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4年 橋原芽伊 RES
4年 春休み課題1~20

1.『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(映画)
監督:藤森雅也 原作:尼子騒兵衛、坂口和久
〈あらすじ〉タソガレドキ忍者・諸泉尊奈門との決闘に向かった土井先生が消息を絶った。山田先生と6年生が捜索を開始する一方、担任不在の1年は組では、タソガレドキ忍軍の忍び組頭・雑渡昆奈門と尊奈門が教壇に立つことに。そんな中、きり丸は偶然にも、土井先生の置かれた状況を知る。やがて土井先生を探す6年生の前に、ドクタケ忍者隊の冷徹な軍師・天鬼が出現。その顔は、なんと土井先生と瓜ふたつだった―。本作はアニメ『忍たま乱太郎』の映画三作目となる。

〈考察〉本作はアニメ『忍たま乱太郎』の劇場版3作目の作品となるが、作中の軍師がいる場所の岩の形やLLL作戦など1作目、2作目からのオマージュが多く見られた。また前作で失敗したLLL作戦が成功するなど、乱太郎たちの成長も見ることができる。また、本作で重要なキーパーソンとなった雑渡昆奈門の立ち回りについて、土井先生が記憶喪失の原因となった部下の諸泉尊奈門にヘイトが向かないよう、授業で尊奈門がかわいそうに思われるようにする、使える城であるタソガレドキに忍術学園の恨みが向かないよう、自分に恨みが向くように仕向けるような小説版では描かれていない非常に上手い立ち回りとヘイトコントロールが見て取れた。そして本作の悪役ポジションである稗田八方斎に関しても、頭をぶつけた後は普段よりも狡猾で残忍な人物として等身や睫毛の長さを変えて描き、終わった後に戻し、その間の記憶をなくすことによって普段の彼の印象を悪くさせないような工夫があると考える。他にも銭のことにおいては頭が切れるきり丸が土井先生のことを知って以降、全てにおいて選択を間違え、上手くいかないようなきり丸らしくない描写が描かれており、それが映画の原作小説にある「良かったのは俺の方だ」という部分を表すようで、きり丸にとって命よりも銭の方が大事だけど、それよりも土井先生が大事だと本心では思っていることがわかる。このように本作は土井先生の過去と、きり丸と土井先生の関係性に重点を置いた物語となっているが、乱太郎がきり丸に尋ねる部分や土井先生を取り返そうと言い切る場面などから、やはり乱太郎が主人公だと思わせるような場面があった。また一年生と土井先生の絆に注目した本作であるが、土井先生が初めて担任したのが六年生であることを思えば、六年生と土井先生の関係性、卒業生との関係も非常に感動するものがある。そしてパンフレットに記載された小説にて、六年生が本編に登場するまでに任務を行ってきたこと、その任務が忍術学園の存続を強化なものにさせていることが描かれている。その忍術学園とその周辺の城の一歩間違えばすぐに戦になりかねない緊迫した昆着状態や、天鬼が行おうとしていた作戦は周りの城から落とし、最終的に忍術学園を囲い攻め落とすものであったこと、練り物が嫌いな土井先生がいたからドクタケの練り物が忍術学園に流れていったと読み取れる、深く論理的な細かい設定が練られていた。以上からもギャグ漫画でありながら非常に優れた時代考証と時代の過酷さ、物語の深さを持つ、原作『落第忍者乱太郎』、アニメ『忍たま乱太郎』という作品の特異な点がうかがえる。他にも冒頭の人をかかし、血をヒガンバナ、鳥の卵を忍たま・尊奈門に見立てる、アニメ版とキャラの等身を変えるなど制作側の工夫が詰まった作品であり、公式の設定資料集や舞台挨拶などで語られている話を聞く度にそういうことかと感嘆し、何度でも楽しめる作品になっている。また本作の影響で忍たま乱太郎にハマる、再燃する人が多く、それは以前の『ゲゲゲの謎』のように子供向けでありながらも大人向けでもある内容であり、大人やオタクに刺さりやすいものであったからと考える。元々忍たまファンは比較的年齢層が高いイメージがあるが、それは作品に長い歴史があるからと子供の時からずっと好きでいられる作品、大人だからこそわかる魅力がある作品であることが挙げられると思う。幼い時にただ見ていた時と年齢が上がり、設定を知った上で見る今とでは見え方、捉え方が一変し、年齢によって感じ方も面白さも変わる、しかしどの年齢でも楽しめるというのが本作、ひいては原作漫画、アニメ版の特徴だと感じた。

2.『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(小説)
小説:坂口和久 原作:尼子騒兵衛
尊奈門との決闘に土井先生が負けた!? 雑渡昆奈門が忍術学園の教師に!?『劇場版 忍たま乱太郎・ドクタケ忍者最強の軍師』原作本。漫画では描けないオリジナルストーリー。

本作は上記劇場版の原作小説であるが、映画とは所々違う箇所がある。本作ではきり丸が土井先生の話を聞いたのはうどん屋であるが、映画では六年生の会話を聞いた事によるものであり、うどん屋が登場するのは映画のエンディングである。また、天鬼と戦うのは小説では六年い組の2人だけだが、映画では六年生全員であり、卒業生も映画オリジナルキャラクターで、卒業生がこなしていた仕事は六年生、五年生が行っている。他にも雑渡昆奈門の描かれ方として、映画では非常に立ち回りが上手く、天鬼の最終的な目論見も分かった上での行動だったが、小説では天鬼の本当の狙いを最後に土井先生から聞いて知ることになるというものである。また六年生と五年生がプロの忍者の手前として、着実に任務をこなす実力者であることが本作や映画ではわかるが、そのことから映画で六年生全員がかりでも手も足も出なかった土井先生という人物の強さが際立っていると考える。映画では描かれていないが、本作には稗田八方斎が土井先生と自身の部下を比べ、土井先生の実力に悔しがる場面がある。このように映画と原作小説では脚色された部分、変更された部分が多々見られるが、映画ではどの年代でも楽しめるように工夫されたものであり、小説では普段のギャグ漫画では描けない『落第忍者乱太郎』の世界の深みを存分に扱った、大人向けに作られた設定になっている。特に小説の六年生たちの行動は他に知られることはない、それが忍びだからだという一文が、『落第忍者乱太郎』ひいては『忍たま乱太郎』の根幹である、忍びについて表されたものであると感じた。

3.「ミュージカル忍たま乱太郎 第15弾初演『走れ四年生! 戦え六年生! ~閻魔岳を駆け抜けろ~』」(舞台)
脚本・作詞・演出:竹本 敏彰 原作:尼子騒兵衛
個性が強すぎて団結力のない四年生は、学園長先生の思いつきでリーダーを決めることになった。決戦場所は断崖絶壁の閻魔岳。怯える四年生だったが六年生監視のもと、戦いの火蓋は切られた。知力・体力・時の運を制した者だけに与えられるリーダーの称号。決死の覚悟で頂上を目指す四年生だったが、閻魔岳には不穏な気配が漂っていた・・・

ミュージカル忍たま乱太郎では、他の舞台でも言えるが、どの公演もセットが変わらず、動いたりもしなくても、プロジェクションマッピングや場面構成がひときわ優れているため、同じでも飽きない作品になっていると考える。特に13弾では、作中に劇をするという話であるが、舞台を一回客から見た表の状態で見せ、その後舞台裏という形で裏の様子を見せる構成であり、このように同じセットでも場面が違く見えるような演出がとられ、舞台の使い方が上手いと感じた。本作の15弾では、久しぶりの山田利吉の登場、そして利吉と小松田の絡み、久しぶりの奈落落ちなど原作、ミュージカルファン双方に嬉しい展開であった。原作でも顔が描かれていない山田先生の奥さんも登場したが、立花仙蔵に変装することで山田家3人の共闘を見ることができ、考えられたストーリーであると感じた。他にも四年生のキャストが綾部喜八郎以外今回から新しくなったのだが、歴代のキャスト同様キャラクターそのものであり、また楽曲の中で名前を掲げる振り付けから、新キャストの紹介を兼ねた今作にふさわしいものになっている。映画の影響で忍たま乱太郎にハマった人がミュージカル忍たま乱太郎にもハマり、そしてミュージカルに出ている俳優、出ていた俳優にハマていき、その俳優が出ている舞台を見に行く人が多くなっている、また多くなっていくと考える。

4.『舞台 忍たま乱太郎 三年生といっしょに!いつもいっしょに!の段』(舞台)
脚本・演出:其輪道哉 原作:尼子騒兵衛
ときは戦国時代。忍術学園に通う乱太郎、きり丸、しんべヱはいつも楽しい毎日を過ごしていた。先輩方が集まって反省会をしているのを見かけたり、ただのおつかいなのに予習をしたり、まともに食堂に行けない方向オンチの先輩を見守ったり、ドクタケ忍者にスカウトされちゃう先輩もいてもう大変。そんなてんやわんやな日々を過ごしていても、いつもあかるく、たのしく、ゆかいな学園生活を過ごしている「忍たま」たち。アニメの世界をそのままに。舞台ならではのエピソードを加えて、オムニバス形式でお送りするギャグ満載の舞台「忍たま乱太郎」。

本作はミュージカル版とは異なり、アニメの話をオムニバス形式で送る作品となっている。そのためアニメの物語そのままで描かれているが、アニメでは1話10分の尺の影響から舞台では各話少し伸ばさなければならないため、各話の中に少しだけオリジナル展開などが見られ、そのような工夫もうかがうことが出来る。また三年生のキャストも皆、アニメのキャラクターをそのまま現実に持ってきたかのようなクオリティで、よくこんなに似ている人材を見つけたな、現実に存在したのかと感嘆せざるを得ない。アニメを見ていない人でも楽しめる内容ではあるが、アニメの物語に沿って描かれていることから、元となったアニメを履修してから視聴するとより面白さが増すと考える。

5.『星剣のソードマスター』(漫画)
原作:Q10 作画:juno 脚色:Hong Dae Ui
騎士に憧れるスラム街出身の不良少年ブラッド。黒い雷に打たれる事故をきっかけに聞こえ始めた誰かの声。ある日突然現れた青い月光の騎士がブラッドの世界を壊してしまったせいで路地裏少年の人生が180度変わり始めるのだが…。広くて高い夜空に浮かんでいなくても、誰の目にも留まらないガラクタに埋もれていようとも、自らが輝きたいと強く願うのならばそれはまさしく「星」なのだ。

本作はタイトルコールが話の中で星空の中に描かれるなど、非常にかっこよく、お洒落であると考える。また22話の騎士の誓いのような感動する展開も多く、奴隷出身であるブラッドに対しても、才能を開花させようとする者には、敵対する騎士もどんな騎士もみんな手を差し伸べるという騎士の信念の描かれ方がかっこいい。そして主人公の中にいる存在が主人公の師匠としても導き手としての存在でもあるが、作中での主人公や他の人物たちの行動や状況の説明もしている良い語り手ポジションになっており、かつ語り手でもおかしくないポジションであるため、それが不自然じゃなく自然である。

6.『俺が育てたS級たち』(漫画)
原作:Geunseo 作画:biwan 脚色:seri
F級ハンター。それも優秀なS級の弟の足を引っ張る、役立たずでカッコ悪いF級の兄。めちゃくちゃな人生を過ごし、ついに弟の命まで奪って回帰した俺に与えられた称号、「完璧な養育者」。そうだ、今度こそでしゃばらず大人しく優秀な奴らのサポートをしていこう。と思っていたのに、S級たちがちょっと変だ。

主人公の称号である「完璧な養育者」は、人の特性やスペックなど伸ばすべき所を見る事ができ、最強の人物を育てることができるというある意味最強とも言えるのだが、S級に過剰に気に入られすぎてしまう、興味を抱かせる対象となってしまう部分があり、メリットだけでなくデメリットの側面もあることが特性だと考える。そのデメリット部分が描かれていることで主人公の称号の伸ばし方、S級たちとの付き合い方に物語の面白さが現れているように思う。また、主人公の弟であるユヒョンは、主人公が可愛い弟だと思っていても、作中では異常の部類であり、そしてそんな弟をただ取り返したいと願う主人公・ユジンもまた、幼少期から異常だったという、これは世界規模の兄弟愛の話であることが、物語を読むにつれて明らかになる仕組みであった。

