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宇都穂南
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3年 宇都
春休み課題11〜20
11.セブン/監督:デヴィッド・フィンチャー
あらすじ:退職を間近に控えたベテラン刑事サマセットと若手刑事ミルズは猟奇連続殺人事件の捜査にあたる。犯人はキリスト教における7つの大罪に基づいて殺人を繰り返していることが明らかに。やがてサマセットとミルズは容疑者を割り出すが、その人物に逃げられ、さらにミルズの素性が知られていたことも発覚する。そしてさらなる殺人事件が続いた後、驚愕の事態が……。独特のビジュアルセンスとダークな物語が話題を呼んだ戦慄のサスペンススリラー。
冷静なベテラン刑事×熱血若手刑事という今では定番のコンビものである。ラストの展開もなんとなく予想がついてしまうようなわかりやすいものなのだが、今作は1995年の映画であり、「ド定番の設定・結末の映画」なのではなくその定番を作ってきた映画の系譜のひとつなのではないかと思った。
12.パン屋再襲撃/村上春樹
あらすじ:堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古カローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。
短編が6作品収録されているのだが、いくつかの作品に「渡辺昇」という人名が出てくる。他のさまざまな短編にも出てくるようなのでどうしても気になって調べてしまったのだが、漫画家・イラストレーターである安西水丸氏の本名らしい。安西水丸と村上春樹といえば、村上の書いたコラムに安西が絵をつけて本になっていた。人物の名前を考えるのが苦手な村上が安西に頼んで本名を使わせてもらっているそうだが、正直この短編集で渡辺昇の名前を付けられている人物や動物は敢えて名付ける必要もないような主要ではない人物ばかりなので、本当にそうなのか考察の余地があると思う。
13.変な家(小説版)/雨穴
あらすじ:YouTubeで2000万回以上再生のバズ動画
あの「【不動産ミステリー】変な家」にはさらなる続きがあった!!
謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——
間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!?
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。
間取りの謎をたどった先に見たものとは……。不可解な間取りの真相は!?突如消えた「元住人」は一体何者!?本書で全ての謎が解き明かされる!
YouTubeの動画→小説→映画、と変わったやり方でメディアミックスされた作品である。登場人物同士の会話がメインで進んでいくのだが、YouTubeでは人物が喋る映像と同時に字幕が出ている。小説は普通の散文の形式になるのかと思っていたら、「A(人名):『〜〜〜〜〜。』B:『〜〜〜〜〜。』」といった会話形式も用いられていた。これにより元動画らしさを引き継いでいる。無料で見られるYouTubeの動画からより踏み込んで事実を追い求める展開になっており、小説の方がミステリー色が強くなっている。
14.魔眼の匣の殺人/今村昌弘
あらすじ:その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。
「クローズドサークル」で人が死ぬ、というと古典的だが、今作では予言者の予言を信じた一般人、それも犯人とは全く関係のないいわゆるモブがクローズドサークルを作る点が新鮮である。4人の犠牲者のうち2人が他殺ではなく自然による死(土砂崩れと熊によるもの)を迎えたのも新鮮な点であった。また第一作の『屍人荘の殺人』と同様、推理シーンに関しては本格ミステリといえる作品でありながら「超能力」の存在を真実として描いているところが大きな特徴といえる。
15.スプートニクの恋人/村上春樹
あらすじ:22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!
村上春樹の作品でよくテーマになるのは「喪失」だと思うが、本作のテーマは「孤独」だと私は感じた。性愛や、反対に性を伴わない愛や友愛をそれぞれ主人公の「ぼく」、すみれ、すみれの想い人である「ミュウ」は抱いているが、どれもうまくいくことはなく全員がそれぞれ孤独を感じている。そんな中すみれがこの世界ではないどこかへ行ってしまうのだが、この「異世界との行き来」もまた村上作品によく登場するモチーフである。またこの作品は「ミュウ」がすみれとひとまわり以上歳の離れた同性の人物であることから、クィア小説の側面を持っている。
16.夢で逢いましょう/村上春樹・糸井重里
あらすじ:片仮名の外来語を題目にして、村上と糸井がショートショートの競作をした本である。それぞれのショートショートは、取り上げられた外来語の五十音順に掲載されている。
村上春樹と糸井重里は文体の軽さという点で若干似ているが、この本を読んでいるとすぐ見分けがつくようになる。完全なフィクションもあれば、エッセイに近いものも収録されている。糸井が付けた『夢で逢いましょう』というタイトルについて、前書きで村上が「正確な意味は僕にもよくわからないけれど、『なんか、寝る前に読みなさい』ということかもしれない。あるいは僕と糸井さんが夢で会おうとしたのかもしれない」と述べているが、私は「夢みたいな支離滅裂な世界観を楽しもうよ」という趣旨の本ではないかと思った。高熱が出ているときに見る夢のような作品が多いからである。それぞれの作品がとても短く、「好き勝手書きたい場面を書く」ということがやりやすかったのだろうと感じさせる作品集である。
17.永沢君/さくらももこ
あらすじ:『ちびまる子ちゃん』の中でも異彩を放つキャラが多感な中学生男子となり主人公に! その名は「永沢君」! 藤木・小杉・花輪クンなど、おなじみのキャラクターも登場!
さくらももこの作品といえばブラックユーモアだが、その極致のような作品である。永沢君というキャラクターは、『ちびまる子ちゃん』においては主人公まる子のクラスメイトのひとりで暗く陰湿な男子であるが、その中学時代を描いたフィクションであり、ジャンルがエッセイに近い『ちびまる子ちゃん』とは一線を画している。
この本の紙の質感は古い漫画の紙の質感と似ていて、2019年に出た本なのにも関わらず『ちびまる子ちゃん』と同じような年代の雰囲気を感じる装丁になっている。
18.ひとりずもう 上/さくらももこ
あらすじ:「ちびまる子ちゃん」では永遠の小学3年生。でも、現実のまる子は成長していき、思春期を迎えていく。小5から、中学、高校…。まる子のその後を描くほのぼの成長記。おなじみのメンバーも登場! 描き下ろしエッセイ「ひとりずもう」のコミック版。上巻では小5から高2までを描く。
本作はエッセイや『ちびまる子ちゃん』の作風とはかなり毛色が違い、とても繊細に思春期の頃の気持ちを描いている。虫や鳥を飼い、毎日絵を描いて過ごすといったゆっくりとした時間の流れが感じられる。作者の学生時代にはSNSなどはもちろん無いため、友達と雑誌を読んでアイドルに憧れて服を買ったり、バイトをして貯めたお金で東京に遊びに行ったりとその頃の学生が何にどのように時間を使っていたのか、私たちにあまり想像がつかない部分が描かれておりその意味でも興味深い。
19.ひとりずもう 下/さくらももこ
下巻では高2から雑誌「りぼん」でのデビューまでを描く。
『ちびまる子ちゃん』から登場している、実在する作者の親友であるたまちゃんがアメリカに渡ることによる別れ、そして夢である漫画家を目指す過程をメインに描く。小学校からずっと一緒に育ってきた親友との別れが繊細な言葉と絵で描かれると同時に、そこから作者の内面の繊細さまでもが伝わってくるような気がする。
漫画家になるという夢を持っているなか、エッセイ漫画を描くというアイデアを実家の風呂場で思いつくシーンがあるのだが、風呂場に光が差しているような絵が本当にパッと光っているように見えるのがすごい。また上巻にも言えることだが、作者は本当に暇さえあれば絵を描いたり絵本を読んだり可愛いものを集めたりしていて、やはりなるべくして漫画家になったのだと思った。
20.Curve/監督:ティム・イーガン
あらすじ:目を覚ますと、そこは急勾配のコンクリートの上だった。女性はここから逃れられるのか。わずか10分ほどの短さながら怖すぎると話題のショート映画。
コンクリートの曲がった壁に不安定な体勢でどうにか滑り落ちず止まっている状態で、女性が上に登ろうともがく映像が10分続く。女性の演技の気迫が凄く、感情移入しながら見ていると心拍数が増える。考察が色々とできそうな作品だった。単にどう見ても登ることが不可能そうな壁でも、落ちるのが怖ければ人は登るしかできないという暗喩か、コンクリートの壁を女性の子宮に見立てて中絶を表しているのだと考えることもできるようである。たしかに向かい合った曲がった壁の形は子宮の形を想起させる。私は単純に人間の根源的な恐怖を擬似的に味わうことのできる映像作品を作ったのではないかと考えた。
春休み課題11〜20
11.セブン/監督:デヴィッド・フィンチャー
あらすじ:退職を間近に控えたベテラン刑事サマセットと若手刑事ミルズは猟奇連続殺人事件の捜査にあたる。犯人はキリスト教における7つの大罪に基づいて殺人を繰り返していることが明らかに。やがてサマセットとミルズは容疑者を割り出すが、その人物に逃げられ、さらにミルズの素性が知られていたことも発覚する。そしてさらなる殺人事件が続いた後、驚愕の事態が……。独特のビジュアルセンスとダークな物語が話題を呼んだ戦慄のサスペンススリラー。
冷静なベテラン刑事×熱血若手刑事という今では定番のコンビものである。ラストの展開もなんとなく予想がついてしまうようなわかりやすいものなのだが、今作は1995年の映画であり、「ド定番の設定・結末の映画」なのではなくその定番を作ってきた映画の系譜のひとつなのではないかと思った。
12.パン屋再襲撃/村上春樹
あらすじ:堪えがたいほどの空腹を覚えたある晩、彼女は断言した。「もう一度パン屋を襲うのよ」。それ以外に、学生時代にパン屋を襲撃して以来僕にかけられた呪いをとく方法はない。かくして妻と僕は中古カローラで、午前2時半の東京の街へ繰り出した…。表題作ほか「象の消滅」、“ねじまき鳥”の原型となった作品など、初期の傑作6篇。
短編が6作品収録されているのだが、いくつかの作品に「渡辺昇」という人名が出てくる。他のさまざまな短編にも出てくるようなのでどうしても気になって調べてしまったのだが、漫画家・イラストレーターである安西水丸氏の本名らしい。安西水丸と村上春樹といえば、村上の書いたコラムに安西が絵をつけて本になっていた。人物の名前を考えるのが苦手な村上が安西に頼んで本名を使わせてもらっているそうだが、正直この短編集で渡辺昇の名前を付けられている人物や動物は敢えて名付ける必要もないような主要ではない人物ばかりなので、本当にそうなのか考察の余地があると思う。
13.変な家(小説版)/雨穴
あらすじ:YouTubeで2000万回以上再生のバズ動画
あの「【不動産ミステリー】変な家」にはさらなる続きがあった!!
謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋——
間取りの謎をたどった先に見た、「事実」とは!?
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。
間取りの謎をたどった先に見たものとは……。不可解な間取りの真相は!?突如消えた「元住人」は一体何者!?本書で全ての謎が解き明かされる!
YouTubeの動画→小説→映画、と変わったやり方でメディアミックスされた作品である。登場人物同士の会話がメインで進んでいくのだが、YouTubeでは人物が喋る映像と同時に字幕が出ている。小説は普通の散文の形式になるのかと思っていたら、「A(人名):『〜〜〜〜〜。』B:『〜〜〜〜〜。』」といった会話形式も用いられていた。これにより元動画らしさを引き継いでいる。無料で見られるYouTubeの動画からより踏み込んで事実を追い求める展開になっており、小説の方がミステリー色が強くなっている。
14.魔眼の匣の殺人/今村昌弘
あらすじ:その日、“魔眼の匣"を九人が訪れた。人里離れた施設の孤独な主は予言者と恐れられる老女だ。彼女は葉村譲と剣崎比留子をはじめとする来訪者に「あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」と告げた。外界と唯一繋がる橋が燃え落ちた直後、予言が成就するがごとく一人が死に、閉じ込められた葉村たちを混乱と恐怖が襲う。さらに客の一人である女子高生も予知能力を持つと告白し――。ミステリ界を席巻した『屍人荘の殺人』シリーズ第二弾。
「クローズドサークル」で人が死ぬ、というと古典的だが、今作では予言者の予言を信じた一般人、それも犯人とは全く関係のないいわゆるモブがクローズドサークルを作る点が新鮮である。4人の犠牲者のうち2人が他殺ではなく自然による死(土砂崩れと熊によるもの)を迎えたのも新鮮な点であった。また第一作の『屍人荘の殺人』と同様、推理シーンに関しては本格ミステリといえる作品でありながら「超能力」の存在を真実として描いているところが大きな特徴といえる。
15.スプートニクの恋人/村上春樹
あらすじ:22歳の春にすみれは生まれて初めて恋に落ちた。広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しい恋だった。それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした。――そんなとても奇妙な、この世のものとは思えないラブ・ストーリー!!
村上春樹の作品でよくテーマになるのは「喪失」だと思うが、本作のテーマは「孤独」だと私は感じた。性愛や、反対に性を伴わない愛や友愛をそれぞれ主人公の「ぼく」、すみれ、すみれの想い人である「ミュウ」は抱いているが、どれもうまくいくことはなく全員がそれぞれ孤独を感じている。そんな中すみれがこの世界ではないどこかへ行ってしまうのだが、この「異世界との行き来」もまた村上作品によく登場するモチーフである。またこの作品は「ミュウ」がすみれとひとまわり以上歳の離れた同性の人物であることから、クィア小説の側面を持っている。
16.夢で逢いましょう/村上春樹・糸井重里
あらすじ:片仮名の外来語を題目にして、村上と糸井がショートショートの競作をした本である。それぞれのショートショートは、取り上げられた外来語の五十音順に掲載されている。
村上春樹と糸井重里は文体の軽さという点で若干似ているが、この本を読んでいるとすぐ見分けがつくようになる。完全なフィクションもあれば、エッセイに近いものも収録されている。糸井が付けた『夢で逢いましょう』というタイトルについて、前書きで村上が「正確な意味は僕にもよくわからないけれど、『なんか、寝る前に読みなさい』ということかもしれない。あるいは僕と糸井さんが夢で会おうとしたのかもしれない」と述べているが、私は「夢みたいな支離滅裂な世界観を楽しもうよ」という趣旨の本ではないかと思った。高熱が出ているときに見る夢のような作品が多いからである。それぞれの作品がとても短く、「好き勝手書きたい場面を書く」ということがやりやすかったのだろうと感じさせる作品集である。
17.永沢君/さくらももこ
あらすじ:『ちびまる子ちゃん』の中でも異彩を放つキャラが多感な中学生男子となり主人公に! その名は「永沢君」! 藤木・小杉・花輪クンなど、おなじみのキャラクターも登場!
