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3年 谷澤佳歩
RES
春休み課題 20作品
1『海がきこえる』(アニメ映画)(1993年)監督:望月智充
【概要・あらすじ】
氷室冴子による小説『海がきこえる』を原作として、1993年にスタジオジブリが制作したアニメーション映画作品である。
高知の中高一貫校を出て東京の大学に進学した主人公・杜崎拓は、吉祥寺駅のホームで高校時代に東京から転入してきた武藤里伽子によく似た女性の後ろ姿を見かける。その後、拓は同窓会のため高知へと帰省する道中、飛行機の中で里伽子と出会った高校時代の想い出を振り返る。
【考察】
物語の構造としては時系列通りではなく、直近の時間軸の間に過去回想が挟まれている構造となっている。クライマックスが最も未来なので、観客は杜崎と武藤の二人の関係がどうなるのか分からないまま、予想しつつ回想を見ることになる。素直になりきれず思っていることを正直に言えないような思春期のキャラクター造形や、噂話が広がるのが非常に早い地方の田舎の描写はとてもリアルで、二次元的なデフォルメの効いた表現などはあまり感じられず、大人になった観客が見てもまるで自分自身の過去のように思えるほど「等身大」という印象だった。未成年の飲酒のシーンがあるなどの理由からか地上波などでほとんど見ることが出来ない作品だが、思春期の青少年を緻密に描写した作品。同窓会で大人になった同級生たちの振る舞いから分かる登場人物の成長や、武藤と杜崎の間にある感情が何なのかが最後にようやく確定する、その演出の仕方も伏線があるなど、非常に巧みだと言える。演者たちの土佐弁も自然で、見ていて独特のリズムが作品のテンポに良い演出となっている。
2『耳をすませば』(アニメ映画)(1995年)監督:近藤喜文
【概要・あらすじ】
柊あおいによる漫画『耳をすませば』を原作とし、1995年にスタジオジブリが制作したアニメーション映画作品である。
読書好きの中学三年生・月島雫は、夏休みも勉強せずに図書館通いの日々を送っていた。雫は自分が借りる本の貸出カード履歴に、決まって「天沢聖司」の名前があることに気づき、素性の知れない彼を気にするようになる。ある日、雫が友達に『カントリーロード』の替え歌『コンクリートロード』の歌詞を見せていたところ、見知らぬ少年から馬鹿にされる。しばらくして、図書館へ向かう道中で出会った野良猫の後を追って見つけたアンティークショップで、『コンクリートロード』を馬鹿にした少年が天沢聖司だと発覚する。
【考察】
話全体の展開の速さが丁度良く、ダレない速さで進んでいく。観客としては天沢聖司の正体が誰なのか物語の序盤で何となく察しがつくが、作中で雫が天沢聖司の正体に確信を得るのは観客が察するよりも遅めになっている。これは雫の空想の中の「天沢聖司像」と「嫌味な少年」が結びつきづらかったためだと考えられる。雫や天沢を中心に、人間関係の他、将来の夢や目標に向かって邁進する若者の姿を中心に描いた作品であり、自分の持つ能力や才能の限界を知ることの恐怖や、それでも立ち向かう若者を周囲にいる大人が見守る構図が印象的である。才能を宝石の原石に例え、洞窟の無数にある石の中から原石を見つけ出そうとする描写が、雫たちの行動と準えられている。天沢が雫を自転車の後ろに乗せて朝焼けを見せに高台へ行くシーンでは、最初雫を乗せたまま急斜面を登ろうとするが、途中で雫が自転車から降りて、天沢の漕ぐ自転車を押しながら「お荷物だけなんていやだ」と二人で坂を乗り越えようとする場面は象徴的である。バイオリン職人になりたいという夢を追う天沢を応援するだけでなく、自分自身も夢を追いながら共に成長したいという雫の思いが表現された演出である。また、本作ではジブリ作品の要素が登場しており、「TOTORO」と書かれた本があったり、「porco Rosso」の文字が時計に刻まれていたり、魔女の宅急便のキキを思わせる魔女の飾りがあったり、土佐の段ボールがあったりなど、ファンサービスの一面を感じさせる。
3『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』(アニメ映画)(2016年)監督:原恵一
【概要・あらすじ】
杉浦日向子による日本の漫画『百日紅』を原作として制作されたアニメーション映画。第12回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品に選ばれた。
浮世絵師・葛飾北斎の娘で、同じく浮世絵師として活躍した女性・お栄が、父・北斎や盲目の妹のお猶、浮世絵の仲間たちとともに生きた姿を、江戸の町の四季を通して描く。
【考察】
葛飾北斎の娘であることは作中でそれとなく観客に提示するのではなく、冒頭の本人のモノローグで発覚するのがインパクトを与える。作品の構造としてはプロローグとエピローグをお栄本人がモノローグ形式で語り、死後のことなどについては文字のみで語られる。作中の描写としては、お猶の最期の演出や、絵の始末、伸びる手や腕の話など、芸術家や表現者に共通するような、言葉ではっきりとは表現しない・出来ない非常に感覚的な演出・表現が多い。父と並ぶ芸術家としてのお栄、一人の娘として恋をするお栄、お猶の前での姉としてのお栄など、多面的な描写からお栄という人物がどんな人物なのか、その半生を表現している。お猶と舟に乗った際に、北斎の富嶽三十六景の有名な構図を用いるなど、数多くの作品が作品内で引用されている。北斎やお栄の人物像に詳しくない人でも「この絵を見たことがある」というフックになりえる演出となっている。お猶は盲目であるため、必然的に絵に関する話題よりも今体験していることを視覚でないもので感じ取る感覚が、絵を生業とするお栄にとって良い刺激であるように思われる。
4『ブラック・ジャック 劇場版』(アニメ映画)(1996年)監督:出崎統
【概要・あらすじ】
手塚治虫のマンガ『ブラック・ジャック』を原作とするアニメーション映画作品。OVAシリーズの流れを汲む作品で、原作にはない劇場用オリジナルストーリーとして製作された。
1996年のオリンピックにて、驚異的な新記録が次々に打ち立てられ、世界は「超人類の出現」として囃し立てる。「超人類」の活躍は芸術や科学の分野にもおよび、世界は飛躍的な進歩を遂げようとしていた。しかし同じ時、ブラック・ジャックは老人のように摩耗した内臓を持つ少女の死に立ち会い愕然としていた。超人類たちとこの少女との間に隠されていた陰謀の魔の手が、真相を突き止めようとするブラック・ジャックへ伸びていく。
【考察】
作中で使われた特徴的な演出を挙げると、サーモグラフィーの演出と劇画調のカットである。原作の手塚漫画のデフォルメ調の絵柄とは異なり、キャラクター全般の頭身が高く、影が斜線で描き込まれているなどのリアルさを重視したカットが要所で印象的に差し込まれている。サーモグラフィーの演出では、「超人類」の持つ異常な体温を冒頭から表現しており、ドーピングに似ていつつも、異なる身体現象を演出している。この作品のシナリオは、科学技術による人体のエンハンスメントに対する懐疑の目を向けるものであり、人体や生命を人類の手によって制御しようとすることへの烏滸がましさや、万能感の危うさを顕わにする、原作の手塚漫画の思想を踏襲するものとなっている。『ブラック・ジャック』においては珍しいことではないが、物語の舞台設定がアメリカを中心に海外になっており、生命や自然を制御する万能感は日本よりアメリカなどの欧米の価値観において強い印象があるため、舞台が日本ではないのだろうかとも考えられた。
5『HELLO WORLD』(アニメ映画)(2019年)監督:伊藤智彦
【あらすじ】
2027年の京都市に住む主人公・堅書直実が、10年後の2037年から来たという自分自身から、自分の住む世界がシミュレーター内に再現された過去の世界であると聞かされ、まもなく出会うことになる将来の交際相手・一行瑠璃へと降りかかる悲劇の運命を回避するよう依頼される。
【考察】
映画のほぼ全編をフルCGで描画しており、主人公たちが存在するデータ世界を表現しており、データ世界ならではの演出は、『サマーウォーズ』のOZの世界を連想させる。二人の堅書によって、作品の前半は一行との交流を深めていく様や堅書の成長が描かれるが、一行のキャラクターが観客に魅力的に感じられるようなエピソードが多く描かれており、堅書に感情移入しやすくなっている。舞台が京都なこともあり、デジタル世界のUIデザインが、伏見稲荷大社や狐面、八咫烏などの和風のものをモチーフにしている。また、細田守作品に見られる非現実世界を表現する際に用いられる赤い輪郭線も見られた。未来から来た堅書は、実際は脳死状態であり、結末としては堅書が一行にしようとしていたことは最新の時間軸では立場が丸ごと逆転しており、データ世界という非現実世界での出来事が三重の入れ子構造になっていることがラストの五秒ほどで観客にはっきり分かるようになっている。また、この最後の場面だけはフルCGではなく2Dのアニメ作画になっており、本当の現実世界であることが示されている。主人公の修行のシーンではほとんどダイジェストが使われており、『君の名は。』の新海監督の影響を感じられる。
6『ハウルの動く城』(アニメ映画)(2004年)監督:宮崎駿
【概要・あらすじ】
イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説『魔法使いハウルと火の悪魔』を原作として制作されたスタジオジブリのアニメーション映画作品。
魔法が存在する国で、ソフィーは父から受け継いだ古い帽子屋を営んでいた。ある日、ソフィーは街中で兵隊に絡まれ困っているところを魔法使いのハウルに助けられる。その晩、荒地の魔女がソフィーの営む帽子屋に訪れ、ソフィーに90歳の老婆になる呪いをかけてしまう。これまで通りの生活は出来ないと悟ったソフィーが家を出て荒地に向かうとハウルの城に遭遇し、掃除婦としてハウルの城に転がり込むことになる。
【考察】
ソフィーの姿が作中で何度も大きく変わっているのが印象的ではあるが、他にも作中に登場するハウルの城の住人は、ほとんどの全員が容姿や内面に大きな変化がある。ソフィーは老婆から星の色の髪を持つ女性になったり、ハウルは金髪から黒髪、時に牙と爪と翼を持つ怪物になったり、マルクルは老人の魔法使いの姿になり、荒地の魔女は老婆の姿に変わる。ほとんどのキャラクターが心境や立場、力などの変化に対応して容姿も変化していると考えると、ソフィーやハウルは自尊心や自立心、マルクルは外部の人間とハウルの弟子として振る舞うときには老人の姿に、荒地の魔女は魔法の力とサリマンとの力関係とを分かりやすくしたことや、ハウルと結ばれるヒロインが誰になるのかがはっきり示されているようにも考えられる。また、ハウルの髪色が金から黒に変わるのには、元は地毛が黒であるハウルと、サリマンに使える侍従が幼少の頃の金髪のハウルに似ていることから、金髪はあらゆる意味で美意識や価値観、執着がサリマンに支配されている状態で、黒髪になる頃にはその呪縛が解けた状態だと推測される。ヒンの体重が見た目の割に重かったり、喉を潰された犬のような声で鳴くことだったり、実は耳で軽々飛び上がれるといったことを踏まえると、ヒンの正体は、元はサリマンに仕えていた人間の魔法使いなのではないかと考えられる。字幕がないと分かりづらいが、映画の序盤にソフィーがハウルと出会う路地に入る場面から、国民が国の臨む戦争についての話題に触れている会話があり、作中の至るところで背景に戦争に向けて着実に動き出している描写が施されている。
7『北極百貨店のコンシェルジュさん』(アニメ映画)(2023年)監督:板津匡覧
【概要・あらすじ】
西村ツチカによる漫画作品『北極百貨店のコンシェルジュさん』を原作とするアニメーション映画作品。
新⼈コンシェルジュとして秋乃が働き始めた「北極百貨店」は、来店されるお客様が全て動物という不思議な百貨店。 ⼀⼈前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに⾒守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えた客が現れる。そんな客たちの要望に応えながら、コンシェルジュとしての成長を描く。
【考察】
原作の漫画の記号的な絵柄を踏襲した、輪郭線が繋がっていないふわふわとした作画が特徴的な作品。輪郭線の色も薄目で、黒ではなく茶色などの別の色を使用しており、画面全体が明るい鮮やかな色使いなのも特徴の一つ。秋乃がコンシェルジュとして働き始めてから、場面のカットにベルの音が使われており、店内で接客をするのに目まぐるしく対応に追われる様子を演出している。世界観が不思議な背景を持っており、北極百貨店が出来た詳しい背景は語られないものの、別々の時代に人間の手によって絶滅した動物がVIPならぬVIAとして、人間のコンシェルジュから好待遇の接客を享受している様子は、これまでの人間の行いに対する皮肉や戒めであるように表現している。なぜ別々の時代に“既に絶滅した”と分かっている動物が百貨店にいるのか、なぜ動物たちが人間と同じ言葉を喋っているのか、北極百貨店とは一体何なのか、そういった謎についての詳細は語られず、観客に解釈を任せる形になっている。VIAの客は、そのほとんどがそれぞれの大切な存在のために百貨店に訪れており、その気持ちに寄り添うコンシェルジュの精神は、欲望とは反対の精神であると示され、新たな絶滅種を生み出さないために重要な精神であると訴えかけている作品と考えられる。キャラクターの担当声優に、芸能人声優や俳優、新人の声優を起用していないのも、近年のアニメ映画の中では特徴と言える。
8『BLUE GIANT』(アニメ映画)(2023年)監督:立川譲
【概要・あらすじ】
石塚真一、NUMBER8による日本の漫画『BLUE GIANT』を原作とするアニメーション映画作品。
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大。雨の日も風の日も、毎日たったひとりで、何年も河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会う。大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組む。そこへ大に感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。
【考察】
私自身音楽の良し悪しは分からない人間ながらも、見事な演奏だと感じるほどのジャズ演奏は観客の聴覚の期待に応える作品だと言える。ただ、実際に演奏をする場面ではCGのモーションキャプチャーを用いた作画になり、それが演奏シーン以外の作画と大きく異なるためにやや浮いてしまう印象はある。しかしそれでもなるべく画面上で浮かないように画面の角度や色合いが調整されているように感じる。演奏中に過去回想のカットが差し込まれることが何度かあるが、これは昨今の新海作品特有のダイジェストとは少し異なり、「音に感情を乗せる」ことの表現になっていると思われる。演奏中にカメラが奏者や会場を大きくグルグルと回る演出が特徴的である。音楽による演出だけでなく、サックスの口から響く音圧を細かい線で描画したり、会場の静かな熱気を火花のような描写で表現したりなど、視覚的な演出も豊富に込められている。最後の会場での演奏では、「BLUE GIANT」という名前の由来にふさわしく、青色をベースに宇宙や恒星をモチーフにしたジャズの空気感を演出している。会場外の夜の場面では青色をベースに、会場内ではオレンジなどの暖色系の色をベースに背景が描かれており、熱気と冷気がそれぞれの色で対応して対比の構造になっている。背景も含めて画面全体が球体のように大きく回るように動く演出は、同じ立川監督が監督をしている『モブサイコ100』でも見られる表現だと考えられる。ストーリーとしては、バンドメンバー三人で方針についてぶつかり合いながらも、互いの成長を見守り認めつつ夢の舞台を目指す物語となっており、王道な青春スポ根に似た内容になっている。
9『心が叫びたがってるんだ。』(アニメ映画)(2015年)監督:長井龍雪
【概要・あらすじ】
フジテレビ系列『ノイタミナ』で放送された『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のメインスタッフ「超平和バスターズ」が再集結して制作されたアニメーション映画作品。第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品。
夢見がちでお喋りの少女・成瀬順は、山の上に建つ城の舞踏会へ行くことに憧れていた。下校中に城に向かうと、父が車で見知らぬ女性を助手席に乗せて城から出るところを目撃する。ラブホテルだと知らない順は、無邪気に父のことを母に話すと、「それ以上しゃべっちゃだめ」と黙らされ、離婚されて家を出る父は、縋る順を「全部おまえのせいじゃないか」と責める。そんな順は突然現れた“玉子の妖精”に、言葉を発すると腹痛になる呪いをかけられる。以来、口も心も閉ざしたまま高校二年生になった順は、担任から地域ふれあい交流会の実行委員に任命される。
【考察】
作品内において、やはり「言葉」や「伝えること」がかなり重要なキーワードとして設定されている作品だと感じる。言葉は時に人を傷つけ、どんなに後悔しても言ってしまった言葉を取り返すことは出来ない。自身の言葉によって家族がバラバラになってしまったトラウマを持つ主人公にとって、言葉というのは忌避の象徴であり、加えてそれを再び自分の迂闊さによって生み出してしまうかもしれないという恐怖を内包するものとして表現されている。また、自分の内面にある感情も、自分で言葉にしなければ相手に伝えることも叶わない。それは自分の心の内を相手に明かす行為でもあり、時には痛みも伴う行為となる。玉子は近所にある神社の供え物としての側面があるが、自身の殻の内側に存在する言葉にならない感情を黄身とし、自身の殻を割ってしまえば黄身が漏れて死んでしまう(=全てが破滅する)という暗示で、順は言葉を口にすることを自分で封印する状態になっている。主人公は身近な人間にあまり恵まれず、浮気などをする父親が全面的に悪いのにも関わらず父から「全部お前のせい」と責められ、母親からは無口になったことをみっともないと疎まれ、なぜそうなったのかの原因に理解を示されないといったところが描写されており、主人公に感情移入する観客としてはフラストレーションが溜まる場面も多い。しかし、いざ主人公が自分の内に籠った感情を打ち明ける場面の最後に出てきたのはメイン男子への告白の言葉であり、無口の原因になった両親については触れられない。王道な恋愛的な展開にはならず、メインの男子キャラが主人公とくっつくわけではなく、エピローグ的に別の主要男子キャラから告白されるのが少しリアルさを演出しているように見える。サブヒロインがメインヒーローと過去に交際経験がある、ラブホテルを物語の鍵となる場所にするなど、幼い子供向けの作品というよりは、中学・高校辺りの思春期を迎えた青少年向けの少しドロドロした人間描写が独特の作風を持つ。
10『さよならの朝に約束の花をかざろう』(アニメ映画)(2018年)監督:岡田麿里
【概要・あらすじ】
P.A.WORKS制作による日本の長編アニメーション映画。「ぴあ映画初日満足度ランキング」第2位。
人里離れた土地で、ヒビオルという布を織りながら静かに暮らす、長い寿命を持つイオルフの民の少女マキア。ある日、イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる獣にまたがるメザーテ軍が攻め込んできたことから、イオルフの民の平穏な日々は崩壊する。親友や思いを寄せていた少年、そして帰る場所を失ったマキアは森をさまよい、そこで親を亡くしたばかりの、人間の孤児の赤ん坊を見つける。マキアは赤ん坊の母として子供を育てていくが、子供が成長してもマキアの姿は変わらないまま月日が流れていく。
【考察】
監督は、前に取り上げた作品『心が叫びたがってるんだ。』の脚本を務めた岡田麿里氏によるもので、ファンタジックな世界観の作風ながらも、主人公がかつて純粋な気持ちで自身を守ると約束してくれた血の繋がらない息子から、体格年齢が釣り合ってきた時、酔って正気ではないとは言え性的関係を持ちかけられる、主人公の幼馴染は想い人とは別の相手と無理やり結婚させられて子供を生まされるなど、性関連のドロドロした少しグロテスクな人間関係描写が似通っていると感じられた。生命の連鎖や、長命種による年齢感の逆転現象など、『葬送のフリーレン』で主題にされるような要素がある。作品全体の背景美術はスケールが大きく、地方によって統一感があって、観客から見ても世界観の想像がしやすくなっている。ただ世界観が作りこまれていると思われる分、途中から説明の少ない専門用語が増えて少し難解に感じられる。マキアは拾った赤子の髪色に合わせて同じ色に髪を染めるが、数年後にイオルフの民の同胞に誘拐され長らく幽閉された際に、染められなかった部分を残して染められた部分だけを切り落とされる場面があるが、染めていた部分が丁度息子と過ごした年月分が染められた長さで、地毛の部分の長さが息子と離れ離れになって一イオルフの民として、「母」の要素が徐々に失われていく描写がされている。息子の子孫までも見守り続けることを決めたマキアが家を訪問する場面では、かつて同じ家で暮らしていたこともあり、同ポの表現を用いて、過去との差異を表現している。同ポの技法をよく使う監督として細田守が挙げられることが多いが、長い年月をモチーフとする本作では効果的であると思われる。
11『金の国 水の国』(アニメ映画)(2023年)監督: 渡邉こと乃
【概要・あらすじ】
岩本ナオによる同名の漫画作品を原作として制作されたアニメーション映画作品。原作漫画は2016年、「このマンガがすごい!オンナ編1位」を受賞した。
王女サーラが住む金の国ことアルハミトと、貧しい建築士ナランバヤルの住む水の国ことバイカリは、些細な原因で戦争をして以来、100年間国交を断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国家間の思惑に巻きこまれて偽りの夫婦を演じることとなる。サーラの国の深刻な水不足と、自国の経済的衰退を案じたナランバヤルは、二国間の国交を回復させようと動き出す。
【考察】
出て来る言葉こそ暗殺などのきな臭いものが多いものの、物語の展開としては終始残酷なものは無く、サーラとナランバヤルの関係値も穏やかで微笑ましいもので、二人の間に何かしらの誤解があったとしても、観客にだけ分かる形で誤解が解けるように演出してあったり、比較的早急に解決していったりしていくので、観客にかかる精神的なストレスが低い作品だと考えられる。小さな問題が発生してストレスに感じたとしても、早急に、観客の予想を超える方法で解決していき、それが立て続けに何度もあるため、観客の満足度は高いと思われる。両者の間に育まれるお互いを思いやる穏やかな愛と、主にナランバヤルの知能と行動力から物語が展開し、サーラはナランバヤルの仕事を見守りつつ、バイカリに行って図らずも国交の手助けになるようなことをしていたり、序盤にある伏線も終盤で回収されたりなど、「こういうのでいい」と思わせるような作品となっている。ナランバヤルの容姿はそこまでイケメンといった派手なものではなく、あくまで一般家庭出身の一学者としてデザインされているのも特徴の一つである。例を挙げるならば『ワンパンマン』のサイタマのような顔立ちをしている。サーラの場合、一応アルハミトの姫ではあるのだが、第93王女であるため、ほとんど姫として強力な権力を持つわけではない。純真ながらやや自己肯定感の低い心を持つ彼女の性格によって、些細なことから国交が回復する伏線を回収した時には、物語が綺麗に収まっており、完成度の高いものとなっている。ただ、文字列が独特で字幕がないと固有名詞をはっきりと把握出来ないことがある。
12『AKIRA』(アニメ映画)(1988年)監督:大友克洋
【概要・あらすじ】
大友克洋による同名の漫画を原作とした1988年7月16日公開の長編アニメーション映画。監督を原作者の大友氏が務める。
新型爆弾の爆発により旧東京が壊滅したことを発端に勃発した第3次世界大戦から38年が経過した2019年、爆心地東京は東京湾を埋め立て、そこに新たな大都市「ネオ東京」として再興し、繁栄を取り戻しつつあった。暴走族として練り歩いていた少年たちの一人である鉄雄はバイクで疾走中、突然飛び出してきた老人のような少年と事故を起こしてしまう。駆けつけた軍は少年と彼に接触した鉄雄を連れ去っていった。その騒動下で金田は軍に対抗するゲリラと知り合い、軍との戦いに巻き込まれていく。
【考察】
作画が、公開された年代に反しているオーパーツ的な作品と言われているが、特に序盤で金田がバイクで横滑りしながら停車する場面は、本作を見たことがないにしても国内外問わず様々な作品でオマージュされており、影響力の強さが窺える。物質の質感を無視した動きではなく、出来る限りその質感や現象のリアルな描画がされており、走り去るバイクのランプの光の尾を引く表現や、ヒビ割れるアスファルトの地面、爆発など、当時のアニメーション作品の中ではリアルに徹底しているのも特徴である。序盤で現れる老人のような顔の子供は、『ブラック・ジャック 劇場版』のように、人間の手によって超常的な力を手に入れさせられ、その引き換えに陥った容姿であろうことは観客にも想像しやすい。周囲に対し劣等意識があった鉄雄が、ひょんなことから超能力を手に入れたことにより、肥大化した自己承認欲求から周囲を衝動的に破壊して見下しながら回る様がリアルで痛々しい。超能力に目覚めたものの中には容姿に変化が現れたり、身体の一部が不自由になったり、悪夢のような幻覚を見るなど、心身に深刻な損傷を与えるものがほとんどで、無理に覚醒させる行為は観客にとって悪印象しかないのだが、現に倫理的な問題から実験に反対する軍の人間と人類の発展の為に推し進めようとする科学者の間でジレンマが起こっており、前者が生き残って後者が死ぬことからも作品の指針が読み取れる。浮遊したり、レーザー照射を歪ませたり念動力を用いて地形を変形させたりといった超能力を用いた異能力バトル描写に関しても、後の作品に残した影響は大きいと思われる。
13『パーフェクトブルー』(アニメ映画)(1998年)監督:今敏
【概要・あらすじ】
竹内義和の小説『パーフェクト・ブルー 完全変態』を原案として制作されたアニメーション映画作品。内容は原作と大きく異なる。
アイドルグループ「チャム」のメンバーで活動していた霧越未麻は、ドラマの出演をきっかけに女優の魅力に気づき、脱退宣言をして女優に転身する。アイドルのイメージから仕事になかなか恵まれない状況が続き、イメージを変えようと事務所の社長である田所は過激なシーンや写真集などの仕事も積極的に出させようとするが、そんな折に事務所に送られてきた手紙が爆発するという事件が起こる。また、同時期に「未麻の部屋」と呼ばれるサイトが立ち上がっていることを知る。しかし、未麻本人しか知り得ないようなことも詳細に書かれた、まるで今もアイドルを続けている自分が書いているかのようなその内容に、誰かに監視されているのではないかという疑心暗鬼に陥り始める。
【考察】
今敏監督作品特有の「現実と虚構が融け合う」特徴を有する作品と言える。女優の仕事の一環で自身が汚れていく侵食の感覚と、あのままアイドルを続けていたらと思う幻想、鏡の反射や『エヴァンゲリオン』でも見られるような目覚めのバンクシステムなどから、今未麻がいる世界が夢なのか現実なのか、区別が観客目線でもつきづらいやや難解な作品となっている。作品の実体はサイコホラー作品であり、未麻にまつわる一連の事件の犯人は、状況から見ると意外と的が絞りやすい作品となっている。女優の未麻がストリップのシーンを撮影しているのに対し、幻想のアイドルのミマは短いスカート姿で跳ね回るもスカートの中が見えることはほぼない。ミマがピザ屋の配達員となって写真家を殺害するシーンの後、未麻が目覚めてクローゼットの中に血がついたピザ屋の制服を発見する場面では、殺害したミマと本物の未麻は別人だが、映像の繋がりで本物の未麻が持つ殺意から本当に衝動的に犯行に至ったのではないかと観客が疑ってしまう構造となっている。本人ではない別人が運営している非公式のホームページだったり、未麻が演じる役の少女も姉に成り代わる妹の役だったりと、「自分ではない誰か、別人に成り代わる」ことがキーワードになっている。
14『岬のマヨイガ』(アニメ映画)(2021年)監督:川面真也
【概要・あらすじ】
柏葉幸子による日本の児童文学『岬のマヨイガ』を原作として制作されたアニメーション映画作品。登場人物設定や舞台などは原作と異なる。
東日本大震災で多くの犠牲者が出た岩手の狐崎。家出少女のユイは、避難所の裏の神社で、幼い少女のひよりと出会う。両親を交通事故で失い、身を寄せた親戚の家で震災に巻き込まれ、二度も家族を失ったひよりはショックから声が出せなくなっており、ユイは彼女のことを気にかけていた。身を寄せる場がないのはユイも同じだったが、避難所で出会った老女キワがユイとひよりを孫と偽って引き取ることを決め、岬に立つ古民家で3人は共同生活を行うことになる。
【考察】
東日本大震災関連の背景がある作品であるが、河童や地蔵といった妖怪のような、人間に協力してくれるふしぎっとや、人をもてなすことに喜びを覚えるマヨイガといった、作品全体に暗すぎない愉快な雰囲気をもたらすキャラクターや存在がいるおかげで、総合的に震災による喪失の悲しみに寄り添う優しい印象の作品となっている。被災後ゆえに地域の人々と協力して生活していく様子や、自分だけ生き残ったことによるサバイバーズ・ギルトの想いが町の中で渦巻いている様が描写されている。ひよりの声は終盤まで出ることはないが、それが物語の中で、登場人物たちの踏む段階の一つの目安として示されている。「アガメ」や「あったずもな」などの東北の方言由来の言葉が温かな雰囲気を醸し出すのにも一役買っていると思われる。なぜキワが二人を引き取ったのかの詳細な理由が分からないのが少し引っかかる。
15『ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜』(アニメ映画)(2009年)監督:佐藤信介
【概要・あらすじ】
フジテレビ開局50周年記念作品として制作されたCGアニメーション映画。第33回日本アカデミー賞:優秀アニメーション作品賞を受賞している。
子供の頃は大切にしていたが、いつしか放置されてしまったおもちゃや絵本などの宝物。そうした“ほったらかし”にされたものを集めて作られた不思議な「ホッタラケの島」にまつわる昔話がある。幼い頃に母からもらった形見の手鏡を、昔話の儀式に沿って見つけ出そうとする女子高生の遥は、誤って家の鍵を不思議なきつね・テオに持ち去られてしまう。その後を追う内に、遥は「ホッタラケの島」に迷い込む。
【考察】
フル3DCG作品で、昔話の場面以外は基本的に日本風のディズニー映画のような雰囲気を持つ作品。概ね良作だが、主人公がホッタラケの島に飛ぶ飛空艇を見ていきなり「誰?」と言ったり(ホッタラケの島を支配する男爵が乗っている、一応飛空艇には男爵の顔に似た装飾が施されている)、指名手配される主人公たちのいる場所をどうやって追っ手が突き止めたのかが分からなかったりと、辻褄が説明されず観客が疑問を抱く部分があるように思われる。また、テオに絡む三人組の狐も、そこまでしてテオに執着して追い回す理由については触れられず、よくある“いじめっこ”や、“ピンチの時には協力してくれるタイプの悪ガキ”のようなキャラクターとしての要素が全面に描かれているように見られた。細かいながらも「何故そうなったのか」が分からず、気になる箇所がわずかに見受けられる。『不思議の国のアリス』と似たような話の流れになっており、細かい所やご都合で処理されているのかと思われる点もあり、主人公が人間であることをホッタラケの島の住人の狐に知られぬよう仮面を被るのだが、体格や身体構造が明らかに狐とは異なるものであるにも関わらず、仮面を外した時にやっと人間であることがバレるという、顔でしか人間を判別出来ない視力なのかと思いきや、数十メートル離れた場所にあるものを正確に見て判別することが出来る離れ業をやってのけるなど、合理性が見えず、引っかかる箇所が挙げられる。
16『ホーホケキョとなりの山田くん』(アニメ映画)(1999年)監督:高畑勲
【概要・あらすじ】
いしいひさいち原作の漫画『ののちゃん』を元に制作されたジブリのアニメーション映画作品。作品内容は原作の4コマエピソードを繋ぎ合わせたオリジナルストーリーである。『朝日新聞』朝刊の4コマ漫画作品として『となりのやまだ君』の題で連載が開始された。同作者の『おじゃまんが山田くん』を意識して付けた名前だったが、主人公・のぼるよりも妹・ののちゃんの人気が高かったため、1997年に題と主人公が変更された。
夫・たかし、妻・まつ子、祖母・しげ、長男・のぼる、長女・のの子が暮らす山田家。時にはアクシデントやトラブルを交えながらも、ありふれた普通の毎日を送る5人の日常の姿を描いた作品。
【考察】
『あたしンち』をアニメ化した際と似たような雰囲気の映像化だが、輪郭線が繋がっておらず全体的に丸っこいふわふわした柔らかい雰囲気の絵柄で、背景が描き込まれることも稀で、原作の絵柄を踏襲していると思われる。主に四コマ漫画の内容をいくつか繋げたようなエピソードが一塊になり、それが季節や時期を変えて何個も送られていく形となっている。しかし、冒頭や隙間ではアニメーション作品ならではの、ヌルヌルとした美麗な作画でダイナミックな動きをしたり、少しシリアスな時にはキャラクターの頭身が上がって一気にリアル調になったりするシーンがある。それでも作品全体の空気感を壊すほどのものではなく、冒頭、合間、エピローグではアニメで描画される規模が広くなり、やや長めなエピソードが差し込まれる。空想世界のような演出もあるが、最後にはこれからも日常が続いていくような、出先で外食に何を食べようか決めながら作品の主題歌が流れて終わる終わり方は、視聴後にきれいに締めくくられていると観客が感じるような演出となっている。一つのパートが終わるごとに、有名で日常に根差した俳句が詠まれる演出で、グダグダと続いて垂れ流している印象を与えぬよう引き締めている。