7.『五福の娘たち』(ドラマ)
監督:ヤン・ホワン
洛陽に住む裕福な酈家の5人の娘たちは皆美しく魅力的だが、母親譲りの荒っぽい気性のせいで地元では一向に良縁に恵まれない。そこで娘たちの将来を案じた酈夫人は、興隆を極める汴京(河南省開封の古称)に移り住み、婿探しを決意する。母娘6人は汴京で商売を始め夫探しに奮闘するが、その道のりは波乱の連続。持ち前の賢さと機転を活かして困難を乗り越え、理想の伴侶を見つけていく娘たちと、それを取り巻く人々の、ハッピーで心温まる庶民派コメディ。美人な姉妹として有名なリー家が織り成す、恋と家族愛に詰まった中華ドラマ。

五人の娘、姉妹たちが皆美しく、その相手となる男性たちも皆美男であり、映像美が優れ、見ていて華やかな気持ちにさせる物語であると考える。また、本作は五人と、その義妹である一人の結婚について描かれているが、1話50分程が全35話あるため1人につき、5〜8話程の分量があり、少々間延び感が否めなかった。しかしどの娘たちの恋のお話も面白く、結婚を描いた物語であるが、家族愛について描いたドラマであったと考える。

8.『舞台 魔道祖師 邂逅編』(舞台)
脚本・演出:伊勢直弘 原作:墨香銅臭
世は 岐山温氏が暴虐の限りを尽くし、民が苦しみにあえぐ時代。姑蘇藍氏・ 雲夢江氏・ 蘭陵金氏・ 清河聶氏をはじめとする仙門の修行者らは力をあわせ、温氏の討伐に成功する。中でも夷陵老祖である魏無羨は貢献を果たしたが、強大な力を持つ鬼道に手を染めたがゆえに人々に恐れられ、やがて身の破滅を招いてしまう。そして十三年後。呪術によって蘇った魏無羨は怪事件に出くわし、宿命の相手、姑蘇藍氏の藍忘機と再会する。事件を追ううちに十三年前の真相に迫ることとなり―2人の激動の運命をめぐる物語が始まる。様々なメディアミックスを展開してきた今作がついに世界初のコンテンツとなる舞台化が決定。舞台『魔道祖師』の第一弾となる本作の副題には“ 邂逅編”と銘打ち、重厚な世界観と複雑な人間ドラマを描き出す。

本作は中国の小説を原作とした物語であるが、漫画、アニメ、実写ドラマという様々なメディアミックスが展開されてきた。その中でも中国で取り扱うアニメやドラマはブロマンスとなっており、少しだけ話が変わるところなどがあったが、今回日本で制作された本作はどのようなものになるのか、原作小説、アニメ、ドラマ、どの要素が取り上げられているのか、注目されていた。そして本作は最も原作小説に近いストーリー展開、内容となっており、そこにアニメやドラマの要素が少しずつ取り入れられているように感じた。しかし初めて舞台から物語を見る人にもわかりやすいように、冒頭に主人公の紹介のような部分があるなど、舞台ならではの、舞台オリジナルのシーンが工夫されていたと考える。また、キャストのキャラクターのビジュアル、そして声までもアニメの声優陣に似ているなど、皆クオリティが非常に高く、原作、アニメ、ドラマファンにとって満足度の高いものとなっている。

9.『蒙古が襲来』(舞台)
作・演出:三谷幸喜
時は鎌倉、対馬の漁村。昨日と変わらぬ穏やかな一日。異国の襲来が目の前に迫っている事を、彼らはまだ知らない。『30年の充電期間』を経て三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズが待望の復活!

蒙古が攻めてくるかもしれないと噂を聞いたある漁村での出来事を描いた物語で、三谷幸喜ながらの前半はコメディに溢れた作品だった。蒙古が攻めてくると聞いても信じない村の人々、戦って名を挙げようとする者など、異国から攻めてくるなど現実味がなく、穏やかで平和な日常が流れており、このまま何も起きず噂など嘘で終わるのかと誰もが思ったことだろう。しかしそんな雰囲気から一転、蒙古は本当に攻めてきて、最後で登場人物たちが一瞬で敵の矢に当たって死んでいく様は、呆気なく人の命などなんと簡単に奪われてしまうのだろうと思わせるような、先程まで普通に笑い喋っていた人物が一瞬にして動かなくなる、それが非常に現実を付きつけられるような怖い終わり方であった。そして作中で登場した吉田羊演じる未来が見える老婆が最後に立ち上がり、「いつかとは今なのです」と言い切る様に観客は皆鳥肌が立ったと思われる。いつか敵が攻めて来るかもしれない、いつか今住んでいる土地が戦いになるかもしれない、いつかこんなものが生まれるかもしれない、いつか偉くなりたいなどそんなことを考えている間に妄想してる間に、その時はすぐやってくる、考えている間にも来るかもしれない未来に備え、行動し、現在が一歩間違えばすぐに崩れ去る平和の上にいることを忘れるなと訴えかけられるような作品だった。そんなメッセージ性を最もインパクトが強い形で幕引くように、考え込まれた展開と構成にさすが三谷幸喜作・演出であると言わざるを得ないと考える。

10.『鎌倉殿の13人』(ドラマ)
脚本:三谷幸喜
平家隆盛の世、北条義時は伊豆の弱小豪族の次男坊に過ぎなかった。1180年、頼朝が挙兵するとこの無謀な大ばくちに乗った北条義時は頼朝第一の側近となり、平家を打ち破った鎌倉幕府のかじとりを担う。やがて三代将軍・実朝が没し源氏の正統が途絶えたとき北条氏は幕府の頂点に!都では後鳥羽上皇が義時討伐の兵を挙げる。武家政権の命運を賭け義時は最後の決戦に挑んだ─。

まず本作の印象的な特徴として、源義経の人物像が挙げられる。他作品では源義経を賢く悲運の人物として描かれることが多いと考えるが、本作の源義経は頭が周り戦が上手いが勝利のためには手段を選ばない非情な人物、戦が好きで時には姑息なこともする、また義理姉に甘える弟として描かれている。頭が良いが故に人の感情的な行動が分からない、人を信じすぎるところがあり、自分のことを戦場でしか役に立たない男だと言う人物として描き、そして兄に裏切られ死を迎える最後までもが他の作品ではあまり見られない源義経の描かれ方でないかと考える。また壇ノ浦の戦いにおいて、平家物語などで知られる若い武士の笛の音が描かれておらず、尺的に描かれていないのかは分からないが、源氏の物語だから描かれなかったのかと考えた。平家を滅ぼした源氏にとっても壇ノ浦の戦い最後の身投げは、源氏側にとって心に闇を落とすことであったことが印象に残っている。また作中では、対比が多く用いられている。そして物語終盤に、この物語を始めたのは主人公の姉、政子が源頼朝に恋をしたのが始まりだった、全ては姉が始めた物語だったということ、鎌倉殿の13人とは、13人の合議制のことではなく、北条家が執権の位置に着くまでに踏み台にした人数のことを言っているのだと最後に気付かされる構成が非常に素晴らしい作品であると考える。

11.『ドリフターズ』(漫画)
作者:平野耕太
時は1600年、関ヶ原・烏頭坂。西軍劣勢で退路を断たれた戦国武将・島津豊久は、満身創痍で山中を彷徨っていると、突如奇妙な空間に足を踏み入れる。事務机に座る謎の男、紫が書類にサインをすると豊久は否応なく扉の向こうの異世界へと送り込まれるのだった。かの地で目を覚ました豊久は驚愕する。そこには死んだはずの英傑・織田信長、そして古の武者、那須与一がいた!

本作は、日本、世界の歴史の教科書に載っているような偉人、有名人たちが異世界を引っ掻き回すような物語であり、歴史好きな者、歴史を勉強している者にも刺さり、多少なりとも役に立つ作品であると考える。また火薬の作り方なども学べて、織田信長が火薬の原料である硝石集めに力を入れていたこと、伊吹山の薬草園伝説など鉄砲と火薬づくりを重要視していた歴史背景と絡めて学ぶことが出来ると感じた。さらに本作の面白いところは最も有名であろう織田信長を主人公ではなく、島津豊久を主人公にしたところであり、それによって島津家を初めて知った人も島津家の異常さが身に染みて分かるような物語となっている。また本作では前述同様に、源義経が良い人物ではなく、限りなく悪の人物である描かれ方をする数少ない物語であると考える。また、戦国時代を生きた主人公の価値観がやはり戦争がない現代に生きる我々とは全く違うことが本作では伝わる。このことからも、時代、その時代で果たした役割、していたことが異なる偉人たちが同じ場所で生きている、各分野のスペシャリストが一堂に会していることで、例えば平安時代の安倍晴明と戦国時代に生きた武将たちの死生観、価値観のズレが顕著に現れており、この時代にはこのような出来事があったからこういった価値観を持っている、なかったからその価値観なのだと根本から理解でき、それが本作の魅力であると考える。

12.『だんドーン』(漫画)
作者:泰三子
龍馬が薩長同盟を仲介し、新撰組が御用改め、薩摩が英国に喧嘩を売った時代、幕末。その激動の歴史のド真ん中にひっそりと隠れて、しっかりと「仕事」をした男がいた。彼は「愛国者」か「裏切り者」か。『ハコヅメ』の作者が「日本警察の父」を描く、超本格幕末史コメディ!

主人公は日本警察の根幹を作った人物であり、その人物が警察をつくるまでを描いていく物語である。まず主人公がスパイ、隠密として暗躍する能力、人を脅迫し操る能力、尋問能力などが非常に優れており、教えてもらわなくても何故だか自然とできた、やり方を知っていたという描き方が暗い雰囲気を仄めかしつつ面白い部分であると感じた。また、コメディでありながらも、忍や、暗殺などの事柄において、時代柄、そして作者特有のものから、人の命はあっさりと儚いものとして描かれる作品全体に漂う怖さや不気味さ、リアリティさのようなものがあると考える。作者の前作『ハコヅメ』からもそのような雰囲気は漂っており、作家性の一部であると感じた。

13.『ヴィンランド・サガ』(アニメ)
原作:幸村誠 監督:藪田修平
千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!!

