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二年 髙田(梨)
RES
夏休み課題 2~10
2『下妻物語』(小説)
作者:嶽本野ばら
発行所:小学館
田んぼだらけの茨城県下妻でロリータを愛する女子高生桃子は、お洋服を買うお金のために始めた個人通販でヤンキーの少女イチコと出会う。ロリータとヤンキーという正反対の二人だったが、次第に友情が芽生えて行く。笑いあり感動ありの青春物語。
本作の特徴の一つは、主人公桃子が愛するロリータファッションについての描写である。実在するロリータファッションブランドも登場し、小説でありながら桃子の服装が頭から爪先まで見えてくる。更に、これにより桃子のロリータへのこだわりが伝わるのである。
また、高校生の少女たちによる悩みや憂鬱を描きながらも、全編通してギャグを織り交ぜているため、爽やかな気持ちで読むことができることも魅力だ。
中島哲也氏が監督を務める映画も、実写とアニメーションを織り交ぜた構成により、本作の魅力をそのままに実写化している。
3『ルックバック』(漫画)
作者:藤本タツキ
発行所:集英社
自信家の少女藤野と引きこもりの少女京本は漫画を通じて出会う。漫画、そして絵に対する思いを抱いた正反対の少女たちの青春を描く。
『ルックバック』という作品タイトルを想像させる場面は一つではない。藤野が絵を描く後ろ姿や、京本が自分の背中に藤野のサインを頼むシーン、京本が藤野の四コマ漫画を描いた時のタイトルに加え、歩んできた人生を振り返るという作品全体のテーマに繋がる。
本作ではセリフを入れずに絵だけで登場人物の感情や月日の流れを表すコマが多くあり、漫画という媒体を最大限活かした作品だと感じた。
4『岸部露伴は動かない~エピソード16:懺悔室~』(漫画)
作者:荒木飛呂彦
発行所:集英社
漫画家の岸部露伴は取材に訪れた懺悔室で神父と間違えられ、男の懺悔を聞く。
男は昔、浮浪者に冷たく当たり、その浮浪者は「おまえが「幸せの絶頂の時」必ず迎えに戻ってやる」と言い残して死んでしまう。後に娘が生まれ、幸せを感じた男の前に浮浪者が再び現れるが、運試しのチャンスを与えると告げる。
この短編は、作者が子供の頃祖父に言われた「普段、人をあざむいて生活していると一番幸福な時にバチがあたるぞ」という言葉を元に作られた。(「死刑執行中脱獄進行中」あとがきより)
死んだ人間が娘に憑依して現れるというホラーと、「ポップコーンを口でキャッチできるかどうか」が命運を分けるという一見シュールだがスリルのある展開に、上記のシンプルな教訓を重ねることで、恐ろしさと少年漫画としての面白さが深みを増している。
また、表題にもなっている岸部露伴はあくまで「岸部露伴は動かない」シリーズの語り部であり、主人公は短編ごとに変わることも特徴である。
5『妄想銀行』(小説)
作者:星新一
発行所:新潮社
エフ博士は人の妄想を取り扱う妄想銀行を経営している。妄想銀行とは、人の妄想を預かり、その妄想が必要な別の誰かに販売するというものである。男子学生の異性への妄想を預かり、娯楽を欲する金持ちの老人に売る。何もしていないのに罪悪感にさいなまれる妄想を預かり、反省しない被告人に使うため弁護士に売る。エフ博士の経営は順調だったが、思いを寄せる女性に預かった妄想を使おうとしたことで事件が起きる。
本作は人間の妄想を主題としており、人間の妄想はとめどなく、突拍子もないものもある。更に、エフ博士も、妄想を取り扱い人々を俯瞰的に見ている一方で、思いを寄せる女性への私利私欲で預かった妄想を使用する。人間の妄想と欲を描いている本作だが、それを否定する言葉は出てこないことが面白いと感じた。エフ博士は誰がどのような妄想をして、その妄想がどのように使われても良いという姿勢であり、エフ博士の私欲による行動の結果も、状況を描くのみで教訓らしい文章はない。しかし、その端的な描写が、読者にこの作品の教訓を伝えているのではないだろうか。
また、1978年の初版発行から40年以上経過していることを感じさせず、時代や年齢を問わず読みやすい短編であると感じた。
6『HiGH & LOW』(ドラマ、映画)
企画:EXILE HIRO
監督:久保茂昭
制作:日本テレビ
ここでは『HiGH & LOW』シリーズの内、メインストーリーの区切りとなる、テレビドラマ『HiGH & LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D~』から、映画『HiGH & LOW THE MOVIE3/FINAL MISSION』について書く。
5つのチームが拮抗していることから、各チームの頭文字を取って「SWORD地区」と呼ばれる地区を舞台として、不良たちの戦いや絆を描いたシリーズ。
かつて地区一帯を支配していたがある事件をきっかけに姿を消したチーム「ムゲン」と、「ムゲン」に対抗する強さを持つ「雨宮兄弟」、その後勢力を強めた5つのチーム「SWORD」、更に突如現れた新勢力「MIGHTY WARRIORS」を中心に物語が展開される。
本作のキャッチコピーは「全員主役」である。「SWORD」の中のSにあたる「山王連合会」がメインとなってドラマはスタートするが、ドラマ2作と映画4作の物語の中で、上記の各勢力全てにフォーカスは合わせられる。その中でも、各チームのリーダー達による、チームへの愛と地区の不良から大人への成長に対する葛藤は見所である。更に、本シリーズでは各リーダーの下に付いていた世代達にスポットライトを当てたスピンオフ作品も制作されており、「全員主役」というキャッチコピーに誠実な作品である。
7『DTC‐湯けむり純情編‐from HiGH & LOW』(映画)
企画:EXILE HIRO
監督:平沼紀久
『HiGH & LOW』シリーズのスピンオフ作品。「SWORD」の一つ「山王連合会」に属するダン・テッツ・チハルの三人(通称「DTC」)は、波乱の日々からひと段落し、行き当たりばったりのバイク旅を始める。旅先で出会った旅館の母娘と、旅館の番頭の恋を応援するため、かつて戦った相手である「SWORD」の別チームのメンバーの協力も得て、プロポーズ大作戦を計画する。
作中、3人の旅を「喧嘩0、笑い80、感動20」と表現するセリフが登場する。これは、そのまま本作のテーマにもなっており、本作は、不良ものとしてアクションシーンに注力してきた『HiGH & LOW』シリーズで初めて喧嘩シーンが一切登場しない。
しかし、愛する人への想いや絆が描かれていることはシリーズの他作品と共通しており、『HiGH & LOW』シリーズの主軸は喧嘩そのものではなく、大切な人のために力を尽くすことだと受け取ることができる作品である。
8『カニーニとカニーノ』(短編アニメーション)
監督:米林宏昌
制作:スタジオポノック
父のトト、兄のカニーニ、弟のカニーノは川に住むサワガニの家族。ある大嵐の日に、カニーニを助けようとしたトトは巨大な泡の塊に飲まれてしまう。小さな兄弟は、トトを探しに旅に出ることを決意する。
小さなサワガニから見た川底の描写が美しく印象的である。また、カニーニ達は擬人化されているが、他の生き物はそのままの姿で描かれていることも特徴的だ。特に、カニーニ達を捕食しようとする魚や、更にそれを餌とする鳥等をCGで表現することで、カニーニ達からは大きく恐ろしい生き物であることを伝えている。
弟の前では涙を見せまいとするカニーニが、母の前では子供らしく泣くラストシーンは、米林監督が所属していたスタジオジブリの作品『となりのトトロ』のラストシーンを彷彿させた。
9『サムライエッグ』(短編アニメーション)
監督:百瀬義行
制作:スタジオポノック
東京都で暮らす野球好きで元気な小学生のシュンは、生まれつき重度の卵アレルギーを持っている。諦めず治療を受けるシュンと、それをひたむきに見守る母だったが、ある日シュンが誤って卵入りのアイスクリームを食べてしまう。
食物アレルギーの深刻さを伝えるとともに、親子の愛情を描く短編。本作では、シュンの周囲の人々は皆アレルギーへの理解と配慮をしており、それによりシュンは助けられる。アレルギーは当事者以外は苦しみが分かりにくいものだが、学ぼうとする周囲の姿勢の大切さを本作は伝えていると考える。作中には卵アレルギーの治療法や対処法について、言葉で説明されることなく描かれるが、観た者が自ら調べて理解する機会になるのではないだろうか。
10『透明人間』(短編アニメーション)
監督:山下明彦
制作:スタジオポノック
本作の主人公である青年は、透明人間だ。周りの人間はもちろん、自動ドアやATMも、青年を認識しない。消火器やつるはしといった重りがなければ、空に浮いて飛ばされてしまう。絶望する青年だったが、老人に声をかけられ、心境に変化が訪れる。そんな中青年は道路に放置されたベビーカーを見つける。
本作は、若者のアイデンティティを描いていると考える。古びたアパートで同じような日々を過ごし、他人へ親切にしても見向きもされない。「自分が生きている意味とは何なんだろう」といった、若者が持ちうる感情を、透明人間という表現で表していると捉えることができる。
ベビーカーの赤ん坊が車に轢かれそうになる所を助け、赤ん坊から笑顔を向けられた青年は、ラストシーンで消火器もつるはしも持たずに生活している。これは青年が、何かに頼ることなく、自分の意思で生きる主体性を得た成長を描いていると考えられる。
2『下妻物語』(小説)
作者:嶽本野ばら
発行所:小学館
田んぼだらけの茨城県下妻でロリータを愛する女子高生桃子は、お洋服を買うお金のために始めた個人通販でヤンキーの少女イチコと出会う。ロリータとヤンキーという正反対の二人だったが、次第に友情が芽生えて行く。笑いあり感動ありの青春物語。
本作の特徴の一つは、主人公桃子が愛するロリータファッションについての描写である。実在するロリータファッションブランドも登場し、小説でありながら桃子の服装が頭から爪先まで見えてくる。更に、これにより桃子のロリータへのこだわりが伝わるのである。
また、高校生の少女たちによる悩みや憂鬱を描きながらも、全編通してギャグを織り交ぜているため、爽やかな気持ちで読むことができることも魅力だ。
中島哲也氏が監督を務める映画も、実写とアニメーションを織り交ぜた構成により、本作の魅力をそのままに実写化している。
3『ルックバック』(漫画)
作者:藤本タツキ
発行所:集英社
自信家の少女藤野と引きこもりの少女京本は漫画を通じて出会う。漫画、そして絵に対する思いを抱いた正反対の少女たちの青春を描く。
『ルックバック』という作品タイトルを想像させる場面は一つではない。藤野が絵を描く後ろ姿や、京本が自分の背中に藤野のサインを頼むシーン、京本が藤野の四コマ漫画を描いた時のタイトルに加え、歩んできた人生を振り返るという作品全体のテーマに繋がる。
本作ではセリフを入れずに絵だけで登場人物の感情や月日の流れを表すコマが多くあり、漫画という媒体を最大限活かした作品だと感じた。
4『岸部露伴は動かない~エピソード16:懺悔室~』(漫画)
作者:荒木飛呂彦
発行所:集英社
漫画家の岸部露伴は取材に訪れた懺悔室で神父と間違えられ、男の懺悔を聞く。
男は昔、浮浪者に冷たく当たり、その浮浪者は「おまえが「幸せの絶頂の時」必ず迎えに戻ってやる」と言い残して死んでしまう。後に娘が生まれ、幸せを感じた男の前に浮浪者が再び現れるが、運試しのチャンスを与えると告げる。
この短編は、作者が子供の頃祖父に言われた「普段、人をあざむいて生活していると一番幸福な時にバチがあたるぞ」という言葉を元に作られた。(「死刑執行中脱獄進行中」あとがきより)
死んだ人間が娘に憑依して現れるというホラーと、「ポップコーンを口でキャッチできるかどうか」が命運を分けるという一見シュールだがスリルのある展開に、上記のシンプルな教訓を重ねることで、恐ろしさと少年漫画としての面白さが深みを増している。
また、表題にもなっている岸部露伴はあくまで「岸部露伴は動かない」シリーズの語り部であり、主人公は短編ごとに変わることも特徴である。
5『妄想銀行』(小説)
作者:星新一
発行所:新潮社
エフ博士は人の妄想を取り扱う妄想銀行を経営している。妄想銀行とは、人の妄想を預かり、その妄想が必要な別の誰かに販売するというものである。男子学生の異性への妄想を預かり、娯楽を欲する金持ちの老人に売る。何もしていないのに罪悪感にさいなまれる妄想を預かり、反省しない被告人に使うため弁護士に売る。エフ博士の経営は順調だったが、思いを寄せる女性に預かった妄想を使おうとしたことで事件が起きる。
本作は人間の妄想を主題としており、人間の妄想はとめどなく、突拍子もないものもある。更に、エフ博士も、妄想を取り扱い人々を俯瞰的に見ている一方で、思いを寄せる女性への私利私欲で預かった妄想を使用する。人間の妄想と欲を描いている本作だが、それを否定する言葉は出てこないことが面白いと感じた。エフ博士は誰がどのような妄想をして、その妄想がどのように使われても良いという姿勢であり、エフ博士の私欲による行動の結果も、状況を描くのみで教訓らしい文章はない。しかし、その端的な描写が、読者にこの作品の教訓を伝えているのではないだろうか。
また、1978年の初版発行から40年以上経過していることを感じさせず、時代や年齢を問わず読みやすい短編であると感じた。
6『HiGH & LOW』(ドラマ、映画)
企画:EXILE HIRO
監督:久保茂昭
制作:日本テレビ
ここでは『HiGH & LOW』シリーズの内、メインストーリーの区切りとなる、テレビドラマ『HiGH & LOW~THE STORY OF S.W.O.R.D~』から、映画『HiGH & LOW THE MOVIE3/FINAL MISSION』について書く。
5つのチームが拮抗していることから、各チームの頭文字を取って「SWORD地区」と呼ばれる地区を舞台として、不良たちの戦いや絆を描いたシリーズ。
