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3年赤羽 夏休み課題①~㉚ RES
①僕のヒーローアカデミア
概要:無個性の少年が最高のヒーローを目指す!これぞ新世代の王道ヒーローアクション!
印象:個性を持つ人が大半の世の中という舞台設定で無個性の主人公。ここでいう個性は”爆破”や”超パワー”など現実にはありえないアニメならではの設定。「ヒーロー」が職業として存在し、主人公は「ヒーロー」にあこがれているが、個性社会であるからこそ、「ヒーロー」に個性はほぼ不可欠であった。個性もちが大半の社会で無個性の主人公、夢をかなえるためにはほぼ不可欠な個性、という絶望的な状況から物語は始まる。そして、偶然の出会いで奇跡的にその後、個性を授かることになった主人公の努力に目を奪われた。
②僕のヒーローアカデミア(第2期)
概要:超常能力を持つ高校生たちの成長、戦い、友情を描いたTVアニメシリーズ第2弾
印象:ヒーロー科のある高校に入学した主人公は体育祭、期末テストに挑む。体育祭では個性社会であるからこそ際立つデザイナーベビーのような存在轟くんの過去が明かされたり、色々なものを受け止めた上で全力で戦う主人公の姿に胸を打たれた。期末テストでは幼馴染だけど一期から犬猿の仲の爆豪勝己と共闘するシーンでお互いの複雑な心境だったり、でもそれぞれの夢は同じだったりといったちぐはぐさが映像から伝わってきた。
③ 僕のヒーローアカデミア(第3期)
概要:ヒーロー科1-Aメンバーと敵<ヴィラン>が衝突!人気アニメが第3シーズンに突入!
印象:学校行事の林間合宿では敵から襲撃を受けたり、ヒーローの仮免試験があったり、また、幼馴染同士での関係性が少し変化したりと盛りだくさんな第3期でした。特にヒーロー仮免試験では、主人公たちの通う高校以外にもヒーロー育成校がたくさん登場していて、ヒーローという職業が、花形な職業である反面、多くの人がチャレンジする職業なのだなという印象が改めて沸いて鮮烈でした。
④ 僕のヒーローアカデミア(第4期)
概要:新たな驚異に立ち向かえ、ヒーロー!大ヒットヒーローアクションアニメ第4期
印象:ヒーロー科のインターンや文化祭など4期も学校行事がベースとしてあるものの、インターンでは決死の戦いに挑んでいたり、文化祭でも邪魔が入ったりと激動の4期でした。特にインターン先のプロヒーローが命を落としてしまったのが印象的で人の死が伴う物語が増えたよなと改めて感じました。
⑤ 僕のヒーローアカデミア(第5期)
概要:1年A組VS1年B組、プライドがぶつかりあう対抗戦の幕開け。人気シリーズの第5弾
印象:A組とB組の正面からの対決、また体育祭で主人公と戦ったヒーロー科志望だったのに普通科に入学することになった心操くんがヒーロー科への転入をするというビッグイベントがあった。様々な事件に巻き込まれ危険にさらされてきたA組の実践経験をつんだからこそ成せる戦いと、カリキュラムを着実にこなせてきているB組の強みの違いなんかが比較されていて面白かった。
⑥ 僕のヒーローアカデミア(第6期)
概要:ついに始まる、ヒーローVSヴィランの全面戦争。大ヒットシリーズ、感動の第6期
印象:今までさんざんA組と衝突してきた敵:ヴィランとの全面対決が始まり、プロヒーローたちが命を落としていったり、ヴィランにおされているヒーローへの不信感が一般人に募っていったり、戦いがメインの第6期でした。主人公が一人で何日も戦場を駆けるシーンがあり連れ戻してあげようとするA組の仲間たちやずっと犬猿の仲だった爆轟勝己が謝ったりと感情を揺さぶられるシーンが多かった。
⑦ 僕のヒーローアカデミア(第7期)
概要:ヒーローとヴィラン、迫る最終決戦の時--「ヒロアカ」シリーズ第7期
印象:第6期から続き物語は戦いがメインとなる。第7期は特にヴィラン側の心情にフォーカスが当てられているのが印象的だった。荼毘(轟冬也)の過去・葛藤やトガヒミコの自分の普通が他人にとっての異常であった苦しみなど人間が生々しく描写されていた。次はFINAL SEASONらしいので長い闘いがどのように終わるのか見届けたい。
⑧SPY×FAMILY
概要:仮初めの家族に世界の命運は託された!?「少年ジャンプ+」のメガヒット作をアニメ化
印象:もともとタイトルは有名なので知っていて見よう見ようと思っていたものの一切触れていなかった。かりそめの家族でありながらちゃんと家族でちゃんとお互いを少なからず思っていることが伝わってくる不思議で温かい作品でした。
⑨SPY×FAMILY Season2
概要:フォージャー家の新たな舞台は豪華客船!?全世界で大ヒットのテレビアニメ待望の第2期
印象:第一期に続けて見た第二期。家族全員正体を隠しあって生きているのに同じ船で過ごしていて見られたらおしまいな場面も多くひやひやさせられた。アクションも多く勢いがあって見やすかった。
⑩完璧すぎて可愛げがないと婚約破棄された聖女は隣国に売られる
概要:婚約破棄され売られた聖女が隣国を救済!?笑わない聖女が奇跡を起こすファンタジー!
印象:もともと漫画→WEB版小説と追っていた作品で一時期かなりはまっていたのだが、めでたくアニメ化されたことを知り視聴。作画もマンガのものに近く非常に見やすかった。やはりアニメだと声優さんがつくことで声に感情が載るので印象が鮮烈になる利点があるなと思った。
⑪ゴリラの神から加護された令嬢は王立騎士団で可愛がられる
概要:気弱な令嬢が授かったのはゴリラの最強パワー!?予想外の胸キュン・ゴリラブコメ!
印象:マンガを追ったことがある作品で気になって視聴。動物から加護をもらって仕事に生かしたりする世界で、全然戦闘に縁のなかった主人公が戦闘系最強のゴリラの加護をさずかったことにより、騎士団に所属することになる話なのだが、加護で未来の職の適正が決まってしまったりするのはすごい世界観だと思った。
⑫幼女戦記
概要:其れは幼女の皮をかぶった化け物...。異色のミリタリー×ファンタジー小説が映像化!
印象:友達が以前、好きだと言っていたマンガのアニメ版だなと何気なく見始めた作品。戦争の絶えない世界にひねくれた性格の男が理不尽にも転生させられ、幼女として戦場を駆ける話。本人は後方勤務を望んでいるという物の前線に立たされる。が、弱気になったりすることなく勝気にどんな敵にも挑んでいくのが格好良かった。
⑬転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます
概要:転生異世界ファンタジーが満を持してアニメ化!気ままに魔術を極める転生無双ライフ
印象:チートじみた能力を持って転生したものの本人は魔術を極めることにしか興味がなく王位争いに等興味がないため、放蕩王子を演じて実力を隠しているが、ばれたらどうなるかも正直見たくなった。魔術バカすぎる主人公の一挙一動から目が離せない作品。
⑭ ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います
概要:定時死守、平穏な暮らしを求めて奮闘するギルド受付嬢を描く異世界コメディ
概要:定時で帰りたいギルドの受付嬢が願ったら強い力を授かってしまい、残業を減らすためだけにモンスターを倒していたりしていたところを見つかり、戦いに巻き込まれていく話。何気なくアニメに登場している受付嬢に焦点を当てていて面白かった。
⑮ 聖者無双~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~
概要:元サラリーマン、異世界で無双!?”ドM”な”治癒士”の日常を描く転生ファンタジー
印象:治療費を治癒士がぼったくることが日常になってしまった社会で治癒士に転生して頑張る話。ストイックに頑張りすぎてドМ呼ばわりされちゃっているのが可哀そうで面白かった。
⑯ 勘違いの工房主~英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話~
概要:英雄パーティーを追放された少年が巻き起こす、勘違いだらけのドタバタファンタジー
印象:パーティ追放系の話で実はすごかった主人公の追放後のチートライフを描いている。実際はとてもすごいのにそれにいつまでも主人公が気付かないのがすごいと感じつつも不憫であった。
⑰ アイカツスターズ!(2ndシーズン)
概要:アイドルの一番星を目指す主人公の前にライバルが続々登場する2nd Season
印象:第一シーズンで歌組のトップの座に代替わりで君臨した主人公が学年内外のライバルと対決していく。ライバル校が登場するのは無印アイカツ!と似た既視感を感じるものの、今回は様々な国からアイドルを集めた養成校という点がグローバルな感じがした。
⑱ 冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた
概要:元冒険者の父と最強の冒険者になった娘の、父娘の絆が織り成すハートフルファンタジー
印象:作画が個性的で温かい印象を与えるような感じがした。義足でありながらも頼もしい父と森に捨てられていたのを拾った娘の二人の父娘関係を描いている。血がつながらない関係ではあるものの確かに強い絆がある感じがいいなと思った。
⑲うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。
概要:全てはかわいすぎる娘のために!親バカ全開のキュート&ハートフルファンタジー!
印象:冒険者である主人公が魔族の子どもを森で拾い、娘として保護し、絆を育んでいく。主人公がどんどん親ばかになっていくのが見ていて面白いし、娘が幸せに暮らせている姿にほっこりできた暖かい作品。
⑳劇場版「鬼滅の刃」無限城編 猗窩座再来
概要:鬼となった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため鬼狩りの組織《鬼殺隊》に入った竈門炭治郎。入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。そして炭治郎は《鬼殺隊》最高位の隊士である《柱》と共に戦い、「無限列車」では炎柱・煉󠄁獄杏寿郎、「遊郭」では音柱・宇髄天元、「刀鍛冶の里」では、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃と共に激闘を繰り広げていった。その後、来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、 無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城≪無限城≫―”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
印象:映画館で視聴。映画が終わった瞬間、どっと疲れを感じたのを鮮明に覚えている。なぜだろうと考えたときにほぼずっとアクションノーストップだったかもしれないと思った。鬼滅の刃アニメ特有の笑いを取ってくるようなシーンが少なくずっと迫力のある死戦が繰り広げられていた。とは言え、ストーリーが面白く、特に童磨と胡蝶しのぶの対話シーンは引き込まれた。
㉑異世界薬局
概要:異世界チート×現代薬学!間違いだらけの異世界医療を変える人助けファンタジー
印象:現代日本の薬学知識をもって生まれた主人公が革新的すぎる医療を展開し人々を救う話。化学の知識があればよりわかることもあったかもしれないが、全部開設が入るので、全然問題なく楽しく見れた。
㉒プリパラ
概要:み〜んなともだち!!み〜んなアイドル!!アイドルアニメ。
印象:『アイカツ!』と同時期に展開していたアイドルアニメ。:み〜んなともだち!!み〜んなアイドル!!をキャッチフレーズに年頃の女の子にプリパラの世界に入れるプリチケが届き、おしゃれな服とメイクで誰でもアイドルデビューできちゃうという世界観が特徴的。歌もダンスも衣装も可愛くて引き込まれる。
㉒プリパラ 2nd season
概要::プリパラに新ゾーンが開園!新イベントに大盛り上がりのアニメ『プリパラ』の第2期
印象:第1期に続けて見た第2期。新たなアイドルやプリパラに革命をおこすものが表れるなど大波乱だったが、とくに紫京院ひびき周辺の物語が重すぎて印象に残っている。幼少期のトラウマで友達が信じられなくなったなど女児アニメなのかというほどの話が詰め込まれていて印象的だった。
㉓プリパラ 3rd season
概要:らぁらが”神アイドル”な”ママアイドル”に!?アニメ『プリパラ』の第3期
印象:ついに神アイドルになるチャンスが到来した。高いハードルを乗り越え主人公が神アイドルを目指す姿が印象的で面白かった。
㉔ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~ 全16巻マンガ
概要:ルックスの良さで、同級生から一目置かれる女子大生・輝夜雛姫。 そんな彼女には誰にも言えない秘密があった。 それは、とある配信者グループのメンバー・スバルに“ガチ恋”していること…。 本気でスバルと付き合いたいと願う雛姫に、ある日見知らぬアカウントからDMが届き、 雛姫の人生は一変する..。ガチ恋する側、される側、両方面からの感情を生々しく描く。
印象:前々から追っている作品で、最近完結し、全話読み終わった。推す側と推される側という現代にあふれているこの関係性をガチ恋を中心に描いている。とにかく言葉での重々しい感情表現、作画での表情変化が人間味あふれていて読み応えがある。どこかで味わったことのある感情が呼び起こされるリアルさから目が離せなかった。
㉕失恋したのでVTuberはじめたら年上のお姉さんにモテました 全7巻マンガ
概要:「小説家になろう」発!! Vtuberになりたい人必見のバーチャル美少女モテモテラブコメ!Vtuberになろうとしたら…まさかの美少女に!? ずっと想いを寄せていた部活の先輩に彼氏が出来た事を知った姫村優希は、ショックの余り元々好きだったVtuberに自分がなってしまおうと決意するが…!?
印象:声も姿も可愛すぎる高校男子が男の娘Vtuberとしてデビューすることになる話。多くの女性陣から恋愛的にも迫られたり盛りだくさんの内容だったが、特にVtuberのイベントの描写や動画投稿の内容だったり推し方推され方の光景だったりが面白かった。
㉖出来損ないと呼ばれた元英雄は実家から追放されたので好き勝手に生きることにした
概要:前世英雄の少年は今世こそのんびりしたい!元英雄のヒロイック・ファンタジー、開幕
印象:英雄として悲しい最後を迎えた主人公の転生物語。実力を隠してひっそり生きたいと言いつつ、周りの困っている人たちをその能力を使ってしまうのがどうしようもなく英雄なんだなという印象だった。
㉗名探偵コナン 隻眼のフラッシュバック
概要:長野県・八ヶ岳連峰にある未宝岳。長野県警の大和敢助がある男を雪山で追う中、男の放ったライフル弾が彼の左目をかすめ、それと同時に起きた雪崩に巻き込まれて大和は負傷してしまう。それから10か月後、国立天文台野辺山の施設研究員が襲撃された事件を捜査するため、大和と上原由衣は現場へと駆けつける。青山剛昌の漫画を原作にしたアニメシリーズで、長野県の雪山をめぐる事件を描いた劇場版シリーズ第28弾。江戸川コナンと長野県警の隻眼の警部・大和敢助、毛利小五郎らが事件に挑む。監督を手掛けるのは第26弾『名探偵コナン 黒鉄の魚影(くろがねのサブマリン)』などに携わってきた重原克也。ボイスキャストは高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也のほか、林原めぐみ、高田裕司、速水奨らが務めている。
印象:映画館で身内に誘われて視聴。正直まともに最後にコナンを見たのが小学校か中学校だったのでまともについていけるか不安だったのだが、必要な情報の説明など細かい配慮に助けられ楽しく見れた。コナンを追ってなくても見れる作品にしてるのがすごいと思った。
㉘劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク
概要:CDショップを訪れた星乃一歌は、初めて聴く初音ミクの楽曲を耳にし、モニター上に見たことのないミクの姿を目にする。後日、路上ライブを終えた一歌のスマートフォンにCDショップで見たミクが現れる。ミクは歌を届けたい人たちに届けられないという悩みを打ち明け、路上ライブで多くの人に歌を届ける一歌の前に現れたのだと語る。アプリゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」を原作とするアニメ。ゲームには登場していない新たな初音ミクを主人公に、歌を届けたい人に届けることのできないミクがゲームのキャラクターたちと出会い、自身の思いをかなえるために行動する。ボイスキャストは藤田咲、下田麻美、浅川悠、拝郷メイコ、風雅なおとなど。アニメーション制作を P.A.WORKS が手掛け、監督をアニメ「ゆるゆり」シリーズなどの畑博之が務める。
印象:映画館で身内に誘われ視聴。もともとスマホゲームでキャラクターを知っていて推しもいるため、楽しく見れた。ストーリーの内容は少し闇を感じた部分もありつつハッピーエンドだったのでよかった。
㉙アイカツ!メモリアルステージ~輝きのユニットカップ~
概要:スターライト学園中等部で、アイドルユニットのコンクール「ユニットカップ」の開催が発表され、8組のユニットが出場する。アイドルたちによる舞台裏のレポートを挟みながら、白熱したコンクールの模様が映し出される。トレーディングカードアーケードゲームを原作にしたアニメ「アイカツ!」のエピソード「ユニットカップ編」を再編集した劇場版。スターライト学園中等部で開催される、アイドルユニットのコンクール「ユニットカップ」に挑む、8組のユニットの姿を描く。監督の木村隆一、大空あかり役の下地紫野、天羽まどか役の川上千尋など、シリーズのスタッフ、ボイスキャストが顔をそろえている。
印象:大好きな『アイカツ!』のステージムービーが映画館で見れるなんて!という感動と共に視聴。新作のキャラクターボイスもありつつ、懐かしさと興奮に包まれた時間だった。アイカツ!ファンにはたまらない映画だった。しかし新着エピソードなどはなかったため、人によっては物足りなさを感じるかも。
㉚転生貴族、鑑定スキルで成り上がる第1期&第2期
概要:”鑑定スキル”で最強領地へ!アルスと逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記!
印象:人の能力値を鑑定できる主人公がその力で脳力あふれる人たちを味方につけていく姿が爽快だった。その能力はもちろん主人公の人柄がいいのもポイントだなと思った。
2025/09/30(火) 11:30 No.2116 EDIT DEL
加藤隆介 RES