シーズン1のアシェラッドの剣に付着した血液を払う描写で、スヴェン王を殺害した時のスカッとした心情の時は血液が取れ、ビョルンが亡くなった時のように心のモヤが晴れない時は血液が付着したままで描かれている。またアシェラッドとビョルンの決闘で、ビョルンがアシェラッドに思いを語るシーンでは気持ちなのかセリフなのか分からないようになっており、口元が隠されていて、恐らく心情であるが台詞であるかのように息が出ている演出がされている。アシェラッドが亡くなる場面で、漫画ではナイフを落とした後ナイフが落ちている描写と見開きに回想シーンだが、アニメではトルフィンがナイフを落とすシーンでナイフに映る形で回想が描かれる。1期の終わりは2期へ続く形になるが、壮大な世界とその後に登場するキャラクターが描かれ、読者、視聴者にとっては非常に感動するものがある。そのような描写も相まって、またアニメでは1期と2期の間に時間が空いたことで全く違う物語の印象を受けるが、漫画ではすぐ次回に続くためアニメと漫画では受ける印象がかなり異なるのではないかと考える。アニメ2期のトルフィンの「俺に敵なんていない」という台詞は、これまでの壮絶なトルフィンの人生を経ての悟りであり、またその後の物語、そして最近迎えた最終回に続いていく1つの信念のようなものとなっていることが完結を迎えてより重みが増していると感じた。

14.『ぼっち・ざ・ろっく!』(アニメ)
原作:はまじあき 監督:斎藤圭一郎
極度の人見知りで陰キャな少女、後藤ひとり。バンド活動に憧れギターを始めるも友達が出来ず一人で練習する毎日。ある日“結束バンド”というバンドでドラムをやっている伊地知虹夏に声をかけられ1日だけサポートギターをすることに……

主人公はコミュ障で陰キャ、でもギターの腕は一流というような物語で、主人公が顔を隠してネットに投稿したものは有名で、ネットの世界では有名人という、知られてはいないけど実は最強の人物、伝説の人物だったという小説家になろう系のような設定が、よりオタクや中二病の人々を引き込ませる点である考える。また所々現れるアニメでの主人公のギターソロの上手さにギターを知らない人でも驚き、感嘆させる演出になっていると感じる。主人公のギターの上手さが垣間見えるシーンは非常にかっこよく、主人公の正体がいつバレるのかなどこれからの物語の期待が高まっている。

15.『ENGRAVE DREAMS』(舞台)
作・演出:伊藤マサミ
人気ファンタジー小説家、井上拓海。彼のヒット作である『双国のフロンティア』は、クライマックスを目前に休刊が続いていた。物語が書けなくなってしまった拓海を懸命に支える担当編集の佐伯真人。そして、絵師の大森夏美。なぜ拓海は筆を止めてしまったのか…?彼を取り巻く様々な人々と、あの日故郷の島で出会った海野恵子との小さな恋の始まりを懐古する拓海。そして薄明り差し込む1LDKのアパートから広がる広大な異世界。思い出すんだ、お前が作った物語を繊細な現実世界と壮大な小説世界で同時に展開する冒険譚が交互に描かれ、時に交わるヒューマンドラマ×異世界ファンタジー。

本作は主人公の書いた小説を、編集者が一から語る形で小説の物語の世界を見せていくという、現実世界と小説の世界がどちらも描かれる形となっている。また小説の作者である主人公が小説を書くまで、書いている最中の現実の過去の物語も描かれる。そして小説の登場人物と現実世界の主人公周りの人物で、同じキャストを起用していることと、登場人物の性格や境遇がその知り合いそのものであるなど、主人公が誰をモデルに登場人物を作ったのかというのが見て取れ、小説家である主人公を持つ本作ならではの発見だと感じた。

15.『怪しい彼女』(映画)
監督:ファン・ドンヒョク
キュートなルックスと並外れた歌唱力を持つハタチの女の子、オ・ドゥリ(シム・ウンギョン)。容姿とは裏腹に、彼女は歯に衣着せない毒舌で、わが道を猛烈に突き進む、最凶の20歳だったのだ。しかし、誰も彼女の秘密を知らなかった。実は70歳のおばあちゃんだということを・・・そんな"怪しい"彼女が突然現れてから、奇跡のような日々が始まった―。

70歳のおばあさんが不思議な写真館に行ったことで、20歳の頃の自分の姿になるという、笑いあり涙ありのコメディエンターテインメント映画である。内容は非常に面白く、また旦那を早くに亡くし、母ひとり子ひとりという母親と息子の関係性の描かれ方なども感動するものがあった。しかしたとえ若い頃に戻り、姿が現在とは別人とはいえ、幼い頃にその姿を見ていた筈ではないのか、なぜ息子は母親だと気づかないのだろうと不思議に思った。最後には、就職に悩んでいた孫が祖母譲りの歌唱力で歌手として成功したり、祖母と義理の娘との関係性も少し改善し、全て丸く収まったハッピーエンドになっており、鑑賞後には爽快な気分になる物語だった。そして本作は日本でも多部未華子主演でリメイクされており、そちらも見てみたいと興味を抱かせる程の、オリジナルの面白さがあったと感じる。

16.『英国王のスピーチ』(映画)
監督:トム・フーパー 脚本:デヴィッド・サイドラー
吃音にコンプレックスを持ち、人前に出ることを嫌うジョージ6世。だが、厳格な父親はそんなことを許さず、様々な式典のスピーチを余儀なくされる。ある日、スピーチ矯正の専門家ライオネルと出会い、奇妙な診療を受けるようになったジョージは、友情を深めていくが、父親の死去で、王位より愛を取った兄に代わり、王位に就くことに。

本作は吃音に悩まされた王とその治療に当たったライオネルの実話に基づいた話である。一国の王に求められるものが兵を率いる武力ではなく、言葉、演説の力に移り変った時代、一国の王が抱える吃音という悩みはどれほど辛く苦しいものであったのだろうかと考えさせられる物語だった。なぜジョージ6世は吃音になったのか、その知られざる過去を紐解いていき、ライオネルの前で発露することこそ、自分自身を認め、誰かに肯定してもらうことに繋がり、それがジョージ6世にとっての吃音の一番の治療だったのだと感じた。個人的に本作を視聴した際、最後の演説でジョージ6世の吃音は治ったのだと思っていたが、授業で扱った教科書には吃音は治っていないとあり驚いた。しかし吃音が治っていなくてもジョージ6世にとってそれは以前よりも辛いものでなくなり、吃音ごとライオネルや妻が彼の一部として肯定し、何より彼自身が自分のことをそれでいいと肯定するに至った、たとえまた辛くなっても彼はライオネルたちがいれば大丈夫だと考えることもできる終わり方なのかと納得した。また脚本を担当したデヴィッド・サイドラー自身が吃音であり、抱える苦悩や問題、思いなど非常にリアリティのあるものになっているのではと考える。

17.『はたらく細胞』(映画)
監督:武内英樹 原作:清水茜
人間の体内の細胞、その数なんと37兆個。酸素を運ぶ赤血球、細菌と戦う白血球、そのほか無数の細胞たちが、あなたの健康と命を守るために日夜全力ではたらいているのだ。高校生・漆崎日胡は、父親の茂と二人暮らし。漆崎親子の未来をかけた、細胞たちの「体内史上最大の戦い」が幕を開ける!?

本作のストーリーは原作コミックである『はたらく細胞』とそのスピンオフ作品『はたらく細胞BLACK』に沿った物語であり、娘の体を『はたらく細胞』、父親の身体を『はたらく細胞BLACK』の内容に見立てている。また本作に関してはキャスティングが素晴らしく、キャストが発表されていくにつれ、どの役にどの俳優が起用されるのか非常に楽しみなものがあった。

18.『人の余命で青春するな』(漫画)
作者:福山リョウコ
芸能クラスに入学した、全てを諦めている無名女優・之依。そこにいるのは、普通の学園生活を知らない青春素人たちだった。とあるオーディションを機に、無名俳優のクラスメイト・音士と共に「死ぬ気で青春する」と決意する之依だったが、彼女には秘密があって…?全力疾走駆け抜ける、芸能×青春グラフィティ!

このような芸能界ものの物語は、大抵主人公が実は演技の才能が凄いなど、天才的に描かれることが多いと考える。しかし本作の主人公は才能の片鱗は見えるものの、オーディションには落ち続け、現在の既刊3巻の中でも特に大役を勝ち取り、クラスメイトや世がこの人凄いと感嘆するような活躍は見られない。その点が本作の特徴的な点であり、主人公が病気で残り少しの命のという問題を抱えながらも、青春を夢をもがき苦しみ、我武者羅に生きていくという部分が際立っているのではないかと感じた。また主人公の恋愛や徐々に活躍していく女優としての展開もこれから楽しみな部分であるが、最終的に主人公は余命僅かであることから、その点をどう展開していくのか、どうなっていくのかが気になるところである。

19.『武功の天才が生き残る術』(漫画)
原作:Blue seesaw 作画:YOON.C 脚色:JP
「二十歳を越えられず夭折する運命」を持って生まれた鄭煙燼(ていえんじん)。 家門の人々に冷遇される煙燼だが、自ら武功を作りあげるほど飛び抜けた才能を持っていた。 そんなある日、煙燼は自分の寿命が残りわずかであることを知り… 余命わずかな天才、鄭煙燼の生き残りをかけた奮闘記!

主人公は武術に関して天才的であり、着々と直ぐに強くなっていく様は見ていて気持ちがよく、爽快な気分が味わえる。また主人公が家族に疎まれていたところから始まり、疎んでいた家族を見返していくのかと思いきや、物語序盤で一夜にして一族が滅ぶなど、物語の展開が非常に早い。その為少々主人公が過去の辛さなど報われないような気もしてしまうが、展開が早い事で間延びしている作品より読みやすく、その点が本作の面白い所であると考える。

20.『悪党教授の生存攻略』(漫画)
作者:MOMONG、SEO.C、Ji-gab-song
会社で制作していたAAA級ゲームの中ボス。1000回中999回は死ぬ悪役、デキュレーン。そして今、それが「俺」だ。 気が付くと俺は、自分が担当していたゲーム内の悪役キャラになっていた。【最優先 生存目標:ゲームで必要な存在となってください】キャラクターの行動によって何通りにも分岐する展開、登場する多くのキャラに恨まれ、いつ死亡フラグが立つか分からない状況。このキャラクターは必然的に死ぬ運命なのだ。死ぬ運命なら、それをねじ曲げてでも生き延びてやる。教授デキュレーンとしての生き残りをかけた物語が始まる。

本作の特徴として、デキュレーンは欠点が多くあり無敵ではないこと、また主人公は開発者でありデキュレーンの死の原因を知ってはいるものの、必ず死ぬキャラクターとして決まっているために些細な選択で死ぬ可能性がずっと付きまとっていることが挙げられる。その為、そんな生きにくい世界で主人公が何時も油断ならない生活を送りながら知っている情報の限りを尽くし、死を回避していく様が、他の最強系とは違い、スリルに溢れた物語となっていると考える。そしてデキュレーンは主人公をモデルに描かれていることから性格など主人公は認めないが共通するものが多く、主人公が憑依したからデキュレーンの強さや生存の可能性が広がっていく展開で、主人公とデキュレーンは一心同体とも言える存在であり、双方が救われるような物語ではないかと考える。また教師としての立場、強くなり周りから評価が変わっていく過程が『アカデミーに偽装就職させられた』や『伯爵家の暴れん坊になった』のような作品と似ており、これらの作品が好きな人には刺さる作品ではないかと考える。
2025/08/06(水) 23:23 No.2107 EDIT DEL
3年河原拓未 MAIL RES
3年 河原拓未 春休み課題