かつて地区一帯を支配していたがある事件をきっかけに姿を消したチーム「ムゲン」と、「ムゲン」に対抗する強さを持つ「雨宮兄弟」、その後勢力を強めた5つのチーム「SWORD」、更に突如現れた新勢力「MIGHTY WARRIORS」を中心に物語が展開される。
本作のキャッチコピーは「全員主役」である。「SWORD」の中のSにあたる「山王連合会」がメインとなってドラマはスタートするが、ドラマ2作と映画4作の物語の中で、上記の各勢力全てにフォーカスは合わせられる。その中でも、各チームのリーダー達による、チームへの愛と地区の不良から大人への成長に対する葛藤は見所である。更に、本シリーズでは各リーダーの下に付いていた世代達にスポットライトを当てたスピンオフ作品も制作されており、「全員主役」というキャッチコピーに誠実な作品である。
7『DTC‐湯けむり純情編‐from HiGH & LOW』(映画)
企画:EXILE HIRO
監督:平沼紀久
『HiGH & LOW』シリーズのスピンオフ作品。「SWORD」の一つ「山王連合会」に属するダン・テッツ・チハルの三人(通称「DTC」)は、波乱の日々からひと段落し、行き当たりばったりのバイク旅を始める。旅先で出会った旅館の母娘と、旅館の番頭の恋を応援するため、かつて戦った相手である「SWORD」の別チームのメンバーの協力も得て、プロポーズ大作戦を計画する。
作中、3人の旅を「喧嘩0、笑い80、感動20」と表現するセリフが登場する。これは、そのまま本作のテーマにもなっており、本作は、不良ものとしてアクションシーンに注力してきた『HiGH & LOW』シリーズで初めて喧嘩シーンが一切登場しない。
しかし、愛する人への想いや絆が描かれていることはシリーズの他作品と共通しており、『HiGH & LOW』シリーズの主軸は喧嘩そのものではなく、大切な人のために力を尽くすことだと受け取ることができる作品である。
8『カニーニとカニーノ』(短編アニメーション)
監督:米林宏昌
制作:スタジオポノック
父のトト、兄のカニーニ、弟のカニーノは川に住むサワガニの家族。ある大嵐の日に、カニーニを助けようとしたトトは巨大な泡の塊に飲まれてしまう。小さな兄弟は、トトを探しに旅に出ることを決意する。
小さなサワガニから見た川底の描写が美しく印象的である。また、カニーニ達は擬人化されているが、他の生き物はそのままの姿で描かれていることも特徴的だ。特に、カニーニ達を捕食しようとする魚や、更にそれを餌とする鳥等をCGで表現することで、カニーニ達からは大きく恐ろしい生き物であることを伝えている。
弟の前では涙を見せまいとするカニーニが、母の前では子供らしく泣くラストシーンは、米林監督が所属していたスタジオジブリの作品『となりのトトロ』のラストシーンを彷彿させた。
9『サムライエッグ』(短編アニメーション)
監督:百瀬義行
制作:スタジオポノック
東京都で暮らす野球好きで元気な小学生のシュンは、生まれつき重度の卵アレルギーを持っている。諦めず治療を受けるシュンと、それをひたむきに見守る母だったが、ある日シュンが誤って卵入りのアイスクリームを食べてしまう。
食物アレルギーの深刻さを伝えるとともに、親子の愛情を描く短編。本作では、シュンの周囲の人々は皆アレルギーへの理解と配慮をしており、それによりシュンは助けられる。アレルギーは当事者以外は苦しみが分かりにくいものだが、学ぼうとする周囲の姿勢の大切さを本作は伝えていると考える。作中には卵アレルギーの治療法や対処法について、言葉で説明されることなく描かれるが、観た者が自ら調べて理解する機会になるのではないだろうか。
10『透明人間』(短編アニメーション)
監督:山下明彦
制作:スタジオポノック
本作の主人公である青年は、透明人間だ。周りの人間はもちろん、自動ドアやATMも、青年を認識しない。消火器やつるはしといった重りがなければ、空に浮いて飛ばされてしまう。絶望する青年だったが、老人に声をかけられ、心境に変化が訪れる。そんな中青年は道路に放置されたベビーカーを見つける。
本作は、若者のアイデンティティを描いていると考える。古びたアパートで同じような日々を過ごし、他人へ親切にしても見向きもされない。「自分が生きている意味とは何なんだろう」といった、若者が持ちうる感情を、透明人間という表現で表していると捉えることができる。
ベビーカーの赤ん坊が車に轢かれそうになる所を助け、赤ん坊から笑顔を向けられた青年は、ラストシーンで消火器もつるはしも持たずに生活している。これは青年が、何かに頼ることなく、自分の意思で生きる主体性を得た成長を描いていると考えられる。
三年 小林
RES
夏休み課題 11~20
11ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~(漫画)
著 星来
ルックスと仲の良さで人気を誇っている三人組配信者グループ「COSMIC」。そんな彼らのファンの中には、本当に彼らに恋をしてしまっているファン、所謂「ガチ恋」が存在している。そんな「ガチ恋」たちが巻き起こす事件と、彼女たちの狂気を描いた作品。
この作品を魅力は配信者に異常なほど執着する狂気的な姿の中に、どこかかわいらしさを感じる女性たちのキャラクター性である。この作品に登場する女性たちは、盲目的に恋をするあまり、常軌を逸した行動や激しい感情をあらわにすることが多々ある。その様子は読んでいて恐怖を感じるほどだ。しかしながらそのような描写だけではなく、きちんと「恋をする女の子」としてのかわいらしさやいじらしさなども表現されており、そこだけ切り取ってみれば普通の恋愛漫画と同じようなヒロインたちに見えなくもないのである。「配信者に恋をすること」の異常性を強調するかのような狂気性とただ恋をする乙女としての側面を克明に描くことによって、普通の感性では異常に見えてしまうかもしれない出来事も、本質的には普通の恋愛と何ら変わりがないのだと感じさせられるのだ。インターネット配信者が人気を博している現在、「ガチ恋」と呼ばれる人々は多数存在している。そのような人々の思考回路を理解する教材としても、一度是非読んでみてほしい作品である。
12ある継母のメルヘン
著 ORKA Spice&Kitty
主人公のシュリーは、世の中から恥と呼ばれながらも、自分と歳の変わらない子供たちを女手一つで育てあげた女性である。長男ジェレミーの結婚式の日を迎える直前、なんとジェレミーの婚約者を通じて、結婚式には来るなと告げられてしまうのである。失意の中城を去る彼女は、途中で山賊に襲われ、非業の死を遂げるのだが、気が付くと七年前、死んだ夫の葬儀の日に戻ってきてしまったのである。戸惑う彼女だが、後悔しかなかった1度目の人生とは違った人生を生きようと心に誓う。
この作品の魅力は、主人公のシュリ―の「母」としての強さを描いている点である。彼女は継母という立場もあり、子供たちに「ニセモノ」と呼ばれ、嫌がらせや無視といった仕打ちを受けていた。世の中の評価も悪く、孤立無援の状態でありながらも、1度目の人生は亡き夫との約束のために子供たちを育て上げ、2度目の人生は1度目の人生の失敗を踏まえて、子供たちとよりよい関係を築くように尽力している様子がしっかりと描かれている。子供たちがピンチに陥った際は当主としての立場をフルに活用して子供たちを守り抜き、そんな彼女の姿を見て子供たちが徐々に心を開いていくシーンはとても美しく、あたたかい光景である。また最新話付近になると、シュリ―視点ではなく、子供たちから見た結婚式直前の話がなされており、彼らが何を考えていたのか、本当に憎しみしか生まれていなかったのかなどの真実が明らかになる。ぜひ読んでいただきたい作品だ。
13悪役のエンディングは死のみ
著 SUOL Gwon Gyeoeul
乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」に没頭していた主人公は、ある日ゲームをしたまま寝落ちしてしまう。次に目を覚ますと彼女は嫌われ者の公女であり、間違った選択肢を選んでしまった時点で死が確定するハードモード専用のヒロイン、ペネロペとなっていた。自分の生命を守るため、彼女はキャラクターたちの攻略に挑む。
この話の魅力は主人公の置かれている環境があまりにも過酷であること、そしてその状況をどう覆していくかの過程の描き方にあると考える。主人公がなりかわる前のペネロペの置かれていた環境はとてもいいものとは言えず、使用人にも嫌がらせを受けている始末であった。それと合わせて「好感度がマイナスになってしまえば死んでしまうことが必須」というあまりにも厳しい条件がプラスされており、物語を読み始めてからの絶望感が普通の作品よりも大きい。しかし主人公が元居た環境もあまりよいものではなく、むしろペネロペと似ている部分も多かったこと、そして彼女自身がそのゲームに対する膨大な知識を持っていることで、都度最適解を見出し、危険な状況を回避している。理知的な主人公とスリルのある展開に心をわしづかみされる作品であると言えよう。
14悪女は砂時計をひっくり返す
著 Antstudio SANSOBEE
主人公のアリアは、売春婦の母が伯爵と結婚したことにより、平民から貴族の一因となりあがった女性である。しかし彼女の存在をよく思わなかった妹のエミールにはめられ、アリアは命を落とすことになる。しかし死の直前に不思議な砂時計によって時間がまき戻り、彼女はもう一度人生をやり直すチャンスが与えられた。そして彼女は決意する。「私をひどい目に遭わせたすべてのひとに、死ぬほうがましだと思わせよう」と。
この物語はアリアの復讐劇である。一度目の人生での彼女は教養が足りず、まんまとエミールにはめられて「大バカ者の悪女」となってしまった経緯がある。そのためアリアは二度目の人生において、彼女を真っ向から成敗するのではなく、同じ土俵に立ち、できるだけエミールの尊厳を破壊することに軸を置いて行動している。復讐を原動力に教養をつけ、様々な知略を巡らせることで、立派に「狡猾な悪女」として成長していくアリアと、そんなアリアにしてやられているかつての悪女、エミールの姿の対比が非常に痛快に描かれている作品である。ぜひ読んでいただきたい。
15その悪女に気をつけてください
著 Blue Canna Soda Ice Berry
小説「恋するアイツら」のファンであった主人公は、交通事故に遭った後、なぜか小説の中の悪女、メリッサに憑依してしまう。小説の中のメリッサのような悪女にはならず、また登場人物たちともお近づきにならず、悠々自適に過ごそうとするのだが……
この作品の魅力は主人公の圧倒的メンタルの強さと、その力強さに圧倒される男性たちとのやり取りである。全体的にこの作品はコメディ色が強く、浮気性やストーカー、ヤンデレなど人間性に問題のある男性たちを気持ちのいいくらいバッサリと切っていく展開が多い。これは悪女としてふるまうのでもなく、だからといって聖女でいるつもりもないという彼女のスタンスからくるもので、「目には目を、歯には歯を」を地で行く様子は読んでいて爽快だ。罵倒の語彙などもウィットに富んでいるため思わずクスリとさせられる。また主人公の顔芸やアニメ、ゲームのパロディなどが物語を損なわない程度にちりばめられており、飽きずに読めるのも魅力的である。ピッコマにて無料連載中なのでぜひ読んでいただきたい。
16ちひろさん
著 安田弘之
海辺の弁当屋で働く看板娘、ちひろさん。飄々としてつかみどころのない彼女と、そんな彼女を取り巻く人々がおりなす、時に優しく、時に切ない連作短編集。
この物語の魅力は、世間的に正しく生きることだけが幸せを呼ぶのではないというメッセージ性にあると私は考えている。主人公のちひろさんは、元風俗嬢という経歴がある。そのような職業の人たちに対して、世間は不幸な人、かわいそうな人というレッテルを貼ることが多い。しかしちひろさんはそんなレッテル貼りをものともせず、自分が決めた軸からブレることなく、悠々自適に生きている。時には法を犯すようなシーンもあれば、道徳的に正しくない行動に走ることもあるが、そんな彼女の姿を見て誰も不幸だとは思わず、むしろ生き方として憧れる人は多いのではないかと個人的には感じている。生きるうえでの心構えや、正論だけが人を救うわけではないという教訓など、人間推して学ぶ部分が多い作品であるため、一度読んでいただきたい作品だ。
17 盗掘王
著 3B2S SAN.G Yuns
世界各地に現れた謎の「墓」。その中にある遺物を探索するチームのリーダー、剛力は、雇い主に嵌められてしまい、命の危機に陥る。その直前に謎のカラスが登場し「もう一度チャンスをやろう、真の玉座についてみろ」と彼に告げたその時、まばゆい光が彼を包み込む。気が付くと十五年前、遺物の存在が知られていなかった時期に時間がまき戻っていた。彼は自分をはめた張本人、大河原への復讐を誓うとともに、遺物を集めて世界の頂点に立つことを決意する。
この物語の魅力は単なる漫画としてのおもしろさだけではなく、世界の寓話や逸話などを知るきっかけを提供してくれるところにあると考えている。この話に欠かせない存在、「遺物」は逸話や歴史上の出来事をもとにした能力を持っており、その特徴の解説のために逸話の概略などが明記される。その種類は多岐にわたり、木こりの斧などの有名なものから聞いたこともないような逸話まで様々だ。そのような逸話を知るきっかけにもなると同時に、「もしこの逸話で遺物を作るとしたらどんな能力になるだろうか」などの空想を膨らませてくれる作品でもあるため、是非お勧めしたい一作である。
18 整形シンデレラ
著:四ツ原フリコ
主人公の橘凜は決して見女麗しいとは言えない、むしろ不細工という部類に入る女性である。彼女は会社でもその容姿をいじられ、みじめに過ごしつつも、仕方ないとどこかであきらめて生きていた。そんなある日、彼女は宝くじに当選、一千万超の大金を得たことをきっかけに整形を決意、新しい生活をスタートさせる。