さくらももこの作品といえばブラックユーモアだが、その極致のような作品である。永沢君というキャラクターは、『ちびまる子ちゃん』においては主人公まる子のクラスメイトのひとりで暗く陰湿な男子であるが、その中学時代を描いたフィクションであり、ジャンルがエッセイに近い『ちびまる子ちゃん』とは一線を画している。
この本の紙の質感は古い漫画の紙の質感と似ていて、2019年に出た本なのにも関わらず『ちびまる子ちゃん』と同じような年代の雰囲気を感じる装丁になっている。
18.ひとりずもう 上/さくらももこ
あらすじ:「ちびまる子ちゃん」では永遠の小学3年生。でも、現実のまる子は成長していき、思春期を迎えていく。小5から、中学、高校…。まる子のその後を描くほのぼの成長記。おなじみのメンバーも登場! 描き下ろしエッセイ「ひとりずもう」のコミック版。上巻では小5から高2までを描く。
本作はエッセイや『ちびまる子ちゃん』の作風とはかなり毛色が違い、とても繊細に思春期の頃の気持ちを描いている。虫や鳥を飼い、毎日絵を描いて過ごすといったゆっくりとした時間の流れが感じられる。作者の学生時代にはSNSなどはもちろん無いため、友達と雑誌を読んでアイドルに憧れて服を買ったり、バイトをして貯めたお金で東京に遊びに行ったりとその頃の学生が何にどのように時間を使っていたのか、私たちにあまり想像がつかない部分が描かれておりその意味でも興味深い。
19.ひとりずもう 下/さくらももこ
下巻では高2から雑誌「りぼん」でのデビューまでを描く。
『ちびまる子ちゃん』から登場している、実在する作者の親友であるたまちゃんがアメリカに渡ることによる別れ、そして夢である漫画家を目指す過程をメインに描く。小学校からずっと一緒に育ってきた親友との別れが繊細な言葉と絵で描かれると同時に、そこから作者の内面の繊細さまでもが伝わってくるような気がする。
漫画家になるという夢を持っているなか、エッセイ漫画を描くというアイデアを実家の風呂場で思いつくシーンがあるのだが、風呂場に光が差しているような絵が本当にパッと光っているように見えるのがすごい。また上巻にも言えることだが、作者は本当に暇さえあれば絵を描いたり絵本を読んだり可愛いものを集めたりしていて、やはりなるべくして漫画家になったのだと思った。
20.Curve/監督:ティム・イーガン
あらすじ:目を覚ますと、そこは急勾配のコンクリートの上だった。女性はここから逃れられるのか。わずか10分ほどの短さながら怖すぎると話題のショート映画。
コンクリートの曲がった壁に不安定な体勢でどうにか滑り落ちず止まっている状態で、女性が上に登ろうともがく映像が10分続く。女性の演技の気迫が凄く、感情移入しながら見ていると心拍数が増える。考察が色々とできそうな作品だった。単にどう見ても登ることが不可能そうな壁でも、落ちるのが怖ければ人は登るしかできないという暗喩か、コンクリートの壁を女性の子宮に見立てて中絶を表しているのだと考えることもできるようである。たしかに向かい合った曲がった壁の形は子宮の形を想起させる。私は単純に人間の根源的な恐怖を擬似的に味わうことのできる映像作品を作ったのではないかと考えた。
宇都穂南
RES
3年 宇都
春休み課題1〜10
1. ミステリと言う勿れ(映画)/監督:松山博昭
あらすじ: 天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整は、美術展のために広島を訪れていた。そこで、犬堂我路の知り合いだという一人の女子高生・狩集汐路と出会う。「バイトしませんか。お金と命がかかっている。マジです。」そう言って汐路は、とあるバイトを整に持ちかける。それは、狩集家の莫大な遺産相続を巡るものだった。当主の孫にあたる、汐路、狩集理紀之助、波々壁新音、赤峰ゆらの4人の相続候補者たちと狩集家の顧問弁護士の孫・車坂朝晴は、遺言書に書かれた「それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」というお題に従い、遺産を手にすべく、謎を解いていく。ただし先祖代々続く、この遺産相続はいわくつきで、その度に死人が出ている。汐路の父親も8年前に、他の候補者たちと自動車事故で死亡していたのだった…
次第に紐解かれていく遺産相続に隠された<真実>。
そしてそこには世代を超えて受け継がれる一族の<闇と秘密>があった――― 。
遺産相続争いから始まる殺人事件といえば『犬神家の一族』であり、「一族の前で弁護士が遺言を読む」シーンはこれまでもさまざまな作品でパロディがなされているが、今作もその伝統を踏襲している。
主人公と最も長く行動を共にするヒロイン枠の人物が物語前半の殺人未遂を起こしていたのが新鮮だった。また物語の鍵となる、相続候補者に一つずつあてがわれた倉庫だが、映像化され細かい小物が作り込まれることで不気味さが増していた。
2.鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎/監督:古賀豪
あらすじ: 廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について…
昭和31年一日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
ゲゲゲの鬼太郎はいくつかシリーズがあり、鬼太郎の性格などの設定も異なっているらしい。この映画の最後、水木は墓場で拾い上げた赤子を抱きしめた。一方「墓場鬼太郎」というシリーズの第1話では水木は赤子を突き飛ばしてしまい、その後その赤子(鬼太郎)を育てるものの最後は母親もろとも地獄に行くことになってしまう。今作は水木しげる生誕100周年記念に作られたパラレルワールド作品と考えていいだろう。
3.カラオケ行こ!/監督:山下敦弘
あらすじ:合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が…。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?
友情の話と思って見ると「いやBLでは?」となるが、BLと思って見ると「それにしては友情だな…」となる不思議な塩梅。ジャンルはコメディだと思う。主人公聡美くんの身近な男子は2人で、1人は合唱部の1学年下の後輩であり、もう1人は聡美くんが兼部している映画研究会に所属する達観した同級生である。大人と子供の間で揺れ悩む聡美くんにとって、同級生と後輩が自分の未来と過去を想起させる存在として描かれていると思う。
4.ゴールデンカムイ(映画)/監督:久保茂明
あらすじ: 舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。
日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。
囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。
そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。
同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。
そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。
動物のCGの迫力がすごい。ヒグマやエゾオオカミが出てくるが、毛並みのたなびき方に不自然さが少なかった。また北海道でロケをしており、背景がとても美しい。空撮シーンが綺麗すぎてNHKの自然番組のようだった。また、原作で野生動物の食べ方について筆者のオリジナルの部分がアイヌの伝統であるかのように世間に伝わってしまっていたことに対して、映画ではアイヌの少女であるヒロインに「これはわたしの家に伝わる伝統だ」のような台詞を言わせることにより誤解を避けていた。
5.呪怨2/監督:清水崇
あらすじ:ホラー映画への出演が続く女優・原瀬京子はこの日、関わった者たちの悲惨な死や行方不明が後を絶たない“呪われた家”をレポートするテレビの特番にゲスト出演した。そしてその夜、フィアンセ・将志の車に乗り家路につく京子。だがその道中、彼の車は首都高速で猫を轢いてしまう。将志は猫の死体を処理せずに車を発進させるが、その時、車内には不気味な存在が紛れ込んでいた。その刹那、車は壁に激突して大破。将志は意識不明の重体に陥り、妊娠していた京子も重傷を負って流産してしまうのだった…。
途中までは章立てして呪いにかかった人々の末路をそれぞれ描いていくのだが、最終盤は学校に大量の伽倻子が現れて何が何だかわからないまま終了してしまった。最終盤がなくても物語の意味や登場人物同士の関係はきちんと判明するので、なぜ最後に伽倻子を大量に現れさせなければならなかったのかが本当に知りたい。
6.黒い家/監督:森田芳光
金沢にある昭和生命保険北陸支社に勤務する若槻は、真面目で有能な総務主任として、日夜、仕事に心血を注いでいた。ある日、菰田重徳という契約者からの呼び出しを受け家に赴いた彼は、そこで重徳の継子・和也の首吊り死体を発見。和也が若槻の会社の保険に加入していたことから、和也の実母である幸子や重徳に保険金の催促を受けるようになる。本社の査定が待たれる中、日参する重徳の異常さに息子殺しの疑惑を抱き始めた若槻は、ふたりの調査を独自に開始。重徳が障害給付金を得る為なら指をも落とす指狩り族と呼ばれる札付きであることなど、彼らの数々の黒い過去を知るのであった。そんな折、若槻の恋人である恵の勤務する大学の研究室の心理学助教授・金石が、菰田夫妻をプロファイリングし、ふたりは情性欠如者、つまり心がない人間=サイコパスであるとの判断を下した。
「幽霊より何より怖いのは頭のおかしい人間である」というテーマを直球で表現したような作品である。登場するサイコパスの夫婦のうち、妻の幸子を演じているのはまだ若い大竹しのぶである。いつも黄色い服を着ていて常に真顔であり、誰かと話していても目はその人の方向を向いているのに焦点が全く合っていないのが不気味である。初登場時からこのような様子なので、視聴者も見た瞬間に「この人物は絶対に何かおかしい」と気付いて楽しめると思う。
7.MAMA/監督:アンディ・ムスキエティ
精神を病んだ投資会社の経営者が、妻と共同経営者たちを殺害。娘2人を連れて逃げ出して、転落事故を起こす。一命をとりとめた彼は、森の中の小屋を見つけて娘らに手をかけようとするが、何者かに消されてしまう。娘たちはそのまま小屋に残り、5年後、叔父によって助け出される。
娘2人には3人の母親がいる。産みの母親、5年間育ててくれた霊的存在、そこから拾ってくれた叔父の恋人の女性である。最終的に長女は叔父の恋人の女性を、次女は霊的存在を自分の「母」として認め、共にいることを決める。姉妹と血が繋がっているのは叔父なのだが、血の繋がっていない恋人女性を2人は最初は警戒しながらも母のように慕っていく。
特徴的なのはこの恋人女性のキャラクターで、ロックが好きでバンドを組んでおり、口が悪く、姉妹とは別の部屋で寝る。一般的な母親像とはあまり近くないが、姉妹は女性を母と認め始める。ホラー作品でありながら「母とは何なのか」を問う社会的な一面を持つ映画だと思った。
8.名探偵コナン 100万ドルの五稜星/監督:永岡智佳
北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届いた。今回キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だという。
ビッグジュエルを追い求めるキッドが、なぜ刀を狙うのか…?
一方、西の名探偵・服部平次とコナン達も、函館で開催される剣道大会の為に現地を訪れており、犯行予告当日、平次がキッドの変装を見事見破り追い詰めるが…!?
時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で見つかる。捜査線上に浮かび上がったのは、“死の商人”と呼ばれ、アジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人の男。彼は戦時中の軍需産業に深く関わっていた斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされるお宝を探していた。それは、当時、日本の敗色濃厚だった戦況を一変させるほどの強力な兵器だという噂も…そして、そのお宝とキッドが狙う刀はどうやら関係があるようで、刀を狙うキッドに対し、謎の“剣士”の影が迫り…
コナン映画は毎年フィーチャーされる人物や組織がだいたい1人か1ついるのだが、今年はどちらも人気キャラクターである服部平次と怪盗キッド/黒羽快斗が登場した豪華な年である。
その代わりなのかはわからないが、毎年恒例のド派手な爆発シーンが無く車が一台爆発する程度にとどめてあり、謎解きと刀によるアクションシーンが多かった。恒例のOPシーンで流れるテーマ曲は毎年アレンジが異なっているが、今年は刀と五稜郭というテーマに合わせた和楽器を用いたアレンジになっていた。
9.オッペンハイマー/監督:クリストファー・ノーラン
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。
日本で話題になっていたが、やはり原爆投下シーンはなかった。ただ、黒焦げになった子供や熱線により皮膚が溶け垂れ下がった人々を想起させるような描写はあった。
映画は全体的な彼の人生を描いたものであるため、原爆投下よりも「スパイ容疑をかけられた科学者がどのように名誉を回復していったか」に多く時間が割かれているように感じてしまい、日本人としてはもう少し踏み込んで原爆を扱ってほしいという思いを抱くことになり、冷静に観る難しさを感じた。
10. ファンタスティック・プラネット/監督:ルネ・ラルー
ウルの小説「オム族がいっぱい」を下地に、巨大生物に支配された星の出来事を描いたSFアニメーションの名作。巨大なドラーグ族によって支配された惑星。ここでは、人間は虫けら同然の扱いを受けている。人間の赤ん坊テールはドラーグ族の娘のペットとなった。やがて成長した彼は、ドラーグ族が使用している学習機を盗んで逃亡。人間たちは、この学習機を利用してドラーグ族への抵抗を試みる……。奇妙な動植物の生態を捉えた、オリジナリティーあふれる世界が展開。幻想的な映像が絶賛され、アニメ作品として初めて、カンヌ映画祭特別賞を受賞した。
50年ほど前に公開されたかなり古い作品であり、アニメの動きもまだまだぎこちなさが残っている。原作小説を読んでいないので小説でどこまでドラーグ族の描写がされていたのかわからないが、アニメのドラーグ族は青い皮膚や魚のエラのような耳や赤い目をもち、見ていると本能的に不安になってくるようなデザインである。気体を吸っているだけのような食事シーンもなんとなく気持ち悪い。ドラーグ族は、作中でおそらくヒトを表しているであろうオム族の上位存在であり、ヒトである視聴者が自然と不快感を抱くような見た目にしてあるのだと思う。
春休み課題1〜10
1. ミステリと言う勿れ(映画)/監督:松山博昭
あらすじ: 天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整は、美術展のために広島を訪れていた。そこで、犬堂我路の知り合いだという一人の女子高生・狩集汐路と出会う。「バイトしませんか。お金と命がかかっている。マジです。」そう言って汐路は、とあるバイトを整に持ちかける。それは、狩集家の莫大な遺産相続を巡るものだった。当主の孫にあたる、汐路、狩集理紀之助、波々壁新音、赤峰ゆらの4人の相続候補者たちと狩集家の顧問弁護士の孫・車坂朝晴は、遺言書に書かれた「それぞれの蔵においてあるべきものをあるべき所へ過不足なくせよ」というお題に従い、遺産を手にすべく、謎を解いていく。ただし先祖代々続く、この遺産相続はいわくつきで、その度に死人が出ている。汐路の父親も8年前に、他の候補者たちと自動車事故で死亡していたのだった…
次第に紐解かれていく遺産相続に隠された<真実>。
そしてそこには世代を超えて受け継がれる一族の<闇と秘密>があった――― 。
遺産相続争いから始まる殺人事件といえば『犬神家の一族』であり、「一族の前で弁護士が遺言を読む」シーンはこれまでもさまざまな作品でパロディがなされているが、今作もその伝統を踏襲している。
主人公と最も長く行動を共にするヒロイン枠の人物が物語前半の殺人未遂を起こしていたのが新鮮だった。また物語の鍵となる、相続候補者に一つずつあてがわれた倉庫だが、映像化され細かい小物が作り込まれることで不気味さが増していた。
2.鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎/監督:古賀豪
あらすじ: 廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について…
昭和31年一日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりだった。
ゲゲゲの鬼太郎はいくつかシリーズがあり、鬼太郎の性格などの設定も異なっているらしい。この映画の最後、水木は墓場で拾い上げた赤子を抱きしめた。一方「墓場鬼太郎」というシリーズの第1話では水木は赤子を突き飛ばしてしまい、その後その赤子(鬼太郎)を育てるものの最後は母親もろとも地獄に行くことになってしまう。今作は水木しげる生誕100周年記念に作られたパラレルワールド作品と考えていいだろう。
3.カラオケ行こ!/監督:山下敦弘
あらすじ:合唱部部長の岡聡実(おかさとみ)はヤクザの成田狂児(なりたきょうじ)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が…。聡実の運命や如何に?そして狂児は最下位を免れることができるのか?
