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2年 小倉結
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1 . 『鬼滅の刃 兄妹の絆編』 (テレビアニメ) 2019年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の禰豆子は鬼に変貌してしまった。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる。
【感想】
鬼となっても大事な家族である炭治郎を守ろうとした禰豆子の姿と、どんなに過酷な訓練でも耐え凌ぎ、乗り越え妹を人間に戻すために努力を惜しまない炭治郎の姿にとても感動した。二人の兄妹としての絆がとても強い事を感じた。
2 . 『鬼滅の刃 浅草編』 (テレビアニメ) 2019年 監督:外崎春雄 原作: 吾峠呼世晴
【あらすじ】
次なる任務の舞台は東京・浅草の町。大正の華やかな都会の街並みに戸惑う炭治郎だったが、そこで鬼の匂いを嗅ぎつける。匂いを追った先で出逢ったのは鬼舞辻無惨だった。鬼舞辻を斬ろうとする炭治郎。だが、鬼舞辻は行きかう人間を鬼に変え、町を混乱に陥れる。必死に事態を収拾しようとする炭治郎の前に、 とある人物が姿を現す。
【感想】
浅草で無惨によって鬼にされてしまった男性が、人を食わないように押さえつけている炭治郎の姿を見て、もう自分と同じような苦しみを誰にも味わって欲しくないという気持ちがあったのだろうなと思った。戦った朱紗丸や矢琶羽は十二鬼月ではなかったものの、かなり強力で苦戦を強いられていた。鬼が無惨の名前を口に出すと体内にある無惨の細胞によって殺されるという点には恐怖を感じた。
3 . 『鬼滅の刃 那田蜘蛛山編』 (テレビアニメ) 2019年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
次なる目的地は北北東。炭治郎と禰豆子は、善逸や伊之助とともに那田蜘蛛山へ向かう。その山は蜘蛛の巣が張りめぐらされ、無数の蜘蛛が蠢く山だった。怯える善逸を残し、山に入った炭治郎と伊之助は、蜘蛛の糸に絡み取られた鬼殺隊員に遭遇する。
【感想】
炭治郎たちが初めて十二鬼月と戦った。下弦ではあるが十二鬼月なだけあってかなり強く、炭治郎たちも苦戦を強いられていた。累という下弦の伍の鬼の父蜘蛛や、兄蜘蛛のビジュアルがかなり気持ち悪いため、苦手な人も居るかもしれない。累の過去が明かされ、鬼となった理由、家族の絆というものにこだわる理由が明らかになった。炭治郎と禰豆子の本当の家族の愛、絆を感じた。炭治郎が累の服に手を置くシーンでは、炭治郎の心の優しさが現れているなと思った。
4 . 『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』 (テレビアニメ)2019年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
戦いを終えた炭治郎は、禰豆子とともに鬼殺隊本部へ連行される。
そこでは鬼殺隊の当主・産屋敷と最強の剣士・柱たちによる「柱合会議」が行われることになっていた。
鬼を庇うという鬼殺隊にあるまじき隊律違反をした炭治郎を、柱たちは糾弾する。
そして風柱・不死川実弥は、禰豆子に刀を向けた。
【感想】
もし禰豆子が人を襲った場合、鱗滝左近次や冨岡義勇が腹を切って詫びるという手紙の内容を聞いてはっとする炭治郎。この時の炭治郎は柱には鬼を連れた隊員など到底信じられないと言われていたが、それでも自分と禰豆子二人の絆を信じてくれる人がちゃんといてくれるという気持ちになったのでは無いかと思う。独りではなく、人は誰かに信じられ支えられることで生きていける存在なのだとこのシーンを見て思った。
5 . 『鬼滅の刃 無限列車編』 (映画)(テレビアニメ) 2020年、2021年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
蝶屋敷での修行を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、『無限列車』に到着する。そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である『柱』のひとり、炎在の煉獄杏寿郎と合流し、闇を住く『無限列車』の中で、鬼と立ち向かうのだった。
【感想】
煉獄さんのお弁当を食べる時の「うまい!」の連呼にとてもホッコリした。
それまでのシーンとは違い、戦闘場面では雰囲気が違い格好良い煉獄さんの姿に見た人全員が惚れてしまうと思う。
「俺は俺の責務を全うする!」「心を燃やせ」という言葉が印象に残り、心に響いた。柱として最後まで正々堂々と戦い抜いた姿に感動した。私自身も今まで以上に煉獄さんのように最後まで一生懸命に物事をやり遂げたいと思った。
6 . 『鬼滅の刃 遊郭編』 (テレビアニメ) 2022年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
音柱の宇髄天元とともに任務につくことになった炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助。向かった先は、夜に輝く街・遊郭。宇髄の三人の嫁が鬼の情報収集のために潜んでいたが、定期連絡が途絶えたという。炭治郎たちは情報を得るため、変装して店への潜入任務を行うことになるが……。
【感想】
大正時代の遊郭の華やかさや煌びやかさを感じられた。鯉夏花魁や堕姫が花魁に扮している姿はとても美しい。
炭治郎たちにとって初めて上弦の鬼と戦うことになったが、二人で一つの鬼で中々倒すのに苦労していた。
妓夫太郎のたった一人の妹を思いやり、わざと別々の道を行こうとした時、堕姫の「私は何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」という言葉に兄妹愛を感じ、泣いてしまった。鬼滅の刃は、味方だけでなく鬼にも同情したり共感したりできるような設定が多いなと思う。こういう要素も、鬼滅の刃に人気がある理由なのかなと思った。
7. 『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(テレビアニメ) 2023年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
炭治郎たちと宇髄の活躍により、百年ぶりに上弦の鬼が倒された。その事実は鬼殺隊のみならず、鬼舞辻無惨の元に呼び出された上弦の鬼たちにも波紋を呼んでいた。一方、蝶屋敷で療養生活を送る炭治郎だったが、刃毀れが原因で刀鍛冶・鋼鐵塚を怒らせてしまったことを知り、直接会って話すため刀鍛冶たちの暮らす里へ向かうことに……。
【感想】
上弦の鬼が集結し、無惨が登場したシーンはとても緊張感があった。
時透無一郎、甘露寺蜜璃、不死川玄弥の過去が明かされ、それぞれのキャラクターがどんな思いで鬼殺隊に入ったのかを知った。
炭治郎の「人にすることは巡り巡って自分のためにもなる」という言葉を聞いて、私自身これからもっと人の為に自分が出来る事を精一杯していけたらいいなと思った。
8. 『鬼滅の刃 柱稽古編』(テレビアニメ) 2024年 監督: 外崎春雄 原作: 吾峠呼世晴
【あらすじ】
山の上に建つ廃城へ任務に向かう柱の実弥と伊黒たち。一方、その頃炭治郎は蝶屋敷で刀鍛冶の里で受けた傷を癒していた。そんななか、産屋敷邸に柱たちが集まり、柱合会議が開かれる。無一郎から語られる痣の発現方法とは…。鬼殺隊全体の底上げの為、柱稽古が始まる。
【感想】
いつものシリーズとは違い、闘いの描写は少なかった。むしろ笑えるシーンが多く、見ていてひたすらに面白く楽しかった。弱気になる隊士や、脱落していく隊士たちに炭治郎がかけた言葉がとても印象的で、見ている自分も勇気づけられた。炭治郎の言葉はいつも人の心を動かす力があるなと思う。しかしながら、今作の最終話は、色々と衝撃的だった。ここから映画の三部作にどう繋がっていくのかが楽しみだ。
9. 『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』 (アニメ映画) 2025年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、 無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。
炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城《無限城》。”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
【感想】
初めて鬼滅の刃を映画館で鑑賞した。映画ならではの音響やスクリーンの大きさにより、テレビで見るよりも映像にかなり迫力を感じた。
大切な人がいつもと同じように自分の近くで、隣で生きている事が当たり前ではないということを気付かされた。当たり前を当たり前と思わずに、日々をかけがえのないものと考え大切に生きていこうと思った。
印象深かったのは、猗窩座の場面。人間時代に犯した過ち、その後に出会った愛する人たちを守れなかったという辛い過去に涙が止まらなかった。だからといって鬼となり人間を虐殺していいのかといえばそれは違う。ではあの時猗窩座はどうすれば良かったのかなどと、見終わった後も非常に考えさせられる作品だった。
10. 『東京リベンジャーズ 天竺編』 (テレビアニメ) 2023年 監督: 初見浩一 原作:和久井健
【あらすじ】
変わり果てた東京卍會を救うため、 12年前にタイムリープして黒龍との 聖夜決戦を勝利に導いた花垣武道(タケミチ)。 裏切り者の稀咲鉄太を除名することにも成功したが、 なぜか現代の状況は悪化する一方だった。
決意を新たに再びタイムリープしたある日、 東京卍會は天竺と名乗るチームの襲撃を受けてしまう。 混乱するタケミチの前に現れたのは、 天竺の特攻服を纏った稀咲だった。
東卍史上最大にして“最後”の抗争に向けて、 人生のリベンジは続く!
【感想】
主人公の武道がタイムリープし、かつての恋人を救う為に過去を変えようとする話。次第に東京卍會の総長マイキーを助けるという目的も加わってくる。
武道は喧嘩が弱く、いつもやられてばかりだが、自分の大切な人の為に全力を尽くし、自分がたとえ不利な状況だったとしても決して諦めないという強い意志を持っているなと感じる。武道のその様な粘り強い性格を見習い、私も何事にも諦めずに最後までやり遂げたいと思った。
11. 『僕のヒーローアカデミア』 第一話 (テレビアニメ) 2016年 監督: 長崎健司 原作:堀越耕平
【あらすじ】
総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持ち、その“個性”によって社会を守る“ヒーロー”という存在が確立された世界。緑谷出久はヒーローになることを夢見て、多くのヒーローを輩出する名門・雄英高校ヒーロー科入学を目指していた。しかし、彼は何の“個性”も持たない“無個性”。現実の厳しさ、不平等さを痛感する日々を過ごしていた。そんなある日、出久は強盗をして逃亡中だった敵(ヴィラン)に襲われてしまう。そこに現れたのは、人気・実力共にNo.1のヒーローだった。
【感想】
総人口の八割が何らかの個性を持っている時代に、主人公は無個性で第一話の段階でかなり苦しんでいた。
クラスメイトから馬鹿にされ、心無い事を言われ心が折れそうになっていた主人公だが、周りが言うことなんか関係ない!と持ち直そうとしているところが、自分の心に染みた。自分も周りからの評価で諦めそうになった事があるが、やってみなければ本当にどうなるか分からないし自分を信じて頑張ろうと思えた。
一話のみしか見れなかったが、内容が面白かったので続きが配信されたら是非見たいと思う。
12. 『幸せカナコの殺し屋生活』 第一話 (ドラマ) 2025年 監督: 英勉 原作: 若林稔弥
【あらすじ】
主人公カナコは、ブラック企業を辞め、急いで面接した企業はまさかの殺し屋。だが、超ホワイト待遇だったため思わず入社を決意。
人を殺すなんて出来る訳ないと思っていたが、まさかの才能が開花し、殺し屋としての生活が始まった。
基本「殺すぞ」しか言わない相棒の桜井と共に次々とターゲットを抹殺するカナコ。
順風満帆な殺し屋生活を送るカナコの前に、突然刑事が現れ…。
果たしてカナコは殺し屋として一人前になれるのか!?
【感想】
DMM TVでしか見れなかったので、無料配信されていた1話を見た。
殺し屋というブラックなイメージなのに、ホワイト企業という真逆さが面白い。
カナコは普段はふわふわしていて、私に殺しなんてできない、と言いながらも悪い奴は絶対に許さず、任務を遂行する時は別人が憑依したかのように変化するのがとても格好良かった。途中から出てくる桜井先輩も一見怖そうではるが、意外にカナコを評価したりと優しい一面もあり、そのギャップが良いなと感じた。
13. 『潜入兄妹 』(テレビドラマ) 2024年 監督: 大谷太郎
【あらすじ】
日本最大級の詐欺集団“幻獣”。立ち向かうのは、父を殺した犯人に復讐を誓う兄妹。身分を隠して潜入し、犯罪組織を内側から壊滅せよ。バレたら一発、即ジ・エンド。
【感想】
父親を殺された兄妹が詐欺組織に潜入し、父親を殺した犯人を探す物語。
どの俳優さんも演技がとても上手で、見ている側も共に緊張した。
兄の貴一がとにかく妹の結貴思いで、人質に取られた妹を何があっても絶対に助けるという強い思いを感じた。また、兄を信じるという結貴の言葉から、兄妹の絆が強いことも伝わってきた。幻獣の一員である青龍の放つ殺気には、威圧感があり、背筋が凍るような恐怖を感じた。
14. 『まほろ駅前多田便利軒』 (小説) 2006年 著者:三浦しをん
【あらすじ】
東京郊外の地方都市“まほろ市“で便利屋を営むバツイチ男・多田のもとに、ある年の正月、高校の同級生・行天が転がり込んでくる。多田の手伝いをするのを条件に行天は彼の家に住み着き始めるが、そんなふたりの店には曲者の依頼人が次々と訪れるのだった。
【感想】
性格や考え方が全然違う二人だが、この二人によって様々な問題が何やかんやで丸く収まり解決されていくのがとても面白かった。
映画の俳優さんと、小説で読んだ登場人物のイメージが凄く合っているなと感じた。
この作品を読んで自分自身も家族との関係について考えさせられた。
15. 『走れメロス』 (小説) 1940年 著者: 太宰治
【あらすじ】
暴君に捕まった主人公メロスが友人を人質にして村に戻り、妹の結婚式を挙げさせ、約束を守って戻る物語。
【感想】
川が氾濫し、山賊にも襲われ精神的にも肉体的にもかなりボロボロになり心が折れ、諦めようとしても、それでも何とか人質となった友人の為に走り続けるメロスに感銘を受けた。そのまま諦めるのではなく、自分の体に鞭を打って再び走り出すのはそう簡単なことでは無いと思った。最後に、メロスとセリヌンティウスがお互いを途中で信じられなくなったことを謝り、殴り和解した所で二人の友情が以前よりも深まった事を感じた。
16. 『痴人の愛』 (小説) 1925年 著者: 谷崎潤一郎
【あらすじ】
ごく一般的なサラリーマンで君子と呼ばれる真面目な男が、カフェーの女給であった15歳のナオミと出会い、自分の妻にする。しかしナオミはやがて男が予想もしなかった女性へと変貌を遂げていく。
【感想】
譲治という男が、ナオミという女性との間柄や今まであったことについてを語っている。
性的な描写があり、男女関係の生々しさが強く感じられた。人によってかなり好みが別れると思う。大正時代の文化や夫婦のあり方などの描写があった点は、とても興味深かった。
17. 『コードネームミラージュ』 (テレビドラマ) 2017年 監督:山口雄大、辻本貴則ほか 原作:広井王子
【あらすじ】
社会に蔓延る凶悪犯罪に脅かされる国、日本。表立った諜報機関が存在しない日本において、国内外を問わず凶悪犯罪集団にとって、仕事のしやすい、ヌルい国と見透かされている。そんな状況を打破すべく、警察庁内に組織された部隊が「K13」だった。「K13」の活動はごく限られて人間たちにしか知られておらず、メンバーたちは記録上では、この世に存在しない。「コードネーム:ミラージュ」と呼ばれるトップエージェントを筆頭に、「K13」に所属するメンバーは、凶悪犯罪にあたるだけでなく、政治的・社会的に表立って解決することのできない犯罪をも、秘密裏に処理する使命を背負わされていた。一方で、アメリカの「FBI」のような警察機関の設立を目指し、日本の警察組織の徹底強化を図る「警察権拡大法案」の成立を目論む人間たち。様々な思惑が蠢く日本。やがて「K13」をも巻き込む、巨大な陰謀が明らかになっていく!
【感想】
ある大事故で記憶や感情を失い、その代わりに常人を超える戦闘能力に目覚めた主人公が、警察の特殊部隊の実働エージェントとして任務を華麗にこなしていく。
初めはミラージュの殺しがメインだが、話が進むにつれて彼が感情を取り戻していき、そのせいで葛藤が増え、仕事に影響が及ぶようになっていく様子が描かれている。
一人の人間に再び戻っていこうとするが、様々な困難に巻き込まれ苦しむミラージュを応援したくなるような話だった。感情のあり方について考えさせられると思う。
18. 『文鳥』 (小説) 1908年 著者: 夏目漱石
【あらすじ】
三重吉に勧められて、文鳥を飼うことにした主人公が最初は世話をし、文鳥の姿に様々な感慨を抱くが、小説を書くのに忙しくなって、世話を怠るようになると、「家人(うちのもの)」がかわりに世話をするようになった。主人公が気のすすまない用事で2日ほど文鳥をかまわなかった時、文鳥は死んでしまう。
【感想】
夏目漱石の短編集に入っている作品。
文鳥を飼っている身としては、鳴き声や行動などに共感しながら読んだ。
事細かに、文鳥の顔や身体の特徴、行動の様子が書いてあった。その為、文鳥が何をしている所なのかなどの想像がしやすかった。漱石の小説は描写がとても細かいイメージがある。
19. 『風都探偵』 (特撮テレビアニメ) 2022年 監督: 椛島洋介 原作: 石ノ森章太郎
【あらすじ】
風の街、風都。
かつて街を脅かした組織「ミュージアム」は、仮面ライダーたちによって壊滅へと追い込まれた。だが、組織によって大量生産された危険なアイテム「ガイアメモリ」は各所に散在。感情吹き荒ぶ風都で密かに流通し、メモリのカで怪人「ドーパント」へと変貌する者は後を絶たなかった。
やさしさ故に煮え切らない[ハーフボイルド]探偵、左翔太郎。頭脳派探偵にして彼の永遠の相棒、フィリップ。
二人が所属する鳴海探偵事務所の元には、今日も奇妙な依頼が持ち込まれる。
風の止まった街で暗躍する謎の影。そして現れた魔性の美女・ときめ。彼女との出会いが翔太郎の運命を変えていく。翔太郎&フィリップ、二人で一人の探偵で、仮面ライダーWの新たなる事件が幕を開ける。
【感想】
特撮テレビドラマ仮面ライダーWのアニメ版。テレビドラマ時よりも、何年か時が進んでると見られる。作画が綺麗で見やすく、声優さんもかなり豪華。テレビドラマ時の設定を活かしつつ、アニメでしか出せない映像表現が加えられていており、迫力があった。
また、テレビドラマ時のBGMも使われていて、懐かしさも感じる。こちらもギャグ要素がありつつ、内容がしっかりしているため飽きずに見れると思うが、少し大人向けであると感じた。
20. 『仮面ライダーW 探偵は二人で一人の仮面ライダー編』(1~18話) (特撮テレビドラマ) 2009年 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
心地よい風が吹き、行き交う人々を穏やかな気持にさせる街「風都」。この平和に見える街の裏側では、人間を怪物「ドーパント」へと変化させる魔性の小箱「ガイアメモリ」による犯罪が横行していた。
街を泣かせる悪に立ち向かうのは、風都を愛する気持ちは誰にも負けない半人前“ハーフボイルド、な探偵、左翔太郎と、その相棒である少し浮世離れした雰囲気を醸し出す魔少年、フィリップ。ふたりはドーパントたちが使用するものとは形状の違う「ガイアメモリ」2本と、ベルト状のアイテム「ダブルドライバー」を使用し、「仮面ライダーW(ダブル)」へと変身する。そして、事務所を訪れる悩める人々の依頼に対処しながら、ドーパントと戦っていた。
そんなふたりが運営する「鳴海探偵事務所」に、所長である鳴海荘吉の娘、鳴海亜櫢子が来訪。父親が留守と聞くや、翔太郎に事務所からの退去を要求する。だが、大阪から風都に来て早々ドーパントとの戦いに巻き込まれた亜劇子は、この騒動に怯むどころか、オーナー権限により事務所の所長就任を言。こうして奇妙な縁で結ばれた3人による探偵経営が始まるのだった。
【感想】
シリーズ初となる、二人で一人の仮面ライダー。探偵の左翔太郎と相棒のフィリップが二人であらゆる事件を解決していく。子供向けと思われがちな仮面ライダーだが、Wは内容がかなり複雑で難しく、大人が見ても楽しめる内容になっていると思う。二人の絆や友情、フィリップの家族関係など様々な要素が組み込まれている。面白いシーンやツッコミ所のあるシーンも多い為、飽きずに見ていられる。
21. 『仮面ライダーW 嵐を起こす不死身の男編』
(19~36話) (特撮テレビドラマ) 2009年 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
相次ぐ「ガイアメモリ」による犯罪に業を煮やした風都署は、新たにガイアメモリ犯罪専門の「超常犯罪捜査課」を設立。課長として自らを”絶対に死なない、とうそぶく男、照井竜が赴任する。「風都」に吹く風を嫌な風だと言う照井は、左翔太郎とフィリップが「仮面ライダーW(ダブル)」であることを知っており、自らも「ガイアメモリ」とベルト状のアイテム「アクセルドライバー」を使い、「仮面ライダーアクセル」へと変身し、ドーパントに立ち向かう。だが、アクセルが見せるあまりにも苛烈な戦いぶりに翔太郎は憤慨。街の人々が名付けてくれた「仮面ライダー」の名を汚す行為だとしてこれを糾弾する。
なぜ照井の心はそれほどまでに荒んでいるのか。彼がドーパントと戦う本の目的。それは家族の命を奪ったである"Wのガイアメモリ"を持つ人物を探し、自らの手で葬ることだった。翔太郎ら「鳴海探偵事務所」の面々は、憎しみに囚われた照井にも寄り添いながらも悪と戦い、これにより少しずつ照井も心を開いていくなか、ついにWのメモリを持つ男、井坂深紅郎こと「ウェザー・ドーパント」が出現する。
【感想】
翔太郎はごくごく普通の人間で、フィリップとは最強の仮面ライダーWになる事は無理だと言われていた。しかしながら、翔太郎はフィリップと共にその障害を乗り越える。不可能を可能に変えてしまう二人の絆の強さに感動した。
22. 『仮面ライダーW ミュージアムの真実編』 (37~49話) (特撮テレビドラマ) 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
Nobody's perfect=完璧な人間などいない、という亡き師匠の言葉を受けた左翔太郎は、フィリップとの絆を深め、ふたりは地球と一体化した最強のW(ダブル)「仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム」へと進化を果たした。翔太郎とフィリップ、そして復讐心を捨てながらも井坂深紅郎の打倒を果たした「仮面ライダーアクセル」こと照井竜や、「鳴海探偵事務所」所長の鳴海亜櫢子らはさまざまな苦難を乗り越え、その関係性をより強固なものへとしていくのだった。
そんな中、フィリップの正体が、「ガイアメモリ」を街に流通させている巨悪「ミュージアム」の首魁、園兵衛の息子、園咲来人であったことが判明する。そのミュージアムもまた、琉兵衛の長女である園咲冴子の裏切りや、次女の園咲若菜の台頭、そしてミュージアムに復讐しようとする謎の淑女、シュラウドの存在で揺れていた。さらに、この混迷する状況に危機感を抱いた、ミュージアムへの出資者「財団✕」の使者が風都に来訪する。何事にも動じず、顔色ひとつ変えないという人間離れしたこの男、加頭順は、ミュージアムを追われた園咲冴子を保護。内に秘めた野望を実行しようとしていた......。
【感想】
テラーによって恐怖に支配された翔太郎に、優しくフィリップが別れを告げるシーンがとても切なかった。どんなに自分が困難な状況に陥っても、大事な相棒を見捨てず、助けに行くという翔太郎の姿勢に胸を打たれた。翔太郎とフィリップの絆がより深まったと感じられた。
23. 『花郎』 (韓国ドラマ) 2016年 演出:ユン・ソンシクほか
【あらすじ】
今から1500年前の新羅時代。賤民の村で暮らすムミョン(パク・ソジュン)は、生き別れた家族を捜したいという親友のマンムン(イ・グァンス)と共に都に潜入する。ところが、二人は禁軍に追われて深手を負い、マンムンは命を落とす。ムミョンはマンムンの本名“ソヌ”を名乗り、彼の妹であるアロ(Ara)を守るために生きようと決意する。 一方、新羅第24代王の真興(チヌン)王 (パク・ヒョンシク)は、摂政の母・只召(チソ)太后の命令で世間に顔を明かすことなく生きている。不眠に悩む真興王は、街で語り部のアロの話を聞いているうちに眠りに誘われ、彼女に興味を抱く。そんな中、只召太后は見目麗しい貴公子を集めて王の親衛隊“花郎(ファラン)”を創成すると宣言。ムミョンことソヌは親友の命を奪った者への復讐心から、真興王は母から王権を奪還すべくジディという偽名で花郎になる。それぞれの目的を果たすために花郎となったソヌとジディはぶつかり合いながらも絆を深め、成長していくが…。
【感想】
イケメンの俳優が沢山出てくる。1500年前の新羅を舞台にしており、韓国の歴史ある建築物や華やかな伝統的衣装に身を包む人達を見ることが出来る。また、当時の韓国の人々がどのような暮らしをしていたのかも知ることができる。恋愛、武術、友情、身分の格差、王権など様々な要素が詰まっており、とても面白い作品だった。
24. 『IRIS アイリス』 (韓国ドラマ) 監督: キム・ギュテ、ヤン・ユノ
【あらすじ】
特殊部隊員で親友同士であったキム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)とチン・サウ(チョン・ジュノ)は実は意図的に出会った国家安全局のプロファイラーであるチェ・スンヒ(キム・テヒ)に対して同時に恋心を抱くようになる。その後、国家安全局の目に留まり最高要員に任命された2人は親友同士チームワークを活かし、ハンガリーで大きな任務を遂行し成功を祝うのであった。しかし、その直後、ヒョンジュンに北朝鮮要員の暗殺という危険な任務が言い渡されてしまう。
【感想】
私が今まで見た韓国ドラマの中で一番好きな作品である。本格的なアクションシーンが多く、見ていてとてもハラハラドキドキした。
韓国だけでなく、ハンガリー、日本、北朝鮮など様々な国が撮影場所となっており、撮影に約15億円をかけるという壮大なスケールで描かれた作品。
主人公と親友が同じ人を好きになり、その事によって関係が拗れていき、最後には和解したが親友が死んでしまうシーンは心が苦しくなった。お互いの気持ちを本当は分かっていたけれど、最後になるまで分かり合えなかったのが残酷で悲しいなと思った。
恋愛要素も含むが、友情について考えさせられるような作品だと感じた。
25. 『IRIS The Last アイリス・ザ・ラスト』
(映画) 2010年 監督:キム・ギュテ、ヤン・ユノ
【あらすじ】
イ・ビョンホン主演の大ヒット韓国ドラマ「アイリス」を映画化したスパイアクション。
あらすじはテレビドラマと同じ。
【感想】
韓国ドラマIRISの映画版。
内容が少し違う。映画版なので二時間くらいに圧縮されている。正直に言うと、ドラマ版だけでいいと思った。ある登場人物の俳優さんが他作で悪役が多いからといって、あえてこのドラマでも悪役に仕立てたという印象が強く残った。
ドラマのIRISとは完全に別物であると考えてから見た方が良いと思う。
26. 『19』 (韓国短編ドラマ) 2009年 監督: チャン・ヨンウ
【あらすじ】
何も特別なところのない平凡な3人の19才。男2人と女1人はある殺人事件に巻き込まれ一緒に逃げながら味わうサスペンス、友情と愛、成長話。19というぱっとしない歳。そして世の中誰にでも(両親、友達、マスコミ、察など)信じてくれない中必死的に逃げながら経験する苦しみの中で「自分自身」という堂々した存在と「人生」という偉大さに目を開く。
【感想】
被害者を殺した犯人に間違われた、知り合いでも友達でもない性格もバラバラな3人が協力して警察から逃げる物語。
唯一の共通点は同い年であるということだけの3人が、喧嘩してぶつかり合いながらも仲直りして最終的には友達となっていく過程を見れるのが面白かった。
19歳という微妙な年齢で何もかも思い通りにいかないという境遇に共感しながら見た。同世代の人には是非見て欲しいと思う作品だ。
27. 『同窓生』 (韓国映画) 2014年 監督: パク・ホンス
【あらすじ】
父親が汚名を着せられたことで、北朝鮮の収容所に入れられた兄ミョンフンと妹ヘイン。ミョンフンはたった1人の家族であるヘインを守るため、韓国に潜伏し、暗殺指令を遂行する工作員になる道を選ぶ。身分を偽り韓国の高校に学生として潜入したミョンフンは、そこで妹と同じ名前の少女と出会い、つかの間の安らぎを得るが……。
【感想】
北朝鮮人の兄妹をテーマにしたドラマ。妹を守る為に、殺し屋になった兄の悲しい物語。
20歳にも満たない兄の残酷で悲しく報われない運命に見ていてとても心が苦しくなった。最後まで自分の命よりも妹や友達を守るという選択をした彼の有志は並大抵の人にできることでは無いと思った。
28. 『こころ』 (小説) 1914年 著者: 夏目漱石
【あらすじ】
「私」が「先生」の過去などについて、「先生」の遺書を通して知っていく物語。
【感想】
好きな人が被ってしまった事によって「先生」と「先生」の親友だったKとの関係が次第に拗れていく様子が細かく描写されている。
好きな人を取られたくないという焦燥によって結婚を急いだが、Kが自殺したことによりその罪悪感や後悔の念に悩まされる「先生」の心情を感じられる。
続きがありそうな終わり方だった為、読み終わったあとも考察が続けられるような話だと思った。
29. 『メディカルチーム・ダ・ヴィンチの診断』第五話(テレビドラマ) 2017年 監督: 星野和成、今井和久ほか
【あらすじ】
公園の展望台から飛び降りた建築士の奥山賢太郎が解析診断部に回されてくる。目撃証言から自殺と見られるが、本人はそれを否定。志帆は、奥山が朝食の左半分だけを残していることが気になり、奥山に絵を描いてもらう。すると、完成したのは右半分のみ。奥山は脳梗塞が原因で、左側半分に見えているものを認識できていなかったのだ。数日後、奥山が今度は突然、左手で周囲のものを投げ始める。自分の意思とは関係なく勝手に手が動き出す病気で、これも脳梗塞が原因だった。さらに最近、一時的にスマホの使い方が分からなくなったといい、志帆は恐らくそれも脳梗塞が原因だと考える。連続して脳梗塞が起きるのはなぜか?―解析診断部が理由を探り始めた矢先、奥山の容態が急変して…。
【感想】
的確な指示や質問を患者に対してする事で、行動の原因を突き止め、病気を導き出していく推理が面白かった。
全く関係のないと思ってしまうような患者の行動も結局は症状の原因に繋がっている事を知り、医療の世界は奥深いなと感じた。
30. 『恍惚の人』 (小説) 1972年 著者:有吉佐和子
【あらすじ】
妻を亡くし認知症になった舅の茂造と、舅の息子である信利と、その嫁である昭子を中心に、老いと認知症、介護の厳しい現実を描いた物語。
【感想】
「ケア小説」という部類を読んだのはこの作品が初めてだった。
現代の状況とこの本が出版された状況は違うが、家族が認知症になった時どのようになってしまうのか、私たち家族はどう行動するべきなのかを考えさせられる話だった。
私自身も自分の家族が認知症に限らず、病気になってしまったらどうすればいいのかと考えないといけないと思い、決してこの話が他人事では無いということを実感させられた。
【あらすじ】
時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の禰豆子は鬼に変貌してしまった。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる。
【感想】
鬼となっても大事な家族である炭治郎を守ろうとした禰豆子の姿と、どんなに過酷な訓練でも耐え凌ぎ、乗り越え妹を人間に戻すために努力を惜しまない炭治郎の姿にとても感動した。二人の兄妹としての絆がとても強い事を感じた。
2 . 『鬼滅の刃 浅草編』 (テレビアニメ) 2019年 監督:外崎春雄 原作: 吾峠呼世晴
【あらすじ】
次なる任務の舞台は東京・浅草の町。大正の華やかな都会の街並みに戸惑う炭治郎だったが、そこで鬼の匂いを嗅ぎつける。匂いを追った先で出逢ったのは鬼舞辻無惨だった。鬼舞辻を斬ろうとする炭治郎。だが、鬼舞辻は行きかう人間を鬼に変え、町を混乱に陥れる。必死に事態を収拾しようとする炭治郎の前に、 とある人物が姿を現す。
【感想】
浅草で無惨によって鬼にされてしまった男性が、人を食わないように押さえつけている炭治郎の姿を見て、もう自分と同じような苦しみを誰にも味わって欲しくないという気持ちがあったのだろうなと思った。戦った朱紗丸や矢琶羽は十二鬼月ではなかったものの、かなり強力で苦戦を強いられていた。鬼が無惨の名前を口に出すと体内にある無惨の細胞によって殺されるという点には恐怖を感じた。
3 . 『鬼滅の刃 那田蜘蛛山編』 (テレビアニメ) 2019年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
次なる目的地は北北東。炭治郎と禰豆子は、善逸や伊之助とともに那田蜘蛛山へ向かう。その山は蜘蛛の巣が張りめぐらされ、無数の蜘蛛が蠢く山だった。怯える善逸を残し、山に入った炭治郎と伊之助は、蜘蛛の糸に絡み取られた鬼殺隊員に遭遇する。
【感想】
炭治郎たちが初めて十二鬼月と戦った。下弦ではあるが十二鬼月なだけあってかなり強く、炭治郎たちも苦戦を強いられていた。累という下弦の伍の鬼の父蜘蛛や、兄蜘蛛のビジュアルがかなり気持ち悪いため、苦手な人も居るかもしれない。累の過去が明かされ、鬼となった理由、家族の絆というものにこだわる理由が明らかになった。炭治郎と禰豆子の本当の家族の愛、絆を感じた。炭治郎が累の服に手を置くシーンでは、炭治郎の心の優しさが現れているなと思った。
4 . 『鬼滅の刃 柱合会議・蝶屋敷編』 (テレビアニメ)2019年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
戦いを終えた炭治郎は、禰豆子とともに鬼殺隊本部へ連行される。
そこでは鬼殺隊の当主・産屋敷と最強の剣士・柱たちによる「柱合会議」が行われることになっていた。
鬼を庇うという鬼殺隊にあるまじき隊律違反をした炭治郎を、柱たちは糾弾する。
そして風柱・不死川実弥は、禰豆子に刀を向けた。
【感想】
もし禰豆子が人を襲った場合、鱗滝左近次や冨岡義勇が腹を切って詫びるという手紙の内容を聞いてはっとする炭治郎。この時の炭治郎は柱には鬼を連れた隊員など到底信じられないと言われていたが、それでも自分と禰豆子二人の絆を信じてくれる人がちゃんといてくれるという気持ちになったのでは無いかと思う。独りではなく、人は誰かに信じられ支えられることで生きていける存在なのだとこのシーンを見て思った。
5 . 『鬼滅の刃 無限列車編』 (映画)(テレビアニメ) 2020年、2021年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
蝶屋敷での修行を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、『無限列車』に到着する。そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である『柱』のひとり、炎在の煉獄杏寿郎と合流し、闇を住く『無限列車』の中で、鬼と立ち向かうのだった。
【感想】
煉獄さんのお弁当を食べる時の「うまい!」の連呼にとてもホッコリした。
それまでのシーンとは違い、戦闘場面では雰囲気が違い格好良い煉獄さんの姿に見た人全員が惚れてしまうと思う。
「俺は俺の責務を全うする!」「心を燃やせ」という言葉が印象に残り、心に響いた。柱として最後まで正々堂々と戦い抜いた姿に感動した。私自身も今まで以上に煉獄さんのように最後まで一生懸命に物事をやり遂げたいと思った。
6 . 『鬼滅の刃 遊郭編』 (テレビアニメ) 2022年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
音柱の宇髄天元とともに任務につくことになった炭治郎、禰󠄀豆子、善逸、伊之助。向かった先は、夜に輝く街・遊郭。宇髄の三人の嫁が鬼の情報収集のために潜んでいたが、定期連絡が途絶えたという。炭治郎たちは情報を得るため、変装して店への潜入任務を行うことになるが……。
【感想】
大正時代の遊郭の華やかさや煌びやかさを感じられた。鯉夏花魁や堕姫が花魁に扮している姿はとても美しい。
炭治郎たちにとって初めて上弦の鬼と戦うことになったが、二人で一つの鬼で中々倒すのに苦労していた。
妓夫太郎のたった一人の妹を思いやり、わざと別々の道を行こうとした時、堕姫の「私は何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」という言葉に兄妹愛を感じ、泣いてしまった。鬼滅の刃は、味方だけでなく鬼にも同情したり共感したりできるような設定が多いなと思う。こういう要素も、鬼滅の刃に人気がある理由なのかなと思った。
7. 『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(テレビアニメ) 2023年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
炭治郎たちと宇髄の活躍により、百年ぶりに上弦の鬼が倒された。その事実は鬼殺隊のみならず、鬼舞辻無惨の元に呼び出された上弦の鬼たちにも波紋を呼んでいた。一方、蝶屋敷で療養生活を送る炭治郎だったが、刃毀れが原因で刀鍛冶・鋼鐵塚を怒らせてしまったことを知り、直接会って話すため刀鍛冶たちの暮らす里へ向かうことに……。
【感想】
上弦の鬼が集結し、無惨が登場したシーンはとても緊張感があった。
時透無一郎、甘露寺蜜璃、不死川玄弥の過去が明かされ、それぞれのキャラクターがどんな思いで鬼殺隊に入ったのかを知った。
炭治郎の「人にすることは巡り巡って自分のためにもなる」という言葉を聞いて、私自身これからもっと人の為に自分が出来る事を精一杯していけたらいいなと思った。
8. 『鬼滅の刃 柱稽古編』(テレビアニメ) 2024年 監督: 外崎春雄 原作: 吾峠呼世晴
【あらすじ】
山の上に建つ廃城へ任務に向かう柱の実弥と伊黒たち。一方、その頃炭治郎は蝶屋敷で刀鍛冶の里で受けた傷を癒していた。そんななか、産屋敷邸に柱たちが集まり、柱合会議が開かれる。無一郎から語られる痣の発現方法とは…。鬼殺隊全体の底上げの為、柱稽古が始まる。
【感想】
いつものシリーズとは違い、闘いの描写は少なかった。むしろ笑えるシーンが多く、見ていてひたすらに面白く楽しかった。弱気になる隊士や、脱落していく隊士たちに炭治郎がかけた言葉がとても印象的で、見ている自分も勇気づけられた。炭治郎の言葉はいつも人の心を動かす力があるなと思う。しかしながら、今作の最終話は、色々と衝撃的だった。ここから映画の三部作にどう繋がっていくのかが楽しみだ。
9. 『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』 (アニメ映画) 2025年 監督: 外崎春雄 原作:吾峠呼世晴
【あらすじ】
来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、 無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。
炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城《無限城》。”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
【感想】
初めて鬼滅の刃を映画館で鑑賞した。映画ならではの音響やスクリーンの大きさにより、テレビで見るよりも映像にかなり迫力を感じた。
大切な人がいつもと同じように自分の近くで、隣で生きている事が当たり前ではないということを気付かされた。当たり前を当たり前と思わずに、日々をかけがえのないものと考え大切に生きていこうと思った。
印象深かったのは、猗窩座の場面。人間時代に犯した過ち、その後に出会った愛する人たちを守れなかったという辛い過去に涙が止まらなかった。だからといって鬼となり人間を虐殺していいのかといえばそれは違う。ではあの時猗窩座はどうすれば良かったのかなどと、見終わった後も非常に考えさせられる作品だった。
10. 『東京リベンジャーズ 天竺編』 (テレビアニメ) 2023年 監督: 初見浩一 原作:和久井健
【あらすじ】
変わり果てた東京卍會を救うため、 12年前にタイムリープして黒龍との 聖夜決戦を勝利に導いた花垣武道(タケミチ)。 裏切り者の稀咲鉄太を除名することにも成功したが、 なぜか現代の状況は悪化する一方だった。
決意を新たに再びタイムリープしたある日、 東京卍會は天竺と名乗るチームの襲撃を受けてしまう。 混乱するタケミチの前に現れたのは、 天竺の特攻服を纏った稀咲だった。
東卍史上最大にして“最後”の抗争に向けて、 人生のリベンジは続く!
【感想】
主人公の武道がタイムリープし、かつての恋人を救う為に過去を変えようとする話。次第に東京卍會の総長マイキーを助けるという目的も加わってくる。
武道は喧嘩が弱く、いつもやられてばかりだが、自分の大切な人の為に全力を尽くし、自分がたとえ不利な状況だったとしても決して諦めないという強い意志を持っているなと感じる。武道のその様な粘り強い性格を見習い、私も何事にも諦めずに最後までやり遂げたいと思った。
11. 『僕のヒーローアカデミア』 第一話 (テレビアニメ) 2016年 監督: 長崎健司 原作:堀越耕平
【あらすじ】
総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持ち、その“個性”によって社会を守る“ヒーロー”という存在が確立された世界。緑谷出久はヒーローになることを夢見て、多くのヒーローを輩出する名門・雄英高校ヒーロー科入学を目指していた。しかし、彼は何の“個性”も持たない“無個性”。現実の厳しさ、不平等さを痛感する日々を過ごしていた。そんなある日、出久は強盗をして逃亡中だった敵(ヴィラン)に襲われてしまう。そこに現れたのは、人気・実力共にNo.1のヒーローだった。
【感想】
総人口の八割が何らかの個性を持っている時代に、主人公は無個性で第一話の段階でかなり苦しんでいた。
クラスメイトから馬鹿にされ、心無い事を言われ心が折れそうになっていた主人公だが、周りが言うことなんか関係ない!と持ち直そうとしているところが、自分の心に染みた。自分も周りからの評価で諦めそうになった事があるが、やってみなければ本当にどうなるか分からないし自分を信じて頑張ろうと思えた。
一話のみしか見れなかったが、内容が面白かったので続きが配信されたら是非見たいと思う。
12. 『幸せカナコの殺し屋生活』 第一話 (ドラマ) 2025年 監督: 英勉 原作: 若林稔弥
【あらすじ】
主人公カナコは、ブラック企業を辞め、急いで面接した企業はまさかの殺し屋。だが、超ホワイト待遇だったため思わず入社を決意。
人を殺すなんて出来る訳ないと思っていたが、まさかの才能が開花し、殺し屋としての生活が始まった。
基本「殺すぞ」しか言わない相棒の桜井と共に次々とターゲットを抹殺するカナコ。
順風満帆な殺し屋生活を送るカナコの前に、突然刑事が現れ…。
果たしてカナコは殺し屋として一人前になれるのか!?