本作品は整形をする側の立場と、それを批判する社会の構図をしっかりと描いた作品である。今でこそ整形は気軽なものとして扱われているが、人工的に美しさを作り出す行為に不快感を示す人間の数はいまだ多い。これはそんな人にこそ読んでほしい作品である。自分がなぜこんな顔面に生まれてきたのかを呪い、鏡を見るたびに自分の醜さに辟易するような重く苦しい心情を克明に描いており、他人から見れば嫌煙するような行為でも、醜さに苦しめられてきた人間にとっての整形は唯一の救いであるということを読者に訴えかけてくるのだ。また整形して幸せを簡単につかむのではなく、同僚たちからの好奇の目や整形したからこそ生まれる劣等感なども描いており、整形をしていない人間だけではなく、したことのある人間にとっても共感できる物語であると言えよう。
19 ボスとヤス
著 さいのすけ
冷徹で合理的な裏社会のボスと、その右腕であるヤス。ある日ボスはヤスに「自分の右腕になりそうな強くて美しい愛人が欲しい」と命令する。しかし全国津々浦々どこを探してもボスのお眼鏡にかなう女性はみつからない。困りはてたボスはとうとう最終手段に出る。「自分に催眠術をかけてもらい、ヤスを美女だと思い込ませよう」と。
まず設定からして突飛な本作だが、全編通してカオスな様相が続いている。催眠術がかかっているボスの目から見た美人のヤスと、一般の目からみた武骨な男のヤスの描写が交互に連続して描かれ、読んでいるこちらの脳の認知機能を破壊してくる新しい漫画であり、読んでいて新鮮だった。人物設定がヤクザということもあり、そのような人物が大真面目に馬鹿なことをやっているというギャップもまた笑いを誘う。絵柄に関しても美人を描く際には繊細かつ流麗なボディラインを強調した描き方がなされているのだが、武骨な男性を描く際にはとにかく力強い筆致で描かれており、その対比も見事である。常識や固定概念を全部捨ててみてほしい作品である。
20 ショタくんとおじさん
ショタくんとそれを陰で見守るおじさん。かなり怪しい風貌のねちゃりとしたおじさんに暖かく見守られながら、ショタくんがすくすく成長していく様子を見守るコメディ漫画。
とりあえず一話目のインパクトで度肝を抜かれる作品である。いたいけな少年にいかにも怪しい風貌のおじさんが何か怪しいものを与えている様子は何かしらの事件性を感じるが、その実ショタくんにおいしいご飯を与えているだけだった、という展開は謎の危機感を持っていただけにほっこり感もひとしおである。またおじさんは絶対にショタくんに触れず、絶妙な距離感からショタくんを見守り、彼の成長を陰ながら手助けしている存在であり、ファンからは「RINRIおじさん」と呼ばれるほどの聖人である。そんなおじさんに徐々になついて近づこうとするショタくんとおじさんの微妙な攻防戦も見どころの一つである。心が疲れたときにぜひ見てほしい一作だ。
11ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~(漫画)
著 星来
ルックスと仲の良さで人気を誇っている三人組配信者グループ「COSMIC」。そんな彼らのファンの中には、本当に彼らに恋をしてしまっているファン、所謂「ガチ恋」が存在している。そんな「ガチ恋」たちが巻き起こす事件と、彼女たちの狂気を描いた作品。
この作品を魅力は配信者に異常なほど執着する狂気的な姿の中に、どこかかわいらしさを感じる女性たちのキャラクター性である。この作品に登場する女性たちは、盲目的に恋をするあまり、常軌を逸した行動や激しい感情をあらわにすることが多々ある。その様子は読んでいて恐怖を感じるほどだ。しかしながらそのような描写だけではなく、きちんと「恋をする女の子」としてのかわいらしさやいじらしさなども表現されており、そこだけ切り取ってみれば普通の恋愛漫画と同じようなヒロインたちに見えなくもないのである。「配信者に恋をすること」の異常性を強調するかのような狂気性とただ恋をする乙女としての側面を克明に描くことによって、普通の感性では異常に見えてしまうかもしれない出来事も、本質的には普通の恋愛と何ら変わりがないのだと感じさせられるのだ。インターネット配信者が人気を博している現在、「ガチ恋」と呼ばれる人々は多数存在している。そのような人々の思考回路を理解する教材としても、一度是非読んでみてほしい作品である。
12ある継母のメルヘン
著 ORKA Spice&Kitty
主人公のシュリーは、世の中から恥と呼ばれながらも、自分と歳の変わらない子供たちを女手一つで育てあげた女性である。長男ジェレミーの結婚式の日を迎える直前、なんとジェレミーの婚約者を通じて、結婚式には来るなと告げられてしまうのである。失意の中城を去る彼女は、途中で山賊に襲われ、非業の死を遂げるのだが、気が付くと七年前、死んだ夫の葬儀の日に戻ってきてしまったのである。戸惑う彼女だが、後悔しかなかった1度目の人生とは違った人生を生きようと心に誓う。
この作品の魅力は、主人公のシュリ―の「母」としての強さを描いている点である。彼女は継母という立場もあり、子供たちに「ニセモノ」と呼ばれ、嫌がらせや無視といった仕打ちを受けていた。世の中の評価も悪く、孤立無援の状態でありながらも、1度目の人生は亡き夫との約束のために子供たちを育て上げ、2度目の人生は1度目の人生の失敗を踏まえて、子供たちとよりよい関係を築くように尽力している様子がしっかりと描かれている。子供たちがピンチに陥った際は当主としての立場をフルに活用して子供たちを守り抜き、そんな彼女の姿を見て子供たちが徐々に心を開いていくシーンはとても美しく、あたたかい光景である。また最新話付近になると、シュリ―視点ではなく、子供たちから見た結婚式直前の話がなされており、彼らが何を考えていたのか、本当に憎しみしか生まれていなかったのかなどの真実が明らかになる。ぜひ読んでいただきたい作品だ。
13悪役のエンディングは死のみ
著 SUOL Gwon Gyeoeul
乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」に没頭していた主人公は、ある日ゲームをしたまま寝落ちしてしまう。次に目を覚ますと彼女は嫌われ者の公女であり、間違った選択肢を選んでしまった時点で死が確定するハードモード専用のヒロイン、ペネロペとなっていた。自分の生命を守るため、彼女はキャラクターたちの攻略に挑む。
この話の魅力は主人公の置かれている環境があまりにも過酷であること、そしてその状況をどう覆していくかの過程の描き方にあると考える。主人公がなりかわる前のペネロペの置かれていた環境はとてもいいものとは言えず、使用人にも嫌がらせを受けている始末であった。それと合わせて「好感度がマイナスになってしまえば死んでしまうことが必須」というあまりにも厳しい条件がプラスされており、物語を読み始めてからの絶望感が普通の作品よりも大きい。しかし主人公が元居た環境もあまりよいものではなく、むしろペネロペと似ている部分も多かったこと、そして彼女自身がそのゲームに対する膨大な知識を持っていることで、都度最適解を見出し、危険な状況を回避している。理知的な主人公とスリルのある展開に心をわしづかみされる作品であると言えよう。
14悪女は砂時計をひっくり返す
著 Antstudio SANSOBEE
主人公のアリアは、売春婦の母が伯爵と結婚したことにより、平民から貴族の一因となりあがった女性である。しかし彼女の存在をよく思わなかった妹のエミールにはめられ、アリアは命を落とすことになる。しかし死の直前に不思議な砂時計によって時間がまき戻り、彼女はもう一度人生をやり直すチャンスが与えられた。そして彼女は決意する。「私をひどい目に遭わせたすべてのひとに、死ぬほうがましだと思わせよう」と。
この物語はアリアの復讐劇である。一度目の人生での彼女は教養が足りず、まんまとエミールにはめられて「大バカ者の悪女」となってしまった経緯がある。そのためアリアは二度目の人生において、彼女を真っ向から成敗するのではなく、同じ土俵に立ち、できるだけエミールの尊厳を破壊することに軸を置いて行動している。復讐を原動力に教養をつけ、様々な知略を巡らせることで、立派に「狡猾な悪女」として成長していくアリアと、そんなアリアにしてやられているかつての悪女、エミールの姿の対比が非常に痛快に描かれている作品である。ぜひ読んでいただきたい。
15その悪女に気をつけてください
著 Blue Canna Soda Ice Berry
小説「恋するアイツら」のファンであった主人公は、交通事故に遭った後、なぜか小説の中の悪女、メリッサに憑依してしまう。小説の中のメリッサのような悪女にはならず、また登場人物たちともお近づきにならず、悠々自適に過ごそうとするのだが……
この作品の魅力は主人公の圧倒的メンタルの強さと、その力強さに圧倒される男性たちとのやり取りである。全体的にこの作品はコメディ色が強く、浮気性やストーカー、ヤンデレなど人間性に問題のある男性たちを気持ちのいいくらいバッサリと切っていく展開が多い。これは悪女としてふるまうのでもなく、だからといって聖女でいるつもりもないという彼女のスタンスからくるもので、「目には目を、歯には歯を」を地で行く様子は読んでいて爽快だ。罵倒の語彙などもウィットに富んでいるため思わずクスリとさせられる。また主人公の顔芸やアニメ、ゲームのパロディなどが物語を損なわない程度にちりばめられており、飽きずに読めるのも魅力的である。ピッコマにて無料連載中なのでぜひ読んでいただきたい。
16ちひろさん
著 安田弘之
海辺の弁当屋で働く看板娘、ちひろさん。飄々としてつかみどころのない彼女と、そんな彼女を取り巻く人々がおりなす、時に優しく、時に切ない連作短編集。
この物語の魅力は、世間的に正しく生きることだけが幸せを呼ぶのではないというメッセージ性にあると私は考えている。主人公のちひろさんは、元風俗嬢という経歴がある。そのような職業の人たちに対して、世間は不幸な人、かわいそうな人というレッテルを貼ることが多い。しかしちひろさんはそんなレッテル貼りをものともせず、自分が決めた軸からブレることなく、悠々自適に生きている。時には法を犯すようなシーンもあれば、道徳的に正しくない行動に走ることもあるが、そんな彼女の姿を見て誰も不幸だとは思わず、むしろ生き方として憧れる人は多いのではないかと個人的には感じている。生きるうえでの心構えや、正論だけが人を救うわけではないという教訓など、人間推して学ぶ部分が多い作品であるため、一度読んでいただきたい作品だ。
17 盗掘王
著 3B2S SAN.G Yuns
世界各地に現れた謎の「墓」。その中にある遺物を探索するチームのリーダー、剛力は、雇い主に嵌められてしまい、命の危機に陥る。その直前に謎のカラスが登場し「もう一度チャンスをやろう、真の玉座についてみろ」と彼に告げたその時、まばゆい光が彼を包み込む。気が付くと十五年前、遺物の存在が知られていなかった時期に時間がまき戻っていた。彼は自分をはめた張本人、大河原への復讐を誓うとともに、遺物を集めて世界の頂点に立つことを決意する。
この物語の魅力は単なる漫画としてのおもしろさだけではなく、世界の寓話や逸話などを知るきっかけを提供してくれるところにあると考えている。この話に欠かせない存在、「遺物」は逸話や歴史上の出来事をもとにした能力を持っており、その特徴の解説のために逸話の概略などが明記される。その種類は多岐にわたり、木こりの斧などの有名なものから聞いたこともないような逸話まで様々だ。そのような逸話を知るきっかけにもなると同時に、「もしこの逸話で遺物を作るとしたらどんな能力になるだろうか」などの空想を膨らませてくれる作品でもあるため、是非お勧めしたい一作である。
18 整形シンデレラ
著:四ツ原フリコ
主人公の橘凜は決して見女麗しいとは言えない、むしろ不細工という部類に入る女性である。彼女は会社でもその容姿をいじられ、みじめに過ごしつつも、仕方ないとどこかであきらめて生きていた。そんなある日、彼女は宝くじに当選、一千万超の大金を得たことをきっかけに整形を決意、新しい生活をスタートさせる。
本作品は整形をする側の立場と、それを批判する社会の構図をしっかりと描いた作品である。今でこそ整形は気軽なものとして扱われているが、人工的に美しさを作り出す行為に不快感を示す人間の数はいまだ多い。これはそんな人にこそ読んでほしい作品である。自分がなぜこんな顔面に生まれてきたのかを呪い、鏡を見るたびに自分の醜さに辟易するような重く苦しい心情を克明に描いており、他人から見れば嫌煙するような行為でも、醜さに苦しめられてきた人間にとっての整形は唯一の救いであるということを読者に訴えかけてくるのだ。また整形して幸せを簡単につかむのではなく、同僚たちからの好奇の目や整形したからこそ生まれる劣等感なども描いており、整形をしていない人間だけではなく、したことのある人間にとっても共感できる物語であると言えよう。
19 ボスとヤス
著 さいのすけ
冷徹で合理的な裏社会のボスと、その右腕であるヤス。ある日ボスはヤスに「自分の右腕になりそうな強くて美しい愛人が欲しい」と命令する。しかし全国津々浦々どこを探してもボスのお眼鏡にかなう女性はみつからない。困りはてたボスはとうとう最終手段に出る。「自分に催眠術をかけてもらい、ヤスを美女だと思い込ませよう」と。
まず設定からして突飛な本作だが、全編通してカオスな様相が続いている。催眠術がかかっているボスの目から見た美人のヤスと、一般の目からみた武骨な男のヤスの描写が交互に連続して描かれ、読んでいるこちらの脳の認知機能を破壊してくる新しい漫画であり、読んでいて新鮮だった。人物設定がヤクザということもあり、そのような人物が大真面目に馬鹿なことをやっているというギャップもまた笑いを誘う。絵柄に関しても美人を描く際には繊細かつ流麗なボディラインを強調した描き方がなされているのだが、武骨な男性を描く際にはとにかく力強い筆致で描かれており、その対比も見事である。常識や固定概念を全部捨ててみてほしい作品である。
