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2年 藤田
RES
夏休みの課題1~30作品
【漫画】
1葬送のフリーレン1-11巻 作者:山田鐘人 作画:アベツカサ
あらすじ:勇者一行が魔王を倒したあとの後日譚ファンタジー。主人公の魔法使いフリーレンはエルフである。エルフは長命である為勇者一行の他三人とは時間の流れが違う。他三人とは時間感覚が違うだけでなく他の感覚も違う。フリーレンの仲間だった勇者や僧侶は寿命で亡くなり残された彼女は人間を知る為に弟子と共に旅を始める。冒険の終わりから始まる物語。
感想:まず絵が圧倒的に美しい。またセリフで感情を表すことはせずに、人の表情だけで登場人物の喜怒哀楽だけでなく微妙な心の動きを表している。そして人との会話の間や急いで話を進めない所が一緒に旅をしているように感じる。しかし話のテンポは遅いとは感じない。また人の会話が自然で異世界物なのに本質は現実と変わらないような魔法の設定や人間の考え方があるから、本当に存在する世界ではないかと錯覚する話になったと考えた。
2僕が死ぬだけの百物語 第四十七夜二人乗り作者:的野アンジ
あらすじ:主人公のユウマが一日一話ずつあるものに向かって怪談をして百物語を成し遂げようとする話。第四十七夜は主人公を追い回していた警官が主人公の代わりに怪談話をする。怪談をする日々が過ぎていくと同時に主人公や周りの様子が変化していく。主人公の謎と怪談の不気味さをダブルで味わえる漫画。
感想:二人乗りをしていて事故にあった片方の子供と母親がもう片方に謝りに行く話だと思って見ていると最後に死んだのは主人公だったというありそうなオチだが、結末までに主人公が幽霊であることがほのめかされていた場面がいくつかあった。主人公が他の人に聞こえない視点でも聞こえる視点でも会話が自然なことや手を握るシーンはよく見たら主人公ではなく母親であること、お茶も一つしかないこと等よく観察して読むとオチが分かるように描かれていると考えた。
3賭ケグルイ17巻 作者:河本ほむら 作画:尚村透
あらすじ:主人公、蛇喰夢子の蛇喰家の過去が明らかになる。かつて蛇喰家は博打を稼業としていた。姉の想子と妹の夢子は幼い頃に両親を亡くした。一族の叔母・次子のもとで貧しい日々を送っていた。しかし賭け狂う蛇喰の血が一族を破滅へといざなう。蛇喰夢子がなぜ賭けることに大きな意味を見出しているのかが明らかになる。
感想:蛇喰夢子が第一巻から親指に指輪をつけていた意味が今回の話で明確に描かれた。幸運を呼ぶために身につけるそうだが、もう一つの意味として古代ローマでは支配者が権力を示すためにしていた指輪である側面がある。今までは幸運を願うために身につけていたような描写が多かったが今回の巻で支配者である為に身につけていたことを強調していると考えた。キャラクターの装飾にも意味があると考えると他の部分にも意味が隠されていると思った。
4カケグルイ双13巻 作者:河本ほむら 作画:齋木桂
あらすじ:ギャンブルの強さがすべてのお金持ち学園で早乙女芽亜里が勝者となる為に仲間と共に賭け事をする。本編の主人公と会うまでの様子を描いている。前回壬生臣葵の妹と名乗る神々廻有愛が早乙女芽亜里から文芸部を奪った。神々廻は葵の復讐として聚楽幸子に挑もうと計画を立てる。一方芽亜里は神々廻の仲間二人を倒すために闘志を燃やし緻密な計画を立てる。
感想: 本編で主人公と出会うまでの早乙女芽亜里がどのような人物だったのかということはもちろん、学園がどのような仕組みなのか本編より詳細に分かるようになっているのがスピンオフの醍醐味だと考えた。本編の作品が好きな人の為により細かな設定を漫画で描くことにより作品自体の現実味が増すと同時に本編の魅力も上がっていると考えた。
5あおざくら1-21巻 作者:二階堂ヒカル
あらすじ:幹部自衛官を養成する防衛大学校に入学した主人公近藤勇美が防衛大で仲間とともに厳しすぎる学校生活を送る日々の話。リーダーとは何か。仲間とは何か。リアルな防衛大生の生活が描かれている作品。数々の困難を乗り越え成長していく主人公と仲間たち。一年の生活を終え、2年になり増々リーダーとは何かチームとは何かを考える主人公。一年生が脱柵を企みどう止めるのか。
感想:主人公がリーダーとは何か、組織の為に銅のように動けばいいのかを考えて行動しているが所々に行事や恋愛のイベントを入れることによって青春を楽しみながら成長しているように構成されている。そして話の内容が重いのに重くなりすぎないが、読者に主人公にも起こった困難をどう対処すればいいのか考えさせられる話になっている。だからこの話は主人公だけでなく読者も成長させるような話だと思った。
6HUNTER×HUNTER31巻 作者:富樫義博
あらすじ:前会長の後を引き継ぐための次期会長選挙が始まる。荒れる選挙戦と同時に重体のゴンを救うためにキルアが動く。幽閉されている妹のアルカの力を借りる為に家に帰るが数々の困難が待ち受けている。キルアは無事にゴンを救えるのか。次期会長は誰になるのか。アルカの能力とは。ゴンを中心に多くの人が動き出す31巻。
感想: HUNTER×HUNTERの漫画は印象的に残したいシーンは枠から頭などの体の一部がはみ出し、その話の主要のキャラを等身で描いている特徴がある。また背景が崩れそうな壁、真っ黒に塗りつぶす、モヤを描く等の表情で、表情とは裏腹なキャラクターの心情や周りの雰囲気を表現していると考えた。アニメや映画にはない漫画ならではの魅力だと思った。
7HUNTER×HUNTER32巻 作者:富樫義博
あらすじ:それぞれの思惑が渦巻く会長選挙がついに終わる。一方でアルカとナニカの能力も明らかになり、キルアもゴンの元にたどり着く。果たしてゴンは治るのか。会長選挙とキルアのゴンを治す旅の話が交わり、キメラアント編の話が終息する32巻。
感想:今までのキャラクターの行動の謎が解説されスッキリと共に感動する話だった。能力も分かりやすく今まで紹介していたが、まとめることによりなぜあのタイミングでこの話を出したのか分かるようになっていた。作者の物語の構成力が垣間見える一冊だった。
8魔女の旅々 原作者:白石定規 漫画:七緒一綺 キャラクター原案:あずーる
あらすじ:主人公の魔女、イレイナが本に出てくる魔女のように世界中を旅していろいろな人に会い、様々な人生を見ていく話。旅を通して世界の美しさと危うさを感じた主人公やその他の登場人物が成長していくファンタジー漫画。
感想:絵が綺麗で異世界観を出しているのと、町の様子や主人公の服装などで世界の雰囲気を出していると考えた。また話が美しく終わるだけでなく苦しい結果や現代社会ではまだ是とも非ともいえない安楽死や死こそ救いのような終わり方をする点に加えそれに対して主人公が何も言わずにこのような人生もあると達観している点がこの漫画の魅力だと考えた。
9動物人間 作者:岡田卓也
あらすじ:主人公とその娘が山の中事故にあい、目が覚めると広いお屋敷の中にいた。治療してもらい食卓につくとそこにはシカや豚、牛等の動物が人間の言葉を話し食事をしていた・・・。人間たちが動物に捕食される側になる現代社会の食の疑問や不思議さにスポットライトを当てた漫画。
感想:現代の人間社会とは別に、人間と家畜の立場がになった世界が身近に潜んでいるという怖さと人間がもし捕食される立場になったとき、何もできない人間が無力なのが怖さを倍増させていると思った。また「食べる」とはどういうことなのか今一度考えさせられた。
10タタリ 作者: 彌
あらすじ:昔大妖怪としておそれられた化け猫のタタリが陰陽師との戦いに破れて傷ついているところ、主人公のタケルに助けてもらう。タケルの妹と共に平穏に暮らしているがタケルが殺された為化け猫はタケルに成りかわって主人の人生を代わりに生きる。主人公を殺した人や妖怪と戦うバトル漫画。
感想:妖怪同士がバトルする漫画は沢山あるが、妖怪が人間の人生を代わりに生きて主人公がしたかったであろうことをする姿が妖怪なのに死んだ人の亡霊を追う人間のようで珍しいと思った。
11ジャンケットバンク 1~11巻 作者:田中一行:
あらすじ:銀行が地下で裏カジノを運営している中、天才ギャンブラーの真経津晨がお金や命を賭けながらより高いステージへと進んでいく。銀行員でありカジノを運営する部署に異動した主人公の御手洗暉は真経津晨のギャンブルに魅了され、銀行賭博に深く関わっていく。
感想:銀行と賭博と一見相反する組み合わせがより一層ギャンブルの話を面白くさせていると思った。またギャンブルの中で互いの精神を読み解く中でギャンブラーの人生や考えを明らかにすることで読者に親近感を与えつつそこから神がかり的な読唇術や常軌を逸した行動をとることで読者を突き放し、話の中に緩急が付き読者もはらはらしながら読み疑似的にギャンブルをすることが出来る漫画だと考えた。
12ラストカルテー法獣医学者 当麻健匠の記憶― 1-5巻 作者:浅山わかび
あらすじ: 主人公の当麻健匠は一度見たものは忘れないという記憶の持ち主。高校の同級生の茨戸と獣医師である茨戸の姉が動物に関わる事件に居合わせたことから法医学に興味を持っていく話。
感想:動物が最後どのように過ごしてどのように最後を終えていくのかを知りたいという動機で当たる様々な問題にあたる日々を過ごしほっこりする話や酷い事件にあたってく中で主人公が事件を自分なりに解決していく様子を読んで私たち人間と動物が共存していく中の問題を知り難しさを提示しつつ素晴らしさも表現している漫画だと思った。
13COSMOS 作者:田村隆平
あらすじ:人のウソが見抜ける主人公、水森楓が謎の女子高校生、穂村燐と出会い、地球で暮らす宇宙人が生命保険を偽っているかどうかを調べ取り締まりつつ、人間と宇宙人の人生を描いている漫画。
感想:現実にありそうで宇宙人と人間にあまり差がないという設定が宇宙人というのは理解しがたい人間を指しているように思えた。人間が宇宙人だと知らなければ人間と同じように生きていける世界観が宇宙人であることが窮屈だと感じることが出来、従来の宇宙に対する希望より切なさが多く描かれている漫画だと思った。
14 PPPPP 作者:マポロ3号
あらすじ:天才ピアニストの音上楽音に七つ子が生まれた。そのうちの一人だけ才能がなかった。そして家を追い出された主人公が自分なりのピアノの弾き方を見つけつつ兄弟や父と再会しつつ、ピアノのバトルをしていく漫画。
感想:音楽が作品の漫画は聴覚を視覚で表現し直すときに音符や人間の表情、どれだけ凄いことなのか漫画の中で語る方法が多く、音楽経験者しかわからないような凄さや苦しさが表現されていることが多かったが、この漫画は絵画芸術のように描くことでそれぞれの曲がもつ世界観や奏者による違いを表すことが出来ている珍しい漫画だと思った。
15 夏目友人帳 30巻 作者:緑川ゆき
あらすじ:夏目貴志はオークション「何首鳥の会」に招待され占い師クララと一緒に会場へ行く。中では盗難事件や「黒ミサ」とは誰なのか。今まで明かされなかった登場人物の謎に迫っていく話。
感想:人と人の関係の難しさや取り戻せない関係があることを漫画で表現した後に悲観的にとらえるのではなく事実を胸にしまい人生を歩んでいる様子が描かれていて今を生きていることが大切だと思った。また妖がきっかけで関係が悪くなることもあれば良くなることもあるので「妖」は人にとっての事件や事実を表していると思った。また「妖」というものをどのように捉えるかが大事なのだと思った。
16 カメレオンは手のひらに恋をする。 1巻 作者: 厘てく
あらすじ:難聴の大学生と売れない俳優が出会い、手話を知らない俳優が演技をして大学生とコミュニケーションをとることが出来、また俳優の心も救われていくハートフルな漫画。
感想:会話をすることが難しくても何とか伝えようとすることで心がつながる様子にほっこりした。しかし演技を否定してくる人の言葉を真に受け傷ついている俳優にその個性が魅力であり他にも生かすことが出来るとアドバイスしている様子は現実世界にも言えることだと思い、否定されたことは他のところでは魅力になるというメッセージは多くの人に刺さると思った。
17四弦のエレジー 1-5巻 作者:梅内創太
あらすじ:9世紀末のドイツに大音楽家のユリウス・ブロイヤーに二人の息子がいた。実子のアリョーシャは才能がないと父親から言われ養子のエンリコだけ舞台に立たされる。しかし二人は一緒にこの家を出ようと約束する…。
感想:音楽を上手に弾きこなすことが出来ても幸せだとは限らないという苦しみに驚いた。自分に合う音楽を弾くことや音楽を楽しんで弾いくことや作曲することがどれほど難しく楽しいことか描かれているので、天才の苦悩と喜びを追体験できる漫画だと考えた。
18宝石の国 1-13巻 作者:市川春子
あらすじ:人間が絶滅した後の世界で宝石の体を持ちながら人間に似ている見た目を持つ子が天からやってきて宝石を誘拐していく敵と戦いながら自分とは何か、どこから来たのか、を考え世界の秘密に迫っていく話。
感想:最初は主人公が何も知らない為能天気に暮らし楽しい雰囲気だが徐々に世界の真相について考え行動し真実に近づけば近づくほど主人公が不幸せになっていく様子が読んでいて辛かった。この漫画は天女が現れ、また仏教の価値観が取り入れられていることからただ竹取物語をモチーフにした作品ではなく、作者が竹取物語から感じたことを抽出しかぐや姫が」天に行った後を物語の続きと世界の真実につなげていると考えた。
19NANA―ナナー1巻 作者:矢沢あい
あらすじ:一目ぼれしやすい奈々(ハチ)が社会人の彼氏に振られて美術学校に通うようになる。そこで出会った章司と恋に落ち一緒に上京した。レンというボーカルが他のバンドに引き抜かれバンドを解散したNANAも上京した。同じ名前の二人がたまたま同じルームメイトになる巻。
感想:青春期のどうしたらいいのか分からない葛藤や不安が性格も生い立ちも全く違う二人の「なな」が違う悩みを抱えているのにどこか共感しあえる様子が読者も共感できると考え思春期特有の感情が痛くもなく辛くもないように描かれているのでアルバムをめくっている感覚で読めるのがこの漫画の魅力だと考えた。
【アニメ】
21推しの子(アニメ) 第7話 監督:平牧大輔 原作者:赤坂アカ 作画:横槍メンゴ
あらすじ:恋愛リアリティーショー「今ガチ」の出演者である黒川あかねが誤って鷲見ゆきを怪我させてしまい炎上し自殺を図る。主人公であり同じ出演者である星野アクアが自殺を引き止める。その後共演者同士で炎上を沈静ために撮影の裏側の映像作る。黒川あかねはどうなるのか。炎上は止められるのかー。
感想:アニメで黒川あかねがアイを演じて登場するシーンでは漫画よりインパクトがあった。この話の中で一番の見せ所であることもあるが、登場するシーンだけ作画によりいっそう力が入れられていた。そして他のシーンよりも動きが滑らかでゆっくりだった。わざとこのシーンだけ遅くすることによって黒川あかねが変わったことを強調しつつ主人公の星野アクアが驚き息をのむ様子を視聴者も共感できるような効果があると考えた。
22岸辺露伴は動かない アニメ 1クール 監督:加藤敏幸
あらすじ:『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフでリアリティーを求め、漫画家の岸部露伴が取材していく中で奇妙で不思議な事件に巻き込まれていくホラーのような話。
感想:岸部露伴のアニメの描き方は漫画と同じように描いているが、足元から他者を映す等の他のアニメには見られない角度からことが多かった。このことと音楽が不思議なそしてホラーのシーンで使われるような曲だったので漫画より奇妙に描かれていると考えた。
【ドラマ】
23岸辺露伴は動かない 実写 一話 監督:渡辺一貴
感想:アニメや漫画のホラーと奇妙な雰囲気を持っていたが、実写ということもあり現実味が多くなっていた。スタンドと呼ばれる一般の人には見えないものを描かずに超能力を持っているように話を変えていた点が現実世界でも起こり得そうだと思わせる要因だと考えた。
24ウェンズデー 監督:ティムバートン
あらすじ:弟をいじめていた子を病院送りにしたことで学校を退学になったウェンズデー。そして両親の母学校に転校することになった。その学園は人狼や吸血鬼など社会からののけ者が集まっていた。そんな学園で起こる事件を解決していく…。
感想:不思議でいながらどこかワクワクさせるような音楽に白と黒をうまく使い分けている映像の取り方がよりウェンズデーの不気味さを際立てていたと考えていた。またミステリーが解決に進めば進むほど謎が増えていく様子と、ウェンズデーが普段多くの人が思っていても言えない言葉をはっきりという姿がこの作品の魅力だと思った。
25エミリー、パリへ行くシーズン1 監督:ダーレン・スター
あらすじ:ニューヨークに住んでいたエミリーがパリに広告代理店の会社の支店が作られることになり、パリに引っ越すことになった。今まで順調だった恋愛も仕事もパリに引っ越すことになって困難に直面することになる。
感想:フランス人はフランス語しか話さなくて外国人に優しくない、不倫ばかりする、仕事より休日の方が大事、フランス映画でよく使われる意味不明な言葉等、フランスへの偏見だらけのドラマで、アメリカが持つフランスについて悪イメージがよく表れていると思った。しかしフランスのオシャレや優雅さにあこがれているアメリカ人も良く描かれていた。日本はアメリカのように仕事が人生の中心にいる人が多かったので、フランスのような休日のために仕事をするという考え方は新鮮だった。
26エミリー、パリへ行くシーズン2 監督:ダーレン・スター
あらすじ:エミリーはガブリエルを好きになったが、ガブリエルはフランスに来て初めてできた友達のカミーユの恋人ということを知る。仕事仲間とも順調にいっている中、また文化の違いによりトラブルが起こる。三角関係やア仕事はどうなるのか…。
感想:親友のカミーユがガブリエルとエミリーが両思いであることに感づいてからメイクや服装が黒くなっているが接し方が変わらない場面を見て、服で人の気持ちを表すことが出来ると思った。またドラマの重要な場面で洋服の広告をすることが多いのでこのドラマは洋服を主軸として作品を描いていると考えた。
27エミリー、パリへ行くシーズン3 監督:ダーレン・スター
あらすじ:長く続いていた三角関係が終わりついにカミーユとガブリエルが結婚することに。エミリーも新しい恋人が出来て仕事仲間とも分かり合えるようになった。ガブリエルも念願のお店を開けるようになったが…。
感想:ずっと続いていた三角関係やエミリーと敵対していた上司との確執、ガブリエルがお店を開くという夢が叶い、ハッピーエンドに向かいそうだったが、全てがひっくり返そうとする終わり方になり、綺麗に終わりそうで終わらない感じがもどかしいと思った。そしてこの作品はどっちつかずではなくどっちも手に入れるという行動をとっていたエミリーが今後どうするかが気になると思った。
【映画】
28すずめの戸締まり 監督:新海誠
あらすじ:1人の少女が、ある時山の中で不思議な扉に遭遇する。その矢先、日本中で扉が出現し始め、その扉が開くことでさまざまな災いが次々と起こっていく。そこで、少女は各地の扉を閉める旅へ出発する。
感想:扉が開いてしまうのは人々から忘れられたことや祈りが足りないからと作中で描かれていたのは、現代人が地震のことを忘れかけておりまた地震が来ることを忘れてはいけないという警告だと考えた。また地震を抑えるために猫や人を柱にすることで抑えられるというのは昔から橋を建てる際に行っていたことなので何かを犠牲にしないと地震を防ぐことは出来ないのかと考えました。
29アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 監督:ジェームズ・キャメロン
あらすじ:地球から離れた神秘的な惑星パンドラで幸せな家庭を築いたジェイクとネイティリ。しかし、彼らは古代の脅威によりパンドラから追放されてしまう。やがて彼らは海の部族に助けてもらおうとするが、そこでも人類の脅威が迫っていた。
感想: アバターはCGや映像が綺麗なことでも有名だが、映像の取り方が綺麗だと思った。特に海を上に空を下にして撮ることにより空と海がつながっていることを表現していたと考えた。前作は空がテーマだった海でも、海の中の動物や水の質感も表現することが出来ており前回を超えるリアリティーと美しさだった。
30リトル・マーメイド 監督:ロブ・マーシャル
あらすじ:人間世界にあこがれる人魚が魔女から人間になれる薬をもらう。しかし声が出なくなり、王子と会話することが出来ない中、3日以内にキスをしないとアースラーの物になってしまう。アリエルはどうなるのか…。
感想:アリエルが黒人で原作通りでないことが非難されていたが、映画の前半は七つの海を代表する人魚としてアリエルのお姉さんたちが登場し、アジア、アメリカ、アラブ、北欧、ヨーロッパ、アフリカの人種の役者が起用されていた。また海のごみ問題など社会問題を話題にしていたが、後半は原作に近い話だったので、前半に社会問題を詰め込みすぎて現実に引き戻されることが多かったことが非難される理由だと考えた。また映画の舞台が南国のような島でヨーロッパとは違う建物なことやアフリカ人が多いことからアフリカ人の人種差別が映画のテーマだと考えた。
【漫画】
1葬送のフリーレン1-11巻 作者:山田鐘人 作画:アベツカサ
あらすじ:勇者一行が魔王を倒したあとの後日譚ファンタジー。主人公の魔法使いフリーレンはエルフである。エルフは長命である為勇者一行の他三人とは時間の流れが違う。他三人とは時間感覚が違うだけでなく他の感覚も違う。フリーレンの仲間だった勇者や僧侶は寿命で亡くなり残された彼女は人間を知る為に弟子と共に旅を始める。冒険の終わりから始まる物語。
感想:まず絵が圧倒的に美しい。またセリフで感情を表すことはせずに、人の表情だけで登場人物の喜怒哀楽だけでなく微妙な心の動きを表している。そして人との会話の間や急いで話を進めない所が一緒に旅をしているように感じる。しかし話のテンポは遅いとは感じない。また人の会話が自然で異世界物なのに本質は現実と変わらないような魔法の設定や人間の考え方があるから、本当に存在する世界ではないかと錯覚する話になったと考えた。
2僕が死ぬだけの百物語 第四十七夜二人乗り作者:的野アンジ
あらすじ:主人公のユウマが一日一話ずつあるものに向かって怪談をして百物語を成し遂げようとする話。第四十七夜は主人公を追い回していた警官が主人公の代わりに怪談話をする。怪談をする日々が過ぎていくと同時に主人公や周りの様子が変化していく。主人公の謎と怪談の不気味さをダブルで味わえる漫画。
感想:二人乗りをしていて事故にあった片方の子供と母親がもう片方に謝りに行く話だと思って見ていると最後に死んだのは主人公だったというありそうなオチだが、結末までに主人公が幽霊であることがほのめかされていた場面がいくつかあった。主人公が他の人に聞こえない視点でも聞こえる視点でも会話が自然なことや手を握るシーンはよく見たら主人公ではなく母親であること、お茶も一つしかないこと等よく観察して読むとオチが分かるように描かれていると考えた。
3賭ケグルイ17巻 作者:河本ほむら 作画:尚村透
あらすじ:主人公、蛇喰夢子の蛇喰家の過去が明らかになる。かつて蛇喰家は博打を稼業としていた。姉の想子と妹の夢子は幼い頃に両親を亡くした。一族の叔母・次子のもとで貧しい日々を送っていた。しかし賭け狂う蛇喰の血が一族を破滅へといざなう。蛇喰夢子がなぜ賭けることに大きな意味を見出しているのかが明らかになる。
感想:蛇喰夢子が第一巻から親指に指輪をつけていた意味が今回の話で明確に描かれた。幸運を呼ぶために身につけるそうだが、もう一つの意味として古代ローマでは支配者が権力を示すためにしていた指輪である側面がある。今までは幸運を願うために身につけていたような描写が多かったが今回の巻で支配者である為に身につけていたことを強調していると考えた。キャラクターの装飾にも意味があると考えると他の部分にも意味が隠されていると思った。
4カケグルイ双13巻 作者:河本ほむら 作画:齋木桂
あらすじ:ギャンブルの強さがすべてのお金持ち学園で早乙女芽亜里が勝者となる為に仲間と共に賭け事をする。本編の主人公と会うまでの様子を描いている。前回壬生臣葵の妹と名乗る神々廻有愛が早乙女芽亜里から文芸部を奪った。神々廻は葵の復讐として聚楽幸子に挑もうと計画を立てる。一方芽亜里は神々廻の仲間二人を倒すために闘志を燃やし緻密な計画を立てる。
感想: 本編で主人公と出会うまでの早乙女芽亜里がどのような人物だったのかということはもちろん、学園がどのような仕組みなのか本編より詳細に分かるようになっているのがスピンオフの醍醐味だと考えた。本編の作品が好きな人の為により細かな設定を漫画で描くことにより作品自体の現実味が増すと同時に本編の魅力も上がっていると考えた。
5あおざくら1-21巻 作者:二階堂ヒカル
あらすじ:幹部自衛官を養成する防衛大学校に入学した主人公近藤勇美が防衛大で仲間とともに厳しすぎる学校生活を送る日々の話。リーダーとは何か。仲間とは何か。リアルな防衛大生の生活が描かれている作品。数々の困難を乗り越え成長していく主人公と仲間たち。一年の生活を終え、2年になり増々リーダーとは何かチームとは何かを考える主人公。一年生が脱柵を企みどう止めるのか。
感想:主人公がリーダーとは何か、組織の為に銅のように動けばいいのかを考えて行動しているが所々に行事や恋愛のイベントを入れることによって青春を楽しみながら成長しているように構成されている。そして話の内容が重いのに重くなりすぎないが、読者に主人公にも起こった困難をどう対処すればいいのか考えさせられる話になっている。だからこの話は主人公だけでなく読者も成長させるような話だと思った。
6HUNTER×HUNTER31巻 作者:富樫義博
あらすじ:前会長の後を引き継ぐための次期会長選挙が始まる。荒れる選挙戦と同時に重体のゴンを救うためにキルアが動く。幽閉されている妹のアルカの力を借りる為に家に帰るが数々の困難が待ち受けている。キルアは無事にゴンを救えるのか。次期会長は誰になるのか。アルカの能力とは。ゴンを中心に多くの人が動き出す31巻。
感想: HUNTER×HUNTERの漫画は印象的に残したいシーンは枠から頭などの体の一部がはみ出し、その話の主要のキャラを等身で描いている特徴がある。また背景が崩れそうな壁、真っ黒に塗りつぶす、モヤを描く等の表情で、表情とは裏腹なキャラクターの心情や周りの雰囲気を表現していると考えた。アニメや映画にはない漫画ならではの魅力だと思った。
7HUNTER×HUNTER32巻 作者:富樫義博
あらすじ:それぞれの思惑が渦巻く会長選挙がついに終わる。一方でアルカとナニカの能力も明らかになり、キルアもゴンの元にたどり着く。果たしてゴンは治るのか。会長選挙とキルアのゴンを治す旅の話が交わり、キメラアント編の話が終息する32巻。
感想:今までのキャラクターの行動の謎が解説されスッキリと共に感動する話だった。能力も分かりやすく今まで紹介していたが、まとめることによりなぜあのタイミングでこの話を出したのか分かるようになっていた。作者の物語の構成力が垣間見える一冊だった。
8魔女の旅々 原作者:白石定規 漫画:七緒一綺 キャラクター原案:あずーる
あらすじ:主人公の魔女、イレイナが本に出てくる魔女のように世界中を旅していろいろな人に会い、様々な人生を見ていく話。旅を通して世界の美しさと危うさを感じた主人公やその他の登場人物が成長していくファンタジー漫画。
感想:絵が綺麗で異世界観を出しているのと、町の様子や主人公の服装などで世界の雰囲気を出していると考えた。また話が美しく終わるだけでなく苦しい結果や現代社会ではまだ是とも非ともいえない安楽死や死こそ救いのような終わり方をする点に加えそれに対して主人公が何も言わずにこのような人生もあると達観している点がこの漫画の魅力だと考えた。
9動物人間 作者:岡田卓也
あらすじ:主人公とその娘が山の中事故にあい、目が覚めると広いお屋敷の中にいた。治療してもらい食卓につくとそこにはシカや豚、牛等の動物が人間の言葉を話し食事をしていた・・・。人間たちが動物に捕食される側になる現代社会の食の疑問や不思議さにスポットライトを当てた漫画。
感想:現代の人間社会とは別に、人間と家畜の立場がになった世界が身近に潜んでいるという怖さと人間がもし捕食される立場になったとき、何もできない人間が無力なのが怖さを倍増させていると思った。また「食べる」とはどういうことなのか今一度考えさせられた。
10タタリ 作者: 彌
あらすじ:昔大妖怪としておそれられた化け猫のタタリが陰陽師との戦いに破れて傷ついているところ、主人公のタケルに助けてもらう。タケルの妹と共に平穏に暮らしているがタケルが殺された為化け猫はタケルに成りかわって主人の人生を代わりに生きる。主人公を殺した人や妖怪と戦うバトル漫画。
感想:妖怪同士がバトルする漫画は沢山あるが、妖怪が人間の人生を代わりに生きて主人公がしたかったであろうことをする姿が妖怪なのに死んだ人の亡霊を追う人間のようで珍しいと思った。
11ジャンケットバンク 1~11巻 作者:田中一行:
あらすじ:銀行が地下で裏カジノを運営している中、天才ギャンブラーの真経津晨がお金や命を賭けながらより高いステージへと進んでいく。銀行員でありカジノを運営する部署に異動した主人公の御手洗暉は真経津晨のギャンブルに魅了され、銀行賭博に深く関わっていく。
感想:銀行と賭博と一見相反する組み合わせがより一層ギャンブルの話を面白くさせていると思った。またギャンブルの中で互いの精神を読み解く中でギャンブラーの人生や考えを明らかにすることで読者に親近感を与えつつそこから神がかり的な読唇術や常軌を逸した行動をとることで読者を突き放し、話の中に緩急が付き読者もはらはらしながら読み疑似的にギャンブルをすることが出来る漫画だと考えた。
12ラストカルテー法獣医学者 当麻健匠の記憶― 1-5巻 作者:浅山わかび
あらすじ: 主人公の当麻健匠は一度見たものは忘れないという記憶の持ち主。高校の同級生の茨戸と獣医師である茨戸の姉が動物に関わる事件に居合わせたことから法医学に興味を持っていく話。
感想:動物が最後どのように過ごしてどのように最後を終えていくのかを知りたいという動機で当たる様々な問題にあたる日々を過ごしほっこりする話や酷い事件にあたってく中で主人公が事件を自分なりに解決していく様子を読んで私たち人間と動物が共存していく中の問題を知り難しさを提示しつつ素晴らしさも表現している漫画だと思った。
13COSMOS 作者:田村隆平
あらすじ:人のウソが見抜ける主人公、水森楓が謎の女子高校生、穂村燐と出会い、地球で暮らす宇宙人が生命保険を偽っているかどうかを調べ取り締まりつつ、人間と宇宙人の人生を描いている漫画。
感想:現実にありそうで宇宙人と人間にあまり差がないという設定が宇宙人というのは理解しがたい人間を指しているように思えた。人間が宇宙人だと知らなければ人間と同じように生きていける世界観が宇宙人であることが窮屈だと感じることが出来、従来の宇宙に対する希望より切なさが多く描かれている漫画だと思った。
14 PPPPP 作者:マポロ3号
あらすじ:天才ピアニストの音上楽音に七つ子が生まれた。そのうちの一人だけ才能がなかった。そして家を追い出された主人公が自分なりのピアノの弾き方を見つけつつ兄弟や父と再会しつつ、ピアノのバトルをしていく漫画。
感想:音楽が作品の漫画は聴覚を視覚で表現し直すときに音符や人間の表情、どれだけ凄いことなのか漫画の中で語る方法が多く、音楽経験者しかわからないような凄さや苦しさが表現されていることが多かったが、この漫画は絵画芸術のように描くことでそれぞれの曲がもつ世界観や奏者による違いを表すことが出来ている珍しい漫画だと思った。
15 夏目友人帳 30巻 作者:緑川ゆき
あらすじ:夏目貴志はオークション「何首鳥の会」に招待され占い師クララと一緒に会場へ行く。中では盗難事件や「黒ミサ」とは誰なのか。今まで明かされなかった登場人物の謎に迫っていく話。
感想:人と人の関係の難しさや取り戻せない関係があることを漫画で表現した後に悲観的にとらえるのではなく事実を胸にしまい人生を歩んでいる様子が描かれていて今を生きていることが大切だと思った。また妖がきっかけで関係が悪くなることもあれば良くなることもあるので「妖」は人にとっての事件や事実を表していると思った。また「妖」というものをどのように捉えるかが大事なのだと思った。
16 カメレオンは手のひらに恋をする。 1巻 作者: 厘てく
あらすじ:難聴の大学生と売れない俳優が出会い、手話を知らない俳優が演技をして大学生とコミュニケーションをとることが出来、また俳優の心も救われていくハートフルな漫画。
感想:会話をすることが難しくても何とか伝えようとすることで心がつながる様子にほっこりした。しかし演技を否定してくる人の言葉を真に受け傷ついている俳優にその個性が魅力であり他にも生かすことが出来るとアドバイスしている様子は現実世界にも言えることだと思い、否定されたことは他のところでは魅力になるというメッセージは多くの人に刺さると思った。
17四弦のエレジー 1-5巻 作者:梅内創太
あらすじ:9世紀末のドイツに大音楽家のユリウス・ブロイヤーに二人の息子がいた。実子のアリョーシャは才能がないと父親から言われ養子のエンリコだけ舞台に立たされる。しかし二人は一緒にこの家を出ようと約束する…。
感想:音楽を上手に弾きこなすことが出来ても幸せだとは限らないという苦しみに驚いた。自分に合う音楽を弾くことや音楽を楽しんで弾いくことや作曲することがどれほど難しく楽しいことか描かれているので、天才の苦悩と喜びを追体験できる漫画だと考えた。
18宝石の国 1-13巻 作者:市川春子
あらすじ:人間が絶滅した後の世界で宝石の体を持ちながら人間に似ている見た目を持つ子が天からやってきて宝石を誘拐していく敵と戦いながら自分とは何か、どこから来たのか、を考え世界の秘密に迫っていく話。
感想:最初は主人公が何も知らない為能天気に暮らし楽しい雰囲気だが徐々に世界の真相について考え行動し真実に近づけば近づくほど主人公が不幸せになっていく様子が読んでいて辛かった。この漫画は天女が現れ、また仏教の価値観が取り入れられていることからただ竹取物語をモチーフにした作品ではなく、作者が竹取物語から感じたことを抽出しかぐや姫が」天に行った後を物語の続きと世界の真実につなげていると考えた。
19NANA―ナナー1巻 作者:矢沢あい
あらすじ:一目ぼれしやすい奈々(ハチ)が社会人の彼氏に振られて美術学校に通うようになる。そこで出会った章司と恋に落ち一緒に上京した。レンというボーカルが他のバンドに引き抜かれバンドを解散したNANAも上京した。同じ名前の二人がたまたま同じルームメイトになる巻。
感想:青春期のどうしたらいいのか分からない葛藤や不安が性格も生い立ちも全く違う二人の「なな」が違う悩みを抱えているのにどこか共感しあえる様子が読者も共感できると考え思春期特有の感情が痛くもなく辛くもないように描かれているのでアルバムをめくっている感覚で読めるのがこの漫画の魅力だと考えた。
【アニメ】
21推しの子(アニメ) 第7話 監督:平牧大輔 原作者:赤坂アカ 作画:横槍メンゴ
あらすじ:恋愛リアリティーショー「今ガチ」の出演者である黒川あかねが誤って鷲見ゆきを怪我させてしまい炎上し自殺を図る。主人公であり同じ出演者である星野アクアが自殺を引き止める。その後共演者同士で炎上を沈静ために撮影の裏側の映像作る。黒川あかねはどうなるのか。炎上は止められるのかー。
感想:アニメで黒川あかねがアイを演じて登場するシーンでは漫画よりインパクトがあった。この話の中で一番の見せ所であることもあるが、登場するシーンだけ作画によりいっそう力が入れられていた。そして他のシーンよりも動きが滑らかでゆっくりだった。わざとこのシーンだけ遅くすることによって黒川あかねが変わったことを強調しつつ主人公の星野アクアが驚き息をのむ様子を視聴者も共感できるような効果があると考えた。
22岸辺露伴は動かない アニメ 1クール 監督:加藤敏幸
あらすじ:『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフでリアリティーを求め、漫画家の岸部露伴が取材していく中で奇妙で不思議な事件に巻き込まれていくホラーのような話。
