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夏休み課題 21~31(書いていたら30を過ぎていました)
21.『School Days』ブランド:0verflow
〈あらすじ〉主人公・伊藤誠は同じ駅から学園に通う話したこともない少女・桂言葉に片思いをしていた。それを知った隣の席に座る少女・西園寺世界は誠を応援し、ついには言葉をデートに誘うことに成功するに至る。誠は駅のホームでどんなことでもいいから借りを返すと世界に伝えると、世界は誠に無理やり口づけをして電車に乗り一人涙を流す。
〈考察〉本作は全編がアニメーションで構成されており、途中で映像が止まり選択肢が登場する独自のシステム「フルアニメーションアドベンチャーゲーム」を採用している。その長さにして、30分のテレビアニメ70話分とされている。さらに、ストーリーを1章・2章と区切るのではなく1話・2話と区切っており、本当にアニメーションを見ているかのような体験ができる。
恋愛ゲームにおける三人称視点。ストーリーが可変であるために、恋路を応援することも引っ掻き回すこともできる。自由度の高いことはメリットではあるが、そういった要素を広げれば広げるほどリソースを割くことになってしまう制作側のデメリットがあるだろう。
本作において有名な曲と言えばいとうかなこの歌う「悲しみの向こうへ」だろう。TVアニメーション版の衝撃的なシーンで挿入される。しかし、原作ゲームではKIRIKOの「Still I Love You ~みつめるよりは幸せ〜」が重要視されている。
その理由について、この曲は世界が誠の恋を手伝った後、誠にキスをして電車へ走り去り、1人泣く1話の最終場面で流れる。この部分のみでは、世界がなぜこの行動をとったのかプレイヤーは想像することしか難しい。しかし、この曲は世界について歌い上げているため、曲を聴くことで理解することができる。そのためにプレイヤーの印象に残るのだろう。また1番は世界の前日談、2番は誠が言葉と恋人になった後の世界の心情を描いている。
22.『D.C.P.C. 〜ダ・カーポ〜 プラスコミュニケーション』ブランド:CIRCUS
<あらすじ>7年前から一年中枯れない桜の咲く少し不思議な初音島。そこに暮らす「何もないところから和菓子を生み出す力」と「他人の夢を人に見せられる力」の2つの少し不思議な能力を持つ主人公・朝倉純一は風見学園に通う3年生。両親は海外赴任しており、同い年の義理の妹である音夢と2人暮らし。そんな卒業間近で少しこそばゆい彼の恋物語が幕を開ける。
<考察>本作の桜の存在について考察する。確かに桜はストーリーの根幹に少し関わってくるのだが、本質的な効果は別にあると考える。
本作には古風な巫女、ささやかな異能力を持つ主人公、人に化けた宇宙人といった特殊なキャラクターが登場する。それを隠している者もいるが、当然ながらプレイヤーにはわかるため、ユーザーに寄り添った結果として枯れない桜があるのではないかと考える。舞台設定自体を不思議な桜の咲く、外界から隔離された「島」という条件にすることでキャラクターの特殊性を薄め、自然な設定となっているのではないのだろうか。また、学生服によく似合う桜をいつでも背景にできるという部分もあるだろう。
23.『BALDR SKY Dive1 "Lost Memory"』ブランド:戯画
<あらすじ>主人公・門倉甲は突如、謎の女性・桐島レインによって目覚めさせられる。わけもわからずレインに導かれた彼はロボット「シュミクラム」に乗り敵地を逃げ回り、なんとか仮想空間から脱出することに成功する。そこで彼が目にしたものは記憶に1番新しい平和な学園生活ではなく、荒廃した街並みであった。
甲は父親と同じく腕の立つシュミクラム乗りであったが、原因不明の記憶損傷状態であることが告げられる。荒廃した直接的な事件である「灰色のクリスマス」の真相を追う2人の物語が始まる。
