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三年 小林
RES
夏休み課題 11~20
11ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~(漫画)
著 星来
ルックスと仲の良さで人気を誇っている三人組配信者グループ「COSMIC」。そんな彼らのファンの中には、本当に彼らに恋をしてしまっているファン、所謂「ガチ恋」が存在している。そんな「ガチ恋」たちが巻き起こす事件と、彼女たちの狂気を描いた作品。
この作品を魅力は配信者に異常なほど執着する狂気的な姿の中に、どこかかわいらしさを感じる女性たちのキャラクター性である。この作品に登場する女性たちは、盲目的に恋をするあまり、常軌を逸した行動や激しい感情をあらわにすることが多々ある。その様子は読んでいて恐怖を感じるほどだ。しかしながらそのような描写だけではなく、きちんと「恋をする女の子」としてのかわいらしさやいじらしさなども表現されており、そこだけ切り取ってみれば普通の恋愛漫画と同じようなヒロインたちに見えなくもないのである。「配信者に恋をすること」の異常性を強調するかのような狂気性とただ恋をする乙女としての側面を克明に描くことによって、普通の感性では異常に見えてしまうかもしれない出来事も、本質的には普通の恋愛と何ら変わりがないのだと感じさせられるのだ。インターネット配信者が人気を博している現在、「ガチ恋」と呼ばれる人々は多数存在している。そのような人々の思考回路を理解する教材としても、一度是非読んでみてほしい作品である。
12ある継母のメルヘン
著 ORKA Spice&Kitty
主人公のシュリーは、世の中から恥と呼ばれながらも、自分と歳の変わらない子供たちを女手一つで育てあげた女性である。長男ジェレミーの結婚式の日を迎える直前、なんとジェレミーの婚約者を通じて、結婚式には来るなと告げられてしまうのである。失意の中城を去る彼女は、途中で山賊に襲われ、非業の死を遂げるのだが、気が付くと七年前、死んだ夫の葬儀の日に戻ってきてしまったのである。戸惑う彼女だが、後悔しかなかった1度目の人生とは違った人生を生きようと心に誓う。
この作品の魅力は、主人公のシュリ―の「母」としての強さを描いている点である。彼女は継母という立場もあり、子供たちに「ニセモノ」と呼ばれ、嫌がらせや無視といった仕打ちを受けていた。世の中の評価も悪く、孤立無援の状態でありながらも、1度目の人生は亡き夫との約束のために子供たちを育て上げ、2度目の人生は1度目の人生の失敗を踏まえて、子供たちとよりよい関係を築くように尽力している様子がしっかりと描かれている。子供たちがピンチに陥った際は当主としての立場をフルに活用して子供たちを守り抜き、そんな彼女の姿を見て子供たちが徐々に心を開いていくシーンはとても美しく、あたたかい光景である。また最新話付近になると、シュリ―視点ではなく、子供たちから見た結婚式直前の話がなされており、彼らが何を考えていたのか、本当に憎しみしか生まれていなかったのかなどの真実が明らかになる。ぜひ読んでいただきたい作品だ。
13悪役のエンディングは死のみ
著 SUOL Gwon Gyeoeul
乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」に没頭していた主人公は、ある日ゲームをしたまま寝落ちしてしまう。次に目を覚ますと彼女は嫌われ者の公女であり、間違った選択肢を選んでしまった時点で死が確定するハードモード専用のヒロイン、ペネロペとなっていた。自分の生命を守るため、彼女はキャラクターたちの攻略に挑む。