友情の話と思って見ると「いやBLでは?」となるが、BLと思って見ると「それにしては友情だな…」となる不思議な塩梅。ジャンルはコメディだと思う。主人公聡美くんの身近な男子は2人で、1人は合唱部の1学年下の後輩であり、もう1人は聡美くんが兼部している映画研究会に所属する達観した同級生である。大人と子供の間で揺れ悩む聡美くんにとって、同級生と後輩が自分の未来と過去を想起させる存在として描かれていると思う。
4.ゴールデンカムイ(映画)/監督:久保茂明
あらすじ: 舞台は気高き北の大地・北海道、時代は、激動の明治末期―。
日露戦争においてもっとも過酷な戦場となった二〇三高地をはじめ、その鬼神のごとき戦いぶりに「不死身の杉元」と異名を付けられた元軍人・杉元佐一は、ある目的のために大金を手に入れるべく、北海道で砂金採りに明け暮れていた。そこで杉元は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った男「のっぺら坊」は、捕まる直前に金塊をとある場所に隠し、そのありかを記した刺青を24人の囚人の身体に彫り、彼らを脱獄させた。
囚人の刺青は全員で一つの暗号になるという。
そんな折、野生のヒグマの襲撃を受けた杉元を、ひとりのアイヌの少女が救う。「アシㇼパ」という名の少女は、金塊を奪った男に父親を殺されていた。金塊を追う杉元と、父の仇を討ちたいアシㇼパは、行動を共にすることに。
同じく金塊を狙うのは、大日本帝国陸軍「第七師団」の鶴見篤四郎中尉。日露戦争で命を懸けて戦いながらも報われなかった師団員のため、北海道征服を目論んでおり、金塊をその軍資金代わりに必要としていた。
そして、もう一人、戊辰戦争で戦死したとされていた新撰組の「鬼の副長」こと土方歳三が脱獄囚の中におり、かつての盟友・永倉新八と合流し、自らの野望実現のため、金塊を追い求めていた。
動物のCGの迫力がすごい。ヒグマやエゾオオカミが出てくるが、毛並みのたなびき方に不自然さが少なかった。また北海道でロケをしており、背景がとても美しい。空撮シーンが綺麗すぎてNHKの自然番組のようだった。また、原作で野生動物の食べ方について筆者のオリジナルの部分がアイヌの伝統であるかのように世間に伝わってしまっていたことに対して、映画ではアイヌの少女であるヒロインに「これはわたしの家に伝わる伝統だ」のような台詞を言わせることにより誤解を避けていた。
5.呪怨2/監督:清水崇
あらすじ:ホラー映画への出演が続く女優・原瀬京子はこの日、関わった者たちの悲惨な死や行方不明が後を絶たない“呪われた家”をレポートするテレビの特番にゲスト出演した。そしてその夜、フィアンセ・将志の車に乗り家路につく京子。だがその道中、彼の車は首都高速で猫を轢いてしまう。将志は猫の死体を処理せずに車を発進させるが、その時、車内には不気味な存在が紛れ込んでいた。その刹那、車は壁に激突して大破。将志は意識不明の重体に陥り、妊娠していた京子も重傷を負って流産してしまうのだった…。
途中までは章立てして呪いにかかった人々の末路をそれぞれ描いていくのだが、最終盤は学校に大量の伽倻子が現れて何が何だかわからないまま終了してしまった。最終盤がなくても物語の意味や登場人物同士の関係はきちんと判明するので、なぜ最後に伽倻子を大量に現れさせなければならなかったのかが本当に知りたい。
6.黒い家/監督:森田芳光
金沢にある昭和生命保険北陸支社に勤務する若槻は、真面目で有能な総務主任として、日夜、仕事に心血を注いでいた。ある日、菰田重徳という契約者からの呼び出しを受け家に赴いた彼は、そこで重徳の継子・和也の首吊り死体を発見。和也が若槻の会社の保険に加入していたことから、和也の実母である幸子や重徳に保険金の催促を受けるようになる。本社の査定が待たれる中、日参する重徳の異常さに息子殺しの疑惑を抱き始めた若槻は、ふたりの調査を独自に開始。重徳が障害給付金を得る為なら指をも落とす指狩り族と呼ばれる札付きであることなど、彼らの数々の黒い過去を知るのであった。そんな折、若槻の恋人である恵の勤務する大学の研究室の心理学助教授・金石が、菰田夫妻をプロファイリングし、ふたりは情性欠如者、つまり心がない人間=サイコパスであるとの判断を下した。
「幽霊より何より怖いのは頭のおかしい人間である」というテーマを直球で表現したような作品である。登場するサイコパスの夫婦のうち、妻の幸子を演じているのはまだ若い大竹しのぶである。いつも黄色い服を着ていて常に真顔であり、誰かと話していても目はその人の方向を向いているのに焦点が全く合っていないのが不気味である。初登場時からこのような様子なので、視聴者も見た瞬間に「この人物は絶対に何かおかしい」と気付いて楽しめると思う。
7.MAMA/監督:アンディ・ムスキエティ
精神を病んだ投資会社の経営者が、妻と共同経営者たちを殺害。娘2人を連れて逃げ出して、転落事故を起こす。一命をとりとめた彼は、森の中の小屋を見つけて娘らに手をかけようとするが、何者かに消されてしまう。娘たちはそのまま小屋に残り、5年後、叔父によって助け出される。
娘2人には3人の母親がいる。産みの母親、5年間育ててくれた霊的存在、そこから拾ってくれた叔父の恋人の女性である。最終的に長女は叔父の恋人の女性を、次女は霊的存在を自分の「母」として認め、共にいることを決める。姉妹と血が繋がっているのは叔父なのだが、血の繋がっていない恋人女性を2人は最初は警戒しながらも母のように慕っていく。
特徴的なのはこの恋人女性のキャラクターで、ロックが好きでバンドを組んでおり、口が悪く、姉妹とは別の部屋で寝る。一般的な母親像とはあまり近くないが、姉妹は女性を母と認め始める。ホラー作品でありながら「母とは何なのか」を問う社会的な一面を持つ映画だと思った。
8.名探偵コナン 100万ドルの五稜星/監督:永岡智佳
北海道・函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドからの予告状が届いた。今回キッドが狙うのは、幕末を生きた新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だという。
ビッグジュエルを追い求めるキッドが、なぜ刀を狙うのか…?
一方、西の名探偵・服部平次とコナン達も、函館で開催される剣道大会の為に現地を訪れており、犯行予告当日、平次がキッドの変装を見事見破り追い詰めるが…!?
時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で見つかる。捜査線上に浮かび上がったのは、“死の商人”と呼ばれ、アジア一帯で武器商人として活動する日系アメリカ人の男。彼は戦時中の軍需産業に深く関わっていた斧江家初代当主が函館のどこかに隠したとされるお宝を探していた。それは、当時、日本の敗色濃厚だった戦況を一変させるほどの強力な兵器だという噂も…そして、そのお宝とキッドが狙う刀はどうやら関係があるようで、刀を狙うキッドに対し、謎の“剣士”の影が迫り…
コナン映画は毎年フィーチャーされる人物や組織がだいたい1人か1ついるのだが、今年はどちらも人気キャラクターである服部平次と怪盗キッド/黒羽快斗が登場した豪華な年である。
その代わりなのかはわからないが、毎年恒例のド派手な爆発シーンが無く車が一台爆発する程度にとどめてあり、謎解きと刀によるアクションシーンが多かった。恒例のOPシーンで流れるテーマ曲は毎年アレンジが異なっているが、今年は刀と五稜郭というテーマに合わせた和楽器を用いたアレンジになっていた。
9.オッペンハイマー/監督:クリストファー・ノーラン
第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。
日本で話題になっていたが、やはり原爆投下シーンはなかった。ただ、黒焦げになった子供や熱線により皮膚が溶け垂れ下がった人々を想起させるような描写はあった。
映画は全体的な彼の人生を描いたものであるため、原爆投下よりも「スパイ容疑をかけられた科学者がどのように名誉を回復していったか」に多く時間が割かれているように感じてしまい、日本人としてはもう少し踏み込んで原爆を扱ってほしいという思いを抱くことになり、冷静に観る難しさを感じた。
10. ファンタスティック・プラネット/監督:ルネ・ラルー
ウルの小説「オム族がいっぱい」を下地に、巨大生物に支配された星の出来事を描いたSFアニメーションの名作。巨大なドラーグ族によって支配された惑星。ここでは、人間は虫けら同然の扱いを受けている。人間の赤ん坊テールはドラーグ族の娘のペットとなった。やがて成長した彼は、ドラーグ族が使用している学習機を盗んで逃亡。人間たちは、この学習機を利用してドラーグ族への抵抗を試みる……。奇妙な動植物の生態を捉えた、オリジナリティーあふれる世界が展開。幻想的な映像が絶賛され、アニメ作品として初めて、カンヌ映画祭特別賞を受賞した。
50年ほど前に公開されたかなり古い作品であり、アニメの動きもまだまだぎこちなさが残っている。原作小説を読んでいないので小説でどこまでドラーグ族の描写がされていたのかわからないが、アニメのドラーグ族は青い皮膚や魚のエラのような耳や赤い目をもち、見ていると本能的に不安になってくるようなデザインである。気体を吸っているだけのような食事シーンもなんとなく気持ち悪い。ドラーグ族は、作中でおそらくヒトを表しているであろうオム族の上位存在であり、ヒトである視聴者が自然と不快感を抱くような見た目にしてあるのだと思う。
3年 橋原芽伊
RES
3年 橋原
春休み課題1~20
1.『カラオケ行こ!』(映画)
原作:和山やま 監督:山下敦弘
〈あらすじ〉合唱部部長の岡聡実はやくざの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児は組のカラオケ大会で最下位になったものを待ち受ける恐怖を回避するため、何が何でも上達しなければならないという。聡実は狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしか二人の関係には変化が訪れていく。
原作の漫画はギャグ寄りであり心の中でツッコミを入れたりするのだが、映画では心の声などのモノローグがないため、シリアス寄りに見える。また原作には聡実の狂児の歌声を表した「終始裏声が気持ち悪い。けどセンスは悪くはない。」というセリフがあるが、そのセリフの通りの歌声であり、他組員の歌声など全体的に歌の再現度が高いと考える。最後の聡実の歌声を原作では音として聞くことができず、ずっと実際に聞いてみたいと考えていたが、それを映画で聞くことができ感動した。しかし個人的に好きな場面が映画にはなく残念だった。
2.『MONSTER』(アニメ)
原作:浦沢直樹 監督:小島正幸
1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に勤め、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。そんなある日、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてきたことから、テンマの人生は一変することになる。そして1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れ、テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白する。殺人鬼を蘇らせてしまったとテンマは自らに責任を感じ、怪物ヨハンを自分が射殺しようと、殺人犯の濡れ衣を着せられドイツ国内を逃亡しながらもテンマはヨハンを追跡する。
この物語の黒幕であるヨハンが成長してからテンマの前に現れた後、成長後の姿が完全に登場し初めて顔が分かるのは23話であり、始まってからかなり後である。通常であればすぐ登場すると思うが、この作品ではすぐに登場しないことが、ヨハンがずっと裏で全てを操っているということを表すようで、よりヨハンの天才的な頭の良さと、ヨハンの恐ろしさが伝わってくる演出だと考える。人を殺すことを幼少期から何も躊躇わない少年と、医者という仕事の中で日々忖度される人の命に触れ、人の命とは平等ではないのかと自問自答し、やはり平等であるべきだと思い至った後で、助けた子供は怪物だったと知る絶望するような医者のストーリーが衝撃であり、そして視聴者も命の価値観についてもう一度考えさせられる話だと感じた。
3.『天官賜福3』(小説)
原作:墨香銅臭
仙楽国の太子・謝憐(シエ リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。それから八百年後、三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、今や謝憐の信徒は残っておらず、他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐は、ある日、三郎(サン ラン)と名乗る美しい少年に出会う。行くあてがないと言われ共に過ごすようになり、慕ってくれる彼と仲を深める謝憐。だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎には秘密があるようで――?
