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4年 清水
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春期休暇課題11~20
11.『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』(映画)
監督:畑博之 制作P.A.WORKS 公開日2025年1月17日
CDショップで聴いたことのないミクの歌を耳にした星乃一歌。彼女はモニターに、見たことのない初音ミクを見つけ、思わず声を出す。その声に驚いたミクは、一歌と目が合ったものの、ほどなくして消えてしまう。後日、路上ライブを終えた一歌のスマホに、以前見かけたミクが姿を現す。寂しそうに俯くミクに話を聞くと、“想いの持ち主”に歌を届けたいが、その歌が届かないという。ライブで多くの人に歌を届ける一歌を見て、彼女のことを知れば自分も歌を届けることができるのではとミクは考えやって来たのだった。ミクの願いに「私でよければ」と一歌は微笑み答える。
アプリゲーム「プロジェクトセカイカラフルステージ!feat.初音ミク」をオリジナルストーリーで映画にした作品。アプリに登場するすべてのユニットが登場する。「セカイ」についての説明は特段何もなかったが、それぞれのユニットが「セカイ」に飛び込む姿は描写されており、それぞれの「セカイ」を象徴する初音ミクも登場するため何も知らない人でも、「セカイ」がどういうものなのか、“想いの持ち主”とは何を示すのかがわかるようになっていると感じた。
“想いの持ち主”に歌を届けることができないミクは、黒い服装、黒い耳飾りと暗い感じが強く他の「セカイ」のミクと比較してどこか未完成といった印象を受けやすい。彼女の「セカイ」も扉は錆びつき、空は真っ暗で砂が積もり荒廃しているように描かれている。このような描写は彼女の「セカイ」が閉じた状態であり、“想いの持ち主”も負の感情に浸食されていることを視覚的に表現していると考えられる。宙に浮く扉から砂が出る場面や、ミクが黒い鎖に巻き付かれているような描写もこれに該当すると考えられる。
本作の重要な要素である各ユニットの歌は映画館という環境もあってどれも素晴らしかった。そのうえで各ユニットの「セカイ」と違わない印象の曲調であり、全く知らない私でもこのユニットはこんな感じの歌を歌うのかとイメージが付きやすかった。
12.『ソードアート・オンライン アインクラッド』(ライトノベル)
※1~2巻、8巻の短編エピソードを含む
作者:川原礫 イラスト:abec
2022年、人類は完全な仮想空間を実現した。それを元に発売された一本のゲームソフト。≪ソードアート・オンライン≫、通称SAO。世界初となるVRMMORPGの世界をプレイヤーたちは存分に楽しんでいた。ログアウト不能であることが発覚するまでは。製作者の茅場昌彦からは第100層までクリアすればログアウトできること、SAO内でHPを全損すれば現実世界でも死ぬという事実が告げられる。いち早くこの真実を受け入れたプレイヤー・キリトはソロプレイヤーとして攻略を開始する。
原点にして頂点の物語。アニメとは違い、最後の二週間から物語がスタートしている。これは元々アインクラッド編自体を長めに書こうという姿勢ではなかったことが影響していると考えられる。キリトとアスナの関係性が熟しきっている頃合いであり、いがみ合う二人が描写されないことが少し残念だった。この頃にはキリトの安全マージンをとってのソロ攻略が確立されている。その一方で紆余曲折を経て血盟騎士団に入団となったときには「ソロ攻略も限界が来ていたから…」という発言があり、どこかのタイミングでパーティー攻略に切り替えた可能性が高いと考えられる。彼がギルドに所属しないことにこだわる理由は、一年ちょっと前のトラウマと自身の出生が深く関わっていると思われる。目の前で人が消える恐怖や自身が見ている人は本物なのかという問いを拭い去れないことで距離を置いていたが、アスナがキリトを守る側と宣言したことで彼の懸念は少し和らいだのではないかと考えられる。
ゲームをしていると私たちも「死ぬ」という単語を口にするが、SAOでの「死ぬ」は重みが違いすぎると感じる。二年という長い時間ゲームに囚われているがそこには不透明なタイムリミットも存在しており、アスナの発言からはタイムリミットを迎えることは戦って死ぬことよりも辛いことと捉えていると考えられる。ほかにも、キリトとアスナがこの世界に慣れてしまった結果、現実世界のことを思い出さない日があることも語られている。死に関する発言や現実世界という単語から、ゲームの世界だと頭では理解しているが、VR世界への慣れや現実の死を迎える引き金がゲームでの死であることが、現実とゲームの境界線を曖昧にしているとも感じた。
13.『ソードアート・オンライン フェアリィダンス』(ライトノベル) ※3~4巻
作者:川原礫 イラスト:abec
SAOから生還を果たしたキリト。しかし、SAOにて結婚し恋仲となったアスナは未だ目覚めずにいた。見舞いに行った病室でキリトはレクトスタッフの須郷伸之と明日奈の間で縁談が持ち上がっていることを知ってしまう。失意に沈むキリトだったが従妹からの励ましによってなんとか立ち直る。その後、エギルから一枚の画像が送られてくる。そこに写っていたのは鳥籠のなかで座るアスナらしき人影だった。アスナを救うためキリトは≪アルヴヘイム・オンライン≫に挑む。
キリトのヒーロー性や、直葉との関係の修復がテーマとしてあるように感じた。キリトはSAOから多くの人を救った英雄ではあるものの、現実世界ではゲーム好きの高校生であり特別強いわけではない。そのことはキリトも自覚的であり、アスナを救う過程でもその事実に打ちのめされ心が折れそうになっている。しかし、そんなキリトをアスナは「私にとって君はいつでもヒーロー」だと語る。この点からはキリトは強いプレイヤーではあるがどんな敵も倒す万能さは持っておらず、他人と共闘し、救い、変えるヒーローであることを示していると考える。
従妹との関係性はキリトが自身の生い立ちを知ったことで拗れていったが、その修復は現実とVRの両方で行われる。キリトに対する想いを現実世界で話した後、VR世界での戦闘によって本来の関係を取り戻すという形式だが、これはVR世界での人格が現実世界の延長にあることが大きく影響していると考えられる。行っているのは現実世界では語れないことをネットで発散するのと同じことであり、長い期間話し合えなかった二人が本音で語るのに最適な方法であったと思われる。桐ヶ谷和人/キリトとして、桐ヶ谷直葉/リーファとして、接し話す姿はVRでの人格が現実の延長であること、現実では見せない抑圧された部分の解放の証明であり、SAOというシリーズの根幹にも関わる重要な要素だと考えられる。
14.『ソードアート・オンライン ファントムバレット』(ライトノベル) ※5~6巻
作者:川原礫 イラスト:abec
SAO事件から約一年。キリトは総務省仮想課の菊岡から奇妙な依頼を受ける。それは、銃と鋼鉄のVRMMO≪ガンゲイル・オンライン≫にて発生した死銃事件の捜査であった。死銃に撃たれたものは現実世界でも死に至る。仮想世界が現実世界に物理的に及ぼす影響に疑念を抱くキリトだったが、≪GGO≫へとログインする。手掛かりを掴むべく不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。彼に手を差し伸べたのはスナイパーの少女・シノンだった。彼女の力を借りたキリトは死銃と接触するために全ガンナーの頂点を決める大会バレット・オブ・バレッツに参加する。
過去を受け入れてどう乗り越えていくかに大きな焦点が当たっていると感じた。キリトとシノンの二人に共通するのは人を殺した過去があること。二人ともその幻影に苦しめられていることまで共通している。そんな二人が《GGO》で渦巻く事件を調査する中で過去と向き合い、成長していく様子が丁寧に描写されている。
シノンは過去の出来事によるPTSDを克服するために《GGO》にログインしているが、ゲーム以外の使用方法があることを示すのは次のエピソードへの準備であったのではないかと考える。
個人的に死銃の腕に刻まれたエンブレムを目にした瞬間、震えるキリトが好きなのだが、その姿からはトラウマに怯える普通の高校生のように見える。ここから彼にとってはゲーム内での人殺しが軽くない事実であり、SAO時代が良くも悪くも善良なプレイヤーであったことの証左であると考えられる。
この章の核である事件を追う中で過去の出来事に向き合う二人は自分の行動を悔いているというより、その選択が正しかったのかという部分に悩まされている。個人的には殺す以外の選択肢が存在したのではないか、そんな自分がのうのうと生きていてもいいのだろうかという問いこそが向き合うということであり、考え続けることなのだと思う。終盤ではできなかったことを悔いる方向に考えがちではあるが、それによって救われた人や命があるという事実が描写されており、向き合う中で広く視野を持って自分に対話していくことが重要なのだと感じた。
15.『ソードアート・オンライン マザーズロザリオ』(ライトノベル)※7巻
作者:川原礫 イラスト:abec
ある日、アスナはリズベットから奇妙な噂を聞く。新マップ《浮遊城アインクラッド》、その第24層主街区北部で自身の持つ《オリジナル・ソードスキル》を賭けた決闘を行っているプレイヤーがいるというのだ。あのキリトすら打ち負かした《絶剣》と呼ばれるプレイヤーにアスナも挑むも、紙一重の差で敗北してしまう。しかし、《絶剣》は決闘が終わるやいなや、アスナを自身のギルドに誘い始めた。キリトに勝利し《絶剣》と呼ばれるほどの剣技。そこにはある秘密が隠されていた。
主人公キリトではなく、ヒロインのアスナを軸に彼女の精神的な成長とユウキの生き様を描いたエピソード。これまでのアスナは芯が強く、キリトを支える存在として描かれてきていた。その一方で他人と衝突しそうになると自分の意見を言わずに相手を立てようとする克己心が強すぎる面が垣間見えていた。これはアスナの家庭環境に依存する問題として書かれている。アスナの母親は教育熱心であり、自身が考えるアスナのための最良のレールの上を走らせてきた。アスナ自身も幼いころからそれに従ってきたため、母親に意見することがない歪な親子関係であった。そしてアスナがSAOに囚われた2年間で従属的な親子関係の歪さはさらに加速したと考えられる。アスナは母親に対して思うことはあるが、言っても聞き入れてくれないという考えから反抗的な態度をとるようになり、母親はゲームに浸る娘が自身の考えるレールに戻ってきてくれないことに恐怖し、VRを遠ざけようとする。
そんな本音を互いに言わない関係を変えたのが《絶剣》である。VR世界で多くの時間を過ごした彼女は自分のやりたいようにやるが信条であり、アスナの周りを立てるとは対照的なスタンスである。そんな彼女がアスナに放った「ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。例えば、自分がどれくらい真剣なのか、とかね」はSAO屈指の名言であり、アスナを大きく変える起爆剤とも言える。VR世界で多くの時間を過ごし、自分を貫いてきた彼女だからこそ重みをもつ言葉だと考えられる。
アスナが母親と語り合うために22層の森の家を選んだのは、現実で言えないことがオンライン上であれば口に出してしまえることや人格そのものは現実の延長であることが関係していると考えられる。アスナにとってもう一つのリアルであり、知ってもらいたいというのもあるだろうが、現実で抑圧している想い、考えは別の場所だと曝け出せることが多い。現実だろうが、ゲームだろうが目の前にいる人物は同一であり、現実の延長でもあるため、そこに区切りがあるようで実はなかったりする。SAOから続く現実とネット上での人格の線引きはここでも書かれていると個人的には感じた。
本エピソードで語られたユウキの生き様はアスナ以外の多くの人にも影響を与えたと思われる。とある事情からダイブしている時間が長いユウキは自分のやりたいことをやるという信条を全うしており、VRから去るとなった時には多くの人が駆けつける。これは現実に戻っても同じであり、彼女のもとには多くのプレイヤーが駆けつけていた。己を貫くその生き様が多くの人を惹きつけ、現実で問題を抱える人に勇気を与えることができたと考えられる。それと同時にゲームと現実での関係性は続いていることも描かれていると感じる。
16.『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(ライトノベル)※9~18巻
作者:川原礫 イラスト:abec
《ルーリッドの村》で育った少年・キリトは、幼馴染のユージオとともに巨大な黒樹・ギガスシダーを倒すという天職を背負っていた。今日も巨木を倒すべく斧を振るっていると、幼馴染のアリスが手作りのパイを差し入れにやってくる。昼食のさなか、3人はおとぎ話にでてきた《果ての山脈》の洞窟へと遠出することを決める。世界の掟である禁忌目録に違反しないか不安がるユージオに、キリトとアリスは大丈夫だと口々に言う。そして出発の日を迎え、果ての山脈に行く3人。そこで彼らが目にしたのは信じがたい光景だった。
これまでのエピソードで話に出ることがあったものの、そこまで触れられることがなかったAIについて真正面から語られた。特に現在の我々の生活で存在しているトップダウン型のAIではなく人の思考回路、魂を模して完成したボトムアップ型のAIについての問題提起がされている。特に人と大差ないAIをどのようにとらえるのかというのがアリシゼーション全体では問われているのではないかと考える。UW内ではキリト以外のすべての人々がAIであり、しかしその知性や会話の円滑さは人間と遜色ないレベルである。これについてキリトは「AIであるのかもしれないが、その世界で生きる人々のようにしか思えない」といった印象を抱いている。しかし、UWを創った開発者たちは軍事転用可能なAIという考え方であり、この点からAIを人とみなすのか、それとも人工物と考えるのかという問題が表れている。感情があるという部分が厄介であり、揺らぎのある声やAIとは思えない感情表現を見てしまうと人工物という割り切りが困難になっていくことが原因の一つだと考える。個人的には彼らは人を攻撃しないようにできていない時点で既存のAIと差別化が図られており、埋め込まれた規範を意思によって凌駕している為、人間に近いと考える。
アリシゼーションのAIについて他作品と比較して異なる点として人の手によって創られた存在であることの自覚がまるでないことが挙げられる。彼らは自分が人間であると思い込んでおり、現実世界があることも全く知らないのである。AIという自覚があれば、人との交流の図り方やできることにそれらしさが垣間見えるはずである。それが全くないことによってAIなのか人なのかという境界線はより曖昧になっていると考えられる。
アリシゼーションUW大戦編に突入すると、先述した問題に加えてAIに人権はあるのかという問題が出てくる。ボトムアップ型人工知能は先に書いたように知性、感情共に人間と遜色ないためその扱いが極めて難しい。解決するためにはAIにとっての生死は何か、どこまでの人権や義務を与えるべきなのかを考える必要があると思われる。我々を人間であると定義づけできる要素とAIがAIであると定義づけできる要素を比較していかなければ、その分野に精通している者でも扱いや権利の範囲がわからなくなっていくだろう。AIが人権を持つことはその存在意義にも大きな影響を与え、今以上の有用性が認められることにもなる。無機物と思うか、対等な存在として扱うのか。これからの技術発展における問題が詰め込まれたエピソードだと感じた。
17.『デモンズクレスト』(ライトノベル)
作者:川原礫 イラスト:堀口悠紀子
世界初の全感覚没入型VRMMO-RPG《アクチュアル・マジック(AM)》のテストプレイが開始された。雪花小学校6年1組の芦原佑馬は新たなテクノロジーが作り出すVR世界に驚き、クラスメイトとともにダンジョンボスを攻略し、ログアウトするはずだった。しかし、ダンジョンボスを倒した後、奇妙な赤い光がアバターを包み込み、佑馬は意識を失ってしまう。《AM》から強制ログアウトした佑馬が目にしたのは、《AM》と《現実》が融合した《MR(複合現実)》だった。
現実世界がゲームに浸食された世界が舞台。技術が進化し、デバイスが体の内部に埋め込まれ、それが当たり前となっている。その割にはフルダイブマシンが体全体を覆うコクーン型であるなど遅れている分野はとことん遅れている印象を受ける。
ゲームが現実世界を侵食したということもあり、現実世界にゲーム内でのモンスターが登場する。手順を踏めば、ゲーム内でのステータス及びスキルを反映させることができるが、外見的変化がないことによって主人公たちが存在しているのが現実ということを意識させられる。実際に戦ったときに流血や身体的苦痛を伴う描写があることも同じ効果を発揮している。
SAOシリーズとは違いデスゲーム的要素を含みながらも現実からゲームの世界にログインすることも可能となっている。ゲーム内で得た物資やアイテムは現実世界に戻っても使用可能となっており、その逆も可能である。現実とゲームの双方向の攻略が必要と思われるが、一枚岩ではないクラスメイト達をどうまとめていくのか、攻略の
プランなど主人公のリーダー性が試される描写が散見されており、精神的成長と見つめ直しが主人公に課された要素だと考えられる。
タイトルにある「デモン」とは作中で仄めかされているクラスメイト達に宿った悪魔のことを示していると考えられる。この悪魔たちが《MR(複合現実)》になった途端、宿った経緯は不明であるものの、攻略において重要なかぎを握っていると思われる。
18.『ユア・フォルマ』(ライトノベル)
作者:菊石まれほ イラスト:野崎つばた
脳の縫い糸―通称〈ユア・フォルマ〉。ウイルス性脳炎の流行から人々を救った医療技術は、日常に不可欠な情報端末へと進化を遂げた。縫い糸は全てを記録する。視覚、聴覚、そして感情までも。そんな記録にダイブし、重大事件解決の糸口を探るのが、電索官・エチカの仕事だ。電索能力が釣り合わない同僚の脳を焼き切っては病院送りばかりにしていたエチカにあてがわれた新しい相棒ハロルドは、ヒト型ロボット〈アミクス〉だった。過去のトラウマからアミクスを嫌うエチカと構わず距離を詰めるハロルド。稀代の凹凸バディは世界を襲う電子犯罪に挑む。
脳に埋め込まれた情報端末を駆使して生活することが当たり前になった世界。アミクスも生活に密接するようになるが、それを悪用した犯罪も増えていることが書かれている。アミクスの多くは個人の生活を支えるか、仕事をするかのどちらかに大別される。作中では、アミクスをめぐって「機会派」と「友人派」という単語が登場する。この単語からアミクスをどう扱うが人によって異なると考えられる。彼らには敬愛規律が刻み込まれており、人を攻撃しないようになっている。笑いこそするが感情そのものはあくまでプログラムと説明されている。そこだけ切り取れば機械と考えることもできるが、仕事を一緒にする、生活を共にするとなると状況は変わってくるため、置かれた環境、育った環境に左右されると考えられる。しかし、ハロルドは捜査能力を評価されても、実力は評価されていない面がある。その描写からは機械派の人が多く差別意識も強いということが窺える。
