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3年 上田 RES
夏休み課題

1 『ルックバック』(映画) 原作:藤本タツキ 監督:押山清高
あらすじ
 学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。
 以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
 しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。
 漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。
 二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。
しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

考察
 漫画を描く小学生のリアルな様子が印象的なシーンから始まる作品。作中の漫画がアニメーションというよりも、効果音が書かれていたり人物が鉛筆のようなタッチで描かれていたりと、動く漫画というような表現がされているのが面白かった。また、圧倒的な画力を持つ同級生・京本の存在により、資料を買って本気で絵を勉強する姿と確実に上手くなっていく絵には胸を打たれた。変わらず机に向かい続ける姿と、対照的に移り変わっていく四季に、どれだけ藤野が努力しているのかが現れていた。最も好きなシーンは、京本に自身の漫画を褒められ、徐々に高くなるスキップで帰宅するシーン。原作の漫画でも最も印象的なシーンだったが、動きがつくことでより藤野の嬉しさが伝わってきた。
 途中、亡くなってしまった京本が生きていた世界線の彼女からメッセージを受け取るというファンタジー要素があり、いかに京本が藤野にとって大きな存在だったかを感じさせる。

2 『さよなら絵梨』(漫画) 作:藤本タツキ
あらすじ
 私が死ぬまでを撮ってほしい──病の母の願いで始まった優太の映画制作。母の死後、自殺しようとした優太は謎の美少女・絵梨と出会う。2人は共同で映画を作り始めるが、絵梨はある秘密を抱えていた…。現実と創作が交錯しエクスプローションする、映画に懸けた青春物語!!

考察
 メディアとはどういうものかを考えさせられた作品。作中冒頭のドキュメンタリー映画では母が余命宣告されたことで温かな家庭が壊れることへの恐怖が描かれているのかと思いきや、母の入院先が爆発するという唐突な結末で終わる。観賞していた生徒たちからは不評であり、私もなぜこのような映画を主人公が作ったのかよくわからなかった。しかし、実は温かな家庭は編集により演出されたもので、実際の母は息子を出来損ないだと考えているような人物だったことが明かされる。共に生徒を見返すような映画を作るヒロイン・絵梨が母と同じように病気で衰弱していく姿は見ていて切なかったが、「映画を酷評していた生徒たちを泣かせて見返す」ために作られた映画のため、作者の掌の上で転がされているように感じた。

3 『よふかしのうた』 20巻(漫画) 作:コトヤマ
あらすじ
 完結巻! 夜に出会えた全てにありがとう。
 ついに互いへの恋愛感情を自覚したコウとナズナ。
 しかしそれは、吸血鬼と人間、ふたりの関係がこれ以上 今のままでいられないことを示していた。
「楽しかった!君に会えて良かった!」
 恋と青春は真夜中に生まれた。
ふたり たのし よふかしラブストーリー完結!!

考察
 「吸血鬼に恋をした人間は吸血鬼となり、吸血鬼は恋した人間の血を吸うと死んでしまうが、吸血鬼・ナズナと吸血鬼になりたい少年・コウは両想いである」という板挟みの状況で、綺麗な状況に持っていったと感じた。ナズナが「恋心を忘れるまで会わない」と決めたことでコウは学校に通う生活を再開し、健康的な毎日を送ることになる。吸血鬼と関わり合った経験を糧に探偵の助手となり、吸血鬼の起こす事件を解決する道を選ぶという展開も無理がないながらに意外で面白かった。また、探偵助手になった理由が姿を消したナズナを探すためでもあったことで、綺麗な再開で結末を迎えていたように思う。

4 『夢で見たあの子のために』(漫画) 作:三部けい
あらすじ
 青年の生きる目的は復讐!だが、その目的の先に待つものは果たして何だ!?
 幼少期に家族を惨殺された中條千里は、ただ復讐を果たすためだけに生きている。生活の全て、学校の全て、復讐という目的を果たすのに必要な力とお金を得るため、自分が汚れるのも厭わない…。心配する幼馴染み、残された肉親の思いも振り切って果たそうとする、人生の全てを懸けた復讐劇の先にあるものは、果たして千里に何をもたらすのだろうか?メディアミックスで話題になった「僕だけがいない街」の著者が新たに紡ぎ出すハードサスペンスがここに開幕する!!