この話の魅力は主人公の置かれている環境があまりにも過酷であること、そしてその状況をどう覆していくかの過程の描き方にあると考える。主人公がなりかわる前のペネロペの置かれていた環境はとてもいいものとは言えず、使用人にも嫌がらせを受けている始末であった。それと合わせて「好感度がマイナスになってしまえば死んでしまうことが必須」というあまりにも厳しい条件がプラスされており、物語を読み始めてからの絶望感が普通の作品よりも大きい。しかし主人公が元居た環境もあまりよいものではなく、むしろペネロペと似ている部分も多かったこと、そして彼女自身がそのゲームに対する膨大な知識を持っていることで、都度最適解を見出し、危険な状況を回避している。理知的な主人公とスリルのある展開に心をわしづかみされる作品であると言えよう。
14悪女は砂時計をひっくり返す
著 Antstudio SANSOBEE
主人公のアリアは、売春婦の母が伯爵と結婚したことにより、平民から貴族の一因となりあがった女性である。しかし彼女の存在をよく思わなかった妹のエミールにはめられ、アリアは命を落とすことになる。しかし死の直前に不思議な砂時計によって時間がまき戻り、彼女はもう一度人生をやり直すチャンスが与えられた。そして彼女は決意する。「私をひどい目に遭わせたすべてのひとに、死ぬほうがましだと思わせよう」と。
この物語はアリアの復讐劇である。一度目の人生での彼女は教養が足りず、まんまとエミールにはめられて「大バカ者の悪女」となってしまった経緯がある。そのためアリアは二度目の人生において、彼女を真っ向から成敗するのではなく、同じ土俵に立ち、できるだけエミールの尊厳を破壊することに軸を置いて行動している。復讐を原動力に教養をつけ、様々な知略を巡らせることで、立派に「狡猾な悪女」として成長していくアリアと、そんなアリアにしてやられているかつての悪女、エミールの姿の対比が非常に痛快に描かれている作品である。ぜひ読んでいただきたい。
15その悪女に気をつけてください
著 Blue Canna Soda Ice Berry
小説「恋するアイツら」のファンであった主人公は、交通事故に遭った後、なぜか小説の中の悪女、メリッサに憑依してしまう。小説の中のメリッサのような悪女にはならず、また登場人物たちともお近づきにならず、悠々自適に過ごそうとするのだが……
この作品の魅力は主人公の圧倒的メンタルの強さと、その力強さに圧倒される男性たちとのやり取りである。全体的にこの作品はコメディ色が強く、浮気性やストーカー、ヤンデレなど人間性に問題のある男性たちを気持ちのいいくらいバッサリと切っていく展開が多い。これは悪女としてふるまうのでもなく、だからといって聖女でいるつもりもないという彼女のスタンスからくるもので、「目には目を、歯には歯を」を地で行く様子は読んでいて爽快だ。罵倒の語彙などもウィットに富んでいるため思わずクスリとさせられる。また主人公の顔芸やアニメ、ゲームのパロディなどが物語を損なわない程度にちりばめられており、飽きずに読めるのも魅力的である。ピッコマにて無料連載中なのでぜひ読んでいただきたい。
16ちひろさん
著 安田弘之
海辺の弁当屋で働く看板娘、ちひろさん。飄々としてつかみどころのない彼女と、そんな彼女を取り巻く人々がおりなす、時に優しく、時に切ない連作短編集。
この物語の魅力は、世間的に正しく生きることだけが幸せを呼ぶのではないというメッセージ性にあると私は考えている。主人公のちひろさんは、元風俗嬢という経歴がある。そのような職業の人たちに対して、世間は不幸な人、かわいそうな人というレッテルを貼ることが多い。しかしちひろさんはそんなレッテル貼りをものともせず、自分が決めた軸からブレることなく、悠々自適に生きている。時には法を犯すようなシーンもあれば、道徳的に正しくない行動に走ることもあるが、そんな彼女の姿を見て誰も不幸だとは思わず、むしろ生き方として憧れる人は多いのではないかと個人的には感じている。生きるうえでの心構えや、正論だけが人を救うわけではないという教訓など、人間推して学ぶ部分が多い作品であるため、一度読んでいただきたい作品だ。
17 盗掘王
著 3B2S SAN.G Yuns