エチカのアミクス嫌いは彼女の家庭環境に起因した問題として詳細に語られている。父が自分を見てくれず、お手伝いのアミクスばかり見ていることが原因だった。愛してほしかった人に愛してもらえなかったという過去を持っている人物なのである。これは彼女の人間関係の構築にも影響を及ぼしており、愛してもらうことに飢えているが、与えられないことを知っているために一匹狼のような態度で他人と近づきすぎないようにしていると考えられる。
19.『Vivy prototype』(ライトノベル)
作者;長月達平・梅原英司 口絵・挿絵:FLAT STUDIO 装画:loundraw
科学の発展と共に、人類の生活に欠かせない存在となったAI。『歌姫』と呼ばれるヴィヴィもまた、国内最大級のテーマパーク『ニーアランド』で歌い続けるAIであり、その歌声で人々を魅了し、連日の熱狂を生み出していた。そんな彼女のもとに突如として現れたのは、マツモトと名乗る未知のAIだった。マツモトは自分が100年後の未来からやってきたと語り、人類とAIが繰り広げる最終戦争を阻止するため、『シンギュラリティ計画』への協力をヴィヴィに要請する。
AIの発展と人間との関係性、一個体としてどのように扱うのかが問われた作品であると感じた。ヴィヴィは自身がAIであることや人々にふりまく笑顔、感情を伴っているかのような反応が学習して作られたものであることを自覚している。そのため歌姫という人物的扱いよりも、備品という機械的扱いはふさわしいと思っている節があると読み取れる。しかし、彼女が見せる反応はあまりにも人間的すぎるために人としての扱いが定着していると思われる。この点は未来から来たAIであるマツモトとの大きな差でもある。シンギュラリティ計画達成のために、感情による回り道や無駄な思考をせず合理的な判断のみで動かそうとするマツモトに対して、ヴィヴィは接客がメインとなる仕事柄ゆえか感情というものに敏感であると感じる。規格こそ異なるがAIとしての原則は同じであるため、AIが人間の感情、想いに共感し尽力するかなどは環境が大きく左右すると考えられる。それを好ましく思う人もいるが、作中で言及されたように、人はAIが人らしい反応を見せることを嫌うこともあるためどちらが良いかは難しい問題と感じた。
また、彼女たちが従う三原則が計画の成功に関わっている。人に危害を加えてはならないと紹介されているが、『人類』という大きな枠組みで考えると優先順位が下がるとされている。しかし、この『人類』もAIそれぞれがどこまでを人類と考えているかによって倫理規定に大きな変化をもたらすと考えられる。多くの人を人類と捉えれば、それを害そうとする一個人を攻撃できるが、ただ一人を人類と認識しているAIにとってはその他大勢は攻撃対象になりうるということである。そのように考えるとAIを開発する中で人への奉仕にどこまでの自由度、解釈を持たせるべきなのかも問われていると思った。
20.『ほうかごがかり』(ライトノベル)
作者:甲田学人 イラストpotg
小学六年の二森啓はある日、教室の黒板に突如として自分の名前が謎の係名と共に書き込まれているのを目撃する。その日の深夜十二時、自室。学校のチャイムが爆発的に鳴り響き、開いた襖の向こうには暗闇に囲まれた異次元の学校―『ほうかご』が広がっていた。
学校中の教室に棲む、『無名不思議』と呼ばれる名前のない異常存在。ほうかごに呼び出された六人の少年少女は、それぞれが担当する化け物を観察しその正体を記録するために集められたのだった。絵が得意な啓は屋上に潜む怪異『まっかっかさん』を捉えるべく筆を手にする。
ホラー的要素を含んだ作品。何の関係性もなく集められた少年少女のかかり活動が描かれる。担当する化け物たちは学校の怪談になる前の状態のものと作中では説明されている。それらが成長していくことによって怪談へと変貌していき小学生たちを襲うようになることを止めるのがほうかごがかりの役目とされている。集められた少年少女は学校内で関係性があるわけではないが、各々の観察の過程から自分でもわかっていない本心を隠しているという共通項があると考えられる。主人公の啓が観察した『まっかっかさん』は見つめると死に誘う抗いがたい力を持っているが、これは刑が無意識に考えていた自分はいなかった方がよかったのではないかという思いと一致している。おそらく少年少女の心の傷に近いものを克服することが、観察を完成に導くための重要な要素と思われる。
本作では暗い、黒い、赤いといった色に関連した表現が極めて多い。特に血に関する描写は赤だけでも様々な表現が使われており、想像したくない光景がありありと浮かんでくる。改行や行間によって、光景に対する登場人物たちの感情がより伝わってくるため、読んだ後は身の毛もよだつ思いだった。ただこのように色に関する表現が多いのは啓が絵を描くことが好きな少年であり、造形が深いことや彼の視点を通しての物語体験となるため、作者が意図的にしている可能性もあるのではないかと考えた。
11.『劇場版プロジェクトセカイ 壊れたセカイと歌えないミク』(映画)
監督:畑博之 制作P.A.WORKS 公開日2025年1月17日
CDショップで聴いたことのないミクの歌を耳にした星乃一歌。彼女はモニターに、見たことのない初音ミクを見つけ、思わず声を出す。その声に驚いたミクは、一歌と目が合ったものの、ほどなくして消えてしまう。後日、路上ライブを終えた一歌のスマホに、以前見かけたミクが姿を現す。寂しそうに俯くミクに話を聞くと、“想いの持ち主”に歌を届けたいが、その歌が届かないという。ライブで多くの人に歌を届ける一歌を見て、彼女のことを知れば自分も歌を届けることができるのではとミクは考えやって来たのだった。ミクの願いに「私でよければ」と一歌は微笑み答える。
アプリゲーム「プロジェクトセカイカラフルステージ!feat.初音ミク」をオリジナルストーリーで映画にした作品。アプリに登場するすべてのユニットが登場する。「セカイ」についての説明は特段何もなかったが、それぞれのユニットが「セカイ」に飛び込む姿は描写されており、それぞれの「セカイ」を象徴する初音ミクも登場するため何も知らない人でも、「セカイ」がどういうものなのか、“想いの持ち主”とは何を示すのかがわかるようになっていると感じた。
“想いの持ち主”に歌を届けることができないミクは、黒い服装、黒い耳飾りと暗い感じが強く他の「セカイ」のミクと比較してどこか未完成といった印象を受けやすい。彼女の「セカイ」も扉は錆びつき、空は真っ暗で砂が積もり荒廃しているように描かれている。このような描写は彼女の「セカイ」が閉じた状態であり、“想いの持ち主”も負の感情に浸食されていることを視覚的に表現していると考えられる。宙に浮く扉から砂が出る場面や、ミクが黒い鎖に巻き付かれているような描写もこれに該当すると考えられる。
本作の重要な要素である各ユニットの歌は映画館という環境もあってどれも素晴らしかった。そのうえで各ユニットの「セカイ」と違わない印象の曲調であり、全く知らない私でもこのユニットはこんな感じの歌を歌うのかとイメージが付きやすかった。
12.『ソードアート・オンライン アインクラッド』(ライトノベル)
※1~2巻、8巻の短編エピソードを含む
作者:川原礫 イラスト:abec
2022年、人類は完全な仮想空間を実現した。それを元に発売された一本のゲームソフト。≪ソードアート・オンライン≫、通称SAO。世界初となるVRMMORPGの世界をプレイヤーたちは存分に楽しんでいた。ログアウト不能であることが発覚するまでは。製作者の茅場昌彦からは第100層までクリアすればログアウトできること、SAO内でHPを全損すれば現実世界でも死ぬという事実が告げられる。いち早くこの真実を受け入れたプレイヤー・キリトはソロプレイヤーとして攻略を開始する。
原点にして頂点の物語。アニメとは違い、最後の二週間から物語がスタートしている。これは元々アインクラッド編自体を長めに書こうという姿勢ではなかったことが影響していると考えられる。キリトとアスナの関係性が熟しきっている頃合いであり、いがみ合う二人が描写されないことが少し残念だった。この頃にはキリトの安全マージンをとってのソロ攻略が確立されている。その一方で紆余曲折を経て血盟騎士団に入団となったときには「ソロ攻略も限界が来ていたから…」という発言があり、どこかのタイミングでパーティー攻略に切り替えた可能性が高いと考えられる。彼がギルドに所属しないことにこだわる理由は、一年ちょっと前のトラウマと自身の出生が深く関わっていると思われる。目の前で人が消える恐怖や自身が見ている人は本物なのかという問いを拭い去れないことで距離を置いていたが、アスナがキリトを守る側と宣言したことで彼の懸念は少し和らいだのではないかと考えられる。
ゲームをしていると私たちも「死ぬ」という単語を口にするが、SAOでの「死ぬ」は重みが違いすぎると感じる。二年という長い時間ゲームに囚われているがそこには不透明なタイムリミットも存在しており、アスナの発言からはタイムリミットを迎えることは戦って死ぬことよりも辛いことと捉えていると考えられる。ほかにも、キリトとアスナがこの世界に慣れてしまった結果、現実世界のことを思い出さない日があることも語られている。死に関する発言や現実世界という単語から、ゲームの世界だと頭では理解しているが、VR世界への慣れや現実の死を迎える引き金がゲームでの死であることが、現実とゲームの境界線を曖昧にしているとも感じた。
13.『ソードアート・オンライン フェアリィダンス』(ライトノベル) ※3~4巻
作者:川原礫 イラスト:abec
SAOから生還を果たしたキリト。しかし、SAOにて結婚し恋仲となったアスナは未だ目覚めずにいた。見舞いに行った病室でキリトはレクトスタッフの須郷伸之と明日奈の間で縁談が持ち上がっていることを知ってしまう。失意に沈むキリトだったが従妹からの励ましによってなんとか立ち直る。その後、エギルから一枚の画像が送られてくる。そこに写っていたのは鳥籠のなかで座るアスナらしき人影だった。アスナを救うためキリトは≪アルヴヘイム・オンライン≫に挑む。
キリトのヒーロー性や、直葉との関係の修復がテーマとしてあるように感じた。キリトはSAOから多くの人を救った英雄ではあるものの、現実世界ではゲーム好きの高校生であり特別強いわけではない。そのことはキリトも自覚的であり、アスナを救う過程でもその事実に打ちのめされ心が折れそうになっている。しかし、そんなキリトをアスナは「私にとって君はいつでもヒーロー」だと語る。この点からはキリトは強いプレイヤーではあるがどんな敵も倒す万能さは持っておらず、他人と共闘し、救い、変えるヒーローであることを示していると考える。
従妹との関係性はキリトが自身の生い立ちを知ったことで拗れていったが、その修復は現実とVRの両方で行われる。キリトに対する想いを現実世界で話した後、VR世界での戦闘によって本来の関係を取り戻すという形式だが、これはVR世界での人格が現実世界の延長にあることが大きく影響していると考えられる。行っているのは現実世界では語れないことをネットで発散するのと同じことであり、長い期間話し合えなかった二人が本音で語るのに最適な方法であったと思われる。桐ヶ谷和人/キリトとして、桐ヶ谷直葉/リーファとして、接し話す姿はVRでの人格が現実の延長であること、現実では見せない抑圧された部分の解放の証明であり、SAOというシリーズの根幹にも関わる重要な要素だと考えられる。
14.『ソードアート・オンライン ファントムバレット』(ライトノベル) ※5~6巻
作者:川原礫 イラスト:abec
SAO事件から約一年。キリトは総務省仮想課の菊岡から奇妙な依頼を受ける。それは、銃と鋼鉄のVRMMO≪ガンゲイル・オンライン≫にて発生した死銃事件の捜査であった。死銃に撃たれたものは現実世界でも死に至る。仮想世界が現実世界に物理的に及ぼす影響に疑念を抱くキリトだったが、≪GGO≫へとログインする。手掛かりを掴むべく不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。彼に手を差し伸べたのはスナイパーの少女・シノンだった。彼女の力を借りたキリトは死銃と接触するために全ガンナーの頂点を決める大会バレット・オブ・バレッツに参加する。
過去を受け入れてどう乗り越えていくかに大きな焦点が当たっていると感じた。キリトとシノンの二人に共通するのは人を殺した過去があること。二人ともその幻影に苦しめられていることまで共通している。そんな二人が《GGO》で渦巻く事件を調査する中で過去と向き合い、成長していく様子が丁寧に描写されている。
シノンは過去の出来事によるPTSDを克服するために《GGO》にログインしているが、ゲーム以外の使用方法があることを示すのは次のエピソードへの準備であったのではないかと考える。
個人的に死銃の腕に刻まれたエンブレムを目にした瞬間、震えるキリトが好きなのだが、その姿からはトラウマに怯える普通の高校生のように見える。ここから彼にとってはゲーム内での人殺しが軽くない事実であり、SAO時代が良くも悪くも善良なプレイヤーであったことの証左であると考えられる。
この章の核である事件を追う中で過去の出来事に向き合う二人は自分の行動を悔いているというより、その選択が正しかったのかという部分に悩まされている。個人的には殺す以外の選択肢が存在したのではないか、そんな自分がのうのうと生きていてもいいのだろうかという問いこそが向き合うということであり、考え続けることなのだと思う。終盤ではできなかったことを悔いる方向に考えがちではあるが、それによって救われた人や命があるという事実が描写されており、向き合う中で広く視野を持って自分に対話していくことが重要なのだと感じた。
15.『ソードアート・オンライン マザーズロザリオ』(ライトノベル)※7巻
作者:川原礫 イラスト:abec
ある日、アスナはリズベットから奇妙な噂を聞く。新マップ《浮遊城アインクラッド》、その第24層主街区北部で自身の持つ《オリジナル・ソードスキル》を賭けた決闘を行っているプレイヤーがいるというのだ。あのキリトすら打ち負かした《絶剣》と呼ばれるプレイヤーにアスナも挑むも、紙一重の差で敗北してしまう。しかし、《絶剣》は決闘が終わるやいなや、アスナを自身のギルドに誘い始めた。キリトに勝利し《絶剣》と呼ばれるほどの剣技。そこにはある秘密が隠されていた。
主人公キリトではなく、ヒロインのアスナを軸に彼女の精神的な成長とユウキの生き様を描いたエピソード。これまでのアスナは芯が強く、キリトを支える存在として描かれてきていた。その一方で他人と衝突しそうになると自分の意見を言わずに相手を立てようとする克己心が強すぎる面が垣間見えていた。これはアスナの家庭環境に依存する問題として書かれている。アスナの母親は教育熱心であり、自身が考えるアスナのための最良のレールの上を走らせてきた。アスナ自身も幼いころからそれに従ってきたため、母親に意見することがない歪な親子関係であった。そしてアスナがSAOに囚われた2年間で従属的な親子関係の歪さはさらに加速したと考えられる。アスナは母親に対して思うことはあるが、言っても聞き入れてくれないという考えから反抗的な態度をとるようになり、母親はゲームに浸る娘が自身の考えるレールに戻ってきてくれないことに恐怖し、VRを遠ざけようとする。
そんな本音を互いに言わない関係を変えたのが《絶剣》である。VR世界で多くの時間を過ごした彼女は自分のやりたいようにやるが信条であり、アスナの周りを立てるとは対照的なスタンスである。そんな彼女がアスナに放った「ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ。例えば、自分がどれくらい真剣なのか、とかね」はSAO屈指の名言であり、アスナを大きく変える起爆剤とも言える。VR世界で多くの時間を過ごし、自分を貫いてきた彼女だからこそ重みをもつ言葉だと考えられる。
アスナが母親と語り合うために22層の森の家を選んだのは、現実で言えないことがオンライン上であれば口に出してしまえることや人格そのものは現実の延長であることが関係していると考えられる。アスナにとってもう一つのリアルであり、知ってもらいたいというのもあるだろうが、現実で抑圧している想い、考えは別の場所だと曝け出せることが多い。現実だろうが、ゲームだろうが目の前にいる人物は同一であり、現実の延長でもあるため、そこに区切りがあるようで実はなかったりする。SAOから続く現実とネット上での人格の線引きはここでも書かれていると個人的には感じた。
本エピソードで語られたユウキの生き様はアスナ以外の多くの人にも影響を与えたと思われる。とある事情からダイブしている時間が長いユウキは自分のやりたいことをやるという信条を全うしており、VRから去るとなった時には多くの人が駆けつける。これは現実に戻っても同じであり、彼女のもとには多くのプレイヤーが駆けつけていた。己を貫くその生き様が多くの人を惹きつけ、現実で問題を抱える人に勇気を与えることができたと考えられる。それと同時にゲームと現実での関係性は続いていることも描かれていると感じる。
16.『ソードアート・オンライン アリシゼーション』(ライトノベル)※9~18巻
作者:川原礫 イラスト:abec
《ルーリッドの村》で育った少年・キリトは、幼馴染のユージオとともに巨大な黒樹・ギガスシダーを倒すという天職を背負っていた。今日も巨木を倒すべく斧を振るっていると、幼馴染のアリスが手作りのパイを差し入れにやってくる。昼食のさなか、3人はおとぎ話にでてきた《果ての山脈》の洞窟へと遠出することを決める。世界の掟である禁忌目録に違反しないか不安がるユージオに、キリトとアリスは大丈夫だと口々に言う。そして出発の日を迎え、果ての山脈に行く3人。そこで彼らが目にしたのは信じがたい光景だった。
これまでのエピソードで話に出ることがあったものの、そこまで触れられることがなかったAIについて真正面から語られた。特に現在の我々の生活で存在しているトップダウン型のAIではなく人の思考回路、魂を模して完成したボトムアップ型のAIについての問題提起がされている。特に人と大差ないAIをどのようにとらえるのかというのがアリシゼーション全体では問われているのではないかと考える。UW内ではキリト以外のすべての人々がAIであり、しかしその知性や会話の円滑さは人間と遜色ないレベルである。これについてキリトは「AIであるのかもしれないが、その世界で生きる人々のようにしか思えない」といった印象を抱いている。しかし、UWを創った開発者たちは軍事転用可能なAIという考え方であり、この点からAIを人とみなすのか、それとも人工物と考えるのかという問題が表れている。感情があるという部分が厄介であり、揺らぎのある声やAIとは思えない感情表現を見てしまうと人工物という割り切りが困難になっていくことが原因の一つだと考える。個人的には彼らは人を攻撃しないようにできていない時点で既存のAIと差別化が図られており、埋め込まれた規範を意思によって凌駕している為、人間に近いと考える。
アリシゼーションのAIについて他作品と比較して異なる点として人の手によって創られた存在であることの自覚がまるでないことが挙げられる。彼らは自分が人間であると思い込んでおり、現実世界があることも全く知らないのである。AIという自覚があれば、人との交流の図り方やできることにそれらしさが垣間見えるはずである。それが全くないことによってAIなのか人なのかという境界線はより曖昧になっていると考えられる。