31 『GQuuuuuuuX』(2025)
【あらすじ】
宇宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技《クランバトル》に巻き込まれる。エントリーネーム《マチュ》を名乗るアマテは、 GQuuuuuuX ジークアクス を駆り、苛烈なバトルの日々に身を投じていく。
【考察】
『水星の魔女』に続くダブル女性主人公であるが、女性であることはストーリー上重要ではなかったように思われる。商業的な側面から採用されたのではないか。X(Twitter)上での盛り上がりも印象的であった。「機動戦士ガンダム」放送時のファンと新規層が同じ話題でここまで盛り上がっているのは他のシリーズ作品にはあまり見られないため、リブート作品はこの作品を手本として制作されることになるであろう。
32「hello world」
【あらすじ】
京都に暮らす内気な男子高校生・直実の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミが突然現れる。ナオミによれば、同級生の瑠璃は直実と結ばれるが、その後事故によって命を落としてしまうと言う。「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。しかしその中で直実は、瑠璃に迫る運命、ナオミの真の目的、そしてこの現実世界に隠された大いなる秘密を知ることになる。
【考察】
公式HPに「『君の名は。』以降、新境地に到達した日本のアニメーションは新たなセカイの扉を開くことになる」とあるとおり、直実と瑠璃の文通のシーンは、新海誠監督の演出を思わせるMVのような構成になっている。また、監督名を大々的に打ち出していたり、メインキャラクターの声を声優ではなく俳優にしていたりする所に、長編アニメとしてブランド化する狙いが感じられた。
33暴太郎戦隊ドンブラザーズ
【あらすじ】
桃太郎が、サル・イヌ・キジをお供に鬼退治したように、
ドンモモタロウ(レッド)が、サルブラザー(ブルー)、イヌブラザー(ブラック)、キジブラザー(ピンク)、さらにオニシスター(イエロー)とともに悪に立ち向かう。
【考察】
スーパー戦隊シリーズ第46作目である本作の特筆すべき点は、史上初めて男性のピンク戦士が登場することである。これは、色によるジェンダー観に縛られるべきではないという時代性を反映したものであり、子供向け番組としての意識が表れている。しかし、モモタロウというモチーフの特性上か、最終的な強化形態はドンモモタロウのみとなっている。
34王様戦隊キングオージャー
【あらすじ】
宇宙の片隅の惑星・チキュー。5つの王国が治めるこの星に、巨大な危機が迫っている!これは、平和を守る王たちの物語・・・そして、王になる男の物語である!
【考察】
スーパー戦隊シリーズ第47作目である本作は、レッドがリーダーという常識を覆した。主要キャラ5人それぞれが国を持つ王であり、レッドは未熟な王として描かれる。本作はCGの背景を大型LEDスクリーンで映し、リアルタイムに合成するシステムが使われ、その柔軟性からか変身バンク(特定のシーンを繰り返し用いること)が無いなど、技法的にも挑戦的な作品である。コスト面からか、スーツを変更する強化は依然レッドのみ。
35爆上戦隊ブンブンジャー
【あらすじ】
クルマ型宇宙人の「ブンブン」ことブンドリオ・ブンデラスとともに戦うブンブンジャーと様々な惑星を滅ぼす「ハシリヤン」との戦いを描く。キャッチコピーは「自分の人生のハンドルは自分で握る!」各々が目標や役割を持ち、前に進もうとする自主性を重視したストーリー展開。
【考察】
シリーズ48作目である本作は、前2作とは異なり王道の戦隊構成。王道のストーリー展開でありつつも、ラスボスを打倒するのではなく、警察に引き渡そうとするという時代的要素が見られる。また、メンバー共通のジャケットを羽織る強化形態とすることで、省コストで全員の強化を達成している。
36ガッチャード
【あらすじ】
錬金術…。卑金属から貴金属を錬成する、その秘術によって、この世の万物を模した人口生命体〈ケミー〉を生み出していた。ケミーは〈ライドケミーカード〉に封印、慎重に保管されていたが、何者かによって解放されてしまう。主人公は、ケミーが人間の悪意と結合した怪人マルガムを倒し、ケミーを回収することを託される。
【考察】
仮面ライダーフォーゼ以来となる学園物語101体のケミーは大半が3DCGで描かれ、アニメーションとの関係も感じられる。
37ゼロワン
【あらすじ】
飛電インテリジェンスが開発したAIロボ、ヒューマギア。様々な仕事の現場で働く彼らがやがて暴走する。主人公は人々の夢と希望を守るため、ヒューマギアの可能性を証明するために、仮面ライダーとして戦う。
【考察】
令和1作目、アンドロイドと人間の共生を描く。その中で登場する漫画を描くアンドロイドが印象に残っている。自身を学習させたAIを使い、自分は漫画を描かなくなった漫画の問題を2019年に描いている。これは現在の画像生成AIの問題を予見させる描写として優れていると感じた。
38 xenoblade2(ゲーム)
【あらすじ】
主人公レックスは「ブレイド」の少女であるホムラと出会い、仲間たちと広大な世界を冒険しながら、伝説の「楽園」をめざす。
【考察】
レックスの精神的な成長によって「楽園」を目指す目的が変化するのが面白い。ストーリー進行や主人公との関係と連動してマップ移動が制限されていて、ゲームならではの演出として面白いと感じた。
39鉄血のオルフェンズ(アニメ)
【あらすじ】
かつて「厄祭戦」と呼ばれる大きな戦争があった。その戦争が終結してから、約300年。
地球圏はそれまでの統治機構を失い、新しい支配体系をもって新たな世界が構築されていた。仮初めの平和が訪れる一方で、地球から離れた火星圏では、新たな戦いの火種が生まれつつあった。
主人公の少年、三日月・オーガスが所属する民間警備会社クリュセ・ガード・セキュリティ(以下:CGS)は、地球の一勢力の統治下にある火星都市クリュセを独立させようとする少女、クーデリア・藍那・バーンスタインの護衛任務を受ける。しかし、反乱の芽を摘み取ろうとする武力組織ギャラルホルンの襲撃を受けたCGSは、三日月ら子供たちを囮にして撤退を始めてしまう。少年達のリーダー、オルガ・イツカはこれを機に自分たちを虐げてきた大人たちに反旗を翻してクーデターを決意。オルガにギャラルホルンの撃退を託された三日月は、CGSの動力炉として使用されていた「厄祭戦」時代のモビルスーツ、ガンダム・バルバトスを用いて戦いに挑む。
【考察】
権力に抗い続けるオルガ達の姿勢に感動した。正義の側ではなく、虐げられ、社会から疎外されている人々が抗うストーリーに価値があると思う。
40ルリドラゴン(漫画)
【あらすじ】
青木ルリという高校生が、ある日突然頭に角が生え、自分が人間とドラゴンのハーフであることを知ることから始まる。学校生活での戸惑いや、新たなドラゴンとしての体質の覚醒、そして周囲との関係の変化を描いた、ゆるくて優しい日常系ファンタジー。
【考察】
人間社会では現状唯一のドラゴンのハーフというマイノリティであるルリが、クラスメイトや学校の生徒に受け入れられていく過程を描くのが上手い。角があることや、能力によって学校になじめず、先生からも学校に来ない選択もあると諭されるルリが、自分の意志で残ることを決断することは、前期教科書内容にも通ずるものがある。
41 Summer Pockets(ゲーム)
【あらすじ】
亡くなった祖母の遺品整理のために、夏休みを利用して「鳥白島」を訪れた主人公、鷹原羽依里が、島で出会う少女たちとの交流を通して、かけがえのない夏休みを過ごす物語
【考察】
ヒロイン4人のエンディングはどれも少し寂しい終わり方であり、夏の終わりの寂しさを感じさせられる。また、一度エンディングを迎えたキャラクターはメインメニューから姿を消すことで、ストーリーの結末をより印象深いものにしている。
42水星の魔女(アニメ)
【あらすじ】
数多の企業が宇宙に進出し、巨大な経済圏を構築する時代を舞台に、水星から来た少女スレッタ・マーキュリーが、モビルスーツ産業最大手「ベネリットグループ」が運営する「アスティカシア高等専門学園」に編入するところから物語が始まる。
【考察】
『機動戦士ガンダム』の宇宙世紀とは別の時空のためか、争いの解決法が決闘であったり舞台が学園であったり、戦争の描写は少ない印象。主人公が女性二人であることからSNSでは二次創作が多く、敷居の高い印象のあるガンダムシリーズのファンを増やした作品である。
43血界戦線(アニメ)
【あらすじ】
ある日突然、謎の霧に包まれたニューヨーク。異世界との境界が現出した大都市は、その有り様を大きく変える事となる。3年後――異界と現世の交わる地、ヘルサレムズ・ロットと呼ばれるようになったその街は、霧に覆われ青空も見えない、秩序と無秩序が入り乱れた場所になっていた。
異界(ビヨンド)と人界とが交差し、様々な勢力、種族がせめぎあうこの街で、世界の均衡を維持するために暗躍する「秘密結社ライブラ」。これは、人智を超えた数多の存在と渡り合うライブラの構成員たちの戦いを描いた物語である。
【考察】
目以外は基本無能の主人公という斬新な設定と、迫力のある扉絵にひかれた。

44 リコリス・リコイル(アニメ)
【あらすじ】平穏な日々――その裏には秘密がある。犯罪を未然に防ぐ秘密組織――「DA(Direct Attack)」。そのエージェントである少女たち――「リコリス」。当たり前の日常も、彼女たちのおかげ。歴代最強のリコリスと称されるエリート・錦木千束、優秀だけどワケありリコリス・井ノ上たきなが働く喫茶「リコリコ」もその支部のひとつ。ここが受けるオーダーは、コーヒーやスイーツの注文から、こどものお世話、買い物代行、外国人向けの日本語講師etc.「リコリス」らしからぬものばかり。自由気ままな楽天家、平和主義の千束とクールで効率主義のたきな、二人の凸凹コンビのハチャメチャな毎日がはじまる!
【考察】
よくある女子高生が戦うジャンルのアニメでありながら、映像、音のレベルが高く、2022年夏アニメの中で一番といっていいほどの話題であった。
45ソードアートオンライン(アニメ)
【あらすじ】
VRMMORPG「ソードアート・オンライン(SAO)」を舞台に、主人公キリトがゲーム内でプレイヤーと共に閉じ込められ、ゲームクリアを目指す物語。ゲーム内で死亡すると現実世界でも死亡するというデスゲームの中で、キリトは仲間と共に様々な困難に立ち向かう。
【考察】
ゲームとしてではなく、人々がリアルに生きる世界を作るために起こした事件であるが、この思想はアンダーワールドに共通している。情報量が現実と同じになったゲームの世界は現実と相違ないとすれば、茅場にとってはゲーム世界が生きる世界であり現実であったのだろうと感じた。
46ソードアートオンライン、オーディナルスケール(アニメ)
【あらすじ】
AR (拡張現実)の機能を最大限に広げたマシン「オーグマー」が発明される。友人にその機器のゲームを薦められたキリト。最初は乗り気ではなかったが、やがて大切な人を守るためにゲームの攻略を決意する。
【考察】
AR機器がスマホのように普及している設定はSFとしてかなりレベルが高いと感じた。戦闘空間での機動や視界の表現で、うまく誤魔化せていると思った。
47 ソードアートオンライン、アリシゼーション(アニメ)
【あらすじ】
キリトが 《アンダーワールド》という仮想世界で目を覚ますところから始まる物語。そこで出会った少年ユージオと共に、ログアウトの方法を探しつつ、アリスという少女の記憶を巡る冒険を繰り広げる。
【考察】
バーチャル空間で作られた世界にAIが人間として生まれ、死んでいく。時間をかけて作られた感情や記憶を有する彼らを人間と呼ぶのか、AI開発が加速する現代に生きる私たちがいずれ考えることになるかもしれない問題だと気づかされた。
48ゴジラ-1.0
【あらすじ】
戦争により、先進国から「無」の状況に陥ってしまった日本。だがそこへゴジラが現れ、日本を「無」から「マイナス」の状況へとさらに落とし込んでいく。
【考察】
ストーリーはともかく、日本の映像作品として価値のあるものだと感じた。ハリウッドが莫大な予算をかけるVFXを、少ない予算でこれだけの映像を創り出せたのは、特撮など日本独自の映像技術によるものだろう。
49インターステラー
【あらすじ】
近未来の地球。植物の激減と食糧難で滅亡の危機に瀕した人類は、居住可能な惑星を求めて宇宙の彼方に調査隊を送り込む。クルーの1人として選ばれた男性は、もう会えないと泣きじゃくる娘に必ず戻ると約束して、過酷なミッションに挑む。
【考察】
圧巻の映像。映画で初めてブラックホールの姿を正確に描写したことや宇宙での時間の進み方などレベルの高い科学考証がされていることがノーラン監督のこだわりを感じる。
50インセプション
【あらすじ】
他人の夢からアイデアを盗み出す企業スパイ・コブは、その才能から国際指名手配を受け、さらに妻の殺害容疑もかけられていた。そんなある日、サイトーと名乗る男が、彼に風変わりな依頼を持ちかける。それは、コブが得意とするアイデアの盗み出しではなく、ターゲットの潜在意識にアイデアを植えつける「インセプション」というものだった。コブは任務の危険性を理解しながらも、それが最後の仕事と引き受け、屈指のスペシャリストたちと共に夢への潜入を図る。
【考察】
多層的な夢の世界によって現実が曖昧になっていき、最後には現実を見失ってしまうというテーマが斬新だった。現実とは何かを考えさせられる作品である。ラストのセリフの無い描写で現実の無慈悲さを感じさせられた。
2025/08/06(水) 00:10 No.2106 EDIT DEL
金澤颯汰 RES
3年 金澤颯汰 春休み課題1-20