考察
 双子同士痛みや視覚を共有できるため、それを手がかりに離れ離れになってしまった片割れを探すというサスペンスである。何故家族が惨殺され、双子の片割れが行方不明になってしまったのか、そして何故突然共有できていたはずの痛みと視覚が共有されなくなってしまったのかといった謎により、読者が引き付けられる。様々な人物の協力や思惑によって少しずつ真相に迫っていく様は、話の作り方が上手だと感じた。本当に少しずつしか謎は解明されないが、無理に引き伸ばしているわけではなく、最後まで緊張感を持って物語に集中することができる。

5 『ブルーピリオド』(映画) 原作:山口つばさ 監督:萩原健太郎
あらすじ
 ソツなく器用に生きてきた高校生・矢口八虎は、美術の授業の課題「私の好きな風景」に困っていた。
 悩んだ末に、一番好きな「明け方の青い渋谷」を描いてみた。その時に絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたと感じ、美術に興味を持ちはじめ、のめり込んでいく。そして、ついに国内最難関の美術大学への受験を決意するのだが…。
 立ちはだかる才能あふれるライバル達。正解のない「アート」という大きな壁。
 経験も才能も持っていない自分はどう戦う!?八虎は【自分だけの色】で描くことができるのか。

考察
 原作における藝大受験終了までを描いた映画。本編を2時間の尺に収めるためにカットされた部分が多く、大きな苦労をせずに絵が上手くなっていったかのようになってしまってはいたものの、綺麗にまとまった作品だったように感じる。個人的には、可愛いもの好きで女装をしているユカちゃんの葛藤がきちんと描かれていたことが嬉しかった。原作でも用いられた絵画が多く登場し、カラーの状態で見ることができるためファンも楽しく、そして原作未読の人も気軽に観ることのできる作品である。

6『 ブルーピリオド』(漫画) 作:山口つばさ
あらすじ
 熱くて泣ける美大受験物語!
成績優秀かつスクールカースト上位の充実した毎日を送りつつ、どこか空虚な焦燥感を感じて生きる高校生・矢口八虎(やぐち やとら)は、ある日、一枚の絵に心奪われる。
その衝撃は八虎を駆り立て、美しくも厳しい美術の世界へ身を投じていく。
 美術のノウハウうんちく満載、美大を目指して青春を燃やすスポコン受験物語、八虎と仲間たちの戦いが始まる!

考察
 芸術に対する熱が胸を打つ作品。他人に合わせて上手く生きてきた八虎が初めて自分の好きなことを見つけ、やりたいことを貫くように成長する姿が格好良い。美術作品を鑑賞し、様々な技術を吸収していく様子や、藝大に進学してからの創作に対する葛藤や悩みなどが等身大に描かれており、自分でも創作がしたくなるような作品である。新たな気付きを得て作品に反映し、完成したのを見たときには、架空の人物や作品であるにもかかわらず感動してしまうため、続きが楽しみである。

7『僕のヒーローアカデミア』第7期(アニメ) 原作:堀越耕平 監督:中山奈緒美
あらすじ
 超常能力“個性”を持つ人間が当たり前の世界。憧れのNo.1ヒーロー・オールマイトと出会った“無個性”の少年・緑谷出久、通称「デク」は、その内に秘めるヒーローの資質を見出され、オールマイトから“個性”ワン・フォー・オール(OFA)を受け継いだ。デクはヒーロー輩出の名門・雄英高校に入学し、“個性”で社会や人々を救ける“ヒーロー”になることを目指し、ヒーロー科1年A組のクラスメイトたちと共に成長していく。
 デクたちの雄英2年目の春。ヒーローたちが死柄木たち敵ヴィランの掃討作戦を決行し、まさに“全面戦争”と言える激闘が繰り広げられる。双方が大きなダメージを受け全面戦争は一旦の終結を見るが、ヒーローへの信頼は揺らぎ、社会は荒廃する。その中でOFA後継者としての使命感と周囲の人々を傷つけたくないという想いからデクは孤独な戦いを続けるが、クラスメイトたちの熱い思いを受け、ひとりじゃなく、皆で立ち向かう決意を新たにする。
 そして、いよいよオール・フォー・ワンや死柄木弔たちがデクの前に現れ、最終決戦の火蓋が切られる!オールマイトらが考案した作戦で敵ヴィランを日本各地に分断したヒーローたちは、それぞれの地で敵ヴィランたちに対峙し、激しい戦いが繰り広げられる。
果たしてデクたちは、皆が笑顔になれるあの日々を取り戻すことはできるのか―。

考察
 今までの訓練が決戦に生かされ、雄英高校の生徒たちが頑張ってきたことが最も伝わる今作。あまりフォーカスされなかった生徒にもスポットがあたり、キャラクターたちの魅力が掘り下げられているため、個人的に好みである。特に障子目蔵や口田甲司は今まであまり目立たない印象だったものの、今回どのような人物であるのかしっかり描かれていた。中でも最も成長したと感じるのは爆豪勝己である。前シーズンで出久に謝罪し、昔から出久が自分の一歩先を行っているのだと認めた勝己の「お前にまだ追いつけるかな」という台詞は彼の大きな成長を感じさせる。