感想:岸部露伴のアニメの描き方は漫画と同じように描いているが、足元から他者を映す等の他のアニメには見られない角度からことが多かった。このことと音楽が不思議なそしてホラーのシーンで使われるような曲だったので漫画より奇妙に描かれていると考えた。
【ドラマ】
23岸辺露伴は動かない 実写 一話 監督:渡辺一貴
感想:アニメや漫画のホラーと奇妙な雰囲気を持っていたが、実写ということもあり現実味が多くなっていた。スタンドと呼ばれる一般の人には見えないものを描かずに超能力を持っているように話を変えていた点が現実世界でも起こり得そうだと思わせる要因だと考えた。
24ウェンズデー 監督:ティムバートン
あらすじ:弟をいじめていた子を病院送りにしたことで学校を退学になったウェンズデー。そして両親の母学校に転校することになった。その学園は人狼や吸血鬼など社会からののけ者が集まっていた。そんな学園で起こる事件を解決していく…。
感想:不思議でいながらどこかワクワクさせるような音楽に白と黒をうまく使い分けている映像の取り方がよりウェンズデーの不気味さを際立てていたと考えていた。またミステリーが解決に進めば進むほど謎が増えていく様子と、ウェンズデーが普段多くの人が思っていても言えない言葉をはっきりという姿がこの作品の魅力だと思った。
25エミリー、パリへ行くシーズン1 監督:ダーレン・スター
あらすじ:ニューヨークに住んでいたエミリーがパリに広告代理店の会社の支店が作られることになり、パリに引っ越すことになった。今まで順調だった恋愛も仕事もパリに引っ越すことになって困難に直面することになる。
感想:フランス人はフランス語しか話さなくて外国人に優しくない、不倫ばかりする、仕事より休日の方が大事、フランス映画でよく使われる意味不明な言葉等、フランスへの偏見だらけのドラマで、アメリカが持つフランスについて悪イメージがよく表れていると思った。しかしフランスのオシャレや優雅さにあこがれているアメリカ人も良く描かれていた。日本はアメリカのように仕事が人生の中心にいる人が多かったので、フランスのような休日のために仕事をするという考え方は新鮮だった。
26エミリー、パリへ行くシーズン2 監督:ダーレン・スター
あらすじ:エミリーはガブリエルを好きになったが、ガブリエルはフランスに来て初めてできた友達のカミーユの恋人ということを知る。仕事仲間とも順調にいっている中、また文化の違いによりトラブルが起こる。三角関係やア仕事はどうなるのか…。
感想:親友のカミーユがガブリエルとエミリーが両思いであることに感づいてからメイクや服装が黒くなっているが接し方が変わらない場面を見て、服で人の気持ちを表すことが出来ると思った。またドラマの重要な場面で洋服の広告をすることが多いのでこのドラマは洋服を主軸として作品を描いていると考えた。
27エミリー、パリへ行くシーズン3 監督:ダーレン・スター
あらすじ:長く続いていた三角関係が終わりついにカミーユとガブリエルが結婚することに。エミリーも新しい恋人が出来て仕事仲間とも分かり合えるようになった。ガブリエルも念願のお店を開けるようになったが…。
感想:ずっと続いていた三角関係やエミリーと敵対していた上司との確執、ガブリエルがお店を開くという夢が叶い、ハッピーエンドに向かいそうだったが、全てがひっくり返そうとする終わり方になり、綺麗に終わりそうで終わらない感じがもどかしいと思った。そしてこの作品はどっちつかずではなくどっちも手に入れるという行動をとっていたエミリーが今後どうするかが気になると思った。
【映画】
28すずめの戸締まり 監督:新海誠
あらすじ:1人の少女が、ある時山の中で不思議な扉に遭遇する。その矢先、日本中で扉が出現し始め、その扉が開くことでさまざまな災いが次々と起こっていく。そこで、少女は各地の扉を閉める旅へ出発する。
感想:扉が開いてしまうのは人々から忘れられたことや祈りが足りないからと作中で描かれていたのは、現代人が地震のことを忘れかけておりまた地震が来ることを忘れてはいけないという警告だと考えた。また地震を抑えるために猫や人を柱にすることで抑えられるというのは昔から橋を建てる際に行っていたことなので何かを犠牲にしないと地震を防ぐことは出来ないのかと考えました。
29アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 監督:ジェームズ・キャメロン
あらすじ:地球から離れた神秘的な惑星パンドラで幸せな家庭を築いたジェイクとネイティリ。しかし、彼らは古代の脅威によりパンドラから追放されてしまう。やがて彼らは海の部族に助けてもらおうとするが、そこでも人類の脅威が迫っていた。
感想: アバターはCGや映像が綺麗なことでも有名だが、映像の取り方が綺麗だと思った。特に海を上に空を下にして撮ることにより空と海がつながっていることを表現していたと考えた。前作は空がテーマだった海でも、海の中の動物や水の質感も表現することが出来ており前回を超えるリアリティーと美しさだった。
30リトル・マーメイド 監督:ロブ・マーシャル
あらすじ:人間世界にあこがれる人魚が魔女から人間になれる薬をもらう。しかし声が出なくなり、王子と会話することが出来ない中、3日以内にキスをしないとアースラーの物になってしまう。アリエルはどうなるのか…。
感想:アリエルが黒人で原作通りでないことが非難されていたが、映画の前半は七つの海を代表する人魚としてアリエルのお姉さんたちが登場し、アジア、アメリカ、アラブ、北欧、ヨーロッパ、アフリカの人種の役者が起用されていた。また海のごみ問題など社会問題を話題にしていたが、後半は原作に近い話だったので、前半に社会問題を詰め込みすぎて現実に引き戻されることが多かったことが非難される理由だと考えた。また映画の舞台が南国のような島でヨーロッパとは違う建物なことやアフリカ人が多いことからアフリカ人の人種差別が映画のテーマだと考えた。
2年 阿部
RES
夏休み課題1~30
1.漫画『スラムダンク』
あらすじ
中学3年間で50人もの女性にフラれた高校1年の不良少年・桜木花道は背の高さと身体能力からバスケットボール部の主将の妹、赤木晴子にバスケット部への入部を薦められる。
彼女に一目惚れした「初心者」花道は彼女目当てに入部するも、練習・試合を通じて徐々にバスケットの面白さに目覚めていき、才能を開花させながら、IHに上って行くのであった・・・。
漫画ならではのハイスペックさはあるが、登場人物が特別な必殺技を持っている訳ではなく、基礎練を大事にしていたり現実的なプレイを中心に試合を展開しているため、読んでいて登場人物に対してより共感できる作品だと思った。また、主人公の花道や流川、仙道などの各高校を代表するような選手だけでなく、「縁の下の力持ち」の小暮公延や「努力の人」神宗一郎など縁魅力的な登場人物の多さがこの作品を多くの人に愛される理由だと思った。
2、映画『The FIRST SRAMDUNK』
あらすじ
インターハイにて、山王工業高校との試合に臨む湘北高校バスケットボール部。メンバーそれぞれが積み重ねてきた成果、背負っている過去、さまざまな思いが、コート上で激しくぶつかり合う
原作の主人公とは代わり、映画ではあまり原作では掘り下げられなかった宮城リョータが主人公となっており、山王戦を宮城視点から描いていることで、同じシーンでも原作と映画で違う印象になっていると思った。また、試合を俯瞰で見ているのではなく、コート上の選手目線で描かれていて試合の流れや構成、選手の位置関係がより分かりやすくなっていると感じた。
3、映画『SANDLAND』
あらすじ
魔物と人間の共存する砂漠の世界「SANDLAND」。そこでは誰もが深刻な水不足に悩まされていた。ある町で保安官として働くラオは、水不足の問題解決に向けて動き出すことに。ラオは魔物の巣産に向かい、魔王サタンの子供である
ベルゼブブ王子、そして巧みな盗みを得意とする
シーフを連れて、町の南にあると言われる
「幻の泉」を探す旅へ出るのだった。
最近人気のある凝った設定や伏線回収していくようなストーリーではなく勧善懲悪のシンプルな冒険ストーリーとなっている。主人公がおじさんという斬新さやテンポよく起こるアクシデントなど王道な作品ではありながら、人間のエゴや不平等さなどメッセージ性もあり、子供から大人まで誰でも楽しめる作品だと感じた。
4、『劇場版 NARUTO-NARUTO-疾風伝 火の意志を継ぐ者』
あらすじ
5大国のうち4つの国で忍の里が何者かの襲撃を受け、各国は緊張状態にあった。第4次忍界大戦という大きな危機が迫る中、残された火の国の忍たちは犯人を突き止めようとする。一方その頃、カカシが木ノ葉の里を抜けたことが明らかになる。
里を守る、仲間を大切にするというNARUTOのテーマに沿った作品になっており、原作では出番が減っていたナルトの同期達も勢揃いで見せ場もあり、クライマックスのアクションは劇場版ならではの迫力となっていた。
5、『劇場版 NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー』
あらすじ
里の命を受け、裏切り者の抜け忍ムカデを追うナルト。廃墟・桜蘭にたどり着くも、地下に眠る龍脈のパワーをムカデが解放したことにより、意識を失う。目覚めたナルトは、見たこともない光景を目の当たりにする。
ナルトがタイムスリップし、父親であるミナトやその世代の忍者達と共闘して敵を倒す話になっており、今までの映画ではナルト世代のキャラクター勢揃いだったが、今作はあまり焦点が当たっていないキャラクターが多く出てきて新鮮だった。しかし、親子の絆をテーマにしているのにあまり感じられなかった。また、傀儡使いの敵は原作で既に出ているため今作の敵は物足りなく感じ、全体的にも単調な内容に感じた。
6、『劇場版 NARUTO-ナルト- ブラッド・プリズン』
あらすじ
いわれなき罪によって囚われたナルトが送られたのは、脱獄不可能といわれる監獄・鬼灯城、通称「ブラッド・プリズン」だった。城主が操る禁固術「天牢」によって忍の力を奪われたナルトだったが、それでも無実を主張し脱獄を企てようとする。
冤罪でナルトが捕まるところから始まりシリアスな展開が続く、ミステリーやサスペンス色が強い今までの映画とは作風が変わったストーリーになっている。戦闘シーンも今までの映画とは違い、仙人モードや口寄せの術によるガマ親分との共闘で今までに無い巨大な敵とのビッグスケールな戦いを楽しむことが出来る。しかし全体的に今作は重たい内容になっており、後味の悪い終わり方だと思った。
7、『ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』
あらすじ
かつて、謎の仮面の男によって九尾が解放され、木ノ葉隠れの里は壊滅寸前に追い込まれる。里のリーダー、ミナトと妻クシナは、生まれたばかりの息子ナルトに九尾を封印し、自らの命と引き替えに里を救う。それから十数年後、仮面の男が九尾の能力を狙って再び里に現われる。仮面の男はナルトとサクラの前で謎の瞳術を使い、世界を作り変えてしまう。意識を取り戻したナルトとサクラは、里の仲間たちの性格が正反対に変わってしまったことに気づくが...
家族というものを焦点にナルトとサクラのの心情を映し出しお互いの気持ちに気が付いたことから、ないものねだりや、その立場にならないと理解できない悩みや苦しみがあることを改めて感じさせる作品。パラレルワールドという事で性格や関係性が変化した人物達が登場し、普段なら敵である人物との共闘は面白かったがあまり内容は濃くなく、普段見られない展開を楽しむ作品だと思った。
8、『The LAST -NARUTO THE MOVIE』
あらすじ
小さい時からナルトに思いをよせ見守っていたヒナタは、彼への想いを告げられずにいた。ある夜、謎の男が現れ、ヒナタを迎えに来ると言い残し、彼女の妹をさらっていく。そんな中、月が地球に異常接近する事態が発生し、ナルトたちは調査に向かう。
原作では最終的にナルトとヒナタは結婚しましたが、物語のはじめからナルトはサクラに夢中で二人の馴れ初めは描かれてなかったが、その部分が描かれた作品になっている。しかし、2時間の映画の中で4回も編んだマフラーが破壊されるなどのストーリーに対してのツッコミどころや忍者の基本であるチャクラ操作が出てないなど原作との整合性に違和感があるシーンがいくつかあった。
9、『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
あらすじ
“神童“ボルトは、“英雄“であり父の七代目火影・ナルトを、クソオヤジと忌み嫌っている。それを見かねたナルトの友で旅人のサスケは、ボルトの師匠となる事を志す。サスケの娘サラダは、ボルトの戦友となる。新時代を生きる新たな忍たちの物語が始まる。
ナルト世代が大人になりその子供達の世代がメインとなり、努力することの面白さ、時代の変化と共に変わっていくものが描かれた作品になっていた。親がおらず落ちこぼれだったナルトと、両親がいて父親が火影で忍術の才能があるボルトの悩みが対比的に描かれ、家族との接し方に苦労するというのはとてもリアリティがあると思った。
また、音楽がメタルチックになっていて、ナルトでおなじみの逆境の時にかかるBGMもアレンジされ全体的に新世代みを感じた。個人的にナルトの映画では1番面白かった。
10、『呪術廻戦 懐玉・玉折』
あらすじ
東京都立呪術高等専門学校の学生である五条と夏油は、“2人で最強”を自称する名コンビだった。「星漿体」こと生け贄にされる予定の少女の護衛を任された2人は、術師殺しとして名高い伏黒甚爾と対決し、挫折と苦悩の中でそれぞれが歩まんとする道を違えていく。
29話目だけ作画が変わったことで、五条悟が1人で全て抱えてしまうようになったり、灰原が亡くなってしまったり、特に夏油が壊れていく様子など、それまでの日常が壊れて少しずつズレていくような不穏な感じをより演出しているように感じた。また、盤星教信者の拍手の音がシャワーの音や雨の音から変化しずっと夏油の脳裏に焼き付いている演出など原作よりも夏油の精神を蝕み続けていることがアニメならではの表現で分かりやすくなっていると感じた。
11、漫画『暁のヨナ』
あらすじ
主人公のヨナは「高華王国」の姫君。平和主義の国王を父に持ち、護衛のハクと従兄で片思い相手のスウォンと共に迎えた16歳の日、王位簒奪を目論んだスウォンの手によって父親が殺害されてしまいます。反逆により城を追われることになったヨナはハクと共に仲間を探しながら命がけで逃げる中、徐々に高華王国の実情と向き合うことになります。
甘やかされて育ち何も出来なかったヨナが、野宿や、弓矢を習い、仲間を救う為人を殺す事も必要とされるなど過酷な環境で自分を守り生きていく姿が多くの読者を惹きつける理由だと思う。また城を追われて生活するようになって見えてきた、国の現状を改善するためにした行動や、その土地で築いた人脈が後の行動に繋がり話を追うごとに面白くなっている。シリアスなシーンとギャグのバランスや少女漫画とは思えないバトルシーンと恋愛模様のギャップでとても続きが気になる作品になっている。
12、映画『バットマンビギンズ』
あらすじ
両親を殺されたブルースは、犯人を恨みながら復讐のときをうかがっていた。司法取引で出所した犯人を殺そうとしたブルースは、幼馴染のレイチェルに諭され、町の腐敗が悪を生んでいると知る。悪を知るため、身を堕としたブルースは、影の同盟という組織の一員であるデュカードという男と出会う。
「ダークナイト」3部作の1作品目でこれまで何度も映画化されてきた「バットマン」とは異なり、ダークヒーローであるバットマンの誕生を描いたことで、リアルな描写で等身大の彼の葛藤や心情、それまでの人生に焦点が置かれている。
『メメント』で知られるクリストファー・ノーラン監督によって製作され一つの作品として完成している為原作やそれまでの映画を知らなくても楽しめる作品になっている。
13、映画『ダークナイト』
あらすじ
ウェイン産業の会長であるブルースは正体を隠し、「バットマン」として悪党と戦っていた。そんなある日、残忍な犯罪者・ジョーカーが現れる。ジョーカーは正体を明かさなければ人々を殺すと、テレビを通じてバットマンを脅した。
「ダークナイト」シリーズの2作品目でゴッサムシティに現れたジョーカーとの対決を描いた、個人的に1番おすすめしたい作品。悪と正義の対比だけでなく、正義感の強い検事が愛する人の死をきっかけに悪に染まっていくなど人間の心理にも焦点が当てられ、結末も衝撃的なものになっている。サイコパスで人々を恐怖で支配し混沌をもたらすジョーカー役のヒース・レジャーの演技が凄まじく世界中が魅了されていた。バットマンよりも犯罪者である彼の存在感がすごく、その圧倒的な存在感が争いの意義や正義とは何かを際立たせていると感じた。
14、『ダークナイト ライジング』
あらすじ
ジョーカーの危機が去ってから8年後のゴッサム。“デント法”により組織犯罪は沈静化。街には表向きの平和が訪れ、ブルース・ウェインは人々の前に姿を見せることなく暮らしていたが、街の地下で恐ろしい力を持つ庸兵ベインが“ある計画”を開始し……
「ダークナイト」シリーズ3作品目で数々のピンチに遭いどん底に落とされたバットマンがゴッサムシティの危機に再び立ち上がり、最後の戦いに挑む様子を描いている。最後までダークヒーローらしい暗めの映像だが、最終的には救いがあり綺麗にまとまっており、未来についても示唆するような終わり方になっている。また劇中で多くの伏線がはってあり何度見直しても新たな発見があり、何度も楽しめる作品になっている。
15、映画『THE BATMAN』
あらすじ
バットマンが初めて犯罪に立ち向かってから2年。ゴッサムシティでは、不可解な連続殺人事件が発生する。それぞれの現場には、バットマンに向けた謎のメッセージが残っていた。事件の解決に動き出したブルース・ウェインは、自身の家族も深く関わるゴッサムシティの腐敗に直面することになる。
今までのバットマンは表はプレイボーイという二面性を持っていたが、今作では裏も表も復讐に燃える暗い男で今までとは違う最も暗い新しいバットマンになっていると感じた。冒頭から不穏な音楽で始まり、映像も常に夜のシーンでよりゴッサムシティの腐敗や敵であるリドラーの病んでる様子、バットマン自身の精神の不安定さが視覚的にも聴覚的にも表されていた。また全体的にリアリティが優先されており、派手なアクションなどはなくよりシリアスな内容になっていると思った。
16、映画『オリエント急行殺人事件』
あらすじ
トルコとフランスを結ぶ豪華寝台列車オリエント急行。雪崩で脱線し立ち往生してしまった車内で、富豪のアメリカ人男性が殺される。乗り合わせていた探偵ポアロは鉄道会社の依頼で密室殺人の捜査に臨むが、乗客全員に完璧なアリバイがあった。
原作では推理をオリエント急行内で行うことで、殺人犯が急行内にいるかもしれないという恐怖や乗客の人間関係や密室感にひりつく感じや落ち着かなさが感じられるのが個人的に良さがだと思っているので、映画版では外で推理が行われていてそれが感じられないのが残念に思った。また、人物描写が繊細で何気ない会話が後に繋がってくるのが特徴だが、今作ではポアロ後それぞれの人物との会話や尋問がバラバラで、彼らの繋がりやバックグラウンドを丁寧に推理していく良さがあまり表現出来ていないように感じた。
17、映画『ナイル殺人事件』
あらすじ
新婚旅行中の夫婦、そして彼らの招待客たちを乗せた豪華客船がナイル川を進んでいた。そんな中、船内で乗客が次々と何者かによって殺されていく。偶然船に乗っていた名探偵・ポアロは、謎に包まれたこの事件を解明し、犯人を探し出そうと奔走する。
原作には無いポアロの人生が描かれ、彼が抱える悲しい過去と向き合う事で人間としての魅力が引き出させるのは良かったが、その部分が長くなってしまい後半に怒涛の展開になり事件の被害者や容疑者に関しての掘り下げがあまりされていないように感じた。しかしストーリーは分かりやすく、華やかな映像で普段ミステリーを見ない人にも見やすい作品になっていると思う。
18、映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』
あらすじ
イタリアの降霊会で、招待客が何者かに殺害される事件が発生。誰もが亡霊の仕業だと信じる中、超常現象を完全否定し人間の犯行だと確信するポアロは、その不可解な事件の真相解明に乗り出す。
前作2作品と比べるとミステリーよりもホラー寄りで題材のハロウィンとヴェネチアの風景もあり、カメラワークや効果音なども脅かし系だと感じた。原作の「ハロウィン・パーティ」から多幅に改変されているが伏線が全て回収され、謎解きや犯行の動機も違和感なく原作を読んでいなくても楽しめると思った。
19、漫画『茉莉花官吏伝~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~』
あらすじ
人より「物覚えがいい」という特技を持った後宮の女官・茉莉花は、名家の子息のお見合いの練習相手を引き受けることになったが……。優しく気まぐれな皇帝との出会いが、少女の運命を変える!
本人は出世に意欲的ではないが、周りの人との関わりで徐々に変化していく立身出世物語。主人公は自身の生い立ちや女性であるという理由で能力があるのに自己肯定感が低く、「下手な野心は職を失う」という考えを持っていて、性別や育った環境による人々の考え方や行動がリアルに描かれていると思った。
20、漫画『君に届け』
あらすじ
高校1年生の黒沼爽子は、長い黒髪と陰気な雰囲気から「貞子」と呼ばれ恐れられ、ひとりぼっちの学校生活を送っていた。そんな噂を気にせずに、爽子に親しく声をかける男子が一人。クラスの人気者、風早翔太だ。彼だけは、爽子の底抜けの性格の良さと、内に秘めた努力家な一面を知っていた。風早との出会いをきっかけに、クラスにもだんだんと打ち解けていく爽子。そして、風早への自分の気持ちにも、少しずつ気づいていくのだった―――。
王道な恋愛漫画でありながら、友情で感じる切なさやすれ違いによる心苦しさ、進学への悩みなど学生時代特有の繊細な感情がリアルに描かれた作品になっている。また魅力的な登場人物が多く一人一人の絶妙な心の動きがリアルに描かれているため、爽子と風早はもちろん、友達の千鶴、あやね、龍、担任のピン、ライバルであるくるみ全員に自然と感情移入できるのがこの作品最大の凄さだと思った。
21、漫画『君に届け~運命の人~』
あらすじ
高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が !? 高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですが、そこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
『君に届け』の続編で、くるみと同じ作者の『crazy for you』の赤星の物語。赤星との出会いによって爽子が自分の運命の人などではないかと強く感じているくるみの心の機微や、過去の自分に対する葛藤が丁寧に描かれている。また、顔が可愛いのに自己評価が低い人、自己嫌悪の塊で、実は虚勢を張っているだけで脆くて純粋な様子がリアルに表現されていると思った。
22、漫画『ハコヅメ』
あらすじ
「もう辞めてやる!」辞表を握りしめた新米女性警察官・川合の交番に、なぜか刑事課から超美人の藤部長が配属されてきた。「岡島県警(の男性陣)を絶望におとしいれるコンビの誕生である。理不尽のち愚痴、時々がんばる、誰も見たことのない警察漫画。
今までのドラマや漫画での描かれ方とは違う警察の様子、女性警察官だからできること、できないことなど凄くリアルな様子が描かれている。警察ものでありながら暗い雰囲気ではなく、シリアスなシーンもありながら基本的にはコミカルに描かれているためすごく読みやすかった。基本的に一話完結で楽しめるが伏線の張り方がすごく、タイトルや第一話目から軸となるような伏線がはられていて、緻密なストーリー構成で何度も読み返したくなる作品。
23、漫画『ハコヅメ~アンボックス~』
あらすじ
「くノ一捜査官」こと黒田カナは生活安全課の潜入・尾行等を行う秘匿捜査官。警察学校卒業から数年後、男女間のトラブルに端を発するとある事件が、彼女の警察人生を大きくかえる。
アンボックスでの主人公は黒田カナとなっており、本編のようなコミカルなシーンは一切なく、事件と誹謗中傷に追い詰められる被疑者遺族と疲弊する現場のリアルさがシリアスで重たい内容で描かれている。男女間や家族関連の事件は警察の介入が難しく、重大な事件になりやすく、このような事件での警察の在り方が考えられる内容だと思った。また警察視点でのマスコミに対する批判と期待が込められていると感じた。
24、漫画『黄泉のツガイ』
あらすじ
物語は山奥の村落に住む少年・ユルが突然襲撃に遭うところから始まる。双子の妹・アサを守るために彼女の元にユルは向かう。そこには自称本物の妹・アサがいて奇妙な力で妹・アサを殺害。混乱の最中、ユルは村の守り神である「ツガイ」の左右様と契約して、自称本物の妹・アサを追う。
時代ものかと思いきや怒涛の展開で、1話目から一気に物語に惹き込まれる内容になっている。古の文化と現代の文化、「解と封」の二つの能力、双子の主人公、題名にもあるツガイという存在など作品の中に多く対になるものが散りばめられており今後どのように関係していくのか重要なキーワードだと感じた。自分が暮らしていたところの人達に実は命を狙われていたり、一族の中でも一枚岩ではなかったり、誰が敵で誰が味方か、何が善で何が悪かがはっきりしておらず登場人物達の細かい心情や背景にも多く伏線がはられて、じわじわ面白くなっていると思った。
25、漫画『結界師』
あらすじ
中学二年生の墨村良守は400年続く間流結界術を受け継ぐ墨村家22代目当主予定の結界師だ。同じく結界師の家系の雪村時音と共に自身が通う烏森学園に集うあやかしを毎夜退治していく。しかし、この烏森の地には隠された謎があって……
結界術にっての設定が細かく、バトルものでよくある戦った後の壊れた建物や部品が何もしなくても直っているのではなく、式神を使って戦った後にも修理作業や清掃活動を行っているのが斬新だと思った。また主人公が家業だから結界師としての活動を好んでいるのではなく、小学生の頃に自分のせいで時音に怪我を負わせてしまい、もう誰も傷ついて欲しくないという理由から活動していたり、その日の気分でやる気が変わったり等身大の人間として登場人物が描かれていると思った。また、家業の話であるため主人公以外にも家族間でそれぞれの問題や葛藤があり、多くのキャラクターに焦点があたるため、戦う理由や、悪い方へと進んでしまった理由などが明確に描かれていると思った。
26、漫画『ワンピース 魚人島編』
あらすじ
シャボンディ諸島にて再集結を果たした麦わらの一味は海軍の妨害を振り切り、深海1万mにある魚人島に向け無事出航する。魚人島のリュウグウ王国に辿り着いたルフィ達は王国崩壊を目論むホーディ―・ジョーンズ率いる新魚人海賊団の陰謀に巻き込まれていくが、再会を果たしたジンベエとともにこれを撃退し王国の危機を救う。そして、魚人島を出港したルフィ達は遂にグランドライン後半の海”新世界”に突入する。
シャボンディ諸島編でも魚人の差別・迫害の歴史は触れられているが、魚人島編では、より詳細に魚人族の歴史や思いが語られ、我々現実社会における人種差別と同様の根深さと業がストレートに表されていると思った。また、差別や迫害に立ち向かった偉人とその思いについても語られており、未来の世代に憎しみや負の感情を受け継がせないこと、誤った歴史教育により固定的な価値観を子どもたちに植え付けさせないことの大事さを考えさせられる内容だと思った。
27、漫画『ワンピース パンクハザード編』
あらすじ
魚人島を出発した麦わらの一味はパンクハザードからの緊急信号を受け指針を無視し、上陸する。そこで王下七武海のトラファルガー・ローと海軍のスモーカーらと再会する。
パンクハザードでは薬物依存を思わせる内容になっていて、何も知らない子供たちに薬と騙して薬物を摂取させて効果が切れると幻覚が見え、薬を求めて自制心を失い凶暴化してしまうなどの描写はシーザーの非道さを表すと共に薬物の恐さを語っていると思った。
またこれまでのエピソードは大きな流れとして繋がりはあったが、基本的には各エピソードで完結していたのに対し、パンクハザードではストーリーが長く繋がっていくことになり、強くなった一味が巨大な敵に向かって行く事を表していると感じた。
28、漫画『ワンピース ドレスローザ編』
あらすじ
麦わらの一味は海賊同盟を組んだトラファルガー・ロー、人質のシーザーと共に人造悪魔の実“smile“の工場を破壊し、王下七武海のドフラミンゴとの取引のため彼が国王となっている国ドレスローザへ向かう。そこは花と踊りに彩られた情熱の国、そして命を持ったオモチャと共存する国だった。取引のため、一味は指定した海岸へと向かうがドフラミンゴは一味を陥れる巧妙なわなを仕掛けていて……
ドレスローザ編ではドフラミンゴとローの過去が描かれ、天竜人や「Dの一族」、悪魔の実の覚醒など物語の核となる事についての描写が多く、今後の展開にもドレスローザ編での出来事が関わっていくように感じた。
既に72巻もの単行本が出ていて、登場人物も多い中麦わら大船団の一員になる多くのキャラクターが登場し、キャラ被りせずに多くの登場人物をえがく作者の凄さを改めて実感した。
29、漫画『ワンピース ホールケーキアイランド編』
あらすじ
サンジを連れ戻すためホールケーキアイランドへ向かったルフィ達だったが、サンジは実の父親であるジャッジをはじめとするジェルマ王国に外堀を埋められ身動きが取れなくなっていた。一味の元を去ろうとするサンジと納得しないルフィが衝突してしまう。
ゾウ編でサンジが去った時にいた一味のメンバーがみんな大事な人との別れを経験した人達だったためよりサンジが行ってしまった責任を感じるメンバーになっていると思った。サンジの過去が描かれ、自己犠牲的な行動をとる理由が裏付けられていると思った。
また、これまでのワンピースでは悪魔の実など科学では説明できない事が全面に出ていたが、ジェルマのクローン技術やレイドスーツといった科学技術、ジャッジ、シーザー、ベガパンクがいた科学班といった、科学についての描写が増え世界が大きく動いている表れのように感じた。
30、漫画『ワンピース ワノ国編』
あらすじ
パンクハザードにて出会ったワノ国の侍である錦えもんと少年の光月モモの助。2人はワノ国を統治している黒炭オロチとカイドウを討ち、ワノ国の開国を目指すべく同志を集めていた。その後、ズニーシャの上に建国しているモコモ公国で同志の雷ぞうとイヌアラシ、ネコマムシと合流。一向はワノ国を目指し潜入。それぞれの役割に別れ、火祭りの日にカイドウを倒すため討ち入りをすることに。
ワノ国編ではポーネグリフは誰が作ったのかが判明し、ゴムゴムの実についてやジョイボーイとはなど物語が大きく進む展開になり最終章に入った事がより感じられる章だと思った。また、ワノ国各地には武器工場や採掘場が建設された為川は排水に汚染され、安全な食料はカイドウとオロチが支配し、反乱を防ぐためにあらゆる武器を禁じるなど都が華やかな反面、貧困層ではまともな食料も手に入らないほどの格差社会が描かれている。現在の日本では水も食料も安全に手に入るがこういう生活をしている人達もいるという事を社会風刺的に伝えていると感じた。
1.漫画『スラムダンク』
あらすじ
中学3年間で50人もの女性にフラれた高校1年の不良少年・桜木花道は背の高さと身体能力からバスケットボール部の主将の妹、赤木晴子にバスケット部への入部を薦められる。
彼女に一目惚れした「初心者」花道は彼女目当てに入部するも、練習・試合を通じて徐々にバスケットの面白さに目覚めていき、才能を開花させながら、IHに上って行くのであった・・・。
漫画ならではのハイスペックさはあるが、登場人物が特別な必殺技を持っている訳ではなく、基礎練を大事にしていたり現実的なプレイを中心に試合を展開しているため、読んでいて登場人物に対してより共感できる作品だと思った。また、主人公の花道や流川、仙道などの各高校を代表するような選手だけでなく、「縁の下の力持ち」の小暮公延や「努力の人」神宗一郎など縁魅力的な登場人物の多さがこの作品を多くの人に愛される理由だと思った。
2、映画『The FIRST SRAMDUNK』
あらすじ
インターハイにて、山王工業高校との試合に臨む湘北高校バスケットボール部。メンバーそれぞれが積み重ねてきた成果、背負っている過去、さまざまな思いが、コート上で激しくぶつかり合う
原作の主人公とは代わり、映画ではあまり原作では掘り下げられなかった宮城リョータが主人公となっており、山王戦を宮城視点から描いていることで、同じシーンでも原作と映画で違う印象になっていると思った。また、試合を俯瞰で見ているのではなく、コート上の選手目線で描かれていて試合の流れや構成、選手の位置関係がより分かりやすくなっていると感じた。
3、映画『SANDLAND』
あらすじ
魔物と人間の共存する砂漠の世界「SANDLAND」。そこでは誰もが深刻な水不足に悩まされていた。ある町で保安官として働くラオは、水不足の問題解決に向けて動き出すことに。ラオは魔物の巣産に向かい、魔王サタンの子供である
ベルゼブブ王子、そして巧みな盗みを得意とする
シーフを連れて、町の南にあると言われる
「幻の泉」を探す旅へ出るのだった。
最近人気のある凝った設定や伏線回収していくようなストーリーではなく勧善懲悪のシンプルな冒険ストーリーとなっている。主人公がおじさんという斬新さやテンポよく起こるアクシデントなど王道な作品ではありながら、人間のエゴや不平等さなどメッセージ性もあり、子供から大人まで誰でも楽しめる作品だと感じた。
4、『劇場版 NARUTO-NARUTO-疾風伝 火の意志を継ぐ者』
あらすじ
5大国のうち4つの国で忍の里が何者かの襲撃を受け、各国は緊張状態にあった。第4次忍界大戦という大きな危機が迫る中、残された火の国の忍たちは犯人を突き止めようとする。一方その頃、カカシが木ノ葉の里を抜けたことが明らかになる。
里を守る、仲間を大切にするというNARUTOのテーマに沿った作品になっており、原作では出番が減っていたナルトの同期達も勢揃いで見せ場もあり、クライマックスのアクションは劇場版ならではの迫力となっていた。
5、『劇場版 NARUTO-ナルト-疾風伝 ザ・ロストタワー』
あらすじ
里の命を受け、裏切り者の抜け忍ムカデを追うナルト。廃墟・桜蘭にたどり着くも、地下に眠る龍脈のパワーをムカデが解放したことにより、意識を失う。目覚めたナルトは、見たこともない光景を目の当たりにする。
ナルトがタイムスリップし、父親であるミナトやその世代の忍者達と共闘して敵を倒す話になっており、今までの映画ではナルト世代のキャラクター勢揃いだったが、今作はあまり焦点が当たっていないキャラクターが多く出てきて新鮮だった。しかし、親子の絆をテーマにしているのにあまり感じられなかった。また、傀儡使いの敵は原作で既に出ているため今作の敵は物足りなく感じ、全体的にも単調な内容に感じた。
6、『劇場版 NARUTO-ナルト- ブラッド・プリズン』
あらすじ
いわれなき罪によって囚われたナルトが送られたのは、脱獄不可能といわれる監獄・鬼灯城、通称「ブラッド・プリズン」だった。城主が操る禁固術「天牢」によって忍の力を奪われたナルトだったが、それでも無実を主張し脱獄を企てようとする。
冤罪でナルトが捕まるところから始まりシリアスな展開が続く、ミステリーやサスペンス色が強い今までの映画とは作風が変わったストーリーになっている。戦闘シーンも今までの映画とは違い、仙人モードや口寄せの術によるガマ親分との共闘で今までに無い巨大な敵とのビッグスケールな戦いを楽しむことが出来る。しかし全体的に今作は重たい内容になっており、後味の悪い終わり方だと思った。
7、『ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』
あらすじ
かつて、謎の仮面の男によって九尾が解放され、木ノ葉隠れの里は壊滅寸前に追い込まれる。里のリーダー、ミナトと妻クシナは、生まれたばかりの息子ナルトに九尾を封印し、自らの命と引き替えに里を救う。それから十数年後、仮面の男が九尾の能力を狙って再び里に現われる。仮面の男はナルトとサクラの前で謎の瞳術を使い、世界を作り変えてしまう。意識を取り戻したナルトとサクラは、里の仲間たちの性格が正反対に変わってしまったことに気づくが...