世界各地に現れた謎の「墓」。その中にある遺物を探索するチームのリーダー、剛力は、雇い主に嵌められてしまい、命の危機に陥る。その直前に謎のカラスが登場し「もう一度チャンスをやろう、真の玉座についてみろ」と彼に告げたその時、まばゆい光が彼を包み込む。気が付くと十五年前、遺物の存在が知られていなかった時期に時間がまき戻っていた。彼は自分をはめた張本人、大河原への復讐を誓うとともに、遺物を集めて世界の頂点に立つことを決意する。
この物語の魅力は単なる漫画としてのおもしろさだけではなく、世界の寓話や逸話などを知るきっかけを提供してくれるところにあると考えている。この話に欠かせない存在、「遺物」は逸話や歴史上の出来事をもとにした能力を持っており、その特徴の解説のために逸話の概略などが明記される。その種類は多岐にわたり、木こりの斧などの有名なものから聞いたこともないような逸話まで様々だ。そのような逸話を知るきっかけにもなると同時に、「もしこの逸話で遺物を作るとしたらどんな能力になるだろうか」などの空想を膨らませてくれる作品でもあるため、是非お勧めしたい一作である。
18 整形シンデレラ
著:四ツ原フリコ
主人公の橘凜は決して見女麗しいとは言えない、むしろ不細工という部類に入る女性である。彼女は会社でもその容姿をいじられ、みじめに過ごしつつも、仕方ないとどこかであきらめて生きていた。そんなある日、彼女は宝くじに当選、一千万超の大金を得たことをきっかけに整形を決意、新しい生活をスタートさせる。
本作品は整形をする側の立場と、それを批判する社会の構図をしっかりと描いた作品である。今でこそ整形は気軽なものとして扱われているが、人工的に美しさを作り出す行為に不快感を示す人間の数はいまだ多い。これはそんな人にこそ読んでほしい作品である。自分がなぜこんな顔面に生まれてきたのかを呪い、鏡を見るたびに自分の醜さに辟易するような重く苦しい心情を克明に描いており、他人から見れば嫌煙するような行為でも、醜さに苦しめられてきた人間にとっての整形は唯一の救いであるということを読者に訴えかけてくるのだ。また整形して幸せを簡単につかむのではなく、同僚たちからの好奇の目や整形したからこそ生まれる劣等感なども描いており、整形をしていない人間だけではなく、したことのある人間にとっても共感できる物語であると言えよう。
19 ボスとヤス
著 さいのすけ
冷徹で合理的な裏社会のボスと、その右腕であるヤス。ある日ボスはヤスに「自分の右腕になりそうな強くて美しい愛人が欲しい」と命令する。しかし全国津々浦々どこを探してもボスのお眼鏡にかなう女性はみつからない。困りはてたボスはとうとう最終手段に出る。「自分に催眠術をかけてもらい、ヤスを美女だと思い込ませよう」と。
まず設定からして突飛な本作だが、全編通してカオスな様相が続いている。催眠術がかかっているボスの目から見た美人のヤスと、一般の目からみた武骨な男のヤスの描写が交互に連続して描かれ、読んでいるこちらの脳の認知機能を破壊してくる新しい漫画であり、読んでいて新鮮だった。人物設定がヤクザということもあり、そのような人物が大真面目に馬鹿なことをやっているというギャップもまた笑いを誘う。絵柄に関しても美人を描く際には繊細かつ流麗なボディラインを強調した描き方がなされているのだが、武骨な男性を描く際にはとにかく力強い筆致で描かれており、その対比も見事である。常識や固定概念を全部捨ててみてほしい作品である。
20 ショタくんとおじさん
ショタくんとそれを陰で見守るおじさん。かなり怪しい風貌のねちゃりとしたおじさんに暖かく見守られながら、ショタくんがすくすく成長していく様子を見守るコメディ漫画。
とりあえず一話目のインパクトで度肝を抜かれる作品である。いたいけな少年にいかにも怪しい風貌のおじさんが何か怪しいものを与えている様子は何かしらの事件性を感じるが、その実ショタくんにおいしいご飯を与えているだけだった、という展開は謎の危機感を持っていただけにほっこり感もひとしおである。またおじさんは絶対にショタくんに触れず、絶妙な距離感からショタくんを見守り、彼の成長を陰ながら手助けしている存在であり、ファンからは「RINRIおじさん」と呼ばれるほどの聖人である。そんなおじさんに徐々になついて近づこうとするショタくんとおじさんの微妙な攻防戦も見どころの一つである。心が疲れたときにぜひ見てほしい一作だ。