8 『ラーメン赤猫』(アニメ) 原作:アンギャマン 監督:清水久敏
あらすじ
 猫だけで営むお店『ラーメン赤猫』、そこにバイトの面接で訪れた人間の珠子。
 正直に犬派と答えた彼女はあっさりと採用が決まり、任されたお仕事は猫たちのお世話係。
 ブラッシングを通じて垣間見える猫模様に、様々なお客様が織りなす人間模様。
 身体も心も温まる『ラーメン赤猫』、
愛しさ大盛り、召し上がれ。

考察
 漫画がアニメ化されたことで、猫による接客がより視覚的に表現できるようになっているのではないだろうか。CGを使ってラーメンを描いており、手描きよりもリアルなため、グルメ漫画に劣らず美味しそうに表現されている。従業員であるハナがかつてアイドルだったと明かされた回では、実際に曲が描き下ろされ、ハナが歌って踊るMVの特殊エンディングが使われているほか、野良猫を一時保護する回では脱走した猫視点のスピーディーな映像があったりと、アニメーションならではの要素が多くあり、アニメ化することの意味がしっかりと感じられる作品。
9 『2.5次元の誘惑』(アニメ) 原作:橋本悠 監督:岡本英樹
あらすじ
 3次元の女子に興味無し!
漫画研究部部長・奥村は今日も部室でひとり、
画面の向こうに映る愛してやまない2次元のキャラクター・
リリエルの名を叫んでいた……。
 そんな奥村のもとへやってきたのは
「リリエルになりたい」という3次元女子・天乃リリサ。
 彼女は、漫画の中に登場する女の子のエッチで可愛い「衣装」が大好き。そして、奥村に負けないくらいリリエルを愛する仲間(オタク)だった!

考察
 原作の美しい作画に負けず綺麗な作画である。動きと声がつくことで、作品の特徴であるオタクたちのオタクらしさに拍車がかかっている。何故かリリサのコスプレ姿を見ると、架空の作品のコスプレであるにもかかわらず「あの作品のあのコスプレだ」と思わされる。それほどまでに奥村とリリサのコスプレや2次元への愛がリアルに描かれているということだろうと思う。漫画の方が描き込みを増やしやすいため、色気を強調する表現が多々見られたものの、アニメではコストの問題からその表現が難しい。しかしその分好きなものに全力投球する高校生たちの姿が純粋に描かれているように感じる。

10 『【推しの子】』2期(アニメ) 原作:赤坂アカ/横槍メンゴ 監督:平牧大輔
あらすじ
 人気マンガ『東京ブレイド』の舞台稽古が始まった。
 劇団ララライの役者達に囲まれ、大きく飛躍するかな。
 かなの才能を認めながら、ライバル心を激しく燃やすあかね。
 才能と熱意のある役者が集う中、アクアは演技すらも利用してアイの死の真相を追い続ける──。
 そしてアイドルとして母の背中を追い続けるルビーは……。

考察 
 舞台編は動きの迫力が重要なため、アニメ化に向いているのではないかと考える。1期から変わらず安定した作画と声優陣の演技力によって臨場感が生まれている。「演技」「芝居」も作中で多く触れられている重要なポイントであるため、実際にキャラクターたちを「演じて」いる声優陣が乗せる声に説得力がある。やはり今回最も重要なのはメルトが舞台上で良い演技をすることができたシーンだろう。アニメオリジナルの抽象的なシーンによってメルトの心情の変化が表現されているため、かつて自分がどのような演技をしていたかを知らずに作品の質を落としていた彼が今回の舞台にかける本気が伝わってきた。

11 『先輩はおとこのこ』(アニメ) 原作:ぽむ監督:柳伸亮
あらすじ
 男だけど可愛いものが大好きで、女の子の姿で高校生活を送る“男の娘”・花岡まこと。
ある日の放課後、まことは、“女の子だと勘違いしたまま”の後輩女子・蒼井咲に告白をされる。
「実は自分は男の子なのだ」と打ち明け、告白を断るまこと。
 しかしまことの予想に反し、咲はあきらめるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションアップ!
 さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言して……。
 可愛いものが大好きな、まこと。まことに恋をする、元気いっぱいの後輩・咲。
 まことを近くで見守り続けてきた、幼馴染の竜二。
 3人の、恋と友情と、成長の物語がはじまる――。

考察
 原作の作画のまま動いているかのような高再現で、可愛らしいタッチが特徴だった原作のファンにも嬉しい仕上がりになっていた。声もキャラクターにハマっており、特にまことの声は少し高めの男性声優を起用することで「あくまでかわいいものが好きな男性」が主人公であることがきちんと描かれていたように思う。ギャグも多いこの作品だが、それぞれのキャラクターが大きな悩みを抱えており、しっかりと掘り下げられる。声と動きがつくことにより細かなニュアンスが表現できるため、作品とアニメ化がマッチしている。

12 『地縛少年花子くん』 22巻(漫画) 作:あいだいろ
あらすじ
 七不思議・時計守の依代を狙うつかさたちによってかもめ学園は大混乱に陥ってしまった。
 依代が破壊できる寧々はつかさに連れ去られ、時計守の境界へ侵入する。
 そこで待ち受けていたのは、三人の番人――!!
 学園七不思議怪異譚、時計守裁判の開廷!