【感想】
DMM TVでしか見れなかったので、無料配信されていた1話を見た。
殺し屋というブラックなイメージなのに、ホワイト企業という真逆さが面白い。
カナコは普段はふわふわしていて、私に殺しなんてできない、と言いながらも悪い奴は絶対に許さず、任務を遂行する時は別人が憑依したかのように変化するのがとても格好良かった。途中から出てくる桜井先輩も一見怖そうではるが、意外にカナコを評価したりと優しい一面もあり、そのギャップが良いなと感じた。
13. 『潜入兄妹 』(テレビドラマ) 2024年 監督: 大谷太郎
【あらすじ】
日本最大級の詐欺集団“幻獣”。立ち向かうのは、父を殺した犯人に復讐を誓う兄妹。身分を隠して潜入し、犯罪組織を内側から壊滅せよ。バレたら一発、即ジ・エンド。
【感想】
父親を殺された兄妹が詐欺組織に潜入し、父親を殺した犯人を探す物語。
どの俳優さんも演技がとても上手で、見ている側も共に緊張した。
兄の貴一がとにかく妹の結貴思いで、人質に取られた妹を何があっても絶対に助けるという強い思いを感じた。また、兄を信じるという結貴の言葉から、兄妹の絆が強いことも伝わってきた。幻獣の一員である青龍の放つ殺気には、威圧感があり、背筋が凍るような恐怖を感じた。
14. 『まほろ駅前多田便利軒』 (小説) 2006年 著者:三浦しをん
【あらすじ】
東京郊外の地方都市“まほろ市“で便利屋を営むバツイチ男・多田のもとに、ある年の正月、高校の同級生・行天が転がり込んでくる。多田の手伝いをするのを条件に行天は彼の家に住み着き始めるが、そんなふたりの店には曲者の依頼人が次々と訪れるのだった。
【感想】
性格や考え方が全然違う二人だが、この二人によって様々な問題が何やかんやで丸く収まり解決されていくのがとても面白かった。
映画の俳優さんと、小説で読んだ登場人物のイメージが凄く合っているなと感じた。
この作品を読んで自分自身も家族との関係について考えさせられた。
15. 『走れメロス』 (小説) 1940年 著者: 太宰治
【あらすじ】
暴君に捕まった主人公メロスが友人を人質にして村に戻り、妹の結婚式を挙げさせ、約束を守って戻る物語。
【感想】
川が氾濫し、山賊にも襲われ精神的にも肉体的にもかなりボロボロになり心が折れ、諦めようとしても、それでも何とか人質となった友人の為に走り続けるメロスに感銘を受けた。そのまま諦めるのではなく、自分の体に鞭を打って再び走り出すのはそう簡単なことでは無いと思った。最後に、メロスとセリヌンティウスがお互いを途中で信じられなくなったことを謝り、殴り和解した所で二人の友情が以前よりも深まった事を感じた。
16. 『痴人の愛』 (小説) 1925年 著者: 谷崎潤一郎
【あらすじ】
ごく一般的なサラリーマンで君子と呼ばれる真面目な男が、カフェーの女給であった15歳のナオミと出会い、自分の妻にする。しかしナオミはやがて男が予想もしなかった女性へと変貌を遂げていく。
【感想】
譲治という男が、ナオミという女性との間柄や今まであったことについてを語っている。
性的な描写があり、男女関係の生々しさが強く感じられた。人によってかなり好みが別れると思う。大正時代の文化や夫婦のあり方などの描写があった点は、とても興味深かった。
17. 『コードネームミラージュ』 (テレビドラマ) 2017年 監督:山口雄大、辻本貴則ほか 原作:広井王子
【あらすじ】
社会に蔓延る凶悪犯罪に脅かされる国、日本。表立った諜報機関が存在しない日本において、国内外を問わず凶悪犯罪集団にとって、仕事のしやすい、ヌルい国と見透かされている。そんな状況を打破すべく、警察庁内に組織された部隊が「K13」だった。「K13」の活動はごく限られて人間たちにしか知られておらず、メンバーたちは記録上では、この世に存在しない。「コードネーム:ミラージュ」と呼ばれるトップエージェントを筆頭に、「K13」に所属するメンバーは、凶悪犯罪にあたるだけでなく、政治的・社会的に表立って解決することのできない犯罪をも、秘密裏に処理する使命を背負わされていた。一方で、アメリカの「FBI」のような警察機関の設立を目指し、日本の警察組織の徹底強化を図る「警察権拡大法案」の成立を目論む人間たち。様々な思惑が蠢く日本。やがて「K13」をも巻き込む、巨大な陰謀が明らかになっていく!
【感想】
ある大事故で記憶や感情を失い、その代わりに常人を超える戦闘能力に目覚めた主人公が、警察の特殊部隊の実働エージェントとして任務を華麗にこなしていく。
初めはミラージュの殺しがメインだが、話が進むにつれて彼が感情を取り戻していき、そのせいで葛藤が増え、仕事に影響が及ぶようになっていく様子が描かれている。
一人の人間に再び戻っていこうとするが、様々な困難に巻き込まれ苦しむミラージュを応援したくなるような話だった。感情のあり方について考えさせられると思う。
18. 『文鳥』 (小説) 1908年 著者: 夏目漱石
【あらすじ】
三重吉に勧められて、文鳥を飼うことにした主人公が最初は世話をし、文鳥の姿に様々な感慨を抱くが、小説を書くのに忙しくなって、世話を怠るようになると、「家人(うちのもの)」がかわりに世話をするようになった。主人公が気のすすまない用事で2日ほど文鳥をかまわなかった時、文鳥は死んでしまう。
【感想】
夏目漱石の短編集に入っている作品。
文鳥を飼っている身としては、鳴き声や行動などに共感しながら読んだ。
事細かに、文鳥の顔や身体の特徴、行動の様子が書いてあった。その為、文鳥が何をしている所なのかなどの想像がしやすかった。漱石の小説は描写がとても細かいイメージがある。
19. 『風都探偵』 (特撮テレビアニメ) 2022年 監督: 椛島洋介 原作: 石ノ森章太郎
【あらすじ】
風の街、風都。
かつて街を脅かした組織「ミュージアム」は、仮面ライダーたちによって壊滅へと追い込まれた。だが、組織によって大量生産された危険なアイテム「ガイアメモリ」は各所に散在。感情吹き荒ぶ風都で密かに流通し、メモリのカで怪人「ドーパント」へと変貌する者は後を絶たなかった。
やさしさ故に煮え切らない[ハーフボイルド]探偵、左翔太郎。頭脳派探偵にして彼の永遠の相棒、フィリップ。
二人が所属する鳴海探偵事務所の元には、今日も奇妙な依頼が持ち込まれる。
風の止まった街で暗躍する謎の影。そして現れた魔性の美女・ときめ。彼女との出会いが翔太郎の運命を変えていく。翔太郎&フィリップ、二人で一人の探偵で、仮面ライダーWの新たなる事件が幕を開ける。
【感想】
特撮テレビドラマ仮面ライダーWのアニメ版。テレビドラマ時よりも、何年か時が進んでると見られる。作画が綺麗で見やすく、声優さんもかなり豪華。テレビドラマ時の設定を活かしつつ、アニメでしか出せない映像表現が加えられていており、迫力があった。
また、テレビドラマ時のBGMも使われていて、懐かしさも感じる。こちらもギャグ要素がありつつ、内容がしっかりしているため飽きずに見れると思うが、少し大人向けであると感じた。
20. 『仮面ライダーW 探偵は二人で一人の仮面ライダー編』(1~18話) (特撮テレビドラマ) 2009年 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
心地よい風が吹き、行き交う人々を穏やかな気持にさせる街「風都」。この平和に見える街の裏側では、人間を怪物「ドーパント」へと変化させる魔性の小箱「ガイアメモリ」による犯罪が横行していた。
街を泣かせる悪に立ち向かうのは、風都を愛する気持ちは誰にも負けない半人前“ハーフボイルド、な探偵、左翔太郎と、その相棒である少し浮世離れした雰囲気を醸し出す魔少年、フィリップ。ふたりはドーパントたちが使用するものとは形状の違う「ガイアメモリ」2本と、ベルト状のアイテム「ダブルドライバー」を使用し、「仮面ライダーW(ダブル)」へと変身する。そして、事務所を訪れる悩める人々の依頼に対処しながら、ドーパントと戦っていた。
そんなふたりが運営する「鳴海探偵事務所」に、所長である鳴海荘吉の娘、鳴海亜櫢子が来訪。父親が留守と聞くや、翔太郎に事務所からの退去を要求する。だが、大阪から風都に来て早々ドーパントとの戦いに巻き込まれた亜劇子は、この騒動に怯むどころか、オーナー権限により事務所の所長就任を言。こうして奇妙な縁で結ばれた3人による探偵経営が始まるのだった。
【感想】
シリーズ初となる、二人で一人の仮面ライダー。探偵の左翔太郎と相棒のフィリップが二人であらゆる事件を解決していく。子供向けと思われがちな仮面ライダーだが、Wは内容がかなり複雑で難しく、大人が見ても楽しめる内容になっていると思う。二人の絆や友情、フィリップの家族関係など様々な要素が組み込まれている。面白いシーンやツッコミ所のあるシーンも多い為、飽きずに見ていられる。
21. 『仮面ライダーW 嵐を起こす不死身の男編』
(19~36話) (特撮テレビドラマ) 2009年 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
相次ぐ「ガイアメモリ」による犯罪に業を煮やした風都署は、新たにガイアメモリ犯罪専門の「超常犯罪捜査課」を設立。課長として自らを”絶対に死なない、とうそぶく男、照井竜が赴任する。「風都」に吹く風を嫌な風だと言う照井は、左翔太郎とフィリップが「仮面ライダーW(ダブル)」であることを知っており、自らも「ガイアメモリ」とベルト状のアイテム「アクセルドライバー」を使い、「仮面ライダーアクセル」へと変身し、ドーパントに立ち向かう。だが、アクセルが見せるあまりにも苛烈な戦いぶりに翔太郎は憤慨。街の人々が名付けてくれた「仮面ライダー」の名を汚す行為だとしてこれを糾弾する。
なぜ照井の心はそれほどまでに荒んでいるのか。彼がドーパントと戦う本の目的。それは家族の命を奪ったである"Wのガイアメモリ"を持つ人物を探し、自らの手で葬ることだった。翔太郎ら「鳴海探偵事務所」の面々は、憎しみに囚われた照井にも寄り添いながらも悪と戦い、これにより少しずつ照井も心を開いていくなか、ついにWのメモリを持つ男、井坂深紅郎こと「ウェザー・ドーパント」が出現する。
【感想】
翔太郎はごくごく普通の人間で、フィリップとは最強の仮面ライダーWになる事は無理だと言われていた。しかしながら、翔太郎はフィリップと共にその障害を乗り越える。不可能を可能に変えてしまう二人の絆の強さに感動した。
22. 『仮面ライダーW ミュージアムの真実編』 (37~49話) (特撮テレビドラマ) 監督:田崎竜太 原作:石ノ森章太郎
【あらすじ】
Nobody's perfect=完璧な人間などいない、という亡き師匠の言葉を受けた左翔太郎は、フィリップとの絆を深め、ふたりは地球と一体化した最強のW(ダブル)「仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム」へと進化を果たした。翔太郎とフィリップ、そして復讐心を捨てながらも井坂深紅郎の打倒を果たした「仮面ライダーアクセル」こと照井竜や、「鳴海探偵事務所」所長の鳴海亜櫢子らはさまざまな苦難を乗り越え、その関係性をより強固なものへとしていくのだった。
そんな中、フィリップの正体が、「ガイアメモリ」を街に流通させている巨悪「ミュージアム」の首魁、園兵衛の息子、園咲来人であったことが判明する。そのミュージアムもまた、琉兵衛の長女である園咲冴子の裏切りや、次女の園咲若菜の台頭、そしてミュージアムに復讐しようとする謎の淑女、シュラウドの存在で揺れていた。さらに、この混迷する状況に危機感を抱いた、ミュージアムへの出資者「財団✕」の使者が風都に来訪する。何事にも動じず、顔色ひとつ変えないという人間離れしたこの男、加頭順は、ミュージアムを追われた園咲冴子を保護。内に秘めた野望を実行しようとしていた......。
【感想】
テラーによって恐怖に支配された翔太郎に、優しくフィリップが別れを告げるシーンがとても切なかった。どんなに自分が困難な状況に陥っても、大事な相棒を見捨てず、助けに行くという翔太郎の姿勢に胸を打たれた。翔太郎とフィリップの絆がより深まったと感じられた。
23. 『花郎』 (韓国ドラマ) 2016年 演出:ユン・ソンシクほか
【あらすじ】
今から1500年前の新羅時代。賤民の村で暮らすムミョン(パク・ソジュン)は、生き別れた家族を捜したいという親友のマンムン(イ・グァンス)と共に都に潜入する。ところが、二人は禁軍に追われて深手を負い、マンムンは命を落とす。ムミョンはマンムンの本名“ソヌ”を名乗り、彼の妹であるアロ(Ara)を守るために生きようと決意する。 一方、新羅第24代王の真興(チヌン)王 (パク・ヒョンシク)は、摂政の母・只召(チソ)太后の命令で世間に顔を明かすことなく生きている。不眠に悩む真興王は、街で語り部のアロの話を聞いているうちに眠りに誘われ、彼女に興味を抱く。そんな中、只召太后は見目麗しい貴公子を集めて王の親衛隊“花郎(ファラン)”を創成すると宣言。ムミョンことソヌは親友の命を奪った者への復讐心から、真興王は母から王権を奪還すべくジディという偽名で花郎になる。それぞれの目的を果たすために花郎となったソヌとジディはぶつかり合いながらも絆を深め、成長していくが…。
【感想】
イケメンの俳優が沢山出てくる。1500年前の新羅を舞台にしており、韓国の歴史ある建築物や華やかな伝統的衣装に身を包む人達を見ることが出来る。また、当時の韓国の人々がどのような暮らしをしていたのかも知ることができる。恋愛、武術、友情、身分の格差、王権など様々な要素が詰まっており、とても面白い作品だった。
24. 『IRIS アイリス』 (韓国ドラマ) 監督: キム・ギュテ、ヤン・ユノ
【あらすじ】
特殊部隊員で親友同士であったキム・ヒョンジュン(イ・ビョンホン)とチン・サウ(チョン・ジュノ)は実は意図的に出会った国家安全局のプロファイラーであるチェ・スンヒ(キム・テヒ)に対して同時に恋心を抱くようになる。その後、国家安全局の目に留まり最高要員に任命された2人は親友同士チームワークを活かし、ハンガリーで大きな任務を遂行し成功を祝うのであった。しかし、その直後、ヒョンジュンに北朝鮮要員の暗殺という危険な任務が言い渡されてしまう。
【感想】
私が今まで見た韓国ドラマの中で一番好きな作品である。本格的なアクションシーンが多く、見ていてとてもハラハラドキドキした。
韓国だけでなく、ハンガリー、日本、北朝鮮など様々な国が撮影場所となっており、撮影に約15億円をかけるという壮大なスケールで描かれた作品。
主人公と親友が同じ人を好きになり、その事によって関係が拗れていき、最後には和解したが親友が死んでしまうシーンは心が苦しくなった。お互いの気持ちを本当は分かっていたけれど、最後になるまで分かり合えなかったのが残酷で悲しいなと思った。
恋愛要素も含むが、友情について考えさせられるような作品だと感じた。
25. 『IRIS The Last アイリス・ザ・ラスト』
(映画) 2010年 監督:キム・ギュテ、ヤン・ユノ
【あらすじ】
イ・ビョンホン主演の大ヒット韓国ドラマ「アイリス」を映画化したスパイアクション。
あらすじはテレビドラマと同じ。
【感想】
韓国ドラマIRISの映画版。
内容が少し違う。映画版なので二時間くらいに圧縮されている。正直に言うと、ドラマ版だけでいいと思った。ある登場人物の俳優さんが他作で悪役が多いからといって、あえてこのドラマでも悪役に仕立てたという印象が強く残った。
ドラマのIRISとは完全に別物であると考えてから見た方が良いと思う。
26. 『19』 (韓国短編ドラマ) 2009年 監督: チャン・ヨンウ
【あらすじ】
何も特別なところのない平凡な3人の19才。男2人と女1人はある殺人事件に巻き込まれ一緒に逃げながら味わうサスペンス、友情と愛、成長話。19というぱっとしない歳。そして世の中誰にでも(両親、友達、マスコミ、察など)信じてくれない中必死的に逃げながら経験する苦しみの中で「自分自身」という堂々した存在と「人生」という偉大さに目を開く。
【感想】
被害者を殺した犯人に間違われた、知り合いでも友達でもない性格もバラバラな3人が協力して警察から逃げる物語。
唯一の共通点は同い年であるということだけの3人が、喧嘩してぶつかり合いながらも仲直りして最終的には友達となっていく過程を見れるのが面白かった。
19歳という微妙な年齢で何もかも思い通りにいかないという境遇に共感しながら見た。同世代の人には是非見て欲しいと思う作品だ。
27. 『同窓生』 (韓国映画) 2014年 監督: パク・ホンス
【あらすじ】
父親が汚名を着せられたことで、北朝鮮の収容所に入れられた兄ミョンフンと妹ヘイン。ミョンフンはたった1人の家族であるヘインを守るため、韓国に潜伏し、暗殺指令を遂行する工作員になる道を選ぶ。身分を偽り韓国の高校に学生として潜入したミョンフンは、そこで妹と同じ名前の少女と出会い、つかの間の安らぎを得るが……。
【感想】
北朝鮮人の兄妹をテーマにしたドラマ。妹を守る為に、殺し屋になった兄の悲しい物語。
20歳にも満たない兄の残酷で悲しく報われない運命に見ていてとても心が苦しくなった。最後まで自分の命よりも妹や友達を守るという選択をした彼の有志は並大抵の人にできることでは無いと思った。
28. 『こころ』 (小説) 1914年 著者: 夏目漱石
【あらすじ】
「私」が「先生」の過去などについて、「先生」の遺書を通して知っていく物語。
【感想】
好きな人が被ってしまった事によって「先生」と「先生」の親友だったKとの関係が次第に拗れていく様子が細かく描写されている。
好きな人を取られたくないという焦燥によって結婚を急いだが、Kが自殺したことによりその罪悪感や後悔の念に悩まされる「先生」の心情を感じられる。
続きがありそうな終わり方だった為、読み終わったあとも考察が続けられるような話だと思った。
29. 『メディカルチーム・ダ・ヴィンチの診断』第五話(テレビドラマ) 2017年 監督: 星野和成、今井和久ほか
【あらすじ】
公園の展望台から飛び降りた建築士の奥山賢太郎が解析診断部に回されてくる。目撃証言から自殺と見られるが、本人はそれを否定。志帆は、奥山が朝食の左半分だけを残していることが気になり、奥山に絵を描いてもらう。すると、完成したのは右半分のみ。奥山は脳梗塞が原因で、左側半分に見えているものを認識できていなかったのだ。数日後、奥山が今度は突然、左手で周囲のものを投げ始める。自分の意思とは関係なく勝手に手が動き出す病気で、これも脳梗塞が原因だった。さらに最近、一時的にスマホの使い方が分からなくなったといい、志帆は恐らくそれも脳梗塞が原因だと考える。連続して脳梗塞が起きるのはなぜか?―解析診断部が理由を探り始めた矢先、奥山の容態が急変して…。
【感想】
的確な指示や質問を患者に対してする事で、行動の原因を突き止め、病気を導き出していく推理が面白かった。
全く関係のないと思ってしまうような患者の行動も結局は症状の原因に繋がっている事を知り、医療の世界は奥深いなと感じた。
30. 『恍惚の人』 (小説) 1972年 著者:有吉佐和子
【あらすじ】
妻を亡くし認知症になった舅の茂造と、舅の息子である信利と、その嫁である昭子を中心に、老いと認知症、介護の厳しい現実を描いた物語。
【感想】
「ケア小説」という部類を読んだのはこの作品が初めてだった。
現代の状況とこの本が出版された状況は違うが、家族が認知症になった時どのようになってしまうのか、私たち家族はどう行動するべきなのかを考えさせられる話だった。
私自身も自分の家族が認知症に限らず、病気になってしまったらどうすればいいのかと考えないといけないと思い、決してこの話が他人事では無いということを実感させられた。
2年 佐々
RES
1.「国宝」 映画 吉田修一原作
<あらすじ>
任侠一家に生まれた喜久雄。15歳の時に抗争で父を亡くした彼は、その才能を見抜いた歌舞伎当主の花井半二郎に引き取られる。半二郎の跡取り息子である俊介と兄弟のように育てられ、ライバルとして互いに高め合いながら芸に青春を捧げていく喜久雄。ある日、半二郎は事故で入院することとなり、舞台の代役に息子の俊介ではなく喜久雄を指名する。
<感想>
3時間という長さを忘れる程、とても濃い充実した内容だった。繊細な感情の機微をしっかりと表現している吉沢亮と横浜流星の演技力の高さにも驚いた。「血か、芸か」というテーマで描かれたこの作品は、結局どちらだ、という結果に終わるのではなく、大きな代償を払った上で、それが与えてくれたものは何なのかを視聴者に考えさせる内容になっていたように思う。主題歌の「Luminance」も「特定の方向へ放射される光の輝きの強さ」を表す英単語であり、歌詞も含めて、喜久雄が最後に探していた景色と重なっていると感じた。
2.「ファーストキス 1ST KISS」映画 坂元裕二脚本
<あらすじ>
結婚して15年になるカンナは、ある日、夫の駈を事故で失ってしまう。いつしか夫婦生活はすれ違っていて、離婚話も出ていたが、思ってもいなかった別れ。しかしひょんなことから、彼と出会った15年前の夏にタイムトラベルしてしまったカンナは、若き日の駈を見て思う。やっぱりわたしはこの人が好きだ。まだ夫にはなっていない駈と出会い、カンナは再び恋に落ちる。時間を行き来しながら、20代の駈と気持ちを重ね合わせていく40代のカンナ。事故死してしまう彼の未来を変えたい。過去が変われば未来も書き換えられることを知ったカンナは、思い至る。駈への想いとともに、行き着いた答え。わたしたちは出会わない。結婚しない。たとえ、もう二度と会えなくてもーー 。
<感想>
ウィットに富んだ会話劇が印象的な映画だった。シリアスな展開でありながらも、それを途中で忘れてしまうくらいコミカルな演出がとても良かった。何度過去に戻っても避けられない駈の死により、「未来は変えられる」という言葉が、結果ではなく過程を意味することに気付かされる。「いってらっしゃい」という何気ない挨拶に込められた愛情と後悔が日常の尊さを呼びかけていると感じた。3年待ちの餃子や縞々の靴下など、細部に散りばめられた伏線が物語に深みを出しており、とても余韻が残る作品だった。
3.「蛇にピアス」映画 金原ひとみ原作
<あらすじ>
日常に現実感を持てず苛立ちを覚えていた19歳のルイ。ある日、彼女は渋谷で顔中にピアスを施し、蛇のように割れた舌を持つアマと出会う。そして、その男とつき合いながら、彼の紹介で知り合った彫師シバとも関係を持つ。やがて彼女も体にピアスや刺青を施し、その痛みと快楽に身をゆだねていく。
<感想>
この作品は痛みと快楽、孤独と依存が交錯する若者のアイデンティティ模索を描いたものだと感じた。主人公ルイは、身体改造を通じて「生きている実感」を得ようとするが、その行為は自己肯定ではなく、空虚さの埋め合わせに近い印象を持った。スプリットタンや刺青は、彼女の内面の混乱と再生への欲望を象徴するものあり、アマとシバという対照的な男性との関係は、愛というよりも共依存の構造を浮き彫りにしていた。アマの死後、ルイが麒麟の瞳を彫り込む場面は、彼女が過去と向き合い、痛みを受け入れた証とも読むことができると思った。ラストの渋谷での佇まいは、再び孤独に戻った彼女の「独り立ち」なのか、それとも終わりなき自己探求の始まりなのか。それらを視聴者に考えさせる、繊細さと暴力性が両立した作品だと思った。
4.「Nのために」ドラマ 湊かなえ原作
<あらすじ>
セレブ殺害夫婦事件に居合わせた4人は警察から事情聴取を受けるが、裏付けも取れており、何も疑うところがなかった。しかし、それは全ては自分の大事な人の為に口裏を合わせて供述したのだ。この事件の真相は、そして、4人は誰の為に嘘をついたのか。
<感想>
ドラマ『Nのために』は、湊かなえ原作の心理ミステリーでありながら、究極の純愛を描いた作品だと感じた。登場人物それぞれが「N」のイニシャルを持ち、“誰かのために”という思いから罪や嘘を背負う姿は、愛の形の多様性と人間の弱さを浮き彫りにしていると思った。特に杉下希美と成瀬慎司の関係は、言葉にしない深い絆が胸を打ち、恋愛ではない、愛の形を感じることが出来た。事件の真相が明かされる過程で、視聴者は「誰のために生きるのか」という問いを自分自身にも向けることになる、そんな影響力を持った作品だと思った。
5.「新世界より」アニメ 貴志祐介原作
<あらすじ>
舞台は1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身に付けており、主人公の渡辺早季は自然豊かな「神栖66町」で平和に暮らしていた。
しかし、あるときバケネズミとの戦争がはじまり、呪力を手にした人間を相手にバケネズミは徹底した戦略と頭脳戦で立ち向かってくる。「悪鬼」と呼ばれる最強の切り札まで手に入れたバケネズミを相手に最後まで早季たちは諦めずに戦う。
しかし、信じられない過去の歴史を知ってしまった早季は果たして…1000年前の文明がなぜ崩壊したのか、そして現在に至るまでの歴史を知った早季による手記を元に物語は紡がれていく。
<感想>
25話というやや長めの作品だが、見ていくうちにどんどん引き込まれていき、最後の5話くらいからの展開は目を見張る物があった。主人公達が成長していくにつれ、社会の闇が明らかになり、理想的に見えた世界が徐々に崩れていく。バケネズミとの対立や“悪鬼”の存在は、人間の本質や差別、支配の構造を鋭く問いかけていると思った。呪力=想像力という設定も印象的で、想像する力が生きる術であることを教えてくれる。正義とは何か、秩序とは何か、それらを深く考えさせられる哲学的な要素も含んだ作品だと思う。
6.「カラオケ行こ!」漫画 和山やま
<あらすじ>
合唱部の部長・岡 聡実は、 突如現れたヤクザ・成田狂児から声をかけられる――「カラオケ行こ!」。 彼の組では恒例のカラオケ大会があり、 そこで歌ヘタ王になると組長に微妙な刺青を入れられる掟があった。 狂児に歌唱指導を頼まれ、仕方なく練習に付き合わされる聡実 。 カラオケで繋がった二人の奇妙な関係の行方は_?
<感想>
ヤクザと中学生という絶対交わらなそうな2人不思議な縁で繋がるという設定がまず面白いなと思った。淡々としているようでいて、急に腹がよじれる程笑ってしまう描写がさっと入ってくるのが読んでいてとても楽しい。中学生の岡聡実は、大人しくて真面目そうな見た目とは裏腹にキレのあるツッコミや毒舌がとてもいいキャラだなと思った。ヤクザの成田狂児は、ヤクザとは思えない気安さと人懐っこさがありつつも、それらを瞬時に無くす圧があったり、かと思えば常識人のように岡聡実に注意したりとちぐはぐな人柄が見ていて引き込まれる。実際に映画化もされているが、1冊で映画を見終わったような充実感がある作品だと思った。
7.「死役所」 漫画 あずみきし
<あらすじ>
死んだらたどり着いている、市役所ならぬ「死役所」。ここには、自殺、他殺、病死、事故死、寿命、死産までありとあらゆる人が訪れ、死後に自分の死の手続きをする場所である。死役所職員は全員同じ理由で死亡しており、なぜ死後職員として働くことになったのか、そもそも死役所の存在理由とは…死役所を訪れる人や職員が死んでなお「自分の人生はなんだったのか」と考える物語。
<感想>
この作品は、死後の世界で死者が手続きを行う“死役所”を舞台に、様々な人生と死の形を描く社会派ヒューマンドラマである。一話完結のオムニバス形式で、自殺、事故死、他殺など多様な死因を持つ人々が登場し、それぞれの背景にある苦悩や希望が丁寧に描かれている。死者を“お客様”と呼び、淡々と対応する職員たちの姿勢は、命の尊厳を静かに語りかける。中でも、主人公・シ村の過去にまつわる物語は、冤罪によって家族を失った悲劇と、彼がなぜ死役所で働いているのかという謎が絡み合い、物語に深みを与えている。死を通して生の意味を問いかける構成は、重くもありながら温かさも感じさせ、読む者に「どう生きるか」「人はなぜ死ぬのか」といった根源的な問いを投げかけているように感じる。人の数だけ人生があって、死に至るまでが存在する。その当たり前の事実を丁寧に追いかけることが出来る作品だと思った。
8.「BEASTARS」漫画 板垣巴留
<あらすじ>
肉食獣と草食獣が共存する世界。食肉が重罪とされる中、名門校チェリートン学園で、演劇部の生徒が殺される食殺事件が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる。生徒たち、そんな中演劇部では、死んだ生徒の代役をめぐって、諍いが起きる時期、ビースター候補と細やかれ、演劇部のカリスマ的存在である、アカシカのルイに逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのはハイイロオオカミのレゴシ。彼はウサギのハルに恋に落ちてしまう。オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながらレゴシの青春が始まる。
<感想>
主人公レゴシは、肉食獣としての本能と理性の狭間で揺れながら、ウサギのハルへの恋心を通じて「自分とは何か」を模索していく。その姿は、現代社会における多様性や共存の難しさを象徴しており、単なる動物の物語にとどまらない深いテーマ性を持っていると思った。食欲と性欲が交錯する描写も、人間の根源的な欲望を巧みに表現しており、観る者に強い印象を残している。また、レゴシ自身がコモドドラゴンの祖父を持つことなどから、人と違うルーツを持つものの葛藤、個の尊厳についても考えさせられる。善悪の境界が曖昧な世界で、誰もが自分の正義を抱えて生きているというメッセージが胸に響いた。異種間の恋愛や友情を通じて、真の理解とは何かを問いかけるような作品だった。
9.「僕のヒーローアカデミア」漫画 堀越耕平
<あらすじ>
舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界。事故や災害、そして“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久とそのクラスメイトたちの成長、戦い、友情のストーリーが繰り広げられていく
<感想>
この作品は、個性という力を持つ世界で「普通の少年」が努力と葛藤で成長する王道のヒーロー譚である。デクの迷いと決意、オールマイトの負荷と継承、ヴィランとのぶつかり合いが人間ドラマとして胸に響く。戦闘の迫力と演出はシリーズを通して進化しており、仲間同士の絆や教師と生徒の関係性が物語に厚みを与える。ときに理想と現実の齟齬を突きつけながらも希望を繋ごうとする姿勢は、単なるバトル漫画を超えた、「責任」や「覚悟」について読者に考えさせる影響力を持つ。キャラクターの多様性や裏設定の緻密さも魅力で、読者や視聴者を飽きさせない完成度の高い長編漫画だと思った。
10.「ONE PUNCH MAN」漫画 ONE
<あらすじ>
物語開始から3年前、就職活動に行き詰まっていた青・サイタマはある日、街で暴れていた怪人から1人の少年を救う。その際に「ヒーローになりたい」という幼き日に見た夢を思い出し、就活をやめてヒーローになることを決意。頭髪全てを失うほど懸命なトレーニングを3年間行った結果、どんな敵でも一撃で倒せる最強の力を手に入れる。
しかし、いつも一撃で決着が付いてしまうことから次第に戦いに対する緊張感などを喪失し、ヒーローになった現在でも無気力な日々を送っていた。
<感想>
どんな強敵でも主人公が来れば安心して見ることが出来るあまり類を見ない作品だと思った。成長する過程が描かれる少年漫画は沢山あるが、最初から最強の主人公という設定が面白いなと思った。作者と作画担当は別の人物で、背景からキャラクターに至るまでとても細かく繊細に描き込まれていて、どんな素人にも分かる絵の上手さが物語の世界観に入り込みやすくしていると思う。まだ完結はしていないが、主人公が全力を出せる敵は現れるのか、それはどんな相手なのか、期待できる作品だ。
11.「鬼滅の刃」 漫画 吾峠呼世晴
<あらすじ>
この作品は鬼によって家族を殺され、鬼になった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため、主人公の竈門炭治郎が鬼殺隊に入隊し、仲間と共に鬼を討伐する物語である。大正時代が舞台で、炭治郎は鬼の始祖・鬼舞辻無惨を打倒すべく、鬼殺隊の仲間たちや柱と共に鬼との激しい戦いを繰り広げ、成長していく。
<感想>
この作品は、何度見返しても毎回新しい発見があってとても読み応えがある。緻密に作られたキャラクターの設定が一貫してぶれることが無く、言動との整合性が取れている。シリアスな展開に度々現れるデフォルメされたキャラクター達がシュールな笑いと癒しを与えてくれる。名言も多く、読む人の心に深く残る一言が見つかりやすい。また、鬼の過去にも言及する場面が多々あり、単純な敵、味方ではなく個としてそのキャラクターを見ることが出来るのも、幅広い年代に愛されている所以のひとつだと思う。
12.「呪術廻戦」漫画 芥見下々
<あらすじ>
高校生の虎杖悠仁は、偶然手にした呪物「両面宿儺の指」を巡る騒動に巻き込まれ、強大な呪力と死の運命を背負うことになる。呪術高専の教師・五条悟や仲間たちと共に、呪霊や術師同士の戦いに身を投じながら、他者を守るために自身の信念と力を磨いていく。やがて過去と現代をつなぐ因縁や、呪術界の権力争い、倫理的ジレンマが明らかになり、虎杖は「何を守り、何を捨てるべきか」という重い選択に直面するダークファンタジー。
<感想>
この作品は痛烈なアクションと濃密な人間ドラマが融合している。虎杖の無垢な正義感と宿儺という暗澹たる運命の対比が物語の核となっており、仲間たちの葛藤や成長が重層的に描かれていることで、単純な勧善懲悪を超えた深みを生んでいると思った。五条の圧倒的存在感や術式の精緻さは魅力の一つで、敵側にも悲哀や思想が与えられている点が作品を哲学的にしている。特に印象的だったのは、1番大きな戦いの最中に敵が放った「これは間違いを正す戦いじゃなく、正しさの押しつけ合いだ」という趣旨のセリフだ。死と犠牲が繰り返される中で「守るべきものとは何か」が問い直され、読者は力と責任、倫理の曖昧さに向き合わされる。
13.「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」 映画 芥見下々原作
<あらすじ>
呪術廻戦で、最強の術師と謳われている五条悟と最悪の呪詛師と謳われている夏油傑の過去に迫る。
時は遡り2006年(春)—。高専時代の五条 悟と夏油 傑。呪術師として活躍し、向かうところ敵のない2人の元に、不死の術式を持つ呪術界の要・天元からの依頼が届く。依頼は2つ。天元との適合者である“星漿体せいしょうたい” 天内理子、その少女の「護衛」と「抹消」。呪術界存続の為の護衛任務へと赴くことになった2人だが、そこに伏黒を名乗る“術師殺し”が“星漿体”の暗殺を狙い介入する…。
<感想>
懐玉とは、優れた才能や資質を内にもちながら、それを表に現さず、うわべでは粗末な姿をしていることを指し、玉折とは優れた才能や品格を持つ人物が、その一生を全うせずに若くして亡くなることを指すたとえを意味する。五条と夏油は対比的に描かれることが多く、悟り過ぎてしまった夏油と傑れ過ぎていた五条という名前に由来する対象関係もその一つだと言えるだろう。夏油と五条はともに大きな力を持つが、その行使に対する責任観が物語を動かす。夏油は結果のためなら犠牲を選び、五条は秩序維持を優先する。どちらにも正当性と危険性があり、読者は「正義の形は一つではない」ことを突きつけられる。夏油の悲劇性と五条の屈折した理想主義は、物語に深い悲哀と緊張を与えていると思った。二人の過去の交錯や言葉のやり取りが、単なる敵対を超えた人間ドラマとして作品に深み持たせていると思った。
14.「リロ&スティッチ」映画 ディズニー原作
<あらすじ>
ハワイ・カウアイ島。両親を早くに亡くした5歳の少女・リロは、19歳の姉・ナニと2人で暮らしている。しかし、リロは同い年の子たちとも上手く馴染めず、ひとりでエルヴィス・プレスリーを聞いたりする毎日を過ごしていた。そんなリロのために、ナニはペットを飼うことを決める。そしてリロが見つけたのは、あまり犬に見えない不思議な子犬。初めての友だちに大喜びのリロは、この子犬を「スティッチ」と名付ける。ところが、スティッチは凶暴で、度々トラブルを巻き起こす問題児だった。
<感想>
ディズニー作品の実写化は賛否両論あるが、この作品は特に成功例だと思う。原作の舞台となったハワイで撮影が行われており、役者も現地の俳優、又はその土地にルーツがある俳優が抜擢されている。原作にはなかったナニの進学という設定がプラスされており、家族が負担になる、という状況を無くしたリスペクト感じる脚色だと思った。また、スティッチは全てCGで作られているそうだが、それを感じさせない子犬のようなリアルな愛らしさと他の俳優の自然な演技にとても魅力を感じた。
15.「母性」映画 湊かなえ原作
<あらすじ>
女子高生が転落死する事件が発生。
その原因を探っていた教師の清佳(永野芽郁)は、自身の過去を振り返っていく。彼女は母親・ルミ子(戸田恵梨香)の愛を受けられず、人知れず悩みを抱えた少女時代を過ごしてきた。
一方、別の場所ではルミ子が娘との関係について、神父(吹越満)に告白する。ルミ子は、自身の母(大地真央)から受けてきた無償の愛を、そのまま清佳に注いできたと証言。
しかし、両者の回想は徐々に食い違いが生じていき、日常に潜んだ壮絶な過去が明らかになっていく……。
<感想>
ルミ子の中に母性は感じられず、自分の娘さえ母親を喜ばすためだけの道具として扱っているように感じた。清佳が考察していた「女性には母と娘の二種類が存在する」という観点で見ると、ルミ子は確実に娘側であり、清佳については最後まで言及されなかった。母性を知らずに育った清佳の妊娠によって幕を閉じる映画は、視聴者に嫌な後味と余韻を残した。原作を読んだことはなかったが、湊かなえが得意とする叙述トリックの仕掛けが映画ではカットされているように感じ、2人の証言の相違によって、それが担っていた不気味な雰囲気や歪な関係を表現していると思った。
16.「正体」映画 染井為人 原作
<あらすじ>
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。
<感想>
表面的にはサスペンスだが、個人と社会の関係性を粘り強くえぐる構造が印象に残った。主人公の行動が周囲の視線や制度によってどのように意味づけられ、また暴かれていくのかを追ううちに、自分が日常で何気なく信じている「正義」や「常識」が揺らいでいく感覚を覚えた。演出は抑制的で、カメラワークや音の使い方が細かな心理変化をそっと描いてると思った。特に群衆の視線を映す場面が多く、そこに映る一人一人の表情が物語の倫理的重心を支えていると感じた。ラストは答えを明確に示さないが、それがかえって観客に問いを投げ返す効果を生んでいる。登場人物の選択が必ずしも二元論で割り切れない点や、救済と追及の境界線が曖昧に描かれているところは現代社会の問題と直結しており、議論の余地が残されているなと思った。
17.「オッドタクシー」アニメ PICS原作
<あらすじ>
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。 身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス… 何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。
<感想>
登場人物全てが動物の擬人化になっており、そのポップな見た目が逆に人間の欲望や孤独を引き立たせていることが印象的な作品だった。日常の隙間から不穏がじわりと広がる脚本が最大の魅力だと思った。SNSに翻弄される若者や裏社会の暗部、舞台裏で動く巧妙な人間関係が少しずつつながっていく様は、謎解きの快感と社会批評の鋭さを感じさせた。細部に伏線を張り、回収する手つきが見事で、初見では気づかない仕掛けがもう一度見る動機を作っているとも思った。私自身、もう一度見てみようと思った。
18.「私の夫と結婚して」Web漫画 sungsojak作
<あらすじ>
末期がんを患い、夫と親友の裏切りによって命を落とした主人公が10年前にタイムスリップし、人生をやり直す復讐劇。2度目の人生では、2人に裏切られる運命を回避し、彼らを結婚させて破滅させることを計画する。しかし、次第に仕事先の上司と心を通わせていく中で、本当の幸せとは何かを模索していくストーリー。
<感想>
68話という短めの作品で、展開が早く見応えがあって面白かった。キャラクターたちの心理描写がとても濃密で、物語の展開以上に彼らの内面が印象に残る作品だった。主人公・神戸美紗は、裏切りと絶望の中で一度命を落とすが、過去に戻ってからの彼女はまるで別人のように強く、冷静で、そして賢くなっている。彼女の変化は、ただの復讐ではなく、自分自身を取り戻すための戦いのような印象を受けた。金と見栄のために美紗と結婚し、不倫を重ねていた旦那を冷静に追い詰めていく美紗の姿は痛快だった。美沙を貶めようとする友人麗奈も嫉妬と劣等感に支配された人物で、かつての親友を裏切る姿には人間の闇が凝縮されていると思った。そして、寡黙で冷静な鈴木渉が美紗に対して一貫して誠実で、彼女の再生の象徴のような存在となったのがとても良かった。彼との関係が進むにつれて、美紗が少しずつ心を開いていく様子がとても丁寧に描かれていて、胸がキュンとするポイントが沢山あった。
この作品は、キャラクターたちの感情のぶつかり合いと成長が見どころで、誰が善で誰が悪かという単純な構図ではなく、人間の複雑さを描いている点が魅力だと思った。
19.「ピースオブケイク」映画 ジョージ朝倉原作
<あらすじ>
仕事も恋愛も、周囲に流されるまま生きてきた女性・梅宮志乃。バイト仲間との浮気がばれたことで、DV体質の恋人・正樹からは振られ、バイトも辞めることに。このままではいけないと心機一転した志乃は家を引越し、そこで出会った隣人で、新しいバイト先の店長でもある男・京志郎に本気の恋をする。しかし、京志郎には同棲中の恋人がいて……。
<感想>
この作品は恋愛の不安定さや直感的な感情の揺らぎを丁寧に描いたものである。主人公・志乃は、京志郎に一目惚れし、彼に彼女がいると知りながらも惹かれていく。理性では不合理とわかっていても、心は彼を求めてしまうその姿は切なく、恋に落ちる瞬間の衝動や、幸せを求める人間の弱さを象徴していると思った。志乃は京志郎と付き合うことで人生最大の幸せを感じるが、同時にその幸せが壊れることへの恐怖も抱えている。「幸せだと感じるほど怖くて不幸の準備をしてしまう」という言葉が印象的で、恋愛における幸福と不安が常に隣り合わせであることを示している。この二人の関係は、恋愛の本質が理屈ではなく感情で動くことだということを伝えていると思った。
20.「花束みたいな恋をした」映画 坂元裕二脚本
<あらすじ>
駅で終電を逃したことをきっかけに出会った麦と絹。お互いに音楽の好みや趣味が同じことを知り、すぐに恋に落ちる。大学を卒業してフリーターをしながら同棲生活をスタートさせ、日々変化する環境の中で日常を共有しながら大切に過ごしていた。この2人での生活を続けるために、就職活動に励んでいく。
<感想>
まるで日常の延長線上にあるような恋愛を、丁寧に、そして痛々しいほどリアルに描いた作品だと思った。社会人や大学生と高校生以下とでは見方がだいぶ変わると思った。終電を逃したことから始まる偶然の出会い、共通の趣味に心を通わせ、同棲生活へと進んでいく彼らの関係は、学生から社会人へと移り変わる中で、理想と現実のギャップに悩み、すれ違っていく。誰もが経験しうる「普通の恋」の切なさを映し出していると思った。特に印象的だったのは、サブカルチャーを通じて繋がっていた二人が、社会との折り合いをつける中で価値観が変化していく過程である。好きだったものが「生活のために」遠ざかっていく麦と、変わらずにそれを愛し続ける絹。そのズレが、静かに、しかし確実に二人の距離を広げていく。恋愛は、ただ好きなだけでは続かない。時間、環境、そして自分自身の変化が、関係性に影響を与えることを痛感させられた。
この映画は、特別な出来事が起こるわけではない。けれど、その「何でもない日々」の積み重ねが、どれほど尊く、そして儚いかを教えてくれる。観終わった後、胸が締め付けられるような余韻が残った。
21.「流浪の月」映画 凪良ゆう原作
<あらすじ>
10歳の少女・更紗 (さらさ)は、引き取られた伯母の家に帰ることをためらい、雨の公園で孤独に時間を持て余していた。そこに現れた孤独な大学生の文 (ふみ)は、少女の事情を察して彼女を自宅に招き入れる。文の家でようやく心安らかな時を過ごし、初めて自分の居場所を手にした喜びを実感する更紗。しかし2ヵ月後、文が誘拐犯として逮捕され、2人の束の間の幸せは終わりを告げる。15年後、恋人と同棲生活を送っていた更紗は、カフェを営む文と偶然の再会を果たす。
<感想>