家族というものを焦点にナルトとサクラのの心情を映し出しお互いの気持ちに気が付いたことから、ないものねだりや、その立場にならないと理解できない悩みや苦しみがあることを改めて感じさせる作品。パラレルワールドという事で性格や関係性が変化した人物達が登場し、普段なら敵である人物との共闘は面白かったがあまり内容は濃くなく、普段見られない展開を楽しむ作品だと思った。
8、『The LAST -NARUTO THE MOVIE』
あらすじ
小さい時からナルトに思いをよせ見守っていたヒナタは、彼への想いを告げられずにいた。ある夜、謎の男が現れ、ヒナタを迎えに来ると言い残し、彼女の妹をさらっていく。そんな中、月が地球に異常接近する事態が発生し、ナルトたちは調査に向かう。
原作では最終的にナルトとヒナタは結婚しましたが、物語のはじめからナルトはサクラに夢中で二人の馴れ初めは描かれてなかったが、その部分が描かれた作品になっている。しかし、2時間の映画の中で4回も編んだマフラーが破壊されるなどのストーリーに対してのツッコミどころや忍者の基本であるチャクラ操作が出てないなど原作との整合性に違和感があるシーンがいくつかあった。
9、『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
あらすじ
“神童“ボルトは、“英雄“であり父の七代目火影・ナルトを、クソオヤジと忌み嫌っている。それを見かねたナルトの友で旅人のサスケは、ボルトの師匠となる事を志す。サスケの娘サラダは、ボルトの戦友となる。新時代を生きる新たな忍たちの物語が始まる。
ナルト世代が大人になりその子供達の世代がメインとなり、努力することの面白さ、時代の変化と共に変わっていくものが描かれた作品になっていた。親がおらず落ちこぼれだったナルトと、両親がいて父親が火影で忍術の才能があるボルトの悩みが対比的に描かれ、家族との接し方に苦労するというのはとてもリアリティがあると思った。
また、音楽がメタルチックになっていて、ナルトでおなじみの逆境の時にかかるBGMもアレンジされ全体的に新世代みを感じた。個人的にナルトの映画では1番面白かった。
10、『呪術廻戦 懐玉・玉折』
あらすじ
東京都立呪術高等専門学校の学生である五条と夏油は、“2人で最強”を自称する名コンビだった。「星漿体」こと生け贄にされる予定の少女の護衛を任された2人は、術師殺しとして名高い伏黒甚爾と対決し、挫折と苦悩の中でそれぞれが歩まんとする道を違えていく。
29話目だけ作画が変わったことで、五条悟が1人で全て抱えてしまうようになったり、灰原が亡くなってしまったり、特に夏油が壊れていく様子など、それまでの日常が壊れて少しずつズレていくような不穏な感じをより演出しているように感じた。また、盤星教信者の拍手の音がシャワーの音や雨の音から変化しずっと夏油の脳裏に焼き付いている演出など原作よりも夏油の精神を蝕み続けていることがアニメならではの表現で分かりやすくなっていると感じた。
11、漫画『暁のヨナ』
あらすじ
主人公のヨナは「高華王国」の姫君。平和主義の国王を父に持ち、護衛のハクと従兄で片思い相手のスウォンと共に迎えた16歳の日、王位簒奪を目論んだスウォンの手によって父親が殺害されてしまいます。反逆により城を追われることになったヨナはハクと共に仲間を探しながら命がけで逃げる中、徐々に高華王国の実情と向き合うことになります。
甘やかされて育ち何も出来なかったヨナが、野宿や、弓矢を習い、仲間を救う為人を殺す事も必要とされるなど過酷な環境で自分を守り生きていく姿が多くの読者を惹きつける理由だと思う。また城を追われて生活するようになって見えてきた、国の現状を改善するためにした行動や、その土地で築いた人脈が後の行動に繋がり話を追うごとに面白くなっている。シリアスなシーンとギャグのバランスや少女漫画とは思えないバトルシーンと恋愛模様のギャップでとても続きが気になる作品になっている。
12、映画『バットマンビギンズ』
あらすじ
両親を殺されたブルースは、犯人を恨みながら復讐のときをうかがっていた。司法取引で出所した犯人を殺そうとしたブルースは、幼馴染のレイチェルに諭され、町の腐敗が悪を生んでいると知る。悪を知るため、身を堕としたブルースは、影の同盟という組織の一員であるデュカードという男と出会う。
「ダークナイト」3部作の1作品目でこれまで何度も映画化されてきた「バットマン」とは異なり、ダークヒーローであるバットマンの誕生を描いたことで、リアルな描写で等身大の彼の葛藤や心情、それまでの人生に焦点が置かれている。
『メメント』で知られるクリストファー・ノーラン監督によって製作され一つの作品として完成している為原作やそれまでの映画を知らなくても楽しめる作品になっている。
13、映画『ダークナイト』
あらすじ
ウェイン産業の会長であるブルースは正体を隠し、「バットマン」として悪党と戦っていた。そんなある日、残忍な犯罪者・ジョーカーが現れる。ジョーカーは正体を明かさなければ人々を殺すと、テレビを通じてバットマンを脅した。
「ダークナイト」シリーズの2作品目でゴッサムシティに現れたジョーカーとの対決を描いた、個人的に1番おすすめしたい作品。悪と正義の対比だけでなく、正義感の強い検事が愛する人の死をきっかけに悪に染まっていくなど人間の心理にも焦点が当てられ、結末も衝撃的なものになっている。サイコパスで人々を恐怖で支配し混沌をもたらすジョーカー役のヒース・レジャーの演技が凄まじく世界中が魅了されていた。バットマンよりも犯罪者である彼の存在感がすごく、その圧倒的な存在感が争いの意義や正義とは何かを際立たせていると感じた。
14、『ダークナイト ライジング』
あらすじ
ジョーカーの危機が去ってから8年後のゴッサム。“デント法”により組織犯罪は沈静化。街には表向きの平和が訪れ、ブルース・ウェインは人々の前に姿を見せることなく暮らしていたが、街の地下で恐ろしい力を持つ庸兵ベインが“ある計画”を開始し……
「ダークナイト」シリーズ3作品目で数々のピンチに遭いどん底に落とされたバットマンがゴッサムシティの危機に再び立ち上がり、最後の戦いに挑む様子を描いている。最後までダークヒーローらしい暗めの映像だが、最終的には救いがあり綺麗にまとまっており、未来についても示唆するような終わり方になっている。また劇中で多くの伏線がはってあり何度見直しても新たな発見があり、何度も楽しめる作品になっている。
15、映画『THE BATMAN』
あらすじ
バットマンが初めて犯罪に立ち向かってから2年。ゴッサムシティでは、不可解な連続殺人事件が発生する。それぞれの現場には、バットマンに向けた謎のメッセージが残っていた。事件の解決に動き出したブルース・ウェインは、自身の家族も深く関わるゴッサムシティの腐敗に直面することになる。
今までのバットマンは表はプレイボーイという二面性を持っていたが、今作では裏も表も復讐に燃える暗い男で今までとは違う最も暗い新しいバットマンになっていると感じた。冒頭から不穏な音楽で始まり、映像も常に夜のシーンでよりゴッサムシティの腐敗や敵であるリドラーの病んでる様子、バットマン自身の精神の不安定さが視覚的にも聴覚的にも表されていた。また全体的にリアリティが優先されており、派手なアクションなどはなくよりシリアスな内容になっていると思った。
16、映画『オリエント急行殺人事件』
あらすじ
トルコとフランスを結ぶ豪華寝台列車オリエント急行。雪崩で脱線し立ち往生してしまった車内で、富豪のアメリカ人男性が殺される。乗り合わせていた探偵ポアロは鉄道会社の依頼で密室殺人の捜査に臨むが、乗客全員に完璧なアリバイがあった。
原作では推理をオリエント急行内で行うことで、殺人犯が急行内にいるかもしれないという恐怖や乗客の人間関係や密室感にひりつく感じや落ち着かなさが感じられるのが個人的に良さがだと思っているので、映画版では外で推理が行われていてそれが感じられないのが残念に思った。また、人物描写が繊細で何気ない会話が後に繋がってくるのが特徴だが、今作ではポアロ後それぞれの人物との会話や尋問がバラバラで、彼らの繋がりやバックグラウンドを丁寧に推理していく良さがあまり表現出来ていないように感じた。
17、映画『ナイル殺人事件』
あらすじ
新婚旅行中の夫婦、そして彼らの招待客たちを乗せた豪華客船がナイル川を進んでいた。そんな中、船内で乗客が次々と何者かによって殺されていく。偶然船に乗っていた名探偵・ポアロは、謎に包まれたこの事件を解明し、犯人を探し出そうと奔走する。
原作には無いポアロの人生が描かれ、彼が抱える悲しい過去と向き合う事で人間としての魅力が引き出させるのは良かったが、その部分が長くなってしまい後半に怒涛の展開になり事件の被害者や容疑者に関しての掘り下げがあまりされていないように感じた。しかしストーリーは分かりやすく、華やかな映像で普段ミステリーを見ない人にも見やすい作品になっていると思う。
18、映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』
あらすじ
イタリアの降霊会で、招待客が何者かに殺害される事件が発生。誰もが亡霊の仕業だと信じる中、超常現象を完全否定し人間の犯行だと確信するポアロは、その不可解な事件の真相解明に乗り出す。
前作2作品と比べるとミステリーよりもホラー寄りで題材のハロウィンとヴェネチアの風景もあり、カメラワークや効果音なども脅かし系だと感じた。原作の「ハロウィン・パーティ」から多幅に改変されているが伏線が全て回収され、謎解きや犯行の動機も違和感なく原作を読んでいなくても楽しめると思った。
19、漫画『茉莉花官吏伝~後宮女官、気まぐれ皇帝に見初められ~』
あらすじ
人より「物覚えがいい」という特技を持った後宮の女官・茉莉花は、名家の子息のお見合いの練習相手を引き受けることになったが……。優しく気まぐれな皇帝との出会いが、少女の運命を変える!
本人は出世に意欲的ではないが、周りの人との関わりで徐々に変化していく立身出世物語。主人公は自身の生い立ちや女性であるという理由で能力があるのに自己肯定感が低く、「下手な野心は職を失う」という考えを持っていて、性別や育った環境による人々の考え方や行動がリアルに描かれていると思った。
20、漫画『君に届け』
あらすじ
高校1年生の黒沼爽子は、長い黒髪と陰気な雰囲気から「貞子」と呼ばれ恐れられ、ひとりぼっちの学校生活を送っていた。そんな噂を気にせずに、爽子に親しく声をかける男子が一人。クラスの人気者、風早翔太だ。彼だけは、爽子の底抜けの性格の良さと、内に秘めた努力家な一面を知っていた。風早との出会いをきっかけに、クラスにもだんだんと打ち解けていく爽子。そして、風早への自分の気持ちにも、少しずつ気づいていくのだった―――。
王道な恋愛漫画でありながら、友情で感じる切なさやすれ違いによる心苦しさ、進学への悩みなど学生時代特有の繊細な感情がリアルに描かれた作品になっている。また魅力的な登場人物が多く一人一人の絶妙な心の動きがリアルに描かれているため、爽子と風早はもちろん、友達の千鶴、あやね、龍、担任のピン、ライバルであるくるみ全員に自然と感情移入できるのがこの作品最大の凄さだと思った。
21、漫画『君に届け~運命の人~』
あらすじ
高校を卒業した爽子たち。くるみの前に“運命の人”が !? 高校卒業後、同じ大学に進学したくるみと爽子。気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみですが、そこでおかしな男に絡まれてしまいます。そんなピンチを救ってくれたのは「えーじお兄ちゃん」。どうやら爽子のイトコらしいのですが…。
『君に届け』の続編で、くるみと同じ作者の『crazy for you』の赤星の物語。赤星との出会いによって爽子が自分の運命の人などではないかと強く感じているくるみの心の機微や、過去の自分に対する葛藤が丁寧に描かれている。また、顔が可愛いのに自己評価が低い人、自己嫌悪の塊で、実は虚勢を張っているだけで脆くて純粋な様子がリアルに表現されていると思った。
22、漫画『ハコヅメ』
あらすじ
「もう辞めてやる!」辞表を握りしめた新米女性警察官・川合の交番に、なぜか刑事課から超美人の藤部長が配属されてきた。「岡島県警(の男性陣)を絶望におとしいれるコンビの誕生である。理不尽のち愚痴、時々がんばる、誰も見たことのない警察漫画。
今までのドラマや漫画での描かれ方とは違う警察の様子、女性警察官だからできること、できないことなど凄くリアルな様子が描かれている。警察ものでありながら暗い雰囲気ではなく、シリアスなシーンもありながら基本的にはコミカルに描かれているためすごく読みやすかった。基本的に一話完結で楽しめるが伏線の張り方がすごく、タイトルや第一話目から軸となるような伏線がはられていて、緻密なストーリー構成で何度も読み返したくなる作品。
23、漫画『ハコヅメ~アンボックス~』
あらすじ
「くノ一捜査官」こと黒田カナは生活安全課の潜入・尾行等を行う秘匿捜査官。警察学校卒業から数年後、男女間のトラブルに端を発するとある事件が、彼女の警察人生を大きくかえる。
アンボックスでの主人公は黒田カナとなっており、本編のようなコミカルなシーンは一切なく、事件と誹謗中傷に追い詰められる被疑者遺族と疲弊する現場のリアルさがシリアスで重たい内容で描かれている。男女間や家族関連の事件は警察の介入が難しく、重大な事件になりやすく、このような事件での警察の在り方が考えられる内容だと思った。また警察視点でのマスコミに対する批判と期待が込められていると感じた。
24、漫画『黄泉のツガイ』
あらすじ
物語は山奥の村落に住む少年・ユルが突然襲撃に遭うところから始まる。双子の妹・アサを守るために彼女の元にユルは向かう。そこには自称本物の妹・アサがいて奇妙な力で妹・アサを殺害。混乱の最中、ユルは村の守り神である「ツガイ」の左右様と契約して、自称本物の妹・アサを追う。
時代ものかと思いきや怒涛の展開で、1話目から一気に物語に惹き込まれる内容になっている。古の文化と現代の文化、「解と封」の二つの能力、双子の主人公、題名にもあるツガイという存在など作品の中に多く対になるものが散りばめられており今後どのように関係していくのか重要なキーワードだと感じた。自分が暮らしていたところの人達に実は命を狙われていたり、一族の中でも一枚岩ではなかったり、誰が敵で誰が味方か、何が善で何が悪かがはっきりしておらず登場人物達の細かい心情や背景にも多く伏線がはられて、じわじわ面白くなっていると思った。
25、漫画『結界師』
あらすじ
中学二年生の墨村良守は400年続く間流結界術を受け継ぐ墨村家22代目当主予定の結界師だ。同じく結界師の家系の雪村時音と共に自身が通う烏森学園に集うあやかしを毎夜退治していく。しかし、この烏森の地には隠された謎があって……
結界術にっての設定が細かく、バトルものでよくある戦った後の壊れた建物や部品が何もしなくても直っているのではなく、式神を使って戦った後にも修理作業や清掃活動を行っているのが斬新だと思った。また主人公が家業だから結界師としての活動を好んでいるのではなく、小学生の頃に自分のせいで時音に怪我を負わせてしまい、もう誰も傷ついて欲しくないという理由から活動していたり、その日の気分でやる気が変わったり等身大の人間として登場人物が描かれていると思った。また、家業の話であるため主人公以外にも家族間でそれぞれの問題や葛藤があり、多くのキャラクターに焦点があたるため、戦う理由や、悪い方へと進んでしまった理由などが明確に描かれていると思った。
26、漫画『ワンピース 魚人島編』
あらすじ
シャボンディ諸島にて再集結を果たした麦わらの一味は海軍の妨害を振り切り、深海1万mにある魚人島に向け無事出航する。魚人島のリュウグウ王国に辿り着いたルフィ達は王国崩壊を目論むホーディ―・ジョーンズ率いる新魚人海賊団の陰謀に巻き込まれていくが、再会を果たしたジンベエとともにこれを撃退し王国の危機を救う。そして、魚人島を出港したルフィ達は遂にグランドライン後半の海”新世界”に突入する。
シャボンディ諸島編でも魚人の差別・迫害の歴史は触れられているが、魚人島編では、より詳細に魚人族の歴史や思いが語られ、我々現実社会における人種差別と同様の根深さと業がストレートに表されていると思った。また、差別や迫害に立ち向かった偉人とその思いについても語られており、未来の世代に憎しみや負の感情を受け継がせないこと、誤った歴史教育により固定的な価値観を子どもたちに植え付けさせないことの大事さを考えさせられる内容だと思った。
27、漫画『ワンピース パンクハザード編』
あらすじ
魚人島を出発した麦わらの一味はパンクハザードからの緊急信号を受け指針を無視し、上陸する。そこで王下七武海のトラファルガー・ローと海軍のスモーカーらと再会する。
パンクハザードでは薬物依存を思わせる内容になっていて、何も知らない子供たちに薬と騙して薬物を摂取させて効果が切れると幻覚が見え、薬を求めて自制心を失い凶暴化してしまうなどの描写はシーザーの非道さを表すと共に薬物の恐さを語っていると思った。
またこれまでのエピソードは大きな流れとして繋がりはあったが、基本的には各エピソードで完結していたのに対し、パンクハザードではストーリーが長く繋がっていくことになり、強くなった一味が巨大な敵に向かって行く事を表していると感じた。
28、漫画『ワンピース ドレスローザ編』
あらすじ
麦わらの一味は海賊同盟を組んだトラファルガー・ロー、人質のシーザーと共に人造悪魔の実“smile“の工場を破壊し、王下七武海のドフラミンゴとの取引のため彼が国王となっている国ドレスローザへ向かう。そこは花と踊りに彩られた情熱の国、そして命を持ったオモチャと共存する国だった。取引のため、一味は指定した海岸へと向かうがドフラミンゴは一味を陥れる巧妙なわなを仕掛けていて……
ドレスローザ編ではドフラミンゴとローの過去が描かれ、天竜人や「Dの一族」、悪魔の実の覚醒など物語の核となる事についての描写が多く、今後の展開にもドレスローザ編での出来事が関わっていくように感じた。
既に72巻もの単行本が出ていて、登場人物も多い中麦わら大船団の一員になる多くのキャラクターが登場し、キャラ被りせずに多くの登場人物をえがく作者の凄さを改めて実感した。
29、漫画『ワンピース ホールケーキアイランド編』
あらすじ
サンジを連れ戻すためホールケーキアイランドへ向かったルフィ達だったが、サンジは実の父親であるジャッジをはじめとするジェルマ王国に外堀を埋められ身動きが取れなくなっていた。一味の元を去ろうとするサンジと納得しないルフィが衝突してしまう。
ゾウ編でサンジが去った時にいた一味のメンバーがみんな大事な人との別れを経験した人達だったためよりサンジが行ってしまった責任を感じるメンバーになっていると思った。サンジの過去が描かれ、自己犠牲的な行動をとる理由が裏付けられていると思った。
また、これまでのワンピースでは悪魔の実など科学では説明できない事が全面に出ていたが、ジェルマのクローン技術やレイドスーツといった科学技術、ジャッジ、シーザー、ベガパンクがいた科学班といった、科学についての描写が増え世界が大きく動いている表れのように感じた。
30、漫画『ワンピース ワノ国編』
あらすじ
パンクハザードにて出会ったワノ国の侍である錦えもんと少年の光月モモの助。2人はワノ国を統治している黒炭オロチとカイドウを討ち、ワノ国の開国を目指すべく同志を集めていた。その後、ズニーシャの上に建国しているモコモ公国で同志の雷ぞうとイヌアラシ、ネコマムシと合流。一向はワノ国を目指し潜入。それぞれの役割に別れ、火祭りの日にカイドウを倒すため討ち入りをすることに。
ワノ国編ではポーネグリフは誰が作ったのかが判明し、ゴムゴムの実についてやジョイボーイとはなど物語が大きく進む展開になり最終章に入った事がより感じられる章だと思った。また、ワノ国各地には武器工場や採掘場が建設された為川は排水に汚染され、安全な食料はカイドウとオロチが支配し、反乱を防ぐためにあらゆる武器を禁じるなど都が華やかな反面、貧困層ではまともな食料も手に入らないほどの格差社会が描かれている。現在の日本では水も食料も安全に手に入るがこういう生活をしている人達もいるという事を社会風刺的に伝えていると感じた。
3年 キム ヒョンス
RES
夏休みゼミ課題 1~30
1. 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ シーズン1』(アニメ)
あらすじ:現在において「厄祭戦(Calamity War)」と呼ばれる大きな戦争が過去にあり、その終結から約300年の時が流れた。地球圏は厄祭戦で統治機構を失った後、新たな支配体系を持つようになり、新たな世界が構築されていた。その場しのぎではあるが、地球には一時の平和が訪れる一方で、遠く離れた火星圏では新たな戦争の火種が生まれつつあった。主人公・三日月・オーガスが所属する民間軍事警備会社、クリュセ・ガード ・セキュリティ(略称CGS)は、地球の一勢力の統治下にある火星の街クリュセを独立させようとする少女・クーデリア・アイナ・バーンスタインの護衛任務を受ける。しかし、反乱の芽を踏みにじろうとする世界的な軍事武力組織、ギャラルホルンの襲撃を受けたCGSの大人たちは、三日月たちや子供たちをおとりにして撤退を始め、少年兵たちのリーダー、オルガ・イツカはこれを機に自分たちを虐げてきた大人たちに反旗を翻し、クーデターを決意する。リーダーのオルガからギャラルホルンの撃退を命じられた三日月は、CGSの動力炉として使用された厄祭戦時代のモビルスーツガンダム • バルバトスを用いて戦いに臨み、今、一寸先も知れぬ激戦の幕が上がる。
少年兵たちが主人公の作品であるだけに、序盤は少年兵たちが民間軍事会社に動員され、戦場で死んでいく現実的な描写で戦争の残酷さをきちんと描いている。また、他のガンダムシリーズとは異なり、「ビーム兵器が効力を失い、代わりに冷兵装と実弾を使用した武器のみを使用するようになった時代」という新たな設定により、重みと迫力のある戦闘シーンが特徴である。主人公たちが正規軍に所属しているわけではなく、「傭兵」という位置に立っているということも他の作品とは区別される本作の特徴であると思われる。
2. 『コードギアス 反逆のルルーシュ』(アニメ)
あらすじ:世界一の超大国・神聖ブリタニア帝国は、最も貴重な資源であるサクラダイトを狙って日本を侵攻、降伏宣言を勝ち取り、植民地にする。ブリタニア総督の支配下に置かれた日本は国家名を剥奪され、「エリア11」と命名、国民は「イレヴン」と呼ばれ、暴政と差別に苦しめられる。それから7年後、ブリタニアの第11皇子である少年・ルルーシュ・ランペルージは、母親が暗殺され、その衝撃で目が不自由になった弟・ナナリと共に日本へ追い出され、身分を隠して平凡な学生として生活していた。ブリタニアに痛烈な恨みを抱いているルルーシュは、偶然C.C.という謎の少女に出会い、ギアスという超自然的な力を得ることになり、仮面で正体を隠した後、ゼロと名乗り、反ブリタニアレジスタンスを手下に引き入れて復讐に乗り出す。
『コードギアス』はピカレスク作品で、主人公であるからといって無条件に「善」として描かれるのではなく、悪の面がさらに浮き彫りになることもある。他の登場人物もそれぞれ個性的に描かれている。現実のアメリカに代わる超大国、「神聖ブリタニア帝国」によって日本が侵略され、強制的に併合、植民地化されたという刺激的な設定をもとに、さまざまな伏線と衝撃的な事件を通じて物語が展開される。登場人物間の緻密な頭脳戦を通じて、毎話ごとに緊張感を保ったままストーリーが進行され、各話が絶妙なタイミングで終わるため、次回が気になってしまうような構成となっている。作品に登場するメカニック、「ナイトメアフレーム」たちの戦闘シーンはほとんど地上で行われ、スラッシュハーケンやランドスピナーなどを利用したスタイリッシュな戦闘も見どころの一つである。
3. 『デューン』(映画)
あらすじ:A.G.10191年, アトレイデス家の後継者であるポール ・アトレイデスは時間と空間を超越し、過去と未来の両方を見ることができる力を持ち、人類をより良い未来へと導く予言された救援者の運命をもって生まれた。そしてある啓示のように、彼は毎日夢の中で惑星アラキス(通称デューン)にある一人の少女に出会う。アラキスは宇宙で一番高い物質であり、帝国存続のために重要な資源であるスパイスを豊富に産出するため、あらゆる勢力の陰謀が激突する戦場のような惑星である。貴族たちの支持を得ているアトレイデス家に対する皇帝の嫉妬は、ポールとその一族を死が待つそのアラキスへと導く。
この作品は同名のSF小説を原作とする映画であり、三部作として計画されているシリーズの最初の作品である。原作小説を読んだことはないが、映画を観てから原作にも関心を持つようになる程、よくできている映画であった。アラキスという砂漠惑星の荘厳な風景と、本格的なストーリーに入る前の第一作目ということもあり、ともすれば退屈になってしまうかも知れない映画の雰囲気を充分に補足する独特な音楽の組み合わせが印象的であった。 様々な映画の中でも、映画館で鑑賞した時に真価が発揮される作品であると感じた。
4. 『君たちはどう生きるか』(アニメーション映画)
主人公である牧眞人という少年は、第2次世界大戦が進行中の日本で空襲による火災によって母親を目の前で失ってしまう。それから1年後、真人は父親と共に東京を離れ、宇都宮市に行くが、そこには亡くなった母親の実の妹であり、父の再婚相手であるナツコ家の屋敷があった。その屋敷の庭に住んでいる青鷺によって、真人は不思議な世界へと迷い込んでしまう。
最初に観た時はどのような内容なのかよく理解できなかったが、観終わった後に改めて考えてみるとストーリー自体はとても簡単で、主題も一貫していると感じた。作画の面でも今までのジブリ作品の中で最も優れており、スタジオジブリ歴史上最大の制作期間と制作費を投入して作り上げた作品であるということに納得した。 全体的に商業性よりは作品性に焦点を当てた作品であると感じた。個人的には少し残念な選択ではあったが、作品自体は面白かった。
5. 『シン・仮面ライダー』(映画)
あらすじ:主人公本郷猛は、バイク「サイクロン号」で自身を謎の組織から逃がしたルリ子を後ろに乗せ、2台のトレーラートラックからの逃走している途中、谷へ転落する。ルリ子は無事だったが、二人を追ってきた組織のクモオーグとその部下たちによって捕まえられる。本郷は「第1バッタオーグ」へと変身し、恐るべき身体能力でクモオーグの手下たちを全滅させ、ルリ子を救出し、彼女とともに山中のセーフハウスへと向かう。ためらいなく手下たちを殺めることができてしまった自身に動揺する本郷の前に、ルリ子の父であり本郷の恩師・緑川弘博士が現れる。そして、本郷が“変身”できるようになった衝撃的な経緯を明かすが…
石ノ森章太郎の原作漫画を映画化した作品とはいえ、私は原作や過去の仮面ライダーシリーズを観たことがなかったため、この作品を通じて昭和の仮面ライダーに初めて接することになった。グロテスクな演出もかなり使われている戦闘場面や暗い背景設定など、「仮面ライダーシリーズは子供が観るもの」という先入観とは正反対の作品だった。 しかし、原作を殆ど知らないためか、登場人物たちの動機にも納得できないものが多く、人物に感情移入しにくかったため、多少退屈な作品に感じられた。
6. 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME 3』(映画)
あらすじ:ガーディアンズの本部があるノーウェア。サノスとの戦いで恋人ガモーラを失ったピーターは酒浸りの毎日を送っていた。そんな中、謎の男がノーウェアを襲撃する事件が起きる。男の正体はソヴリン人の女王アイーシャが作り出したアダム・ウオーロック。彼はガーディアンズとの戦闘の結果、撤退するがロケットが重傷を負ってしまう。ロケットを助けるために手当てをする内、彼の身体に情報流出を防ぐためのキルスイッチが組み込まれていることが判明し、治療することが困難になる。瀕死のロケットを助けるための手がかりを追って、ピーターが率いるガーディアンズはロケットを産み出した<オルゴ・コープ社>に向かうが...