<考察>本作はアドベンチャーと見下ろしの2Dアクションを含む独自のシステムをとっている。アクション部分はシュミクラムを操り、敵を撃破しながら数多の装備を換装していく骨太に仕上がっており、非常にクオリティが高い。
しかし、アドベンチャー部分が手抜きというわけではなく世界観などの設定がよく作り込まれており、勇敢でクールな傭兵のレインも話が進むにつれてまた違った一面を見せていくことで魅力的なヒロイン像として確立されている。
24.『リリミエスタ』ブランド:SMEE
<あらすじ>舞台は地上から見た天国、「天上」の世界。しかし、地上との命の循環のバランスが崩れ始めていた。循環を生み出すのは、地上で採取できる人間の感謝の心「フェリチタ」である。フェリチタの採集のために創設された養成機関「アリア・クラーレ」に通う候補生の主人公・守島友春、幼馴染の逢坂菜桜子、そして東雲藍里は現地担当者の涼原綾乃が教師をしている地上の明風学園へ入学し、フェリチタを採取する課題に取り組む。
<考察>本作は王道のストーリーであり、テンポもよい。しかし、天上の設定がほとんどストーリーに作用していない。登場人物たちは地上の常識が通じるごく普通の知識を有しており、彼らに独自の能力があること以外には地上の人間と変わりない。また、その能力を使ったところで地上の人間たちが恐れをなすわけどころか驚くわけでもない。さらに、無口な藍里以外は社交的で地上の者たちとも問題なく仲良くなるため天上の人々であるという設定が死んでしまっている。
25.『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』ブランド:戯画
<あらすじ>父の再婚で新たな家族が出来た主人公・結城大介。その両親が世界一周旅行へ行っている間、父が経営するアンティーク喫茶店「キュリオ」の代理店長を任される。 会ったばかりの義理の妹すずとの同居生活・ 世間知らずの 美里との運命的な出会いと、大介はいきなり始まった新生活をどう過ごしていくのか。
<考察>夜、その日の出来事を回想しながら歩いている大介のもとに突如美里が現れる。その瞬間、プレイヤーの私も本当に驚いた。アドベンチャーゲームでこのようなことは初めてであったので要因になりそうなものを探した。
①美里が「今日はビジネスホテルに泊まります」と既に今日会うことはないことを確信することができ、大介は何かあったら電話するようにと連絡手段を作り会う必要がないと示していること。
②時間帯が夜であり、直前まで回想を流すことでゲーム内時間の一日が終了することを予感させるためこれ以上イベントは起きないと考えられること。
③大介の回想は緩やかなテンポのBGMと暗闇の背景であるが、美里の立ち絵と町の背景が表示される直前に先に拡大表示された彼女の台詞テキストと音声を挿入し、そのあとからBGMを流すこと。
しかし、本作の評価点としてそのあとは特に何もなく3分以内程度で一日が終了する。これは奇をてらったイベントでプレイヤーを驚かせた後に必要以上に飽きさせることがなくなっている。
26.『パルフェ 〜ショコラ second brew〜』ブランド:戯画
<あらすじ>経済学部に通う大学3年生の主人公・高村 仁と義理の姉・杉澤恵麻は半年前まで人気の欧風アンティーク喫茶「ファミーユ」で明日香・かすり・里伽子といった仲間たちと働いていた。開店前に亡くなった兄とその妻の恵麻が育ててきた店であったのだが、ある夜に火事に遭いそのまま閉店。
ある日、1ヶ月後に開店する大型ショッピングモール「ブリックモール」から格安で出店の話を持ち掛けられ、仁はファミーユを復活させることを決意する。かつての従業員を呼び寄せるものの、集まったのは明日香・かすりのみ。
里伽子は協力こそしないものの、出店予定地の向かいに有名メイド喫茶店「キュリオ」が三号店を出すために「ファミーユに勝算はない」と仁に忠告する。打開策を見つけることのできないまま開店前日の夜になった。仁がファミーユに立ち寄ると見知らぬ少女がいた。彼女は風美 由飛と名乗り、言葉遣いも可笑しく、面接さえもしていないのに勝手に制服を着ている不思議な人物だが、彼女は玲瓏たる美声を持っていた。