世間の「正しさ」や「常識」が、いかに人の心を傷つけるかを静かに、しかし力強く描いた作品だと思った。誘拐事件の“被害者”と“加害者”として烙印を押された更紗と文。だが、彼らの間にあったのは、世間が決して理解しようとしない、深く確かな絆だった。広瀬すずと松坂桃李の演技は圧巻で、言葉にならない感情を表情や沈黙で伝えてくるのがとても上手かった。特に、再会後の二人が互いの傷をそっと撫で合うように寄り添う姿には、胸が締め付けられた。この作品は、善意と悪意の境界がいかに曖昧であるかを問いかけていると思う。誰かを守る行為が、他者からは罪と見なされることもある。報道や世間の声が、当事者の真実を歪めてしまう残酷さに、深く考えさせられた。文が更紗に語る「昔は楽しかったなんて思っちゃいけない。だって今が不幸みたいじゃないか」という言葉は、過去と現在の矛盾を鋭く突いていて特に印象的だった。
人と人との関係性の複雑さ、そして社会の目に晒されながらも生きることの苦しさを描いた、繊細な作品だった。
22.「4月になれば彼女は」映画
<あらすじ>
四月。精神科医の藤代俊のもとに、
かつての恋人・伊予田春から手紙が届く。
"天空の鏡"と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、
十年前の初恋の記憶が書かれていた。
その後も世界各地から届く、春の手紙。
時を同じくして藤代は、婚約者の坂本弥生と結婚の準備を進めていた。けれども弥生は突然、姿を消した。春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? ふたつの謎は、やがて繋がっていく。現在と過去、日本と海外が交錯しながら、愛する人をさがし求める"四月"が始まる。
<感想>
この作品を観て、写真と記憶のつながりが特に強調されていると思った。登場人物たちが撮った写真は、ただの風景ではなく、それぞれの心情や過去の思い出を映し出していた。写真を見ることで、忘れかけていた感情がよみがえり、愛の記憶が静かに語られる様子が印象的だった。また、愛すること、そして愛し合うことは、自然に起こるものではなく、互いの努力と理解が必要なのだとしみじみ感じた。藤代と弥生の関係も、すれ違いや不安を乗り越えるために、言葉にする勇気や相手を思いやる姿勢が求められていた。愛は一方通行ではなく、相手と向き合い続けることで育まれるものだと、この映画を通して改めて考えさせられた。美しい映像と静かな語り口の中に、人間の繊細な感情が丁寧に描かれていて、観終わった後も余韻が長く残った。
23.「愛するということ」小説 小池真理子著
<あらすじ>
人は人を愛する時、いつもどこかで本当の自分、飾り気のない自分をさらけ出してしまうのだろう。相手に見せたい自分、こんなふうに見てもらいたいと願う自分は、実は常に、中身のない、実体のない、ただの脱け殻にすぎないのだ――。愛の始まりから失恋、絶望、再生までを描く本格恋愛小説。
<感想>
小説でありながら、エッセイを読んでいるような感覚に陥った。一人の女性が既婚男性との関係を通じて、愛とは何かを問い続ける姿はとても虚しく、切なく、心にくるものがあった。愛は喜びであると同時に、苦しみや葛藤を伴うものだという現実を、著者は逃げずに描いていると思った。特に、主人公が「愛するということ」から自由になる過程は、単なる別れではなく、自己の再生の物語として胸を打つ。愛に囚われることも、そこから解き放たれることも、どちらも人間の成長に必要な経験なのだと感じた。私自身も、愛に対する価値観を見つめ直すきっかけとなった一冊だった。
24.「フォルトゥナの瞳」映画
<あらすじ>
木山慎一郎(神木隆之介)は、友人も恋人も作らず黙々と働くだけの日々を送っていた。幼い頃に両親を飛行機事故で失った過去がある。しかしある日、慎一郎は死を目前にした人間が透けて見える力「フォルトゥナの瞳」を手に入れ、生活が一変する。
偶然携帯ショップで出会った桐生葵(有村架純)に惹かれ合い、はじめて女性と愛し合うことを知った慎一郎。2人は幸せな日々を過ごしますが、突如街のたくさんの人々、そして葵まで透けて見えてしまう。
死が迫る人たちを救いたい、愛する人を守りたいという思いは、無情にも慎太郎を窮地へと追いやってしまう。慎太郎は街の人々、そして葵を救うことができるのか。生死を賭けた衝撃のラストに心震える、愛と運命の物語。
<感想>
人の死が見えるという力を持った木山慎一郎は、その能力に苦しみながらも、誰かの命を救おうと懸命に行動する。その姿は一見、崇高で美しく映るが、物語が進むにつれて、私はその選択が本当に正しかったのかと考えさせられた。彼が命を賭して守った人は、それを望んでいたのだろうか。彼の行動は、愛する人の意思を尊重したものだったのか、それとも自己満足だったのか。本当は、彼女は「共に生きること」を望んでいたのではないかと思うと、胸が締めつけられた。愛するということは、ただ守ることではなく、相手の気持ちに寄り添い、共に歩むことなのだと痛感した。慎一郎の選択は、命の尊さと同時に、愛の複雑さや重さを浮き彫りにしていた。この作品は、正義や犠牲の美しさだけでなく、その裏にある葛藤や問いを視聴者に投げかけてくる。観終わった後も、彼の選択について考え続けてしまう、深く心に残る映画だった。
25.「アンナチュラル」ドラマ 野木亜紀子脚本
<あらすじ>
日本で初めて設立された「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台に、法医学解剖医の三澄ミコトが個性豊かなメンバーと共に様々な「不自然な死」の裏側にある真実を解明していく、一話完結型の法医学ミステリードラマ。死と向き合うことを通して「現実の世界を変えていく」ことをテーマに、各エピソードで死の謎を解明するだけでなく、登場人物たちの人間ドラマも丁寧に描かれる。
<感想>
10話という短い構成でありながら、1話1話のクオリティがとても高く、充実感があった。またメインのストーリーも小出しにして伏線を引っ張るのも上手いと思った。この作品は「死ぬのにいい人も悪い人も関係ない」という冷徹な現実を突きつけることで、死の残酷さを際立たせていた。誰にでも突然訪れる死。その不条理さに向き合うUDIラボのメンバーたちは、死因を解明することで、残された人々の苦しみや悲しみに寄り添おうとする。死者の声を拾い、真実を明らかにすることで、少しでも遺族の心を救う。その姿勢に、深い敬意と感動を覚えた。特に、三澄ミコトの「法医学は未来のためのもの」という言葉は、死を扱う仕事が生きる人々のためにあるという強いメッセージを感じさせる。中堂系の恋人の死をめぐる執念もまた、個人の痛みが社会の闇を照らす事もあるのだと感じさせてくれた。善悪を超えて、命の重みを真正面から描いたこのドラマは、死と向き合うことで生きる意味を問いかけてくる。残酷でありながらも、優しさに満ちた作品だった。
26.「さよならのつづき」ドラマ岡田惠和脚本
<あらすじ>
恋人にプロポーズされた日に交通事故で亡くなった女性・さえ子(有村架純)が、その恋人の心臓移植を受けた男性・成瀬(坂口健太郎)と出会い、運命に翻弄されていく切ないラブストーリー。成瀬は移植後に「自分のものではない記憶」を感じ始め、さえ子は成瀬に亡き恋人の面影を重ねるようになる。やがて二人は互いの心臓が雄介のものであることを知り、ハワイで最後の時間を過ごす。
<感想>
『さよならのつづき』を観て、人は何によって「その人」になるのかという問いに向き合わされた。さえ子が惹かれていくのは、成瀬という人物なのか、それとも彼の中に息づく雄介の記憶や存在なのか。心臓という臓器を通して、亡くなった恋人の一部が生き続けているという事実は、希望であると同時に、深い葛藤を生む。人を構成するのは、身体なのか、記憶なのか、それとも関係性なのか。さえ子の揺れる感情を見ていると、愛とは単純な感情ではなく、過去と現在、喪失と再生が複雑に絡み合うものだと感じた。また、誰かを愛するということは、その人自身を見つめるだけでなく、自分の中にある記憶や願望とも向き合うことなのだと思った。この作品は、人間の心の複雑さと、愛のかたちの多様性を描いていて、観終わった後も深く考え続けてしまう作品だった。しかし、設定はとてもよかったが、解釈をこちらに委ね過ぎてすこしぼやっとした印象も受けたため、そこは少し残念だった。
27.「野生の島のロズ」映画 ピーターブラウン原作
<あらすじ>
未来的な都市生活に合わせてプログラミングされた最新型アシスト・ロボットのロズは、大自然に覆われた無人島で目覚めるが、野生の島ではまったく機能せず、動物たちの行動や言葉を学習しながら少しずつ順応していく。ある日、雁の卵を見つけ、孵化させたロズは、雛鳥に「キラリ」と名付けて動物たちと一緒に育てる。成長し巣立っていくキラリを見送り、厳しい冬を越えた頃、回収ロボットがロズを探しに島にやって来る。
<感想>
この作品はロボットと動物たちの心の交流を通じて、「共存」と「愛」の意味を問いかける感動作だった。冬の寒波の中、ロズが動物たちを助けるために限界を超えて行動する場面では、自己犠牲の精神が強く描かれ、人間以上の優しさを感じた。また、人間では物理的に不可能なことを成し得る姿は文明の発達への希望も感じた。加えて、肉食と草食の動物たちが争いを乗り越えて協力する姿は、現代社会へのメッセージとも受け取れる。ロズが最後に記憶を消されながらもキラリを覚えていた場面は、プログラムでは説明できない「心」の存在を示唆しており、深い余韻を残す。この作品は、子ども向けのアニメーションでありながら、大人にも多くの問いを投げかけるものだと思う。技術と感情、個と社会、そして孤独と絆。この作品は私たち自身の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれるものだと感じた。
28.「そして、バトンは渡された」映画 瀬尾まいこ原作
<あらすじ>
血のつながらない親のもとを転々としてきた高校生・森宮優子は、今では料理上手な義理の父親・森宮さんとの2人暮らしに落ち着いていた。一方、何度も夫を取り替えるように奔放に生きる魔性の女・梨花は、ある日突然、愛娘を残して姿を消す。そして、優子のもとに届いた一通の手紙。それをきっかけに、彼らが隠していた嘘や秘密が、それぞれの人生を交差させるように導いていく。
<感想>
映画『そして、バトンは渡された』は、血のつながりだけでは語れない親子の絆を描いた感動的な作品だった。主人公・優子は、何度も親が変わる複雑な家庭環境の中で育つが、それぞれの親が彼女に注いだ愛情は本物であり、深い絆を感じさせた。特に義父・森宮さんの存在は印象的で、料理や日常の会話を通して優子を大切に思う気持ちが伝わってきた。親とは、ただ育てる人ではなく、子どもに寄り添い、支え続ける存在なのだと感じた。また、バトンという言葉が象徴するように、愛情や思いが人から人へ受け継がれていく様子が丁寧に描かれており、家族の形は一つではないことを教えてくれる。この映画を観て、自分の家族との関係を改めて考え、日々の何気ないやり取りの中にある温かさを再確認することができた。親子の絆の大切さを実感し、心が温まる作品だった。
29.「366日」映画 福田果歩原作
<あらすじ>
2024年2月29日、東京。音楽会社に勤める湊の元を、一人の少女が訪れる戸惑う湊に彼女が渡したのは、一枚のMD。そこに入っていたのは、15年前に別れた恋人・美海からのメッセージだった――。
20年前、沖縄。高校の後輩・美海と出会い、初めての恋をした湊は「いつか湊先輩の作った曲、聴きたいです」という美海の言葉に背中を押され、東京へ。2年後に美海も上京し、湊と再会。2人の幸せな日々が始まる。「こんな幸せな日々が、365日ずっと続きますように」そう願っていた2人。しかしある日、湊は突然別れを告げて、美海の元を去ってしまう。失恋の悲しみを抱えたまま美海は沖縄へ帰郷。2人は別々の人生を歩むことに…。あの時伝えられなかった想い。果たせなかった約束。美海からのメッセージを聞いた湊は、ある決断をする――。
<感想>
映画『366日』は、すれ違いが互いを思うがゆえの“仕方のないもの”だったという点が、何よりも胸に刺さった。美海と湊が惹かれ合う過程は、HYの名曲と見事に重なり、青春のきらめきとともに描かれる。だからこそ、その輝きが失われる瞬間の痛みは、より深く、より辛く感じられた。言葉にできない想い、伝えられなかった真実が、二人の未来を静かに変えてしまう。そのもどかしさが、観る者の心を締めつけていた。HYの「366日」が物語全体に寄り添い、感情の波を優しく、時に鋭く揺さぶる役割を担っていた。私はファンではなかったがその感動は大きかったため、ファンであればあるほど、歌詞の一つひとつが登場人物の心情と重なり、より深い感動を味わえると思う。そして、最後に美海と結ばれる幼馴染み・琉晴の誠実さが、報われる形で描かれたことも印象的だった。そこで湊に戻らないところがより現実みのある設定に感じさせた。この作品は青春の煌めきと別れの痛み、そして再生の希望を繊細に描いていると思った。仕方のないすれ違いの中にも、確かに愛があったことを教えてくれる、優しく切ない作品だった。
30.「Call me by your name」映画 アンドレ・アシマン原作
<あらすじ>
毎年夏を北イタリアの避暑地にある別邸で過ごす大学教授の一家に、ひと夏の客人としてアメリカからやってきた大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)。一家のひとり息子、早熟な17歳の少年エリオ(ティモシー・シャラメ)はオリヴァーに強く惹かれ始める。そしてオリヴァーもまたエリオに。
短い夏を惜しむように愛を確かめ合う二人だが、夏の終わりとともにオリヴァーは帰国。数ヶ月後、その年のハヌカ祭(キリスト教のクリスマスと同じ時期に行われるユダヤ教の祝祭)にオリヴァーからの電話でエリオが告げられたのは、「結婚することになった」という予期せぬ言葉だった。
<感想>
『Call Me by Your Name』というタイトルには、相手と一体化したいという強い願いが込められていると感じた。名前を交換するという行為は、単なる愛情表現ではなく、自己と他者の境界が曖昧になるほど深く結びつきたいという思いの象徴だと思う。この作品は、恋愛の甘さだけでなく、愛の中にある揺らぎや葛藤を繊細に描いていると思った。特に同性愛というテーマに対して、時代背景の中で冷ややかな視線が存在していたことを思うと、登場人物たちの感情の深さや勇気がより際立って見えた。彼らの関係は、社会の枠組みを超えて、純粋に人と人が惹かれ合う姿を描いており、愛の多様性について考えさせられた。誰かを好きになることに理由はなく、ただその人自身に惹かれるという感覚が、静かに、しかし力強く伝わってきた。今よりも理解が進んでいなかった時代に、こうした作品が生まれたことに意味があると思う。映像も俳優も音楽も美しく、全体的に涼しげで儚さを感じさせる作品だと思った。観終わった後、心に残る余韻が長く続いた。
<あらすじ>
任侠一家に生まれた喜久雄。15歳の時に抗争で父を亡くした彼は、その才能を見抜いた歌舞伎当主の花井半二郎に引き取られる。半二郎の跡取り息子である俊介と兄弟のように育てられ、ライバルとして互いに高め合いながら芸に青春を捧げていく喜久雄。ある日、半二郎は事故で入院することとなり、舞台の代役に息子の俊介ではなく喜久雄を指名する。
<感想>
3時間という長さを忘れる程、とても濃い充実した内容だった。繊細な感情の機微をしっかりと表現している吉沢亮と横浜流星の演技力の高さにも驚いた。「血か、芸か」というテーマで描かれたこの作品は、結局どちらだ、という結果に終わるのではなく、大きな代償を払った上で、それが与えてくれたものは何なのかを視聴者に考えさせる内容になっていたように思う。主題歌の「Luminance」も「特定の方向へ放射される光の輝きの強さ」を表す英単語であり、歌詞も含めて、喜久雄が最後に探していた景色と重なっていると感じた。
2.「ファーストキス 1ST KISS」映画 坂元裕二脚本
<あらすじ>
結婚して15年になるカンナは、ある日、夫の駈を事故で失ってしまう。いつしか夫婦生活はすれ違っていて、離婚話も出ていたが、思ってもいなかった別れ。しかしひょんなことから、彼と出会った15年前の夏にタイムトラベルしてしまったカンナは、若き日の駈を見て思う。やっぱりわたしはこの人が好きだ。まだ夫にはなっていない駈と出会い、カンナは再び恋に落ちる。時間を行き来しながら、20代の駈と気持ちを重ね合わせていく40代のカンナ。事故死してしまう彼の未来を変えたい。過去が変われば未来も書き換えられることを知ったカンナは、思い至る。駈への想いとともに、行き着いた答え。わたしたちは出会わない。結婚しない。たとえ、もう二度と会えなくてもーー 。
<感想>
ウィットに富んだ会話劇が印象的な映画だった。シリアスな展開でありながらも、それを途中で忘れてしまうくらいコミカルな演出がとても良かった。何度過去に戻っても避けられない駈の死により、「未来は変えられる」という言葉が、結果ではなく過程を意味することに気付かされる。「いってらっしゃい」という何気ない挨拶に込められた愛情と後悔が日常の尊さを呼びかけていると感じた。3年待ちの餃子や縞々の靴下など、細部に散りばめられた伏線が物語に深みを出しており、とても余韻が残る作品だった。
3.「蛇にピアス」映画 金原ひとみ原作
<あらすじ>
日常に現実感を持てず苛立ちを覚えていた19歳のルイ。ある日、彼女は渋谷で顔中にピアスを施し、蛇のように割れた舌を持つアマと出会う。そして、その男とつき合いながら、彼の紹介で知り合った彫師シバとも関係を持つ。やがて彼女も体にピアスや刺青を施し、その痛みと快楽に身をゆだねていく。
<感想>
この作品は痛みと快楽、孤独と依存が交錯する若者のアイデンティティ模索を描いたものだと感じた。主人公ルイは、身体改造を通じて「生きている実感」を得ようとするが、その行為は自己肯定ではなく、空虚さの埋め合わせに近い印象を持った。スプリットタンや刺青は、彼女の内面の混乱と再生への欲望を象徴するものあり、アマとシバという対照的な男性との関係は、愛というよりも共依存の構造を浮き彫りにしていた。アマの死後、ルイが麒麟の瞳を彫り込む場面は、彼女が過去と向き合い、痛みを受け入れた証とも読むことができると思った。ラストの渋谷での佇まいは、再び孤独に戻った彼女の「独り立ち」なのか、それとも終わりなき自己探求の始まりなのか。それらを視聴者に考えさせる、繊細さと暴力性が両立した作品だと思った。
4.「Nのために」ドラマ 湊かなえ原作
<あらすじ>
セレブ殺害夫婦事件に居合わせた4人は警察から事情聴取を受けるが、裏付けも取れており、何も疑うところがなかった。しかし、それは全ては自分の大事な人の為に口裏を合わせて供述したのだ。この事件の真相は、そして、4人は誰の為に嘘をついたのか。
<感想>
ドラマ『Nのために』は、湊かなえ原作の心理ミステリーでありながら、究極の純愛を描いた作品だと感じた。登場人物それぞれが「N」のイニシャルを持ち、“誰かのために”という思いから罪や嘘を背負う姿は、愛の形の多様性と人間の弱さを浮き彫りにしていると思った。特に杉下希美と成瀬慎司の関係は、言葉にしない深い絆が胸を打ち、恋愛ではない、愛の形を感じることが出来た。事件の真相が明かされる過程で、視聴者は「誰のために生きるのか」という問いを自分自身にも向けることになる、そんな影響力を持った作品だと思った。
5.「新世界より」アニメ 貴志祐介原作
<あらすじ>
舞台は1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身に付けており、主人公の渡辺早季は自然豊かな「神栖66町」で平和に暮らしていた。
しかし、あるときバケネズミとの戦争がはじまり、呪力を手にした人間を相手にバケネズミは徹底した戦略と頭脳戦で立ち向かってくる。「悪鬼」と呼ばれる最強の切り札まで手に入れたバケネズミを相手に最後まで早季たちは諦めずに戦う。
しかし、信じられない過去の歴史を知ってしまった早季は果たして…1000年前の文明がなぜ崩壊したのか、そして現在に至るまでの歴史を知った早季による手記を元に物語は紡がれていく。
<感想>
25話というやや長めの作品だが、見ていくうちにどんどん引き込まれていき、最後の5話くらいからの展開は目を見張る物があった。主人公達が成長していくにつれ、社会の闇が明らかになり、理想的に見えた世界が徐々に崩れていく。バケネズミとの対立や“悪鬼”の存在は、人間の本質や差別、支配の構造を鋭く問いかけていると思った。呪力=想像力という設定も印象的で、想像する力が生きる術であることを教えてくれる。正義とは何か、秩序とは何か、それらを深く考えさせられる哲学的な要素も含んだ作品だと思う。
6.「カラオケ行こ!」漫画 和山やま
<あらすじ>
合唱部の部長・岡 聡実は、 突如現れたヤクザ・成田狂児から声をかけられる――「カラオケ行こ!」。 彼の組では恒例のカラオケ大会があり、 そこで歌ヘタ王になると組長に微妙な刺青を入れられる掟があった。 狂児に歌唱指導を頼まれ、仕方なく練習に付き合わされる聡実 。 カラオケで繋がった二人の奇妙な関係の行方は_?
<感想>
ヤクザと中学生という絶対交わらなそうな2人不思議な縁で繋がるという設定がまず面白いなと思った。淡々としているようでいて、急に腹がよじれる程笑ってしまう描写がさっと入ってくるのが読んでいてとても楽しい。中学生の岡聡実は、大人しくて真面目そうな見た目とは裏腹にキレのあるツッコミや毒舌がとてもいいキャラだなと思った。ヤクザの成田狂児は、ヤクザとは思えない気安さと人懐っこさがありつつも、それらを瞬時に無くす圧があったり、かと思えば常識人のように岡聡実に注意したりとちぐはぐな人柄が見ていて引き込まれる。実際に映画化もされているが、1冊で映画を見終わったような充実感がある作品だと思った。
7.「死役所」 漫画 あずみきし
<あらすじ>
死んだらたどり着いている、市役所ならぬ「死役所」。ここには、自殺、他殺、病死、事故死、寿命、死産までありとあらゆる人が訪れ、死後に自分の死の手続きをする場所である。死役所職員は全員同じ理由で死亡しており、なぜ死後職員として働くことになったのか、そもそも死役所の存在理由とは…死役所を訪れる人や職員が死んでなお「自分の人生はなんだったのか」と考える物語。
<感想>
この作品は、死後の世界で死者が手続きを行う“死役所”を舞台に、様々な人生と死の形を描く社会派ヒューマンドラマである。一話完結のオムニバス形式で、自殺、事故死、他殺など多様な死因を持つ人々が登場し、それぞれの背景にある苦悩や希望が丁寧に描かれている。死者を“お客様”と呼び、淡々と対応する職員たちの姿勢は、命の尊厳を静かに語りかける。中でも、主人公・シ村の過去にまつわる物語は、冤罪によって家族を失った悲劇と、彼がなぜ死役所で働いているのかという謎が絡み合い、物語に深みを与えている。死を通して生の意味を問いかける構成は、重くもありながら温かさも感じさせ、読む者に「どう生きるか」「人はなぜ死ぬのか」といった根源的な問いを投げかけているように感じる。人の数だけ人生があって、死に至るまでが存在する。その当たり前の事実を丁寧に追いかけることが出来る作品だと思った。
8.「BEASTARS」漫画 板垣巴留
<あらすじ>
肉食獣と草食獣が共存する世界。食肉が重罪とされる中、名門校チェリートン学園で、演劇部の生徒が殺される食殺事件が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる。生徒たち、そんな中演劇部では、死んだ生徒の代役をめぐって、諍いが起きる時期、ビースター候補と細やかれ、演劇部のカリスマ的存在である、アカシカのルイに逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのはハイイロオオカミのレゴシ。彼はウサギのハルに恋に落ちてしまう。オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながらレゴシの青春が始まる。
<感想>
主人公レゴシは、肉食獣としての本能と理性の狭間で揺れながら、ウサギのハルへの恋心を通じて「自分とは何か」を模索していく。その姿は、現代社会における多様性や共存の難しさを象徴しており、単なる動物の物語にとどまらない深いテーマ性を持っていると思った。食欲と性欲が交錯する描写も、人間の根源的な欲望を巧みに表現しており、観る者に強い印象を残している。また、レゴシ自身がコモドドラゴンの祖父を持つことなどから、人と違うルーツを持つものの葛藤、個の尊厳についても考えさせられる。善悪の境界が曖昧な世界で、誰もが自分の正義を抱えて生きているというメッセージが胸に響いた。異種間の恋愛や友情を通じて、真の理解とは何かを問いかけるような作品だった。
9.「僕のヒーローアカデミア」漫画 堀越耕平
<あらすじ>
舞台は総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ世界。事故や災害、そして“個性”を悪用する犯罪者・敵<ヴィラン>から人々と社会を守る職業・ヒーローになることを目指し、雄英校に通う高校生・緑谷出久とそのクラスメイトたちの成長、戦い、友情のストーリーが繰り広げられていく
<感想>
この作品は、個性という力を持つ世界で「普通の少年」が努力と葛藤で成長する王道のヒーロー譚である。デクの迷いと決意、オールマイトの負荷と継承、ヴィランとのぶつかり合いが人間ドラマとして胸に響く。戦闘の迫力と演出はシリーズを通して進化しており、仲間同士の絆や教師と生徒の関係性が物語に厚みを与える。ときに理想と現実の齟齬を突きつけながらも希望を繋ごうとする姿勢は、単なるバトル漫画を超えた、「責任」や「覚悟」について読者に考えさせる影響力を持つ。キャラクターの多様性や裏設定の緻密さも魅力で、読者や視聴者を飽きさせない完成度の高い長編漫画だと思った。
10.「ONE PUNCH MAN」漫画 ONE
<あらすじ>
物語開始から3年前、就職活動に行き詰まっていた青・サイタマはある日、街で暴れていた怪人から1人の少年を救う。その際に「ヒーローになりたい」という幼き日に見た夢を思い出し、就活をやめてヒーローになることを決意。頭髪全てを失うほど懸命なトレーニングを3年間行った結果、どんな敵でも一撃で倒せる最強の力を手に入れる。
しかし、いつも一撃で決着が付いてしまうことから次第に戦いに対する緊張感などを喪失し、ヒーローになった現在でも無気力な日々を送っていた。
<感想>
どんな強敵でも主人公が来れば安心して見ることが出来るあまり類を見ない作品だと思った。成長する過程が描かれる少年漫画は沢山あるが、最初から最強の主人公という設定が面白いなと思った。作者と作画担当は別の人物で、背景からキャラクターに至るまでとても細かく繊細に描き込まれていて、どんな素人にも分かる絵の上手さが物語の世界観に入り込みやすくしていると思う。まだ完結はしていないが、主人公が全力を出せる敵は現れるのか、それはどんな相手なのか、期待できる作品だ。
11.「鬼滅の刃」 漫画 吾峠呼世晴
<あらすじ>
この作品は鬼によって家族を殺され、鬼になった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため、主人公の竈門炭治郎が鬼殺隊に入隊し、仲間と共に鬼を討伐する物語である。大正時代が舞台で、炭治郎は鬼の始祖・鬼舞辻無惨を打倒すべく、鬼殺隊の仲間たちや柱と共に鬼との激しい戦いを繰り広げ、成長していく。
<感想>
この作品は、何度見返しても毎回新しい発見があってとても読み応えがある。緻密に作られたキャラクターの設定が一貫してぶれることが無く、言動との整合性が取れている。シリアスな展開に度々現れるデフォルメされたキャラクター達がシュールな笑いと癒しを与えてくれる。名言も多く、読む人の心に深く残る一言が見つかりやすい。また、鬼の過去にも言及する場面が多々あり、単純な敵、味方ではなく個としてそのキャラクターを見ることが出来るのも、幅広い年代に愛されている所以のひとつだと思う。
12.「呪術廻戦」漫画 芥見下々
<あらすじ>
高校生の虎杖悠仁は、偶然手にした呪物「両面宿儺の指」を巡る騒動に巻き込まれ、強大な呪力と死の運命を背負うことになる。呪術高専の教師・五条悟や仲間たちと共に、呪霊や術師同士の戦いに身を投じながら、他者を守るために自身の信念と力を磨いていく。やがて過去と現代をつなぐ因縁や、呪術界の権力争い、倫理的ジレンマが明らかになり、虎杖は「何を守り、何を捨てるべきか」という重い選択に直面するダークファンタジー。
<感想>
この作品は痛烈なアクションと濃密な人間ドラマが融合している。虎杖の無垢な正義感と宿儺という暗澹たる運命の対比が物語の核となっており、仲間たちの葛藤や成長が重層的に描かれていることで、単純な勧善懲悪を超えた深みを生んでいると思った。五条の圧倒的存在感や術式の精緻さは魅力の一つで、敵側にも悲哀や思想が与えられている点が作品を哲学的にしている。特に印象的だったのは、1番大きな戦いの最中に敵が放った「これは間違いを正す戦いじゃなく、正しさの押しつけ合いだ」という趣旨のセリフだ。死と犠牲が繰り返される中で「守るべきものとは何か」が問い直され、読者は力と責任、倫理の曖昧さに向き合わされる。
13.「劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折」 映画 芥見下々原作
<あらすじ>
呪術廻戦で、最強の術師と謳われている五条悟と最悪の呪詛師と謳われている夏油傑の過去に迫る。
時は遡り2006年(春)—。高専時代の五条 悟と夏油 傑。呪術師として活躍し、向かうところ敵のない2人の元に、不死の術式を持つ呪術界の要・天元からの依頼が届く。依頼は2つ。天元との適合者である“星漿体せいしょうたい” 天内理子、その少女の「護衛」と「抹消」。呪術界存続の為の護衛任務へと赴くことになった2人だが、そこに伏黒を名乗る“術師殺し”が“星漿体”の暗殺を狙い介入する…。
<感想>
懐玉とは、優れた才能や資質を内にもちながら、それを表に現さず、うわべでは粗末な姿をしていることを指し、玉折とは優れた才能や品格を持つ人物が、その一生を全うせずに若くして亡くなることを指すたとえを意味する。五条と夏油は対比的に描かれることが多く、悟り過ぎてしまった夏油と傑れ過ぎていた五条という名前に由来する対象関係もその一つだと言えるだろう。夏油と五条はともに大きな力を持つが、その行使に対する責任観が物語を動かす。夏油は結果のためなら犠牲を選び、五条は秩序維持を優先する。どちらにも正当性と危険性があり、読者は「正義の形は一つではない」ことを突きつけられる。夏油の悲劇性と五条の屈折した理想主義は、物語に深い悲哀と緊張を与えていると思った。二人の過去の交錯や言葉のやり取りが、単なる敵対を超えた人間ドラマとして作品に深み持たせていると思った。
14.「リロ&スティッチ」映画 ディズニー原作
<あらすじ>
ハワイ・カウアイ島。両親を早くに亡くした5歳の少女・リロは、19歳の姉・ナニと2人で暮らしている。しかし、リロは同い年の子たちとも上手く馴染めず、ひとりでエルヴィス・プレスリーを聞いたりする毎日を過ごしていた。そんなリロのために、ナニはペットを飼うことを決める。そしてリロが見つけたのは、あまり犬に見えない不思議な子犬。初めての友だちに大喜びのリロは、この子犬を「スティッチ」と名付ける。ところが、スティッチは凶暴で、度々トラブルを巻き起こす問題児だった。
<感想>
ディズニー作品の実写化は賛否両論あるが、この作品は特に成功例だと思う。原作の舞台となったハワイで撮影が行われており、役者も現地の俳優、又はその土地にルーツがある俳優が抜擢されている。原作にはなかったナニの進学という設定がプラスされており、家族が負担になる、という状況を無くしたリスペクト感じる脚色だと思った。また、スティッチは全てCGで作られているそうだが、それを感じさせない子犬のようなリアルな愛らしさと他の俳優の自然な演技にとても魅力を感じた。
15.「母性」映画 湊かなえ原作
<あらすじ>
女子高生が転落死する事件が発生。
その原因を探っていた教師の清佳(永野芽郁)は、自身の過去を振り返っていく。彼女は母親・ルミ子(戸田恵梨香)の愛を受けられず、人知れず悩みを抱えた少女時代を過ごしてきた。
一方、別の場所ではルミ子が娘との関係について、神父(吹越満)に告白する。ルミ子は、自身の母(大地真央)から受けてきた無償の愛を、そのまま清佳に注いできたと証言。
しかし、両者の回想は徐々に食い違いが生じていき、日常に潜んだ壮絶な過去が明らかになっていく……。
<感想>
ルミ子の中に母性は感じられず、自分の娘さえ母親を喜ばすためだけの道具として扱っているように感じた。清佳が考察していた「女性には母と娘の二種類が存在する」という観点で見ると、ルミ子は確実に娘側であり、清佳については最後まで言及されなかった。母性を知らずに育った清佳の妊娠によって幕を閉じる映画は、視聴者に嫌な後味と余韻を残した。原作を読んだことはなかったが、湊かなえが得意とする叙述トリックの仕掛けが映画ではカットされているように感じ、2人の証言の相違によって、それが担っていた不気味な雰囲気や歪な関係を表現していると思った。
16.「正体」映画 染井為人 原作
<あらすじ>
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。
<感想>
表面的にはサスペンスだが、個人と社会の関係性を粘り強くえぐる構造が印象に残った。主人公の行動が周囲の視線や制度によってどのように意味づけられ、また暴かれていくのかを追ううちに、自分が日常で何気なく信じている「正義」や「常識」が揺らいでいく感覚を覚えた。演出は抑制的で、カメラワークや音の使い方が細かな心理変化をそっと描いてると思った。特に群衆の視線を映す場面が多く、そこに映る一人一人の表情が物語の倫理的重心を支えていると感じた。ラストは答えを明確に示さないが、それがかえって観客に問いを投げ返す効果を生んでいる。登場人物の選択が必ずしも二元論で割り切れない点や、救済と追及の境界線が曖昧に描かれているところは現代社会の問題と直結しており、議論の余地が残されているなと思った。
17.「オッドタクシー」アニメ PICS原作
<あらすじ>
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。 身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス… 何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。
<感想>
登場人物全てが動物の擬人化になっており、そのポップな見た目が逆に人間の欲望や孤独を引き立たせていることが印象的な作品だった。日常の隙間から不穏がじわりと広がる脚本が最大の魅力だと思った。SNSに翻弄される若者や裏社会の暗部、舞台裏で動く巧妙な人間関係が少しずつつながっていく様は、謎解きの快感と社会批評の鋭さを感じさせた。細部に伏線を張り、回収する手つきが見事で、初見では気づかない仕掛けがもう一度見る動機を作っているとも思った。私自身、もう一度見てみようと思った。
18.「私の夫と結婚して」Web漫画 sungsojak作
<あらすじ>
末期がんを患い、夫と親友の裏切りによって命を落とした主人公が10年前にタイムスリップし、人生をやり直す復讐劇。2度目の人生では、2人に裏切られる運命を回避し、彼らを結婚させて破滅させることを計画する。しかし、次第に仕事先の上司と心を通わせていく中で、本当の幸せとは何かを模索していくストーリー。
<感想>
68話という短めの作品で、展開が早く見応えがあって面白かった。キャラクターたちの心理描写がとても濃密で、物語の展開以上に彼らの内面が印象に残る作品だった。主人公・神戸美紗は、裏切りと絶望の中で一度命を落とすが、過去に戻ってからの彼女はまるで別人のように強く、冷静で、そして賢くなっている。彼女の変化は、ただの復讐ではなく、自分自身を取り戻すための戦いのような印象を受けた。金と見栄のために美紗と結婚し、不倫を重ねていた旦那を冷静に追い詰めていく美紗の姿は痛快だった。美沙を貶めようとする友人麗奈も嫉妬と劣等感に支配された人物で、かつての親友を裏切る姿には人間の闇が凝縮されていると思った。そして、寡黙で冷静な鈴木渉が美紗に対して一貫して誠実で、彼女の再生の象徴のような存在となったのがとても良かった。彼との関係が進むにつれて、美紗が少しずつ心を開いていく様子がとても丁寧に描かれていて、胸がキュンとするポイントが沢山あった。
この作品は、キャラクターたちの感情のぶつかり合いと成長が見どころで、誰が善で誰が悪かという単純な構図ではなく、人間の複雑さを描いている点が魅力だと思った。
19.「ピースオブケイク」映画 ジョージ朝倉原作
<あらすじ>
仕事も恋愛も、周囲に流されるまま生きてきた女性・梅宮志乃。バイト仲間との浮気がばれたことで、DV体質の恋人・正樹からは振られ、バイトも辞めることに。このままではいけないと心機一転した志乃は家を引越し、そこで出会った隣人で、新しいバイト先の店長でもある男・京志郎に本気の恋をする。しかし、京志郎には同棲中の恋人がいて……。
<感想>
この作品は恋愛の不安定さや直感的な感情の揺らぎを丁寧に描いたものである。主人公・志乃は、京志郎に一目惚れし、彼に彼女がいると知りながらも惹かれていく。理性では不合理とわかっていても、心は彼を求めてしまうその姿は切なく、恋に落ちる瞬間の衝動や、幸せを求める人間の弱さを象徴していると思った。志乃は京志郎と付き合うことで人生最大の幸せを感じるが、同時にその幸せが壊れることへの恐怖も抱えている。「幸せだと感じるほど怖くて不幸の準備をしてしまう」という言葉が印象的で、恋愛における幸福と不安が常に隣り合わせであることを示している。この二人の関係は、恋愛の本質が理屈ではなく感情で動くことだということを伝えていると思った。
20.「花束みたいな恋をした」映画 坂元裕二脚本
<あらすじ>
駅で終電を逃したことをきっかけに出会った麦と絹。お互いに音楽の好みや趣味が同じことを知り、すぐに恋に落ちる。大学を卒業してフリーターをしながら同棲生活をスタートさせ、日々変化する環境の中で日常を共有しながら大切に過ごしていた。この2人での生活を続けるために、就職活動に励んでいく。
<感想>
まるで日常の延長線上にあるような恋愛を、丁寧に、そして痛々しいほどリアルに描いた作品だと思った。社会人や大学生と高校生以下とでは見方がだいぶ変わると思った。終電を逃したことから始まる偶然の出会い、共通の趣味に心を通わせ、同棲生活へと進んでいく彼らの関係は、学生から社会人へと移り変わる中で、理想と現実のギャップに悩み、すれ違っていく。誰もが経験しうる「普通の恋」の切なさを映し出していると思った。特に印象的だったのは、サブカルチャーを通じて繋がっていた二人が、社会との折り合いをつける中で価値観が変化していく過程である。好きだったものが「生活のために」遠ざかっていく麦と、変わらずにそれを愛し続ける絹。そのズレが、静かに、しかし確実に二人の距離を広げていく。恋愛は、ただ好きなだけでは続かない。時間、環境、そして自分自身の変化が、関係性に影響を与えることを痛感させられた。
この映画は、特別な出来事が起こるわけではない。けれど、その「何でもない日々」の積み重ねが、どれほど尊く、そして儚いかを教えてくれる。観終わった後、胸が締め付けられるような余韻が残った。
21.「流浪の月」映画 凪良ゆう原作
<あらすじ>
10歳の少女・更紗 (さらさ)は、引き取られた伯母の家に帰ることをためらい、雨の公園で孤独に時間を持て余していた。そこに現れた孤独な大学生の文 (ふみ)は、少女の事情を察して彼女を自宅に招き入れる。文の家でようやく心安らかな時を過ごし、初めて自分の居場所を手にした喜びを実感する更紗。しかし2ヵ月後、文が誘拐犯として逮捕され、2人の束の間の幸せは終わりを告げる。15年後、恋人と同棲生活を送っていた更紗は、カフェを営む文と偶然の再会を果たす。
<感想>
世間の「正しさ」や「常識」が、いかに人の心を傷つけるかを静かに、しかし力強く描いた作品だと思った。誘拐事件の“被害者”と“加害者”として烙印を押された更紗と文。だが、彼らの間にあったのは、世間が決して理解しようとしない、深く確かな絆だった。広瀬すずと松坂桃李の演技は圧巻で、言葉にならない感情を表情や沈黙で伝えてくるのがとても上手かった。特に、再会後の二人が互いの傷をそっと撫で合うように寄り添う姿には、胸が締め付けられた。この作品は、善意と悪意の境界がいかに曖昧であるかを問いかけていると思う。誰かを守る行為が、他者からは罪と見なされることもある。報道や世間の声が、当事者の真実を歪めてしまう残酷さに、深く考えさせられた。文が更紗に語る「昔は楽しかったなんて思っちゃいけない。だって今が不幸みたいじゃないか」という言葉は、過去と現在の矛盾を鋭く突いていて特に印象的だった。
人と人との関係性の複雑さ、そして社会の目に晒されながらも生きることの苦しさを描いた、繊細な作品だった。
22.「4月になれば彼女は」映画
<あらすじ>
四月。精神科医の藤代俊のもとに、
かつての恋人・伊予田春から手紙が届く。
"天空の鏡"と呼ばれるウユニ塩湖からの手紙には、
十年前の初恋の記憶が書かれていた。
その後も世界各地から届く、春の手紙。
時を同じくして藤代は、婚約者の坂本弥生と結婚の準備を進めていた。けれども弥生は突然、姿を消した。春はなぜ手紙を書いてきたのか? 弥生はどこへ消えたのか? ふたつの謎は、やがて繋がっていく。現在と過去、日本と海外が交錯しながら、愛する人をさがし求める"四月"が始まる。
<感想>
この作品を観て、写真と記憶のつながりが特に強調されていると思った。登場人物たちが撮った写真は、ただの風景ではなく、それぞれの心情や過去の思い出を映し出していた。写真を見ることで、忘れかけていた感情がよみがえり、愛の記憶が静かに語られる様子が印象的だった。また、愛すること、そして愛し合うことは、自然に起こるものではなく、互いの努力と理解が必要なのだとしみじみ感じた。藤代と弥生の関係も、すれ違いや不安を乗り越えるために、言葉にする勇気や相手を思いやる姿勢が求められていた。愛は一方通行ではなく、相手と向き合い続けることで育まれるものだと、この映画を通して改めて考えさせられた。美しい映像と静かな語り口の中に、人間の繊細な感情が丁寧に描かれていて、観終わった後も余韻が長く残った。
23.「愛するということ」小説 小池真理子著
<あらすじ>
人は人を愛する時、いつもどこかで本当の自分、飾り気のない自分をさらけ出してしまうのだろう。相手に見せたい自分、こんなふうに見てもらいたいと願う自分は、実は常に、中身のない、実体のない、ただの脱け殻にすぎないのだ――。愛の始まりから失恋、絶望、再生までを描く本格恋愛小説。
<感想>
小説でありながら、エッセイを読んでいるような感覚に陥った。一人の女性が既婚男性との関係を通じて、愛とは何かを問い続ける姿はとても虚しく、切なく、心にくるものがあった。愛は喜びであると同時に、苦しみや葛藤を伴うものだという現実を、著者は逃げずに描いていると思った。特に、主人公が「愛するということ」から自由になる過程は、単なる別れではなく、自己の再生の物語として胸を打つ。愛に囚われることも、そこから解き放たれることも、どちらも人間の成長に必要な経験なのだと感じた。私自身も、愛に対する価値観を見つめ直すきっかけとなった一冊だった。
24.「フォルトゥナの瞳」映画
<あらすじ>
木山慎一郎(神木隆之介)は、友人も恋人も作らず黙々と働くだけの日々を送っていた。幼い頃に両親を飛行機事故で失った過去がある。しかしある日、慎一郎は死を目前にした人間が透けて見える力「フォルトゥナの瞳」を手に入れ、生活が一変する。
偶然携帯ショップで出会った桐生葵(有村架純)に惹かれ合い、はじめて女性と愛し合うことを知った慎一郎。2人は幸せな日々を過ごしますが、突如街のたくさんの人々、そして葵まで透けて見えてしまう。
死が迫る人たちを救いたい、愛する人を守りたいという思いは、無情にも慎太郎を窮地へと追いやってしまう。慎太郎は街の人々、そして葵を救うことができるのか。生死を賭けた衝撃のラストに心震える、愛と運命の物語。
<感想>
人の死が見えるという力を持った木山慎一郎は、その能力に苦しみながらも、誰かの命を救おうと懸命に行動する。その姿は一見、崇高で美しく映るが、物語が進むにつれて、私はその選択が本当に正しかったのかと考えさせられた。彼が命を賭して守った人は、それを望んでいたのだろうか。彼の行動は、愛する人の意思を尊重したものだったのか、それとも自己満足だったのか。本当は、彼女は「共に生きること」を望んでいたのではないかと思うと、胸が締めつけられた。愛するということは、ただ守ることではなく、相手の気持ちに寄り添い、共に歩むことなのだと痛感した。慎一郎の選択は、命の尊さと同時に、愛の複雑さや重さを浮き彫りにしていた。この作品は、正義や犠牲の美しさだけでなく、その裏にある葛藤や問いを視聴者に投げかけてくる。観終わった後も、彼の選択について考え続けてしまう、深く心に残る映画だった。
25.「アンナチュラル」ドラマ 野木亜紀子脚本
<あらすじ>