20 ショタくんとおじさん
ショタくんとそれを陰で見守るおじさん。かなり怪しい風貌のねちゃりとしたおじさんに暖かく見守られながら、ショタくんがすくすく成長していく様子を見守るコメディ漫画。
とりあえず一話目のインパクトで度肝を抜かれる作品である。いたいけな少年にいかにも怪しい風貌のおじさんが何か怪しいものを与えている様子は何かしらの事件性を感じるが、その実ショタくんにおいしいご飯を与えているだけだった、という展開は謎の危機感を持っていただけにほっこり感もひとしおである。またおじさんは絶対にショタくんに触れず、絶妙な距離感からショタくんを見守り、彼の成長を陰ながら手助けしている存在であり、ファンからは「RINRIおじさん」と呼ばれるほどの聖人である。そんなおじさんに徐々になついて近づこうとするショタくんとおじさんの微妙な攻防戦も見どころの一つである。心が疲れたときにぜひ見てほしい一作だ。
三年 小林
RES
夏休み課題1~10
1ODDTAXI(アニメ)
企画・原作 P.I.C.S. 脚本 此元和津也 監督 木下麦
主人公の小戸川は、平凡な毎日を送るタクシードライバーである。そんな彼のもとには一癖も二癖もある客たちがたびたび乗車する。そうして彼らの話を聞いていくうちに、小戸川は平凡な日常とはかけ離れた事件に巻き込まれていく。
この物語は登場人物が全員動物の姿をしていることが特徴的だが、かわいらしいキャラクターデザインとは裏腹に、失踪事件やヤクザと警察の癒着など、描いている内容はダークで過激なものとなっている。初回はまだ日常的で、登場人物たちのコミカルな会話劇を楽しむような作品になっているが、回を追うごとにサスペンスの要素が強くなり、最終回付近になるとハラハラドキドキが止まらないような展開が待ち受けているため、まるでジェットコースターにでも乗ったかのような感覚を味わうことが出来る。またこの作品は現代のインターネット社会を風刺するような側面も持ち合わせており、SNSで自己顕示欲を満たそうとする者ややソシャゲ依存により人生を狂わされている者など、コミカルな動物たちを使うことで滑稽に見せながらも実際にありうるような狂気を鮮明に描いている。例示した以外にもそのような描写はたくさんあるので、是非視聴して確かめてみてほしい。
2ワンルームエンジェル(漫画)
著者 はらだ
惰性で毎日を送っていた主人公、幸紀は、とあるいざこざに巻き込まれ、チンピラに刺されて瀕死になった際、遠のく意識の中で、美しい白い羽をもつ天使を見た。その後すっかり完治し、自宅に戻ると、刺された際に見た天使がそこにいた。記憶もなく、身寄りもない天使を不憫に思った幸紀は、その天使を自分の家においてやることにした。社会不適合者の男と、ふてぶてしい天使の奇妙なルームシェアの始まりである。
この作品の見どころは天使と主人公の心の傷をお互いが癒していく過程にある。主人公の幸紀は過去自分が犯した過ちにずっと取りつかれたまま日々を惰性で暮らしており、自分に生きる価値などないと自責の念に駆られ続けている。そのような心の傷に対し、「あなたは悪くない」等、幸紀に許しを与えるような言葉をかける天使の存在により、徐々に彼の傷は癒されていく。物語の中盤になると、天使の重い過去が明らかになっていくのだが、その際には天使を不器用ながらも支えようとする幸紀の姿が描写されている。「言葉」と「行動」にという二つの優しさが彼らの傷をそっと癒すような描写が非常に秀逸で、読者の心に暖かさを残すような作品であるため、是非一度読んでほしい作品である。
3 終点は東京。(漫画)
著者 はやりやまい
サラリーマンの穂村は、長く付き合ってきた同性の恋人、高瀬を誘い、旅行に行くことにした。その旅行を最後の思い出に、高瀬に別れを告げることを決意して。
BL作品を描くうえで重要な要素の一つに、「普通」との乖離に頭を悩ませる登場人物というものがある。この作品はその要素を強く押し出した作品である。主人公の穂村は性的指向が同性に向くタイプの人間であり、そのため「普通」でいることにとてもこだわりのある性格として描かれている。自分が今得ている愛情と世間一般の感性を比較して苦悩する主人公の描写がとても丁寧で、切なさや苦しさがひしひしと伝わってくる。離れなければならないと苦悩する穂村とは裏腹に、高瀬が注ぐ彼への愛情も随所に見られ、それがまた切なさを加速させている。ぜひ読んでいただきたい作品である。
4 五十嵐くんと中原くん(漫画)
著者 イサム
中学時代のトラウマを払拭するために、高校デビューを果たした主人公、中原冬吾と、不真面目ながらもクラスでは人気を誇っている五十嵐桜が、とある衝突をきっかけにその距離を縮め、深くかかわりあっていく物語。
この話の肝は中原と五十嵐の立場の違いにある。五十嵐は中原にとって、自分が持ちたくとも持てなかったものをすべて持っていた所謂「勝ち組」のような存在である。中原はそれを実感するたび、自らの内にある劣等感や羨望と対峙することになる。逆に五十嵐が持ちえなかったものをすべて持っているのが中原であり、そんな二人がゆっくりと心の内をさらけ出すたびに、関係に変化が生まれる過程がとても上手に描かれている。作中のセリフを借りて言うならば「どちらかが息を吸っている時は吐いて、吐いているときは吸っているような、息があっているようで合わない関係」の二人の行く末を見守っていきたい所存である。
5 こいにもならない。(漫画)
著者 hagi
主人公の田島は、それまで接点のなかった男子生徒、古賀の泣き顔を偶然見てしまう。その理由をよくよく聞くと、古賀が大事に育てていた金魚を、自分の飼い猫が殺してしまったことが原因であると判明する。何とか謝罪しようとする古賀と仲良くする田島。その過程で、彼は古賀が心に抱えてきた秘密を知る。
この物語は、古賀が抱えるどうしようもない想いと、それを包み込むかのような田島の優しさが織りなす物語であり、夏を題材にしていることもあってか、話の内容の割には爽やかに読むことが出来る作品である。登場人物が全員善人であり、誰も悪くないからこその悩みや虚無感なども非常に繊細に描かれている。またこの作品ではよく金魚鉢の描写が見られるのだが、その使い方も実に素晴らしく、空っぽになっても捨てられず、ただ形骸化した想いをずっと抱えている古賀の心情をよく表している。BL初心者にもお勧めできる作品であると言えよう。
6 窮鼠はチーズの夢を見る(映画)
監督 行定勲 原作 水城せとな
自分を好きになってくれた人間を来るもの拒まず、適当に付き合ってきた主人公、大伴は、ある日後輩である今ヶ瀬と七年ぶりに再会する。その際に告げられたのは、大伴の妻に浮気調査を依頼されており、浮気の証拠を黙る代わりに自分と関係を持ってくれという話だった。最初は証拠のために嫌々関係を持っていた大伴だったが、徐々に今ヶ瀬に絆されていく。
これまで漫画でのBL作品を解説してきたが、今回は実写でのBL作品である。この作品はとにかく空気感を演出することがうまく、主人公を想う今ヶ瀬の気持ちと、今ヶ瀬を想いつつも受け入れることを拒む大伴との関係性を肌で感じることが出来た。視聴しているうちに大伴の煮え切らない態度にイライラし、それでも大伴を想う今ヶ瀬がより健気に見えてきていたたまれない気持ちになるなど、とにかく感情の動きが忙しくなる作品である。できれば時間に余裕があるときに視聴していただきたい。
7 忘却バッテリー(漫画)
著者 みかわ絵子
中学硬式野球界でその名を知らない者はいないほどの天才バッテリー、清峰と要。そんな彼らとの実力差に絶望し、野球を続けることを諦めた山田は、そこで信じられない光景を目にする。確かに自分が打ちのめされた原因である清峰と要が、野球部のない自分と同じ高校に進学している姿だった。かつて智将と呼ばれた要が記憶喪失になってしまっているというおまけ付きで。
この物語はしっかりとスポーツ漫画の王道をなぞっているものの、ちょうどよく挟まれるギャグシーンや、それぞれのキャラクターが非常に際立っている作品である。特にこの物語の根幹である天才バッテリー、その女房役である要は、記憶喪失以前は智将と呼ばれるほど理知的でストイックな人物だったのだが、記憶を失ってからはそんな要素は一切なく、むしろアホになっていた、という設定は実に魅力的である。勢いのあるギャグシーンを生み出しながらも、シリアスなシーンの際はその明るさで人を前向きな気持ちにさせる描写も非常に上手い。記憶喪失で何もかも忘れてしまったからこそ、立ちふさがる強敵だけではなく、「智将」であった自分もライバルであるという描写が生まれ、読んでいて実に胸が躍ったのを覚えている。このようにギャグと熱さの2つを持ち合わせたキャラクターたちが沢山登場し、どのキャラクターにも愛着を持って物語を読むことが出来るため、読んでいて非常に楽しい漫画となっている。現在連載中であり、非常に熱い展開となっているので、是非読んでみてほしい。
8 その着せ替え人形は恋をする(漫画)
著者 福田晋一
主人公の五条は、幼いころ自分が好きな菊人形の趣味を否定されたことがトラウマになり、高校生になってもいまいち人と関われずにいた。そんなある日、菊人形用の服を家庭科室で作っているところを、自分とは正反対の存在であるクラスメイト、喜多川に見つかってしまう。喜多川は彼が衣服を作れると判明するや否や、こう依頼してくる。「あたしにコス衣装つくってくれないかな……!?」
この物語は正反対の二人がお互いの「好き」をぶつけ合うことで仲を深める過程や、そこに含まれる甘酸っぱい恋模様が描かれている作品である。五条と喜多川は両者ともにジャンルは違えど、マイナーな趣味を持っていることが共通点として挙げられる。ただ五条がその趣味を表に出さないこととは裏腹に、喜多川はその趣味を隠すことはせず、むしろ惜しみなく好きを表現している。そんな正反対な二人が、コスプレを通じて自分の好きなことを最大限表現できる相手として関係を発展させていく様は実にほほえましい。また恋模様に関してだが、普通の恋愛漫画なら何かが起きそうな展開でも、二人が非常に純情で、意識するだけで何も発展しないことがよくあり、読者としてはもどかしいいものの、二人のかわいらしさに心を何度もつかまれるような、とにかくキュンキュンさせられる作品となっている。ぜひ読んでいただきたい。
9 姉の嫁と暮らしています(漫画)
著者 くずしろ
主人公、岸辺志乃は両親も兄も亡くしてしまった高校生の少女である。そんな彼女が今共に暮らしているのは、亡くなった兄の嫁、希。「家族だけど他人」という二人は、今日も穏やかな日常を共に暮らす。
この物語で描かれているのは、血縁関係はないものの義理の家族ではあるという微妙な関係性と、遺されてしまった側の苦悩である。志乃と希は一見非常に仲が良く、周りからもまるで本物の姉妹のようだと評されているのだが、やはりどこか遠慮が見えたり、踏みこもうにも踏み込めないような領域があることをしっかりと描写している。また序盤こそ幸せな二人の描写が多いものの、中盤になるとそれがただの傷のなめあいであり、愛しい人が二度と帰らないという事実から目を背け続けるためのぬるま湯のような関係であることを、登場人物はもちろん、読者にもはっきりと叩きつけてくる。そのような後ろ向きの関係から、どのようにして前向きな関係へと変わっていくのか、そしてその過程で起きる摩擦をどう解決していくのか、是非実際に読んで確かめてみてほしい。
10ラジエーションハウス(漫画)
原作 横幕智裕 漫画 モリタイシ
診療放射線技師の五十嵐は、幼馴染で憧れの女性である杏とかわした「自分が放射線技師、杏が放射線科医として共に働く」という約束を果たすため、甘春総合病院で技師として働くことになる。しかしとうの甘春は彼のことを覚えておらず、それどころか技師の身分でありながら自分より優れた読影技術をもつ五十嵐に対して強く当たってしまう始末。そんな二人と個性豊かな仲間たちがCTやMRIを使い、怪我や病の原因、それに付随する物事の真相を解き明かす医療漫画。
この物語は普通の医療漫画とは違い、手術などのシーンは一切描かれない。その代わり描かれるのはCTやMRIなど、病気を見つけるための現場である。その描き方が非常に詳細であり、放射線科というあまり理解が及んでいない部分においてもわかりやすく説明がなされている。また読影という病気を診断する作業における描画が非常に美しいのも特徴的だ。主人公の五十嵐は読影技術に長けており、そのレベルは放射線科医の権威にも認められるほどである。そんな彼の異次元な読影技術を描写するために見開きのページを丸々使うなどの大胆な表現が使われており、その美しさは漫画というよりかは一種の絵画の域に達していると言えよう。そのような描写と丁寧な解説により、放射線科では何が行われているのか、そこで生じている問題とは何なのかを興味をもって学ぶことが出来、単なる漫画としての面白さだけではなく、学びも得ることができるような作品に感じられた。
1ODDTAXI(アニメ)
企画・原作 P.I.C.S. 脚本 此元和津也 監督 木下麦
主人公の小戸川は、平凡な毎日を送るタクシードライバーである。そんな彼のもとには一癖も二癖もある客たちがたびたび乗車する。そうして彼らの話を聞いていくうちに、小戸川は平凡な日常とはかけ離れた事件に巻き込まれていく。