仁は彼女の採用を決め、新生ファミーユの経営を始める。
<考察>本作は、『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』の続編にあたる。本作の構図として面白いのは前作で舞台となった喫茶店curioが成功した世界において、キュリオのコンセプトを模倣し、半ばライバル視しているファミーユが舞台となっている点である。
27.『スズノネセブン!』ブランド:クロシェットlumie
<あらすじ>スズノネ魔法学園では、成績・内申点のワースト7名に選ばれると学園の敷地内で行われる合宿への参加を強制される伝統がある。そこで個別に出される課題に合格しなければ、退学処分になってしまう。
魔力工学科一年の城戸幸村、学園長の孫の代官山すみれ、魔力暴走を起こす野々村仁乃、方向音痴の鷹取柚子里、志麻莉里、幸村の腐れ縁の三峰美奈都とその兄の真。そんな崖っぷちな学生たちの物語。
<考察>本作ではテキストの拡大・縮小が多用される。これは、キャラクターの叫び声・怒鳴り声といった大声を表現するために使われる。ヘッドホンなどをしていることを想定すると音量を上げるわけにはいかないためだろう。『祝福のカンパネラ』ではキャラクターの立ち絵を拡大すること、文章の末尾に「!」のような記号をつけることで表現していた。本作は読んでいるテキストのサイズが変わるために視覚的にはわかりやすいが、小さくなった場合には読みづらくなってしまっている。
28.『家族計画〜追憶〜』ブランド:D.O.
〈あらすじ〉歌舞伎町で中華料理店のアルバイトをしている沢村司は、ある日路地裏で行き倒れの少女を見つける。彼女は名を春花と名乗るが国籍不明、挙動不審、さらには日本語が通じない。司は行く当てのない彼女をなし崩し的に家に住まわせることに。
それを皮切りに、破産し自殺しようとしていた女性・板倉真純、元社長令嬢だったが現在は無職の高屋敷青葉、ホームレスの河原茉莉、元会社員の広田寛などの人々と偶然見つけた空き家で「相互扶助計画」と題し、共同生活を始める。
〈考察〉本作は美少女ゲームの傑作の1つとして知られる。彼ら全員に共通するのは「天涯孤独」で身寄りのないことであり、そんな中で擬似家族を構成していく。彼らの過去からは自然とドラマが生まれるために、深みのある作品となっている。
春花の言葉遣いについて。司から日本語を教わるために、「晩飯(ばんめし)」などのようにぶっきらぼうで荒い口調に仕上がる。アドベンチャー形式の作品で言葉遣いはとても重要視されるため、司と春花の絆の深さが伺えるようになっている。
29.『なついろレシピ』ブランド: PULLTOP Air
<あらすじ>ある日、主人公・杜丘岳史の父に宛てられた「娘」を名乗る人物からの手紙が届く。しかし、海外生活をする父の代わりに受け取った岳史はひとまず「娘」に会うべく田舎の山村「白珠村」に訪れる。そこで待っていたのはひとりぼっちで日本家屋に住む八重原柚であった。祖母を亡くして間もない彼女の身を案じ、岳史は共同生活を始める。
<考察>本作の魅力は恐ろしく質の高い料理CGである。一見、ゲームに関係ないように思われるが、平面の登場人物たちに実写の料理の写真よりも手描きの料理を添えることで浮いてしまうことがなく、自然に溶け込ませることができるようになっている。
また、ヒロインとの関係を深める段階も明確であり、まず町になれない主人公が案内を頼む・ともに川遊びをして秘密を共有する。このように、制作自体が明確化されていることは作り手としても完成度が高く大きな評価点である。
舞台設定について。本作の舞台はライフラインは通じているものの、外界からシャットアウトされた秘境である。この舞台設定は伝統的に利用されており、古くは『無人島物語』や昨年では『サメと生きる七日間』などがある。これにより、新たな世界観を構築することでキャラクターを自然に配置することができるメリットがあるだろう。場所性を持った都会などでは現実味がなく浮いてしまうが、場所性を持たない非日常では浮いてしまうことがない。