ガーディアンズ ・ オブ ・ ギャラクシーシリーズを観てきた人は無論、本作で始めての接する人も十分に楽しむことができるように配慮されている部分が多い。ガーディアンズのメンバーたちの各自の叙事は以前のMCU作品を通じてもかなり描かれてきたが、まだ推測の領域に残っていたロケットの過去を作品の核心内容として描いた。以前の明るく愉快な雰囲気もある程度生かしながら、シリーズ最後の作品であるだけにシリアスな内容も増えている。動物実験の暗い面をロケットの過去を通じて真剣に描き出したという点で、主題面でも良い評価ができるだろう。他にも登場人物たちそれぞれの個性や特性を活かした戦闘シーンや前作に対するファンサービスなど、シリーズの最後を飾る作品に相応しと思われる。
7. 『名探偵コナン:黒鉄の魚影』(アニメーション映画)
あらすじ:東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた―。
一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナン達少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは、『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛ら警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに彼女が持っていた、ある情報を記すUSBが組織の手に渡ってしまう…。
海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…
決して触れてはいけない<玉手箱>が開かれたとき、封じ込めた過去がいま、洋上に浮かび上がるー
数年前に『から紅の恋歌』を観て以来、久しぶりに観た名探偵コナンの劇場版だった。シリーズ内で最大の敵である「黒の組織」が登場し、灰原の過去をめぐって緊張感のある展開が繰り広げられる。名探偵コナンが長期連載されることによって生じた問題点は、作品のメインである「黒の組織」をめぐるストーリー殆ど進行されていないということであるが、今回の劇場版はかつて「黒の組織」の一員であった灰原の過去を扱っているため、より興味を引く内容になっていると思われる。
8. 『ギャングス・オブ・ニューヨーク』(映画)
あらすじ:1840年代、ニューヨークのファイブ・ポイント地区。アイルランド移民集団のリーダーであるヴァロン神父は、敵対するアメリカ生まれの集団との戦いで集団のボス、ビルに殺される。ヴァロンの幼い息子アムステルダムはそれを目撃し、自らも少年院へ送られてしまう。15年後、ニューヨークへ帰ってきたアムステルダムは復讐を果たすべく、街を牛耳るビルの組織に素性を隠して潜り込む。やがて彼はスリ師の女性ジェニーと出会い、互いにひかれ合うが……
ニューヨークという都市はアメリカに行ったことのない人でも 知っているくらい、有名であるが、そのニューヨークがどのような歴史を持ち、どのような過程を経て作られてきたのかについては知らない人が多いのではないかと思われる。私もニューヨークの歴史についてはほとんど知らなかった。この映画は、そのニューヨークの歴史についての作品である。私たちが普段よく思うニューヨークのイメージが形成されるまで、どのようにして作り上げられたのかを南北戦争という激動期を通じて描いている。良くできている映画ではあるが、残酷なシーンが多数あるため、多少の注意は必要である。
9.『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(映画)
あらすじ:中国系移民者であるエヴリンは、トラブルだらけの家族と破産寸前のコインランドリーを抱え、困窮していた。コインランドリーに関する税務申告の準備に忙殺されつつ、夫との関係や娘とのトラブルに苦しんでいいたある日、彼女の前に“別の宇宙から来た”という夫のウェイモンドが現れる。唐突に世界の命運を託されたエヴリンは、夫に導かれ想像もできない壮大な闘いに身を投じることになる。
本作は、「MCU」の映画などで馴染みのある「マルチバース」を素材にした作品である。全体的にB級の色が強く、下ネタが多数使われた作品であるが、その一方でかなりシリアスな主題をも扱っている。家族間の葛藤と和合、中でも移民者家庭の問題、現代に蔓延するニヒリズムの問題など、個人の持つ意味や価値が段々薄れている現代社会を生きる人々に、様々なことを考えさせる映画だった。多少散漫な演出で好き嫌いが分かれるかも知れないが、マルチバースという素材をMCU以上に上手く使いこなしているという点でも、魅力的な作品であると思われる。
10. 『空の青さを知る人よ』(アニメーション映画)
あらすじ:山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
長井龍雪の得意である青春ものの映画。子供の頃に目指していた理想や夢と、現実とのギャップという、誰もがいつかは経験するであろう問題を描いている。この映画の特徴は、新海誠監督の作品を思わせるほど風景描写が優れているという点である。一見実写映画と勘違いするくらい、リアルな風景と過去の人間が現代に現れるという非現実的な内容の組み合わせが印象的であった。繊細な心理描写も作品の強みである。
11. 『機動武闘伝Gガンダム』(アニメ)
あらすじ:未来世紀(FutureCentury, F.C.)60年、人々は荒廃した地球を捨てて宇宙に活路を見出し、宇宙コロニーに生活圏の全てを移して過ごすようになっていた。しかし、コロニーに上がれた者と上がれずに地球に取り残された者との格差は広がり、地球の荒廃はより悪化の一途をたどっていた。コロニー国家間の覇権をかけて行われる機動兵器同士による格闘大会「ガンダムファイト」は未来世紀60年の節目に13回大会を迎え、大会開催と共に各国のコロニーから五つの光が地球に向けて放たれた。それは大会会場となる地球に向かうために降下した各国代表のガンダムファイターたちであった。四年に一度開催されるという、各国コロニー間の覇権をかけてガンダムファイト第13回大会が始まったのである。ネオジャパン代表のガンダムファイターであるドモン・カッシュもまた、。ドモン・カッシュもその1人として、地球をリングにして他の選手たちと闘うために、パートナーのレイン・ミカムラとともに地球に向かう。
しかし彼の真の目的は、祖国ネオジャパンを裏切り、科学者である父ライゾウ博士が開発していたアルティメットガンダム(デビルガンダム)を奪い失跡した実の兄、キョウジ ・カッシュを捜しだすことであった。。。
この作品はガンダムシリーズではあるが、既存の作品とはかなり異なった独創性を持っている。作品に登場するモビルファイターはガンダムという名で呼ばれていながらも、人々の印象に残っているはずの「ガンダム」の外形的特性からは大きく解離している、独特なデザインのものが多い。設定の方でも、「ガンダムファイト」という国際舞踏大会の概念を取り入れ、「戦争」という一貫した背景を持つ今までのガンダムシリーズとの差別を図っている。また、「東方不敗」マスター ・ アジアで代表される「武侠」の要素も、本作の特徴の一つである。『機動武闘伝Gガンダム』は、ファーストからの「宇宙世紀」には含まれない「非宇宙世紀」作品の中でも、独特な雰囲気を持つ作品であり、ガンダムシリーズの入門作としてもおすすめできる作品ではないかと思う。
12. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE』(アニメ)
あらすじ:企業の宇宙進出が進み、宇宙移民者スペーシアンと地球居住者アーシアンの対立が激化の一途をたどるA.S.(Ad Stella) 101。小惑星フロント「フォールクヴァング」にあるヴァナディース機関のラボでは、カルド・ナボの主導のもと、地球のオックス・アース・コーポレーションのMSガンダムが開発されていた。しかしガンダムに採用されたGUNDフォーマットの健全性を試作機のガンダム ・ルブリスは証明できず、テストパイロットのエルノラ ・サマヤは焦りを感じる。そんな中、GUNDフォーマットを危険視するデリング ・レンブランの差し金で、MS開発評議会はオックス社への企業行政法による強制執行を決定。評議会配下の特殊部隊「ドミニコス隊」がフォールクヴァングに派遣され、エルノラの夫ナディム ・サマヤたちの抵抗も空しく制圧作戦が進められる。カルドを始め多くの人命が犠牲となる中、ルブリスが偶然乗り込んでいたエルノラの娘エリクト・サマヤの生体情報を認証して起動する事態が発生し、敵MSを撃墜したエリクトに驚愕しながらもエルノラはルブリスで脱出を図る。ナディムの自己犠牲によってエルノラたちは離脱に成功するが、フォールクヴァングは破壊され、ガンダムの開発計画はすべて凍結される。
GUNDフォーマットが「魔女」として扱われ、関連技術が全て抹消を命じられるというストーリーから始まるガンダムシリーズの新しい作品。ガンダムの新作を発表からライブで観るのは始めてだったため、印象的な経験だった。「全てのガンダムを否定する」という独特な設定と、「魔女狩り部隊」によって研究機関の研究者たちが殺されていく残酷な描写が印象的だった。作画や演出にもかなり力が入っていると感じた。
13. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season1』(アニメ)
あらすじ:「ヴァナディース事変」と名付けられたフォールクヴァングの襲撃から21年の年月が流れ、ガンダムの開発者が「魔女」と呼ばれるようになったA.S.122。水星育ちの少女スレッタ・マーキュリーは母プロスペラ・マーキュリーの勧めで、ベネリットグループが運営する教育機関アスティカシア高等専門学園に編入してくる。スレッタは到着間近、宇宙空間を漂流していたデリングの一人娘ミオリネ・レンブランを意図せず救助するが、デリングから逃れ地球へ向かう予定だったミオリネを妨害する結果となり、責任をとるべくミオリネに強引に迫るグエル・ジェタークとMSによる決闘を受諾し、愛機のガンダム・エアリアルで圧勝する。ガンダムを使用した嫌疑でMS評議会に拘束され早々に退学の危機に陥るスレッタだったが、ミオリネの直談判によって再決闘が決まり、自身の威信をかけて戦いを挑むグエルのダリルバルデを激戦の末に下す。こうしてグエルから学園の最強パイロットの証である「ホルダー」の称号とミオリネの花婿候補という立場を手に入れたスレッタ。しかし、彼女の前には更なる試練が待受けていた。。。
ガンダムシリーズとしては恐らく始めての「学園もの」ではないかと思った。今までの「ガンダム」では、主人公が物語の殆ど最初の段階から戦争の真っただ中に投げだだれるが、『水星の魔女』ではそのような展開ではなく、アスティカシア高等専門学園という学園の中で大体のストーリーが進行される。MS間の戦闘も、戦争という形ではなく、学園内での「決闘」という、模擬戦のようなものとして描かれる。そのため、人によっては戦闘の緊迫感が足りないと感じるかも知れないが、既存の「ガンダム」から離れた斬新な試みだったと個人的には思う。
14. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2』(アニメ)
あらすじ:プラント・クエタ襲撃から2週間後。事件について箝口令が敷かれた地球寮生たちの前に身分を詐称したソフィとノレアが編入生として現れ、スレッタはフォルドの夜明けの連絡係であることを告白しようとしたニカを襲うふたりにたまらず決闘を申し込む。ソフィたちは学園のオープンキャンパスで行われるエキシビションマッチ「ランブルリング」にMS型ガンビットガンヴォルヴァとともに乱入し、グエルの弟ラウダ・ニールを始めとして多くの生徒に被害を出すが、データストームで空間を掌握するエアリアルには及ばず、ソフィが命を落とす。その後、生徒の死者を出した一連の事件の隠蔽と、「フォルドの夜明け」に対する強引な治安活動に対してベネリットグループには非難の声が集中し、グループは状況打破のために次期総裁選の開催を決定する。新たなエランとしてペイル社に従いつつも自分の命を最優先に行動する強化人士5号、サリウスを幽閉して世界の不平等を変えるという大義のために総裁の地位を狙うシャディク、そして「フォルドの夜明け」での捕虜生活を経て存続の危機に瀕したジェターク社の立て直しを図るグエルがそれぞれ行動を開始するなか、ミオリネはデリングの極秘計画クワイエット・ゼロの引き継ぎをプロスペラから打診されるのだが。。。
Season1で「学園もの」のような印象から始まった『水星の魔女』だったが、Season1の後半から幾つかの変換点を経て今までの「ガンダム」と似たような雰囲気に戻った。「学園もの」にしては学園での日常、授業や学園祭などが殆ど描かれていない。また、宇宙出身の人々と地球出身の人々の葛藤を描こうとしているが、その葛藤の原因や具体的な内容については触れていないため、作中の過激派テロ組織「フォルドの夜明け」の行動に共感し難いという問題点を持っている。全体的な印象としては、もう少し分量が長かったらより良い評価を得られたのではないかと思われる。
15. 『押しの子』(アニメ)
あらすじ:田舎の産婦人科医ゴローは、自分に懐いていた患者で、12歳の若さで亡くなった少女さりなの影響によりアイドルオタクになっていた。そんな彼の元に、活動休止中の彼の推しアイドル・星野アイが双子を妊娠した状態で現れる。子供を産むこともアイドル活動も諦めないというアイに改めて魅力を感じ、彼女の内密出産を全力で応援することにしたゴローは、彼女の主治医としてつきそう。しかし、アイの出産日に、ゴローはアイのストーカーのリョースケによって殺される。ゴローはアイの子供、星野愛久愛海(アクア)として生まれ変わる。アクアの双子の妹である星野瑠美衣(ルビー)は、さりなが生まれ変わった姿だった。2人は互いに生まれ変わる前の記憶を持っていることを知るが、自分たちがかつての医者と患者の関係であったことまでは気づかない。そのまま2人は、出産したことを隠しつつアイドル活動を再開したアイを応援しながら、アイのもとで成長していく。やがてアイの人気はますます上昇し、東京ドームでのライブを控えるまでになる。しかし、アイは自宅に押しかけてきたリョースケに刺され、アクアとルビーの目の前で死んでしまう。リョースケは自殺し、アクアとルビーはアイの芸能事務所「苺プロダクション」の社長である斉藤夫妻の子として成長していく。アクアは、リョースケにアイの妊娠や病院、転居直後の住所などの情報を提供した黒幕がおり、その人物は自分とルビーの実父と思われると推察した。アイの交流の範囲から、実父は芸能界にいる可能性が高いと考え、その人物への復讐を誓う。
プロローグ「幼年期」は主人公が謎の犯人によって殺されるという事件を除けば、押しのアイドルの子供として転生した主人公の日常を描いた作品だと思っていたが、最後にその「日常」がアイの死によって破壊されることで本作品の本当のジャンルが提示された。芸能界の明と暗を赤裸々に描いており、魅力的なキャラクターたちがそれぞれの目標に向かって進んでいく姿が見所である。基本的には星野アイを殺した犯人を探すために芸能界に足を踏み入れたアクアの視点で物語が進行されるが、星野アイに憧れてアイドルを夢見るルビの視点も描かれるため、二人の主人公の視点で観想することができるという特徴を持っている。
16. 『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(アニメ)
あらすじ:炭治郎たちと宇髄の活躍により、百年ぶりに上弦の鬼が倒された。その事実は鬼殺隊のみならず、鬼舞辻無惨の元に呼び出された上弦の鬼たちにも波紋を呼んでいた。一方、蝶屋敷で療養生活を送る炭治郎だったが、刃毀れが原因で刀鍛冶・鋼鐵塚を怒らせてしまったことを知り、直接会って話すため刀鍛冶たちの暮らす里へ向かうことに……。
前の内容を観ていないため、内容の理解ができるかどうか分からなかったが、実際に観始めたら前の内容を知らなくても観られるようになっていた。鬼滅の刃は基本的なエピソードの内容や展開は似たようなものが多いと思うが、今回の「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」は作中の重要人物である「柱」が二人も活躍するエピソードになっているため、スケールはかなり大きい内容だったと思う。良くできているところもあったが、柱たちの過去のストーリーを描くためとは言え、戦闘シーンの間に過去を回想する場面が多すぎて緊迫感が薄れてしまっている感じがあった。
17. 『サマータイムレンダ』(マンガ)
あらすじ:2018年7月22日。網代慎平は幼馴染・小舟潮の訃報を聞き、葬儀に参列するために2年ぶりに生まれ育った故郷・日都ヶ島(ひとがしま)に戻る。 潮は海の事故で亡くなったと聞いていたが、居合わせた親友の話では潮の死には不可解な点があり、他殺の可能性が浮上する。 その背後に見え隠れするのは、日都ヶ島に昔から伝わる「影」の存在。
『「影」を見た者は死ぬ』──。
翌日、突如として姿を消す島民一家。
慎平は一家の失踪の真相を追ううちに「影」の思惑に巻き込まれていく。 多くの犠牲とタイムリープを乗り越え、遂に黒幕シデとの一騎打ちが始まる。 全ての元凶であるシデを打ち倒し、ヒルコの願いを叶えた後、ウシオは感謝しながら消えていった。 全てが再構築され、そして迎えた7月25日、前の世界の記憶を保持した潮は慎平に向けて言った。 「おかえり」──と。
正体不明の「影」の襲撃というスリラー要素を取り入れたサスペンス漫画。精巧な展開や伏線が魅力的な作品。緊張感を最後まで維持することが重要なジャンルであるが、一つの問題を解決してもまた新たな問題があらわれるという構成で、最後まで次はどうなるのかを期待しながら緊張感を持って読むことができる。アニメーション化もされている作品であるため、個人の趣向に合わせて楽しむこともできるだろう。
18. 『リコリス・リコイル』(アニメ)
あらすじ:平穏な日々――その裏には秘密がある。
犯罪を未然に防ぐ秘密組織――「DA(Direct Attack)」。
そのエージェントである少女たち――「リコリス」。
当たり前の日常も、彼女たちのおかげ。
歴代最強のリコリスと称されるエリート・錦木千束、
優秀だけどワケありリコリス・井ノ上たきなが働く喫茶「リコリコ」もその支部のひとつ。
ここが受けるオーダーは、コーヒーやスイーツの注文から、こどものお世話、買い物代行、外国人向けの日本語講師etc、「リコリス」らしからぬものばかり。
自由気ままな楽天家、
平和主義の千束とクールで効率主義のたきな、
二人の凸凹コンビのハチャメチャな毎日がはじまる!
2022年最高話題作の一つであるリコリス ・リコイル。優れた作画と魅力的なキャラクターをセールスポイントにして興行的には成功した作品であるが、それ以上に不足している部分も多かった。現実の日本を舞台にしながらも、非現実的な演出や設定が多いため、そのギャップからの違和感が作品への没入を阻害する要因として働いているのではないかと思われる。銃器を使用した現実的な戦闘場面を期待する人には向いていないかも知れない。
19. 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(ドラマ)
あらすじ:『ゲーム・オブ・スローンズ』の時代の約200年前、ターガリエン王朝の第四代のジェヘアリーズ王は世継ぎを大評議会に委ね、男子優先原則により年長のレイニス王女を差し置いてヴィセーリス王子が選ばれる。王位についたヴィセーリスは、男子優先原則を無視して不仲の弟デイモン王子ではなく娘のレイニラ王女を世継ぎに選ぶ。国を統一して北からの脅威と戦う予言「氷と炎の歌」をレイニラに伝える。だが周囲は男性の王を求め、王は〈王の手〉オットー・ハイタワーの娘でレイニラの親友のアリセントを後室とする。アリセント王妃には男子エイゴンが生まれ、周囲は王位争いを予期するようになる。オットーは孫エイゴンの次王後継をあからさまに謀って〈王の手〉から解任される。王はレイニラの立場を強めるため、有力者コアリーズ・ヴェラリオンとレイニス王女の子、レーナ―と結婚させる。レイニラを愛する〈王の盾〉の騎士クリストン・コールは絶望する。アリセント王妃は、いずれ王位争いで我が子の生命を脅かすであろうレイニラとの戦いに備える...
『氷と炎の歌』は原作小説を読んだことはあったが、ドラマ版である『ゲーム・オブ・スローンズ』は観たことがなかった。しかし、外伝である『炎と血』は原作小説よりドラマ版を先に観ることになった。本編である「氷と炎の歌』では既に殆ど絶滅に近い状態であったため、謎だらけの存在であったドラゴンがまだ健在だった頃の話であるため、多数のドラゴンを映像で見ることができるという点で本編とは異なる魅力を持っている。また、本編と共有する特徴として「群像劇」の魅力を挙げられる。数々の人物たちがそれぞれの目的を持って行動するため、一人の主人公だけでなく、様々な人物の観点から物語を楽しむことができる。
20. 『虐殺器官』(アニメーション映画)
あらすじ:テロの危険にさらされ続けているアメリカは、その恐怖に対抗すべく徹底した情報管理システムを構築している一方、アメリカ以外の世界各地では激しい紛争が続いている。世界の紛争地域を駆け巡る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉のもとに、謎に包まれたアメリカ人ジョン・ポールの追跡ミッションが与えられる。紛争の予兆とともに現れ、その紛争が撃破すると、突如姿を消す謎の人物。かつて有能な言語学者だった彼がその地域で何をしていたのか、米国政府の追跡を避けて彼が企て立てていたことは何か。
「テロ」と「言語学」という、一見接点を持たないように見える二つのキーワードを中心にした作品。言語の力を使って人の脳を操作し、人の行動を操ることができるという斬新な設定が印象的であった。人間の持つ暴力性やテロなど、重いテーマを扱っている作品であり、原画学者だったがジョン • ポールの秘密を調べていく過程が興味深かった。しかし、本作品にはグロテスクな表現や描写が多く、人が残酷に殺されていく姿がかなり露骨に描かれるため、苦手な人は鑑賞に注意した方が良いと思われる。
21. 『サイバーパンク エッジランナーズ』 (アニメ)
あらすじ:日系企業アラサカなどの巨大企業に支配されたディストピア都市ナイト・シティ。そこに暮らす少年デイビッドは、富裕層向けの学校で浮いた存在だった。「あんたにはエリートになって、アラサカタワーの最上階に勤めるくらいになってほしい」と母グロリアは彼を学校に入れたが、高額の学費を払うには庶民が女手一つで懸命に働いても稼ぎが足りず、アパートの家賃は滞納が続いていた。
ある日、デイビッドと彼の母が二人で車に乗っていたところ、ギャングの争いに巻き込まれて車が横転。医療部隊が駆けつけ救われると思いきや、高額な契約金を払っている金持ちだけを運搬し去っていった。車から投げ出されたまま長時間放置されたグロリアは死亡し、医者は以前からの過労働で衰弱していたせいもあると指摘した。
デイビッドは母の遺品からサイバーウェア「サンデヴィスタン」の軍用品を発見した。救急救命士の母は、死者から剥ぎ取った物を売り捌くという違法行為によって学費を捻出していたのだ。その軍用サンデヴィスタンは、強力な戦闘能力を得られるが副作用で装着者を発狂させサイバーサイコにしてしまったという曰く付きだ。デイビッドは危険を承知でサンデヴィスタンを装着し、様々な仕事を請け負うエッジランナー(傭兵)として成り上がる道を歩む。偶然の出会いからデイビッドに傭兵稼業を教えるようになった少女ルーシーは、いつか足を洗って遠くへ行きたいと望み、テラフォーミングされ富裕層のみが移り住んでいる月面都市に行きたいと夢見ていた。彼女に惹かれるデイビッドは「俺が君を月に連れて行くよ」と約束する。
原作となっているゲームをやったことはないが、この作品を観てゲームの方にも興味を持つようになるくらい、良くできている作品だったと思う。アメリカン・コミック的な演出や色感が使われているということも個性的であった。魅力的なキャラクターと膨大な裏設定を持つ背景を作品の中で巧みに描き出していると感じた。ゲームのストーリーとアニメーションのストーリーは殆ど関係のない内容であると聞いたことがあるが、オリジナルのストーリーでこれ程良質の作品が作られということに感心した。
22. メシア(ドラマ)
あらすじ:中東に突如現れたカリスマ的人物アル・マスィーフが、民衆を駆り立て政情不安を引き起こした。その信奉者は彼をイエス・キリストの再来だと信じている。その存在を危惧したCIAの捜査官エヴァ・ゲラーは正体を探り始めるが、事態は国際的な騒動へ発展していく。
イエス • キリストの再来という宗教的な問題を正面から描いている、ある意味では問題作。アル・マスィーフの正体をめぐって様々な人物たち意見が交差する。彼を「本物」だと信じる人と信じない人。本作品は実際に奇跡を行うことができる(ように見える)存在がこの世に現れた場合、社会にどのような影響を及ぼし、混乱をもたらすのかという疑問を現実的に描写している。スリラーとしても、アル・マスィーフの招待を徹底的に「曖昧」に描くことで緊張感を最後まで維持している。多少敏感なテーマを扱っているため作品であるため、宗教的に問題になる恐れがあったにも関わらず、パレスチナとイスラエルの葛藤など、タブーになっている部分についても触れているのが特徴である。
23. 『小林さんちのメイドラゴン』(アニメ)
あらすじ:朧塚という街に住むOLの小林さんは、酔った勢いから異世界のドラゴン・トールを助けた。トールは多大な恩を感じ、そして理由があって故郷に戻れないこともあり、人間のメイドに姿を変えて、小林さんの自宅に住み込んでお世話を始める。そして、小林さんのもとには、トールをはじめとしたさまざまなドラゴンが集まるようになっていくのだった。
「メイドラゴン」という言葉遊びを使ったタイトルが印象的な作品。京都アニメーション特有の秀麗な作画と個性的なキャラクターたちの組み合わせが良かった。基本的には一話完結の作品であるため、大したストーリーがあるわけではないが、人間とドラゴンという異なる種族間の葛藤や摩擦、共存の問題を日常の中で描いているため、作品の雰囲気が軽くなりすぎないようにし、適当な重みを持たせているのも特徴である。
24. 『小林さんちのメイドラゴンS』(アニメ)
あらすじ:自称究極メイドのトールは、今度オープンする新しいメイド喫茶にライバル心を燃やして殴り込みに行くが、なぜかトールは働くことに。
そんな変わらない日常を過ごしていると、トールのもとに混沌勢の最過激派のドラゴン・イルルが襲ってくる。街を守りながら戦うトールは全力が出せずに苦戦していたが、小林さんが機転を利かせてエルマと取引し、甘いものと引き換えに街に障壁を張らせたおかげで、トールは全力を出してイルルの撃退に成功するのだが...
基本的な展開は1期とそれ程の違いはなかったが、新たなキャラクターとして追加された「イルル」など、既存のキャラクターたちに加え、新しく加わったキャラクターも個性的で魅力的であるため、作品をより豊かにしている。
25. 『トップガン マーヴェリック』(映画)
あらすじ:アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格で組織から追いやられた“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。
「映画を映画館で観る理由」を教えてくれる作品。映画館の大画面と音響が組み合って作品の面白さをお何倍も増加させる。戦闘機で繰り広げられる空中戦もスペクタクルで、観る人を圧倒させる。現実的な兵器描写や戦闘場面の構成にも気を使っており、リアリティーのある空中戦を具現している。ストーリーは単純であり独創的とは言えないが、その代わりに洗練された描写や繊細な演出で魅力的な物語を作っている。全体的に前作である『トップガン』の長所を見事に引き継ぎながら、それをさらに発展させる一方で、前作の短所も充分に補足した続編であり、前作を観た人なら尚更楽しめる作品である。
26. 『機動戦士ガンダム NT』(アニメーション映画)
あらすじ:U.C.0097――。
『ラプラスの箱』が開かれて一年。
ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みが大きく変化することはなかった。
のちに『ラプラス事変』と呼ばれる争乱は、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の瓦解で終結したかに見えた。
その最後の戦闘で、2機のフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツが、人知を超えた力を示す。 白き一角獣と黒き獅子、2機の脅威は、封印されることで人々の意識から遠ざけられ、忘れ去られるはずだった……。
しかし、2年前に消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せ始めた。
金色の“不死鳥”……その名は、フェネクス――。
『機動戦士ガンダム UC』の後続編。UC本編には登場しなかったユニコーンガンダムの3号機、フェネクスの話を扱っている。時代の変化の中で成功も興幸福も諦めなければならない現実を3人の中心人物を通じて描いている。また、「ニュータイプ」というガンダムシリーズの重要な概念を新しく定義している点も特徴的である。しかし、本作は前作であるUCに比べて作画が不安定なところがあるため、違和感があった。
27. 『グッドフェローズ』(映画)
あらすじ:ヘンリー・ヒルはアイルランド系の父とシチリア系の母を持ち、物心がついた子供が野球選手や消防士に憧れるように、マフィアの一員になる事を夢見ていた。彼は11歳でニューヨーク・ブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や、偽造クレジットカードの使用などを皮切りに、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった犯罪に手を広げていく。彼の一味はポール・ヴァリオ(劇中ではポール・シセロ)を長とし、トラック強奪を得意としたジミー・バーク(同じくジミー・コンウェイ)や武装強盗と殺人に秀でたトミー・デシモネ(同じくトミー・デヴィート)が同僚であった。
ジミー・バークを首謀者とした彼ら3人は共謀し、1968年に近傍のクイーンズ区・ジョン・F・ケネディ国際空港でエア・フランス現金強奪事件を成功させ、42万ドルを手に入れる。一味は1978年に同じくケネディ国際空港でルフトハンザ航空現金強奪事件を起こし、600万ドルと桁違いの成功を収めた。しかしこれが終わりの始まりとなった。
ギャング映画の象徴的な作品の一つ。義理も、友情もない残酷で卑劣なギャングの世界を赤裸々に描いている。組織の一員として出世するために手段を選ばない3人が結局それぞれ破滅へと向かっていく過程を描いているという点で、犯罪 • ギャング映画のもう一つの代表作、『ゴットファーザー』とは対照的である。
28. 『ザ・フラッシュ』(映画)
あらすじ:フラッシュことバリー・アレンは母親のノラの死を防ぎ、彼女を救うために時間を遡る。しかし、"過去"を変えたことで"現在"滅亡の危機を招いてしまう。そんな彼のもとに、元の世界とは全く別人の異世界の"バットマン"、スーパーマンならぬ"スーパーガール"らも、時空を超えて集結するが・・・。人類滅亡の歴史を変える超速タイムループ・アドベンチャー!
DCEUの自信作。タイムループや過去を変えることのリスクは様々な作品で扱われてきたテーマであり、本作もそれらの作品をほぼ踏襲している。ストーリーの斬新さには欠けているが、バットマンやスーパーガール、フラッシュのそれぞれの個性や戦闘スタイルを活かした戦闘シーンと、主人公フラッシュことバリー・アレンを演じたエズラ・ミラーの一人二役など、俳優たちの演技は抜群だった。
29. 『時をかける少女』(1983年映画)
あらすじ:筒井康隆の名作SF小説を、「転校生」の大林宣彦監督が映画化した青春ファンタジー。高校生の芳山和子は、学校の実験室で白い煙とともに立ちのぼったラベンダーの香りをかいだ瞬間、意識を失い倒れてしまう。それ以来、時間を移動してしまうような不思議な現象に悩まされるようになった和子は、同級生の深町一夫に相談するが……。
細田守監督のアニメーション映画で「時をかける少女」という作品に始めて接したが、この映画はそれとはかなり違った雰囲気の作品であった。作品の舞台も現代的な風景ではなく、ノスタルジーを感じさせる伝統的な町並みの風景が使われている。また、時間の移動をモノクロとカラーで対比している点や、ホラー映画的な演出が所々に使われていることも印象的だった。
30. 『葬送のフリーレン』(マンガ)
あらすじ:魔王を倒し王都へ凱旋した勇者ヒンメル一行。各々が冒険した10年を振り返りながらこれからの人生に想いを馳せる中、エルフのフリーレンは感慨にふけることもなく、また魔法探求へと旅立っていく。50年後、皆との約束のためフリーレンは再び王都へ。その再会をきっかけに、彼女は新たな旅へと向かうことになる。
「勇者一行の冒険が終わった後」の後日談を語る形式の作品は以前にも幾つかあった気がするが、本作品の特徴は、その穏やかな雰囲気である。勇者が登場するファンタジー作品の中では例外的に、勇者全員が善人であり、貴族や領主など、いわゆる「お偉い方」も有能な人物として描写される。刺激的な展開や事件が殆どない点で、個性的な作品ではあるが、そのため、気楽に読むことができる作品になっていると思われる。
1. 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ シーズン1』(アニメ)
あらすじ:現在において「厄祭戦(Calamity War)」と呼ばれる大きな戦争が過去にあり、その終結から約300年の時が流れた。地球圏は厄祭戦で統治機構を失った後、新たな支配体系を持つようになり、新たな世界が構築されていた。その場しのぎではあるが、地球には一時の平和が訪れる一方で、遠く離れた火星圏では新たな戦争の火種が生まれつつあった。主人公・三日月・オーガスが所属する民間軍事警備会社、クリュセ・ガード ・セキュリティ(略称CGS)は、地球の一勢力の統治下にある火星の街クリュセを独立させようとする少女・クーデリア・アイナ・バーンスタインの護衛任務を受ける。しかし、反乱の芽を踏みにじろうとする世界的な軍事武力組織、ギャラルホルンの襲撃を受けたCGSの大人たちは、三日月たちや子供たちをおとりにして撤退を始め、少年兵たちのリーダー、オルガ・イツカはこれを機に自分たちを虐げてきた大人たちに反旗を翻し、クーデターを決意する。リーダーのオルガからギャラルホルンの撃退を命じられた三日月は、CGSの動力炉として使用された厄祭戦時代のモビルスーツガンダム • バルバトスを用いて戦いに臨み、今、一寸先も知れぬ激戦の幕が上がる。
少年兵たちが主人公の作品であるだけに、序盤は少年兵たちが民間軍事会社に動員され、戦場で死んでいく現実的な描写で戦争の残酷さをきちんと描いている。また、他のガンダムシリーズとは異なり、「ビーム兵器が効力を失い、代わりに冷兵装と実弾を使用した武器のみを使用するようになった時代」という新たな設定により、重みと迫力のある戦闘シーンが特徴である。主人公たちが正規軍に所属しているわけではなく、「傭兵」という位置に立っているということも他の作品とは区別される本作の特徴であると思われる。
2. 『コードギアス 反逆のルルーシュ』(アニメ)
あらすじ:世界一の超大国・神聖ブリタニア帝国は、最も貴重な資源であるサクラダイトを狙って日本を侵攻、降伏宣言を勝ち取り、植民地にする。ブリタニア総督の支配下に置かれた日本は国家名を剥奪され、「エリア11」と命名、国民は「イレヴン」と呼ばれ、暴政と差別に苦しめられる。それから7年後、ブリタニアの第11皇子である少年・ルルーシュ・ランペルージは、母親が暗殺され、その衝撃で目が不自由になった弟・ナナリと共に日本へ追い出され、身分を隠して平凡な学生として生活していた。ブリタニアに痛烈な恨みを抱いているルルーシュは、偶然C.C.という謎の少女に出会い、ギアスという超自然的な力を得ることになり、仮面で正体を隠した後、ゼロと名乗り、反ブリタニアレジスタンスを手下に引き入れて復讐に乗り出す。
『コードギアス』はピカレスク作品で、主人公であるからといって無条件に「善」として描かれるのではなく、悪の面がさらに浮き彫りになることもある。他の登場人物もそれぞれ個性的に描かれている。現実のアメリカに代わる超大国、「神聖ブリタニア帝国」によって日本が侵略され、強制的に併合、植民地化されたという刺激的な設定をもとに、さまざまな伏線と衝撃的な事件を通じて物語が展開される。登場人物間の緻密な頭脳戦を通じて、毎話ごとに緊張感を保ったままストーリーが進行され、各話が絶妙なタイミングで終わるため、次回が気になってしまうような構成となっている。作品に登場するメカニック、「ナイトメアフレーム」たちの戦闘シーンはほとんど地上で行われ、スラッシュハーケンやランドスピナーなどを利用したスタイリッシュな戦闘も見どころの一つである。
3. 『デューン』(映画)
あらすじ:A.G.10191年, アトレイデス家の後継者であるポール ・アトレイデスは時間と空間を超越し、過去と未来の両方を見ることができる力を持ち、人類をより良い未来へと導く予言された救援者の運命をもって生まれた。そしてある啓示のように、彼は毎日夢の中で惑星アラキス(通称デューン)にある一人の少女に出会う。アラキスは宇宙で一番高い物質であり、帝国存続のために重要な資源であるスパイスを豊富に産出するため、あらゆる勢力の陰謀が激突する戦場のような惑星である。貴族たちの支持を得ているアトレイデス家に対する皇帝の嫉妬は、ポールとその一族を死が待つそのアラキスへと導く。
この作品は同名のSF小説を原作とする映画であり、三部作として計画されているシリーズの最初の作品である。原作小説を読んだことはないが、映画を観てから原作にも関心を持つようになる程、よくできている映画であった。アラキスという砂漠惑星の荘厳な風景と、本格的なストーリーに入る前の第一作目ということもあり、ともすれば退屈になってしまうかも知れない映画の雰囲気を充分に補足する独特な音楽の組み合わせが印象的であった。 様々な映画の中でも、映画館で鑑賞した時に真価が発揮される作品であると感じた。
4. 『君たちはどう生きるか』(アニメーション映画)
主人公である牧眞人という少年は、第2次世界大戦が進行中の日本で空襲による火災によって母親を目の前で失ってしまう。それから1年後、真人は父親と共に東京を離れ、宇都宮市に行くが、そこには亡くなった母親の実の妹であり、父の再婚相手であるナツコ家の屋敷があった。その屋敷の庭に住んでいる青鷺によって、真人は不思議な世界へと迷い込んでしまう。
最初に観た時はどのような内容なのかよく理解できなかったが、観終わった後に改めて考えてみるとストーリー自体はとても簡単で、主題も一貫していると感じた。作画の面でも今までのジブリ作品の中で最も優れており、スタジオジブリ歴史上最大の制作期間と制作費を投入して作り上げた作品であるということに納得した。 全体的に商業性よりは作品性に焦点を当てた作品であると感じた。個人的には少し残念な選択ではあったが、作品自体は面白かった。
5. 『シン・仮面ライダー』(映画)
あらすじ:主人公本郷猛は、バイク「サイクロン号」で自身を謎の組織から逃がしたルリ子を後ろに乗せ、2台のトレーラートラックからの逃走している途中、谷へ転落する。ルリ子は無事だったが、二人を追ってきた組織のクモオーグとその部下たちによって捕まえられる。本郷は「第1バッタオーグ」へと変身し、恐るべき身体能力でクモオーグの手下たちを全滅させ、ルリ子を救出し、彼女とともに山中のセーフハウスへと向かう。ためらいなく手下たちを殺めることができてしまった自身に動揺する本郷の前に、ルリ子の父であり本郷の恩師・緑川弘博士が現れる。そして、本郷が“変身”できるようになった衝撃的な経緯を明かすが…
石ノ森章太郎の原作漫画を映画化した作品とはいえ、私は原作や過去の仮面ライダーシリーズを観たことがなかったため、この作品を通じて昭和の仮面ライダーに初めて接することになった。グロテスクな演出もかなり使われている戦闘場面や暗い背景設定など、「仮面ライダーシリーズは子供が観るもの」という先入観とは正反対の作品だった。 しかし、原作を殆ど知らないためか、登場人物たちの動機にも納得できないものが多く、人物に感情移入しにくかったため、多少退屈な作品に感じられた。
6. 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOLUME 3』(映画)
あらすじ:ガーディアンズの本部があるノーウェア。サノスとの戦いで恋人ガモーラを失ったピーターは酒浸りの毎日を送っていた。そんな中、謎の男がノーウェアを襲撃する事件が起きる。男の正体はソヴリン人の女王アイーシャが作り出したアダム・ウオーロック。彼はガーディアンズとの戦闘の結果、撤退するがロケットが重傷を負ってしまう。ロケットを助けるために手当てをする内、彼の身体に情報流出を防ぐためのキルスイッチが組み込まれていることが判明し、治療することが困難になる。瀕死のロケットを助けるための手がかりを追って、ピーターが率いるガーディアンズはロケットを産み出した<オルゴ・コープ社>に向かうが...