1.マンガ『よつばと。』1-16巻
<あらすじ>
夏休みの前日、とある町に強烈に元気な女の子よつばと、とーちゃんの親子が引っ越してきた。遠い海の向こうの島から来たらしい不思議な女の子を、はじめて体験する出来事が毎日たくさん待っている。その日から始まる、よつばに振り回される周りの人達との日常を描いたハートフルコメディ。
<感想>
この作品では特別な事件が起こらず、ただの日常が描かれているだけなのにすごく面白い。最大の魅力は、よつばの無垢な視点を通して、当たり前の世界が新鮮に描かれる点にある。買い物や遊びといった普通の出来事が、冒険のように輝いて見える。絵の間や構図のうまさ、そもそもの絵の書き込みなどが、総じてこの作品の温かさを生み出している。そこから感じられる毎日の小さな日常の再発見こそがこの作品の魅力であると感じる。単行本の帯に書かれる文言も毎回素晴らしく、1巻の「いつでも今日が、いちばん楽しい日。」は、この作品を簡潔に表している。


2.アニメ『甘城ブリリアントパーク』1-13話
<あらすじ>
京都アニメーション制作。なぞの美少女転校生から強引に遊園地デートの誘いを受けた西也。そこは閉園危機にある遊園地で、西也は突然、パークの再建を託されてしまう。
<感想>
読んだことは無いが原作はライトノベルで、ストーリーが原作とアニメでかなり違うらしい。アニメは13話で完結しており、かなりテンポがいい。経営の危機を明確な数字や期限つきで描く一方、コミカルなシーンも多い。とくに西也の高校生らしからぬ有能さはかなりストレスフリーで見ることが出来る。ファンタジー要素もうまく使われ、個性的なキャラたちとのやりとりでの笑いと、最終的ストーリーの終わらせ方はかなりバランスが良かった。


3.アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活(2期)』26-50話
<あらすじ>
<無力な少年が手にしたのは、死して時間を巻き戻す"死に戻り"の力>コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年・菜月昴。頼れるものなど何一つない異世界で、無力な少年が手にした唯一の力....それは死して時間を巻き戻す <死に戻り>の力だった。幾多の死を繰り返しながら、辛い決別を乗り越え、ようやく訪れた最愛の少女との再会も束の間、少年を襲う無慈悲な現実と想像を絶する危機。大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は再び絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。
<感想>
2期は一度見ていたが、内容を思い出すために再視聴。2期では、スバルとエミリア、ベアトリスなどの主要キャラの過去がメインに描かれ、キャラクターに対しての解像度がかなり深まった。それぞれのキャラクターの過去が別のキャラクターとも繋がっており、かなりよく出来ていたと感じる。テンポが遅いといった意見もあるようだが、個人的には丁寧に描かれておりキャラクターに共感しやすかった。


4.アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活(3期)』51-66話
<あらすじ>
襲い来るエルザたちの猛攻を退け、大兎との戦いでべアトリスとの契約を果たした「聖域」の解放から1年が過ぎた。王選に臨むエミリア陣営は一致団結、充実した日々を送っていたナツキ・スバルだったが、平穏は使者によって届けられた一枚の書状によって終わりを告げる。それは王選候補者の一人、アナスタシアがエミリアへ宛てたルグニカの五大都市に数えられる水門都市プリステラへの招待状だった。招待を受け、プリステラへ向かうスバルたち一行を待っていたのは様々な事会。一つは意外な、一つは意図せぬ、そして一つは来るべき。水面下で蠢く悪意の胎動と降りかかる未曾有の危機。少年は再び過酷な運命に立ち向かう。
<感想>
3期では、2期とは対照的にかなりテンポがよく、スバルの死に戻りの能力も序盤以外は使われてなかった。主に魔女教との戦闘がメインで描かれていたが、その上で取り返しのつかないことが起きた際のスバルによる故意の死に戻りがなく、死に戻りという能力を持ちながらも、死への恐怖がまだあるのだと感じられてキャラクターの実在感が強まった。4期制作が決定してるようなので、3期で増えた情報をどうまとめるのか気になる。


5.アニメ『STEINS;GATE』1-25話
<あらすじ>
舞台は2010年夏の秋葉原。厨二病から抜け出せない大学生である岡部倫太郎は、「未来ガジェット研究所」を立ち上げ、用途不明の発明品を日々生み出していた。だが、ある日、周然にも過去へとメールが送れる「タイムマシン」を作り出す。世紀の発明と興奮を抑えきれずに、興味本位で過去への干渉を繰り返す。その結果、世界を巻き込む大きな悲劇が、岡部たちに訪れることになるのだが・・・悲劇を回避するために、岡部の孤独な戦いが始まる。果たして彼は、運命を乗り越えることができるのか!?
<感想>
序盤は日常的な会話劇が多く、ややスローペースに感じるが、中盤以降一気に物語が加速する。とくに岡部の感情の揺れや、選択の重さが描かれる後半は見ていてかなり見応えがある。設定も緻密に練られており、タイムリープという題材をここまで心理的に深掘りした点が印象的だった。シリアスな展開が続くなかでも、ラボメンたちとのやり取りが程よい緩さとなっていて、最後まで集中して観られた。


6.アニメ『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』1-38話
<あらすじ>
西暦2011年、アメリカ・フロリダ州恋人とのドライブ中、交通事故に遭遇した空条は、罠に嵌められて15年の刑期を宣告される収容されたのは、州立グリーン・ドルフィン・ストリート重警備刑務所一一別名「水族館」絶望の淵に立つ徐倫だったが、父から託されたペンダントを手にした時、彼女の中で不思議な力が目覚める。徐倫の前に現れた謎の少年からのメッセージ、次々と起こる不可解な出来事、面会に訪れた父・空条承太郎から語られた恐るべき真実、そしてDIOという名前...果たして空条は、この刑務所という「石作りの海」から自由になることができるのか? そして、100年以上に及ぶジョースター家とDIOの因縁に終止符を打つ、最後の戦いが始まる!!
<感想>
もともと原作も読んでいたが、アニメ化されるに当たって『ストーンオーシャン』は映像ならではのテンポ感と演出が際立っていた。原作の独特なコマ割りや構図が、アニメでどう表現されるのか気になっていたが、かなり忠実かつ大胆に映像化されていて、違和感なく没入できた。『ストーンオーシャン』では、敵の設定やスタンド能力がかなり複雑なため、流れで理解できるか不安だったが、全体を通して丁寧に描かれていた。終盤の怒涛の展開や世界観の転換も、原作を知っていても圧倒される迫力だった。


7.アニメ『異世界おじさん』1-13話
<あらすじ>
2017年秋ーー。17歳のときにトラックにはねられ、それから17年の間ずっと昏睡状態だった叔父が目覚めた。病室を訪れた甥のたかふみが目にしたのは、意味不明な言葉をつぶやき、異世界「グランバハマル」から帰ってきたと話す叔父の姿だった。…叔父さんは、頭がおかしくなっていた。絶句するたかふみだったが、おじさんは異世界にいた証拠を見せると言って魔法を使う。おじさんの力を金にかえて食っていこうと心に決めたたかふみは、身寄りのない彼を引き取りルームシェアを始めることに。おじさんとの生活の中で聞かされる、異世界での冒険譚と溢れんばかりのSEGA愛。孤独で過酷なおじさんの半生に、時には歓喜し時には胸をいためるたかふみ。動画配業に勤しむ世代の離れた男二人、団地の片隅にて繰り広げられる、新感覚異世界コメディ!
<感想>
一般的な「転生もの」と違い、異世界から帰ってきた後の“おじさん”を描くことで、同じジャンルの中でも差別化がされている。「転生との」としては珍しいギャグメインの作品で、おじさんの異世界での苦労話は悲惨でありながらどこかズレており、そのギャップが絶妙に面白い。また、90年代ゲームやセガネタも多く、当時を知る世代であればもっと楽しめると感じる。単なるパロディにとどまらず、孤独やすれ違いの切なさもバランスがいい。



8.アニメ『無職転生〜異世界行ったら本気だす』1-24話
<あらすじ>
「俺は、この異世界で本気だす!」34歳・童貞・無職の引きこもりニート男。両親の葬儀の日に家を追い出された瞬間、トラックに轢かれ命を落としてしまう。目覚めると、なんと剣と魔法の異世界で赤ん坊に生まれ変わっていた!ゴミクズのように生きてきた男は、少年・ルーデウスとして異世界で本気をだして生きていく事を誓う。フィットア領転移事件で魔大陸に転移後、冒険者パーティ「デッドエンド」を結成し、魔大陸最南端の港町・ウェンポートに到着したルーデウスたち。ルーデウスは「魔界大帝キシリカ」と出会い新たな力を手に入れる。魔力災害に巻き込まれた家族や仲間の行方は。「人生やり直し」ファンタジー、再始動!
<感想>
“なろう系”の代表格として知られているように、かなりの完成度を誇るアニメ作品。作画のクオリティが異常なほど高く、特に魔法のエフェクトや自然描写、キャラの繊細な表情の動きは圧倒的。アニメーションとしての“映像体験”が強く、毎話映画のような密度で見応えがある。BGMや音響も丁寧で、静かなシーンでも感情が乗ってくる演出もうまい。転生者としての葛藤や過去への後悔も重層的に描かれ、ただのなろう系では終わらない人間ドラマがある。キャラの成長や人間関係の変化を通じて“生き直し”の物語としても見ることが出来る作品。アニメ化にあたって、原作以上に丁寧に物語を膨らませている点も覇権アニメにさせた一因だと思う。


9.アニメ『無職転生Ⅱ〜異世界行ったら本気だす』1-25話
<あらすじ>
働きもせず他人と関わりもせず、ただ部屋に引きこもってゲームやネットに明け暮れるだけの34歳のニート男が、ある日交通事故に遭い死亡…したと思った次の瞬間、剣と魔法の異世界に生まれたばかりの赤ん坊として転生!少年ルーデウスとして生まれ変わった男が、前世の記憶と後悔を糧に、出会いや試練に直面しながら「今度こそ本気で生きていく」姿と壮大な冒険が描かれる大河ファンタジー。


10.アニメ『メダリスト』1-13話
<あらすじ>
スケーターとして挫折した青年・明浦路司が出会ったのは、フィギュアスケートの世界に憧れを抱く少女・結束いのり。リンクへの執念を秘めたいのりに突き動かされ、司は自らコーチを引き受ける。才能を開花させていくいのりと、指導者として成長していく司。タッグを組んだ二人は栄光の“メダリスト”を目指すーー!
<感想>
『メダリスト』は、フィギュアスケート界を舞台にしたスポーツドラマでありながら、競技の厳しさや技術だけでなく、選手の心の葛藤や成長が丁寧に描かれている。主人公が挫折や壁にぶつかりながらも、自分の理想と向き合い、一歩一歩前進していく姿に泣いちゃう。特にコーチや家族、ライバルとの関係性が素晴らしく、スポーツを通した人間ドラマとして見ることが出来る。また、スケートシーンの描写は迫力と美しさがあり、視覚的にも楽しめる。勝利だけでなく、挑戦や努力の過程を大切にした物語は、多くの人が感動出来ると感じる。



11.アニメ『葬送のフリーレン』1-28話
<あらすじ>
勇者ヒンメルたちと共に、10年に及ぶ冒険の末に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした魔法使いフリーレン。千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るための旅に出る。その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた一。
<感想>
28話とかなりボリュームがあるが、ずっと飽きずに見ることが出来る。ストーリーの完成度が高いのもあるが、アニメは作画が凄く良い。魔王を倒した後の世界でフリーレン達の生活がメインに描かれているが、原作の繊細な心理描写とアニメでの作画が相まって当時覇権アニメとなったのも納得。