11ガチ恋粘着獣~ネット配信者の彼女になりたくて~(漫画)
著 星来
ルックスと仲の良さで人気を誇っている三人組配信者グループ「COSMIC」。そんな彼らのファンの中には、本当に彼らに恋をしてしまっているファン、所謂「ガチ恋」が存在している。そんな「ガチ恋」たちが巻き起こす事件と、彼女たちの狂気を描いた作品。
この作品を魅力は配信者に異常なほど執着する狂気的な姿の中に、どこかかわいらしさを感じる女性たちのキャラクター性である。この作品に登場する女性たちは、盲目的に恋をするあまり、常軌を逸した行動や激しい感情をあらわにすることが多々ある。その様子は読んでいて恐怖を感じるほどだ。しかしながらそのような描写だけではなく、きちんと「恋をする女の子」としてのかわいらしさやいじらしさなども表現されており、そこだけ切り取ってみれば普通の恋愛漫画と同じようなヒロインたちに見えなくもないのである。「配信者に恋をすること」の異常性を強調するかのような狂気性とただ恋をする乙女としての側面を克明に描くことによって、普通の感性では異常に見えてしまうかもしれない出来事も、本質的には普通の恋愛と何ら変わりがないのだと感じさせられるのだ。インターネット配信者が人気を博している現在、「ガチ恋」と呼ばれる人々は多数存在している。そのような人々の思考回路を理解する教材としても、一度是非読んでみてほしい作品である。
12ある継母のメルヘン
著 ORKA Spice&Kitty
主人公のシュリーは、世の中から恥と呼ばれながらも、自分と歳の変わらない子供たちを女手一つで育てあげた女性である。長男ジェレミーの結婚式の日を迎える直前、なんとジェレミーの婚約者を通じて、結婚式には来るなと告げられてしまうのである。失意の中城を去る彼女は、途中で山賊に襲われ、非業の死を遂げるのだが、気が付くと七年前、死んだ夫の葬儀の日に戻ってきてしまったのである。戸惑う彼女だが、後悔しかなかった1度目の人生とは違った人生を生きようと心に誓う。
この作品の魅力は、主人公のシュリ―の「母」としての強さを描いている点である。彼女は継母という立場もあり、子供たちに「ニセモノ」と呼ばれ、嫌がらせや無視といった仕打ちを受けていた。世の中の評価も悪く、孤立無援の状態でありながらも、1度目の人生は亡き夫との約束のために子供たちを育て上げ、2度目の人生は1度目の人生の失敗を踏まえて、子供たちとよりよい関係を築くように尽力している様子がしっかりと描かれている。子供たちがピンチに陥った際は当主としての立場をフルに活用して子供たちを守り抜き、そんな彼女の姿を見て子供たちが徐々に心を開いていくシーンはとても美しく、あたたかい光景である。また最新話付近になると、シュリ―視点ではなく、子供たちから見た結婚式直前の話がなされており、彼らが何を考えていたのか、本当に憎しみしか生まれていなかったのかなどの真実が明らかになる。ぜひ読んでいただきたい作品だ。
13悪役のエンディングは死のみ
著 SUOL Gwon Gyeoeul
乙女ゲーム「公女様のラブラブ・プロジェクト」に没頭していた主人公は、ある日ゲームをしたまま寝落ちしてしまう。次に目を覚ますと彼女は嫌われ者の公女であり、間違った選択肢を選んでしまった時点で死が確定するハードモード専用のヒロイン、ペネロペとなっていた。自分の生命を守るため、彼女はキャラクターたちの攻略に挑む。
この話の魅力は主人公の置かれている環境があまりにも過酷であること、そしてその状況をどう覆していくかの過程の描き方にあると考える。主人公がなりかわる前のペネロペの置かれていた環境はとてもいいものとは言えず、使用人にも嫌がらせを受けている始末であった。それと合わせて「好感度がマイナスになってしまえば死んでしまうことが必須」というあまりにも厳しい条件がプラスされており、物語を読み始めてからの絶望感が普通の作品よりも大きい。しかし主人公が元居た環境もあまりよいものではなく、むしろペネロペと似ている部分も多かったこと、そして彼女自身がそのゲームに対する膨大な知識を持っていることで、都度最適解を見出し、危険な状況を回避している。理知的な主人公とスリルのある展開に心をわしづかみされる作品であると言えよう。