この物語は登場人物が全員動物の姿をしていることが特徴的だが、かわいらしいキャラクターデザインとは裏腹に、失踪事件やヤクザと警察の癒着など、描いている内容はダークで過激なものとなっている。初回はまだ日常的で、登場人物たちのコミカルな会話劇を楽しむような作品になっているが、回を追うごとにサスペンスの要素が強くなり、最終回付近になるとハラハラドキドキが止まらないような展開が待ち受けているため、まるでジェットコースターにでも乗ったかのような感覚を味わうことが出来る。またこの作品は現代のインターネット社会を風刺するような側面も持ち合わせており、SNSで自己顕示欲を満たそうとする者ややソシャゲ依存により人生を狂わされている者など、コミカルな動物たちを使うことで滑稽に見せながらも実際にありうるような狂気を鮮明に描いている。例示した以外にもそのような描写はたくさんあるので、是非視聴して確かめてみてほしい。
2ワンルームエンジェル(漫画)
著者 はらだ
惰性で毎日を送っていた主人公、幸紀は、とあるいざこざに巻き込まれ、チンピラに刺されて瀕死になった際、遠のく意識の中で、美しい白い羽をもつ天使を見た。その後すっかり完治し、自宅に戻ると、刺された際に見た天使がそこにいた。記憶もなく、身寄りもない天使を不憫に思った幸紀は、その天使を自分の家においてやることにした。社会不適合者の男と、ふてぶてしい天使の奇妙なルームシェアの始まりである。
この作品の見どころは天使と主人公の心の傷をお互いが癒していく過程にある。主人公の幸紀は過去自分が犯した過ちにずっと取りつかれたまま日々を惰性で暮らしており、自分に生きる価値などないと自責の念に駆られ続けている。そのような心の傷に対し、「あなたは悪くない」等、幸紀に許しを与えるような言葉をかける天使の存在により、徐々に彼の傷は癒されていく。物語の中盤になると、天使の重い過去が明らかになっていくのだが、その際には天使を不器用ながらも支えようとする幸紀の姿が描写されている。「言葉」と「行動」にという二つの優しさが彼らの傷をそっと癒すような描写が非常に秀逸で、読者の心に暖かさを残すような作品であるため、是非一度読んでほしい作品である。
3 終点は東京。(漫画)
著者 はやりやまい
サラリーマンの穂村は、長く付き合ってきた同性の恋人、高瀬を誘い、旅行に行くことにした。その旅行を最後の思い出に、高瀬に別れを告げることを決意して。
BL作品を描くうえで重要な要素の一つに、「普通」との乖離に頭を悩ませる登場人物というものがある。この作品はその要素を強く押し出した作品である。主人公の穂村は性的指向が同性に向くタイプの人間であり、そのため「普通」でいることにとてもこだわりのある性格として描かれている。自分が今得ている愛情と世間一般の感性を比較して苦悩する主人公の描写がとても丁寧で、切なさや苦しさがひしひしと伝わってくる。離れなければならないと苦悩する穂村とは裏腹に、高瀬が注ぐ彼への愛情も随所に見られ、それがまた切なさを加速させている。ぜひ読んでいただきたい作品である。
4 五十嵐くんと中原くん(漫画)
著者 イサム
中学時代のトラウマを払拭するために、高校デビューを果たした主人公、中原冬吾と、不真面目ながらもクラスでは人気を誇っている五十嵐桜が、とある衝突をきっかけにその距離を縮め、深くかかわりあっていく物語。
この話の肝は中原と五十嵐の立場の違いにある。五十嵐は中原にとって、自分が持ちたくとも持てなかったものをすべて持っていた所謂「勝ち組」のような存在である。中原はそれを実感するたび、自らの内にある劣等感や羨望と対峙することになる。逆に五十嵐が持ちえなかったものをすべて持っているのが中原であり、そんな二人がゆっくりと心の内をさらけ出すたびに、関係に変化が生まれる過程がとても上手に描かれている。作中のセリフを借りて言うならば「どちらかが息を吸っている時は吐いて、吐いているときは吸っているような、息があっているようで合わない関係」の二人の行く末を見守っていきたい所存である。
5 こいにもならない。(漫画)
著者 hagi
主人公の田島は、それまで接点のなかった男子生徒、古賀の泣き顔を偶然見てしまう。その理由をよくよく聞くと、古賀が大事に育てていた金魚を、自分の飼い猫が殺してしまったことが原因であると判明する。何とか謝罪しようとする古賀と仲良くする田島。その過程で、彼は古賀が心に抱えてきた秘密を知る。
この物語は、古賀が抱えるどうしようもない想いと、それを包み込むかのような田島の優しさが織りなす物語であり、夏を題材にしていることもあってか、話の内容の割には爽やかに読むことが出来る作品である。登場人物が全員善人であり、誰も悪くないからこその悩みや虚無感なども非常に繊細に描かれている。またこの作品ではよく金魚鉢の描写が見られるのだが、その使い方も実に素晴らしく、空っぽになっても捨てられず、ただ形骸化した想いをずっと抱えている古賀の心情をよく表している。BL初心者にもお勧めできる作品であると言えよう。
6 窮鼠はチーズの夢を見る(映画)
監督 行定勲 原作 水城せとな
自分を好きになってくれた人間を来るもの拒まず、適当に付き合ってきた主人公、大伴は、ある日後輩である今ヶ瀬と七年ぶりに再会する。その際に告げられたのは、大伴の妻に浮気調査を依頼されており、浮気の証拠を黙る代わりに自分と関係を持ってくれという話だった。最初は証拠のために嫌々関係を持っていた大伴だったが、徐々に今ヶ瀬に絆されていく。
これまで漫画でのBL作品を解説してきたが、今回は実写でのBL作品である。この作品はとにかく空気感を演出することがうまく、主人公を想う今ヶ瀬の気持ちと、今ヶ瀬を想いつつも受け入れることを拒む大伴との関係性を肌で感じることが出来た。視聴しているうちに大伴の煮え切らない態度にイライラし、それでも大伴を想う今ヶ瀬がより健気に見えてきていたたまれない気持ちになるなど、とにかく感情の動きが忙しくなる作品である。できれば時間に余裕があるときに視聴していただきたい。
7 忘却バッテリー(漫画)
著者 みかわ絵子
中学硬式野球界でその名を知らない者はいないほどの天才バッテリー、清峰と要。そんな彼らとの実力差に絶望し、野球を続けることを諦めた山田は、そこで信じられない光景を目にする。確かに自分が打ちのめされた原因である清峰と要が、野球部のない自分と同じ高校に進学している姿だった。かつて智将と呼ばれた要が記憶喪失になってしまっているというおまけ付きで。
この物語はしっかりとスポーツ漫画の王道をなぞっているものの、ちょうどよく挟まれるギャグシーンや、それぞれのキャラクターが非常に際立っている作品である。特にこの物語の根幹である天才バッテリー、その女房役である要は、記憶喪失以前は智将と呼ばれるほど理知的でストイックな人物だったのだが、記憶を失ってからはそんな要素は一切なく、むしろアホになっていた、という設定は実に魅力的である。勢いのあるギャグシーンを生み出しながらも、シリアスなシーンの際はその明るさで人を前向きな気持ちにさせる描写も非常に上手い。記憶喪失で何もかも忘れてしまったからこそ、立ちふさがる強敵だけではなく、「智将」であった自分もライバルであるという描写が生まれ、読んでいて実に胸が躍ったのを覚えている。このようにギャグと熱さの2つを持ち合わせたキャラクターたちが沢山登場し、どのキャラクターにも愛着を持って物語を読むことが出来るため、読んでいて非常に楽しい漫画となっている。現在連載中であり、非常に熱い展開となっているので、是非読んでみてほしい。
8 その着せ替え人形は恋をする(漫画)
著者 福田晋一
主人公の五条は、幼いころ自分が好きな菊人形の趣味を否定されたことがトラウマになり、高校生になってもいまいち人と関われずにいた。そんなある日、菊人形用の服を家庭科室で作っているところを、自分とは正反対の存在であるクラスメイト、喜多川に見つかってしまう。喜多川は彼が衣服を作れると判明するや否や、こう依頼してくる。「あたしにコス衣装つくってくれないかな……!?」
この物語は正反対の二人がお互いの「好き」をぶつけ合うことで仲を深める過程や、そこに含まれる甘酸っぱい恋模様が描かれている作品である。五条と喜多川は両者ともにジャンルは違えど、マイナーな趣味を持っていることが共通点として挙げられる。ただ五条がその趣味を表に出さないこととは裏腹に、喜多川はその趣味を隠すことはせず、むしろ惜しみなく好きを表現している。そんな正反対な二人が、コスプレを通じて自分の好きなことを最大限表現できる相手として関係を発展させていく様は実にほほえましい。また恋模様に関してだが、普通の恋愛漫画なら何かが起きそうな展開でも、二人が非常に純情で、意識するだけで何も発展しないことがよくあり、読者としてはもどかしいいものの、二人のかわいらしさに心を何度もつかまれるような、とにかくキュンキュンさせられる作品となっている。ぜひ読んでいただきたい。
9 姉の嫁と暮らしています(漫画)
著者 くずしろ
主人公、岸辺志乃は両親も兄も亡くしてしまった高校生の少女である。そんな彼女が今共に暮らしているのは、亡くなった兄の嫁、希。「家族だけど他人」という二人は、今日も穏やかな日常を共に暮らす。
この物語で描かれているのは、血縁関係はないものの義理の家族ではあるという微妙な関係性と、遺されてしまった側の苦悩である。志乃と希は一見非常に仲が良く、周りからもまるで本物の姉妹のようだと評されているのだが、やはりどこか遠慮が見えたり、踏みこもうにも踏み込めないような領域があることをしっかりと描写している。また序盤こそ幸せな二人の描写が多いものの、中盤になるとそれがただの傷のなめあいであり、愛しい人が二度と帰らないという事実から目を背け続けるためのぬるま湯のような関係であることを、登場人物はもちろん、読者にもはっきりと叩きつけてくる。そのような後ろ向きの関係から、どのようにして前向きな関係へと変わっていくのか、そしてその過程で起きる摩擦をどう解決していくのか、是非実際に読んで確かめてみてほしい。
10ラジエーションハウス(漫画)
原作 横幕智裕 漫画 モリタイシ
診療放射線技師の五十嵐は、幼馴染で憧れの女性である杏とかわした「自分が放射線技師、杏が放射線科医として共に働く」という約束を果たすため、甘春総合病院で技師として働くことになる。しかしとうの甘春は彼のことを覚えておらず、それどころか技師の身分でありながら自分より優れた読影技術をもつ五十嵐に対して強く当たってしまう始末。そんな二人と個性豊かな仲間たちがCTやMRIを使い、怪我や病の原因、それに付随する物事の真相を解き明かす医療漫画。
この物語は普通の医療漫画とは違い、手術などのシーンは一切描かれない。その代わり描かれるのはCTやMRIなど、病気を見つけるための現場である。その描き方が非常に詳細であり、放射線科というあまり理解が及んでいない部分においてもわかりやすく説明がなされている。また読影という病気を診断する作業における描画が非常に美しいのも特徴的だ。主人公の五十嵐は読影技術に長けており、そのレベルは放射線科医の権威にも認められるほどである。そんな彼の異次元な読影技術を描写するために見開きのページを丸々使うなどの大胆な表現が使われており、その美しさは漫画というよりかは一種の絵画の域に達していると言えよう。そのような描写と丁寧な解説により、放射線科では何が行われているのか、そこで生じている問題とは何なのかを興味をもって学ぶことが出来、単なる漫画としての面白さだけではなく、学びも得ることができるような作品に感じられた。
2年 飯森
RES
夏休み課題21~30
21.『リバース』作者:湊かなえ
深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。しかし、『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのために――。
ミステリー小説は序盤に動きが少ないのが苦手であまり読んでこなかったが、この作品は序盤から動きがありテンポよく読むことが出来た。読んでいて中心人物全員に共通の罪があるため、だれが犯人かわからない。最後には予想した答えとは全く違った真実が見えるのは面白かった。
22.『黒子のバスケ』
帝光中学校バスケットボール部。部員数は100を超え全中3連覇を誇る超強豪校。その輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ、無敗を誇った10年に1人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と呼ばれている。そんな5人と6人目の選手が別々の高校に進学し誰が一番強い選手なのかを決める物語。
それぞれの選手は癖がある選手だが、進学した高校でみんな相棒と言えるような動機や頼りになる先輩と出会い、心境が徐々に変化していく。そんなプレイ面・精神面での進化を一度に見ることが出来るスポーツマンガである。
23.『文豪ストレイドッグス』作者:朝霧カフカ
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。 ... 敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
今まで読んだことのある小説の作者である文豪たちが登場してそれぞれの才能を発揮する。その才能は書いた作品をもとにして作られているので、読んだことのない文豪の作品も読んでみようと思える作品です。
24.『リクドウ』作者: 松原利光
悲惨な家庭環境で育った男の子がその闇を背負いながらボクシングに目覚め、チャンピオンを目指す物語。
誰もが考えたことがある、危ない考えや感性をもった人物が格闘技をやったらどうなるのかという疑問を絵にしてくれた作品である。とても暴力的なシーンなどもあるが、だからこそ血なまぐさい格闘シーンがより伝わると思う。
25.『ANGEL.VOICE』 著者:古谷野 孝雄
ケンカだったらレアル相手でも楽勝!! 腕に覚えのある“ワル”が集まり、“県内最強軍団”と皮肉られる市立蘭山高校サッカー部。その奇跡の物語が始まる。熱き心を取り戻せ!! 本格高校サッカー巨編!!