前巻の話から読者は辛くなっていたところをかなりの急展開が襲い、辛いだけではなく、思わず笑顔になってしまうような展開が起きたことで、謝憐の辛く重い過去が紐解かれていく中に読者に辛さだけを与えない演出があり、読者は常に先生の掌の上で転がされていると感じた。謝憐や読者は沈んでいても、それでも変わることはない、思わず溢れてしまう、深い花城の愛に胸が熱くなると考える。
4.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(漫画)
原作:謙虚なサークル 作画:石沢康介
血筋と才能に恵まれなかったとある魔術師は、貴族との決闘に負け無残な最期を迎えるも、死の間際も「もっと魔術を学びたかった」と考えていた。目を覚ますと、男はサルーム王国の第七王子・ロイドに転生していた。前世とは真逆の、恵まれた環境で前世の知識と記憶を武器に自由気ままに魔術を学び、習得していく。周囲からの評価は気にもせず、ロイドは魔術を極める無双ライフをエンジョイする。
主人公が前世から魔術にしか興味がなく、王位も名誉も更には自分を殺した相手のことや自分の命でさえも魔術を極めること以外には何も興味が無いという人物像が、行き過ぎる好意の狂気じみた感じを演出していると考える。物語が進むにつれ、ロイドの人柄が知られていき、ロイドの強さと狂気が徐々にあらわになっていく展開と、前世から現兄である第二王子や第一王子と関わりがあったという展開が熱いと感じた。またカラー作画が非常にクオリティが高く、このクオリティをアニメで再現できるのかと心配されていたが、アニメでもかなり再現されていて、音や演技も素晴らしくアニメにはアニメの良さがあると感じた。
5.『MONSTERS一百三情飛龍侍極』(アニメ)
原作:尾田栄一郎 監督:朴性厚
主人公の侍・リューマは放浪の末、ある町に辿り着き野垂れ死に寸前なところをとある食事処のウェイトレス・フレアに助けられた。時を同じくしてその町では、一級剣士と名高い男・シラノも現れた。嘗てシラノに命を救われたフレアはその再会に喜ぶが、丁度その頃、リューマは通りすがりの剣客・ディーアールに言いがかりをつけられ、ドラゴンを呼び寄せた濡れ衣を着せられてしまう。町1つを簡単に滅ぼす程の力を持ったドラゴンの襲来に人々は恐れ慄き、寄って集ってリューマを非難するが、シラノはそんな中で自分がドラゴンから町を守ると宣言する。その場に居た誰もが彼の雄姿を称え、その気持ちを信じたが、唯一人、リューマだけはそんなシラノに欺瞞の目を向けていた。
ボイスコミック版の主人公の声優はそのままで、アニメーションならではの動きのある作画と迫力がよりリューマの強さを引きたてていると考える。優しく偉大な人物だと思っていた人が悪役だったり、真実が分かるような展開が『ONEPIECE』の空島やアラバスタに似ているようで、そういった展開を面白く爽快に描き出すことがさすが尾田先生だと感じた。最後、主人公リューマと関わりがある『ONEPIECE』のゾロに繋がる演出が、漫画では『ONEPIECE』を描く前故に無いので、非常に熱い演出だと感じた。また当たり前ではあるのだが、リューマの刀が「秋水」であることに感動した。
6.『Doctor-X ~外科医・大門未知子 season1~7』(ドラマ)
企画:古賀誠一
特定の病院に属さないフリーラスの天才外科医大門未知子の病院や医局での活躍を描く医療ドラマ。主人公と周りの登場人物は同じだが、シリーズごとに舞台となる病院が変わり、移動先の病院での権力闘争に明け暮れる医局の医師たちや訳あり患者と大門の交流をコメディとシリアスを織りまぜた展開で描く。
主人公の大門未知子は病院側や病院長などの偉い方々からは嫌な存在として描かれているが、大門未知子は天才外科医であり、オペがしたいだけの人物なので、厄介払いせずに上手く利用すればいいのにという考えに視聴者は至ると考える。それを第三期では実際に行われるのだが、最終的に利用することも上手くいかずに終わることで、圧倒的な力や大門未知子の純粋な気持ちの前では人の策略も、他人が上手く操ることも出来ないのだと考えさせられる。そして一番上手く扱えるのはそんな大門未知子のことを一番に全て理解している神原晶であるのだと感じた。また、大学病院の権力闘争や出世に囚われた医師たちを描く中で、患者のことを一番に考え、命の重みを理解しているのは大門未知子である構図と、それに触発されて少しずつ考え直していく医師たちを描く演出がとても面白い。
7.『アンナチュナル』(ドラマ)
脚本:野木亜紀子
設立して2年弱の不自然死究明研究所=通称UDIラボに勤める法医解剖医の三澄ミコトが、訳ありベテラン法医解剖医の中堂系、東海林夕子、久部六郎、神倉保夫と協力し合いつつ、毎回様々な死を扱いながら、その裏側にある謎や事件、真実を解明していく。
主人公三澄ミコトには重い過去があるが、その家族や過去の件についてはあまり触れられず話が展開していく。通常の物語では主人公の事件を深堀していくと思うが、このドラマでは三澄ミコトの事件や過去は真犯人がいる訳でもなく、もう完結しているものであり、それに伴い今の三澄ミコトという人物ができていることを強く表していると感じた。そして主人公ではなく、中堂系の方に深堀し事件を解決することが、他作品と比べて珍しく、中堂系もこの物語において重要な人物であることが分かる。
8.『グリム組曲』(アニメ)
脚本:横手美智子
国中から収集したメルヘンを編纂しているヤコブとヴィルヘルム兄弟と、妹のシャルロッテ。兄弟が集めたメルヘンに対して、シャルロッテは疑問を投げかける。本当にシンデレラはいじめられていたのか。もしも狼が沢山いて、赤ずきんが普通の少女ではなかったなら。グレーテルは、実はヘンゼルのイマジナリーフレンドだったのではないか。小人の力を借りることが、必ずしも幸せに繋がるとは限らないのではないか。敵を倒すために一致団結した動物たちは、敵を打倒した後も仲良く暮らせるのか。笛吹き男に連れ去られた子どもたちは、その後どうなったのか。シャルロッテは頭の中で、それぞれの物語を兄たちとは違った角度から解釈する。
グリム童話を別角度で描いた物語が、視聴者に新たな気づきや視点を与え、凝り固まった視野を広げてくれると考える。第1話のシンデレラでは、シンデレラが被害者ではなく全て裏で操っていたらを描き、そんなシンデレラが『烏に単は似合わない』のあせびに似ていると感じた。
9.『金の国水の国』(映画)
原作:岩本ナオ 監督:渡邉こと乃
王女サーラの住む金の国と建築士ナランバヤルの住む水の国は100年間断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国の思惑に巻きこまれ偽りの夫婦を演じることになる。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、 真実を言い出せない不器用な2人のやさしい嘘は、国の未来を変えられるのか。
サーラとナランバヤルが最初に出会うシーンで、ナランバヤルがサーラに好意を抱き、惚れるシーンのナランバヤルの表情や演出がサーラに惚れたことが分かりやすく、視聴者もキュンとくるような心に響く演出だと考える。2つの国は国として王として思惑を持ち動くけれど、王個人や姉王女、左大臣の思っていることが徐々に分かり、誰も憎めないと感じる。
10.『ぶっちぎり?!』(アニメ)
監督:内海紘子
高校生の灯荒仁は、初彼女ゲットを夢見ていた。しかし、転校した先は不良だらけの威血頭高校であった。そこで彼は、学園一の美少女・神まほろに一目惚れ。そして運悪く、幼いころに本気人(ほんきびと)を目指そうと約束を交わしたかつての親友・浅観音真宝と再会した末に、不良同士の抗争に巻き込まれてしまう。そんな中で荒仁は、逃げ込んだ神社で本気人(マジン)の封印を解き、千夜という本気人に見込まれ、荒仁の額の横に付けられた飾りに宿りともに行動するように。それにより、迫る不良に対し荒仁の願望に呼応することで強大な力を発揮して撃退できるようになったが、荒仁の意思とは裏腹に不良に好かれる羽目に見舞われていく。
アニメ『SK∞』のタッグであり、以前から注目していたのだが、不良と千夜一夜物語という内海紘子の特有なストーリーと惹かれるキャラクターデザインや世界観が、この作品に合っていると考える。荒仁と真宝、千夜と一夜などの友情や幼馴染の関係を描くことが『SK∞』同様、非常に面白いと感じる。
11.『正体』(ドラマ)
原作:染井為人 監督:中田秀夫/谷口正晃
脱獄した死刑囚である、鏑木慶一は逃走を続けながら、潜伏先で出会った人々を窮地から救ってゆく。やがて彼に助けられた人々は、彼が本当に残忍な殺人犯なのか疑問を抱き始める。
殺人犯として扱われているにも関わらず、最初から困っている人を最終的に助けてしまうようなお人好しとして主人公を描き、視聴者にも本当に主人公は殺人犯なのかと疑問を抱かせ、鏑木と出会った人物たちと共に後半になるにつれ、鏑木慶一という人物や事件の真相や犯人を暴いていく構成が物語を目を離せないものにしていると考える。その場にいたことや証拠があることで犯人ではない人を犯人にしてしまう検察や警察側が、本当にあったならとても恐ろしく、物語終盤の裁判官が主人公に謝罪するシーンが、主人公のこれまでの辛さを思い出させとても胸に来るものがあると感じた。また原作の小説では結末が違うらしく、原作はどうなるのか気になり、原作も読んでみたいと感じた。
12.『大奥』(漫画)
作者:よしながふみ
徳川三代将軍家光の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥である。その起こりから終焉までを、八代将軍吉宗の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録』の内容としてほぼ時系列順に描く。
男女逆転した江戸時代という世界観が非常に面白く、もし男女の立場が逆転していたらこうなっていたのかと考えさせられ、歴史の内容も男女が違うだけで史実に基づいているので分かりやすく勉強にもなると感じた。作品終盤の14代将軍・徳川家茂の妻である和宮が西郷隆盛の発言に激怒し、これまでの江戸の将軍統治の歴史は、代々の将軍や臣下達、女と男の一人一人の人生と努力の上にあるものであり、それを無かったことにするなと言う叫びが非常に感動し、現実の江戸の歴史も一人一人の人生の上に積み重なったものであり、今があるのだと強く考えさせられる作品である。
13.『魔女と野獣』(アニメ)
原作:佐竹幸典 監督:浜名孝行
はじまりは17人の「起源の魔女」。全ての力をその身に受け継いだものが、現代も世界各地に存在する。魔女の呪いによって少女の姿に変えられたギドと魔術師アシャフが世界各地を訪ね歩きながら、ギドに呪いをかけた魔女を追うダーク・ファンタジー。
原作の漫画で描かれる世界やキャラクター達はとても美しいが、アニメでも美しく、ギドの可愛さや綺麗さもそのままに描かれていると感じた。そして声があることでアシャフのかっこよさがより高まっている。またギドとアシャフはビジネスパートナーというようなお互いの目的のためだけの関係だが、本当はお互いに少し信頼していたりというような関係性が面白いと考える。
14.『ギヴン 柊mix』(映画)
原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。さらに柊は、立夏にやってみたいことがあると持ちかける。
ずっと聞きたかった柊の歌声と「syh」の曲を実際に耳で聞き、立夏が言っていたように柊のトラックメイカーとしての才能や評価されている「syh」の曲を体感することができ、非常に感動した。またそれを体感できるような作品通りの曲と歌声の完成度が高いと考える。この物語を通して改めて由紀の罪深さと、玄純の柊への思いの深さなどを実感し、柊と玄純が主役の物語として非常に面白く描かれていると考える。そして最後は次の真冬の話をより気になる形にさせる終わり方だと感じた。
15.『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~』(アニメ)
原作:未来人A 監督:加戸誉夫
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴族の子として生きることになった。アルスには特別な知力や武力は無いが、生まれながらにして他人の能力・ステータスを見抜く「鑑定スキル」を手にしていた。そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の領地へと変貌させていく。心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記。
設定はよくある異世界転生ものであるが、アニメでも漫画でもずっと一定に面白く、中緩みすることもなく展開が広がっていく度に面白くなっていくことがこの作品の凄い点だと考える。そして主人公の力が「鑑定スキル」であり、その力で強くなっていくストーリーが、結局最強なのは人の力であり、力を合わせることが強さなのだと感じた。
16.『陰陽師0』(映画)
原作:夢枕獏 監督:佐藤嗣麻子
平安時代、呪いや祟りから都を守る陰陽師の省庁であると共に彼らを育成する学校でもある「陰陽寮」が政治の中心にあった。若き日の安倍晴明は、呪術の天才と呼ばれる存在でありながら、陰陽師になる意欲や興味がない変わり者として知られていた。ある日晴明は、貴族の源博雅から怪現象の解決を依頼されたことをきっかけに、平安京を脅かす巨大な陰謀と呪いに挑むことになる。夢枕獏の小説シリーズ『陰陽師』を原作とし、夢枕獏全面協力の元、晴明が陰陽師となる前の青年時代を完全オリジナルストーリーとして描く。
『陰陽師』と言えば野村萬斎のイメージが強かったが、若き日の青年時代の安倍晴明として今作で山﨑賢人が演じた安倍晴明では、まだ精神的にも身体的にも若いという感じがよく出ていると感じた。アクションシーンやCGの演出も迫力があり、終盤は全て意識の中の話だったとしても、現実で起こっているかのようで面白いと考える。また最後に分かる、彼だけは本物だった、本物の呪術師だったということが熱い展開である。
17.『忍びの家 House of Ninjas』(ドラマ)
監督:デイブ・ボイル/瀧本智行/村尾嘉昭
現代の日本で「忍びの家」に住む忍びの一家、俵家。6年前、長男が任務中に死亡したことをきっかけに、俵家は忍者の規律を放棄し、普通の家族になろうとしていた。しかし、新たな危機が訪れようとする時、家族は再び過去の影へと引きずり戻されるのであった。
現代まで続く忍びの一家という設定や、アクションシーンのクオリティの高さ、長男の死をきっかけにバラバラになった家族と、それでも忍びという性から抜け出せない家族、そしてまた任務を通して家族と自分たちの関係性を再確認していく展開が面白い作品であると感じた。また忍者のアクションがメインかと思いきや、実は忍者一家のホームドラマがメインであり、死や家族に関しての想いは薄いように見えて皆強い想いがあることは、死と隣り合わせの任務に身を投じる者たちだからこそ、命の重さも理解し、家族への強い想いを持っているのだと考える。
18.『千秋 1』(小説)
原作:梦溪石