17『雲のむこう、約束の場所』(アニメ映画)(2004年)監督:新海誠
【概要・あらすじ】
『ほしのこえ』に続く、新海監督の2作目の劇場用アニメーション映画である。
米軍統治下の日本、青森に暮らす中学生の藤沢浩紀と白川拓也は、海峡を挟んだ北海道に立つ巨大な塔に憧れ、いつかその塔を目指すため、廃駅跡で密かに飛行機の組み立てに勤しんでいた。ある夏休み、2人はもうひとつの憧れの存在・同級生の沢渡佐由理に、飛行機の秘密について打ち明ける。3人は一緒に塔を目指す夢を共有し、ひと時の幸せな時間を過ごすが、中学3年の夏、佐由理は理由を告げることなく突然転校してしまう。
【考察】
昨今の新海作品の特徴の共通点として、レンズフレアなどのカメラ的な演出、改札やドアなどの境界線がある場所の足元のアップカット、主人公のかなり長めのモノローグなどが見受けられる。いわゆる「セカイ系」作品の代表例として挙げられる作品で、ヒロインの体質が世界の均衡や平和に多大な影響を与える設定は、『天気の子』とも繋がるテーマのように思える。また、ヒロインが見続ける夢の中の世界と現実世界がリンクしてやり取りが出来る場面があるが、このシーンは『君の名は。』にて、三葉と瀧が隕石湖のほとりで再開をするシーンに非常によく似た演出となっている。クライマックスで主人公とヒロインが飛行機に乗って塔に近づいた際には、空の様々な青色が何重にも代わる代わるステンドグラスのようなデジタルチックな演出によって、観客に伝わりづらい多重宇宙構造の実感を得られるものとなっている。
18『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』(アニメ映画)(2017年)監督:神山健治
【あらすじ】
岡山県倉敷市・児島で、車の改造ばかりしている父親モモタローと2人で暮らす女子高生の森川ココネ。 最近は常に眠気に襲われ、家や学校でも居眠りばかり。 さらに、寝ると決まって同じ夢を見ていた。 そんな2020年の東京オリンピックが目前に迫ったある日、父親が突然逮捕され、東京へ連行されてしまう。 ココネは父がなぜ逮捕されたのか、その謎を解くために幼なじみの大学生モリオを連れて東京へ向かう。
【考察】
絵柄としては、細田守作品のようなキャラクター自身に陰影が少ないデザインが特徴的である。主人公のココネはどこでも昼寝をしてしまい、その夢の中と現実世界が何故かリンクして不思議な現象を現実でも巻き起こしてしまうような構造になっているのだが、そのせいか主人公がどんな危機的状況でも眠りに落ちてしまうナルコレプシーのような人物になってしまっていると感じる。虚構と現実が融けあうような作風は今敏作品と似た雰囲気を感じるが、夢の世界は昔父が作った物語の世界で、そこでの出来事や不思議な現象と、それが現実世界にどんな影響を及ぼすのかについての仕組みの説明を、アニメの絵や動きではなくキャラクターに全て台詞で喋らせているのが味気なく感じた。全ての夢と現実世界の出来事を理屈で説明づけようとしている影響か、却って虚構と現実の融合感が薄れて観客が冷静に考察・理解出来るようになっている。実際、現実世界で起きる不思議な出来事はココネの夢によって引き起こされているわけではなく、きちんと現実世界の理にかなっている因果によって起こっている事象であることが後に分かるようになっている。長尺でココネが見ている夢を観客に見せていた意味が薄れてしまうように考えられる。
19『夜明け告げるルーのうた』(アニメ映画)(2017年)監督:湯浅政明
【概要・あらすじ】
湯浅政明氏による、オリジナルの長編アニメ―ション作品。
寂れた漁港・日無町で、父と祖父の3人で暮らす男子中学生カイ。両親の離婚が原因で東京から引っ越してきた彼は、両親に対し複雑な思いを抱えながらも口に出すことができず、鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、クラスメイトの国男と遊歩に誘われて人魚島を訪れたカイは、人魚の少女ルーと出会う。カイは天真爛漫なルーと一緒に過ごすうちに、少しずつ自分の気持ちを言えるようになっていく。しかし日無町では、古来より人魚は災いをもたらす存在とされていた。
【考察】
輪郭線が伸びやかで陰影がほとんどなく、二次元のアニメ的表現が目立つ作品で、2D作画なのに3Dのようなヌルヌルさを感じられる。同監督作品の『きみと、波にのれたら』のような水がブロック状になって動いたり浮いたりする描写が酷似している。更に、画面が分割するなど、漫画的な表現も多く見られた。閉塞的だった主人公の性格が、歌や自己開示を通して明るくなっていくが、中盤の部分では周囲の人間に焦点が当てられてほとんど登場せず、終盤まで空気のような存在感になっているように思われた。人魚が忌避される理由の一つに、人魚が動物を噛むと、下半身に尾ひれが生えて人魚のような姿にされてしまうという特性があるが、ルーが大量の保護犬に嚙みついた結果、マスコットキャラクターのような半犬半魚の「わん魚」という生物が生まれる。これによってその設定の悲壮さが薄れ、エンディングのオチに繋がっている。水中にいる時の表現では、もはやキャラクターの輪郭線が消滅し、ぐにゃぐにゃした色彩の塊によってキャラクターを表現している。
20『ねらわれた学園』(アニメ映画)(2012年)監督:中村亮介
【概要・あらすじ】
眉村卓のベストセラー小説『ねらわれた学園』の初のアニメ映画化作品であり、テレビアニメ『魍魎の匣』などを手がけた中村亮介の劇場初監督作品である。
鎌倉の中学校に通う関ケンジは、始業式の朝、密かに思いを寄せる春河カホリと言葉を交わすことができて有頂天になるが、ケンジの幼なじみでカホリの友人でもある涼浦ナツキは、そんな2人を複雑な思いで見つめる。 そしてその日、ケンジたちのクラスに京極リュウイチという謎めいた転校生がやってくる。 カホリは京極にひかれていくが、やがて京極の周囲で不思議な出来事が起こり始める。
【考察】
涼宮ハルヒと似た雰囲気を持つ平成の二次元オタク的作品の代表のような作風で、ラッキースケベ的な演出や主人公の股間回りのいじり(チャックが開いていることを好きな女子に指摘される、なぜかそこまで時間的に切羽詰まっている状況でもないのに、水泳の授業後に水着姿から着替えずにヒロインを救出しに来たのち、水着の中からケータイを取り出すなど)、分かりやすく鈍感かつ重要な場面で難聴になる主人公の演出から、やや時代感を覚える作品となっている。ヒロインが昨今の作品に比べて主人公に対し攻撃的なのも特徴で、主人公がヒロインを怒らせるようなことを言っては主人公を殴る蹴る、という構成が時代を感じさせる。本作のテーマとしては、携帯電話での疑似的な繋がりは人と本当に心を通わせたことになるのか、本当に人の心に寄り添うにはどうしたらいいのかということや、感情をノイズとし不要なものとする未来との対比、心は繋がらないけれど手は繋がる、という、人と人との繋がりについて意識して演出している。未来の世界がどうなったのか、主人公とヒロインの過去に何が具体的にあったのかなどは詳しく語られない。主人公は過去に一度死んだらしいものの、そこについての掘り下げがほぼ無いのが意外だった。画面全体が光のエフェクトを使用しており、特に幻想的なシーンの演出の際にはかなり強くエフェクトが使われているため、観客の目に負担がかかりそうだと予測する。少し話の流れが飛んだり、突拍子もない展開になったりすることもあるが、キャラクター造形や背景描写が魅力的なSF青春学園ものの作品となっている。
1『海がきこえる』(アニメ映画)(1993年)監督:望月智充
【概要・あらすじ】
氷室冴子による小説『海がきこえる』を原作として、1993年にスタジオジブリが制作したアニメーション映画作品である。
高知の中高一貫校を出て東京の大学に進学した主人公・杜崎拓は、吉祥寺駅のホームで高校時代に東京から転入してきた武藤里伽子によく似た女性の後ろ姿を見かける。その後、拓は同窓会のため高知へと帰省する道中、飛行機の中で里伽子と出会った高校時代の想い出を振り返る。
【考察】
物語の構造としては時系列通りではなく、直近の時間軸の間に過去回想が挟まれている構造となっている。クライマックスが最も未来なので、観客は杜崎と武藤の二人の関係がどうなるのか分からないまま、予想しつつ回想を見ることになる。素直になりきれず思っていることを正直に言えないような思春期のキャラクター造形や、噂話が広がるのが非常に早い地方の田舎の描写はとてもリアルで、二次元的なデフォルメの効いた表現などはあまり感じられず、大人になった観客が見てもまるで自分自身の過去のように思えるほど「等身大」という印象だった。未成年の飲酒のシーンがあるなどの理由からか地上波などでほとんど見ることが出来ない作品だが、思春期の青少年を緻密に描写した作品。同窓会で大人になった同級生たちの振る舞いから分かる登場人物の成長や、武藤と杜崎の間にある感情が何なのかが最後にようやく確定する、その演出の仕方も伏線があるなど、非常に巧みだと言える。演者たちの土佐弁も自然で、見ていて独特のリズムが作品のテンポに良い演出となっている。
2『耳をすませば』(アニメ映画)(1995年)監督:近藤喜文
【概要・あらすじ】
柊あおいによる漫画『耳をすませば』を原作とし、1995年にスタジオジブリが制作したアニメーション映画作品である。
読書好きの中学三年生・月島雫は、夏休みも勉強せずに図書館通いの日々を送っていた。雫は自分が借りる本の貸出カード履歴に、決まって「天沢聖司」の名前があることに気づき、素性の知れない彼を気にするようになる。ある日、雫が友達に『カントリーロード』の替え歌『コンクリートロード』の歌詞を見せていたところ、見知らぬ少年から馬鹿にされる。しばらくして、図書館へ向かう道中で出会った野良猫の後を追って見つけたアンティークショップで、『コンクリートロード』を馬鹿にした少年が天沢聖司だと発覚する。
【考察】
話全体の展開の速さが丁度良く、ダレない速さで進んでいく。観客としては天沢聖司の正体が誰なのか物語の序盤で何となく察しがつくが、作中で雫が天沢聖司の正体に確信を得るのは観客が察するよりも遅めになっている。これは雫の空想の中の「天沢聖司像」と「嫌味な少年」が結びつきづらかったためだと考えられる。雫や天沢を中心に、人間関係の他、将来の夢や目標に向かって邁進する若者の姿を中心に描いた作品であり、自分の持つ能力や才能の限界を知ることの恐怖や、それでも立ち向かう若者を周囲にいる大人が見守る構図が印象的である。才能を宝石の原石に例え、洞窟の無数にある石の中から原石を見つけ出そうとする描写が、雫たちの行動と準えられている。天沢が雫を自転車の後ろに乗せて朝焼けを見せに高台へ行くシーンでは、最初雫を乗せたまま急斜面を登ろうとするが、途中で雫が自転車から降りて、天沢の漕ぐ自転車を押しながら「お荷物だけなんていやだ」と二人で坂を乗り越えようとする場面は象徴的である。バイオリン職人になりたいという夢を追う天沢を応援するだけでなく、自分自身も夢を追いながら共に成長したいという雫の思いが表現された演出である。また、本作ではジブリ作品の要素が登場しており、「TOTORO」と書かれた本があったり、「porco Rosso」の文字が時計に刻まれていたり、魔女の宅急便のキキを思わせる魔女の飾りがあったり、土佐の段ボールがあったりなど、ファンサービスの一面を感じさせる。
3『百日紅〜Miss HOKUSAI〜』(アニメ映画)(2016年)監督:原恵一
【概要・あらすじ】
杉浦日向子による日本の漫画『百日紅』を原作として制作されたアニメーション映画。第12回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品に選ばれた。
浮世絵師・葛飾北斎の娘で、同じく浮世絵師として活躍した女性・お栄が、父・北斎や盲目の妹のお猶、浮世絵の仲間たちとともに生きた姿を、江戸の町の四季を通して描く。
【考察】
葛飾北斎の娘であることは作中でそれとなく観客に提示するのではなく、冒頭の本人のモノローグで発覚するのがインパクトを与える。作品の構造としてはプロローグとエピローグをお栄本人がモノローグ形式で語り、死後のことなどについては文字のみで語られる。作中の描写としては、お猶の最期の演出や、絵の始末、伸びる手や腕の話など、芸術家や表現者に共通するような、言葉ではっきりとは表現しない・出来ない非常に感覚的な演出・表現が多い。父と並ぶ芸術家としてのお栄、一人の娘として恋をするお栄、お猶の前での姉としてのお栄など、多面的な描写からお栄という人物がどんな人物なのか、その半生を表現している。お猶と舟に乗った際に、北斎の富嶽三十六景の有名な構図を用いるなど、数多くの作品が作品内で引用されている。北斎やお栄の人物像に詳しくない人でも「この絵を見たことがある」というフックになりえる演出となっている。お猶は盲目であるため、必然的に絵に関する話題よりも今体験していることを視覚でないもので感じ取る感覚が、絵を生業とするお栄にとって良い刺激であるように思われる。
4『ブラック・ジャック 劇場版』(アニメ映画)(1996年)監督:出崎統
【概要・あらすじ】
手塚治虫のマンガ『ブラック・ジャック』を原作とするアニメーション映画作品。OVAシリーズの流れを汲む作品で、原作にはない劇場用オリジナルストーリーとして製作された。
1996年のオリンピックにて、驚異的な新記録が次々に打ち立てられ、世界は「超人類の出現」として囃し立てる。「超人類」の活躍は芸術や科学の分野にもおよび、世界は飛躍的な進歩を遂げようとしていた。しかし同じ時、ブラック・ジャックは老人のように摩耗した内臓を持つ少女の死に立ち会い愕然としていた。超人類たちとこの少女との間に隠されていた陰謀の魔の手が、真相を突き止めようとするブラック・ジャックへ伸びていく。
【考察】
作中で使われた特徴的な演出を挙げると、サーモグラフィーの演出と劇画調のカットである。原作の手塚漫画のデフォルメ調の絵柄とは異なり、キャラクター全般の頭身が高く、影が斜線で描き込まれているなどのリアルさを重視したカットが要所で印象的に差し込まれている。サーモグラフィーの演出では、「超人類」の持つ異常な体温を冒頭から表現しており、ドーピングに似ていつつも、異なる身体現象を演出している。この作品のシナリオは、科学技術による人体のエンハンスメントに対する懐疑の目を向けるものであり、人体や生命を人類の手によって制御しようとすることへの烏滸がましさや、万能感の危うさを顕わにする、原作の手塚漫画の思想を踏襲するものとなっている。『ブラック・ジャック』においては珍しいことではないが、物語の舞台設定がアメリカを中心に海外になっており、生命や自然を制御する万能感は日本よりアメリカなどの欧米の価値観において強い印象があるため、舞台が日本ではないのだろうかとも考えられた。
5『HELLO WORLD』(アニメ映画)(2019年)監督:伊藤智彦
【あらすじ】
2027年の京都市に住む主人公・堅書直実が、10年後の2037年から来たという自分自身から、自分の住む世界がシミュレーター内に再現された過去の世界であると聞かされ、まもなく出会うことになる将来の交際相手・一行瑠璃へと降りかかる悲劇の運命を回避するよう依頼される。
【考察】
映画のほぼ全編をフルCGで描画しており、主人公たちが存在するデータ世界を表現しており、データ世界ならではの演出は、『サマーウォーズ』のOZの世界を連想させる。二人の堅書によって、作品の前半は一行との交流を深めていく様や堅書の成長が描かれるが、一行のキャラクターが観客に魅力的に感じられるようなエピソードが多く描かれており、堅書に感情移入しやすくなっている。舞台が京都なこともあり、デジタル世界のUIデザインが、伏見稲荷大社や狐面、八咫烏などの和風のものをモチーフにしている。また、細田守作品に見られる非現実世界を表現する際に用いられる赤い輪郭線も見られた。未来から来た堅書は、実際は脳死状態であり、結末としては堅書が一行にしようとしていたことは最新の時間軸では立場が丸ごと逆転しており、データ世界という非現実世界での出来事が三重の入れ子構造になっていることがラストの五秒ほどで観客にはっきり分かるようになっている。また、この最後の場面だけはフルCGではなく2Dのアニメ作画になっており、本当の現実世界であることが示されている。主人公の修行のシーンではほとんどダイジェストが使われており、『君の名は。』の新海監督の影響を感じられる。
6『ハウルの動く城』(アニメ映画)(2004年)監督:宮崎駿
【概要・あらすじ】
イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズの小説『魔法使いハウルと火の悪魔』を原作として制作されたスタジオジブリのアニメーション映画作品。
魔法が存在する国で、ソフィーは父から受け継いだ古い帽子屋を営んでいた。ある日、ソフィーは街中で兵隊に絡まれ困っているところを魔法使いのハウルに助けられる。その晩、荒地の魔女がソフィーの営む帽子屋に訪れ、ソフィーに90歳の老婆になる呪いをかけてしまう。これまで通りの生活は出来ないと悟ったソフィーが家を出て荒地に向かうとハウルの城に遭遇し、掃除婦としてハウルの城に転がり込むことになる。
【考察】
ソフィーの姿が作中で何度も大きく変わっているのが印象的ではあるが、他にも作中に登場するハウルの城の住人は、ほとんどの全員が容姿や内面に大きな変化がある。ソフィーは老婆から星の色の髪を持つ女性になったり、ハウルは金髪から黒髪、時に牙と爪と翼を持つ怪物になったり、マルクルは老人の魔法使いの姿になり、荒地の魔女は老婆の姿に変わる。ほとんどのキャラクターが心境や立場、力などの変化に対応して容姿も変化していると考えると、ソフィーやハウルは自尊心や自立心、マルクルは外部の人間とハウルの弟子として振る舞うときには老人の姿に、荒地の魔女は魔法の力とサリマンとの力関係とを分かりやすくしたことや、ハウルと結ばれるヒロインが誰になるのかがはっきり示されているようにも考えられる。また、ハウルの髪色が金から黒に変わるのには、元は地毛が黒であるハウルと、サリマンに使える侍従が幼少の頃の金髪のハウルに似ていることから、金髪はあらゆる意味で美意識や価値観、執着がサリマンに支配されている状態で、黒髪になる頃にはその呪縛が解けた状態だと推測される。ヒンの体重が見た目の割に重かったり、喉を潰された犬のような声で鳴くことだったり、実は耳で軽々飛び上がれるといったことを踏まえると、ヒンの正体は、元はサリマンに仕えていた人間の魔法使いなのではないかと考えられる。字幕がないと分かりづらいが、映画の序盤にソフィーがハウルと出会う路地に入る場面から、国民が国の臨む戦争についての話題に触れている会話があり、作中の至るところで背景に戦争に向けて着実に動き出している描写が施されている。
7『北極百貨店のコンシェルジュさん』(アニメ映画)(2023年)監督:板津匡覧
【概要・あらすじ】
西村ツチカによる漫画作品『北極百貨店のコンシェルジュさん』を原作とするアニメーション映画作品。
新⼈コンシェルジュとして秋乃が働き始めた「北極百貨店」は、来店されるお客様が全て動物という不思議な百貨店。 ⼀⼈前のコンシェルジュとなるべく、フロアマネージャーや先輩コンシェルジュに⾒守られながら日々奮闘する秋乃の前には、あらゆるお悩みを抱えた客が現れる。そんな客たちの要望に応えながら、コンシェルジュとしての成長を描く。
【考察】
原作の漫画の記号的な絵柄を踏襲した、輪郭線が繋がっていないふわふわとした作画が特徴的な作品。輪郭線の色も薄目で、黒ではなく茶色などの別の色を使用しており、画面全体が明るい鮮やかな色使いなのも特徴の一つ。秋乃がコンシェルジュとして働き始めてから、場面のカットにベルの音が使われており、店内で接客をするのに目まぐるしく対応に追われる様子を演出している。世界観が不思議な背景を持っており、北極百貨店が出来た詳しい背景は語られないものの、別々の時代に人間の手によって絶滅した動物がVIPならぬVIAとして、人間のコンシェルジュから好待遇の接客を享受している様子は、これまでの人間の行いに対する皮肉や戒めであるように表現している。なぜ別々の時代に“既に絶滅した”と分かっている動物が百貨店にいるのか、なぜ動物たちが人間と同じ言葉を喋っているのか、北極百貨店とは一体何なのか、そういった謎についての詳細は語られず、観客に解釈を任せる形になっている。VIAの客は、そのほとんどがそれぞれの大切な存在のために百貨店に訪れており、その気持ちに寄り添うコンシェルジュの精神は、欲望とは反対の精神であると示され、新たな絶滅種を生み出さないために重要な精神であると訴えかけている作品と考えられる。キャラクターの担当声優に、芸能人声優や俳優、新人の声優を起用していないのも、近年のアニメ映画の中では特徴と言える。
8『BLUE GIANT』(アニメ映画)(2023年)監督:立川譲
【概要・あらすじ】
石塚真一、NUMBER8による日本の漫画『BLUE GIANT』を原作とするアニメーション映画作品。
ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大。雨の日も風の日も、毎日たったひとりで、何年も河原でテナーサックスを吹き続けてきた。卒業を機にジャズのため、上京。高校の同級生・玉田俊二のアパートに転がり込んだ大は、ある日訪れたライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会う。大は雪祈をバンドに誘う。はじめは本気で取り合わない雪祈だったが、聴く者を圧倒する大のサックスに胸を打たれ、二人はバンドを組む。そこへ大に感化されドラムを始めた玉田が加わり、三人は“JASS”を結成する。
【考察】
私自身音楽の良し悪しは分からない人間ながらも、見事な演奏だと感じるほどのジャズ演奏は観客の聴覚の期待に応える作品だと言える。ただ、実際に演奏をする場面ではCGのモーションキャプチャーを用いた作画になり、それが演奏シーン以外の作画と大きく異なるためにやや浮いてしまう印象はある。しかしそれでもなるべく画面上で浮かないように画面の角度や色合いが調整されているように感じる。演奏中に過去回想のカットが差し込まれることが何度かあるが、これは昨今の新海作品特有のダイジェストとは少し異なり、「音に感情を乗せる」ことの表現になっていると思われる。演奏中にカメラが奏者や会場を大きくグルグルと回る演出が特徴的である。音楽による演出だけでなく、サックスの口から響く音圧を細かい線で描画したり、会場の静かな熱気を火花のような描写で表現したりなど、視覚的な演出も豊富に込められている。最後の会場での演奏では、「BLUE GIANT」という名前の由来にふさわしく、青色をベースに宇宙や恒星をモチーフにしたジャズの空気感を演出している。会場外の夜の場面では青色をベースに、会場内ではオレンジなどの暖色系の色をベースに背景が描かれており、熱気と冷気がそれぞれの色で対応して対比の構造になっている。背景も含めて画面全体が球体のように大きく回るように動く演出は、同じ立川監督が監督をしている『モブサイコ100』でも見られる表現だと考えられる。ストーリーとしては、バンドメンバー三人で方針についてぶつかり合いながらも、互いの成長を見守り認めつつ夢の舞台を目指す物語となっており、王道な青春スポ根に似た内容になっている。
9『心が叫びたがってるんだ。』(アニメ映画)(2015年)監督:長井龍雪
【概要・あらすじ】
フジテレビ系列『ノイタミナ』で放送された『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のメインスタッフ「超平和バスターズ」が再集結して制作されたアニメーション映画作品。第19回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門・審査委員会推薦作品。
夢見がちでお喋りの少女・成瀬順は、山の上に建つ城の舞踏会へ行くことに憧れていた。下校中に城に向かうと、父が車で見知らぬ女性を助手席に乗せて城から出るところを目撃する。ラブホテルだと知らない順は、無邪気に父のことを母に話すと、「それ以上しゃべっちゃだめ」と黙らされ、離婚されて家を出る父は、縋る順を「全部おまえのせいじゃないか」と責める。そんな順は突然現れた“玉子の妖精”に、言葉を発すると腹痛になる呪いをかけられる。以来、口も心も閉ざしたまま高校二年生になった順は、担任から地域ふれあい交流会の実行委員に任命される。
【考察】
作品内において、やはり「言葉」や「伝えること」がかなり重要なキーワードとして設定されている作品だと感じる。言葉は時に人を傷つけ、どんなに後悔しても言ってしまった言葉を取り返すことは出来ない。自身の言葉によって家族がバラバラになってしまったトラウマを持つ主人公にとって、言葉というのは忌避の象徴であり、加えてそれを再び自分の迂闊さによって生み出してしまうかもしれないという恐怖を内包するものとして表現されている。また、自分の内面にある感情も、自分で言葉にしなければ相手に伝えることも叶わない。それは自分の心の内を相手に明かす行為でもあり、時には痛みも伴う行為となる。玉子は近所にある神社の供え物としての側面があるが、自身の殻の内側に存在する言葉にならない感情を黄身とし、自身の殻を割ってしまえば黄身が漏れて死んでしまう(=全てが破滅する)という暗示で、順は言葉を口にすることを自分で封印する状態になっている。主人公は身近な人間にあまり恵まれず、浮気などをする父親が全面的に悪いのにも関わらず父から「全部お前のせい」と責められ、母親からは無口になったことをみっともないと疎まれ、なぜそうなったのかの原因に理解を示されないといったところが描写されており、主人公に感情移入する観客としてはフラストレーションが溜まる場面も多い。しかし、いざ主人公が自分の内に籠った感情を打ち明ける場面の最後に出てきたのはメイン男子への告白の言葉であり、無口の原因になった両親については触れられない。王道な恋愛的な展開にはならず、メインの男子キャラが主人公とくっつくわけではなく、エピローグ的に別の主要男子キャラから告白されるのが少しリアルさを演出しているように見える。サブヒロインがメインヒーローと過去に交際経験がある、ラブホテルを物語の鍵となる場所にするなど、幼い子供向けの作品というよりは、中学・高校辺りの思春期を迎えた青少年向けの少しドロドロした人間描写が独特の作風を持つ。
10『さよならの朝に約束の花をかざろう』(アニメ映画)(2018年)監督:岡田麿里
【概要・あらすじ】
P.A.WORKS制作による日本の長編アニメーション映画。「ぴあ映画初日満足度ランキング」第2位。
人里離れた土地で、ヒビオルという布を織りながら静かに暮らす、長い寿命を持つイオルフの民の少女マキア。ある日、イオルフの長寿の血を求め、レナトと呼ばれる獣にまたがるメザーテ軍が攻め込んできたことから、イオルフの民の平穏な日々は崩壊する。親友や思いを寄せていた少年、そして帰る場所を失ったマキアは森をさまよい、そこで親を亡くしたばかりの、人間の孤児の赤ん坊を見つける。マキアは赤ん坊の母として子供を育てていくが、子供が成長してもマキアの姿は変わらないまま月日が流れていく。
【考察】
監督は、前に取り上げた作品『心が叫びたがってるんだ。』の脚本を務めた岡田麿里氏によるもので、ファンタジックな世界観の作風ながらも、主人公がかつて純粋な気持ちで自身を守ると約束してくれた血の繋がらない息子から、体格年齢が釣り合ってきた時、酔って正気ではないとは言え性的関係を持ちかけられる、主人公の幼馴染は想い人とは別の相手と無理やり結婚させられて子供を生まされるなど、性関連のドロドロした少しグロテスクな人間関係描写が似通っていると感じられた。生命の連鎖や、長命種による年齢感の逆転現象など、『葬送のフリーレン』で主題にされるような要素がある。作品全体の背景美術はスケールが大きく、地方によって統一感があって、観客から見ても世界観の想像がしやすくなっている。ただ世界観が作りこまれていると思われる分、途中から説明の少ない専門用語が増えて少し難解に感じられる。マキアは拾った赤子の髪色に合わせて同じ色に髪を染めるが、数年後にイオルフの民の同胞に誘拐され長らく幽閉された際に、染められなかった部分を残して染められた部分だけを切り落とされる場面があるが、染めていた部分が丁度息子と過ごした年月分が染められた長さで、地毛の部分の長さが息子と離れ離れになって一イオルフの民として、「母」の要素が徐々に失われていく描写がされている。息子の子孫までも見守り続けることを決めたマキアが家を訪問する場面では、かつて同じ家で暮らしていたこともあり、同ポの表現を用いて、過去との差異を表現している。同ポの技法をよく使う監督として細田守が挙げられることが多いが、長い年月をモチーフとする本作では効果的であると思われる。
11『金の国 水の国』(アニメ映画)(2023年)監督: 渡邉こと乃
【概要・あらすじ】
岩本ナオによる同名の漫画作品を原作として制作されたアニメーション映画作品。原作漫画は2016年、「このマンガがすごい!オンナ編1位」を受賞した。
王女サーラが住む金の国ことアルハミトと、貧しい建築士ナランバヤルの住む水の国ことバイカリは、些細な原因で戦争をして以来、100年間国交を断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国家間の思惑に巻きこまれて偽りの夫婦を演じることとなる。サーラの国の深刻な水不足と、自国の経済的衰退を案じたナランバヤルは、二国間の国交を回復させようと動き出す。
【考察】
出て来る言葉こそ暗殺などのきな臭いものが多いものの、物語の展開としては終始残酷なものは無く、サーラとナランバヤルの関係値も穏やかで微笑ましいもので、二人の間に何かしらの誤解があったとしても、観客にだけ分かる形で誤解が解けるように演出してあったり、比較的早急に解決していったりしていくので、観客にかかる精神的なストレスが低い作品だと考えられる。小さな問題が発生してストレスに感じたとしても、早急に、観客の予想を超える方法で解決していき、それが立て続けに何度もあるため、観客の満足度は高いと思われる。両者の間に育まれるお互いを思いやる穏やかな愛と、主にナランバヤルの知能と行動力から物語が展開し、サーラはナランバヤルの仕事を見守りつつ、バイカリに行って図らずも国交の手助けになるようなことをしていたり、序盤にある伏線も終盤で回収されたりなど、「こういうのでいい」と思わせるような作品となっている。ナランバヤルの容姿はそこまでイケメンといった派手なものではなく、あくまで一般家庭出身の一学者としてデザインされているのも特徴の一つである。例を挙げるならば『ワンパンマン』のサイタマのような顔立ちをしている。サーラの場合、一応アルハミトの姫ではあるのだが、第93王女であるため、ほとんど姫として強力な権力を持つわけではない。純真ながらやや自己肯定感の低い心を持つ彼女の性格によって、些細なことから国交が回復する伏線を回収した時には、物語が綺麗に収まっており、完成度の高いものとなっている。ただ、文字列が独特で字幕がないと固有名詞をはっきりと把握出来ないことがある。
12『AKIRA』(アニメ映画)(1988年)監督:大友克洋
【概要・あらすじ】
大友克洋による同名の漫画を原作とした1988年7月16日公開の長編アニメーション映画。監督を原作者の大友氏が務める。
新型爆弾の爆発により旧東京が壊滅したことを発端に勃発した第3次世界大戦から38年が経過した2019年、爆心地東京は東京湾を埋め立て、そこに新たな大都市「ネオ東京」として再興し、繁栄を取り戻しつつあった。暴走族として練り歩いていた少年たちの一人である鉄雄はバイクで疾走中、突然飛び出してきた老人のような少年と事故を起こしてしまう。駆けつけた軍は少年と彼に接触した鉄雄を連れ去っていった。その騒動下で金田は軍に対抗するゲリラと知り合い、軍との戦いに巻き込まれていく。
【考察】
作画が、公開された年代に反しているオーパーツ的な作品と言われているが、特に序盤で金田がバイクで横滑りしながら停車する場面は、本作を見たことがないにしても国内外問わず様々な作品でオマージュされており、影響力の強さが窺える。物質の質感を無視した動きではなく、出来る限りその質感や現象のリアルな描画がされており、走り去るバイクのランプの光の尾を引く表現や、ヒビ割れるアスファルトの地面、爆発など、当時のアニメーション作品の中ではリアルに徹底しているのも特徴である。序盤で現れる老人のような顔の子供は、『ブラック・ジャック 劇場版』のように、人間の手によって超常的な力を手に入れさせられ、その引き換えに陥った容姿であろうことは観客にも想像しやすい。周囲に対し劣等意識があった鉄雄が、ひょんなことから超能力を手に入れたことにより、肥大化した自己承認欲求から周囲を衝動的に破壊して見下しながら回る様がリアルで痛々しい。超能力に目覚めたものの中には容姿に変化が現れたり、身体の一部が不自由になったり、悪夢のような幻覚を見るなど、心身に深刻な損傷を与えるものがほとんどで、無理に覚醒させる行為は観客にとって悪印象しかないのだが、現に倫理的な問題から実験に反対する軍の人間と人類の発展の為に推し進めようとする科学者の間でジレンマが起こっており、前者が生き残って後者が死ぬことからも作品の指針が読み取れる。浮遊したり、レーザー照射を歪ませたり念動力を用いて地形を変形させたりといった超能力を用いた異能力バトル描写に関しても、後の作品に残した影響は大きいと思われる。
13『パーフェクトブルー』(アニメ映画)(1998年)監督:今敏
【概要・あらすじ】
竹内義和の小説『パーフェクト・ブルー 完全変態』を原案として制作されたアニメーション映画作品。内容は原作と大きく異なる。