ガーディアンズ ・ オブ ・ ギャラクシーシリーズを観てきた人は無論、本作で始めての接する人も十分に楽しむことができるように配慮されている部分が多い。ガーディアンズのメンバーたちの各自の叙事は以前のMCU作品を通じてもかなり描かれてきたが、まだ推測の領域に残っていたロケットの過去を作品の核心内容として描いた。以前の明るく愉快な雰囲気もある程度生かしながら、シリーズ最後の作品であるだけにシリアスな内容も増えている。動物実験の暗い面をロケットの過去を通じて真剣に描き出したという点で、主題面でも良い評価ができるだろう。他にも登場人物たちそれぞれの個性や特性を活かした戦闘シーンや前作に対するファンサービスなど、シリーズの最後を飾る作品に相応しと思われる。
7. 『名探偵コナン:黒鉄の魚影』(アニメーション映画)
あらすじ:東京・八丈島近海に建設された、世界中の警察が持つ防犯カメラを繋ぐための海洋施設『パシフィック・ブイ』。本格稼働に向けて、ヨーロッパの警察組織・ユーロポールが管轄するネットワークと接続するため、世界各国のエンジニアが集結。そこでは顔認証システムを応用した、とある『新技術』のテストも進められていた―。
一方、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていたコナン達少年探偵団。するとコナンのもとへ沖矢昴から、ユーロポールの職員がドイツでジンに殺害された、という一本の電話が。不穏に思ったコナンは、『パシフィック・ブイ』の警備に向かっていた黒田兵衛ら警視庁関係者が乗る警備艇に忍び込み、施設内に潜入。すると、システム稼働に向け着々と準備が進められている施設内で、ひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生…!さらに彼女が持っていた、ある情報を記すUSBが組織の手に渡ってしまう…。
海中で不気味に唸るスクリュー音。そして八丈島に宿泊していた灰原のもとにも、黒い影が忍び寄り…
決して触れてはいけない<玉手箱>が開かれたとき、封じ込めた過去がいま、洋上に浮かび上がるー
数年前に『から紅の恋歌』を観て以来、久しぶりに観た名探偵コナンの劇場版だった。シリーズ内で最大の敵である「黒の組織」が登場し、灰原の過去をめぐって緊張感のある展開が繰り広げられる。名探偵コナンが長期連載されることによって生じた問題点は、作品のメインである「黒の組織」をめぐるストーリー殆ど進行されていないということであるが、今回の劇場版はかつて「黒の組織」の一員であった灰原の過去を扱っているため、より興味を引く内容になっていると思われる。
8. 『ギャングス・オブ・ニューヨーク』(映画)
あらすじ:1840年代、ニューヨークのファイブ・ポイント地区。アイルランド移民集団のリーダーであるヴァロン神父は、敵対するアメリカ生まれの集団との戦いで集団のボス、ビルに殺される。ヴァロンの幼い息子アムステルダムはそれを目撃し、自らも少年院へ送られてしまう。15年後、ニューヨークへ帰ってきたアムステルダムは復讐を果たすべく、街を牛耳るビルの組織に素性を隠して潜り込む。やがて彼はスリ師の女性ジェニーと出会い、互いにひかれ合うが……
ニューヨークという都市はアメリカに行ったことのない人でも 知っているくらい、有名であるが、そのニューヨークがどのような歴史を持ち、どのような過程を経て作られてきたのかについては知らない人が多いのではないかと思われる。私もニューヨークの歴史についてはほとんど知らなかった。この映画は、そのニューヨークの歴史についての作品である。私たちが普段よく思うニューヨークのイメージが形成されるまで、どのようにして作り上げられたのかを南北戦争という激動期を通じて描いている。良くできている映画ではあるが、残酷なシーンが多数あるため、多少の注意は必要である。
9.『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(映画)
あらすじ:中国系移民者であるエヴリンは、トラブルだらけの家族と破産寸前のコインランドリーを抱え、困窮していた。コインランドリーに関する税務申告の準備に忙殺されつつ、夫との関係や娘とのトラブルに苦しんでいいたある日、彼女の前に“別の宇宙から来た”という夫のウェイモンドが現れる。唐突に世界の命運を託されたエヴリンは、夫に導かれ想像もできない壮大な闘いに身を投じることになる。
本作は、「MCU」の映画などで馴染みのある「マルチバース」を素材にした作品である。全体的にB級の色が強く、下ネタが多数使われた作品であるが、その一方でかなりシリアスな主題をも扱っている。家族間の葛藤と和合、中でも移民者家庭の問題、現代に蔓延するニヒリズムの問題など、個人の持つ意味や価値が段々薄れている現代社会を生きる人々に、様々なことを考えさせる映画だった。多少散漫な演出で好き嫌いが分かれるかも知れないが、マルチバースという素材をMCU以上に上手く使いこなしているという点でも、魅力的な作品であると思われる。
10. 『空の青さを知る人よ』(アニメーション映画)
あらすじ:山に囲まれた町に住む、17歳の高校二年生・相生あおい。将来の進路を決める大事な時期なのに、受験勉強もせず、暇さえあれば大好きなベースを弾いて音楽漬けの毎日。そんなあおいが心配でしょうがない姉・あかね。二人は、13年前に事故で両親を失った。当時高校三年生だったあかねは恋人との上京を断念して、地元で就職。それ以来、あおいの親代わりになり、二人きりで暮らしてきたのだ。あおいは自分を育てるために、恋愛もせず色んなことをあきらめて生きてきた姉に、負い目を感じていた。姉の人生から自由を奪ってしまったと…。そんなある日。町で開催される音楽祭のゲストに、大物歌手・新渡戸団吉が決定。そのバックミュージシャンとして、ある男の名前が発表された。金室慎之介。あかねのかつての恋人であり、あおいに音楽の楽しさを教えてくれた憧れの人。高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。それを知ったあおいの前に、突然“彼”が現れた。“彼”は、しんの。高校生時代の姿のままで、過去から時間を超えてやって来た18歳の金室慎之介。思わぬ再会から、しんのへの憧れが恋へと変わっていくあおい。一方で、13年ぶりに再会を果たす、あかねと慎之介。せつなくてふしぎな四角関係…過去と現在をつなぐ、「二度目の初恋」が始まる。
長井龍雪の得意である青春ものの映画。子供の頃に目指していた理想や夢と、現実とのギャップという、誰もがいつかは経験するであろう問題を描いている。この映画の特徴は、新海誠監督の作品を思わせるほど風景描写が優れているという点である。一見実写映画と勘違いするくらい、リアルな風景と過去の人間が現代に現れるという非現実的な内容の組み合わせが印象的であった。繊細な心理描写も作品の強みである。
11. 『機動武闘伝Gガンダム』(アニメ)
あらすじ:未来世紀(FutureCentury, F.C.)60年、人々は荒廃した地球を捨てて宇宙に活路を見出し、宇宙コロニーに生活圏の全てを移して過ごすようになっていた。しかし、コロニーに上がれた者と上がれずに地球に取り残された者との格差は広がり、地球の荒廃はより悪化の一途をたどっていた。コロニー国家間の覇権をかけて行われる機動兵器同士による格闘大会「ガンダムファイト」は未来世紀60年の節目に13回大会を迎え、大会開催と共に各国のコロニーから五つの光が地球に向けて放たれた。それは大会会場となる地球に向かうために降下した各国代表のガンダムファイターたちであった。四年に一度開催されるという、各国コロニー間の覇権をかけてガンダムファイト第13回大会が始まったのである。ネオジャパン代表のガンダムファイターであるドモン・カッシュもまた、。ドモン・カッシュもその1人として、地球をリングにして他の選手たちと闘うために、パートナーのレイン・ミカムラとともに地球に向かう。
しかし彼の真の目的は、祖国ネオジャパンを裏切り、科学者である父ライゾウ博士が開発していたアルティメットガンダム(デビルガンダム)を奪い失跡した実の兄、キョウジ ・カッシュを捜しだすことであった。。。
この作品はガンダムシリーズではあるが、既存の作品とはかなり異なった独創性を持っている。作品に登場するモビルファイターはガンダムという名で呼ばれていながらも、人々の印象に残っているはずの「ガンダム」の外形的特性からは大きく解離している、独特なデザインのものが多い。設定の方でも、「ガンダムファイト」という国際舞踏大会の概念を取り入れ、「戦争」という一貫した背景を持つ今までのガンダムシリーズとの差別を図っている。また、「東方不敗」マスター ・ アジアで代表される「武侠」の要素も、本作の特徴の一つである。『機動武闘伝Gガンダム』は、ファーストからの「宇宙世紀」には含まれない「非宇宙世紀」作品の中でも、独特な雰囲気を持つ作品であり、ガンダムシリーズの入門作としてもおすすめできる作品ではないかと思う。
12. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE』(アニメ)
あらすじ:企業の宇宙進出が進み、宇宙移民者スペーシアンと地球居住者アーシアンの対立が激化の一途をたどるA.S.(Ad Stella) 101。小惑星フロント「フォールクヴァング」にあるヴァナディース機関のラボでは、カルド・ナボの主導のもと、地球のオックス・アース・コーポレーションのMSガンダムが開発されていた。しかしガンダムに採用されたGUNDフォーマットの健全性を試作機のガンダム ・ルブリスは証明できず、テストパイロットのエルノラ ・サマヤは焦りを感じる。そんな中、GUNDフォーマットを危険視するデリング ・レンブランの差し金で、MS開発評議会はオックス社への企業行政法による強制執行を決定。評議会配下の特殊部隊「ドミニコス隊」がフォールクヴァングに派遣され、エルノラの夫ナディム ・サマヤたちの抵抗も空しく制圧作戦が進められる。カルドを始め多くの人命が犠牲となる中、ルブリスが偶然乗り込んでいたエルノラの娘エリクト・サマヤの生体情報を認証して起動する事態が発生し、敵MSを撃墜したエリクトに驚愕しながらもエルノラはルブリスで脱出を図る。ナディムの自己犠牲によってエルノラたちは離脱に成功するが、フォールクヴァングは破壊され、ガンダムの開発計画はすべて凍結される。
GUNDフォーマットが「魔女」として扱われ、関連技術が全て抹消を命じられるというストーリーから始まるガンダムシリーズの新しい作品。ガンダムの新作を発表からライブで観るのは始めてだったため、印象的な経験だった。「全てのガンダムを否定する」という独特な設定と、「魔女狩り部隊」によって研究機関の研究者たちが殺されていく残酷な描写が印象的だった。作画や演出にもかなり力が入っていると感じた。
13. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season1』(アニメ)
あらすじ:「ヴァナディース事変」と名付けられたフォールクヴァングの襲撃から21年の年月が流れ、ガンダムの開発者が「魔女」と呼ばれるようになったA.S.122。水星育ちの少女スレッタ・マーキュリーは母プロスペラ・マーキュリーの勧めで、ベネリットグループが運営する教育機関アスティカシア高等専門学園に編入してくる。スレッタは到着間近、宇宙空間を漂流していたデリングの一人娘ミオリネ・レンブランを意図せず救助するが、デリングから逃れ地球へ向かう予定だったミオリネを妨害する結果となり、責任をとるべくミオリネに強引に迫るグエル・ジェタークとMSによる決闘を受諾し、愛機のガンダム・エアリアルで圧勝する。ガンダムを使用した嫌疑でMS評議会に拘束され早々に退学の危機に陥るスレッタだったが、ミオリネの直談判によって再決闘が決まり、自身の威信をかけて戦いを挑むグエルのダリルバルデを激戦の末に下す。こうしてグエルから学園の最強パイロットの証である「ホルダー」の称号とミオリネの花婿候補という立場を手に入れたスレッタ。しかし、彼女の前には更なる試練が待受けていた。。。
ガンダムシリーズとしては恐らく始めての「学園もの」ではないかと思った。今までの「ガンダム」では、主人公が物語の殆ど最初の段階から戦争の真っただ中に投げだだれるが、『水星の魔女』ではそのような展開ではなく、アスティカシア高等専門学園という学園の中で大体のストーリーが進行される。MS間の戦闘も、戦争という形ではなく、学園内での「決闘」という、模擬戦のようなものとして描かれる。そのため、人によっては戦闘の緊迫感が足りないと感じるかも知れないが、既存の「ガンダム」から離れた斬新な試みだったと個人的には思う。
14. 『機動戦士ガンダム 水星の魔女 Season2』(アニメ)
あらすじ:プラント・クエタ襲撃から2週間後。事件について箝口令が敷かれた地球寮生たちの前に身分を詐称したソフィとノレアが編入生として現れ、スレッタはフォルドの夜明けの連絡係であることを告白しようとしたニカを襲うふたりにたまらず決闘を申し込む。ソフィたちは学園のオープンキャンパスで行われるエキシビションマッチ「ランブルリング」にMS型ガンビットガンヴォルヴァとともに乱入し、グエルの弟ラウダ・ニールを始めとして多くの生徒に被害を出すが、データストームで空間を掌握するエアリアルには及ばず、ソフィが命を落とす。その後、生徒の死者を出した一連の事件の隠蔽と、「フォルドの夜明け」に対する強引な治安活動に対してベネリットグループには非難の声が集中し、グループは状況打破のために次期総裁選の開催を決定する。新たなエランとしてペイル社に従いつつも自分の命を最優先に行動する強化人士5号、サリウスを幽閉して世界の不平等を変えるという大義のために総裁の地位を狙うシャディク、そして「フォルドの夜明け」での捕虜生活を経て存続の危機に瀕したジェターク社の立て直しを図るグエルがそれぞれ行動を開始するなか、ミオリネはデリングの極秘計画クワイエット・ゼロの引き継ぎをプロスペラから打診されるのだが。。。
Season1で「学園もの」のような印象から始まった『水星の魔女』だったが、Season1の後半から幾つかの変換点を経て今までの「ガンダム」と似たような雰囲気に戻った。「学園もの」にしては学園での日常、授業や学園祭などが殆ど描かれていない。また、宇宙出身の人々と地球出身の人々の葛藤を描こうとしているが、その葛藤の原因や具体的な内容については触れていないため、作中の過激派テロ組織「フォルドの夜明け」の行動に共感し難いという問題点を持っている。全体的な印象としては、もう少し分量が長かったらより良い評価を得られたのではないかと思われる。
15. 『押しの子』(アニメ)
あらすじ:田舎の産婦人科医ゴローは、自分に懐いていた患者で、12歳の若さで亡くなった少女さりなの影響によりアイドルオタクになっていた。そんな彼の元に、活動休止中の彼の推しアイドル・星野アイが双子を妊娠した状態で現れる。子供を産むこともアイドル活動も諦めないというアイに改めて魅力を感じ、彼女の内密出産を全力で応援することにしたゴローは、彼女の主治医としてつきそう。しかし、アイの出産日に、ゴローはアイのストーカーのリョースケによって殺される。ゴローはアイの子供、星野愛久愛海(アクア)として生まれ変わる。アクアの双子の妹である星野瑠美衣(ルビー)は、さりなが生まれ変わった姿だった。2人は互いに生まれ変わる前の記憶を持っていることを知るが、自分たちがかつての医者と患者の関係であったことまでは気づかない。そのまま2人は、出産したことを隠しつつアイドル活動を再開したアイを応援しながら、アイのもとで成長していく。やがてアイの人気はますます上昇し、東京ドームでのライブを控えるまでになる。しかし、アイは自宅に押しかけてきたリョースケに刺され、アクアとルビーの目の前で死んでしまう。リョースケは自殺し、アクアとルビーはアイの芸能事務所「苺プロダクション」の社長である斉藤夫妻の子として成長していく。アクアは、リョースケにアイの妊娠や病院、転居直後の住所などの情報を提供した黒幕がおり、その人物は自分とルビーの実父と思われると推察した。アイの交流の範囲から、実父は芸能界にいる可能性が高いと考え、その人物への復讐を誓う。
プロローグ「幼年期」は主人公が謎の犯人によって殺されるという事件を除けば、押しのアイドルの子供として転生した主人公の日常を描いた作品だと思っていたが、最後にその「日常」がアイの死によって破壊されることで本作品の本当のジャンルが提示された。芸能界の明と暗を赤裸々に描いており、魅力的なキャラクターたちがそれぞれの目標に向かって進んでいく姿が見所である。基本的には星野アイを殺した犯人を探すために芸能界に足を踏み入れたアクアの視点で物語が進行されるが、星野アイに憧れてアイドルを夢見るルビの視点も描かれるため、二人の主人公の視点で観想することができるという特徴を持っている。
16. 『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』(アニメ)
あらすじ:炭治郎たちと宇髄の活躍により、百年ぶりに上弦の鬼が倒された。その事実は鬼殺隊のみならず、鬼舞辻無惨の元に呼び出された上弦の鬼たちにも波紋を呼んでいた。一方、蝶屋敷で療養生活を送る炭治郎だったが、刃毀れが原因で刀鍛冶・鋼鐵塚を怒らせてしまったことを知り、直接会って話すため刀鍛冶たちの暮らす里へ向かうことに……。
前の内容を観ていないため、内容の理解ができるかどうか分からなかったが、実際に観始めたら前の内容を知らなくても観られるようになっていた。鬼滅の刃は基本的なエピソードの内容や展開は似たようなものが多いと思うが、今回の「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」は作中の重要人物である「柱」が二人も活躍するエピソードになっているため、スケールはかなり大きい内容だったと思う。良くできているところもあったが、柱たちの過去のストーリーを描くためとは言え、戦闘シーンの間に過去を回想する場面が多すぎて緊迫感が薄れてしまっている感じがあった。
17. 『サマータイムレンダ』(マンガ)
あらすじ:2018年7月22日。網代慎平は幼馴染・小舟潮の訃報を聞き、葬儀に参列するために2年ぶりに生まれ育った故郷・日都ヶ島(ひとがしま)に戻る。 潮は海の事故で亡くなったと聞いていたが、居合わせた親友の話では潮の死には不可解な点があり、他殺の可能性が浮上する。 その背後に見え隠れするのは、日都ヶ島に昔から伝わる「影」の存在。
『「影」を見た者は死ぬ』──。
翌日、突如として姿を消す島民一家。
慎平は一家の失踪の真相を追ううちに「影」の思惑に巻き込まれていく。 多くの犠牲とタイムリープを乗り越え、遂に黒幕シデとの一騎打ちが始まる。 全ての元凶であるシデを打ち倒し、ヒルコの願いを叶えた後、ウシオは感謝しながら消えていった。 全てが再構築され、そして迎えた7月25日、前の世界の記憶を保持した潮は慎平に向けて言った。 「おかえり」──と。
正体不明の「影」の襲撃というスリラー要素を取り入れたサスペンス漫画。精巧な展開や伏線が魅力的な作品。緊張感を最後まで維持することが重要なジャンルであるが、一つの問題を解決してもまた新たな問題があらわれるという構成で、最後まで次はどうなるのかを期待しながら緊張感を持って読むことができる。アニメーション化もされている作品であるため、個人の趣向に合わせて楽しむこともできるだろう。
18. 『リコリス・リコイル』(アニメ)
あらすじ:平穏な日々――その裏には秘密がある。
犯罪を未然に防ぐ秘密組織――「DA(Direct Attack)」。
そのエージェントである少女たち――「リコリス」。
当たり前の日常も、彼女たちのおかげ。
歴代最強のリコリスと称されるエリート・錦木千束、
優秀だけどワケありリコリス・井ノ上たきなが働く喫茶「リコリコ」もその支部のひとつ。
ここが受けるオーダーは、コーヒーやスイーツの注文から、こどものお世話、買い物代行、外国人向けの日本語講師etc、「リコリス」らしからぬものばかり。
自由気ままな楽天家、
平和主義の千束とクールで効率主義のたきな、
二人の凸凹コンビのハチャメチャな毎日がはじまる!
2022年最高話題作の一つであるリコリス ・リコイル。優れた作画と魅力的なキャラクターをセールスポイントにして興行的には成功した作品であるが、それ以上に不足している部分も多かった。現実の日本を舞台にしながらも、非現実的な演出や設定が多いため、そのギャップからの違和感が作品への没入を阻害する要因として働いているのではないかと思われる。銃器を使用した現実的な戦闘場面を期待する人には向いていないかも知れない。
19. 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』(ドラマ)
あらすじ:『ゲーム・オブ・スローンズ』の時代の約200年前、ターガリエン王朝の第四代のジェヘアリーズ王は世継ぎを大評議会に委ね、男子優先原則により年長のレイニス王女を差し置いてヴィセーリス王子が選ばれる。王位についたヴィセーリスは、男子優先原則を無視して不仲の弟デイモン王子ではなく娘のレイニラ王女を世継ぎに選ぶ。国を統一して北からの脅威と戦う予言「氷と炎の歌」をレイニラに伝える。だが周囲は男性の王を求め、王は〈王の手〉オットー・ハイタワーの娘でレイニラの親友のアリセントを後室とする。アリセント王妃には男子エイゴンが生まれ、周囲は王位争いを予期するようになる。オットーは孫エイゴンの次王後継をあからさまに謀って〈王の手〉から解任される。王はレイニラの立場を強めるため、有力者コアリーズ・ヴェラリオンとレイニス王女の子、レーナ―と結婚させる。レイニラを愛する〈王の盾〉の騎士クリストン・コールは絶望する。アリセント王妃は、いずれ王位争いで我が子の生命を脅かすであろうレイニラとの戦いに備える...
『氷と炎の歌』は原作小説を読んだことはあったが、ドラマ版である『ゲーム・オブ・スローンズ』は観たことがなかった。しかし、外伝である『炎と血』は原作小説よりドラマ版を先に観ることになった。本編である「氷と炎の歌』では既に殆ど絶滅に近い状態であったため、謎だらけの存在であったドラゴンがまだ健在だった頃の話であるため、多数のドラゴンを映像で見ることができるという点で本編とは異なる魅力を持っている。また、本編と共有する特徴として「群像劇」の魅力を挙げられる。数々の人物たちがそれぞれの目的を持って行動するため、一人の主人公だけでなく、様々な人物の観点から物語を楽しむことができる。
20. 『虐殺器官』(アニメーション映画)
あらすじ:テロの危険にさらされ続けているアメリカは、その恐怖に対抗すべく徹底した情報管理システムを構築している一方、アメリカ以外の世界各地では激しい紛争が続いている。世界の紛争地域を駆け巡る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉のもとに、謎に包まれたアメリカ人ジョン・ポールの追跡ミッションが与えられる。紛争の予兆とともに現れ、その紛争が撃破すると、突如姿を消す謎の人物。かつて有能な言語学者だった彼がその地域で何をしていたのか、米国政府の追跡を避けて彼が企て立てていたことは何か。
「テロ」と「言語学」という、一見接点を持たないように見える二つのキーワードを中心にした作品。言語の力を使って人の脳を操作し、人の行動を操ることができるという斬新な設定が印象的であった。人間の持つ暴力性やテロなど、重いテーマを扱っている作品であり、原画学者だったがジョン • ポールの秘密を調べていく過程が興味深かった。しかし、本作品にはグロテスクな表現や描写が多く、人が残酷に殺されていく姿がかなり露骨に描かれるため、苦手な人は鑑賞に注意した方が良いと思われる。
21. 『サイバーパンク エッジランナーズ』 (アニメ)
あらすじ:日系企業アラサカなどの巨大企業に支配されたディストピア都市ナイト・シティ。そこに暮らす少年デイビッドは、富裕層向けの学校で浮いた存在だった。「あんたにはエリートになって、アラサカタワーの最上階に勤めるくらいになってほしい」と母グロリアは彼を学校に入れたが、高額の学費を払うには庶民が女手一つで懸命に働いても稼ぎが足りず、アパートの家賃は滞納が続いていた。
ある日、デイビッドと彼の母が二人で車に乗っていたところ、ギャングの争いに巻き込まれて車が横転。医療部隊が駆けつけ救われると思いきや、高額な契約金を払っている金持ちだけを運搬し去っていった。車から投げ出されたまま長時間放置されたグロリアは死亡し、医者は以前からの過労働で衰弱していたせいもあると指摘した。
デイビッドは母の遺品からサイバーウェア「サンデヴィスタン」の軍用品を発見した。救急救命士の母は、死者から剥ぎ取った物を売り捌くという違法行為によって学費を捻出していたのだ。その軍用サンデヴィスタンは、強力な戦闘能力を得られるが副作用で装着者を発狂させサイバーサイコにしてしまったという曰く付きだ。デイビッドは危険を承知でサンデヴィスタンを装着し、様々な仕事を請け負うエッジランナー(傭兵)として成り上がる道を歩む。偶然の出会いからデイビッドに傭兵稼業を教えるようになった少女ルーシーは、いつか足を洗って遠くへ行きたいと望み、テラフォーミングされ富裕層のみが移り住んでいる月面都市に行きたいと夢見ていた。彼女に惹かれるデイビッドは「俺が君を月に連れて行くよ」と約束する。
原作となっているゲームをやったことはないが、この作品を観てゲームの方にも興味を持つようになるくらい、良くできている作品だったと思う。アメリカン・コミック的な演出や色感が使われているということも個性的であった。魅力的なキャラクターと膨大な裏設定を持つ背景を作品の中で巧みに描き出していると感じた。ゲームのストーリーとアニメーションのストーリーは殆ど関係のない内容であると聞いたことがあるが、オリジナルのストーリーでこれ程良質の作品が作られということに感心した。
22. メシア(ドラマ)
あらすじ:中東に突如現れたカリスマ的人物アル・マスィーフが、民衆を駆り立て政情不安を引き起こした。その信奉者は彼をイエス・キリストの再来だと信じている。その存在を危惧したCIAの捜査官エヴァ・ゲラーは正体を探り始めるが、事態は国際的な騒動へ発展していく。
イエス • キリストの再来という宗教的な問題を正面から描いている、ある意味では問題作。アル・マスィーフの正体をめぐって様々な人物たち意見が交差する。彼を「本物」だと信じる人と信じない人。本作品は実際に奇跡を行うことができる(ように見える)存在がこの世に現れた場合、社会にどのような影響を及ぼし、混乱をもたらすのかという疑問を現実的に描写している。スリラーとしても、アル・マスィーフの招待を徹底的に「曖昧」に描くことで緊張感を最後まで維持している。多少敏感なテーマを扱っているため作品であるため、宗教的に問題になる恐れがあったにも関わらず、パレスチナとイスラエルの葛藤など、タブーになっている部分についても触れているのが特徴である。
23. 『小林さんちのメイドラゴン』(アニメ)
あらすじ:朧塚という街に住むOLの小林さんは、酔った勢いから異世界のドラゴン・トールを助けた。トールは多大な恩を感じ、そして理由があって故郷に戻れないこともあり、人間のメイドに姿を変えて、小林さんの自宅に住み込んでお世話を始める。そして、小林さんのもとには、トールをはじめとしたさまざまなドラゴンが集まるようになっていくのだった。
「メイドラゴン」という言葉遊びを使ったタイトルが印象的な作品。京都アニメーション特有の秀麗な作画と個性的なキャラクターたちの組み合わせが良かった。基本的には一話完結の作品であるため、大したストーリーがあるわけではないが、人間とドラゴンという異なる種族間の葛藤や摩擦、共存の問題を日常の中で描いているため、作品の雰囲気が軽くなりすぎないようにし、適当な重みを持たせているのも特徴である。
24. 『小林さんちのメイドラゴンS』(アニメ)
あらすじ:自称究極メイドのトールは、今度オープンする新しいメイド喫茶にライバル心を燃やして殴り込みに行くが、なぜかトールは働くことに。
そんな変わらない日常を過ごしていると、トールのもとに混沌勢の最過激派のドラゴン・イルルが襲ってくる。街を守りながら戦うトールは全力が出せずに苦戦していたが、小林さんが機転を利かせてエルマと取引し、甘いものと引き換えに街に障壁を張らせたおかげで、トールは全力を出してイルルの撃退に成功するのだが...
基本的な展開は1期とそれ程の違いはなかったが、新たなキャラクターとして追加された「イルル」など、既存のキャラクターたちに加え、新しく加わったキャラクターも個性的で魅力的であるため、作品をより豊かにしている。
25. 『トップガン マーヴェリック』(映画)
あらすじ:アメリカのエリート・パイロットチーム“トップガン”。
かつてない世界の危機を回避する、絶対不可能な【極秘ミッション】に直面していた。ミッション達成のため、チームに加わったのは、トップガン史上最高のパイロットでありながら、常識破りな性格で組織から追いやられた“マーヴェリック”(トム・クルーズ)だった。なぜ彼は、新世代トップガンとともにこのミッションに命を懸けるのか?タイムリミットは、すぐそこに迫っていた——。
「映画を映画館で観る理由」を教えてくれる作品。映画館の大画面と音響が組み合って作品の面白さをお何倍も増加させる。戦闘機で繰り広げられる空中戦もスペクタクルで、観る人を圧倒させる。現実的な兵器描写や戦闘場面の構成にも気を使っており、リアリティーのある空中戦を具現している。ストーリーは単純であり独創的とは言えないが、その代わりに洗練された描写や繊細な演出で魅力的な物語を作っている。全体的に前作である『トップガン』の長所を見事に引き継ぎながら、それをさらに発展させる一方で、前作の短所も充分に補足した続編であり、前作を観た人なら尚更楽しめる作品である。
26. 『機動戦士ガンダム NT』(アニメーション映画)
あらすじ:U.C.0097――。
『ラプラスの箱』が開かれて一年。
ニュータイプの存在とその権利に言及した『宇宙世紀憲章』の存在が明かされても、世界の枠組みが大きく変化することはなかった。
のちに『ラプラス事変』と呼ばれる争乱は、ネオ・ジオン残党軍『袖付き』の瓦解で終結したかに見えた。
その最後の戦闘で、2機のフル・サイコフレーム仕様のモビルスーツが、人知を超えた力を示す。 白き一角獣と黒き獅子、2機の脅威は、封印されることで人々の意識から遠ざけられ、忘れ去られるはずだった……。
しかし、2年前に消息不明となっていたRX-0 ユニコーンガンダム3号機が、地球圏に再びその姿を見せ始めた。
金色の“不死鳥”……その名は、フェネクス――。
『機動戦士ガンダム UC』の後続編。UC本編には登場しなかったユニコーンガンダムの3号機、フェネクスの話を扱っている。時代の変化の中で成功も興幸福も諦めなければならない現実を3人の中心人物を通じて描いている。また、「ニュータイプ」というガンダムシリーズの重要な概念を新しく定義している点も特徴的である。しかし、本作は前作であるUCに比べて作画が不安定なところがあるため、違和感があった。
27. 『グッドフェローズ』(映画)
あらすじ:ヘンリー・ヒルはアイルランド系の父とシチリア系の母を持ち、物心がついた子供が野球選手や消防士に憧れるように、マフィアの一員になる事を夢見ていた。彼は11歳でニューヨーク・ブルックリンのタクシー配車センターでマフィアの使い走りとなり、やがて闇煙草の密売や、偽造クレジットカードの使用などを皮切りに、トラックの荷物強奪や違法賭博・ノミ行為・八百長試合の設定といった犯罪に手を広げていく。彼の一味はポール・ヴァリオ(劇中ではポール・シセロ)を長とし、トラック強奪を得意としたジミー・バーク(同じくジミー・コンウェイ)や武装強盗と殺人に秀でたトミー・デシモネ(同じくトミー・デヴィート)が同僚であった。
ジミー・バークを首謀者とした彼ら3人は共謀し、1968年に近傍のクイーンズ区・ジョン・F・ケネディ国際空港でエア・フランス現金強奪事件を成功させ、42万ドルを手に入れる。一味は1978年に同じくケネディ国際空港でルフトハンザ航空現金強奪事件を起こし、600万ドルと桁違いの成功を収めた。しかしこれが終わりの始まりとなった。
ギャング映画の象徴的な作品の一つ。義理も、友情もない残酷で卑劣なギャングの世界を赤裸々に描いている。組織の一員として出世するために手段を選ばない3人が結局それぞれ破滅へと向かっていく過程を描いているという点で、犯罪 • ギャング映画のもう一つの代表作、『ゴットファーザー』とは対照的である。
28. 『ザ・フラッシュ』(映画)
あらすじ:フラッシュことバリー・アレンは母親のノラの死を防ぎ、彼女を救うために時間を遡る。しかし、"過去"を変えたことで"現在"滅亡の危機を招いてしまう。そんな彼のもとに、元の世界とは全く別人の異世界の"バットマン"、スーパーマンならぬ"スーパーガール"らも、時空を超えて集結するが・・・。人類滅亡の歴史を変える超速タイムループ・アドベンチャー!