14悪女は砂時計をひっくり返す
著 Antstudio SANSOBEE
主人公のアリアは、売春婦の母が伯爵と結婚したことにより、平民から貴族の一因となりあがった女性である。しかし彼女の存在をよく思わなかった妹のエミールにはめられ、アリアは命を落とすことになる。しかし死の直前に不思議な砂時計によって時間がまき戻り、彼女はもう一度人生をやり直すチャンスが与えられた。そして彼女は決意する。「私をひどい目に遭わせたすべてのひとに、死ぬほうがましだと思わせよう」と。
この物語はアリアの復讐劇である。一度目の人生での彼女は教養が足りず、まんまとエミールにはめられて「大バカ者の悪女」となってしまった経緯がある。そのためアリアは二度目の人生において、彼女を真っ向から成敗するのではなく、同じ土俵に立ち、できるだけエミールの尊厳を破壊することに軸を置いて行動している。復讐を原動力に教養をつけ、様々な知略を巡らせることで、立派に「狡猾な悪女」として成長していくアリアと、そんなアリアにしてやられているかつての悪女、エミールの姿の対比が非常に痛快に描かれている作品である。ぜひ読んでいただきたい。
15その悪女に気をつけてください
著 Blue Canna Soda Ice Berry
小説「恋するアイツら」のファンであった主人公は、交通事故に遭った後、なぜか小説の中の悪女、メリッサに憑依してしまう。小説の中のメリッサのような悪女にはならず、また登場人物たちともお近づきにならず、悠々自適に過ごそうとするのだが……
この作品の魅力は主人公の圧倒的メンタルの強さと、その力強さに圧倒される男性たちとのやり取りである。全体的にこの作品はコメディ色が強く、浮気性やストーカー、ヤンデレなど人間性に問題のある男性たちを気持ちのいいくらいバッサリと切っていく展開が多い。これは悪女としてふるまうのでもなく、だからといって聖女でいるつもりもないという彼女のスタンスからくるもので、「目には目を、歯には歯を」を地で行く様子は読んでいて爽快だ。罵倒の語彙などもウィットに富んでいるため思わずクスリとさせられる。また主人公の顔芸やアニメ、ゲームのパロディなどが物語を損なわない程度にちりばめられており、飽きずに読めるのも魅力的である。ピッコマにて無料連載中なのでぜひ読んでいただきたい。
16ちひろさん
著 安田弘之
海辺の弁当屋で働く看板娘、ちひろさん。飄々としてつかみどころのない彼女と、そんな彼女を取り巻く人々がおりなす、時に優しく、時に切ない連作短編集。
この物語の魅力は、世間的に正しく生きることだけが幸せを呼ぶのではないというメッセージ性にあると私は考えている。主人公のちひろさんは、元風俗嬢という経歴がある。そのような職業の人たちに対して、世間は不幸な人、かわいそうな人というレッテルを貼ることが多い。しかしちひろさんはそんなレッテル貼りをものともせず、自分が決めた軸からブレることなく、悠々自適に生きている。時には法を犯すようなシーンもあれば、道徳的に正しくない行動に走ることもあるが、そんな彼女の姿を見て誰も不幸だとは思わず、むしろ生き方として憧れる人は多いのではないかと個人的には感じている。生きるうえでの心構えや、正論だけが人を救うわけではないという教訓など、人間推して学ぶ部分が多い作品であるため、一度読んでいただきたい作品だ。
17 盗掘王
著 3B2S SAN.G Yuns
世界各地に現れた謎の「墓」。その中にある遺物を探索するチームのリーダー、剛力は、雇い主に嵌められてしまい、命の危機に陥る。その直前に謎のカラスが登場し「もう一度チャンスをやろう、真の玉座についてみろ」と彼に告げたその時、まばゆい光が彼を包み込む。気が付くと十五年前、遺物の存在が知られていなかった時期に時間がまき戻っていた。彼は自分をはめた張本人、大河原への復讐を誓うとともに、遺物を集めて世界の頂点に立つことを決意する。