30.『それは舞い散る桜のように -Re:birth-』ブランド:Navel
<あらすじ>春休み最後の日を友人と無駄に過ごしていた主人公・桜井舞人だが、そこで同じ学園の絶対的美少女・星崎希望と出会う。また、進級した舞人たちは希望や悪友の八重樫つばさと同じクラスになる。さらに、新一年生には幼馴染の雪村小町が舞人を追ってこの町に引っ越してきた。舞人のドタバタ学園コメディが幕を開ける。
<考察>秋葉原の美少女ゲームにおける2023年のムーブメント、それは3月の枕『サクラノ刻』の発売、4月のゆずソフト『天使☆騒々 Re-Boot(以下『天使騒々』)』の深夜販売、そして9月の本作の発売である。
しかし、今回の騒動からはパッケージによる現物での販売による問題点を多々見ることができた。本作の発売日前のインターネット予約は8月で受付を終了し、さらに一般販売分が市場に出回ることはほとんどなかった。また、基本的に美少女ゲームには再販売はないため、予約に間に合わなかった購入希望者たちはどこにいくつあるのかもわからない在庫を求め溢れかえった。
しかし、『サクラノ刻』・『天使騒々』においてもこのようなことは起きなかった。ここには、業界の古参ブランドであるNavelの性格が如実に表れている。本作が21年前に発売された名作のリメイクであること。これにより、購入者の年齢層は自然と上昇し「ダウンロード販売」よりもパッケージによる現物を好む傾向が現れる。実際に上記2作品は若年層からの支持が高いという本作との決定的な違いがある、
また、選択肢を見せかけは変えずに省エネ化出来ている点に気づくことができた。選択肢の大半はどちらを選択しても変化するのは好感度のみのようで、その後の展開は個別ルートに入るまで変わらない。例えば、ヒロインと昼食をとるかどうかの選択肢であれば、例え「とらない」を選んでも紆余曲折によって昼食をとることになる。これによってライターの労力を減らすことができ、またプレイヤーがヒロインを突き放したことで本来感じる罪悪感を打ち消すことに成功している。
31.『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』(TVアニメ)
<あらすじ>「大作つくって、みんなが買ってた時代はもうとっくに終わってるんだよ」と社長は新作の大風呂敷を広げたコノハを一喝する。秋葉原のはずれに会社を構える零細ゲームブランド「ブルーベル」で働く主人公・秋里コノハは不満を感じていた。会社は比較的安価な「ミドルプライス」の作品のみを販売するようになり、また彼女の望む「女の子を輝かせることのできるゲーム」を作ることができない体質であるからだ。
コノハがその日、偶然に訪れた中古ゲーム屋で預かった92年発売のヒット作『同級生』のパッケージを開くと彼女は輝きに包まれ、2023年から美少女ゲーム黄金期と後から言われるようになる1992年にタイムリープしていた。
<考察>本作は私が1作品目でまとめた『16bitセンセーション』のテレビアニメ化作品であり、新規ストーリーで制作されている。10月4日に初回放送であるために、今回は1話のみに留める。
まず、変更点について。主人公は1992年当時に大学生であった上原メイ子から、2023年に美少女ゲームブランドで働く秋里コノハに変更されている。これにより、若年層への訴求を目指していることがわかる。
また、コノハの部屋について。本作は様々な企業の協力を得ており、実際のゲームのパッケージやキャラクターのグッズなどを配置することができている。それによってコノハが実際に美少女ゲームのファンであることが明確になり、作品自体の魅力の一つにもなっている。さらにコノハが本当に美少女ゲームが好きであるという特徴・性格を利用することで、旧作にも触れている設定にすることができ、中高年にも親しみのあるキャラクターとして確立されている。