日本で初めて設立された「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台に、法医学解剖医の三澄ミコトが個性豊かなメンバーと共に様々な「不自然な死」の裏側にある真実を解明していく、一話完結型の法医学ミステリードラマ。死と向き合うことを通して「現実の世界を変えていく」ことをテーマに、各エピソードで死の謎を解明するだけでなく、登場人物たちの人間ドラマも丁寧に描かれる。
<感想>
10話という短い構成でありながら、1話1話のクオリティがとても高く、充実感があった。またメインのストーリーも小出しにして伏線を引っ張るのも上手いと思った。この作品は「死ぬのにいい人も悪い人も関係ない」という冷徹な現実を突きつけることで、死の残酷さを際立たせていた。誰にでも突然訪れる死。その不条理さに向き合うUDIラボのメンバーたちは、死因を解明することで、残された人々の苦しみや悲しみに寄り添おうとする。死者の声を拾い、真実を明らかにすることで、少しでも遺族の心を救う。その姿勢に、深い敬意と感動を覚えた。特に、三澄ミコトの「法医学は未来のためのもの」という言葉は、死を扱う仕事が生きる人々のためにあるという強いメッセージを感じさせる。中堂系の恋人の死をめぐる執念もまた、個人の痛みが社会の闇を照らす事もあるのだと感じさせてくれた。善悪を超えて、命の重みを真正面から描いたこのドラマは、死と向き合うことで生きる意味を問いかけてくる。残酷でありながらも、優しさに満ちた作品だった。
26.「さよならのつづき」ドラマ岡田惠和脚本
<あらすじ>
恋人にプロポーズされた日に交通事故で亡くなった女性・さえ子(有村架純)が、その恋人の心臓移植を受けた男性・成瀬(坂口健太郎)と出会い、運命に翻弄されていく切ないラブストーリー。成瀬は移植後に「自分のものではない記憶」を感じ始め、さえ子は成瀬に亡き恋人の面影を重ねるようになる。やがて二人は互いの心臓が雄介のものであることを知り、ハワイで最後の時間を過ごす。
<感想>
『さよならのつづき』を観て、人は何によって「その人」になるのかという問いに向き合わされた。さえ子が惹かれていくのは、成瀬という人物なのか、それとも彼の中に息づく雄介の記憶や存在なのか。心臓という臓器を通して、亡くなった恋人の一部が生き続けているという事実は、希望であると同時に、深い葛藤を生む。人を構成するのは、身体なのか、記憶なのか、それとも関係性なのか。さえ子の揺れる感情を見ていると、愛とは単純な感情ではなく、過去と現在、喪失と再生が複雑に絡み合うものだと感じた。また、誰かを愛するということは、その人自身を見つめるだけでなく、自分の中にある記憶や願望とも向き合うことなのだと思った。この作品は、人間の心の複雑さと、愛のかたちの多様性を描いていて、観終わった後も深く考え続けてしまう作品だった。しかし、設定はとてもよかったが、解釈をこちらに委ね過ぎてすこしぼやっとした印象も受けたため、そこは少し残念だった。
27.「野生の島のロズ」映画 ピーターブラウン原作
<あらすじ>
未来的な都市生活に合わせてプログラミングされた最新型アシスト・ロボットのロズは、大自然に覆われた無人島で目覚めるが、野生の島ではまったく機能せず、動物たちの行動や言葉を学習しながら少しずつ順応していく。ある日、雁の卵を見つけ、孵化させたロズは、雛鳥に「キラリ」と名付けて動物たちと一緒に育てる。成長し巣立っていくキラリを見送り、厳しい冬を越えた頃、回収ロボットがロズを探しに島にやって来る。
<感想>
この作品はロボットと動物たちの心の交流を通じて、「共存」と「愛」の意味を問いかける感動作だった。冬の寒波の中、ロズが動物たちを助けるために限界を超えて行動する場面では、自己犠牲の精神が強く描かれ、人間以上の優しさを感じた。また、人間では物理的に不可能なことを成し得る姿は文明の発達への希望も感じた。加えて、肉食と草食の動物たちが争いを乗り越えて協力する姿は、現代社会へのメッセージとも受け取れる。ロズが最後に記憶を消されながらもキラリを覚えていた場面は、プログラムでは説明できない「心」の存在を示唆しており、深い余韻を残す。この作品は、子ども向けのアニメーションでありながら、大人にも多くの問いを投げかけるものだと思う。技術と感情、個と社会、そして孤独と絆。この作品は私たち自身の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれるものだと感じた。
28.「そして、バトンは渡された」映画 瀬尾まいこ原作
<あらすじ>
血のつながらない親のもとを転々としてきた高校生・森宮優子は、今では料理上手な義理の父親・森宮さんとの2人暮らしに落ち着いていた。一方、何度も夫を取り替えるように奔放に生きる魔性の女・梨花は、ある日突然、愛娘を残して姿を消す。そして、優子のもとに届いた一通の手紙。それをきっかけに、彼らが隠していた嘘や秘密が、それぞれの人生を交差させるように導いていく。
<感想>
映画『そして、バトンは渡された』は、血のつながりだけでは語れない親子の絆を描いた感動的な作品だった。主人公・優子は、何度も親が変わる複雑な家庭環境の中で育つが、それぞれの親が彼女に注いだ愛情は本物であり、深い絆を感じさせた。特に義父・森宮さんの存在は印象的で、料理や日常の会話を通して優子を大切に思う気持ちが伝わってきた。親とは、ただ育てる人ではなく、子どもに寄り添い、支え続ける存在なのだと感じた。また、バトンという言葉が象徴するように、愛情や思いが人から人へ受け継がれていく様子が丁寧に描かれており、家族の形は一つではないことを教えてくれる。この映画を観て、自分の家族との関係を改めて考え、日々の何気ないやり取りの中にある温かさを再確認することができた。親子の絆の大切さを実感し、心が温まる作品だった。
29.「366日」映画 福田果歩原作
<あらすじ>
2024年2月29日、東京。音楽会社に勤める湊の元を、一人の少女が訪れる戸惑う湊に彼女が渡したのは、一枚のMD。そこに入っていたのは、15年前に別れた恋人・美海からのメッセージだった――。
20年前、沖縄。高校の後輩・美海と出会い、初めての恋をした湊は「いつか湊先輩の作った曲、聴きたいです」という美海の言葉に背中を押され、東京へ。2年後に美海も上京し、湊と再会。2人の幸せな日々が始まる。「こんな幸せな日々が、365日ずっと続きますように」そう願っていた2人。しかしある日、湊は突然別れを告げて、美海の元を去ってしまう。失恋の悲しみを抱えたまま美海は沖縄へ帰郷。2人は別々の人生を歩むことに…。あの時伝えられなかった想い。果たせなかった約束。美海からのメッセージを聞いた湊は、ある決断をする――。
<感想>
映画『366日』は、すれ違いが互いを思うがゆえの“仕方のないもの”だったという点が、何よりも胸に刺さった。美海と湊が惹かれ合う過程は、HYの名曲と見事に重なり、青春のきらめきとともに描かれる。だからこそ、その輝きが失われる瞬間の痛みは、より深く、より辛く感じられた。言葉にできない想い、伝えられなかった真実が、二人の未来を静かに変えてしまう。そのもどかしさが、観る者の心を締めつけていた。HYの「366日」が物語全体に寄り添い、感情の波を優しく、時に鋭く揺さぶる役割を担っていた。私はファンではなかったがその感動は大きかったため、ファンであればあるほど、歌詞の一つひとつが登場人物の心情と重なり、より深い感動を味わえると思う。そして、最後に美海と結ばれる幼馴染み・琉晴の誠実さが、報われる形で描かれたことも印象的だった。そこで湊に戻らないところがより現実みのある設定に感じさせた。この作品は青春の煌めきと別れの痛み、そして再生の希望を繊細に描いていると思った。仕方のないすれ違いの中にも、確かに愛があったことを教えてくれる、優しく切ない作品だった。
30.「Call me by your name」映画 アンドレ・アシマン原作
<あらすじ>
毎年夏を北イタリアの避暑地にある別邸で過ごす大学教授の一家に、ひと夏の客人としてアメリカからやってきた大学院生オリヴァー(アーミー・ハマー)。一家のひとり息子、早熟な17歳の少年エリオ(ティモシー・シャラメ)はオリヴァーに強く惹かれ始める。そしてオリヴァーもまたエリオに。
短い夏を惜しむように愛を確かめ合う二人だが、夏の終わりとともにオリヴァーは帰国。数ヶ月後、その年のハヌカ祭(キリスト教のクリスマスと同じ時期に行われるユダヤ教の祝祭)にオリヴァーからの電話でエリオが告げられたのは、「結婚することになった」という予期せぬ言葉だった。
<感想>
『Call Me by Your Name』というタイトルには、相手と一体化したいという強い願いが込められていると感じた。名前を交換するという行為は、単なる愛情表現ではなく、自己と他者の境界が曖昧になるほど深く結びつきたいという思いの象徴だと思う。この作品は、恋愛の甘さだけでなく、愛の中にある揺らぎや葛藤を繊細に描いていると思った。特に同性愛というテーマに対して、時代背景の中で冷ややかな視線が存在していたことを思うと、登場人物たちの感情の深さや勇気がより際立って見えた。彼らの関係は、社会の枠組みを超えて、純粋に人と人が惹かれ合う姿を描いており、愛の多様性について考えさせられた。誰かを好きになることに理由はなく、ただその人自身に惹かれるという感覚が、静かに、しかし力強く伝わってきた。今よりも理解が進んでいなかった時代に、こうした作品が生まれたことに意味があると思う。映像も俳優も音楽も美しく、全体的に涼しげで儚さを感じさせる作品だと思った。観終わった後、心に残る余韻が長く続いた。
大門優
RES
①『チェンソーマン』(単行本1巻〜11巻)
著:藤本タツキ 集英社
【あらすじ】
悪魔という存在が日常に蔓延る世界で、主人公デンジは父親の借金を返すため、チェンソーの悪魔ポチタと共にデビルハンターとしてド底辺の生活を送っていた。デンジ達はヤクザの斡旋の下、悪魔を駆除していたのだが、ある日、命の危機に陥ったことをきっかけに、唯一の友達だったポチタと融合し、デンジは悪魔の力を手に入れることとなった。やがて公安所属のデビルハンター、マキマに拾われ、「公安対魔特異4課」の一員として働くことになる。死の間際、ポチタと交わした「私の心臓をやるかわりにデンジの夢を見せてほしい」という契約を守るため、チェンソーの悪魔となったデンジは新たな生活を始め、過酷な運命に抗うのだ。
【感想・考察】
全体を通し、人智を越えた存在の描写がとても分かりやすく描かれていると考える。特に3巻、呪いの悪夢カースによるコマ枠外からのデコピンが印象的であった。コマ枠を飛び出すという表現はよくあるものだが、人では無い何かの存在を読者に明確に伝えるのに適した技法であると感じた。
またそのような存在に対する恐怖の描き方にも衝撃を受けるものが多かった。銃の悪魔被害による死亡者の名前をズラッと書き並べる演出や、闇の悪魔登場シーン、11人の真っ二つの宇宙飛行士などの印象が強い。この宇宙飛行士は、1997年までに事故死した宇宙飛行士の数と一致するようだ。人類の恐怖というものを示唆するのに、これ以上の物を見たことがないほど卓越した表現であると感じた。
藤本タツキの作風として、とても単調に物語が進む印象がある。登場キャラクターが、わりとあっさり死亡するのだ。そのため、読んでいてとてもテンポが良く、物語の進展が早いと感じた。その読みやすさは、登場人物の心情を長々と書かないことによる効果であると考える。しかし、まったく書かれていないわけではない。登場人物の死は、確実に残されたキャラクターに影響しているのだ。9巻アキの「怖気づきました」や、アキの死後アイスを吐くデンジなど、確かに描かれるその登場人物の成長や変化が、この作品の魅力なのだと考える。
②『チェンソーマン レゼ篇』(映画)
原作:藤本タツキ
監督:𠮷原達矢 脚本:瀬古浩司
【あらすじ】
原作単行本5巻86p〜6巻までの映画化。主人公デンジが偶然出会った少女、レゼに翻弄されながら、予測不能な運命へと突き進むボーイミーツガールの物語。デンジの新しいバディであるサメの魔人ビームや、天使の悪魔など主要キャラクターが登場する。
【感想・考察】
まず、物語としてのまとまりがとても良いと感じた。長さ的にも、展開的にも、映画化に適した原作部分であったのではないだろうか。
冒頭、いつも見る扉の夢のシーンは白黒から始まり、その後主題化『IRIS OUT』のMV的映像に繋がるため、画面の賑やかさのギャップで視聴者の心を掴んでいるように感じた。
全体を通して、このような急激な展開の切り替わりによる効果があったと考える。特にモンタージュ技術によって展開、構成がより魅力的になっていたのではないだろうか。特に、暗殺者から逃げるレゼのシーンにおけるカットモンタージュ、花火大会でのキスシーンにおけるマッチカットなどは、原作漫画には無い表現であり、映画作品としてさらに作品をよくする表現であったと感じた。
戦闘シーンの迫力は言うまでもないため割愛。ここでは台風の悪魔との戦闘について触れたい。台風の悪魔撃破時の、血しぶきが飛び散るシーンの脚色にて、原作では1コマだけであったこのシーンに、血が海のように街に流れるシーンが追加されていた。まるでエヴァの使徒撃破時のようなこのシーンは、そのオマージュだったのではないだろうか。
映画レゼ篇には、原作漫画ラストシーンよりほんの僅かに救いがあるのかもしれないと考えている。原作では喫茶店の中でデンジが花束を持っている様子を、レゼが視認できていたのか明確ではなかった。しかし映画では該当シーンがPOVショットとなり、まばたきのような演出が加えられているのである。この演出による微かな救いが、物語をより切ないものにし、出会えなかった二人を見た視聴者の余韻を強固なものにしているのではないだろうか。
最後、レゼが訪れなかった喫茶店にパワーが訪れ物語は幕を閉じるのだが、冒頭以来のパワーの登場により日常に戻っていく雰囲気が、よりレゼとの日常の儚さを演出しているように感じた。
③『光の死んだ夏』(単行本1巻〜6巻)
著:モクモクれん KADOKAWA
【あらすじ】
とある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、光が行方不明になってしまう。帰ってきたのは、光の姿をした、しかし光ではないナニカだった。例え偽物でも、代わりだとしても一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとよしきの奇妙な関係を描く、青春ホラー作品。
【感想・考察】
日常に潜む、人ならざる者という恐怖。知り合いや、親しい人が同じような状態になってしまったら、きっと恐れ慄くだろう。私がそのような価値観を持っているからこそ、光とよしきの異様な共依存関係が、より魅力的に感じるのだと思う。
ナニカに入れ替わった光は度々人ならざる価値観を出してしまう。しかしその根本にある寂しさや悲しみがそのナニカのキャラクターを魅力的にすると同時に、光が死んだという現実を叩きつける証拠となり、よしきにダメージを与えているのだ。
はじめは光の代わりとしてナニカを扱っていたよしきも、関係を重ねるうちに彼そのものに向き合うようになる。ナニカもまたよしきとの関係をきっかけに成長していく。この2人の歪な関係とその成長こそがこの作品の魅力であると考える。
物語は現在この2人の成長を中心に、ナニカの正体を探るというストーリー展開である。2人の現実に向き合うその姿を、最後まで見届けたいと思う。
④『怪獣8号 第1期』(アニメ)
原作:松本直也
制作:Production I.G 監督:宮繁之、神谷友美
【あらすじ】
怪獣が人々の生活を脅かす世界。怪獣と戦う日本防衛隊になる夢を諦め、怪獣の死体を片付ける清掃業に就いていた日比野カフカは、ある出会いをきっかけに再び夢を追い始める。しかしその矢先、謎の怪獣によって、怪獣に変化する力を得てしまう。それでも夢を諦めず、カフカは怪獣災害に立ち向かう。
【感想・考察】
物語の始まり、カフカが現状を肯定しようと自分に言い聞かせようとする場面で、対照的に描かれる汚く狭い部屋や、散乱したレトルト食品のごみなどが、夢を諦めた中年男性の現実を生々しく描いているように感じた。このような主人公が力を手に入れるという展開はありふれたものだが、この作品の魅力はそのありふれた主人公カフカの自分への向き合い方にあると考える。
スーツや武器の力をまったく引き出せないカフカは紛れもない防衛隊の落ちこぼれだ。しかしその逆境の中あきらめないその姿が、他の隊員や様々な人物影響を与えていくのだ。彼の素の人間力で築かれていく仲間との関係が、カフカが怪獣であることが露呈した時の展開をより魅力的なものにしていると考えられる。11話にて連行されるカフカに、同乗する上官へのものと称して敬礼するシーンは、特に心揺さぶられるものであった。
映像としては、ゴジラやエヴァの影響を受けていると考えられるシーンが多々見られるように感じた。カフカの一撃必殺的な攻撃により飛び散る怪獣の血液や臓物は、まさにエヴァの使徒のようである。しかし怪獣撃破後に降り注ぐ血の雨、そこに立ち尽くす怪獣8号という絵はこの作品特有のものであり、怪獣8号を象徴するシーンなのではないだろうか。
⑤『怪獣8号 第2期』(アニメ)
原作:松本直也 監督:宮繁之
制作:Production I.G
【あらすじ】
四ノ宮功の判断によって兵器化を免れた怪獣8号・日比野カフカ。そんな彼の前に現れたのは、第1 部隊を率いる防衛隊最強の男・鳴海弦だった。新しい環境にて、カフカは防衛隊の戦力として、新たな生活を始めることになる。防衛隊には暗躍する怪獣9号の脅威も迫り、防衛隊に史上最大の危機が訪れようとしていた。新世代の防衛隊は、この危機を乗り越えることができるのだろうか。
【感想・考察】
第2期ではカフカが自身の持つ怪獣の力と向き合うということについて描かれる。怪獣の力を使いすぎると元に戻れないかもしれない、という事実を知った後も、カフカは戦うことを選ぶのだ。カフカを想う仲間の反応と、カフカのその選択との対比が、彼らが築いてきた関係性を象徴しているのだと考えられる。
また、第2期では他の隊員の成長も描かれる。とある隊員が、努力では変えられない才能という壁を前に、仲間に嫉妬や妬みの感情をぶつけてしまうシーンは、第1期のカフカのような葛藤を想起させた。しかし彼は最終的に仲間を助け、後を追いかける。主人公カフカ同様に、諦めず、前に進むその姿勢と成長こそがこの物語の鍵なのだ。
第2期は、第1期と比べ人型の強力な怪獣が複数登場する。そのため第1期のようなエヴァやゴジラのオマージュ的な描写は減り、変わりにその怪獣の強さを示唆する表現が多いように感じた。その中でも特に23話の怪獣15号戦闘時におけるPOVショットが印象に残っている。そのため戦闘のメリハリという点では第2期のほうが魅力があるのではないかと考える。
⑥『俺だけレベルアップな権』
原作:DUBU、Chugong、h-goon 監督:中重俊祐
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
舞台は異次元と現世界を結ぶゲートという物が登場発生した世界。そこでは特殊能力を発言する人間が現れ、ハンターといえ職業が生まれた。そんな中、人類最弱兵器と呼ばれる主人公水篠旬は、ある事件をきっかけに自分だけがレベルアップする能力を手に入れる。降りかかる試練を乗り越え、水篠旬は力を求め前に進むのだ。
【感想・考察】
このようなカラー漫画作品のアニメ化は始めて視聴したため、「原作がそのまま動いている!」という印象を普通の漫画のアニメ化より強く感じたように思える。これはメリットである一方、デメリットにもなり得た。私は漫画のアニメ化の大きなメリットは、色が付き、動くことだと考えている。そのため、元から色があるこのような作品において、序盤における動きに対する感動が少ないように感じたのだ。しかし、このアニメの魅力は成長にあるように、その動きに対する感動も、物語が進むと共に進歩していたのではないかと考える。その変化は、戦闘シーンで強く見られる。
前半は泥臭い戦い方が目立つ主人公であったが、物語が進むにつれレベルが上がり、戦闘のテンポや動きが良くなる。その追体験がより戦闘シーンを魅力的にする同時に、カメラワークにも変化を与えているのだと考える。序盤に比べ、明らかにダイナミックに、そして様々な視点で動いているのだ。特に物語終盤のイグリット戦は、多様な視点から描かれる。POVショットや俯瞰視点などを高速に切り替えるその手法は、視聴者に対する「動き」というものへの感動を増幅させているのだ。
主人公の成長と同期して、カメラや映像の動きも素早くなるこの作品は、追体験による新たな感動を与えてくれる作品であった。
⑦『俺だけレベルアップな権 Season2 -Arise from the Shadow-』
原作:DUBU、Chugong、h-goon 監督:中重俊祐
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
レベルアップを続ける水篠旬は、母親の病気を治す薬を作る、という新たな目標のために戦いを続ける。そんな中、過去に多くのハンターが挑むもクリアに失敗した架南島のゲートからは、アリの脅威が迫っていた。
【感想・考察】
Season1と比べ、人間ドラマが多い印象であった。レベルアップによる力を得た水篠旬の人間関係は複雑化し、その裏では様々な権力争いや陰謀が起こることになる。戦闘面だけでなく、このような人間関係の中で彼に守りたい人や物が増えていく様子も、この作品の魅力であると考える。
物語終盤では、水篠旬の強さは圧倒的なものとなる。その戦闘の爽快さは、Season1からの成長の追体験があるからこそ、より際立つものなのではないだろうか。
⑧『その着せ替え人形は恋をする Season2』(アニメ)
原作:福田晋一 監督:篠原啓輔
制作:Clover Works
【あらすじ】
雛人形を作る頭師を目指す五条若菜と、同じクラスの人気者、喜多川海夢。コスプレを通じて交流を深める2人は文化祭でのクラスメイトとの関わりや、新しいコスプレ仲間との出会いの中で、さらに関係を深めていく。
【感想・考察】
この作品で一番特徴的な点は、アニメの中でアニメを流すという、複数のメディアを混在した状態を作り出す点である。Season2ではとあるゲーム作品のコスプレをするのだが、そのゲームを五条若菜がプレイするシーンでは、実際にそのゲーム画面が画面に映っているかのように描写しているのだ。コスプレにおける作品を知ることの大切さという、五条若菜が大切にしている行動を追体験させるこの表現があることにより、視聴者はより作品に、てコスプレに没入することが出来ているのではないだろうか。
またSeason2ではクラスメイトとの関わりが五条に大きな影響を与えている。物語の根幹にもある好きな事をするのはおかしくない、という考えを、クラスメイトを通して改めて実感し、自信を持っていく彼の姿は、視聴者にそれまでとは別の感動を与えているのだ。
⑨『ホリミヤ』(アニメ)
原作:HERO、萩原ダイスケ 監督:石浜真史
制作:Clover Works
【あらすじ】
成績優秀、容姿端麗、クラスの人気者である堀京子は、家では共働きの両親に代わって家事や弟の面倒を見る家庭的な女子高生であった。そんなある日、ケガをした弟を送り届けてくれた宮村伊澄と出会い彼の秘密を知ってしまう。彼らを中心に広がる、でこぼこで、されど心温かい人間関係を描く群像劇。
【感想・考察】
最初に、全体的に大幅に物語がカットされていた。1クールのアニメとして綺麗に収められていたが、カットされている分、原作と比べ展開の早さを若干感じてしまった。ホリミヤ-piece-において追加で人気エピソード描かれているため、こちらも視聴することをオススメしたい。
この作品の魅力は堀京子、宮村伊澄の2人による、お互いの知らていない姿を知ることから始まる。かなり距離の近い状態から始まる2人の関係であるが、関係が進展するにつれ今までにはない表情を見せたり、反応をする2人の独特な距離感は、読者に新鮮な恋愛ストーリーを見せてくれる。またこの2人以外の人間関係においても、クセの強いキャラクターが多く、見ていて飽きない作品であった。
⑩『ソードアート・オンライン』(アニメ1〜25話)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
フルダイブシステムが発展した世界、主人公キリトは「ソードアート・オンライン」というVRゲームをスタートする。しかしそれは制作者の野望によって開かれた、ゲームオーバー=死のデスゲームだったのだ。主人公キリトはゲームをクリアし、現実世界に戻ることができるのだろうか。
【感想・考察】
シリーズを通し一番視聴者の心を揺さぶり、感動させたのは、この最初の物語であると私は考える。実際にVRゲームが大きく発展している現代において、そしてさらに発展するであろうこれからの時代で、この作品に対する認識も大きく変化するのではないだろうか。
アニメ全体を通してPOVショットによる影響が大きいように感じた。実際にゲームをプレイしている登場人物の視点を見るその追体験は視聴者の没入感をより強固なものにしている。特にゲームからログイン出来ないことが発覚するシーンでは、これにより不穏感が高まっていたと考える。
作中におけるソードアート・オンラインというゲームは、様々な人間に影響を与え、多くの火種を残し、これからのシリーズ全てに関係してくる。たかがゲームのデータという認識を覆すストーリー展開、そしてキリトの選択と行動は、その後の物語全体に影響を与えているのだと考える。
⑪『ソードアート・オンラインⅡ』(アニメ1〜24話)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
ゲーム、ソードアート・オンラインから無事帰還したキリト。SAO生還者として目をつけられたキリトは総務省から依頼を受け、ガンゲイルオンラインというゲームに潜入することになった。目的はゲーム内の銃撃で実際に人を殺すと噂の「デスガン」の調査であった。そのゲームでキリトは凄腕のスナイパー、シノンと出会うことになる。
【感想・考察】
前作同様、POVショットによる描写が見られるが、それに加えスコープ越しの視点、弾道の追従というものがよく用いられるようになっている。これは前作が剣と魔法が中心の戦いであるのに比べ、基本銃撃戦のガンゲイルオンラインとの大きな差である。そのような戦闘において、スローモーション映像を挟むことにより、映像にメリハリをつけているのではないかと感じた。
後半クールに登場する、ユウキというキャラクターも、物語に大きく影響を与えている。ヒロインのアスナは、病気で死ぬ間際のユウキから、特別なスキルを授かる。この技は後々の作品で登場し、視聴者にユウキの存在を想起させる。この技はたかがゲームのデータといえど、それ以上の意味や価値を持つ。そしてここには、それらを受け継ぎ、繋いでいくという、シリーズを通した想いが描かれているのではないだろうか。
⑫『劇場版ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-』(映画)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
AR型情報端末オーグマーが発売され、専用ゲームオーディナル・スケール(OS)が爆発的に人気になった。キリト一行もプレイするのだが、その途中、今は存在しないはずのSAOのボスが登場するイベントの情報を手に入れる。OSの裏で動く野望に、キリト達は新たな戦いを始める。
【感想・考察】
これは劇場版書き下ろしストーリーとなっている。すでに類似するAR機器の発売が可能になっていることを考えると、この映画のような問題が起こってもおかしくない未来も遠くないのかもしれない。そう考えると、この作品も別視点から楽しむことができた。
ストーリー展開的には原作者書き下ろしストーリーということもあり、まったく違和感なく視聴することができた。物語後半、人々を救うため仲間が集結するシーンでは、SAOⅡにおけるユウキの技なども登場し、ベタでありながらもシリーズにおける積み重ねを感じる展開であった。
今回の事件の発端であるSAO被害者について、事件記録全集に1文記述されるという物語の締め方も、受け継いで、紡いでいくというシリーズの流れを感じるものであった。
⑬『百瀬アキラの初恋破綻中。』(単行本1〜2巻)
著:晴川シンタ 小学館
【あらすじ】
ド田舎に暮らす少年、久我山はじめのもとに帰ってきた、かつての憧れの同級生、百瀬アキラ実は彼女は、大好きなはじめと結ばれるため、周到な計画を立てて田舎に帰ってきていた!! しかし、超不器用なアキラの計画は、いつもだいぶ空回り。 一方はじめも超鈍感&先走り体質で、めちゃくちゃにすれ違ってしまう。果たして2人は、思い描いた未来へ進めるのか。
【感想・考察】
この作品を読んでいて特に印象に残るのは、物語冒頭に挟まる田舎エピソードプロローグである。鎮座する鹿、駆除されたツキノワグマ、ツチノコ捕獲イベント等々、数コマで終わるにも関わらず印象が強い。これらのエピソードは作者の故郷が参考にされているらしい。このプロローグが物語における閑話休題の役割を果たし、ストーリーにメリハリを出しているのではないだろうか。はじめとアキラのグダグダ恋愛にこのような要素が加わることで、2人のうまくいかない奇妙な関係がラブコメ展開に進む繋ぎの役割となり、ギャグと恋愛が織りなす魅力的な作品となっているのではないだろうか。
⑭『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』(アニメ51〜66話)
原作:長月達平 監督:篠原正寛
制作:WHITE FOX
【あらすじ】
聖域での戦いから1年が過ぎ、エミリア陣営も平穏な日々を送っていた。しかしその平和は、1枚の書状によって終わりを告げる。アナスタシアの使者としてやってきたヨシュアとミミによって届けられたのは、水門都市プリステラへの招待状。そこには、エミリアが探していた魔晶石を持つ商人がいるという。物語は幕を開け、スバルの新たな戦いが始まった。
【感想・考察】
3期では大きく分けて、スバルの周囲からの認識の変化、そして戦闘という要素が描かれていた。特徴的なのは死に戻りというこの作品のメインともなる能力があまり使われなかった点にある。今まではその死に戻り能力によって情報を得ていたため、今作では上手く行きすぎているとすら思えたのだ。私は原作小説を読んでいないためあくまで推測にしかならないが、ここでは何かしら別の能力の影響があったのではないかと考えている。
スバルの演説シーンも、とても重要であったと考える。卑下から始まるその演説は街でおびえる人々の心をつかみ、前を向かせることに成功する。周囲のスバルの評価を変えることとなる重要なシーンであると同時に、スバルが一人で戦うわけではなくなることを表すシーンでもあるのだ。英雄扱い。負けることが許されなくなった状態で、「いつも通りだ」とつぶやくスバルの姿とその覚悟には心動かされる物があった。
⑮『東京喰種 トーキョーグール』(アニメ1〜12話)
原作:石田スイ 監督:森田修平
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
平凡な学生カネキが恋したのは、人喰いの化け物喰種であった。ここから彼の運命の歯車は狂ってしまう。彼女に襲われたカネキは彼女の臓器を移植され、半喰種となってしまう。人ではなくなった彼は化け物と人間の狭間で苦しみ、そして新しい仲間に出会うことになる。
【感想・考察】
正義の反対は別の正義、を体現したかのような作品であると感じた。急に食べ物が食べれなくなり、人間を美味しそうに思ってしまう元人間という不安定な主人公の心情を表す悲痛な叫びなどが、作品の暗さをさらに強調していた。人間側からすれば喰種が、しかし喰種から見れば人間が絶対的悪になるその展開が、その中心にいるカネキ視点で描かれることにより、さらに悲痛なものになっているのだと考える。
また喰種の捕食器官である赫子による戦闘は、その武器の特殊さゆえに、他のアニメには無い独特な立ち回りを感じた。1期はこの戦闘シーンにおいて、一番勢いがあるシーズンであると考える。
このように、戦闘面そして精神面ともに、カネキの成長を通し物語が展開しているのだ。物語の最後、アオギリ樹加入という、原作とは違う展開で物語が進んでいく。
⑯『東京喰種 トーキョーグール√A』(アニメ1〜12話)
原作:石田スイ 監督:森田修平
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
東京では好戦的な喰種集団、アオギリの樹、CCG、あんていくの激しい攻防戦が繰り広げられていた。あんていくから去ったカネキはアオギリの樹に加わる。CCGは梟という強力な喰種を捜索し、あんていくの面々は危機に瀕していた。
【感想・考察】
1期で喰種と人間の狭間で苦しんでいたカネキは、今作では喰種としての生活をしている。ここでストーリーは喰種側、人間側2方向から進行し、物語が展開していく。これにより正義の裏は正義というテーマを、さらに強調しているのではないだろうか。
物語の最後に、カネキは自分が守りたいもののために行動する。しかし、守り切ることは出来ず、そして友人まで失ってしまうことになるのだ。燃える思い出の地を後に、友人の亡骸を抱え人間のもとへ歩く彼の静かな彼は、何を思っていたのだろうか。モノローグ無しで、ただ歩くその姿は、物語の終幕を淡々と告げるような役割を果たしていたと思った。
⑰『東京喰種 トーキョーグール:re』(アニメ1〜24話)
原作:石田スイ 監督:渡部穏寛
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
喰種を駆逐、研究するCCGが実験体集団を新設した。喰種の力を使い喰種を狩る彼等はクインクス(Qs)と呼ばれた。主人公佐々木琲世は彼らの指導役となり、喰種を狩るCCGの一員として戦う。
【感想・考察】
私はアニメのみ視聴していたため、最初は主人公が変わったことに驚いた。何の前触れもなく突如現れた新しい主人公佐々木琲世。しかし彼こそが、記憶を失った前作主人公カネキであったのだ。
東京喰種:reにおいて、カネキの見た目は何度か劇的に変化する。1期で人間と喰種の狭間にいたカネキは、2期で完全に喰種側になってしまっていた。3期であるreでは、CCGの一員、佐々木琲世と、喰種カネキの間で揺れ動くことになる。不安定な彼の立場や感情はその見た目に大きく反映され、読者にその様子を痛いほどに伝えてくるのだ。
この主人公の安定しない心情がこの作品の魅力であると考える。物語の最後、彼が出した結論は、喰種、そして人間の未来を大きく変える。それは彼が喰種と人間、どちらでもないからこその結末であった。カネキが何を守りたいのか。何のために戦うのか。種族の垣根を越えたその選択は、正義の反対は正義という壁を取り払う大きな行動となったのだ。
⑱『尾守つみきと奇日常』(単行本1〜7巻)
著:森下みゆ 小学館
【あらすじ】
多様性の時代とされる現代、「幻人」たちは人間と関わり合って生活していた。舞台は幻人たちが多く通う景希高校。そこに入学した人間の少年、真層友孝は過去の経験から人に合わせすぎて自分の気持ちが分からなくなっていた。そんな彼はウェアウルフの少女、尾守つみきと出会い、自分の気持ちを見つけていくのだった。
【感想・考察】
それぞれ違った特性を持った幻人のクラスメイト達。彼等はまたそれぞれ違った悩みを抱えていた。多様性を謳う世の中にあるちょっとした理不尽に、真正面からぶつかる尾守つみきとの姿と、それに影響され過去に立ち向かう真層友孝の成長は、微笑ましいものであると同時に、私達に立ち向かう勇気を与えてくれるものでもあると感じた。2人の関係性、そしてほのめかされる幻人と人間の恋愛問題についても、最後まで見届けたい作品である。
⑲『つめたいよるに デューク』(小説)
著:江國香織 新潮社
【あらすじ】
12月のとある日、一人の女が愛犬の死を悲しみ、大泣きしながら歩いていた。そんな彼女に一人の不思議な少年が声をかける。そんな少年になぜか、死んでしまった愛犬、デュークの面影を感じるのだった。
【感想・考察】
ペットを飼っていた人間なら、誰もが味わうこととなる別れの悲しみを、深く、そして丁寧に描いている作品であると感じた。「デュークが死んだ」と何度も繰り返すその表現は、死を受け入れられない主人公の情緒を生々しく描いている。作品全体を通しこの似たような文章を繰り返すことで、拭うことのできない悲しみや、埋めることのできない心の穴が見事に表現されているのだと考える。
最終的に少年がデュークなのか、生まれ変わりなのか。少年が人間だったのかなどは明かされずこの短編は終わる。この点を明確にしないからこそ、物語に余韻が生まれているのだ。
⑳僕の好きな人が好きな人(単行本1〜3巻)
原作:葵せきな 漫画:つづら涼 白泉社
【あらすじ】
主人公、秋月奏良は、思いを寄せていた後輩、不破美夜に告白するも「好きな人がいる」と振られてしまう。彼女の好きな人とは、生徒の様々な依頼を受ける謎の部活、治験部の部長、涼風朝陽。
朝陽の勧誘で治験部に入部することになった奏良だが、そこで朝陽にも幼い頃に出会った思い人がいることを知る。しかしその思い人は、実は秋月奏良だったのだ。
【感想・考察】
よくある三角関係のラブコメストーリーであるが、この作品の魅力はそのラブコメ要素だけではなく、恋敵同士の関係性にもあるのだ。この作品を通して秋月奏良は、想いを大切にするという考えを大切にしている。秋月は、恋を諦めようとする不破に対してその想いを大切にして欲しい、と背中を押すのだ。この3人の複雑な関係の入り混じこそが、この作品の魅力だと考える。
㉑『さらばウィリービンガム』(短編映画)
監督:Matt Richards
【あらすじ】
重犯罪を犯した囚人に対して、新たな量刑制度が設けられることになった。死刑より重いその罰、それは体の部位を少しずつ切断するというもの。刑は医療プロセスに基づき行われ、術後の痛みも少ない。しかし、その切断の内容や回数は被害者遺族が決めることができるのだ。
【感想・考察】
映画の中でこの刑が賛否両論だったように、もし現実に出来たとしても同じように意見が割れるか、反対される内容であると考えられる。刑が進むにつれ立ち会う被害者遺族は減り、ウィリーも、施術する医者もやつれていくその様子は、見ていて辛くなる。
週末になると問題児のいる高校などで見せしめとされるウィリーが、どんどん自分を見失っていく姿は、犯罪者といえど人間であるということを視聴者に思い出させる悲惨なものであった。刑に必要とされること、遺族が望むことについて今一度考えさせられる作品なのではないだろうか。
㉒『死のトンネル』
監督:Andrew Clabaugh、Alex Spear
【あらすじ】
とある家族の、海からの帰り道。同じ形の車が整然と並び、ゆっくりと進んでいく。しかしこれはただの渋滞ではない。その先に待つのは死のトンネル、増えすぎた人口を減らす、差別なき口減らしであった。静かな不穏さが続く、ディストピア・スリラー作品。
【感想・考察】
SF作品を書くにあたって、増え続ける人口をどうするのか?というのは作者の腕の見せ所であると考える。その点、この作品の死のトンネルという仕組みはシンプルで、しかし印象的なものであると言える。
家から出なければ良いなどの反論について、作品内で触れられることはない。ニュースでは直近いつトンネルが閉じたかが、淡々と報じられているのだ。まるで日常の一部かのようにそこにあり、人を殺している。生きるか死ぬか、その偶然の残酷さと、従うしかないであろう彼らの現状が、密かに描かれているのだと考えられる。
主人公の車はラスト、ギリギリでトンネルを抜ける。しかし主人公の息子が窓越しに目を合わせた少女の車は、トンネルの中に残されてしまうのだった。死と常に隣り合わせの生存の中で、サバイバーズ・ギルトに悩まされることとなるだろう。
生きるためには他者の犠牲を受け入れる必要があり、自分が次の犠牲者になる可能性に目を瞑らなければならない。その矛盾と葛藤こそがこの映画の魅力であると考える。
㉓『天国大魔境』(単行本1〜5巻)
【あらすじ】
文明が完全に崩壊した廃墟の日本、マルとキコルが旅をしていた。目的地は天国と呼ばれる場所。2人はそれぞれの目的を持ち、人喰いの化け物と戦いながら道を進む。一方、壁に囲まれた施設で外の世界を知らずに育つ子供たちがいた。子供たちはとある目的のため成長させられ、その陰謀は確実に進んでいる。そんな中、外の世界を夢見る子供がいた。この2つの視点から描かれる、近未来SFアドベンチャーである。
【感想・考察】
2つの視点で進むこの物語では、世界の謎が少しずつ解き明かされていく。特に人喰いの化け物ヒルコについては、その正体が人間であるという真実にたどり着くまでの布石が両方の視点から描かれていた。少しずつ世界の秘密が解き明かされるにつれ、新しい疑問が登場人物を襲う。この謎が謎を呼ぶ展開が世界に対する疑念や不安を増幅し、常に緊張感漂う展開を作り出す効果を生んでいると考えられる。
㉔『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』(単行本1〜2巻)
著:まるよのかもめ
【あらすじ】
主人公は望月美琴、21歳、営業事務。おっとり、ほんわかな彼女の幸せはドカ食い。カロリーオーバードーズで至る、不健康限界突破、禁断グルメギャグ作品。
【感想・考察】
同じ人間としては信じられない食生活の主人公だが、見ていてどこか満足感のある作品である。彼女の食欲は尋常ではなく、健康診断で絶食を余儀なくされた様子は正気の沙汰ではない。その様子のおかしさからインターネット上で度々話題に上がり、ネットミームとなっている姿を見かけることも多い。良い意味でも悪い意味でも、読者への影響が大きかった作品であると考えられる。一方で、2巻で登場する妹がタバスコ狂であり、姉と共通して食に関する問題を抱えているため、家庭の問題があったのではないか?という見方もされている。
どちらにせよ、登場人物の不健康さは戦慄するほどのものであり、たびたび現れる死神が一番健康などと言われる当作品で、主人公が最後まで生きていることを願うばかりである。
㉕『片田舎のおっさん、剣聖になる』(単行本1〜7巻)
原作:佐賀崎しげる、鍋島テツヒロ
漫画:乍藤和樹 秋田書店
【あらすじ】
片田舎の村で細々と剣術道場を営む男ベリル・ガーデナントは、かつての教え子アリューシアの計らいにより、騎士団付きの特別指南役として王都に向かう事になる。大成した弟子達と再会し、盛り立てられるベリルは自らを卑下するが、その剣の腕は本物であった。
【感想・考察】
展開としてはありふれたものであるが、この作品の魅力は戦闘シーンの迫力にあると考える。登場するキャラクター全員にそれぞれの剣術があり、戦いの中での信念や目標があるのだ。また他作品では省かれがちな立ち回りや、重心の移動、太刀筋の個人差が明確に描かれ、見ていて飽きることの無い戦いが多いのだ。キャラクターの信念、そして丁寧に描からる戦闘シーンこそが、この作品を魅力的なものにしているのだ。
上記したのは剣同士の戦いについてである。作品内には魔法が登場する。現実には無い現象を相手に、剣の腕一つで挑むベリルの戦い方は、読者の感情を沸き立たせるものであると言えるだろう。この剣術の評価というのはアニメ化でも顕著に表れ、その点において海外からの評価も高いのだ。
㉖『ルックバック』(映画)
原作:藤本タツキ 監督:押山清高
【あらすじ】
藤野と京本、2人の少女は、小学校の卒業新聞に漫画を載せることをきっかけに出会った。最初は藤野の一方的なライバル心であったが、引きこもりがちな京本に自分の漫画のファンだと言われ、やがて2人は一緒に漫画を描き始める。中学卒業後も創作に打ち込む日々を送るが、ある日を境に2人は違う道に進むこととなった。そしてそれぞれの思いを胸に、2人は創作活動を続ける。藤野は漫画家として成功した。しかし、そんな彼女の耳に京本の訃報が届くのだった。
【感想・考察】
描くという行為に向き合う2人のすれ違いに心打たれる物語であった。特に印象的なのは藤野の背中を映し、時間だけが過ぎていくという表現である。劇中何度か用いられるこの表現は、まるで京本が見て成長してきたであろう藤野の背中を見ているかのような印象を視聴者に与えているのではないだろうか。
まるであり得た別の世界を描くかのようなシーンと、残酷な現実のと対比、そしてそれでも机に向かうラストシーンの藤野の後ろ姿からは、描くことへの執着、没頭、熱意、孤独、様々な想いが感じられる。この作品は何かを描くすべての人の心をつかむ作品であったと思う。
㉗『グランド・ブダペスト・ホテル』(映画)
監督:ウェス・アンダーソン
【あらすじ】
ヨーロッパ随一の超高級ホテル、グランド・ブダペスト・ホテル。完璧なおもてなしが評判の伝説のコンシェルジュ、グスタヴ・Hは、富豪の常連客が殺された事件であらぬ疑いをかけられる。そして彼は、ベルボーイ見習いの少年ゼロと共に、ホテルで起きた殺人事件の解明に奔走する。
【感想・考察】
魅力的なキャラクター達が織りなすそのストーリーは、コメディ要素とシリアスな要素が見事に噛み合った作品である。特にグスタヴの毒舌と時折見せる優しさ、そして彼が持つ誇りの美しさと、それゆえに生まれるギャグシーンに心を掴まれる視聴者が多いと考える。