天下一の道門玄都山の掌教・沈嶠(シェンチアオ)は、昆邪(クン・イエ)との戦いで崖から落ちて瀕死の重傷を負ってしまう。そこへ救いの手を差しのべたのは、たまたま通りかかった魔教・浣月宗の宗主である晏無師(イエンウースー)だった。彼は沈嶠が記憶をなくして視力もほぼ失っているのをいいことに沈嶠を浣月宗に引き入れようとする。しかし、沈嶠はこれを拒み、自身の過去を確かめるべく旅に出ることに。長年、山にこもり世間を知らなかった沈嶠が善悪を知っていくなかで、なぜか晏無師が彼の前に度々現れて──。
主人公の沈嶠は、負った傷の影響が大きく病弱で儚い印象だが、実は天下で上位に名を連ねる武術の強さをもち、その上見た目はとても美しく、心も純粋で美しいという人物であることが、この作品の魅力だと考える。主人公には容赦なく様々な試練が襲いかかり、世の中の善悪を知っていくことになっていく展開は彼がどうなっていくのか興味を抱かせる展開である。そしてそんな展開が襲っても、主人公を追いかけ回す晏無師がどんなに主人公を悪く黒く染めようとしても、抗い続け綺麗な純白のままの主人公が魅力的であり、二人の関係性が変化していく様子も面白いと感じた。
19.『A3! 第13幕』(ゲーム)
シナリオ:トム 開発:リベル・エンタテインメント プロデューサー:沖田多久磨
東京の郊外・天鵞絨(びろうど)町には小劇場が立ち並ぶ一角があり、そこは「ビロードウェイ」と呼ばれている。ビロードウェイに専用劇場を構える劇団「MANKAIカンパニー」はかつて人気を博していたものの、今では1000万円もの借金を抱えている上に劇団員は1人しかおらず、劇団存続の瀬戸際に立たされていた。創設者立花幸夫の娘である立花いづみは、父の行方を捜す中でMANKAIカンパニーを訪れた際、主宰兼総監督として劇団の再建を任される。そして第四部第13幕では、新生フルール賞の概要が発表され、MANKAIカンパニーもその新たな仕組みに翻弄されることになる。そんな中、春組第十一回公演が回ってきて、新生春組旗揚げ公演の続編である『ロミオとジュリアス~Rosso e Blu~』を上演することになるのだが――。
メインストーリー第四部第13幕がやると発表になってから、「巣立つ」や「未来へ」「新時代」などという劇団員の別れや退団を思わせる単語が出てきていて心配していたが、春組の劇団員達それぞれの新しい道や考え、演劇とMANKAIカンパニーのためを思っての行動のことを指していて安心した。春組第十一回公演では、皆初めは演劇初心者だったとは思えないほど旗揚げ公演より遥かに演技が成長しており、特に主役の咲也の演技がとても上手く、旗揚げ公演の続編ということもあり今までのストーリーを思い出し、非常に感慨深いものがあった。また衣装が旗揚げ公演と比べて明らかに豪華になっており、昔と比べて幸の技術力が上がり、資金面が余裕になったのか、また莇のヘアメイクも追加されたということを演出していると考えられる。そのことからも次の夏組や秋組、冬組の公演もとても楽しみに感じさせる。そして、新生フルール賞というタイミングでの旗揚げ公演の時にはいなかったルーキーズを足しての続編という展開が熱く、新生フルール賞に対して本気で向かっている、物語が動いていると考えさせられる展開であると感じた。
20.『グッド・ナイト・ワールド』(アニメ)
原作:岡部閏 監督:菊池カツヤ
ネットゲーム「プラネット」において最強と呼ばれる4人組がいた。4人組の名前は“赤羽一家”。彼らはネットゲーム上の疑似家族である。しかし互いには知らないが、彼らの正体は現実世界で崩壊した本物の家族だった。引きこもりの長男、優等生の次男、我が子から尊敬されない父親、家庭を顧みない母親。彼らは家族のぬくもりを知らない。ネットゲーム上の家族が仮初めのぬくもりである事も知らない。そして互いが本当の家族である事も知らない。赤羽一家を中心としてネットゲーム『プラネット』の中で繰り広げられる、モンスターとのバトル、ギルド同士の戦い、そして最終標的“黒い鳥”をめぐる権謀術数。物語は現実世界を、そして現実の家族を巻き込んで大きく動き出す―― 。
ネットゲームでの擬似家族が、崩壊した現実の家族であり、互いに正体は知らないという設定が、現実では嫌いだけどゲームでは好きな人物であり、互いに真実を知ったあとも嫌いなのに今までゲームで見せてたものは何だったのかと気持ちが揺さぶられ、少しづつ終わりきった家族関係にも変化が生まれていくという展開に繋がり、面白いと感じた。ゲームと現実を交互に見ることで、家族関係の歪さや家族に何があって決定的な崩壊が起きたのかなど視聴者はよくよく知ることになり、そして実際は兄弟を思う気持ちがかなり強かったり、崩壊していても確かにそこには家族への愛があったのだと気づき感動する。また絵柄や演出が少し狂気じみていて、作者の『世界鬼』やそういったリアルで暗い作品が好きな人に刺さる作品だと考える。
春休み課題1~20
1.『カラオケ行こ!』(映画)
原作:和山やま 監督:山下敦弘
〈あらすじ〉合唱部部長の岡聡実はやくざの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児は組のカラオケ大会で最下位になったものを待ち受ける恐怖を回避するため、何が何でも上達しなければならないという。聡実は狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしか二人の関係には変化が訪れていく。
原作の漫画はギャグ寄りであり心の中でツッコミを入れたりするのだが、映画では心の声などのモノローグがないため、シリアス寄りに見える。また原作には聡実の狂児の歌声を表した「終始裏声が気持ち悪い。けどセンスは悪くはない。」というセリフがあるが、そのセリフの通りの歌声であり、他組員の歌声など全体的に歌の再現度が高いと考える。最後の聡実の歌声を原作では音として聞くことができず、ずっと実際に聞いてみたいと考えていたが、それを映画で聞くことができ感動した。しかし個人的に好きな場面が映画にはなく残念だった。
2.『MONSTER』(アニメ)
原作:浦沢直樹 監督:小島正幸
1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に勤め、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。そんなある日、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてきたことから、テンマの人生は一変することになる。そして1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れ、テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白する。殺人鬼を蘇らせてしまったとテンマは自らに責任を感じ、怪物ヨハンを自分が射殺しようと、殺人犯の濡れ衣を着せられドイツ国内を逃亡しながらもテンマはヨハンを追跡する。
この物語の黒幕であるヨハンが成長してからテンマの前に現れた後、成長後の姿が完全に登場し初めて顔が分かるのは23話であり、始まってからかなり後である。通常であればすぐ登場すると思うが、この作品ではすぐに登場しないことが、ヨハンがずっと裏で全てを操っているということを表すようで、よりヨハンの天才的な頭の良さと、ヨハンの恐ろしさが伝わってくる演出だと考える。人を殺すことを幼少期から何も躊躇わない少年と、医者という仕事の中で日々忖度される人の命に触れ、人の命とは平等ではないのかと自問自答し、やはり平等であるべきだと思い至った後で、助けた子供は怪物だったと知る絶望するような医者のストーリーが衝撃であり、そして視聴者も命の価値観についてもう一度考えさせられる話だと感じた。
3.『天官賜福3』(小説)
原作:墨香銅臭
仙楽国の太子・謝憐(シエ リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。それから八百年後、三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、今や謝憐の信徒は残っておらず、他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐は、ある日、三郎(サン ラン)と名乗る美しい少年に出会う。行くあてがないと言われ共に過ごすようになり、慕ってくれる彼と仲を深める謝憐。だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎には秘密があるようで――?
前巻の話から読者は辛くなっていたところをかなりの急展開が襲い、辛いだけではなく、思わず笑顔になってしまうような展開が起きたことで、謝憐の辛く重い過去が紐解かれていく中に読者に辛さだけを与えない演出があり、読者は常に先生の掌の上で転がされていると感じた。謝憐や読者は沈んでいても、それでも変わることはない、思わず溢れてしまう、深い花城の愛に胸が熱くなると考える。
4.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(漫画)
原作:謙虚なサークル 作画:石沢康介
血筋と才能に恵まれなかったとある魔術師は、貴族との決闘に負け無残な最期を迎えるも、死の間際も「もっと魔術を学びたかった」と考えていた。目を覚ますと、男はサルーム王国の第七王子・ロイドに転生していた。前世とは真逆の、恵まれた環境で前世の知識と記憶を武器に自由気ままに魔術を学び、習得していく。周囲からの評価は気にもせず、ロイドは魔術を極める無双ライフをエンジョイする。
主人公が前世から魔術にしか興味がなく、王位も名誉も更には自分を殺した相手のことや自分の命でさえも魔術を極めること以外には何も興味が無いという人物像が、行き過ぎる好意の狂気じみた感じを演出していると考える。物語が進むにつれ、ロイドの人柄が知られていき、ロイドの強さと狂気が徐々にあらわになっていく展開と、前世から現兄である第二王子や第一王子と関わりがあったという展開が熱いと感じた。またカラー作画が非常にクオリティが高く、このクオリティをアニメで再現できるのかと心配されていたが、アニメでもかなり再現されていて、音や演技も素晴らしくアニメにはアニメの良さがあると感じた。
5.『MONSTERS一百三情飛龍侍極』(アニメ)
原作:尾田栄一郎 監督:朴性厚
主人公の侍・リューマは放浪の末、ある町に辿り着き野垂れ死に寸前なところをとある食事処のウェイトレス・フレアに助けられた。時を同じくしてその町では、一級剣士と名高い男・シラノも現れた。嘗てシラノに命を救われたフレアはその再会に喜ぶが、丁度その頃、リューマは通りすがりの剣客・ディーアールに言いがかりをつけられ、ドラゴンを呼び寄せた濡れ衣を着せられてしまう。町1つを簡単に滅ぼす程の力を持ったドラゴンの襲来に人々は恐れ慄き、寄って集ってリューマを非難するが、シラノはそんな中で自分がドラゴンから町を守ると宣言する。その場に居た誰もが彼の雄姿を称え、その気持ちを信じたが、唯一人、リューマだけはそんなシラノに欺瞞の目を向けていた。
ボイスコミック版の主人公の声優はそのままで、アニメーションならではの動きのある作画と迫力がよりリューマの強さを引きたてていると考える。優しく偉大な人物だと思っていた人が悪役だったり、真実が分かるような展開が『ONEPIECE』の空島やアラバスタに似ているようで、そういった展開を面白く爽快に描き出すことがさすが尾田先生だと感じた。最後、主人公リューマと関わりがある『ONEPIECE』のゾロに繋がる演出が、漫画では『ONEPIECE』を描く前故に無いので、非常に熱い演出だと感じた。また当たり前ではあるのだが、リューマの刀が「秋水」であることに感動した。
6.『Doctor-X ~外科医・大門未知子 season1~7』(ドラマ)
企画:古賀誠一
特定の病院に属さないフリーラスの天才外科医大門未知子の病院や医局での活躍を描く医療ドラマ。主人公と周りの登場人物は同じだが、シリーズごとに舞台となる病院が変わり、移動先の病院での権力闘争に明け暮れる医局の医師たちや訳あり患者と大門の交流をコメディとシリアスを織りまぜた展開で描く。
主人公の大門未知子は病院側や病院長などの偉い方々からは嫌な存在として描かれているが、大門未知子は天才外科医であり、オペがしたいだけの人物なので、厄介払いせずに上手く利用すればいいのにという考えに視聴者は至ると考える。それを第三期では実際に行われるのだが、最終的に利用することも上手くいかずに終わることで、圧倒的な力や大門未知子の純粋な気持ちの前では人の策略も、他人が上手く操ることも出来ないのだと考えさせられる。そして一番上手く扱えるのはそんな大門未知子のことを一番に全て理解している神原晶であるのだと感じた。また、大学病院の権力闘争や出世に囚われた医師たちを描く中で、患者のことを一番に考え、命の重みを理解しているのは大門未知子である構図と、それに触発されて少しずつ考え直していく医師たちを描く演出がとても面白い。
7.『アンナチュナル』(ドラマ)
脚本:野木亜紀子
設立して2年弱の不自然死究明研究所=通称UDIラボに勤める法医解剖医の三澄ミコトが、訳ありベテラン法医解剖医の中堂系、東海林夕子、久部六郎、神倉保夫と協力し合いつつ、毎回様々な死を扱いながら、その裏側にある謎や事件、真実を解明していく。
主人公三澄ミコトには重い過去があるが、その家族や過去の件についてはあまり触れられず話が展開していく。通常の物語では主人公の事件を深堀していくと思うが、このドラマでは三澄ミコトの事件や過去は真犯人がいる訳でもなく、もう完結しているものであり、それに伴い今の三澄ミコトという人物ができていることを強く表していると感じた。そして主人公ではなく、中堂系の方に深堀し事件を解決することが、他作品と比べて珍しく、中堂系もこの物語において重要な人物であることが分かる。
8.『グリム組曲』(アニメ)
脚本:横手美智子
国中から収集したメルヘンを編纂しているヤコブとヴィルヘルム兄弟と、妹のシャルロッテ。兄弟が集めたメルヘンに対して、シャルロッテは疑問を投げかける。本当にシンデレラはいじめられていたのか。もしも狼が沢山いて、赤ずきんが普通の少女ではなかったなら。グレーテルは、実はヘンゼルのイマジナリーフレンドだったのではないか。小人の力を借りることが、必ずしも幸せに繋がるとは限らないのではないか。敵を倒すために一致団結した動物たちは、敵を打倒した後も仲良く暮らせるのか。笛吹き男に連れ去られた子どもたちは、その後どうなったのか。シャルロッテは頭の中で、それぞれの物語を兄たちとは違った角度から解釈する。
グリム童話を別角度で描いた物語が、視聴者に新たな気づきや視点を与え、凝り固まった視野を広げてくれると考える。第1話のシンデレラでは、シンデレラが被害者ではなく全て裏で操っていたらを描き、そんなシンデレラが『烏に単は似合わない』のあせびに似ていると感じた。
9.『金の国水の国』(映画)
原作:岩本ナオ 監督:渡邉こと乃