考察
 これまで寧々のクラスメイトとして協力し合ってきた茜が立場上敵対せざるを得なくなり、序盤から一気に緊張させられる展開となった。また、現実とは違う異空間で物語が進んでいくため、ファンタジックな風景の描き込みも大きな見せ所となっている。ところどころギャグを挟み、暗すぎる雰囲気にならないようになっているため読みやすい。長い間仄めかされていたつかさの正体がついにはっきりと明かされ、大きな謎の一つが解けた。突然行われた過去改変により新たな現在が作られ、これまでの人間関係や起こった出来事がなかったことになってしまったことへの悲しさや虚しさに読者が教われて終わるため、次回どのような展開になるのかが楽しみである。
13 『忘却バッテリー』(アニメ) 原作:みかわ絵子 監督:中園真登
あらすじ
 中学球界で名を馳せた完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火、切れ者捕手の“智将”・要圭の怪物バッテリー。全国の強豪校からスカウトを受けていた彼らが進学したのは何故か野球無名校の東京都立小手指高校だった。さらに圭は記憶喪失で野球に関する知識も失っていた。
 そしてかつて彼らに敗れ散り野球から遠ざかっていた天才たちも、偶然同じ高校に入学しており…。
 巡り合い、再び動き出す彼らの高校野球ストーリーがいま始まる―!

考察
 スポ根の熱量はしっかりとありつつ、野球漫画とは思えないほどクセの強いキャラクターが多数登場する作品。圭のアホモードと智将モードのギャップに宮野真守さんがとてもハマっており、緩急がついて面白くなっている。それでいて全く野球がわからない人にもわかるよう、自然な流れでルールの説明をしてくれるため、野球そのものに興味を抱くきっかけにもなり得るだろうと思う。特に圭がイップスになりかけるシーンでは、カメラに向かって球が飛んでくるため、圭の恐怖を追体験できるような演出がされており、より視聴者が感情移入できるようになっている。
14 『ささやくように恋を唄う』(アニメ) 原作:竹嶋えく 監督:真野玲
あらすじ
 高校入学初日、
新入生歓迎会でのバンド「SSGIRLS」の演奏を見た新入生の木野ひまりは、ギターボーカルを務めていた朝凪依に憧れ、彼女に“ひとめぼれ”をする。
 その気持ちを伝えられた依は、ひまりに“ひとめぼれ”という名の恋心を抱くことに。
 憧れと恋心。同じ“好き”でも異なる気持ち。すれ違うふたりの関係に、バンドメンバーの想いも絡み合い…。
 ふたりの“ひとめぼれ”は、やがて鮮やかな青春を奏で始める——

考察
 「ひとめぼれ」から始まる女性同士の恋愛物語。ひとめぼれのきっかけが先輩のバンド姿であり、ライブシーンが重要となるため、描き下ろし曲が多数ある。歌唱担当と声優が違うものの、違和感なく視聴することができるため、キャストが選び抜かれているのだろうと考えられる。ひまりと依のピュアな恋愛だけでなく、依のバンドのメンバーとライバルバンドのすれ違いも重要なポイントとなっており、バンドあるあるの拗れた人間関係と百合が上手く噛み合った作品だと感じる。
15 『WIND BREAKER』(アニメ) 原作:にいさとる 監督:赤井俊文
あらすじ
 その拳で、街を守れ!
 週刊少年マガジン公式アプリ「マガジンポケット」人気ランキング首位常連で単行本は発売即重版連発の超話題作!
 にいさとるによって人気連載中のヤンキー漫画「WIND BREAKER」。
 孤独な不良高校生・桜は、ケンカのてっぺんを目指して、超不良校として名高い風鈴高校にやってきた。
 しかし、現在の風鈴は“防風鈴 ボウフウリン ”と名付けられ、街を守る集団に変わっていたことを知る。

考察
 「街を守るヤンキー集団」「主人公が街の外から来た人間」という設定が中学生向けであると感じ、最初は少し苦手な雰囲気の作品であったが、登場人物の掘り下げが始まってからは面白くなった。集団の活動方針がおかしくなってしまった原因やそのトップの丁子の過去など、完全な敵役として描かれるのではなく、過ちを犯してしまったものの信念を持った人物たちであることが明らかになり、人物像に厚みが出たように思う。今後ボウフウリンのメンバーたちも同じように人物として魅力的な面が見えてくるのだろうと思うと、制作が決まった続編もぜひ見たいと思った。
16 『正反対な君と僕』(漫画) 作:阿賀沢紅茶
あらすじ
 真逆な2人の等身大ラブコメディ!
 空気を読んじゃう元気女子・鈴木が惹かれたのは、自分の意見をはっきり言える物静か男子・谷くん。大好評の読切が連載化!付き合った2人が楽しめる!共感マックスの等身大ラブコメ、ここに開幕!