アリシゼーションUW大戦編に突入すると、先述した問題に加えてAIに人権はあるのかという問題が出てくる。ボトムアップ型人工知能は先に書いたように知性、感情共に人間と遜色ないためその扱いが極めて難しい。解決するためにはAIにとっての生死は何か、どこまでの人権や義務を与えるべきなのかを考える必要があると思われる。我々を人間であると定義づけできる要素とAIがAIであると定義づけできる要素を比較していかなければ、その分野に精通している者でも扱いや権利の範囲がわからなくなっていくだろう。AIが人権を持つことはその存在意義にも大きな影響を与え、今以上の有用性が認められることにもなる。無機物と思うか、対等な存在として扱うのか。これからの技術発展における問題が詰め込まれたエピソードだと感じた。
17.『デモンズクレスト』(ライトノベル)
作者:川原礫 イラスト:堀口悠紀子
世界初の全感覚没入型VRMMO-RPG《アクチュアル・マジック(AM)》のテストプレイが開始された。雪花小学校6年1組の芦原佑馬は新たなテクノロジーが作り出すVR世界に驚き、クラスメイトとともにダンジョンボスを攻略し、ログアウトするはずだった。しかし、ダンジョンボスを倒した後、奇妙な赤い光がアバターを包み込み、佑馬は意識を失ってしまう。《AM》から強制ログアウトした佑馬が目にしたのは、《AM》と《現実》が融合した《MR(複合現実)》だった。
現実世界がゲームに浸食された世界が舞台。技術が進化し、デバイスが体の内部に埋め込まれ、それが当たり前となっている。その割にはフルダイブマシンが体全体を覆うコクーン型であるなど遅れている分野はとことん遅れている印象を受ける。
ゲームが現実世界を侵食したということもあり、現実世界にゲーム内でのモンスターが登場する。手順を踏めば、ゲーム内でのステータス及びスキルを反映させることができるが、外見的変化がないことによって主人公たちが存在しているのが現実ということを意識させられる。実際に戦ったときに流血や身体的苦痛を伴う描写があることも同じ効果を発揮している。
SAOシリーズとは違いデスゲーム的要素を含みながらも現実からゲームの世界にログインすることも可能となっている。ゲーム内で得た物資やアイテムは現実世界に戻っても使用可能となっており、その逆も可能である。現実とゲームの双方向の攻略が必要と思われるが、一枚岩ではないクラスメイト達をどうまとめていくのか、攻略の
プランなど主人公のリーダー性が試される描写が散見されており、精神的成長と見つめ直しが主人公に課された要素だと考えられる。
タイトルにある「デモン」とは作中で仄めかされているクラスメイト達に宿った悪魔のことを示していると考えられる。この悪魔たちが《MR(複合現実)》になった途端、宿った経緯は不明であるものの、攻略において重要なかぎを握っていると思われる。
18.『ユア・フォルマ』(ライトノベル)
作者:菊石まれほ イラスト:野崎つばた
脳の縫い糸―通称〈ユア・フォルマ〉。ウイルス性脳炎の流行から人々を救った医療技術は、日常に不可欠な情報端末へと進化を遂げた。縫い糸は全てを記録する。視覚、聴覚、そして感情までも。そんな記録にダイブし、重大事件解決の糸口を探るのが、電索官・エチカの仕事だ。電索能力が釣り合わない同僚の脳を焼き切っては病院送りばかりにしていたエチカにあてがわれた新しい相棒ハロルドは、ヒト型ロボット〈アミクス〉だった。過去のトラウマからアミクスを嫌うエチカと構わず距離を詰めるハロルド。稀代の凹凸バディは世界を襲う電子犯罪に挑む。
脳に埋め込まれた情報端末を駆使して生活することが当たり前になった世界。アミクスも生活に密接するようになるが、それを悪用した犯罪も増えていることが書かれている。アミクスの多くは個人の生活を支えるか、仕事をするかのどちらかに大別される。作中では、アミクスをめぐって「機会派」と「友人派」という単語が登場する。この単語からアミクスをどう扱うが人によって異なると考えられる。彼らには敬愛規律が刻み込まれており、人を攻撃しないようになっている。笑いこそするが感情そのものはあくまでプログラムと説明されている。そこだけ切り取れば機械と考えることもできるが、仕事を一緒にする、生活を共にするとなると状況は変わってくるため、置かれた環境、育った環境に左右されると考えられる。しかし、ハロルドは捜査能力を評価されても、実力は評価されていない面がある。その描写からは機械派の人が多く差別意識も強いということが窺える。
エチカのアミクス嫌いは彼女の家庭環境に起因した問題として詳細に語られている。父が自分を見てくれず、お手伝いのアミクスばかり見ていることが原因だった。愛してほしかった人に愛してもらえなかったという過去を持っている人物なのである。これは彼女の人間関係の構築にも影響を及ぼしており、愛してもらうことに飢えているが、与えられないことを知っているために一匹狼のような態度で他人と近づきすぎないようにしていると考えられる。
19.『Vivy prototype』(ライトノベル)
作者;長月達平・梅原英司 口絵・挿絵:FLAT STUDIO 装画:loundraw
科学の発展と共に、人類の生活に欠かせない存在となったAI。『歌姫』と呼ばれるヴィヴィもまた、国内最大級のテーマパーク『ニーアランド』で歌い続けるAIであり、その歌声で人々を魅了し、連日の熱狂を生み出していた。そんな彼女のもとに突如として現れたのは、マツモトと名乗る未知のAIだった。マツモトは自分が100年後の未来からやってきたと語り、人類とAIが繰り広げる最終戦争を阻止するため、『シンギュラリティ計画』への協力をヴィヴィに要請する。
AIの発展と人間との関係性、一個体としてどのように扱うのかが問われた作品であると感じた。ヴィヴィは自身がAIであることや人々にふりまく笑顔、感情を伴っているかのような反応が学習して作られたものであることを自覚している。そのため歌姫という人物的扱いよりも、備品という機械的扱いはふさわしいと思っている節があると読み取れる。しかし、彼女が見せる反応はあまりにも人間的すぎるために人としての扱いが定着していると思われる。この点は未来から来たAIであるマツモトとの大きな差でもある。シンギュラリティ計画達成のために、感情による回り道や無駄な思考をせず合理的な判断のみで動かそうとするマツモトに対して、ヴィヴィは接客がメインとなる仕事柄ゆえか感情というものに敏感であると感じる。規格こそ異なるがAIとしての原則は同じであるため、AIが人間の感情、想いに共感し尽力するかなどは環境が大きく左右すると考えられる。それを好ましく思う人もいるが、作中で言及されたように、人はAIが人らしい反応を見せることを嫌うこともあるためどちらが良いかは難しい問題と感じた。
また、彼女たちが従う三原則が計画の成功に関わっている。人に危害を加えてはならないと紹介されているが、『人類』という大きな枠組みで考えると優先順位が下がるとされている。しかし、この『人類』もAIそれぞれがどこまでを人類と考えているかによって倫理規定に大きな変化をもたらすと考えられる。多くの人を人類と捉えれば、それを害そうとする一個人を攻撃できるが、ただ一人を人類と認識しているAIにとってはその他大勢は攻撃対象になりうるということである。そのように考えるとAIを開発する中で人への奉仕にどこまでの自由度、解釈を持たせるべきなのかも問われていると思った。
20.『ほうかごがかり』(ライトノベル)
作者:甲田学人 イラストpotg
小学六年の二森啓はある日、教室の黒板に突如として自分の名前が謎の係名と共に書き込まれているのを目撃する。その日の深夜十二時、自室。学校のチャイムが爆発的に鳴り響き、開いた襖の向こうには暗闇に囲まれた異次元の学校―『ほうかご』が広がっていた。
学校中の教室に棲む、『無名不思議』と呼ばれる名前のない異常存在。ほうかごに呼び出された六人の少年少女は、それぞれが担当する化け物を観察しその正体を記録するために集められたのだった。絵が得意な啓は屋上に潜む怪異『まっかっかさん』を捉えるべく筆を手にする。
ホラー的要素を含んだ作品。何の関係性もなく集められた少年少女のかかり活動が描かれる。担当する化け物たちは学校の怪談になる前の状態のものと作中では説明されている。それらが成長していくことによって怪談へと変貌していき小学生たちを襲うようになることを止めるのがほうかごがかりの役目とされている。集められた少年少女は学校内で関係性があるわけではないが、各々の観察の過程から自分でもわかっていない本心を隠しているという共通項があると考えられる。主人公の啓が観察した『まっかっかさん』は見つめると死に誘う抗いがたい力を持っているが、これは刑が無意識に考えていた自分はいなかった方がよかったのではないかという思いと一致している。おそらく少年少女の心の傷に近いものを克服することが、観察を完成に導くための重要な要素と思われる。
本作では暗い、黒い、赤いといった色に関連した表現が極めて多い。特に血に関する描写は赤だけでも様々な表現が使われており、想像したくない光景がありありと浮かんでくる。改行や行間によって、光景に対する登場人物たちの感情がより伝わってくるため、読んだ後は身の毛もよだつ思いだった。ただこのように色に関する表現が多いのは啓が絵を描くことが好きな少年であり、造形が深いことや彼の視点を通しての物語体験となるため、作者が意図的にしている可能性もあるのではないかと考えた。
4年 清水
RES
春期休暇課題1~10
1.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:山川吉樹 制作:J.C.STAFF
迷宮都市オラリオ。『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そして可愛い女の子とのロマンス。人の夢と欲望全てが息を潜めるこの場所で少年は一人の小さな「神様」に出会った。どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。これは少年が歩み、女神が記す、【眷属の物語(ファミリア・ミィス)】。
ベル・クラネルという少年が冒険者としてどのような道をたどっていくことになるのかという方向性や他の冒険者とは異なる人柄の持ち主であることが描かれていたように思う。憧憬であるアイズのように強くなるために、追いつくために毎日のようにダンジョンに潜る姿からはベルの目標に対するひたむきさや純粋な面が押し出されている。サポーターを務めていたリリルカに武器を盗まれて危機的状況に陥っても自力で脱出し、裏切った相手のことを心配して助けに行く姿はよく言えばお人好しであるが、冒険者という職業で考えれば致命的な弱点とも考えられる。冒険者業をしていく中で憧憬に追いつけるのか、理想と現実の乖離に悩まされる瞬間が来るのではないかなど今後の展開が非常に楽しみになる要素だと感じた。
また彼が発現したスキル《憧憬一途》は効果だけ見れば一見チートスキルと思える。しかしたった一人だけのことを考え努力することは人間の本能から考えれば現実的ではないことから実際には脆いスキルであると思われる。裏を返せば、それができるベルは特別であり、彼専用のスキルと見ることもできる。
2.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
18階層にて黒い階層主を撃破し、生還した【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネル。世界最速のランクアップを成し遂げた彼はオラリオの注目の的となっていた。ある日、彼はダンジョン探索の合間の酒宴で【アポロン・ファミリア】に挑発され乱闘騒ぎを起こしてしまう。そこでベルは格上の冒険者、【アポロン・ファミリア】団長のヒュアキントスに完膚なきまでに叩きのめされる。
しかし後日、ベルとヘスティアのもとに一通の書状が届く。それはアポロンが主催する神の宴への招待だった。
第一期と比較するとダンジョンに潜る姿が圧倒的に少なく、タイトル詐欺ではないかと思ってしまうほどに地上がメインの話が続いた。その中でベルの目標に憧憬に追いつくこと以外に英雄になることが追加され、それを軸とした話が展開された。格上のモンスターではなく、格上の冒険者と闘うことが多くなったことによって対人戦におけるベルの戦闘力の向上が見られ、わかりやすい成長の形として表現されたと考えられる。後半は歓楽街の騒動の一件から誰かの英雄になるとはどういうことなのか現実と理想をどう埋めるのかというのが主人公に問われたように感じる。理想を語るだけではなく、一冒険者として闘い相手に認めさせること。これがベルにとっては難しくもこの先必ず越えなければいけない英雄になるための壁ではないかと感じた。
また、オラリオ中心から隣国との関係性についても描かれていた。下界に神々が降臨したというのは本作の前提知識であるが、まさか神が国を築いているとは予想していなかったため意外だった。眷属が問題に巻き込まれるように神々にもそれなりの苦労があることを感じられた。
3.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
団長であるベル・クラネルの急成長、【戦争遊戯】での勝利、そして団員の拡張によって存在感を増し続ける【ヘスティア・ファミリア】。到達階層も順調に伸ばし、19階層・大樹の迷宮へと至っていた。ベルはそこで涙を流す少女を発見する。彼女は言葉を介する怪物にしてダンジョンが産み落とした『未知』だった。しかし、怪物と割り切ることができないベルは彼女を保護する。
ダンジョンによって産まれた『未知』との遭遇。それはオラリオに激動をもたらし、ベルに大きな決断を迫る始まりに過ぎなかった。
英雄について問われた前作から一転、今作では主人公の冒険者としてのスタンスがフォーカスされたと考えられる。冒険者の多くが怪物に対して嫌悪感を顕わにしている点からは共存不可能かつ古より続いてきた命を懸けて闘う対立関係がわかる。それに対して感情を持った怪物を保護したベルは冒険者という身分に囚われないイレギュラーな存在であったと考えられる。しかし、多くの冒険者は怪物とわかれば臨戦態勢に入るため、この考えが交わることはかなり難しい。実際に敵対した人物からはお人好しや流れに任されるだけの蝙蝠だの冒険者らしくないことを罵倒されていた。加えてオラリオの住民たちからも軽蔑の視線を向けられていた。それでもなお己の信念を貫くベルは独善的な英雄であり、冒険者ではないように感じた。
また、好敵手との対戦を通して理想を、信念を貫くことの難しさ、自分の実力の不甲斐なさに泣く姿はある意味少年であり、一人の男性へ成長したとも捉えられる。この一件でこれまでは強くなりたい目的がアイズに追いつくことだけであったことに好敵手に勝つこと、約束を果たすという二つの意味付けがされたと考えられる。
4.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
異端児の騒動、好敵手との激闘を経てランクアップを果たしたベル・クラネル。それに伴いファミリアのランクも上昇した。そして、ギルドから強制任務を課せられることになる。その内容はダンジョン到達階層の更新。それは未知なる世界が広がり、未知なる怪物が蔓延る場所への冒険。己の胸の内で熱を帯びるのは強さへの渇望と、かの女剣士への憧れ。脳裏によぎるのは堰を切ったように流れる涙と声にならなかった悔しさ。いつか訪れる好敵手との再戦のために、交わした約束を果たすために。少年は想いを胸に仲間たちと新たな一歩を踏み出す。
今作はこれまでのストーリーの中で絶望の二文字がよく似合う内容であったと感じた。武器、スキル、戦い方が遠征に伴い大幅に強化されたにも関わらず、ダンジョンでイレギュラーが発生していることによって常に死と隣り合わせの状況が続いている為緊迫感が持続されている。ベルがランクアップを果たした割に、戦闘面でそこまでの成長が見られないことが不審だったが、短期間で成長しすぎたがゆえに器の昇華に技量や身体の動きがついていってないことが明確に描写されており、腑に落ちると同時に世界観だけでなく、スキルや成長周辺の設定深さに感嘆した。
本作における絶望の象徴はあるファミリアを壊滅させた怪物であり、それはベルの好敵手よりも数段厄介極まりない相手だったと推察される。一撃で敵を薙ぎ払う尻尾に、鋭く四肢を切り裂く鉤爪、巨躯からは想像もつかぬ俊敏性、魔法を跳ね返す装甲と冒険者の天敵とも呼べる存在であった。そんな怪物に挑み生き残ろうとする姿は主人公らしくもあり、精神的にまた成長したと感じさせてくれた。
これまでもそうだったが先述の怪物もダンジョンが産み落とした、報復者として解き放ったような表現がされておりまるでダンジョンが意思を持って冒険者という異物を排除しようとしているかのようであった。このあたりのダンジョンと冒険者、そして神の関係性はこの先で明かされることが楽しみである。
5.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅤ 豊穣の女神篇』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
ダンジョン深層という死地から生還を果たしたベル・クラネル。彼は休養を経て日常を取り戻していた。その間にオラリオでは豊穣を象徴する女神たちを祭壇に奉り、実りを祝う女神祭が迫っていた。オラリオに来て約半年、ベルも初めての女神祭を楽しむつもりでいた。とある酒場の娘から一通の手紙が届くまでは。そこに記されていたのはデートのお誘い。突然の誘いに戸惑い動揺するベル。そんな彼のもとに一人の青年が現れ…。
小さな酒場の片隅でひっそりと固められた少女の決意が少年と迷宮都市を狂乱の渦に巻き込み始める。
一期から度々示唆され続けてきたある女神の願いと想いに焦点が当たった今回。冒険よりも恋愛成分が多めであると感じた。ハーレム願望を持ちながらオラリオに来た割には女性に対する免疫がなかったベルがシルを喜ばせるためにエスコートの練習、お辞儀や作法を学ぶ姿は誰かのために一生懸命になれる彼の人柄が窺える。シルが都市最強のファミリアと何かしらの関係があることを知り、助けたいと願いながらも彼女の告白を断る姿は憧憬への想いとお人好しがせめぎ合っていると感じた。
女神の権能による精神的ダメージを乗り越え、たどり着いた戦争遊戯では序盤から王者と闘うことになるも、策謀、裏切り、それぞれの思惑を経て何とか勝利する姿はたくさんの人に支えられる英雄のようであり、彼が信じる英雄とは異なるかもしれないがベル・クラネルらしいと思った。
今回は神と眷属の関係性についても描写されている。自分だけが寵愛されない状況に全員が多少なりとも憤りを抱えているにも関わらず、女神のためならと押し殺して動く姿はこれまでのファミリアには見られない関係性であった。女神が自身が司るものと内に秘める願望のジレンマで苦しんでいる現状から助けたいと願う姿は、眷属を越えた想いがあると考えられる。また、女神が感じていたジレンマからは天界であれば確かに万全たる神かもしれないが、地上におりれば人の子とそう変わらぬ存在であり女神という肩書が時に苦しめることが示されている。
6.『歴史に残る悪女になるぞ』(アニメ)
原作:大木戸いずみ 監督:柳瀬雄之 制作:MAHOFILM
ウィリアムズ・アリシアは7歳のある朝、自身が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生していたことに気づく。しかし、転生したアリシアは悪役令嬢。落ちこむのかと思いきや、本人は嬉しそうな表情。彼女はヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が大嫌いな女性だった。念願叶って転生したなら、歴史に残る世界一の悪女になると意気込み、努力するが周囲からは予想外の反応ばかり。彼女は歴史に残る悪女になれるのか。