王女サーラの住む金の国と建築士ナランバヤルの住む水の国は100年間断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国の思惑に巻きこまれ偽りの夫婦を演じることになる。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、 真実を言い出せない不器用な2人のやさしい嘘は、国の未来を変えられるのか。
サーラとナランバヤルが最初に出会うシーンで、ナランバヤルがサーラに好意を抱き、惚れるシーンのナランバヤルの表情や演出がサーラに惚れたことが分かりやすく、視聴者もキュンとくるような心に響く演出だと考える。2つの国は国として王として思惑を持ち動くけれど、王個人や姉王女、左大臣の思っていることが徐々に分かり、誰も憎めないと感じる。
10.『ぶっちぎり?!』(アニメ)
監督:内海紘子
高校生の灯荒仁は、初彼女ゲットを夢見ていた。しかし、転校した先は不良だらけの威血頭高校であった。そこで彼は、学園一の美少女・神まほろに一目惚れ。そして運悪く、幼いころに本気人(ほんきびと)を目指そうと約束を交わしたかつての親友・浅観音真宝と再会した末に、不良同士の抗争に巻き込まれてしまう。そんな中で荒仁は、逃げ込んだ神社で本気人(マジン)の封印を解き、千夜という本気人に見込まれ、荒仁の額の横に付けられた飾りに宿りともに行動するように。それにより、迫る不良に対し荒仁の願望に呼応することで強大な力を発揮して撃退できるようになったが、荒仁の意思とは裏腹に不良に好かれる羽目に見舞われていく。
アニメ『SK∞』のタッグであり、以前から注目していたのだが、不良と千夜一夜物語という内海紘子の特有なストーリーと惹かれるキャラクターデザインや世界観が、この作品に合っていると考える。荒仁と真宝、千夜と一夜などの友情や幼馴染の関係を描くことが『SK∞』同様、非常に面白いと感じる。
11.『正体』(ドラマ)
原作:染井為人 監督:中田秀夫/谷口正晃
脱獄した死刑囚である、鏑木慶一は逃走を続けながら、潜伏先で出会った人々を窮地から救ってゆく。やがて彼に助けられた人々は、彼が本当に残忍な殺人犯なのか疑問を抱き始める。
殺人犯として扱われているにも関わらず、最初から困っている人を最終的に助けてしまうようなお人好しとして主人公を描き、視聴者にも本当に主人公は殺人犯なのかと疑問を抱かせ、鏑木と出会った人物たちと共に後半になるにつれ、鏑木慶一という人物や事件の真相や犯人を暴いていく構成が物語を目を離せないものにしていると考える。その場にいたことや証拠があることで犯人ではない人を犯人にしてしまう検察や警察側が、本当にあったならとても恐ろしく、物語終盤の裁判官が主人公に謝罪するシーンが、主人公のこれまでの辛さを思い出させとても胸に来るものがあると感じた。また原作の小説では結末が違うらしく、原作はどうなるのか気になり、原作も読んでみたいと感じた。
12.『大奥』(漫画)
作者:よしながふみ
徳川三代将軍家光の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥である。その起こりから終焉までを、八代将軍吉宗の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録』の内容としてほぼ時系列順に描く。
男女逆転した江戸時代という世界観が非常に面白く、もし男女の立場が逆転していたらこうなっていたのかと考えさせられ、歴史の内容も男女が違うだけで史実に基づいているので分かりやすく勉強にもなると感じた。作品終盤の14代将軍・徳川家茂の妻である和宮が西郷隆盛の発言に激怒し、これまでの江戸の将軍統治の歴史は、代々の将軍や臣下達、女と男の一人一人の人生と努力の上にあるものであり、それを無かったことにするなと言う叫びが非常に感動し、現実の江戸の歴史も一人一人の人生の上に積み重なったものであり、今があるのだと強く考えさせられる作品である。
13.『魔女と野獣』(アニメ)
原作:佐竹幸典 監督:浜名孝行
はじまりは17人の「起源の魔女」。全ての力をその身に受け継いだものが、現代も世界各地に存在する。魔女の呪いによって少女の姿に変えられたギドと魔術師アシャフが世界各地を訪ね歩きながら、ギドに呪いをかけた魔女を追うダーク・ファンタジー。
原作の漫画で描かれる世界やキャラクター達はとても美しいが、アニメでも美しく、ギドの可愛さや綺麗さもそのままに描かれていると感じた。そして声があることでアシャフのかっこよさがより高まっている。またギドとアシャフはビジネスパートナーというようなお互いの目的のためだけの関係だが、本当はお互いに少し信頼していたりというような関係性が面白いと考える。
14.『ギヴン 柊mix』(映画)
原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。さらに柊は、立夏にやってみたいことがあると持ちかける。
ずっと聞きたかった柊の歌声と「syh」の曲を実際に耳で聞き、立夏が言っていたように柊のトラックメイカーとしての才能や評価されている「syh」の曲を体感することができ、非常に感動した。またそれを体感できるような作品通りの曲と歌声の完成度が高いと考える。この物語を通して改めて由紀の罪深さと、玄純の柊への思いの深さなどを実感し、柊と玄純が主役の物語として非常に面白く描かれていると考える。そして最後は次の真冬の話をより気になる形にさせる終わり方だと感じた。
15.『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~』(アニメ)
原作:未来人A 監督:加戸誉夫
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴族の子として生きることになった。アルスには特別な知力や武力は無いが、生まれながらにして他人の能力・ステータスを見抜く「鑑定スキル」を手にしていた。そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の領地へと変貌させていく。心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記。
設定はよくある異世界転生ものであるが、アニメでも漫画でもずっと一定に面白く、中緩みすることもなく展開が広がっていく度に面白くなっていくことがこの作品の凄い点だと考える。そして主人公の力が「鑑定スキル」であり、その力で強くなっていくストーリーが、結局最強なのは人の力であり、力を合わせることが強さなのだと感じた。
16.『陰陽師0』(映画)
原作:夢枕獏 監督:佐藤嗣麻子
平安時代、呪いや祟りから都を守る陰陽師の省庁であると共に彼らを育成する学校でもある「陰陽寮」が政治の中心にあった。若き日の安倍晴明は、呪術の天才と呼ばれる存在でありながら、陰陽師になる意欲や興味がない変わり者として知られていた。ある日晴明は、貴族の源博雅から怪現象の解決を依頼されたことをきっかけに、平安京を脅かす巨大な陰謀と呪いに挑むことになる。夢枕獏の小説シリーズ『陰陽師』を原作とし、夢枕獏全面協力の元、晴明が陰陽師となる前の青年時代を完全オリジナルストーリーとして描く。
『陰陽師』と言えば野村萬斎のイメージが強かったが、若き日の青年時代の安倍晴明として今作で山﨑賢人が演じた安倍晴明では、まだ精神的にも身体的にも若いという感じがよく出ていると感じた。アクションシーンやCGの演出も迫力があり、終盤は全て意識の中の話だったとしても、現実で起こっているかのようで面白いと考える。また最後に分かる、彼だけは本物だった、本物の呪術師だったということが熱い展開である。
17.『忍びの家 House of Ninjas』(ドラマ)
監督:デイブ・ボイル/瀧本智行/村尾嘉昭
現代の日本で「忍びの家」に住む忍びの一家、俵家。6年前、長男が任務中に死亡したことをきっかけに、俵家は忍者の規律を放棄し、普通の家族になろうとしていた。しかし、新たな危機が訪れようとする時、家族は再び過去の影へと引きずり戻されるのであった。
現代まで続く忍びの一家という設定や、アクションシーンのクオリティの高さ、長男の死をきっかけにバラバラになった家族と、それでも忍びという性から抜け出せない家族、そしてまた任務を通して家族と自分たちの関係性を再確認していく展開が面白い作品であると感じた。また忍者のアクションがメインかと思いきや、実は忍者一家のホームドラマがメインであり、死や家族に関しての想いは薄いように見えて皆強い想いがあることは、死と隣り合わせの任務に身を投じる者たちだからこそ、命の重さも理解し、家族への強い想いを持っているのだと考える。
18.『千秋 1』(小説)
原作:梦溪石
天下一の道門玄都山の掌教・沈嶠(シェンチアオ)は、昆邪(クン・イエ)との戦いで崖から落ちて瀕死の重傷を負ってしまう。そこへ救いの手を差しのべたのは、たまたま通りかかった魔教・浣月宗の宗主である晏無師(イエンウースー)だった。彼は沈嶠が記憶をなくして視力もほぼ失っているのをいいことに沈嶠を浣月宗に引き入れようとする。しかし、沈嶠はこれを拒み、自身の過去を確かめるべく旅に出ることに。長年、山にこもり世間を知らなかった沈嶠が善悪を知っていくなかで、なぜか晏無師が彼の前に度々現れて──。
主人公の沈嶠は、負った傷の影響が大きく病弱で儚い印象だが、実は天下で上位に名を連ねる武術の強さをもち、その上見た目はとても美しく、心も純粋で美しいという人物であることが、この作品の魅力だと考える。主人公には容赦なく様々な試練が襲いかかり、世の中の善悪を知っていくことになっていく展開は彼がどうなっていくのか興味を抱かせる展開である。そしてそんな展開が襲っても、主人公を追いかけ回す晏無師がどんなに主人公を悪く黒く染めようとしても、抗い続け綺麗な純白のままの主人公が魅力的であり、二人の関係性が変化していく様子も面白いと感じた。
19.『A3! 第13幕』(ゲーム)
シナリオ:トム 開発:リベル・エンタテインメント プロデューサー:沖田多久磨
東京の郊外・天鵞絨(びろうど)町には小劇場が立ち並ぶ一角があり、そこは「ビロードウェイ」と呼ばれている。ビロードウェイに専用劇場を構える劇団「MANKAIカンパニー」はかつて人気を博していたものの、今では1000万円もの借金を抱えている上に劇団員は1人しかおらず、劇団存続の瀬戸際に立たされていた。創設者立花幸夫の娘である立花いづみは、父の行方を捜す中でMANKAIカンパニーを訪れた際、主宰兼総監督として劇団の再建を任される。そして第四部第13幕では、新生フルール賞の概要が発表され、MANKAIカンパニーもその新たな仕組みに翻弄されることになる。そんな中、春組第十一回公演が回ってきて、新生春組旗揚げ公演の続編である『ロミオとジュリアス~Rosso e Blu~』を上演することになるのだが――。
メインストーリー第四部第13幕がやると発表になってから、「巣立つ」や「未来へ」「新時代」などという劇団員の別れや退団を思わせる単語が出てきていて心配していたが、春組の劇団員達それぞれの新しい道や考え、演劇とMANKAIカンパニーのためを思っての行動のことを指していて安心した。春組第十一回公演では、皆初めは演劇初心者だったとは思えないほど旗揚げ公演より遥かに演技が成長しており、特に主役の咲也の演技がとても上手く、旗揚げ公演の続編ということもあり今までのストーリーを思い出し、非常に感慨深いものがあった。また衣装が旗揚げ公演と比べて明らかに豪華になっており、昔と比べて幸の技術力が上がり、資金面が余裕になったのか、また莇のヘアメイクも追加されたということを演出していると考えられる。そのことからも次の夏組や秋組、冬組の公演もとても楽しみに感じさせる。そして、新生フルール賞というタイミングでの旗揚げ公演の時にはいなかったルーキーズを足しての続編という展開が熱く、新生フルール賞に対して本気で向かっている、物語が動いていると考えさせられる展開であると感じた。
20.『グッド・ナイト・ワールド』(アニメ)
原作:岡部閏 監督:菊池カツヤ
ネットゲーム「プラネット」において最強と呼ばれる4人組がいた。4人組の名前は“赤羽一家”。彼らはネットゲーム上の疑似家族である。しかし互いには知らないが、彼らの正体は現実世界で崩壊した本物の家族だった。引きこもりの長男、優等生の次男、我が子から尊敬されない父親、家庭を顧みない母親。彼らは家族のぬくもりを知らない。ネットゲーム上の家族が仮初めのぬくもりである事も知らない。そして互いが本当の家族である事も知らない。赤羽一家を中心としてネットゲーム『プラネット』の中で繰り広げられる、モンスターとのバトル、ギルド同士の戦い、そして最終標的“黒い鳥”をめぐる権謀術数。物語は現実世界を、そして現実の家族を巻き込んで大きく動き出す―― 。
ネットゲームでの擬似家族が、崩壊した現実の家族であり、互いに正体は知らないという設定が、現実では嫌いだけどゲームでは好きな人物であり、互いに真実を知ったあとも嫌いなのに今までゲームで見せてたものは何だったのかと気持ちが揺さぶられ、少しづつ終わりきった家族関係にも変化が生まれていくという展開に繋がり、面白いと感じた。ゲームと現実を交互に見ることで、家族関係の歪さや家族に何があって決定的な崩壊が起きたのかなど視聴者はよくよく知ることになり、そして実際は兄弟を思う気持ちがかなり強かったり、崩壊していても確かにそこには家族への愛があったのだと気づき感動する。また絵柄や演出が少し狂気じみていて、作者の『世界鬼』やそういったリアルで暗い作品が好きな人に刺さる作品だと考える。
1.寄生獣 セイの格率(アニメ)
ある日、突然そらから何か光る物質が舞い降りそこからミミズのような生物が生まれた。その生物は他の生物の体内に入り込み、入り込んだ生物の脳を乗っ取ることが目的である。脳を乗っ取ることに成功すればその生物は以前のように同じ姿、顔をしている以前とは全く違う生物としてこの世を生きることになる。本作品の主人公である泉新一もまたその生物と遭遇し、脳を奪われそうになったが、奇跡的に奪われず、その生物は新一の右手に寄生することなる。この異常な共同生活はどのような結末に辿るのか。
本作品は人間の脳を奪い、人間を食う寄生生物、通称「パラサイト」に右手を奪われた泉新一が他のパラサイトと遭遇し、生き残り現状を打破する物語である。このように見ると一般的なアクションジャンルの物語であると思うかも知れないが、実はかなり哲学的な要素や人間の本質などを考えさせる作品である。パラサイトは自ら生まれた時にある存在に命じられたと言っている。その命令は「この種(人間)を食い尽くせ」と。一般的な人間の視点から見るとパラサイトの存在は自分たちの種を脅かす脅威でしか見ることが出来ないが、本作品のある登場人物は人間でありながらもパラサイトと協力して彼らに人間を食事できる場所や環境を作ってあげ共食いを手伝う。その登場人物は人間は地球を蝕む害虫であるため数を減らす必要があると主張する。他にも様々な登場人物とその人物たち思想や考え方そこから生まれる主人公の葛藤などが見どころである作品である。
2.ミセンー未生―(ドラマ)