他のスポーツマンガとは違い、ただスポーツで高校の頂点に立ちたいだけではなく、マネージャーに少しでも喜んでほしいという気持ちで不良の部員たちが必死にサッカーをする感動するスポーツマンガである。
26.『死化粧屋』作者:三原ミツカズ
エンバーミング【embalming】――それは、遺体に防腐、殺菌、修復などの処置を施し、生前の姿に近く戻す技術。死化粧師(エンバーマー)間宮心十郎は、その技術を駆使して、遺されたものたちの心までも癒していく。死と再生をめぐる感動の物語。
この作品を読んで初めてエバーミングの技術を知ったが、火葬する日本でも選択肢の一つとして視野に入れてもいいと考えるほど、死者の姿を美しくするこの仕事は素晴らしいものだと考えさせられる作品だ。
27.『ダイヤのA』作者:寺嶋裕二
もう一度、あのミットに投げ込みたい・・・・。
捕手・御幸一也との出会いが、少年の人生を一変させる。沢村栄純15歳。
己の力を試すため、仲間に別れを告げ、野球名門校・青道の扉を叩く。そこには己のすべてをかけた誇り高き球児達がいた!
特別必殺技などがあるわけではないが、ただ練習をし続け結果を出す主人公をみて自分たちも根気強く何かをし続けなければならないと思わせる作品である。
28.『ロビンソン・クルーソー』作者: ダニエル・デフォー
小さなころから放浪癖があったロビンソン・クルーソーは、船乗りに憧れていました。中流の身分がいかに幸福かを両親が諭すも衝突し家をでる。そしていろいろな船に乗っては難破を繰り返し、ようやくたどり着いたのは無人島。その無人島で長い間生き残るサバイバル物語。
小学生の時に読み、また読み返した懐かしい作品である。この作品を読むと生きる覚悟と執念のような今を生きるのに大切なことを教えてくれる作品である。
29.『BLEACH』作者:久保帯人
霊感が強い高校生・黒崎一護は、悪霊退治に来た死神・朽木ルキアと出会う。そして死神の力を得た一護がさまざまな事件に巻き込まれていく。
ジャンプが誇る王道マンガの一つである作品だ。敵味方のキャラの強さのレベル差、話の構成などすべてが高水準で書かれているため、スピード感を保ったまま読むことが出来る。
30.『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』著者:渡航
自身の書いたひねくれた作文をきっかけに「奉仕部」なる部活に入部させられたぼっちな男子高校生比企谷八幡。 彼と、そこで出会った雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣たちが奉仕部を舞台として数々の経験を積み重ねる中で、三者三様に変化していく様子が主に八幡視点でシニカルにコミカルに描かれている
主人公である比企谷八幡の皮肉のきいた発言や、卑下などが中二病のような恥ずかしい発言だが、少し憧れてしまうようなキャラ設定が面白い。こんな学生生活でも楽しかったのではないかなと思える作品である。
21.『リバース』作者:湊かなえ
深瀬和久は、事務機会社に勤めるしがないサラリーマン。今までの人生でも、取り立てて目立つこともなく、平凡を絵に描いたような男だ。しかし、『深瀬和久は人殺しだ』という告発文が入った手紙が送りつけられたのだ。だれが、なんのために――。
ミステリー小説は序盤に動きが少ないのが苦手であまり読んでこなかったが、この作品は序盤から動きがありテンポよく読むことが出来た。読んでいて中心人物全員に共通の罪があるため、だれが犯人かわからない。最後には予想した答えとは全く違った真実が見えるのは面白かった。
22.『黒子のバスケ』
帝光中学校バスケットボール部。部員数は100を超え全中3連覇を誇る超強豪校。その輝かしい歴史の中でも特に「最強」と呼ばれ、無敗を誇った10年に1人の天才が5人同時にいた世代は「キセキの世代」と呼ばれている。そんな5人と6人目の選手が別々の高校に進学し誰が一番強い選手なのかを決める物語。
それぞれの選手は癖がある選手だが、進学した高校でみんな相棒と言えるような動機や頼りになる先輩と出会い、心境が徐々に変化していく。そんなプレイ面・精神面での進化を一度に見ることが出来るスポーツマンガである。
23.『文豪ストレイドッグス』作者:朝霧カフカ
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。 ... 敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
今まで読んだことのある小説の作者である文豪たちが登場してそれぞれの才能を発揮する。その才能は書いた作品をもとにして作られているので、読んだことのない文豪の作品も読んでみようと思える作品です。
24.『リクドウ』作者: 松原利光
悲惨な家庭環境で育った男の子がその闇を背負いながらボクシングに目覚め、チャンピオンを目指す物語。
誰もが考えたことがある、危ない考えや感性をもった人物が格闘技をやったらどうなるのかという疑問を絵にしてくれた作品である。とても暴力的なシーンなどもあるが、だからこそ血なまぐさい格闘シーンがより伝わると思う。
25.『ANGEL.VOICE』 著者:古谷野 孝雄
ケンカだったらレアル相手でも楽勝!! 腕に覚えのある“ワル”が集まり、“県内最強軍団”と皮肉られる市立蘭山高校サッカー部。その奇跡の物語が始まる。熱き心を取り戻せ!! 本格高校サッカー巨編!!
他のスポーツマンガとは違い、ただスポーツで高校の頂点に立ちたいだけではなく、マネージャーに少しでも喜んでほしいという気持ちで不良の部員たちが必死にサッカーをする感動するスポーツマンガである。
26.『死化粧屋』作者:三原ミツカズ
エンバーミング【embalming】――それは、遺体に防腐、殺菌、修復などの処置を施し、生前の姿に近く戻す技術。死化粧師(エンバーマー)間宮心十郎は、その技術を駆使して、遺されたものたちの心までも癒していく。死と再生をめぐる感動の物語。
この作品を読んで初めてエバーミングの技術を知ったが、火葬する日本でも選択肢の一つとして視野に入れてもいいと考えるほど、死者の姿を美しくするこの仕事は素晴らしいものだと考えさせられる作品だ。
27.『ダイヤのA』作者:寺嶋裕二
もう一度、あのミットに投げ込みたい・・・・。
捕手・御幸一也との出会いが、少年の人生を一変させる。沢村栄純15歳。
己の力を試すため、仲間に別れを告げ、野球名門校・青道の扉を叩く。そこには己のすべてをかけた誇り高き球児達がいた!
特別必殺技などがあるわけではないが、ただ練習をし続け結果を出す主人公をみて自分たちも根気強く何かをし続けなければならないと思わせる作品である。
28.『ロビンソン・クルーソー』作者: ダニエル・デフォー
小さなころから放浪癖があったロビンソン・クルーソーは、船乗りに憧れていました。中流の身分がいかに幸福かを両親が諭すも衝突し家をでる。そしていろいろな船に乗っては難破を繰り返し、ようやくたどり着いたのは無人島。その無人島で長い間生き残るサバイバル物語。
小学生の時に読み、また読み返した懐かしい作品である。この作品を読むと生きる覚悟と執念のような今を生きるのに大切なことを教えてくれる作品である。
29.『BLEACH』作者:久保帯人
霊感が強い高校生・黒崎一護は、悪霊退治に来た死神・朽木ルキアと出会う。そして死神の力を得た一護がさまざまな事件に巻き込まれていく。
ジャンプが誇る王道マンガの一つである作品だ。敵味方のキャラの強さのレベル差、話の構成などすべてが高水準で書かれているため、スピード感を保ったまま読むことが出来る。
30.『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』著者:渡航
自身の書いたひねくれた作文をきっかけに「奉仕部」なる部活に入部させられたぼっちな男子高校生比企谷八幡。 彼と、そこで出会った雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣たちが奉仕部を舞台として数々の経験を積み重ねる中で、三者三様に変化していく様子が主に八幡視点でシニカルにコミカルに描かれている
主人公である比企谷八幡の皮肉のきいた発言や、卑下などが中二病のような恥ずかしい発言だが、少し憧れてしまうようなキャラ設定が面白い。こんな学生生活でも楽しかったのではないかなと思える作品である。
2年 福島
RES
夏休み課題21~30
021.『十二夜』(洋画)
[監督]トレヴァー・ナン [公開]1996年
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラの乗った船が嵐に遭遇し転覆。異国に流れ着き奇跡的に助かったヴァイオラは、男装して領主オーシーノ公爵に小姓として仕えることにする。ヴァイオラは公爵に恋心を抱くが、公爵は伯爵令嬢のオリヴィアを愛していた。ところがオリヴィアは公爵の求愛を受け付けない上に、使いとしてやってきた男装のヴァイオラに女性と知らず惚れてしまう。ヴァイオラは実らぬ思いに苦悩するのだった…(出典:https://www.thecinema.jp/program/01878)
原作はシェイクスピアであり、物語の基礎的な面白さを垣間見ることができる。多くのすれ違いからいったんは悲劇になるところから、徐々に喜劇へと変容し、ストーリーが終わるところに構成の面白さを感じる。
022.『愛がなんだ』(邦画)
[監督]今泉力哉 [公開]2018
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない…。(出典:http://aigananda.com)
角田光代原作からなる単純な恋愛映画では済まされない本作品は、正解のない愛の形が見られる。好きという感情を超越した先にはどのような感情が生まれるのかという疑問は、物語の最後の台詞によって明かされるのだが、そこに私は一種の共感を抱いた。
023.『時生』(小説)
[作者]東野圭吾 [発行所]講談社 [制作日付]2010年10月1日28刷
不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、20年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った――。(出典:『時生』)
自分の息子が過去の自分に会いに来るという圧倒的ファンタジーから成り立つ本作品は、あまりに現実味がないにもかかわらず、東野圭吾の巧みな執筆により、興ざめすることなく感動することのできる作品だった。登場人物の性格が時を経てきちんと成長しているあたりも抜け目ないと感じた。
024.『ジヴェルニーの食卓』(小説)
[作者]原田マハ [発行所]集英社 [制作日付]2016年6月6日2刷
モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。(出典:amazon)
印象派とされる芸術家たちの人間味溢れる性格が本作品から伝わってきてあたたかかった。歴史上の人物であっても、その時代にしっかりと存在した私たちと変わらない人間であったことを再確認できる一冊だと感じる。
025.『勝手にふるえてろ』(邦画)
[監督]大九明子 [制作日付]2017年
OLのヨシカは同期の「ニ」からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」への思いもいまだに引きずり続けていた。一方的な脳内の片思いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛ド素人のヨシカは「私には彼氏が2人いる」と彼女なりに頭を悩ませていた。そんな中で「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」という奇妙な動機から、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……。(出典:https://eiga.com/movie/86705/)
本作品で注目したいのが、ヨシカとニには類似性があるところだ。恋が実らない相手に片思いしているところや、その好きな相手から名前を呼んでもらえないところがそれで、唯一異なった点であるコミュニケーション能力の有無が後の恋愛の結果に影響を及ぼしている。つまり、誰でも積極的になれば願いは叶うかもしれないというある意味で観客に勇気を与える作品であると考える。
026.『ピグマリオン』(洋画)
[監督]アンソニー・アスキス、レスリー・ハワード [公開]1938年
ヒギンズは下層の訛を聞き分ける名人。イライザの丸出しのコックニーに聞き惚れてはメモを取っていた。ちょっとした騒ぎになり仲裁に入ったピカリング大佐こそ、言語学の権威。大佐と意気投合した教授は、自分ならこの貧相な下町娘を半年でレディに生まれ変わらせてみせると軽口を叩く。(出典:Amazon Prime)
身分差が音声学に表されていることがテーマとなる本作品であるが、カメラワークにもそうした特徴と工夫が見られる。ヒギンズとイライザが冒頭初めて出会うシーンでは、イライザが道に座り、ヒギンスが立って話している場面などが挙げられる。
027.『海街diary』(邦画)
[監督]是枝裕和 [公開]2015年
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。(出典:https://eiga.com/movie/80446/)
009.で観た『Little Woman』が踏まえられているという本作品は、4姉妹のリアルな言動が効果的に表現されている。少女から大人の女性への移り変わり、成長が静かに丁寧に見られ、美しい映像になっていると感じた。
028.『風の谷のナウシカ』(アニメ映画)
[監督]宮崎駿 [公開]1984年
高度な産業文明を破壊させた「火の七日間」呼ばれる大戦争から1000年。人類は、巨大な虫や、毒の森・腐海に脅かされながら生きていた。辺境の小国「風の谷」の族長の娘、ナウシカは、人間同士の争いに巻き込まれていく。(出典:https://eiga.com/movie/7917/)
現在でもなお、向き合うべき問題とされる人間と自然への共生は、本作品から学ぶことが多いと感じる。本作品に見られる風刺的な人間の利己的姿勢は、決して良い結果を生むことはない。ナウシカのような柔軟な態度を身につけなければならないと背筋が伸びる作品でもある。
029.『かか』(小説)
[作者]宇佐見りん [発行所]河出書房新社 [制作日付]2021年2月20日8刷
壊れてしまった母(かか)を救うため、19歳の浪人生うーちゃんはある祈りを抱え熊野へ旅に出る。20歳の野性味あふれる感性で描き出す、痛切な愛と自立の物語。(出典:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028453/)