1.華竜の宮
小説 2012年 著:上田早夕里
あらすじ
滅亡を前に、人類はどう生きるべきか? ベストSF2010第1位、日本SF大賞受賞 新世代日本SFの金字塔、ついに文庫化 地殻変動で陸地がほぼ水没しても人類は武器を捨てなかった。さらなる絶望的な環境激変は、この星のすべての命に対して決断を迫る

考察
 私は本作をディストピア、災害ユートピアとして考えた。今作では開幕からグローバルな環境変化が起こり、大災害後の世界を土台に描いている。同型の設定を持つ『ハーモニー』では甚大な天災の結果災害ユートピアが行き過ぎたと考えたが、本作上巻では災禍に応化した結果ユートピアの居住者と犠牲者に不和が生じた。下巻を一覧すると『第四間氷期』と同様の進行に見えるが、一貫して書かれる民族間の亀裂によってより膨大な問題が展開される。『ハーモニー』と反対に互いの利害を尊重して強引な同一化に抗議した主人公の行動は感動を生んだ。しかし終盤では、非情な世界にいて希望にばかり光を当てていると感じた。これを批判的に見ると、ディストピアを出ることのできない状況からの逃亡とも思えるが、そもそも主観的で解決できない対立の解体を期待せず、話し合おうと抗う知性自体にユートピアを見出しているとも考えられる。

2.スペクトラム
小説 2024年 著:キム・チョヨプ
あらすじ
今もっとも韓国の女性たちの共感を集める、新世代作家のデビュー作にしてベストセラー。生きるとは? 愛するとは 優しく、どこか懐かしい、心の片隅に残り続けるSF短篇7作。

考察
 絵を描くことで記憶を遺す設定から発展した、未来の世代がその絵を読んで記憶を継ぎ同一の生物として暮らす生態が面白かった。彼らからすればこちらが異星人であり、初めは会話すらままならない。しかし二体目、三体目と交代するごとに主人公に対する知識や興味が蓄積されていき、最初から流暢なコミュニケーションが取れるようになる。ノベルゲームのコンティニューのようだった。自分で体験することもなく、そう記録されているからという理由で行動を決めるのには違和感があるが、人間もほかの人は大丈夫だったから自分も大丈夫なはずだという考えで動いていることが多く、あまり変わらないのかもしれない。

3.共生仮説
小説 2024年 著:キム・チョヨプ
あらすじ
同上。

考察
 人間の知性や倫理観が自身のものではなく、我々に寄生した別の生物によるものとする設定が斬新だった。人間が普遍的に持つ架空の星への郷愁や幼年期の記憶の喪失など設定の絡め方が綺麗だった。短編なので仕方のないところはあるが、寄生先に人間の脳が選ばれた理由や彼らがどう生を繋いでいるのかまで語られないと実在感が薄い。とくに、高度な知性を寄生先に与える彼ら自身がどのようにその知性を発達させるのかを説明しないと無限後退に陥ってしまう。

4.わたしたちが光の速さで進めないなら
あらすじ
同上。

考察
 技術の革新は未知の世界を広げてくれるが、それに比例して孤独な人間も増やすという考えが新鮮だった。SF作品では瞬間移動や光速移動が平然と使用されるが、技術が高度であればあるだけ想定外も多くなる。いくら技術が発展して遠い場所に人を送っても、常に移動できる保証がなければ何らかの拍子に孤独になってしまう。災害によって交通網が断絶すれば明日にでも自分が孤独になる可能性があるのに、その恐怖を意識すらしていない。SFならではの規模の大きさによってその辛さが分かりやすく描かれている。

5.感情の物性
小説 2024年 著:キム・チョヨプ
あらすじ
同上。

考察
 触るだけで特定の感情がうかぶ物体が発売され世界中に広まる過程と、その商品を疑う男とそれに依存する女との不和が描かれる。物体という形を持つことで人々の心をとらえることの例として電子書籍やCDが挙げられていた。人間は曖昧で複雑なものに区切りを与えることで分かりやすく認識している。感情に振り回される人間にとって、曖昧でコントロール不能な感情に形が与えられたことで、感情が分かりやすく操作可能なものだと思いこめる。世界がシンプルになる、それが物性の魅力だと考えた。

6.わたしのスペースヒーローについて
小説 2024年 著:キム・チョヨプ
あらすじ
同上。

考察
 その社会の中でマイノリティな人が表に立つと過剰な期待を向けられることがあり、同時に一度の失敗で過剰な失望を受けることがある。その時、世間からするとその人がマイノリティの代表であるかのように映るが、身近にいる人にとってはマイノリティである以前に自分と変わらない一人の個人に映る。その感覚が宇宙の彼方という想像力のロマンに重ねられている。我々は未知の宇宙を想像で魅力的だと感じているが、向こうに行けば大したことないかもしれない。それを感覚として知っているジェギョンだからこそ、遠宇宙へ飛び立つという世界規模のプロジェクトを捨て、身勝手に深海に飛び込めたのだと思う。

7.秒速5センチメートル
小説 2016年 著:新海誠
あらすじ
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」いつも大切なことを教えてくれた明里、そんな彼女を守ろうとした貴樹。小学校で出会った2人は中学で離ればなれになり、それぞれの恋心と魂は彷徨を続けていく──。

考察
 貴樹は種子島での高校生時代、同級生である花苗からの告白を拒んだが、東京での大学生時代には二名の女性と付き合う。これには親の都合ではなく自分の行動で東京に移動したことが影響を与えているだろう。しかしこの行動は、「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」という明里の言葉と矛盾する。貴樹がこれを信じているのであれば、種子島にいても「ここではないどこかへ」という想いに囚われなかったのではないだろか。東京という「場所」にすべてを求めているままだった貴樹は東京での恋愛も上手くいかない。そんな折に、桜の花びらが落下するのを見て、「場所」に関わらず変わらないものを思い出したように感じる。