また彼に影響されたゼロが、だんだんウィットに富んだ発言をするようになる様子も、彼の成長を感じさせると共にコメディシーンとして成り立ち、感動と笑いを共存させるものであった。
また映像作品としても、どこを切り取っても華やかな画面であり、ミニチュアを見ているかのようなその世界観の作り込みが、より視聴者を物語に没頭させているのではないだろうか。
㉘『HANA-BI』(映画)
監督:北野武
【あらすじ】
不治の病を患う妻を抱える刑事の西。彼は犯人との銃撃戦により部下を失い、また同僚の堀部に重傷を負わせてしまう。そして残された時間で妻と過ごすため、そして堀部のために、銀行強盗を決行しヤクザに追われる身となる物語
【感想・考察】
北野武映画独特のカメラワークと、多くを語らないその世界観に吸い込まれるかのような作品。妻との逃避行の中、追いかけてくるヤクザと戦うシーンは、他作品には無い淡々とした空気とそれゆえの迫力がある。
ラストシーンでは、その結末を映像で描くことはなく、銃声とロングショットのみで、視聴者の想像力に委ねる形をとっている。この描き方により、西と妻との関係の儚さと、物語の余韻を大きく残しているのだと考える。
㉙『ペーパー・ムーン』(映画)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
【あらすじ】
だらしなく楽観的なペテン師、モーゼス・プレイは、かつての恋人の葬式で、自らの子供か定かではない、アディ・ロギンズと出会う。狡猾なアディはモーゼに借金をさせ、彼と共にコンビを組み返済のための旅を始めるのだ。
【感想・考察】
狡猾な子供と、楽観的なペテン師というデコボココンビが織りなすコメディ要素の中に、確かな2人の絆の成長を感じることができる、心温まる作品。
特にアディの演技が凄まじく、モーゼとのやり取りがまるで本当に行われているかのように感じた。
本当の親子かも分からない2人が徐々に心を許しあい、最終的にまた旅を共にする展開、そして映画ポスターの2人の写真に、笑いと感動が生まれる。
最後まで2人が本当の親子なのか明かされることはない。しかし、例え偽物の親子だとしても、信じることでその関係は本物の関係になりうるのだと、作品を通して表現しているのだ。
㉚『シックス・センス』(映画)
監督:M・ナイト・シャマラン
【あらすじ】
かつて担当していた患者に銃で撃たれた高名な精神科医、マルコム。彼は複雑な症状を抱えた少年コールの治療に取り掛かる。少年には特殊な第6感があり、その能力のためにいじめられたり、恐怖におののいたりするのだと言う。かつての患者にコールを重ねたマルコムは、少年を治療しながら、妻とうまくいかない自らの心にも安息を見いだしていく。
【感想・考察】
最後のどんでん返しが非常に話題となった作品であり、その話題性に負けない衝撃のラストであった。マルコムとコールの2人が共に認めあい、お互いを信頼することで変わっていくその展開は視聴者の心を温めると共に、それすらラストシーンへの布石であることに驚くこととなる。
思い返してみればマルコムは誰とも会話しておらず、冒頭撃たれたマルコムがどうなったのかは、描かれていなかった。最後の最後までその事実に気が付かず、ゆっくりと進む感動的な物語に隠された伏線が、ラストシーンで伝えられるその衝撃は忘れられない物となるだろう。
著:藤本タツキ 集英社
【あらすじ】
悪魔という存在が日常に蔓延る世界で、主人公デンジは父親の借金を返すため、チェンソーの悪魔ポチタと共にデビルハンターとしてド底辺の生活を送っていた。デンジ達はヤクザの斡旋の下、悪魔を駆除していたのだが、ある日、命の危機に陥ったことをきっかけに、唯一の友達だったポチタと融合し、デンジは悪魔の力を手に入れることとなった。やがて公安所属のデビルハンター、マキマに拾われ、「公安対魔特異4課」の一員として働くことになる。死の間際、ポチタと交わした「私の心臓をやるかわりにデンジの夢を見せてほしい」という契約を守るため、チェンソーの悪魔となったデンジは新たな生活を始め、過酷な運命に抗うのだ。
【感想・考察】
全体を通し、人智を越えた存在の描写がとても分かりやすく描かれていると考える。特に3巻、呪いの悪夢カースによるコマ枠外からのデコピンが印象的であった。コマ枠を飛び出すという表現はよくあるものだが、人では無い何かの存在を読者に明確に伝えるのに適した技法であると感じた。
またそのような存在に対する恐怖の描き方にも衝撃を受けるものが多かった。銃の悪魔被害による死亡者の名前をズラッと書き並べる演出や、闇の悪魔登場シーン、11人の真っ二つの宇宙飛行士などの印象が強い。この宇宙飛行士は、1997年までに事故死した宇宙飛行士の数と一致するようだ。人類の恐怖というものを示唆するのに、これ以上の物を見たことがないほど卓越した表現であると感じた。
藤本タツキの作風として、とても単調に物語が進む印象がある。登場キャラクターが、わりとあっさり死亡するのだ。そのため、読んでいてとてもテンポが良く、物語の進展が早いと感じた。その読みやすさは、登場人物の心情を長々と書かないことによる効果であると考える。しかし、まったく書かれていないわけではない。登場人物の死は、確実に残されたキャラクターに影響しているのだ。9巻アキの「怖気づきました」や、アキの死後アイスを吐くデンジなど、確かに描かれるその登場人物の成長や変化が、この作品の魅力なのだと考える。
②『チェンソーマン レゼ篇』(映画)
原作:藤本タツキ
監督:𠮷原達矢 脚本:瀬古浩司
【あらすじ】
原作単行本5巻86p〜6巻までの映画化。主人公デンジが偶然出会った少女、レゼに翻弄されながら、予測不能な運命へと突き進むボーイミーツガールの物語。デンジの新しいバディであるサメの魔人ビームや、天使の悪魔など主要キャラクターが登場する。
【感想・考察】
まず、物語としてのまとまりがとても良いと感じた。長さ的にも、展開的にも、映画化に適した原作部分であったのではないだろうか。
冒頭、いつも見る扉の夢のシーンは白黒から始まり、その後主題化『IRIS OUT』のMV的映像に繋がるため、画面の賑やかさのギャップで視聴者の心を掴んでいるように感じた。
全体を通して、このような急激な展開の切り替わりによる効果があったと考える。特にモンタージュ技術によって展開、構成がより魅力的になっていたのではないだろうか。特に、暗殺者から逃げるレゼのシーンにおけるカットモンタージュ、花火大会でのキスシーンにおけるマッチカットなどは、原作漫画には無い表現であり、映画作品としてさらに作品をよくする表現であったと感じた。
戦闘シーンの迫力は言うまでもないため割愛。ここでは台風の悪魔との戦闘について触れたい。台風の悪魔撃破時の、血しぶきが飛び散るシーンの脚色にて、原作では1コマだけであったこのシーンに、血が海のように街に流れるシーンが追加されていた。まるでエヴァの使徒撃破時のようなこのシーンは、そのオマージュだったのではないだろうか。
映画レゼ篇には、原作漫画ラストシーンよりほんの僅かに救いがあるのかもしれないと考えている。原作では喫茶店の中でデンジが花束を持っている様子を、レゼが視認できていたのか明確ではなかった。しかし映画では該当シーンがPOVショットとなり、まばたきのような演出が加えられているのである。この演出による微かな救いが、物語をより切ないものにし、出会えなかった二人を見た視聴者の余韻を強固なものにしているのではないだろうか。
最後、レゼが訪れなかった喫茶店にパワーが訪れ物語は幕を閉じるのだが、冒頭以来のパワーの登場により日常に戻っていく雰囲気が、よりレゼとの日常の儚さを演出しているように感じた。
③『光の死んだ夏』(単行本1巻〜6巻)
著:モクモクれん KADOKAWA
【あらすじ】
とある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、光が行方不明になってしまう。帰ってきたのは、光の姿をした、しかし光ではないナニカだった。例え偽物でも、代わりだとしても一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとよしきの奇妙な関係を描く、青春ホラー作品。
【感想・考察】
日常に潜む、人ならざる者という恐怖。知り合いや、親しい人が同じような状態になってしまったら、きっと恐れ慄くだろう。私がそのような価値観を持っているからこそ、光とよしきの異様な共依存関係が、より魅力的に感じるのだと思う。
ナニカに入れ替わった光は度々人ならざる価値観を出してしまう。しかしその根本にある寂しさや悲しみがそのナニカのキャラクターを魅力的にすると同時に、光が死んだという現実を叩きつける証拠となり、よしきにダメージを与えているのだ。
はじめは光の代わりとしてナニカを扱っていたよしきも、関係を重ねるうちに彼そのものに向き合うようになる。ナニカもまたよしきとの関係をきっかけに成長していく。この2人の歪な関係とその成長こそがこの作品の魅力であると考える。
物語は現在この2人の成長を中心に、ナニカの正体を探るというストーリー展開である。2人の現実に向き合うその姿を、最後まで見届けたいと思う。
④『怪獣8号 第1期』(アニメ)
原作:松本直也
制作:Production I.G 監督:宮繁之、神谷友美
【あらすじ】
怪獣が人々の生活を脅かす世界。怪獣と戦う日本防衛隊になる夢を諦め、怪獣の死体を片付ける清掃業に就いていた日比野カフカは、ある出会いをきっかけに再び夢を追い始める。しかしその矢先、謎の怪獣によって、怪獣に変化する力を得てしまう。それでも夢を諦めず、カフカは怪獣災害に立ち向かう。
【感想・考察】
物語の始まり、カフカが現状を肯定しようと自分に言い聞かせようとする場面で、対照的に描かれる汚く狭い部屋や、散乱したレトルト食品のごみなどが、夢を諦めた中年男性の現実を生々しく描いているように感じた。このような主人公が力を手に入れるという展開はありふれたものだが、この作品の魅力はそのありふれた主人公カフカの自分への向き合い方にあると考える。
スーツや武器の力をまったく引き出せないカフカは紛れもない防衛隊の落ちこぼれだ。しかしその逆境の中あきらめないその姿が、他の隊員や様々な人物影響を与えていくのだ。彼の素の人間力で築かれていく仲間との関係が、カフカが怪獣であることが露呈した時の展開をより魅力的なものにしていると考えられる。11話にて連行されるカフカに、同乗する上官へのものと称して敬礼するシーンは、特に心揺さぶられるものであった。
映像としては、ゴジラやエヴァの影響を受けていると考えられるシーンが多々見られるように感じた。カフカの一撃必殺的な攻撃により飛び散る怪獣の血液や臓物は、まさにエヴァの使徒のようである。しかし怪獣撃破後に降り注ぐ血の雨、そこに立ち尽くす怪獣8号という絵はこの作品特有のものであり、怪獣8号を象徴するシーンなのではないだろうか。
⑤『怪獣8号 第2期』(アニメ)
原作:松本直也 監督:宮繁之
制作:Production I.G
【あらすじ】
四ノ宮功の判断によって兵器化を免れた怪獣8号・日比野カフカ。そんな彼の前に現れたのは、第1 部隊を率いる防衛隊最強の男・鳴海弦だった。新しい環境にて、カフカは防衛隊の戦力として、新たな生活を始めることになる。防衛隊には暗躍する怪獣9号の脅威も迫り、防衛隊に史上最大の危機が訪れようとしていた。新世代の防衛隊は、この危機を乗り越えることができるのだろうか。
【感想・考察】
第2期ではカフカが自身の持つ怪獣の力と向き合うということについて描かれる。怪獣の力を使いすぎると元に戻れないかもしれない、という事実を知った後も、カフカは戦うことを選ぶのだ。カフカを想う仲間の反応と、カフカのその選択との対比が、彼らが築いてきた関係性を象徴しているのだと考えられる。
また、第2期では他の隊員の成長も描かれる。とある隊員が、努力では変えられない才能という壁を前に、仲間に嫉妬や妬みの感情をぶつけてしまうシーンは、第1期のカフカのような葛藤を想起させた。しかし彼は最終的に仲間を助け、後を追いかける。主人公カフカ同様に、諦めず、前に進むその姿勢と成長こそがこの物語の鍵なのだ。
第2期は、第1期と比べ人型の強力な怪獣が複数登場する。そのため第1期のようなエヴァやゴジラのオマージュ的な描写は減り、変わりにその怪獣の強さを示唆する表現が多いように感じた。その中でも特に23話の怪獣15号戦闘時におけるPOVショットが印象に残っている。そのため戦闘のメリハリという点では第2期のほうが魅力があるのではないかと考える。
⑥『俺だけレベルアップな権』
原作:DUBU、Chugong、h-goon 監督:中重俊祐
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
舞台は異次元と現世界を結ぶゲートという物が登場発生した世界。そこでは特殊能力を発言する人間が現れ、ハンターといえ職業が生まれた。そんな中、人類最弱兵器と呼ばれる主人公水篠旬は、ある事件をきっかけに自分だけがレベルアップする能力を手に入れる。降りかかる試練を乗り越え、水篠旬は力を求め前に進むのだ。
【感想・考察】
このようなカラー漫画作品のアニメ化は始めて視聴したため、「原作がそのまま動いている!」という印象を普通の漫画のアニメ化より強く感じたように思える。これはメリットである一方、デメリットにもなり得た。私は漫画のアニメ化の大きなメリットは、色が付き、動くことだと考えている。そのため、元から色があるこのような作品において、序盤における動きに対する感動が少ないように感じたのだ。しかし、このアニメの魅力は成長にあるように、その動きに対する感動も、物語が進むと共に進歩していたのではないかと考える。その変化は、戦闘シーンで強く見られる。
前半は泥臭い戦い方が目立つ主人公であったが、物語が進むにつれレベルが上がり、戦闘のテンポや動きが良くなる。その追体験がより戦闘シーンを魅力的にする同時に、カメラワークにも変化を与えているのだと考える。序盤に比べ、明らかにダイナミックに、そして様々な視点で動いているのだ。特に物語終盤のイグリット戦は、多様な視点から描かれる。POVショットや俯瞰視点などを高速に切り替えるその手法は、視聴者に対する「動き」というものへの感動を増幅させているのだ。
主人公の成長と同期して、カメラや映像の動きも素早くなるこの作品は、追体験による新たな感動を与えてくれる作品であった。
⑦『俺だけレベルアップな権 Season2 -Arise from the Shadow-』
原作:DUBU、Chugong、h-goon 監督:中重俊祐
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
レベルアップを続ける水篠旬は、母親の病気を治す薬を作る、という新たな目標のために戦いを続ける。そんな中、過去に多くのハンターが挑むもクリアに失敗した架南島のゲートからは、アリの脅威が迫っていた。
【感想・考察】
Season1と比べ、人間ドラマが多い印象であった。レベルアップによる力を得た水篠旬の人間関係は複雑化し、その裏では様々な権力争いや陰謀が起こることになる。戦闘面だけでなく、このような人間関係の中で彼に守りたい人や物が増えていく様子も、この作品の魅力であると考える。
物語終盤では、水篠旬の強さは圧倒的なものとなる。その戦闘の爽快さは、Season1からの成長の追体験があるからこそ、より際立つものなのではないだろうか。
⑧『その着せ替え人形は恋をする Season2』(アニメ)
原作:福田晋一 監督:篠原啓輔
制作:Clover Works
【あらすじ】
雛人形を作る頭師を目指す五条若菜と、同じクラスの人気者、喜多川海夢。コスプレを通じて交流を深める2人は文化祭でのクラスメイトとの関わりや、新しいコスプレ仲間との出会いの中で、さらに関係を深めていく。
【感想・考察】
この作品で一番特徴的な点は、アニメの中でアニメを流すという、複数のメディアを混在した状態を作り出す点である。Season2ではとあるゲーム作品のコスプレをするのだが、そのゲームを五条若菜がプレイするシーンでは、実際にそのゲーム画面が画面に映っているかのように描写しているのだ。コスプレにおける作品を知ることの大切さという、五条若菜が大切にしている行動を追体験させるこの表現があることにより、視聴者はより作品に、てコスプレに没入することが出来ているのではないだろうか。
またSeason2ではクラスメイトとの関わりが五条に大きな影響を与えている。物語の根幹にもある好きな事をするのはおかしくない、という考えを、クラスメイトを通して改めて実感し、自信を持っていく彼の姿は、視聴者にそれまでとは別の感動を与えているのだ。
⑨『ホリミヤ』(アニメ)
原作:HERO、萩原ダイスケ 監督:石浜真史
制作:Clover Works
【あらすじ】
成績優秀、容姿端麗、クラスの人気者である堀京子は、家では共働きの両親に代わって家事や弟の面倒を見る家庭的な女子高生であった。そんなある日、ケガをした弟を送り届けてくれた宮村伊澄と出会い彼の秘密を知ってしまう。彼らを中心に広がる、でこぼこで、されど心温かい人間関係を描く群像劇。
【感想・考察】
最初に、全体的に大幅に物語がカットされていた。1クールのアニメとして綺麗に収められていたが、カットされている分、原作と比べ展開の早さを若干感じてしまった。ホリミヤ-piece-において追加で人気エピソード描かれているため、こちらも視聴することをオススメしたい。
この作品の魅力は堀京子、宮村伊澄の2人による、お互いの知らていない姿を知ることから始まる。かなり距離の近い状態から始まる2人の関係であるが、関係が進展するにつれ今までにはない表情を見せたり、反応をする2人の独特な距離感は、読者に新鮮な恋愛ストーリーを見せてくれる。またこの2人以外の人間関係においても、クセの強いキャラクターが多く、見ていて飽きない作品であった。
⑩『ソードアート・オンライン』(アニメ1〜25話)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
フルダイブシステムが発展した世界、主人公キリトは「ソードアート・オンライン」というVRゲームをスタートする。しかしそれは制作者の野望によって開かれた、ゲームオーバー=死のデスゲームだったのだ。主人公キリトはゲームをクリアし、現実世界に戻ることができるのだろうか。
【感想・考察】
シリーズを通し一番視聴者の心を揺さぶり、感動させたのは、この最初の物語であると私は考える。実際にVRゲームが大きく発展している現代において、そしてさらに発展するであろうこれからの時代で、この作品に対する認識も大きく変化するのではないだろうか。
アニメ全体を通してPOVショットによる影響が大きいように感じた。実際にゲームをプレイしている登場人物の視点を見るその追体験は視聴者の没入感をより強固なものにしている。特にゲームからログイン出来ないことが発覚するシーンでは、これにより不穏感が高まっていたと考える。
作中におけるソードアート・オンラインというゲームは、様々な人間に影響を与え、多くの火種を残し、これからのシリーズ全てに関係してくる。たかがゲームのデータという認識を覆すストーリー展開、そしてキリトの選択と行動は、その後の物語全体に影響を与えているのだと考える。
⑪『ソードアート・オンラインⅡ』(アニメ1〜24話)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
ゲーム、ソードアート・オンラインから無事帰還したキリト。SAO生還者として目をつけられたキリトは総務省から依頼を受け、ガンゲイルオンラインというゲームに潜入することになった。目的はゲーム内の銃撃で実際に人を殺すと噂の「デスガン」の調査であった。そのゲームでキリトは凄腕のスナイパー、シノンと出会うことになる。
【感想・考察】
前作同様、POVショットによる描写が見られるが、それに加えスコープ越しの視点、弾道の追従というものがよく用いられるようになっている。これは前作が剣と魔法が中心の戦いであるのに比べ、基本銃撃戦のガンゲイルオンラインとの大きな差である。そのような戦闘において、スローモーション映像を挟むことにより、映像にメリハリをつけているのではないかと感じた。
後半クールに登場する、ユウキというキャラクターも、物語に大きく影響を与えている。ヒロインのアスナは、病気で死ぬ間際のユウキから、特別なスキルを授かる。この技は後々の作品で登場し、視聴者にユウキの存在を想起させる。この技はたかがゲームのデータといえど、それ以上の意味や価値を持つ。そしてここには、それらを受け継ぎ、繋いでいくという、シリーズを通した想いが描かれているのではないだろうか。
⑫『劇場版ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール-』(映画)
原作:川原礫 監督:伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
【あらすじ】
AR型情報端末オーグマーが発売され、専用ゲームオーディナル・スケール(OS)が爆発的に人気になった。キリト一行もプレイするのだが、その途中、今は存在しないはずのSAOのボスが登場するイベントの情報を手に入れる。OSの裏で動く野望に、キリト達は新たな戦いを始める。
【感想・考察】
これは劇場版書き下ろしストーリーとなっている。すでに類似するAR機器の発売が可能になっていることを考えると、この映画のような問題が起こってもおかしくない未来も遠くないのかもしれない。そう考えると、この作品も別視点から楽しむことができた。
ストーリー展開的には原作者書き下ろしストーリーということもあり、まったく違和感なく視聴することができた。物語後半、人々を救うため仲間が集結するシーンでは、SAOⅡにおけるユウキの技なども登場し、ベタでありながらもシリーズにおける積み重ねを感じる展開であった。
今回の事件の発端であるSAO被害者について、事件記録全集に1文記述されるという物語の締め方も、受け継いで、紡いでいくというシリーズの流れを感じるものであった。
⑬『百瀬アキラの初恋破綻中。』(単行本1〜2巻)
著:晴川シンタ 小学館
【あらすじ】
ド田舎に暮らす少年、久我山はじめのもとに帰ってきた、かつての憧れの同級生、百瀬アキラ実は彼女は、大好きなはじめと結ばれるため、周到な計画を立てて田舎に帰ってきていた!! しかし、超不器用なアキラの計画は、いつもだいぶ空回り。 一方はじめも超鈍感&先走り体質で、めちゃくちゃにすれ違ってしまう。果たして2人は、思い描いた未来へ進めるのか。
【感想・考察】
この作品を読んでいて特に印象に残るのは、物語冒頭に挟まる田舎エピソードプロローグである。鎮座する鹿、駆除されたツキノワグマ、ツチノコ捕獲イベント等々、数コマで終わるにも関わらず印象が強い。これらのエピソードは作者の故郷が参考にされているらしい。このプロローグが物語における閑話休題の役割を果たし、ストーリーにメリハリを出しているのではないだろうか。はじめとアキラのグダグダ恋愛にこのような要素が加わることで、2人のうまくいかない奇妙な関係がラブコメ展開に進む繋ぎの役割となり、ギャグと恋愛が織りなす魅力的な作品となっているのではないだろうか。
⑭『Re:ゼロから始める異世界生活 3rd season』(アニメ51〜66話)
原作:長月達平 監督:篠原正寛
制作:WHITE FOX
【あらすじ】
聖域での戦いから1年が過ぎ、エミリア陣営も平穏な日々を送っていた。しかしその平和は、1枚の書状によって終わりを告げる。アナスタシアの使者としてやってきたヨシュアとミミによって届けられたのは、水門都市プリステラへの招待状。そこには、エミリアが探していた魔晶石を持つ商人がいるという。物語は幕を開け、スバルの新たな戦いが始まった。
【感想・考察】
3期では大きく分けて、スバルの周囲からの認識の変化、そして戦闘という要素が描かれていた。特徴的なのは死に戻りというこの作品のメインともなる能力があまり使われなかった点にある。今まではその死に戻り能力によって情報を得ていたため、今作では上手く行きすぎているとすら思えたのだ。私は原作小説を読んでいないためあくまで推測にしかならないが、ここでは何かしら別の能力の影響があったのではないかと考えている。
スバルの演説シーンも、とても重要であったと考える。卑下から始まるその演説は街でおびえる人々の心をつかみ、前を向かせることに成功する。周囲のスバルの評価を変えることとなる重要なシーンであると同時に、スバルが一人で戦うわけではなくなることを表すシーンでもあるのだ。英雄扱い。負けることが許されなくなった状態で、「いつも通りだ」とつぶやくスバルの姿とその覚悟には心動かされる物があった。
⑮『東京喰種 トーキョーグール』(アニメ1〜12話)
原作:石田スイ 監督:森田修平
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
平凡な学生カネキが恋したのは、人喰いの化け物喰種であった。ここから彼の運命の歯車は狂ってしまう。彼女に襲われたカネキは彼女の臓器を移植され、半喰種となってしまう。人ではなくなった彼は化け物と人間の狭間で苦しみ、そして新しい仲間に出会うことになる。
【感想・考察】
正義の反対は別の正義、を体現したかのような作品であると感じた。急に食べ物が食べれなくなり、人間を美味しそうに思ってしまう元人間という不安定な主人公の心情を表す悲痛な叫びなどが、作品の暗さをさらに強調していた。人間側からすれば喰種が、しかし喰種から見れば人間が絶対的悪になるその展開が、その中心にいるカネキ視点で描かれることにより、さらに悲痛なものになっているのだと考える。
また喰種の捕食器官である赫子による戦闘は、その武器の特殊さゆえに、他のアニメには無い独特な立ち回りを感じた。1期はこの戦闘シーンにおいて、一番勢いがあるシーズンであると考える。
このように、戦闘面そして精神面ともに、カネキの成長を通し物語が展開しているのだ。物語の最後、アオギリ樹加入という、原作とは違う展開で物語が進んでいく。
⑯『東京喰種 トーキョーグール√A』(アニメ1〜12話)
原作:石田スイ 監督:森田修平
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
東京では好戦的な喰種集団、アオギリの樹、CCG、あんていくの激しい攻防戦が繰り広げられていた。あんていくから去ったカネキはアオギリの樹に加わる。CCGは梟という強力な喰種を捜索し、あんていくの面々は危機に瀕していた。
【感想・考察】
1期で喰種と人間の狭間で苦しんでいたカネキは、今作では喰種としての生活をしている。ここでストーリーは喰種側、人間側2方向から進行し、物語が展開していく。これにより正義の裏は正義というテーマを、さらに強調しているのではないだろうか。
物語の最後に、カネキは自分が守りたいもののために行動する。しかし、守り切ることは出来ず、そして友人まで失ってしまうことになるのだ。燃える思い出の地を後に、友人の亡骸を抱え人間のもとへ歩く彼の静かな彼は、何を思っていたのだろうか。モノローグ無しで、ただ歩くその姿は、物語の終幕を淡々と告げるような役割を果たしていたと思った。
⑰『東京喰種 トーキョーグール:re』(アニメ1〜24話)
原作:石田スイ 監督:渡部穏寛
制作:studioぴえろ
【あらすじ】
喰種を駆逐、研究するCCGが実験体集団を新設した。喰種の力を使い喰種を狩る彼等はクインクス(Qs)と呼ばれた。主人公佐々木琲世は彼らの指導役となり、喰種を狩るCCGの一員として戦う。
【感想・考察】
私はアニメのみ視聴していたため、最初は主人公が変わったことに驚いた。何の前触れもなく突如現れた新しい主人公佐々木琲世。しかし彼こそが、記憶を失った前作主人公カネキであったのだ。
東京喰種:reにおいて、カネキの見た目は何度か劇的に変化する。1期で人間と喰種の狭間にいたカネキは、2期で完全に喰種側になってしまっていた。3期であるreでは、CCGの一員、佐々木琲世と、喰種カネキの間で揺れ動くことになる。不安定な彼の立場や感情はその見た目に大きく反映され、読者にその様子を痛いほどに伝えてくるのだ。
この主人公の安定しない心情がこの作品の魅力であると考える。物語の最後、彼が出した結論は、喰種、そして人間の未来を大きく変える。それは彼が喰種と人間、どちらでもないからこその結末であった。カネキが何を守りたいのか。何のために戦うのか。種族の垣根を越えたその選択は、正義の反対は正義という壁を取り払う大きな行動となったのだ。
⑱『尾守つみきと奇日常』(単行本1〜7巻)
著:森下みゆ 小学館
【あらすじ】
多様性の時代とされる現代、「幻人」たちは人間と関わり合って生活していた。舞台は幻人たちが多く通う景希高校。そこに入学した人間の少年、真層友孝は過去の経験から人に合わせすぎて自分の気持ちが分からなくなっていた。そんな彼はウェアウルフの少女、尾守つみきと出会い、自分の気持ちを見つけていくのだった。
【感想・考察】
それぞれ違った特性を持った幻人のクラスメイト達。彼等はまたそれぞれ違った悩みを抱えていた。多様性を謳う世の中にあるちょっとした理不尽に、真正面からぶつかる尾守つみきとの姿と、それに影響され過去に立ち向かう真層友孝の成長は、微笑ましいものであると同時に、私達に立ち向かう勇気を与えてくれるものでもあると感じた。2人の関係性、そしてほのめかされる幻人と人間の恋愛問題についても、最後まで見届けたい作品である。
⑲『つめたいよるに デューク』(小説)
著:江國香織 新潮社
【あらすじ】
12月のとある日、一人の女が愛犬の死を悲しみ、大泣きしながら歩いていた。そんな彼女に一人の不思議な少年が声をかける。そんな少年になぜか、死んでしまった愛犬、デュークの面影を感じるのだった。
【感想・考察】
ペットを飼っていた人間なら、誰もが味わうこととなる別れの悲しみを、深く、そして丁寧に描いている作品であると感じた。「デュークが死んだ」と何度も繰り返すその表現は、死を受け入れられない主人公の情緒を生々しく描いている。作品全体を通しこの似たような文章を繰り返すことで、拭うことのできない悲しみや、埋めることのできない心の穴が見事に表現されているのだと考える。
最終的に少年がデュークなのか、生まれ変わりなのか。少年が人間だったのかなどは明かされずこの短編は終わる。この点を明確にしないからこそ、物語に余韻が生まれているのだ。
⑳僕の好きな人が好きな人(単行本1〜3巻)
原作:葵せきな 漫画:つづら涼 白泉社
【あらすじ】
主人公、秋月奏良は、思いを寄せていた後輩、不破美夜に告白するも「好きな人がいる」と振られてしまう。彼女の好きな人とは、生徒の様々な依頼を受ける謎の部活、治験部の部長、涼風朝陽。
朝陽の勧誘で治験部に入部することになった奏良だが、そこで朝陽にも幼い頃に出会った思い人がいることを知る。しかしその思い人は、実は秋月奏良だったのだ。
【感想・考察】
よくある三角関係のラブコメストーリーであるが、この作品の魅力はそのラブコメ要素だけではなく、恋敵同士の関係性にもあるのだ。この作品を通して秋月奏良は、想いを大切にするという考えを大切にしている。秋月は、恋を諦めようとする不破に対してその想いを大切にして欲しい、と背中を押すのだ。この3人の複雑な関係の入り混じこそが、この作品の魅力だと考える。
㉑『さらばウィリービンガム』(短編映画)
監督:Matt Richards
【あらすじ】
重犯罪を犯した囚人に対して、新たな量刑制度が設けられることになった。死刑より重いその罰、それは体の部位を少しずつ切断するというもの。刑は医療プロセスに基づき行われ、術後の痛みも少ない。しかし、その切断の内容や回数は被害者遺族が決めることができるのだ。
【感想・考察】
映画の中でこの刑が賛否両論だったように、もし現実に出来たとしても同じように意見が割れるか、反対される内容であると考えられる。刑が進むにつれ立ち会う被害者遺族は減り、ウィリーも、施術する医者もやつれていくその様子は、見ていて辛くなる。
週末になると問題児のいる高校などで見せしめとされるウィリーが、どんどん自分を見失っていく姿は、犯罪者といえど人間であるということを視聴者に思い出させる悲惨なものであった。刑に必要とされること、遺族が望むことについて今一度考えさせられる作品なのではないだろうか。
㉒『死のトンネル』
監督:Andrew Clabaugh、Alex Spear
【あらすじ】
とある家族の、海からの帰り道。同じ形の車が整然と並び、ゆっくりと進んでいく。しかしこれはただの渋滞ではない。その先に待つのは死のトンネル、増えすぎた人口を減らす、差別なき口減らしであった。静かな不穏さが続く、ディストピア・スリラー作品。
【感想・考察】
SF作品を書くにあたって、増え続ける人口をどうするのか?というのは作者の腕の見せ所であると考える。その点、この作品の死のトンネルという仕組みはシンプルで、しかし印象的なものであると言える。
家から出なければ良いなどの反論について、作品内で触れられることはない。ニュースでは直近いつトンネルが閉じたかが、淡々と報じられているのだ。まるで日常の一部かのようにそこにあり、人を殺している。生きるか死ぬか、その偶然の残酷さと、従うしかないであろう彼らの現状が、密かに描かれているのだと考えられる。
主人公の車はラスト、ギリギリでトンネルを抜ける。しかし主人公の息子が窓越しに目を合わせた少女の車は、トンネルの中に残されてしまうのだった。死と常に隣り合わせの生存の中で、サバイバーズ・ギルトに悩まされることとなるだろう。
生きるためには他者の犠牲を受け入れる必要があり、自分が次の犠牲者になる可能性に目を瞑らなければならない。その矛盾と葛藤こそがこの映画の魅力であると考える。
㉓『天国大魔境』(単行本1〜5巻)
【あらすじ】
文明が完全に崩壊した廃墟の日本、マルとキコルが旅をしていた。目的地は天国と呼ばれる場所。2人はそれぞれの目的を持ち、人喰いの化け物と戦いながら道を進む。一方、壁に囲まれた施設で外の世界を知らずに育つ子供たちがいた。子供たちはとある目的のため成長させられ、その陰謀は確実に進んでいる。そんな中、外の世界を夢見る子供がいた。この2つの視点から描かれる、近未来SFアドベンチャーである。
【感想・考察】
2つの視点で進むこの物語では、世界の謎が少しずつ解き明かされていく。特に人喰いの化け物ヒルコについては、その正体が人間であるという真実にたどり着くまでの布石が両方の視点から描かれていた。少しずつ世界の秘密が解き明かされるにつれ、新しい疑問が登場人物を襲う。この謎が謎を呼ぶ展開が世界に対する疑念や不安を増幅し、常に緊張感漂う展開を作り出す効果を生んでいると考えられる。
㉔『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』(単行本1〜2巻)
著:まるよのかもめ
【あらすじ】
主人公は望月美琴、21歳、営業事務。おっとり、ほんわかな彼女の幸せはドカ食い。カロリーオーバードーズで至る、不健康限界突破、禁断グルメギャグ作品。
【感想・考察】
同じ人間としては信じられない食生活の主人公だが、見ていてどこか満足感のある作品である。彼女の食欲は尋常ではなく、健康診断で絶食を余儀なくされた様子は正気の沙汰ではない。その様子のおかしさからインターネット上で度々話題に上がり、ネットミームとなっている姿を見かけることも多い。良い意味でも悪い意味でも、読者への影響が大きかった作品であると考えられる。一方で、2巻で登場する妹がタバスコ狂であり、姉と共通して食に関する問題を抱えているため、家庭の問題があったのではないか?という見方もされている。
どちらにせよ、登場人物の不健康さは戦慄するほどのものであり、たびたび現れる死神が一番健康などと言われる当作品で、主人公が最後まで生きていることを願うばかりである。
㉕『片田舎のおっさん、剣聖になる』(単行本1〜7巻)
原作:佐賀崎しげる、鍋島テツヒロ
漫画:乍藤和樹 秋田書店
【あらすじ】
片田舎の村で細々と剣術道場を営む男ベリル・ガーデナントは、かつての教え子アリューシアの計らいにより、騎士団付きの特別指南役として王都に向かう事になる。大成した弟子達と再会し、盛り立てられるベリルは自らを卑下するが、その剣の腕は本物であった。
【感想・考察】
展開としてはありふれたものであるが、この作品の魅力は戦闘シーンの迫力にあると考える。登場するキャラクター全員にそれぞれの剣術があり、戦いの中での信念や目標があるのだ。また他作品では省かれがちな立ち回りや、重心の移動、太刀筋の個人差が明確に描かれ、見ていて飽きることの無い戦いが多いのだ。キャラクターの信念、そして丁寧に描からる戦闘シーンこそが、この作品を魅力的なものにしているのだ。
上記したのは剣同士の戦いについてである。作品内には魔法が登場する。現実には無い現象を相手に、剣の腕一つで挑むベリルの戦い方は、読者の感情を沸き立たせるものであると言えるだろう。この剣術の評価というのはアニメ化でも顕著に表れ、その点において海外からの評価も高いのだ。
㉖『ルックバック』(映画)
原作:藤本タツキ 監督:押山清高
【あらすじ】
藤野と京本、2人の少女は、小学校の卒業新聞に漫画を載せることをきっかけに出会った。最初は藤野の一方的なライバル心であったが、引きこもりがちな京本に自分の漫画のファンだと言われ、やがて2人は一緒に漫画を描き始める。中学卒業後も創作に打ち込む日々を送るが、ある日を境に2人は違う道に進むこととなった。そしてそれぞれの思いを胸に、2人は創作活動を続ける。藤野は漫画家として成功した。しかし、そんな彼女の耳に京本の訃報が届くのだった。
【感想・考察】
描くという行為に向き合う2人のすれ違いに心打たれる物語であった。特に印象的なのは藤野の背中を映し、時間だけが過ぎていくという表現である。劇中何度か用いられるこの表現は、まるで京本が見て成長してきたであろう藤野の背中を見ているかのような印象を視聴者に与えているのではないだろうか。
まるであり得た別の世界を描くかのようなシーンと、残酷な現実のと対比、そしてそれでも机に向かうラストシーンの藤野の後ろ姿からは、描くことへの執着、没頭、熱意、孤独、様々な想いが感じられる。この作品は何かを描くすべての人の心をつかむ作品であったと思う。
㉗『グランド・ブダペスト・ホテル』(映画)
監督:ウェス・アンダーソン
【あらすじ】
ヨーロッパ随一の超高級ホテル、グランド・ブダペスト・ホテル。完璧なおもてなしが評判の伝説のコンシェルジュ、グスタヴ・Hは、富豪の常連客が殺された事件であらぬ疑いをかけられる。そして彼は、ベルボーイ見習いの少年ゼロと共に、ホテルで起きた殺人事件の解明に奔走する。
【感想・考察】
魅力的なキャラクター達が織りなすそのストーリーは、コメディ要素とシリアスな要素が見事に噛み合った作品である。特にグスタヴの毒舌と時折見せる優しさ、そして彼が持つ誇りの美しさと、それゆえに生まれるギャグシーンに心を掴まれる視聴者が多いと考える。
また彼に影響されたゼロが、だんだんウィットに富んだ発言をするようになる様子も、彼の成長を感じさせると共にコメディシーンとして成り立ち、感動と笑いを共存させるものであった。
また映像作品としても、どこを切り取っても華やかな画面であり、ミニチュアを見ているかのようなその世界観の作り込みが、より視聴者を物語に没頭させているのではないだろうか。
㉘『HANA-BI』(映画)
監督:北野武
【あらすじ】
不治の病を患う妻を抱える刑事の西。彼は犯人との銃撃戦により部下を失い、また同僚の堀部に重傷を負わせてしまう。そして残された時間で妻と過ごすため、そして堀部のために、銀行強盗を決行しヤクザに追われる身となる物語
【感想・考察】
北野武映画独特のカメラワークと、多くを語らないその世界観に吸い込まれるかのような作品。妻との逃避行の中、追いかけてくるヤクザと戦うシーンは、他作品には無い淡々とした空気とそれゆえの迫力がある。
ラストシーンでは、その結末を映像で描くことはなく、銃声とロングショットのみで、視聴者の想像力に委ねる形をとっている。この描き方により、西と妻との関係の儚さと、物語の余韻を大きく残しているのだと考える。
㉙『ペーパー・ムーン』(映画)
監督:ピーター・ボグダノヴィッチ
【あらすじ】
だらしなく楽観的なペテン師、モーゼス・プレイは、かつての恋人の葬式で、自らの子供か定かではない、アディ・ロギンズと出会う。狡猾なアディはモーゼに借金をさせ、彼と共にコンビを組み返済のための旅を始めるのだ。
【感想・考察】
狡猾な子供と、楽観的なペテン師というデコボココンビが織りなすコメディ要素の中に、確かな2人の絆の成長を感じることができる、心温まる作品。
特にアディの演技が凄まじく、モーゼとのやり取りがまるで本当に行われているかのように感じた。
本当の親子かも分からない2人が徐々に心を許しあい、最終的にまた旅を共にする展開、そして映画ポスターの2人の写真に、笑いと感動が生まれる。
最後まで2人が本当の親子なのか明かされることはない。しかし、例え偽物の親子だとしても、信じることでその関係は本物の関係になりうるのだと、作品を通して表現しているのだ。
㉚『シックス・センス』(映画)
監督:M・ナイト・シャマラン
【あらすじ】
かつて担当していた患者に銃で撃たれた高名な精神科医、マルコム。彼は複雑な症状を抱えた少年コールの治療に取り掛かる。少年には特殊な第6感があり、その能力のためにいじめられたり、恐怖におののいたりするのだと言う。かつての患者にコールを重ねたマルコムは、少年を治療しながら、妻とうまくいかない自らの心にも安息を見いだしていく。
【感想・考察】
最後のどんでん返しが非常に話題となった作品であり、その話題性に負けない衝撃のラストであった。マルコムとコールの2人が共に認めあい、お互いを信頼することで変わっていくその展開は視聴者の心を温めると共に、それすらラストシーンへの布石であることに驚くこととなる。
思い返してみればマルコムは誰とも会話しておらず、冒頭撃たれたマルコムがどうなったのかは、描かれていなかった。最後の最後までその事実に気が付かず、ゆっくりと進む感動的な物語に隠された伏線が、ラストシーンで伝えられるその衝撃は忘れられない物となるだろう。
横澤颯太
RES
1 『炎炎の消防隊』(アニメ)
【あらすじ】
人体発火現象によって全身が炎によって包まれ変異し暴れる「焔ビト」とそれによって引き起こされる脅威と戦う特殊消防官を描いた作品
【考察】
家族や仲間との絆を描くと同時に、宗教が持つ救いの力とそれに伴う盲目的な信仰が表れている作品だと感じた。
2 『夜の果てまで』(小説)
【あらすじ】
二年前の秋からつきあっていた女の子から別れ話をされた大学生の俊介は、バイト先のコンビニで必ずチョコレートを万引きしていく一回りも年上の人妻である涌井裕理子との恋に落ちていく。
【考察】
裕理子は、家庭内では抑圧された立場にある上に歳の差からも自分たちの関係に葛藤していたのだが、主人公の熱意によってその心が動かされると同時に主人公の人生のために身をひく判断をする場面が人の心の機微が描かれていると感じた。
3 『異端の祝祭』(小説)
【あらすじ】
物心ついた時から異形のモノが見える島本笑美は、その影響で就職浪人性となっていた。
ある日、ダメもとで受けた大手食品会社に就職することができたのだが、会社の【研修】で異様な光景を目撃する。
【考察】
民俗学的なホラーでありながらキリスト教の要素も取り入れられており、信仰と愛によって人が救われると同時に歪んでいく様子が繊細に描かれているとかんじた。
4 『トム・ソーヤの冒険』(小説)
【あらすじ】
アメリカのミシシッピ川沿いの村に住むわんぱく少年のトムが殺人事件の目撃や宝探しなど、数々の冒険を繰り広げる物語。
【考察】
最初はただの悪知恵の働く悪ガキのように描かれていたが、中盤にトムを思って家族が
涙を流している姿を見たことによって誇り高く勇敢な少年へと成長したということがわかる。
5 『阿保たれウィルソン』(小説)
【あらすじ】
血筋の16分の1が黒人の奴隷ロキシーが、自らが仕える白人判事の赤ん坊と、自分の赤ん坊を入れ替えた。それから20年、町で起きた事件をきっかけに、「阿保たれ」と呼ばれ続けた弁護士ウィルソンの推理が光りだす。
【考察】
人間の性格が周囲の環境によって後天的に形成されるものであるため、黒人であるはずのロキシーの息子は横柄に育つのだが、その事実が発覚した原因は周囲の環境などは関係のない指紋であるということが対照的に描かれていると感じた。
6 『チェンソーマン』(アニメ)
【あらすじ】
父親の借金返済のためにデビルハンターとして働くデンジが、愛犬ポチタの心臓と引き換えにチェンソーマンとして蘇り、公安のデビルハンターとなるダークファンタジー。
【考察】
陰鬱な展開が続いても主人公たちがそれを気にせずにお気楽な言動を繰り広げるため、
そういったものを気にせずに読むことができるのだが、そのお気楽さが失われた瞬間に
絶望や喪失感が大きく感じられる。
7 『平穏世代の韋駄天たち』(アニメ)
【あらすじ】
「韋駄天」と呼ばれる、戦いの神々が世界を破滅へと導いていく魔族を封じ込め800年が経った。しかし、現代の「韋駄天」たちは生まれて以来一度も戦ったことがないのだが、何者かに復活させられた魔族たちと戦うことになってしまった。