悪役令嬢ものの中でも、ゲームの世界に転生するケースの物語。なろう系によくありそうなものだと思って視聴したが、予想していたよりも設定がしっかりしており面白いと感じた。主人公が目指す悪役令嬢はヒロインをいじめるという役割だけでなく、理想論を語りがちなヒロインに現実的な話を叩きつけて、理想と現実の壁を教えるような役割も含まれていると思われる。ヒロインが語る政策や友達観・倫理観は話合えばみんなきっと理解してくれる、どんな理由があっても人を傷つけるのはよくないと考える気味の悪いものであり、視聴者が抱くそれに対する不快感を主人公が切り捨てることで後味の悪さをなくしていると考えられる。
自分の信念に従いながら行動しているにも関わらず、周囲からの評価が上昇していくのは昨今のなろう発の物語においてよくある展開だが、そこに疑問を呈しできる限り周囲からの評判が悪くなるように立ち回る姿は主人公の中に確固たる悪役令嬢としての未来像があると感じた。一方で自分が介入したことによってゲーム本編のストーリー展開から逸れていることには無頓着な節があり、その結果王子から好意をもたれ振り回される姿は年頃の女性といった感じである。多くの作品がバットエンド回避を目指すのに対して、悪役令嬢として信念を貫く姿と異性に振り回される女性という二面性を持つこの作品は少し系統が異なると感じた。
7.『天久鷹央の推理カルテ』(アニメ)
原作:知念実希人 監督: 制作:projectNo.9
天医会総合病院、統括診断部。ここには他の医師が「診療困難」と判断した患者たちが集められる。時には警察すら手に負えない原因不明の「殺人」や「謎」が持ち込まれることも。そんな部署に異動によって勤めることになった内科医見習いの小鳥遊優。彼の上司は院内屈指の変わり者にして統括診断部部長の肩書を持つ天久鷹央だった。医者としての腕は確かだが、奇妙なことに首を突っ込みまくる彼女に振り回される日々。そんなある日、大きな獣に足を食いちぎられた、青い血の男が運び込まれてきて…。
本作の主人公である鷹央は変わり者ではあるものの天才と称するにふさわしい知識量や観察眼を持っている。それを駆使して事件を解決に導いていくのだが、鷹央の天才性を前面に押し出しすぎて、周囲の医師が無能であるかのように見えてしまうのが個人的には残念なポイントだった。事件の概要や医学的根拠に基づく推理は面白いと思えたが、拍子抜けしてしまうような驚きのない病気や人の感情の動きに納得できない箇所がいくつか存在したため、人によっては期待と異なることから不満を覚えると感じた。
鷹央の精神年齢が些か低いと感じることが多く、奇天烈な言動が目立つ上に思い付きの行動で周囲を振り回すため、受け入れにくい人物だと感じてしまう。その一方で天才ゆえに患者全員に診断を下して救えると考えている節があり、自分の手では救えない患者に直面したときの医師としての弱さが見える部分があり、知識はあるものの経験が不足している天才という年齢に即した面が見えるところは感情移入しやすかった。
8.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(アニメ)
原作:謙虚なサークル 監督:王村仁 制作:つむぎ秋田アニメLab
魔術に大切なものは、家柄、才能、努力…。魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた凡人の魔術師。死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、強い魔術の決闘を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えた少年に生まれ変わった彼は前世で成しえなかった想いを胸に、気ままに魔術を研究し極めていく。
異世界転生のテンプレじみた作品だと思って視聴したが、意外と面白かった。無双と表現してもいいくらいに主人公は強いが、チートというわけではなく、あくまでも彼が前世では満足できなかった魔術の研究に明け暮れた結果の産物であるため、テンプレのような展開に不快感が少なかった。
魔術の研究をしたいだけの彼にとっては第七王子という肩書きが極めて邪魔になっていると考えられる。王族の末子ということもあり過保護な教育係がいる上に外出も基本的に自由意志でできないため、城の外に珍しい魔術の存在があったときに行動を起こしにくいことが大変である。作中でも人形を用意し、自分の姿を変える等苦心している。これ以外にも王位争いに興味を示さない点や領主になることを拒む姿勢からも窺える。
また、魔術に対して狂信的な面が窺え、全ての魔術の可能性に想いを馳せる一方で、知らない魔術となれば己の無事を顧みずに体験するなど常人には理解しがたい考え方を持っている。しかしながら、魔術の可能性に視野を広げ使用する者を敬う姿は多くの人を惹きつける要因でもあると考えられる。
9.『アクセルワールド』(アニメ)
原作:川原礫 監督:小原正和 制作:サンライズ
2046年、ニューロリンカーと呼ばれる携帯端末を用いることで生活の多くが仮想ネットワーク上で行われるようになった世界。だが、どんなに時代が進んでも「いじめられっ子」はなくならない。ハルユキもそんな中学内格差(スクールカースト)最底辺に位置する一人だった。ローカルネットの片隅で、ひたすらにスカッシュゲームに打ち込むだけの暗く陰鬱な日々を過ごしていた彼だったが、ある日突然、校内一の有名人《黒雪姫》に声をかけられる。
SAOシリーズと同じ作者の作品。SAOと同じ世界線が舞台となっており、SAOより時が進み、VR及びAR技術がさらに発展した世界となっている。そのためか、フルダイブの初期デバイスとしてナーヴギアの名前が登場したり、アスナが通っていた学校の名前が登場するなど繋がりを匂わせる部分があった。
主人公はゲームの中では最強格のプレイヤーではあるものの、現実世界では自己肯定感の低い中学生である。しかし、彼がゲームの最中にいじめてくる相手への暴言を口にする場面や幼馴染に憐れまれていると感じることへの思いを吐き出している場面が序盤には数多く存在している。これは現実世界で非力なこと、自身が思い描く現実と異なっていることへの不満であり、それをゲームの中で発散していると思われる。またゲーム中においては現実世界での自己肯定感の低さが嘘のように、プレイングに相応の自信を持っていることがわかる発言もしている。このような場面と発言からは、ゲームが現実の自分を切り離し嫌な部分をなくした理想とする自分を体現する一方で性格や内に秘める想いは現実世界から延長されているものであり、その境界にどう向き合っていくのかを描かれていると考えられる。
後半になるとBB内でのデュエルアバターに関する言及もある。デュエルアバターの武器は自身の心の奥深くにあるトラウマに関する負の感情を具現化したものとされている。この点からはアバターは自身の理想とするものと、それとは相反する負を抱える表裏一体のようなものであると考えられる。そのように考えると、現実を切り離したようで結局は現実に縛られているという問題も浮かび上がってくると感じた。
10.『劇場版アクセルワールド-インフィニット・バースト-』(映画)
公開日:2016年7月22日
仮想世界で行われるオンライン型対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》。プレイヤーである《バーストリンカー》たちは、現実の1000倍に加速した世界で戦いを楽しんでいた。そこに訪れた《変遷》と漆黒の巨大な竜巻、そして突然の回線切断。本来、起こるはずのない不可思議な現象は、加速世界を侵食し、竜巻に包まれたエリアでは、加速できなくなってしまっていた。原因を突き止めるためにハルユキと仲間たちは黒い竜巻に立ち向かう。
アニメ放送から時間が経過して公開された作品だからか前半はアニメの総集編的な内容であった。ハルユキと黒雪姫、その仲間たちがアニメでたどった軌跡を振り返ることで後半の内容に入り込みやすくなる一方で内容を覚えている人にとっては退屈になる時間だと感じた。
後半の新作エピソードは公開時点の最新原作小説よりもさらに先を描いた内容であるため、アニメ版を観ていただけでは知らない人物が多く登場しており内容についていくことが難しいと感じた。しかしながら、アクセルワールドという作品を構成する重要な要素である、加速世界内でのつながりと現実世界との関わりはブレることなく描かれていたと思われる。
敵となるエネミーはアニメ版内での描写から人のように自律的な思考を持っていないと考えられる。しかし、リサを守るために黒雲を生み出し加速世界を停滞に導こうとするなど、普通のエネミーがしない行動をしている。高性能のAIが搭載されていると思われるが、その存在にはもう少し説明がほしかった部分である。
軸がブレずに描かれた点はよいが、尺が短いため駆け足だったことが個人的に残念な点だった。
1.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:山川吉樹 制作:J.C.STAFF
迷宮都市オラリオ。『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そして可愛い女の子とのロマンス。人の夢と欲望全てが息を潜めるこの場所で少年は一人の小さな「神様」に出会った。どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。これは少年が歩み、女神が記す、【眷属の物語(ファミリア・ミィス)】。
ベル・クラネルという少年が冒険者としてどのような道をたどっていくことになるのかという方向性や他の冒険者とは異なる人柄の持ち主であることが描かれていたように思う。憧憬であるアイズのように強くなるために、追いつくために毎日のようにダンジョンに潜る姿からはベルの目標に対するひたむきさや純粋な面が押し出されている。サポーターを務めていたリリルカに武器を盗まれて危機的状況に陥っても自力で脱出し、裏切った相手のことを心配して助けに行く姿はよく言えばお人好しであるが、冒険者という職業で考えれば致命的な弱点とも考えられる。冒険者業をしていく中で憧憬に追いつけるのか、理想と現実の乖離に悩まされる瞬間が来るのではないかなど今後の展開が非常に楽しみになる要素だと感じた。
また彼が発現したスキル《憧憬一途》は効果だけ見れば一見チートスキルと思える。しかしたった一人だけのことを考え努力することは人間の本能から考えれば現実的ではないことから実際には脆いスキルであると思われる。裏を返せば、それができるベルは特別であり、彼専用のスキルと見ることもできる。
2.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
18階層にて黒い階層主を撃破し、生還した【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネル。世界最速のランクアップを成し遂げた彼はオラリオの注目の的となっていた。ある日、彼はダンジョン探索の合間の酒宴で【アポロン・ファミリア】に挑発され乱闘騒ぎを起こしてしまう。そこでベルは格上の冒険者、【アポロン・ファミリア】団長のヒュアキントスに完膚なきまでに叩きのめされる。
しかし後日、ベルとヘスティアのもとに一通の書状が届く。それはアポロンが主催する神の宴への招待だった。
第一期と比較するとダンジョンに潜る姿が圧倒的に少なく、タイトル詐欺ではないかと思ってしまうほどに地上がメインの話が続いた。その中でベルの目標に憧憬に追いつくこと以外に英雄になることが追加され、それを軸とした話が展開された。格上のモンスターではなく、格上の冒険者と闘うことが多くなったことによって対人戦におけるベルの戦闘力の向上が見られ、わかりやすい成長の形として表現されたと考えられる。後半は歓楽街の騒動の一件から誰かの英雄になるとはどういうことなのか現実と理想をどう埋めるのかというのが主人公に問われたように感じる。理想を語るだけではなく、一冒険者として闘い相手に認めさせること。これがベルにとっては難しくもこの先必ず越えなければいけない英雄になるための壁ではないかと感じた。
また、オラリオ中心から隣国との関係性についても描かれていた。下界に神々が降臨したというのは本作の前提知識であるが、まさか神が国を築いているとは予想していなかったため意外だった。眷属が問題に巻き込まれるように神々にもそれなりの苦労があることを感じられた。
3.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
団長であるベル・クラネルの急成長、【戦争遊戯】での勝利、そして団員の拡張によって存在感を増し続ける【ヘスティア・ファミリア】。到達階層も順調に伸ばし、19階層・大樹の迷宮へと至っていた。ベルはそこで涙を流す少女を発見する。彼女は言葉を介する怪物にしてダンジョンが産み落とした『未知』だった。しかし、怪物と割り切ることができないベルは彼女を保護する。
ダンジョンによって産まれた『未知』との遭遇。それはオラリオに激動をもたらし、ベルに大きな決断を迫る始まりに過ぎなかった。
英雄について問われた前作から一転、今作では主人公の冒険者としてのスタンスがフォーカスされたと考えられる。冒険者の多くが怪物に対して嫌悪感を顕わにしている点からは共存不可能かつ古より続いてきた命を懸けて闘う対立関係がわかる。それに対して感情を持った怪物を保護したベルは冒険者という身分に囚われないイレギュラーな存在であったと考えられる。しかし、多くの冒険者は怪物とわかれば臨戦態勢に入るため、この考えが交わることはかなり難しい。実際に敵対した人物からはお人好しや流れに任されるだけの蝙蝠だの冒険者らしくないことを罵倒されていた。加えてオラリオの住民たちからも軽蔑の視線を向けられていた。それでもなお己の信念を貫くベルは独善的な英雄であり、冒険者ではないように感じた。
また、好敵手との対戦を通して理想を、信念を貫くことの難しさ、自分の実力の不甲斐なさに泣く姿はある意味少年であり、一人の男性へ成長したとも捉えられる。この一件でこれまでは強くなりたい目的がアイズに追いつくことだけであったことに好敵手に勝つこと、約束を果たすという二つの意味付けがされたと考えられる。
4.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
異端児の騒動、好敵手との激闘を経てランクアップを果たしたベル・クラネル。それに伴いファミリアのランクも上昇した。そして、ギルドから強制任務を課せられることになる。その内容はダンジョン到達階層の更新。それは未知なる世界が広がり、未知なる怪物が蔓延る場所への冒険。己の胸の内で熱を帯びるのは強さへの渇望と、かの女剣士への憧れ。脳裏によぎるのは堰を切ったように流れる涙と声にならなかった悔しさ。いつか訪れる好敵手との再戦のために、交わした約束を果たすために。少年は想いを胸に仲間たちと新たな一歩を踏み出す。
今作はこれまでのストーリーの中で絶望の二文字がよく似合う内容であったと感じた。武器、スキル、戦い方が遠征に伴い大幅に強化されたにも関わらず、ダンジョンでイレギュラーが発生していることによって常に死と隣り合わせの状況が続いている為緊迫感が持続されている。ベルがランクアップを果たした割に、戦闘面でそこまでの成長が見られないことが不審だったが、短期間で成長しすぎたがゆえに器の昇華に技量や身体の動きがついていってないことが明確に描写されており、腑に落ちると同時に世界観だけでなく、スキルや成長周辺の設定深さに感嘆した。
本作における絶望の象徴はあるファミリアを壊滅させた怪物であり、それはベルの好敵手よりも数段厄介極まりない相手だったと推察される。一撃で敵を薙ぎ払う尻尾に、鋭く四肢を切り裂く鉤爪、巨躯からは想像もつかぬ俊敏性、魔法を跳ね返す装甲と冒険者の天敵とも呼べる存在であった。そんな怪物に挑み生き残ろうとする姿は主人公らしくもあり、精神的にまた成長したと感じさせてくれた。
これまでもそうだったが先述の怪物もダンジョンが産み落とした、報復者として解き放ったような表現がされておりまるでダンジョンが意思を持って冒険者という異物を排除しようとしているかのようであった。このあたりのダンジョンと冒険者、そして神の関係性はこの先で明かされることが楽しみである。
5.『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅤ 豊穣の女神篇』(アニメ)
原作:大森藤ノ 監督:橘秀樹 制作:J.C.STAFF
ダンジョン深層という死地から生還を果たしたベル・クラネル。彼は休養を経て日常を取り戻していた。その間にオラリオでは豊穣を象徴する女神たちを祭壇に奉り、実りを祝う女神祭が迫っていた。オラリオに来て約半年、ベルも初めての女神祭を楽しむつもりでいた。とある酒場の娘から一通の手紙が届くまでは。そこに記されていたのはデートのお誘い。突然の誘いに戸惑い動揺するベル。そんな彼のもとに一人の青年が現れ…。
小さな酒場の片隅でひっそりと固められた少女の決意が少年と迷宮都市を狂乱の渦に巻き込み始める。
一期から度々示唆され続けてきたある女神の願いと想いに焦点が当たった今回。冒険よりも恋愛成分が多めであると感じた。ハーレム願望を持ちながらオラリオに来た割には女性に対する免疫がなかったベルがシルを喜ばせるためにエスコートの練習、お辞儀や作法を学ぶ姿は誰かのために一生懸命になれる彼の人柄が窺える。シルが都市最強のファミリアと何かしらの関係があることを知り、助けたいと願いながらも彼女の告白を断る姿は憧憬への想いとお人好しがせめぎ合っていると感じた。
女神の権能による精神的ダメージを乗り越え、たどり着いた戦争遊戯では序盤から王者と闘うことになるも、策謀、裏切り、それぞれの思惑を経て何とか勝利する姿はたくさんの人に支えられる英雄のようであり、彼が信じる英雄とは異なるかもしれないがベル・クラネルらしいと思った。
今回は神と眷属の関係性についても描写されている。自分だけが寵愛されない状況に全員が多少なりとも憤りを抱えているにも関わらず、女神のためならと押し殺して動く姿はこれまでのファミリアには見られない関係性であった。女神が自身が司るものと内に秘める願望のジレンマで苦しんでいる現状から助けたいと願う姿は、眷属を越えた想いがあると考えられる。また、女神が感じていたジレンマからは天界であれば確かに万全たる神かもしれないが、地上におりれば人の子とそう変わらぬ存在であり女神という肩書が時に苦しめることが示されている。
6.『歴史に残る悪女になるぞ』(アニメ)
原作:大木戸いずみ 監督:柳瀬雄之 制作:MAHOFILM
ウィリアムズ・アリシアは7歳のある朝、自身が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界に転生していたことに気づく。しかし、転生したアリシアは悪役令嬢。落ちこむのかと思いきや、本人は嬉しそうな表情。彼女はヒロインにありがちな“いい子ちゃん発言”が大嫌いな女性だった。念願叶って転生したなら、歴史に残る世界一の悪女になると意気込み、努力するが周囲からは予想外の反応ばかり。彼女は歴史に残る悪女になれるのか。