8.象られた力
小説 2004年 著:飛浩隆
あらすじ
謎の消失を遂げた惑星〈百合洋〉。イコノグラファーのクドウ圓は、その言語体系に秘められた"見えない図形"の解明を依頼されるが……"かたち"と"ちから"の相克がもたらす災厄を描いた表題作、双子の天才ピアニストをめぐる生と死の二重奏の物語「デュオ」ほか、初期中篇の完全改稿版全四篇を収めた傑作集。

考察
何よりも、すべての物体は形を保つことで力を抑えているという想像が斬新で、魅力的だった。身近にあふれる端正で無機質な物体。自分が座っている椅子、文字を書いている紙、紙が置かれている机、それらを支える床と壁。安定を象徴するような物体たちの中で大きな力が渦巻いていて、それは物体の形という、薄っぺらい壁一枚の中で留まっているに過ぎない。それは巨大なジェンガやトランプタワー、ヒビの入った水槽のように繊細で、蝶が羽ばたくような小さい引き金によってすべてが崩れてしまう。その崩壊には凄まじい力──その物体が生まれるのに費やされたすべての力が伴う。力で溢れた惑星を安定させるために形を裏返すという終わりも綺麗で、消えた百合洋やタカシナ兄妹にも希望が見えた。消えた星を描いた話がなぜ読めるのかというメタ的な疑問まで解決していて、中編とは思えない密度の作品である。

9.破夏
小説 2025年 著:新庄耕
あらすじ
いじめをきっかけに不登校となっていた中学生の進は、親の勧めで夏の2ヶ月を沖縄の離島で過ごすことになった。美しい海の前に建つ豪奢な家で、つかの間心を癒す進だったが、日々課される「修練」の過酷さは徐々にエスカレートしていく。
夜中に聞こえる不可解な悲鳴、儀式に使われたかのような部屋、消えた少女、豚小屋で異臭を放つ肉片。進は命がけの脱走を図るが……。狂気をおびた大人の欲望が、進の運命を歪めていく。底無しの闇に、あなたは耐えられるか。

考察
 本作は主人公の一人称視点で話が進むが、ただの中学生にしては情景描写の語彙や知識が豊富すぎるように感じた。その割にナオミの死や優子の行動に対する察しがやけに悪く話に入り込めない。物語の構成的にも文章的にも、進が一度目の脱出を図った後で信介が迎えに来ることが分かりやすく驚きがなかった。信介と警察の繋がりには具体的な説明がなされず納得感が薄く、最後の脱出劇もそれまでの苦労に反してご都合主義的だった。ナオミの遺した謎解きと複雑な親子関係も付け足し感が強く、進と信介の繋がりは最後に映る唐突な喧嘩にしか感じられなかった。マミが優子のメタファーのように描かれていれば伏線になったのではないだろうか。

10.Final Anchors
小説 2018年 著:八島游舷
あらすじ
 車両衝突まで残り0.488秒。
AIによる「最後の審判」、開始。

考察
 AIたちが基本的に嘘を吐かず不正もせず事実に忠実に動くからこそ、ただの人間を描くより人間らしさが光っている。物語の終盤に至って、「ルリハは、サイモンを救う唯一の道をようやく見いだした」。その方法は嘘を吐き約束を破るという単純なもので、人間ならすぐにでも思いつき、実行できる。読者が想定しない解決法を発見して驚かすのではなく、人間なら誰でも思いつくような方法をAIが思いつけないことで驚かす構成がテクニカルだった。感情をもって間もないからこそ人間より感情に忠実で、相手の感情を否定しないAIたちの会話がとても爽やかだった。

11.回樹
小説 2021年 著:斜線堂有紀
あらすじ
 ふたりで過ごした恋人の日々。
取調室でいまは、ひとり。

考察
 死や愛情という分かりにくいものをはっきりさせてくれる点で『感情の物性』と似ている。人間は行き場のない死者を墓に託すが、死者の代わりに墓を愛するようにはならない。その人が死んでしまったというのは事実で、それについて悲しむのは当然である。そこを愛情で固定されると人を亡くすことへの抵抗が減るのではないだろうか。初露への愛が努力によるものだったとすれば、回樹のことも努力で愛そうとするのかもしれない。

12.もしもぼくらが生まれていたら
小説 2019年 著:宮西建礼
あらすじ
 小惑星衝突が迫る日々の中で、ぼくらは衛星構想コンテストを目指した。

考察
 この作品は『華竜の宮』に似ていた。小惑星の衝突から日本を守ることを建前に世界は核を開発したがっている。今回は凌げても、いずれ核が開発されるのは必然である。高校生の主人公たちにできることは少なく、何とか考えぬいた核不使用で小惑星との衝突を避ける方法も大人に先を越される。しかし主人公はそれを嘆かず、むしろ遠い国の知らない誰かが、自分たちと同じように地球の未来を案じて思考を巡らせていたことに希望を見出す。ディストピアが確実視される中で、それに少しでも抗うこと自体をテーマとしている。

13.あなたの空が見たくて
小説 2019年 著:高橋文樹
あらすじ
 星海旅行で出会った地球人から後日届いた、彼の最期の映像記録。

考察
 『共生仮説』と比べて寄生する側のメリットも提示され実在性があった。共生の様子を種族すら異なる第三者の視点から描くことで、寄生という生態を優しさや友情に無邪気に還元しない客観性を保ちながら、互いの利益を守ってさえいればそれを友情だと思いこむことも悪くないと思える構図になっている。これが『華竜の宮』において主人公の目指していた関係だと感じた。

14.大江戸しんぐらりてい
小説 2020年 著:夜来風音
あらすじ
 徳川光圀の命を受けての和歌研究は前代未聞の算術長屋を生み出した。

考察
 人間を圧倒する計算力による未来予測は、多くのSF作品で扱われてきた。1958年には安部公房『第四間氷期』で地球規模の海面上昇を予測する電子頭脳が登場しており、2010年には小川一水『アリスマ王の愛した魔物』で自国と他国の全ての数値を計測・計算することで国を繁栄させる魔物が登場した。『第四間氷期』が出版されたころには既に人工知能が存在していたらしいが、とくに現代でこのテーマを扱おうとするとどうしてもAIになりがちである。あえて改変歴史ものとすることで和歌による計算という斬新なアイデアが生まれていた。

15.くすんだ言語
小説 2017年 著:黒石迩守
あらすじ
 普遍的な意思伝達を可能にする中間言語。
その言葉は人と世界を侵食していく。

考察
 『伊藤計劃トリビュート2』に掲載されたことからも明らかな通り、伊藤計劃『虐殺器官』に大きな影響を受けた作品である。「中間言語」はその名称に反して言葉が伝わるというよりも感情が直接伝わるイメージだが、感情の大きさについては自分の実感と異なるところがあった。私が幼いころに「死ね」や「殺す」という強い言葉を使った理由はその時の感情を表現できる的確な言葉を他に知らなかったからという感覚があり、言葉は感情を控えめにしたものというよりも感情を誇張したものという感覚が強い。いじめの加害者が「嫌い」や「死ね」といった言葉を使うとき、実際にそのような感情が渦巻いているかと考えるとそうでないことの方が多いのではないだろうか。

16.ショッピング・エクスプロージョン
小説 2021年 著:天沢時生
あらすじ
 探せ。当店のすべてをそこに置いてきた。
 増殖する商業施設をめぐる電脳冒険ロマン。

考察
 人間の開発した自然増殖する自生品によって世界が侵食されるという設定は環境汚染や海面上昇など、高度な技術を制御できないことによるディストピアに分類できる。すべての商品に自己増殖という生物らしさを与えることで癌のように増え続けてしまう。それを制御できるシステムが整っていた時は資源枯渇が解消され夢のような暮らしをおくっていたが、それが壊れると何もできなくなってしまう。自分たちの快適さだけ求めて、将来それが壊れてしまうリスクを考慮しない点は『わたしたちが光の速さで進めないなら』にも似ていた。こういった構図は被害を受けるのが未来の世代であり、彼らにとって敵が過去の人間になってしまうことがやり場のない怒りを生み出す。

17.青い瞳がきこえるうちは
小説 2020年 著:佐伯真洋
あらすじ
 仮想空間でのスポーツが普及した日本。俺は創のために、幻の卓球台に立つ。
考察
 視覚障害を持ち全盲の主人公が卓球を行うが、最新技術によって他者の視覚を共有できるようになる。私からすると視覚情報がないことは感覚の欠如であり、卓球を行う上で障害にしかなり得ないと思っていたが、視覚を共有した主人公はその不自由さに戸惑う。見えるからこそ見えないものが怖い・前は安心だが後ろは怖いという考えが新鮮だった。我々も、今見えていない場所に何があるはずかを常に想像することで、前と後を等質な座標的空間として捉えられるかもしれない。

18.それはいきなり繋がった
小説 2021年 著:麦原遥
あらすじ
 あの感染症が広がった翌年のこと。僕たちの世界に“向こう側”が現れた。

考察
 世界的なパンデミックと時を同じくして対の世界が現れた。対の世界の感染症には感染しないことがわかったので盛んに交流が行われる。その特性を生かして、主人公は対の世界のJと付き合い、こちらの世界のJは対の世界の主人公と付き合うことにする。クローン人間のようなテーマと同じく、複製ができるというのは魅力的な世界だが、それによって死が軽んじられることを恐れていると考えた。大量生産大量消費に人間も組み込まれ、自分自身がいつのまにか誰かの死を願ってしまうことの恐怖が描かれている。

19.無脊椎動物の想像力と創造性について
小説 2021年 著:坂永雄一
あらすじ
 巨大な蜘蛛の巣に覆われた京都市。それは彼女の遺した新世界。

考察
 「砕けた石畳から咲いた花の上で、小さな蜘蛛がつま先立ちになって糸を風になびかせている。新天地に旅立とうとしているのだろう」
 これは本作冒頭の文章だが、全文を読み終えてから見返すとじつによく作品全体を象徴していることが分かる。蜘蛛は本能に従って風に飛ばされるだけだが、擬人法によって自らの意思で飛び立つかのように読める。その行為は未知の世界を期待する想像力を前提にしている。「砕けた石畳から咲いた花」は糸による蜘蛛の適応力、すなわち創造性の隠喩になっている。

20.滑車の地
小説 2012年 著:上田早夕里
あらすじ
 海が泥になってしまった地上で、点々と浮かぶ島々を滑車がつないでいる。
地下には煌びやかな高度文明。彼らは土を地上に棄てていく。
地下で製造された機械獣と、地上の誇りを持つ人間は空へ跳べるのか。

考察
 『華竜の宮』と同じ著者であり、テーマもよく似ていた。地下の繁栄の犠牲となる地上人に、人工でありながら人間と争う獣たち。人工機械でありながら人間と変わらないリーアはアシスタント知性体やツキソメと重なる。立場の違う相手との協調や相互理解という目標も一致しているが、本作では地下という存在が特有である。これによって地下・地上・海・空という対比が行われる。地下から来たリーアが地上人の飛行機を操縦して空に飛び立つラストがそれを象徴している

21.夏への扉
小説 1956年 著:ロバート・A・ハインライン
あらすじ
 ぼくの飼い猫のピートは、冬になるときまって「夏への扉」を探しはじめる。家にあるドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。そして1970年12月、ぼくもまた「夏への扉」を探していた。親友と恋人に裏切られ、技術者の命である発明までだましとられてしまったからだ。さらに、冷凍睡眠で30年後の2000年へと送りこまれたぼくは、失ったものを取り戻すことができるのか──新版でおくる、永遠の名作。

考察
 前半で失ったものを後半ですべて取り戻し、自分を裏切った相手の情けない姿も見て、自身の発明はより強化されたバージョンで世界に広まる。猫や人間との掛け合いはレトリック豊かで子気味よく、さわやかな物語だった。すべてが上手くいく展開はSFらしくないとも感じるが、現実であればどうしようもないことを規格外のやり方で解決できてしまうこと、ファンタジーよりも近い将来に起こり得そうなことこそがSFというジャンルの持つロマンだと再確認できた。

22.おいしいごはんが食べられますように
小説 2025年 著:高瀬準子
あらすじ
真面目で損する押尾は、か弱くて守られる存在の同僚・芦川が苦手。食に全く興味を持てない二谷は、芦川が職場で振る舞う手作りお菓子を無理やり頬張る。押尾は二谷に、芦川へ「いじわる」しようと持ちかけるが……。どこにでもある職場の微妙な人間関係を、「食べること」を通してえぐり出す芥川賞受賞作!