【考察】
「韋駄天」は不死身であり、あくまで世界を守るため神様の価値観で戦いを進めていくのに対して、敵側は家族や仲間を戦場から避難させるなど人間味があり、敵側に感情移入しやすい構成になっていると考えられる。
8 『鬼滅の刃』(漫画)
【あらすじ】
鬼となってしまった妹の禰豆子を人間に戻すために、鬼殺隊に入り色々な人を助けながら、その方法を探す物語。
【考察】
本作では人と人の繋がりが丁寧に描かれており、それを振り払ってしまった者が鬼へと身を墜としてしまったのだと考えられる。
9 『ジョーカー』
【あらすじ】
コメディアンを目指すアーサーが社会によって「ジョーカー」へと変貌していく過程を描いた物語。
【考察】
アーサーという一人のコメディアンを笑い者にする社会と、「ジョーカー」を象徴として支持する民衆によって、心優しい青年が狂気的な殺人者へと変貌してしまったのだと考える。
10 『暴落』(小説)
【あらすじ】
自分の価値が株価のようにインターネットで公表されている世界に生きる男の物語。
【考察】
下心ありきではあるが、多くの人が善行を積む社会は生まれたのだが、落伍者や自分に恩恵がないならば見捨てるなど社会の持つ冷たさは更に過酷になっていると考えられる。
11 『受難』(小説)
【あらすじ】
飲み会の帰り意識を失っていた男性は、目覚めると閉ざされたビルのはざまに手錠でつながれていた。
【考察】
偶然通りかかった人に声をかけてみても、手錠につながれている姿を見ると大きな態度をとられるなど、弱者を見つけて安心するような冷たい社会の在り方が描かれている。
12 『鼻』(小説)
【あらすじ】
人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」はテングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。
【考察】
自分が持つコンプレックスが、歪んだ認知を助長してしまうという現代のミソジニー的な要素が含まれているように感じられた。
13 『水晶のピラミッド』(小説)
【あらすじ】
エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが5000年の時空を超えて甦り、空中30メートルの密室で男が「溺死」を遂げる。
【考察】
エジプトという古代の建造物を謎の舞台にしながらも、現代の人類が生み出した兵器が
謎の根幹を担っていることが面白い点だと感じられる。
14 『眩暈』(小説)
【あらすじ】
切断された男女が合成され、両性具有者となって甦る。醜悪な現実世界に奇想と驚天動地のトリックの矢を放つ。
【考察】
ミステリー小説でありながらトリックは中盤で明かされており、本作では謎の解明よりもそれによって生じる人物の心の成長に焦点が当てられていると感じた。
15 『名探偵の生贄』(小説)
【あらすじ】
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョージタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地へと乗り込む。
【考察】
常軌を逸したカルト教団の本拠地で、それすらも凌駕する主人公の強固な信念が美しく
感じられる。
16 『慟哭』(小説)
【あらすじ】
痛ましい幼女誘拐事件の誘発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音、マスコミによる私生活言及。この緊迫した状況下で、新しい展開は始まった。
【考察】
本筋の話と並行して娘を失った男が黒魔術に傾倒していく様子が見られることから、人間の持つ狂気と社会の残酷さが表れていると感じた。
17 『噂』(小説)
【あらすじ】
香水の新ブランド「ミリエル」の販売戦略として、渋谷で女子校生に「足首を刈り取るレインマン」の都市伝説を広めさせるが、やがてその噂が現実のものとなる。
【考察】
親が子供を想う気持ちや子供が親に言いたいことは上手く伝わらないのに、根も葉もない「噂」は形を変えながらも様々な人へと簡単に広まっていくという皮肉な構成がとられていると考えられる。
18 『魔性の子』(小説)
【あらすじ】
教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気にかかる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐めた者が不慮の事故にあうため、「高里は祟る」と恐れられている。
【考察】
最後に高里は自分の在るべき故郷へと戻ってしまった、シンパシーを感じていた広瀬は
再びこの世界で孤独な存在になってしまったと考えられる。
19 『スイートマイホーム』(小説)
【あらすじ】
主人公の清沢賢二が購入した地下に巨大な暖房施設がある「まほうの家」が、やがて一家に恐怖をもたらす。
【考察】
家族やマイホームといった希望に満ちた暖かい未来を想起させる設定があることによって、家に生じる違和感や人間関係の不和によって足元が崩れていくような雰囲気が感じられる。
20 『ダークゾーン』(小説)
【あらすじ】
暗闇の中、赤い怪物として目覚めたプロ棋士を目指す塚田は「青の軍勢」と戦えと命じられる。
【考察】
序盤から主人公を突き動かしていた「戦い続けろ」という言葉が、初めは自分を鼓舞して進むための言葉であると捉えていたが、物語が終わるとこの言葉が現在から進みたくないという停滞の言葉なのだと考えられる。
21 『悪の教典』(小説)
【あらすじ】
生徒や保護者から信頼を集める高校教師の男。非の打ち所のないその男の正体は他人への共感や良心を持たず、平然と人を殺す反社会性人格障害者だった。
【考察】
良心を持たない男の計画的な凶行を、友達を想う子供の偶発的な行動によって阻止されるという構成が上手いと感じた。
22 『弱虫ペダル』(アニメ)
【あらすじ】
アニメ好きの高校生小野田坂道が、ひょんなことから高校の自転車競技部に入部し、自転車の才能を開花させていく青春ストーリー。
【考察】
初めは自転車の才能があるだけでだったのだが、友人の言葉や様々な経験によってチームのために全力を尽くすような一人の自転車選手となっていったように感じられる。
23 『ミルキー☆サブウェイ』(アニメ)
【あらすじ】
銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナが、奉仕活動として惑星間走行列車「ミルキー☆サブウェイ」の清掃を課される。
【考察】
キャラクターデザインや設定はいかにもアニメ調でありながら、演技や行動がアニメらしくなく、休み時間の何気ない会話のようなものが続くため新鮮さが感じられる。
24 『僕のヒーローアカデミア』(漫画)
【あらすじ】
超常能力『個性』を持つ人々が当たり前となった世界で、個性を持たない少年・緑谷出久が最高のヒーローを目指す物語。
【考察】
ヒーローが市民のために戦う社会だったが、終盤では市民が手を取り合ってヒーローの必要ないような平和な社会を目指すという落としどころに、主要なキャラクターだけでもなくそれを取り巻く人々も成長していることが感じられる。
25 『プリズマイリヤ 雪下の誓い』(アニメ)
【あらすじ】
あらゆる願いを無差別に叶える神稚児だった美遊。士郎は、切嗣と暮らしていた家に、身寄りのない彼女を引き取った。それから、5年。美遊が持つ奇蹟の力を得るために動き出した一人の男に美遊が連れ去られてしまい、彼女を助けるための孤独な戦いが始まる。
【考察】
世界を救うヒーローに憧れていた士郎がたった一人の妹を救うために世界と闘うという構図と、妹の幸せを望む士郎の願いを叶えるという構成が綺麗だと感じられた。
26 『サカモトデイズ』(漫画)
【あらすじ】
かつて「伝説の殺し屋」と恐れられた坂本太郎は愛する女性に恋をして引退し、家族と「坂本商店」という個人商店を営んでいる。そして、次々と迫りくる刺客や巨大な組織からこの平和な日常を守るために戦う物語。
【考察】
街中で殺し屋との戦闘が行われるのだが、周囲の反応はとても緩いものであり、激戦と周囲の緩い反応のギャップが独特な面白さを引き出している。
27 『やがて君になる』(アニメ)
【あらすじ】
人に恋する感情がわからない高校生・小糸侑が、誰に告白されても相手を好きになれない生徒会長の七海燈子に出会い、互いの秘密を知ることで関係が深まっていく物語。
【考察】
燈子は本当の自分を他人には見せず、亡くなった「姉らしく」と演じている自分に惹かれる人を受け入れられないのだが、主人公の侑は燈子を「好きにならない」と語ったため、恋に落ちた。しかし、侑は燈子への想いを隠しながら燈子を好きにならないと語っており、本当の自分を隠して望まれた姿を演じている。そのため、燈子は演じている姿を好きと呼ばれる苦痛を知っているのだが、無意識にその苦痛を好きな人に与えてしまっている。
28 『ヘンタイプリズン』(ゲーム)
【あらすじ】
露出狂である主人公は露出を繰り返したことで公然わいせつ罪で逮捕されてしまい、全国各地で更生不可能と判断された性犯罪者を集められたチューリッププリズンへと収監されてしまう。
【考察】
プリズンの中では露出や盗撮といった性癖は侮辱されてしまう。しかし、主人公は性癖とは人の根幹であり、それを侮辱することはその人物そのものを否定する行為だと考えている。それらのことから例え自分が人とは異なっていたとしてもそれは、誇るべきものだと暗に示しているのだと考えられる。
29 『ソウルイーター』(アニメ)
【あらすじ】
「職人」と「武器」がペアとなり、悪人の魂99個と魔女の魂1個を食べることで、死神の武器である「デスサイズ」を作り出すことを目指す物語。
【考察】
作中では全ての人間が胸の中に「狂気」を持ち得ており、最後の敵はその狂気に呑まれた存在であるのだが、それを誰もが持ち得ている「勇気」という力で倒すという対比的な構成になっていると考えられる。
30 『戦記絶唱シンフォギア』(アニメ)
【あらすじ】
人を飲み込んで炭素に変えてしまう認定特異災害ノイズに対抗するため、歌を身にまとうシンフォギアシステムが確立された世界で、立花響はガングニールを身にまとい大切な人たちを守るために戦う物語。
【考察】
人類は統一の言語を持たないため現実でも心を通い合わせることは困難であるが、歌にはその壁を取り払い人々の心を一つにする力があるということが明示されている。
【あらすじ】
人体発火現象によって全身が炎によって包まれ変異し暴れる「焔ビト」とそれによって引き起こされる脅威と戦う特殊消防官を描いた作品
【考察】
家族や仲間との絆を描くと同時に、宗教が持つ救いの力とそれに伴う盲目的な信仰が表れている作品だと感じた。
2 『夜の果てまで』(小説)
【あらすじ】
二年前の秋からつきあっていた女の子から別れ話をされた大学生の俊介は、バイト先のコンビニで必ずチョコレートを万引きしていく一回りも年上の人妻である涌井裕理子との恋に落ちていく。
【考察】
裕理子は、家庭内では抑圧された立場にある上に歳の差からも自分たちの関係に葛藤していたのだが、主人公の熱意によってその心が動かされると同時に主人公の人生のために身をひく判断をする場面が人の心の機微が描かれていると感じた。
3 『異端の祝祭』(小説)
【あらすじ】
物心ついた時から異形のモノが見える島本笑美は、その影響で就職浪人性となっていた。
ある日、ダメもとで受けた大手食品会社に就職することができたのだが、会社の【研修】で異様な光景を目撃する。
【考察】
民俗学的なホラーでありながらキリスト教の要素も取り入れられており、信仰と愛によって人が救われると同時に歪んでいく様子が繊細に描かれているとかんじた。
4 『トム・ソーヤの冒険』(小説)
【あらすじ】
アメリカのミシシッピ川沿いの村に住むわんぱく少年のトムが殺人事件の目撃や宝探しなど、数々の冒険を繰り広げる物語。
【考察】
最初はただの悪知恵の働く悪ガキのように描かれていたが、中盤にトムを思って家族が
涙を流している姿を見たことによって誇り高く勇敢な少年へと成長したということがわかる。
5 『阿保たれウィルソン』(小説)
【あらすじ】
血筋の16分の1が黒人の奴隷ロキシーが、自らが仕える白人判事の赤ん坊と、自分の赤ん坊を入れ替えた。それから20年、町で起きた事件をきっかけに、「阿保たれ」と呼ばれ続けた弁護士ウィルソンの推理が光りだす。
【考察】
人間の性格が周囲の環境によって後天的に形成されるものであるため、黒人であるはずのロキシーの息子は横柄に育つのだが、その事実が発覚した原因は周囲の環境などは関係のない指紋であるということが対照的に描かれていると感じた。
6 『チェンソーマン』(アニメ)
【あらすじ】
父親の借金返済のためにデビルハンターとして働くデンジが、愛犬ポチタの心臓と引き換えにチェンソーマンとして蘇り、公安のデビルハンターとなるダークファンタジー。
【考察】
陰鬱な展開が続いても主人公たちがそれを気にせずにお気楽な言動を繰り広げるため、
そういったものを気にせずに読むことができるのだが、そのお気楽さが失われた瞬間に
絶望や喪失感が大きく感じられる。
7 『平穏世代の韋駄天たち』(アニメ)
【あらすじ】
「韋駄天」と呼ばれる、戦いの神々が世界を破滅へと導いていく魔族を封じ込め800年が経った。しかし、現代の「韋駄天」たちは生まれて以来一度も戦ったことがないのだが、何者かに復活させられた魔族たちと戦うことになってしまった。
【考察】
「韋駄天」は不死身であり、あくまで世界を守るため神様の価値観で戦いを進めていくのに対して、敵側は家族や仲間を戦場から避難させるなど人間味があり、敵側に感情移入しやすい構成になっていると考えられる。
8 『鬼滅の刃』(漫画)
【あらすじ】
鬼となってしまった妹の禰豆子を人間に戻すために、鬼殺隊に入り色々な人を助けながら、その方法を探す物語。
【考察】
本作では人と人の繋がりが丁寧に描かれており、それを振り払ってしまった者が鬼へと身を墜としてしまったのだと考えられる。
9 『ジョーカー』
【あらすじ】
コメディアンを目指すアーサーが社会によって「ジョーカー」へと変貌していく過程を描いた物語。
【考察】
アーサーという一人のコメディアンを笑い者にする社会と、「ジョーカー」を象徴として支持する民衆によって、心優しい青年が狂気的な殺人者へと変貌してしまったのだと考える。
10 『暴落』(小説)
【あらすじ】
自分の価値が株価のようにインターネットで公表されている世界に生きる男の物語。
【考察】
下心ありきではあるが、多くの人が善行を積む社会は生まれたのだが、落伍者や自分に恩恵がないならば見捨てるなど社会の持つ冷たさは更に過酷になっていると考えられる。
11 『受難』(小説)
【あらすじ】
飲み会の帰り意識を失っていた男性は、目覚めると閉ざされたビルのはざまに手錠でつながれていた。
【考察】
偶然通りかかった人に声をかけてみても、手錠につながれている姿を見ると大きな態度をとられるなど、弱者を見つけて安心するような冷たい社会の在り方が描かれている。
12 『鼻』(小説)
【あらすじ】
人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。外科医の「私」はテングたちを救うべく、違法とされるブタへの転換手術を決意する。
【考察】
自分が持つコンプレックスが、歪んだ認知を助長してしまうという現代のミソジニー的な要素が含まれているように感じられた。
13 『水晶のピラミッド』(小説)
【あらすじ】
エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが5000年の時空を超えて甦り、空中30メートルの密室で男が「溺死」を遂げる。
【考察】
エジプトという古代の建造物を謎の舞台にしながらも、現代の人類が生み出した兵器が
謎の根幹を担っていることが面白い点だと感じられる。
14 『眩暈』(小説)
【あらすじ】
切断された男女が合成され、両性具有者となって甦る。醜悪な現実世界に奇想と驚天動地のトリックの矢を放つ。
【考察】
ミステリー小説でありながらトリックは中盤で明かされており、本作では謎の解明よりもそれによって生じる人物の心の成長に焦点が当てられていると感じた。
15 『名探偵の生贄』(小説)
【あらすじ】
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョージタウン。調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地へと乗り込む。
【考察】
常軌を逸したカルト教団の本拠地で、それすらも凌駕する主人公の強固な信念が美しく
感じられる。
16 『慟哭』(小説)
【あらすじ】
痛ましい幼女誘拐事件の誘発。難航する捜査。その責めを負って冷徹な捜査一課長も窮地に立たされた。若手キャリアの課長をめぐる警察内部の不協和音、マスコミによる私生活言及。この緊迫した状況下で、新しい展開は始まった。
【考察】
本筋の話と並行して娘を失った男が黒魔術に傾倒していく様子が見られることから、人間の持つ狂気と社会の残酷さが表れていると感じた。
17 『噂』(小説)
【あらすじ】
香水の新ブランド「ミリエル」の販売戦略として、渋谷で女子校生に「足首を刈り取るレインマン」の都市伝説を広めさせるが、やがてその噂が現実のものとなる。
【考察】
親が子供を想う気持ちや子供が親に言いたいことは上手く伝わらないのに、根も葉もない「噂」は形を変えながらも様々な人へと簡単に広まっていくという皮肉な構成がとられていると考えられる。
18 『魔性の子』(小説)
【あらすじ】
教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気にかかる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐めた者が不慮の事故にあうため、「高里は祟る」と恐れられている。
【考察】
最後に高里は自分の在るべき故郷へと戻ってしまった、シンパシーを感じていた広瀬は
再びこの世界で孤独な存在になってしまったと考えられる。
19 『スイートマイホーム』(小説)
【あらすじ】
主人公の清沢賢二が購入した地下に巨大な暖房施設がある「まほうの家」が、やがて一家に恐怖をもたらす。
【考察】
家族やマイホームといった希望に満ちた暖かい未来を想起させる設定があることによって、家に生じる違和感や人間関係の不和によって足元が崩れていくような雰囲気が感じられる。
20 『ダークゾーン』(小説)
【あらすじ】
暗闇の中、赤い怪物として目覚めたプロ棋士を目指す塚田は「青の軍勢」と戦えと命じられる。
【考察】
序盤から主人公を突き動かしていた「戦い続けろ」という言葉が、初めは自分を鼓舞して進むための言葉であると捉えていたが、物語が終わるとこの言葉が現在から進みたくないという停滞の言葉なのだと考えられる。
21 『悪の教典』(小説)
【あらすじ】
生徒や保護者から信頼を集める高校教師の男。非の打ち所のないその男の正体は他人への共感や良心を持たず、平然と人を殺す反社会性人格障害者だった。
【考察】
良心を持たない男の計画的な凶行を、友達を想う子供の偶発的な行動によって阻止されるという構成が上手いと感じた。
22 『弱虫ペダル』(アニメ)
【あらすじ】
アニメ好きの高校生小野田坂道が、ひょんなことから高校の自転車競技部に入部し、自転車の才能を開花させていく青春ストーリー。
【考察】
初めは自転車の才能があるだけでだったのだが、友人の言葉や様々な経験によってチームのために全力を尽くすような一人の自転車選手となっていったように感じられる。
23 『ミルキー☆サブウェイ』(アニメ)
【あらすじ】
銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間のチハルとサイボーグのマキナが、奉仕活動として惑星間走行列車「ミルキー☆サブウェイ」の清掃を課される。
【考察】
キャラクターデザインや設定はいかにもアニメ調でありながら、演技や行動がアニメらしくなく、休み時間の何気ない会話のようなものが続くため新鮮さが感じられる。
24 『僕のヒーローアカデミア』(漫画)
【あらすじ】
超常能力『個性』を持つ人々が当たり前となった世界で、個性を持たない少年・緑谷出久が最高のヒーローを目指す物語。
【考察】
ヒーローが市民のために戦う社会だったが、終盤では市民が手を取り合ってヒーローの必要ないような平和な社会を目指すという落としどころに、主要なキャラクターだけでもなくそれを取り巻く人々も成長していることが感じられる。
25 『プリズマイリヤ 雪下の誓い』(アニメ)
【あらすじ】
あらゆる願いを無差別に叶える神稚児だった美遊。士郎は、切嗣と暮らしていた家に、身寄りのない彼女を引き取った。それから、5年。美遊が持つ奇蹟の力を得るために動き出した一人の男に美遊が連れ去られてしまい、彼女を助けるための孤独な戦いが始まる。
【考察】
世界を救うヒーローに憧れていた士郎がたった一人の妹を救うために世界と闘うという構図と、妹の幸せを望む士郎の願いを叶えるという構成が綺麗だと感じられた。
26 『サカモトデイズ』(漫画)
【あらすじ】
かつて「伝説の殺し屋」と恐れられた坂本太郎は愛する女性に恋をして引退し、家族と「坂本商店」という個人商店を営んでいる。そして、次々と迫りくる刺客や巨大な組織からこの平和な日常を守るために戦う物語。
【考察】
街中で殺し屋との戦闘が行われるのだが、周囲の反応はとても緩いものであり、激戦と周囲の緩い反応のギャップが独特な面白さを引き出している。
27 『やがて君になる』(アニメ)
【あらすじ】
人に恋する感情がわからない高校生・小糸侑が、誰に告白されても相手を好きになれない生徒会長の七海燈子に出会い、互いの秘密を知ることで関係が深まっていく物語。
【考察】
燈子は本当の自分を他人には見せず、亡くなった「姉らしく」と演じている自分に惹かれる人を受け入れられないのだが、主人公の侑は燈子を「好きにならない」と語ったため、恋に落ちた。しかし、侑は燈子への想いを隠しながら燈子を好きにならないと語っており、本当の自分を隠して望まれた姿を演じている。そのため、燈子は演じている姿を好きと呼ばれる苦痛を知っているのだが、無意識にその苦痛を好きな人に与えてしまっている。
28 『ヘンタイプリズン』(ゲーム)
【あらすじ】
露出狂である主人公は露出を繰り返したことで公然わいせつ罪で逮捕されてしまい、全国各地で更生不可能と判断された性犯罪者を集められたチューリッププリズンへと収監されてしまう。
【考察】
プリズンの中では露出や盗撮といった性癖は侮辱されてしまう。しかし、主人公は性癖とは人の根幹であり、それを侮辱することはその人物そのものを否定する行為だと考えている。それらのことから例え自分が人とは異なっていたとしてもそれは、誇るべきものだと暗に示しているのだと考えられる。
29 『ソウルイーター』(アニメ)
【あらすじ】
「職人」と「武器」がペアとなり、悪人の魂99個と魔女の魂1個を食べることで、死神の武器である「デスサイズ」を作り出すことを目指す物語。
【考察】
作中では全ての人間が胸の中に「狂気」を持ち得ており、最後の敵はその狂気に呑まれた存在であるのだが、それを誰もが持ち得ている「勇気」という力で倒すという対比的な構成になっていると考えられる。
30 『戦記絶唱シンフォギア』(アニメ)
【あらすじ】
人を飲み込んで炭素に変えてしまう認定特異災害ノイズに対抗するため、歌を身にまとうシンフォギアシステムが確立された世界で、立花響はガングニールを身にまとい大切な人たちを守るために戦う物語。
【考察】
人類は統一の言語を持たないため現実でも心を通い合わせることは困難であるが、歌にはその壁を取り払い人々の心を一つにする力があるということが明示されている。
3年山本
RES
1.「海のはじまり」
<あらすじ>
大学時代に恋人だった南雲水季(なぐも・みずき)が亡くなったことをきっかけに、主人公の月岡夏(つきおか・なつ)が水季と自分の娘である「海」と出会う物語です。7年間、夏に隠されたまま育てられていた娘・海と、亡き元恋人・水季との関係を通じて、夏は父親としての役割に向き合い、親子の絆を描いていく。
<感想>
登場人物それぞれが、今の状況を受け入れるしかなくて、今後どうすれば良いのか考えながらいけない状況にいて、それぞれの思いや悩みを持っていた。特に弥生の状況が、今付き合っている恋人に子どもがいたと知り、子どもを一緒に育てるのか、恋人と別れるのか考えなければならずとても辛いものだった。夏が海と向き合い親子を築き上げていく様子を親子の感情や絆など丁寧に描かれていた。
2.「ちひろさん」
<あらすじ>
元風俗嬢であることを隠そうとせず、海辺の小さな街にある弁当屋でひょうひょうと働く女性。それぞれの孤独を抱えた人たちが、彼女のもとに引き寄せられるように集まり癒やされていく。
<感想>
取り繕ったりせず等身大の姿でどんな人にでも接するちひろさんが、孤独を抱える人たちにとってかけがえのない救いになっていたのだと感じる。そんなちひろさんだが、街の人と親密になると街を離れるという1番孤独を抱えていて、孤独を手放せない人物であるというのが最後に分かり切なかった。孤独を知っているからこそ、ちひろさんは人に優しくできるのだと思った。
3.「薫る花は凛と咲く」
<あらすじ>
お嬢様学校に通う「和栗 薫子(わぐり かおるこ)」と、底辺男子校の「紬 凛太郎(つむぎ りんたろう)」が、隣接する二校の溝を乗り越え、互いに心を開きながら関係を深めていく高校生ラブストーリー。
<感想>
見た目の偏見や誤解、相手を知ろうとする努力など少女漫画のラブストーリー以外のリアルな問題要素も入っているのがこの作品の魅力であると感じた。ありのままの自分をさらけ出すこと、それを受け入れる覚悟を持つことが重要であり、お互いの欠点や変化を受け入れて関係を築いていく様子をみることができた。
4.「その着せ替え人形は恋をする」
<あらすじ>
ある日の出会いをきっかけに、コスプレを通して交流を深めていく喜多川海夢 まりんと五条新菜 わかな。まだまだやりたいコスプレ、作りたい衣装はいっぱい。クラスメイトたちとの交流や、新しいコスプレ仲間たちとの出会いの中で、海夢と新菜の世界はさらに広がっていく。そして、新菜にドキドキのとまらない海夢の恋に進展はあるのか―!?
<感想>
登場人物全員が、好きなことに一直線でかっこよかった。コスプレなどまだオープンには言いづらいような趣味でも受け入れることやそれを打ち明ける勇気など改めて考えるきっかけになった。自分の好きなことを周りに認めてもらえて、素直に好きなものを好きでいられる空間が素敵だなと感じた。
5.「汝星のごとく」
<あらすじ>
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。 ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
<感想>
まず最初に「私は愛する男のために人生を誤りたい。」という文に惹かれ、この本を読み始めた。人間の愚かさと美しさを繊細に描いていて、どんどん物語の世界に引き込まれて読むのが大変だった。主人公ふたりの心の純粋さと自分の大切なものを大切にしながら生きていく難しさなどが伝わりとても面白かった。
6.「星を編む」
<あらすじ>
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編
花火のように煌めいて、届かぬ星を見上げて、海のように見守って、いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。わたしたちは幸せだったのかもしれないね。
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
<感想>
いろんな愛の形があるのだと教えてくれた作品である。偏って歪んでみえる愛でもその人たちにとってはその愛はとても深いもので、周りには分からない想いがあるのだと知ることができた。愛について知ることができる、とても繊細で綺麗な作品だと思った。
7.「国宝」
<あらすじ>
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
<感想>
人間国宝と呼ばれるレベルに至るまで様々な苦しさや失ったものが大きすぎて終始圧巻だった。吉沢亮と横浜流星の女形がとても美しかった。舞台に立つとその世界から抜け出せなくなる感覚や歌舞伎しか考えられない、依存のようなものをここまで表現できて素晴らしいなと思った。
8.「ビリギャル」
<あらすじ>
遊んでばかりで勉強をしない女子高生。心配した母親が学習塾に通わせると、彼女の学力は小学校4年生レベルと判断される。しかし彼女は第一志望としてトップレベルの大学を宣言。塾講師の男性は巧みな指導で彼女のやる気を引き出し、徐々に本気にさせていく。
<感想>
塾の先生と主人公の母親が、主人公の気持ちを大事にして、可能性を見捨てないであげていてとても素晴らしいと思った。そして、主人公もその想いに応えるように精一杯努力する姿に感動した。
9.「母性」
<あらすじ>
ある日、女子高生である娘・清佳(永野芽郁)が自宅の庭で遺体となって発見されます。発見したのは母のルミ子(戸田恵梨香)で、事件の原因は事故なのか自殺なのか、真相は不明なまま世間は騒ぎます。
<感想>
母、娘のそれぞれの視点から語られる回想や手記で物語は進んでいくが、同じ時間、同じ出来事のはずなのに母と娘の証言が次第に食い違っていくのが怖くて面白かった。母と娘の関係はとても難しいなと感じた。
10「ラストレター」
<あらすじ>
姉の葬儀に参列した岸辺野裕里は、亡き姉のもとに同窓会の案内が届いていたことを知る。やがて姉の死を知らせに同窓会に向かった彼女は、姉本人と勘違いされた挙げ句、そこで初恋の相手と再会。人違いであることを言い出せず、小説家となった彼と手紙のやり取りを始める。
<感想>
直接会えなくても誰かのことを言葉や思い出で救えたり支えられたりできることがとても素敵だと思った。キャストが豪華で自然な演技で良かった。
11.「今夜、世界からこの恋が消えても」
<あらすじ>
無気力に生きる高校生の神谷透は、人気者の真織に無謀な嘘の告白をする。ところが意外にも本気で好きにならないことを条件に告白は受け入れられ、2人は付き合うことになる。
<感想>
切ない想いや悲しさなど泣ける部分がとても多かったが、作品自体が柔らかい空気感で作られていてとても良かった。福本莉子の儚さや柔らかさと道枝駿佑の透明感や美しさがとても合っていた。
12.「溺れるナイフ」
<あらすじ>
東京の雑誌モデルだった望月夏芽が、父の故郷である田舎町・浮雲町に引っ越したことから始まる青春ラブストーリーです。田舎に退屈する夏芽は、その土地の神主一族の跡取り息子である長谷川航一朗(コウ)と出会い、激しく惹かれ合います。しかし、彼らの関係は夏祭りの夜に起きたある出来事をきっかけに大きく変わります。
<感想>
惹かれ合う2人がある事件の発生によって狂ってしまう様子が辛かった。危うさがあるからこそ沼ってしまうコウの魅力を菅田将暉が素敵に演じていたと思う。大友が良い奴だからこそ辛かった。
13.「ツレがうつになりまして。」
<あらすじ>
晴子はマイナス思考で怠け者の漫画家。バリバリと仕事をこなすしっかり者の夫・幹男に甘えて、のんびりと暮らしていた。そんなある日、幹男が突然「死にたい」と言い出す。うつ病と診断された彼を支えるうちに前向きな性格へと変わっていった晴子は、2人の生活を漫画に描き、編集部へ売り込みに行く。
<感想>
鬱病について少しだけでも知れる映画だと思った。鬱病の夫に寄り添う妻の優しさが伝わった。堺雅人の演技が良かった。
14.「劇場版 コードブルー」
<あらすじ>
ある日、巨大フェリーが東京湾の海ほたるに衝突。そして、成田空港では航空機緊急着陸事故が起こる。連続する大事故をめぐり、被害者たちを医療機関へ搬送するドクターヘリに乗ったフライトドクターたちが、人々の命を救いに出る。
<感想>
救命救急の医師たちの想いと患者の想いをリアルに描いていた。脳死の患者と向き合う姿が印象に残った。臓器提供について考えるきっかけになった。
15.「神様のカルテ」
<あらすじ>
医師不足で僻地医療問題を抱える、とある長野の病院の内科医。地方医療の厳しい現実と向き合いながら、24時間365日体制の激務を仲間の医師と共にこなしていた。そんなある日、大学病院で手遅れと見放された高齢の末期ガン患者が彼らのいる病院を訪ねてくる。
<感想>
地方医療の現場に存在する問題や延命治療など現代社会の医療問題について考えさせられる作品だった。私の地元も地方であるので地方医療の問題について知らなければいけないなと感じた。
16.「35年目のラブレター」
<あらすじ>
学校に通えなかったために読み書きができないまま大人になった男性。やがて、彼は愛する妻へ感謝のラブレターを書くために、学校に通い始める。
<感想>
学校に通えず読み書きができない大人の男性が、無邪気に妻へのラブレターを一生懸命書く姿にとても感動した。泣き所が多く、心温まる作品だった。
17.「めおと日和」
<あらすじ>
1936年(昭和11年)を舞台に、突然舞い込んだ縁談で結婚したばかりの夫婦が、すれ違いながらも少しずつ愛を育んでいく姿を描く、歯がゆくも愛らしい昭和新婚ラブコメディです。
<感想>
縁談で結婚した夫婦がウブで可愛らしかった。冷たい印象を持たれる夫が妻に出会い柔らかい印象になっていくのがとても良かった。戦前が舞台であり、夫は海軍であるので戦争の影を感じるととてもハラハラした。当時生きていた人々もこのような幸せな生活があったのに戦争によって失ってしまったのだろうなと考えるととても胸が苦しくなった。
18.「ドクターホワイト」
<あらすじ>
記憶を失い「白夜」と名乗る正体不明の女性が、医師顔負けの医療知識で誤診を覆し患者の命を救っていく医療ミステリードラマです。医療ジャーナリストの狩岡将貴が公園で白衣一枚で倒れていた白夜を発見したことから物語が始まり、白夜は将貴の家で暮らしながら、高森総合病院の総合診断協議チーム(CDT)の一員として活躍します。白夜の過去の謎と、天才的な診断能力の秘密が次第に明らかになっていくストーリーです。
<感想>
医療モノのドラマは沢山あるが、設定がリアリティーはないが新しくて面白かった。地位や名誉よりも純粋に真実を知り、患者を助けようとする姿が良かった。
19.「好きな人がいること」
<あらすじ>
夢のために恋愛から遠ざかっていたパティシエの櫻井美咲(桐谷美玲)が、高校時代の初恋相手である柴崎千秋(三浦翔平)と再会し、彼が経営する海辺のレストランで住み込みのパティシエとして働くことになる物語です。美咲は千秋の弟たち、イケメン三兄弟(夏向:山﨑賢人、冬真:野村周平)と共同生活を送りながら、それぞれと恋愛模様を繰り広げます。
<感想>
イケメン3人とのシェアハウスでドキドキ要素が多い月9ドラマであるが、主人公の夢を追うパティシエの頑張りや葛藤が良かった。
20.「SUMMER NUDE」
<あらすじ>
海辺の街を舞台に、元恋人への未練を断ち切れないカメラマン・朝日(山下智久)、彼に想いを寄せる地元出身の波奈江(戸田恵梨香)、そして婚約者に逃げられたばかりの夏希(香里奈)という3人を中心に、それぞれの恋愛と友情が交錯する切ない夏の三角関係を描いたものです。
<感想>
登場人物が抱える様々な恋心の様子にドキドキした。はなえが一途でいつも笑顔で、でも裏ではたくさん傷ついて辛い思いをしていてとても切なかった。舞台が夏で海での物語なので夏にとてもぴったりな作品だった。
21.「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校野球児の野望」
<あらすじ>
日本有数の進学校ながら野球では全く勝てないへっぽこ高校野球部が、新人教師・青志のもと、従来の「弱者のセオリー」を覆す「異常なセオリー」を掲げ、甲子園出場を目指す笑いと涙の青春学園ドラマです。部員不足で技術も体力も施設も足りない野球部が、青志監督の指導の下、高校野球の常識にとらわれない大胆な戦略で勝利を目指す物語です。
<感想>
技術も体力もないへっぽこ野球児たちが顧問と共に弱小野球部であることを逆手に高校野球の常識を覆すような戦いをし、甲子園出場に向けて一致団結していく様子に感動した。
22.「家売るオンナ」
<あらすじ>
売れない家はない、天才的不動産屋・三軒家万智(北川景子)が、客の抱える家庭問題や個々のニーズに対し、型破りな方法で家を売りまくるストーリーです。彼女が担当する客は様々で、ひきこもりの息子を持つ高齢夫婦、婚活料理教室に参加する料理研究家、さらには愛人のために家を探す資産家など、個性的な人々ばかりです。
<感想>
一見冷徹にみえる三軒家万智であるが、実は誰よりもお客様の気持ちに寄り添い、お客様にとって最もベストな未来になるようにただ家を押し売りするのではなくお客さまに寄り添う姿がかっこよかった。このような姿勢が顧客志向ということなのだろうなと感じた。
23.「OUR HOUSE 」
<あらすじ>
亡き母親の喪失から半年、家事を仕切る厳格な長女・桜子が、父親が連れ帰ってきたアメリカ人女性アリスを新しい母親として拒絶し、追い出そうと様々なバトルを繰り広げる物語です。東京・世田谷に住む大家族・伴家が舞台で、桜子がアリスとの間で繰り広げる「女の闘い」が中心となります。
<感想>
新しく突然きたアメリカ人女性がいきなり母親になり対立する主人公であるが、段々打ち解けて行く様子、登場人物それぞれが家族を大切に想う場面に感動した。
24.「わたしの幸せな結婚」
<あらすじ>
明治・大正を思わせる架空の時代に、実母を早くに亡くし、継母と義妹から虐げられて育った斎森美世が主人公です。彼女は名家の軍人である久堂清霞との政略結婚を命じられますが、冷酷で有名な清霞との結婚生活は過酷なものでした。しかし、逃げ帰る場所もない美世は清霞と関わるうちに、彼が評判通りの人物ではないことに気づき、心を通わせていく物語です。
<感想>
2人が徐々に想いを通わせる様子や健気に旦那を思う妻の気持ちと妻を何よりも大切思う旦那の2人がとても素敵だった。
25.「のだめカンタービレ 最終楽章 前編 」
<あらすじ>
プラティニ国際音楽コンクールで優勝した千秋真一は、やる気のない団員の演奏に愕然としつつも、やる気の感じられないオーケストラ「ルー・マルレ・オーケストラ」の常任指揮者となります。一方、のだめはコンセルヴァトワールの進級試験を控え、千秋との共演の機会が訪れることを期待しますが、二人の間にはすれ違いが生じます。
<感想>
ドラマでは舞台が日本であったが、映画ではヨーロッパ4カ国でロケが行われ、より規模が大きく描かれていた。ヨーロッパ生活の中でのだめと千秋の関係にも変化があり恋の行方のドキドキ感と、音楽の本場で成長していく2人が面白い。
26.「記憶屋」
<あらすじ>
恋人の杏子にプロポーズを受け入れてもらい、幸せの絶頂にあった大学生の遼一。ところが杏子と突然連絡が取れなくなり、数日後に偶然再会した時、彼女は遼一の記憶を完全に失っていた。幼い頃に幼なじみの真希との間で似た経験をしたことのある遼一。やがて、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説「記憶屋」のことを知り、真希と弁護士の高原と共にその事象の謎を追い始める。
<感想>
重いテーマであるなと感じた。記憶といものは、良くも悪くもその人の人生を大きく変えるものであるだなと思った。ただ、大切な人との温かい記憶があるからこそ辛い記憶も乗り越えられるのだと思った。
27.「毎日がアルツハイマー」
<あらすじ>
オーストラリアで活動を続けていた映画監督の関口祐加によるドキュメンタリー作品。アルツハイマー病と診断された母との日々を2年半にわたり撮影しYouTubeで公開したところ、同じ境遇にある人や医療従事者などの支持を集め、累計視聴数が20万Viewを超えた。本作は100時間にもおよぶ記録動画の中から、母の喜怒哀楽を中心に編集した劇場公開版だ。
<感想>
アルツハイマーが進行する母親の介護を面白おかしく描いてドキュメンタリーとして残していることが良いなと思った。母親がアルツハイマーであると非常に辛いだろうなと思っていたが、もちろん辛いことの方がたくさんあるとは思うが、面白く描いていて楽しくみることができた。
28.「森の中のレストラン」
<あらすじ>
森の奥に建つレストランを舞台に、孤独なシェフと絶望を抱える少女の出会いを描いたヒューマンドラマ。恭一は森の中で自殺を図るが失敗し、猟師の欣二に助けられる。数年後、彼は欣二が所有していた、森の奥のレストランを任されていた。フレンチの名店で腕を磨いた恭一の料理は評判を呼び、遠方からの客も多い。しかしその一方で、森で命を絶とうとする者が“最後の晩餐”を求めて来店するという噂もあった。ある日、絶望を抱えた少女・沙耶が森にやって来る。
<感想>
最後のテロップで自殺者数について書かれていることが印象的だった。自殺やDVなどかなり重い題材を扱った作品だった。そんな重いテーマに対して音や光が非常に綺麗であるのと、森の中にレストランがあるので心の癒しのような部分を感じることができた。
29.「初恋ドッグ」
<あらすじ>
愛を信じない弁護士の愛子、動物だけを愛する獣医の快、そして韓国財閥の御曹司で愛犬探しのために来日したソハの三角関係を描いています。愛犬同士の“初恋”をきっかけに3人の運命が動き出し、愛子と快は互いに初恋の相手を意識し、ソハは愛子に惹かれます。しかし、ソハのビジネスを巡る陰謀が愛子と快の関係を揺るがし、3人は愛を知っていく物語です。
<感想>
人間たちの愛の形を動物同士の初恋をきっかけに描いていくのが面白いと思った。3人が恋に落ちた過程があまり描かれなかったのが残念に思った。犬がとても可愛かった。
30.「明日はもっと、いい日になる」
<あらすじ>
刑事から児童相談所に出向させられた夏井翼が、蔵田総介ら同僚と共に、様々な困難を抱える子供たちとその親たちと向き合い、共に成長していくハートフルヒューマンドラマです。翼は、刑事としての正義感と深い愛情を胸に、児童相談所の仕事を通じて子どもたちの未来を支援し、成長していきます。
<感想>
児童相談所にいる子どもたちが置かれている状況に胸が苦しくなった。また、そんな子どもたちはSOSを上手く出すことができず、その小さな異変にいち早く気づき、親に何を言われても子どもを想って行動する児童福祉司は素晴らしいし、難しいものであると改めて感じた。
<あらすじ>
大学時代に恋人だった南雲水季(なぐも・みずき)が亡くなったことをきっかけに、主人公の月岡夏(つきおか・なつ)が水季と自分の娘である「海」と出会う物語です。7年間、夏に隠されたまま育てられていた娘・海と、亡き元恋人・水季との関係を通じて、夏は父親としての役割に向き合い、親子の絆を描いていく。
<感想>
登場人物それぞれが、今の状況を受け入れるしかなくて、今後どうすれば良いのか考えながらいけない状況にいて、それぞれの思いや悩みを持っていた。特に弥生の状況が、今付き合っている恋人に子どもがいたと知り、子どもを一緒に育てるのか、恋人と別れるのか考えなければならずとても辛いものだった。夏が海と向き合い親子を築き上げていく様子を親子の感情や絆など丁寧に描かれていた。
2.「ちひろさん」
<あらすじ>
元風俗嬢であることを隠そうとせず、海辺の小さな街にある弁当屋でひょうひょうと働く女性。それぞれの孤独を抱えた人たちが、彼女のもとに引き寄せられるように集まり癒やされていく。
<感想>
取り繕ったりせず等身大の姿でどんな人にでも接するちひろさんが、孤独を抱える人たちにとってかけがえのない救いになっていたのだと感じる。そんなちひろさんだが、街の人と親密になると街を離れるという1番孤独を抱えていて、孤独を手放せない人物であるというのが最後に分かり切なかった。孤独を知っているからこそ、ちひろさんは人に優しくできるのだと思った。
3.「薫る花は凛と咲く」
<あらすじ>
お嬢様学校に通う「和栗 薫子(わぐり かおるこ)」と、底辺男子校の「紬 凛太郎(つむぎ りんたろう)」が、隣接する二校の溝を乗り越え、互いに心を開きながら関係を深めていく高校生ラブストーリー。
<感想>
見た目の偏見や誤解、相手を知ろうとする努力など少女漫画のラブストーリー以外のリアルな問題要素も入っているのがこの作品の魅力であると感じた。ありのままの自分をさらけ出すこと、それを受け入れる覚悟を持つことが重要であり、お互いの欠点や変化を受け入れて関係を築いていく様子をみることができた。
4.「その着せ替え人形は恋をする」
<あらすじ>
ある日の出会いをきっかけに、コスプレを通して交流を深めていく喜多川海夢 まりんと五条新菜 わかな。まだまだやりたいコスプレ、作りたい衣装はいっぱい。クラスメイトたちとの交流や、新しいコスプレ仲間たちとの出会いの中で、海夢と新菜の世界はさらに広がっていく。そして、新菜にドキドキのとまらない海夢の恋に進展はあるのか―!?