幼い頃から棋士を目指していたチャン・グレだったが、父の死をきっかけにその道をあきらめ、大学にも行けず、26歳になっても様々なバイトを転々とするフリーターとして暮らしいる。しかし、母の伝手で大手総合商社のインターンに就職することが出来る。26歳になるまで会社員経験も学歴もないグレはコピーの取り方すらわからず、遅れをとっていたが、同期とチームを組んでのプレゼン発表で合格点をもらい、なんとか2年間の契約社員として入社し、営業3課に配属される。しかし、2年間の契約社員となってもグレに対する視線や偏見は変わることなく、高卒の天下りという認識はぬぐえないままである。はたして、グレはこの会社で成長することができるのか
本作品は同名の漫画を原作として作られたドラマである。本作品の舞台となる韓国では高卒、しかも本作品の主人公のチャン・グレのような高校を中退し、試験で高校の卒業を認定された人に対しては冷たい目線で見られる傾向が強い。そのため、就職もままならない、就職したとしても無視されがちな社会である。そのような環境で大手企業に就職したグレは親のコネを使って天下りとして就職したのが社内全体に知らされあらゆる差別の目線や扱いをされることになる。しかし、グレは今まで自分がしてきた囲碁で学んだことを活用し何とか会社生活を耐え抜いていく。社会に出たばかりの青年たちの成長を描いた物語であり、ところどころギャグやシリアスなエピソードもあるため気軽に見ることができる作品である。
3.甘城ブリリアントパーク(アニメ)
平凡な日常を過ごしていた本作品の主人公・可児江西也はある日謎の美少女転校生の千斗いすずと出会うことになる。そして彼女に遊園地デートを誘われ強引にデートに行くことになる。わけもわからないまま連れて来られた遊園地はさびれたアトラクション、不親切かつダメダメなサービスの日本一残念な遊園地であるその名は「甘城ブリリアントパーク」である。このようなみすぼらしい遊園地の支配人だという本物のお姫様のラティファは突然、西也にこの閉園寸前の遊園地の再建を依頼し新たな支配人になってくれと頼むが。
本作品は京都アニメーションで制作された日常・ギャグアニメーション作品である。個性あふれる登場人物とわけのわからない閉園寸前の遊園地「甘城ブリリアントパーク」で繰り広げられる再建プロジェクトで先が読めない内容の展開のおかげで楽しく視聴できる作品である。設定上、多少ファンタジー的な要素も含まれているため一般的な日常アニメとは異なる展開もあるため飽きずに見ることが出来る作品である。
4.犯罪都市(映画)
2004年ソウル。強力班のマ・ソクトは、ナイフで向かってくるヤクザ(在韓中国人)にもひるまず、張り手一つで制圧するコワモテ刑事である。ある日、ビリヤード場で刺傷事件が発生した。被害者は毒蛇組の組員、犯人は対立するイス組の男だった。ソクト刑事は難なく犯人を捕らえ、それぞれの組のボスの仲を取り持ち、街のバランスを保っていた。しかしそんな中、中国から新興勢力の黒竜組が乗り込んでくる。ボスのチャンは、情け容赦ない手段で毒蛇組を乗っ取り、次第に勢力を拡大していく。縄張りを荒らされたイス組や、最大勢力の韓国人暴力団も黙っておらず、一触即発の事態に。ついに強力班は組織の一掃作戦を立てることになる。
本作品は韓国の映画作品の一つとして今年の4月までシリーズ4まで制作された人気映画である。R18判定を貰った第1作目を除いた2,3,4は今まで韓国国内で累計観覧客数1000万人以上を達成した作品である。犯罪、アクション、ノワールを扱う作品であるにも関わらず、ところどころ笑い要素などが適切に含まれていてエンターテインメント的な観点から見ても軽く楽しめる作品となっている。アクションジャンルとしてのスリルや迫力ももちろんであるため楽しく見れる作品であった。
5.パラサイト(映画)
半地下住宅に暮らす貧しい4人家族のキム一家はある時長男ギウの友人・ミニョクが自分が留学中の間に家庭教師を代わってほしいとバイトの話を持ってくる。向かった先は豪邸のパク一家であった。初日に母娘の信頼を勝ち取り、見事家庭教師の職を得たギウは、パク家の息子ダソンに紹介したい家庭教師がいると巧みに持ちかける。そして連れてきたのはジェシカと名乗る妹のギジョンだった。 ダソンの美術教師になり母の信頼を得たギジョンは次にある仕掛けをする。専門運転手、家政婦など、徐々にパク家に取り入っていくキム一家。二つの家庭が一つの家で暮らすことになるこの異常な現状はどのように変わっていくのか。
第92回アカデミー賞でアジア初の作品賞を受賞した本作品はキム一家が暮らす家の設定やパク家の設定などを徹底的に組み立てられ貧富の格差、そこから生まれる人の欲望や軟弱さなどが描かれていて色々と考えさせる作品である。資本主義経済が益々酷くなっていく現代社会で生きている私たちは共感できるような作品であると思う。
6.恋は雨上がりのように(アニメ)
感情表現が不器用で一見クールな17歳の女子高生・橘あきら。陸上部のエースだった彼女はある日負傷を負い陸上を休むことになり、雨の日不意に入ったファミレスでそこの店長の近藤正己と出会う。その後、彼女はそのファミレスでバイトを始めることとなる。彼女はアルバイト先のファミレス『cafeレストラン ガーデン』の店長・近藤正己(45歳)に密かに想いを寄せている。自他共に認める“冴えない男”の近藤だが、あきらはそんな彼の魅力を「自分だけのもの」として、胸に秘めた恋心を募らせていた。そんなある日、アルバイト中に起こったとある出来事をきっかけに、あきらの秘めたる恋心は大きく動き出していく。
本作品は突然、大事なものを失った17歳の少女が時が経つのにつれ大事なものを失い忘れていた45歳の中年男性に恋に落ちた少女との間で生まれる感情を上手く描いた作品である。本作品はただの恋愛物語ではなく互いの現状、事情によって容易に近づくこともだきず、しかしそのような状況下である彼女たちであるこそ分かれる感情や教訓があった。そのような二人の内面的な成長を見届けることが出来る作品であった。
7.やがて君になる(アニメ)
人を好きになること、特別に思うこと、恋愛感情が分からない主人公の侑は、生徒会所属の先輩の七海の告白現場に出くわしてしまう。自分と同じような感情を持っているのではと考えた侑は七海に親近感を覚えることになり徐々に近づくことに決める。しかしある日、七海に思いもしなかった言葉を聞くとになるが。
本作品はいわゆる「百合」を素材とした作品の一つである。しかし、百合を素材として扱った他作品で珍しい各登場人物たちの性格や人物たちの視線、些細な言動、それによる感情の描写がうまく描写された作品である。肉体的な恋愛感情ではなく「特別」を感じることが出来なかった主人公がある日自分と同じ境遇を持つ人と出会い「特別」を教わっていきそこから感情の表現や表し方、自分の気持ちを確かめていく描写がうまく描かれていた作品である。
8.荒ぶる季節の乙女どもよ。(アニメ)
小野寺和紗は文芸部に所属する高校生である。今まではハリー・ポッターやモモなどの児童文学を愛読していたが、文学部で題材として扱われるのは、大人な世界へと誘う甘美な純文学ばかりであった。そんなギャップに戸惑いながらも、個性的な先輩や部員たちに囲まれながら楽しい日々を過ごしていた。ある日、部員みんなで読んでいた題材図書にあった過激な性的描写をきっかけに、部員たちは「性」について意識をし始める。寝ても覚めても性が頭から離れない、性に翻弄される彼女たちの高校生活ははたして正しい「性」について学ぶことができるだろうか。
本作品は文学を好きな少女たちがある日をきっかけに「性」についての興味を持つことになりそれぞれ自分たちのやり方で「性」について知っていく過程を描いた作品である。やはり、高校生という立場である主人公たちであるため「性」に近づく方法や速さは粗末であるかもしれない。しかし、彼女なりの、自分たちが好きな文学作品で知った「性」について自ら近づき知っていこうと抗う姿は思春期の少女たちの気持ちを上手く表現した作品であったと思う。
9.ノラガミ(アニメ)
優しい両親、豊な家庭、何一つ足りないことなく平穏な日常を過ごしていた壱岐ひよりはある日、交通事故に遭いそうになった男・夜トをたすけようとして代わりに自分が交通事故に巻き込まれることになる。そのせいで「半妖」体質になったひよりは詳しい事情を自分が助けた夜トに聞くことになる。夜とは社を持たない無名の神でありたった5円の賽銭で水道管の修理やコンビニのバイトなどなんでも引き受けるいわゆるデリバリーゴットであった。そんなでたらめで頼りない神・夜トを追いかけ次第に行動を共にするようになったひよりは自分の体質を治してもとの生活に戻れるだろうか。
本作品は同名の漫画を原作としてボンズでアニメーション制作されたアクション・ファンタジーアニメである。主人公の夜トが設定上では神であるため様々な妖怪や皆が一度は聞いてみたことがある神々たちも登場する。その神々たちは各々個性がはっきりと表れていて特徴を上手く生かしているためこれも見どころの一つである。アニメーションでは声優陣も豪華であるため声優好きな人であればぜひおすすめしたい。
10.アメージング・スパイダーマン(映画)
小さい頃失踪した両親の代わりに叔父夫婦と暮らしているごく普通な高校生であるピーター・パーカーは昔親父の同僚の博士の実験室で遺伝子変異の蜘蛛に噛まれ蜘蛛のような身体能力と人間離れした力を得ることになる。そしてある日叔父が銃に撃たれ死ぬこととなりその犯人を捕まえるために自分の正体を隠せるスーツを作りスパイダーマンとして町の平和を守るヒーローとして活動することを決意する。
本作品は数多のスパイダーマンシリーズの中でももっともスパイダーマンの特徴を上手く描写したと言われているシリーズの一つである。スパイダーマンの実写映画の最初作である「オリジナル・スパイダーマン」は体内から蜘蛛の糸が出る設定だったが、本作品のスパイダーマンは数学と科学を得意とする原作のピーターの特徴を生かして、自分が開発したフェブシューターを使って蜘蛛の糸を作り出す。そしてアクションシーンではもっとも蜘蛛のように戦闘をするスタイル、演出を見せてくれたため多くのファンたちからも評判を受けた作品である。
11.ダンブル何キロ持てる?(アニメ)
食べることが大好きな普通の女子高生・紗倉ひびきは友人の上原彩也香から最近太り気味であることを指摘されダイエットを決意する。近所に新しくできたジムに見学に行くと、そこには同じ学校の優等生・奏流院朱美も見学に来ていた。そのジムはボディービルダーやプロの格闘家が集う本格的な筋肉トレーニングジムであった。ひびきは少し怖気づいてやめようとするとき爽やかイケメンだが体はゴリマッチョのトレーナ・街雄鳴造に心惹かれひびきは入会を決めることになる。果たして、ひびきは理想の体を作り、ダイエットに成功することが出来るだろうか。
本作品は同名の漫画を原作として作られたアニメーション作品である。作品のテーマが今まで見ることが出来なかった筋トレをテーマにした作品であるため一時期話題となった作品である。筋トレをテーマにしているため作中では様々な筋トレ器具やその使い方、正しい姿勢などが説明されるため筋トレをしている人はもちろん、していない人たちも一度はジムに足を運びたくなる作品である。もうすぐ夏が訪れる今、皆も一度は筋トレを初めて理想のプロポーションを作ってみるのはどうだろうか。
12.ラブライブ(アニメ)
平穏な学校生活を送っていた高校2年生高坂穂乃果はある日突然、学校の廃校計画を理事長より聞かされる。自分が通っている大好きな学校が廃校となる予定であると聞かされショックを受けた穂乃果は親友の南ことりや園田海未とともに廃校を阻止するアイデアを考える。考えた結果、最近話題な「スクールアイドル」を自分たちで結成し学校を代表して「スクールアイドル・フェスティバル」で入賞すれば入学希望者も増え廃校を阻止できると判断する。そして穂乃果はことりと海未、この3人でスクールアイドル「μ's(ミューズ)」を結成し徐々にメンバーも増え9人グループとなる。はたして穂乃果たちのμ'sは スクールアイドル・フェスティバルで優勝し学校の廃校を阻止できるだろうか。
本作品は日本のサブカルチャーに大きな影響を及ぼしたラブライブシリーズの伝説の始まり、その第一作目の作品である。個性豊かなメンバーたち、アイドルであるため多くの名曲が含まれている本作品は日本のみならず多くの国からもファンを所有してる作品である。韓国では一時期熱狂的なファンたちの迷惑行為のせいで社会的な問題とされたことがあるが、それほどサブカルチャーの中でも随一の影響力を及ぼした作品である。9人の歌の女神たちμ'sの活躍をぜみ皆が見てほしい。
13.Re:ゼロから始める異世界生活(アニメ)
コンビニ帰りに突然、異世界に召喚された引きこもり高校生のナツキ・スバルは召喚されてすぐ命の危機にさらされる。その窮地から救ってくれたのは自分をサテラと名乗るハーフエルフの銀髪少女であった。その恩返しがしたいと思ったスバルは彼女の所在を探りあるお店に入ることになるがそこにはスバルを救ってくれた少女サテラの死体が床に倒れていて、それを目撃してすぐスバルも何者かによって殺される。そして、目を覚ますとスバルは最初に召喚された時点に戻っていた。いわゆるタイムループの能力を持っていたスバルはこの力を「死に戻り」と名付け、再び自分を救ってくれた少女を助けるために動き出す。スバルは自分の力で少女を救い、異世界でうまく暮らしていけるだろうか。
本作品はいわゆる異世界召喚物の体表作の一つであり、本作品がアニメーション化した年に似たようなテーマを持つ作品と比べて随一の人気を得た作品である。最近ではありふれたジャンルとなった異世界召喚物であるが本作品はタイムループという設定を活用し作中で出る様々な出来事やネタを上手く回収し見ている人もどのような展開になるのか予想がつかないため楽しく見れる作品である。
14.風が強く吹いている。(アニメ)
寛政大学4年の清瀬灰二は肌寒い三月、 類まれな「走り」で夜道を駆け抜けていく蔵原走に出くわし、 下宿の竹青荘に半ば強引に住まわせる。 ハイジには「夢と野望」があった。高校時代の怪我による挫折。 でももう一度、走りたい、駅伝の最高峰・箱根駅伝に出て、 自分の追求する走りを見せたい。その「夢と野望」を「現実」にするにはあと一年しかない。 竹青荘は特異な才能に恵まれた男子学生の巣窟だった。 寮生のため炊事をこなすハイジをはじめに、大学に5年在籍している25歳平田彰宏、双子の兄弟・ジョージ(城 次郎)とジョータ(城 太郎)、 留学生のムサ・カマラ、実家が山奥のど田舎にある杉山高志、 司法試験に合格済の音楽フリーク・ユキ(岩倉雪彦)、クイズ番組好きのキング・坂口洋平、 金と時間のすべてを漫画に捧げる王子・柏崎 茜、そんな個性豊かな面々が、その竹青荘が実は 「寛政大学陸上競技部錬成所」であることなど知らずに共同生活を送っていた。 ハイジは彼らを脅しすかし、奮い立たせ、「箱根」に挑む。 たった十人で。蔵原の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界など、 壁と障害が立ちはだかるなか、果たして彼らは「あの山」の頂きにたどりつけるのか。