考察
 どこにでもある職場らしく空気を読む場面が多い。その結果、二谷も押尾も、相手に言われてもいないことを勝手に読み取って苛立っていることが多い。そして二人とも、言葉で説明せずに空気でメッセージを伝えようとする。しかし空気を読む感覚がない芦川にそれが伝わらず余計に苛立っている。暗黙のコミュニケーションとマナーが基盤の社会で、それを疑うことすら疑われる閉塞感、抗うことへの徒労感がじっとりと表現されていた。コミュニケーションが重視されながら意見は避けられ、会話は増えるのに言葉は減っていく。

23.黄金珊瑚
小説 1961年 著:光波耀子
あらすじ
 あなたも黄金珊瑚を見にきませんか?
それこそは永遠の美、真の叡知、あらゆる種族の上に君臨します。

考察
 黄金珊瑚に支配された町の人々は明確な意識を持たず、今までこなしてきた役割を気の抜けた顔でこなし続ける。全員気が抜けているが、抜けている同士で上手くやっている。この様子は伊藤計劃『ハーモニー』を彷彿とさせる。本作ではディストピアのように描かれる状況をユートピアと感じさせたのが『ハーモニー』の特徴ではあったが、状況としては似ているものを半世紀も前に書いていたのは驚いた。深海という人の手の届かない所でひとりでに育つ黄金珊瑚がありありと想像でき、この先の絶望感を感じられるいい終わり方だった。

24.Refined Self
ゲーム 2023年 制作:Lizardry
概要
 どんなゲームでも、人によって進み方や何を選択するかは様々。
誰一人としてまったく同じようにプレイすることはありませんよね。
そう、ゲームをどうプレイしているか、そこにはその人の性格が出ているもの。
そんな自分の性格を知ることができるのが――Refind Self

考察
 自らの行動によって性格を診断してくれるが、ゲームでは現実よりも行動のハードルが低い。そのため、現在の性格を診断するというよりも自分の理想の姿を表しているように感じた。診断をすべて見るには三回のプレイが必要だが、BGMやドットイラスト、会話の雰囲気がよく、可能な行動も十分多いので飽きることは無かった。しかし完全にクリアしようとするとかなりの回数プレイする必要があるうえ、やったことのない選択を虱潰しにやるようになるためゲームの性格が変わってくる。

25.百年文通
小説 2025年 著:伴名練
あらすじ
 女子中学生の小櫛一琉は、引き出しに入れたものが百年前に送られる不思議な机を発見する。そうして机を通じて手紙を送ってきた大正時代の少女・日向静と文通をすることになるが、仲を深める二人の間に時代の荒波が立ちはだかる──ふたつの時を超えて描かれる感動作。

考察
 中心に据えられるのは静と一琉の関係性だが、コロナとスペイン風邪を使った感染症ディストピアの作品にもなっている。時代の違いや世界線の違いによる対立をも乗り越えて未来を手にしようとする結末は『華竜の宮』にも似ていた。時折差しこまれる媒介機関の存在意義もすべての世界線を含めた人類の幸福というユートピア的なものであった。百年を隔てた時間SFという紹介はされているが、実質的にパラレルワールドものでもあり、両世界間での協力を本格的に書けば長編にもできそうなアイデアの作品である。

26.地火
小説 2000年 著:劉慈欣
あらすじ
 本作の主人公・劉欣の父親は炭鉱労働の末に肺を患って亡くなった。劉欣は石炭をガス化してパイプライン輸送する計画で業界を改革しようと、地中で石炭を燃やして燃料ガスに変える実験を始める。それが思わぬ事態の引き金になるとも知らずに……。

考察
 高度な技術の発展と人間の傲慢さを組み合わせた典型的な環境破壊ディストピアだった。人間描写が上手く、現実社会にも存在していそうな登場人物と彼らの信条によった納得感のある行動選択によって、実際にこのような事件が起きてしまいそうなリアリティがある。炭鉱夫の労働問題という社会的な面にも切り込みながら、SFらしい自然への畏怖を両立させている。長期的な目標を掲げる劉欣と目の前の日々を重視する李民生は互いの短所を補い合える関係であり、彼らが互いに歩み寄れば別の結末を迎えられただろう。長年一つの立場で働くことで視野狭窄に陥ってしまうことへの警鐘とも感じた。

27.環形錮
小説 2014年 著:酉島伝法
あらすじ
脳の指紋であるところの“思紋”を同調させることによって人を模倣できる己媒者。
犯罪者をミミズのような形にして地中の牢獄に閉じ込める環形錮。
父親殺しの容疑で環形錮を課された主人公は過去を探りながら脱獄を目指す。

考察
 人ならざる姿に変えられ永遠に地中で監視される環形錮に始まり、四肢を萎凋させてしまう感染性の病気、認識の階層化などディストピアSFで使われる手法が大量に織りこまれていた。主人公が思紋を同調した己媒者に操られていたとするのであれば、己媒者は敵国のスパイで、バイオテロに抵抗する主人公の父親を殺すためだったのかもしれない。裳漿をつけていない蛻者に医療機器が効かないということから、彼らが感染源にされている可能性もある。

28.良い狩りを
小説 2012年 著:ケン・リュウ
あらすじ
 妖怪狩りの家系だった梁は父が狩った妖狐の娘を助ける。町からは魔力が失われ始め、人に化けた妖狐は狐に戻れなくなり、妖怪狩りの仕事は需要がなくなる。伝統を破壊され機械と効率の町になった中国で、二人は新たな姿を模索する。

考察
 妖狐という種族と狩りへの誇りを忘れないままで、変わりゆく社会に適応する姿は予想外で面白かった。環境がいくら変化させられても、それを自分の選択と行動で上書きすることで受けいれる柔軟性は環境変化の多いディストピアで重要な要素だと感じる。これをきっかけにディストピアに対抗していくようなキャラクターの特徴を挙げられるかもしれない。『華竜の宮』のツキソメ、『もしもぼくらが生まれていたら』のトモカ、『百年文通』の日向静などを考えてみると女性キャラクターが多いが、古い作品まで考慮してみないことにはわからない。

29.詩帆が去る夏
小説 1987年 著:梶尾真治
あらすじ
 <レヴィン伝説>──クローン生物はクローン元の後天的な記憶まで発現するという噂を頼みにした男は、心中した妻・詩帆を複製し裕帆という名の娘として育てる。遺伝子は彼女をどこへ導くのか。

考察
 裕帆の感情と詩帆の感情を照らし合わせると、詩帆も主人公の過度なまでの優しさに不安を抱いていた可能性がある。そのために詩帆が嘘を吐いたのだとすると、主人公の怒りはむしろ詩帆を安心させたかもしれない。しかしその嘘は幸せにはなり得ないものだった。二代目にして裕帆に男側からのアドバイスがあったからこそ、今度の二人は幸せになるだろうと思える。詩帆と裕帆の最大の違いは自分を愛してくれる親がいること、つまり主人公自身の存在であり、それが裕帆を幸せな未来に導くことは皮肉的だが、よほど健全な結末だろう。

30.嘘と隣人
小説 2025年 著:芦沢央
あらすじ
 背筋が寒くなるどんでん返しの快感
ミステリ・ランキング常連の注目作家による、新境地連作ミステリ。地獄は始まる。あなたの隣の小さな悪意から……。

考察
ミステリー的な部分よりも昨今の人間関係の複雑さに主点をおいており、直木賞候補の作品だが芥川賞らしさがあった。あっと驚くというより考えさせられる作品。私は『九月某日の誓い』が芦沢央の中で最初に読んだ作品で、それが大好きだったので驚きSFのイメージが強かったが、元々はこの作風なのだろう。個々の作品としても、人間関係のリアルな嘘や葛藤が共感できる形で書かれていて、日常の観察眼が鋭いと感じた。ただそこを強調するために、犯人の動機や相談者の思考(引き際?)に納得できないところも多かった。
2025/09/30(火) 10:46 No.2115 EDIT DEL
3年 野中涼風 RES
11.『ターミナル』(映画)(2004)監督:スティーヴン・スピルバーグ
【あらすじ】
出国後、母国が実質消滅したことで入国できず、ジョン・F・ケネディ国際空港内で長期間過ごすことになったビクター。彼のターミナル内での出会いなどを描いた感動作。

【考察】
困っているビクターに対して誰も手を差し伸べてくれず、世間の人の冷たさが胸を締めつけた。作品の後半になると、ビクターの諦めないところや器用さがみんなに伝わって愛される人になっていった。グプタという清掃員はビクターのことをスパイだと思ってなかなか心を開かなかったが、それはグプタが祖国で犯罪を犯していたため、強制送還されるのを恐れていたからだった。

12.『告白ヒストリー』(映画)(2025)監督:ナムグン・ソン
【あらすじ】
学校一の人気者に片想いする女子高生パク・セリが一生に一度の告白を決心し、転校生のハン・ユンソクの力を借りながらコンプレックスであるくせ毛を直すための作戦を計画する。初恋や友情を描いた学園青春ロマンス。

【考察】
セリはユンソクが後ろ髪を引かれることなくアメリカに行けるようにわざと嫌いだと伝えた。相手を思うがゆえの別れに胸が締め付けられた。

13.『映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記』(映画)(2024)監督:佐々木忍
【あらすじ】
現代に恐竜をよみがえらせた一大テーマパーク“ディノズアイランド”が東京にオープン! 子どもも大人も恐竜にムチュ~! 世はまさに恐竜フィーバー!! しんのすけたちはその頃、シロが出会った小さな恐竜“ナナ”と、特別な夏を過ごしていた。 「シロともこうやって、家族になっていったんだなぁ…」と、新たな絆も生まれる野原一家。 そんなナナを巡って、アンビリ~バボ~な争奪戦がスタート! ディノズアイランドをオープンさせたバブル・オドロキ―は、あの手この手でナナの居場所を探す。 「ある秘密」がバレる前に...。 しんのすけは、ナナの秘密を知るビリーと出会い、一緒に行動することに。 しかし!!そんな中、トラブルが起きて恐竜たちが大脱走!東京で!カスカベで!大暴れ! ビルを破壊し、車をなぎ倒して、しんのすけとシロに迫り来る大ピンチ! ローンがまだ32年残る野原家も、恐竜に踏みつぶされ、ひろしは男泣き。 ひと夏を一緒に過ごした、ナナの秘密とは? しんのすけとシロ、カスカベ防衛隊が、ナナを守るために東京・渋谷で大奮闘! 超巨大恐竜に立ち向かった先に、笑いと涙が止まらないクライマックスが待ち受ける!