悪役令嬢ものの中でも、ゲームの世界に転生するケースの物語。なろう系によくありそうなものだと思って視聴したが、予想していたよりも設定がしっかりしており面白いと感じた。主人公が目指す悪役令嬢はヒロインをいじめるという役割だけでなく、理想論を語りがちなヒロインに現実的な話を叩きつけて、理想と現実の壁を教えるような役割も含まれていると思われる。ヒロインが語る政策や友達観・倫理観は話合えばみんなきっと理解してくれる、どんな理由があっても人を傷つけるのはよくないと考える気味の悪いものであり、視聴者が抱くそれに対する不快感を主人公が切り捨てることで後味の悪さをなくしていると考えられる。
自分の信念に従いながら行動しているにも関わらず、周囲からの評価が上昇していくのは昨今のなろう発の物語においてよくある展開だが、そこに疑問を呈しできる限り周囲からの評判が悪くなるように立ち回る姿は主人公の中に確固たる悪役令嬢としての未来像があると感じた。一方で自分が介入したことによってゲーム本編のストーリー展開から逸れていることには無頓着な節があり、その結果王子から好意をもたれ振り回される姿は年頃の女性といった感じである。多くの作品がバットエンド回避を目指すのに対して、悪役令嬢として信念を貫く姿と異性に振り回される女性という二面性を持つこの作品は少し系統が異なると感じた。
7.『天久鷹央の推理カルテ』(アニメ)
原作:知念実希人 監督: 制作:projectNo.9
天医会総合病院、統括診断部。ここには他の医師が「診療困難」と判断した患者たちが集められる。時には警察すら手に負えない原因不明の「殺人」や「謎」が持ち込まれることも。そんな部署に異動によって勤めることになった内科医見習いの小鳥遊優。彼の上司は院内屈指の変わり者にして統括診断部部長の肩書を持つ天久鷹央だった。医者としての腕は確かだが、奇妙なことに首を突っ込みまくる彼女に振り回される日々。そんなある日、大きな獣に足を食いちぎられた、青い血の男が運び込まれてきて…。
本作の主人公である鷹央は変わり者ではあるものの天才と称するにふさわしい知識量や観察眼を持っている。それを駆使して事件を解決に導いていくのだが、鷹央の天才性を前面に押し出しすぎて、周囲の医師が無能であるかのように見えてしまうのが個人的には残念なポイントだった。事件の概要や医学的根拠に基づく推理は面白いと思えたが、拍子抜けしてしまうような驚きのない病気や人の感情の動きに納得できない箇所がいくつか存在したため、人によっては期待と異なることから不満を覚えると感じた。
鷹央の精神年齢が些か低いと感じることが多く、奇天烈な言動が目立つ上に思い付きの行動で周囲を振り回すため、受け入れにくい人物だと感じてしまう。その一方で天才ゆえに患者全員に診断を下して救えると考えている節があり、自分の手では救えない患者に直面したときの医師としての弱さが見える部分があり、知識はあるものの経験が不足している天才という年齢に即した面が見えるところは感情移入しやすかった。
8.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(アニメ)
原作:謙虚なサークル 監督:王村仁 制作:つむぎ秋田アニメLab
魔術に大切なものは、家柄、才能、努力…。魔術を深く愛しながらも、血筋と才能に恵まれずに非業の死を遂げた凡人の魔術師。死の間際に「もっと魔術を極め、学びたかった」と念じた男が転生したのは、強い魔術の決闘を持つサルーム王国の第七王子・ロイドだった。過去の記憶はそのままに、完璧な血筋と才能を備えた少年に生まれ変わった彼は前世で成しえなかった想いを胸に、気ままに魔術を研究し極めていく。
異世界転生のテンプレじみた作品だと思って視聴したが、意外と面白かった。無双と表現してもいいくらいに主人公は強いが、チートというわけではなく、あくまでも彼が前世では満足できなかった魔術の研究に明け暮れた結果の産物であるため、テンプレのような展開に不快感が少なかった。
魔術の研究をしたいだけの彼にとっては第七王子という肩書きが極めて邪魔になっていると考えられる。王族の末子ということもあり過保護な教育係がいる上に外出も基本的に自由意志でできないため、城の外に珍しい魔術の存在があったときに行動を起こしにくいことが大変である。作中でも人形を用意し、自分の姿を変える等苦心している。これ以外にも王位争いに興味を示さない点や領主になることを拒む姿勢からも窺える。
また、魔術に対して狂信的な面が窺え、全ての魔術の可能性に想いを馳せる一方で、知らない魔術となれば己の無事を顧みずに体験するなど常人には理解しがたい考え方を持っている。しかしながら、魔術の可能性に視野を広げ使用する者を敬う姿は多くの人を惹きつける要因でもあると考えられる。
9.『アクセルワールド』(アニメ)
原作:川原礫 監督:小原正和 制作:サンライズ
2046年、ニューロリンカーと呼ばれる携帯端末を用いることで生活の多くが仮想ネットワーク上で行われるようになった世界。だが、どんなに時代が進んでも「いじめられっ子」はなくならない。ハルユキもそんな中学内格差(スクールカースト)最底辺に位置する一人だった。ローカルネットの片隅で、ひたすらにスカッシュゲームに打ち込むだけの暗く陰鬱な日々を過ごしていた彼だったが、ある日突然、校内一の有名人《黒雪姫》に声をかけられる。
SAOシリーズと同じ作者の作品。SAOと同じ世界線が舞台となっており、SAOより時が進み、VR及びAR技術がさらに発展した世界となっている。そのためか、フルダイブの初期デバイスとしてナーヴギアの名前が登場したり、アスナが通っていた学校の名前が登場するなど繋がりを匂わせる部分があった。
主人公はゲームの中では最強格のプレイヤーではあるものの、現実世界では自己肯定感の低い中学生である。しかし、彼がゲームの最中にいじめてくる相手への暴言を口にする場面や幼馴染に憐れまれていると感じることへの思いを吐き出している場面が序盤には数多く存在している。これは現実世界で非力なこと、自身が思い描く現実と異なっていることへの不満であり、それをゲームの中で発散していると思われる。またゲーム中においては現実世界での自己肯定感の低さが嘘のように、プレイングに相応の自信を持っていることがわかる発言もしている。このような場面と発言からは、ゲームが現実の自分を切り離し嫌な部分をなくした理想とする自分を体現する一方で性格や内に秘める想いは現実世界から延長されているものであり、その境界にどう向き合っていくのかを描かれていると考えられる。
後半になるとBB内でのデュエルアバターに関する言及もある。デュエルアバターの武器は自身の心の奥深くにあるトラウマに関する負の感情を具現化したものとされている。この点からはアバターは自身の理想とするものと、それとは相反する負を抱える表裏一体のようなものであると考えられる。そのように考えると、現実を切り離したようで結局は現実に縛られているという問題も浮かび上がってくると感じた。
10.『劇場版アクセルワールド-インフィニット・バースト-』(映画)
公開日:2016年7月22日
仮想世界で行われるオンライン型対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》。プレイヤーである《バーストリンカー》たちは、現実の1000倍に加速した世界で戦いを楽しんでいた。そこに訪れた《変遷》と漆黒の巨大な竜巻、そして突然の回線切断。本来、起こるはずのない不可思議な現象は、加速世界を侵食し、竜巻に包まれたエリアでは、加速できなくなってしまっていた。原因を突き止めるためにハルユキと仲間たちは黒い竜巻に立ち向かう。
アニメ放送から時間が経過して公開された作品だからか前半はアニメの総集編的な内容であった。ハルユキと黒雪姫、その仲間たちがアニメでたどった軌跡を振り返ることで後半の内容に入り込みやすくなる一方で内容を覚えている人にとっては退屈になる時間だと感じた。
後半の新作エピソードは公開時点の最新原作小説よりもさらに先を描いた内容であるため、アニメ版を観ていただけでは知らない人物が多く登場しており内容についていくことが難しいと感じた。しかしながら、アクセルワールドという作品を構成する重要な要素である、加速世界内でのつながりと現実世界との関わりはブレることなく描かれていたと思われる。
敵となるエネミーはアニメ版内での描写から人のように自律的な思考を持っていないと考えられる。しかし、リサを守るために黒雲を生み出し加速世界を停滞に導こうとするなど、普通のエネミーがしない行動をしている。高性能のAIが搭載されていると思われるが、その存在にはもう少し説明がほしかった部分である。
軸がブレずに描かれた点はよいが、尺が短いため駆け足だったことが個人的に残念な点だった。
4年 藤田ことみ 春休み課題11~20
RES
11.『変身』作者: フランツ・カフカ
あらすじ: 青年グレゴール・ザムザは、ある朝自室のベッドで目覚めると、自分が巨大な毒虫になってしまっていることに気が付く。突然のことに戸惑いながらも、彼はもう少し眠ってみようと試みるが体のせいで眠れない。扉の前に家族がいて正体がばれないようにするが…。
考察:虫になってしまったきっかけがないことや、ダンゴムシのように体が丸い虫になってしまったせいで快適に暮らせないこと、家族から家をに追い出されてしまうことから、不条理さをひしひしと感じることができ、また虫の名前を明記していないことで、自分の身に何が起こっているか分からない恐怖を表現していると考えた。
12.『斜陽』作者:太宰治
あらすじ:戦後、没落した貴族のかず子と母が懸命に暮らす伊豆の家に、戦死したはずの直治が戻ってくる。しかし直治は薬物と酒中毒で、母は結核と診断されます。母が病死した後、かず子は長年恋い焦がれていた上原とついに関係を持つが、上原は直治の文学の師であり妻子ある身です。そして翌朝、直治は自殺。遺書には上原の妻に恋慕していたことを匂わせる文章と「僕は、貴族です」の言葉が書かれていた。貴族としてしか生きられなかった家族を亡くし、上原にも捨てられた、かず子はおなかの子と2人、「古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きる」ことを宣言する話。
考察:直治について母やかず子目線、または作品内の文章(日記や手紙のようなもの)独白でしか書かれていない為、読者が各々直治の行動の善悪を判断し姿を想像させることが出来ないと考えた。その代わり、母目線の直治やかず子から見た直治、手紙で他に人には見せない葛藤や罪の告白をしている直治を見ることが出来る。また『斜陽』では直治の帰ってきた際の文章や自殺後の文章でしか直治の気持ちが伝えられていない点から、直治が登場人物に心の内をいえずひとりで抱え込んでしまう性格であると考えた。
13.『人魚が逃げた』青山美智子著
あらすじ:銀座を舞台に様々な人のすれ違いを描く青山美智子の最新作!ある3月の週末、SNSで「人魚が逃げた」がトレンド入りに!テレビで「王子」が「僕の人魚がいなくなってしまって……。逃げたんだ。この場所に。」と言ったことがきっかけだった。タイムリミットは18時。「王子」は人魚と出会えるのか。王子と人魚は本物なのか。年代や立場が異なった人物たちのすれ違いを王子と人魚騒動がきっかけに動きだしていく…。謎×ファンタジー物語!
考察:『木曜日のココア』や『月曜日の抹茶カフェ』などの今までの作品では特に際立てて書かれていなかったが本著では「すれ違い」がテーマであることを構成、キーワードから読み取ることが出来ると考えた。まず構成は1章で出てくる男性と5章で出てくる女性の気持ちがすれ違っていたことや、3章の男性は女性と気持ちがすれ違い離婚するに至った話など、なんども人と人のすれ違いの物語が出てくる。また銀座の歩行者天国という様々な人がすれ違う場所から人魚を探す王子の話が始まって終わることからも、本作がすれ違いをとても意識して書いていると考えた。
14.『遊園地ぐるぐるめ』著/青山 美智子 著/田中 達也
田中達也の作品を見て青山美智子が物語を執筆し、その物語を読んで田中さんがさらに作品を作成した、楽しさに満ちた連作短編小説。ぐるぐるめと呼ばれている遊園地で様々な人が思いをはせる…。
考察:作品をみて話を作っている為、絵(ミニチュアの写真)ならではのよさと文章の良さが際立っていた。ミニチュアでは、お菓子や食べ物が必ず入っており、造形の楽しさや写真の中の人物がどのように会話しているのかなどを想像して楽しむことが出来る。文章では、それぞれの主人公が、なぜぐるぐるめになったのかと考えていることが話題の中心であることから、読者にも「ぐるぐるめ」という言葉から何を連想するのかという言葉遊びが出来る魅力があると考えた。
15.『夢と狂気の王国』監督:砂田麻美
あらすじ:『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』の製作現場と宮崎駿監督に密着したドキュメンタリー映画。
感想・考察: 映画の中に、「礼儀作法で、色々な相手の顔見ながら喋ると横柄な女にみえる。現代な劇は我の張り合いだから無作法に見えない。お辞儀も全部戻さない。少し残すのが横柄に見えない。よってこの映画の舞台は昭和なので使い分けることを意識しよう。」(要約)と宮崎駿がアニメーターや職員に向かって言っている場面があった。ここから、宮崎駿は動作一つ一つが与える印象だけでなく、時代によって人の動作も変化することを意識してアニメをつくっていることが分かった。
16.『宝島のぼうけん』原作:ロバート・R・スティーブンソン 監督:池田宏 アイデア構成:宮崎駿
あらすじ:異国と公開に憧れる少年、ジムが合い方のねずみと地図とともに宝の島にたどり着くまでの冒険物語。
考察:海賊の戦闘シーンでは、古い感じを出すために、映像を緑色のような茶色のフィルターを書けたのではないかと考えた。また戦闘シーンが音楽のみでセリフがないことで、戦闘にシリアスさを減らし、楽しそうにみせていると考えた。そして子供向けアニメだから前述の方法を取り入れたと考えた。主人公や動物の動きが、身体が全体で動かすのではなく、腕や口、目のみ動かしていたので、当時の技術の限界なのか、予算や日程の関係なのか、はたまた、身体の一部が動く際は他の部位を動かすという方法が浸透していなかったのか気になった。
17.『プリンプリン物語』作:石山透 / 人形:友永詔三 / 音楽:小六禮次郎
あらすじ:主人公である15歳の少女プリンプリンが、見知らぬ自分の祖国と両親を探して、仲間たちとさまざまな国や世界を旅する物語である。 プリンプリンは赤ん坊の時に、なんらかの事情で箱舟で海に流され、拾われた漁師に育てられたどこかの国のプリンセスであると設定されており、いわゆる貴種流離譚形式の物語である。
感想・考察:昭和アニメであるが、人形劇で人形を動かす際に、腕だけでなく表情も(目や口)も合わせて動いていたことで、アニメと同じかそれ以上のリアルさを演出で来ていたのではないかと考えた。
18.『お熱いのがお好き』監督:ビリー・ワイルダー
あらすじ:禁酒法時代真っ只中のシカゴ。ギャングの抗争に巻き込まれ、聖ヴァレンタインの大虐殺を目撃した二人のバンドマン、ジョー(カーティス)とジェリー(レモン)は、ギャングの追っ手をかわすため女ばかりの楽団に紛れ込む。女装した二人はそこで歌手のシュガー(モンロー)と知り合い、ジョーは彼女に熱を上げるが女装のままではどうしようもなく、楽団を乗せた寝台車は一路マイアミへ。しかし、そこにはギャングの親分コロンボ(ラフト)一行も現れた。
考察:白黒映画にしたことで、女装した主人公たちが違和感なくみることができる。また、女装した男性とそれをした上で結婚したお金持ちのおじいさんと、金持ちのふりをした(男装した)男性と美しい女性のシュガーが対比されながら、同じくどちらも結ばれる結末から、男性同士の結婚も男女間の結婚も同一視してはよいのではないかというメッセージがあると考えた。
19.『麗しのサブリナ』監督:ビリー・ワイルダー
あらすじ:ニューヨーク州ロングアイランドに暮らす大富豪ララビー家に仕える運転手の娘サブリナは、ララビー家の次男デイビッドに密かに恋をしていた。しかし次男は他の人と結婚することに。傷心のサブリナはフランスに行き、花嫁修業をして地元に帰ってきたが…。
考察:サブリナがたびたび月を見上げるシーンの後に、恋している相手が現れていることや、父親から月に手を伸ばすことはやめなさいと会話していることから、身分が高くサブリナの恋している相手を月として視覚的に示していると考えた。
20.『ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!』漫画版 原作:朝霧あさき 作者:セレン
あらすじ:『美しい人形(ベル・プペー)』のあだ名を持つ、公爵令嬢レティシア。 儚げな容姿とは裏腹に、その本性は包容力と豪胆さを兼ね備えた屈指のスパダリであった。そんな彼女が、素行に難ありと噂される第二皇子ジルベールと婚約することになり…。 無謬のスパダリ令嬢と、孤独で不器用な呪われし赤目の皇子。運命の二人が互いを想い添い遂げる、”逆・溺愛”ラブストーリー。
考察:スーパーダーリンという理想の婚約者をかくマンガは大抵、頼りない女性が主人公だったが、本作は主人公の女性が、元々気が強く戦闘能力も高い人として描かれている上に、男性の姿にもなれるため、男女間の恋愛ではなく、BLとしても読むことが出来ることがこの作品の魅力であると考えた。
あらすじ: 青年グレゴール・ザムザは、ある朝自室のベッドで目覚めると、自分が巨大な毒虫になってしまっていることに気が付く。突然のことに戸惑いながらも、彼はもう少し眠ってみようと試みるが体のせいで眠れない。扉の前に家族がいて正体がばれないようにするが…。
考察:虫になってしまったきっかけがないことや、ダンゴムシのように体が丸い虫になってしまったせいで快適に暮らせないこと、家族から家をに追い出されてしまうことから、不条理さをひしひしと感じることができ、また虫の名前を明記していないことで、自分の身に何が起こっているか分からない恐怖を表現していると考えた。
12.『斜陽』作者:太宰治
あらすじ:戦後、没落した貴族のかず子と母が懸命に暮らす伊豆の家に、戦死したはずの直治が戻ってくる。しかし直治は薬物と酒中毒で、母は結核と診断されます。母が病死した後、かず子は長年恋い焦がれていた上原とついに関係を持つが、上原は直治の文学の師であり妻子ある身です。そして翌朝、直治は自殺。遺書には上原の妻に恋慕していたことを匂わせる文章と「僕は、貴族です」の言葉が書かれていた。貴族としてしか生きられなかった家族を亡くし、上原にも捨てられた、かず子はおなかの子と2人、「古い道徳とどこまでも争い、太陽のように生きる」ことを宣言する話。
考察:直治について母やかず子目線、または作品内の文章(日記や手紙のようなもの)独白でしか書かれていない為、読者が各々直治の行動の善悪を判断し姿を想像させることが出来ないと考えた。その代わり、母目線の直治やかず子から見た直治、手紙で他に人には見せない葛藤や罪の告白をしている直治を見ることが出来る。また『斜陽』では直治の帰ってきた際の文章や自殺後の文章でしか直治の気持ちが伝えられていない点から、直治が登場人物に心の内をいえずひとりで抱え込んでしまう性格であると考えた。
13.『人魚が逃げた』青山美智子著
あらすじ:銀座を舞台に様々な人のすれ違いを描く青山美智子の最新作!ある3月の週末、SNSで「人魚が逃げた」がトレンド入りに!テレビで「王子」が「僕の人魚がいなくなってしまって……。逃げたんだ。この場所に。」と言ったことがきっかけだった。タイムリミットは18時。「王子」は人魚と出会えるのか。王子と人魚は本物なのか。年代や立場が異なった人物たちのすれ違いを王子と人魚騒動がきっかけに動きだしていく…。謎×ファンタジー物語!