アイドルグループ「チャム」のメンバーで活動していた霧越未麻は、ドラマの出演をきっかけに女優の魅力に気づき、脱退宣言をして女優に転身する。アイドルのイメージから仕事になかなか恵まれない状況が続き、イメージを変えようと事務所の社長である田所は過激なシーンや写真集などの仕事も積極的に出させようとするが、そんな折に事務所に送られてきた手紙が爆発するという事件が起こる。また、同時期に「未麻の部屋」と呼ばれるサイトが立ち上がっていることを知る。しかし、未麻本人しか知り得ないようなことも詳細に書かれた、まるで今もアイドルを続けている自分が書いているかのようなその内容に、誰かに監視されているのではないかという疑心暗鬼に陥り始める。
【考察】
今敏監督作品特有の「現実と虚構が融け合う」特徴を有する作品と言える。女優の仕事の一環で自身が汚れていく侵食の感覚と、あのままアイドルを続けていたらと思う幻想、鏡の反射や『エヴァンゲリオン』でも見られるような目覚めのバンクシステムなどから、今未麻がいる世界が夢なのか現実なのか、区別が観客目線でもつきづらいやや難解な作品となっている。作品の実体はサイコホラー作品であり、未麻にまつわる一連の事件の犯人は、状況から見ると意外と的が絞りやすい作品となっている。女優の未麻がストリップのシーンを撮影しているのに対し、幻想のアイドルのミマは短いスカート姿で跳ね回るもスカートの中が見えることはほぼない。ミマがピザ屋の配達員となって写真家を殺害するシーンの後、未麻が目覚めてクローゼットの中に血がついたピザ屋の制服を発見する場面では、殺害したミマと本物の未麻は別人だが、映像の繋がりで本物の未麻が持つ殺意から本当に衝動的に犯行に至ったのではないかと観客が疑ってしまう構造となっている。本人ではない別人が運営している非公式のホームページだったり、未麻が演じる役の少女も姉に成り代わる妹の役だったりと、「自分ではない誰か、別人に成り代わる」ことがキーワードになっている。
14『岬のマヨイガ』(アニメ映画)(2021年)監督:川面真也
【概要・あらすじ】
柏葉幸子による日本の児童文学『岬のマヨイガ』を原作として制作されたアニメーション映画作品。登場人物設定や舞台などは原作と異なる。
東日本大震災で多くの犠牲者が出た岩手の狐崎。家出少女のユイは、避難所の裏の神社で、幼い少女のひよりと出会う。両親を交通事故で失い、身を寄せた親戚の家で震災に巻き込まれ、二度も家族を失ったひよりはショックから声が出せなくなっており、ユイは彼女のことを気にかけていた。身を寄せる場がないのはユイも同じだったが、避難所で出会った老女キワがユイとひよりを孫と偽って引き取ることを決め、岬に立つ古民家で3人は共同生活を行うことになる。
【考察】
東日本大震災関連の背景がある作品であるが、河童や地蔵といった妖怪のような、人間に協力してくれるふしぎっとや、人をもてなすことに喜びを覚えるマヨイガといった、作品全体に暗すぎない愉快な雰囲気をもたらすキャラクターや存在がいるおかげで、総合的に震災による喪失の悲しみに寄り添う優しい印象の作品となっている。被災後ゆえに地域の人々と協力して生活していく様子や、自分だけ生き残ったことによるサバイバーズ・ギルトの想いが町の中で渦巻いている様が描写されている。ひよりの声は終盤まで出ることはないが、それが物語の中で、登場人物たちの踏む段階の一つの目安として示されている。「アガメ」や「あったずもな」などの東北の方言由来の言葉が温かな雰囲気を醸し出すのにも一役買っていると思われる。なぜキワが二人を引き取ったのかの詳細な理由が分からないのが少し引っかかる。
15『ホッタラケの島 〜遥と魔法の鏡〜』(アニメ映画)(2009年)監督:佐藤信介
【概要・あらすじ】
フジテレビ開局50周年記念作品として制作されたCGアニメーション映画。第33回日本アカデミー賞:優秀アニメーション作品賞を受賞している。
子供の頃は大切にしていたが、いつしか放置されてしまったおもちゃや絵本などの宝物。そうした“ほったらかし”にされたものを集めて作られた不思議な「ホッタラケの島」にまつわる昔話がある。幼い頃に母からもらった形見の手鏡を、昔話の儀式に沿って見つけ出そうとする女子高生の遥は、誤って家の鍵を不思議なきつね・テオに持ち去られてしまう。その後を追う内に、遥は「ホッタラケの島」に迷い込む。
【考察】
フル3DCG作品で、昔話の場面以外は基本的に日本風のディズニー映画のような雰囲気を持つ作品。概ね良作だが、主人公がホッタラケの島に飛ぶ飛空艇を見ていきなり「誰?」と言ったり(ホッタラケの島を支配する男爵が乗っている、一応飛空艇には男爵の顔に似た装飾が施されている)、指名手配される主人公たちのいる場所をどうやって追っ手が突き止めたのかが分からなかったりと、辻褄が説明されず観客が疑問を抱く部分があるように思われる。また、テオに絡む三人組の狐も、そこまでしてテオに執着して追い回す理由については触れられず、よくある“いじめっこ”や、“ピンチの時には協力してくれるタイプの悪ガキ”のようなキャラクターとしての要素が全面に描かれているように見られた。細かいながらも「何故そうなったのか」が分からず、気になる箇所がわずかに見受けられる。『不思議の国のアリス』と似たような話の流れになっており、細かい所やご都合で処理されているのかと思われる点もあり、主人公が人間であることをホッタラケの島の住人の狐に知られぬよう仮面を被るのだが、体格や身体構造が明らかに狐とは異なるものであるにも関わらず、仮面を外した時にやっと人間であることがバレるという、顔でしか人間を判別出来ない視力なのかと思いきや、数十メートル離れた場所にあるものを正確に見て判別することが出来る離れ業をやってのけるなど、合理性が見えず、引っかかる箇所が挙げられる。
16『ホーホケキョとなりの山田くん』(アニメ映画)(1999年)監督:高畑勲
【概要・あらすじ】
いしいひさいち原作の漫画『ののちゃん』を元に制作されたジブリのアニメーション映画作品。作品内容は原作の4コマエピソードを繋ぎ合わせたオリジナルストーリーである。『朝日新聞』朝刊の4コマ漫画作品として『となりのやまだ君』の題で連載が開始された。同作者の『おじゃまんが山田くん』を意識して付けた名前だったが、主人公・のぼるよりも妹・ののちゃんの人気が高かったため、1997年に題と主人公が変更された。
夫・たかし、妻・まつ子、祖母・しげ、長男・のぼる、長女・のの子が暮らす山田家。時にはアクシデントやトラブルを交えながらも、ありふれた普通の毎日を送る5人の日常の姿を描いた作品。
【考察】
『あたしンち』をアニメ化した際と似たような雰囲気の映像化だが、輪郭線が繋がっておらず全体的に丸っこいふわふわした柔らかい雰囲気の絵柄で、背景が描き込まれることも稀で、原作の絵柄を踏襲していると思われる。主に四コマ漫画の内容をいくつか繋げたようなエピソードが一塊になり、それが季節や時期を変えて何個も送られていく形となっている。しかし、冒頭や隙間ではアニメーション作品ならではの、ヌルヌルとした美麗な作画でダイナミックな動きをしたり、少しシリアスな時にはキャラクターの頭身が上がって一気にリアル調になったりするシーンがある。それでも作品全体の空気感を壊すほどのものではなく、冒頭、合間、エピローグではアニメで描画される規模が広くなり、やや長めなエピソードが差し込まれる。空想世界のような演出もあるが、最後にはこれからも日常が続いていくような、出先で外食に何を食べようか決めながら作品の主題歌が流れて終わる終わり方は、視聴後にきれいに締めくくられていると観客が感じるような演出となっている。一つのパートが終わるごとに、有名で日常に根差した俳句が詠まれる演出で、グダグダと続いて垂れ流している印象を与えぬよう引き締めている。
17『雲のむこう、約束の場所』(アニメ映画)(2004年)監督:新海誠
【概要・あらすじ】
『ほしのこえ』に続く、新海監督の2作目の劇場用アニメーション映画である。
米軍統治下の日本、青森に暮らす中学生の藤沢浩紀と白川拓也は、海峡を挟んだ北海道に立つ巨大な塔に憧れ、いつかその塔を目指すため、廃駅跡で密かに飛行機の組み立てに勤しんでいた。ある夏休み、2人はもうひとつの憧れの存在・同級生の沢渡佐由理に、飛行機の秘密について打ち明ける。3人は一緒に塔を目指す夢を共有し、ひと時の幸せな時間を過ごすが、中学3年の夏、佐由理は理由を告げることなく突然転校してしまう。
【考察】
昨今の新海作品の特徴の共通点として、レンズフレアなどのカメラ的な演出、改札やドアなどの境界線がある場所の足元のアップカット、主人公のかなり長めのモノローグなどが見受けられる。いわゆる「セカイ系」作品の代表例として挙げられる作品で、ヒロインの体質が世界の均衡や平和に多大な影響を与える設定は、『天気の子』とも繋がるテーマのように思える。また、ヒロインが見続ける夢の中の世界と現実世界がリンクしてやり取りが出来る場面があるが、このシーンは『君の名は。』にて、三葉と瀧が隕石湖のほとりで再開をするシーンに非常によく似た演出となっている。クライマックスで主人公とヒロインが飛行機に乗って塔に近づいた際には、空の様々な青色が何重にも代わる代わるステンドグラスのようなデジタルチックな演出によって、観客に伝わりづらい多重宇宙構造の実感を得られるものとなっている。
18『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』(アニメ映画)(2017年)監督:神山健治
【あらすじ】
岡山県倉敷市・児島で、車の改造ばかりしている父親モモタローと2人で暮らす女子高生の森川ココネ。 最近は常に眠気に襲われ、家や学校でも居眠りばかり。 さらに、寝ると決まって同じ夢を見ていた。 そんな2020年の東京オリンピックが目前に迫ったある日、父親が突然逮捕され、東京へ連行されてしまう。 ココネは父がなぜ逮捕されたのか、その謎を解くために幼なじみの大学生モリオを連れて東京へ向かう。
【考察】
絵柄としては、細田守作品のようなキャラクター自身に陰影が少ないデザインが特徴的である。主人公のココネはどこでも昼寝をしてしまい、その夢の中と現実世界が何故かリンクして不思議な現象を現実でも巻き起こしてしまうような構造になっているのだが、そのせいか主人公がどんな危機的状況でも眠りに落ちてしまうナルコレプシーのような人物になってしまっていると感じる。虚構と現実が融けあうような作風は今敏作品と似た雰囲気を感じるが、夢の世界は昔父が作った物語の世界で、そこでの出来事や不思議な現象と、それが現実世界にどんな影響を及ぼすのかについての仕組みの説明を、アニメの絵や動きではなくキャラクターに全て台詞で喋らせているのが味気なく感じた。全ての夢と現実世界の出来事を理屈で説明づけようとしている影響か、却って虚構と現実の融合感が薄れて観客が冷静に考察・理解出来るようになっている。実際、現実世界で起きる不思議な出来事はココネの夢によって引き起こされているわけではなく、きちんと現実世界の理にかなっている因果によって起こっている事象であることが後に分かるようになっている。長尺でココネが見ている夢を観客に見せていた意味が薄れてしまうように考えられる。
19『夜明け告げるルーのうた』(アニメ映画)(2017年)監督:湯浅政明
【概要・あらすじ】
湯浅政明氏による、オリジナルの長編アニメ―ション作品。
寂れた漁港・日無町で、父と祖父の3人で暮らす男子中学生カイ。両親の離婚が原因で東京から引っ越してきた彼は、両親に対し複雑な思いを抱えながらも口に出すことができず、鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、クラスメイトの国男と遊歩に誘われて人魚島を訪れたカイは、人魚の少女ルーと出会う。カイは天真爛漫なルーと一緒に過ごすうちに、少しずつ自分の気持ちを言えるようになっていく。しかし日無町では、古来より人魚は災いをもたらす存在とされていた。
【考察】
輪郭線が伸びやかで陰影がほとんどなく、二次元のアニメ的表現が目立つ作品で、2D作画なのに3Dのようなヌルヌルさを感じられる。同監督作品の『きみと、波にのれたら』のような水がブロック状になって動いたり浮いたりする描写が酷似している。更に、画面が分割するなど、漫画的な表現も多く見られた。閉塞的だった主人公の性格が、歌や自己開示を通して明るくなっていくが、中盤の部分では周囲の人間に焦点が当てられてほとんど登場せず、終盤まで空気のような存在感になっているように思われた。人魚が忌避される理由の一つに、人魚が動物を噛むと、下半身に尾ひれが生えて人魚のような姿にされてしまうという特性があるが、ルーが大量の保護犬に嚙みついた結果、マスコットキャラクターのような半犬半魚の「わん魚」という生物が生まれる。これによってその設定の悲壮さが薄れ、エンディングのオチに繋がっている。水中にいる時の表現では、もはやキャラクターの輪郭線が消滅し、ぐにゃぐにゃした色彩の塊によってキャラクターを表現している。
20『ねらわれた学園』(アニメ映画)(2012年)監督:中村亮介
【概要・あらすじ】
眉村卓のベストセラー小説『ねらわれた学園』の初のアニメ映画化作品であり、テレビアニメ『魍魎の匣』などを手がけた中村亮介の劇場初監督作品である。
鎌倉の中学校に通う関ケンジは、始業式の朝、密かに思いを寄せる春河カホリと言葉を交わすことができて有頂天になるが、ケンジの幼なじみでカホリの友人でもある涼浦ナツキは、そんな2人を複雑な思いで見つめる。 そしてその日、ケンジたちのクラスに京極リュウイチという謎めいた転校生がやってくる。 カホリは京極にひかれていくが、やがて京極の周囲で不思議な出来事が起こり始める。
【考察】
涼宮ハルヒと似た雰囲気を持つ平成の二次元オタク的作品の代表のような作風で、ラッキースケベ的な演出や主人公の股間回りのいじり(チャックが開いていることを好きな女子に指摘される、なぜかそこまで時間的に切羽詰まっている状況でもないのに、水泳の授業後に水着姿から着替えずにヒロインを救出しに来たのち、水着の中からケータイを取り出すなど)、分かりやすく鈍感かつ重要な場面で難聴になる主人公の演出から、やや時代感を覚える作品となっている。ヒロインが昨今の作品に比べて主人公に対し攻撃的なのも特徴で、主人公がヒロインを怒らせるようなことを言っては主人公を殴る蹴る、という構成が時代を感じさせる。本作のテーマとしては、携帯電話での疑似的な繋がりは人と本当に心を通わせたことになるのか、本当に人の心に寄り添うにはどうしたらいいのかということや、感情をノイズとし不要なものとする未来との対比、心は繋がらないけれど手は繋がる、という、人と人との繋がりについて意識して演出している。未来の世界がどうなったのか、主人公とヒロインの過去に何が具体的にあったのかなどは詳しく語られない。主人公は過去に一度死んだらしいものの、そこについての掘り下げがほぼ無いのが意外だった。画面全体が光のエフェクトを使用しており、特に幻想的なシーンの演出の際にはかなり強くエフェクトが使われているため、観客の目に負担がかかりそうだと予測する。少し話の流れが飛んだり、突拍子もない展開になったりすることもあるが、キャラクター造形や背景描写が魅力的なSF青春学園ものの作品となっている。
4年 上田菜摘
RES
1 『ゴーストフィクサーズ』(漫画)作:田中靖規
あらすじ
御厨ヶ丘ニュータウン。ここはある事象を境に、非現実的現象【GHOST】の坩堝と化した!そんな町に住む中学生ひふみは、ある日引っ越してきた少女と出会い…。『サマータイムレンダ』の田中靖規が描く、非現実校正アクション!
考察
「GHOST」と呼ばれる怪異や怪現象をフィックスしていく組織という設定が、王道かつ新しいため少年誌に適した設定だと感じた。過去作のキャラクターも出てくるため、クロスオーバー作品としても楽しむことができる。まだ完結していないものの、現時点でも緻密に伏線が張り巡らされていることがわかる考察のしがいがある作品。
2『 このクラスにギャルはいない』(漫画)作:時田時雨
あらすじ
優等生の七瀬さん。ギャルに憧れ大胆なイメチェンをし、ドキドキの高校デビューを果たすことに。しかし進学校のためギャルがおらず、ヤンキーの間宮くんと一緒に2人で浮いてしまい…!?「赤面しないで関目さん」の時田時雨が贈る、すれ違いコメディ!
考察
大人しかった子が高校デビューでギャルになるという設定は見たことのあるものだが、登場人物全員に同じようなギャップがあるという点が面白い。また、ヤンキーやギャルなど自由奔放なイメージを持たれがちな姿をしているものの、全員が根が真面目なため、健全なゆるギャグ作品として安心して楽しむことができる。
3 『やがて君になる』(漫画)作:仲谷鳰
あらすじ
人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える新入生・小糸侑は、生徒会の先輩・七海燈子が告白を受ける場面に遭遇する。誰からの告白にも心を動かされたことがないという燈子に共感を覚える侑だったが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「私、君のこと好きになりそう」
考察
燈子と侑の複雑な関係、心理が繊細に描かれた作品。「好き」を足枷に感じているにもかかわらず、侑に「好き」をぶつけた上で、「私のことを好きにならないで」と言う燈子は、ずるいものの憎めないキャラクターとなっている。沙弥香の「燈子の一番でありたい、今の関係が一番居心地が良い」という感情もリアルで、実在する人物の物語を見ているように引き込まれる。
4 『フラレガール』(漫画)作:堤翔
あらすじ
「俺の愛人になってください!」ド失礼な告白を同級生の青山くんからかまされた赤坂さんのコンプレックスは、「あり余る色気」。常に発されるフェロモンが原因で、大好きだった彼氏にもフラれ、恋愛に臆病になってたけど…!? ハプニング満載! 無自覚エロスに翻弄★ ラブコメ待望の第1巻!
考察
よくある恋愛漫画かと思いきや、青山が響の破壊力によって本当に液体と化したり、幽霊が実在していたりと、日常に当然のようにファンタジーが入り込んでいる作品。結果、どんなぶっとび設定でも読者が受け入れられるようになっており、作者がやりたい放題やっても作品の世界観が壊れない。この演出を実写で行うと違和感しかないため、2次元内で展開するからこそ面白さが活きる作品だと感じる。
5 『煙たい話』(漫画)作:林史也
あらすじ
高校卒業以来、一度も会うことのなかった武田と有田。ある雨の日に一匹の猫を拾ったことから、二人の関係は変わり始める。恋愛感情とは違う。一緒に暮らす理由もない。でも、君の隣は心地がいい。そんな気持ちに向き合い、二人が出した答えとは――。自分たちだけの関係を模索しながら生きる人々の日々を綴った物語。
考察
ゆるっとした日常の中に、どこか仄暗い雰囲気の漂っている。様々な人物の視点から描かれる、普段意識しないような世の中への小さな違和感を言語化しており、今まで気づかなかったことに気づけるような作品。「友達」でも「恋人」でもないけれど一緒に暮らす武田と有田の、独特の居心地の良さがよく伝わってきて、ほっと息抜きになるような感覚がある。
6 『可愛くてごめん』(漫画)作:島袋涙亜、HoneyWorks
あらすじ
HoneyWorksの大人気楽曲『可愛くてごめん』の"ちゅーたん"が主人公の青春物語!アイドルユニット『LIP×LIP』の愛蔵が大好きな高校1年の中村千鶴(ちゅーたん)は同担拒否なオタク。1人でも贈り物をしたり、イベントに行ったり、全身全霊で愛蔵を推す毎日は超幸せ!推し活資金を稼ぐためのメイド喫茶のバイトでも、可愛くて気の利く"ちゅーたん"は大人気で充実の日々を送っていたけど…。そんな彼女を妬むメイドが現れて!?
考察
推し活に全力を注ぐ少女の話。本来の姿は地道めのメガネ少女だが、メイクの力で人気のメイドカフェ店員になれるという設定がある。メガネっ子がメガネを取ると美少女であるという設定は山ほど見たが、自身の努力によってかわいくなるという点が好感を持てる。推し活も自分で稼いだお金を使って真っ当に行っており、全オタクの鑑である。
7 『さよなら、チルドレン』(漫画)作:ひろさきころも
あらすじ
「腹部貫通症候群」思春期の子どもはおなかに穴があく。成長につれて自然とふさがり、それが大人になった証でもあるそんな世界。活発な女子中学生・朝比奈ちまきを中心に子どもとオトナの間で揺れ動く心をまっすぐに描いたボーイ・ミーツ・ガール青春群像劇。
考察
腹部貫通症候群という衝撃的なファンタジー設定があり、思春期特有の無力感や不安感のメタファーとなっている。腹部に空いた穴が大きくなりすぎると存在そのものが消滅してしまうことが物語の大きな鍵となっている。思春期にしかないような感情と存在消滅を巡って自分たちの生き方を模索していく少年少女の群像劇である。
8 『リィンカーネーションの花弁』作:小西幹久
あらすじ
前世を、掘り起こせ。決別せよ!無才と罵られる日々に!!目覚めよ!!!自身に眠る、前世の才能に!!!!宮本武蔵の剣と数学者の超高速演算、シリアルキラーの大虐殺がいきなり激突する、天才異才鬼才続々登場の異能バトル!
考察
「偉人は才能を持っていたから歴史上に名が残っている」という、ありそうでなかった視点から描かれるバトルファンタジー。戦った相手が味方になったり、仲間が敵になったりと敵と味方がどんどん入れ替わっていくことから、単なる勧善懲悪ではなく、争いがあくまで思想の違いによるものであることが分かる。「偉人」という人物をテーマにした物語とマッチしているのではないかと思う。
9『 君が死ぬまで恋をしたい』(漫画)作:あおのなち
あらすじ
生きたいも、好きも、全部君が教えてくれた 身寄りのない子供を戦争用の兵器として育てる学校に通う少女たち。人を殺すための授業、誰が死んでも悲しむことさえままならない日常。自分の境遇を受け入れられずにいる14歳のシーナはある夜、血まみれの小さな女の子・ミミと出会った――平穏を願う怖がりなシーナと笑顔で戦争に向かう不死のミミ。死と隣り合う世界で2人の少女が見つけた、あどけない願いの物語。
考察
魔女が戦争兵器として使われている、という重い設定のダークファンタジー。絵が美しく、だからこそ戦ってボロボロになった少女たちの姿、戦争の残酷さが引き立っている。また、不老不死であるミミは他人が死ぬことに無沈着であったが、シーナとの出会いによって人間としても成長していく。良い変化もあるが、このままでは置いていかれることの辛さも学ぶことになるため、ミミの今後の変化も楽しみである。
10 『みなと商事コインランドリー』(漫画)原作:椿ゆず 漫画:缶爪さわ
あらすじ
エアコンの設備もない古びたお店「みなと商事コインランドリー」を祖父から受け継いだ湊晃(みなとあきら)。アラサーで元社畜の晃は地元に愛される店をのんびりと営んでいた。ある日高校生の香月慎太郎(かつきしんたろう)が客として来店する。年の差を越えて仲良くなるふたりだったが、晃がゲイであることがふとしたことから慎太郎にバレてしまい…?
考察
「ゆるキュン」というワードが似合う、ほのぼのした作品。晃とシンの出会いは偶然かと思いきや、シンが10年前から晃を想い続けていたことが発覚したことでシンへの印象がガラリと変わった。作中で誰も同性愛に対する変な気遣いや嫌悪感を示すことがなく、当然のようにごく当たり前のことだと受け入れている。差別的表現への心配がないことからも、「ゆるさ」を安心して楽しむことができる。
11『 ババンババンバンバンバンパイア』(漫画)作:奥嶋ひろまさ
あらすじ
老舗銭湯で住み込みバイトをする蘭丸。彼の正体は齢450の吸血鬼。究極の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯の一人息子・李仁くん(15歳・童貞)の操を守り続けている。ところが、思春期を迎えた李仁くんに異変発生!! 同じクラスの女の子に一目ぼれしてしまったのだ!!「李仁くんの童貞は絶対に死守する!!」蘭丸、決死の童貞喪失阻止作戦が幕を開ける…!!
考察
画力の高さを存分に活かした有名作品のオマージュシーンが面白い。登場人物全てが誰かしらとアンジャッシュ状態に陥り、キメ顔で盛大な勘違いを起こしている。劇画調の細かい描き込みは「バンパイア」というモチーフに合っているほか、ギャグシーンを引き立てているように感じる。
12 『ババンババンバンバンバンパイア』(アニメ)原作:奥嶋ひろまさ 監督・脚本:川崎逸朗
あらすじ
創業60年の老舗銭湯「こいの湯」で住み込みバイトをしている森蘭丸。
彼は、人の生き血を啜る正真正銘のバンパイアだった。蘭丸の目的は、自分の命を救ってくれた「こいの湯」の4代目・立野李仁への恩返し。そして…彼の「18歳童貞の血」を味わうこと…!現在15歳の李仁が熟すまで、あと3年。しかし入学早々、李仁は同級生の女子に一目惚れしてしまう。はたして蘭丸は、念願の「18歳童貞の血」を守り通すことができるのか…!?
考察
アニメ化したことで登場人物のセリフの細かいニュアンスが分かり、漫画とは違った味がある。しかし、描き込みの細かさや独特のテンポ感による面白さは漫画に比べると劣ってしまっているように感じる。とはいえ、森兄弟のバトルシーンは迫力があり、躍動感やカメラワークは漫画では演出できないものだと感じた。
13『 ミギとダリ』(漫画)作:佐野菜見
あらすじ
舞台は、1990年神戸市北区。アメリカの郊外をモデルに造られたニュータウン、オリゴン村。裕福な住民が暮らすこの町に、"ひとりの"少年が養子としてやってくる。少年の名は秘鳥(ひとり)。美しく聡明な少年・秘鳥に、園村夫妻は魅了されるが、秘鳥には、大きな秘密と恐るべき目的があった――。スタイリッシュな高校生を描いた『坂本ですが?』から約2年。佐野菜見が描くミステリアスな悪童の物語。
考察
なんともいえないシュールな空気感の作品だが、サスペンス要素も含まれるため、2通りの楽しみ方ができる。2人で1人を演じるという設定がまず面白いが、片方の隠れ方、隠れていることに気づかない夫婦など、ツッコミどころや笑いどころが数多くある。読み始めはどういう反応をすれば良いのかわからないため、読んでいくうちに面白さがわかるいわゆる「スルメ系」の作品。
14『 琥珀の夢で酔いましょう』(漫画)原作:村野真朱 漫画:依田温 監修:杉村啓
あらすじ
仕事が認められず苛立っていた剣崎七菜は、偶然入った居酒屋「白熊」で「クラフトビール」に出会う――。
考察
クラフトビールについて詳しくなれる。私自身ビールのおいしさが分からなかったが、この作品を通してビールに興味を持ち、様々なクラフトビールを飲んでみた。おすすめのペアリングも登場し、合わせるものによってどのようにおいしさが変化するのかまで言語化しているため、作品と同じようなペアリングを比較してみたくなる。また、ビールだけでなく人間関係にもフォーカスしているため、自分自身の日常に目を向けるきっかけになる。
15『 合コンに行ったら女がいなかった話』(アニメ)原作:蒼川なな 監督:古賀一臣
あらすじ
同じゼミの女子・蘇芳さんに合コンに誘われた大学生の常盤は、同じく合コン初体験の友人・浅葱と萩の2人を連れて、胸を高鳴らせながら待ち合わせの居酒屋へ。女性陣が先に店に着いたことを知って、待たせてはいけないと急いで席に向うと…そこには、眩く輝くほどイケメンな3人の姿が。男6人と女0人の少し違った合コンが今始まる!?
考察
強気なタイトルだが、大学生たちのほのぼのとした日常劇である。男装カフェバーで働く蘇芳たちのイケメンぶりが見ていて楽しく、本物の男性である常盤たちを振り回している。声優陣がしっかり「男装女子」の演技をしている点は、プロの実力を感じると共にアニメだからこそ楽しむことのできるポイントである。また、女性の姿のときとのギャップも魅力的な作品。
16『 カグラバチ』(漫画)作:外薗健
あらすじ
刀匠を志す少年チヒロは、刀匠である父の下で、日々修行に励んでいた。おちゃらけた父と寡黙な息子。笑いの絶えない毎日がいつまでも続くと思っていたが...
ある日悲劇が訪れる...
血塗られた絆と帰らない日常。
少年は憎しみを焚べ、決意の炎を心に宿す。
考察
既に出尽くしたと思われる日本刀×ファンタジーを描いた点で、挑戦的だと感じた。本人が特殊能力を持つのではなく、作中に能力者もいる中で日本刀に宿る特殊エネルギーを使って戦うのだが、それを可能にしたのがあくまで刀鍛冶の技術力であるという点が変わっていると感じる。また、作画に躍動感があり、カメラワークが映画的な点も魅力の1つである。
17 『地縛少年花子くん』2期(アニメ)原作:あいだいろ
あらすじ
ねえ、知ってる?
かもめ学園の七不思議、七番目の噂話。旧校舎3階の女子トイレ。そこには花子さんがいて、何かひとつを代償に呼び出した人の願いを叶えてくれる。呼び出し方はノックを3回。
そして――「花子さん、花子さん、
いらっしゃいますか?」七不思議七番目『トイレの花子さん』こと“花子くん”と縁を結んだ少女・八尋寧々。祓い屋の少年・源 光。
2人は花子くんと共に、改変された七不思議や
怪異たちの噂を元に戻すため、日々奔走していた。ある日、花子くんは言う。七不思議の中に裏切り者がいる、と。寧々たちは裏切り者を炙り出すため、七不思議の依代を破壊していく。二番目『ミサキ階段』、五番目『16時の書庫』を壊し、残る七不思議は
『トイレの花子さん』を含めると五つ……一方、その裏で花子くんの弟・つかさは、
七峰 桜、日向夏彦、そして新たに七不思議三番目『カガミジゴク』となったミツバと共に、寧々たちがまだ見ぬ七不思議に近づいて――
考察
1クールで綺麗に纏めていると感じた。寧々の寿命が残り僅かであることが序盤で明かされ、最終的には寿命をなんとかしようと前向きに終わる。原作通りの流れでアニメが進んでいたが、しっかりと話の配分が練られているのだろうと感じた。原作の独特な色使いをアニメに落とし込み、作品の世界観を壊すことなく可愛くポップに仕上がっている。
18 『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』(映画)原作:セガ/Colorful Palette/クリプトン・フューチャー・メディア
あらすじ
原作は、⾳楽を中⼼としたサブカルチャーが
盛んな街「シブヤ」と、⼈々の“本当の想い”が映し出された不思議な空間「セカイ」を舞台に、少年少女の“本当の想い”そして「自分の歌」を見つける物語を描き、「初音ミク」たちバーチャル・シンガーも登場するアプリゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat. 初音ミク」(略称:「プロセカ」)。本作では、ゲームには登場していない新しい「初⾳ミク」が、「プロセカ」の
キャラクター達と出会い、成⻑していく姿を、アニメーションスタジオP.A.WORKSにより完全オリジナルストーリーとして描かれます。
考察
プロセカの映画であると同時に、初音ミク初の映画でもある。舞台であるシブヤだけでなく、各地にもミクのポスターや広告がある。驚いたのは、アニメによる作画のミクではなく、公式のイラストを用いていることだ。作品を通してのキーであるミクへのこだわりを感じる。また、実在する曲のMVをスクリーン画面いっぱいに映したり、迫力満点のライブシーンがあったりと、「音楽」という側面でも楽しむことができる。
19 『女装してめんどくさいことになってるネクラとヤンキーの両片思い』(漫画)作:とおる
あらすじ
お互いの好きな人は、嫌いなヤツが女装した姿!?可愛く朗らかな女の子・「花」凛とした美人・「めい」二人はお互いに好きだと気づいていない両片思い!…しかし、互いにバレてはいけない秘密が…。
考察
メイクが上手い男性が多く登場するということで、作品自体のクセは強いながらも時代に合っているのではないかと思う。また、お互い好きな相手が女装した苦手な男であるため、2人ともストレートでありながらBL・百合需要も満たすことができる画期的な作品でもある。周りの友人たちだけが女装に気づき、人物たちのフォローをすることで成り立っている部分があり、友人たちの判断1つで今の関係が崩れ去るため、読者は早くバレて欲しい気持ちとこのままであってほしい気持ちの葛藤を楽しむことになる。
20『 誰ソ彼ホテル』(アニメ)原作:ベノマ玲/SEEC 監督:紅水康介
あらすじ
昼も夜もなく、一日中夕暮れに染まっている
黄昏ホテル。
そこは、あの世に行くか現世に戻るか、行き先を決めかねている魂たちが羽を休めるために存在する生と死の狭間のホテル。
主人公塚原音子は、自分が何者なのかどうしてここにいるのか、記憶を想い出せないまま「黄昏ホテル」に彷徨いつく。
従業員の先導で、宿泊部屋に案内されることに。
本当のあなたは誰ですか?
部屋にはお客様の記憶にまつわる品
があるはずです。
それを手がかりにお客様の記憶を
取り戻すことができるかもしれません。
現世に帰るために探索し自分を想いだしていく中、
とある事件に直面する───。
考察
大好きなゲームがアニメ化するとのことで、非常に楽しみだった作品。作画はうまく原作の絵柄をアニメ調にしており、特徴である髪の虹色のハイライトまでしっかり再現されていた。オリジナルシーンが多く、最終話までしっかり描き切られることへの安心感はあったものの、オリジナルシーンよりも「ゲーム」という媒体では描くことの難しいホテル内の様子や、業務時間外のキャラクターの会話をもっと見たかった気持ちはある。脱出ゲームであるため、探索パートへのネタバレが心配だったが、物語に繋がる所のみ探索シーンを描き、これからゲームを始める人への配慮がされていた。
あらすじ
御厨ヶ丘ニュータウン。ここはある事象を境に、非現実的現象【GHOST】の坩堝と化した!そんな町に住む中学生ひふみは、ある日引っ越してきた少女と出会い…。『サマータイムレンダ』の田中靖規が描く、非現実校正アクション!
考察
「GHOST」と呼ばれる怪異や怪現象をフィックスしていく組織という設定が、王道かつ新しいため少年誌に適した設定だと感じた。過去作のキャラクターも出てくるため、クロスオーバー作品としても楽しむことができる。まだ完結していないものの、現時点でも緻密に伏線が張り巡らされていることがわかる考察のしがいがある作品。
2『 このクラスにギャルはいない』(漫画)作:時田時雨
あらすじ
優等生の七瀬さん。ギャルに憧れ大胆なイメチェンをし、ドキドキの高校デビューを果たすことに。しかし進学校のためギャルがおらず、ヤンキーの間宮くんと一緒に2人で浮いてしまい…!?「赤面しないで関目さん」の時田時雨が贈る、すれ違いコメディ!