【考察】
シロから見たナナの表現や、しんのすけの夏休みの宿題である絵日記で物語が進んでいくのが特徴的だった。クレヨンしんちゃんの映画を初めて見たが、ひろしやみさえが親に対して訴えかける場面があり、親子で楽しめる作品だと思った。

14.『メアリと魔女の花』(映画)(2017)監督:米林宏昌
【あらすじ】
その森にしかなくて、七年に一度しか咲かない花 ≪夜間飛行≫ それはかつて、魔女の国から盗み出された禁断の"魔女の花"だった。 一夜限りの不思議な力を手にしたメアリは、雲海にそびえ立つ魔法大学"エンドア"への入学を許可されるが、メアリがついた、ひとつの嘘が、やがて、大切な人を巻き込んだ大事件を引き起こしていく。 しだいに明らかになる"魔女の花"の正体。メアリは魔女の国から逃れるため、すべての魔法を終わらせようとする。しかしそのとき、メアリはすべての力を失ってしまう―。

【考察】
最初の場面で、魔女の花を盗んだ魔女を追いかける人たちが『天空の城ラピュタ』のドーラとその子分みたいだった。スタジオジブリの作品やジブリに携わっていた人の作品は『千と千尋の神隠し』のように中華料理が登場することが多い気がした。また、紙に魔法をかけることも多いと思った。エンドア大学の生徒は仮面を付けているがそれぞれに柄が描かれており、その柄の意味が気になった。

15.『ババンババンバンバンパイア』(映画)(2025)監督:浜崎慎治
【あらすじ】
銭湯で働く森蘭丸(吉沢亮)、その正体は450歳のバンパイア。至高の味わいである「18歳童貞の血」を求め、銭湯のひとり息子である15歳の李仁(板垣李光人)の成長と純潔をそばで見守る日々だったが、ある日李仁がクラスメイトの葵(原菜乃華)に一目惚れ!恋が成就してしまえば、それすなわち童貞喪失の危機!突如訪れた絶体絶命のピンチに「恋をさせてはなるものか!」と蘭丸による決死の童貞喪失阻止作戦が幕を開ける!ところが、そう意気込んで葵の家を訪ねるも、バンパイアオタクである葵から逆に恋心を抱かれてしまう蘭丸。さらには蘭丸の命を狙うバンパイアハンター・坂本(満島真之介)、葵の兄である脳筋番長・フランケン(関口メンディー)が次々登場、全員の勘違いとすれ違いにより、恋の矢印が大混線!そして、そんな蘭丸のもとへ因縁の相手である兄・長可(眞栄田郷敦)の影が忍び寄る――

【考察】
最初の場面で明らかに飢えていた森蘭丸が声をかけてくれた李仁のことを食べるかと思った。織田信長に仕えていた森蘭丸がバンパイアという設定で450年生き続けているというのが面白かった。渋谷の街が登場し、親近感が湧いた。

16.『蜜蜂と遠雷』(映画)(2021)監督:石川慶
【あらすじ】
ピアノの天才たちが集う芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選会に参加する若き4人のピアニストたち。母の死をきっかけにピアノが弾けなくなったかつての天才少女・栄伝亜夜は、7年の時を経て再びコンクールへの出場を決意する。音大出身だが現在は楽器店で働くコンクール年齢制限ギリギリの高島明石は、家族の応援を背に最後の挑戦に臨む。名門ジュリアード音楽院在籍中で完璧な演奏技術と感性を併せ持つマサル・C・レビ=アナトールは、優勝候補として注目されている。そして、パリで行われたオーディションに突如現れた謎の少年・風間塵は、先ごろ亡くなった世界最高峰のピアニストからの「推薦状」を持っており、そのすさまじい演奏で見る者すべてを圧倒していく。熱い戦いの中で互いに刺激しあい、それぞれ葛藤しながらも成長していく4人だったが……。

【考察】
ピアノの反射を利用して人物を映すショットがお洒落だった。マサルは完璧な演奏よりも大事なことがあると思っていたが、先生は完璧に演奏することこそが正義だと思っていたため対立が生じていた。インタビュー形式で登場人物の心情が語られる場面が特徴的だった。コンクールでピアノと一緒に演奏するオーケストラの指揮者とピアニストではコンクールにかけている重みが違っていた。風間塵は手が荒れているなと思っていたが、それは使い古した木の鍵盤で練習しているという表現だった。リハーサルでは演奏できなかった栄伝だったが、本番で合わせられていたのがプロだと思った。昔の自分に勝つことができていた。コンクールの結果として、栄伝を優勝させないところが現実味があってよかった。

17.『ルックバック』(映画)(2024)監督:押山清高
【あらすじ】
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

【考察】
四コマ漫画の世界に入り込んだような映像が特徴的だった。今まで藤野はクラスメートや近所の人に絵が上手いと言われてきたが、本当に上手い京本に出会い、お世辞に気づいてしまった。そこで絵が上達するように四六時中描いていたが、気付けば周りを遠ざけていた。藤野が努力して上手くなったと思っても京本の絵には到底及ばず、努力で勝てないものもあると思っていたが、京本が描いたスケッチブックの量を見て努力量が違うことを知らされることになる。

18.『秒速5センチメートル』(映画)(2007)監督:新海誠
【あらすじ】
小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。 そんなある日、大雪の降るなか、ついに貴樹は明里に会いに行く・・・・・・。 貴樹と明里の再会の日を描いた「桜花抄」、その後の貴樹を別の人物の視点から描いた「コスモナウト」、そして彼らの魂の彷徨を切り取った表題作「秒速5センチメートル」。叙情的なビジュアルで綴られる三本の連作短編アニメーション作品。

【考察】
小田急線が使われており、親近感が湧いた。手紙のナレーションはずっと明里の声だった。携帯電話のない時代の待ち合わせの大変さを知った。信じて待ち続けることしかできないのがもどかしかった。結果として明里が待ち続け、貴樹がどれだけ時間がかかっても待ち合わせ場所に行ったことで会うことができた。

19.『心が叫びたがってるんだ。』(映画)(2016)監督:長井龍雪
【あらすじ】
心の殻に閉じ込めてしまった素直な気持ち、本当は叫びたいんだ。 幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。 そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。 それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。 高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。 担任の思惑によって、交流会の出し物はミュージカルに決定するが、クラスの誰も乗り気ではない様子。 しかし拓実だけは、「もしかして歌いたかったりする?」と順の気持ちに気づいていたが、順は言い出せずにいた。 そして、だんまり女にミュージカルなんて出来るはずがないと、揉める仲間たち。 自分のせいで揉めてしまう姿を見て順は思わず「わたしは歌うよ!」と声に出していた。 そして、発表会当日、心に閉じ込めた“伝えたかった本当の気持ち”を歌うと決めたはずの順だったが・・・。

【考察】
子どもの無知ゆえにお父さんの不倫を悪気なくお母さんに伝えてしまった。お父さんが離婚は順のせいだと言う場面があるがそんなことはない。

20.『映画 聲の形』(映画)(2016)監督:山田尚子
【あらすじ】
“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子へ無邪気な好奇心を持つ。彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。やがて五年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長したふたり。“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子の元を訪れる。これはひとりの少年が、少女を、周りの人たちを、そして自分を受け入れようとする物語――。

【考察】
たまに議題になることもあると思うが、障がいを持っている人が一緒に学校生活を送るのは難しいと思った。小学生なら尚更善悪の判断がつきにくいため難しいと思う。硝子と仲良くしていた友だちまでいじめられ、不登校になってしまった。こんなにもクラスでいじめが起こっているのに改善しようとしなかった担任が悪いと思った。原作でも同じらしいが、石田のお姉ちゃんだけ顔が映らないのがなぜなのか気になった。
2025/09/30(火) 03:47 No.2114 EDIT DEL
3年 野中涼風 RES
1.『薬屋のひとりごと』(アニメ)(2025)監督:長沼範裕
【あらすじ】
大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。名前は、猫猫(マオマオ)。花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。

【考察】
東宮が亡くなったシーンで雨と雷の演出があり、悲壮感を助長していた。舞台となっている時代は医学が発達していなかったため、悪影響を及ぼすと知らなかった無知による死が発生していたことを残念に思った。

2.『華麗なるギャツビー』(映画)(1974)監督:ジャック・クレイトン
【あらすじ】
F・スコット・フィッツジェラルドの名作小説をロバート・レッドフォード主演で映画化。「ゴッドファーザー」シリーズのフランシス・フォード・コッポラが脚本を手がけ、「年上の女」のジャック・クレイトンが監督を務めた。1920年代のアメリカ。ニューヨーク郊外のロングアイランドの豪邸で暮らす大富豪ギャツビーは、毎夜のように盛大なパーティを催していた。隣人ニックはパーティに招待され、謎に包まれたギャツビーの過去を徐々に知るようになる。ダコタの農家に生まれたギャツビーは、第1次世界大戦中にデイジーという女性と出会い恋に落ちる。しかしギャツビーがフランス戦線へ送られた後、デイジーはシカゴの富豪と結婚。帰国したギャツビーはその事実を知り苦しむが、再び彼女の愛を取り戻すことを決意し、5年の歳月をかけて大富豪へとのし上がっていく。

【考察】
最初のシーンで映った食べかけのサンドイッチはギャッツビーの父親が食べたものだと最後にわかる。このことから、ギャッツビーの屋敷はそのまま据え置かれているということが考えられる。シカゴの富豪と結婚したデイジーはすべてをメイドに任せ、娘に関心がないことが伝わった。

3.『ブリジャートン家』(ドラマ)(2020)監督:ションダ・ライムズ
【あらすじ】
ダフネは明るくまっすぐな性格で、シャーロット王妃から社交界最高の栄誉“今季のダイヤモンド”として認められた美貌の持ち主。両親のような幸せな結婚を夢見て社交界デビューを果たすも、ブリジャートン家の名に恥じない結婚相手を探すことに息苦しさを感じ、恋愛を純粋に楽しめない。そんな時、長男アンソニーの友人である、ヘイスティング公爵ことサイモン・バセットと出会う。「生涯独身を貫く」という彼の固い意思を知りながらも、サイモンと思惑が一致したことから偽装交際を始めることになるが……。

【考察】
19世紀の舞踏会でビリーアイリッシュの音楽が演奏されており、今昔とクラシックとポップ音楽の融合が面白かった。主人公は裕福な暮らしをしている一方で、新聞を発行している印刷所がある地域は貧困層が住んでおり、二極化していた。ブリジャートン家の次男が男性と性行為をする描写があり、多様性が描かれていた。ブリジャートン家の向かいに住むペネロペの母親は娘の幸せよりも自分の幸せしか考えておらず、自分勝手だった。『ブリジャートン家』では世間が新聞に翻弄されることになるが、それが現代のSNSのようだった。

4.『クイーン・シャーロット〜ブリジャートン家外伝〜』(ドラマ)(2023)監督:トム・ヴェリカ
【あらすじ】
歴史上の人物シャーロット王妃の半生に基づくリミテッドシリーズ。「ブリジャートン家」の前日譚でもある本シリーズは、名声と権力を手にしていく若きシャーロット王妃の台頭と恋愛を中心に、ヴァイオレット・ブリジャートンやレディ・ダンベリーにもスポットを当てて描かれる。ジョージ三世と結婚した若きシャーロットはどのように深い愛を育んでいったのか、また上流社会が形成されるきっかけとなった社会的変化がどのように生まれ、「ブリジャートン家」のキャラクターたちに引き継がれていったのかが語られる。

【考察】
この作品では、今まで傲慢だと思っていたシャーロット王妃の本当の姿が描かれていて、偏見を取り除くことができた。ジョージ三世の視点とシャーロット王妃の視点では印象が異なったので、相手に隠し事をせずに伝えることが大事だと思った。