考察:『木曜日のココア』や『月曜日の抹茶カフェ』などの今までの作品では特に際立てて書かれていなかったが本著では「すれ違い」がテーマであることを構成、キーワードから読み取ることが出来ると考えた。まず構成は1章で出てくる男性と5章で出てくる女性の気持ちがすれ違っていたことや、3章の男性は女性と気持ちがすれ違い離婚するに至った話など、なんども人と人のすれ違いの物語が出てくる。また銀座の歩行者天国という様々な人がすれ違う場所から人魚を探す王子の話が始まって終わることからも、本作がすれ違いをとても意識して書いていると考えた。
14.『遊園地ぐるぐるめ』著/青山 美智子 著/田中 達也
田中達也の作品を見て青山美智子が物語を執筆し、その物語を読んで田中さんがさらに作品を作成した、楽しさに満ちた連作短編小説。ぐるぐるめと呼ばれている遊園地で様々な人が思いをはせる…。
考察:作品をみて話を作っている為、絵(ミニチュアの写真)ならではのよさと文章の良さが際立っていた。ミニチュアでは、お菓子や食べ物が必ず入っており、造形の楽しさや写真の中の人物がどのように会話しているのかなどを想像して楽しむことが出来る。文章では、それぞれの主人公が、なぜぐるぐるめになったのかと考えていることが話題の中心であることから、読者にも「ぐるぐるめ」という言葉から何を連想するのかという言葉遊びが出来る魅力があると考えた。
15.『夢と狂気の王国』監督:砂田麻美
あらすじ:『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』の製作現場と宮崎駿監督に密着したドキュメンタリー映画。
感想・考察: 映画の中に、「礼儀作法で、色々な相手の顔見ながら喋ると横柄な女にみえる。現代な劇は我の張り合いだから無作法に見えない。お辞儀も全部戻さない。少し残すのが横柄に見えない。よってこの映画の舞台は昭和なので使い分けることを意識しよう。」(要約)と宮崎駿がアニメーターや職員に向かって言っている場面があった。ここから、宮崎駿は動作一つ一つが与える印象だけでなく、時代によって人の動作も変化することを意識してアニメをつくっていることが分かった。
16.『宝島のぼうけん』原作:ロバート・R・スティーブンソン 監督:池田宏 アイデア構成:宮崎駿
あらすじ:異国と公開に憧れる少年、ジムが合い方のねずみと地図とともに宝の島にたどり着くまでの冒険物語。
考察:海賊の戦闘シーンでは、古い感じを出すために、映像を緑色のような茶色のフィルターを書けたのではないかと考えた。また戦闘シーンが音楽のみでセリフがないことで、戦闘にシリアスさを減らし、楽しそうにみせていると考えた。そして子供向けアニメだから前述の方法を取り入れたと考えた。主人公や動物の動きが、身体が全体で動かすのではなく、腕や口、目のみ動かしていたので、当時の技術の限界なのか、予算や日程の関係なのか、はたまた、身体の一部が動く際は他の部位を動かすという方法が浸透していなかったのか気になった。
17.『プリンプリン物語』作:石山透 / 人形:友永詔三 / 音楽:小六禮次郎
あらすじ:主人公である15歳の少女プリンプリンが、見知らぬ自分の祖国と両親を探して、仲間たちとさまざまな国や世界を旅する物語である。 プリンプリンは赤ん坊の時に、なんらかの事情で箱舟で海に流され、拾われた漁師に育てられたどこかの国のプリンセスであると設定されており、いわゆる貴種流離譚形式の物語である。
感想・考察:昭和アニメであるが、人形劇で人形を動かす際に、腕だけでなく表情も(目や口)も合わせて動いていたことで、アニメと同じかそれ以上のリアルさを演出で来ていたのではないかと考えた。
18.『お熱いのがお好き』監督:ビリー・ワイルダー
あらすじ:禁酒法時代真っ只中のシカゴ。ギャングの抗争に巻き込まれ、聖ヴァレンタインの大虐殺を目撃した二人のバンドマン、ジョー(カーティス)とジェリー(レモン)は、ギャングの追っ手をかわすため女ばかりの楽団に紛れ込む。女装した二人はそこで歌手のシュガー(モンロー)と知り合い、ジョーは彼女に熱を上げるが女装のままではどうしようもなく、楽団を乗せた寝台車は一路マイアミへ。しかし、そこにはギャングの親分コロンボ(ラフト)一行も現れた。
考察:白黒映画にしたことで、女装した主人公たちが違和感なくみることができる。また、女装した男性とそれをした上で結婚したお金持ちのおじいさんと、金持ちのふりをした(男装した)男性と美しい女性のシュガーが対比されながら、同じくどちらも結ばれる結末から、男性同士の結婚も男女間の結婚も同一視してはよいのではないかというメッセージがあると考えた。
19.『麗しのサブリナ』監督:ビリー・ワイルダー
あらすじ:ニューヨーク州ロングアイランドに暮らす大富豪ララビー家に仕える運転手の娘サブリナは、ララビー家の次男デイビッドに密かに恋をしていた。しかし次男は他の人と結婚することに。傷心のサブリナはフランスに行き、花嫁修業をして地元に帰ってきたが…。
考察:サブリナがたびたび月を見上げるシーンの後に、恋している相手が現れていることや、父親から月に手を伸ばすことはやめなさいと会話していることから、身分が高くサブリナの恋している相手を月として視覚的に示していると考えた。
20.『ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!』漫画版 原作:朝霧あさき 作者:セレン
あらすじ:『美しい人形(ベル・プペー)』のあだ名を持つ、公爵令嬢レティシア。 儚げな容姿とは裏腹に、その本性は包容力と豪胆さを兼ね備えた屈指のスパダリであった。そんな彼女が、素行に難ありと噂される第二皇子ジルベールと婚約することになり…。 無謬のスパダリ令嬢と、孤独で不器用な呪われし赤目の皇子。運命の二人が互いを想い添い遂げる、”逆・溺愛”ラブストーリー。
考察:スーパーダーリンという理想の婚約者をかくマンガは大抵、頼りない女性が主人公だったが、本作は主人公の女性が、元々気が強く戦闘能力も高い人として描かれている上に、男性の姿にもなれるため、男女間の恋愛ではなく、BLとしても読むことが出来ることがこの作品の魅力であると考えた。
3年 野中涼風 春休み課題 11〜20
RES
11.『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』(映画)(2024)監督:三木孝浩
【あらすじ】
美術の才能に溢れ、二科展の入選を目指していた早坂秋人(永瀬廉)は、心臓に腫瘍がみつかり余命一年を宣告される。感情を押し殺しながら、毎日を淡々とやり過ごしていたある日、病院の屋上で絵を描く桜井春奈(出口夏希)と出会う。自分が描いた美しい絵を、「天国。もうすぐ私が行くところ」とつぶやき、初対面の人間に「あと半年の命」とさらりと言う春奈に、秋人は次第に心惹かれていく。春奈には自分の病を隠し続け、大切な人のために必死になることで、秋人の残された無機質な時間に彩りが生まれていくー。
【考察】
早坂秋人と桜井春奈は一緒に花火を見る約束をしていたが、秋人が体調を崩し一緒に花火を見ることができなかったシーンでは、秋人は春奈に自分が病気であることを伝えていなかったため、本当のことを言えないもどかしさがあった。
12.『エゴイスト』(映画)(2023)監督:松永大司
【あらすじ】
14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分の姿を押し殺しながら思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし2人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。
【考察】
鈴木亮平のゲイの仕草や言葉遣いに惹き込まれた。龍太が亡くなったのに衝撃を受けた。浩輔が龍太の母から亡くなったことを知らせる電話がかかってくるシーンはカメラが浩輔から遠ざかって斜めになり、不吉な予感がした。浩輔は龍太にも龍太の母にも至れり尽くせりで自己満足な印象を覚えた。このことから浩輔はタイトルであるエゴイストだと考える。
13.『博士と彼女のセオリー』(映画)(2014)監督:ジェームズ・マーシュ
【あらすじ】
1963年、ケンブリッジ大学で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキングは、中世詩を学ぶジェーンと恋に落ちる。やがて、スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症、余命2年と宣告されながらも、妻となったジェーンと家庭を作り、子育てをし、そして、自分が生かされている意味を全うしようとする。予期せぬ試練。きれいごとではすまない夫婦の現実。ふたりが辿り着く先は...。
【考察】
スティーヴン・ホーキングとジェーンの幸せがずっと続いてほしいと思っていたが、スティーヴン・ホーキングが病気を患ってから少しずつ2人の関係が変化してしまった。この映画を見るまでスティーヴン・ホーキング博士について詳しく知らなかったため、最終的に2人は離婚し、それぞれ再婚したことに驚いた。
14.『マイ・インターン』(映画)(2015)監督:ナンシー・マイヤーズ
【あらすじ】
ジュールス(アン・ハサウェイ)は、家庭を持ちながら何百人もの社員を束ね、ファッションサイトを運営する会社のCEO。女性なら誰しもが憧れる華やかな世界に身を置く彼女。
仕事と家庭を両立させ、まさに女性の理想像を絵に描いたような人生を送っているかに見えたが...彼女には人生最大の試練が待っていた。そんな悩める彼女のアシスタントにやってきたのは、会社の福祉事業として雇用することになった40歳年上の“シニア”インターンのベン。
人生経験豊富なベンは、彼女に“最高の助言”をアドバイスする。次第に心を通わせていく2人だが、彼の言葉に救われたジュールスには予期せぬ人生の変化が訪れるのだった。
【考察】
最初、ベンがインターンに応募する自己紹介映像で始まったのが面白かった。ジュールスの会社に入ってから、ベンにはなかなか仕事が回ってこず、自分だけが必要とされていない寂しさを覚えた。しかし、ベンの人柄によって年齢が離れていても信頼されていた。
15.『ミッドナイトスワン』(映画)(2020)監督:内田英治
【あらすじ】
故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙。 ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることに。 常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。 理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める。
【考察】
一果は今でいう親ガチャに外れ、一果自身がお酒で潰れた母親を迎えに行き、夜ご飯もスナック菓子だけだったりと不遇な生活を送っていた。トランスジェンダーである凪沙たちはショーパブの客の無意識の心無い言葉に表情を曇らせていた。トランスジェンダーであることを知らない母親に電話をするときは男性らしい自分で普段は女性らしい自分で生活しており、切り替えが大変そうだった。口数が少ない一果にりんは優しく接してくれ、そのおかげで一果はバレエを続けることができ、どんどんいきいきしていった。
16.『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(映画)(1992)監督:マーティン・ブレスト
【あらすじ】
盲目の元軍人役を演じてアカデミー主演男優賞を初受賞したアル・パチーノ主演のヒューマン・ドラマ。盲目の退役軍人と名門校の高校生、人生の岐路に立たされた二人の交流を通して、人生の素晴らしさを描く。
【考察】
兄の家を訪れた中佐は誰にも歓迎されておらず、普段の中佐の行動が伺えた。中佐は香水の香りを当てたり、銃を組み立てたりと目が見えない分その他の能力が優れている。チャールズとニューヨークで過ごしていた中佐だったが急に生きる気力を無くしており、きっかけが気になった。
17.『カイジ 人生逆転ゲーム』(映画)(2009)監督:佐藤東弥
【あらすじ】
特別な才能もなく、人生の目標もない、どこにでもいる典型的な“負け組”カイジ。保証人になったために多額の借金を抱えてしまったカイジは、悪徳金融の遠藤に言われるままギャンブル・クルーズに参加する。そこで行われているのは、命を賭けた究極のゲームだった…。
【考察】
カイジの観察力や地頭の良さが際立っていた。悪趣味な人によって見世物にされるカイジたちが不憫だった。
18.『キングダム』(映画)(2019)監督:佐藤信介
【あらすじ】
紀元前245年、春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。戦災孤児の少年の信(山﨑賢人) と漂(吉沢亮) は、いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛練を積んでいた。ある日、漂は王都の大臣である昌文君(髙嶋政宏) によって召し上げられ王宮へ。信と漂の二人は別の道を歩むことになる……。 王宮では王弟・成蟜(本郷奏多) によるクーデターが勃発。戦いの最中、漂は致命傷を負いながらも、信のいる納屋にたどり着く。「今すぐそこに行け…」血まみれの手で握りしめていた地図を信に託し、漂は息絶える。信は漂が携えていた剣とその地図とともに走り出した。 地図が示す小屋にたどり着いた信の目に飛び込んできたのは、静かにたたずむ漂の姿だった!? 死んだはずの漂がなぜ―
【考察】
天下一の大将軍になることを目指していた信と漂だったが、漂は身代わりになり亡くなってしまったことに衝撃を受けたと同時に、漂らしい優しさを感じた。信の身体能力や地頭の良さにより、信たちは生き残ることができた。山の民も信の魅力に惹き付けられた1人である。
19.『ショーシャンクの空に』(映画)(1994)監督:フランク・ダラボン
【あらすじ】
ショーシャンク刑務所に、若き銀行の副頭取だったアンディー・デュフレーン(ティム・ ロビンス)が、妻と間男を殺害した罪で入所してきた。最初は刑務所の「しきたり」にも 逆らい孤立していたアンディーだったが、刑務所内の古株で“調達係”のレッド(モーガ ン・フリーマン)は彼に他の受刑者達とは違う何かを感じていた。そんなアンディーが入所した2年後のあるとき、アンディーは監視役のハドレー主任(クランシー・ブラウン) が抱えていた遺産相続問題を解決する事の報酬として、受刑者仲間たちへのビールを獲得する。この一件を機に、アンディーは刑務所職員からも受刑者仲間からも、一目置かれる 存在になっていく・・・。
【考察】
冤罪で刑務所に入ることになり、アンディー・デュフレーンの生活は一変した。しかし、アンディー・デュフレーンは他の受刑者たちに音楽や読書などの娯楽を与えた。最後に悪が成敗されたのが爽快だった。
20.『万引き家族』(映画)(2018)監督:是枝裕和
【あらすじ】
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。それで足りないものは、万引きでまかなっていた。社会という海の、底を這うように暮らす家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、治と祥太は、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねて家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
【考察】
祖母の初枝が亡くなった後みんなで埋めたり、誘拐したゆりと祥太がスーパーで万引きするのが印象的だった。ゆりは誘拐された方が幸せそうだった。
【あらすじ】
美術の才能に溢れ、二科展の入選を目指していた早坂秋人(永瀬廉)は、心臓に腫瘍がみつかり余命一年を宣告される。感情を押し殺しながら、毎日を淡々とやり過ごしていたある日、病院の屋上で絵を描く桜井春奈(出口夏希)と出会う。自分が描いた美しい絵を、「天国。もうすぐ私が行くところ」とつぶやき、初対面の人間に「あと半年の命」とさらりと言う春奈に、秋人は次第に心惹かれていく。春奈には自分の病を隠し続け、大切な人のために必死になることで、秋人の残された無機質な時間に彩りが生まれていくー。
【考察】
早坂秋人と桜井春奈は一緒に花火を見る約束をしていたが、秋人が体調を崩し一緒に花火を見ることができなかったシーンでは、秋人は春奈に自分が病気であることを伝えていなかったため、本当のことを言えないもどかしさがあった。
12.『エゴイスト』(映画)(2023)監督:松永大司
【あらすじ】
14歳で母を失い、田舎町でゲイである自分の姿を押し殺しながら思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、自由な日々を送っている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし2人でドライブに出かける約束をしていたある日、何故か龍太は姿を現さなかった。
【考察】
鈴木亮平のゲイの仕草や言葉遣いに惹き込まれた。龍太が亡くなったのに衝撃を受けた。浩輔が龍太の母から亡くなったことを知らせる電話がかかってくるシーンはカメラが浩輔から遠ざかって斜めになり、不吉な予感がした。浩輔は龍太にも龍太の母にも至れり尽くせりで自己満足な印象を覚えた。このことから浩輔はタイトルであるエゴイストだと考える。
13.『博士と彼女のセオリー』(映画)(2014)監督:ジェームズ・マーシュ
【あらすじ】
1963年、ケンブリッジ大学で理論物理学を研究するスティーヴン・ホーキングは、中世詩を学ぶジェーンと恋に落ちる。やがて、スティーヴンは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症、余命2年と宣告されながらも、妻となったジェーンと家庭を作り、子育てをし、そして、自分が生かされている意味を全うしようとする。予期せぬ試練。きれいごとではすまない夫婦の現実。ふたりが辿り着く先は...。
【考察】
スティーヴン・ホーキングとジェーンの幸せがずっと続いてほしいと思っていたが、スティーヴン・ホーキングが病気を患ってから少しずつ2人の関係が変化してしまった。この映画を見るまでスティーヴン・ホーキング博士について詳しく知らなかったため、最終的に2人は離婚し、それぞれ再婚したことに驚いた。
14.『マイ・インターン』(映画)(2015)監督:ナンシー・マイヤーズ
【あらすじ】
ジュールス(アン・ハサウェイ)は、家庭を持ちながら何百人もの社員を束ね、ファッションサイトを運営する会社のCEO。女性なら誰しもが憧れる華やかな世界に身を置く彼女。
仕事と家庭を両立させ、まさに女性の理想像を絵に描いたような人生を送っているかに見えたが...彼女には人生最大の試練が待っていた。そんな悩める彼女のアシスタントにやってきたのは、会社の福祉事業として雇用することになった40歳年上の“シニア”インターンのベン。
人生経験豊富なベンは、彼女に“最高の助言”をアドバイスする。次第に心を通わせていく2人だが、彼の言葉に救われたジュールスには予期せぬ人生の変化が訪れるのだった。
【考察】
最初、ベンがインターンに応募する自己紹介映像で始まったのが面白かった。ジュールスの会社に入ってから、ベンにはなかなか仕事が回ってこず、自分だけが必要とされていない寂しさを覚えた。しかし、ベンの人柄によって年齢が離れていても信頼されていた。
15.『ミッドナイトスワン』(映画)(2020)監督:内田英治
【あらすじ】
故郷を離れ、新宿のショーパブのステージに立ち、ひたむきに生きるトランスジェンダー凪沙。 ある日、養育費を目当てに、育児放棄にあっていた少女・一果を預かることに。 常に片隅に追いやられてきた凪沙と、孤独の中で生きてきた一果。 理解しあえるはずもない二人が出会った時、かつてなかった感情が芽生え始める。
【考察】
一果は今でいう親ガチャに外れ、一果自身がお酒で潰れた母親を迎えに行き、夜ご飯もスナック菓子だけだったりと不遇な生活を送っていた。トランスジェンダーである凪沙たちはショーパブの客の無意識の心無い言葉に表情を曇らせていた。トランスジェンダーであることを知らない母親に電話をするときは男性らしい自分で普段は女性らしい自分で生活しており、切り替えが大変そうだった。口数が少ない一果にりんは優しく接してくれ、そのおかげで一果はバレエを続けることができ、どんどんいきいきしていった。
16.『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(映画)(1992)監督:マーティン・ブレスト
【あらすじ】
盲目の元軍人役を演じてアカデミー主演男優賞を初受賞したアル・パチーノ主演のヒューマン・ドラマ。盲目の退役軍人と名門校の高校生、人生の岐路に立たされた二人の交流を通して、人生の素晴らしさを描く。
【考察】
兄の家を訪れた中佐は誰にも歓迎されておらず、普段の中佐の行動が伺えた。中佐は香水の香りを当てたり、銃を組み立てたりと目が見えない分その他の能力が優れている。チャールズとニューヨークで過ごしていた中佐だったが急に生きる気力を無くしており、きっかけが気になった。
17.『カイジ 人生逆転ゲーム』(映画)(2009)監督:佐藤東弥
【あらすじ】
特別な才能もなく、人生の目標もない、どこにでもいる典型的な“負け組”カイジ。保証人になったために多額の借金を抱えてしまったカイジは、悪徳金融の遠藤に言われるままギャンブル・クルーズに参加する。そこで行われているのは、命を賭けた究極のゲームだった…。
【考察】
カイジの観察力や地頭の良さが際立っていた。悪趣味な人によって見世物にされるカイジたちが不憫だった。
18.『キングダム』(映画)(2019)監督:佐藤信介
【あらすじ】
紀元前245年、春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。戦災孤児の少年の信(山﨑賢人) と漂(吉沢亮) は、いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛練を積んでいた。ある日、漂は王都の大臣である昌文君(髙嶋政宏) によって召し上げられ王宮へ。信と漂の二人は別の道を歩むことになる……。 王宮では王弟・成蟜(本郷奏多) によるクーデターが勃発。戦いの最中、漂は致命傷を負いながらも、信のいる納屋にたどり着く。「今すぐそこに行け…」血まみれの手で握りしめていた地図を信に託し、漂は息絶える。信は漂が携えていた剣とその地図とともに走り出した。 地図が示す小屋にたどり着いた信の目に飛び込んできたのは、静かにたたずむ漂の姿だった!? 死んだはずの漂がなぜ―
【考察】
天下一の大将軍になることを目指していた信と漂だったが、漂は身代わりになり亡くなってしまったことに衝撃を受けたと同時に、漂らしい優しさを感じた。信の身体能力や地頭の良さにより、信たちは生き残ることができた。山の民も信の魅力に惹き付けられた1人である。
19.『ショーシャンクの空に』(映画)(1994)監督:フランク・ダラボン
【あらすじ】
ショーシャンク刑務所に、若き銀行の副頭取だったアンディー・デュフレーン(ティム・ ロビンス)が、妻と間男を殺害した罪で入所してきた。最初は刑務所の「しきたり」にも 逆らい孤立していたアンディーだったが、刑務所内の古株で“調達係”のレッド(モーガ ン・フリーマン)は彼に他の受刑者達とは違う何かを感じていた。そんなアンディーが入所した2年後のあるとき、アンディーは監視役のハドレー主任(クランシー・ブラウン) が抱えていた遺産相続問題を解決する事の報酬として、受刑者仲間たちへのビールを獲得する。この一件を機に、アンディーは刑務所職員からも受刑者仲間からも、一目置かれる 存在になっていく・・・。
【考察】
冤罪で刑務所に入ることになり、アンディー・デュフレーンの生活は一変した。しかし、アンディー・デュフレーンは他の受刑者たちに音楽や読書などの娯楽を与えた。最後に悪が成敗されたのが爽快だった。
20.『万引き家族』(映画)(2018)監督:是枝裕和
【あらすじ】
高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である祖母の初枝の年金だ。それで足りないものは、万引きでまかなっていた。社会という海の、底を這うように暮らす家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、口は悪いが仲よく暮らしていた。そんな冬のある日、治と祥太は、近隣の団地の廊下で震えていた幼いゆりを見かねて家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく──。
【考察】
祖母の初枝が亡くなった後みんなで埋めたり、誘拐したゆりと祥太がスーパーで万引きするのが印象的だった。ゆりは誘拐された方が幸せそうだった。
4年 藤田ことみ 春休み課題1~10
RES
1.『いつかティファニーで朝食を』1〜13巻(漫画)
作者:マキヒロチ
あらすじ:様々な境遇にいるアラサー女子の悩みを持ちつつ、美味しい朝食を食べていくお話。アパレル会社で働く佐藤麻里子28歳が、7年交際していた彼氏とすれ違 いが起き始める。朝食の時間を大切にしてくれない彼氏と別れるかどうか、一方友人の典子は不倫で悩み、栞はママになったことでもう一度働くかどうか迷っており、里沙は男性関係で悩まされている。4人の悩みはどうなるのか・・・?
