシーンなど、彼らが自分の意思を持って抗う様子に、ここからどのような展開になっていくのかが気になる作品。
26『adabana 徒花』(漫画) 作:NON
あらすじ
 雪積もる小さな町で、猟奇的な殺人事件が起こる――。身体を切断された被害者は女子高生・五十嵐真子。そして、犯人として警察に自首して来たのは、同級生の藍川美月。犯行を供述する美月だが、そこにはある違和感が…!?闇に抗う2人の少女の秘密をめぐる、リアル・サスペンス!

考察
 親友であるマコとマコの叔父を手にかけてしまった美月の供述から始まるサスペンス。叔父は性犯罪者であり、襲われかけた美月の抵抗によって死んだが、なぜ親友までも殺してしまったのかが最大の謎である。マコの元彼がストーカーをしており、漫画喫茶で扉の上からカメラを向けているシーンは鳥肌が立った。結果として実際に叔父を殺害したのはマコで、マコは自殺であったことが明かされたが、なぜ自分がマコを殺したことにしようとしたのか、真相が明らかになった後も謎が残り、さらにもう一段階サスペンスを楽しむことができるのがこの作品の魅力である。絵も丁寧なタッチで、暴力表現の恐ろしさが包み隠さず描かれるため、美月やマコの辛さが伝わってくる。
27『 純愛ヴィラン』(漫画) 作:seyoon
あらすじ
 ここは特殊能力をもつ犯罪者を相手にする特殊警察という組織が存在する世界。
 しかしある日突然、平和な日々を送っていた歴代最強特殊警察「斑藤涼太」ですら手も足も出ない悪者が現れた!でもこの犯罪者…どこか様子がおかしいような…?
 歴代最強のヒーローを愛する最凶の悪役「黒羽蕗彩」のドタバタ恋愛ストーリーが今始まる!

考察
 究極のすれ違いラブコメ。突如超能力に目覚めた蕗彩の力をコントロールできない様子が面白く表現されており、さらに犯罪者として指名手配されてしまうところまでがギャグである。本人は悪いことをした自覚はなく、指名手配されていることすら知らなかったため、通じていない会話の温度差が見ていて面白い。ただ憧れの存在である涼太に会いに行っただけなのに宣戦布告ととられてしまったりと、なかなか不憫だがポジティブな蕗彩は見ていて安心感がある。
 紆余曲折を経て2人は結ばれるが、陰謀により蕗彩が死刑となってしまったときはしばらく重い展開が続き、メリハリのある作品だと感じた。蕗彩を救うために警察側だった涼太が歯向かい、犯罪者となることも厭わなくなるという展開は、タイトルが良い伏線になっていたのだと思った。
28 『顔だけじゃ好きになりません』(漫画) 作:安斎かりん
あらすじ
 顔が良すぎるこじらせ先輩×打たれ強いド面食い後輩、ハイスピードラブコメディ☆同じ高校に通うと噂のインフルエンサー、奏人先輩推しの才南。ついに遭遇を果たすも彼は退学の危機!絶対阻止したい才南はSNSの「中の人」を引き受けて?手繋ぎ、ハグ、キス未遂…顔以上の甘いときめきが過剰供給される日々、スタート!!

考察
 「顔が良い」という設定の青年が出てくるが、イラストの人物は美形になりがちなため、コミックイラストそのものの特徴を活かした面白い作品だと思う。顔の良い青年しか出てこないが、パターンの違う良さがしっかり主人公が面食いであり、それを公言していくという性格もぶっ飛んでいるように感じるものの、実際はむしろそのような人の方が多いのではないかと思う。ビジュアルを活かしてインフルエンサーとして活躍する青年と、その撮影をする主人公というポジションも現代を反映しており、今だからこそ描ける作品である。フォロワー数が伸びるにはどうすればいいか、その工夫を相談するうちに仲良くなっていくキャラクターたち、卒業後のアカウント運営をどうするのかなど、しっかりと内容が詰まっており、作者のアイデア力がよく出ていると感じる。
29 『ルリドラゴン』(漫画) 作:眞藤雅興

あらすじ
 ある朝目覚めるとツノが…!?ドラゴン少女が日々をがんばらなかったり、がんばったり、やっぱりがんばらなかったり…な、作品です。よろしくおねがいします▲▲

考察
 突如ドラゴンの力に目覚めるものの、特に世界を救ったりはせず、変わらない日常を送るというのが斬新な設定である。少しずつ新たな能力が出現していき、人間離れしていくルリだが、変わることそのものへの恐怖などはあまり描かれない。ドラゴン設定は不必要にも思われるが、今後どのように設定が活きてくるのか楽しみである。また、ルリの最大の特徴である角は反応が様々で、高校生故に大人な対応をできる生徒は多いが、怖いと感じている人もその意見を主張し、ルリと徐々に距離を縮めることができている。ドラゴンに当てはめているが、人間関係全体がこのように苦手な人とも少しずつ分かり合うことが大事なのだろうと思わされる。

30 『ギヴン 海へ』(映画) 原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
あらすじ
 佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶 秋彦のバンド「ギヴン」は、フェス出場をかけたコンテストに落ちるも、メジャーデビューへの誘いがかかる。
 各メンバーがデビューに前向きな姿勢を見せる中、真冬は答えを出せずにいた。

考察 
 『ギヴン』完結編となる今作。今までを振り返るような会話で自然に過去エピソードを挿入し、ギヴンのこれまでを振り返ることができる。亡くなってしまった由紀の存在を真冬が曲の中に見出す重要なシーンでは、原作で描かれたときから期待が高まっていたが、イメージにぴったりと合う曲が書き下ろされた。真冬の初ライブに立夏が書いた『冬のはなし』と同様、真冬の鼻歌と同じメロディが使われており、作品を追ってきた人たちの胸を打つ楽曲となっている。ライブシーンは音楽を一生続けていくかどうかの選択を迫られていた真冬が「舞台に立ちたい」と思うほどの熱量があり、実際に好きなバンドのライブに参加したときと同じような高揚感があった。
 高校生離れした音楽をやる一方、ギャグとシリアスの緩急が良く、高校生らしい一面も見られる点も魅力である。
 音楽を続けるか迷っているシーンではギターが床についた状態で壁に立てかけられていたが、プロになる覚悟を決めた後はきちんとギタースタンドに置かれることで真冬の成長が静かに描かれており、真冬の未来が暗示されている。
2024/09/24(火) 09:39 No.2065 EDIT DEL