考察
大人しかった子が高校デビューでギャルになるという設定は見たことのあるものだが、登場人物全員に同じようなギャップがあるという点が面白い。また、ヤンキーやギャルなど自由奔放なイメージを持たれがちな姿をしているものの、全員が根が真面目なため、健全なゆるギャグ作品として安心して楽しむことができる。
3 『やがて君になる』(漫画)作:仲谷鳰
あらすじ
人に恋する気持ちがわからず悩みを抱える新入生・小糸侑は、生徒会の先輩・七海燈子が告白を受ける場面に遭遇する。誰からの告白にも心を動かされたことがないという燈子に共感を覚える侑だったが、やがて燈子から思わぬ言葉を告げられる。「私、君のこと好きになりそう」
考察
燈子と侑の複雑な関係、心理が繊細に描かれた作品。「好き」を足枷に感じているにもかかわらず、侑に「好き」をぶつけた上で、「私のことを好きにならないで」と言う燈子は、ずるいものの憎めないキャラクターとなっている。沙弥香の「燈子の一番でありたい、今の関係が一番居心地が良い」という感情もリアルで、実在する人物の物語を見ているように引き込まれる。
4 『フラレガール』(漫画)作:堤翔
あらすじ
「俺の愛人になってください!」ド失礼な告白を同級生の青山くんからかまされた赤坂さんのコンプレックスは、「あり余る色気」。常に発されるフェロモンが原因で、大好きだった彼氏にもフラれ、恋愛に臆病になってたけど…!? ハプニング満載! 無自覚エロスに翻弄★ ラブコメ待望の第1巻!
考察
よくある恋愛漫画かと思いきや、青山が響の破壊力によって本当に液体と化したり、幽霊が実在していたりと、日常に当然のようにファンタジーが入り込んでいる作品。結果、どんなぶっとび設定でも読者が受け入れられるようになっており、作者がやりたい放題やっても作品の世界観が壊れない。この演出を実写で行うと違和感しかないため、2次元内で展開するからこそ面白さが活きる作品だと感じる。
5 『煙たい話』(漫画)作:林史也
あらすじ
高校卒業以来、一度も会うことのなかった武田と有田。ある雨の日に一匹の猫を拾ったことから、二人の関係は変わり始める。恋愛感情とは違う。一緒に暮らす理由もない。でも、君の隣は心地がいい。そんな気持ちに向き合い、二人が出した答えとは――。自分たちだけの関係を模索しながら生きる人々の日々を綴った物語。
考察
ゆるっとした日常の中に、どこか仄暗い雰囲気の漂っている。様々な人物の視点から描かれる、普段意識しないような世の中への小さな違和感を言語化しており、今まで気づかなかったことに気づけるような作品。「友達」でも「恋人」でもないけれど一緒に暮らす武田と有田の、独特の居心地の良さがよく伝わってきて、ほっと息抜きになるような感覚がある。
6 『可愛くてごめん』(漫画)作:島袋涙亜、HoneyWorks
あらすじ
HoneyWorksの大人気楽曲『可愛くてごめん』の"ちゅーたん"が主人公の青春物語!アイドルユニット『LIP×LIP』の愛蔵が大好きな高校1年の中村千鶴(ちゅーたん)は同担拒否なオタク。1人でも贈り物をしたり、イベントに行ったり、全身全霊で愛蔵を推す毎日は超幸せ!推し活資金を稼ぐためのメイド喫茶のバイトでも、可愛くて気の利く"ちゅーたん"は大人気で充実の日々を送っていたけど…。そんな彼女を妬むメイドが現れて!?
考察
推し活に全力を注ぐ少女の話。本来の姿は地道めのメガネ少女だが、メイクの力で人気のメイドカフェ店員になれるという設定がある。メガネっ子がメガネを取ると美少女であるという設定は山ほど見たが、自身の努力によってかわいくなるという点が好感を持てる。推し活も自分で稼いだお金を使って真っ当に行っており、全オタクの鑑である。
7 『さよなら、チルドレン』(漫画)作:ひろさきころも
あらすじ
「腹部貫通症候群」思春期の子どもはおなかに穴があく。成長につれて自然とふさがり、それが大人になった証でもあるそんな世界。活発な女子中学生・朝比奈ちまきを中心に子どもとオトナの間で揺れ動く心をまっすぐに描いたボーイ・ミーツ・ガール青春群像劇。
考察
腹部貫通症候群という衝撃的なファンタジー設定があり、思春期特有の無力感や不安感のメタファーとなっている。腹部に空いた穴が大きくなりすぎると存在そのものが消滅してしまうことが物語の大きな鍵となっている。思春期にしかないような感情と存在消滅を巡って自分たちの生き方を模索していく少年少女の群像劇である。
8 『リィンカーネーションの花弁』作:小西幹久
あらすじ
前世を、掘り起こせ。決別せよ!無才と罵られる日々に!!目覚めよ!!!自身に眠る、前世の才能に!!!!宮本武蔵の剣と数学者の超高速演算、シリアルキラーの大虐殺がいきなり激突する、天才異才鬼才続々登場の異能バトル!
考察
「偉人は才能を持っていたから歴史上に名が残っている」という、ありそうでなかった視点から描かれるバトルファンタジー。戦った相手が味方になったり、仲間が敵になったりと敵と味方がどんどん入れ替わっていくことから、単なる勧善懲悪ではなく、争いがあくまで思想の違いによるものであることが分かる。「偉人」という人物をテーマにした物語とマッチしているのではないかと思う。
9『 君が死ぬまで恋をしたい』(漫画)作:あおのなち
あらすじ
生きたいも、好きも、全部君が教えてくれた 身寄りのない子供を戦争用の兵器として育てる学校に通う少女たち。人を殺すための授業、誰が死んでも悲しむことさえままならない日常。自分の境遇を受け入れられずにいる14歳のシーナはある夜、血まみれの小さな女の子・ミミと出会った――平穏を願う怖がりなシーナと笑顔で戦争に向かう不死のミミ。死と隣り合う世界で2人の少女が見つけた、あどけない願いの物語。
考察
魔女が戦争兵器として使われている、という重い設定のダークファンタジー。絵が美しく、だからこそ戦ってボロボロになった少女たちの姿、戦争の残酷さが引き立っている。また、不老不死であるミミは他人が死ぬことに無沈着であったが、シーナとの出会いによって人間としても成長していく。良い変化もあるが、このままでは置いていかれることの辛さも学ぶことになるため、ミミの今後の変化も楽しみである。
10 『みなと商事コインランドリー』(漫画)原作:椿ゆず 漫画:缶爪さわ
あらすじ
エアコンの設備もない古びたお店「みなと商事コインランドリー」を祖父から受け継いだ湊晃(みなとあきら)。アラサーで元社畜の晃は地元に愛される店をのんびりと営んでいた。ある日高校生の香月慎太郎(かつきしんたろう)が客として来店する。年の差を越えて仲良くなるふたりだったが、晃がゲイであることがふとしたことから慎太郎にバレてしまい…?
考察
「ゆるキュン」というワードが似合う、ほのぼのした作品。晃とシンの出会いは偶然かと思いきや、シンが10年前から晃を想い続けていたことが発覚したことでシンへの印象がガラリと変わった。作中で誰も同性愛に対する変な気遣いや嫌悪感を示すことがなく、当然のようにごく当たり前のことだと受け入れている。差別的表現への心配がないことからも、「ゆるさ」を安心して楽しむことができる。
11『 ババンババンバンバンバンパイア』(漫画)作:奥嶋ひろまさ
あらすじ
老舗銭湯で住み込みバイトをする蘭丸。彼の正体は齢450の吸血鬼。究極の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯の一人息子・李仁くん(15歳・童貞)の操を守り続けている。ところが、思春期を迎えた李仁くんに異変発生!! 同じクラスの女の子に一目ぼれしてしまったのだ!!「李仁くんの童貞は絶対に死守する!!」蘭丸、決死の童貞喪失阻止作戦が幕を開ける…!!
考察
画力の高さを存分に活かした有名作品のオマージュシーンが面白い。登場人物全てが誰かしらとアンジャッシュ状態に陥り、キメ顔で盛大な勘違いを起こしている。劇画調の細かい描き込みは「バンパイア」というモチーフに合っているほか、ギャグシーンを引き立てているように感じる。
12 『ババンババンバンバンバンパイア』(アニメ)原作:奥嶋ひろまさ 監督・脚本:川崎逸朗
あらすじ
創業60年の老舗銭湯「こいの湯」で住み込みバイトをしている森蘭丸。
彼は、人の生き血を啜る正真正銘のバンパイアだった。蘭丸の目的は、自分の命を救ってくれた「こいの湯」の4代目・立野李仁への恩返し。そして…彼の「18歳童貞の血」を味わうこと…!現在15歳の李仁が熟すまで、あと3年。しかし入学早々、李仁は同級生の女子に一目惚れしてしまう。はたして蘭丸は、念願の「18歳童貞の血」を守り通すことができるのか…!?
考察
アニメ化したことで登場人物のセリフの細かいニュアンスが分かり、漫画とは違った味がある。しかし、描き込みの細かさや独特のテンポ感による面白さは漫画に比べると劣ってしまっているように感じる。とはいえ、森兄弟のバトルシーンは迫力があり、躍動感やカメラワークは漫画では演出できないものだと感じた。
13『 ミギとダリ』(漫画)作:佐野菜見
あらすじ
舞台は、1990年神戸市北区。アメリカの郊外をモデルに造られたニュータウン、オリゴン村。裕福な住民が暮らすこの町に、"ひとりの"少年が養子としてやってくる。少年の名は秘鳥(ひとり)。美しく聡明な少年・秘鳥に、園村夫妻は魅了されるが、秘鳥には、大きな秘密と恐るべき目的があった――。スタイリッシュな高校生を描いた『坂本ですが?』から約2年。佐野菜見が描くミステリアスな悪童の物語。
考察
なんともいえないシュールな空気感の作品だが、サスペンス要素も含まれるため、2通りの楽しみ方ができる。2人で1人を演じるという設定がまず面白いが、片方の隠れ方、隠れていることに気づかない夫婦など、ツッコミどころや笑いどころが数多くある。読み始めはどういう反応をすれば良いのかわからないため、読んでいくうちに面白さがわかるいわゆる「スルメ系」の作品。
14『 琥珀の夢で酔いましょう』(漫画)原作:村野真朱 漫画:依田温 監修:杉村啓
あらすじ
仕事が認められず苛立っていた剣崎七菜は、偶然入った居酒屋「白熊」で「クラフトビール」に出会う――。
考察
クラフトビールについて詳しくなれる。私自身ビールのおいしさが分からなかったが、この作品を通してビールに興味を持ち、様々なクラフトビールを飲んでみた。おすすめのペアリングも登場し、合わせるものによってどのようにおいしさが変化するのかまで言語化しているため、作品と同じようなペアリングを比較してみたくなる。また、ビールだけでなく人間関係にもフォーカスしているため、自分自身の日常に目を向けるきっかけになる。
15『 合コンに行ったら女がいなかった話』(アニメ)原作:蒼川なな 監督:古賀一臣
あらすじ
同じゼミの女子・蘇芳さんに合コンに誘われた大学生の常盤は、同じく合コン初体験の友人・浅葱と萩の2人を連れて、胸を高鳴らせながら待ち合わせの居酒屋へ。女性陣が先に店に着いたことを知って、待たせてはいけないと急いで席に向うと…そこには、眩く輝くほどイケメンな3人の姿が。男6人と女0人の少し違った合コンが今始まる!?
考察
強気なタイトルだが、大学生たちのほのぼのとした日常劇である。男装カフェバーで働く蘇芳たちのイケメンぶりが見ていて楽しく、本物の男性である常盤たちを振り回している。声優陣がしっかり「男装女子」の演技をしている点は、プロの実力を感じると共にアニメだからこそ楽しむことのできるポイントである。また、女性の姿のときとのギャップも魅力的な作品。
16『 カグラバチ』(漫画)作:外薗健
あらすじ
刀匠を志す少年チヒロは、刀匠である父の下で、日々修行に励んでいた。おちゃらけた父と寡黙な息子。笑いの絶えない毎日がいつまでも続くと思っていたが...
ある日悲劇が訪れる...
血塗られた絆と帰らない日常。
少年は憎しみを焚べ、決意の炎を心に宿す。
考察
既に出尽くしたと思われる日本刀×ファンタジーを描いた点で、挑戦的だと感じた。本人が特殊能力を持つのではなく、作中に能力者もいる中で日本刀に宿る特殊エネルギーを使って戦うのだが、それを可能にしたのがあくまで刀鍛冶の技術力であるという点が変わっていると感じる。また、作画に躍動感があり、カメラワークが映画的な点も魅力の1つである。
17 『地縛少年花子くん』2期(アニメ)原作:あいだいろ
あらすじ
ねえ、知ってる?
かもめ学園の七不思議、七番目の噂話。旧校舎3階の女子トイレ。そこには花子さんがいて、何かひとつを代償に呼び出した人の願いを叶えてくれる。呼び出し方はノックを3回。
そして――「花子さん、花子さん、
いらっしゃいますか?」七不思議七番目『トイレの花子さん』こと“花子くん”と縁を結んだ少女・八尋寧々。祓い屋の少年・源 光。
2人は花子くんと共に、改変された七不思議や
怪異たちの噂を元に戻すため、日々奔走していた。ある日、花子くんは言う。七不思議の中に裏切り者がいる、と。寧々たちは裏切り者を炙り出すため、七不思議の依代を破壊していく。二番目『ミサキ階段』、五番目『16時の書庫』を壊し、残る七不思議は
『トイレの花子さん』を含めると五つ……一方、その裏で花子くんの弟・つかさは、
七峰 桜、日向夏彦、そして新たに七不思議三番目『カガミジゴク』となったミツバと共に、寧々たちがまだ見ぬ七不思議に近づいて――
考察
1クールで綺麗に纏めていると感じた。寧々の寿命が残り僅かであることが序盤で明かされ、最終的には寿命をなんとかしようと前向きに終わる。原作通りの流れでアニメが進んでいたが、しっかりと話の配分が練られているのだろうと感じた。原作の独特な色使いをアニメに落とし込み、作品の世界観を壊すことなく可愛くポップに仕上がっている。
18 『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』(映画)原作:セガ/Colorful Palette/クリプトン・フューチャー・メディア
あらすじ
原作は、⾳楽を中⼼としたサブカルチャーが
盛んな街「シブヤ」と、⼈々の“本当の想い”が映し出された不思議な空間「セカイ」を舞台に、少年少女の“本当の想い”そして「自分の歌」を見つける物語を描き、「初音ミク」たちバーチャル・シンガーも登場するアプリゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ!feat. 初音ミク」(略称:「プロセカ」)。本作では、ゲームには登場していない新しい「初⾳ミク」が、「プロセカ」の
キャラクター達と出会い、成⻑していく姿を、アニメーションスタジオP.A.WORKSにより完全オリジナルストーリーとして描かれます。
考察
プロセカの映画であると同時に、初音ミク初の映画でもある。舞台であるシブヤだけでなく、各地にもミクのポスターや広告がある。驚いたのは、アニメによる作画のミクではなく、公式のイラストを用いていることだ。作品を通してのキーであるミクへのこだわりを感じる。また、実在する曲のMVをスクリーン画面いっぱいに映したり、迫力満点のライブシーンがあったりと、「音楽」という側面でも楽しむことができる。
19 『女装してめんどくさいことになってるネクラとヤンキーの両片思い』(漫画)作:とおる
あらすじ
お互いの好きな人は、嫌いなヤツが女装した姿!?可愛く朗らかな女の子・「花」凛とした美人・「めい」二人はお互いに好きだと気づいていない両片思い!…しかし、互いにバレてはいけない秘密が…。
考察
メイクが上手い男性が多く登場するということで、作品自体のクセは強いながらも時代に合っているのではないかと思う。また、お互い好きな相手が女装した苦手な男であるため、2人ともストレートでありながらBL・百合需要も満たすことができる画期的な作品でもある。周りの友人たちだけが女装に気づき、人物たちのフォローをすることで成り立っている部分があり、友人たちの判断1つで今の関係が崩れ去るため、読者は早くバレて欲しい気持ちとこのままであってほしい気持ちの葛藤を楽しむことになる。
20『 誰ソ彼ホテル』(アニメ)原作:ベノマ玲/SEEC 監督:紅水康介
あらすじ
昼も夜もなく、一日中夕暮れに染まっている
黄昏ホテル。
そこは、あの世に行くか現世に戻るか、行き先を決めかねている魂たちが羽を休めるために存在する生と死の狭間のホテル。
主人公塚原音子は、自分が何者なのかどうしてここにいるのか、記憶を想い出せないまま「黄昏ホテル」に彷徨いつく。
従業員の先導で、宿泊部屋に案内されることに。
本当のあなたは誰ですか?
部屋にはお客様の記憶にまつわる品
があるはずです。
それを手がかりにお客様の記憶を
取り戻すことができるかもしれません。
現世に帰るために探索し自分を想いだしていく中、
とある事件に直面する───。
考察
大好きなゲームがアニメ化するとのことで、非常に楽しみだった作品。作画はうまく原作の絵柄をアニメ調にしており、特徴である髪の虹色のハイライトまでしっかり再現されていた。オリジナルシーンが多く、最終話までしっかり描き切られることへの安心感はあったものの、オリジナルシーンよりも「ゲーム」という媒体では描くことの難しいホテル内の様子や、業務時間外のキャラクターの会話をもっと見たかった気持ちはある。脱出ゲームであるため、探索パートへのネタバレが心配だったが、物語に繋がる所のみ探索シーンを描き、これからゲームを始める人への配慮がされていた。
3年 鈴木心陽 春休み課題1〜20
RES
1、日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析
氷川竜介
アニメの年表を転換点という視点を用いて作成することで流れを捉えようとした本。昭和までのアニメを『白蛇伝』『劇場版エースをねらえ!』『AKIRA』の3つに絞り、そこからのアニメは基礎の応用であるとしたのは斬新だった。(原点は『鉄腕アトム』『白蛇伝』)2023初版で「世界系」の作品まで流れを意識して書かれているのでアニメ史をざっくりと学ぶことができた。特に『宇宙戦艦ヤマト』で述べられている「世界観主義」「美学のある世界観」「クオリティ主義」の話は現在子供から大人まで多くの人がアニメに触れる現代を生きる自分にとって目新しいものだった。またヤマトのファンクラブ創設、「アニメージュ創刊」から繋がる「作家主義」も今や当たり前になっている(宮崎駿、新海誠など)ので、その経緯が知れてよかった。
2、アニメ•エクスペリエンス 深夜アニメ研究の方法
川口茂雄
ゼミでも数章触れた本。驚かされたのがその研究の仕方。自分は今まであまり多くのアニメーションの研究文献を読んではいないが、作品を研究しようとするとどうしてもその作家のことを調べなくてはいけなくなるものだと思っていた。しかし本書、特に序盤では『薬屋のひとりごと』のオープニングや『宇宙よりも遠い場所』挙げ、カットごとの繋がりや広がり、止め画が何を表しているのかなど文脈的なアニメ研究というより映像論のような研究がなされていた。MVに用いられるアニメーションをいつか研究したいと思っている自分にとってとても嬉しいことであった。また、これらはノベルゲームやアートアニメーションを見る際も有用だと感じた。
3、美学への招待 増補版
佐々木健一
美学への入門として読んだ。個人的にもっと簡単な入門書あるよなと思った。特に最終章の思想の話は自分の知識量では理解しづらかった。しかし、とても面白いので是非お勧めしたい。本書は増補版で現代で移り変わっていく美学を身近なもの(例えばレコード、や商品のパッケージ)を使って説いてくれています。特にこの頃使われる「芸術的」という言葉に違和感を持っている人は読んだ方がいいです。読んで、自分はこの頃「芸術的だ」と呼ばれるものは単に感性的なものになってきているなあと感じました。(筆者はデュシャンの泉を挙げ、寧ろ観念的だと感じているようです) 近代美術が身体性を捉えられなかった理由が身体をリズム=呼吸としてではなくただの物体と見ていたからというものがあります(今では美術とみられている)。これは自分の勝手な考察なのですが、アニメーション、とりわけ初期のミッキーは呼吸のアニメーションだというのがありました。現在第七芸術と言われている映画やカットのリズこそあっても、身体を一から線で作っているアニメーションこそ身体の芸術といえないのかと考えました。勉強不足なので勉強します。
4、漫画映画論
今村太平
古くに書かれているので多少読みにくさはある。アニメーションのはじまりから発展を細かに書いてくれている。幻灯の発展から廃れるまでも書いてくれているので、海外のアートアニメーションや人形、影絵に興味のある人は前半部分だけでも読んでみてよいと思う。 当たり前かも知れないが、本書でも「ミッキーのビョンビョン踊りは統合されているのはリズムだけであって、それ以外は破壊されているように思う。しかし、他にも統合はあって、それは機械による統合である(要約)」とあるように、そのトーキー技術に重きを置いている。また音楽や線、色や光など細かに分割した視点で当時のアニメーション(主にディズニー映画)を研究してくれている。ただ、二章の「現代音楽」は自分が浅学故読むのに苦労した。
5、ディズニーと動物 王国の魔法をとく
清水知子
批評用語や思想を多く知らない為カタカナに苦労することがあった。
初期ウォルト•ディズニーについての歴史的な流れをかいてくれている。初期のディズニー作品にプロパガンダ的なものがあったことは重々承知だったが、思い返せばあまり深く考えても、読んでもいなかった。本書は第6章「ネズミは踊り、ドイツは笑うー戦争とプロパガンダ」にある通りディズニーアニメーションとプロパガンダとの関わりを書いてくれている。また、タイトルにもようにディズニーアニメーションにおける「動物」についても深く考察されている。自分は今までは「ディズニー」に動物や人間が仲良く共に包み込まれ社会生活が成り立っている世界とほんわかした何とも間抜けな印象を抱いていた。しかし、ディズニーが初期の段階では「疎外をめぐる問い」と関係していたことそして人間の腹心を託され、人間の都合よく利用される動物という自分にとってディズニーを見る目が変わるに十分な知識を得ることができた。
6、メダリスト (アニメ)
つるまいかだ
【あらすじ】フィギュアスケートに憧れ一度夢破れた青年、明浦路司とフィギュアスケートを夢見る少女、結束いのりがコーチと生徒という関係を結び、オリンピック金メダルを狙うスポーツ漫画
【感想】アニメは最終回を迎えたが⅔話は泣いた。全体的にストーリーも言葉遣いもとても良い。チラッと9巻の絵を見たが画力も化け物じみていると思う。
アニメ1話の瞬間風速がえぐい。結束いのりがフィギュアスケートをやりたいと周囲に声を上げるシーンがあるが、涙が止まらなかった。何かをやりたくてできなかった人、今上手にできていない人は見た方がいい。感動とやる気で眠れなくなります。また、アニメーションもスケートシーンがモーションキャプチャで制作されているらしく、しかも違和感がない。(顔だけ手描き?) 技術面でも見る価値は十二分にあると思う。
7、機動戦士Gundam GQuuuuuuX
【あらすじ】宇宙に浮かぶスペース•コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ•ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技、クランバトルに巻き込まれる。
【感想】 自分はガンダムを最初期のものの第一話しか見ていなかった。が、完全に引き込まれた。ガンダムを見に行ったらガンダムが始まった…との意見がネットで散見された。同意見である。前半と後半の温度違いすぎて風邪引くかと思った。特に前半はガンダムファンならもっと楽しめたのだろうと少し悔しかった。昔のSEやBGMが用いられていて音響さんの努力が感じられた。後半は音楽も画のタッチも現代的になっていて肌に馴染む感がある。雰囲気もとても好みで、これからテレビ版が始まるので楽しみである。
8、機動戦士ガンダム 水星の魔女
【あらすじ】辺境の地、水星から来た少女スレッタ•マーキュリーが自身のモビルスーツ「エアリアル」を巡り学園から起業、闘争と様々な問題に巻き込まれていく
【感想】ジークアクスでガンダムを知り、見やすいと思い視聴。戦闘シーンの迫力がすごい。特に最初のグエル戦でのガンビット展開のかっこよさは異常で繰り返し視聴した。ストーリーも学園ものから起業、兵器→医療技術。広がる格差や差別など現代の社会への一種の批判、問題提示のように思える。キャラクターデザインの話だが、ガンダムキャリバーンの武器が魔女の箒のようにデザインされているのは時筆すべき点だと感じた。
9、ヲタクに恋は難しい (漫画 1〜4)
ふじた
【あらすじ】隠れ腐女子の百瀬成海と重度のゲームヲタクの男性二藤宏嵩との不器用な恋愛模様を会社のヲタク仲間を巻き込んで描かれるラブコメディ
【感想】もともと元気がない時はヲタ恋のアニメを見るくらい好きだったが漫画版が未履修だったので手に取った。ヲタクなら共感できることも多く、特に平成のヲタク文化が好きな人はアニメ版でも見るべき。アニメ版よりも顔立ちが少女漫画風というか整っている印象を持った。アニメではなく単行本の漫画を読むメリットとして、話数が多いというのは一旦置いておいて、章毎にあるおまけページだったり作者のお遊びで描いたものが見れるというのがあるよねとどこかで共有したい。
10、ノア先輩は友達 (漫画1〜4)
あきやまえんま
【あらすじ】「平熱さとり系」な男性、大塚理人と「限界バリキャリ」な女性、早乙女望愛がひょんなことから友達に。早乙女望愛の「バリキャリ」は表の顔であり、その距離の近さに大塚理人が振り回されるラブコメディ。
【感想】一巻の望愛先輩はまだ良かった。距離感の近さとかメンヘラ(?)を迷惑がられないように気にするそぶりがあったから。巻が進むにつれだんだんと異常さが常軌を逸しはじめる。最初はちょっとぶっ飛んだラブコメとして読んでいたが、そろそろ脳がギャグとして認識し始めている。つっこみたいのは理人の理性がおかしい。多分感情の一部を無くしている。「平熱さとり系」とかはじめて聞いたが、多分そんな言葉で表してはいけない。
11、正反対の君と僕
阿賀沢紅茶
【あらすじ】いつも元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう女子、鈴木と物静かだけど自分の意見をしっかり伝える男子、谷。正反対な二人がゆっくりと理解を深めていくラブコメディ。
【感想】先輩が発表していて少し気になったので手に取った。勿論二人の関係性やその他の人物の関係描写も良い。ただ、作者の考え方がすごい。ハッとさせられることが多い。特に「なんかモヤモヤしてるなら、なんかモヤモヤしてるって教えてよ」という台詞は感動した。自分たちは何か気に掛かっている時、どうしてそうなっているのか自分で勝手にこじつけようとしたり、相手に無理矢理答えを求めようとすることが多いと思う。「なんで怒ってるの?」とかそのモヤモヤをすぐに晴らそうと焦ってしまう。モヤモヤというまだ言葉にもならない感情を言葉にならないまま相手に伝えることだって、悪いことではないのだと反省とあたたかさを貰った。
12、アマガミSS (アニメ)
【あらすじ】ps2用恋愛シミュレーションゲームソフトのアニメ化。4話毎にヒロインが変わり別世界線となっている。恋愛に苦い思い出のある高校2年生がクリスマスへの苦手意識を克服すべく恋に奮闘する青春恋愛劇。
【感想】友達に無理矢理見せられたが、案外良かった。もともと恋愛シュミレーションというだけあってヒロインの属性が幅広い。平成ギャルゲのあの学園の雰囲気が好きな人は見るべきだと思う。表と裏があるキャラとして絢辻さんがいるが、手帳や主人公、その表裏を支えるものの描写が丁寧になされていると感じた。考察は、ゲームをしてからじっくり書きたいと思った。
13、百瀬アキラの初恋破綻中
晴川シンタ
【あらすじ】ど田舎の少年、久我山はじめの元に帰ってきた、かつて憧れの同級生百瀬アキラ。実は彼女は大好きなはじめと結ばれる為周到な計画をたてていた。しかし超不器用、はじめは超鈍感。ふたりがすれ違う両片思いラブコメディ
【感想】とにかく画力が高い。百瀬アキラの髪の表現とかとても手が凝っている。凛としていてどこか様子のおかしい白髪キャラが見たい人はぜひ読んでほしい。終始シュールな笑いで物語が進んでいく。終盤、体育祭での主人公の踏ん張りや、その勢いのままはじめが百瀬さんへの恋心を自覚するシーンなんかは盛り上がりからブワッと爽やかになる見開きページで漫画の上手さを感じる。
14、幼馴染をえらべない
風呂川ツカサ
【あらすじ】大好きだったけど離れ離れになってしまった幼馴染。そんな彼女と10年ぶりに再会した、と思いきや彼女は分裂して2人になっていて。性格毎に分裂系のラブコメディ
【感想】デフォルメキャラが可愛い。作品特有の絵柄というのにデフォルメを上手に落とし込んでいると思う。状況は訳がわからないが主人公の相手を思うまっすぐさは胸を打つものがある。一巻の終盤に「不信」の性格のヒロインが出てくるがその台詞「好きとか信じるとか、…全部信じるのはむり わかんない けど信じたい…!」といって一歩を踏み出す。このシーンは個人的に刺さった。何かをする時勇気がなくて自分の実力も足りなくて何を信じて進めばいいのかわからない時がある。でも〜したいという不確かな意志自体強い力を持っているんだと再認識させられた。
15、ひとりと話すので精一杯
さんけ
【あらすじ】誰とでも気さくに話せる女子高生、瑠衣。彼女に想いを寄せる友人の咲月。2人の関係を描いた百合漫画
【感想】もともとSNSで読んでいた百合漫画。完全に趣味で日常系なので考察とかなく、百合てえて〜って感じ。メイン2人以外にもカップルが登場する。短編的な形式で進んでいくので百合好きは一読を。
16、スーパーの裏でヤニ吸うふたり(1〜5巻)
地主
【あらすじ】社畜街道を走る中年のサラリーマン佐々木は行きつけのスーパーの山田さんの接客が唯一の癒し。会議が長引いたある日スーパーへよると山田さんはおらず仕方なくタバコを吸おうとする。しかし今時店先で吸うこともできず焦っているとスーパーの裏へ田山さんという定員に声をかけられる。しかし実は田山は佐々木を揶揄うために即興で作った山田さんの偽名で…。一向に気づかない佐々木と揶揄い続ける山田はそれからスーパーの裏で煙草を吸う仲に。
【感想】まず、すぐ体の繋がりだとか可愛いヒロインだとかに嫌気がさしているラブコメ愛読者は読んだ方がいい。中年と20代というのもあって二人の関係は独特、どちらもそのラインを超えないよう不思議な緊張感がある。巻数が進み、二人の仲が近くなるにつれ、自分が恋心を抱えてしまわないかと苦悩を抱く佐々木、自分が山田だと明かしたら関係が崩れることや佐々木への恋心に自覚し始める山田の繊細な感情描写が光る。筆者は二次創作漫画なども描いているがそれ含めてとにかく感情描写が上手い。顔の俯き、目線だけで言葉にできない心の動きを描写する。それ故上記に書いた佐々木の苦悩も自分はきちんと言葉にできたとは思えない。読む人によって印象は変わるとすら思う。キャラクターがただのラブコメの為の記号ではなく、命がある。少しくたびれたサラリーマンやレトロな雰囲気が好きな人は絶対読むべき。全人類読むべき。
17、愛したぶんだけ愛してほしいっ!