考察:結婚後・育児中のキャリア問題や、結婚するか否かなどの恋愛問題のように多くのアラサーの女性が悩む問題だけではなく、病気後の仕事への向き合い方や大人の恋愛、昔の夢と今の自分など、男女関係なく多くのアラサーが突き当たる問題も描いていることで、一人の人生を追っているようになていた。また時間を飛ばさずに、登場人物の視点を変えることや、時間の進み方が一か月単位で進んでいることで、登場人物が現実でも生きているような時間の流れになっていると考えた。
2.『真夜中のオカルト公務員』1〜17巻作者:たもつ葉子
あらすじ:ある日どこにでもいる公務員の一人である宮古新は、新宿区の「夜間地域交流課」に配属される。課では人ならざる者「アナザー」が関与するオカルト的事象の解決と共生を目的としている。しかし新は妖怪の声が聞こえる特別な体質だった。次々と消える少女、新のことを親しげに別名で呼ぶ妖怪たち、なぜ新に特別な能力があるのかに迫っていく。
考察:妖怪や精霊だけでなく、神様も全て含めて「アナザー」というくくりで和洋関係なく登場する作品は珍しいと思った。宮古新は「アナザー」の声が聞こえるので意思疎通できるが、新以外の課の職員や専門家は声が聞こえない為、「アナザー」に対する恐怖や対応のギャップがある。新は「アナザー」の声を聞いて行動の理由が分かるが職員は「アナザー」の行動や習性からしか判断が出来ないので、ギャップが生まれたのだと考えた。これは、言語や文化が異なる民族同士や人と動物、動物と他の動物同士の間にも起こっているギャップだと考えた。また本作で新の子孫の安倍晴明がコハクという「アナザー」を助けようとしたときに、コハクや周り、そして自分自身でも納得できる・させるものとして、友達だからと言っていた場面があった。ここから本作では友情とは相手を助けたいと思えるかどうかであり、人ではないものとの友情も成立すると書かれていると考えた。
3.『メダリスト』1〜3巻
作者:つるまいかだ
あらすじ:スケーターとして挫折した青年・明浦路司は、フィギュアスケートに憧れる結束いのりに出会う。フィギュアスケートの才能を開花させていく少女と、彼女を指導する明浦がタッグを組んで、ライバルと高めあいながらオリンピック金メダルを目指すW主人公物語。
考察:フィギュアスケート演技は何を表現しているのかや美しさ、技を跳ぶときの楽しさや難しさを、小学五年生のいのりや読者にも分かるように、比喩表現を使って描いている。またスケートの点数のつけ方も解説しており、選手やコーチがどのように演技や技を組み合わせているかなども詳しく、そして分かりやすく描かれている。またコーチ目線からのスポーツ漫画は少ないので、フィギュアスケートでのコーチの大切さやどのような人生を送りコーチになったのか、コーチの将来の夢や思いについて読める点がこの漫画の魅力だと思った。
4.『神様学校の落ちこぼれ』1〜3巻
作者:赤瓦もどむ 原作:日向夏
あらすじ:舞台は現代日本だがこの世界には神さまがいる。高校進学を控えた主人公ナギのもとにある日突然届いたのは、強力な神通力を持つ者たちが集う「神さま学校」の合格通知。
だが、学校きっての落ちこぼれ生徒になってしまった!超難関の国家資格「神さま」を目指して動き始める!
考察:『薬屋のひとりごと』を書いた作者が内容を考えているので、謎解きや恋愛要素が多く含まれている。謎解き要素としては、また主人公の能力が明言されていない点や、主人公の弟の行方が分からない点であり、これは物語が進んでいくごとに徐々に明かされることで、読者をひきつけていると思った。また今作は能力を使って戦略をたてることやアクション要素が軸になっている。これは前作では見られなかった新しい要素である。
5.『メダリスト』アニメ第1話から第13話 監督:山本靖貴 シリーズ構成・脚本:花田十輝
あらすじ:スケーターとして挫折した青年・明浦路司は、フィギュアスケートに憧れる結束いのりに出会う。フィギュアスケートの才能を開花させていく少女と、彼女を指導する明浦がタッグを組んで、ライバルと高めあいながらオリンピック金メダルを目指すW主人公物語。
考察:スケートの演技のシーンが所々3Dになっている。アスリートのモーションキャプチャや振り付けはオリンピック入賞経験もある鈴木明子氏が行い、CGCGスタジオが制作したので、リアルに近い動きだった。しかし踊るシーンのみ3Dにし、主人公が考えているシーンや回想シーンは普段の2Dなので、視聴者も違和感なく見ることが出来る効果があると考えた。
6.『絢爛たるグランドセーヌ』1~13巻Cuvie著、村山久美子 監修
あらすじ:主人公の有谷奏が近所のお姉さんのバレーの発表会に行くと、そこにはまるで本物の妖精のように踊る姿が!感動した奏がバレー教室に通い、プロバレリーナを目指していく青春スポーツ系の漫画であり本格クラッシックバレー漫画!
考察:本格クラッシックバレー漫画でありながら、説明文のように固くなく描かれている理由は、主人公の奏がバレーを分析しながらみる特性をもっていることと、奏の気持ちが説明にのせられているからだと考えた。また『ブルーロック』もサッカーの説明しながら説明口調になっていない特性として、主人公が分析する性格の持ち主であるからだと考えた。この点が共通していると、堅苦しくなく知らない人にも分かりやすく伝えることが出来ると考えた。
7.『いつか死ぬなら絵を売ってから』1〜3巻作者:ぱらり
あらすじ: ネカフェ暮らしの清掃員・一希の唯一の趣味は絵を描くこと。ある日、妙な青年に絵を買わせてほしいと頼まれ!? 窓越しの遭逢が、人生を描き変える!!
考察:絵画の売り買いの基礎を芸術はおろか、学校の授業もあまりまともに通えていない主人公に教える設定にしていることで、芸術のことについてわからない読者にも分かり易く伝えられていると考えた。また主人公だけでなく、他の立場の画家(美術大で教授をしながら画家活動をしている人)や売り手の視点に切り替えることで、芸術作品の売り買いの世界を多面的な視点で読者に伝えられていると考えた。
7.『夏目友人帳』32巻作者:緑川ゆき
あらすじ: 岩見家の蔵を調査することになった夏目と名取。そこには“見ると呪われる何か”が…?「このまま妖のいない世界へ行けるかもしれない」〈蔵は閉じられた〉の話。
家の中に異変を感じた夏目。ニャンコ先生と共にパトロール中、なぜか夏目が人形の姿に!?〈見知らぬ我が家〉の話。
考察:今作は払い屋をメインにして組まれた話だった。今までは妖怪と人間の絆か、主人公の夏目たかしか、祖母のレイコと過去に関わった人々(妖怪)との話が多かったが、人間同士の恨みやすれ違いにたまたま妖怪が絡んでいる話が中心だった。見えないもの(理解できないもの)とのすれ違いだけでなく、師弟というよく知った仲でもすれ違いはおきてしまうという、人間関係に必ず起こりえることを浮き彫りにした作品だと考えた。
8.『パンダコパンダ』監督:宮崎駿、清水達正、高畑勲
あらすじ: 小学生ながらしっかり者のミミ子は竹やぶの近くの家におばあちゃんとふたりで暮らしていた。ある日おばあちゃんが田舎の法事に行くため、ミミ子はしばらくの間ひとり暮らしすることに。大張り切りのミミ子が家に帰るとパンダのパンちゃんとパパンダ親子が現れて?竹やぶがお気に入りのパパンダはミミ子のパパ代わりとして居候を決め、ミミ子はパンちゃんのママになって楽しい新生活がスタート。だけど動物園の園長さんがパパンダたちを迎えにきて…。
考察:宮崎がジブリ以前に手掛けたアニメの特徴の一つに、コマ数が少ないと現実と照らし合わせた際に変に見える動きをわざとアニメに取り入れてアニメならではの表現に変えていると私は考えた。主人公のミミちゃんは、逆立ちをよくするがよく見てみると、上にあった手が一瞬で地面についているだけでなく、足もほぼ回転している状態をかかないで上に上がっている。またミミちゃんが逆立ちした後決まってパンダの親子や他のどうぶつも行っている。つまり嬉しさを表現するミミちゃんの動きは動物の間でも辻合うことが出来るというアニメならではの表現に変わっていると考えた。またコマ数が少ないことと、大きな効果音をつけて逆立ちしていることで、視聴者に動きを印象付けるとともに面白おかしさも演出しているのではないかと考えた。
9.『神様』作者:川上弘美
あらすじ:神様とくまをテーマにした短編集。最初の話である「神様」は、主人公の私がくまと一緒に散歩するうちに、くまと赤の他人ではなく、遠縁にあたることを知る話。
考察:短編集の『神様』では、くまや白いモフモフの梨の妖精など、人間と他の生き物と一緒に暮らすうちに起こる変化や関係性を描いていると考えた。例えば、主人公が梨の妖精と出会った後「ずれ」がなくなり体調が回復していく。またくまと私も動物と人間であるが、遠縁であることから人と人以外のものの関係性をえがいていると考えた。
10.『傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン』1~3巻作者:磯見仁月
あらすじ: 18世紀フランス革命前夜の頃、平民の出ながら、ヴェルサイユ宮殿で貴族以上の権勢を誇る仕立て屋がいた。彼女の名はローズ・ベルタン。王妃マリー・アントワネットの寵愛を受け、革命の波にのまれていった、ファッションデザイナーの祖と称される人物の物語。
考察:『ベルサイユのばら』のようにフランス王政を描く漫画の多くは主人公が貴族や、マリー・アントワネットの親族や被害者であるが、作者が実際にいた仕立て屋を主人公にすることで当時のフランスを女性目線で、更に庶民の目線で描き、他の漫画とは一線を引いていると考えた。またマリー・アントワネットを描くのではなく、敵対した方から歴史を見れる点や、当時の仕立て屋はもちろん服飾や髪結いの職業についても、知らない人でもわかるように、主人公の職業を説明するような話から始まり、依頼主が変わることで段々と当時の社会情勢も分かり易く読者に伝えられている点もこの漫画の魅力だと考えた。
作者:マキヒロチ
あらすじ:様々な境遇にいるアラサー女子の悩みを持ちつつ、美味しい朝食を食べていくお話。アパレル会社で働く佐藤麻里子28歳が、7年交際していた彼氏とすれ違 いが起き始める。朝食の時間を大切にしてくれない彼氏と別れるかどうか、一方友人の典子は不倫で悩み、栞はママになったことでもう一度働くかどうか迷っており、里沙は男性関係で悩まされている。4人の悩みはどうなるのか・・・?
考察:結婚後・育児中のキャリア問題や、結婚するか否かなどの恋愛問題のように多くのアラサーの女性が悩む問題だけではなく、病気後の仕事への向き合い方や大人の恋愛、昔の夢と今の自分など、男女関係なく多くのアラサーが突き当たる問題も描いていることで、一人の人生を追っているようになていた。また時間を飛ばさずに、登場人物の視点を変えることや、時間の進み方が一か月単位で進んでいることで、登場人物が現実でも生きているような時間の流れになっていると考えた。
2.『真夜中のオカルト公務員』1〜17巻作者:たもつ葉子
あらすじ:ある日どこにでもいる公務員の一人である宮古新は、新宿区の「夜間地域交流課」に配属される。課では人ならざる者「アナザー」が関与するオカルト的事象の解決と共生を目的としている。しかし新は妖怪の声が聞こえる特別な体質だった。次々と消える少女、新のことを親しげに別名で呼ぶ妖怪たち、なぜ新に特別な能力があるのかに迫っていく。
考察:妖怪や精霊だけでなく、神様も全て含めて「アナザー」というくくりで和洋関係なく登場する作品は珍しいと思った。宮古新は「アナザー」の声が聞こえるので意思疎通できるが、新以外の課の職員や専門家は声が聞こえない為、「アナザー」に対する恐怖や対応のギャップがある。新は「アナザー」の声を聞いて行動の理由が分かるが職員は「アナザー」の行動や習性からしか判断が出来ないので、ギャップが生まれたのだと考えた。これは、言語や文化が異なる民族同士や人と動物、動物と他の動物同士の間にも起こっているギャップだと考えた。また本作で新の子孫の安倍晴明がコハクという「アナザー」を助けようとしたときに、コハクや周り、そして自分自身でも納得できる・させるものとして、友達だからと言っていた場面があった。ここから本作では友情とは相手を助けたいと思えるかどうかであり、人ではないものとの友情も成立すると書かれていると考えた。
3.『メダリスト』1〜3巻
作者:つるまいかだ
あらすじ:スケーターとして挫折した青年・明浦路司は、フィギュアスケートに憧れる結束いのりに出会う。フィギュアスケートの才能を開花させていく少女と、彼女を指導する明浦がタッグを組んで、ライバルと高めあいながらオリンピック金メダルを目指すW主人公物語。
考察:フィギュアスケート演技は何を表現しているのかや美しさ、技を跳ぶときの楽しさや難しさを、小学五年生のいのりや読者にも分かるように、比喩表現を使って描いている。またスケートの点数のつけ方も解説しており、選手やコーチがどのように演技や技を組み合わせているかなども詳しく、そして分かりやすく描かれている。またコーチ目線からのスポーツ漫画は少ないので、フィギュアスケートでのコーチの大切さやどのような人生を送りコーチになったのか、コーチの将来の夢や思いについて読める点がこの漫画の魅力だと思った。
4.『神様学校の落ちこぼれ』1〜3巻
作者:赤瓦もどむ 原作:日向夏
あらすじ:舞台は現代日本だがこの世界には神さまがいる。高校進学を控えた主人公ナギのもとにある日突然届いたのは、強力な神通力を持つ者たちが集う「神さま学校」の合格通知。
だが、学校きっての落ちこぼれ生徒になってしまった!超難関の国家資格「神さま」を目指して動き始める!
考察:『薬屋のひとりごと』を書いた作者が内容を考えているので、謎解きや恋愛要素が多く含まれている。謎解き要素としては、また主人公の能力が明言されていない点や、主人公の弟の行方が分からない点であり、これは物語が進んでいくごとに徐々に明かされることで、読者をひきつけていると思った。また今作は能力を使って戦略をたてることやアクション要素が軸になっている。これは前作では見られなかった新しい要素である。
5.『メダリスト』アニメ第1話から第13話 監督:山本靖貴 シリーズ構成・脚本:花田十輝
あらすじ:スケーターとして挫折した青年・明浦路司は、フィギュアスケートに憧れる結束いのりに出会う。フィギュアスケートの才能を開花させていく少女と、彼女を指導する明浦がタッグを組んで、ライバルと高めあいながらオリンピック金メダルを目指すW主人公物語。
考察:スケートの演技のシーンが所々3Dになっている。アスリートのモーションキャプチャや振り付けはオリンピック入賞経験もある鈴木明子氏が行い、CGCGスタジオが制作したので、リアルに近い動きだった。しかし踊るシーンのみ3Dにし、主人公が考えているシーンや回想シーンは普段の2Dなので、視聴者も違和感なく見ることが出来る効果があると考えた。
6.『絢爛たるグランドセーヌ』1~13巻Cuvie著、村山久美子 監修
あらすじ:主人公の有谷奏が近所のお姉さんのバレーの発表会に行くと、そこにはまるで本物の妖精のように踊る姿が!感動した奏がバレー教室に通い、プロバレリーナを目指していく青春スポーツ系の漫画であり本格クラッシックバレー漫画!
考察:本格クラッシックバレー漫画でありながら、説明文のように固くなく描かれている理由は、主人公の奏がバレーを分析しながらみる特性をもっていることと、奏の気持ちが説明にのせられているからだと考えた。また『ブルーロック』もサッカーの説明しながら説明口調になっていない特性として、主人公が分析する性格の持ち主であるからだと考えた。この点が共通していると、堅苦しくなく知らない人にも分かりやすく伝えることが出来ると考えた。
7.『いつか死ぬなら絵を売ってから』1〜3巻作者:ぱらり
あらすじ: ネカフェ暮らしの清掃員・一希の唯一の趣味は絵を描くこと。ある日、妙な青年に絵を買わせてほしいと頼まれ!? 窓越しの遭逢が、人生を描き変える!!