考察
 とにかく内面描写が正確な作品。阿賀沢先生の作風でもある。高校生のリアルな日常を描き、「自分がどうしてこういうふうに感じるのか、またはそのような行動を取ったのか」といった自己分析が多く、自身の問題点を見つけて成長するキャラクターが多数登場する。物語が進むにつれて様々なカップルが誕生するが、そのどれもが「正反対」な人物たちであり、それでいてそれぞれが全くタイプの異なるカップルであるため、様々な魅力を持つ彼らの日常を楽しむことができる。また、デジタルコミックであることを活かし、毎話缶ジュースやお菓子といったささやかなアイテムにカラーがついており、今回はどこにカラーが使われるのかを探すという楽しみ方もできる。

17 『ラーメン赤猫』(漫画) 作:アンギャマン
あらすじ
 人間のいない、猫だけが営むラーメン屋に面接に来た珠子。猫の店長に猫好きか聞かれ、珠子は正直に犬派と答えるとあっさり採用される。しかし仕事内容はラーメン屋ではなく、猫のお世話係で…!?

考察
 猫が喋って働く世界観だが、現実の猫とリンクしており、「行きていく上で必要があれば喋れるようになる」「大抵の猫は働きたがらない」とその特殊性が強調されている。読者が赤猫に行きたくても行けない理由が作られているため、赤猫へは行けないものの実在するかもしれないという考え方で作品を読むこともできる。猫たちと珠子が親睦を深めていく様子だけでなく、店の客にも注目すべきである。常連が多く、メインキャラクターではないにもかかわらず個性的な人物が多数登場する。ジュエルに続き新たな猫が従業員として働き出したが、水を運ぶことが難しい様子や、昼食をスプーンを使わず通常の猫のように食べる描写など、まだまだ働く猫として未熟な面を見せることで、よりリアリティが増した。
18 『かがみの孤城』(映画) 原作:辻村深月 監督:原恵一
あらすじ
 学校での居場所をなくし部屋に閉じこもっていた中学生・こころ。
 ある日突然部屋の鏡が光り出し、吸い込まれるように中に入ると、そこにはおとぎ話に出てくるようなお城と見ず知らずの中学生6人が。
 さらに「オオカミさま」と呼ばれる狼のお面をかぶった女の子が現れ、「城に隠された鍵を見つければ、どんな願いでも叶えてやろう」と告げる。
 期限は約1年間。
 戸惑いつつも鍵を探しながら共に過ごすうち、7人には一つの共通点があることがわかる。
 互いの抱える事情が少しずつ明らかになり、次第に心を通わせていくこころたち。
そしてお城が7人にとって特別な居場所に変わり始めた頃、ある出来事が彼らを襲う――――

考察
 鏡の先に異空間があるという設定はありがちだが、そこで出会った人たちと願いを叶えるために鍵を探すという設定は面白いと感じた。城に招待された人のほとんどが学校に通えないという共通点を持っていたり、さらには同じ中学に通っていたりと、七人が呼ばれた理由が徐々に明らかになっていく展開はワクワクする。実は全員が違う時代を生きており、アキだけがカウンセラーとしてそれぞれと関わりを持っているということが明かされたときは衝撃だった。それまでに張られていた伏線が次々と明らかになり、一気に展開が変わるため、驚かされる。ミスリードも巧みで、童話を活かした面白いものだと感じた。

19 『海のはじまり』(ドラマ) 脚本:生方美久 プロデュース:村瀬健 監督:風間太樹
あらすじ
 この物語の主人公となるのは月岡夏(つきおか・なつ/目黒蓮)。大学時代に、ふとしたきっかけで付き合うようになった同級生・南雲水季(なぐも・みずき)と幸せな日々を送っていました。しかし、就職活動を迎えようとしていたある日、突然、彼女から別れを切り出され、そのまま2人は別れることに。それから7年がたち、新しい人生を歩んでいた夏でしたが、大学時代の友人からの連絡で、水季が亡くなったことを知ります。別れを告げられて以来一度も会うことがなかったこともあり、その事実に実感が湧かないまま葬式へと向かった夏は、そこで海(うみ/泉谷星奈)という名の幼い女の子と出会います。その女の子が、水季の子どもだということを知った夏は驚きを隠せません。そして、彼女の母親から、自分が海の父親だと聞かされます。水季が、自分の知らないところで、自分との間にできた子どもを生み、何も言わずにその子どもを育てていたことを知った夏は、水季と海が過ごした7年という月日に思いをはせ…。