21.『School Days』ブランド:0verflow
〈あらすじ〉主人公・伊藤誠は同じ駅から学園に通う話したこともない少女・桂言葉に片思いをしていた。それを知った隣の席に座る少女・西園寺世界は誠を応援し、ついには言葉をデートに誘うことに成功するに至る。誠は駅のホームでどんなことでもいいから借りを返すと世界に伝えると、世界は誠に無理やり口づけをして電車に乗り一人涙を流す。
〈考察〉本作は全編がアニメーションで構成されており、途中で映像が止まり選択肢が登場する独自のシステム「フルアニメーションアドベンチャーゲーム」を採用している。その長さにして、30分のテレビアニメ70話分とされている。さらに、ストーリーを1章・2章と区切るのではなく1話・2話と区切っており、本当にアニメーションを見ているかのような体験ができる。
恋愛ゲームにおける三人称視点。ストーリーが可変であるために、恋路を応援することも引っ掻き回すこともできる。自由度の高いことはメリットではあるが、そういった要素を広げれば広げるほどリソースを割くことになってしまう制作側のデメリットがあるだろう。
本作において有名な曲と言えばいとうかなこの歌う「悲しみの向こうへ」だろう。TVアニメーション版の衝撃的なシーンで挿入される。しかし、原作ゲームではKIRIKOの「Still I Love You ~みつめるよりは幸せ〜」が重要視されている。
その理由について、この曲は世界が誠の恋を手伝った後、誠にキスをして電車へ走り去り、1人泣く1話の最終場面で流れる。この部分のみでは、世界がなぜこの行動をとったのかプレイヤーは想像することしか難しい。しかし、この曲は世界について歌い上げているため、曲を聴くことで理解することができる。そのためにプレイヤーの印象に残るのだろう。また1番は世界の前日談、2番は誠が言葉と恋人になった後の世界の心情を描いている。
22.『D.C.P.C. 〜ダ・カーポ〜 プラスコミュニケーション』ブランド:CIRCUS
<あらすじ>7年前から一年中枯れない桜の咲く少し不思議な初音島。そこに暮らす「何もないところから和菓子を生み出す力」と「他人の夢を人に見せられる力」の2つの少し不思議な能力を持つ主人公・朝倉純一は風見学園に通う3年生。両親は海外赴任しており、同い年の義理の妹である音夢と2人暮らし。そんな卒業間近で少しこそばゆい彼の恋物語が幕を開ける。
<考察>本作の桜の存在について考察する。確かに桜はストーリーの根幹に少し関わってくるのだが、本質的な効果は別にあると考える。
本作には古風な巫女、ささやかな異能力を持つ主人公、人に化けた宇宙人といった特殊なキャラクターが登場する。それを隠している者もいるが、当然ながらプレイヤーにはわかるため、ユーザーに寄り添った結果として枯れない桜があるのではないかと考える。舞台設定自体を不思議な桜の咲く、外界から隔離された「島」という条件にすることでキャラクターの特殊性を薄め、自然な設定となっているのではないのだろうか。また、学生服によく似合う桜をいつでも背景にできるという部分もあるだろう。
23.『BALDR SKY Dive1 "Lost Memory"』ブランド:戯画
<あらすじ>主人公・門倉甲は突如、謎の女性・桐島レインによって目覚めさせられる。わけもわからずレインに導かれた彼はロボット「シュミクラム」に乗り敵地を逃げ回り、なんとか仮想空間から脱出することに成功する。そこで彼が目にしたものは記憶に1番新しい平和な学園生活ではなく、荒廃した街並みであった。
甲は父親と同じく腕の立つシュミクラム乗りであったが、原因不明の記憶損傷状態であることが告げられる。荒廃した直接的な事件である「灰色のクリスマス」の真相を追う2人の物語が始まる。
<考察>本作はアドベンチャーと見下ろしの2Dアクションを含む独自のシステムをとっている。アクション部分はシュミクラムを操り、敵を撃破しながら数多の装備を換装していく骨太に仕上がっており、非常にクオリティが高い。