考察:絵画の売り買いの基礎を芸術はおろか、学校の授業もあまりまともに通えていない主人公に教える設定にしていることで、芸術のことについてわからない読者にも分かり易く伝えられていると考えた。また主人公だけでなく、他の立場の画家(美術大で教授をしながら画家活動をしている人)や売り手の視点に切り替えることで、芸術作品の売り買いの世界を多面的な視点で読者に伝えられていると考えた。
7.『夏目友人帳』32巻作者:緑川ゆき
あらすじ: 岩見家の蔵を調査することになった夏目と名取。そこには“見ると呪われる何か”が…?「このまま妖のいない世界へ行けるかもしれない」〈蔵は閉じられた〉の話。
家の中に異変を感じた夏目。ニャンコ先生と共にパトロール中、なぜか夏目が人形の姿に!?〈見知らぬ我が家〉の話。
考察:今作は払い屋をメインにして組まれた話だった。今までは妖怪と人間の絆か、主人公の夏目たかしか、祖母のレイコと過去に関わった人々(妖怪)との話が多かったが、人間同士の恨みやすれ違いにたまたま妖怪が絡んでいる話が中心だった。見えないもの(理解できないもの)とのすれ違いだけでなく、師弟というよく知った仲でもすれ違いはおきてしまうという、人間関係に必ず起こりえることを浮き彫りにした作品だと考えた。
8.『パンダコパンダ』監督:宮崎駿、清水達正、高畑勲
あらすじ: 小学生ながらしっかり者のミミ子は竹やぶの近くの家におばあちゃんとふたりで暮らしていた。ある日おばあちゃんが田舎の法事に行くため、ミミ子はしばらくの間ひとり暮らしすることに。大張り切りのミミ子が家に帰るとパンダのパンちゃんとパパンダ親子が現れて?竹やぶがお気に入りのパパンダはミミ子のパパ代わりとして居候を決め、ミミ子はパンちゃんのママになって楽しい新生活がスタート。だけど動物園の園長さんがパパンダたちを迎えにきて…。
考察:宮崎がジブリ以前に手掛けたアニメの特徴の一つに、コマ数が少ないと現実と照らし合わせた際に変に見える動きをわざとアニメに取り入れてアニメならではの表現に変えていると私は考えた。主人公のミミちゃんは、逆立ちをよくするがよく見てみると、上にあった手が一瞬で地面についているだけでなく、足もほぼ回転している状態をかかないで上に上がっている。またミミちゃんが逆立ちした後決まってパンダの親子や他のどうぶつも行っている。つまり嬉しさを表現するミミちゃんの動きは動物の間でも辻合うことが出来るというアニメならではの表現に変わっていると考えた。またコマ数が少ないことと、大きな効果音をつけて逆立ちしていることで、視聴者に動きを印象付けるとともに面白おかしさも演出しているのではないかと考えた。
9.『神様』作者:川上弘美
あらすじ:神様とくまをテーマにした短編集。最初の話である「神様」は、主人公の私がくまと一緒に散歩するうちに、くまと赤の他人ではなく、遠縁にあたることを知る話。
考察:短編集の『神様』では、くまや白いモフモフの梨の妖精など、人間と他の生き物と一緒に暮らすうちに起こる変化や関係性を描いていると考えた。例えば、主人公が梨の妖精と出会った後「ずれ」がなくなり体調が回復していく。またくまと私も動物と人間であるが、遠縁であることから人と人以外のものの関係性をえがいていると考えた。
10.『傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン』1~3巻作者:磯見仁月
あらすじ: 18世紀フランス革命前夜の頃、平民の出ながら、ヴェルサイユ宮殿で貴族以上の権勢を誇る仕立て屋がいた。彼女の名はローズ・ベルタン。王妃マリー・アントワネットの寵愛を受け、革命の波にのまれていった、ファッションデザイナーの祖と称される人物の物語。
考察:『ベルサイユのばら』のようにフランス王政を描く漫画の多くは主人公が貴族や、マリー・アントワネットの親族や被害者であるが、作者が実際にいた仕立て屋を主人公にすることで当時のフランスを女性目線で、更に庶民の目線で描き、他の漫画とは一線を引いていると考えた。またマリー・アントワネットを描くのではなく、敵対した方から歴史を見れる点や、当時の仕立て屋はもちろん服飾や髪結いの職業についても、知らない人でもわかるように、主人公の職業を説明するような話から始まり、依頼主が変わることで段々と当時の社会情勢も分かり易く読者に伝えられている点もこの漫画の魅力だと考えた。
横澤颯太
RES
3年 横澤颯太
1『メダリスト』(漫画)(2020) つるまいかだ
【あらすじ】
フィギュアスケートの世界に憧れる主人公の結束いのりと、夢破れたコーチ明浦路司が人生をかけて二人でオリンピックの金メダルを目指す物語。
【考察】
トップアスリートを目指すためには、様々な取捨選択が必要ということが示されており厳しさと同時に、アスリートたちが持つ心の強さが感じられる。
2 『約束のネバーランド』(漫画)(2016) 原作:白井カイウ 作画:出水ぽすか
【あらすじ】
ハウスとよばれる孤児院で育ってきたエマはもうじき12歳を迎えようとしていたが、ある日ハウスは食人鬼たちの農園であることに気づいたため、知恵を振り絞り農園からの脱出を図る。
【考察】
初めはハウスから脱出を試みるサイコホラーのような構成だったが物語が続くにつれて、人間と鬼のどちらにも正義が存在することが示唆されて、新しい世代が歩み寄り現状を変えようと努力するという方向にシフトしていった。
3『SLAM DUNK』(漫画)(1990) 井上雄彦
【あらすじ】
今まで不良として生きてきた桜木花道がバスケ部のマネージャーである赤木晴子に一目ぼれして、バスケ部に入り徐々にその才能を開花させていく。
【考察】
初期は才能による派手なプレーが目立っていたが、成長するにつれて基礎的で地道なプレーが増えていき、最後は積み重ねてきた努力が人を支えるという構成になっていると感じた。
4『クリムゾンの迷宮』(小説) (1999) 貴志祐介
【あらすじ】
深紅色に濡れ光る奇岩の連なりに覆われた迷宮で、凄惨なゼロ・サムゲームが行われる。
【考察】
異世界に迷い込んだような状態で行われるサバイバル下で、何を指針にすればよいのか不透明であり極限まで追い込まれた人間の本性や弱さが色濃く描写されており、人は一人だけでは生きていくことができないという想いが込められていると考える。
5 『ウマ娘プリティーダービー season2』(アニメ) 監督:及川啓
【あらすじ】
三冠王を目指す天才ウマ娘のトウカイテイオーが挫折を経験をしながらも栄光をつかむために奮闘する物語
【考察】
史実の流れをなぞってはいるもののそれぞれのキャラクターに関係や因縁を持たせることで、ストーリーをよりドラマティックなものへと昇華していると感じた。
6 『毒を売る女』(小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
性病を患い狂ってしまった若妻が友人とその家族に病を移すために過度な接触を始める
【考察】
友人が梅毒を患ったことによって主人公は神経質になっていき、毒によって徐々に心と
身体が蝕まれているように感じられた。
7 『乾いた都市』 (小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
家庭を持つ冴えない現場主任が貯金を切り崩しながら、銀座の美女と関係を結ぼうと画策する話
【考察】
すぐに乾いてしまうため満たされることのない欲と、長期間の日照りによる乾きという
二つの要因によって破滅に向かっていく構成となっているのだと考えられる。
8 『糸ノコとジグザグ』 (小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
騒音で溢れている都会では助けを求める声すらもかき消されてしまう。ある日、ラジオの番組に自殺を仄めかす暗号文が届き、それを阻止するため聴取者と共に暗号を解こうと奮闘する。
【考察】
助けを求める声がかき消されてしまう都会にも、耳をすましてその声を真剣に聴こうと
尽力してくれる人の存在と、集合知のすごさが感じられた。
9 『占星術殺人事件』 (小説) (1981) 島田荘司
【あらすじ】
6人の女性が行方不明となりその体の一部が日本各地で切り取られて発見された。40年の間未解決であったこの事件に一人の占星術師、御手洗潔が挑戦する
【考察】
この小説は犯人が残した手記から物語が始まり、途中で読者への挑戦が行われることで我々読者も探偵として物語の中に引き込まれるような仕掛けになっていると考えられる。
10 『異邦の騎士』 (小説) (1988) 島田荘司
【あらすじ】
失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。
やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔の手。名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー
【考察】
事件の渦中にいた者たちは、復讐に心をとらわれていたが大切な人と育んだ愛によって、再び自分の道を歩き始めるという構成になっていると考えられる。
11 『To Loveる』(漫画)(2006)原作:長谷見沙貴
【あらすじ】
奥手な主人子である結城梨斗はクラスメイトの西園寺春奈に恋をしているのだが、勘違いからデビルーク星の王女であるララ・サタリン・デビルークの婚約者候補となってしまう
【考察】
作中にはお色気要素があるのだが、主人公が転んでラッキースケベとなるだけではなく、キャラクターの妄想の中でサービスシーンを描くこともあるため、主人公にヘイトが貯まりにくいような工夫がなされている。
12 『十角館の殺人』 (小説) (1987) 綾辻行人
【あらすじ】
半年前に凄惨な殺人事件が起こった孤島に推理探偵小説研究会のメンバーが赴いたが、その孤島で再び殺人事件が起こる。
【考察】
本土と島とで視点を順番に進め、不可解な館の構造や過去の事件といった要素が重なることで犯人の正体を上手く隠されていると感じた。
13 『東京タワー』 (小説) (1999) 江國香織
【あらすじ】
東京タワーが見えるマンションに住む大学生・透と、恋人や親友、そして年上の女性との恋愛模様が描かれた作品
【考察】
大学生は既に大人として扱われ始める年齢だが、作中の大人と比べると真っすぐであり、言動の節々からその価値観の違いや大人の狡さなどが表現されていた。
14 『双星の陰陽師』(漫画) (2013) 助野嘉昭
【あらすじ】
千年続く陰陽師と穢の戦いを終わらせる神子を産むために、双星の陰陽師と呼ばれる2人が共にぶつかり合いながらも絆を深めて戦っていく
【考察】
物語の前半までは敵を滅ぼすための戦いだったが、4年が経た後半では主人公たちがなぜ戦わなければいのかと考え始め、共に生きることのできる世界を模索し始めており、キャラクターが成長して大人になったことが感じられた。
15 『Extreme Hearts』(アニメ) (2022)
【あらすじ】
シンガーソングライターである葉山日和が自分の夢を続けるために「エクストリームギア」を用いた「ハイパースポーツ」の大会「Exetreme Hearts」に出場して仲間と共に戦う
【考察】
2から3話程で扱うスポーツが変化することで、それぞれのキャラクターがスポーツ毎に与えられる役割が変化することで、いろいろな面が見えてそのキャラクターが持つ個性が確立されていた。
16 『超巡!超条先輩』(漫画)(2024) 沼駿
【あらすじ】
犯罪の絶えない珍宿に務める巡査長の超条巡は超能者であり、その力を駆使して部下の一本木直と共に様々な問題を解決するポリスコメディ
【考察】
主人公は超能力が使えてしまうため、他者から疎まれ、濡れ衣を着せられた過去がある。そのため普通から外れている主人公の苦悩が描かれることが多いが、本人がカスであるためそこまで悲惨には感じられない。
17 『魔男のイチ』(漫画) (2024) 原作:西修 作画:宇佐崎しろ
【あらすじ】
女性しか魔法を扱えない世界で、魔法を習得してしまった少年・イチを描いたファンタジー
【考察】
主人公の中に明確なルールが存在しているため行動に一貫性があり、世間知らずではあるが他者を尊重することができるため、不快感がなく応援できるようなキャラクター性だと感じた。
18 『ルックバック』(漫画) (2021) 藤本タツキ
【あらすじ】
小学4年生の藤野と、不登校の京本の、漫画を描く女子2人の人生が描かれる
【考察】
主人公は小学校時代に校内一の漫画家である自分、高校卒業には片腕のような親友、そして大人になってからは喧嘩別れした親友を永遠に失ってしまうなど三回も大切なものを失っているが、それでも自分で立ち上がって歩みだす姿は人の持つ強さが感じられた。
19 『葬送のフリーレン』(漫画) (2020) 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ
【あらすじ】
魔王を倒した勇者一行の魔法使い、エルフのフリーレンは死者の魂と対話できる場所・オレオールで勇者ヒンメルと再会するために新たな仲間と共に北へと進んでいく
【考察】
ストーリーや演出がバトル漫画のように派手なものではなく、静かに淡々と進む様子が長寿であるフリーレンの心情と上手く合致していると感じた。
20 『DRAGON BALL 超 ブロリー』(映画) (2018) 原作:鳥山明 監督:長峯達也
【あらすじ】
辺境の小惑星で過ごすブロリーがフリーザ軍に加入し、ドラゴンボールを手に入れるために地球で悟空とベジータと戦う物語
【考察】
サイヤ人という種族そのものにフィーチャーされた映画であり、普段は地球を守るために戦うヒーローの孫悟空としてではなく、ブロリーに勝ちたいというサイヤ人のカカロットとして戦っているように感じられた。
1『メダリスト』(漫画)(2020) つるまいかだ
【あらすじ】
フィギュアスケートの世界に憧れる主人公の結束いのりと、夢破れたコーチ明浦路司が人生をかけて二人でオリンピックの金メダルを目指す物語。
【考察】
トップアスリートを目指すためには、様々な取捨選択が必要ということが示されており厳しさと同時に、アスリートたちが持つ心の強さが感じられる。
2 『約束のネバーランド』(漫画)(2016) 原作:白井カイウ 作画:出水ぽすか
【あらすじ】
ハウスとよばれる孤児院で育ってきたエマはもうじき12歳を迎えようとしていたが、ある日ハウスは食人鬼たちの農園であることに気づいたため、知恵を振り絞り農園からの脱出を図る。
【考察】
初めはハウスから脱出を試みるサイコホラーのような構成だったが物語が続くにつれて、人間と鬼のどちらにも正義が存在することが示唆されて、新しい世代が歩み寄り現状を変えようと努力するという方向にシフトしていった。
3『SLAM DUNK』(漫画)(1990) 井上雄彦
【あらすじ】
今まで不良として生きてきた桜木花道がバスケ部のマネージャーである赤木晴子に一目ぼれして、バスケ部に入り徐々にその才能を開花させていく。
【考察】
初期は才能による派手なプレーが目立っていたが、成長するにつれて基礎的で地道なプレーが増えていき、最後は積み重ねてきた努力が人を支えるという構成になっていると感じた。
4『クリムゾンの迷宮』(小説) (1999) 貴志祐介
【あらすじ】
深紅色に濡れ光る奇岩の連なりに覆われた迷宮で、凄惨なゼロ・サムゲームが行われる。
【考察】
異世界に迷い込んだような状態で行われるサバイバル下で、何を指針にすればよいのか不透明であり極限まで追い込まれた人間の本性や弱さが色濃く描写されており、人は一人だけでは生きていくことができないという想いが込められていると考える。
5 『ウマ娘プリティーダービー season2』(アニメ) 監督:及川啓
【あらすじ】
三冠王を目指す天才ウマ娘のトウカイテイオーが挫折を経験をしながらも栄光をつかむために奮闘する物語
【考察】
史実の流れをなぞってはいるもののそれぞれのキャラクターに関係や因縁を持たせることで、ストーリーをよりドラマティックなものへと昇華していると感じた。
6 『毒を売る女』(小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
性病を患い狂ってしまった若妻が友人とその家族に病を移すために過度な接触を始める
【考察】
友人が梅毒を患ったことによって主人公は神経質になっていき、毒によって徐々に心と
身体が蝕まれているように感じられた。
7 『乾いた都市』 (小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
家庭を持つ冴えない現場主任が貯金を切り崩しながら、銀座の美女と関係を結ぼうと画策する話
【考察】
すぐに乾いてしまうため満たされることのない欲と、長期間の日照りによる乾きという
二つの要因によって破滅に向かっていく構成となっているのだと考えられる。
8 『糸ノコとジグザグ』 (小説) (1991) 島田荘司
【あらすじ】
騒音で溢れている都会では助けを求める声すらもかき消されてしまう。ある日、ラジオの番組に自殺を仄めかす暗号文が届き、それを阻止するため聴取者と共に暗号を解こうと奮闘する。
【考察】
助けを求める声がかき消されてしまう都会にも、耳をすましてその声を真剣に聴こうと
尽力してくれる人の存在と、集合知のすごさが感じられた。
9 『占星術殺人事件』 (小説) (1981) 島田荘司
【あらすじ】
6人の女性が行方不明となりその体の一部が日本各地で切り取られて発見された。40年の間未解決であったこの事件に一人の占星術師、御手洗潔が挑戦する
【考察】
この小説は犯人が残した手記から物語が始まり、途中で読者への挑戦が行われることで我々読者も探偵として物語の中に引き込まれるような仕掛けになっていると考えられる。
10 『異邦の騎士』 (小説) (1988) 島田荘司
【あらすじ】
失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。
やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔の手。名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー
【考察】
事件の渦中にいた者たちは、復讐に心をとらわれていたが大切な人と育んだ愛によって、再び自分の道を歩き始めるという構成になっていると考えられる。
11 『To Loveる』(漫画)(2006)原作:長谷見沙貴
【あらすじ】
奥手な主人子である結城梨斗はクラスメイトの西園寺春奈に恋をしているのだが、勘違いからデビルーク星の王女であるララ・サタリン・デビルークの婚約者候補となってしまう
【考察】
作中にはお色気要素があるのだが、主人公が転んでラッキースケベとなるだけではなく、キャラクターの妄想の中でサービスシーンを描くこともあるため、主人公にヘイトが貯まりにくいような工夫がなされている。
12 『十角館の殺人』 (小説) (1987) 綾辻行人
【あらすじ】
半年前に凄惨な殺人事件が起こった孤島に推理探偵小説研究会のメンバーが赴いたが、その孤島で再び殺人事件が起こる。
【考察】
本土と島とで視点を順番に進め、不可解な館の構造や過去の事件といった要素が重なることで犯人の正体を上手く隠されていると感じた。
13 『東京タワー』 (小説) (1999) 江國香織
【あらすじ】
東京タワーが見えるマンションに住む大学生・透と、恋人や親友、そして年上の女性との恋愛模様が描かれた作品
【考察】
大学生は既に大人として扱われ始める年齢だが、作中の大人と比べると真っすぐであり、言動の節々からその価値観の違いや大人の狡さなどが表現されていた。
14 『双星の陰陽師』(漫画) (2013) 助野嘉昭
【あらすじ】
千年続く陰陽師と穢の戦いを終わらせる神子を産むために、双星の陰陽師と呼ばれる2人が共にぶつかり合いながらも絆を深めて戦っていく
【考察】
物語の前半までは敵を滅ぼすための戦いだったが、4年が経た後半では主人公たちがなぜ戦わなければいのかと考え始め、共に生きることのできる世界を模索し始めており、キャラクターが成長して大人になったことが感じられた。
15 『Extreme Hearts』(アニメ) (2022)
【あらすじ】
シンガーソングライターである葉山日和が自分の夢を続けるために「エクストリームギア」を用いた「ハイパースポーツ」の大会「Exetreme Hearts」に出場して仲間と共に戦う
【考察】
2から3話程で扱うスポーツが変化することで、それぞれのキャラクターがスポーツ毎に与えられる役割が変化することで、いろいろな面が見えてそのキャラクターが持つ個性が確立されていた。
16 『超巡!超条先輩』(漫画)(2024) 沼駿
【あらすじ】
犯罪の絶えない珍宿に務める巡査長の超条巡は超能者であり、その力を駆使して部下の一本木直と共に様々な問題を解決するポリスコメディ
【考察】
主人公は超能力が使えてしまうため、他者から疎まれ、濡れ衣を着せられた過去がある。そのため普通から外れている主人公の苦悩が描かれることが多いが、本人がカスであるためそこまで悲惨には感じられない。
17 『魔男のイチ』(漫画) (2024) 原作:西修 作画:宇佐崎しろ
【あらすじ】
女性しか魔法を扱えない世界で、魔法を習得してしまった少年・イチを描いたファンタジー
【考察】
主人公の中に明確なルールが存在しているため行動に一貫性があり、世間知らずではあるが他者を尊重することができるため、不快感がなく応援できるようなキャラクター性だと感じた。
18 『ルックバック』(漫画) (2021) 藤本タツキ
【あらすじ】
小学4年生の藤野と、不登校の京本の、漫画を描く女子2人の人生が描かれる
【考察】
主人公は小学校時代に校内一の漫画家である自分、高校卒業には片腕のような親友、そして大人になってからは喧嘩別れした親友を永遠に失ってしまうなど三回も大切なものを失っているが、それでも自分で立ち上がって歩みだす姿は人の持つ強さが感じられた。
19 『葬送のフリーレン』(漫画) (2020) 原作:山田鐘人 作画:アベツカサ
【あらすじ】
魔王を倒した勇者一行の魔法使い、エルフのフリーレンは死者の魂と対話できる場所・オレオールで勇者ヒンメルと再会するために新たな仲間と共に北へと進んでいく
【考察】
ストーリーや演出がバトル漫画のように派手なものではなく、静かに淡々と進む様子が長寿であるフリーレンの心情と上手く合致していると感じた。
20 『DRAGON BALL 超 ブロリー』(映画) (2018) 原作:鳥山明 監督:長峯達也
【あらすじ】
辺境の小惑星で過ごすブロリーがフリーザ軍に加入し、ドラゴンボールを手に入れるために地球で悟空とベジータと戦う物語
【考察】
サイヤ人という種族そのものにフィーチャーされた映画であり、普段は地球を守るために戦うヒーローの孫悟空としてではなく、ブロリーに勝ちたいというサイヤ人のカカロットとして戦っているように感じられた。
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