まにお
【あらすじ】彼女を特定で作らず遊ぶ一般的にクズと言われている男性の女性版と一般的にクズ男に沼って貢いでしまう女性の百合漫画。
【感想】個人的にこのような関係にはアンチなのですが怖いもの見たさに買ってしまった…怖かった。描写として上手だなと思ったのが7章の見開きページの一枚絵。一件クズ男(女)が首輪(チョーカー)をつけられ一緒に座っている女性がそのリードを握っているように見えるが(リードを握っている手でクズ男(女)の手も同時に握っている)、よく見ると女性の手の指にリードは掛かっておらず、クズ男(女)の指にかかっている。女性側から見た見かけ上の主導権と実際の主導権が違うことを暗に示している。
18、地面師たち
【あらすじ】土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金を騙し取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く
【感想】話題になっていたので見てみた。俳優の演技が凄かった。特に詐欺を実行しているシーンの緊張感は手に汗握るものがあった。悪いことをしている側で、しかもその行為自体に大義があるわけでもないのに「ばれるな…!」と思ってしまっていることに気づき主観の力の大きさを思い知らされた。テンポも良く一気見していて面白いと感じるものだった。ただハリソン中山の思想、人が死ぬ瞬間を観察し己の欲求を満たしているが、地面師はそれに適してるのだろうかと疑問が拭えなかった。
19、小市民シリーズ (アニメ)
春季限定いちごタルト事件(小説) 夏季限定トロピカルパフェ事件
【あらすじ】中学時代も、問題を推理したがる性格で苦い経験をした小鳩常悟郎は同級生の小山内ゆきと志を共に清く慎ましい「小市民」を目指す。しかし次々と事件に追われ、小市民を目指したいはずの二人は巻き込まれてゆく。
【感想】氷菓と同じ作者(原作)なだけあって雰囲気が好きなファンは一定数いると思う。ストーリーも驚くような仕掛けがあって落ち着いた作風とは思えない衝撃を受けた。 特にアートワークが良かったと思う。例えば背景街で空も晴れていて爽やかな画面がセリフと共に小山内ゆきのアップになった瞬間背景が真っ赤に染まる。そして次のカットでは主人公たちは橋の上で話している。先程までの赤は夕日で、主人公たちが話しながら歩き、時間が経ったのだということがわかる。台詞と時間軸と背景の使い方が今までに見たことがない。それは果たしてキャラクターが生きている世界としての「背景」なのかというのは一考の余地があると思う。しかしネガティブなシーンでは曇りや雨などといった使い古された情景描写、背景は個人的に飽き飽きしていたので見ていて新鮮だった。
20、BLUE GIANT (アニメ)
【あらすじ】仙台の高校生、宮本大は世界一のジャズプレイヤーを目指し高校を卒業後上京。ライブハウスであったピアニスト辺雪祈と高校の同級生、玉田と3人でバンドを組むことになる。
【感想】ストーリーは大体が王道。けれどそれがいいと思わせる迫力がある。特に主人公のサックスの音とそのアニメーションはものすごいインパクトで迫ってくる。ストーリーについても考察の余地があって、ラストの演奏で辺雪に大はサックスを合わせることができるのだが、これはただ大の成長ではなく辺雪が弱者になったこと(ストーリー序盤「弱者には合わせられるんだな」)や、辺雪が折ってしまう腕は序盤片手でピアノを弾いていたこととつながったりとストーリーに一貫性がある。
演奏シーン。ハイライトのこんな使い方は見たことがない。演奏アニメ(ぼざろや坂道のアポロンなど)が好きな人は一度見るべきである。到底商業アニメーションではやらないような作画だと感じる。抽象的なカット、スポットライトから楽器へ反射する光が「感動」や「迫力」のメタファーとして人々の目やメガネ、サックスのハイライトとして躍動する様は圧巻だった。
氷川竜介
アニメの年表を転換点という視点を用いて作成することで流れを捉えようとした本。昭和までのアニメを『白蛇伝』『劇場版エースをねらえ!』『AKIRA』の3つに絞り、そこからのアニメは基礎の応用であるとしたのは斬新だった。(原点は『鉄腕アトム』『白蛇伝』)2023初版で「世界系」の作品まで流れを意識して書かれているのでアニメ史をざっくりと学ぶことができた。特に『宇宙戦艦ヤマト』で述べられている「世界観主義」「美学のある世界観」「クオリティ主義」の話は現在子供から大人まで多くの人がアニメに触れる現代を生きる自分にとって目新しいものだった。またヤマトのファンクラブ創設、「アニメージュ創刊」から繋がる「作家主義」も今や当たり前になっている(宮崎駿、新海誠など)ので、その経緯が知れてよかった。
2、アニメ•エクスペリエンス 深夜アニメ研究の方法
川口茂雄
ゼミでも数章触れた本。驚かされたのがその研究の仕方。自分は今まであまり多くのアニメーションの研究文献を読んではいないが、作品を研究しようとするとどうしてもその作家のことを調べなくてはいけなくなるものだと思っていた。しかし本書、特に序盤では『薬屋のひとりごと』のオープニングや『宇宙よりも遠い場所』挙げ、カットごとの繋がりや広がり、止め画が何を表しているのかなど文脈的なアニメ研究というより映像論のような研究がなされていた。MVに用いられるアニメーションをいつか研究したいと思っている自分にとってとても嬉しいことであった。また、これらはノベルゲームやアートアニメーションを見る際も有用だと感じた。
3、美学への招待 増補版
佐々木健一
美学への入門として読んだ。個人的にもっと簡単な入門書あるよなと思った。特に最終章の思想の話は自分の知識量では理解しづらかった。しかし、とても面白いので是非お勧めしたい。本書は増補版で現代で移り変わっていく美学を身近なもの(例えばレコード、や商品のパッケージ)を使って説いてくれています。特にこの頃使われる「芸術的」という言葉に違和感を持っている人は読んだ方がいいです。読んで、自分はこの頃「芸術的だ」と呼ばれるものは単に感性的なものになってきているなあと感じました。(筆者はデュシャンの泉を挙げ、寧ろ観念的だと感じているようです) 近代美術が身体性を捉えられなかった理由が身体をリズム=呼吸としてではなくただの物体と見ていたからというものがあります(今では美術とみられている)。これは自分の勝手な考察なのですが、アニメーション、とりわけ初期のミッキーは呼吸のアニメーションだというのがありました。現在第七芸術と言われている映画やカットのリズこそあっても、身体を一から線で作っているアニメーションこそ身体の芸術といえないのかと考えました。勉強不足なので勉強します。
4、漫画映画論
今村太平
古くに書かれているので多少読みにくさはある。アニメーションのはじまりから発展を細かに書いてくれている。幻灯の発展から廃れるまでも書いてくれているので、海外のアートアニメーションや人形、影絵に興味のある人は前半部分だけでも読んでみてよいと思う。 当たり前かも知れないが、本書でも「ミッキーのビョンビョン踊りは統合されているのはリズムだけであって、それ以外は破壊されているように思う。しかし、他にも統合はあって、それは機械による統合である(要約)」とあるように、そのトーキー技術に重きを置いている。また音楽や線、色や光など細かに分割した視点で当時のアニメーション(主にディズニー映画)を研究してくれている。ただ、二章の「現代音楽」は自分が浅学故読むのに苦労した。
5、ディズニーと動物 王国の魔法をとく
清水知子
批評用語や思想を多く知らない為カタカナに苦労することがあった。
初期ウォルト•ディズニーについての歴史的な流れをかいてくれている。初期のディズニー作品にプロパガンダ的なものがあったことは重々承知だったが、思い返せばあまり深く考えても、読んでもいなかった。本書は第6章「ネズミは踊り、ドイツは笑うー戦争とプロパガンダ」にある通りディズニーアニメーションとプロパガンダとの関わりを書いてくれている。また、タイトルにもようにディズニーアニメーションにおける「動物」についても深く考察されている。自分は今までは「ディズニー」に動物や人間が仲良く共に包み込まれ社会生活が成り立っている世界とほんわかした何とも間抜けな印象を抱いていた。しかし、ディズニーが初期の段階では「疎外をめぐる問い」と関係していたことそして人間の腹心を託され、人間の都合よく利用される動物という自分にとってディズニーを見る目が変わるに十分な知識を得ることができた。
6、メダリスト (アニメ)
つるまいかだ
【あらすじ】フィギュアスケートに憧れ一度夢破れた青年、明浦路司とフィギュアスケートを夢見る少女、結束いのりがコーチと生徒という関係を結び、オリンピック金メダルを狙うスポーツ漫画
【感想】アニメは最終回を迎えたが⅔話は泣いた。全体的にストーリーも言葉遣いもとても良い。チラッと9巻の絵を見たが画力も化け物じみていると思う。
アニメ1話の瞬間風速がえぐい。結束いのりがフィギュアスケートをやりたいと周囲に声を上げるシーンがあるが、涙が止まらなかった。何かをやりたくてできなかった人、今上手にできていない人は見た方がいい。感動とやる気で眠れなくなります。また、アニメーションもスケートシーンがモーションキャプチャで制作されているらしく、しかも違和感がない。(顔だけ手描き?) 技術面でも見る価値は十二分にあると思う。
7、機動戦士Gundam GQuuuuuuX
【あらすじ】宇宙に浮かぶスペース•コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ•ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技、クランバトルに巻き込まれる。
【感想】 自分はガンダムを最初期のものの第一話しか見ていなかった。が、完全に引き込まれた。ガンダムを見に行ったらガンダムが始まった…との意見がネットで散見された。同意見である。前半と後半の温度違いすぎて風邪引くかと思った。特に前半はガンダムファンならもっと楽しめたのだろうと少し悔しかった。昔のSEやBGMが用いられていて音響さんの努力が感じられた。後半は音楽も画のタッチも現代的になっていて肌に馴染む感がある。雰囲気もとても好みで、これからテレビ版が始まるので楽しみである。
8、機動戦士ガンダム 水星の魔女
【あらすじ】辺境の地、水星から来た少女スレッタ•マーキュリーが自身のモビルスーツ「エアリアル」を巡り学園から起業、闘争と様々な問題に巻き込まれていく
【感想】ジークアクスでガンダムを知り、見やすいと思い視聴。戦闘シーンの迫力がすごい。特に最初のグエル戦でのガンビット展開のかっこよさは異常で繰り返し視聴した。ストーリーも学園ものから起業、兵器→医療技術。広がる格差や差別など現代の社会への一種の批判、問題提示のように思える。キャラクターデザインの話だが、ガンダムキャリバーンの武器が魔女の箒のようにデザインされているのは時筆すべき点だと感じた。
9、ヲタクに恋は難しい (漫画 1〜4)
ふじた
【あらすじ】隠れ腐女子の百瀬成海と重度のゲームヲタクの男性二藤宏嵩との不器用な恋愛模様を会社のヲタク仲間を巻き込んで描かれるラブコメディ
【感想】もともと元気がない時はヲタ恋のアニメを見るくらい好きだったが漫画版が未履修だったので手に取った。ヲタクなら共感できることも多く、特に平成のヲタク文化が好きな人はアニメ版でも見るべき。アニメ版よりも顔立ちが少女漫画風というか整っている印象を持った。アニメではなく単行本の漫画を読むメリットとして、話数が多いというのは一旦置いておいて、章毎にあるおまけページだったり作者のお遊びで描いたものが見れるというのがあるよねとどこかで共有したい。
10、ノア先輩は友達 (漫画1〜4)
あきやまえんま
【あらすじ】「平熱さとり系」な男性、大塚理人と「限界バリキャリ」な女性、早乙女望愛がひょんなことから友達に。早乙女望愛の「バリキャリ」は表の顔であり、その距離の近さに大塚理人が振り回されるラブコメディ。
【感想】一巻の望愛先輩はまだ良かった。距離感の近さとかメンヘラ(?)を迷惑がられないように気にするそぶりがあったから。巻が進むにつれだんだんと異常さが常軌を逸しはじめる。最初はちょっとぶっ飛んだラブコメとして読んでいたが、そろそろ脳がギャグとして認識し始めている。つっこみたいのは理人の理性がおかしい。多分感情の一部を無くしている。「平熱さとり系」とかはじめて聞いたが、多分そんな言葉で表してはいけない。
11、正反対の君と僕
阿賀沢紅茶
【あらすじ】いつも元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう女子、鈴木と物静かだけど自分の意見をしっかり伝える男子、谷。正反対な二人がゆっくりと理解を深めていくラブコメディ。
【感想】先輩が発表していて少し気になったので手に取った。勿論二人の関係性やその他の人物の関係描写も良い。ただ、作者の考え方がすごい。ハッとさせられることが多い。特に「なんかモヤモヤしてるなら、なんかモヤモヤしてるって教えてよ」という台詞は感動した。自分たちは何か気に掛かっている時、どうしてそうなっているのか自分で勝手にこじつけようとしたり、相手に無理矢理答えを求めようとすることが多いと思う。「なんで怒ってるの?」とかそのモヤモヤをすぐに晴らそうと焦ってしまう。モヤモヤというまだ言葉にもならない感情を言葉にならないまま相手に伝えることだって、悪いことではないのだと反省とあたたかさを貰った。
12、アマガミSS (アニメ)
【あらすじ】ps2用恋愛シミュレーションゲームソフトのアニメ化。4話毎にヒロインが変わり別世界線となっている。恋愛に苦い思い出のある高校2年生がクリスマスへの苦手意識を克服すべく恋に奮闘する青春恋愛劇。
【感想】友達に無理矢理見せられたが、案外良かった。もともと恋愛シュミレーションというだけあってヒロインの属性が幅広い。平成ギャルゲのあの学園の雰囲気が好きな人は見るべきだと思う。表と裏があるキャラとして絢辻さんがいるが、手帳や主人公、その表裏を支えるものの描写が丁寧になされていると感じた。考察は、ゲームをしてからじっくり書きたいと思った。
13、百瀬アキラの初恋破綻中
晴川シンタ
【あらすじ】ど田舎の少年、久我山はじめの元に帰ってきた、かつて憧れの同級生百瀬アキラ。実は彼女は大好きなはじめと結ばれる為周到な計画をたてていた。しかし超不器用、はじめは超鈍感。ふたりがすれ違う両片思いラブコメディ
【感想】とにかく画力が高い。百瀬アキラの髪の表現とかとても手が凝っている。凛としていてどこか様子のおかしい白髪キャラが見たい人はぜひ読んでほしい。終始シュールな笑いで物語が進んでいく。終盤、体育祭での主人公の踏ん張りや、その勢いのままはじめが百瀬さんへの恋心を自覚するシーンなんかは盛り上がりからブワッと爽やかになる見開きページで漫画の上手さを感じる。
14、幼馴染をえらべない
風呂川ツカサ
【あらすじ】大好きだったけど離れ離れになってしまった幼馴染。そんな彼女と10年ぶりに再会した、と思いきや彼女は分裂して2人になっていて。性格毎に分裂系のラブコメディ
【感想】デフォルメキャラが可愛い。作品特有の絵柄というのにデフォルメを上手に落とし込んでいると思う。状況は訳がわからないが主人公の相手を思うまっすぐさは胸を打つものがある。一巻の終盤に「不信」の性格のヒロインが出てくるがその台詞「好きとか信じるとか、…全部信じるのはむり わかんない けど信じたい…!」といって一歩を踏み出す。このシーンは個人的に刺さった。何かをする時勇気がなくて自分の実力も足りなくて何を信じて進めばいいのかわからない時がある。でも〜したいという不確かな意志自体強い力を持っているんだと再認識させられた。
15、ひとりと話すので精一杯
さんけ
【あらすじ】誰とでも気さくに話せる女子高生、瑠衣。彼女に想いを寄せる友人の咲月。2人の関係を描いた百合漫画
【感想】もともとSNSで読んでいた百合漫画。完全に趣味で日常系なので考察とかなく、百合てえて〜って感じ。メイン2人以外にもカップルが登場する。短編的な形式で進んでいくので百合好きは一読を。
16、スーパーの裏でヤニ吸うふたり(1〜5巻)
地主
【あらすじ】社畜街道を走る中年のサラリーマン佐々木は行きつけのスーパーの山田さんの接客が唯一の癒し。会議が長引いたある日スーパーへよると山田さんはおらず仕方なくタバコを吸おうとする。しかし今時店先で吸うこともできず焦っているとスーパーの裏へ田山さんという定員に声をかけられる。しかし実は田山は佐々木を揶揄うために即興で作った山田さんの偽名で…。一向に気づかない佐々木と揶揄い続ける山田はそれからスーパーの裏で煙草を吸う仲に。
【感想】まず、すぐ体の繋がりだとか可愛いヒロインだとかに嫌気がさしているラブコメ愛読者は読んだ方がいい。中年と20代というのもあって二人の関係は独特、どちらもそのラインを超えないよう不思議な緊張感がある。巻数が進み、二人の仲が近くなるにつれ、自分が恋心を抱えてしまわないかと苦悩を抱く佐々木、自分が山田だと明かしたら関係が崩れることや佐々木への恋心に自覚し始める山田の繊細な感情描写が光る。筆者は二次創作漫画なども描いているがそれ含めてとにかく感情描写が上手い。顔の俯き、目線だけで言葉にできない心の動きを描写する。それ故上記に書いた佐々木の苦悩も自分はきちんと言葉にできたとは思えない。読む人によって印象は変わるとすら思う。キャラクターがただのラブコメの為の記号ではなく、命がある。少しくたびれたサラリーマンやレトロな雰囲気が好きな人は絶対読むべき。全人類読むべき。
17、愛したぶんだけ愛してほしいっ!
まにお
【あらすじ】彼女を特定で作らず遊ぶ一般的にクズと言われている男性の女性版と一般的にクズ男に沼って貢いでしまう女性の百合漫画。
【感想】個人的にこのような関係にはアンチなのですが怖いもの見たさに買ってしまった…怖かった。描写として上手だなと思ったのが7章の見開きページの一枚絵。一件クズ男(女)が首輪(チョーカー)をつけられ一緒に座っている女性がそのリードを握っているように見えるが(リードを握っている手でクズ男(女)の手も同時に握っている)、よく見ると女性の手の指にリードは掛かっておらず、クズ男(女)の指にかかっている。女性側から見た見かけ上の主導権と実際の主導権が違うことを暗に示している。
18、地面師たち
【あらすじ】土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金を騙し取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く
【感想】話題になっていたので見てみた。俳優の演技が凄かった。特に詐欺を実行しているシーンの緊張感は手に汗握るものがあった。悪いことをしている側で、しかもその行為自体に大義があるわけでもないのに「ばれるな…!」と思ってしまっていることに気づき主観の力の大きさを思い知らされた。テンポも良く一気見していて面白いと感じるものだった。ただハリソン中山の思想、人が死ぬ瞬間を観察し己の欲求を満たしているが、地面師はそれに適してるのだろうかと疑問が拭えなかった。
19、小市民シリーズ (アニメ)
春季限定いちごタルト事件(小説) 夏季限定トロピカルパフェ事件
【あらすじ】中学時代も、問題を推理したがる性格で苦い経験をした小鳩常悟郎は同級生の小山内ゆきと志を共に清く慎ましい「小市民」を目指す。しかし次々と事件に追われ、小市民を目指したいはずの二人は巻き込まれてゆく。
【感想】氷菓と同じ作者(原作)なだけあって雰囲気が好きなファンは一定数いると思う。ストーリーも驚くような仕掛けがあって落ち着いた作風とは思えない衝撃を受けた。 特にアートワークが良かったと思う。例えば背景街で空も晴れていて爽やかな画面がセリフと共に小山内ゆきのアップになった瞬間背景が真っ赤に染まる。そして次のカットでは主人公たちは橋の上で話している。先程までの赤は夕日で、主人公たちが話しながら歩き、時間が経ったのだということがわかる。台詞と時間軸と背景の使い方が今までに見たことがない。それは果たしてキャラクターが生きている世界としての「背景」なのかというのは一考の余地があると思う。しかしネガティブなシーンでは曇りや雨などといった使い古された情景描写、背景は個人的に飽き飽きしていたので見ていて新鮮だった。
20、BLUE GIANT (アニメ)
【あらすじ】仙台の高校生、宮本大は世界一のジャズプレイヤーを目指し高校を卒業後上京。ライブハウスであったピアニスト辺雪祈と高校の同級生、玉田と3人でバンドを組むことになる。
【感想】ストーリーは大体が王道。けれどそれがいいと思わせる迫力がある。特に主人公のサックスの音とそのアニメーションはものすごいインパクトで迫ってくる。ストーリーについても考察の余地があって、ラストの演奏で辺雪に大はサックスを合わせることができるのだが、これはただ大の成長ではなく辺雪が弱者になったこと(ストーリー序盤「弱者には合わせられるんだな」)や、辺雪が折ってしまう腕は序盤片手でピアノを弾いていたこととつながったりとストーリーに一貫性がある。
演奏シーン。ハイライトのこんな使い方は見たことがない。演奏アニメ(ぼざろや坂道のアポロンなど)が好きな人は一度見るべきである。到底商業アニメーションではやらないような作画だと感じる。抽象的なカット、スポットライトから楽器へ反射する光が「感動」や「迫力」のメタファーとして人々の目やメガネ、サックスのハイライトとして躍動する様は圧巻だった。
3年 鈴木心陽 春休み課題1〜20
RES
1、日本アニメの革新 歴史の転換点となった変化の構造分析
氷川竜介
アニメの年表を転換点という視点を用いて作成することで流れを捉えようとした本。昭和までのアニメを『白蛇伝』『劇場版エースをねらえ!』『AKIRA』の3つに絞り、そこからのアニメは基礎の応用であるとしたのは斬新だった。(原点は『鉄腕アトム』『白蛇伝』)2023初版で「世界系」の作品まで流れを意識して書かれているのでアニメ史をざっくりと学ぶことができた。特に『宇宙戦艦ヤマト』で述べられている「世界観主義」「美学のある世界観」「クオリティ主義」の話は現在子供から大人まで多くの人がアニメに触れる現代を生きる自分にとって目新しいものだった。またヤマトのファンクラブ創設、「アニメージュ創刊」から繋がる「作家主義」も今や当たり前になっている(宮崎駿、新海誠など)ので、その経緯が知れてよかった。
2、アニメ•エクスペリエンス 深夜アニメ研究の方法
川口茂雄
ゼミでも数章触れた本。驚かされたのがその研究の仕方。自分は今まであまり多くのアニメーションの研究文献を読んではいないが、作品を研究しようとするとどうしてもその作家のことを調べなくてはいけなくなるものだと思っていた。しかし本書、特に序盤では『薬屋のひとりごと』のオープニングや『宇宙よりも遠い場所』挙げ、カットごとの繋がりや広がり、止め画が何を表しているのかなど文脈的なアニメ研究というより映像論のような研究がなされていた。MVに用いられるアニメーションをいつか研究したいと思っている自分にとってとても嬉しいことであった。また、これらはノベルゲームやアートアニメーションを見る際も有用だと感じた。
3、美学への招待 増補版
佐々木健一
美学への入門として読んだ。個人的にもっと簡単な入門書あるよなと思った。特に最終章の思想の話は自分の知識量では理解しづらかった。しかし、とても面白いので是非お勧めしたい。本書は増補版で現代で移り変わっていく美学を身近なもの(例えばレコード、や商品のパッケージ)を使って説いてくれています。特にこの頃使われる「芸術的」という言葉に違和感を持っている人は読んだ方がいいです。読んで、自分はこの頃「芸術的だ」と呼ばれるものは単に感性的なものになってきているなあと感じました。(筆者はデュシャンの泉を挙げ、寧ろ観念的だと感じているようです) 近代美術が身体性を捉えられなかった理由が身体をリズム=呼吸としてではなくただの物体と見ていたからというものがあります(今では美術とみられている)。これは自分の勝手な考察なのですが、アニメーション、とりわけ初期のミッキーは呼吸のアニメーションだというのがありました。現在第七芸術と言われている映画やカットのリズこそあっても、身体を一から線で作っているアニメーションこそ身体の芸術といえないのかと考えました。勉強不足なので勉強します。
4、漫画映画論
今村太平
古くに書かれているので多少読みにくさはある。アニメーションのはじまりから発展を細かに書いてくれている。幻灯の発展から廃れるまでも書いてくれているので、海外のアートアニメーションや人形、影絵に興味のある人は前半部分だけでも読んでみてよいと思う。 当たり前かも知れないが、本書でも「ミッキーのビョンビョン踊りは統合されているのはリズムだけであって、それ以外は破壊されているように思う。しかし、他にも統合はあって、それは機械による統合である(要約)」とあるように、そのトーキー技術に重きを置いている。また音楽や線、色や光など細かに分割した視点で当時のアニメーション(主にディズニー映画)を研究してくれている。ただ、二章の「現代音楽」は自分が浅学故読むのに苦労した。
5、ディズニーと動物 王国の魔法をとく
清水知子
批評用語や思想を多く知らない為カタカナに苦労することがあった。
初期ウォルト•ディズニーについての歴史的な流れをかいてくれている。初期のディズニー作品にプロパガンダ的なものがあったことは重々承知だったが、思い返せばあまり深く考えても、読んでもいなかった。本書は第6章「ネズミは踊り、ドイツは笑うー戦争とプロパガンダ」にある通りディズニーアニメーションとプロパガンダとの関わりを書いてくれている。また、タイトルにもようにディズニーアニメーションにおける「動物」についても深く考察されている。自分は今までは「ディズニー」に動物や人間が仲良く共に包み込まれ社会生活が成り立っている世界とほんわかした何とも間抜けな印象を抱いていた。しかし、ディズニーが初期の段階では「疎外をめぐる問い」と関係していたことそして人間の腹心を託され、人間の都合よく利用される動物という自分にとってディズニーを見る目が変わるに十分な知識を得ることができた。
6、メダリスト (アニメ)
つるまいかだ
【あらすじ】フィギュアスケートに憧れ一度夢破れた青年、明浦路司とフィギュアスケートを夢見る少女、結束いのりがコーチと生徒という関係を結び、オリンピック金メダルを狙うスポーツ漫画
【感想】アニメは最終回を迎えたが⅔話は泣いた。全体的にストーリーも言葉遣いもとても良い。チラッと9巻の絵を見たが画力も化け物じみていると思う。
アニメ1話の瞬間風速がえぐい。結束いのりがフィギュアスケートをやりたいと周囲に声を上げるシーンがあるが、涙が止まらなかった。何かをやりたくてできなかった人、今上手にできていない人は見た方がいい。感動とやる気で眠れなくなります。また、アニメーションもスケートシーンがモーションキャプチャで制作されているらしく、しかも違和感がない。(顔だけ手描き?) 技術面でも見る価値は十二分にあると思う。
7、機動戦士Gundam GQuuuuuuX
【あらすじ】宇宙に浮かぶスペース•コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ•ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技、クランバトルに巻き込まれる。
【感想】 自分はガンダムを最初期のものの第一話しか見ていなかった。が、完全に引き込まれた。ガンダムを見に行ったらガンダムが始まった…との意見がネットで散見された。同意見である。前半と後半の温度違いすぎて風邪引くかと思った。特に前半はガンダムファンならもっと楽しめたのだろうと少し悔しかった。昔のSEやBGMが用いられていて音響さんの努力が感じられた。後半は音楽も画のタッチも現代的になっていて肌に馴染む感がある。雰囲気もとても好みで、これからテレビ版が始まるので楽しみである。
8、機動戦士ガンダム 水星の魔女
【あらすじ】辺境の地、水星から来た少女スレッタ•マーキュリーが自身のモビルスーツ「エアリアル」を巡り学園から起業、闘争と様々な問題に巻き込まれていく
【感想】ジークアクスでガンダムを知り、見やすいと思い視聴。戦闘シーンの迫力がすごい。特に最初のグエル戦でのガンビット展開のかっこよさは異常で繰り返し視聴した。ストーリーも学園ものから起業、兵器→医療技術。広がる格差や差別など現代の社会への一種の批判、問題提示のように思える。キャラクターデザインの話だが、ガンダムキャリバーンの武器が魔女の箒のようにデザインされているのは時筆すべき点だと感じた。
9、ヲタクに恋は難しい (漫画 1〜4)
ふじた
【あらすじ】隠れ腐女子の百瀬成海と重度のゲームヲタクの男性二藤宏嵩との不器用な恋愛模様を会社のヲタク仲間を巻き込んで描かれるラブコメディ
【感想】もともと元気がない時はヲタ恋のアニメを見るくらい好きだったが漫画版が未履修だったので手に取った。ヲタクなら共感できることも多く、特に平成のヲタク文化が好きな人はアニメ版でも見るべき。アニメ版よりも顔立ちが少女漫画風というか整っている印象を持った。アニメではなく単行本の漫画を読むメリットとして、話数が多いというのは一旦置いておいて、章毎にあるおまけページだったり作者のお遊びで描いたものが見れるというのがあるよねとどこかで共有したい。
10、ノア先輩は友達 (漫画1〜4)
あきやまえんま
【あらすじ】「平熱さとり系」な男性、大塚理人と「限界バリキャリ」な女性、早乙女望愛がひょんなことから友達に。早乙女望愛の「バリキャリ」は表の顔であり、その距離の近さに大塚理人が振り回されるラブコメディ。
【感想】一巻の望愛先輩はまだ良かった。距離感の近さとかメンヘラ(?)を迷惑がられないように気にするそぶりがあったから。巻が進むにつれだんだんと異常さが常軌を逸しはじめる。最初はちょっとぶっ飛んだラブコメとして読んでいたが、そろそろ脳がギャグとして認識し始めている。つっこみたいのは理人の理性がおかしい。多分感情の一部を無くしている。「平熱さとり系」とかはじめて聞いたが、多分そんな言葉で表してはいけない。
11、正反対の君と僕
阿賀沢紅茶
【あらすじ】いつも元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう女子、鈴木と物静かだけど自分の意見をしっかり伝える男子、谷。正反対な二人がゆっくりと理解を深めていくラブコメディ。
【感想】先輩が発表していて少し気になったので手に取った。勿論二人の関係性やその他の人物の関係描写も良い。ただ、作者の考え方がすごい。ハッとさせられることが多い。特に「なんかモヤモヤしてるなら、なんかモヤモヤしてるって教えてよ」という台詞は感動した。自分たちは何か気に掛かっている時、どうしてそうなっているのか自分で勝手にこじつけようとしたり、相手に無理矢理答えを求めようとすることが多いと思う。「なんで怒ってるの?」とかそのモヤモヤをすぐに晴らそうと焦ってしまう。モヤモヤというまだ言葉にもならない感情を言葉にならないまま相手に伝えることだって、悪いことではないのだと反省とあたたかさを貰った。
12、アマガミSS (アニメ)
【あらすじ】ps2用恋愛シミュレーションゲームソフトのアニメ化。4話毎にヒロインが変わり別世界線となっている。恋愛に苦い思い出のある高校2年生がクリスマスへの苦手意識を克服すべく恋に奮闘する青春恋愛劇。
【感想】友達に無理矢理見せられたが、案外良かった。もともと恋愛シュミレーションというだけあってヒロインの属性が幅広い。平成ギャルゲのあの学園の雰囲気が好きな人は見るべきだと思う。表と裏があるキャラとして絢辻さんがいるが、手帳や主人公、その表裏を支えるものの描写が丁寧になされていると感じた。考察は、ゲームをしてからじっくり書きたいと思った。
13、百瀬アキラの初恋破綻中
晴川シンタ
【あらすじ】ど田舎の少年、久我山はじめの元に帰ってきた、かつて憧れの同級生百瀬アキラ。実は彼女は大好きなはじめと結ばれる為周到な計画をたてていた。しかし超不器用、はじめは超鈍感。ふたりがすれ違う両片思いラブコメディ
【感想】とにかく画力が高い。百瀬アキラの髪の表現とかとても手が凝っている。凛としていてどこか様子のおかしい白髪キャラが見たい人はぜひ読んでほしい。終始シュールな笑いで物語が進んでいく。終盤、体育祭での主人公の踏ん張りや、その勢いのままはじめが百瀬さんへの恋心を自覚するシーンなんかは盛り上がりからブワッと爽やかになる見開きページで漫画の上手さを感じる。
14、幼馴染をえらべない
風呂川ツカサ
【あらすじ】大好きだったけど離れ離れになってしまった幼馴染。そんな彼女と10年ぶりに再会した、と思いきや彼女は分裂して2人になっていて。性格毎に分裂系のラブコメディ
【感想】デフォルメキャラが可愛い。作品特有の絵柄というのにデフォルメを上手に落とし込んでいると思う。状況は訳がわからないが主人公の相手を思うまっすぐさは胸を打つものがある。一巻の終盤に「不信」の性格のヒロインが出てくるがその台詞「好きとか信じるとか、…全部信じるのはむり わかんない けど信じたい…!」といって一歩を踏み出す。このシーンは個人的に刺さった。何かをする時勇気がなくて自分の実力も足りなくて何を信じて進めばいいのかわからない時がある。でも〜したいという不確かな意志自体強い力を持っているんだと再認識させられた。
15、ひとりと話すので精一杯
さんけ
【あらすじ】誰とでも気さくに話せる女子高生、瑠衣。彼女に想いを寄せる友人の咲月。2人の関係を描いた百合漫画
【感想】もともとSNSで読んでいた百合漫画。完全に趣味で日常系なので考察とかなく、百合てえて〜って感じ。メイン2人以外にもカップルが登場する。短編的な形式で進んでいくので百合好きは一読を。
16、スーパーの裏でヤニ吸うふたり(1〜5巻)
地主
【あらすじ】社畜街道を走る中年のサラリーマン佐々木は行きつけのスーパーの山田さんの接客が唯一の癒し。会議が長引いたある日スーパーへよると山田さんはおらず仕方なくタバコを吸おうとする。しかし今時店先で吸うこともできず焦っているとスーパーの裏へ田山さんという定員に声をかけられる。しかし実は田山は佐々木を揶揄うために即興で作った山田さんの偽名で…。一向に気づかない佐々木と揶揄い続ける山田はそれからスーパーの裏で煙草を吸う仲に。
【感想】まず、すぐ体の繋がりだとか可愛いヒロインだとかに嫌気がさしているラブコメ愛読者は読んだ方がいい。中年と20代というのもあって二人の関係は独特、どちらもそのラインを超えないよう不思議な緊張感がある。巻数が進み、二人の仲が近くなるにつれ、自分が恋心を抱えてしまわないかと苦悩を抱く佐々木、自分が山田だと明かしたら関係が崩れることや佐々木への恋心に自覚し始める山田の繊細な感情描写が光る。筆者は二次創作漫画なども描いているがそれ含めてとにかく感情描写が上手い。顔の俯き、目線だけで言葉にできない心の動きを描写する。それ故上記に書いた佐々木の苦悩も自分はきちんと言葉にできたとは思えない。読む人によって印象は変わるとすら思う。キャラクターがただのラブコメの為の記号ではなく、命がある。少しくたびれたサラリーマンやレトロな雰囲気が好きな人は絶対読むべき。全人類読むべき。
17、愛したぶんだけ愛してほしいっ!