考察
 人の行動は誰かの人生を大きく変えてしまうが、それでも選択は自分のためにしていいのだというメッセージが込められているように感じた。水季は夏との子どもを一人で産む決意をした。その結果、様々な別れを生み出すこととなり、個人的には状況が変わる前の方が幸せだっただろうと思う。しかしそれはどうしようもないことであり、誰かが悪いということもない。一概に「正しい」「正しくない」を決めることのできない問題を次々と登場人物たちに課すことで、選択は自分が思う方を選ぶのが正解なのだと考えさせられた。
20 『プリパラ』(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬
あらすじ
 真中らぁらは、明るく元気で、声が大きなことがちょっとコンプレックスの小学5年生。女の子ならいつか必ず訪れることができるアイドルテーマパーク「プリパラ」の招待状「プリチケ」が届くことを夢見ていた。ある日おつかいの途中で、らぁらは「みれぃ」という子のプリチケが道端に落ちているのを発見して・・・。

考察
 7月放送開始だったため、通常よりも1クール短い放送であったものの、綺麗にまとまっている話であったと思う。最も印象的なエピソードは校長が改心する回である。顔と名前を変えてアイドルになれるプリパラで仲良くなっても、プリパラ外で会おうとすると誰か分からずすれ違ってしまった友人と20年の時を経て再開するという、大人が見ても泣けるような内容だった。クライマックスのファルルがトモチケをパキったことで眠りにつくという展開も、光ると奇跡が起こるコーデで彼女を起こす綺麗な流れができていた。プリパラを嫌っていた校長も、ボーカルドールであるファルルも友達になることができ、キャッチコピーである「み〜んなトモダチ、み〜んなアイドル」によく合った結末だと思った。
21 『プリパラ』第2期(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬

あらすじ
 キラキラ輝くプリパラは、女の子の憧れの場所!小学6年生になった真中らぁらは、今日もプリチケを持って、プリパラライブをするためにプリズムストーンショップへ向かっていた。改めてプリパラを案内するツアーバスに乗るらぁら達。新しく解禁となる「プリパラドリームシアター」に胸を躍らせる6人の前に、強烈な2人組が現れる!

考察
 せっかく組んだ3人チームを強制解散させられるという理不尽な始まりの第2期。新イベントのための5人チームを組むためとはいえ、キャラクターたちが苦労の末にチーム結成したことを知っている身としては少々辛かった。しかし、新キャラクターの登場により見たことのない組み合わせのチームを見ることができ、彼女たちの新たな一面を見ることができる良いシステムだと思う。また、後半からは才能の差をキャラクターに思い知らせるような、シビアでシリアスな展開となり、第1期に続き大人にも刺さる工夫がなされている。また、ひびきは敵として描かれるが、過去を知るとこれまでの行動に納得できるようになっている。「み〜んなトモダチ、み〜んなアイドル」は守りつつも、違う思想の持ち主を登場させることで作品に新たな視点をもたらしたのではないだろうか。
22 『アイドルランドプリパラ』(アニメ) 原作:タカラトミーアーツ/シンソフィア 監督:森脇真琴 シリーズ構成:土屋理敬
あらすじ
 クラスの片隅であまりモノの生活を送っているさえない高校一年生・香田澄あまりは、
ある日謎の小学六年生・らぁらと出会う。
らぁらに連れられて「アイドルランドプリパラ」にやってきたあまり。
誰でもアイドルになれる夢の世界だったプリパラだが、実は史上最大の危機に陥っていた!
 あまりはらぁらに「友達を助けて」と頼まれて…

考察
 厨二病の黒歴史も持つ初の高校生主人公が登場し、少し対象年齢が上がったように感じる。アプリ限定配信のため、需要に合わせた設定をしているのだろう。システムエラーによる記憶喪失が起こったが、筐体が稼働停止し多くのプレイヤーがプリパラから離れた状況と重ねられ、うまく世界観に入り込めるようになっている。今回はマリオという明確な悪意を持つキャラクターが登場したが、それはあまりの黒歴史時代に生み出したものであり、ちょうどアニメ放送当時に観ていた高校生の共感を多く得るような設定になっているのではないかと思う。1クールしかなく、今までのプリパラに比べ圧倒的に短いが、書き下ろし曲がかなり多く、ボリュームのある作品である。

23 『ギヴン-柊mix-』(映画) 原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
あらすじ
 高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶 秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。真冬加入後初のライブを成功させ、立夏は真冬への想いを自覚し、ふたりは付き合い始める。
 その後も活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。
 その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島 柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は、「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。
 さらに柊は、立夏に「お前とやってみたいことがあるんだ」ともちかけ……。