5.『ちょっと思い出しただけ』(映画)(2022)監督:松井大悟
【あらすじ】
2021年7月26日、この日34回目の誕生日を迎えた佐伯照生(池松壮亮)は、朝起きていつものようにサボテンに水をあげ、ラジオから流れる音楽に合わせて体を動かす。ステージ照明の仕事をしている彼は、誕生日の今日もダンサーに照明を当てている。一方、タクシー運転手の葉(伊藤沙莉)は、ミュージシャンの男を乗せてコロナ禍の東京の夜の街を走っていた。目的地へ向かう途中でトイレに行きたいという男を降ろし、自身もタクシーを降りると、どこからか聴こえてくる足音に吸い込まれるように歩いて行く葉。すると彼女の視線の先にはステージで踊る照生の姿があった。時は遡り、2020年7月26日。照生は部屋でリモート会議をし、葉は飛沫シートを付けたタクシーをマスク姿で運転している。照生は誕生日の夜に誰もいない部屋で静かに眠りにつく。また一年遡り、誕生日を迎えた照生は、昼間は散髪屋で伸びた髪を切り、夜はライブハウスでの仕事を終えたあとに行きつけのバーで常連のフミオ(成田凌)とダンス仲間の泉美(河合優実)と飲んでいた。同じ頃、居酒屋で合コンをしていた葉は、煙草を吸いに店の外に出たところで見知らぬ男から声をかけられ、話の流れでLINEを交換することに。葉のアイコンを見た男が「あれ、猫飼ってるんですか?」と尋ねると、葉は「いや…今は飼ってないけど」と返し、続けて「向こうが引き取ったから」と切ない表情でポツリと呟く。彼女がLINEのアイコンにしていた猫は、いまも照生が飼っているモンジャだった…。時は更に1年、また1年と遡り、照生と葉の恋の始まりや、出会いの瞬間が丁寧に描かれていく。不器用な2人の二度と戻らない愛しい日々を“ちょっと思い出しただけ”。

【考察】
葉と見た映画を照生は別れた後も見ていて、未練が感じられた。序盤で登場人物は全員マスクをつけており、検温する描写もありコロナ時代の作品であることが容易に想像できた。この映画は年月が重要になっているが、壁のパタパタ時計で時間を表現していたのがお洒落だった。作品の中でクリープハイプが演奏したり、お笑い芸人やYouTuberが登場するなど、キャストが豪華だった。車内で別れ話をするとき、最初はあだ名で照生のことを呼んでいたが、別れるときは「お客さん」と呼んでいて、距離を置いたのがわかった。バーのマスターとその恋人はどちらも男性で、同性愛にも触れられている作品だった。

6.『明け方の若者たち』(映画)(2021)監督:松本花奈
【あらすじ】
東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、 フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり・・・。世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は、 〝こんなハズじゃなかった人生″に打ちのめされていく。息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現実。夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだったあの頃。でも僕は最初からわかっていた。いつか、この時間に終わりがくることを・・・。

【考察】
明大前駅や下北沢、高円寺、新宿など馴染みのある駅がたくさん登場して親近感が湧いた。就活生のときにやる気まんまんで入社したが、配属先が自分のやりたかった仕事とは違い、主人公はギャップを感じていた。これから本格的に就活をする私にとっては他人事ではないと思った。彼女が結婚していたことを視聴者は親友の言葉で知ることになる。結婚していることが明らかになった後、知る前には切り取られていた僕と彼女のやり取りが明かされることになる。

7.『時計じかけのオレンジ』(映画)(1972)監督:スタンリー・キューブリック
【あらすじ】
喧騒、強盗、歌、タップダンス、暴力。山高帽の反逆児アレックス(マルコム・マクダウェル)は、今日も変わらず最高の時間を楽しんでいた ― 他人の犠牲の上にのみ成り立つ最高の時間を。モラルを持たない残忍な男が洗脳によって模範市民に作りかえられ、再び元の姿に戻っていく。

【考察】
アレックスが裏切られて入ることになった刑務所は、入所するときにアレックスの作法を厳しく注意しており、更正できそうな気がした。数人の受刑者が異なる色の腕章を付けており、色の意味が気になった。日本の敬礼は掌を相手に見せないというイメージがあるが、この作品では挙手に近いような敬礼の仕方だった。国や時代によっても違うのかもしれない。刑務所の実験によってアレックスの性格は良い方向へ変わったが、過去は変えられないため、アレックスに傷つけられた人は現在のアレックスも嫌っていた。

8.『ソウルメイト』(映画)(2024)監督:ミン・ヨングン
【あらすじ】
公募展で大賞に選ばれた一作。それは「作者・ハウン」による高校生のミソがモチーフの絵画だ。ミソとハウンは、小学生からの大親友。絵を描くのが好きな2人は、性格も価値観も育ってきた環境も違うが、大切な存在だった。しかし、ジヌとの出会いが2人の運命を大きく変えていく。想い合いながらもすれ違い、疎遠になっていた16年目のある日、ハウンはミソに“ある秘密”を残して忽然と姿を消してしまう。思いもよらない壮絶な半生が紐解かれるとき、涙なしでは観られない“2人だけの秘密”が明らかになる。

【考察】
ハウンが書いていたブログサイトの名前はミソが考えた名前になっていた。ミソの生き方を見ていたら、仕事が無くなっても恋人がいなくなっても人生なんとかなることがわかって、前向きな気持ちになれた。ハウンのすべてのことを知っているミソは、ジヌには作り話をして視聴者にだけ真実が明かされる構成になっていた。

9.『LONG TIME NO SEE』(映画)(2017)カン・ウ
【あらすじ】
凄腕の殺し屋ジスは、Black Roseとしてネットで小説を書いていた。彼が描く小説の大ファンであるギテは、続きが気になって仕方がない。彼はWild dogsというペンネームでBlack Rose宛てに熱いメッセージを送っていた。ある日、ギテのアルバイト先の飲食店に、ジスが偶然やってくる。会計の時、ふとした拍子に手と手がふれ、見つめあう2人。その日を境に、2人は何度か偶然の出会いを繰り返すようになる。小説家とそのファンということ以外、何も明かせずにいた2人だったが、あることがきっかけで、お互いが知り合いだったことに気づく。それを機に彼らの距離は一気に縮まる。まるで運命だったかのように恋に落ち、体を重ね愛し合う。この幸せを逃したくないと思うジスだったが、自分が殺し屋だということはギテに明かせずにいて…。実は、ギテにもジスには絶対に言えない“秘密”があり…。

【考察】
ギテの姉は同性愛に理解があり、同性愛が描かれている作品で最初から周りの人に受け入れられている作品は珍しいと思った。ギテも殺し屋だということが途中で明かされるがよくよく考えてみれば、ギテの体は傷だらけだった。

10.『キングダム 大将軍の帰還』(映画)(2024)監督:佐藤信介
【あらすじ】
秦と趙の全てを懸けた<馬陽の戦い>で、敵将を討った信(山﨑賢人)と仲間たちの前に突如として現れた、その存在が隠されていた趙国の総大将・龐煖(吉川晃司)。自らを<武神>と名乗る龐煖の圧倒的な力の前に、次々と命を落としていく飛信隊の仲間たち。致命傷を負った信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。「俺たちで、信を守り抜くんだ――。」一方で戦局を見守っていた王騎(大沢たかお)は、趙軍の裏に潜むもう一人の化け物の存在を感じ取っていたが、劣勢を覆すべく最強の大将軍として再び戦地に舞い戻った。王騎と龐煖の過去の因縁とは?遠くから戦いを静観する軍師・李牧(小栗旬)の正体とは??今、因縁が絡み合う馬陽の地で忘れられない戦いが始まる――。

【考察】
信を支えてくれた仲間が「今は楽しい話がしたい」と言って眠りについたのがフラグでしっかり回収されていたのが悲しかった。軍師である李牧の策略によって秦軍はピンチを迎える。軍師によって勝敗が決まると言っても言い過ぎではない。山の民が違和感を教えに来てくれたから、過去の作品のように一緒に戦ってくれると勝手に期待したが、山の民が来ることはなかった。王騎将軍の最期が武器を信に託して死ぬという武人らしい最期でかっこよかった。
2025/09/30(火) 02:41 No.2113 EDIT DEL
4年 山中拓実 RES
11. 『青空の見える丘』(feng)
<あらすじ>主人公・秀樹は、幼馴染の明穂と美夏と同じ学園で再会し、旧友たちとの学園生活を送ることになる。新たに出会う仲間たちや日常の小さな事件を通して、彼は友情と恋愛、そして自らの進むべき道を見つけていく。夏の青空に包まれた青春が、心の奥に眠る想いを静かに揺さぶる。
<考察>ルートクリア後に開放される「SIDE EPISODE」が、メインシナリオでは描き切れなかったキャラクター同士の関係性を丁寧に補完している。プレイヤーが複数の視点から物語を味わうことで、単なる恋愛ADVを超えた群像劇的な魅力が生まれている。作品全体に漂う軽やかな青春感と、どこか切なさを含んだ対話が、学園ものとしての普遍性を保ちながらも、登場人物たちの成長物語を鮮やかに浮かび上がらせている。

12.『ずっといっしょ』(東芝EMI)
<あらすじ>始業式の前日、4月3日が主人公にとって運命の日となった。親戚の住む丸井町に三年ぶりに戻ってきたが、今回は家族ではなく単身での引っ越しだった。新しい生活は部活やアルバイト、家事に追われる多忙な日々で、演劇部の仲間や喫茶店の同僚、そして美樹や若林薫といった友人たちとの交流を通じて物語が展開していく。
<考察>本作は1998年という恋愛アドベンチャーゲームが飽和していた時期に発売され、当時のシステム設計の課題を今に伝える作品である。例えば苗字と名前を別々に入力する際、説明不足なUIがプレイヤーに不安や戸惑いを与えるなど、現代のユーザーエクスペリエンスとは対照的な古さが見て取れる。しかしその不親切さこそが当時の技術的制約や作り手の想定を如実に示し、現在の作品がいかにプレイヤーに寄り添った設計を重視しているかを理解する手がかりとなる。美少女ゲームが乱立する中でありながら、丁寧な日常描写や堅実な物語性によって埋もれず評価された点も注目に値する。

13.『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO(異世界編・ハッピーエンド)』(élf)
<あらすじ>数多の世界線を巡り、仲間やヒロインたちと心を通わせてきた主人公は、ついに失踪した父親の痕跡を掴む。書斎の鍵と地下の振り子時計に隠された最後の宝玉を入手し、社の穴に仕掛けられた暗号を解読すると、辺りは光に包まれ、目覚めた先は見知らぬ異世界の森だった。そこで出会った金髪の少女セーレスと心を通わせ、短い幸福ののちに父の真実とこの世界の秘密に迫っていく。無数の可能性を旅した果てにたどり着く、長大な物語の到達点がここに描かれる。
<考察>PC-9800シリーズを前提に制作された本作は、当時としては珍しいアスペクト比の使い分けを見せている。性描写のCGでは16:10の全画面表示が採用されながら、その他の小型CGには16:9に近い比率が存在しており、ワイド画面化以前から比率の試行錯誤が行われていたことが確認できる。これは単なる技術的要請にとどまらず、美少女ゲームが表現領域を広げていく過程を物語る重要な証左と言える。また複雑な世界線と異世界編を統合した構造は、後年の物語ゲームに多大な影響を与えた点でも歴史的意義が大きい。