DCEUの自信作。タイムループや過去を変えることのリスクは様々な作品で扱われてきたテーマであり、本作もそれらの作品をほぼ踏襲している。ストーリーの斬新さには欠けているが、バットマンやスーパーガール、フラッシュのそれぞれの個性や戦闘スタイルを活かした戦闘シーンと、主人公フラッシュことバリー・アレンを演じたエズラ・ミラーの一人二役など、俳優たちの演技は抜群だった。
29. 『時をかける少女』(1983年映画)
あらすじ:筒井康隆の名作SF小説を、「転校生」の大林宣彦監督が映画化した青春ファンタジー。高校生の芳山和子は、学校の実験室で白い煙とともに立ちのぼったラベンダーの香りをかいだ瞬間、意識を失い倒れてしまう。それ以来、時間を移動してしまうような不思議な現象に悩まされるようになった和子は、同級生の深町一夫に相談するが……。
細田守監督のアニメーション映画で「時をかける少女」という作品に始めて接したが、この映画はそれとはかなり違った雰囲気の作品であった。作品の舞台も現代的な風景ではなく、ノスタルジーを感じさせる伝統的な町並みの風景が使われている。また、時間の移動をモノクロとカラーで対比している点や、ホラー映画的な演出が所々に使われていることも印象的だった。
30. 『葬送のフリーレン』(マンガ)
あらすじ:魔王を倒し王都へ凱旋した勇者ヒンメル一行。各々が冒険した10年を振り返りながらこれからの人生に想いを馳せる中、エルフのフリーレンは感慨にふけることもなく、また魔法探求へと旅立っていく。50年後、皆との約束のためフリーレンは再び王都へ。その再会をきっかけに、彼女は新たな旅へと向かうことになる。
「勇者一行の冒険が終わった後」の後日談を語る形式の作品は以前にも幾つかあった気がするが、本作品の特徴は、その穏やかな雰囲気である。勇者が登場するファンタジー作品の中では例外的に、勇者全員が善人であり、貴族や領主など、いわゆる「お偉い方」も有能な人物として描写される。刺激的な展開や事件が殆どない点で、個性的な作品ではあるが、そのため、気楽に読むことができる作品になっていると思われる。
3年 佐藤至桜
RES
① 『100万回生きたきみ』
著者:七月隆文
100万回生きたという少女と幼なじみの少年の恋愛小説のような入りとは裏腹に、本当に100万回生きた英雄である少年の人生が物語の大半を占める恋愛ファンタジー小説です。初めての人生で出会った、愛する人を探し続ける100万回の人生と、同じ人物として転生を繰り返し続ける今の人生を今回の人生で初めて出会ったもう1人の幼なじみに語ることで物語が進んでいきます。英雄に取り憑き、一緒に100万回の人生を旅した呪いのほのかな英雄に対する親愛や友愛、恋愛という感情によって、感情や魂全てを失ったヒロインが救われる結末は、再生と消滅を繰り返す物語の結末にふさわしいものであるといえます。
② 『世界でいちばん透きとおった物語』
著者:杉井光
亡くなった一度も会ったことのない事実上の父親である人気作家が亡くなり、その遺作探しに協力した主人公が遺作の真実に迫る物語です。キャッチコピーに「衝撃のラストにあなたの世界は透きとおる」と記されており、読者は、どれだけ感動的で、美しい物語の結末が紡がれているのだろうと期待に胸を膨らませます。ところが、描かれる物語自体は大きな事件もなければ、亡くなった両親との心の繋がりもできない、言ってしまえば普通の物語です。しかし、ラストの主人公への提案に「透きとおる」の意味が、物語の内容ではなく、小説そのものであったことに気づかされます。また、作中で探される同題の『世界で一番透きとおった物語』は未完成の作品であり、作中の主人公以外がその後読むのであろうこの形式の作品を読んでいるという、この作品と現実世界が交差したような感覚を与えられます。
③ 『この光と闇』
著者:服部まゆみ
目の見えない「姫」とされる主人公が狭い世界で成長していき、ある日突然自分と、育ってきた世界の真実を目の当たりにする物語です。前半部分は「姫」として育った盲目の主人公が感じる、聴覚、触覚、味覚、嗅覚で構成された光のない世界が、後半部では、「姫だったはずの少年」、「姫として育てられた過去を持つ現代の少年」からその世界の真相がゆっくりと主人公が受け入れる過程を通して語られます。完全な一人称視点の作品であり、初めは主人公が幼いため、違和感を持ったとして子どものたわごと程度に流れてしまいますが、主人公の成長と共に情報が増え、現代社会を生きる読者には違和感がどんどんと増えていく構成となっています。後半部から視覚の情報が増え、目隠しを取ったかのように情景描写が増えるのもこの作品の魅力でしょう。
④ 『きよしこ』
著者:重松清
作者に送られて来た手紙の送り主の息子に宛てて書いたとても「個人的な小説」であり、吃音に悩む少年が多くの人々と触れ合い、成長していく物語です。いくつかの短篇で構成されており、それぞれが転校先の学校や夏期の矯正セミナーなどで場所、年齢、周囲の人物が異なる一方でなくならない吃音とどう接しているのかが変化し、その吃音との異なる関わり方を見ることができます。周囲が変わることにより、吃音との関わり、考え方も変わりますが、家族という変わらない存在が描かれていることによって、変化と不変の対比が物語を動かしています。
⑤ 『アリシアの日記』
著者:トマス・ハーディ 訳:村上春樹
アリシアという少女が書いた日記によって話が進んでいく物語であり、妹の婚約をめぐって起きた事件が描かれていきます。この、日記で話が進むという特徴により、他の登場人物達の心情がアリシアの主観で語られるため、物語の中心人物であり、終盤に大きな事件を起こす妹の婚約者の考えを読者が考察する余地が多いにあります。また、日記という特性上、アリシア本人の誰にも話せない事情や感情がありありと表現されている所に魅力を感じました。
⑥ 『愛し合う二人に代わって』
著者:マイリー・メロイ 訳:村上春樹
戦争真っ只中のアメリカで代理結婚を依頼された2人の成長と恋愛模様を描いた作品です。かなり内向的であまり上昇志向のない主人公と、都会で夢が挫折し、田舎に戻ってきた思い人であるブライディーとの再会ではその言動から、ブライディーの精神的成長が示唆されていました。また、2人とも別の恋人が途中できることにより、ものの見方が増え、自分の気持ちが見えるようになるという共通点がラストに影響しているようにみえます。
⑦ 『恋するザムザ』
著者:村上春樹
自分は「ザムザ」という人物であると自称する主人公が恋愛感情を知るまでの作品であるが、恋愛要素よりもザムザという主人公は何者であるのかという疑問が読者の心を占めます。主人公は服やマナーといった一般常識が欠如しており、しかも寝ていた自宅だと思われる場所の記憶が曖昧で、目覚める前は人間ではなく、ザムザという人物の身体と一部の記憶を引き継いだという印象を受けました。そのため、初めて女性と接したときの主人公の言動が性に対してかなり直接的で、女性視点で鑑賞するには嫌悪感を抱きやすい作品です。
⑧ 『犬王』
原作:古川日出男(『平家物語 犬王の巻』) 監督:湯浅政明 脚本:野木亜紀子
舞の天才である犬王と盲目の琵琶法師である友魚が新たなエンターテイメントで平家の亡霊達を導き、ついには天皇の御前で披露するほどの人気を博すバディものの物語です。後半部は基本的に音楽が占めており、室町時代とは思えないロック調の音楽とバレエやヒップホップなど多種類のダンスの融合が魅力の一つとなっています。また、平家の呪いや呪いの仮面、亡霊達といったようにホラー的要素や処刑や呪い殺されたときの描写のグロ要素なども多く、比較的高い年齢層に向けた作品と言えるでしょう。
⑨ 『秒速5センチメートル』
監督、原作、脚本:新海誠
転校によって離ればなれになってしまった主人公と少女が再会し、再び離れて大人になっていく過程を描いたアニメーション映画です。この作品は少女の時間を手紙で、主人公の時間を画面で流れさせている「桜花抄」、主人公が鹿児島に行ってからの生活を主人公に思いを寄せている少女の視点から描いた「コスモナウト」、東京に戻ってからの主人公の生活と最初の女性との人生の交わりを描いた「秒速5センチメートル」の3話で構成されています。ロケットや電車といった無機物が二人の関係の境界線となっており、視覚的にも二人の人生が交差し続けることがないことが分かります。
⑩ 『言の葉の庭』
監督、原作、脚本:新海誠
男子高校生と訳ありである社会人女性の逃避のような雨の日だけの交流によって歩き出す力を手に入れた二人が自分の未来に向かって進んでいくような物語です。全体的に独白と雨が多いため、二人だけの静かで個人的な物語のような印象を与えられます。また、風景や足元、一般大衆といった特定の人物以外の描写とピアノの音楽で時間の流れが表現されており、世間にとっては何もない、普通の日常の中で二人が関わり、二人の関係や心情だけが変化していくような表現がなされています。
⑪ 『雲のむこう、約束の場所』
監督、原作、脚本:新海誠
津軽海峡を挟んで分断された日本で飛行機を作り、謎の塔まで飛ぼうとしていた少年達が成長し、仲の良かった世界の謎を背負う少女を助け出す物語のアニメーション映画です。政治的な分断や敵対、戦争が話の中心となっていますが、アニメーションの冒頭は完全な今の日本と変わらないような日常を描いており、戦争などが身近にある暗い世界の中での日常を描いているように思えました。また、少女の夢の世界で鳴る雷や晴れるタイミングなど、天気の子に通じるものが感じられました。
⑫ 『ホリミヤ』
原作:HERO 作画:萩原ダイスケ
人気のwebコミック「堀さんと宮村くん」が作画を変えてコミック化された作品で、堀さんと宮村くんとの出会いから高校卒業までの高校生活を描いた日常物語です。物語が進むにつれて二人がメインだった物語に登場人物が増えていき、高校生の世界の広がり方を見られることが魅力の一つとなっています。また、元々は友達といえる人が一人しかいなく、学校では一人で過ごしていた宮村くんが猪突猛進的で意志の強い堀さんと出会ったことにより友人が増え、自分が嫌いだった過去を受け入れ、いじめっ子とも心の内を伝えられるようになるというような成長も見所です。
⑬ 『天久鷹央の推理カルテ』
著者:知念実希人
普通の医者がさじを投げるような奇妙な病状を天才診断士である鷹央が診断していく様を、助手として奔走する主人公の視点で見ていく小説で、シャーロックホームズが現代日本で医師として存在したらどうなるかという着想から描かれる天久鷹央シリーズのひとつです。鷹央の驚異的な記憶力と洞察力によって一目で診断を下す、爽快感が見所の一つです。また、診断を下された患者が窃盗事件の犯人かつ、別の患者の事件と繋がっていたり、小話として挟まれた親子が後の物語のメインになったりと、各ストーリーが繋がっている部分も見所となっています。
⑭ 『お前みたいなヒロインがいてたまるか!』
著者:白猫
少し前に流行った「乙女ゲームの悪役令嬢転生モノ」ですが、ファンタジー世界ではなく、現実と似ている世界への転生モノで、闇が深いゲームに転生した主人公が性格の悪い転生者であるヒロインから母やいとこを守るために奮闘するライトノベルです。物語のはじめに前世の記憶を持つヒロインと接触することによって主人公が記憶を取り戻すことで王道の悪役令嬢ものの断罪回避的なストーリーではなく、ヒロインから大切な身内を守るというストーリーとなっている点が魅力です。また、日本のお嬢様・お坊ちゃま学校での生活が描かれ、庶民の記憶がある主人公がツッコミを入れる点も見所の一つとなっています。
⑮ 『ノーゲーム・ノーライフ12 ゲーマー兄弟たちは『魔王』に挑むようです』
著者:榎宮祐
アニメ化、映画化もされた人気ライトノベルの12巻で、世界が二分され、全面衝突を迎えそうな中、主人公の二人の前に「魔王」が現れ、攻略不可能とされる「魔王の塔」で戦っていく物語です。それまでの活躍により人間の国を再興したものの、この世界に来て初めての負けにより世界が分断されてしまったという壮大な世界観と、本人達はイカサマまがいの手を打ち、引きこもりの対人恐怖症という小ささの対比が作品の魅力の一つです。この巻では「魔王の塔」攻略の前半部が描かれており、「魔王」とは何故生まれたのかという原点から、魔王を殺さずに攻略することの不可能さが提示され、時間の伏線を散りばめたかたちになっています。
⑯ 『十三夜』
著者:樋口一葉
一目惚れされて結婚した夫の自分に対する仕打ちに耐えられず、主人公が両親を訪れ離縁の打診をする話から、当時の古いものと新しいものが混沌としていた世相や恋愛感情を描いた作品です。前半部では上流階級であり、新しい西洋の考え方を学び、好きな人と愛し合った結婚を望む夫と、昔から続く女は慎ましく、夫を立て、家のための結婚を良しとする主人公のすれ違いを読むことができますが、後半では古い考えを持つ主人公と、結婚前に「この人と結婚するだろう」と思っていた人、つまり好きだった人との再会が描かれます。前半部と後半部の主人公から男性への感情が対比的であることによって古い価値観の中では意識されないながらも存在した恋愛感情を見ることができる点がこの作品の魅力の一つでしょう。
⑰ 『たけくらべ』
著者:樋口一葉
花魁になる予定のお転婆な少女と寺の息子であり、僧侶らしい清貧を尊ぶ幼なじみの恋愛模様を描いた作品です。2人の恋愛模様を描いた作品としては珍しく、2人が直接対話する場面は一つしかなく、基本的にすれ違い続け、そのまま結末までいきますよって、この作品では2人の恋愛模様を主軸としつつ、別の、少女の成長という副題が存在します。お転婆であり、男子ともよく遊んでいた男勝りの少女は、ある日を境に男性に対して恥じらいをみせるお淑やかな女性らしい女性へと成長する様はこの作品の見所といえます。
⑱ 『超短篇!大どんでん返し』
著者:青崎有吾、青柳碧人、乾 くるみ、井上真偽、上田早夕里、大山誠一郎、乙一、恩田 陸、伽古屋圭市、門井慶喜、北村 薫、呉 勝浩、下村敦史、翔田 寛、白井智之、曽根圭介、蘇部健一、日明 恩、田丸雅智、辻 真先、長岡弘樹、夏川草介、西澤保彦、似鳥 鶏、法月綸太郎、葉真中 顕、東川篤哉、深緑野分、柳 広司、米澤穂信
2000字という超短篇小説集で、数ページでどんでん返しが行われるスピード感のある作品です。2000字という限られた範囲でどんでん返しをしようとなると、大きく三つの方法に別けられます。まず、わざと重要な描写を省く方法。この方法の場合、最期の一文で自分の中の常識から思い込んでいた事実を否定されます。次に、登場人物たちでさえその事実しらず、後日談や過去のどこかの話としてひっくり返す方法。この二つの場合、読者のみが衝撃を受けます。最期に、登場人物と一緒に事実に気づいたり、目撃したりする方法。基本的にこのような構成を取っていることが多く、特に一つ目の方法を使った作品は、連続して読んでいる内に内容を予測できてしまうが短篇として作りやすいという一長一短な方法と言えます。
⑲ 『天冥の標Ⅱ』
著者:小川一水
世界中に死亡率の高いウイルスが蔓延したらという設定のSF作品でありながら、愛や人との繋がりを描いた作品です。人とのふれあいを愛であり、精神の穢れを浄化する温かいものとしつつ、冥王斑感染者への物理的隔離や地域からの拒絶を通して、その難しさを強調していますが、その中でも人と繋がる方法を模索し、実現できるという希望も示しており、非常事態が起こったときの人間模様や人の動きが中心に語られています。
⑳ 『黒執事』、
著者:枢やな
アニメ化、映画化、舞台化もされた人気漫画で、両親と使用人、愛犬、双子の兄を殺された主人公が悪魔と契約し、復讐を誓った物語ですが、現在は生きた死体となった兄と自分の居場所を賭けた勝負をしています。伏線回収の鮮やかさと美しい絵柄、ダークな世界観が魅力の作品です。特に最新刊では死への恐怖といった普通の人間ならば持っているはずの感情を持った軍人と、そのような感情を失ってしまった、または生まれつき持っていない者との対比や生きている人間と亡くなった人間の対比など、生死が話の中心となっており、その薄ら寒さが見所の一つとなっています。
21 『化石少女』
著者:麻耶雄嵩
この作品の主人公達は、よくある推理小説のように天才的な推理を披露する探偵役と、現場を駆け回り情報を集め、探偵役をサポートする助手役に一見見えますが、私怨から始め、こじつけで完成する推理をする探偵役であるヒロインと、ヒロインのために情報を集めてサポートするも、その推理の矛盾点、納得できない点を並べて披露された推理をことごとく論破する主人公という全く新しい推理ものの小説です。しかし、事件を追うごとに主人公の論破のキレが悪くなり、最後には主人公が起こした殺人の真相の一歩手前まで差し迫った推理が披露され、それによって主人公はヒロインの側に今後い続ける言い訳を獲得します。つまり、六つの事件は謎解きを楽しませるためのものでありつつも、2人の関係性を維持するための装置の役割も果たしているのです。
22 『あの日、君は何をした』
著者:まさきとしか
完璧な家族であるはずの家の息子が連続殺人事件の犯人に間違えられ死亡した事件とその一五年後女性の殺害事件の重要参考人である百井が行方不明となった事件という二つの事件の繋がりを見つけ出すミステリー小説で、事件によって亡くなったり行方不明になったりした人の母親の必死さや愛が中心に描かれた作品です。主人公らしい主人公を置かず、各登場人物の視点から物語を読者に語ることにより、それぞれ違った母と子の関係が描かれます。全体を通して母の子への愛は自己中心的で恐ろしいもののように、母は、子の心の中の絶対的な存在として表されており、狂信的な母子の愛を思わせます。また、どの母子関係にも誰かの死が関わっていて、残された者は必ずと言って良いほど死人の「死ななければならなかった理由」を探し続けますが、その理由を知ることが残された人にとっての最善であるか、死人の望んでいたことであるかは誰にも分からないという副題がありました。
23 『キャラクター』
監督:永井聡 原案:長崎尚志 脚本:長崎尚志、川原杏奈、永井聡
人物が描けずオリジナル作家になることのできない漫画家が猟奇殺人鬼と出会い、漫画家として成功するが、自分の漫画と同じ殺人を犯す殺人鬼との対決を描いたダークエンターテインメント映画です。最後のシーンの「僕は誰なのか」という質問は狂気の殺人犯自体の、幼少期に植え付けられた思想を否定された自分や、戸籍のない自分に対する問いと思われますが、殺人犯の狂気に当てられなかったら売れっ子の漫画家になんてなれなかった主人公への自分からの問いも含まれているように思われました。また、作中作品の宣伝にあった、「僕を止められるのは誰だ」というキャッチフレーズは、本当の事件を描き、その後の展開で凄惨な事件を起こしてしまったのにその作品を描き続けてしまう自分を誰かに止めて欲しいという意味に感じ取れましたが、エンディング直前でイラストを描いていたため、その「殺人犯と繋がっている自分」を止めて欲しいという意味であったと考えられます。
24 『イニシエーション・ラブ』
著者:乾くるみ
side-Aでは奥手で恋愛経験のない大学生である鈴木が初めて恋をした女性であるマユとの交際を通した変化を描き、side-Bでは就職の影響で東京に行くことになった鈴木が同僚の女性とマユの間で揺れ動く様を描いたミステリー小説も言われる作品です。前半、後半で出てくる「たっちゃん」という人物が同じ「鈴木」という名字の別人であるという設定のため、視点の人物を基本的に鈴木やたっちゃんと呼ばれさせて同一人物のように見せかける都合上、最期に名前が出てきた際に前半の視点の人物の名前を忘れてしまい、「最期から2行目であなたは騙される」というキャッチフレーズがなければ違和感のみで終わってしまう可能性があり、読み慣れていないと腑に落ちない作品となってしまうと思われました。
25 『カゲロウデイズ』
原作:じん 漫画:佐藤まひろ
太古から生きるメデューサの蛇の力により一定の期間を延々と繰り返し続ける世界で繰り返しに気づき、世界の繰り返しを止めるために奔走する作品です。ループものであるため数々のループ世界ではキャラクター通しの関係性や出会う時期、死因や死期までもが少しずつ異なり、それが魅力の一つとなっています。アニメ版が完結のハッピーエンドであるのに対し、漫画版ではアニメ版のループが始まるきっかけや世界の初めが描かれており、漫画版、アニメ版、小説版で同じキャラクター達、設定でありながらも別の世界を見ることができます。
26 『水曜日が消えた』
監督:吉野耕平 脚本:吉野耕平 制作:沢桂一、新井重人
七重人格であり、曜日によって人格を分けている火曜日の人格が主人公の作品で、ある朝から水曜日までも自分の人格が続くこととなり、その後に起こる多くの違和感から暗躍している誰かを探すミステリー映画です。初めと最後に説明、まとめのために7人格が出てきますが、基本的に火曜日の人格の視点で物語が進んでいきます。自分の日常が一般の日常に近づくことに喜びを覚えつつ、最終的には元の自分の日常を取り戻し、他の6人の自分を大切にする選択をするラストは自己利益と他者の利益を天秤に掛ける難しさと一人の存在の定義を再確認することができます。
27 『チャーリーとチョコレート工場』
監督:ティム・バートン 音楽:ダニー・エルフマン 原作:ロアルド・ダール
極貧生活を送る主人公が幸運の末世界的なチョコレート工場の見学に行き、人の幸せを確かめていく物語です。作中で主人公と共に見学する子ども達は食欲に溺れるものや拝金主義者、何を犠牲にしても名誉を求めるもの、過剰な自信で他を見下すものなど、人間の醜い部分が強調されたキャラクターとなっており、部屋を移動するたびにそれらによって脱落していく様により、清貧であり、他者を労る心を持った主人公の優しさが際立っています。また、同じ人間が大勢働いていたり、摘まめるほど小さくなったり、全身が真紫になったりなど、視覚的な衝撃が多いのもこの作品の特徴です。
28 『マーチ博士の四人の息子』
著者:ブリジット・オベール 訳:堀茂樹、藤本優子
とある屋敷でメイドとして働く主人公の日記と、屋敷の息子達のうちの誰かである狂気的殺人犯の日記が交互に物語を進める形式で、ある日殺人鬼の日記を見つけてしまった主人公が殺人犯を特定しようと日記などを用いて奔走する作品です。殺人犯の日記に書かれた出来事と子息達の行動を当てはめて探しますが、4兄弟でなく、もう1人の兄弟がいると知らない使用人である主人公と読者は4人全員が怪しく見える展開となります。兄弟一人一人が次々に怪しく見えてくる場面展開が魅力の一つと言えるでしょう。
29 『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論』
著者:松岡圭祐
ライトノベル作家である主人公が一度対談した新進気鋭の作家である岩崎の盗作事件を追った作品を書くこととなり、事件を調べていく文学ミステリー小説です。各人物の描写が細かく、人柄を描くような文章が魅力で、事件を追うに連れて主人公が記者として、小説家として成長していく様子がはっきりと伝わってきます。また、元々はただ岩崎の身の回りの人物像や人柄、思想を書くはずだった主人公が最終的には殺人事件の犯人にたどり着き、岩崎の盗作に関する真実に迫っていくという物語の広がりも見所の一つだと思いました。
30 『神のロジック 次は誰の番ですか?』
著者:西澤保彦
主人公を含めた国籍もバラバラな子ども達に特殊な授業を受けさせる<学校>で次々と殺人事件が起き、事件の真相を追っていた主人公が<学校>という場の衝撃の事実を自覚するミステリー小説です。主人公達が10代ではなく、心理学の実験で10代だと思い込まされている記憶障害の老人であったとする伏線は食事への職員の苦言や鏡や自分の手を見た時の反応で示されており、年齢、容姿、認識への解釈が随所に描かれていることが結末を示唆していました。ほぼ全ての殺人を犯した女性が持っていた実験への執着の動機ははっきり示されていませんでしたが、もう1人の女性には過去の娘や孫達との温かな記憶がある一方で、その女性は「両親とパリの凱旋門の近くのアパルトメントに住んでいる」というものしかなかったため、幸せで素晴らしかった子ども時代からやり直したいという意思が強かったためと考えられます。特に、主人公との将来の約束に執着したことから、結婚生活が上手くいかなかったことが記憶に障害がある原因と思われました。
著者:七月隆文
100万回生きたという少女と幼なじみの少年の恋愛小説のような入りとは裏腹に、本当に100万回生きた英雄である少年の人生が物語の大半を占める恋愛ファンタジー小説です。初めての人生で出会った、愛する人を探し続ける100万回の人生と、同じ人物として転生を繰り返し続ける今の人生を今回の人生で初めて出会ったもう1人の幼なじみに語ることで物語が進んでいきます。英雄に取り憑き、一緒に100万回の人生を旅した呪いのほのかな英雄に対する親愛や友愛、恋愛という感情によって、感情や魂全てを失ったヒロインが救われる結末は、再生と消滅を繰り返す物語の結末にふさわしいものであるといえます。
② 『世界でいちばん透きとおった物語』
著者:杉井光
亡くなった一度も会ったことのない事実上の父親である人気作家が亡くなり、その遺作探しに協力した主人公が遺作の真実に迫る物語です。キャッチコピーに「衝撃のラストにあなたの世界は透きとおる」と記されており、読者は、どれだけ感動的で、美しい物語の結末が紡がれているのだろうと期待に胸を膨らませます。ところが、描かれる物語自体は大きな事件もなければ、亡くなった両親との心の繋がりもできない、言ってしまえば普通の物語です。しかし、ラストの主人公への提案に「透きとおる」の意味が、物語の内容ではなく、小説そのものであったことに気づかされます。また、作中で探される同題の『世界で一番透きとおった物語』は未完成の作品であり、作中の主人公以外がその後読むのであろうこの形式の作品を読んでいるという、この作品と現実世界が交差したような感覚を与えられます。
③ 『この光と闇』
著者:服部まゆみ
目の見えない「姫」とされる主人公が狭い世界で成長していき、ある日突然自分と、育ってきた世界の真実を目の当たりにする物語です。前半部分は「姫」として育った盲目の主人公が感じる、聴覚、触覚、味覚、嗅覚で構成された光のない世界が、後半部では、「姫だったはずの少年」、「姫として育てられた過去を持つ現代の少年」からその世界の真相がゆっくりと主人公が受け入れる過程を通して語られます。完全な一人称視点の作品であり、初めは主人公が幼いため、違和感を持ったとして子どものたわごと程度に流れてしまいますが、主人公の成長と共に情報が増え、現代社会を生きる読者には違和感がどんどんと増えていく構成となっています。後半部から視覚の情報が増え、目隠しを取ったかのように情景描写が増えるのもこの作品の魅力でしょう。
④ 『きよしこ』
著者:重松清
作者に送られて来た手紙の送り主の息子に宛てて書いたとても「個人的な小説」であり、吃音に悩む少年が多くの人々と触れ合い、成長していく物語です。いくつかの短篇で構成されており、それぞれが転校先の学校や夏期の矯正セミナーなどで場所、年齢、周囲の人物が異なる一方でなくならない吃音とどう接しているのかが変化し、その吃音との異なる関わり方を見ることができます。周囲が変わることにより、吃音との関わり、考え方も変わりますが、家族という変わらない存在が描かれていることによって、変化と不変の対比が物語を動かしています。
⑤ 『アリシアの日記』
著者:トマス・ハーディ 訳:村上春樹
アリシアという少女が書いた日記によって話が進んでいく物語であり、妹の婚約をめぐって起きた事件が描かれていきます。この、日記で話が進むという特徴により、他の登場人物達の心情がアリシアの主観で語られるため、物語の中心人物であり、終盤に大きな事件を起こす妹の婚約者の考えを読者が考察する余地が多いにあります。また、日記という特性上、アリシア本人の誰にも話せない事情や感情がありありと表現されている所に魅力を感じました。
⑥ 『愛し合う二人に代わって』
著者:マイリー・メロイ 訳:村上春樹
戦争真っ只中のアメリカで代理結婚を依頼された2人の成長と恋愛模様を描いた作品です。かなり内向的であまり上昇志向のない主人公と、都会で夢が挫折し、田舎に戻ってきた思い人であるブライディーとの再会ではその言動から、ブライディーの精神的成長が示唆されていました。また、2人とも別の恋人が途中できることにより、ものの見方が増え、自分の気持ちが見えるようになるという共通点がラストに影響しているようにみえます。
⑦ 『恋するザムザ』
著者:村上春樹
自分は「ザムザ」という人物であると自称する主人公が恋愛感情を知るまでの作品であるが、恋愛要素よりもザムザという主人公は何者であるのかという疑問が読者の心を占めます。主人公は服やマナーといった一般常識が欠如しており、しかも寝ていた自宅だと思われる場所の記憶が曖昧で、目覚める前は人間ではなく、ザムザという人物の身体と一部の記憶を引き継いだという印象を受けました。そのため、初めて女性と接したときの主人公の言動が性に対してかなり直接的で、女性視点で鑑賞するには嫌悪感を抱きやすい作品です。
⑧ 『犬王』
原作:古川日出男(『平家物語 犬王の巻』) 監督:湯浅政明 脚本:野木亜紀子
舞の天才である犬王と盲目の琵琶法師である友魚が新たなエンターテイメントで平家の亡霊達を導き、ついには天皇の御前で披露するほどの人気を博すバディものの物語です。後半部は基本的に音楽が占めており、室町時代とは思えないロック調の音楽とバレエやヒップホップなど多種類のダンスの融合が魅力の一つとなっています。また、平家の呪いや呪いの仮面、亡霊達といったようにホラー的要素や処刑や呪い殺されたときの描写のグロ要素なども多く、比較的高い年齢層に向けた作品と言えるでしょう。
⑨ 『秒速5センチメートル』
監督、原作、脚本:新海誠
転校によって離ればなれになってしまった主人公と少女が再会し、再び離れて大人になっていく過程を描いたアニメーション映画です。この作品は少女の時間を手紙で、主人公の時間を画面で流れさせている「桜花抄」、主人公が鹿児島に行ってからの生活を主人公に思いを寄せている少女の視点から描いた「コスモナウト」、東京に戻ってからの主人公の生活と最初の女性との人生の交わりを描いた「秒速5センチメートル」の3話で構成されています。ロケットや電車といった無機物が二人の関係の境界線となっており、視覚的にも二人の人生が交差し続けることがないことが分かります。
⑩ 『言の葉の庭』
監督、原作、脚本:新海誠
男子高校生と訳ありである社会人女性の逃避のような雨の日だけの交流によって歩き出す力を手に入れた二人が自分の未来に向かって進んでいくような物語です。全体的に独白と雨が多いため、二人だけの静かで個人的な物語のような印象を与えられます。また、風景や足元、一般大衆といった特定の人物以外の描写とピアノの音楽で時間の流れが表現されており、世間にとっては何もない、普通の日常の中で二人が関わり、二人の関係や心情だけが変化していくような表現がなされています。
⑪ 『雲のむこう、約束の場所』
監督、原作、脚本:新海誠
津軽海峡を挟んで分断された日本で飛行機を作り、謎の塔まで飛ぼうとしていた少年達が成長し、仲の良かった世界の謎を背負う少女を助け出す物語のアニメーション映画です。政治的な分断や敵対、戦争が話の中心となっていますが、アニメーションの冒頭は完全な今の日本と変わらないような日常を描いており、戦争などが身近にある暗い世界の中での日常を描いているように思えました。また、少女の夢の世界で鳴る雷や晴れるタイミングなど、天気の子に通じるものが感じられました。
⑫ 『ホリミヤ』
原作:HERO 作画:萩原ダイスケ
人気のwebコミック「堀さんと宮村くん」が作画を変えてコミック化された作品で、堀さんと宮村くんとの出会いから高校卒業までの高校生活を描いた日常物語です。物語が進むにつれて二人がメインだった物語に登場人物が増えていき、高校生の世界の広がり方を見られることが魅力の一つとなっています。また、元々は友達といえる人が一人しかいなく、学校では一人で過ごしていた宮村くんが猪突猛進的で意志の強い堀さんと出会ったことにより友人が増え、自分が嫌いだった過去を受け入れ、いじめっ子とも心の内を伝えられるようになるというような成長も見所です。
⑬ 『天久鷹央の推理カルテ』
著者:知念実希人
普通の医者がさじを投げるような奇妙な病状を天才診断士である鷹央が診断していく様を、助手として奔走する主人公の視点で見ていく小説で、シャーロックホームズが現代日本で医師として存在したらどうなるかという着想から描かれる天久鷹央シリーズのひとつです。鷹央の驚異的な記憶力と洞察力によって一目で診断を下す、爽快感が見所の一つです。また、診断を下された患者が窃盗事件の犯人かつ、別の患者の事件と繋がっていたり、小話として挟まれた親子が後の物語のメインになったりと、各ストーリーが繋がっている部分も見所となっています。
⑭ 『お前みたいなヒロインがいてたまるか!』
著者:白猫
少し前に流行った「乙女ゲームの悪役令嬢転生モノ」ですが、ファンタジー世界ではなく、現実と似ている世界への転生モノで、闇が深いゲームに転生した主人公が性格の悪い転生者であるヒロインから母やいとこを守るために奮闘するライトノベルです。物語のはじめに前世の記憶を持つヒロインと接触することによって主人公が記憶を取り戻すことで王道の悪役令嬢ものの断罪回避的なストーリーではなく、ヒロインから大切な身内を守るというストーリーとなっている点が魅力です。また、日本のお嬢様・お坊ちゃま学校での生活が描かれ、庶民の記憶がある主人公がツッコミを入れる点も見所の一つとなっています。
⑮ 『ノーゲーム・ノーライフ12 ゲーマー兄弟たちは『魔王』に挑むようです』
著者:榎宮祐
アニメ化、映画化もされた人気ライトノベルの12巻で、世界が二分され、全面衝突を迎えそうな中、主人公の二人の前に「魔王」が現れ、攻略不可能とされる「魔王の塔」で戦っていく物語です。それまでの活躍により人間の国を再興したものの、この世界に来て初めての負けにより世界が分断されてしまったという壮大な世界観と、本人達はイカサマまがいの手を打ち、引きこもりの対人恐怖症という小ささの対比が作品の魅力の一つです。この巻では「魔王の塔」攻略の前半部が描かれており、「魔王」とは何故生まれたのかという原点から、魔王を殺さずに攻略することの不可能さが提示され、時間の伏線を散りばめたかたちになっています。
⑯ 『十三夜』
著者:樋口一葉
一目惚れされて結婚した夫の自分に対する仕打ちに耐えられず、主人公が両親を訪れ離縁の打診をする話から、当時の古いものと新しいものが混沌としていた世相や恋愛感情を描いた作品です。前半部では上流階級であり、新しい西洋の考え方を学び、好きな人と愛し合った結婚を望む夫と、昔から続く女は慎ましく、夫を立て、家のための結婚を良しとする主人公のすれ違いを読むことができますが、後半では古い考えを持つ主人公と、結婚前に「この人と結婚するだろう」と思っていた人、つまり好きだった人との再会が描かれます。前半部と後半部の主人公から男性への感情が対比的であることによって古い価値観の中では意識されないながらも存在した恋愛感情を見ることができる点がこの作品の魅力の一つでしょう。
⑰ 『たけくらべ』
著者:樋口一葉
花魁になる予定のお転婆な少女と寺の息子であり、僧侶らしい清貧を尊ぶ幼なじみの恋愛模様を描いた作品です。2人の恋愛模様を描いた作品としては珍しく、2人が直接対話する場面は一つしかなく、基本的にすれ違い続け、そのまま結末までいきますよって、この作品では2人の恋愛模様を主軸としつつ、別の、少女の成長という副題が存在します。お転婆であり、男子ともよく遊んでいた男勝りの少女は、ある日を境に男性に対して恥じらいをみせるお淑やかな女性らしい女性へと成長する様はこの作品の見所といえます。