<感想>
登場人物全員が、好きなことに一直線でかっこよかった。コスプレなどまだオープンには言いづらいような趣味でも受け入れることやそれを打ち明ける勇気など改めて考えるきっかけになった。自分の好きなことを周りに認めてもらえて、素直に好きなものを好きでいられる空間が素敵だなと感じた。
5.「汝星のごとく」
<あらすじ>
風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。 ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。 生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。
<感想>
まず最初に「私は愛する男のために人生を誤りたい。」という文に惹かれ、この本を読み始めた。人間の愚かさと美しさを繊細に描いていて、どんどん物語の世界に引き込まれて読むのが大変だった。主人公ふたりの心の純粋さと自分の大切なものを大切にしながら生きていく難しさなどが伝わりとても面白かった。
6.「星を編む」
<あらすじ>
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編
花火のように煌めいて、届かぬ星を見上げて、海のように見守って、いつでもそこには愛があった。
ああ、そうか。わたしたちは幸せだったのかもしれないね。
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
<感想>
いろんな愛の形があるのだと教えてくれた作品である。偏って歪んでみえる愛でもその人たちにとってはその愛はとても深いもので、周りには分からない想いがあるのだと知ることができた。愛について知ることができる、とても繊細で綺麗な作品だと思った。
7.「国宝」
<あらすじ>
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
<感想>
人間国宝と呼ばれるレベルに至るまで様々な苦しさや失ったものが大きすぎて終始圧巻だった。吉沢亮と横浜流星の女形がとても美しかった。舞台に立つとその世界から抜け出せなくなる感覚や歌舞伎しか考えられない、依存のようなものをここまで表現できて素晴らしいなと思った。
8.「ビリギャル」
<あらすじ>
遊んでばかりで勉強をしない女子高生。心配した母親が学習塾に通わせると、彼女の学力は小学校4年生レベルと判断される。しかし彼女は第一志望としてトップレベルの大学を宣言。塾講師の男性は巧みな指導で彼女のやる気を引き出し、徐々に本気にさせていく。
<感想>
塾の先生と主人公の母親が、主人公の気持ちを大事にして、可能性を見捨てないであげていてとても素晴らしいと思った。そして、主人公もその想いに応えるように精一杯努力する姿に感動した。
9.「母性」
<あらすじ>
ある日、女子高生である娘・清佳(永野芽郁)が自宅の庭で遺体となって発見されます。発見したのは母のルミ子(戸田恵梨香)で、事件の原因は事故なのか自殺なのか、真相は不明なまま世間は騒ぎます。
<感想>
母、娘のそれぞれの視点から語られる回想や手記で物語は進んでいくが、同じ時間、同じ出来事のはずなのに母と娘の証言が次第に食い違っていくのが怖くて面白かった。母と娘の関係はとても難しいなと感じた。
10「ラストレター」
<あらすじ>
姉の葬儀に参列した岸辺野裕里は、亡き姉のもとに同窓会の案内が届いていたことを知る。やがて姉の死を知らせに同窓会に向かった彼女は、姉本人と勘違いされた挙げ句、そこで初恋の相手と再会。人違いであることを言い出せず、小説家となった彼と手紙のやり取りを始める。
<感想>
直接会えなくても誰かのことを言葉や思い出で救えたり支えられたりできることがとても素敵だと思った。キャストが豪華で自然な演技で良かった。
11.「今夜、世界からこの恋が消えても」
<あらすじ>
無気力に生きる高校生の神谷透は、人気者の真織に無謀な嘘の告白をする。ところが意外にも本気で好きにならないことを条件に告白は受け入れられ、2人は付き合うことになる。
<感想>
切ない想いや悲しさなど泣ける部分がとても多かったが、作品自体が柔らかい空気感で作られていてとても良かった。福本莉子の儚さや柔らかさと道枝駿佑の透明感や美しさがとても合っていた。
12.「溺れるナイフ」
<あらすじ>
東京の雑誌モデルだった望月夏芽が、父の故郷である田舎町・浮雲町に引っ越したことから始まる青春ラブストーリーです。田舎に退屈する夏芽は、その土地の神主一族の跡取り息子である長谷川航一朗(コウ)と出会い、激しく惹かれ合います。しかし、彼らの関係は夏祭りの夜に起きたある出来事をきっかけに大きく変わります。
<感想>
惹かれ合う2人がある事件の発生によって狂ってしまう様子が辛かった。危うさがあるからこそ沼ってしまうコウの魅力を菅田将暉が素敵に演じていたと思う。大友が良い奴だからこそ辛かった。
13.「ツレがうつになりまして。」
<あらすじ>
晴子はマイナス思考で怠け者の漫画家。バリバリと仕事をこなすしっかり者の夫・幹男に甘えて、のんびりと暮らしていた。そんなある日、幹男が突然「死にたい」と言い出す。うつ病と診断された彼を支えるうちに前向きな性格へと変わっていった晴子は、2人の生活を漫画に描き、編集部へ売り込みに行く。
<感想>
鬱病について少しだけでも知れる映画だと思った。鬱病の夫に寄り添う妻の優しさが伝わった。堺雅人の演技が良かった。
14.「劇場版 コードブルー」
<あらすじ>
ある日、巨大フェリーが東京湾の海ほたるに衝突。そして、成田空港では航空機緊急着陸事故が起こる。連続する大事故をめぐり、被害者たちを医療機関へ搬送するドクターヘリに乗ったフライトドクターたちが、人々の命を救いに出る。
<感想>
救命救急の医師たちの想いと患者の想いをリアルに描いていた。脳死の患者と向き合う姿が印象に残った。臓器提供について考えるきっかけになった。
15.「神様のカルテ」
<あらすじ>
医師不足で僻地医療問題を抱える、とある長野の病院の内科医。地方医療の厳しい現実と向き合いながら、24時間365日体制の激務を仲間の医師と共にこなしていた。そんなある日、大学病院で手遅れと見放された高齢の末期ガン患者が彼らのいる病院を訪ねてくる。
<感想>
地方医療の現場に存在する問題や延命治療など現代社会の医療問題について考えさせられる作品だった。私の地元も地方であるので地方医療の問題について知らなければいけないなと感じた。
16.「35年目のラブレター」
<あらすじ>
学校に通えなかったために読み書きができないまま大人になった男性。やがて、彼は愛する妻へ感謝のラブレターを書くために、学校に通い始める。
<感想>
学校に通えず読み書きができない大人の男性が、無邪気に妻へのラブレターを一生懸命書く姿にとても感動した。泣き所が多く、心温まる作品だった。
17.「めおと日和」
<あらすじ>
1936年(昭和11年)を舞台に、突然舞い込んだ縁談で結婚したばかりの夫婦が、すれ違いながらも少しずつ愛を育んでいく姿を描く、歯がゆくも愛らしい昭和新婚ラブコメディです。
<感想>
縁談で結婚した夫婦がウブで可愛らしかった。冷たい印象を持たれる夫が妻に出会い柔らかい印象になっていくのがとても良かった。戦前が舞台であり、夫は海軍であるので戦争の影を感じるととてもハラハラした。当時生きていた人々もこのような幸せな生活があったのに戦争によって失ってしまったのだろうなと考えるととても胸が苦しくなった。
18.「ドクターホワイト」
<あらすじ>
記憶を失い「白夜」と名乗る正体不明の女性が、医師顔負けの医療知識で誤診を覆し患者の命を救っていく医療ミステリードラマです。医療ジャーナリストの狩岡将貴が公園で白衣一枚で倒れていた白夜を発見したことから物語が始まり、白夜は将貴の家で暮らしながら、高森総合病院の総合診断協議チーム(CDT)の一員として活躍します。白夜の過去の謎と、天才的な診断能力の秘密が次第に明らかになっていくストーリーです。
<感想>
医療モノのドラマは沢山あるが、設定がリアリティーはないが新しくて面白かった。地位や名誉よりも純粋に真実を知り、患者を助けようとする姿が良かった。
19.「好きな人がいること」
<あらすじ>
夢のために恋愛から遠ざかっていたパティシエの櫻井美咲(桐谷美玲)が、高校時代の初恋相手である柴崎千秋(三浦翔平)と再会し、彼が経営する海辺のレストランで住み込みのパティシエとして働くことになる物語です。美咲は千秋の弟たち、イケメン三兄弟(夏向:山﨑賢人、冬真:野村周平)と共同生活を送りながら、それぞれと恋愛模様を繰り広げます。
<感想>
イケメン3人とのシェアハウスでドキドキ要素が多い月9ドラマであるが、主人公の夢を追うパティシエの頑張りや葛藤が良かった。
20.「SUMMER NUDE」
<あらすじ>
海辺の街を舞台に、元恋人への未練を断ち切れないカメラマン・朝日(山下智久)、彼に想いを寄せる地元出身の波奈江(戸田恵梨香)、そして婚約者に逃げられたばかりの夏希(香里奈)という3人を中心に、それぞれの恋愛と友情が交錯する切ない夏の三角関係を描いたものです。
<感想>
登場人物が抱える様々な恋心の様子にドキドキした。はなえが一途でいつも笑顔で、でも裏ではたくさん傷ついて辛い思いをしていてとても切なかった。舞台が夏で海での物語なので夏にとてもぴったりな作品だった。
21.「弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校野球児の野望」
<あらすじ>
日本有数の進学校ながら野球では全く勝てないへっぽこ高校野球部が、新人教師・青志のもと、従来の「弱者のセオリー」を覆す「異常なセオリー」を掲げ、甲子園出場を目指す笑いと涙の青春学園ドラマです。部員不足で技術も体力も施設も足りない野球部が、青志監督の指導の下、高校野球の常識にとらわれない大胆な戦略で勝利を目指す物語です。
<感想>
技術も体力もないへっぽこ野球児たちが顧問と共に弱小野球部であることを逆手に高校野球の常識を覆すような戦いをし、甲子園出場に向けて一致団結していく様子に感動した。
22.「家売るオンナ」
<あらすじ>
売れない家はない、天才的不動産屋・三軒家万智(北川景子)が、客の抱える家庭問題や個々のニーズに対し、型破りな方法で家を売りまくるストーリーです。彼女が担当する客は様々で、ひきこもりの息子を持つ高齢夫婦、婚活料理教室に参加する料理研究家、さらには愛人のために家を探す資産家など、個性的な人々ばかりです。
<感想>
一見冷徹にみえる三軒家万智であるが、実は誰よりもお客様の気持ちに寄り添い、お客様にとって最もベストな未来になるようにただ家を押し売りするのではなくお客さまに寄り添う姿がかっこよかった。このような姿勢が顧客志向ということなのだろうなと感じた。
23.「OUR HOUSE 」
<あらすじ>
亡き母親の喪失から半年、家事を仕切る厳格な長女・桜子が、父親が連れ帰ってきたアメリカ人女性アリスを新しい母親として拒絶し、追い出そうと様々なバトルを繰り広げる物語です。東京・世田谷に住む大家族・伴家が舞台で、桜子がアリスとの間で繰り広げる「女の闘い」が中心となります。
<感想>
新しく突然きたアメリカ人女性がいきなり母親になり対立する主人公であるが、段々打ち解けて行く様子、登場人物それぞれが家族を大切に想う場面に感動した。
24.「わたしの幸せな結婚」
<あらすじ>
明治・大正を思わせる架空の時代に、実母を早くに亡くし、継母と義妹から虐げられて育った斎森美世が主人公です。彼女は名家の軍人である久堂清霞との政略結婚を命じられますが、冷酷で有名な清霞との結婚生活は過酷なものでした。しかし、逃げ帰る場所もない美世は清霞と関わるうちに、彼が評判通りの人物ではないことに気づき、心を通わせていく物語です。
<感想>
2人が徐々に想いを通わせる様子や健気に旦那を思う妻の気持ちと妻を何よりも大切思う旦那の2人がとても素敵だった。
25.「のだめカンタービレ 最終楽章 前編 」
<あらすじ>
プラティニ国際音楽コンクールで優勝した千秋真一は、やる気のない団員の演奏に愕然としつつも、やる気の感じられないオーケストラ「ルー・マルレ・オーケストラ」の常任指揮者となります。一方、のだめはコンセルヴァトワールの進級試験を控え、千秋との共演の機会が訪れることを期待しますが、二人の間にはすれ違いが生じます。
<感想>
ドラマでは舞台が日本であったが、映画ではヨーロッパ4カ国でロケが行われ、より規模が大きく描かれていた。ヨーロッパ生活の中でのだめと千秋の関係にも変化があり恋の行方のドキドキ感と、音楽の本場で成長していく2人が面白い。
26.「記憶屋」
<あらすじ>
恋人の杏子にプロポーズを受け入れてもらい、幸せの絶頂にあった大学生の遼一。ところが杏子と突然連絡が取れなくなり、数日後に偶然再会した時、彼女は遼一の記憶を完全に失っていた。幼い頃に幼なじみの真希との間で似た経験をしたことのある遼一。やがて、忘れたい記憶を消してくれるという都市伝説「記憶屋」のことを知り、真希と弁護士の高原と共にその事象の謎を追い始める。
<感想>
重いテーマであるなと感じた。記憶といものは、良くも悪くもその人の人生を大きく変えるものであるだなと思った。ただ、大切な人との温かい記憶があるからこそ辛い記憶も乗り越えられるのだと思った。
27.「毎日がアルツハイマー」
<あらすじ>
オーストラリアで活動を続けていた映画監督の関口祐加によるドキュメンタリー作品。アルツハイマー病と診断された母との日々を2年半にわたり撮影しYouTubeで公開したところ、同じ境遇にある人や医療従事者などの支持を集め、累計視聴数が20万Viewを超えた。本作は100時間にもおよぶ記録動画の中から、母の喜怒哀楽を中心に編集した劇場公開版だ。
<感想>
アルツハイマーが進行する母親の介護を面白おかしく描いてドキュメンタリーとして残していることが良いなと思った。母親がアルツハイマーであると非常に辛いだろうなと思っていたが、もちろん辛いことの方がたくさんあるとは思うが、面白く描いていて楽しくみることができた。
28.「森の中のレストラン」
<あらすじ>
森の奥に建つレストランを舞台に、孤独なシェフと絶望を抱える少女の出会いを描いたヒューマンドラマ。恭一は森の中で自殺を図るが失敗し、猟師の欣二に助けられる。数年後、彼は欣二が所有していた、森の奥のレストランを任されていた。フレンチの名店で腕を磨いた恭一の料理は評判を呼び、遠方からの客も多い。しかしその一方で、森で命を絶とうとする者が“最後の晩餐”を求めて来店するという噂もあった。ある日、絶望を抱えた少女・沙耶が森にやって来る。
<感想>
最後のテロップで自殺者数について書かれていることが印象的だった。自殺やDVなどかなり重い題材を扱った作品だった。そんな重いテーマに対して音や光が非常に綺麗であるのと、森の中にレストランがあるので心の癒しのような部分を感じることができた。
29.「初恋ドッグ」
<あらすじ>
愛を信じない弁護士の愛子、動物だけを愛する獣医の快、そして韓国財閥の御曹司で愛犬探しのために来日したソハの三角関係を描いています。愛犬同士の“初恋”をきっかけに3人の運命が動き出し、愛子と快は互いに初恋の相手を意識し、ソハは愛子に惹かれます。しかし、ソハのビジネスを巡る陰謀が愛子と快の関係を揺るがし、3人は愛を知っていく物語です。
<感想>
人間たちの愛の形を動物同士の初恋をきっかけに描いていくのが面白いと思った。3人が恋に落ちた過程があまり描かれなかったのが残念に思った。犬がとても可愛かった。
30.「明日はもっと、いい日になる」
<あらすじ>
刑事から児童相談所に出向させられた夏井翼が、蔵田総介ら同僚と共に、様々な困難を抱える子供たちとその親たちと向き合い、共に成長していくハートフルヒューマンドラマです。翼は、刑事としての正義感と深い愛情を胸に、児童相談所の仕事を通じて子どもたちの未来を支援し、成長していきます。
<感想>
児童相談所にいる子どもたちが置かれている状況に胸が苦しくなった。また、そんな子どもたちはSOSを上手く出すことができず、その小さな異変にいち早く気づき、親に何を言われても子どもを想って行動する児童福祉司は素晴らしいし、難しいものであると改めて感じた。
3年 篠原
RES
夏休み30作品
1, ババンババンバンバンパイア(映画 2025)監督:浜崎慎治
概要
銭湯に住み込みで働く美青年・森蘭丸。その正体は450歳のバンパイアで、現在は銭湯のひとり息子である15歳のピュアボーイ・立野李仁を狙っており、究極の味わいである「18歳童貞の血」を得られるようになるまで李仁の成長と純潔を見守る日々を送っている。ところがある日、李仁がクラスメイトの篠塚葵に一目ぼれしてしまう。李仁の恋が成就して純潔が失われるのを防ぐべく、決死の童貞喪失阻止作戦に乗りだす蘭丸だったが。
考察
450年生きて、いろいろな経験をしてきた中で蘭丸が初めて経験し、自覚する恋という感覚が鮮明に描かれていてとても面白かった。ミュージカル口調になる自己紹介が面白かった。音楽が入ることによって、引き込みやすい導入になっているのかなと感じたし、登場人物の特徴がわかりやすく視聴者に伝わる効果があると思った。また、テンポ間のいい会話で繰り広げられる日常のシーンと、シリアスな展開になる兄弟げんかのシーンの差があって、引き込まれやすくなっていると思った。蘭丸、李仁、葵の複雑な三角関係も見どころの一つだと感じた。
2, 国宝(映画 2025)監督:李相日
概要
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
考察
血筋と才能の話だと感じた。初めの方は才能が優位であるととらえられるような描写が多かった。喜久雄が半二郎の代役で出ることになったときに、俊介の血を飲みたい、俺には守ってくれる血がない、というシーンがあった。ここで才能で選ばれた喜久雄と血筋をもつ俊介の運命のむごさが表されているなと感じた。しかし、半二郎が死ぬときに、八年間連れ添ってきた自分の名前ではなく、血のつながった息子、俊介の名前を呼ぶことで、血筋が優位であるという風に捉えられる表現が増えた。最終的に人間国宝になるのは喜久雄だが、なるまでに喜久雄がしてきたこと、感じてきた苦痛が癒されることはないのだろうと思った。最後記者が喜久雄に「順風満帆な人生」というふうに喜久雄の人生を表現したが、実際は全く逆の人生だった。終わりよければすべてよしという言葉を体現するような人生だったと感じた。
3, 不思議の国のでアリスと Dive in Wonderland(映画 2025)監督:篠原俊哉
概要
失敗しないように空気を読み、周囲と同じようにしているはずなのになぜかうまくいかない大学生の安曇野りせ。人生に迷っていた彼女は、亡き祖母が遺した招待状に導かれ「不思議の国」に迷い込む。そこで出会った少女アリスと一緒に旅をすることになった彼女は、白ウサギや青虫、ハートの女王とトランプ兵、マッドハッターと三月ウサギ、ハンプティダンプティ、双子のトゥイードルダムとトゥイードルディー、チェシャ猫ら個性豊かな住人たちに次々と出会い、大騒動に巻き込まれていく。
考察
就活生を題材にした珍しい作品だと感じた。主なテーマは自己理解と主張の大切さかなと思った。りせはなかなか内定がもらえておらず、悩んでいたがそのシーンは表面的な自分を必死に作っているように感じられた。そこで、そんな常識なんか一切通じないワンダーランドに来ることによって、自分の中の価値観が大きく変わっていったのかなと思った。アリスと好きなものを言い合うシーンでは、りせが透明になっているにもかかわらず、今までにないくらい楽しそうな表情をしていることが容易に想像できるような表現になっていた。何をするにも自分のなかの好きを大切にしてあげることは大事なんだなということを伝えてくれる作品だった。
4, あの花の咲く丘で君とまた会えたら(映画 2023)監督:成田洋一
概要
SNSを中心に話題を集めた汐見夏衛の同名ベストセラー小説を映画化し、戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高生と特攻隊員の青年の切ない恋の行方を描いたラブストーリー。親にも学校にも不満を抱える高校生の百合は、進路をめぐって母親とケンカになり、家を飛び出して近所の防空壕跡で一夜を過ごす。翌朝、百合が目を覚ますと、そこは1945年6月の日本だった。通りがかりの青年・彰に助けられ、軍の指定食堂に連れて行かれた百合は、そこで女将のツルや勤労学生の千代、彰と同じ隊の石丸、板倉、寺岡、加藤らと出会う。彰の誠実さや優しさにひかれていく百合だったが、彼は特攻隊員で、間もなく命懸けで出撃する運命にあった。
考察
現代を生きる人の言っていることと戦時中に生きている人の言っていることが真逆であることに驚いた。百合が言っていることが当然のことだし、この世に死にたい人なんて存在しないと思う。そんな当たり前なことを言うだけで戦時中は罰せられていたし、異常な人だと認知されていたという事実に胸が痛くなった。命の尊さと戦争のむごさがよく表された作品だったと思った。
5, ブラックナイトパレード(映画 2022)監督:福田雄一
概要
世界中にプレゼントを配るサンタクロースたちの知らざる姿を描くクリスマスコメディ。受験も就職活動も失敗し、恋人もいない冴えない男・日野三春は、コンビニで3年間アルバイトをしている。世間がクリスマスムードに盛り上がるある日、黒いサンタ服を着た男が突然現れ、「今日から正社員だ」と言って、三春を無理やり北極へと連れ去ってしまう。そこには「サンタクロースハウス」という会社があった。世界中の子どもたちにプレゼントを配るというサンタクロースの激務をこなすことになった三春。しかし、その会社にはある秘密があった。
考察
設定がとてもおもしろく引き込まれた。黒いサンタは実際にヨーロッパの伝承に出てくるようで、きちんと作り込まれているなと感じた。受験に失敗して、就職に失敗しても、ぐれずに真面目にコンビニバイトをしていた三春だからこそ、赤いサンタの素質があるのかなと思った。自分のことよりも人のことを優先させる三春は自分が損をしているように感じることが多い気がする。しかし、そこで三春が優先し、助けてきた人たちによって三春は救われるのだろうなと思った。自分のことだけをやっていても将来良いことなんて起きなくて、人のためを思って動ける人が将来報われて、また他人を幸福にしていくのだなと思わせてくれる作品だった。
6, タコピーの原罪(アニメ 2025)監督:飯野慎也
概要
2021年に「ジャンプ+」で連載が始まるとまたたく間に話題に。当時の連載作品の最高閲覧数を記録し、「この漫画がすごい!2023」オトコ編の三位に選出された。ハッピーを広めるために地球に降り立ったハッピー星人のタコピーは人間の女の子しずかと出会う。ピンチを救ってもらったタコピーはしずかの笑顔を取り戻すために、不思議な力を持つハッピー道具で奔走する。しかし、しずかは学校とお家で何か事情を抱えているようだった。
考察
率直にえげつないストーリーだなと思った。リアルないじめの世界が描かれており、とても恐ろしかった。終始寄り添おうとしていたタコピーが、空気を読めず余計なことをどんどんしていく滑稽さと、リアルないじめという反対に感じるような感情がひしめいていて、なんともいえない気持ちになった。いじめとは、いじめられている方だけではなく、いじめている方にも大きな問題があるということがわかる。いじめられている方をケアしなければいけないのはもちろんだが、いじめている方も同じくらいケアしてあげなきゃいけないのだと思った。いじめをするということは普通の生活のなかではあり得なくて、いじめる子自体になにか原因があるのだということをまざまざと表しているなと思った。
7, 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真正版(映画 2024)監督:古賀豪
概要
水木しげる原作による国民的アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズの前日譚となる鬼太郎の父たちの物語を描いて大ヒットを記録した長編アニメーション映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の映像と音をクオリティアップさせた、新たなバージョン。昭和31年、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配する哭倉村。帝国血液銀行に勤める水木は、龍賀一族の当主・時貞の死の弔いを建前に、ある密命を背負って村を訪れる。一方、後に鬼太郎の父となる男は、行方不明になった妻を捜すため村へやって来る。時貞の跡継ぎを巡って醜い争いが繰り広げられるなか、神社で一族の者が惨殺される事件が発生。それは、恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
考察
ゲゲゲの鬼太郎は見たことあったが、誕生の話をはじめてみて、こんな話し合ったのかと驚いた。種族を越えた友情を描いていて、とても感動した。やはり、どんな作品でも種族が違えば争いが起きるのかなと思った。他種族を理解して尊重する気持ちがあれば、あんなにむごいことはできないと思うし、自分のことしか考えてない人が差別や奴隷制度を行ってしまうのだというのを痛感した。また、閉鎖的な村で起こった事件でもあり、しきたりや風習は本当に正しいことなのかというのを見直しながら続けていくべきだなと思った。今の価値観と昔の価値観の違いを見ずに行ってしまうと、間違ってしまうなと感じた。
8, 劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一幕(映画 2025)監督:外崎春雄
概要
鬼になってしまった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入った竈門炭治郎は、同期の仲間である我妻善逸や嘴平伊之助とともに数々の鬼と戦いながら成長し絆を深めていく。炭治郎たちは鬼殺隊最高位の剣士である「柱」たちと共闘し、無限列車では炎柱・煉獄杏寿郎、遊郭では音柱・宇髄天元、刀鍛冶の里では霞柱・時透無一郎や恋柱・甘露寺蜜璃とともに死闘を繰り広げた。その後、来たる鬼との決戦に備えて、柱による合同強化訓練・柱稽古に挑んでいる最中、鬼殺隊の本部である産屋敷邸に鬼舞辻󠄀無惨が姿を現す。お館様の危機に駆けつけた炭治郎や柱たちは無惨によって謎の空間へと落とされ、鬼の根城である無限城での最終決戦に身を投じていく。
考察
とにかく音響と映像の美がすごかった。映画館で見たので、とても迫力があり、実際に無限城の中にいるような錯覚を起こすほど引き込まれた。鬼気迫るシーンが多く、ずっと緊迫した状態にもかかわらず、飽きずにずっと集中して見ることができた。内容も鬼の過去が描かれており、不憫な思いをしてやるせなくなって鬼になったのかと同情した。
9, 誘拐の日(ドラマ 2025)監督:深川栄洋、片山 修
概要
頭脳明晰な天才少女をさらった、間が悪くてお人よしの誘拐犯!ところが…少女が記憶喪失になってしまった!?しかも…殺人容疑でも追われるハメに!?怒涛の《巻き込まれ型》ヒューマンミステリー開幕!!
考察
毎話毎話謎が解けていく感じで飽きずに見れた。誘拐犯のまさむねと誘拐された少女のりんの間に絆が育まれてく様子が見ていてほっこりした。その絆は家族愛や友愛などいろいろな捉え方ができるものだと思った。最後にりんが「ぱぱ」と呼んだときのまさむねの顔が嬉しそうで、家族は血のつながりではなく、どれだけの愛情を注いだかなのかなと思った。まさむねが記憶していたことと事実が大きく異なり、見てるこっちもまさむねの話を疑わなくて、事実がわかったとき衝撃を受けた。ミステリーとしても楽しめる内容だったのではないかと思う。
10, 謎解きはディナーの後で(アニメ 2025)監督:増原光幸
概要
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な「宝生グループ」のお嬢様。「風祭モータース」の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。 「お嬢様の目は節穴でございますか?」――暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。
考察
主に毒舌をいう執事という面白いキャラクター設定で、毎話どんな丁寧な口調でお嬢様を罵るのかが楽しみになった。また、キャラクター同士の掛け合いがとてもコミカルでおもしろく飽きずに見れた。シリアスな事件とコミカルな掛け合いが交互にあって面白かった。内容もしっかり謎解きをしていて、自分自身も事件のから繰りを考えながら視聴でき、どんどん作品に引き込まれていったなと思った。
11, カラオケ行こ!(映画)監督:山下敦弘
概要
変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていく。
考察
ヤクザと中学生という相容れないような2人が歌という共通点だけでつなかり、行動を共にするのが面白かった。聡実がなんだかんだ言いつつ、狂児にカラオケを教えるのも、狂児のために「紅」を歌ったのも、狂児の不思議な魅力に惑わされている感じが面白かった。中学生の声変わりという誰にでもある現象なのに、合唱部でソプラノを任されていることもあってか、誰にも相談できず悩んでいる姿がよく表されているなと思った。そこで、自分を無条件に認めてくれる狂児がきたから、聡実は狂児という居場所に心地よさを感じたのかなと思った。
12, ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ 2018)監督:石立太一
概要
感情を持たない一人の少女がいた。彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙、都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙、飾らないありのままの恋心をつづった手紙、去りゆく者から残される者への最期の手紙。手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。
考察
機械のようにしか考えられなかったヴァイオレットが手紙を代筆することによって、いろんな人の心に触れ、自分自身の心にも触れられるようになるという作品だった。「愛している」というよく聞く言葉についてとても深く掘り下げていて、見ているこちら側も考えさせられた。いろんな形の「愛している」が出てきて、その中に込められているものをヴァイオレットが感じ取り、代筆していく姿がとても心に刺さった。人々のたくさんの心が動く瞬間というのを繊細に描いていて、「必ず泣ける」と言われているのも納得だなと思った。
13, 映画キミとアイドルプリキュア♪お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!(映画 2025)監督:小川孝治
概要
「プリキュア」シリーズの22作目として2025年2月から放送のテレビアニメ「キミとアイドルプリキュア♪」の劇場版。ある日、珊瑚の妖精トットに招かれたうたたちは、アイアイ島と呼ばれる不思議な島で開催される宇宙一のアイドルフェス「スーパーミラクルアイドルフェスティバル」に出演することになる。しかし、突如として謎の怪物が現れ、島と世界は大ピンチに陥り、うたたちは過去へと飛ばされてしまう。この危機を乗り越える鍵は、島の伝説の女神、そして島で出会ったアイドル嫌いの謎の少女テラに隠されていた。2024~25年に放送されたシリーズ前作「わんだふるぷりきゅあ!」と2023~24年に放送された前々作「ひろがるスカイ!プリキュア」のプリキュアたちも登場。
考察
アイドルをテーマにしていることもあり、推し活について詳しく描かれていた。また、アイドルなので歌うシーンが多く、とても楽しく鑑賞できた。推しの喪失というのがテーマに描かれていた。女神は寿命の違いで推していたアイドルが居なくなってしまった、ということがきっかけで闇に飲まれてしまう。心の支えにしていたものが突然消えてしまうと、確かに無気力になってしまうなと共感した。それでも自分を支えてくれていた存在を忘れなければ、再び歩き出せるのだということを伝える内容だったと思う。今年のプリキュアだけでなく前作のプリキュアたちも出てきて楽しかった。
14, ちはやふるーめぐりー(ドラマ 2025)
概要
「今どき部活なんてタイパ悪すぎでしょ」――梅園高校2年生のめぐるは、競技かるた部の幽霊部員。目の前の青春よりも、将来への投資!何事もタイパ重視のめぐるは、学校が終わればバイト、からの学習塾、隙間時間にスマホアプリで積み立て投資。部活に入っていれば内申点に有利という理由だけでかるた部に在籍しているものの、一度も部活に出たことがなく、競技かるたのルールもチンプンカンプン。そんなめぐるの高校生活が、新たに競技かるた部の顧問になった古典オタクの非常勤講師・大江奏との出会いで変わり始める。
考察
受験に失敗したことで、自分を負け組だと思い込んでいためぐるが競技かるたに出会い、そこにかけられている人々の思いに触れて、自分に自信を取り戻すという感じだった。何かに打ち込んでいてそれを裏切られて、どうしようもなくなった人たちが集まって、競技かるたに打ち込む姿がとても魅力的で、何かに必死になったことがある人には必ず共感を呼ぶだろうなと思った。今作は個人戦ではなく団体戦が描かれていた。最初は一人だった部員がめぐるの行動や言葉によって一つになり、チームになっていく様子がとても感動的だった。最後の試合は負けてしまったが、それまでに得たものを実感して、大切にしている様子が描かれていてよかったなと思った。
15, 映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城(映画 1983)監督:芝山努
概要
春休み。ドラえもんやのび太、スネ夫、ジャイアン、しずかたちは太平洋海底でキャンプをすることにした。一行は楽しい第一日目を過ごすが、翌日から五人は謎の世界に引き込まれていく。幽霊船や海底人たちが現れ、一行はスリル、ドキドキの大冒険を楽しんだ。
考察
地上に住む人間が海を汚染しているということをテーマにされていて、子どもの教育にもいいなと思った。ドラえもんたちがバキーを罵るなか、しずかちゃんがバギーにずっと優しく話しかけたり、かばったりしていた。人を助けたり、優しくしたりすると助けられた人はそれを返してくれるということが描かれていたように感じた。機械でもなんでも大切にすれば大切にするほど愛着がわき、それを失ったときの悲しみは大きくなるなと感じた。最終の敵であるポセイドンとバギーは両方機械で、優しく接してくれたしずかのために立ち向かうバギーとポセイドンが対照的に描かれているなと思った。
16, ダンダダン(漫画)作者:龍幸伸
概要
霊媒師の家系に生まれた女子高生・モモ<綾瀬桃>と、同級生でオカルトマニアのオカルン<高倉健>。 モモがクラスのいじめっ子からオカルンを助けたことをきっかけに話すようになった2人だったが、「幽霊は信じているが宇宙人否定派」のモモと、「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルンで口論に。 互いに否定する宇宙人と幽霊を信じさせるため、モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ。 そこで2人は、理解を超越した圧倒的怪奇に出会う。 窮地の中で秘めた力を覚醒させるモモと、呪いの力を手にしたオカルンが、迫りくる怪奇に挑む!運命の恋も始まる!? オカルティックバトル&青春物語、開幕!
考察
SFでもあり、怪談でもあり、恋愛でもあり、青春でもあるたくさんの要素が詰まっているにも関わらず全ての要素が面白い。はじめは敵だった妖怪もUMAも人間もどんどん味方になっていくので、ほぼ全てのキャラクターに愛着が持てる。オカルンが自分から動くことをしなかったのに、初めての友達のために自分から動く姿に心動かされた。
17, ブラック・ショーマン(映画 2025)監督:田中亮
概要
コロナウイルス流行後、観光客が遠のき、かつての活気を失ってしまった町で、多くの教え子に慕われていた元中学校教師・神尾英一が何者かに殺害される。父の訃報を受け、2カ月後に結婚を控えていた娘の神尾真世が、実家のある町に帰ってくる。父はなぜ殺されなければならなかったのか。真実を知りたいと願う真世の前に、元マジシャンの叔父・神尾武史が現れる。かつてラスベガスで名を馳せた武史は、卓越したマジックの腕前とメンタリスト級の観察眼、誘導尋問を武器に、真世とともに事件の謎に挑む。
考察
父と娘としてではなく、教師と生徒として関係を築いてきた親子が最後の最後で父と娘として繋がれたのがよかった。事件の内容自体も面白く、退屈しなかった。現代の情報社会の恐ろしさが描かれていて、嘘をついて有名になると後が怖いし、最初から正直に公表していれば、美談になったのでは?と思ってしまった。嘘というのは絶対だめだし、何事も初めが肝心だなと思わされた。叔父と姪の関係が魅力的でなんだかんだ姪のことを大切にしているのがひしひしと感じられた。垣間見える家族愛がよかったと思う。
18, HUNTER×HUNTER(アニメ 2011)監督:神志那弘志
概要
1998年より週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載が開始された原作『HUNTER×HUNTER』は、冨樫義博氏が描く少年たちの壮大な冒険ストーリー です。過酷なハンター試験に挑む少年ゴンと、同じくハンター試験合格を目指す仲間たちの熱い想いや行動が、多くの少年・少女たちの共感を呼び、コミックス は累計6,300万部を越える大ヒットを記録!
考察
ゴンとキルアの友情が深く描かれるところがよかった。なんでも前向きに捉えるゴンが殺し屋だったキルアの心をいやし、引っ張っていく様がとてもほっこりした。ゴンの純粋で真っ直ぐな気持ちが故に悪い方向にいったり、騙されたりしても、それが歪むことなく、ひたすらに突き進む姿がとても印象的だった。信念を曲げないことで、目的の父親に会うことが達成できたのかなと思った。
19, サマーウォーズ(映画 2009)監督:細田守
概要
あと一歩のところで数学オリンピックの日本代表になれなかった高校2年生・小磯健二は、買い物や行政手続きなどあらゆることができる仮想世界「OZ」の保守点検のバイトをしながら、夏休みを過ごしていた。そんなある日、健二は先輩の夏希に頼まれ、長野県上田市にある彼女の実家に行くことになる。憧れの先輩との旅行に胸を躍らせる健二だったが、夏希は曾祖母・栄の誕生祝いのために集まった親戚一同の前で、突然健二を自分のフィアンセだと紹介する。一方、「OZ」の世界では恐ろしい事態が発生。健二のアカウントが乗っ取られてシステムに障害が発生し、健二が容疑者として疑われてしまう。そして、その障害は世界に危機をもたらそうとしていた。
考察
家族という繋がりを越える物語だなと思った。健仁がなつきの家の人たちと繋がり、諦めなかったから生まれた結果だったのかなと感じた。また、花札のシーンでは、掛け金がなくなったところで海外の子どもが自分のアバターをなつきに預けるが、ここも繋がりが表されていて、国境や種族を越えた繋がりの表現があると思った。最後の衛生の軌道を反らすところでは何よりも強く家族の繋がりが描かれ、そこに健仁が入ったことを強く印象付けるシーンだったと思った。
20, 陰陽廻天 Re:バース(アニメ 2025)監督:髙橋秀弥
概要
david productionが贈る初のオリジナルアニメーション! 時空爆走系ヤンキーによる、異世界バトルアクション始動!誰ともつるまず1人孤独に喧嘩に明け暮れるヤンキー高校生・業平 猛 (なりひら たける)は、夢に何度も現れる謎の少女・ツキミヤに想いを募らせる日々を過ごしていた。そんなある日、タケルは不慮の事故で崖から転落。 意識を取り戻すと目の前に広がっていたのは、テクノロジーが高度に進化を遂げた平安京・《電祇平安京(でんじへいあんきょう)》。そこは、最強の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)が守護しており、憧れのツキミヤが現実に存在する別世界だった! 夢にまで見た運命的な出会いに舞い上がるタケルだったが、突如発生した黒い霧《闇薫(やみかおる)》の中で《怨人(おに)》と呼ばれる化け物によってツキミヤもろとも命を落としてしまう。しかし、次の瞬間、タケルは再び電祇平安京で目を覚ます。 やがて自身がタイムリープしたことに気づいたタケルは、ツキミヤが命を落とす未来に抗うため、安倍晴明から陰陽術を習得し、陰陽師として戦うことを決意する!
考察
初め敵だと思っていたものが味方で無害で守るべき存在だと思っていたものが最大の敵で驚いた。みんな自分の信念のために生きていて、そのぶつかり合いだったのだなと思った。たけるがよく家訓を叫んでいて、その家訓は矛盾したこともあって、めちゃくちゃだなと思っていたけど、どれも強い思いと意志があって、だからこそたけるのピンチを救ったんだなと思った。未来を諦めないというのが本作のテーマだと感じた。
21, 夢中さ、君に。(アニメ 2025)監督:中谷亜沙美
概要
中高一貫の男子校に通う江間譲二は、体育祭がきっかけで 風変わりなクラスメート・林美良から変な絡まれ方をされるようになる。 共学高校に通う目高優一は、校内で忌み嫌われている不気味キャラ・二階堂明が後ろの席になり、憂鬱な気分を抱えていた……。 思春期ならではの人間模様が織りなすオムニバス・ストーリー。
考察
個性豊かな学生たちがいろんな目線で描かれているのが面白かった。みんなそれぞれ誰かに興味を持っていて、その相手のことに夢中になっている様子が描かれていた。江間も目高も一風変わったクラスメートに絡んだり、絡まれたりしていて、彼らがそれを避けることなく相手にかかわった結果、相手の新たな一面を発見できたのかなと思った。周りのうわさや表面的な印象だけでなく、きちんと関わって、相手のことを知ると面白いのかもしれないと思った。
22, オッドタクシー(アニメ 2011)監督:木下麦
概要
偏屈で無口な変わり者小戸川。 個人タクシーの運転手として街を流しながら、なるべく他人と関わらないように、平凡な日々を過ごしていた。ところが、ある日思い掛けず『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまう。事件には、億を超える巨額の金、目的不明の半グレ集団、売り出し中のアイドル、カリスマ化されていく大学生など、様々な事物が絡み、混沌としていく。 それでも、ある計画の実行をきっかけに、事態は一気に収束。一連の出来事は、多くの悲しみや不条理をはらみながら、いったんの結末を見た。かに思われた。関わっていた人々は、口々に証言する。“あの時一体何が起きていた”のかを。それらを繋ぎ合わせることで浮かび上がってくる、事件の新たな輪郭。 一人のタクシードライバーの “人生を一変させるような出来事”がカタチを変え、運命の歯車は再び揺さぶられていく。
考察
いろんな事件が折り重なっていて、それに巻き込まれていく小戸川が秀逸に描かれていたなと思った。子供の時に家族がらみで死にかけて、そのことから目をそらすためなのか、人間が動物に見えてしまっているという設定が面白いなと思った。本当は人間でなのに、動物の世界の出来事だと、見ているこっちも疑わないから最後の展開にとても驚かされた。確かに剛力が小戸川に「俺は何にみえる?」と聞くシーンがあって、「ゴリラ」と即答され微妙な顔になるシーンがあったが、それは本当はゴリラではないということを示唆していたのかなと思った。
23, 妖怪学校の先生はじめました(漫画 2014)原作:田中まい
概要
ビビりで泣き虫な新米教師・安倍晴明(あべはるあき)。 憧れの教師になり、喜んでいたのもつかの間! 赴任先の百鬼学園は、なんと妖怪たちの妖怪たちによる妖怪たちだけの学校だった!気弱でヘタレ、しかも人間である晴明を、学園長が雇った理由とは一体……!? クセ強人間教師・晴明と、個性が大渋滞の妖怪生徒&先生たちの、奇妙でにぎやかな日常を描く、愉快☆痛快☆妖怪☆学園コメディ!授業開始!