考察
 『ギヴン』において、初めて柊と玄純にスポットが当たる作品。柊が玄純を好きなことは仄めかされていたが、今まで秘められていた玄純の柊に対する大きな感情が明らかになった。視点は柊であるものの、感情の描かれ方は玄純の方が多かったように思う。柊のことをどれだけ渇望しているか、4人の幼馴染の中で感じていた疎外感、それを柊にぶつけるシーンは観ていて心が揺さぶられた。楽曲もこれまで通りセンチミリメンタルが書き下ろしている。「ジャンクフードのような曲」と柊が自身の作る曲を例えていたが、その通りの曲で驚いた。syhのサポートを立夏が引き受けたことで生じた真冬との感情のすれ違いもところどころで描かれ、次作に繋がる終わり方をしていてよかったと思う。

24 『スタジオカバナ』(漫画) 作:馬あぐり
あらすじ
 真面目が取り柄の女子高生・牧ゆかり。そんな彼女が最近気になるのは、自分とは正反対の非行少年とよばれるクラスメイト・日下優助。周囲と馴れあわず、ミステリアスなオーラを纏う優助の世話係になってしまったゆかりは、ある日優助が音楽スタジオ「Studio Cabana」へ入っていくのを見てしまう。こっそりつけた先でゆかりが見たのは、普段の優助からは想像もできないような「恋」の歌を歌う姿で――。

考察
 王道の恋愛少女漫画かと思いきや、人の心情に深く踏み込んだ作品だった。主人公であるゆかり視点では純粋で優しい世界が描かれるが、優助視点では重たくドロドロとした、恋愛のダークな面が描かれる。心に溜まって吐き出せない春雪への恋心を曲に綴る優助の痛々しい姿と、自分に向けられる気持ちを知りながら承認欲求を満たす春雪は見ていて苦しいものがあるが、だからこそ「曲によってしか気持ちを吐き出せない」ということに納得できるようにも思える。優助との距離を一気に詰めたきっかけであることからも、この物語において大切なのは「曲」であると考えられるが、作中の台詞やモノローグの言葉選びが詩的で綺麗なものであるため、世界観に合っている。
25 『少年のアビス』(漫画) 作:峰浪りょう
あらすじ
 何もない町、変わるはずのない日々の中で、高校生の黒瀬令児(くろせれいじ)は"ただ"生きていた。家族、将来の夢、幼馴染。そのどれもが彼をこの町に縛り付けている。このまま"ただ"生きていく、そう思っていた。彼女に出会うまでは――。生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。"今"を映し出すワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール、開幕――。

考察
 閉鎖的な町の陰湿な空気と、そこから逃げ出したくてもできない少年少女の話。綺麗な絵と対照的に大人の汚さが現れているのが特徴的だと思う。この町で起こる出会い全てが悪い方向に進む原因となっており、どこまで行っても闇が続くような苦しい雰囲気を持っている。唯一の光だったチャコも令児と共に死ぬことを望んだシーンは、どうしようもない絶望感が襲ってくる。また、令児の母が令児を自分の思うままにするために、周囲の人々を操っていたが、令児が面と向かって「嫌いだ」と告げたシーンや、令児の担任が母に飲み込まれず対抗しようとするシーンなど、彼らが自分の意思を持って抗う様子に、ここからどのような展開になっていくのかが気になる作品。
26『adabana 徒花』(漫画) 作:NON
あらすじ
 雪積もる小さな町で、猟奇的な殺人事件が起こる――。身体を切断された被害者は女子高生・五十嵐真子。そして、犯人として警察に自首して来たのは、同級生の藍川美月。犯行を供述する美月だが、そこにはある違和感が…!?闇に抗う2人の少女の秘密をめぐる、リアル・サスペンス!

考察
 親友であるマコとマコの叔父を手にかけてしまった美月の供述から始まるサスペンス。叔父は性犯罪者であり、襲われかけた美月の抵抗によって死んだが、なぜ親友までも殺してしまったのかが最大の謎である。マコの元彼がストーカーをしており、漫画喫茶で扉の上からカメラを向けているシーンは鳥肌が立った。結果として実際に叔父を殺害したのはマコで、マコは自殺であったことが明かされたが、なぜ自分がマコを殺したことにしようとしたのか、真相が明らかになった後も謎が残り、さらにもう一段階サスペンスを楽しむことができるのがこの作品の魅力である。絵も丁寧なタッチで、暴力表現の恐ろしさが包み隠さず描かれるため、美月やマコの辛さが伝わってくる。
27『 純愛ヴィラン』(漫画) 作:seyoon
あらすじ
 ここは特殊能力をもつ犯罪者を相手にする特殊警察という組織が存在する世界。
 しかしある日突然、平和な日々を送っていた歴代最強特殊警察「斑藤涼太」ですら手も足も出ない悪者が現れた!でもこの犯罪者…どこか様子がおかしいような…?
 歴代最強のヒーローを愛する最凶の悪役「黒羽蕗彩」のドタバタ恋愛ストーリーが今始まる!