⑱ 『超短篇!大どんでん返し』
著者:青崎有吾、青柳碧人、乾 くるみ、井上真偽、上田早夕里、大山誠一郎、乙一、恩田 陸、伽古屋圭市、門井慶喜、北村 薫、呉 勝浩、下村敦史、翔田 寛、白井智之、曽根圭介、蘇部健一、日明 恩、田丸雅智、辻 真先、長岡弘樹、夏川草介、西澤保彦、似鳥 鶏、法月綸太郎、葉真中 顕、東川篤哉、深緑野分、柳 広司、米澤穂信
2000字という超短篇小説集で、数ページでどんでん返しが行われるスピード感のある作品です。2000字という限られた範囲でどんでん返しをしようとなると、大きく三つの方法に別けられます。まず、わざと重要な描写を省く方法。この方法の場合、最期の一文で自分の中の常識から思い込んでいた事実を否定されます。次に、登場人物たちでさえその事実しらず、後日談や過去のどこかの話としてひっくり返す方法。この二つの場合、読者のみが衝撃を受けます。最期に、登場人物と一緒に事実に気づいたり、目撃したりする方法。基本的にこのような構成を取っていることが多く、特に一つ目の方法を使った作品は、連続して読んでいる内に内容を予測できてしまうが短篇として作りやすいという一長一短な方法と言えます。
⑲ 『天冥の標Ⅱ』
著者:小川一水
世界中に死亡率の高いウイルスが蔓延したらという設定のSF作品でありながら、愛や人との繋がりを描いた作品です。人とのふれあいを愛であり、精神の穢れを浄化する温かいものとしつつ、冥王斑感染者への物理的隔離や地域からの拒絶を通して、その難しさを強調していますが、その中でも人と繋がる方法を模索し、実現できるという希望も示しており、非常事態が起こったときの人間模様や人の動きが中心に語られています。
⑳ 『黒執事』、
著者:枢やな
アニメ化、映画化、舞台化もされた人気漫画で、両親と使用人、愛犬、双子の兄を殺された主人公が悪魔と契約し、復讐を誓った物語ですが、現在は生きた死体となった兄と自分の居場所を賭けた勝負をしています。伏線回収の鮮やかさと美しい絵柄、ダークな世界観が魅力の作品です。特に最新刊では死への恐怖といった普通の人間ならば持っているはずの感情を持った軍人と、そのような感情を失ってしまった、または生まれつき持っていない者との対比や生きている人間と亡くなった人間の対比など、生死が話の中心となっており、その薄ら寒さが見所の一つとなっています。
21 『化石少女』
著者:麻耶雄嵩
この作品の主人公達は、よくある推理小説のように天才的な推理を披露する探偵役と、現場を駆け回り情報を集め、探偵役をサポートする助手役に一見見えますが、私怨から始め、こじつけで完成する推理をする探偵役であるヒロインと、ヒロインのために情報を集めてサポートするも、その推理の矛盾点、納得できない点を並べて披露された推理をことごとく論破する主人公という全く新しい推理ものの小説です。しかし、事件を追うごとに主人公の論破のキレが悪くなり、最後には主人公が起こした殺人の真相の一歩手前まで差し迫った推理が披露され、それによって主人公はヒロインの側に今後い続ける言い訳を獲得します。つまり、六つの事件は謎解きを楽しませるためのものでありつつも、2人の関係性を維持するための装置の役割も果たしているのです。
22 『あの日、君は何をした』
著者:まさきとしか
完璧な家族であるはずの家の息子が連続殺人事件の犯人に間違えられ死亡した事件とその一五年後女性の殺害事件の重要参考人である百井が行方不明となった事件という二つの事件の繋がりを見つけ出すミステリー小説で、事件によって亡くなったり行方不明になったりした人の母親の必死さや愛が中心に描かれた作品です。主人公らしい主人公を置かず、各登場人物の視点から物語を読者に語ることにより、それぞれ違った母と子の関係が描かれます。全体を通して母の子への愛は自己中心的で恐ろしいもののように、母は、子の心の中の絶対的な存在として表されており、狂信的な母子の愛を思わせます。また、どの母子関係にも誰かの死が関わっていて、残された者は必ずと言って良いほど死人の「死ななければならなかった理由」を探し続けますが、その理由を知ることが残された人にとっての最善であるか、死人の望んでいたことであるかは誰にも分からないという副題がありました。
23 『キャラクター』
監督:永井聡 原案:長崎尚志 脚本:長崎尚志、川原杏奈、永井聡
人物が描けずオリジナル作家になることのできない漫画家が猟奇殺人鬼と出会い、漫画家として成功するが、自分の漫画と同じ殺人を犯す殺人鬼との対決を描いたダークエンターテインメント映画です。最後のシーンの「僕は誰なのか」という質問は狂気の殺人犯自体の、幼少期に植え付けられた思想を否定された自分や、戸籍のない自分に対する問いと思われますが、殺人犯の狂気に当てられなかったら売れっ子の漫画家になんてなれなかった主人公への自分からの問いも含まれているように思われました。また、作中作品の宣伝にあった、「僕を止められるのは誰だ」というキャッチフレーズは、本当の事件を描き、その後の展開で凄惨な事件を起こしてしまったのにその作品を描き続けてしまう自分を誰かに止めて欲しいという意味に感じ取れましたが、エンディング直前でイラストを描いていたため、その「殺人犯と繋がっている自分」を止めて欲しいという意味であったと考えられます。
24 『イニシエーション・ラブ』
著者:乾くるみ
side-Aでは奥手で恋愛経験のない大学生である鈴木が初めて恋をした女性であるマユとの交際を通した変化を描き、side-Bでは就職の影響で東京に行くことになった鈴木が同僚の女性とマユの間で揺れ動く様を描いたミステリー小説も言われる作品です。前半、後半で出てくる「たっちゃん」という人物が同じ「鈴木」という名字の別人であるという設定のため、視点の人物を基本的に鈴木やたっちゃんと呼ばれさせて同一人物のように見せかける都合上、最期に名前が出てきた際に前半の視点の人物の名前を忘れてしまい、「最期から2行目であなたは騙される」というキャッチフレーズがなければ違和感のみで終わってしまう可能性があり、読み慣れていないと腑に落ちない作品となってしまうと思われました。
25 『カゲロウデイズ』
原作:じん 漫画:佐藤まひろ
太古から生きるメデューサの蛇の力により一定の期間を延々と繰り返し続ける世界で繰り返しに気づき、世界の繰り返しを止めるために奔走する作品です。ループものであるため数々のループ世界ではキャラクター通しの関係性や出会う時期、死因や死期までもが少しずつ異なり、それが魅力の一つとなっています。アニメ版が完結のハッピーエンドであるのに対し、漫画版ではアニメ版のループが始まるきっかけや世界の初めが描かれており、漫画版、アニメ版、小説版で同じキャラクター達、設定でありながらも別の世界を見ることができます。
26 『水曜日が消えた』
監督:吉野耕平 脚本:吉野耕平 制作:沢桂一、新井重人
七重人格であり、曜日によって人格を分けている火曜日の人格が主人公の作品で、ある朝から水曜日までも自分の人格が続くこととなり、その後に起こる多くの違和感から暗躍している誰かを探すミステリー映画です。初めと最後に説明、まとめのために7人格が出てきますが、基本的に火曜日の人格の視点で物語が進んでいきます。自分の日常が一般の日常に近づくことに喜びを覚えつつ、最終的には元の自分の日常を取り戻し、他の6人の自分を大切にする選択をするラストは自己利益と他者の利益を天秤に掛ける難しさと一人の存在の定義を再確認することができます。
27 『チャーリーとチョコレート工場』
監督:ティム・バートン 音楽:ダニー・エルフマン 原作:ロアルド・ダール
極貧生活を送る主人公が幸運の末世界的なチョコレート工場の見学に行き、人の幸せを確かめていく物語です。作中で主人公と共に見学する子ども達は食欲に溺れるものや拝金主義者、何を犠牲にしても名誉を求めるもの、過剰な自信で他を見下すものなど、人間の醜い部分が強調されたキャラクターとなっており、部屋を移動するたびにそれらによって脱落していく様により、清貧であり、他者を労る心を持った主人公の優しさが際立っています。また、同じ人間が大勢働いていたり、摘まめるほど小さくなったり、全身が真紫になったりなど、視覚的な衝撃が多いのもこの作品の特徴です。
28 『マーチ博士の四人の息子』
著者:ブリジット・オベール 訳:堀茂樹、藤本優子
とある屋敷でメイドとして働く主人公の日記と、屋敷の息子達のうちの誰かである狂気的殺人犯の日記が交互に物語を進める形式で、ある日殺人鬼の日記を見つけてしまった主人公が殺人犯を特定しようと日記などを用いて奔走する作品です。殺人犯の日記に書かれた出来事と子息達の行動を当てはめて探しますが、4兄弟でなく、もう1人の兄弟がいると知らない使用人である主人公と読者は4人全員が怪しく見える展開となります。兄弟一人一人が次々に怪しく見えてくる場面展開が魅力の一つと言えるでしょう。
29 『ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論』
著者:松岡圭祐
ライトノベル作家である主人公が一度対談した新進気鋭の作家である岩崎の盗作事件を追った作品を書くこととなり、事件を調べていく文学ミステリー小説です。各人物の描写が細かく、人柄を描くような文章が魅力で、事件を追うに連れて主人公が記者として、小説家として成長していく様子がはっきりと伝わってきます。また、元々はただ岩崎の身の回りの人物像や人柄、思想を書くはずだった主人公が最終的には殺人事件の犯人にたどり着き、岩崎の盗作に関する真実に迫っていくという物語の広がりも見所の一つだと思いました。
30 『神のロジック 次は誰の番ですか?』
著者:西澤保彦
主人公を含めた国籍もバラバラな子ども達に特殊な授業を受けさせる<学校>で次々と殺人事件が起き、事件の真相を追っていた主人公が<学校>という場の衝撃の事実を自覚するミステリー小説です。主人公達が10代ではなく、心理学の実験で10代だと思い込まされている記憶障害の老人であったとする伏線は食事への職員の苦言や鏡や自分の手を見た時の反応で示されており、年齢、容姿、認識への解釈が随所に描かれていることが結末を示唆していました。ほぼ全ての殺人を犯した女性が持っていた実験への執着の動機ははっきり示されていませんでしたが、もう1人の女性には過去の娘や孫達との温かな記憶がある一方で、その女性は「両親とパリの凱旋門の近くのアパルトメントに住んでいる」というものしかなかったため、幸せで素晴らしかった子ども時代からやり直したいという意思が強かったためと考えられます。特に、主人公との将来の約束に執着したことから、結婚生活が上手くいかなかったことが記憶に障害がある原因と思われました。
夏休み課題 21~31(書いていたら30を過ぎていました)
21.『School Days』ブランド:0verflow
〈あらすじ〉主人公・伊藤誠は同じ駅から学園に通う話したこともない少女・桂言葉に片思いをしていた。それを知った隣の席に座る少女・西園寺世界は誠を応援し、ついには言葉をデートに誘うことに成功するに至る。誠は駅のホームでどんなことでもいいから借りを返すと世界に伝えると、世界は誠に無理やり口づけをして電車に乗り一人涙を流す。
〈考察〉本作は全編がアニメーションで構成されており、途中で映像が止まり選択肢が登場する独自のシステム「フルアニメーションアドベンチャーゲーム」を採用している。その長さにして、30分のテレビアニメ70話分とされている。さらに、ストーリーを1章・2章と区切るのではなく1話・2話と区切っており、本当にアニメーションを見ているかのような体験ができる。
恋愛ゲームにおける三人称視点。ストーリーが可変であるために、恋路を応援することも引っ掻き回すこともできる。自由度の高いことはメリットではあるが、そういった要素を広げれば広げるほどリソースを割くことになってしまう制作側のデメリットがあるだろう。
本作において有名な曲と言えばいとうかなこの歌う「悲しみの向こうへ」だろう。TVアニメーション版の衝撃的なシーンで挿入される。しかし、原作ゲームではKIRIKOの「Still I Love You ~みつめるよりは幸せ〜」が重要視されている。
その理由について、この曲は世界が誠の恋を手伝った後、誠にキスをして電車へ走り去り、1人泣く1話の最終場面で流れる。この部分のみでは、世界がなぜこの行動をとったのかプレイヤーは想像することしか難しい。しかし、この曲は世界について歌い上げているため、曲を聴くことで理解することができる。そのためにプレイヤーの印象に残るのだろう。また1番は世界の前日談、2番は誠が言葉と恋人になった後の世界の心情を描いている。
22.『D.C.P.C. 〜ダ・カーポ〜 プラスコミュニケーション』ブランド:CIRCUS
<あらすじ>7年前から一年中枯れない桜の咲く少し不思議な初音島。そこに暮らす「何もないところから和菓子を生み出す力」と「他人の夢を人に見せられる力」の2つの少し不思議な能力を持つ主人公・朝倉純一は風見学園に通う3年生。両親は海外赴任しており、同い年の義理の妹である音夢と2人暮らし。そんな卒業間近で少しこそばゆい彼の恋物語が幕を開ける。
<考察>本作の桜の存在について考察する。確かに桜はストーリーの根幹に少し関わってくるのだが、本質的な効果は別にあると考える。
本作には古風な巫女、ささやかな異能力を持つ主人公、人に化けた宇宙人といった特殊なキャラクターが登場する。それを隠している者もいるが、当然ながらプレイヤーにはわかるため、ユーザーに寄り添った結果として枯れない桜があるのではないかと考える。舞台設定自体を不思議な桜の咲く、外界から隔離された「島」という条件にすることでキャラクターの特殊性を薄め、自然な設定となっているのではないのだろうか。また、学生服によく似合う桜をいつでも背景にできるという部分もあるだろう。
23.『BALDR SKY Dive1 "Lost Memory"』ブランド:戯画
<あらすじ>主人公・門倉甲は突如、謎の女性・桐島レインによって目覚めさせられる。わけもわからずレインに導かれた彼はロボット「シュミクラム」に乗り敵地を逃げ回り、なんとか仮想空間から脱出することに成功する。そこで彼が目にしたものは記憶に1番新しい平和な学園生活ではなく、荒廃した街並みであった。
甲は父親と同じく腕の立つシュミクラム乗りであったが、原因不明の記憶損傷状態であることが告げられる。荒廃した直接的な事件である「灰色のクリスマス」の真相を追う2人の物語が始まる。
<考察>本作はアドベンチャーと見下ろしの2Dアクションを含む独自のシステムをとっている。アクション部分はシュミクラムを操り、敵を撃破しながら数多の装備を換装していく骨太に仕上がっており、非常にクオリティが高い。
しかし、アドベンチャー部分が手抜きというわけではなく世界観などの設定がよく作り込まれており、勇敢でクールな傭兵のレインも話が進むにつれてまた違った一面を見せていくことで魅力的なヒロイン像として確立されている。
24.『リリミエスタ』ブランド:SMEE
<あらすじ>舞台は地上から見た天国、「天上」の世界。しかし、地上との命の循環のバランスが崩れ始めていた。循環を生み出すのは、地上で採取できる人間の感謝の心「フェリチタ」である。フェリチタの採集のために創設された養成機関「アリア・クラーレ」に通う候補生の主人公・守島友春、幼馴染の逢坂菜桜子、そして東雲藍里は現地担当者の涼原綾乃が教師をしている地上の明風学園へ入学し、フェリチタを採取する課題に取り組む。
<考察>本作は王道のストーリーであり、テンポもよい。しかし、天上の設定がほとんどストーリーに作用していない。登場人物たちは地上の常識が通じるごく普通の知識を有しており、彼らに独自の能力があること以外には地上の人間と変わりない。また、その能力を使ったところで地上の人間たちが恐れをなすわけどころか驚くわけでもない。さらに、無口な藍里以外は社交的で地上の者たちとも問題なく仲良くなるため天上の人々であるという設定が死んでしまっている。
25.『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』ブランド:戯画
<あらすじ>父の再婚で新たな家族が出来た主人公・結城大介。その両親が世界一周旅行へ行っている間、父が経営するアンティーク喫茶店「キュリオ」の代理店長を任される。 会ったばかりの義理の妹すずとの同居生活・ 世間知らずの 美里との運命的な出会いと、大介はいきなり始まった新生活をどう過ごしていくのか。
<考察>夜、その日の出来事を回想しながら歩いている大介のもとに突如美里が現れる。その瞬間、プレイヤーの私も本当に驚いた。アドベンチャーゲームでこのようなことは初めてであったので要因になりそうなものを探した。
①美里が「今日はビジネスホテルに泊まります」と既に今日会うことはないことを確信することができ、大介は何かあったら電話するようにと連絡手段を作り会う必要がないと示していること。
②時間帯が夜であり、直前まで回想を流すことでゲーム内時間の一日が終了することを予感させるためこれ以上イベントは起きないと考えられること。
③大介の回想は緩やかなテンポのBGMと暗闇の背景であるが、美里の立ち絵と町の背景が表示される直前に先に拡大表示された彼女の台詞テキストと音声を挿入し、そのあとからBGMを流すこと。
しかし、本作の評価点としてそのあとは特に何もなく3分以内程度で一日が終了する。これは奇をてらったイベントでプレイヤーを驚かせた後に必要以上に飽きさせることがなくなっている。
26.『パルフェ 〜ショコラ second brew〜』ブランド:戯画
<あらすじ>経済学部に通う大学3年生の主人公・高村 仁と義理の姉・杉澤恵麻は半年前まで人気の欧風アンティーク喫茶「ファミーユ」で明日香・かすり・里伽子といった仲間たちと働いていた。開店前に亡くなった兄とその妻の恵麻が育ててきた店であったのだが、ある夜に火事に遭いそのまま閉店。
ある日、1ヶ月後に開店する大型ショッピングモール「ブリックモール」から格安で出店の話を持ち掛けられ、仁はファミーユを復活させることを決意する。かつての従業員を呼び寄せるものの、集まったのは明日香・かすりのみ。
里伽子は協力こそしないものの、出店予定地の向かいに有名メイド喫茶店「キュリオ」が三号店を出すために「ファミーユに勝算はない」と仁に忠告する。打開策を見つけることのできないまま開店前日の夜になった。仁がファミーユに立ち寄ると見知らぬ少女がいた。彼女は風美 由飛と名乗り、言葉遣いも可笑しく、面接さえもしていないのに勝手に制服を着ている不思議な人物だが、彼女は玲瓏たる美声を持っていた。
仁は彼女の採用を決め、新生ファミーユの経営を始める。
<考察>本作は、『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』の続編にあたる。本作の構図として面白いのは前作で舞台となった喫茶店curioが成功した世界において、キュリオのコンセプトを模倣し、半ばライバル視しているファミーユが舞台となっている点である。
27.『スズノネセブン!』ブランド:クロシェットlumie
<あらすじ>スズノネ魔法学園では、成績・内申点のワースト7名に選ばれると学園の敷地内で行われる合宿への参加を強制される伝統がある。そこで個別に出される課題に合格しなければ、退学処分になってしまう。
魔力工学科一年の城戸幸村、学園長の孫の代官山すみれ、魔力暴走を起こす野々村仁乃、方向音痴の鷹取柚子里、志麻莉里、幸村の腐れ縁の三峰美奈都とその兄の真。そんな崖っぷちな学生たちの物語。
<考察>本作ではテキストの拡大・縮小が多用される。これは、キャラクターの叫び声・怒鳴り声といった大声を表現するために使われる。ヘッドホンなどをしていることを想定すると音量を上げるわけにはいかないためだろう。『祝福のカンパネラ』ではキャラクターの立ち絵を拡大すること、文章の末尾に「!」のような記号をつけることで表現していた。本作は読んでいるテキストのサイズが変わるために視覚的にはわかりやすいが、小さくなった場合には読みづらくなってしまっている。
28.『家族計画〜追憶〜』ブランド:D.O.
〈あらすじ〉歌舞伎町で中華料理店のアルバイトをしている沢村司は、ある日路地裏で行き倒れの少女を見つける。彼女は名を春花と名乗るが国籍不明、挙動不審、さらには日本語が通じない。司は行く当てのない彼女をなし崩し的に家に住まわせることに。
それを皮切りに、破産し自殺しようとしていた女性・板倉真純、元社長令嬢だったが現在は無職の高屋敷青葉、ホームレスの河原茉莉、元会社員の広田寛などの人々と偶然見つけた空き家で「相互扶助計画」と題し、共同生活を始める。
〈考察〉本作は美少女ゲームの傑作の1つとして知られる。彼ら全員に共通するのは「天涯孤独」で身寄りのないことであり、そんな中で擬似家族を構成していく。彼らの過去からは自然とドラマが生まれるために、深みのある作品となっている。
春花の言葉遣いについて。司から日本語を教わるために、「晩飯(ばんめし)」などのようにぶっきらぼうで荒い口調に仕上がる。アドベンチャー形式の作品で言葉遣いはとても重要視されるため、司と春花の絆の深さが伺えるようになっている。
29.『なついろレシピ』ブランド: PULLTOP Air
<あらすじ>ある日、主人公・杜丘岳史の父に宛てられた「娘」を名乗る人物からの手紙が届く。しかし、海外生活をする父の代わりに受け取った岳史はひとまず「娘」に会うべく田舎の山村「白珠村」に訪れる。そこで待っていたのはひとりぼっちで日本家屋に住む八重原柚であった。祖母を亡くして間もない彼女の身を案じ、岳史は共同生活を始める。
<考察>本作の魅力は恐ろしく質の高い料理CGである。一見、ゲームに関係ないように思われるが、平面の登場人物たちに実写の料理の写真よりも手描きの料理を添えることで浮いてしまうことがなく、自然に溶け込ませることができるようになっている。
また、ヒロインとの関係を深める段階も明確であり、まず町になれない主人公が案内を頼む・ともに川遊びをして秘密を共有する。このように、制作自体が明確化されていることは作り手としても完成度が高く大きな評価点である。
舞台設定について。本作の舞台はライフラインは通じているものの、外界からシャットアウトされた秘境である。この舞台設定は伝統的に利用されており、古くは『無人島物語』や昨年では『サメと生きる七日間』などがある。これにより、新たな世界観を構築することでキャラクターを自然に配置することができるメリットがあるだろう。場所性を持った都会などでは現実味がなく浮いてしまうが、場所性を持たない非日常では浮いてしまうことがない。
30.『それは舞い散る桜のように -Re:birth-』ブランド:Navel
<あらすじ>春休み最後の日を友人と無駄に過ごしていた主人公・桜井舞人だが、そこで同じ学園の絶対的美少女・星崎希望と出会う。また、進級した舞人たちは希望や悪友の八重樫つばさと同じクラスになる。さらに、新一年生には幼馴染の雪村小町が舞人を追ってこの町に引っ越してきた。舞人のドタバタ学園コメディが幕を開ける。
<考察>秋葉原の美少女ゲームにおける2023年のムーブメント、それは3月の枕『サクラノ刻』の発売、4月のゆずソフト『天使☆騒々 Re-Boot(以下『天使騒々』)』の深夜販売、そして9月の本作の発売である。
しかし、今回の騒動からはパッケージによる現物での販売による問題点を多々見ることができた。本作の発売日前のインターネット予約は8月で受付を終了し、さらに一般販売分が市場に出回ることはほとんどなかった。また、基本的に美少女ゲームには再販売はないため、予約に間に合わなかった購入希望者たちはどこにいくつあるのかもわからない在庫を求め溢れかえった。
しかし、『サクラノ刻』・『天使騒々』においてもこのようなことは起きなかった。ここには、業界の古参ブランドであるNavelの性格が如実に表れている。本作が21年前に発売された名作のリメイクであること。これにより、購入者の年齢層は自然と上昇し「ダウンロード販売」よりもパッケージによる現物を好む傾向が現れる。実際に上記2作品は若年層からの支持が高いという本作との決定的な違いがある、
また、選択肢を見せかけは変えずに省エネ化出来ている点に気づくことができた。選択肢の大半はどちらを選択しても変化するのは好感度のみのようで、その後の展開は個別ルートに入るまで変わらない。例えば、ヒロインと昼食をとるかどうかの選択肢であれば、例え「とらない」を選んでも紆余曲折によって昼食をとることになる。これによってライターの労力を減らすことができ、またプレイヤーがヒロインを突き放したことで本来感じる罪悪感を打ち消すことに成功している。
31.『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』(TVアニメ)
<あらすじ>「大作つくって、みんなが買ってた時代はもうとっくに終わってるんだよ」と社長は新作の大風呂敷を広げたコノハを一喝する。秋葉原のはずれに会社を構える零細ゲームブランド「ブルーベル」で働く主人公・秋里コノハは不満を感じていた。会社は比較的安価な「ミドルプライス」の作品のみを販売するようになり、また彼女の望む「女の子を輝かせることのできるゲーム」を作ることができない体質であるからだ。
コノハがその日、偶然に訪れた中古ゲーム屋で預かった92年発売のヒット作『同級生』のパッケージを開くと彼女は輝きに包まれ、2023年から美少女ゲーム黄金期と後から言われるようになる1992年にタイムリープしていた。
<考察>本作は私が1作品目でまとめた『16bitセンセーション』のテレビアニメ化作品であり、新規ストーリーで制作されている。10月4日に初回放送であるために、今回は1話のみに留める。
まず、変更点について。主人公は1992年当時に大学生であった上原メイ子から、2023年に美少女ゲームブランドで働く秋里コノハに変更されている。これにより、若年層への訴求を目指していることがわかる。
また、コノハの部屋について。本作は様々な企業の協力を得ており、実際のゲームのパッケージやキャラクターのグッズなどを配置することができている。それによってコノハが実際に美少女ゲームのファンであることが明確になり、作品自体の魅力の一つにもなっている。さらにコノハが本当に美少女ゲームが好きであるという特徴・性格を利用することで、旧作にも触れている設定にすることができ、中高年にも親しみのあるキャラクターとして確立されている。
21.『School Days』ブランド:0verflow
〈あらすじ〉主人公・伊藤誠は同じ駅から学園に通う話したこともない少女・桂言葉に片思いをしていた。それを知った隣の席に座る少女・西園寺世界は誠を応援し、ついには言葉をデートに誘うことに成功するに至る。誠は駅のホームでどんなことでもいいから借りを返すと世界に伝えると、世界は誠に無理やり口づけをして電車に乗り一人涙を流す。
〈考察〉本作は全編がアニメーションで構成されており、途中で映像が止まり選択肢が登場する独自のシステム「フルアニメーションアドベンチャーゲーム」を採用している。その長さにして、30分のテレビアニメ70話分とされている。さらに、ストーリーを1章・2章と区切るのではなく1話・2話と区切っており、本当にアニメーションを見ているかのような体験ができる。
恋愛ゲームにおける三人称視点。ストーリーが可変であるために、恋路を応援することも引っ掻き回すこともできる。自由度の高いことはメリットではあるが、そういった要素を広げれば広げるほどリソースを割くことになってしまう制作側のデメリットがあるだろう。
本作において有名な曲と言えばいとうかなこの歌う「悲しみの向こうへ」だろう。TVアニメーション版の衝撃的なシーンで挿入される。しかし、原作ゲームではKIRIKOの「Still I Love You ~みつめるよりは幸せ〜」が重要視されている。
その理由について、この曲は世界が誠の恋を手伝った後、誠にキスをして電車へ走り去り、1人泣く1話の最終場面で流れる。この部分のみでは、世界がなぜこの行動をとったのかプレイヤーは想像することしか難しい。しかし、この曲は世界について歌い上げているため、曲を聴くことで理解することができる。そのためにプレイヤーの印象に残るのだろう。また1番は世界の前日談、2番は誠が言葉と恋人になった後の世界の心情を描いている。
22.『D.C.P.C. 〜ダ・カーポ〜 プラスコミュニケーション』ブランド:CIRCUS
<あらすじ>7年前から一年中枯れない桜の咲く少し不思議な初音島。そこに暮らす「何もないところから和菓子を生み出す力」と「他人の夢を人に見せられる力」の2つの少し不思議な能力を持つ主人公・朝倉純一は風見学園に通う3年生。両親は海外赴任しており、同い年の義理の妹である音夢と2人暮らし。そんな卒業間近で少しこそばゆい彼の恋物語が幕を開ける。
<考察>本作の桜の存在について考察する。確かに桜はストーリーの根幹に少し関わってくるのだが、本質的な効果は別にあると考える。
本作には古風な巫女、ささやかな異能力を持つ主人公、人に化けた宇宙人といった特殊なキャラクターが登場する。それを隠している者もいるが、当然ながらプレイヤーにはわかるため、ユーザーに寄り添った結果として枯れない桜があるのではないかと考える。舞台設定自体を不思議な桜の咲く、外界から隔離された「島」という条件にすることでキャラクターの特殊性を薄め、自然な設定となっているのではないのだろうか。また、学生服によく似合う桜をいつでも背景にできるという部分もあるだろう。
23.『BALDR SKY Dive1 "Lost Memory"』ブランド:戯画
<あらすじ>主人公・門倉甲は突如、謎の女性・桐島レインによって目覚めさせられる。わけもわからずレインに導かれた彼はロボット「シュミクラム」に乗り敵地を逃げ回り、なんとか仮想空間から脱出することに成功する。そこで彼が目にしたものは記憶に1番新しい平和な学園生活ではなく、荒廃した街並みであった。
甲は父親と同じく腕の立つシュミクラム乗りであったが、原因不明の記憶損傷状態であることが告げられる。荒廃した直接的な事件である「灰色のクリスマス」の真相を追う2人の物語が始まる。
<考察>本作はアドベンチャーと見下ろしの2Dアクションを含む独自のシステムをとっている。アクション部分はシュミクラムを操り、敵を撃破しながら数多の装備を換装していく骨太に仕上がっており、非常にクオリティが高い。
しかし、アドベンチャー部分が手抜きというわけではなく世界観などの設定がよく作り込まれており、勇敢でクールな傭兵のレインも話が進むにつれてまた違った一面を見せていくことで魅力的なヒロイン像として確立されている。
24.『リリミエスタ』ブランド:SMEE
<あらすじ>舞台は地上から見た天国、「天上」の世界。しかし、地上との命の循環のバランスが崩れ始めていた。循環を生み出すのは、地上で採取できる人間の感謝の心「フェリチタ」である。フェリチタの採集のために創設された養成機関「アリア・クラーレ」に通う候補生の主人公・守島友春、幼馴染の逢坂菜桜子、そして東雲藍里は現地担当者の涼原綾乃が教師をしている地上の明風学園へ入学し、フェリチタを採取する課題に取り組む。
<考察>本作は王道のストーリーであり、テンポもよい。しかし、天上の設定がほとんどストーリーに作用していない。登場人物たちは地上の常識が通じるごく普通の知識を有しており、彼らに独自の能力があること以外には地上の人間と変わりない。また、その能力を使ったところで地上の人間たちが恐れをなすわけどころか驚くわけでもない。さらに、無口な藍里以外は社交的で地上の者たちとも問題なく仲良くなるため天上の人々であるという設定が死んでしまっている。
25.『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』ブランド:戯画
<あらすじ>父の再婚で新たな家族が出来た主人公・結城大介。その両親が世界一周旅行へ行っている間、父が経営するアンティーク喫茶店「キュリオ」の代理店長を任される。 会ったばかりの義理の妹すずとの同居生活・ 世間知らずの 美里との運命的な出会いと、大介はいきなり始まった新生活をどう過ごしていくのか。
<考察>夜、その日の出来事を回想しながら歩いている大介のもとに突如美里が現れる。その瞬間、プレイヤーの私も本当に驚いた。アドベンチャーゲームでこのようなことは初めてであったので要因になりそうなものを探した。
①美里が「今日はビジネスホテルに泊まります」と既に今日会うことはないことを確信することができ、大介は何かあったら電話するようにと連絡手段を作り会う必要がないと示していること。
②時間帯が夜であり、直前まで回想を流すことでゲーム内時間の一日が終了することを予感させるためこれ以上イベントは起きないと考えられること。
③大介の回想は緩やかなテンポのBGMと暗闇の背景であるが、美里の立ち絵と町の背景が表示される直前に先に拡大表示された彼女の台詞テキストと音声を挿入し、そのあとからBGMを流すこと。
しかし、本作の評価点としてそのあとは特に何もなく3分以内程度で一日が終了する。これは奇をてらったイベントでプレイヤーを驚かせた後に必要以上に飽きさせることがなくなっている。
26.『パルフェ 〜ショコラ second brew〜』ブランド:戯画
<あらすじ>経済学部に通う大学3年生の主人公・高村 仁と義理の姉・杉澤恵麻は半年前まで人気の欧風アンティーク喫茶「ファミーユ」で明日香・かすり・里伽子といった仲間たちと働いていた。開店前に亡くなった兄とその妻の恵麻が育ててきた店であったのだが、ある夜に火事に遭いそのまま閉店。
ある日、1ヶ月後に開店する大型ショッピングモール「ブリックモール」から格安で出店の話を持ち掛けられ、仁はファミーユを復活させることを決意する。かつての従業員を呼び寄せるものの、集まったのは明日香・かすりのみ。
里伽子は協力こそしないものの、出店予定地の向かいに有名メイド喫茶店「キュリオ」が三号店を出すために「ファミーユに勝算はない」と仁に忠告する。打開策を見つけることのできないまま開店前日の夜になった。仁がファミーユに立ち寄ると見知らぬ少女がいた。彼女は風美 由飛と名乗り、言葉遣いも可笑しく、面接さえもしていないのに勝手に制服を着ている不思議な人物だが、彼女は玲瓏たる美声を持っていた。
仁は彼女の採用を決め、新生ファミーユの経営を始める。
<考察>本作は、『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』の続編にあたる。本作の構図として面白いのは前作で舞台となった喫茶店curioが成功した世界において、キュリオのコンセプトを模倣し、半ばライバル視しているファミーユが舞台となっている点である。
27.『スズノネセブン!』ブランド:クロシェットlumie
<あらすじ>スズノネ魔法学園では、成績・内申点のワースト7名に選ばれると学園の敷地内で行われる合宿への参加を強制される伝統がある。そこで個別に出される課題に合格しなければ、退学処分になってしまう。
魔力工学科一年の城戸幸村、学園長の孫の代官山すみれ、魔力暴走を起こす野々村仁乃、方向音痴の鷹取柚子里、志麻莉里、幸村の腐れ縁の三峰美奈都とその兄の真。そんな崖っぷちな学生たちの物語。
<考察>本作ではテキストの拡大・縮小が多用される。これは、キャラクターの叫び声・怒鳴り声といった大声を表現するために使われる。ヘッドホンなどをしていることを想定すると音量を上げるわけにはいかないためだろう。『祝福のカンパネラ』ではキャラクターの立ち絵を拡大すること、文章の末尾に「!」のような記号をつけることで表現していた。本作は読んでいるテキストのサイズが変わるために視覚的にはわかりやすいが、小さくなった場合には読みづらくなってしまっている。
28.『家族計画〜追憶〜』ブランド:D.O.