しかし、アドベンチャー部分が手抜きというわけではなく世界観などの設定がよく作り込まれており、勇敢でクールな傭兵のレインも話が進むにつれてまた違った一面を見せていくことで魅力的なヒロイン像として確立されている。
24.『リリミエスタ』ブランド:SMEE
<あらすじ>舞台は地上から見た天国、「天上」の世界。しかし、地上との命の循環のバランスが崩れ始めていた。循環を生み出すのは、地上で採取できる人間の感謝の心「フェリチタ」である。フェリチタの採集のために創設された養成機関「アリア・クラーレ」に通う候補生の主人公・守島友春、幼馴染の逢坂菜桜子、そして東雲藍里は現地担当者の涼原綾乃が教師をしている地上の明風学園へ入学し、フェリチタを採取する課題に取り組む。
<考察>本作は王道のストーリーであり、テンポもよい。しかし、天上の設定がほとんどストーリーに作用していない。登場人物たちは地上の常識が通じるごく普通の知識を有しており、彼らに独自の能力があること以外には地上の人間と変わりない。また、その能力を使ったところで地上の人間たちが恐れをなすわけどころか驚くわけでもない。さらに、無口な藍里以外は社交的で地上の者たちとも問題なく仲良くなるため天上の人々であるという設定が死んでしまっている。
25.『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』ブランド:戯画
<あらすじ>父の再婚で新たな家族が出来た主人公・結城大介。その両親が世界一周旅行へ行っている間、父が経営するアンティーク喫茶店「キュリオ」の代理店長を任される。 会ったばかりの義理の妹すずとの同居生活・ 世間知らずの 美里との運命的な出会いと、大介はいきなり始まった新生活をどう過ごしていくのか。
<考察>夜、その日の出来事を回想しながら歩いている大介のもとに突如美里が現れる。その瞬間、プレイヤーの私も本当に驚いた。アドベンチャーゲームでこのようなことは初めてであったので要因になりそうなものを探した。
①美里が「今日はビジネスホテルに泊まります」と既に今日会うことはないことを確信することができ、大介は何かあったら電話するようにと連絡手段を作り会う必要がないと示していること。
②時間帯が夜であり、直前まで回想を流すことでゲーム内時間の一日が終了することを予感させるためこれ以上イベントは起きないと考えられること。
③大介の回想は緩やかなテンポのBGMと暗闇の背景であるが、美里の立ち絵と町の背景が表示される直前に先に拡大表示された彼女の台詞テキストと音声を挿入し、そのあとからBGMを流すこと。
しかし、本作の評価点としてそのあとは特に何もなく3分以内程度で一日が終了する。これは奇をてらったイベントでプレイヤーを驚かせた後に必要以上に飽きさせることがなくなっている。
26.『パルフェ 〜ショコラ second brew〜』ブランド:戯画
<あらすじ>経済学部に通う大学3年生の主人公・高村 仁と義理の姉・杉澤恵麻は半年前まで人気の欧風アンティーク喫茶「ファミーユ」で明日香・かすり・里伽子といった仲間たちと働いていた。開店前に亡くなった兄とその妻の恵麻が育ててきた店であったのだが、ある夜に火事に遭いそのまま閉店。
ある日、1ヶ月後に開店する大型ショッピングモール「ブリックモール」から格安で出店の話を持ち掛けられ、仁はファミーユを復活させることを決意する。かつての従業員を呼び寄せるものの、集まったのは明日香・かすりのみ。
里伽子は協力こそしないものの、出店予定地の向かいに有名メイド喫茶店「キュリオ」が三号店を出すために「ファミーユに勝算はない」と仁に忠告する。打開策を見つけることのできないまま開店前日の夜になった。仁がファミーユに立ち寄ると見知らぬ少女がいた。彼女は風美 由飛と名乗り、言葉遣いも可笑しく、面接さえもしていないのに勝手に制服を着ている不思議な人物だが、彼女は玲瓏たる美声を持っていた。