考察
 究極のすれ違いラブコメ。突如超能力に目覚めた蕗彩の力をコントロールできない様子が面白く表現されており、さらに犯罪者として指名手配されてしまうところまでがギャグである。本人は悪いことをした自覚はなく、指名手配されていることすら知らなかったため、通じていない会話の温度差が見ていて面白い。ただ憧れの存在である涼太に会いに行っただけなのに宣戦布告ととられてしまったりと、なかなか不憫だがポジティブな蕗彩は見ていて安心感がある。
 紆余曲折を経て2人は結ばれるが、陰謀により蕗彩が死刑となってしまったときはしばらく重い展開が続き、メリハリのある作品だと感じた。蕗彩を救うために警察側だった涼太が歯向かい、犯罪者となることも厭わなくなるという展開は、タイトルが良い伏線になっていたのだと思った。
28 『顔だけじゃ好きになりません』(漫画) 作:安斎かりん
あらすじ
 顔が良すぎるこじらせ先輩×打たれ強いド面食い後輩、ハイスピードラブコメディ☆同じ高校に通うと噂のインフルエンサー、奏人先輩推しの才南。ついに遭遇を果たすも彼は退学の危機!絶対阻止したい才南はSNSの「中の人」を引き受けて?手繋ぎ、ハグ、キス未遂…顔以上の甘いときめきが過剰供給される日々、スタート!!

考察
 「顔が良い」という設定の青年が出てくるが、イラストの人物は美形になりがちなため、コミックイラストそのものの特徴を活かした面白い作品だと思う。顔の良い青年しか出てこないが、パターンの違う良さがしっかり主人公が面食いであり、それを公言していくという性格もぶっ飛んでいるように感じるものの、実際はむしろそのような人の方が多いのではないかと思う。ビジュアルを活かしてインフルエンサーとして活躍する青年と、その撮影をする主人公というポジションも現代を反映しており、今だからこそ描ける作品である。フォロワー数が伸びるにはどうすればいいか、その工夫を相談するうちに仲良くなっていくキャラクターたち、卒業後のアカウント運営をどうするのかなど、しっかりと内容が詰まっており、作者のアイデア力がよく出ていると感じる。
29 『ルリドラゴン』(漫画) 作:眞藤雅興

あらすじ
 ある朝目覚めるとツノが…!?ドラゴン少女が日々をがんばらなかったり、がんばったり、やっぱりがんばらなかったり…な、作品です。よろしくおねがいします▲▲

考察
 突如ドラゴンの力に目覚めるものの、特に世界を救ったりはせず、変わらない日常を送るというのが斬新な設定である。少しずつ新たな能力が出現していき、人間離れしていくルリだが、変わることそのものへの恐怖などはあまり描かれない。ドラゴン設定は不必要にも思われるが、今後どのように設定が活きてくるのか楽しみである。また、ルリの最大の特徴である角は反応が様々で、高校生故に大人な対応をできる生徒は多いが、怖いと感じている人もその意見を主張し、ルリと徐々に距離を縮めることができている。ドラゴンに当てはめているが、人間関係全体がこのように苦手な人とも少しずつ分かり合うことが大事なのだろうと思わされる。

30 『ギヴン 海へ』(映画) 原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
あらすじ
 佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶 秋彦のバンド「ギヴン」は、フェス出場をかけたコンテストに落ちるも、メジャーデビューへの誘いがかかる。
 各メンバーがデビューに前向きな姿勢を見せる中、真冬は答えを出せずにいた。

考察 
 『ギヴン』完結編となる今作。今までを振り返るような会話で自然に過去エピソードを挿入し、ギヴンのこれまでを振り返ることができる。亡くなってしまった由紀の存在を真冬が曲の中に見出す重要なシーンでは、原作で描かれたときから期待が高まっていたが、イメージにぴったりと合う曲が書き下ろされた。真冬の初ライブに立夏が書いた『冬のはなし』と同様、真冬の鼻歌と同じメロディが使われており、作品を追ってきた人たちの胸を打つ楽曲となっている。ライブシーンは音楽を一生続けていくかどうかの選択を迫られていた真冬が「舞台に立ちたい」と思うほどの熱量があり、実際に好きなバンドのライブに参加したときと同じような高揚感があった。
 高校生離れした音楽をやる一方、ギャグとシリアスの緩急が良く、高校生らしい一面も見られる点も魅力である。
 音楽を続けるか迷っているシーンではギターが床についた状態で壁に立てかけられていたが、プロになる覚悟を決めた後はきちんとギタースタンドに置かれることで真冬の成長が静かに描かれており、真冬の未来が暗示されている。
2024/09/24(火) 09:39 No.2065 EDIT DEL
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