まにお
【あらすじ】彼女を特定で作らず遊ぶ一般的にクズと言われている男性の女性版と一般的にクズ男に沼って貢いでしまう女性の百合漫画。
【感想】個人的にこのような関係にはアンチなのですが怖いもの見たさに買ってしまった…怖かった。描写として上手だなと思ったのが7章の見開きページの一枚絵。一件クズ男(女)が首輪(チョーカー)をつけられ一緒に座っている女性がそのリードを握っているように見えるが(リードを握っている手でクズ男(女)の手も同時に握っている)、よく見ると女性の手の指にリードは掛かっておらず、クズ男(女)の指にかかっている。女性側から見た見かけ上の主導権と実際の主導権が違うことを暗に示している。
18、地面師たち
【あらすじ】土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金を騙し取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く
【感想】話題になっていたので見てみた。俳優の演技が凄かった。特に詐欺を実行しているシーンの緊張感は手に汗握るものがあった。悪いことをしている側で、しかもその行為自体に大義があるわけでもないのに「ばれるな…!」と思ってしまっていることに気づき主観の力の大きさを思い知らされた。テンポも良く一気見していて面白いと感じるものだった。ただハリソン中山の思想、人が死ぬ瞬間を観察し己の欲求を満たしているが、地面師はそれに適してるのだろうかと疑問が拭えなかった。
19、小市民シリーズ (アニメ)
春季限定いちごタルト事件(小説) 夏季限定トロピカルパフェ事件
【あらすじ】中学時代も、問題を推理したがる性格で苦い経験をした小鳩常悟郎は同級生の小山内ゆきと志を共に清く慎ましい「小市民」を目指す。しかし次々と事件に追われ、小市民を目指したいはずの二人は巻き込まれてゆく。
【感想】氷菓と同じ作者(原作)なだけあって雰囲気が好きなファンは一定数いると思う。ストーリーも驚くような仕掛けがあって落ち着いた作風とは思えない衝撃を受けた。 特にアートワークが良かったと思う。例えば背景街で空も晴れていて爽やかな画面がセリフと共に小山内ゆきのアップになった瞬間背景が真っ赤に染まる。そして次のカットでは主人公たちは橋の上で話している。先程までの赤は夕日で、主人公たちが話しながら歩き、時間が経ったのだということがわかる。台詞と時間軸と背景の使い方が今までに見たことがない。それは果たしてキャラクターが生きている世界としての「背景」なのかというのは一考の余地があると思う。しかしネガティブなシーンでは曇りや雨などといった使い古された情景描写、背景は個人的に飽き飽きしていたので見ていて新鮮だった。
20、BLUE GIANT (アニメ)
【あらすじ】仙台の高校生、宮本大は世界一のジャズプレイヤーを目指し高校を卒業後上京。ライブハウスであったピアニスト辺雪祈と高校の同級生、玉田と3人でバンドを組むことになる。
【感想】ストーリーは大体が王道。けれどそれがいいと思わせる迫力がある。特に主人公のサックスの音とそのアニメーションはものすごいインパクトで迫ってくる。ストーリーについても考察の余地があって、ラストの演奏で辺雪に大はサックスを合わせることができるのだが、これはただ大の成長ではなく辺雪が弱者になったこと(ストーリー序盤「弱者には合わせられるんだな」)や、辺雪が折ってしまう腕は序盤片手でピアノを弾いていたこととつながったりとストーリーに一貫性がある。
演奏シーン。ハイライトのこんな使い方は見たことがない。演奏アニメ(ぼざろや坂道のアポロンなど)が好きな人は一度見るべきである。到底商業アニメーションではやらないような作画だと感じる。抽象的なカット、スポットライトから楽器へ反射する光が「感動」や「迫力」のメタファーとして人々の目やメガネ、サックスのハイライトとして躍動する様は圧巻だった。
氷川竜介
アニメの年表を転換点という視点を用いて作成することで流れを捉えようとした本。昭和までのアニメを『白蛇伝』『劇場版エースをねらえ!』『AKIRA』の3つに絞り、そこからのアニメは基礎の応用であるとしたのは斬新だった。(原点は『鉄腕アトム』『白蛇伝』)2023初版で「世界系」の作品まで流れを意識して書かれているのでアニメ史をざっくりと学ぶことができた。特に『宇宙戦艦ヤマト』で述べられている「世界観主義」「美学のある世界観」「クオリティ主義」の話は現在子供から大人まで多くの人がアニメに触れる現代を生きる自分にとって目新しいものだった。またヤマトのファンクラブ創設、「アニメージュ創刊」から繋がる「作家主義」も今や当たり前になっている(宮崎駿、新海誠など)ので、その経緯が知れてよかった。
2、アニメ•エクスペリエンス 深夜アニメ研究の方法
川口茂雄
ゼミでも数章触れた本。驚かされたのがその研究の仕方。自分は今まであまり多くのアニメーションの研究文献を読んではいないが、作品を研究しようとするとどうしてもその作家のことを調べなくてはいけなくなるものだと思っていた。しかし本書、特に序盤では『薬屋のひとりごと』のオープニングや『宇宙よりも遠い場所』挙げ、カットごとの繋がりや広がり、止め画が何を表しているのかなど文脈的なアニメ研究というより映像論のような研究がなされていた。MVに用いられるアニメーションをいつか研究したいと思っている自分にとってとても嬉しいことであった。また、これらはノベルゲームやアートアニメーションを見る際も有用だと感じた。
3、美学への招待 増補版
佐々木健一
美学への入門として読んだ。個人的にもっと簡単な入門書あるよなと思った。特に最終章の思想の話は自分の知識量では理解しづらかった。しかし、とても面白いので是非お勧めしたい。本書は増補版で現代で移り変わっていく美学を身近なもの(例えばレコード、や商品のパッケージ)を使って説いてくれています。特にこの頃使われる「芸術的」という言葉に違和感を持っている人は読んだ方がいいです。読んで、自分はこの頃「芸術的だ」と呼ばれるものは単に感性的なものになってきているなあと感じました。(筆者はデュシャンの泉を挙げ、寧ろ観念的だと感じているようです) 近代美術が身体性を捉えられなかった理由が身体をリズム=呼吸としてではなくただの物体と見ていたからというものがあります(今では美術とみられている)。これは自分の勝手な考察なのですが、アニメーション、とりわけ初期のミッキーは呼吸のアニメーションだというのがありました。現在第七芸術と言われている映画やカットのリズこそあっても、身体を一から線で作っているアニメーションこそ身体の芸術といえないのかと考えました。勉強不足なので勉強します。
4、漫画映画論
今村太平
古くに書かれているので多少読みにくさはある。アニメーションのはじまりから発展を細かに書いてくれている。幻灯の発展から廃れるまでも書いてくれているので、海外のアートアニメーションや人形、影絵に興味のある人は前半部分だけでも読んでみてよいと思う。 当たり前かも知れないが、本書でも「ミッキーのビョンビョン踊りは統合されているのはリズムだけであって、それ以外は破壊されているように思う。しかし、他にも統合はあって、それは機械による統合である(要約)」とあるように、そのトーキー技術に重きを置いている。また音楽や線、色や光など細かに分割した視点で当時のアニメーション(主にディズニー映画)を研究してくれている。ただ、二章の「現代音楽」は自分が浅学故読むのに苦労した。
5、ディズニーと動物 王国の魔法をとく
清水知子
批評用語や思想を多く知らない為カタカナに苦労することがあった。
初期ウォルト•ディズニーについての歴史的な流れをかいてくれている。初期のディズニー作品にプロパガンダ的なものがあったことは重々承知だったが、思い返せばあまり深く考えても、読んでもいなかった。本書は第6章「ネズミは踊り、ドイツは笑うー戦争とプロパガンダ」にある通りディズニーアニメーションとプロパガンダとの関わりを書いてくれている。また、タイトルにもようにディズニーアニメーションにおける「動物」についても深く考察されている。自分は今までは「ディズニー」に動物や人間が仲良く共に包み込まれ社会生活が成り立っている世界とほんわかした何とも間抜けな印象を抱いていた。しかし、ディズニーが初期の段階では「疎外をめぐる問い」と関係していたことそして人間の腹心を託され、人間の都合よく利用される動物という自分にとってディズニーを見る目が変わるに十分な知識を得ることができた。
6、メダリスト (アニメ)
つるまいかだ
【あらすじ】フィギュアスケートに憧れ一度夢破れた青年、明浦路司とフィギュアスケートを夢見る少女、結束いのりがコーチと生徒という関係を結び、オリンピック金メダルを狙うスポーツ漫画
【感想】アニメは最終回を迎えたが⅔話は泣いた。全体的にストーリーも言葉遣いもとても良い。チラッと9巻の絵を見たが画力も化け物じみていると思う。
アニメ1話の瞬間風速がえぐい。結束いのりがフィギュアスケートをやりたいと周囲に声を上げるシーンがあるが、涙が止まらなかった。何かをやりたくてできなかった人、今上手にできていない人は見た方がいい。感動とやる気で眠れなくなります。また、アニメーションもスケートシーンがモーションキャプチャで制作されているらしく、しかも違和感がない。(顔だけ手描き?) 技術面でも見る価値は十二分にあると思う。
7、機動戦士Gundam GQuuuuuuX
【あらすじ】宇宙に浮かぶスペース•コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ•ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技、クランバトルに巻き込まれる。
【感想】 自分はガンダムを最初期のものの第一話しか見ていなかった。が、完全に引き込まれた。ガンダムを見に行ったらガンダムが始まった…との意見がネットで散見された。同意見である。前半と後半の温度違いすぎて風邪引くかと思った。特に前半はガンダムファンならもっと楽しめたのだろうと少し悔しかった。昔のSEやBGMが用いられていて音響さんの努力が感じられた。後半は音楽も画のタッチも現代的になっていて肌に馴染む感がある。雰囲気もとても好みで、これからテレビ版が始まるので楽しみである。
8、機動戦士ガンダム 水星の魔女
【あらすじ】辺境の地、水星から来た少女スレッタ•マーキュリーが自身のモビルスーツ「エアリアル」を巡り学園から起業、闘争と様々な問題に巻き込まれていく
【感想】ジークアクスでガンダムを知り、見やすいと思い視聴。戦闘シーンの迫力がすごい。特に最初のグエル戦でのガンビット展開のかっこよさは異常で繰り返し視聴した。ストーリーも学園ものから起業、兵器→医療技術。広がる格差や差別など現代の社会への一種の批判、問題提示のように思える。キャラクターデザインの話だが、ガンダムキャリバーンの武器が魔女の箒のようにデザインされているのは時筆すべき点だと感じた。
9、ヲタクに恋は難しい (漫画 1〜4)
ふじた
【あらすじ】隠れ腐女子の百瀬成海と重度のゲームヲタクの男性二藤宏嵩との不器用な恋愛模様を会社のヲタク仲間を巻き込んで描かれるラブコメディ
【感想】もともと元気がない時はヲタ恋のアニメを見るくらい好きだったが漫画版が未履修だったので手に取った。ヲタクなら共感できることも多く、特に平成のヲタク文化が好きな人はアニメ版でも見るべき。アニメ版よりも顔立ちが少女漫画風というか整っている印象を持った。アニメではなく単行本の漫画を読むメリットとして、話数が多いというのは一旦置いておいて、章毎にあるおまけページだったり作者のお遊びで描いたものが見れるというのがあるよねとどこかで共有したい。
10、ノア先輩は友達 (漫画1〜4)
あきやまえんま
【あらすじ】「平熱さとり系」な男性、大塚理人と「限界バリキャリ」な女性、早乙女望愛がひょんなことから友達に。早乙女望愛の「バリキャリ」は表の顔であり、その距離の近さに大塚理人が振り回されるラブコメディ。
【感想】一巻の望愛先輩はまだ良かった。距離感の近さとかメンヘラ(?)を迷惑がられないように気にするそぶりがあったから。巻が進むにつれだんだんと異常さが常軌を逸しはじめる。最初はちょっとぶっ飛んだラブコメとして読んでいたが、そろそろ脳がギャグとして認識し始めている。つっこみたいのは理人の理性がおかしい。多分感情の一部を無くしている。「平熱さとり系」とかはじめて聞いたが、多分そんな言葉で表してはいけない。
11、正反対の君と僕
阿賀沢紅茶
【あらすじ】いつも元気いっぱいだけど周りの目を気にしてしまう女子、鈴木と物静かだけど自分の意見をしっかり伝える男子、谷。正反対な二人がゆっくりと理解を深めていくラブコメディ。
【感想】先輩が発表していて少し気になったので手に取った。勿論二人の関係性やその他の人物の関係描写も良い。ただ、作者の考え方がすごい。ハッとさせられることが多い。特に「なんかモヤモヤしてるなら、なんかモヤモヤしてるって教えてよ」という台詞は感動した。自分たちは何か気に掛かっている時、どうしてそうなっているのか自分で勝手にこじつけようとしたり、相手に無理矢理答えを求めようとすることが多いと思う。「なんで怒ってるの?」とかそのモヤモヤをすぐに晴らそうと焦ってしまう。モヤモヤというまだ言葉にもならない感情を言葉にならないまま相手に伝えることだって、悪いことではないのだと反省とあたたかさを貰った。
12、アマガミSS (アニメ)
【あらすじ】ps2用恋愛シミュレーションゲームソフトのアニメ化。4話毎にヒロインが変わり別世界線となっている。恋愛に苦い思い出のある高校2年生がクリスマスへの苦手意識を克服すべく恋に奮闘する青春恋愛劇。
【感想】友達に無理矢理見せられたが、案外良かった。もともと恋愛シュミレーションというだけあってヒロインの属性が幅広い。平成ギャルゲのあの学園の雰囲気が好きな人は見るべきだと思う。表と裏があるキャラとして絢辻さんがいるが、手帳や主人公、その表裏を支えるものの描写が丁寧になされていると感じた。考察は、ゲームをしてからじっくり書きたいと思った。
13、百瀬アキラの初恋破綻中
晴川シンタ
【あらすじ】ど田舎の少年、久我山はじめの元に帰ってきた、かつて憧れの同級生百瀬アキラ。実は彼女は大好きなはじめと結ばれる為周到な計画をたてていた。しかし超不器用、はじめは超鈍感。ふたりがすれ違う両片思いラブコメディ
【感想】とにかく画力が高い。百瀬アキラの髪の表現とかとても手が凝っている。凛としていてどこか様子のおかしい白髪キャラが見たい人はぜひ読んでほしい。終始シュールな笑いで物語が進んでいく。終盤、体育祭での主人公の踏ん張りや、その勢いのままはじめが百瀬さんへの恋心を自覚するシーンなんかは盛り上がりからブワッと爽やかになる見開きページで漫画の上手さを感じる。
14、幼馴染をえらべない
風呂川ツカサ
【あらすじ】大好きだったけど離れ離れになってしまった幼馴染。そんな彼女と10年ぶりに再会した、と思いきや彼女は分裂して2人になっていて。性格毎に分裂系のラブコメディ
【感想】デフォルメキャラが可愛い。作品特有の絵柄というのにデフォルメを上手に落とし込んでいると思う。状況は訳がわからないが主人公の相手を思うまっすぐさは胸を打つものがある。一巻の終盤に「不信」の性格のヒロインが出てくるがその台詞「好きとか信じるとか、…全部信じるのはむり わかんない けど信じたい…!」といって一歩を踏み出す。このシーンは個人的に刺さった。何かをする時勇気がなくて自分の実力も足りなくて何を信じて進めばいいのかわからない時がある。でも〜したいという不確かな意志自体強い力を持っているんだと再認識させられた。
15、ひとりと話すので精一杯
さんけ
【あらすじ】誰とでも気さくに話せる女子高生、瑠衣。彼女に想いを寄せる友人の咲月。2人の関係を描いた百合漫画
【感想】もともとSNSで読んでいた百合漫画。完全に趣味で日常系なので考察とかなく、百合てえて〜って感じ。メイン2人以外にもカップルが登場する。短編的な形式で進んでいくので百合好きは一読を。
16、スーパーの裏でヤニ吸うふたり(1〜5巻)
地主
【あらすじ】社畜街道を走る中年のサラリーマン佐々木は行きつけのスーパーの山田さんの接客が唯一の癒し。会議が長引いたある日スーパーへよると山田さんはおらず仕方なくタバコを吸おうとする。しかし今時店先で吸うこともできず焦っているとスーパーの裏へ田山さんという定員に声をかけられる。しかし実は田山は佐々木を揶揄うために即興で作った山田さんの偽名で…。一向に気づかない佐々木と揶揄い続ける山田はそれからスーパーの裏で煙草を吸う仲に。
【感想】まず、すぐ体の繋がりだとか可愛いヒロインだとかに嫌気がさしているラブコメ愛読者は読んだ方がいい。中年と20代というのもあって二人の関係は独特、どちらもそのラインを超えないよう不思議な緊張感がある。巻数が進み、二人の仲が近くなるにつれ、自分が恋心を抱えてしまわないかと苦悩を抱く佐々木、自分が山田だと明かしたら関係が崩れることや佐々木への恋心に自覚し始める山田の繊細な感情描写が光る。筆者は二次創作漫画なども描いているがそれ含めてとにかく感情描写が上手い。顔の俯き、目線だけで言葉にできない心の動きを描写する。それ故上記に書いた佐々木の苦悩も自分はきちんと言葉にできたとは思えない。読む人によって印象は変わるとすら思う。キャラクターがただのラブコメの為の記号ではなく、命がある。少しくたびれたサラリーマンやレトロな雰囲気が好きな人は絶対読むべき。全人類読むべき。
17、愛したぶんだけ愛してほしいっ!
まにお
【あらすじ】彼女を特定で作らず遊ぶ一般的にクズと言われている男性の女性版と一般的にクズ男に沼って貢いでしまう女性の百合漫画。
【感想】個人的にこのような関係にはアンチなのですが怖いもの見たさに買ってしまった…怖かった。描写として上手だなと思ったのが7章の見開きページの一枚絵。一件クズ男(女)が首輪(チョーカー)をつけられ一緒に座っている女性がそのリードを握っているように見えるが(リードを握っている手でクズ男(女)の手も同時に握っている)、よく見ると女性の手の指にリードは掛かっておらず、クズ男(女)の指にかかっている。女性側から見た見かけ上の主導権と実際の主導権が違うことを暗に示している。
18、地面師たち
【あらすじ】土地の所有者になりすまして売却をもちかけ、多額の代金を騙し取る不動産をめぐる詐欺を行う「地面師」の犯罪を描く
【感想】話題になっていたので見てみた。俳優の演技が凄かった。特に詐欺を実行しているシーンの緊張感は手に汗握るものがあった。悪いことをしている側で、しかもその行為自体に大義があるわけでもないのに「ばれるな…!」と思ってしまっていることに気づき主観の力の大きさを思い知らされた。テンポも良く一気見していて面白いと感じるものだった。ただハリソン中山の思想、人が死ぬ瞬間を観察し己の欲求を満たしているが、地面師はそれに適してるのだろうかと疑問が拭えなかった。
19、小市民シリーズ (アニメ)
春季限定いちごタルト事件(小説) 夏季限定トロピカルパフェ事件
【あらすじ】中学時代も、問題を推理したがる性格で苦い経験をした小鳩常悟郎は同級生の小山内ゆきと志を共に清く慎ましい「小市民」を目指す。しかし次々と事件に追われ、小市民を目指したいはずの二人は巻き込まれてゆく。
【感想】氷菓と同じ作者(原作)なだけあって雰囲気が好きなファンは一定数いると思う。ストーリーも驚くような仕掛けがあって落ち着いた作風とは思えない衝撃を受けた。 特にアートワークが良かったと思う。例えば背景街で空も晴れていて爽やかな画面がセリフと共に小山内ゆきのアップになった瞬間背景が真っ赤に染まる。そして次のカットでは主人公たちは橋の上で話している。先程までの赤は夕日で、主人公たちが話しながら歩き、時間が経ったのだということがわかる。台詞と時間軸と背景の使い方が今までに見たことがない。それは果たしてキャラクターが生きている世界としての「背景」なのかというのは一考の余地があると思う。しかしネガティブなシーンでは曇りや雨などといった使い古された情景描写、背景は個人的に飽き飽きしていたので見ていて新鮮だった。
20、BLUE GIANT (アニメ)
【あらすじ】仙台の高校生、宮本大は世界一のジャズプレイヤーを目指し高校を卒業後上京。ライブハウスであったピアニスト辺雪祈と高校の同級生、玉田と3人でバンドを組むことになる。
【感想】ストーリーは大体が王道。けれどそれがいいと思わせる迫力がある。特に主人公のサックスの音とそのアニメーションはものすごいインパクトで迫ってくる。ストーリーについても考察の余地があって、ラストの演奏で辺雪に大はサックスを合わせることができるのだが、これはただ大の成長ではなく辺雪が弱者になったこと(ストーリー序盤「弱者には合わせられるんだな」)や、辺雪が折ってしまう腕は序盤片手でピアノを弾いていたこととつながったりとストーリーに一貫性がある。
演奏シーン。ハイライトのこんな使い方は見たことがない。演奏アニメ(ぼざろや坂道のアポロンなど)が好きな人は一度見るべきである。到底商業アニメーションではやらないような作画だと感じる。抽象的なカット、スポットライトから楽器へ反射する光が「感動」や「迫力」のメタファーとして人々の目やメガネ、サックスのハイライトとして躍動する様は圧巻だった。
3年 赤羽美咲 春休み課題20作品
RES
1.『神達に拾われた男1』アニメ 全12話
〈あらすじ〉ブラック企業にシステムエンジニアとして勤めている39歳の独身サラリーマン竹林竜馬はひとりアパートであっけない最後を遂げる。天界に召された竜馬だったが、創造神、愛の女神、生命の神に協力を求められ、子どもの姿で異世界へ転生することになる。深い森で一人、のんびり暮らし始めた8歳のリョウマは、魔法でテイムしたスライムたちの研究にのめり込みながら新しい人生を謳歌する。やさしい人たちに囲まれて毎日が楽しい、まったり異世界スローライフファンタジー。
〈印象〉漫画版を途中まで読んだことがあったため、気になっていてこれを機に視聴。ブラック企業に勤めていた主人公が異世界の子どもとして転生してから、なんだかんだ楽しい生活を送っていく話で、ちょくちょく規格外な主人公の転生者らしい能力描写がありつつも全体を通して、ほかの転生ものと比べると比較的穏やかな部類の転生ものだという印象をうけた。続けてずっと見ていると時間の流れが穏やかに感じる。
2.『神達に拾われた男2』アニメ 全12話
〈あらすじ〉1.の作品の続編。リョウマのスローライフが引き続き繰り広げられる。
〈印象〉1.に引き続き視聴。1.の時よりも作画がツヤツヤとした感じに変わっていると感じた。1.が放送されてから時期的に3年くらい間が空いているようなので、その影響かもしれない。作画は変わったものの、1.の穏やかな雰囲気をそのまま受け継いだ作品となっていた印象を受けた。
3.『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』アニメ 全12話
〈あらすじ〉処刑前夜、牢から逃げ出す令嬢ジル。何の咎もない自分を罪人に仕立て上げたのは、婚約者の王太子・ジェラルドだった。戦場で「化け物」と恐れられ、いつしか「軍神令嬢」と呼ばれるようになった働きもすべて初恋のためだった。初対面で求婚された、あの夜。後悔にくちびるを噛みながら兵の矢に討たれたジルは生涯を終えたはずだった。気がつけば、そこは2人が出会った6年前の夜。ジルは、10歳に戻ってしまった自分に戸惑いながらもジェラルドの求婚をかわすため、たまたま手を掴んだ男に「一目惚れした」と嘘をつく。だがそれは、6年後の未来に暴虐の限りを尽くし、クレイトスを火の海に沈めた隣国の皇帝・ハディスだった。でも、ジルが知る姿とはまるで違うピュアすぎる「恋愛オンチ皇帝」ぶりを見せてくる。やがて、ジルは決意する。ジェラルドではなく、ハディスと結ばれることで失ったすべてを取り戻していこうと。「あなたを必ず更生 -いえ、しあわせにいたします」生涯最悪の選択を回避したやりなおし令嬢の大逆転劇が、幕を開ける。
〈印象〉特に前から気になっていたと言う作品ではないが、U-NEXTで見つけて気になったので視聴。ヒロインの戦闘力が高い系の人生やり直しのお話であった。最近、ゼミで戦う女性の描写が増えてきたという話をしていたがこの作品にも言える話だと感じた。竜帝として人々に恐れられ人間不信になりつつある竜帝の心を溶かしていく男前なヒロインという構図になっており、面白かった。
4.『ラブライブ!』アニメ 全13話
〈あらすじ〉秋葉原と神田と神保町という3つの街のはざまにある伝統校、音ノ木坂学院は統廃合の危機に瀕していた。学校の危機に、2年生の高坂穂乃果を中心とした9人の女子生徒が立ち上がる。私たちの大好きな学校を守るために、私たちができることは、アイドルになること。アイドルになって学校を世に広く宣伝し、入学者を増やすことが目標。ここから、彼女たちの「みんなで叶える物語」スクールアイドルプロジェクトが始まった。
〈印象〉私がごく幼い頃に見た作品なのだが、作品の内容をあまり覚えておらず、この機会に再視聴。学校の廃校を防ぐためにアイドルを始めようという軸がいいなと思った。あくまで部活なので「売れたい成功したい」よりも「やりたい」が前面に出ているアイドルものという感じが強くていいなと思った。近年多いなというのはオーディション系のアイドルものだが、最初から業界を目指しているわけじゃない感じが青春ストーリーみが強いと感じた。主人公と友人二人の三人での活動から始まり、どんどん仲間が増え、最終的には9人のメンバーが集まる。ちゃんと一人一人にアイドルを始めるまでの背景や想いがある感じが見ごたえにつながっていると感じた。
5.『ラブライブ!2期』アニメ 全13話
〈あらすじ〉4.の続編。μ'sの活躍により入学希望者が増え廃校を免れた音ノ木坂学院。新学期より穂乃果が生徒会長となり、海未とことりも生徒会の一員となって活動を始める。そんな中、「ラブライブ!」がもう一度開催されるというニュースが9人のもとに舞い込んでくる。3年生にとって最後となる「ラブライブ!」で、優勝を決意する穂乃果達。第1期から続くスクールアイドルストーリーの続編。
〈印象〉一期に続いてアイドル活動をしていくメンバーだが、メンバーの学校卒業が近づき、グループとして今後どうしていくかという問題が入ってくる。学生生活という限られた時間で輝くからこそ良いのではないか。という結論に至ったのがスクールアイドルという特性ならではだなと思った。1期と2期の間は1年だったようなのでかなり短いスパンで続編えを作れたのだなという印象だった。
6.『合コンに行ったら女がいなかった話』アニメ 全12話
〈あらすじ〉同じゼミの女子・蘇芳さんに合コンに誘われた大学生の常盤は、同じく合コン初体験の友人・浅葱と萩の2人を連れて、胸を高鳴らせながら待ち合わせの居酒屋へ。女性陣が先に店に着いたことを知って、待たせてはいけないと急いで席に向うと、そこには、眩く輝くほどイケメンな3人の姿が。男6人と女0人の少し違った合コンが今始まる。
〈印象〉もともと漫画版を途中まで読んでいたのでタイトルを知っており、気になっていたので視聴。男装をしている姿がイケメンな女子三人と普通の男子三人の間で繰り広げられるラブコメディだったが、女性の方の声優をどうするのか(格好良すぎても可愛すぎても解釈不一致では?)という懸念があったものの、個人的にはいい感じに中間の雰囲気に落ち着いていたので特に解釈不一致にならずに済んだ。漫画版を途中まで読んでいたが作画はそんなに雰囲気が変わってなくてよかった。ストーリーもとてもテンポよく進んでいた印象で見やすかった。
7.『フェアリーテイル100年クエスト』アニメ 全25話
〈あらすじ〉フィオーレ王国随一で、お騒がせ魔導士ギルドとしても有名な「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」。そこに所属するナツ・ルーシィ・ハッピー・グレイ・エルザ・ウェンディ・シャルルの最強パーティーは、旅立ちの時を迎えようとしていた。目指す先は遥か北の大地・ギルティナにあるという世界最古の魔導士ギルド「魔陣の竜(マギア・ドラゴン)」。黒魔導士ゼレフや黒竜アクノロギアとの死闘を乗り越えたナツたちに、<S級クエスト>の更に上級である<100年クエスト>に挑む許可が特別に下りたのだ。<100年クエスト>は、「魔陣の竜」が創設されてから百余年、誰一人として達成できていない伝説級の難関依頼。初めての大陸の“不可思議な街”、初めて出会う“不可解な神”、そして動き出す“不気味な敵”…。心躍るナツたち「妖精の尻尾」の新たな大冒険が、幕を開ける。
〈印象〉フェアリーテイルシリーズはわたしが幼少のころからずっと続いている作品で、ずっと好きな作品なのだが、「ファイナルシリーズ」という前作が放送されてから、6年の月日が経っていたので、見始めた当初に、この人物と過去にどんなかかわりがあったのか、どんな過去でどんな設定だったのか等忘れている部分が多くモヤモヤしてずいぶん見るのを保留してしまっていたが、一番初めのシリーズの一話から思い切って見返すことにして、やっと直近まで見返しが終わったので見れた作品。とてつもなく長かったものの、見返していたときも今見ると細かい設定とか伏線の気づきとかがあって、面白かったので良作品だなと感じた。脱線したが、この「100年クエスト」シリーズはずっと追ってきた身としては面白かった。懐かしいキャラがたくさん出てきて、テンションが上がった。長期シリーズなので、今回が初めてではないが、今回は特に作画がかなり変わったという印象を受けた。しかし、崩壊というほどではないので、慣れれば気にせず見れた。
8.『アイカツ!2ndシーズン』アニメ 全51話
〈あらすじ〉新たなアイドル学校「ドリームアカデミー」の活躍により、スターライト学園は史上最大のピンチに追いやられていた。 絶対音感を持つ大型新人アイドルの「音城セイラ」、プロデューサーコースの「冴草きい」など、ドリームアカデミーから新たなライバルが続々登場。 トップアイドルの座をかけた2大学園対決が今始まる! 新たなライバルと出会い、交流を重ね、アイドル活動に打ち込むいちごやセイラたち。 アツいアイドル活動はまだまだ続きます。『アイカツ!』に続く星宮いちごが主人公の続編。
〈印象〉前回の夏休み課題の時に1期を見たのだが、それの続編。幼少期んみすでに見ているもののほぼ忘れており、今見ると気づくことも多いので視聴。アイカツシリーズは卒論で扱うことも検討しているので卒業までにできれば全部見たいと思っている。2期では1期に引き続き、星宮いちごを主人公とした物語が展開された。1期の舞台であった主人公たちの通う学園のライバル校が登場する作品になっていて、ライバル校はデザイナーコースやプロデューサーコースなどアイドル以外も養成している新しいスタイルの学校で、主人公たちが通う学園とは違う一風変わった感じのアイドルたちが多く、面白いなと思った。主人公の学校は衣装を自分で決めるセルフプロデュース型が基本であったのに対し、プロデューサーコースの設置されたライバル校ではアイドルコースのアイドルにプロデューサーコースのプロデューサーがついて衣装を決めてもらったりする様子が見られたりする。
9.『劇場版アイカツ!』アニメ 映画
〈あらすじ〉アイドル成長ストーリー特別編。ステージを通じ、ヒロインの成長と世代交代を描く。時系列的には3rdシーズンの半ば頃だと思われる。
〈印象〉3rdシーズンから主人公が移り変わり、星宮いちご→大空あかりとなるためその世代交代を描いている。そして星宮いちごがあこがれたトップアイドル神崎美月の追い越すことが2ndシーズンまでにはなしえなかったのだが、ついに追い越す様子が描かれてもいるのでトップアイドルの座という意味でも世代交代を描いていたのかもしれない。
10.『アイカツ!3rdシーズン』アニメ 全51話
〈あらすじ〉個性豊かなアイドルたちが、活躍しているアイカツ!の世界。中でも『スターライト学園』の星宮いちご、霧矢あおい、紫吹蘭は、切磋琢磨しながら成長し、いまやあらゆる場所で才能を発揮するアイドルとなった。そんな華やかな先輩たちに憧れる新人アイドル、『スターライト学園』の大空あかり。これからあかりを待ち受けるのは、新しい仲間やライバルとの出会い、そして様々なピンチとチャンス! 今ここに、あかりの汗と涙のアイカツ!がスタートする。𝟭𝘀𝘁、𝟮𝗻dシーズンから続くスターライト学園でのアイドルストーリー。主人公が「星宮いちご」から「大空あかり」へ世代交代している。
〈印象〉100話近く続いた話が急に世代交代してしまった悲しみで当時の私はこのあたりで見るのを辞めてしまったのだが、今回シリーズ通して見てみようと思っているためこれを機に視聴。主人公が交代するにあたって気づいたことは、星宮いちごは才能ありの主人公、大空あかりは才能ありというよりかは努力型の主人公という対比ができるということだった。例えば星宮いちごは入試で素晴らしいパフォーマンスを見せて見事合格、たいして大空あかりは一回入試におちてから、追加チャンスとして開催されたオーディションキャラバンで振り付けを間違えるなどしつつも審査員だった星宮いちごに何かを見出されてギリギリ合格という風に入試の合格の段階から差が見られていた。世代交代が故の対比なのか当時の主人公観の流れがあったのかなんにせよ面白いなと感じた。
11.『アイカツ!4thシーズン』アニメ 全26話
〈あらすじ〉スターライト学園のユニット・ルミナスの大空あかり、氷上スミレ、新条ひなきは、『ルミナス☆ジャパンツアー』に出発! アイカツワゴンに乗って日本中を駆け巡る彼女たちを待っているのは、ファンの笑顔や声援、そして、各地の魅力的なアイドルたち! 学園を飛び出したルミナスのアイカツ!は、新たな出会いと共に、さらにアツく盛り上がります。
〈印象〉3rdシーズンから続く「大空あかり」主人公のアイドルストーリー。私と同じ世代交代を受け入れられない組が多かったのか、何かが影響したのかわからないが平均50話くらいの構成が多いシリーズにしては短い26話という短さに少し驚いた。デザイナーとアイドルの関係やスターライトクイーンになれる主人公、ステージの失敗演出など「星宮いちご」の時にはなかった要素がたくさんあって面白かった。
12.『精霊幻想記 』アニメ 全12話
〈あらすじ〉ベルトラム王国のスラム街に暮らす7歳の少年リオは、ある日突然自分の前世、異世界の国日本の大学生天川春人としての記憶を取り戻す。混乱する中でたまたま王国の第2王女フローラの拉致事件に遭遇した彼は、成り行きで王女を救出し、その褒美として貴族の子弟が学ぶ王立学院に入学する。しかし5年後に行われた演習にて、フローラを突き飛ばしてしまった貴族子弟の失敗を擦り付けられる形で指名手配されてしまうことになり、学院内で唯一の心の拠り所だったセリアのみに別れを告げて国を出奔。そこからリオ―ハルトの、前世と今世の因果を巡る旅が始まった。
〈印象〉身内に勧められたことがあった作品。「王道の転生もの」と聞いていたので、春休みの間いろいろなアニメを見るうちに王道が見たくなって視聴。一番よくある俺強い系で周りにちやほやされるようなストーリーではなく罪を擦り付けられたりと不憫な展開も多く、いい意味で単純でなく、最後まですんなり見れる感じがあった。
13.『精霊幻想記2』アニメ 全12話
〈あらすじ〉12.の作品の続編。様々な出会いと別れを経験したリオは、両親の故郷で母を殺した宿敵への復讐を胸に誓う。数年の旅を経てシュトラール地方へと舞い戻ったリオは、望まぬ政略結婚を強いられていた恩師セリアを救出。だが、その直後、突如として出現した光の柱に導かれるようにして、彼は己が前世である天川春人の初恋の少女・綾瀬美春と衝撃的な再会を果たす。
〈印象〉前世の初恋の人と再会するも、正体を明かさないまま、第2期が終わってしまい、続きが気になるような感じに終わった。復讐したい相手との遭遇など1期よりもさらにシリアスな展開が多くなっていた印象。第三期をやることがあれば引き続き視聴したい。
14.『文豪ストレイドッグス第4シーズン』アニメ 全13話