この物語の魅力は単なる漫画としてのおもしろさだけではなく、世界の寓話や逸話などを知るきっかけを提供してくれるところにあると考えている。この話に欠かせない存在、「遺物」は逸話や歴史上の出来事をもとにした能力を持っており、その特徴の解説のために逸話の概略などが明記される。その種類は多岐にわたり、木こりの斧などの有名なものから聞いたこともないような逸話まで様々だ。そのような逸話を知るきっかけにもなると同時に、「もしこの逸話で遺物を作るとしたらどんな能力になるだろうか」などの空想を膨らませてくれる作品でもあるため、是非お勧めしたい一作である。
18 整形シンデレラ
著:四ツ原フリコ
主人公の橘凜は決して見女麗しいとは言えない、むしろ不細工という部類に入る女性である。彼女は会社でもその容姿をいじられ、みじめに過ごしつつも、仕方ないとどこかであきらめて生きていた。そんなある日、彼女は宝くじに当選、一千万超の大金を得たことをきっかけに整形を決意、新しい生活をスタートさせる。
本作品は整形をする側の立場と、それを批判する社会の構図をしっかりと描いた作品である。今でこそ整形は気軽なものとして扱われているが、人工的に美しさを作り出す行為に不快感を示す人間の数はいまだ多い。これはそんな人にこそ読んでほしい作品である。自分がなぜこんな顔面に生まれてきたのかを呪い、鏡を見るたびに自分の醜さに辟易するような重く苦しい心情を克明に描いており、他人から見れば嫌煙するような行為でも、醜さに苦しめられてきた人間にとっての整形は唯一の救いであるということを読者に訴えかけてくるのだ。また整形して幸せを簡単につかむのではなく、同僚たちからの好奇の目や整形したからこそ生まれる劣等感なども描いており、整形をしていない人間だけではなく、したことのある人間にとっても共感できる物語であると言えよう。
19 ボスとヤス
著 さいのすけ
冷徹で合理的な裏社会のボスと、その右腕であるヤス。ある日ボスはヤスに「自分の右腕になりそうな強くて美しい愛人が欲しい」と命令する。しかし全国津々浦々どこを探してもボスのお眼鏡にかなう女性はみつからない。困りはてたボスはとうとう最終手段に出る。「自分に催眠術をかけてもらい、ヤスを美女だと思い込ませよう」と。
まず設定からして突飛な本作だが、全編通してカオスな様相が続いている。催眠術がかかっているボスの目から見た美人のヤスと、一般の目からみた武骨な男のヤスの描写が交互に連続して描かれ、読んでいるこちらの脳の認知機能を破壊してくる新しい漫画であり、読んでいて新鮮だった。人物設定がヤクザということもあり、そのような人物が大真面目に馬鹿なことをやっているというギャップもまた笑いを誘う。絵柄に関しても美人を描く際には繊細かつ流麗なボディラインを強調した描き方がなされているのだが、武骨な男性を描く際にはとにかく力強い筆致で描かれており、その対比も見事である。常識や固定概念を全部捨ててみてほしい作品である。
20 ショタくんとおじさん
ショタくんとそれを陰で見守るおじさん。かなり怪しい風貌のねちゃりとしたおじさんに暖かく見守られながら、ショタくんがすくすく成長していく様子を見守るコメディ漫画。
とりあえず一話目のインパクトで度肝を抜かれる作品である。いたいけな少年にいかにも怪しい風貌のおじさんが何か怪しいものを与えている様子は何かしらの事件性を感じるが、その実ショタくんにおいしいご飯を与えているだけだった、という展開は謎の危機感を持っていただけにほっこり感もひとしおである。またおじさんは絶対にショタくんに触れず、絶妙な距離感からショタくんを見守り、彼の成長を陰ながら手助けしている存在であり、ファンからは「RINRIおじさん」と呼ばれるほどの聖人である。そんなおじさんに徐々になついて近づこうとするショタくんとおじさんの微妙な攻防戦も見どころの一つである。心が疲れたときにぜひ見てほしい一作だ。
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