作者自身が書きたいものを、力一杯文字に表現したような感じが見受けられた。女性独特の表現も使われていて、生々しくリアルな感情を才能ある筆で描き、現代に存在する問題を柔らかく受動者側として描いていると思った。
030.『女のいない男たち』(小説)
[作者]村上春樹 [発行所]文藝春秋 [制作日付]2021年7月15日5刷
封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。(出典:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167907082)
大学の倫理学の授業で扱ったような概念のあり方と似た部分を本作品から感じ取った。テーマが統一されている短編集は非常に面白く、様々な女のいない男たちの通りがあって個人的に村上春樹は短編が好きだと改めて思った。
021.『十二夜』(洋画)
[監督]トレヴァー・ナン [公開]1996年
双子の兄妹セバスチャンとヴァイオラの乗った船が嵐に遭遇し転覆。異国に流れ着き奇跡的に助かったヴァイオラは、男装して領主オーシーノ公爵に小姓として仕えることにする。ヴァイオラは公爵に恋心を抱くが、公爵は伯爵令嬢のオリヴィアを愛していた。ところがオリヴィアは公爵の求愛を受け付けない上に、使いとしてやってきた男装のヴァイオラに女性と知らず惚れてしまう。ヴァイオラは実らぬ思いに苦悩するのだった…(出典:https://www.thecinema.jp/program/01878)
原作はシェイクスピアであり、物語の基礎的な面白さを垣間見ることができる。多くのすれ違いからいったんは悲劇になるところから、徐々に喜劇へと変容し、ストーリーが終わるところに構成の面白さを感じる。
022.『愛がなんだ』(邦画)
[監督]今泉力哉 [公開]2018
猫背でひょろひょろのマモちゃんに出会い、恋に落ちた。その時から、テルコの世界はマモちゃん一色に染まり始める。会社の電話はとらないのに、マモちゃんからの着信には秒速で対応、呼び出されると残業もせずにさっさと退社。友達の助言も聞き流し、どこにいようと電話一本で駆け付け(あくまでさりげなく)、平日デートに誘われれば余裕で会社をぶっちぎり、クビ寸前。大好きだし、超幸せ。マモちゃん優しいし。だけど。マモちゃんは、テルコのことが好きじゃない…。(出典:http://aigananda.com)
角田光代原作からなる単純な恋愛映画では済まされない本作品は、正解のない愛の形が見られる。好きという感情を超越した先にはどのような感情が生まれるのかという疑問は、物語の最後の台詞によって明かされるのだが、そこに私は一種の共感を抱いた。
023.『時生』(小説)
[作者]東野圭吾 [発行所]講談社 [制作日付]2010年10月1日28刷
不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、20年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った――。(出典:『時生』)
自分の息子が過去の自分に会いに来るという圧倒的ファンタジーから成り立つ本作品は、あまりに現実味がないにもかかわらず、東野圭吾の巧みな執筆により、興ざめすることなく感動することのできる作品だった。登場人物の性格が時を経てきちんと成長しているあたりも抜け目ないと感じた。
024.『ジヴェルニーの食卓』(小説)
[作者]原田マハ [発行所]集英社 [制作日付]2016年6月6日2刷
モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。(出典:amazon)
印象派とされる芸術家たちの人間味溢れる性格が本作品から伝わってきてあたたかかった。歴史上の人物であっても、その時代にしっかりと存在した私たちと変わらない人間であったことを再確認できる一冊だと感じる。
025.『勝手にふるえてろ』(邦画)
[監督]大九明子 [制作日付]2017年
OLのヨシカは同期の「ニ」からの突然の告白に「人生で初めて告られた!」とテンションがあがるが、「ニ」との関係にいまいち乗り切れず、中学時代から同級生の「イチ」への思いもいまだに引きずり続けていた。一方的な脳内の片思いとリアルな恋愛の同時進行に、恋愛ド素人のヨシカは「私には彼氏が2人いる」と彼女なりに頭を悩ませていた。そんな中で「一目でいいから、今のイチに会って前のめりに死んでいこう」という奇妙な動機から、ありえない嘘をついて同窓会を計画。やがてヨシカとイチの再会の日が訪れるが……。(出典:https://eiga.com/movie/86705/)
本作品で注目したいのが、ヨシカとニには類似性があるところだ。恋が実らない相手に片思いしているところや、その好きな相手から名前を呼んでもらえないところがそれで、唯一異なった点であるコミュニケーション能力の有無が後の恋愛の結果に影響を及ぼしている。つまり、誰でも積極的になれば願いは叶うかもしれないというある意味で観客に勇気を与える作品であると考える。
026.『ピグマリオン』(洋画)
[監督]アンソニー・アスキス、レスリー・ハワード [公開]1938年
ヒギンズは下層の訛を聞き分ける名人。イライザの丸出しのコックニーに聞き惚れてはメモを取っていた。ちょっとした騒ぎになり仲裁に入ったピカリング大佐こそ、言語学の権威。大佐と意気投合した教授は、自分ならこの貧相な下町娘を半年でレディに生まれ変わらせてみせると軽口を叩く。(出典:Amazon Prime)
身分差が音声学に表されていることがテーマとなる本作品であるが、カメラワークにもそうした特徴と工夫が見られる。ヒギンズとイライザが冒頭初めて出会うシーンでは、イライザが道に座り、ヒギンスが立って話している場面などが挙げられる。
027.『海街diary』(邦画)
[監督]是枝裕和 [公開]2015年
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。(出典:https://eiga.com/movie/80446/)
009.で観た『Little Woman』が踏まえられているという本作品は、4姉妹のリアルな言動が効果的に表現されている。少女から大人の女性への移り変わり、成長が静かに丁寧に見られ、美しい映像になっていると感じた。
028.『風の谷のナウシカ』(アニメ映画)
[監督]宮崎駿 [公開]1984年
高度な産業文明を破壊させた「火の七日間」呼ばれる大戦争から1000年。人類は、巨大な虫や、毒の森・腐海に脅かされながら生きていた。辺境の小国「風の谷」の族長の娘、ナウシカは、人間同士の争いに巻き込まれていく。(出典:https://eiga.com/movie/7917/)
現在でもなお、向き合うべき問題とされる人間と自然への共生は、本作品から学ぶことが多いと感じる。本作品に見られる風刺的な人間の利己的姿勢は、決して良い結果を生むことはない。ナウシカのような柔軟な態度を身につけなければならないと背筋が伸びる作品でもある。
029.『かか』(小説)
[作者]宇佐見りん [発行所]河出書房新社 [制作日付]2021年2月20日8刷
壊れてしまった母(かか)を救うため、19歳の浪人生うーちゃんはある祈りを抱え熊野へ旅に出る。20歳の野性味あふれる感性で描き出す、痛切な愛と自立の物語。(出典:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309028453/)
作者自身が書きたいものを、力一杯文字に表現したような感じが見受けられた。女性独特の表現も使われていて、生々しくリアルな感情を才能ある筆で描き、現代に存在する問題を柔らかく受動者側として描いていると思った。
030.『女のいない男たち』(小説)
[作者]村上春樹 [発行所]文藝春秋 [制作日付]2021年7月15日5刷
封印されていた記憶の数々を解くには今しかない。見慣れたはずのこの世界に潜む秘密を探る6つの物語。(出典:https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167907082)
大学の倫理学の授業で扱ったような概念のあり方と似た部分を本作品から感じ取った。テーマが統一されている短編集は非常に面白く、様々な女のいない男たちの通りがあって個人的に村上春樹は短編が好きだと改めて思った。
2年 福島
RES
夏休み課題11~20
011.『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(アニメ映画)
[監督]こだま兼嗣 [公開]1997年
新一宛に世界的に有名な建築家・森谷教授の邸宅で開かれるパーティーの招待状が届いた。コナンは、蘭と小五郎を誘い出席する。それが事件の始まりだった・・・。 プラスティック爆弾用の特殊火薬が大量に盗まれる事件が発生した。その犯人と名乗る男から予告電話が入り、現場に賭けつけるコナン。そこへ「なぜ工藤が来ない!」と再び犯人から電話が入る。ヤツはどこからか見ているのか?!そして、連続して犯人からの爆弾予告。いったいどこに爆弾を仕掛けたのか?恐怖が大都会をパニックに陥れる。刻々と迫るタイムリミット、コナンに打つ手はあるのか!
劇場版名探偵コナンでは、ラストシーンで2回ほど盛り上がりがあるのが特徴的であり、今回もそれが目立っている。最後の蘭のセリフも印象的であり、劇場版第1作目でありながら、根強い人気があるのもうなづける迫力満点の作品だと感じる。
012.「銀河鉄道の夜」『新編 銀河鉄道の夜』(小説)
[作者]宮沢賢治 [発行所]新潮社 [制作日付]2020年9月20日75刷
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作。(出典:『新編 銀河鉄道の夜』)
あまりにも悲しくて神秘的な話だったので驚いた。これは宮沢賢治の幸せ観を見ることができ、それは私にとって何か影響を与えるには違いないだろうと思った。そしてそのような人たちが私以前にあまたといてこの作品が違う形となって継承されていったのだ。一番驚いたのは、作品の中でタイタニック号をモチーフにした出来事が描かれていたことである。その時代を映し出し、こうやって物語は続いていくのだと改めて思った。
013.『インターンシップ』(洋画)
[監督]ショーン・レビ [公開]2013年
時計会社の営業マンとして働くビリーとニックは、巧みなセールストークで多くの顧客に時計を売ってきた。しかし、彼らの会社がデジタル化の波を受けて倒産し、失業の憂き目にあってしまう。そんな矢先、デジタル時代の代名詞とも言える巨大企業Googleがインターンを募集していることを知った彼らは、思い切って応募してみることに。なんとか面接に受かったものの、周囲は超優秀な学生たちばかり。I T音痴の2人は、持ち前の話術を武器に正社員を目指すが……。(出典:https://eiga.com/movie/78849/)
映画のストーリー構成はありがちではあったものの、だからこそ鑑賞後は快くて良かった。アメリカの大企業が舞台なだけあって、独特なインターンシップ内容で、アメリカのスタンダードがどのようなのか知りたいと強く思った。文化の違いも垣間見える大学生にぴったりの映画だと思った。
014.『エヴァンゲリオン新劇場版:序』(アニメ映画)
[監督]庵野秀明、摩砂雪、鶴巻和哉 [公開]2007年
未曾有の大災害“セカンドインパクト”の爪痕を残した地球――第3新東京市を目ざして“第4使徒”が襲来し、人類の命運は特務機関ネルフに委ねられた。14歳の少年・碇シンジは、連れられたネルフ本部でエヴァンゲリオン初号機に乗り使徒と戦うことを強要される。言われるがまま初号機に乗りこんだシンジは使徒を撃退。エヴァ零号機のパイロット・綾波レイとともに、使徒迎撃の任につくが、やがて襲来した第6使徒は初号機に大損害をあたえる。葛城ミサトは、日本全土の電力を一カ所に集め初号機の陽電子砲で使徒を撃滅する“ヤシマ作戦”を立案。果たして人類の運命は?(出典:Amazon Prime)
この新劇場版エヴァンゲリオン作品は観る度に深い構成を感じ、そしてより感動するという素晴らしい作品になっていると感じる。使徒と戦うという非現実的な設定を、あまりに人間的な登場人物、碇シンジが主人公となることや現実的な風景を丁寧に描くことで、適正なバランスを保たせ不自然に思わせないところが良いと感じる。
015.『エヴァンゲリオン新劇場版:破』(アニメ映画)
[監督]庵野秀明、摩砂雪、鶴巻和哉 [公開]2009年
北極にあるネルフの基地・ベタニアベースで発掘された第3使徒をエヴァ仮設5号機で倒す、真希波・マリ・イラストリアス。一方、日本には式波・アスカ・ラングレーとエヴァ2号機が到着し、第7使徒を撃滅した。そして第8使徒が衛星軌道上から飛来し、ネルフ本部を襲撃。3機のエヴァンゲリオンが連携する作戦でこれを迎え撃ち、孤立気味だったアスカも仲間の存在に目覚めはじめる。ところが、起動実験中のエヴァ3号機が第9使徒に乗っ取られてしまう。迎撃に出たシンジは、その中に乗るのがアスカと知り戦慄する。ゲンドウは初号機の制御をダミーシステムに切り換え、3号機との戦闘を始めた…。(出典:Amazon Prime)
新劇場版序に続く2作目の作品。2009年の作品とは思えないほどの素晴らしい映像で戦闘シーンは大迫力だ。シンジの苦悩がラストのサードインパクトに繋がってしまうシーンはなんともやるせないが、1番の感動シーンだと感じる。登場人物たちの感情が丁寧に描かれるところが序に続いて素晴らしい。
016.『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』(アニメ映画)
[監督] 庵野秀明、摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉 [公開]2012年
14年の歳月を経て目覚めたシンジは、ミサトら元ネルフ職員が新たなクルーを加えて結成した反ネルフ組織“ヴィレ”の戦艦AAAヴンダーにいた。エヴァンゲリオン初号機から発見されたのはシンジひとりで、綾波レイはいなかった。だが、シンジ奪還のため急襲をしかけてきたEVA Mark.09からレイの声を聞いたシンジは、ヴンダーを去りネルフへと向かう。そこで出会った渚カヲルに導かれ、変わり果てた大地の姿を見たシンジは、レイを救済したことをきっかけに“ニア・サードインパクト”が起き、地球に甚大な被害を与えたことを知るのだった。(出典:Amazon Prime)