12.アニメ『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』1-13話
<あらすじ>
思春期症候群一一不安定な精神状態によって引き起こされるとネットで噂の不思議現象。梓川咲太、高校2年生。江ノ島からもほど近いとある高校に通う彼は、この年、様々な“思春期症候群”を引き起こした少女達と出会う。たとえばそれは、図書館で出会った野生のバニーガール。彼女の正体は、高校の上級生にして活動休止中の女優、桜島麻衣先輩。魅惑的な彼女の姿は、何故か周囲の人間の目には映っていなかった。彼女はなぜ見えなくなってしまうのかー。謎の解決に乗り出した咲太は、麻衣と過ごす時間の中で、彼女の秘める想いを知り.....。空と海が輝く町で心揺れる少女達との不思議な物語が始まる。
<感想>
SF的な“思春期症候群”を軸にしつつ、心に寄り添う青春ラブコメ。咲太のあっさりした口調の中にある優しさと、麻衣との絶妙な掛け合いが本当に心地いい。タイトルからかなりオタク臭がして見る前に避けられがちだが内容はすごく面白く、いい意味でタイトルからは想像できない。アニメでは基本的に3話ごとで区切りがつき、見るカロリーが少ないと感じる。


13.アニメ映画『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』
<あらすじ>
空と海が輝く街"藤沢"に暮らす梓川咲太は高校二年生。先輩で恋人の桜島麻衣と過ごす心躍る日常は、初恋の相手、牧之原翔子の出現により一変する。何故か翔子は「中学生」と「大人」がふたり存在しているのだ。やむなく翔子と一緒に住むことになった咲太は「大人翔子」に翻弄され、麻衣との関係がぎくしゃくしてしまう。そんな中、「中学生翔子」が重い病気を患っていることが判明し、咲太の傷跡が疼き始める。
<感想>
『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』は、アニメの延長線上にある劇場版でありながら、シリーズ全体の核心に迫る内容になっている。特に“もう一人の牧之原翔子”の存在が、これまでのストーリーの伏線を一気に回収し、時間や命に対するテーマをしっかり描いている。咲太の選択に一喜一憂できる場面が多く、ただのラブコメとは一線を画す。「バニーガール先輩」のタイトルからは想像できないほど、泣けるし考えさせられる内容で、鑑賞後はしばらく余韻が残る。アニメでキャラに愛着を持った人ならより楽しめると思う。


14.アニメ『政宗くんのリベンジ』1-13話
<あらすじ>
復讐するために、俺はこの町に帰ってきた!8年前、美少女・安達垣愛姫にこっぴどくフラれたデブで冴えなかった少年・真壁政宗は、激ヤセし名字を変え、イケメンに変身して帰って来た。そう、すべては残虐姫の異名を持つドSな彼女を惚れさせ、最高の形で振るという、復讐のために…。
<感想>
復讐×ラブコメという一風変わった設定で、序盤はドタバタな恋愛劇とギャグが中心だが、徐々にお互いの過去や本音が明かされていくことで物語に深みが増していく。愛姫のツンデレっぷりや、サブキャラたちの濃さも作品を盛り上げていて、単なるラブコメで終わらない感情の揺れがある。タイトルからは軽い復讐劇に見えるが、実際は“自分を好きになってほしい”という想いが強くにじむ切なさもあり、終盤にかけての展開は意外と熱い。ラブコメとして完成度が高い。


15.アニメ『政宗くんのリベンジR』1-12話
<あらすじ>
8年前、デブで冴えなかった真壁政宗はかつて自身をこっぴどく振った残虐姫こと安達垣愛姫に復讐するため、激ヤセし名字を変え、イケメンに変身して帰って来た。すべては惚れさせてから振るという、最高の復讐のために。愛姫に熱烈なアプローチを重ね、少しずつ彼女の心を開いていく。そして季節は巡り、開催された文化祭では様々なハプニングに見舞われ、最後は政宗と愛姫のキスで幕を下ろした。さらに月日は流れ....復讐の舞台は修学旅行先のフランスへ!ロマンチックなパリの雰囲気にあてられ胸が高鳴る政宗。一方、愛姫は意味深な言葉を口にする……。「ずっと考えてたの、一度あなたとゆっくり話をするべきだって」予想外の言葉に動揺する政宗。さらに漫画家志望のフランス人少女、ミュリエル・ベッソンとの出会いが2人の関係に変化をもたらす!?


16.アニメ『転生したら剣でした』1-12話
<あらすじ>
転生したら剣でしたーー。「知性を持つ武器(インテリジェンス・ウェポン)」と呼ばれる”剣“として異世界に転生した彼は、装備者との出会いを夢見ながら、孤独にスキル収集に励んでいた。ある時、迂闊にも魔力を吸収される「枯渇の森」へ踏み入り、一歩も動けなくなってしまう。途方に暮れる中、奴隷として虐げられていた黒猫族の少女フランに出会う。フランは巨大な魔獣に襲われ、絶体絶命の危機に陥っていた。彼女は眼前に突き刺さっていた彼を引き抜き、その力で窮地を脱すると、彼を「師匠」と名付けて正式に装備者となるのだった。冒険者となったフランと師匠は、お互いにスキルを磨きながらクエストをこなしていく。フランは強さの果てにある「進化」を目指すために、師匠は少女の「願い」を叶えるために。猫耳少女と親バカな剣の大冒険が始まる!
<感想>
この作品は、異世界転生ジャンルの中でも一風変わった設定で、主人公が人間ではなく“剣”に転生するという点が新鮮。バディを組む奴隷の少女フランが自由を手に入れ、自立していく過程が丁寧に描かれている。フランの可愛さだけでなく、芯の強さや成長に焦点が当てられ、関係性も恋愛ではなく親目線のような形で描かれている。戦闘描写はスピード感があり、アニメの作画も安定していて見やすい。いわゆる“なろう系”と敬遠されがちだが、しっかり王道ファンタジーしていて、想像以上に熱くなる。テンポもよく、アクションと成長物語をバランスよく楽しめると感じる。


17.『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』1-12話
<あらすじ>
とある剣と魔法の"乙女ゲー”世界に転生した元・社会人のリオン。そこは超女尊男卑な世界で、例外はゲーム内で攻略対象だった王太子率いるイケメン軍団のみ。しかし、虐げられ絶望するリオンにはある一つの武器があった。それは前世で妹に無理矢理攻略させられていたこのゲームの「知識」。モブとして田舎でのんびり過ごすことを目標にしていたリオンだったがゲームの知識を使い、やりたい放題の女たちとイケメン軍団に図らずも反旗を翻してしまうのだったーー。
<感想>
ザ・なろう系のような形で、美形ヒーローやヒロインたちが活躍する華やかな世界観の裏で、主人公リオンが冷めた視点と知識チートで物語が進む。ただ、ストーリー展開や、皮肉まじりの会話、乙女ゲーが舞台なのにロボットバトルまで飛び出す振り切れた設定が魅力。乙女ゲーのストーリーを知る者としての立ち回りが面白く、恋愛要素もギャグも程よいバランスで楽しめる。見た目やタイトルで敬遠されがちだが、中身はしっかり作られていて中毒性が高い。


18.マンガ『災悪のアヴァロン』1-8巻
<あらすじ>
ダンエクと呼ばれるMMORPGゲームをこよなく愛する主人公は、 イベントのクリアと引き換えにゲーム内に転移した。 しかし転移先はまさかの悪役デブのモブキャラで…!?
<感想>
なろう系ではあるが、なろう系には珍しく主人公の見た目が良くない。その分なろう系に包括されるハーレムみたいなものはないが、ストーリーは俺つえーが全面に出ている。基本的には周りの人に主人公の能力が気づかれてないこともあり、ワンパンマンに近い読みやすさ。


19.マンガ『死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから』1-4巻
<あらすじ>
魔法学校に通う 17歳のオリアナは、ある日恋人のヴィンセントと共に原因不明の死を迎える。
死ぬ前の記憶を持ったまま、7歳の姿に死に戻ったオリアナ。愛しい恋人との再会を夢見ながら幾年を過ごし、やっと再会するも、彼はオリアナのことを何も覚えていなくて.....。
<感想>
この作品は、まだマンガしか出ておらず、ヒロイン・オリアナの明るさと献身、一途な想いに胸を締めつけられ、ヴィンセントとのすれ違う両片思いに切なさが募る。漫画の作画も美しく、表情描写がすごく豊か。友情やキャラクターたちの支え合いも丁寧に描かれており、読む度に余韻が残る作品。


20.アニメ『三ツ星カラーズ』1-12話
<あらすじ>
野の公園にひっそりと佇むアジト。そこにいるのは3人の小学生の女の子たち…。そう、彼女たちこそ上野を守る正義の組織「カラーズ」!結衣、さっちゃん、琴葉の3人は今日も平和な上野の平和を守るため、日夜(嘘、夕方まで)街を駆け回るのである!!
<感想>
全体として、本作の魅力は、「苺ましまろ」や「よつばと。」を彷彿とさせる、子どもの無邪気さと子らしからぬ“やんちゃさ”が融合した日常描写。所々出てくるハゲネタが面白く、自分がハゲてなければ笑うことが出来る。逆にハゲてると正直、笑えないかもしれない。作画や音楽も安定しており、ほのぼの系が好きで肩ひじ張らず楽しみたい人には刺さると思う。
2025/08/06(水) 00:02 No.2105 EDIT DEL
4年 宇都 RES
4年春休み課題1〜5

1.名探偵コナン ベイカー街の亡霊 / 監督:こだま兼嗣
江戸川コナン達は新型仮想体感ゲーム機「コクーン」の完成披露パーティーを訪れる。その裏で、ゲームの開発者である樫村忠彬がIT企業社長のトマス・シンドラーに刺殺される事件が発生した。樫村の残したダイイング・メッセージが実在した殺人鬼のジャック・ザ・リッパーを指しており、100年前のロンドンを舞台としたゲーム内に手がかりがあると考えたコナンは、ゲームへの参加を決める。コナンや少年探偵団や灰原哀、毛利蘭はゲームの世界に入るが、ゲームは人工知能ノアズ・アークに乗っ取られてしまう。ノアズ・アークはシンドラーのもとで2年前に自殺したヒロキ・サワダという少年が開発した成長する人工知能であり、自殺直前のヒロキによって一般の電話回線へ解き放たれていた。

コナン映画6作目で、2002年公開。人工知能(AI)技術をメインテーマとして扱っている。1997年にはAIが初めてチェスで人間に勝つという大きな出来事があり注目を集め、2000年以降は日本国内でインターネットが普及したという流れがある。コナン映画は時事問題を扱うことも多いので、今作も社会の流れに合わせて作られたものだと考えられる。
他のテーマとしては「階層の再生産」やそれに伴う社会の腐敗、実在する殺人鬼ジャック・ザ・リッパー、ギフテッドとして生まれた子供の苦しみ、などがあり大人向けの内容に感じられる。

2.おそ松さん(アニメ版)1期/ 監督:藤田陽一
松野家の6つ子であるおそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松は20歳を過ぎても定職につかず、親の脛をかじるいわゆるニート。仕事にも女性にも縁がない個性的な6人は、時に足の引っ張り合いをしながらも、ひとつ屋根の下で暮らし、それぞれの趣味にいそしむ日々。
そんな彼達に、うさんくさい男イヤミ、おでん屋のチビ太、6つ子のアイドル的存在トト子、いつもパンツ一丁のおじさんデカパン、大きな口の中年男ダヨーン、あどけない少年(に見えるが実は成人)ハタ坊などの面々が加わり毎回騒動が巻き起こる。