14.『ハミダシクリエイティブ』(まどそふと)
<あらすじ>主人公は親の遺産と人気声優である妹・妃愛の収入に頼りきった生活を送っていたが、くじ引きで生徒会長に選ばれてしまう。主人公は兄として、同じ学校の先輩として妃愛の出席日数の問題を抱えるなか、教師からの取引として生徒会長の職を全うすることとなる。
 生徒会運営を通し、役員たちに助けてもらいつつ、次第に自らの立場と向き合っていく。
<考察>立ち絵の演出について。体感的に本作は比較的CGが少ない。CGは見ることができた達成感を味わうことができる。またある程度の通過点として、プレイヤーはストーリーを進められている実感がわく。しかし本作にはその代わりに、立ち絵の変化が多い。決して立ち絵自体の種類が多いわけではないが動きや切り替えが多く、一つの台詞内でも複数の命令が実行されるなど丁寧なつくりになっている。
 無作為に例示すると、常盤華乃の「私のことたこ焼き馬鹿だと思ってるでしょ。まあ好きだけど……それでも、女の子を口説くときは花くらい持ってきなさいよ」で紹介する。
 華乃の表情は当初、視線をプレイヤーに向け、薄く口を開けている。その後「まあ好きだけど」と実際自分がたこ焼き好きであることを認めるときには眉を下げ、視線を逸らしている。また口も閉じている。「それでも」からの簡単に主人公を諭すときには目を瞑っている。
 このようにキャラクターの台詞から感じ取れる心情にシンクロさせて表情変化を行っている。これはスクリプターが細かく命令を組んでいるのだろう。他の作品ではあまり行われないために、これらには注目が為されないのが現状であるが、見ていて違和感を感じない非常に良い仕事である。
そのために視覚的な変化はCGに劣るものの、断続的に行われる。
 しかし動作に対してCGが用意されていないことに寂しさを感じるのも本当である。

15.『屋上の百合霊さん フルコーラス』(Liar-soft)
<あらすじ>教室の喧騒を避けて屋上を訪れた遠見結奈は、黒と白のセーラー服を纏った幽霊の少女サチと恵に出会う。それぞれ80年前、30年前にこの学校で命を落とした2人は、恋を成就できぬまま死んだために成仏できず、結奈に成就を手伝ってほしいと頼み込む。渋々協力を始めた結奈は、百合霊たちに導かれながら学園に潜む少女たちの秘めた恋心を見守り、時に背中を押していく。三人の「ユリトピア計画」を通じ、恋と死と青春が静かに交差していく幻想的な物語である。
<考察>本作のアスペクト比。本作はブランドのライアーソフト自体が16:9に移行するのが遅く、4:3になっている。しかし私は本作にこのスタンダードの比率が実にあっていると感じた。現在主流の美少女ゲームでは一人の主人公が複数人のヒロインから攻略対象を選択する。そのため共通パートでは横の繋がりが必然的に生まれるため掛け合いなどを自然に表現できるワイド画面が良いだろう。しかし本作は少女同士の恋を成就させることが主人公・結奈の役目であり、作品のテーマとなっている。そのため常にフォーカスされるのは「2人」の関係であり、自然に配置できるのがせいぜい2人のスタンダード画面では余すところなく全体を使用できるためぴったりだろう。

16.『劇場版カードキャプターさくら 封印されたカード』
<あらすじ>さくらたち友枝小学校6年2組は、なでしこ祭でお芝居をすることになり、夏休みも稽古で大忙し。そんなある日、さくらは香港に帰ったはずの李小狼と町中でバッタリ!小狼に告白されて、まだちゃんと返事をしていなかったさくらは今度こそ気持ちを伝えようと決心するのだが、失敗ばかり。でも、大親友の知世が誘ってくれた遊園地でついに告白できると思ったその時、不思議な気配が……。それはすべて封印したはずのクロウカードの気配だった!そして、さくらの魔力が次々と消えていく!! 最強のクロウカードを前に、カードキャプターさくら最後のバトルが始まる!!

<考察>本映画に登場する最後にして、最強にクロウカード。これは「無のカード」と呼ばれるものであり、シリーズ内でも強力なものとして知られる。設定として本カードを封印するためには「一番大切な思い」を引き換えにする必要がある。小狼に想いを伝えることが本作の大筋のため、わかりやすい。

17.『さくら色の雲*スカアレットの恋』(きゃべつそふと)
<あらすじ>現代(2020年)に生きる青年・風見司は、桜の木の下から大正時代(約100年前)の帝都東京へタイムスリップしてしまう。帝都で探偵事務所に身を寄せ、英国人所長や仲間たちと共にさまざまな事件を解決しながら、自身の帰還と未来への選択に向き合っていく。100年を超える時空を越えた出会いと恋、そして運命の分岐が物語の核となる。
<考察>序盤に映った未来の景色には東京スカイツリーと酷似した建築物が建っていた。司はそれを「東京スカイタワー」と呼んでいた。
 しかし最終場面、未来に戻った際に所長のひ孫であるマリィに「東京スカイツリー」であると訂正される。ここには日本のオタク文化の特徴が利用された仕掛けが見られる。アニメーション作品などで、実在の名称を出さずにそれを一部改変したものを使用することはよくある例である。 本作のようなパソコンをプラットフォームとした年齢制限のあるノベルゲームのプレイヤーの多くは「オタク」と呼ばれる層と重なることが多いことから、上記の例を常識とし、やり玉にあげるべきではないと判断できた者が多いだろう。そのため、当初プレイヤーは自然と東京スカイタワーは東京スカイツリーの名称が改変されたものだろうと認識できたのである。

18.『世界構成原理に関する一考察』(今川由利香)
<あらすじ>物理学博士の今川由利香は、有馬広大・龍蔵寺幸三とともに境町の磁場やリフレクター・デバイスを研究し、その成果をまとめた論文を発表する。結果として彼女の研究は学会を覆すことになる。
<考察>本論文は『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO 完全ガイド』に収録されたフィクションだが、実在の学術論文さながらに28ページもの分量で構成されている。アインシュタインやフロイトといった実在の学者を引用しつつ、仏教的要素や数式を織り交ぜ、並列世界の存在を証明するかのように語られる。
作者の剣乃ゆきひろの科学的素養が反映され、単なるゲーム内要素にとどまらずADVジャンルの可能性を大きく広げた。YU-NOが後世に与えた影響は計り知れず、本稿はその一端を担う重要なフィクション論文である。

19.『ライムライト・レモネードジャム』(ゆずソフト)
<あらすじ>音楽、仲間、そして恋。
彼女と出逢った日から世界は輝く――
ベースは上手いが、特定のバンドに所属することのなかった沖浪雪鷹。
目標がない、けれど他にやりたいこともない。
漫然と音楽活動を続ける中で見かけた路上ライブが、代り映えしなかった沖浪雪鷹の日常を一変させる。素人同然のギターで、たった一人で弾き語りに挑戦する少女・陽見恵凪。
彼女の路上ライブを見かけた瞬間から沖浪雪鷹の日常が、再びキラメキ始める。

<考察>ゆずソフトの最新作、前評判がすこぶる悪かったことが特筆事項である。これまで当ブランドはファンタジーを軸に置いたシナリオ構成をしていたが、本作は等身大のキャラクターとして制作されている。また舞台も現実に寄ったものであり、ファンタジーの要素もない。また「バンド」を主軸に置いたことで『ぼっち・ざ・ろっく!』や『BanG Dream!』といった作品の流行に「乗っかった」ように見られたのだ。
 本音として、私としてもそのイメージは拭えない。しかし、作品としての評価が下がるわけではない。最も注目したのは「音楽をノベルゲームでどう演出するのか」である。アニメーションや実写映画ならば当然、動きがある。しかし静止画を基調として構成する本媒体では難しいことは想像できるだろう。
 ここに、ゆずソフトが得意とする音声の妙がある。教室では生徒たちの「ガヤ」の声が流れるなど、本作にもその能力は活かされている。ヒロイン・恵凪が路上ライブをするシーンでは、たった一人で立ち、ギターを弾きつつ歌うのであるが、そこで音楽と彼女の歌声が挿入される。その後プレイヤーがテキストを読み進めると、恵凪の音楽はBGMとして流れ続けるのだ。その間、主人公の独白ばかりが表示されることもあり、音楽への没入が可能である。
 他の場面でも、人づきあいの苦手な恵凪が周りの生徒たちに囲まれているとき、その近くを去ろうとした主人公に対して「置いていくな、置いていくな」と呪詛のような音声が流れ続ける。この演出はギャグとして挿入され、プレイヤーを楽しませる。

20.『瑠璃の宝石』
<あらすじ>宝石や鉱物が大好きな女子高生・谷川瑠璃は、雑貨店で見かけた水晶に魅了され、自分でも鉱物を見つけたいと山へ向かう。そこで鉱物学を学ぶ大学院生・荒砥凪と出会い、彼に導かれながら採集や観察の世界へ足を踏み入れていく。
水晶やガーネット、黄鉄鉱などを探し、川や山を巡るフィールドワークを重ねながら、鉱物の魅力と自然の奥深さを知っていく。
<考察>本作は、鉱物採集という一見触れにくいテーマを基盤としつつも「宝石の輝きに惹かれる主人公の心」を大切に描いている。主人公の動機は単純な憧れに過ぎないが、経験を通じて探究心や学問への関心に変わっていく過程が物語の核を成している。自然や鉱物の描写は非常に細かく、美しい風景と結晶の輝きが視覚的な魅力を際立たせている。また“瑠璃”という名と宝石が重なり、価値や発見の意味を象徴的に示している。
2025/09/29(月) 16:15 No.2112 EDIT DEL
4年 山中拓実 RES
1.『月蝕』(TYPE-MOON)
<あらすじ>
 志貴の貧血はおさまることがなかった。体の不安定さは、胸のキズだけが原因ではなかったようである。寝ていると「君。そんな所で倒れてると危ないわよ」――――と。 
そんな、懐かしい、声がした。
「久しぶり。大きくなったわね、志貴」
「はい。先生もお変わりなく」
「――――志貴。君、自分が長くないって気付いてる?」
「――――ありがとう。先生に会えて、良かった」
月蝕の時はそう遠くない。
<考察>
 月姫本編のクリアー後に解放される、志貴のために描かれた物語。ここでは志貴はもう長くは生きられないことが明かされている。このシナリオで登場する先生は、本作の冒頭で登場したきりアルクェイドのシナリオで一度触れられた限りで、本当に忘れられてしまったかのようになっていた。
 しかし先生の言いつけを最後まで守り続けた志貴は再会を果たす。これは、同じく言いつけに沿ったプレイによってゲームを攻略したプレイヤーとしても再会の意味合いがあり、本作が本当の結末を迎えたことを実感させられた。ここで最も志貴とプレイヤーの境界は薄れ、同一化していると感じた。
 「月蝕」とは。私なりの考察であるが、通常この現象は「月食」と表記されるだろう。「蝕む」の字を選び取った理由があるはずである。まず「月」についてであるが「月姫」がアルクウェイドであるからして一見、彼女のことと考えられる。しかしそれは早計だ。
 私はこれを、志貴のことを指していると考える。志貴は七夜という、遠野家の影の存在、暗殺者の一族の生き残りである。そのため表向きな遠野を太陽として捉えたとき、七夜は月となる。また志貴の死が近いことをこの物語は提示している。であるからして「蝕」の字が当てはまるのは志貴である。

2.『閑話月姫』(TYPE-MOON)
<あらすじ>
 わたし「瀬尾アキラ」が男の人に声を掛けられ、それがきっかけで遠野志貴と出会ったのは今から三日前のことである。わたしは簡単そうで、複雑な「未来視」ができる。
 ぶらぶらと町を歩ていると、誰のモノとも知れない凄惨な現場を見てしまった。わたしはその時叫んでしまった。男は、まさに鬼気迫るといった感じで叫ぶ少女を見て、これも何かの縁だと感じた。そこで彼女と話すことにした。
 男は「遠野志貴」と名乗り、話しているうちにアキラは志貴ならばこの未来を変えることができるかもしれないと考えるようになった。ただ、アキラは同時に不安も覚えていた。視た男はどことなく志貴に似ていたのだ。
 次々と起こる事件、志貴を名乗る男の正体は。
<考察>
 本作においてもシナリオの叙述トリックは健在である。「幻視同盟」では3日目まで行動を共にしていた「遠野志貴」が偽物だった。プレイヤーは本作が『月姫』本編の後日談であるため、年上の顔をしていてもあまり不思議には思わない。しかし判明してから立ち返ってみると、色々と不整合が見えてくる。一か月前に起きたホテルでの事件にしては志貴の顔は大人びすぎている。しかしこれは、本編ではほとんど志貴の顔が描かれなかったこともあり、わかりづらい。
 没入の対象。本シナリオは少女であるアキラが一人称となり、プレイヤーは彼女に没入することになる。そのため、志貴に没入することができない。この要素も偽物であることを見抜けない理由だろう。
 アキラが持つ「未来視」の能力は非常に巧妙に設定されている。彼女の能力は単に未来が視えるわけではなく、すでに確定している「過去」から未来を演算している「予測」なのだ。そのため、大きな変化が加わらなければそのまま未来が発生する。
 しかしある意味ではその起こり得る未来を変えることもできる。そのためにアキラに行動させる要因にもなり、希望にもなる。