Qは新劇場版の中でも理解するのが難しい作品だ。エヴァンゲリオンは他の作品と比較して、説明的ではない点でそこが問題に上がってきてしまうのだろう。しかしながら、説明的ではないことによって、物語の「行間を読む」といった作業などが行われなければならず、作品に能動的に関わらなければいけなくなる。そういった点が好きな視聴者であれば、非常に興味深い作品だと感じる。
017.『シン・エヴァンゲリオン新劇場版:||』(アニメ映画)
[監督] 庵野秀明、鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏 [公開]2021年
新たな劇場版シリーズの第4部であり、完結編。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。(出典:Amazon Prime)
新劇場版の最終章である本作品は、2時間半の大作だ。前作を上回る精巧な映像はアニメーション技術の大きな可能性を感じるとともに、改めてアニメーション文化の素晴らしさを感じた。ストーリーもしっかりとしていて、完結作品として相当以上のものであったと個人的に思った。
018.『白鳥とコウモリ』(小説)
[作者]東野圭吾 [発行所]幻冬舎 [制作日付]2021年4月5日
2017年11月1日。港区海岸に止められた車の中で腹を刺された男性の遺体が発見された。被害者は白石健介。正義感が強くて評判のいい弁護士だった。捜査の一環で、白石の生前、弁護士事務所に電話をかけてきた男、倉木達郎を愛知県三河安城に訪ねる刑事、五代。驚くべきことにその倉木がある日突然、自供をし始める—が。2017年東京、1984年愛知を繋ぐ“告白”が、人々を新たな迷宮へと誘う−。
(出典:https://www.gentosha.co.jp/hakuchotokomori/#character)
ある事件の犯人の自供から物語が始まるという構成は斬新で東野圭吾作品の中でも新しいと感じた。東野圭吾作品は単なるミステリー本にとどまらず、その周りの家族など人間関係の複雑さまで器用に描いているところが特徴的で、それが物語に深みを与えていると感じる。今回の作品もテーマ的に難しいものでありながら、上手くまとまりを見せた印象があった。
019.『パリの国連で夢を食う』(小説)
[作者]川内有緒 [発行所]幻冬舎 [制作日付]2017年6月10日
チャンスを摑んだのは31歳の時。2年前に応募した国連から突然書類審査に合格との知らせが舞い込んだ。2000倍の倍率を勝ち抜き、いざパリへ。世界一のお役所のガチガチな官僚機構とカオスな組織運営にビックリしながら、世界中から集まる野性味あふれる愉快な同僚達と、個性的な生き方をする友人らに囲まれて過ごした5年半の痛快パリ滞在記。(出典:https://www.gentosha.co.jp/book/b10908.html)
『パリでメシを食う』ほどではなかったものの、人生の指標になりそうな素晴らしい刺激的な本だった。ノンフィクションであるにもかかわらず面白い日常が描かれていて、作者のようなフットワークの軽さは人生を豊かにする一つの要因になるのだろうと思った。
020.『恐竜が教えてくれたこと』(洋画)
[監督]ステフェン・ワウテルロウト [公開]2019年
オランダ北部の島に、家族で夏のバカンスにきていた11歳の少年サム。彼は、「地球最後の恐竜は、自分が最後って知ってたのかな」と悩む、小さな哲学者のような男の子。そんな彼が不思議な魅力にあふれた少女テスと出会う。彼女はいままで出会ったどんな友達とも別だった。はにかむ笑顔を見せるかと思えば、急にそっぽをむいたり、大笑いしたり…。そんなテスにサムはどんどん魅かれていく。ある日サムは、テスからある重大なことを打ち明けられる。死んだと知らされていたパパを、ママには内緒で島に招待したというのだ。娘がいるなんて知らないパパに、娘の存在をどんな風に知らせるのか…。テスとサムの秘密の計画が実行される!七日後、それが二人の運命を大きく変えていくなんて、サムはその時想像もしなかった…。(出典:http://kyoryu.ayapro.ne.jp/about.php)
幼少期に誰もが抱きそうな疑問を真剣に真正面から向き合った優しい作品であると感じた。末っ子であるサムが自分が最後の存在になると思って1人の時間を増やす姿や、それを辞めるきっかけとなった部分に心打たれ、印象深い。
011.『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』(アニメ映画)
[監督]こだま兼嗣 [公開]1997年
新一宛に世界的に有名な建築家・森谷教授の邸宅で開かれるパーティーの招待状が届いた。コナンは、蘭と小五郎を誘い出席する。それが事件の始まりだった・・・。 プラスティック爆弾用の特殊火薬が大量に盗まれる事件が発生した。その犯人と名乗る男から予告電話が入り、現場に賭けつけるコナン。そこへ「なぜ工藤が来ない!」と再び犯人から電話が入る。ヤツはどこからか見ているのか?!そして、連続して犯人からの爆弾予告。いったいどこに爆弾を仕掛けたのか?恐怖が大都会をパニックに陥れる。刻々と迫るタイムリミット、コナンに打つ手はあるのか!
劇場版名探偵コナンでは、ラストシーンで2回ほど盛り上がりがあるのが特徴的であり、今回もそれが目立っている。最後の蘭のセリフも印象的であり、劇場版第1作目でありながら、根強い人気があるのもうなづける迫力満点の作品だと感じる。
012.「銀河鉄道の夜」『新編 銀河鉄道の夜』(小説)
[作者]宮沢賢治 [発行所]新潮社 [制作日付]2020年9月20日75刷
貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作。(出典:『新編 銀河鉄道の夜』)
あまりにも悲しくて神秘的な話だったので驚いた。これは宮沢賢治の幸せ観を見ることができ、それは私にとって何か影響を与えるには違いないだろうと思った。そしてそのような人たちが私以前にあまたといてこの作品が違う形となって継承されていったのだ。一番驚いたのは、作品の中でタイタニック号をモチーフにした出来事が描かれていたことである。その時代を映し出し、こうやって物語は続いていくのだと改めて思った。
013.『インターンシップ』(洋画)
[監督]ショーン・レビ [公開]2013年
時計会社の営業マンとして働くビリーとニックは、巧みなセールストークで多くの顧客に時計を売ってきた。しかし、彼らの会社がデジタル化の波を受けて倒産し、失業の憂き目にあってしまう。そんな矢先、デジタル時代の代名詞とも言える巨大企業Googleがインターンを募集していることを知った彼らは、思い切って応募してみることに。なんとか面接に受かったものの、周囲は超優秀な学生たちばかり。I T音痴の2人は、持ち前の話術を武器に正社員を目指すが……。(出典:https://eiga.com/movie/78849/)
映画のストーリー構成はありがちではあったものの、だからこそ鑑賞後は快くて良かった。アメリカの大企業が舞台なだけあって、独特なインターンシップ内容で、アメリカのスタンダードがどのようなのか知りたいと強く思った。文化の違いも垣間見える大学生にぴったりの映画だと思った。
014.『エヴァンゲリオン新劇場版:序』(アニメ映画)
[監督]庵野秀明、摩砂雪、鶴巻和哉 [公開]2007年
未曾有の大災害“セカンドインパクト”の爪痕を残した地球――第3新東京市を目ざして“第4使徒”が襲来し、人類の命運は特務機関ネルフに委ねられた。14歳の少年・碇シンジは、連れられたネルフ本部でエヴァンゲリオン初号機に乗り使徒と戦うことを強要される。言われるがまま初号機に乗りこんだシンジは使徒を撃退。エヴァ零号機のパイロット・綾波レイとともに、使徒迎撃の任につくが、やがて襲来した第6使徒は初号機に大損害をあたえる。葛城ミサトは、日本全土の電力を一カ所に集め初号機の陽電子砲で使徒を撃滅する“ヤシマ作戦”を立案。果たして人類の運命は?(出典:Amazon Prime)
この新劇場版エヴァンゲリオン作品は観る度に深い構成を感じ、そしてより感動するという素晴らしい作品になっていると感じる。使徒と戦うという非現実的な設定を、あまりに人間的な登場人物、碇シンジが主人公となることや現実的な風景を丁寧に描くことで、適正なバランスを保たせ不自然に思わせないところが良いと感じる。
015.『エヴァンゲリオン新劇場版:破』(アニメ映画)
[監督]庵野秀明、摩砂雪、鶴巻和哉 [公開]2009年
北極にあるネルフの基地・ベタニアベースで発掘された第3使徒をエヴァ仮設5号機で倒す、真希波・マリ・イラストリアス。一方、日本には式波・アスカ・ラングレーとエヴァ2号機が到着し、第7使徒を撃滅した。そして第8使徒が衛星軌道上から飛来し、ネルフ本部を襲撃。3機のエヴァンゲリオンが連携する作戦でこれを迎え撃ち、孤立気味だったアスカも仲間の存在に目覚めはじめる。ところが、起動実験中のエヴァ3号機が第9使徒に乗っ取られてしまう。迎撃に出たシンジは、その中に乗るのがアスカと知り戦慄する。ゲンドウは初号機の制御をダミーシステムに切り換え、3号機との戦闘を始めた…。(出典:Amazon Prime)
新劇場版序に続く2作目の作品。2009年の作品とは思えないほどの素晴らしい映像で戦闘シーンは大迫力だ。シンジの苦悩がラストのサードインパクトに繋がってしまうシーンはなんともやるせないが、1番の感動シーンだと感じる。登場人物たちの感情が丁寧に描かれるところが序に続いて素晴らしい。
016.『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』(アニメ映画)
[監督] 庵野秀明、摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉 [公開]2012年
14年の歳月を経て目覚めたシンジは、ミサトら元ネルフ職員が新たなクルーを加えて結成した反ネルフ組織“ヴィレ”の戦艦AAAヴンダーにいた。エヴァンゲリオン初号機から発見されたのはシンジひとりで、綾波レイはいなかった。だが、シンジ奪還のため急襲をしかけてきたEVA Mark.09からレイの声を聞いたシンジは、ヴンダーを去りネルフへと向かう。そこで出会った渚カヲルに導かれ、変わり果てた大地の姿を見たシンジは、レイを救済したことをきっかけに“ニア・サードインパクト”が起き、地球に甚大な被害を与えたことを知るのだった。(出典:Amazon Prime)
Qは新劇場版の中でも理解するのが難しい作品だ。エヴァンゲリオンは他の作品と比較して、説明的ではない点でそこが問題に上がってきてしまうのだろう。しかしながら、説明的ではないことによって、物語の「行間を読む」といった作業などが行われなければならず、作品に能動的に関わらなければいけなくなる。そういった点が好きな視聴者であれば、非常に興味深い作品だと感じる。
017.『シン・エヴァンゲリオン新劇場版:||』(アニメ映画)
[監督] 庵野秀明、鶴巻和哉、中山勝一、前田真宏 [公開]2021年
新たな劇場版シリーズの第4部であり、完結編。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。(出典:Amazon Prime)
新劇場版の最終章である本作品は、2時間半の大作だ。前作を上回る精巧な映像はアニメーション技術の大きな可能性を感じるとともに、改めてアニメーション文化の素晴らしさを感じた。ストーリーもしっかりとしていて、完結作品として相当以上のものであったと個人的に思った。
018.『白鳥とコウモリ』(小説)
[作者]東野圭吾 [発行所]幻冬舎 [制作日付]2021年4月5日
2017年11月1日。港区海岸に止められた車の中で腹を刺された男性の遺体が発見された。被害者は白石健介。正義感が強くて評判のいい弁護士だった。捜査の一環で、白石の生前、弁護士事務所に電話をかけてきた男、倉木達郎を愛知県三河安城に訪ねる刑事、五代。驚くべきことにその倉木がある日突然、自供をし始める—が。2017年東京、1984年愛知を繋ぐ“告白”が、人々を新たな迷宮へと誘う−。
(出典:https://www.gentosha.co.jp/hakuchotokomori/#character)
ある事件の犯人の自供から物語が始まるという構成は斬新で東野圭吾作品の中でも新しいと感じた。東野圭吾作品は単なるミステリー本にとどまらず、その周りの家族など人間関係の複雑さまで器用に描いているところが特徴的で、それが物語に深みを与えていると感じる。今回の作品もテーマ的に難しいものでありながら、上手くまとまりを見せた印象があった。
019.『パリの国連で夢を食う』(小説)
[作者]川内有緒 [発行所]幻冬舎 [制作日付]2017年6月10日
チャンスを摑んだのは31歳の時。2年前に応募した国連から突然書類審査に合格との知らせが舞い込んだ。2000倍の倍率を勝ち抜き、いざパリへ。世界一のお役所のガチガチな官僚機構とカオスな組織運営にビックリしながら、世界中から集まる野性味あふれる愉快な同僚達と、個性的な生き方をする友人らに囲まれて過ごした5年半の痛快パリ滞在記。(出典:https://www.gentosha.co.jp/book/b10908.html)
『パリでメシを食う』ほどではなかったものの、人生の指標になりそうな素晴らしい刺激的な本だった。ノンフィクションであるにもかかわらず面白い日常が描かれていて、作者のようなフットワークの軽さは人生を豊かにする一つの要因になるのだろうと思った。
020.『恐竜が教えてくれたこと』(洋画)
[監督]ステフェン・ワウテルロウト [公開]2019年
オランダ北部の島に、家族で夏のバカンスにきていた11歳の少年サム。彼は、「地球最後の恐竜は、自分が最後って知ってたのかな」と悩む、小さな哲学者のような男の子。そんな彼が不思議な魅力にあふれた少女テスと出会う。彼女はいままで出会ったどんな友達とも別だった。はにかむ笑顔を見せるかと思えば、急にそっぽをむいたり、大笑いしたり…。そんなテスにサムはどんどん魅かれていく。ある日サムは、テスからある重大なことを打ち明けられる。死んだと知らされていたパパを、ママには内緒で島に招待したというのだ。娘がいるなんて知らないパパに、娘の存在をどんな風に知らせるのか…。テスとサムの秘密の計画が実行される!七日後、それが二人の運命を大きく変えていくなんて、サムはその時想像もしなかった…。(出典:http://kyoryu.ayapro.ne.jp/about.php)
幼少期に誰もが抱きそうな疑問を真剣に真正面から向き合った優しい作品であると感じた。末っ子であるサムが自分が最後の存在になると思って1人の時間を増やす姿や、それを辞めるきっかけとなった部分に心打たれ、印象深い。