〈あらすじ〉第1~第3から続く続編。「君たち探偵社は、国の誇りだ」ポートマフィアとの共闘のもと《死の家の鼠》が謀る「共喰い」作戦を制してから、およそ一ヶ月。武装探偵社は、安全貢献の最高勲章たる祓魔梓弓章を授かり、国を挙げて讃えられることとなった。そこへ舞い込む、政府からの緊急要請。4件にわたる若手議員の殺害事件は、六道輪廻の最高位たる天人が死の間際に表す5つの兆候に見立てられていた。武装探偵社は、残る1件を未然に防ぐべく立ち上がる。「一同全力を挙げ、凶賊の企みを阻止せよ」だがそれは、たしかに捕らえたはずの狡猾なる魔人フョードルが仕掛けた罠だった。彼らが掲げる「正義」に疑惑を抱く政府の役人。牙をむく軍警最強の特殊部隊《猟犬》。破滅への引導を渡すべく跋扈する《天人五衰》。栄光から一転、人から追われる身となった武装探偵社に次々と襲い掛かる新たな敵、そして、底なしの絶望。散り散りになる仲間たち。
〈印象〉第1〜第3と追っていた好きな作品だったので引き続き視聴。第1の時からいろいろと考えさせられることが多く見ごたえがある作品だが、頭がさえてるときにまとめてみたかったのでこれを機に視聴。過去回想に始まり、舞台は第3シーズンの続きへと変わっていく。話の展開が細かくて良かった。特に46話「蝶を夢む」という話は第1シーズンから活躍してきた味方キャラクター与謝野晶子の過去が語られる場面があって、その中で生きるということについて考えさせられたりした。けがを治す能力を持つ彼女は戦争に利用された過去を持ち、自分がいると命が軽くなる、という。この一話だけでもだいぶ考えさせられるのでボリューム満点であった。
15.『文豪ストレイドッグス第5シーズン』アニメ 全11話
〈あらすじ〉第1~第4に続く続編。天空カジノで摘発された硬貨型爆弾。その1枚が街で爆発し、混乱の中で終末が幕を開けた。卑劣なる賊の名は《武装探偵社》。《天人五衰》の張り巡らせた醜悪な罠に掛かった中島敦たちは、現実を改変する「頁」の力によって、世界中から誹りを受けるテロリスト集団へとなっていた。軍警最強の特殊部隊《猟犬》は、その身を社会へと捧げた信念と代償のもとに獲物を追い、千々に喰いちぎる。そして、その隊長・福地桜痴は、新時代のテロに対抗すべく超国家的武装警備部隊「人類軍」の蜂起を促すのだった。敦は、仲間と共にない心細さにかられながらも直走る。倒けつ転びつ、哀れなる迷い犬の走る路に希望の種は撒かれていた。探偵社の礎そのものたる福沢諭吉と江戸川乱歩、“魔人”フョードルの策謀を見極めるべく自ら監獄に収監された太宰治も、反撃の機会を伺う。《天人五衰》の目論む国家消滅まで、残された時間は6日。それまでに、彼らの手にある「頁」を奪い、まだ見ぬ首領・神威を倒すことができるのだろうか。交わる友と友、過去と現在。すべては、未来のために。
〈印象〉第4シーズンから続けて視聴。第4シーズンで勃発した事件が第5シーズンで終結しているので合わせてみるのが推奨される作品だと感じた。相変わらず、いろいろと考えさせられる場面の多い作品だったが、特に事件の終結の時に明かされる顛末には考えさせられた。敵にも事情があったんだ、、系(最近だと鬼滅の刃もそう)をみると敵側にどっぷり感情移入してしまうタイプなので、すごく考えさせられました。
16.『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ』
アニメ 全12話
〈あらすじ〉最大6人で編成された分隊同士でサバイバル・マッチを行なう《スクワッド・ジャム》。マニアックな人気があるこの大会には数多くのGGOプレイヤーたちが参加し、ある者は名声を、ある者は復讐を、そしてある者は好敵手を求め、この戦いに集い、死闘を繰り広げる。苛烈な戦いの末に幕を閉じたセカンド・スクワッド・ジャム(SJ2)(アニメ第一期のお話)から三ヵ月後の開催。ついにサード・スクワッド・ジャム(SJ3)の開催が決定。
〈印象〉ソードアートオンライン オルタナティブガンゲイルオンラインの二期。ソードアート・オンラインシリーズはずっと追ってきているが、このシリーズは特に毛色が違い主人公から変わってくる作品。作品内でオルタナティブじゃない方のキリトやシノンのことだろうなという話が出てきたりするので、世界線は多分同じだが、あんまり直接的には関係しないので、別作品のような視点で見れる作品。デスゲームから始まったソードアートオンラインシリーズは「現実に戻れないゲーム(ゲーム内で死んだらほんとに死亡)」に始まり、続くALO編でも「解放されるはずのヒロインがゲームから帰ってこない」、そしてオルタナティブの舞台であるGGO編でも「デスゲーム時代の殺人集団の一員との衝突」さらにアリシゼーション編と第一期のデスゲーム脱却後もなんだかんだシリアスめな雰囲気をどこかに残しているが、オルタナティブの今作では純粋に「遊びとしてのゲーム」を表現している感じがして一風変わって面白い。
17.『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました』アニメ 全12話
〈あらすじ〉その少女のスキルは、魔物を手懐ける『テイマー』。ただしランクは、最弱の『星なし』。最弱テイマーのアイビーは、不吉な子供として村から追われ、『捨て場』のゴミを拾いながら冒険の旅を始めた。か弱いレアスライムや、凶暴な魔物アダンダラと友達になったアイビーは、魔物たちの特殊能力と、前世の記憶による大人顔負けの洞察力で、あらゆる困難をくぐり抜ける。かわいい少女と、かわいい魔物による、ほのぼのサバイバルファンタジー。
〈印象〉漫画版を少しだけ読んだことがあり、ずっと気になっていたのでこれを機に視聴。幼い身でありながら、村を追い出された不憫な展開から始まり、どうなるんだとハラハラさせられながら。ちゃんと主人公が報われる作品で面白かった。ギリ使えるけどいらないくらいの捨てられたゴミを再利用する主人公の姿が新鮮だった。捨て場を利用している物語は現代のごみ再利用だったりだとかそういう視点があったからこそ着想された話なのかもなと思った。
18.『歴史に残る悪女になるぞ』アニメ 全13話
〈あらすじ〉ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が大嫌いだった私が転生したのは、
大好きな乙女ゲームの悪役令嬢アリシア。念願叶って転生したからには、歴史に残る世界一の悪女になってやる!そのためには強くて頭もよくないといけない!と努力しただけなのに、悪役令嬢として頑張れば頑張るほど周囲は予想外の反応で。はたしてアリシアは歴史に残る悪女になれるのか⁉
〈印象〉悪役転生ものはどうにかして死亡フラグを回避するぞ、ということがまず前面に置かれるものが多い印象なのですが、この作品はどれだけすごい悪女になれるかということで主人公が奮闘するので、ちょっと変わっていて面白かった。それはもはや善行では?ということもたくさんするが、あくまで自分のためという生き様が格好いい。
19.『ONE PIECE FILM RED』アニメ 映画
〈あらすじ〉音楽の島・エレジアを舞台に、世界中を熱狂させる歌姫で赤髪のシャンクスの娘であるウタと、ルフィ率いる麦わらの一味、そしてシャンクスによる物語を描く。世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す。「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。音楽の島・エレジアで再会したルフィとウタの出会いは12年前のフーシャ村へと遡る。
〈印象〉ワンピースシリーズは途中まで追っていたものの、あまりの展開の遅さにリタイアしてからだいぶ時が経っていたため、話についていけるか若干不安だったものの作中に出てくるウタの歌をよくカラオケで歌ったりしていたため、さすがに見たいなと思いこれを機に視聴。確かにルフィの知り合い風に出てくる人達の素性が分からないなどの問題は発生したものの、物語の軸にはついていけたので、面白く見れた。
20.『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rdシーズン』アニメ 全13話
〈あらすじ〉1期、2期に続く作品。東京都高度育成高等学校、それは進学率・就職率100%を誇り、毎月10 万円の金銭に相当するポイントが支給される夢のような学校。しかし、その内実は一部の成績優秀者のみが好待遇を受けられる実力至上主義の学校であった。 3学期を迎え、DクラスからCクラスに昇格した綾小路たちは、林間学校へと向かう。そこで実施されるのは「混合合宿」と呼ばれる全学年合同で行われる特別試験。その名の通り、男女別に分かれ、必ず複数のクラスが混合するグループをいくつか作り、そのグループ単位で採点される試験である。 これまで敵として争っていた他のクラスの生徒たちとも協力しなければ、高得点を得ることができない状況、そして何よりボーダーラインに届かなかったグループからは退学者が出るというルールに慄く一同。波乱を呼ぶ激動の3学期が今、幕を開ける。
〈印象〉一期二期に続く三期目の作品。若干頭を使わされる作品なので、余裕のある時に見た。個人的には最終話の一番最後が一番予想外だった。絶対くっつくことはなく適当に利用しあうだけで終わる関係だと思ってた二人がくっついたので、これから先どうなるのかなと思っている。少し打算を含む結論だったっぽいので、これから本当の恋に変わることがあるのか、ないのか、人間的にどうなるのか興味がわいた。個人的に1期から予想を超えた展開になることが多く、見ていて飽きない作品だという印象。
〈あらすじ〉ブラック企業にシステムエンジニアとして勤めている39歳の独身サラリーマン竹林竜馬はひとりアパートであっけない最後を遂げる。天界に召された竜馬だったが、創造神、愛の女神、生命の神に協力を求められ、子どもの姿で異世界へ転生することになる。深い森で一人、のんびり暮らし始めた8歳のリョウマは、魔法でテイムしたスライムたちの研究にのめり込みながら新しい人生を謳歌する。やさしい人たちに囲まれて毎日が楽しい、まったり異世界スローライフファンタジー。
〈印象〉漫画版を途中まで読んだことがあったため、気になっていてこれを機に視聴。ブラック企業に勤めていた主人公が異世界の子どもとして転生してから、なんだかんだ楽しい生活を送っていく話で、ちょくちょく規格外な主人公の転生者らしい能力描写がありつつも全体を通して、ほかの転生ものと比べると比較的穏やかな部類の転生ものだという印象をうけた。続けてずっと見ていると時間の流れが穏やかに感じる。
2.『神達に拾われた男2』アニメ 全12話
〈あらすじ〉1.の作品の続編。リョウマのスローライフが引き続き繰り広げられる。
〈印象〉1.に引き続き視聴。1.の時よりも作画がツヤツヤとした感じに変わっていると感じた。1.が放送されてから時期的に3年くらい間が空いているようなので、その影響かもしれない。作画は変わったものの、1.の穏やかな雰囲気をそのまま受け継いだ作品となっていた印象を受けた。
3.『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』アニメ 全12話
〈あらすじ〉処刑前夜、牢から逃げ出す令嬢ジル。何の咎もない自分を罪人に仕立て上げたのは、婚約者の王太子・ジェラルドだった。戦場で「化け物」と恐れられ、いつしか「軍神令嬢」と呼ばれるようになった働きもすべて初恋のためだった。初対面で求婚された、あの夜。後悔にくちびるを噛みながら兵の矢に討たれたジルは生涯を終えたはずだった。気がつけば、そこは2人が出会った6年前の夜。ジルは、10歳に戻ってしまった自分に戸惑いながらもジェラルドの求婚をかわすため、たまたま手を掴んだ男に「一目惚れした」と嘘をつく。だがそれは、6年後の未来に暴虐の限りを尽くし、クレイトスを火の海に沈めた隣国の皇帝・ハディスだった。でも、ジルが知る姿とはまるで違うピュアすぎる「恋愛オンチ皇帝」ぶりを見せてくる。やがて、ジルは決意する。ジェラルドではなく、ハディスと結ばれることで失ったすべてを取り戻していこうと。「あなたを必ず更生 -いえ、しあわせにいたします」生涯最悪の選択を回避したやりなおし令嬢の大逆転劇が、幕を開ける。
〈印象〉特に前から気になっていたと言う作品ではないが、U-NEXTで見つけて気になったので視聴。ヒロインの戦闘力が高い系の人生やり直しのお話であった。最近、ゼミで戦う女性の描写が増えてきたという話をしていたがこの作品にも言える話だと感じた。竜帝として人々に恐れられ人間不信になりつつある竜帝の心を溶かしていく男前なヒロインという構図になっており、面白かった。
4.『ラブライブ!』アニメ 全13話
〈あらすじ〉秋葉原と神田と神保町という3つの街のはざまにある伝統校、音ノ木坂学院は統廃合の危機に瀕していた。学校の危機に、2年生の高坂穂乃果を中心とした9人の女子生徒が立ち上がる。私たちの大好きな学校を守るために、私たちができることは、アイドルになること。アイドルになって学校を世に広く宣伝し、入学者を増やすことが目標。ここから、彼女たちの「みんなで叶える物語」スクールアイドルプロジェクトが始まった。
〈印象〉私がごく幼い頃に見た作品なのだが、作品の内容をあまり覚えておらず、この機会に再視聴。学校の廃校を防ぐためにアイドルを始めようという軸がいいなと思った。あくまで部活なので「売れたい成功したい」よりも「やりたい」が前面に出ているアイドルものという感じが強くていいなと思った。近年多いなというのはオーディション系のアイドルものだが、最初から業界を目指しているわけじゃない感じが青春ストーリーみが強いと感じた。主人公と友人二人の三人での活動から始まり、どんどん仲間が増え、最終的には9人のメンバーが集まる。ちゃんと一人一人にアイドルを始めるまでの背景や想いがある感じが見ごたえにつながっていると感じた。
5.『ラブライブ!2期』アニメ 全13話
〈あらすじ〉4.の続編。μ'sの活躍により入学希望者が増え廃校を免れた音ノ木坂学院。新学期より穂乃果が生徒会長となり、海未とことりも生徒会の一員となって活動を始める。そんな中、「ラブライブ!」がもう一度開催されるというニュースが9人のもとに舞い込んでくる。3年生にとって最後となる「ラブライブ!」で、優勝を決意する穂乃果達。第1期から続くスクールアイドルストーリーの続編。
〈印象〉一期に続いてアイドル活動をしていくメンバーだが、メンバーの学校卒業が近づき、グループとして今後どうしていくかという問題が入ってくる。学生生活という限られた時間で輝くからこそ良いのではないか。という結論に至ったのがスクールアイドルという特性ならではだなと思った。1期と2期の間は1年だったようなのでかなり短いスパンで続編えを作れたのだなという印象だった。
6.『合コンに行ったら女がいなかった話』アニメ 全12話
〈あらすじ〉同じゼミの女子・蘇芳さんに合コンに誘われた大学生の常盤は、同じく合コン初体験の友人・浅葱と萩の2人を連れて、胸を高鳴らせながら待ち合わせの居酒屋へ。女性陣が先に店に着いたことを知って、待たせてはいけないと急いで席に向うと、そこには、眩く輝くほどイケメンな3人の姿が。男6人と女0人の少し違った合コンが今始まる。
〈印象〉もともと漫画版を途中まで読んでいたのでタイトルを知っており、気になっていたので視聴。男装をしている姿がイケメンな女子三人と普通の男子三人の間で繰り広げられるラブコメディだったが、女性の方の声優をどうするのか(格好良すぎても可愛すぎても解釈不一致では?)という懸念があったものの、個人的にはいい感じに中間の雰囲気に落ち着いていたので特に解釈不一致にならずに済んだ。漫画版を途中まで読んでいたが作画はそんなに雰囲気が変わってなくてよかった。ストーリーもとてもテンポよく進んでいた印象で見やすかった。
7.『フェアリーテイル100年クエスト』アニメ 全25話
〈あらすじ〉フィオーレ王国随一で、お騒がせ魔導士ギルドとしても有名な「妖精の尻尾(フェアリーテイル)」。そこに所属するナツ・ルーシィ・ハッピー・グレイ・エルザ・ウェンディ・シャルルの最強パーティーは、旅立ちの時を迎えようとしていた。目指す先は遥か北の大地・ギルティナにあるという世界最古の魔導士ギルド「魔陣の竜(マギア・ドラゴン)」。黒魔導士ゼレフや黒竜アクノロギアとの死闘を乗り越えたナツたちに、<S級クエスト>の更に上級である<100年クエスト>に挑む許可が特別に下りたのだ。<100年クエスト>は、「魔陣の竜」が創設されてから百余年、誰一人として達成できていない伝説級の難関依頼。初めての大陸の“不可思議な街”、初めて出会う“不可解な神”、そして動き出す“不気味な敵”…。心躍るナツたち「妖精の尻尾」の新たな大冒険が、幕を開ける。
〈印象〉フェアリーテイルシリーズはわたしが幼少のころからずっと続いている作品で、ずっと好きな作品なのだが、「ファイナルシリーズ」という前作が放送されてから、6年の月日が経っていたので、見始めた当初に、この人物と過去にどんなかかわりがあったのか、どんな過去でどんな設定だったのか等忘れている部分が多くモヤモヤしてずいぶん見るのを保留してしまっていたが、一番初めのシリーズの一話から思い切って見返すことにして、やっと直近まで見返しが終わったので見れた作品。とてつもなく長かったものの、見返していたときも今見ると細かい設定とか伏線の気づきとかがあって、面白かったので良作品だなと感じた。脱線したが、この「100年クエスト」シリーズはずっと追ってきた身としては面白かった。懐かしいキャラがたくさん出てきて、テンションが上がった。長期シリーズなので、今回が初めてではないが、今回は特に作画がかなり変わったという印象を受けた。しかし、崩壊というほどではないので、慣れれば気にせず見れた。
8.『アイカツ!2ndシーズン』アニメ 全51話
〈あらすじ〉新たなアイドル学校「ドリームアカデミー」の活躍により、スターライト学園は史上最大のピンチに追いやられていた。 絶対音感を持つ大型新人アイドルの「音城セイラ」、プロデューサーコースの「冴草きい」など、ドリームアカデミーから新たなライバルが続々登場。 トップアイドルの座をかけた2大学園対決が今始まる! 新たなライバルと出会い、交流を重ね、アイドル活動に打ち込むいちごやセイラたち。 アツいアイドル活動はまだまだ続きます。『アイカツ!』に続く星宮いちごが主人公の続編。
〈印象〉前回の夏休み課題の時に1期を見たのだが、それの続編。幼少期んみすでに見ているもののほぼ忘れており、今見ると気づくことも多いので視聴。アイカツシリーズは卒論で扱うことも検討しているので卒業までにできれば全部見たいと思っている。2期では1期に引き続き、星宮いちごを主人公とした物語が展開された。1期の舞台であった主人公たちの通う学園のライバル校が登場する作品になっていて、ライバル校はデザイナーコースやプロデューサーコースなどアイドル以外も養成している新しいスタイルの学校で、主人公たちが通う学園とは違う一風変わった感じのアイドルたちが多く、面白いなと思った。主人公の学校は衣装を自分で決めるセルフプロデュース型が基本であったのに対し、プロデューサーコースの設置されたライバル校ではアイドルコースのアイドルにプロデューサーコースのプロデューサーがついて衣装を決めてもらったりする様子が見られたりする。
9.『劇場版アイカツ!』アニメ 映画
〈あらすじ〉アイドル成長ストーリー特別編。ステージを通じ、ヒロインの成長と世代交代を描く。時系列的には3rdシーズンの半ば頃だと思われる。
〈印象〉3rdシーズンから主人公が移り変わり、星宮いちご→大空あかりとなるためその世代交代を描いている。そして星宮いちごがあこがれたトップアイドル神崎美月の追い越すことが2ndシーズンまでにはなしえなかったのだが、ついに追い越す様子が描かれてもいるのでトップアイドルの座という意味でも世代交代を描いていたのかもしれない。
10.『アイカツ!3rdシーズン』アニメ 全51話
〈あらすじ〉個性豊かなアイドルたちが、活躍しているアイカツ!の世界。中でも『スターライト学園』の星宮いちご、霧矢あおい、紫吹蘭は、切磋琢磨しながら成長し、いまやあらゆる場所で才能を発揮するアイドルとなった。そんな華やかな先輩たちに憧れる新人アイドル、『スターライト学園』の大空あかり。これからあかりを待ち受けるのは、新しい仲間やライバルとの出会い、そして様々なピンチとチャンス! 今ここに、あかりの汗と涙のアイカツ!がスタートする。𝟭𝘀𝘁、𝟮𝗻dシーズンから続くスターライト学園でのアイドルストーリー。主人公が「星宮いちご」から「大空あかり」へ世代交代している。
〈印象〉100話近く続いた話が急に世代交代してしまった悲しみで当時の私はこのあたりで見るのを辞めてしまったのだが、今回シリーズ通して見てみようと思っているためこれを機に視聴。主人公が交代するにあたって気づいたことは、星宮いちごは才能ありの主人公、大空あかりは才能ありというよりかは努力型の主人公という対比ができるということだった。例えば星宮いちごは入試で素晴らしいパフォーマンスを見せて見事合格、たいして大空あかりは一回入試におちてから、追加チャンスとして開催されたオーディションキャラバンで振り付けを間違えるなどしつつも審査員だった星宮いちごに何かを見出されてギリギリ合格という風に入試の合格の段階から差が見られていた。世代交代が故の対比なのか当時の主人公観の流れがあったのかなんにせよ面白いなと感じた。
11.『アイカツ!4thシーズン』アニメ 全26話
〈あらすじ〉スターライト学園のユニット・ルミナスの大空あかり、氷上スミレ、新条ひなきは、『ルミナス☆ジャパンツアー』に出発! アイカツワゴンに乗って日本中を駆け巡る彼女たちを待っているのは、ファンの笑顔や声援、そして、各地の魅力的なアイドルたち! 学園を飛び出したルミナスのアイカツ!は、新たな出会いと共に、さらにアツく盛り上がります。
〈印象〉3rdシーズンから続く「大空あかり」主人公のアイドルストーリー。私と同じ世代交代を受け入れられない組が多かったのか、何かが影響したのかわからないが平均50話くらいの構成が多いシリーズにしては短い26話という短さに少し驚いた。デザイナーとアイドルの関係やスターライトクイーンになれる主人公、ステージの失敗演出など「星宮いちご」の時にはなかった要素がたくさんあって面白かった。
12.『精霊幻想記 』アニメ 全12話
〈あらすじ〉ベルトラム王国のスラム街に暮らす7歳の少年リオは、ある日突然自分の前世、異世界の国日本の大学生天川春人としての記憶を取り戻す。混乱する中でたまたま王国の第2王女フローラの拉致事件に遭遇した彼は、成り行きで王女を救出し、その褒美として貴族の子弟が学ぶ王立学院に入学する。しかし5年後に行われた演習にて、フローラを突き飛ばしてしまった貴族子弟の失敗を擦り付けられる形で指名手配されてしまうことになり、学院内で唯一の心の拠り所だったセリアのみに別れを告げて国を出奔。そこからリオ―ハルトの、前世と今世の因果を巡る旅が始まった。
〈印象〉身内に勧められたことがあった作品。「王道の転生もの」と聞いていたので、春休みの間いろいろなアニメを見るうちに王道が見たくなって視聴。一番よくある俺強い系で周りにちやほやされるようなストーリーではなく罪を擦り付けられたりと不憫な展開も多く、いい意味で単純でなく、最後まですんなり見れる感じがあった。
13.『精霊幻想記2』アニメ 全12話
〈あらすじ〉12.の作品の続編。様々な出会いと別れを経験したリオは、両親の故郷で母を殺した宿敵への復讐を胸に誓う。数年の旅を経てシュトラール地方へと舞い戻ったリオは、望まぬ政略結婚を強いられていた恩師セリアを救出。だが、その直後、突如として出現した光の柱に導かれるようにして、彼は己が前世である天川春人の初恋の少女・綾瀬美春と衝撃的な再会を果たす。
〈印象〉前世の初恋の人と再会するも、正体を明かさないまま、第2期が終わってしまい、続きが気になるような感じに終わった。復讐したい相手との遭遇など1期よりもさらにシリアスな展開が多くなっていた印象。第三期をやることがあれば引き続き視聴したい。
14.『文豪ストレイドッグス第4シーズン』アニメ 全13話
〈あらすじ〉第1~第3から続く続編。「君たち探偵社は、国の誇りだ」ポートマフィアとの共闘のもと《死の家の鼠》が謀る「共喰い」作戦を制してから、およそ一ヶ月。武装探偵社は、安全貢献の最高勲章たる祓魔梓弓章を授かり、国を挙げて讃えられることとなった。そこへ舞い込む、政府からの緊急要請。4件にわたる若手議員の殺害事件は、六道輪廻の最高位たる天人が死の間際に表す5つの兆候に見立てられていた。武装探偵社は、残る1件を未然に防ぐべく立ち上がる。「一同全力を挙げ、凶賊の企みを阻止せよ」だがそれは、たしかに捕らえたはずの狡猾なる魔人フョードルが仕掛けた罠だった。彼らが掲げる「正義」に疑惑を抱く政府の役人。牙をむく軍警最強の特殊部隊《猟犬》。破滅への引導を渡すべく跋扈する《天人五衰》。栄光から一転、人から追われる身となった武装探偵社に次々と襲い掛かる新たな敵、そして、底なしの絶望。散り散りになる仲間たち。
〈印象〉第1〜第3と追っていた好きな作品だったので引き続き視聴。第1の時からいろいろと考えさせられることが多く見ごたえがある作品だが、頭がさえてるときにまとめてみたかったのでこれを機に視聴。過去回想に始まり、舞台は第3シーズンの続きへと変わっていく。話の展開が細かくて良かった。特に46話「蝶を夢む」という話は第1シーズンから活躍してきた味方キャラクター与謝野晶子の過去が語られる場面があって、その中で生きるということについて考えさせられたりした。けがを治す能力を持つ彼女は戦争に利用された過去を持ち、自分がいると命が軽くなる、という。この一話だけでもだいぶ考えさせられるのでボリューム満点であった。
15.『文豪ストレイドッグス第5シーズン』アニメ 全11話
〈あらすじ〉第1~第4に続く続編。天空カジノで摘発された硬貨型爆弾。その1枚が街で爆発し、混乱の中で終末が幕を開けた。卑劣なる賊の名は《武装探偵社》。《天人五衰》の張り巡らせた醜悪な罠に掛かった中島敦たちは、現実を改変する「頁」の力によって、世界中から誹りを受けるテロリスト集団へとなっていた。軍警最強の特殊部隊《猟犬》は、その身を社会へと捧げた信念と代償のもとに獲物を追い、千々に喰いちぎる。そして、その隊長・福地桜痴は、新時代のテロに対抗すべく超国家的武装警備部隊「人類軍」の蜂起を促すのだった。敦は、仲間と共にない心細さにかられながらも直走る。倒けつ転びつ、哀れなる迷い犬の走る路に希望の種は撒かれていた。探偵社の礎そのものたる福沢諭吉と江戸川乱歩、“魔人”フョードルの策謀を見極めるべく自ら監獄に収監された太宰治も、反撃の機会を伺う。《天人五衰》の目論む国家消滅まで、残された時間は6日。それまでに、彼らの手にある「頁」を奪い、まだ見ぬ首領・神威を倒すことができるのだろうか。交わる友と友、過去と現在。すべては、未来のために。
〈印象〉第4シーズンから続けて視聴。第4シーズンで勃発した事件が第5シーズンで終結しているので合わせてみるのが推奨される作品だと感じた。相変わらず、いろいろと考えさせられる場面の多い作品だったが、特に事件の終結の時に明かされる顛末には考えさせられた。敵にも事情があったんだ、、系(最近だと鬼滅の刃もそう)をみると敵側にどっぷり感情移入してしまうタイプなので、すごく考えさせられました。
16.『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインⅡ』
アニメ 全12話
〈あらすじ〉最大6人で編成された分隊同士でサバイバル・マッチを行なう《スクワッド・ジャム》。マニアックな人気があるこの大会には数多くのGGOプレイヤーたちが参加し、ある者は名声を、ある者は復讐を、そしてある者は好敵手を求め、この戦いに集い、死闘を繰り広げる。苛烈な戦いの末に幕を閉じたセカンド・スクワッド・ジャム(SJ2)(アニメ第一期のお話)から三ヵ月後の開催。ついにサード・スクワッド・ジャム(SJ3)の開催が決定。
〈印象〉ソードアートオンライン オルタナティブガンゲイルオンラインの二期。ソードアート・オンラインシリーズはずっと追ってきているが、このシリーズは特に毛色が違い主人公から変わってくる作品。作品内でオルタナティブじゃない方のキリトやシノンのことだろうなという話が出てきたりするので、世界線は多分同じだが、あんまり直接的には関係しないので、別作品のような視点で見れる作品。デスゲームから始まったソードアートオンラインシリーズは「現実に戻れないゲーム(ゲーム内で死んだらほんとに死亡)」に始まり、続くALO編でも「解放されるはずのヒロインがゲームから帰ってこない」、そしてオルタナティブの舞台であるGGO編でも「デスゲーム時代の殺人集団の一員との衝突」さらにアリシゼーション編と第一期のデスゲーム脱却後もなんだかんだシリアスめな雰囲気をどこかに残しているが、オルタナティブの今作では純粋に「遊びとしてのゲーム」を表現している感じがして一風変わって面白い。
17.『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました』アニメ 全12話
〈あらすじ〉その少女のスキルは、魔物を手懐ける『テイマー』。ただしランクは、最弱の『星なし』。最弱テイマーのアイビーは、不吉な子供として村から追われ、『捨て場』のゴミを拾いながら冒険の旅を始めた。か弱いレアスライムや、凶暴な魔物アダンダラと友達になったアイビーは、魔物たちの特殊能力と、前世の記憶による大人顔負けの洞察力で、あらゆる困難をくぐり抜ける。かわいい少女と、かわいい魔物による、ほのぼのサバイバルファンタジー。
〈印象〉漫画版を少しだけ読んだことがあり、ずっと気になっていたのでこれを機に視聴。幼い身でありながら、村を追い出された不憫な展開から始まり、どうなるんだとハラハラさせられながら。ちゃんと主人公が報われる作品で面白かった。ギリ使えるけどいらないくらいの捨てられたゴミを再利用する主人公の姿が新鮮だった。捨て場を利用している物語は現代のごみ再利用だったりだとかそういう視点があったからこそ着想された話なのかもなと思った。
18.『歴史に残る悪女になるぞ』アニメ 全13話
〈あらすじ〉ヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が大嫌いだった私が転生したのは、
大好きな乙女ゲームの悪役令嬢アリシア。念願叶って転生したからには、歴史に残る世界一の悪女になってやる!そのためには強くて頭もよくないといけない!と努力しただけなのに、悪役令嬢として頑張れば頑張るほど周囲は予想外の反応で。はたしてアリシアは歴史に残る悪女になれるのか⁉
〈印象〉悪役転生ものはどうにかして死亡フラグを回避するぞ、ということがまず前面に置かれるものが多い印象なのですが、この作品はどれだけすごい悪女になれるかということで主人公が奮闘するので、ちょっと変わっていて面白かった。それはもはや善行では?ということもたくさんするが、あくまで自分のためという生き様が格好いい。
19.『ONE PIECE FILM RED』アニメ 映画
〈あらすじ〉音楽の島・エレジアを舞台に、世界中を熱狂させる歌姫で赤髪のシャンクスの娘であるウタと、ルフィ率いる麦わらの一味、そしてシャンクスによる物語を描く。世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す。「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。音楽の島・エレジアで再会したルフィとウタの出会いは12年前のフーシャ村へと遡る。
〈印象〉ワンピースシリーズは途中まで追っていたものの、あまりの展開の遅さにリタイアしてからだいぶ時が経っていたため、話についていけるか若干不安だったものの作中に出てくるウタの歌をよくカラオケで歌ったりしていたため、さすがに見たいなと思いこれを機に視聴。確かにルフィの知り合い風に出てくる人達の素性が分からないなどの問題は発生したものの、物語の軸にはついていけたので、面白く見れた。
20.『ようこそ実力至上主義の教室へ 3rdシーズン』アニメ 全13話
〈あらすじ〉1期、2期に続く作品。東京都高度育成高等学校、それは進学率・就職率100%を誇り、毎月10 万円の金銭に相当するポイントが支給される夢のような学校。しかし、その内実は一部の成績優秀者のみが好待遇を受けられる実力至上主義の学校であった。 3学期を迎え、DクラスからCクラスに昇格した綾小路たちは、林間学校へと向かう。そこで実施されるのは「混合合宿」と呼ばれる全学年合同で行われる特別試験。その名の通り、男女別に分かれ、必ず複数のクラスが混合するグループをいくつか作り、そのグループ単位で採点される試験である。 これまで敵として争っていた他のクラスの生徒たちとも協力しなければ、高得点を得ることができない状況、そして何よりボーダーラインに届かなかったグループからは退学者が出るというルールに慄く一同。波乱を呼ぶ激動の3学期が今、幕を開ける。
〈印象〉一期二期に続く三期目の作品。若干頭を使わされる作品なので、余裕のある時に見た。個人的には最終話の一番最後が一番予想外だった。絶対くっつくことはなく適当に利用しあうだけで終わる関係だと思ってた二人がくっついたので、これから先どうなるのかなと思っている。少し打算を含む結論だったっぽいので、これから本当の恋に変わることがあるのか、ないのか、人間的にどうなるのか興味がわいた。個人的に1期から予想を超えた展開になることが多く、見ていて飽きない作品だという印象。
3年 山本凜 春休み課題20作品
RES
1.『アナログ』
<あらすじ>
手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」と約束する。二人で積み重ねるかけがえのない時間。悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズすることを決意。しかし当日、彼女は現れなかった。
その翌週も、翌月も……。なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。ふたりだけの特別な木曜日”は、再び訪れるのか——。“大切な人に会える”
その喜びを改めて知った今だからこそ。 愛の原点を描いたラブストーリー。
<感想>
携帯を持たない2人の約束の仕方やすれ違いが、アナログな恋愛で面白いと思った。話の展開がゆっくりであるため、アナログのゆっくりと流れる時間を感じさせた。現代のようなすぐLINEでやりとりできるのも楽しいが、携帯を持たないことで会えて話ができることがより一層楽しく、大切なものになるし、なにより会うまでの時間がドキドキとワクワクで楽しみになるなと映画をみて感じた。
2.『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
<あらすじ>
京都にある大学の「ぬいぐるみサークル」。「男らしさ」や「女らしさ」というノリが苦手な大学生の七森は、そこで出会った女子大生の麦戸と心を通わせる。そんな2人と、彼らを取り巻く人びとの姿を通して、新しい時代の優しさの意味を問いただしていく。
<感想>
優しすぎる人たちの心情を繊細に描いていると思った。タイトルからやさしい感じの内容を想像していたが、思ったより重い内容であった。ぬいぐるみとしゃべる人たちの話しであるが、最終的に「人に何かを話すこと・人の話を聞くことは、人を傷つけ・人に傷つけられ得る行為であり、だからこそ対話することでしかその傷はいやせない」のだと感じた。
3.『ルックバック』
<あらすじ>
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。
しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。
<感想>
約60分という映画にしては短めの作品であるが、満足感のある作品だった。京本が亡くなったあとの四コマ漫画のやりとりは感動的だった。空の色や疾走感のある動きの絵や喜びをスケール感あるカメラワークで表現しているところがとても魅力的であった。藤本の創作への衝動は京本によってであったし、京本の引きこもりから出られた理由は藤本の四コマ漫画であったことから2人の大きな繋がりを感じた。四コマ漫画で描いたように、京本が亡くならない世界線が本当であったら良かったのにと強く思った。
4.『アオのハコ』
<あらすじ>
中高一貫スポーツ強豪校、栄明学園。
男子バドミントン部・猪股大喜は、朝練の体育館で毎朝二人になる、一つ上の女バスの先輩・鹿野千夏に恋をする。
そんなある日、進級を迎える春に二人の距離が一変しーー
青さが胸を衝く、青春部活ラブストーリー、開幕!!