4.『Aster』(RUSK)
<あらすじ>
 父に憧れ、料理人の夢を追う榊 宏(サカキ ヒロ)は幼馴染の双子、沙耶と沙希と腐れ縁と言える仲が続いていた。花火が中止になったり、プールに遊びに行ったり、天文観測をする中で、宏は沙耶と恋人となる。次の観測まで一か月と迫る最中、沙希が出場する試合の観戦に沙耶は訪れていた。
 大会が終わり、3人で打ち上げをしようというところで沙耶と連絡が取れなくなった。待ち合わせ場所にも来ることはなかった。時刻は18時を回り、ようやく着信。沙希からだった。「ごめんね」と涙ながらに謝る彼女。「……沙耶は……死んじゃった……」
 物語は、始まったばかりである。
<考察>
 本作は実行ファイル起動時に、コンフィグ画面が出現する。その後、「開始」のボタン押下によりそのままゲームが開始される。本作の特徴に「選択肢がない」「起動時にオープニングが再生されず、簡素な画像表示のみ」「初回プレイ時には起動後にスタート画面がなく、代替品としてコンフィグが出現する」などがある。そのためにいわゆる一本道の本作に上記の特徴が重なることで、区切りをつけていないことが読み取れた。それによりプレイヤーは自然と作品世界に没入することができるだろう。そして沙耶√が終わりを告げたとき、OPが挿入される。ここからが本作の本質なのだと示されている。

 本作の大きな特徴として「4人の主人公」と「5人のヒロイン」が登場する。その中には事故の被害者である沙耶、加害者、さらには遺族までもが含まれている。本作は美少女ゲームの特徴である「没入」や「感情移入」を巧みに利用し、プレイヤーに深みを見せることで苦痛を与えている。しかしそれがプレイヤーを感嘆させることもその通りなのである。
 だが、これは非常に危うい特徴とも言えるだろう。一人称視点のノベルゲームは、上記のように他人の人生をまるで自分のものであるかのように追体験することができる。するとどうなるだろうか。本作のような限りなく苦痛でしかない物語をも同様に体験し、咀嚼するのである。

 本作はネット上で『君が望む永遠』と酷似しているといわれる。しかしこの情報はどうやら、本作の体験版が配信された際にいわれたものらしい。比較したい。ヒロインについて。遙と比較して本作のヒロインたちは少女性を色濃く持っている。顔立ち、等身、服装、言動、そのすべてにおいてである。確かに遙は作品内では妹の茜に次ぐ幼さを持っていた。しかし事故の前には茜はまだ無邪気な妹分であり、ヒロインとしては描かれていなかったので、遙が最も幼く映っている。彼女よりも幼い本作のヒロインたちの不幸は、悲しみを増大させるだろう。ただ『君が望む永遠』から感じられた等身大の好いている女性ヒロインへの悲しみとは、本作の感じさせるあどけなさを持っている少女への悲しみはベクトルが違うといえると考えた。更に前者は遙とこれから親密になっていける未来を期待しているが、本作はずっと続いていってほしい日常が重要視されている。これら本作の持つ力はKeyの作品が示してきた感情に類似している。

 本作とKeyの作品群との比較について。両者は比較されることが多い。それは本作のパッケージに「奇跡のないこの世界で、少女たちは優しい希望と出会う…。」と記されているように、奇跡をテーマにしていたKeyとは対称的といえるからである。上記にある少女性が、少しファンタジックな様子を見せるが、希望がないことでリアルさが一気に介入してくる。

5.『終末の過ごし方 -The world is drawing to an W/end-』(アボガドパワーズ)
<あらすじ>
 ――1週間後に人類滅亡を控えた人々の、非日常という名の日常の物語。その状況の中で、諦めたように学校へ通い続ける主人公達。果たしてその先に何があるのか。
「いいじゃない、どうせ死ぬんだから☆」
 諦める者、最後までもがく者、自暴自棄になる者、カミングアウトする者、終末の群像劇。
「―終末さぁ…空いてる?」
 ―良い終末を
<考察>
 本作はいわゆる終末を題材とした『少女終末旅行』や『風の谷のナウシカ』、『人類は衰退しました』のようなポストアポカリプスではない。これらは終末を迎えた後、生き残った者たちを描くことことが多いが、本作は終末が訪れるのを待つばかりである。それは半ばあきらめたかのように自嘲的にすごしているようにも思える。そのために留希は自分が医者を目指した不純な動機を一介の生徒である多弘に打ち明けられる。そしてポストアポカリプスな物語には自然と存在している「選民」がない。本作ではどこまでも普通な人物たちである。これによって、非日常がプレイヤーにとっては日常になっていると考えた。本作のホームページにも「――1週間後に人類滅亡を控えた人々の、非日常という名の日常の物語。」とある。
 本作の特徴は「MMX命令」に対応していることである。このテクノロジは画像や音声といったものの処理を高速化するための技術であり、インテルが1997年に初めて発表した。詳細としては演算を通常は一つずつ行うところを、一度に複数行う技術である。本作では前に表示された画像をフェードアウトしていると同時に次の画像をフェードインさせるクロスフェード処理に使用されている。またサウンドのクロスフェード処理にも使用されている。これらにより双方でシーン間のつながりが滑らかになっている。さらに本作のCGはパステル調になっており、終末までの悲壮感、虚無感を表現していると感じた。

本作の機能説明ページ
https://web.archive.org/web/20170904081632/http://www.scarecrow.co.jp/abp/shuu/mmx.html
 本作の地の文には「スクロールダウンして」など、視点移動が語られる。そうすると何かしらのアクションが起こるのだが、プレイヤーの視点であるウィンドウも同期するように変化する。視点を重要視していることがわかる。
 賛否両論あるだろうが、本作はなぜ終末が訪れるに至ったのか、結果としてどうなったのかには深く触れることはない。それは本作がそれぞれの登場人物の心情を重きに置いているためであり、世界における事象は「終末」さえあればよくなっているためであろう。

6. 『月陽炎』(すたじおみりす)
<あらすじ>
 大正時代を舞台に、神職見習いとして修行に訪れた青年・悠志郎は、遠縁の神社で銀髪の少女・柚鈴やその姉・鈴香と出会う。静謐な空気に包まれた神社で、彼は二人が抱える家族の秘密や心の痛みに触れ、やがて自らの生き方を見つめ直していく。過去と現在が交錯する中で、悠志郎は祈りと選択を通じ、彼女たちとともに運命に向き合うことになる。
<考察>
 シナリオライター宮蔵と原画家仁村有志のタッグが後のALcot設立へとつながる重要な作品であり、商業美少女ゲーム史においても転換点となった。制作会社ALcotは2025年発売予定の『Clover Memory’s』をもって解散が予定されているが、代表宮蔵の年齢と後継者不足という属人性の限界がその背景にある。解散後も版権を会社が保持する方針は、作品の保存・再販を可能にする前向きな判断であり、衰退しつつある美少女ゲーム業界において重要なモデルケースとなるだろう。大正浪漫的な世界観と儚い人間模様が、後続ブランドの物語性に大きな影響を与えている。
7. 『スケッチブック~full color's~』(ハルフィルムメーカー)
<あらすじ>
 引っ込み思案の高校生・梶原空は、周りに流されながら美術部へ入部してしまった。部員たちは顧問含め皆一癖ありながらも温かい。パペットづくりが趣味の麻生夏海、空と夏海をまとめる倹約化の鳥飼葉月。仲間たちと空は「美術」を通じた交流を深めていく。

<考察>
 物語は大きな事件を起こさず、日常の中に潜む感情の揺れや人間関係の微妙な距離感を丁寧に描き出している。特に妹のみなもは年齢ゆえの未熟さが言葉や行動に表れ、他キャラクターとの対比でその無垢さが際立つ。作画の安定性と淡い色彩設計が穏やかな空気を支え、静かに心に残る余韻を作り出している。日常系作品としての完成度が高く、観る者に柔らかい余白を与えてくれる点が魅力である。
8. 『天色*アイルノーツ』(ゆずソフト)
<あらすじ>
 かつて教師だった主人公は新たな生活を求め、空に浮かぶ島ライゼルク市国の女学院に赴任する。獣人やエルフといった異種族が共存する島で、彼は個性的な生徒たちと交流を深めていく。その後主人公は、葛藤や悩みを抱えた少女たちと交流し、未来を選び取る。浮遊都市という幻想的な舞台で、現実と異世界の境界は曖昧になっていく。
<考察>
 世界観の広がりに比してプロローグが短く、プレイヤーが島の特異性を十分に味わう前に物語が進行してしまう点は惜しまれる。しかし、画面比率「4:3モード」を自然に実装したUI技術や、キャラクターの感情表現を誇張する演出が、プレイヤーの没入感を効果的に高めている。例えばお菓子を食べただけで涙するような反応は、単なる萌え要素を超え、非日常の世界における心の動きを強調する仕掛けとして機能している。ゆずソフトらしい軽やかさと技術的挑戦が融合した作品である。
9. 『ウィズアニバーサリー』(CROSSNET)
<あらすじ>
 イザヴェイル王国南部にそびえ立ち、古くから著名な魔法使いを輩出してきたアルヴィース魔法魔術学院。この名門に通う怠惰な青年、デュオは同級生のシャル、先輩のローラ、下級生のアリス、グラニテ、ソフィアらと共に騒がしくも楽しい毎日を送っていた。学院で催される魔女の祝祭「ウィズ アニバーサリィー」の開催日が近づくに連れ、デュオは妙に彼女たちのことが気になり出す。

<考察>
 特徴的なのはイベントCGを拡大・スクロールできる「FVPシステム」であり、視覚的操作を楽しさに変換する試みが光る。従来のノベルゲームはテキストを読むだけの受動的体験に留まりがちだが、この作品はユーザーの手の動きそのものを物語鑑賞の一部に取り込んでいる。単なる技術的遊びではなく、キャラクターの表情や空間を自ら切り取る感覚を提供することで、プレイヤーと世界の距離を縮める効果がある。静的なメディアに動的な体験を持ち込んだ意欲的な実験として位置付けられる。
10. 『喫茶ステラと死神の蝶』(ゆずソフト)
<あらすじ>
 大学生の高峰昇晴は事故で命を落とすが、時間が巻き戻り再び生を得る。死神の少女たちと出会った彼は、魂を導く喫茶店「ステラ」で働きながら、人の死と再生に向き合っていく。蝶が舞う街で、死と隣り合わせの温かい日常が、彼の人生に新たな意味を与えていく。
<考察>
 選択肢の提示が物語情報に巧みに組み込まれており、プレイヤーは違和感なくヒロインの好感度やストーリー分岐に影響を与えられる。死生観という重いテーマを扱いながらも、喫茶店という日常的空間が舞台であることで、哲学的な問いが柔らかく包み込まれている。魂の残滓を象徴する蝶や、再生を思わせるカフェの営みが、死を単なる終わりではなく連続する日常の一部として描き出す。ゆずソフト特有の軽快な会話劇と深い主題が見事に共存する作品である。
2025/09/29(月) 15:23 No.2111 EDIT DEL
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