赤塚不二夫生誕80周年記念作品。
赤塚不二夫の原作では見た目の区別がなかった6つ子を見た目・キャラクター共に差別化している。現代日本で暮らす6人の日常生活のほか、お馴染みのキャラクターは出てくるものの全く違う世界線のストーリーやショートコント、名作パロディなど、各々のキャラクター性を活かして多彩なストーリーが楽しめる。キャラクター消費の側面が非常に強いシリーズだと思う。
作画の特徴として、絵の主線が太いうえ、紺色だったり茶色だったりすることがあげられる。黒い主線で描かれているアニメが多いなか珍しいのではないだろうか。

3.カラオケ行こ!(漫画版) /和山やま
中学3年生の岡聡実と四代目祭林組若頭補佐の成田狂児との奇妙な友情を描いた物語。
コンクールの日、成田狂児は歌を教えてほしいと合唱部部長の聡実をカラオケに拉致する。何でも狂児のいる組では年に4回カラオケ大会が開かれ、そこで歌ヘタ王になると組長に下手くそな刺青を彫られるという。それが嫌な狂児は何としてでも歌ヘタ王を回避すべく、カラオケで聡実の指導のもと特訓を始める。

最近の作品だが、ひと昔前の少女漫画っぽい作画だなと思った。具体的にはリアルっぽさのある人物の骨格の描き方(等身や鼻の描き方)や、髪の毛の塗り方などからそう感じるのではないか。佐々木倫子先生の人物の描き方と似ている気がする。トーンより塗りで影を表現しているかんじから、どことなく温かみのある絵だと思った。

4.劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来
鬼となった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため鬼狩りの組織《鬼殺隊》に入った竈門炭治郎。入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、成長しながら友情や絆を深めていく。
炭治郎たちが来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、 無惨の手によって謎の空間へと落とされてしまう。炭治郎たちが落下した先、それは鬼の根城≪無限城≫―”鬼殺隊”と”鬼”の最終決戦の火蓋が切って落とされる。

3組の決戦を2時間半の映画で描いており過去回想も多いが、展開がごちゃごちゃしている印象もなく冗長な印象もなくてすごかった。人物の動きは手描きだと思うが作画が綺麗すぎた。
声優さんの演技も凄かったのだが、子供が多く観にくることを想定してなのか、いくつかの場面の切り替えがあって頭の切り替えが追いつかないことを想定してなのか、全体的に喋るスピードが遅く感じた。

5.二銭銅貨/江戸川乱歩
ある電機会社の工場の給料日に、有名な紳士盗賊が新聞記者に変装し、5万円を盗むという事件が起こる。賊は捕まり懲役となるが、5万円の行方については一切白状しないままとなっている。
「私」とその友人、松村武は場末の下駄屋の2階の六畳に同居する貧窮青年で、二人がその賊をうらやましく思っていたある日、松村が突然「私」が机の上に置いていた二銭銅貨はどこで手に入れたものだと訊いてくる。「私」は近所の懇意な煙草屋でお釣りにもらってきたもので、そこの娘さんは監獄への差入屋に嫁いでいてなかなか美人だなどと言う。それを聞いた松村はある研究に没頭しはじめる。

江戸川乱歩のデビュー作。
デビュー作には作者の色が強く出るとよく言うが本当にその通りで、彼の作品でよく見られる「どんでん返し」、「犯人による語り」、「読者への語りかけ」といった特徴が表れている。
作中に出てくる「南無阿弥陀仏」を使った暗号は、「いろはにほへと」を使った暗号などと同じく日本語による小説であることの意味が大きいと思う。
2025/08/05(火) 23:53 No.2104 EDIT DEL
4年 宇都 RES
3年夏休み課題28〜30

28.ALIEN STAGE / 総監督:VIVINOS
韓国のアニメーションチーム「TEAM Forma+9」が制作しているアニメーション。音楽やMVを通して、エイリアンのペットになった人間たちの意思、取り巻く環境、関係性を紐解いていくストーリーとなっている。
前回のシーズン、大盛況のうちに幕を下ろした新生オーディション番組『エイリアン・ステージ』が、新シーズンとして戻ってきた。『エイリアン・ステージ』は人間ペット同士を競わせるサバイバルオーディション番組で、優勝した人間ペットの飼い主はÂÇÑ ±â´ÉÀで悠々と暮らすことができる。
最初はありふれたバラエティー番組と思われていた『エイリアン・ステージ』は、シーズンを重ねるうちにだんだんと評判になっていった。それは音楽専門幼稚園である「アナクトガーデン」ができるほどであり、人間ペットたちの入園競争は日に日に厳しさを増していった。
個性の強い人間ペットたちのパフォーマンスと美しい鳴き声が合わさり、多くのセゲイン(エイリアン)を惹きつける『エイリアン・ステージ』。 果たしてどんな人間ペットが優勝するのか多くの外界人たちの注目を集めている。

VIVINOS氏のYouTubeチャンネルで全話観ることができる。ストーリーはMVで進み、音楽は既存のものではなく全て書き下ろし楽曲である。MVの他、作者がXに投稿する漫画がストーリーの理解を助けている。
メインで登場する人間ペットは女性3人男性3人で、女性同士のカップル、男性同士のカップル(?)、男女カップル(?)がそれぞれ過酷な環境でどのように他者を愛すかが一貫して描かれる作品である。
韓国のサバイバルオーディション番組文化が色濃く影響していると思われ、「他者をどう愛するか」というテーマのほか、手軽に出演者の人生を消費するオーディション番組文化へのアンチテーゼという側面も持つ作品ではないだろうか。

29. ボブという名の猫 幸せのハイタッチ/監督:ロジャー・スポティスウッド
ロンドンの路上で自作の歌を弾き語り、小銭を稼ぐ若者ジェームズは、ホームレスの麻薬常習者だった。立ち直りたい気持ちは強く、更生プログラムに熱心に通うが、つい麻薬の誘惑に負ける日々を繰り返すジェームズ。ソーシャルワーカーのヴァルは、今がジェームズにとって最後のチャンスだと感じ、彼に無償の住居をあてがった。
そんなある日、ジェームズの部屋に迷い込む茶トラの野良猫。隣人のベティが「ボブ」と名付けたその猫はジェームズに懐いてしまい、見捨てることもできないジェームズはあれこれ世話をする。

原作はイギリスでシリーズ合計1,000万部を超える大ヒットを記録したノンフィクション『ボブという名のストリート・キャット』で、ジェームズ本人、本猫も出演している。
猫のボブが生活に加わってから、ジェームズを気にかける人は大幅に増えた。猫を飼い始めたことで生活圏に変化が起こり、その結果関わる人間の数が増え、動物好きの人々の目にとまり金銭的に余裕ができたことが、彼が薬物依存から逃れることができたポイントだと感じた。ただ、猫がいなくとも薬物依存者が治療をできて周りが見守る環境が揃うことがベストではあると思うので、美談にしてはいけないとも思う。また、アニマルセラピーの効果は認められているのかもしれないが動物の住環境の整備も進められるべきと思った。ボブは禁断症状が出ているジェームズと数日間家にいるので環境としては良くないと思う。

30. 名探偵コナン 隻眼の残像 /監督:重原克也
長野県・八ヶ岳連峰未宝岳。長野県警の大和敢助が雪山で“ある男”を追っていた時、不意に何者かの影が敢助の視界に。気をとられた瞬間、“ある男”が放ったライフル弾が敢助の左眼をかすめ、大きな地響きとともに雪崩が発生。そのまま敢助を飲み込んでしまい─
10ヶ月後。 国立天文台野辺山の施設研究員が何者かに襲われたという通報を受け、雪崩から奇跡的に生還した敢助と、上原由衣が現場へ駆けつけた。 事情聴取のさなか天文台の巨大パラボラアンテナが動き出すと、負傷し隻眼となった敢助の左眼がなぜか突如激しく疼きだす…
その夜、 毛利探偵事務所に、小五郎の警視庁時代に仲の良い同僚だった“ワニ”と呼ばれる刑事から電話が入った。未宝岳で敢助が巻き込まれた雪崩事故を調査しており、事件ファイルに小五郎の名前があったという。後日会う約束を交わした小五郎にコナンもついて行くが、待ち合わせ場所に向かっていた途中、突然響き渡った銃声─。

司法取引の是非テーマが扱われ、社会的な色が強い作品だと感じた。隠れ公安・内閣情報調査室所属のキャラが初登場するなど、近年のコナン映画の中では難しい、大人向け作品ではないだろうか。
また、毛利小五郎の元同僚・鮫谷浩二のニックネームが「ワニ」だったのは、「因幡の白兎」モチーフではないかと思った。鮫谷の地元が鳥取県であることからもほぼ確実ではないかと思うが、なぜ因幡の白兎を登場させたのかはよくわからなかった。
2025/08/01(金) 00:46 No.2103 EDIT DEL
春休み課題 青山凜香 RES
①壁井ユカコ『14f症候群』

・あらすじ
ミサキは気づくと「14f」という存在しない階にいた。そこは死者が一時的に集められる空間で、彼は自らの死を理解できないまま過ごす。他の入居者たちと交流し、次第に記憶を取り戻す中で、自身の死因や思い残したことに向き合っていく。やがてミサキは「自分がこの場所でどう生き直すか」という問いに辿り着く。

・考察
本作は死後の空間を通して、生きる意味や心の居場所を問いかける作品だ。14fという不在の階は、現代に生きる人の「居場所のなさ」を象徴しており、特に若者の孤独に鋭く迫っている。死を描きつつも重くなりすぎず、他者との出会いや対話を通して再生の物語となっており、読者に「今をどう生きるか」を考えさせる力をもっている。



②はやみねかおる『都会のトム&ソーヤ』

・あらすじ
中学生の内藤内人は、自由奔放な転校生・竜王創也と出会い、都市を舞台にした“冒険”の日々を送る。二人は秘密基地を作ったり事件に巻き込まれたりしながら、互いに刺激し合い、友情を深めていく。内人は創也と行動を共にする中で、自分の殻を破り、成長していく。

・考察
「冒険」は子どもの夢だが、この物語では都市という現代的な舞台で展開される点が新鮮だ。現実の制約の中で、想像力を武器に自由を手に入れようとする二人の姿は、読者にも「生き方を選ぶ自由」があることを伝えてくれる。創也の奔放さと内人の慎重さの対比も魅力で、異なる個性が支え合うことの価値を描いている。

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③はやみねかおる『モナミは世界を終わらせる』

・あらすじ
普通の中学生・日比野蓮は、ある日「世界を終わらせる能力を持つ少女」モナミと出会う。彼女は人類の未来を握る存在であり、蓮は彼女を監視しながら行動を共にすることになる。モナミは一見普通の少女だが、彼女の存在には国家すら巻き込む秘密があり、二人の関係性も変化していく。物語は日常と非日常が交錯する中で進んでいく。

・考察
「世界を終わらせる」という極端な能力が、モナミという少女の存在を通じて「選択」と「責任」のメタファーとなっている。蓮の視点を通して描かれる彼女の姿は、恐怖ではなく人間らしさに溢れており、破壊の力よりも“守りたい”という気持ちに焦点が当たっている。国家規模のスリルを背景にしながらも、心の機微を丁寧に描く構成が光る作品。



④からて『マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話』

・あらすじ
不老不死となった少女・千年(ちとせ)は、マカロンを愛しながらも千年にわたって生き続けている。人が去り、時代が変わる中で、彼女は数々の別れや出会いを経験しつつ、マカロンという変わらぬ存在に心を寄せていく。物語は彼女の視点で千年の時間を巡り、やがて彼女がたどり着く結末へと向かう。

・考察
ポップなタイトルに反して、内容は切なくも深い人間存在への問いを内包している。不老不死は祝福ではなく、孤独と喪失の連続であることが描かれ、千年という時の重みが読者に静かにのしかかる。そんな中で彼女が大切にする“マカロン”は、変化の中にある小さな幸福の象徴であり、生きる意味のよりどころとなっている。