考察
個性豊かな妖怪たちと関わり、向き合うことで晴明自身が大きく成長していく様子がとても面白く、楽しく読めた。また、晴明だけでなく同僚や生徒も彼に影響され、変わっていくのもよかった。ヘタレで気弱な晴明が大切な生徒や友達のために諦めない姿に心打たれた。種族の違いによる寿命の問題や知識量の違いなどが描かれていて、普段なら気にしないような問題を考えさせられる作品だなと思った。
24, 沈黙のパレード(映画 2022)監督:西谷弘
概要
数年前から行方不明になっていた女子高生が、遺体となって発見された。警視庁捜査一課の刑事・内海によると事件の容疑者は、湯川の大学時代の同期でもある刑事・草薙がかつて担当した少女殺害事件の容疑者で、無罪となった男だった。男は今回も黙秘を貫いて証拠不十分で釈放され、女子高生が住んでいた町に戻って来る。憎悪の空気が町全体を覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起こる。
考察
大切な人を殺されたり傷つけられたりしたのにも関わらず、加害者である人は逮捕されず、その怒りをどこにもぶつけることができなくてやってしまった結果だったのかなと思った。最愛の妻を守るために加害者を殺してしまったが、結局誰も幸福にはならない結果になった。やられたことをやり返しても、自分には何も返ってこないということが描かれていたと思う。悪いことをしてしまったら黙っておくのではなく、正直に話して反省した方がその人の人生はよくなると思った。
25, Dr.STONE SCIENCE FUTURE第2クール(アニメ 2025)監督:松下周平
概要
宝島での激戦を終え、無事に科学王国へと帰還した千空たち。手に入れた石化装置で、コールドスリープしていた司を復活させることに成功。司は科学王国の仲間となった!
そして、人類石化の黒幕・ホワイマンの本拠地が“月”であることを突き止めた千空たちは、月を目指す!このストーンワールドで、ゼロから宇宙船を作るビッグプロジェクトへと乗り出した。早速、世界中から宇宙船の素材を集める為、ペルセウス号で大海原へと飛び出した千空たち。復活液の原料となる大量のコーンを求め、最初の目的地・アメリカ大陸を目指す。勇気、結束、科学力、全てが試される大航海の先に、千空たちを揺るがす脅威が待ち構えていた!!
考察
アニメにしてよりわかりやすくなったなと思った。漫画のときもスイカが1人になったことがよく表現されていたと思うけど、アニメになると今まで聞こえてきていた声が聞こえなかったり、声優さんが1人だったりとより孤独が強調されていて、心にきた。また、千空が復活するときにエンディングで、声優さんのテロップの表示が千空がしゃべり出すまででないという演出があり、とてもこだわりを感じた。みんながスイカを応援したくなるような演出で、SNSでも話題になっていて、見せ方がすごいなと思った。
26, カラオケ行こ!(アニメ 2025)監督:中谷亜沙美
概要
合唱部の部長・岡聡実は、突如現れたヤクザ・成田狂児から声をかけられる。彼の組では恒例のカラオケ大会があり、そこで歌ヘタ王になると組長に微妙な刺青を入れられる掟があった。狂児に歌唱指導を頼まれ、仕方なく練習に付き合わされる聡実。カラオケで繋がった二人の奇妙な関係の行方は……!?
考察
アニメオリジナルで、狂児視点のお話を見られたのがよかった。声変わりで部活における自分の存在意義みたいなのが見えなくなっていて、不安だった聡実が意地になっている練習のシーンで表現されているのかなと思った。そこに、唐突に自分を無条件で信じて、居場所をくれた狂児の存在が聡実にはとても大きく大切なものだったのだろうなと感じた。また、狂児が相変わらず「紅」を歌い続けたのも、ありのままの自分でいいというメッセージなのではないかと感じた。自分の好きを肯定していいよということなのかなと思った。
27, ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(映画 1993)監督:ヘンリー・セリック
概要
ハロウィン・タウン。それは年に一度のハロウィンのお祭りを人間界へ送り出す不思議な町。しかし、この町の人気者“カボチャ王”ことジャックは、毎年同じように繰り返されるハロウィンの準備にうんざりしていた。ある日、ジャックは森の中で奇妙な扉を見つける。そのひとつを開いてみると、そこはハロウィン・タウンとはまったく別の、陽気で明るいクリスマス・タウンだった。一面の銀世界にピカピカ光るライト、心はずむケーキやツリー、そして優しい人たち。たちまち、その初めての世界に魅せられたジャックは、彼に想いを寄せるつぎはぎ人形サリーの心配をよそに、自分流のクリスマスを計画する。ジャックが夢見たハロウィン風クリスマスとは…?
考察
いつも子どもを怖がらせるために奔走していたジャックが、クリスマスという子どもを喜ばせるためにある行事の存在を知り、自分もやってみたいとなるのがとても素敵な発想だなと思った。ハロウィンのときはちょっと沈んだ顔だったジャックがクリスマスでは生き生きとしている様子がよかった。ジャックは上手にクリスマスをすることはできなかったが、失敗を通して、自分の大切なものややるべきことを再確認できたのかなと思った。適材適所というものがあるのだというのも表現されていたと思う。また、クレイアニメになっていたのも印象的だった。
28, カッコウの許嫁 Season2(アニメ 2025)
概要
海野凪と天野エリカ。同じ日に生まれた二人は、赤ちゃんの頃に取り違えられた子ども同士。 定食屋の息子とホテル王の娘として育った二人は、育てと生みの両親たちのススメで、許嫁関係となることに。 ひとつ屋根の下で同居を始めた二人の生活は、クラスメイトの瀬川ひろや 兄を追って来た海野幸たちも巻き込んでいく。 許嫁、想い人、血の繋がらない妹。 凪を巡るちぐはぐな“四角関係”へ、今度は初恋の幼なじみがやって来る!? 人生とラブが大交錯! 「取り違え子」から始まる“五角関係”ラブコメディー。
考察
家族にきめられた許嫁という運命を自分たちの力で覆そうとする姿が描かれていた。取り違え子からの許嫁というめちゃくちゃな関係にもかかわらず、お互いに影響しあって、成長していく過程がとても面白かった。また、凪を取り巻く周りの人たちも決められた運命を覆そうと努力している姿もよかった。
29, やさしいライオン (映画 1970)原作:やなせたかし
概要
子どもを失った母犬ムクムクと、母を失ったライオンの赤ちゃんブルブルの交流をやさしく綴った、やなせたかし作の絵本をアニメ化した作品です。母犬と子ライオンの心情を歌で綴ったミュージカル・アニメーションは、連作として何本か作る予定でしたが、完成したのはこの一本だけでした。
考察
絵本の読み聞かせをするような音声とミュージカルチックな歌を挟む構成だった。初めて見る構成で珍しいなと思った。犬のムクムクとライオンのブルブルの親子の絆が描かれていて、家族は血のつながりだけで構成されるものではないということを伝えてくれる作品だった。「心が大切で、見かけは重要ではない」というセリフが二人の深い絆を表現していた。
30, 朝ドラあんぱん(ドラマ 2025)脚本:中園ミホ
概要
「韋駄天おのぶ」「ハチキンおのぶ」と呼ばれる朝田のぶは、高知県御免与町で祖父母と両親、妹二人と暮らしていた。 留守がちな父・朝田結太郎から「女子も大志を抱け」と聞かせられていたが、父が出張中に急死してしまう。悲しみを見せないのぶだったが、転校生・柳井嵩の描いたスケッチに心を救われる。祖父・朝田釜次が大怪我をしたこともあり、風来坊のパン職人・屋村草吉の協力で「朝田パン」を開業することになる。
考察
やないたかしと妻ののぶの人生を半年かけて描いていて、それでも毎日見続けられるくらい面白い作品だった。正義とは何なのか、というのがずっと問いただされていて、それを見つけるために奔走する2人の姿がとてもかっこよかった。「アンパンマン」が誕生するまでに、いろんな苦悩とつらい体験があったのだなと思った。いろんな体験を経て今みんなが見ているアンパンマンになったのだと感動した。夢を諦めずに追いかけることの大切さを伝える作品だと思った。
1, ババンババンバンバンパイア(映画 2025)監督:浜崎慎治
概要
銭湯に住み込みで働く美青年・森蘭丸。その正体は450歳のバンパイアで、現在は銭湯のひとり息子である15歳のピュアボーイ・立野李仁を狙っており、究極の味わいである「18歳童貞の血」を得られるようになるまで李仁の成長と純潔を見守る日々を送っている。ところがある日、李仁がクラスメイトの篠塚葵に一目ぼれしてしまう。李仁の恋が成就して純潔が失われるのを防ぐべく、決死の童貞喪失阻止作戦に乗りだす蘭丸だったが。
考察
450年生きて、いろいろな経験をしてきた中で蘭丸が初めて経験し、自覚する恋という感覚が鮮明に描かれていてとても面白かった。ミュージカル口調になる自己紹介が面白かった。音楽が入ることによって、引き込みやすい導入になっているのかなと感じたし、登場人物の特徴がわかりやすく視聴者に伝わる効果があると思った。また、テンポ間のいい会話で繰り広げられる日常のシーンと、シリアスな展開になる兄弟げんかのシーンの差があって、引き込まれやすくなっていると思った。蘭丸、李仁、葵の複雑な三角関係も見どころの一つだと感じた。
2, 国宝(映画 2025)監督:李相日
概要
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。
考察
血筋と才能の話だと感じた。初めの方は才能が優位であるととらえられるような描写が多かった。喜久雄が半二郎の代役で出ることになったときに、俊介の血を飲みたい、俺には守ってくれる血がない、というシーンがあった。ここで才能で選ばれた喜久雄と血筋をもつ俊介の運命のむごさが表されているなと感じた。しかし、半二郎が死ぬときに、八年間連れ添ってきた自分の名前ではなく、血のつながった息子、俊介の名前を呼ぶことで、血筋が優位であるという風に捉えられる表現が増えた。最終的に人間国宝になるのは喜久雄だが、なるまでに喜久雄がしてきたこと、感じてきた苦痛が癒されることはないのだろうと思った。最後記者が喜久雄に「順風満帆な人生」というふうに喜久雄の人生を表現したが、実際は全く逆の人生だった。終わりよければすべてよしという言葉を体現するような人生だったと感じた。
3, 不思議の国のでアリスと Dive in Wonderland(映画 2025)監督:篠原俊哉
概要
失敗しないように空気を読み、周囲と同じようにしているはずなのになぜかうまくいかない大学生の安曇野りせ。人生に迷っていた彼女は、亡き祖母が遺した招待状に導かれ「不思議の国」に迷い込む。そこで出会った少女アリスと一緒に旅をすることになった彼女は、白ウサギや青虫、ハートの女王とトランプ兵、マッドハッターと三月ウサギ、ハンプティダンプティ、双子のトゥイードルダムとトゥイードルディー、チェシャ猫ら個性豊かな住人たちに次々と出会い、大騒動に巻き込まれていく。
考察
就活生を題材にした珍しい作品だと感じた。主なテーマは自己理解と主張の大切さかなと思った。りせはなかなか内定がもらえておらず、悩んでいたがそのシーンは表面的な自分を必死に作っているように感じられた。そこで、そんな常識なんか一切通じないワンダーランドに来ることによって、自分の中の価値観が大きく変わっていったのかなと思った。アリスと好きなものを言い合うシーンでは、りせが透明になっているにもかかわらず、今までにないくらい楽しそうな表情をしていることが容易に想像できるような表現になっていた。何をするにも自分のなかの好きを大切にしてあげることは大事なんだなということを伝えてくれる作品だった。
4, あの花の咲く丘で君とまた会えたら(映画 2023)監督:成田洋一
概要
SNSを中心に話題を集めた汐見夏衛の同名ベストセラー小説を映画化し、戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高生と特攻隊員の青年の切ない恋の行方を描いたラブストーリー。親にも学校にも不満を抱える高校生の百合は、進路をめぐって母親とケンカになり、家を飛び出して近所の防空壕跡で一夜を過ごす。翌朝、百合が目を覚ますと、そこは1945年6月の日本だった。通りがかりの青年・彰に助けられ、軍の指定食堂に連れて行かれた百合は、そこで女将のツルや勤労学生の千代、彰と同じ隊の石丸、板倉、寺岡、加藤らと出会う。彰の誠実さや優しさにひかれていく百合だったが、彼は特攻隊員で、間もなく命懸けで出撃する運命にあった。
考察
現代を生きる人の言っていることと戦時中に生きている人の言っていることが真逆であることに驚いた。百合が言っていることが当然のことだし、この世に死にたい人なんて存在しないと思う。そんな当たり前なことを言うだけで戦時中は罰せられていたし、異常な人だと認知されていたという事実に胸が痛くなった。命の尊さと戦争のむごさがよく表された作品だったと思った。
5, ブラックナイトパレード(映画 2022)監督:福田雄一
概要
世界中にプレゼントを配るサンタクロースたちの知らざる姿を描くクリスマスコメディ。受験も就職活動も失敗し、恋人もいない冴えない男・日野三春は、コンビニで3年間アルバイトをしている。世間がクリスマスムードに盛り上がるある日、黒いサンタ服を着た男が突然現れ、「今日から正社員だ」と言って、三春を無理やり北極へと連れ去ってしまう。そこには「サンタクロースハウス」という会社があった。世界中の子どもたちにプレゼントを配るというサンタクロースの激務をこなすことになった三春。しかし、その会社にはある秘密があった。
考察
設定がとてもおもしろく引き込まれた。黒いサンタは実際にヨーロッパの伝承に出てくるようで、きちんと作り込まれているなと感じた。受験に失敗して、就職に失敗しても、ぐれずに真面目にコンビニバイトをしていた三春だからこそ、赤いサンタの素質があるのかなと思った。自分のことよりも人のことを優先させる三春は自分が損をしているように感じることが多い気がする。しかし、そこで三春が優先し、助けてきた人たちによって三春は救われるのだろうなと思った。自分のことだけをやっていても将来良いことなんて起きなくて、人のためを思って動ける人が将来報われて、また他人を幸福にしていくのだなと思わせてくれる作品だった。
6, タコピーの原罪(アニメ 2025)監督:飯野慎也
概要
2021年に「ジャンプ+」で連載が始まるとまたたく間に話題に。当時の連載作品の最高閲覧数を記録し、「この漫画がすごい!2023」オトコ編の三位に選出された。ハッピーを広めるために地球に降り立ったハッピー星人のタコピーは人間の女の子しずかと出会う。ピンチを救ってもらったタコピーはしずかの笑顔を取り戻すために、不思議な力を持つハッピー道具で奔走する。しかし、しずかは学校とお家で何か事情を抱えているようだった。
考察
率直にえげつないストーリーだなと思った。リアルないじめの世界が描かれており、とても恐ろしかった。終始寄り添おうとしていたタコピーが、空気を読めず余計なことをどんどんしていく滑稽さと、リアルないじめという反対に感じるような感情がひしめいていて、なんともいえない気持ちになった。いじめとは、いじめられている方だけではなく、いじめている方にも大きな問題があるということがわかる。いじめられている方をケアしなければいけないのはもちろんだが、いじめている方も同じくらいケアしてあげなきゃいけないのだと思った。いじめをするということは普通の生活のなかではあり得なくて、いじめる子自体になにか原因があるのだということをまざまざと表しているなと思った。
7, 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真正版(映画 2024)監督:古賀豪
概要
水木しげる原作による国民的アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズの前日譚となる鬼太郎の父たちの物語を描いて大ヒットを記録した長編アニメーション映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の映像と音をクオリティアップさせた、新たなバージョン。昭和31年、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族が支配する哭倉村。帝国血液銀行に勤める水木は、龍賀一族の当主・時貞の死の弔いを建前に、ある密命を背負って村を訪れる。一方、後に鬼太郎の父となる男は、行方不明になった妻を捜すため村へやって来る。時貞の跡継ぎを巡って醜い争いが繰り広げられるなか、神社で一族の者が惨殺される事件が発生。それは、恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
考察
ゲゲゲの鬼太郎は見たことあったが、誕生の話をはじめてみて、こんな話し合ったのかと驚いた。種族を越えた友情を描いていて、とても感動した。やはり、どんな作品でも種族が違えば争いが起きるのかなと思った。他種族を理解して尊重する気持ちがあれば、あんなにむごいことはできないと思うし、自分のことしか考えてない人が差別や奴隷制度を行ってしまうのだというのを痛感した。また、閉鎖的な村で起こった事件でもあり、しきたりや風習は本当に正しいことなのかというのを見直しながら続けていくべきだなと思った。今の価値観と昔の価値観の違いを見ずに行ってしまうと、間違ってしまうなと感じた。
8, 劇場版 鬼滅の刃 無限城編 第一幕(映画 2025)監督:外崎春雄
概要
鬼になってしまった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため、鬼狩りの組織・鬼殺隊に入った竈門炭治郎は、同期の仲間である我妻善逸や嘴平伊之助とともに数々の鬼と戦いながら成長し絆を深めていく。炭治郎たちは鬼殺隊最高位の剣士である「柱」たちと共闘し、無限列車では炎柱・煉獄杏寿郎、遊郭では音柱・宇髄天元、刀鍛冶の里では霞柱・時透無一郎や恋柱・甘露寺蜜璃とともに死闘を繰り広げた。その後、来たる鬼との決戦に備えて、柱による合同強化訓練・柱稽古に挑んでいる最中、鬼殺隊の本部である産屋敷邸に鬼舞辻󠄀無惨が姿を現す。お館様の危機に駆けつけた炭治郎や柱たちは無惨によって謎の空間へと落とされ、鬼の根城である無限城での最終決戦に身を投じていく。
考察
とにかく音響と映像の美がすごかった。映画館で見たので、とても迫力があり、実際に無限城の中にいるような錯覚を起こすほど引き込まれた。鬼気迫るシーンが多く、ずっと緊迫した状態にもかかわらず、飽きずにずっと集中して見ることができた。内容も鬼の過去が描かれており、不憫な思いをしてやるせなくなって鬼になったのかと同情した。
9, 誘拐の日(ドラマ 2025)監督:深川栄洋、片山 修
概要
頭脳明晰な天才少女をさらった、間が悪くてお人よしの誘拐犯!ところが…少女が記憶喪失になってしまった!?しかも…殺人容疑でも追われるハメに!?怒涛の《巻き込まれ型》ヒューマンミステリー開幕!!
考察
毎話毎話謎が解けていく感じで飽きずに見れた。誘拐犯のまさむねと誘拐された少女のりんの間に絆が育まれてく様子が見ていてほっこりした。その絆は家族愛や友愛などいろいろな捉え方ができるものだと思った。最後にりんが「ぱぱ」と呼んだときのまさむねの顔が嬉しそうで、家族は血のつながりではなく、どれだけの愛情を注いだかなのかなと思った。まさむねが記憶していたことと事実が大きく異なり、見てるこっちもまさむねの話を疑わなくて、事実がわかったとき衝撃を受けた。ミステリーとしても楽しめる内容だったのではないかと思う。
10, 謎解きはディナーの後で(アニメ 2025)監督:増原光幸
概要
国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な「宝生グループ」のお嬢様。「風祭モータース」の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。 「お嬢様の目は節穴でございますか?」――暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。
考察
主に毒舌をいう執事という面白いキャラクター設定で、毎話どんな丁寧な口調でお嬢様を罵るのかが楽しみになった。また、キャラクター同士の掛け合いがとてもコミカルでおもしろく飽きずに見れた。シリアスな事件とコミカルな掛け合いが交互にあって面白かった。内容もしっかり謎解きをしていて、自分自身も事件のから繰りを考えながら視聴でき、どんどん作品に引き込まれていったなと思った。
11, カラオケ行こ!(映画)監督:山下敦弘
概要
変声期に悩む合唱部の男子中学生と歌がうまくなりたいヤクザの交流をコミカルに描いた和山やまの人気コミックを、綾野剛主演で実写映画化。
中学校で合唱部の部長を務める岡聡実は、ある日突然、見知らぬヤクザの成田狂児からカラオケに誘われる。戸惑う聡実に、狂児は歌のレッスンをしてほしいと依頼。組長が主催するカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるため、どうしても歌がうまくならなければならないのだという。狂児の勝負曲は、X JAPANの「紅」。嫌々ながらも歌唱指導を引き受ける羽目になった聡実は、カラオケを通じて少しずつ狂児と親しくなっていく。
考察
ヤクザと中学生という相容れないような2人が歌という共通点だけでつなかり、行動を共にするのが面白かった。聡実がなんだかんだ言いつつ、狂児にカラオケを教えるのも、狂児のために「紅」を歌ったのも、狂児の不思議な魅力に惑わされている感じが面白かった。中学生の声変わりという誰にでもある現象なのに、合唱部でソプラノを任されていることもあってか、誰にも相談できず悩んでいる姿がよく表されているなと思った。そこで、自分を無条件に認めてくれる狂児がきたから、聡実は狂児という居場所に心地よさを感じたのかなと思った。
12, ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ 2018)監督:石立太一
概要
感情を持たない一人の少女がいた。彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙、都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙、飾らないありのままの恋心をつづった手紙、去りゆく者から残される者への最期の手紙。手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。
考察
機械のようにしか考えられなかったヴァイオレットが手紙を代筆することによって、いろんな人の心に触れ、自分自身の心にも触れられるようになるという作品だった。「愛している」というよく聞く言葉についてとても深く掘り下げていて、見ているこちら側も考えさせられた。いろんな形の「愛している」が出てきて、その中に込められているものをヴァイオレットが感じ取り、代筆していく姿がとても心に刺さった。人々のたくさんの心が動く瞬間というのを繊細に描いていて、「必ず泣ける」と言われているのも納得だなと思った。
13, 映画キミとアイドルプリキュア♪お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!(映画 2025)監督:小川孝治
概要
「プリキュア」シリーズの22作目として2025年2月から放送のテレビアニメ「キミとアイドルプリキュア♪」の劇場版。ある日、珊瑚の妖精トットに招かれたうたたちは、アイアイ島と呼ばれる不思議な島で開催される宇宙一のアイドルフェス「スーパーミラクルアイドルフェスティバル」に出演することになる。しかし、突如として謎の怪物が現れ、島と世界は大ピンチに陥り、うたたちは過去へと飛ばされてしまう。この危機を乗り越える鍵は、島の伝説の女神、そして島で出会ったアイドル嫌いの謎の少女テラに隠されていた。2024~25年に放送されたシリーズ前作「わんだふるぷりきゅあ!」と2023~24年に放送された前々作「ひろがるスカイ!プリキュア」のプリキュアたちも登場。
考察
アイドルをテーマにしていることもあり、推し活について詳しく描かれていた。また、アイドルなので歌うシーンが多く、とても楽しく鑑賞できた。推しの喪失というのがテーマに描かれていた。女神は寿命の違いで推していたアイドルが居なくなってしまった、ということがきっかけで闇に飲まれてしまう。心の支えにしていたものが突然消えてしまうと、確かに無気力になってしまうなと共感した。それでも自分を支えてくれていた存在を忘れなければ、再び歩き出せるのだということを伝える内容だったと思う。今年のプリキュアだけでなく前作のプリキュアたちも出てきて楽しかった。
14, ちはやふるーめぐりー(ドラマ 2025)
概要
「今どき部活なんてタイパ悪すぎでしょ」――梅園高校2年生のめぐるは、競技かるた部の幽霊部員。目の前の青春よりも、将来への投資!何事もタイパ重視のめぐるは、学校が終わればバイト、からの学習塾、隙間時間にスマホアプリで積み立て投資。部活に入っていれば内申点に有利という理由だけでかるた部に在籍しているものの、一度も部活に出たことがなく、競技かるたのルールもチンプンカンプン。そんなめぐるの高校生活が、新たに競技かるた部の顧問になった古典オタクの非常勤講師・大江奏との出会いで変わり始める。
考察
受験に失敗したことで、自分を負け組だと思い込んでいためぐるが競技かるたに出会い、そこにかけられている人々の思いに触れて、自分に自信を取り戻すという感じだった。何かに打ち込んでいてそれを裏切られて、どうしようもなくなった人たちが集まって、競技かるたに打ち込む姿がとても魅力的で、何かに必死になったことがある人には必ず共感を呼ぶだろうなと思った。今作は個人戦ではなく団体戦が描かれていた。最初は一人だった部員がめぐるの行動や言葉によって一つになり、チームになっていく様子がとても感動的だった。最後の試合は負けてしまったが、それまでに得たものを実感して、大切にしている様子が描かれていてよかったなと思った。
15, 映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城(映画 1983)監督:芝山努
概要
春休み。ドラえもんやのび太、スネ夫、ジャイアン、しずかたちは太平洋海底でキャンプをすることにした。一行は楽しい第一日目を過ごすが、翌日から五人は謎の世界に引き込まれていく。幽霊船や海底人たちが現れ、一行はスリル、ドキドキの大冒険を楽しんだ。
考察
地上に住む人間が海を汚染しているということをテーマにされていて、子どもの教育にもいいなと思った。ドラえもんたちがバキーを罵るなか、しずかちゃんがバギーにずっと優しく話しかけたり、かばったりしていた。人を助けたり、優しくしたりすると助けられた人はそれを返してくれるということが描かれていたように感じた。機械でもなんでも大切にすれば大切にするほど愛着がわき、それを失ったときの悲しみは大きくなるなと感じた。最終の敵であるポセイドンとバギーは両方機械で、優しく接してくれたしずかのために立ち向かうバギーとポセイドンが対照的に描かれているなと思った。
16, ダンダダン(漫画)作者:龍幸伸
概要
霊媒師の家系に生まれた女子高生・モモ<綾瀬桃>と、同級生でオカルトマニアのオカルン<高倉健>。 モモがクラスのいじめっ子からオカルンを助けたことをきっかけに話すようになった2人だったが、「幽霊は信じているが宇宙人否定派」のモモと、「宇宙人は信じているが幽霊否定派」のオカルンで口論に。 互いに否定する宇宙人と幽霊を信じさせるため、モモはUFOスポットの病院廃墟へ、オカルンは心霊スポットのトンネルへ。 そこで2人は、理解を超越した圧倒的怪奇に出会う。 窮地の中で秘めた力を覚醒させるモモと、呪いの力を手にしたオカルンが、迫りくる怪奇に挑む!運命の恋も始まる!? オカルティックバトル&青春物語、開幕!
考察
SFでもあり、怪談でもあり、恋愛でもあり、青春でもあるたくさんの要素が詰まっているにも関わらず全ての要素が面白い。はじめは敵だった妖怪もUMAも人間もどんどん味方になっていくので、ほぼ全てのキャラクターに愛着が持てる。オカルンが自分から動くことをしなかったのに、初めての友達のために自分から動く姿に心動かされた。
17, ブラック・ショーマン(映画 2025)監督:田中亮
概要
コロナウイルス流行後、観光客が遠のき、かつての活気を失ってしまった町で、多くの教え子に慕われていた元中学校教師・神尾英一が何者かに殺害される。父の訃報を受け、2カ月後に結婚を控えていた娘の神尾真世が、実家のある町に帰ってくる。父はなぜ殺されなければならなかったのか。真実を知りたいと願う真世の前に、元マジシャンの叔父・神尾武史が現れる。かつてラスベガスで名を馳せた武史は、卓越したマジックの腕前とメンタリスト級の観察眼、誘導尋問を武器に、真世とともに事件の謎に挑む。
考察
父と娘としてではなく、教師と生徒として関係を築いてきた親子が最後の最後で父と娘として繋がれたのがよかった。事件の内容自体も面白く、退屈しなかった。現代の情報社会の恐ろしさが描かれていて、嘘をついて有名になると後が怖いし、最初から正直に公表していれば、美談になったのでは?と思ってしまった。嘘というのは絶対だめだし、何事も初めが肝心だなと思わされた。叔父と姪の関係が魅力的でなんだかんだ姪のことを大切にしているのがひしひしと感じられた。垣間見える家族愛がよかったと思う。
18, HUNTER×HUNTER(アニメ 2011)監督:神志那弘志
概要
1998年より週刊少年ジャンプ(集英社)にて連載が開始された原作『HUNTER×HUNTER』は、冨樫義博氏が描く少年たちの壮大な冒険ストーリー です。過酷なハンター試験に挑む少年ゴンと、同じくハンター試験合格を目指す仲間たちの熱い想いや行動が、多くの少年・少女たちの共感を呼び、コミックス は累計6,300万部を越える大ヒットを記録!
考察
ゴンとキルアの友情が深く描かれるところがよかった。なんでも前向きに捉えるゴンが殺し屋だったキルアの心をいやし、引っ張っていく様がとてもほっこりした。ゴンの純粋で真っ直ぐな気持ちが故に悪い方向にいったり、騙されたりしても、それが歪むことなく、ひたすらに突き進む姿がとても印象的だった。信念を曲げないことで、目的の父親に会うことが達成できたのかなと思った。
19, サマーウォーズ(映画 2009)監督:細田守
概要
あと一歩のところで数学オリンピックの日本代表になれなかった高校2年生・小磯健二は、買い物や行政手続きなどあらゆることができる仮想世界「OZ」の保守点検のバイトをしながら、夏休みを過ごしていた。そんなある日、健二は先輩の夏希に頼まれ、長野県上田市にある彼女の実家に行くことになる。憧れの先輩との旅行に胸を躍らせる健二だったが、夏希は曾祖母・栄の誕生祝いのために集まった親戚一同の前で、突然健二を自分のフィアンセだと紹介する。一方、「OZ」の世界では恐ろしい事態が発生。健二のアカウントが乗っ取られてシステムに障害が発生し、健二が容疑者として疑われてしまう。そして、その障害は世界に危機をもたらそうとしていた。
考察
家族という繋がりを越える物語だなと思った。健仁がなつきの家の人たちと繋がり、諦めなかったから生まれた結果だったのかなと感じた。また、花札のシーンでは、掛け金がなくなったところで海外の子どもが自分のアバターをなつきに預けるが、ここも繋がりが表されていて、国境や種族を越えた繋がりの表現があると思った。最後の衛生の軌道を反らすところでは何よりも強く家族の繋がりが描かれ、そこに健仁が入ったことを強く印象付けるシーンだったと思った。
20, 陰陽廻天 Re:バース(アニメ 2025)監督:髙橋秀弥
概要
david productionが贈る初のオリジナルアニメーション! 時空爆走系ヤンキーによる、異世界バトルアクション始動!誰ともつるまず1人孤独に喧嘩に明け暮れるヤンキー高校生・業平 猛 (なりひら たける)は、夢に何度も現れる謎の少女・ツキミヤに想いを募らせる日々を過ごしていた。そんなある日、タケルは不慮の事故で崖から転落。 意識を取り戻すと目の前に広がっていたのは、テクノロジーが高度に進化を遂げた平安京・《電祇平安京(でんじへいあんきょう)》。そこは、最強の陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)が守護しており、憧れのツキミヤが現実に存在する別世界だった! 夢にまで見た運命的な出会いに舞い上がるタケルだったが、突如発生した黒い霧《闇薫(やみかおる)》の中で《怨人(おに)》と呼ばれる化け物によってツキミヤもろとも命を落としてしまう。しかし、次の瞬間、タケルは再び電祇平安京で目を覚ます。 やがて自身がタイムリープしたことに気づいたタケルは、ツキミヤが命を落とす未来に抗うため、安倍晴明から陰陽術を習得し、陰陽師として戦うことを決意する!
考察
初め敵だと思っていたものが味方で無害で守るべき存在だと思っていたものが最大の敵で驚いた。みんな自分の信念のために生きていて、そのぶつかり合いだったのだなと思った。たけるがよく家訓を叫んでいて、その家訓は矛盾したこともあって、めちゃくちゃだなと思っていたけど、どれも強い思いと意志があって、だからこそたけるのピンチを救ったんだなと思った。未来を諦めないというのが本作のテーマだと感じた。
21, 夢中さ、君に。(アニメ 2025)監督:中谷亜沙美
概要
中高一貫の男子校に通う江間譲二は、体育祭がきっかけで 風変わりなクラスメート・林美良から変な絡まれ方をされるようになる。 共学高校に通う目高優一は、校内で忌み嫌われている不気味キャラ・二階堂明が後ろの席になり、憂鬱な気分を抱えていた……。 思春期ならではの人間模様が織りなすオムニバス・ストーリー。
考察
個性豊かな学生たちがいろんな目線で描かれているのが面白かった。みんなそれぞれ誰かに興味を持っていて、その相手のことに夢中になっている様子が描かれていた。江間も目高も一風変わったクラスメートに絡んだり、絡まれたりしていて、彼らがそれを避けることなく相手にかかわった結果、相手の新たな一面を発見できたのかなと思った。周りのうわさや表面的な印象だけでなく、きちんと関わって、相手のことを知ると面白いのかもしれないと思った。
22, オッドタクシー(アニメ 2011)監督:木下麦
概要
偏屈で無口な変わり者小戸川。 個人タクシーの運転手として街を流しながら、なるべく他人と関わらないように、平凡な日々を過ごしていた。ところが、ある日思い掛けず『練馬区女子高生失踪事件』に巻き込まれてしまう。事件には、億を超える巨額の金、目的不明の半グレ集団、売り出し中のアイドル、カリスマ化されていく大学生など、様々な事物が絡み、混沌としていく。 それでも、ある計画の実行をきっかけに、事態は一気に収束。一連の出来事は、多くの悲しみや不条理をはらみながら、いったんの結末を見た。かに思われた。関わっていた人々は、口々に証言する。“あの時一体何が起きていた”のかを。それらを繋ぎ合わせることで浮かび上がってくる、事件の新たな輪郭。 一人のタクシードライバーの “人生を一変させるような出来事”がカタチを変え、運命の歯車は再び揺さぶられていく。
考察
いろんな事件が折り重なっていて、それに巻き込まれていく小戸川が秀逸に描かれていたなと思った。子供の時に家族がらみで死にかけて、そのことから目をそらすためなのか、人間が動物に見えてしまっているという設定が面白いなと思った。本当は人間でなのに、動物の世界の出来事だと、見ているこっちも疑わないから最後の展開にとても驚かされた。確かに剛力が小戸川に「俺は何にみえる?」と聞くシーンがあって、「ゴリラ」と即答され微妙な顔になるシーンがあったが、それは本当はゴリラではないということを示唆していたのかなと思った。
23, 妖怪学校の先生はじめました(漫画 2014)原作:田中まい
概要
ビビりで泣き虫な新米教師・安倍晴明(あべはるあき)。 憧れの教師になり、喜んでいたのもつかの間! 赴任先の百鬼学園は、なんと妖怪たちの妖怪たちによる妖怪たちだけの学校だった!気弱でヘタレ、しかも人間である晴明を、学園長が雇った理由とは一体……!? クセ強人間教師・晴明と、個性が大渋滞の妖怪生徒&先生たちの、奇妙でにぎやかな日常を描く、愉快☆痛快☆妖怪☆学園コメディ!授業開始!
考察
個性豊かな妖怪たちと関わり、向き合うことで晴明自身が大きく成長していく様子がとても面白く、楽しく読めた。また、晴明だけでなく同僚や生徒も彼に影響され、変わっていくのもよかった。ヘタレで気弱な晴明が大切な生徒や友達のために諦めない姿に心打たれた。種族の違いによる寿命の問題や知識量の違いなどが描かれていて、普段なら気にしないような問題を考えさせられる作品だなと思った。
24, 沈黙のパレード(映画 2022)監督:西谷弘
概要
数年前から行方不明になっていた女子高生が、遺体となって発見された。警視庁捜査一課の刑事・内海によると事件の容疑者は、湯川の大学時代の同期でもある刑事・草薙がかつて担当した少女殺害事件の容疑者で、無罪となった男だった。男は今回も黙秘を貫いて証拠不十分で釈放され、女子高生が住んでいた町に戻って来る。憎悪の空気が町全体を覆う中、夏祭りのパレード当日、さらなる事件が起こる。
考察
大切な人を殺されたり傷つけられたりしたのにも関わらず、加害者である人は逮捕されず、その怒りをどこにもぶつけることができなくてやってしまった結果だったのかなと思った。最愛の妻を守るために加害者を殺してしまったが、結局誰も幸福にはならない結果になった。やられたことをやり返しても、自分には何も返ってこないということが描かれていたと思う。悪いことをしてしまったら黙っておくのではなく、正直に話して反省した方がその人の人生はよくなると思った。
25, Dr.STONE SCIENCE FUTURE第2クール(アニメ 2025)監督:松下周平
概要
宝島での激戦を終え、無事に科学王国へと帰還した千空たち。手に入れた石化装置で、コールドスリープしていた司を復活させることに成功。司は科学王国の仲間となった!
そして、人類石化の黒幕・ホワイマンの本拠地が“月”であることを突き止めた千空たちは、月を目指す!このストーンワールドで、ゼロから宇宙船を作るビッグプロジェクトへと乗り出した。早速、世界中から宇宙船の素材を集める為、ペルセウス号で大海原へと飛び出した千空たち。復活液の原料となる大量のコーンを求め、最初の目的地・アメリカ大陸を目指す。勇気、結束、科学力、全てが試される大航海の先に、千空たちを揺るがす脅威が待ち構えていた!!
考察
アニメにしてよりわかりやすくなったなと思った。漫画のときもスイカが1人になったことがよく表現されていたと思うけど、アニメになると今まで聞こえてきていた声が聞こえなかったり、声優さんが1人だったりとより孤独が強調されていて、心にきた。また、千空が復活するときにエンディングで、声優さんのテロップの表示が千空がしゃべり出すまででないという演出があり、とてもこだわりを感じた。みんながスイカを応援したくなるような演出で、SNSでも話題になっていて、見せ方がすごいなと思った。
26, カラオケ行こ!(アニメ 2025)監督:中谷亜沙美
概要
合唱部の部長・岡聡実は、突如現れたヤクザ・成田狂児から声をかけられる。彼の組では恒例のカラオケ大会があり、そこで歌ヘタ王になると組長に微妙な刺青を入れられる掟があった。狂児に歌唱指導を頼まれ、仕方なく練習に付き合わされる聡実。カラオケで繋がった二人の奇妙な関係の行方は……!?
考察
アニメオリジナルで、狂児視点のお話を見られたのがよかった。声変わりで部活における自分の存在意義みたいなのが見えなくなっていて、不安だった聡実が意地になっている練習のシーンで表現されているのかなと思った。そこに、唐突に自分を無条件で信じて、居場所をくれた狂児の存在が聡実にはとても大きく大切なものだったのだろうなと感じた。また、狂児が相変わらず「紅」を歌い続けたのも、ありのままの自分でいいというメッセージなのではないかと感じた。自分の好きを肯定していいよということなのかなと思った。
27, ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(映画 1993)監督:ヘンリー・セリック
概要
ハロウィン・タウン。それは年に一度のハロウィンのお祭りを人間界へ送り出す不思議な町。しかし、この町の人気者“カボチャ王”ことジャックは、毎年同じように繰り返されるハロウィンの準備にうんざりしていた。ある日、ジャックは森の中で奇妙な扉を見つける。そのひとつを開いてみると、そこはハロウィン・タウンとはまったく別の、陽気で明るいクリスマス・タウンだった。一面の銀世界にピカピカ光るライト、心はずむケーキやツリー、そして優しい人たち。たちまち、その初めての世界に魅せられたジャックは、彼に想いを寄せるつぎはぎ人形サリーの心配をよそに、自分流のクリスマスを計画する。ジャックが夢見たハロウィン風クリスマスとは…?
考察
いつも子どもを怖がらせるために奔走していたジャックが、クリスマスという子どもを喜ばせるためにある行事の存在を知り、自分もやってみたいとなるのがとても素敵な発想だなと思った。ハロウィンのときはちょっと沈んだ顔だったジャックがクリスマスでは生き生きとしている様子がよかった。ジャックは上手にクリスマスをすることはできなかったが、失敗を通して、自分の大切なものややるべきことを再確認できたのかなと思った。適材適所というものがあるのだというのも表現されていたと思う。また、クレイアニメになっていたのも印象的だった。
28, カッコウの許嫁 Season2(アニメ 2025)
概要
海野凪と天野エリカ。同じ日に生まれた二人は、赤ちゃんの頃に取り違えられた子ども同士。 定食屋の息子とホテル王の娘として育った二人は、育てと生みの両親たちのススメで、許嫁関係となることに。 ひとつ屋根の下で同居を始めた二人の生活は、クラスメイトの瀬川ひろや 兄を追って来た海野幸たちも巻き込んでいく。 許嫁、想い人、血の繋がらない妹。 凪を巡るちぐはぐな“四角関係”へ、今度は初恋の幼なじみがやって来る!? 人生とラブが大交錯! 「取り違え子」から始まる“五角関係”ラブコメディー。
考察
家族にきめられた許嫁という運命を自分たちの力で覆そうとする姿が描かれていた。取り違え子からの許嫁というめちゃくちゃな関係にもかかわらず、お互いに影響しあって、成長していく過程がとても面白かった。また、凪を取り巻く周りの人たちも決められた運命を覆そうと努力している姿もよかった。
29, やさしいライオン (映画 1970)原作:やなせたかし
概要
子どもを失った母犬ムクムクと、母を失ったライオンの赤ちゃんブルブルの交流をやさしく綴った、やなせたかし作の絵本をアニメ化した作品です。母犬と子ライオンの心情を歌で綴ったミュージカル・アニメーションは、連作として何本か作る予定でしたが、完成したのはこの一本だけでした。
考察
絵本の読み聞かせをするような音声とミュージカルチックな歌を挟む構成だった。初めて見る構成で珍しいなと思った。犬のムクムクとライオンのブルブルの親子の絆が描かれていて、家族は血のつながりだけで構成されるものではないということを伝えてくれる作品だった。「心が大切で、見かけは重要ではない」というセリフが二人の深い絆を表現していた。
30, 朝ドラあんぱん(ドラマ 2025)脚本:中園ミホ
概要
「韋駄天おのぶ」「ハチキンおのぶ」と呼ばれる朝田のぶは、高知県御免与町で祖父母と両親、妹二人と暮らしていた。 留守がちな父・朝田結太郎から「女子も大志を抱け」と聞かせられていたが、父が出張中に急死してしまう。悲しみを見せないのぶだったが、転校生・柳井嵩の描いたスケッチに心を救われる。祖父・朝田釜次が大怪我をしたこともあり、風来坊のパン職人・屋村草吉の協力で「朝田パン」を開業することになる。
考察
やないたかしと妻ののぶの人生を半年かけて描いていて、それでも毎日見続けられるくらい面白い作品だった。正義とは何なのか、というのがずっと問いただされていて、それを見つけるために奔走する2人の姿がとてもかっこよかった。「アンパンマン」が誕生するまでに、いろんな苦悩とつらい体験があったのだなと思った。いろんな体験を経て今みんなが見ているアンパンマンになったのだと感動した。夢を諦めずに追いかけることの大切さを伝える作品だと思った。