<感想>
登場人物の恋愛模様がキュンとして、切ない。特に私は、好きな人には、他にずっと好きな人がいるのにそれでもまっすぐに恋を頑張るひなちゃんが大好きで、とても胸が苦しくなった。また、部活動に一生懸命励む登場人物の姿がとても眩しくて、恋と部活とまさに青春アニメであると感じた。絵がキラキラしていてとても美しい。
5.『カルテット』
<あらすじ>
ある日、“偶然”出会った男女4人。
夢が叶わないまま、人生のピークにたどり着くことなく緩やかな下り坂の前で立ち止まっている者たちだ。そんな4人がカルテットを組み、軽井沢で共同生活を送ることになる。しかし、その“偶然”には、大きな秘密が隠されていた……。
<感想>
大人の恋模様が、坂本裕二の独特な雰囲気やセリフによって描かれていた。ずっと早乙女真紀が、旦那を殺したのではないかと疑ってしまう発言や行動があり、ヒヤヒヤした。私は、すずめの末っ子気質で、適当で、でも本当は色んなことを深く考えていて、優しくて明るいキャラクターが、大人の雰囲気の作品に親しみが持てる愛おしいキャラとして重要であると感じた。
6.『地味にスゴイ!校閲ガール』
<あらすじ>
おしゃれ大好き!スーパーポジティブ!河野悦子(こうのえつこ) 夢のファッション誌編集者を目指し、出版社に入社。なのに、配属されたのは・・・・超地味~な校閲部。しかし、地味な仕事でも真っ向勝負!!小説の些細な点が気になって舞台となる北海道に直行!週刊誌が追う事件の真実を確かめに現場に潜入取材!時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させる!校閲の仕事を超えて大暴れ!・・・あれ? この仕事、地味にスゴイ???今日も、ド派手ファッションという戦闘服に身を包み、校閲の仕事に立ち向かう!仕事って、本気でやれば、超・おもしろい!これは、夢を叶えた人にも、まだ叶えていない人にもエールを送るお仕事ドラマです。
<感想>
何年も夢見ていたファッション編集者ではない校閲という仕事に配属になっても、主人公の前向きで何事にも全力で本気な姿に心打たれた。興味のなかった夢とは全く違う仕事に全力で取り組み、一人一人に向き合い、自分にもまっすぐな主人公に私自身元気をもらうことができた。
7.『わたし、定時で帰ります』
<あらすじ>
主人公・東山結衣(吉高由里子)はWEB制作会社で働くディレクター。
過去のトラウマから入社以来、残業ゼロ生活を貫いてきた。理由が無ければ帰りづらい風潮の中で、仕事中は誰よりも効率を追求し、生産性の高い仕事をし、定時になるときっぱり退社。
行きつけの中華料理屋でビールを嗜み、恋人・諏訪巧(中丸雄一)との時間も大切にしている。
だが新任の部長が赴任したことをきっかけに、結衣の前に曲者社員たちが立ちはだかる。
ワーカホリックの結衣の元婚約者、会社に住み着く非効率男、辞めたがりの新人男子、仕事命の皆勤賞女、双子を育てるワーキングマザー、そして悪気なくブラック発言を連発する部長。
彼ら曲者たちが抱える様々な問題に、結衣はどう立ち向かうのか──?
<感想>
上司と後輩の板挟みの立ち位置にいる主人公が抱える悩みは、多くの観る人に共感される内容であるのだろうなと思った。仕事とプライベートのバランスや上司と部下の関係、組織の中の自分の役割など、会社で働くうえでの悩みとそれに対して主人公が悩みながらがんばる姿が面白い。
8.『星降る夜に』
<あらすじ>
のどかな海街に佇む「マロニエ産婦人科医院」に勤める雪宮鈴はある日、息抜きで訪れたキャンプ場で聴覚障害者で遺品整理士として働いている柊一星と運命的な出会いを果たす。 障害を抱えながらも人生を謳歌している一星に対し、誰にも弱音を言えず、孤独な生活を送っていた鈴の心は、彼との出会いを通してどんどん明るくなっていった。
<感想>
産婦人科と耳の聞こえない遺品整理士の恋愛がとても美しく描かれていた。遺品整理士という仕事を私は知らなかったが、必要性やどんな仕事かを知ることができた。鈴の自分の知らないことに対して寛容で、知ろうと努力する姿を見習いたいと思った。
9.『薬屋のひとりごと』
<あらすじ>
医師である養父を手伝って薬師として花街で働く少女・猫猫は、薬草採取に出かけた森で人攫いにあって後宮に下女として売られてしまう。年季が明けるまで目立たぬように勤めるつもりだったが、皇子の衰弱事件の謎を解いたことから美形の宦官である壬氏の目に留まり、様々な事件の解決を手伝わされることとなる。
やがて発生した寵ひめの失踪事件は、猫猫を巻き込み国家転覆計画に広がっていく。そして、明らかになる壬氏の正体。二人の関係は微妙に変化していく。
<感想>
後宮が舞台で、楊貴妃がいた時代のような美しい衣服や花街がとても美しい。絵が美しいので、より伝統衣装の繊細さや、壬氏や姫たちの容貌が際立ち綺麗であると感じた。主人公が薬屋として事件を解決していき、その事件の内容も事件毎に終わるのではなく繋がりがあって物語性があり面白いと思った。
10.『君に届け』
<あらすじ>
舞台は北海道。北幌高校に入学した黒沼爽子は性格は良いが、見た目が暗く、長い黒髪のせいで周囲からは「貞子」と呼ばれて恐れられ、クラスに全く馴染めないでいた。しかし、自身とは対照的な、爽やかで、学年で男女問わず人気者で、噂を全く気にしないクラスメイトの風早翔太と親しくなった事をきっかけに、友情・恋愛・進路などを通して爽子は成長していく。そんな爽子を中心とした登場人物それぞれの高校生活3年間の青春模様を描く。
<感想>
黒沼爽子の純粋な気持ちに素直に応援したくなる。風早翔太の圧倒的主人公男子な感じがとても素敵で、明るくて誰にも優しく、爽やかで黒沼爽子を一途に思う姿がとても素敵である。また、私は爽子の友達のあやねとちづるの、友達に対しての温かさと愛情深さがとても好きで、3人の関係をとても羨ましく思った。この漫画は平成の元気で明るい雰囲気が伝わるし、スマホではなくガラケーのメアド交換や電話でのやりとりがとても好きである。また、爽子のライバルの胡桃沢梅も恋にまっすぐで負けヒロインの中で1番好きなキャラクターである。
11.『運命の人』
<あらすじ>
高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が──!?
高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
<感想>
『君に届け』の番外編。爽子のライバルであった胡桃沢梅が主人公であり、この作品では爽子に依存してしまうほど2人が仲良くなり、2人の素敵な友情と、胡桃沢の新しい恋が描かれていてとても素敵である。『CRAZY FOR YOU』の当て馬の赤星栄治と『君に届け』の負けヒロインの胡桃沢梅の2人は、大好きな2人だったのでこの2人が結ばれて幸せになったことが、私にとってとても幸せであった。
12.『明日は誰かの彼女』
<あらすじ>
様々な思いを持つ5人の女性たちが各章で主人公となり物語が進む。それぞれにコンプレックスや悩みを抱え、もがきながらもそれを克服しようとした先にあるのはー。
<感想>
「レンタル彼女」、「パパ活」、「整形」、「ホスト」という今の女性についてかなりリアルに描いている作品であると思った。母親のネグレクトやパパ活などナイーブな問題を題材にした漫画をあまり見たことがなかったので、とても新鮮で面白かった。それぞれ闇を持つ彼女たちが、幸せを心から感じられるよう応援しながら読んでいた。
13.『宇宙を駆けるよだか』
<あらすじ>
火賀俊平、水本公史郎、小日向あゆみの 3 人は仲の良い幼馴染。 大好きな公史郎から告白され、つき合うことになったあゆみは、初デートの日、醜い容姿のクラスメイト・然子と体が入れ替わってしまう。入れ替わったことを誰にも信じてもらえず絶望するあゆみだが、あゆみに想いを寄せる火賀が、いち早く 2 人の入れ替わりに気付く。 火賀に支えられ、あゆみは元に戻る方法を探るが…。
<感想>
何よりも火賀くんがかっこいい作品だった。好きな子の見た目ではなく、中身をまっすぐ見ていて、全力で守る姿はとてもかっこいい。入れ替わりということで、ヒロイン2人の入れ替わった後の演技力がとても自然で、どちらがどちらなのか観ていてわからなくなってしまうぐらい素晴らしかった。
14.『山田くんとLv999の恋をする』
<あらすじ>
彼氏がネトゲで知り合った女性と浮気し、そのまま別れを告げられてしまうというサイアクな出来事に直面した女子大生の木之下茜。話を合わせるためにネトゲをはじめていた木之下茜の元に残ったのは、彼氏との愛と共に育んでいたはずのキャラだけだったー。
ストレス発散のため、ネトゲの狩り場で暴れていた茜は、たまたま遭遇した同じギルドの「山田」に失恋の愚痴をこぼすものの、「興味はないすね」とと、そっけなく返されてしまう。だが、きれいになって元彼を見返そうと参加したオフラインイベントで、再びその言葉を耳にする。
それが”山田”との運命的な出会いだったー!
<感想>
山田のクールで人に全く興味がないのに、茜に対しての気持ちがとてもキュンキュンする。明るくて、お人好しで頑張りすぎちゃう茜がとても可愛い。2人が2人のペースでお互いを想いあっていく感じがとても素敵だなと思った。
15.『Mother 』
<あらすじ>
主演は松雪泰子。その他、山本耕史や芦田愛菜などが出演している。母性をテーマに、様々な視点から母親について描かれている作品である。小学校教諭の鈴原奈緒は、ある日教え子の道木怜南が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。それをきっかけに、奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐した。そして奈緒は怜南の母親になることで、女性として人間として成長していくのだった。
<感想>
この作品は、現代を生きる「女性たち」の物語で、軸になるのは「母性」であると感じた。鈴原奈緒は冷めた女性のように物語序盤ではみえるが、道木怜南と出会い、奥底にあった母性を発見し、人間として成長していったのだと思った。女性が、女の生き方や幸せについて考え、自信を持ち、前向きに生きていこうとするような気持ちになるドラマであった。
16.『グッド・ドクター』
<あらすじ>
先天的に自閉症スペクトラム障がいでありながら、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群の新堂湊(山崎賢人)は、兄からたゆみなく愛を注がれて少年時代を過ごした。湊は、兄とのとある出来事から、町の診療所の医師・司賀明(柄本明)と出会い、小児外科医になりたいと思うように。成長した湊は、驚異的な記憶力で、医学部を首席で卒業し、医師国家試験にも合格。そして、大きな病院の院長となった司賀から、自身の病院の小児外科でレジデント(後期研修医)として働かないかと声をかけられる。こうして、小児外科で働くことになった湊だったが、院内ではトラブルばかり起こしてしまい…。
すべての子どもが、大人になれますように―。
<感想>
主人公の湊の子どもに寄り添う姿と素直さや純粋さに感動した。「すべての子どもが、大人になれますように」この言葉が少しでも多く叶うと良いなとドラマをみて強く思った。
17.『余命10年』
<あらすじ>
20歳で不治の病にかかり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉。生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人。同窓会で再会した2人は惹かれあい、ありふれた毎日が嘘みたいに輝き出す。思い出の数だけ失われていく時間……。彼らが最後に選んだ道とは?
<感想>
余命10年の茉莉が生きたいと本音を母親に泣いて言うところで涙した。余命があるからと特別なことはせずに、日常を送ろうとする姿を尊く思った。また、四季の描写を多く取り入れることによって心理描写や月日が経つ重みをより強く感じた。
18.『今日から俺は!!』
<あらすじ>
「ツッパリ」全盛期だった1980年代初頭を舞台に、自由奔放、ワガママ、悪知恵は天下一品という主人公の概念をぶち壊した三橋(賀来賢人)や相棒の伊藤(伊藤健太郎)、そしてライバルたちと繰り広げるどうしようもなくバカでぶっ飛んだヤンキーコメディ。
<感想>
コメディ要素がたくさんあって面白かった。1980年代の髪型や服装が面白いし、ヤンキーのバカさと自由奔放さに観ているこちらが元気になる作品であると思った。
19.『3年A組ー今から皆さん、人質ですー』
<あらすじ>
卒業まで残り10日ー。生徒たちの高校生活は平穏に幕を閉じる・・・はずだった。だが、教師はその日、担当生徒29人を集めて、突然こう告げた。「今から皆さんは人質です」
<感想>
SNSが当たり前の生活になった現代の若者に必要なメッセージ性の強い作品だと思った。匿名であることを良いことにアンチなどをして、人を死に追いやるということが起きている今、言葉の暴力について考えさせられる。
20.『家政婦のミタ』
<あらすじ>
朝もやに包まれるベットタウンに佇む一人の女。家政婦の三田。 彼女が派遣された阿須田家は、突然の事故で母を失い、男ヤモメの父が4人の子供と生活を始めていた。 母の四十九日が過ぎた、ある朝、仏壇と共にやってきた家政婦・三田はニコリともせず言われた家事を黙々とこなすミステリアスな存在。 やがて、家庭に内在した問題が浮き彫りになり、家族がバラバラになりかけた時、三田の想像を絶する行動が始まった…。
<感想>
笑顔を一切みせない家政婦だが、本当は誰よりも愛情が深い人であり、バラバラになった家族にとって必要不可欠な家族を繋げる存在であるミタの過去と笑わなくなった理由がとても悲しかった。それぞれどん底にいた家族とミタがお互いに助け合い、前を向いて生きていこうとなったところに感動した。
<あらすじ>
手作り模型や手描きのイラストにこだわるデザイナーの悟。携帯を持たない謎めいた女性、みゆき。喫茶店「ピアノ」で偶然出会い、連絡先を交換せずに「毎週木曜日に、同じ場所で会う」と約束する。二人で積み重ねるかけがえのない時間。悟はみゆきの素性を何も知らぬまま、プロポーズすることを決意。しかし当日、彼女は現れなかった。
その翌週も、翌月も……。なぜみゆきは突然姿を消したのか。彼女が隠していた過去、そして秘められた想いとは。ふたりだけの特別な木曜日”は、再び訪れるのか——。“大切な人に会える”
その喜びを改めて知った今だからこそ。 愛の原点を描いたラブストーリー。
<感想>
携帯を持たない2人の約束の仕方やすれ違いが、アナログな恋愛で面白いと思った。話の展開がゆっくりであるため、アナログのゆっくりと流れる時間を感じさせた。現代のようなすぐLINEでやりとりできるのも楽しいが、携帯を持たないことで会えて話ができることがより一層楽しく、大切なものになるし、なにより会うまでの時間がドキドキとワクワクで楽しみになるなと映画をみて感じた。
2.『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
<あらすじ>
京都にある大学の「ぬいぐるみサークル」。「男らしさ」や「女らしさ」というノリが苦手な大学生の七森は、そこで出会った女子大生の麦戸と心を通わせる。そんな2人と、彼らを取り巻く人びとの姿を通して、新しい時代の優しさの意味を問いただしていく。
<感想>
優しすぎる人たちの心情を繊細に描いていると思った。タイトルからやさしい感じの内容を想像していたが、思ったより重い内容であった。ぬいぐるみとしゃべる人たちの話しであるが、最終的に「人に何かを話すこと・人の話を聞くことは、人を傷つけ・人に傷つけられ得る行為であり、だからこそ対話することでしかその傷はいやせない」のだと感じた。
3.『ルックバック』
<あらすじ>
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。
しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。
<感想>
約60分という映画にしては短めの作品であるが、満足感のある作品だった。京本が亡くなったあとの四コマ漫画のやりとりは感動的だった。空の色や疾走感のある動きの絵や喜びをスケール感あるカメラワークで表現しているところがとても魅力的であった。藤本の創作への衝動は京本によってであったし、京本の引きこもりから出られた理由は藤本の四コマ漫画であったことから2人の大きな繋がりを感じた。四コマ漫画で描いたように、京本が亡くならない世界線が本当であったら良かったのにと強く思った。
4.『アオのハコ』
<あらすじ>
中高一貫スポーツ強豪校、栄明学園。
男子バドミントン部・猪股大喜は、朝練の体育館で毎朝二人になる、一つ上の女バスの先輩・鹿野千夏に恋をする。
そんなある日、進級を迎える春に二人の距離が一変しーー
青さが胸を衝く、青春部活ラブストーリー、開幕!!
<感想>
登場人物の恋愛模様がキュンとして、切ない。特に私は、好きな人には、他にずっと好きな人がいるのにそれでもまっすぐに恋を頑張るひなちゃんが大好きで、とても胸が苦しくなった。また、部活動に一生懸命励む登場人物の姿がとても眩しくて、恋と部活とまさに青春アニメであると感じた。絵がキラキラしていてとても美しい。
5.『カルテット』
<あらすじ>
ある日、“偶然”出会った男女4人。
夢が叶わないまま、人生のピークにたどり着くことなく緩やかな下り坂の前で立ち止まっている者たちだ。そんな4人がカルテットを組み、軽井沢で共同生活を送ることになる。しかし、その“偶然”には、大きな秘密が隠されていた……。
<感想>
大人の恋模様が、坂本裕二の独特な雰囲気やセリフによって描かれていた。ずっと早乙女真紀が、旦那を殺したのではないかと疑ってしまう発言や行動があり、ヒヤヒヤした。私は、すずめの末っ子気質で、適当で、でも本当は色んなことを深く考えていて、優しくて明るいキャラクターが、大人の雰囲気の作品に親しみが持てる愛おしいキャラとして重要であると感じた。
6.『地味にスゴイ!校閲ガール』
<あらすじ>
おしゃれ大好き!スーパーポジティブ!河野悦子(こうのえつこ) 夢のファッション誌編集者を目指し、出版社に入社。なのに、配属されたのは・・・・超地味~な校閲部。しかし、地味な仕事でも真っ向勝負!!小説の些細な点が気になって舞台となる北海道に直行!週刊誌が追う事件の真実を確かめに現場に潜入取材!時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させる!校閲の仕事を超えて大暴れ!・・・あれ? この仕事、地味にスゴイ???今日も、ド派手ファッションという戦闘服に身を包み、校閲の仕事に立ち向かう!仕事って、本気でやれば、超・おもしろい!これは、夢を叶えた人にも、まだ叶えていない人にもエールを送るお仕事ドラマです。
<感想>
何年も夢見ていたファッション編集者ではない校閲という仕事に配属になっても、主人公の前向きで何事にも全力で本気な姿に心打たれた。興味のなかった夢とは全く違う仕事に全力で取り組み、一人一人に向き合い、自分にもまっすぐな主人公に私自身元気をもらうことができた。
7.『わたし、定時で帰ります』
<あらすじ>
主人公・東山結衣(吉高由里子)はWEB制作会社で働くディレクター。
過去のトラウマから入社以来、残業ゼロ生活を貫いてきた。理由が無ければ帰りづらい風潮の中で、仕事中は誰よりも効率を追求し、生産性の高い仕事をし、定時になるときっぱり退社。
行きつけの中華料理屋でビールを嗜み、恋人・諏訪巧(中丸雄一)との時間も大切にしている。
だが新任の部長が赴任したことをきっかけに、結衣の前に曲者社員たちが立ちはだかる。
ワーカホリックの結衣の元婚約者、会社に住み着く非効率男、辞めたがりの新人男子、仕事命の皆勤賞女、双子を育てるワーキングマザー、そして悪気なくブラック発言を連発する部長。
彼ら曲者たちが抱える様々な問題に、結衣はどう立ち向かうのか──?
<感想>
上司と後輩の板挟みの立ち位置にいる主人公が抱える悩みは、多くの観る人に共感される内容であるのだろうなと思った。仕事とプライベートのバランスや上司と部下の関係、組織の中の自分の役割など、会社で働くうえでの悩みとそれに対して主人公が悩みながらがんばる姿が面白い。
8.『星降る夜に』
<あらすじ>
のどかな海街に佇む「マロニエ産婦人科医院」に勤める雪宮鈴はある日、息抜きで訪れたキャンプ場で聴覚障害者で遺品整理士として働いている柊一星と運命的な出会いを果たす。 障害を抱えながらも人生を謳歌している一星に対し、誰にも弱音を言えず、孤独な生活を送っていた鈴の心は、彼との出会いを通してどんどん明るくなっていった。
<感想>
産婦人科と耳の聞こえない遺品整理士の恋愛がとても美しく描かれていた。遺品整理士という仕事を私は知らなかったが、必要性やどんな仕事かを知ることができた。鈴の自分の知らないことに対して寛容で、知ろうと努力する姿を見習いたいと思った。
9.『薬屋のひとりごと』
<あらすじ>
医師である養父を手伝って薬師として花街で働く少女・猫猫は、薬草採取に出かけた森で人攫いにあって後宮に下女として売られてしまう。年季が明けるまで目立たぬように勤めるつもりだったが、皇子の衰弱事件の謎を解いたことから美形の宦官である壬氏の目に留まり、様々な事件の解決を手伝わされることとなる。
やがて発生した寵ひめの失踪事件は、猫猫を巻き込み国家転覆計画に広がっていく。そして、明らかになる壬氏の正体。二人の関係は微妙に変化していく。
<感想>
後宮が舞台で、楊貴妃がいた時代のような美しい衣服や花街がとても美しい。絵が美しいので、より伝統衣装の繊細さや、壬氏や姫たちの容貌が際立ち綺麗であると感じた。主人公が薬屋として事件を解決していき、その事件の内容も事件毎に終わるのではなく繋がりがあって物語性があり面白いと思った。
10.『君に届け』
<あらすじ>
舞台は北海道。北幌高校に入学した黒沼爽子は性格は良いが、見た目が暗く、長い黒髪のせいで周囲からは「貞子」と呼ばれて恐れられ、クラスに全く馴染めないでいた。しかし、自身とは対照的な、爽やかで、学年で男女問わず人気者で、噂を全く気にしないクラスメイトの風早翔太と親しくなった事をきっかけに、友情・恋愛・進路などを通して爽子は成長していく。そんな爽子を中心とした登場人物それぞれの高校生活3年間の青春模様を描く。
<感想>
黒沼爽子の純粋な気持ちに素直に応援したくなる。風早翔太の圧倒的主人公男子な感じがとても素敵で、明るくて誰にも優しく、爽やかで黒沼爽子を一途に思う姿がとても素敵である。また、私は爽子の友達のあやねとちづるの、友達に対しての温かさと愛情深さがとても好きで、3人の関係をとても羨ましく思った。この漫画は平成の元気で明るい雰囲気が伝わるし、スマホではなくガラケーのメアド交換や電話でのやりとりがとても好きである。また、爽子のライバルの胡桃沢梅も恋にまっすぐで負けヒロインの中で1番好きなキャラクターである。
11.『運命の人』
<あらすじ>
高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が──!?
高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですがそこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
<感想>
『君に届け』の番外編。爽子のライバルであった胡桃沢梅が主人公であり、この作品では爽子に依存してしまうほど2人が仲良くなり、2人の素敵な友情と、胡桃沢の新しい恋が描かれていてとても素敵である。『CRAZY FOR YOU』の当て馬の赤星栄治と『君に届け』の負けヒロインの胡桃沢梅の2人は、大好きな2人だったのでこの2人が結ばれて幸せになったことが、私にとってとても幸せであった。
12.『明日は誰かの彼女』
<あらすじ>
様々な思いを持つ5人の女性たちが各章で主人公となり物語が進む。それぞれにコンプレックスや悩みを抱え、もがきながらもそれを克服しようとした先にあるのはー。
<感想>
「レンタル彼女」、「パパ活」、「整形」、「ホスト」という今の女性についてかなりリアルに描いている作品であると思った。母親のネグレクトやパパ活などナイーブな問題を題材にした漫画をあまり見たことがなかったので、とても新鮮で面白かった。それぞれ闇を持つ彼女たちが、幸せを心から感じられるよう応援しながら読んでいた。
13.『宇宙を駆けるよだか』
<あらすじ>
火賀俊平、水本公史郎、小日向あゆみの 3 人は仲の良い幼馴染。 大好きな公史郎から告白され、つき合うことになったあゆみは、初デートの日、醜い容姿のクラスメイト・然子と体が入れ替わってしまう。入れ替わったことを誰にも信じてもらえず絶望するあゆみだが、あゆみに想いを寄せる火賀が、いち早く 2 人の入れ替わりに気付く。 火賀に支えられ、あゆみは元に戻る方法を探るが…。
<感想>
何よりも火賀くんがかっこいい作品だった。好きな子の見た目ではなく、中身をまっすぐ見ていて、全力で守る姿はとてもかっこいい。入れ替わりということで、ヒロイン2人の入れ替わった後の演技力がとても自然で、どちらがどちらなのか観ていてわからなくなってしまうぐらい素晴らしかった。
14.『山田くんとLv999の恋をする』
<あらすじ>
彼氏がネトゲで知り合った女性と浮気し、そのまま別れを告げられてしまうというサイアクな出来事に直面した女子大生の木之下茜。話を合わせるためにネトゲをはじめていた木之下茜の元に残ったのは、彼氏との愛と共に育んでいたはずのキャラだけだったー。
ストレス発散のため、ネトゲの狩り場で暴れていた茜は、たまたま遭遇した同じギルドの「山田」に失恋の愚痴をこぼすものの、「興味はないすね」とと、そっけなく返されてしまう。だが、きれいになって元彼を見返そうと参加したオフラインイベントで、再びその言葉を耳にする。
それが”山田”との運命的な出会いだったー!
<感想>
山田のクールで人に全く興味がないのに、茜に対しての気持ちがとてもキュンキュンする。明るくて、お人好しで頑張りすぎちゃう茜がとても可愛い。2人が2人のペースでお互いを想いあっていく感じがとても素敵だなと思った。
15.『Mother 』
<あらすじ>
主演は松雪泰子。その他、山本耕史や芦田愛菜などが出演している。母性をテーマに、様々な視点から母親について描かれている作品である。小学校教諭の鈴原奈緒は、ある日教え子の道木怜南が極寒の中でゴミ袋に入れられ、捨てられているのを発見する。それをきっかけに、奈緒は怜南の母親になることを決意し、彼女を誘拐した。そして奈緒は怜南の母親になることで、女性として人間として成長していくのだった。
<感想>
この作品は、現代を生きる「女性たち」の物語で、軸になるのは「母性」であると感じた。鈴原奈緒は冷めた女性のように物語序盤ではみえるが、道木怜南と出会い、奥底にあった母性を発見し、人間として成長していったのだと思った。女性が、女の生き方や幸せについて考え、自信を持ち、前向きに生きていこうとするような気持ちになるドラマであった。
16.『グッド・ドクター』
<あらすじ>
先天的に自閉症スペクトラム障がいでありながら、驚異的な記憶力を持つサヴァン症候群の新堂湊(山崎賢人)は、兄からたゆみなく愛を注がれて少年時代を過ごした。湊は、兄とのとある出来事から、町の診療所の医師・司賀明(柄本明)と出会い、小児外科医になりたいと思うように。成長した湊は、驚異的な記憶力で、医学部を首席で卒業し、医師国家試験にも合格。そして、大きな病院の院長となった司賀から、自身の病院の小児外科でレジデント(後期研修医)として働かないかと声をかけられる。こうして、小児外科で働くことになった湊だったが、院内ではトラブルばかり起こしてしまい…。
すべての子どもが、大人になれますように―。
<感想>
主人公の湊の子どもに寄り添う姿と素直さや純粋さに感動した。「すべての子どもが、大人になれますように」この言葉が少しでも多く叶うと良いなとドラマをみて強く思った。
17.『余命10年』
<あらすじ>
20歳で不治の病にかかり、もう恋はしないと心に決めた余命10年の茉莉。生きることに迷い、自分の居場所を見失った和人。同窓会で再会した2人は惹かれあい、ありふれた毎日が嘘みたいに輝き出す。思い出の数だけ失われていく時間……。彼らが最後に選んだ道とは?
<感想>
余命10年の茉莉が生きたいと本音を母親に泣いて言うところで涙した。余命があるからと特別なことはせずに、日常を送ろうとする姿を尊く思った。また、四季の描写を多く取り入れることによって心理描写や月日が経つ重みをより強く感じた。
18.『今日から俺は!!』
<あらすじ>
「ツッパリ」全盛期だった1980年代初頭を舞台に、自由奔放、ワガママ、悪知恵は天下一品という主人公の概念をぶち壊した三橋(賀来賢人)や相棒の伊藤(伊藤健太郎)、そしてライバルたちと繰り広げるどうしようもなくバカでぶっ飛んだヤンキーコメディ。
<感想>
コメディ要素がたくさんあって面白かった。1980年代の髪型や服装が面白いし、ヤンキーのバカさと自由奔放さに観ているこちらが元気になる作品であると思った。
19.『3年A組ー今から皆さん、人質ですー』
<あらすじ>
卒業まで残り10日ー。生徒たちの高校生活は平穏に幕を閉じる・・・はずだった。だが、教師はその日、担当生徒29人を集めて、突然こう告げた。「今から皆さんは人質です」
<感想>
SNSが当たり前の生活になった現代の若者に必要なメッセージ性の強い作品だと思った。匿名であることを良いことにアンチなどをして、人を死に追いやるということが起きている今、言葉の暴力について考えさせられる。
20.『家政婦のミタ』
<あらすじ>
朝もやに包まれるベットタウンに佇む一人の女。家政婦の三田。 彼女が派遣された阿須田家は、突然の事故で母を失い、男ヤモメの父が4人の子供と生活を始めていた。 母の四十九日が過ぎた、ある朝、仏壇と共にやってきた家政婦・三田はニコリともせず言われた家事を黙々とこなすミステリアスな存在。 やがて、家庭に内在した問題が浮き彫りになり、家族がバラバラになりかけた時、三田の想像を絶する行動が始まった…。
<感想>
笑顔を一切みせない家政婦だが、本当は誰よりも愛情が深い人であり、バラバラになった家族にとって必要不可欠な家族を繋げる存在であるミタの過去と笑わなくなった理由がとても悲しかった。それぞれどん底にいた家族とミタがお互いに助け合い、前を向いて生きていこうとなったところに感動した。