〈あらすじ〉歌舞伎町で中華料理店のアルバイトをしている沢村司は、ある日路地裏で行き倒れの少女を見つける。彼女は名を春花と名乗るが国籍不明、挙動不審、さらには日本語が通じない。司は行く当てのない彼女をなし崩し的に家に住まわせることに。
それを皮切りに、破産し自殺しようとしていた女性・板倉真純、元社長令嬢だったが現在は無職の高屋敷青葉、ホームレスの河原茉莉、元会社員の広田寛などの人々と偶然見つけた空き家で「相互扶助計画」と題し、共同生活を始める。
〈考察〉本作は美少女ゲームの傑作の1つとして知られる。彼ら全員に共通するのは「天涯孤独」で身寄りのないことであり、そんな中で擬似家族を構成していく。彼らの過去からは自然とドラマが生まれるために、深みのある作品となっている。
春花の言葉遣いについて。司から日本語を教わるために、「晩飯(ばんめし)」などのようにぶっきらぼうで荒い口調に仕上がる。アドベンチャー形式の作品で言葉遣いはとても重要視されるため、司と春花の絆の深さが伺えるようになっている。
29.『なついろレシピ』ブランド: PULLTOP Air
<あらすじ>ある日、主人公・杜丘岳史の父に宛てられた「娘」を名乗る人物からの手紙が届く。しかし、海外生活をする父の代わりに受け取った岳史はひとまず「娘」に会うべく田舎の山村「白珠村」に訪れる。そこで待っていたのはひとりぼっちで日本家屋に住む八重原柚であった。祖母を亡くして間もない彼女の身を案じ、岳史は共同生活を始める。
<考察>本作の魅力は恐ろしく質の高い料理CGである。一見、ゲームに関係ないように思われるが、平面の登場人物たちに実写の料理の写真よりも手描きの料理を添えることで浮いてしまうことがなく、自然に溶け込ませることができるようになっている。
また、ヒロインとの関係を深める段階も明確であり、まず町になれない主人公が案内を頼む・ともに川遊びをして秘密を共有する。このように、制作自体が明確化されていることは作り手としても完成度が高く大きな評価点である。
舞台設定について。本作の舞台はライフラインは通じているものの、外界からシャットアウトされた秘境である。この舞台設定は伝統的に利用されており、古くは『無人島物語』や昨年では『サメと生きる七日間』などがある。これにより、新たな世界観を構築することでキャラクターを自然に配置することができるメリットがあるだろう。場所性を持った都会などでは現実味がなく浮いてしまうが、場所性を持たない非日常では浮いてしまうことがない。
30.『それは舞い散る桜のように -Re:birth-』ブランド:Navel
<あらすじ>春休み最後の日を友人と無駄に過ごしていた主人公・桜井舞人だが、そこで同じ学園の絶対的美少女・星崎希望と出会う。また、進級した舞人たちは希望や悪友の八重樫つばさと同じクラスになる。さらに、新一年生には幼馴染の雪村小町が舞人を追ってこの町に引っ越してきた。舞人のドタバタ学園コメディが幕を開ける。
<考察>秋葉原の美少女ゲームにおける2023年のムーブメント、それは3月の枕『サクラノ刻』の発売、4月のゆずソフト『天使☆騒々 Re-Boot(以下『天使騒々』)』の深夜販売、そして9月の本作の発売である。
しかし、今回の騒動からはパッケージによる現物での販売による問題点を多々見ることができた。本作の発売日前のインターネット予約は8月で受付を終了し、さらに一般販売分が市場に出回ることはほとんどなかった。また、基本的に美少女ゲームには再販売はないため、予約に間に合わなかった購入希望者たちはどこにいくつあるのかもわからない在庫を求め溢れかえった。
しかし、『サクラノ刻』・『天使騒々』においてもこのようなことは起きなかった。ここには、業界の古参ブランドであるNavelの性格が如実に表れている。本作が21年前に発売された名作のリメイクであること。これにより、購入者の年齢層は自然と上昇し「ダウンロード販売」よりもパッケージによる現物を好む傾向が現れる。実際に上記2作品は若年層からの支持が高いという本作との決定的な違いがある、
また、選択肢を見せかけは変えずに省エネ化出来ている点に気づくことができた。選択肢の大半はどちらを選択しても変化するのは好感度のみのようで、その後の展開は個別ルートに入るまで変わらない。例えば、ヒロインと昼食をとるかどうかの選択肢であれば、例え「とらない」を選んでも紆余曲折によって昼食をとることになる。これによってライターの労力を減らすことができ、またプレイヤーがヒロインを突き放したことで本来感じる罪悪感を打ち消すことに成功している。
31.『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』(TVアニメ)
<あらすじ>「大作つくって、みんなが買ってた時代はもうとっくに終わってるんだよ」と社長は新作の大風呂敷を広げたコノハを一喝する。秋葉原のはずれに会社を構える零細ゲームブランド「ブルーベル」で働く主人公・秋里コノハは不満を感じていた。会社は比較的安価な「ミドルプライス」の作品のみを販売するようになり、また彼女の望む「女の子を輝かせることのできるゲーム」を作ることができない体質であるからだ。
コノハがその日、偶然に訪れた中古ゲーム屋で預かった92年発売のヒット作『同級生』のパッケージを開くと彼女は輝きに包まれ、2023年から美少女ゲーム黄金期と後から言われるようになる1992年にタイムリープしていた。
<考察>本作は私が1作品目でまとめた『16bitセンセーション』のテレビアニメ化作品であり、新規ストーリーで制作されている。10月4日に初回放送であるために、今回は1話のみに留める。
まず、変更点について。主人公は1992年当時に大学生であった上原メイ子から、2023年に美少女ゲームブランドで働く秋里コノハに変更されている。これにより、若年層への訴求を目指していることがわかる。
また、コノハの部屋について。本作は様々な企業の協力を得ており、実際のゲームのパッケージやキャラクターのグッズなどを配置することができている。それによってコノハが実際に美少女ゲームのファンであることが明確になり、作品自体の魅力の一つにもなっている。さらにコノハが本当に美少女ゲームが好きであるという特徴・性格を利用することで、旧作にも触れている設定にすることができ、中高年にも親しみのあるキャラクターとして確立されている。
2年 上田
RES
夏休み課題16〜30
16 『白いへび眠る島』(小説)著:三浦しをん
あらすじ
高校最後の夏、悟史が久しぶりに帰省したのは、今も因習が残る拝島だった。
13年ぶりの大祭をひかえ高揚する空気の中、悟史は大人たちの噂を耳にする。言うのもはばかられる怪物『あれ』が出た、と。
不思議な胸のざわめきを覚えながら、悟史は「持念兄弟」とよばれる幼なじみの光市とともに『あれ』の招待を探り始める。
18歳の夏休み、少年が知るのは本当の自由の意味か――。
因習、神社、「不思議」が見える主人公、夏休みという、地方を舞台にした作品のおいしいところがとにかく詰まっている作品だと感じた。飲酒運転、未成年飲酒や喫煙は当たり前など、無法地帯である点から閉鎖的な土地であることがわかり、因習が残っていることが自然になっている。持念兄弟である光市との信頼関係も丁寧に描かれており、2人がこれまでどのように過ごしてきたのかがよくわかる。後半の少し不気味な展開も緊張感があり、都市伝説が好きな人などにぴったりの作品だと思った。
17 『死神の精度』(小説) 著:伊坂幸太郎
あらすじ
①CDショップに入りびたり②苗字が町や市の名前であり③受け答えが微妙にずれていて④素手で他人に触ろうとしない――そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。
オムニバス形式の作品だが、これまで全く関係の無かった人物たちが最終話で一気に繋がっていく点が面白い展開だった。1話読み切ると淡々と次の話に進み、どれだけ時間が過ぎているのか、どのような時代なのか掴みづらかったが、最終話の時代は第1話から数十年後だということが判明する。作中で死神が「人の一生は短い」と言っていたが、本来体験することのできない感覚を追体験することができるため、演出力が伺える作品だった。
18 『忘却バッテリー』(漫画) 作:みかわ絵子
あらすじ
誰からも恐れられた、怪物バッテリーが普通の都立高校へ!? 出会うはずのない場所で、天才たちは出会ってしまった…!
主人公の一人が記憶喪失になるという重い展開から始まるが、圭の記憶喪失状態がアホ(公式)であるため、ギャグとしての要素となっている。また、一度は野球を挫折したキャラクターたちが集結し、強い野球チームとして動き出す展開は王道といえる。それぞれ得意なことを活かしてチームを勝利に導く姿は、スポーツ漫画の醍醐味だろう。
後に実は圭は記憶喪失でなく二重人格と判明するが、タイトルの「忘却」とは一体何を指すのかという新たな謎が生まれるなど、今後も目が離せない作品である。
19 『その着せ替え人形は恋をする』 作:福田晋一
あらすじ
【クラスのギャルと秘密の関係…?】
いつも友人の輪の中心にいるギャル系美少女、喜多川海夢。クラスメートの五条新菜は、彼女を“別世界の人間”だと思っていた。雛人形の頭師を目指す新菜が、放課後被服実習室で作業していると、そこに現れたのは…まさかの…!? 二人のドキドキ山盛り☆コスプレ・スクールライフが始まる!!
クラスの中心的存在のギャルである海夢がオタクであり、コスプレに憧れているという点が現代的であると感じる。かつてオタクは海夢のようなタイプから忌避される存在であったからである。また、キャラクターに対する解釈を徹底的に深堀りし、それに合わせて生地素材を選ぶなど、ものづくりの楽しさ、ラブコメ要素などの魅力が詰まった作品だと感じた。五条の作品に真摯に向かう姿や常に敬語である点などが真面目な印章を受けるが、実際は健全な男子高校生であり、お色気シーンでは煩悩と戦う様子が描かれることで等身大のキャラクターとなっている。
20 『ホリミヤ』(漫画) 原作:HERO 作画:萩原ダイスケ
あらすじ
【青春、超微炭酸系。】
一見派手だけど、実は地味で家庭的な女子高生・堀さんと、学校では根暗地味メガネだけど、実はピアスだらけの美形男子・宮村くん。真逆のようで似ているような、二人が偶然出会ったら…!? 甘くて胸がキュッとなる、超微炭酸系スクールライフ第1巻!
高校生の緩い青春を爽やかに描いた作品である。ギャルであるが家庭的な堀京子、静かで大人しいがピアッシングやタトゥーを自身に施す宮村伊澄というギャップを持つ2人が主人公である。男女の青春を描いた作品にしては珍しく、2人が恋人同士になるまでの過程はあっさりとしている。出会ってばかりで付き合うというよりは、友達から恋人までの時間が圧倒的に短いといった印章だ。また、この2人が主人公であるものの、周りの人物たちも丁寧に描かれ、まさしく「高校生の日常」を覗いているかのような作品である。
21 『ギヴン』(漫画) 作:キヅナツキ
あらすじ
好きだったはずのギターも、おもしろかったはずのバスケも、くすんで見え始めたある日。上ノ山は、壊れたギターを抱えた真冬と出会う。ギターを修理してやったら、途端に懐かれるが、偶然聴いた真冬の歌が、上ノ山に刺さって――。
キヅナツキが描く、裸のオルタナティヴ・ラブ!
繊細なタッチで淡く綺麗なイラストとは裏腹に、キャラクターたちの他人へ向ける感情はどろどろと煮詰まっている印章である。モノローグや台詞などに用いられる比喩が婉曲的で、漫画であるにもかかわらず小説を読んでいるときのような頭の使い方をする作品である。BL作品だが、それを気にさせない程に、音楽と恋愛の両立の難しさ、大切な人を失ったときの喪失感、欲しいものが手に入らないときのもどかしさなどの仄暗い感情が鮮明に、深く、美しく描かれている。
22『 光が死んだ夏』(漫画) 作:モクモクれん
あらすじ
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに気づいてしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく運命の物語、開幕。
セミの鳴き声や物音などの効果音を表す際に不気味なフォントが使われることで、夏に起こる恐怖を予感させる。光が何者かに代わっていたことが明かされるシーンでは周りの音が一切消えており、ゾッとする演出である。青春、ブロマンスなど、ホラーをベースに様々なジャンルが詰め込まれているため、色々な角度から楽しむことができる。ホラーシーンはそこまで強烈ではなく、「怖い」というよりも「不気味」といった雰囲気のため、ホラー漫画が苦手な人でも比較的読みやすいと思われる。
23 『工場夜景』(漫画) 作:有賀リエ
あらすじ
17歳の夏、僕らの世界は失われた。
工場地帯の近くに住む幼馴染の高校生、碧と貴臣。2人はお互い惹かれ合いつつも、ただなんとなく日々を過ごしていた。
「高校最後の夏休み、2人きりで工場夜景を見に行こう——。」
そう約束して、始まるかに見えた恋。しかしその関係は、ある事件をきっかけに、抗えない運命に翻弄されていく……。
不条理に満ちた世界で、それでも想い合う2人を描く社会派ラブストーリー第一弾!
タイトルと表紙に惹かれて読んだが、内容は予想と大きく違っていた。性犯罪加害者とその被害者それぞれの子どもに焦点を当てた話で、私たちが無意識にしていることで直接的には関係ない人を傷つけている可能性があるのだと考えさせられる話だった。ただ、このストーリーと工場夜景の関連性が見つけられず、タイトルにするほど工場夜景が重要であったのか疑問に思った。登場人物たちが実在する川崎の工場夜景を見に行ったシーンでは、景色が一際丁寧に描かれ、実際に訪れてみたいと思わされた。
24 『鹿楓堂よついろ日和』(漫画) 作:清水ユウ
あらすじ
ここは和風喫茶・鹿楓堂。店主でお茶担当のスイ、ラテアート担当のぐれ、スイーツ担当の椿、料理担当のときたか、スペシャリストの4人が働く人気店。彼らはお客様を「おもてなし」をしながら、時にはお客様の"悩み"をも解決することもあるという。さて本日のお客様は……?喫茶店を舞台にした1話完結型ハートフルストーリー、待望の第1巻!
温かい雰囲気のカフェを経営する4人と、カフェに訪れる客や周りの人々との関係を描くヒューマンドラマである。お茶、スイーツ、フード、コーヒーをそれぞれ担当するキャラクターに設定することで、一人ひとりの個性を生み出すほか、キャラクターそのものの深堀りもしやすくなっていると考えられる。作中のスイーツやフードも美味しそうに描かれており、客の感想も食欲をそそるものばかりであるため、グルメ漫画としても楽しめる。
25 「BLEACH 千年血戦篇」(アニメ)
あらすじ
偶然か、あるいは必然か――
とある出会いから死神の力を手にし《死神代行》となった黒崎一護は、現世で死した魂魄が集う場所・尸魂界(ソウル・ソサエティ)の動乱に巻き込まれ、熾烈な戦いの中、仲間と共に大きく成長を遂げてきた。
そんな一護の暮らす空座町(からくらちょう)で異変が起こる。新たなる死神と、新たなる敵の出現。そして救いを求める声。一護は再び斬魄刀を取り、戦場へと旅立つ。
一方、尸魂界では、現世における突然の虚(ホロウ)の連続消失が観測され、この地へ導かれた魂が暮らす流魂街での住民たちの失踪が発生、さらには死神たちの住む霊屋・瀞霊廷が賊軍に襲撃される。
賊軍の正体は、滅却師(クインシー)の始祖・ユーハバッハが率いる《見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)》。
《見えざる帝国》は、死神たちに宣戦布告する。
5日後、尸魂界は"見えざる帝国"により殲滅される
千年の長きにわたり死神たちが背負っていた因縁。その宿業と秘められた真実がついに紐解かれる。
全ては終焉へ。黒崎一護の、最後の戦いが始まる――。
序盤で一護の相棒ともいえる斬月の姿が敵であるユーハバッハのそれであったという衝撃的な事実が明かされ、その理由は何なのかという謎を残しつつあちこちで壮絶な戦いが繰り広げられることで終始緊迫感を保っている。絶望的な状況を打破すべくキャラクターたちが力をつける様はジャンプの王道であり、展開が予想できるものの、キャラクターたちがどのような変化を遂げるのかを楽しめる。これは多彩なキャラクターを生み出した作者の発想力によるものであり、その力量が窺える。
26『地縛少年花子くん』20巻(漫画) 作:あいだいろ
あらすじ
七不思議六番による騒動は解決し、日常が戻ってきた光たち。
祓い屋になることを改めて決意する中、離ればなれになっていたミツバと再会する。
喜ぶのもつかの間、ミツバから告げられた言葉は思いがけないもので…。
学園七不思議怪異譚、夜遊びの第20巻!
七不思議六番編が終わり、新たな長編へのつなぎとなる巻であった。平和な日常が戻ってくるのかと思いきや、光とミツバが怪異の水族館に迷いこんだり、それがきっかけでミツバの現状を知ることになったりと盛りだくさんの内容だった。このように、長編の合間にも新たな情報を入れることでテンポがよくなっているように感じる。また、感情の変化が細かく描かれており、単なる怪談ホラーにとどまらないことが人気の理由の一つであると思われる。
27『氷の城壁』第4巻(漫画) 作:阿賀沢紅茶
あらすじ
放課後いつも1人で過ごしているヨータを心配した小雪は、ヨータが心に抱えている本音と「告白」を聞く。
一方ミナトは、そんな2人の関係が気になりすぎて…?
そして美姫は、クラスで素の自分を出せずにいることを思い悩み…⁉
ずっと明るくムードメーカーであった美姫や大らかなヨータが悩む姿が多く描かれ、誰にでも悩みがあるのだと気付かされた。また、仲がよかったはずの友人と距離を置き始める過程もリアルで、誰にでも少しは心当たりがあるのではないかと思った。他にもヨータと美姫の恋を応援するこゆんや、ヨータとこゆんの仲が良さそうな様子にやきもきするミナトなど、高校生ならではの青春や感情の動きが詰まっており、多くの人の共感を誘う作品となっている。
28『幼稚園WARS』(漫画) 作:千葉侑生
あらすじ
ここは世界の重鎮の子が通うブラック幼稚園。リタ先生は彼氏募集中だけど出会いが全く無かった。ある日、子供を狙った殺し屋が現れ、超イケメンで⁉世界一"安全"な幼稚園で繰り広げられるアクション×ラブコメ⁉
犯罪者が幼稚園の教諭を務めるという新しい設定、そしてその新しさ故に「なぜ犯罪者が幼稚園の教諭を務めるのか」という謎が生まれ、結末の予想がつかない点が面白い。「幼稚園」という舞台に合ったポップなタッチのイラストが特徴的な作品である。初めは流れがテンプレート化しており、今後飽きてしまうのではないかと思われたが、一気に話を進め、時間が経った後に再びテンプレート的展開の話を挟むことで原点回帰のような安心感を与える効果があり、作者の構成力を感じた。
29『青春サプリ。夢をあきらめない』(児童小説) 文:田中夕子、日比野恭三、オサワ部長、青木美帆 絵:くじょう
概要
清風高等学校バレーボール部、聖ウルスラ学院英智高等学校バドミントン部、東京都立千速高等学校演劇部、愛媛県立今治西高等学校伯方分校俳句部、北海道上士幌高等学校熱気球部の実話を集めた青春短編集である。
高校での部活動にて起こった実話の短編集であるため、必ずしも良い結末になるとは限らず、大会で優勝した高校だけを取り上げているわけではない点が良いと思った。高校時代の実話だが、字は大きくふりがなも振られ、小中学生向けに作られた本という印章を受けた。『青春サプリ。』というタイトルの通り、これからへの不安を抱える小中学生に対して高校の感動的な実話によるエールを送り、不安を和らげて元気や勇気を与えるような作品なのではないだろうか。
30『マリッジトキシン』(漫画) 原作:静脈 漫画:依田瑞稀
あらすじ
数百年続く殺し屋『毒使い』の青年・下呂。裏稼業に身を置き、女性が苦手な彼にとって結婚はするべきではないものだった。しかし『毒使い』の血を絶えさせないため実家は彼の妹に対し、強制的に跡継ぎを産ませることを通告。そんな時、下呂は仕事のターゲットだった結婚詐欺師・城崎と出会い…⁉「――そんな提案(プロポーズ)、初めて」結婚詐欺師をアドバイザーにした殺し屋の婚活が始まる!目指すは最高の結婚…世界一ハードな婚活バトルアクション‼
殺し屋×婚活というとんでもない組み合わせだが、そこに至るまでの経緯は妹を想ってのことであり、兄妹愛を同時に描くことができている。ヒカルの嫁候補として登場する女性が全員魅力的であり、新たにキャラクターが登場する度「この人と結婚してほしい」と思わされる。様々なタイプの女性が登場するが、毎度どの相手でも幸せになれそうなキャラクターを描く点に作者の引き出しの多さを感じる。最も有力なヒロインである城崎が男性であると明かされているため、誰と結婚するのか予想できず、目が離せない作品である。
16 『白いへび眠る島』(小説)著:三浦しをん
あらすじ
高校最後の夏、悟史が久しぶりに帰省したのは、今も因習が残る拝島だった。
13年ぶりの大祭をひかえ高揚する空気の中、悟史は大人たちの噂を耳にする。言うのもはばかられる怪物『あれ』が出た、と。
不思議な胸のざわめきを覚えながら、悟史は「持念兄弟」とよばれる幼なじみの光市とともに『あれ』の招待を探り始める。
18歳の夏休み、少年が知るのは本当の自由の意味か――。
因習、神社、「不思議」が見える主人公、夏休みという、地方を舞台にした作品のおいしいところがとにかく詰まっている作品だと感じた。飲酒運転、未成年飲酒や喫煙は当たり前など、無法地帯である点から閉鎖的な土地であることがわかり、因習が残っていることが自然になっている。持念兄弟である光市との信頼関係も丁寧に描かれており、2人がこれまでどのように過ごしてきたのかがよくわかる。後半の少し不気味な展開も緊張感があり、都市伝説が好きな人などにぴったりの作品だと思った。
17 『死神の精度』(小説) 著:伊坂幸太郎
あらすじ
①CDショップに入りびたり②苗字が町や市の名前であり③受け答えが微妙にずれていて④素手で他人に触ろうとしない――そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。
オムニバス形式の作品だが、これまで全く関係の無かった人物たちが最終話で一気に繋がっていく点が面白い展開だった。1話読み切ると淡々と次の話に進み、どれだけ時間が過ぎているのか、どのような時代なのか掴みづらかったが、最終話の時代は第1話から数十年後だということが判明する。作中で死神が「人の一生は短い」と言っていたが、本来体験することのできない感覚を追体験することができるため、演出力が伺える作品だった。
18 『忘却バッテリー』(漫画) 作:みかわ絵子
あらすじ
誰からも恐れられた、怪物バッテリーが普通の都立高校へ!? 出会うはずのない場所で、天才たちは出会ってしまった…!
主人公の一人が記憶喪失になるという重い展開から始まるが、圭の記憶喪失状態がアホ(公式)であるため、ギャグとしての要素となっている。また、一度は野球を挫折したキャラクターたちが集結し、強い野球チームとして動き出す展開は王道といえる。それぞれ得意なことを活かしてチームを勝利に導く姿は、スポーツ漫画の醍醐味だろう。
後に実は圭は記憶喪失でなく二重人格と判明するが、タイトルの「忘却」とは一体何を指すのかという新たな謎が生まれるなど、今後も目が離せない作品である。
19 『その着せ替え人形は恋をする』 作:福田晋一
あらすじ
【クラスのギャルと秘密の関係…?】
いつも友人の輪の中心にいるギャル系美少女、喜多川海夢。クラスメートの五条新菜は、彼女を“別世界の人間”だと思っていた。雛人形の頭師を目指す新菜が、放課後被服実習室で作業していると、そこに現れたのは…まさかの…!? 二人のドキドキ山盛り☆コスプレ・スクールライフが始まる!!
クラスの中心的存在のギャルである海夢がオタクであり、コスプレに憧れているという点が現代的であると感じる。かつてオタクは海夢のようなタイプから忌避される存在であったからである。また、キャラクターに対する解釈を徹底的に深堀りし、それに合わせて生地素材を選ぶなど、ものづくりの楽しさ、ラブコメ要素などの魅力が詰まった作品だと感じた。五条の作品に真摯に向かう姿や常に敬語である点などが真面目な印章を受けるが、実際は健全な男子高校生であり、お色気シーンでは煩悩と戦う様子が描かれることで等身大のキャラクターとなっている。
20 『ホリミヤ』(漫画) 原作:HERO 作画:萩原ダイスケ
あらすじ
【青春、超微炭酸系。】
一見派手だけど、実は地味で家庭的な女子高生・堀さんと、学校では根暗地味メガネだけど、実はピアスだらけの美形男子・宮村くん。真逆のようで似ているような、二人が偶然出会ったら…!? 甘くて胸がキュッとなる、超微炭酸系スクールライフ第1巻!
高校生の緩い青春を爽やかに描いた作品である。ギャルであるが家庭的な堀京子、静かで大人しいがピアッシングやタトゥーを自身に施す宮村伊澄というギャップを持つ2人が主人公である。男女の青春を描いた作品にしては珍しく、2人が恋人同士になるまでの過程はあっさりとしている。出会ってばかりで付き合うというよりは、友達から恋人までの時間が圧倒的に短いといった印章だ。また、この2人が主人公であるものの、周りの人物たちも丁寧に描かれ、まさしく「高校生の日常」を覗いているかのような作品である。
21 『ギヴン』(漫画) 作:キヅナツキ
あらすじ
好きだったはずのギターも、おもしろかったはずのバスケも、くすんで見え始めたある日。上ノ山は、壊れたギターを抱えた真冬と出会う。ギターを修理してやったら、途端に懐かれるが、偶然聴いた真冬の歌が、上ノ山に刺さって――。
キヅナツキが描く、裸のオルタナティヴ・ラブ!
繊細なタッチで淡く綺麗なイラストとは裏腹に、キャラクターたちの他人へ向ける感情はどろどろと煮詰まっている印章である。モノローグや台詞などに用いられる比喩が婉曲的で、漫画であるにもかかわらず小説を読んでいるときのような頭の使い方をする作品である。BL作品だが、それを気にさせない程に、音楽と恋愛の両立の難しさ、大切な人を失ったときの喪失感、欲しいものが手に入らないときのもどかしさなどの仄暗い感情が鮮明に、深く、美しく描かれている。
22『 光が死んだ夏』(漫画) 作:モクモクれん
あらすじ
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに気づいてしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。新進気鋭の作家・モクモクれんが描く、未知のナニカへ堕ちていく運命の物語、開幕。
セミの鳴き声や物音などの効果音を表す際に不気味なフォントが使われることで、夏に起こる恐怖を予感させる。光が何者かに代わっていたことが明かされるシーンでは周りの音が一切消えており、ゾッとする演出である。青春、ブロマンスなど、ホラーをベースに様々なジャンルが詰め込まれているため、色々な角度から楽しむことができる。ホラーシーンはそこまで強烈ではなく、「怖い」というよりも「不気味」といった雰囲気のため、ホラー漫画が苦手な人でも比較的読みやすいと思われる。
23 『工場夜景』(漫画) 作:有賀リエ
あらすじ
17歳の夏、僕らの世界は失われた。
工場地帯の近くに住む幼馴染の高校生、碧と貴臣。2人はお互い惹かれ合いつつも、ただなんとなく日々を過ごしていた。
「高校最後の夏休み、2人きりで工場夜景を見に行こう——。」
そう約束して、始まるかに見えた恋。しかしその関係は、ある事件をきっかけに、抗えない運命に翻弄されていく……。
不条理に満ちた世界で、それでも想い合う2人を描く社会派ラブストーリー第一弾!
タイトルと表紙に惹かれて読んだが、内容は予想と大きく違っていた。性犯罪加害者とその被害者それぞれの子どもに焦点を当てた話で、私たちが無意識にしていることで直接的には関係ない人を傷つけている可能性があるのだと考えさせられる話だった。ただ、このストーリーと工場夜景の関連性が見つけられず、タイトルにするほど工場夜景が重要であったのか疑問に思った。登場人物たちが実在する川崎の工場夜景を見に行ったシーンでは、景色が一際丁寧に描かれ、実際に訪れてみたいと思わされた。
24 『鹿楓堂よついろ日和』(漫画) 作:清水ユウ
あらすじ
ここは和風喫茶・鹿楓堂。店主でお茶担当のスイ、ラテアート担当のぐれ、スイーツ担当の椿、料理担当のときたか、スペシャリストの4人が働く人気店。彼らはお客様を「おもてなし」をしながら、時にはお客様の"悩み"をも解決することもあるという。さて本日のお客様は……?喫茶店を舞台にした1話完結型ハートフルストーリー、待望の第1巻!
温かい雰囲気のカフェを経営する4人と、カフェに訪れる客や周りの人々との関係を描くヒューマンドラマである。お茶、スイーツ、フード、コーヒーをそれぞれ担当するキャラクターに設定することで、一人ひとりの個性を生み出すほか、キャラクターそのものの深堀りもしやすくなっていると考えられる。作中のスイーツやフードも美味しそうに描かれており、客の感想も食欲をそそるものばかりであるため、グルメ漫画としても楽しめる。
25 「BLEACH 千年血戦篇」(アニメ)
あらすじ
偶然か、あるいは必然か――
とある出会いから死神の力を手にし《死神代行》となった黒崎一護は、現世で死した魂魄が集う場所・尸魂界(ソウル・ソサエティ)の動乱に巻き込まれ、熾烈な戦いの中、仲間と共に大きく成長を遂げてきた。
そんな一護の暮らす空座町(からくらちょう)で異変が起こる。新たなる死神と、新たなる敵の出現。そして救いを求める声。一護は再び斬魄刀を取り、戦場へと旅立つ。
一方、尸魂界では、現世における突然の虚(ホロウ)の連続消失が観測され、この地へ導かれた魂が暮らす流魂街での住民たちの失踪が発生、さらには死神たちの住む霊屋・瀞霊廷が賊軍に襲撃される。
賊軍の正体は、滅却師(クインシー)の始祖・ユーハバッハが率いる《見えざる帝国(ヴァンデンライヒ)》。
《見えざる帝国》は、死神たちに宣戦布告する。
5日後、尸魂界は"見えざる帝国"により殲滅される
千年の長きにわたり死神たちが背負っていた因縁。その宿業と秘められた真実がついに紐解かれる。
全ては終焉へ。黒崎一護の、最後の戦いが始まる――。
序盤で一護の相棒ともいえる斬月の姿が敵であるユーハバッハのそれであったという衝撃的な事実が明かされ、その理由は何なのかという謎を残しつつあちこちで壮絶な戦いが繰り広げられることで終始緊迫感を保っている。絶望的な状況を打破すべくキャラクターたちが力をつける様はジャンプの王道であり、展開が予想できるものの、キャラクターたちがどのような変化を遂げるのかを楽しめる。これは多彩なキャラクターを生み出した作者の発想力によるものであり、その力量が窺える。
26『地縛少年花子くん』20巻(漫画) 作:あいだいろ
あらすじ
七不思議六番による騒動は解決し、日常が戻ってきた光たち。
祓い屋になることを改めて決意する中、離ればなれになっていたミツバと再会する。
喜ぶのもつかの間、ミツバから告げられた言葉は思いがけないもので…。
学園七不思議怪異譚、夜遊びの第20巻!
七不思議六番編が終わり、新たな長編へのつなぎとなる巻であった。平和な日常が戻ってくるのかと思いきや、光とミツバが怪異の水族館に迷いこんだり、それがきっかけでミツバの現状を知ることになったりと盛りだくさんの内容だった。このように、長編の合間にも新たな情報を入れることでテンポがよくなっているように感じる。また、感情の変化が細かく描かれており、単なる怪談ホラーにとどまらないことが人気の理由の一つであると思われる。
27『氷の城壁』第4巻(漫画) 作:阿賀沢紅茶
あらすじ
放課後いつも1人で過ごしているヨータを心配した小雪は、ヨータが心に抱えている本音と「告白」を聞く。
一方ミナトは、そんな2人の関係が気になりすぎて…?
そして美姫は、クラスで素の自分を出せずにいることを思い悩み…⁉
ずっと明るくムードメーカーであった美姫や大らかなヨータが悩む姿が多く描かれ、誰にでも悩みがあるのだと気付かされた。また、仲がよかったはずの友人と距離を置き始める過程もリアルで、誰にでも少しは心当たりがあるのではないかと思った。他にもヨータと美姫の恋を応援するこゆんや、ヨータとこゆんの仲が良さそうな様子にやきもきするミナトなど、高校生ならではの青春や感情の動きが詰まっており、多くの人の共感を誘う作品となっている。
28『幼稚園WARS』(漫画) 作:千葉侑生
あらすじ
ここは世界の重鎮の子が通うブラック幼稚園。リタ先生は彼氏募集中だけど出会いが全く無かった。ある日、子供を狙った殺し屋が現れ、超イケメンで⁉世界一"安全"な幼稚園で繰り広げられるアクション×ラブコメ⁉
犯罪者が幼稚園の教諭を務めるという新しい設定、そしてその新しさ故に「なぜ犯罪者が幼稚園の教諭を務めるのか」という謎が生まれ、結末の予想がつかない点が面白い。「幼稚園」という舞台に合ったポップなタッチのイラストが特徴的な作品である。初めは流れがテンプレート化しており、今後飽きてしまうのではないかと思われたが、一気に話を進め、時間が経った後に再びテンプレート的展開の話を挟むことで原点回帰のような安心感を与える効果があり、作者の構成力を感じた。
29『青春サプリ。夢をあきらめない』(児童小説) 文:田中夕子、日比野恭三、オサワ部長、青木美帆 絵:くじょう
概要
清風高等学校バレーボール部、聖ウルスラ学院英智高等学校バドミントン部、東京都立千速高等学校演劇部、愛媛県立今治西高等学校伯方分校俳句部、北海道上士幌高等学校熱気球部の実話を集めた青春短編集である。
高校での部活動にて起こった実話の短編集であるため、必ずしも良い結末になるとは限らず、大会で優勝した高校だけを取り上げているわけではない点が良いと思った。高校時代の実話だが、字は大きくふりがなも振られ、小中学生向けに作られた本という印章を受けた。『青春サプリ。』というタイトルの通り、これからへの不安を抱える小中学生に対して高校の感動的な実話によるエールを送り、不安を和らげて元気や勇気を与えるような作品なのではないだろうか。
30『マリッジトキシン』(漫画) 原作:静脈 漫画:依田瑞稀
あらすじ
数百年続く殺し屋『毒使い』の青年・下呂。裏稼業に身を置き、女性が苦手な彼にとって結婚はするべきではないものだった。しかし『毒使い』の血を絶えさせないため実家は彼の妹に対し、強制的に跡継ぎを産ませることを通告。そんな時、下呂は仕事のターゲットだった結婚詐欺師・城崎と出会い…⁉「――そんな提案(プロポーズ)、初めて」結婚詐欺師をアドバイザーにした殺し屋の婚活が始まる!目指すは最高の結婚…世界一ハードな婚活バトルアクション‼
殺し屋×婚活というとんでもない組み合わせだが、そこに至るまでの経緯は妹を想ってのことであり、兄妹愛を同時に描くことができている。ヒカルの嫁候補として登場する女性が全員魅力的であり、新たにキャラクターが登場する度「この人と結婚してほしい」と思わされる。様々なタイプの女性が登場するが、毎度どの相手でも幸せになれそうなキャラクターを描く点に作者の引き出しの多さを感じる。最も有力なヒロインである城崎が男性であると明かされているため、誰と結婚するのか予想できず、目が離せない作品である。