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⑤鈴木大輔『文句の付けようがないラブコメ』

・あらすじ
成績優秀で真面目な男子高校生・阿良川は、完璧すぎる美少女・九条に突然告白される。しかもその告白は、実は「ラブコメ的展開を楽しむため」という彼女の思惑から始まったものだった。戸惑いつつも彼女に振り回される阿良川は、次第に彼女の本心に触れ、本当の恋愛感情と向き合うようになっていく。

・考察
ラブコメの“お約束”を逆手に取ったメタ的展開が特徴だが、笑いの裏にあるキャラクターたちの不安や孤独が丁寧に描かれている点が印象的だ。九条の完璧さは虚構的な「理想のヒロイン像」を象徴しており、現実とのギャップや本当の自己との乖離が見え隠れする。軽妙な語り口でありながら、心に残る人間描写が光る作品。



⑥江戸川乱歩『孤島の鬼』

・あらすじ
青年・蓑浦は、親友・諸戸に対して抱いていた秘めた感情と向き合う間もなく、彼の惨殺死体を目の当たりにする。事件の背後には奇怪な連続殺人と、謎の人物・大江春泥の存在があった。蓑浦は真相を追って孤島に渡り、やがて狂気と愛憎が渦巻く恐ろしい真実にたどり着く。

・考察
江戸川乱歩の中でも異色かつ異様な長編であり、同性愛、身体改造、孤独といった重たいテーマを耽美かつ倒錯的に描いている。蓑浦の語りは一見冷静だが、抑えた情念がにじみ出ており、人間の欲望と狂気の境界を描き出している。探偵小説の枠を超え、愛と死の境界に迫る、乱歩の文学性が際立つ名作。

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⑦江戸川乱歩『白昼夢/押絵と旅する男』

・あらすじ
『白昼夢』では、主人公が列車の中で、殺人現場を目撃したかのような奇妙な記憶に悩まされる。幻か現実か曖昧な中で、読者もまた錯覚と真実の境界に引き込まれていく。『押絵と旅する男』は、押絵を抱えた奇妙な男と出会った主人公が、彼の語る恐るべき人形の愛憎劇を知るという幻想的な物語。

・考察
両作に共通するのは、「現実と虚構の曖昧さ」である。乱歩は人間の深層心理や無意識に潜む狂気を、視覚や記憶の曖昧さを通して描く。『白昼夢』の不可解な目撃談も、『押絵と旅する男』の人形と生身の混交も、読者を常に不安と魅惑の間に漂わせる。幻想文学としても優れており、乱歩の美意識が詰まった物語だと思う。



⑧江戸川乱歩『蜘蛛男』

・あらすじ
東京を騒がす連続殺人事件。その犯人は「蜘蛛男」と呼ばれる奇怪な存在だった。名探偵・明智小五郎が事件解決に乗り出す中、殺人現場には常に蜘蛛のシンボルが残されていた。やがて犯人の真の姿と目的が明かされ、恐怖と知略が交錯する頭脳戦が展開される。

・考察
『蜘蛛男』は乱歩の中でもエンタメ性が高く、怪奇性とスリルを前面に押し出した作品だ。蜘蛛という不気味な象徴を通じて、視覚的恐怖と猟奇性が効果的に演出されている。明智小五郎の推理力と、犯人の狂気がせめぎ合う構図は、探偵小説の王道を踏まえつつも乱歩らしい美学と異様さが際立つ。大衆向けながらも、彼の芸術的野心がにじむ作品。

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⑨はやみねかおる『そして五人がいなくなる』

・あらすじ
中学校で始まった謎解きゲーム。その中で、選ばれた5人の生徒が次々に“いなくなって”いく事件が起こる。事件を調査するのは名探偵・夢水清志郎と子どもたち。残された暗号やトリックを手がかりに、彼らは「いなくなる」意味と、犯人の目的に迫っていく。

・考察
子ども向けミステリでありながら、物語の奥には「人との関係性」や「孤独への恐怖」といった繊細なテーマが流れている。失踪という事件を通じて、登場人物たちは自分自身の存在意義を問い直す。夢水探偵のユーモアと優しさが物語に温かみを加えつつ、読者にも考える楽しさと希望を与えてくれる作品。



⑩田森庸介『金の月のマヤ』

・あらすじ
人間の少年・カイは、狼の姿をした少女・マヤと出会い、彼女の秘密を知る。マヤは人間と狼の狭間で生きる存在であり、月にまつわる古い伝承に縛られていた。カイは彼女の運命を変えるために奔走し、やがて二人はそれぞれの「生きる意味」に向き合う。

・考察
異種交流を通じて描かれるのは、人間社会の偏見や孤立、そして他者理解の難しさである。マヤの存在は“異質なもの”へのまなざしを象徴し、カイの視点は読者に共感と希望を届ける。幻想的な世界観の中にリアルな感情が息づき、静かな余韻を残す優しい物語となっている。



⑪川口晴『犬と私の10の約束』

・あらすじ
少女・あかりは、母の遺した「犬との10の約束」を胸に、子犬のソックスと生活を始める。日々のふれあいの中で、あかりは成長し、やがて進学や恋、家庭の問題に直面する。ソックスはそんな彼女を見守り続け、あかりも少しずつ「命」と「約束」の大切さに気づいていく。

・考察
本作は犬との絆を通して「命の尊さ」「責任の重さ」「別れの意味」を丁寧に描いている。10の約束は単なるルールではなく、人としてどう生きるかの指針でもある。ソックスの無言の優しさが、あかりの心を育てていく過程には、普遍的な愛と成長の物語が込められている。涙なしには読めない一冊だ。

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⑫住野よる『また、同じ夢を見ていた』

・あらすじ
ひとりぼっちの少女・奈ノ花は、「幸せとは何か」を考えながら日々を過ごしていた。ある日、不思議な3人の女性と出会い、それぞれの人生に触れる中で、奈ノ花は自分自身の未来と心に少しずつ変化を見つけていく。彼女はやがて「また、同じ夢を見ていた」意味を知ることになる。

・考察
少女の成長を軸に、「幸せとは何か」という抽象的な問いを物語の芯に据えた構成が秀逸。登場人物たちは奈ノ花の内面の投影でもあり、彼女が彼女自身を受け入れていく過程が静かに描かれる。夢と現実が交錯するような語りは、読者にも“自分にとっての幸せ”を問いかけてくる。



⑬大石真『チョコレート戦争』

・あらすじ
中学生の少年たちが起こした、ある「チョコレートに関するいたずら」が、大人を巻き込んだ大事件に発展する。正義とは何か、ルールとは何かに直面しながら、子どもたちは社会との関わり方を学び、成長していく。

・考察
子どもたちの無邪気ないたずらが、社会の理不尽さや大人の身勝手さを浮き彫りにしていく展開は、鋭い風刺となっている。シンプルな語り口ながら、正義と責任、表現の自由などの重いテーマに触れており、読む年代によって見方が変わる奥深さがある。



⑭L・M・モンゴメリ『赤毛のアン』

・あらすじ
孤児院からカスバート兄妹のもとにやってきた赤毛の少女・アン・シャーリー。空想好きで感情豊かなアンは、田舎町アヴォンリーでさまざまな失敗や出会いを経験しながら成長していく。家族や友情、学びを通して、彼女は次第に自立した少女へと変わっていく。

・考察
アンの姿は、想像力と自己表現の自由さを体現しており、「自分を受け入れること」の大切さを教えてくれる。田舎町の人々との交流や、日常の中の小さな発見は、人生の美しさや尊さを描き出している。世代や国を超えて愛され続ける理由は、その普遍的な希望の物語性にある。

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⑮タニヤ・シュテーブナー『動物と話せる少女リリアーネ』

・あらすじ
リリアーネは、動物と話せる特別な力を持った少女。ペットや野生動物たちと心を通わせ、さまざまな問題を解決していく。動物病院を営む家族と共に暮らしながら、リリアーネは動物たちの声に耳を傾け、人間と動物の絆を深めていく。

・考察
本作はファンタジーを通して、いのちの大切さや共感する心を育ててくれる。動物たちの声が聞こえるという設定は、弱い存在に寄り添う力を象徴しており、リリアーネの優しさや勇気が読む人の心を温める。動物との対話を通じた成長物語として、児童文学の中でも豊かなメッセージを持つ作品。



⑯香月日輪『妖怪アパートの幽雅な日常』

・あらすじ
両親を亡くした高校生・稲葉夕士は、ひょんなことから妖怪や幽霊と人間が共に暮らす「妖怪アパート」に住むことになる。奇妙な住人たちに囲まれながら、彼は学校や人生に悩みながらも、心の成長を遂げていく。

・考察
超自然的な存在との共同生活が、社会の縮図として機能している点が面白い。価値観の違いや孤独、人との繋がりをテーマに、夕士の視点で柔らかく描かれる成長物語は、読む人に生き方のヒントを与える。ファンタジーでありながら、現実を見据えた温かな人間ドラマとなっている。

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⑰綿矢りさ『生のみ生のままで(上)』

・あらすじ
25歳の逢衣は、恋人との旅行中に出会った女性・彩夏に強く惹かれる。互いに恋人がいながらも、心と身体が求め合う関係が始まり、逢衣は彩夏と暮らし始める。新しい生活に戸惑いながらも、逢衣は自分の本心や「愛することとは何か」と向き合い始める。

・考察
女性同士の恋愛を題材にしながらも、描かれているのは「性別を超えた心の結びつき」だ。逢衣の視点から綴られる感情の揺らぎや戸惑いには、瑞々しくも繊細なリアリティがある。綿矢りさらしい軽やかな文体とユーモアが、重くなりがちなテーマに光を差し込んでいる。



⑱綿矢りさ『生のみ生のままで(下)』

・あらすじ
逢衣と彩夏の関係は深まりながらも、周囲や社会とのズレ、そして互いのすれ違いが少しずつ現れていく。ある事件をきっかけに、二人はこの愛をどう続けていくのか、切実な選択を迫られる。逢衣は、自分の「生」をどう肯定するかを見つめ直すことになる。

・考察
“生のままの自分を受け入れる”ことの難しさと尊さを、逢衣の迷いと決断を通して描き出している。同性愛という枠組みに収まらない、人と人の「愛」の普遍性が胸に迫る。大胆な性愛描写とともに、静かで確かな情愛がにじむ、綿矢りさらしい成熟した恋愛小説。

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⑲綿矢りさ『勝手にふるえてろ』

・あらすじ
24歳のOL・江藤良香(よしか)は、中学時代から10年間片思いしている“イチ”を理想化し、脳内で愛を育んでいる。一方で、職場の同僚“ニ”から告白され、現実との向き合いを迫られる。イチ=妄想と、ニ=現実の間で揺れる良香は、自分の気持ちとどう向き合うのか葛藤していく。

・考察
良香の内面を通して、現代の“恋愛できない若者”のリアルな心理が浮き彫りになる。理想に逃げながらも、現実を拒絶することに苦しむ姿は、誰しもが持つ「自分の世界に閉じこもりたい衝動」と「それでも人と繋がりたい欲求」のせめぎ合いを象徴している。ユーモラスな語りと痛々しさの同居が、綿矢りさらしい魅力となっている。

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⑳千早茜『しろがねの葉』

・あらすじ
戦国末期、石見銀山で天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀鉱の知識を学び、坑道で働き始める。月経により女として制約されながらも、自立しようと奮闘。銀山の繁栄とともに彼女は大切な人々を失い、その度に生と死、欲望と喪失を体感していく。徳川による支配が強まり、銀山も衰退へ。ウメは自身の力で生き抜く術を見出し、その運命と対峙する。

・考察
これは、女性として、そして人間として「強く生きる覚悟」が描かれた大河的群像劇だ。ウメの成長は、家族の喪失や権力の転換といった時代の嵐の中で成し遂げられ、銀山という舞台が命の儚さと重層的な感情を象徴している。銀掘りの厳しさや、女性ならではの制約をもがきながら、自分の場所を掴んでいく姿に、読後は力強い希望が残る。
2025/07/09(水) 16:52 No.2102 EDIT DEL