仁は彼女の採用を決め、新生ファミーユの経営を始める。
<考察>本作は、『ショコラ 〜maid cafe "curio"〜』の続編にあたる。本作の構図として面白いのは前作で舞台となった喫茶店curioが成功した世界において、キュリオのコンセプトを模倣し、半ばライバル視しているファミーユが舞台となっている点である。
27.『スズノネセブン!』ブランド:クロシェットlumie
<あらすじ>スズノネ魔法学園では、成績・内申点のワースト7名に選ばれると学園の敷地内で行われる合宿への参加を強制される伝統がある。そこで個別に出される課題に合格しなければ、退学処分になってしまう。
魔力工学科一年の城戸幸村、学園長の孫の代官山すみれ、魔力暴走を起こす野々村仁乃、方向音痴の鷹取柚子里、志麻莉里、幸村の腐れ縁の三峰美奈都とその兄の真。そんな崖っぷちな学生たちの物語。
<考察>本作ではテキストの拡大・縮小が多用される。これは、キャラクターの叫び声・怒鳴り声といった大声を表現するために使われる。ヘッドホンなどをしていることを想定すると音量を上げるわけにはいかないためだろう。『祝福のカンパネラ』ではキャラクターの立ち絵を拡大すること、文章の末尾に「!」のような記号をつけることで表現していた。本作は読んでいるテキストのサイズが変わるために視覚的にはわかりやすいが、小さくなった場合には読みづらくなってしまっている。
28.『家族計画〜追憶〜』ブランド:D.O.
〈あらすじ〉歌舞伎町で中華料理店のアルバイトをしている沢村司は、ある日路地裏で行き倒れの少女を見つける。彼女は名を春花と名乗るが国籍不明、挙動不審、さらには日本語が通じない。司は行く当てのない彼女をなし崩し的に家に住まわせることに。
それを皮切りに、破産し自殺しようとしていた女性・板倉真純、元社長令嬢だったが現在は無職の高屋敷青葉、ホームレスの河原茉莉、元会社員の広田寛などの人々と偶然見つけた空き家で「相互扶助計画」と題し、共同生活を始める。
〈考察〉本作は美少女ゲームの傑作の1つとして知られる。彼ら全員に共通するのは「天涯孤独」で身寄りのないことであり、そんな中で擬似家族を構成していく。彼らの過去からは自然とドラマが生まれるために、深みのある作品となっている。
春花の言葉遣いについて。司から日本語を教わるために、「晩飯(ばんめし)」などのようにぶっきらぼうで荒い口調に仕上がる。アドベンチャー形式の作品で言葉遣いはとても重要視されるため、司と春花の絆の深さが伺えるようになっている。
29.『なついろレシピ』ブランド: PULLTOP Air
<あらすじ>ある日、主人公・杜丘岳史の父に宛てられた「娘」を名乗る人物からの手紙が届く。しかし、海外生活をする父の代わりに受け取った岳史はひとまず「娘」に会うべく田舎の山村「白珠村」に訪れる。そこで待っていたのはひとりぼっちで日本家屋に住む八重原柚であった。祖母を亡くして間もない彼女の身を案じ、岳史は共同生活を始める。
<考察>本作の魅力は恐ろしく質の高い料理CGである。一見、ゲームに関係ないように思われるが、平面の登場人物たちに実写の料理の写真よりも手描きの料理を添えることで浮いてしまうことがなく、自然に溶け込ませることができるようになっている。
また、ヒロインとの関係を深める段階も明確であり、まず町になれない主人公が案内を頼む・ともに川遊びをして秘密を共有する。このように、制作自体が明確化されていることは作り手としても完成度が高く大きな評価点である。
舞台設定について。本作の舞台はライフラインは通じているものの、外界からシャットアウトされた秘境である。この舞台設定は伝統的に利用されており、古くは『無人島物語』や昨年では『サメと生きる七日間』などがある。これにより、新たな世界観を構築することでキャラクターを自然に配置することができるメリットがあるだろう。場所性を持った都会などでは現実味がなく浮いてしまうが、場所性を持たない非日常では浮いてしまうことがない。
30.『それは舞い散る桜のように -Re:birth-』ブランド:Navel
<あらすじ>春休み最後の日を友人と無駄に過ごしていた主人公・桜井舞人だが、そこで同じ学園の絶対的美少女・星崎希望と出会う。また、進級した舞人たちは希望や悪友の八重樫つばさと同じクラスになる。さらに、新一年生には幼馴染の雪村小町が舞人を追ってこの町に引っ越してきた。舞人のドタバタ学園コメディが幕を開ける。
<考察>秋葉原の美少女ゲームにおける2023年のムーブメント、それは3月の枕『サクラノ刻』の発売、4月のゆずソフト『天使☆騒々 Re-Boot(以下『天使騒々』)』の深夜販売、そして9月の本作の発売である。
しかし、今回の騒動からはパッケージによる現物での販売による問題点を多々見ることができた。本作の発売日前のインターネット予約は8月で受付を終了し、さらに一般販売分が市場に出回ることはほとんどなかった。また、基本的に美少女ゲームには再販売はないため、予約に間に合わなかった購入希望者たちはどこにいくつあるのかもわからない在庫を求め溢れかえった。
しかし、『サクラノ刻』・『天使騒々』においてもこのようなことは起きなかった。ここには、業界の古参ブランドであるNavelの性格が如実に表れている。本作が21年前に発売された名作のリメイクであること。これにより、購入者の年齢層は自然と上昇し「ダウンロード販売」よりもパッケージによる現物を好む傾向が現れる。実際に上記2作品は若年層からの支持が高いという本作との決定的な違いがある、
また、選択肢を見せかけは変えずに省エネ化出来ている点に気づくことができた。選択肢の大半はどちらを選択しても変化するのは好感度のみのようで、その後の展開は個別ルートに入るまで変わらない。例えば、ヒロインと昼食をとるかどうかの選択肢であれば、例え「とらない」を選んでも紆余曲折によって昼食をとることになる。これによってライターの労力を減らすことができ、またプレイヤーがヒロインを突き放したことで本来感じる罪悪感を打ち消すことに成功している。
31.『16bitセンセーション ANOTHER LAYER』(TVアニメ)
<あらすじ>「大作つくって、みんなが買ってた時代はもうとっくに終わってるんだよ」と社長は新作の大風呂敷を広げたコノハを一喝する。秋葉原のはずれに会社を構える零細ゲームブランド「ブルーベル」で働く主人公・秋里コノハは不満を感じていた。会社は比較的安価な「ミドルプライス」の作品のみを販売するようになり、また彼女の望む「女の子を輝かせることのできるゲーム」を作ることができない体質であるからだ。
コノハがその日、偶然に訪れた中古ゲーム屋で預かった92年発売のヒット作『同級生』のパッケージを開くと彼女は輝きに包まれ、2023年から美少女ゲーム黄金期と後から言われるようになる1992年にタイムリープしていた。
<考察>本作は私が1作品目でまとめた『16bitセンセーション』のテレビアニメ化作品であり、新規ストーリーで制作されている。10月4日に初回放送であるために、今回は1話のみに留める。
まず、変更点について。主人公は1992年当時に大学生であった上原メイ子から、2023年に美少女ゲームブランドで働く秋里コノハに変更されている。これにより、若年層への訴求を目指していることがわかる。
また、コノハの部屋について。本作は様々な企業の協力を得ており、実際のゲームのパッケージやキャラクターのグッズなどを配置することができている。それによってコノハが実際に美少女ゲームのファンであることが明確になり、作品自体の魅力の一つにもなっている。さらにコノハが本当に美少女ゲームが好きであるという特徴・性格を利用することで、旧作にも触れている設定にすることができ、中高年にも親しみのあるキャラクターとして確立されている。
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