本作品は小説家・三浦しをんの同名の小説を原作としてProduction I.Gが制作したアニメーション作品である。 Production I.Gの作品の中でもあまり知られてない名作である。箱根駅伝をテーマとして作られた作品であるため、普段駅伝を好きな人も、興味がなかった人も楽しめる作品である。スポーツアニメの特徴の一つである努力と成就などを通じてみている人も胸熱くなる作品であると思う。アニメーションでは珍しい大学生たちを主人公にしているため彼だからこそ現実的な悩みや苦労が「風」に比喩されて描いているのではないかと個人的には思い、興味深く見た作品である。
15.Another(アニメ)
1998年の春、父の不在や自身の病気療養の為、母の実家に引っ越しして夜「見山北中学校」に転入してきた榊原恒一は何かに怯えている様なクラスの雰囲気に違和感を覚えた。彼は、同級生で不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれる。だがクラスメイトの反応から、彼女は恒一には見えて、他のクラスメイトには見えていないのでは無いかと感じる。そんなある日、三組の関係者が次々と凄惨な死を遂げ、三年三組が直面している現実を知らされることとなる。恒一の感じた数々の違和感は、26年前の1972年に起きた出来事を発端とする「言い伝え」によって点と点が結ばれることとなる。そして3組には恐ろしい秘密が存在して、唯一の対策である「おまじない」を破れば災厄という形でその現象は彼らに降りかかるのである。はたして恒一はこの不気味な事件が次々と起こる街で生き残れるのか。
本作品は同名の推理小説を原作として作られたアニメーション作品である。ホラー・ミステリージャンルを扱っているいるためグロイ演出やBGMなどが適切に使われ見ている人たちに緊張感を与える作品である。事件の進み方やネタの回収がうまく使われているため先の展開が読みづらく周りの関係者が次々と死んでいくため最後まで緊張を解くわけにはいなかい興味深い作品である。夏のホラー作品としてぜひこの作品をおすすめする。
16.ハンターxハンター(アニメ)
ある小さい島である「くじら島」で暮らす明朗な少年・ゴンの夢は、幼い頃に別れた父と同じ職業「ハンター」になることである。ハンターになるためには苦難の試験を合格しなければならない。その試験は下手をすれば死ぬころになるかもしれない危険な試験である。世界中に散らばる財宝、秘宝、珍品、珍獣など未知への挑戦に命を賭けるプロハンターになるのがゴンの夢である。ゴンはハンター試験を受けるために島から出て行って同じハンターを目指す受験生のクラピカ、レオリオ、キルアと出会うことになる。はたしてゴンはハンター試験に合格して父と再び再会することが出来るだろうか。
本作品はハンターという未知の世界へ挑むゴンたちの冒険と出来事を描いた少年漫画である。興味津々な展開、清々しいゴンの性格が合わされ少年漫画の特徴である主人公の成長を見届けることが出来る作品である。一番印象に残ったエピソードとしては人を食って成長する危険生物、通称「キメラアント」編である。作中の設定上、地球中の生物の頂点に君臨するキメラアントの王は人間はただ食い物でしかなくくだらない存在として認識しているが、目の見えない少女と出会いそれをきっかけに人間としての感情を覚え成長する物語である。このように哲学的な要素も含まれており楽しく見ることが出来る作品である。
17.PSYCHO-PASS(アニメ)
100年後の日本では、どれくらい犯罪を犯そうとしてるのか、数字で表せるようになっていた。主人公、狡噛慎也は失った相棒の仇を討つために数々の事件の裏を引く凶悪犯、槙島聖護を確保しようとするが、彼は犯罪係数を測定する事が出来ない、異常な精神の持ち主だった。 例外的存在の槙島にどうにかして制裁を加えようと、狡噛は法に背き、他の仲間はそれぞれ自らの意思で選んだ術をとっていく。
本作品は人の精神状態、そこから分かれる犯罪係数を数値化することができるドミネーターを使い犯罪者を逮捕するSFアクション作品である。しかし、この設定はある疑問を抱かせる。その疑問を抱かせる存在が作中に登場する最悪の犯罪者・ 槙島聖護である。彼は数々の犯罪を犯しているが、ドミネーターで測定した彼の犯罪係数は一般人と判断し逮捕することができない。つまり、絶対とされているドミネーターシステムが無罪と判断すればそれは無罪になることである。そこから生まれる倫理観とその仕組みに抗う主人公たちの苦悩を描いたのが本作品である。
18.かぐや様は告らせたい(アニメ)
将来日本を背負うと期待された秀才たちが集う名門校・秀知院学園。その生徒会に所属し副会長を務めている四宮かぐやと生徒会長・白金御行はお互いに惹かれている。しかし、両者ともに高すぎるプライドの持ち主で故に半年が経ってもどちからも告白したことがない。二人は先に告白した人が「負け」であるといつしか思うようになりどうすれば相手の方から告らせるのかを考えるようになり、お互いの高い頭脳を活用し、何としてでも相手が告白させようと策略をかける恋愛頭脳戦である。
本作品は他のラブコメジャンルとは少し違う線を行ってる作品と言える。それはお互いが好きであることは確かであるが、主人公たちがそれらを認めず、何としても相手の方から告白してもらおうと小細工や時には大胆な作戦を広げる頭脳戦であるところである。この特徴によって時には面白く、時には切ない二人の距離感が生まれ見る人たちもどのような展開になるのか気になる作品である。
19.恋愛革命(漫画)
事情があって独り暮らしをすることになった高校1年生のコン・ジュヨン(姫ノ宮レイ)。引っ越した部屋の近くに住んでいる同級生のワン・ジャリム(王子リン)と偶然出会い、彼女に一目ぼれしてしまう。だが、ジュヨンには運命だったその出来事が、ジャリムには何でもないことだったのが問題。明るく活発で自分の感情を抑えきれないジュヨンと、冷たくて理性的でシックなジャリムは、まるで水と油のようだ。断られても屈しないジュヨンの意志と友達の協力で、ついにはジュヨンの恋を受け入れるジャリム。一見、見るとお似合いのカップルのように見えるが果たして最初の出会いから最悪だったこの二人の恋愛はうまくいくのか。
本作品は韓国のNaverウェブトゥーンの人気作品である。日本ではライン漫画で見ることができる。名前からして見れば運命の赤い糸で繋がっているように見える二人は性格も正反対、趣味も正反対、出会い方も最悪、何もかもが合わない二人がどのように交際を初めてそこから起きる様々なトラブル、高校生であるため起きうる諸問題などを高校生の視点でうまく描いた作品として評価されている。最後になっては高校を卒業することとなりその展開がルーズすぎではなく結末まで綺麗に持って行った作品である。
20.模範タクシー(ドラマ)
世間の批判を浴びながら性犯罪者の男が出所する。ところが刑務所を出たばかりの男を乗せたタクシーが行方をくらましてしまう。そのタクシーは法では裁くことができない犯罪者たちを自分たちの正義で改めて裁く模範タクシーである。そのタクシー運転手・キム・ドギはかつて母親を殺された。しかし、社会の多くの犯罪者たちは与えられた刑を全部受けることなく予定よりの早い出所してしまうのが一般的である。このように犯罪者たちに苦しまれている多くの市民たちの代わりに復讐をしてくれる復讐代行人サービスが「模範タクシー」である。
本作品は法では裁くことが出来ない悪質な犯罪者たちを被害者たちの代わりに復讐してくれるキム・ドギと彼が所属している「模範タクシー」を描いた韓国ドラマである。韓国社会では法の力が弱く、いつも被害者が損を受けるおかしな仕組みになっている。このようなドラマが人気を得た理由を反証してくれるいい例として本作品は評判を受けている。社会から忘れた犯罪被害者たちの代わりに復讐をしてくれる模範タクシーを見ると痛快さすら感じることが出来て面白く見た作品である。
ある日、突然そらから何か光る物質が舞い降りそこからミミズのような生物が生まれた。その生物は他の生物の体内に入り込み、入り込んだ生物の脳を乗っ取ることが目的である。脳を乗っ取ることに成功すればその生物は以前のように同じ姿、顔をしている以前とは全く違う生物としてこの世を生きることになる。本作品の主人公である泉新一もまたその生物と遭遇し、脳を奪われそうになったが、奇跡的に奪われず、その生物は新一の右手に寄生することなる。この異常な共同生活はどのような結末に辿るのか。
本作品は人間の脳を奪い、人間を食う寄生生物、通称「パラサイト」に右手を奪われた泉新一が他のパラサイトと遭遇し、生き残り現状を打破する物語である。このように見ると一般的なアクションジャンルの物語であると思うかも知れないが、実はかなり哲学的な要素や人間の本質などを考えさせる作品である。パラサイトは自ら生まれた時にある存在に命じられたと言っている。その命令は「この種(人間)を食い尽くせ」と。一般的な人間の視点から見るとパラサイトの存在は自分たちの種を脅かす脅威でしか見ることが出来ないが、本作品のある登場人物は人間でありながらもパラサイトと協力して彼らに人間を食事できる場所や環境を作ってあげ共食いを手伝う。その登場人物は人間は地球を蝕む害虫であるため数を減らす必要があると主張する。他にも様々な登場人物とその人物たち思想や考え方そこから生まれる主人公の葛藤などが見どころである作品である。
2.ミセンー未生―(ドラマ)
幼い頃から棋士を目指していたチャン・グレだったが、父の死をきっかけにその道をあきらめ、大学にも行けず、26歳になっても様々なバイトを転々とするフリーターとして暮らしいる。しかし、母の伝手で大手総合商社のインターンに就職することが出来る。26歳になるまで会社員経験も学歴もないグレはコピーの取り方すらわからず、遅れをとっていたが、同期とチームを組んでのプレゼン発表で合格点をもらい、なんとか2年間の契約社員として入社し、営業3課に配属される。しかし、2年間の契約社員となってもグレに対する視線や偏見は変わることなく、高卒の天下りという認識はぬぐえないままである。はたして、グレはこの会社で成長することができるのか
本作品は同名の漫画を原作として作られたドラマである。本作品の舞台となる韓国では高卒、しかも本作品の主人公のチャン・グレのような高校を中退し、試験で高校の卒業を認定された人に対しては冷たい目線で見られる傾向が強い。そのため、就職もままならない、就職したとしても無視されがちな社会である。そのような環境で大手企業に就職したグレは親のコネを使って天下りとして就職したのが社内全体に知らされあらゆる差別の目線や扱いをされることになる。しかし、グレは今まで自分がしてきた囲碁で学んだことを活用し何とか会社生活を耐え抜いていく。社会に出たばかりの青年たちの成長を描いた物語であり、ところどころギャグやシリアスなエピソードもあるため気軽に見ることができる作品である。
3.甘城ブリリアントパーク(アニメ)
平凡な日常を過ごしていた本作品の主人公・可児江西也はある日謎の美少女転校生の千斗いすずと出会うことになる。そして彼女に遊園地デートを誘われ強引にデートに行くことになる。わけもわからないまま連れて来られた遊園地はさびれたアトラクション、不親切かつダメダメなサービスの日本一残念な遊園地であるその名は「甘城ブリリアントパーク」である。このようなみすぼらしい遊園地の支配人だという本物のお姫様のラティファは突然、西也にこの閉園寸前の遊園地の再建を依頼し新たな支配人になってくれと頼むが。
本作品は京都アニメーションで制作された日常・ギャグアニメーション作品である。個性あふれる登場人物とわけのわからない閉園寸前の遊園地「甘城ブリリアントパーク」で繰り広げられる再建プロジェクトで先が読めない内容の展開のおかげで楽しく視聴できる作品である。設定上、多少ファンタジー的な要素も含まれているため一般的な日常アニメとは異なる展開もあるため飽きずに見ることが出来る作品である。
4.犯罪都市(映画)
2004年ソウル。強力班のマ・ソクトは、ナイフで向かってくるヤクザ(在韓中国人)にもひるまず、張り手一つで制圧するコワモテ刑事である。ある日、ビリヤード場で刺傷事件が発生した。被害者は毒蛇組の組員、犯人は対立するイス組の男だった。ソクト刑事は難なく犯人を捕らえ、それぞれの組のボスの仲を取り持ち、街のバランスを保っていた。しかしそんな中、中国から新興勢力の黒竜組が乗り込んでくる。ボスのチャンは、情け容赦ない手段で毒蛇組を乗っ取り、次第に勢力を拡大していく。縄張りを荒らされたイス組や、最大勢力の韓国人暴力団も黙っておらず、一触即発の事態に。ついに強力班は組織の一掃作戦を立てることになる。
本作品は韓国の映画作品の一つとして今年の4月までシリーズ4まで制作された人気映画である。R18判定を貰った第1作目を除いた2,3,4は今まで韓国国内で累計観覧客数1000万人以上を達成した作品である。犯罪、アクション、ノワールを扱う作品であるにも関わらず、ところどころ笑い要素などが適切に含まれていてエンターテインメント的な観点から見ても軽く楽しめる作品となっている。アクションジャンルとしてのスリルや迫力ももちろんであるため楽しく見れる作品であった。
5.パラサイト(映画)
半地下住宅に暮らす貧しい4人家族のキム一家はある時長男ギウの友人・ミニョクが自分が留学中の間に家庭教師を代わってほしいとバイトの話を持ってくる。向かった先は豪邸のパク一家であった。初日に母娘の信頼を勝ち取り、見事家庭教師の職を得たギウは、パク家の息子ダソンに紹介したい家庭教師がいると巧みに持ちかける。そして連れてきたのはジェシカと名乗る妹のギジョンだった。 ダソンの美術教師になり母の信頼を得たギジョンは次にある仕掛けをする。専門運転手、家政婦など、徐々にパク家に取り入っていくキム一家。二つの家庭が一つの家で暮らすことになるこの異常な現状はどのように変わっていくのか。
第92回アカデミー賞でアジア初の作品賞を受賞した本作品はキム一家が暮らす家の設定やパク家の設定などを徹底的に組み立てられ貧富の格差、そこから生まれる人の欲望や軟弱さなどが描かれていて色々と考えさせる作品である。資本主義経済が益々酷くなっていく現代社会で生きている私たちは共感できるような作品であると思う。
6.恋は雨上がりのように(アニメ)
感情表現が不器用で一見クールな17歳の女子高生・橘あきら。陸上部のエースだった彼女はある日負傷を負い陸上を休むことになり、雨の日不意に入ったファミレスでそこの店長の近藤正己と出会う。その後、彼女はそのファミレスでバイトを始めることとなる。彼女はアルバイト先のファミレス『cafeレストラン ガーデン』の店長・近藤正己(45歳)に密かに想いを寄せている。自他共に認める“冴えない男”の近藤だが、あきらはそんな彼の魅力を「自分だけのもの」として、胸に秘めた恋心を募らせていた。そんなある日、アルバイト中に起こったとある出来事をきっかけに、あきらの秘めたる恋心は大きく動き出していく。
本作品は突然、大事なものを失った17歳の少女が時が経つのにつれ大事なものを失い忘れていた45歳の中年男性に恋に落ちた少女との間で生まれる感情を上手く描いた作品である。本作品はただの恋愛物語ではなく互いの現状、事情によって容易に近づくこともだきず、しかしそのような状況下である彼女たちであるこそ分かれる感情や教訓があった。そのような二人の内面的な成長を見届けることが出来る作品であった。
7.やがて君になる(アニメ)
人を好きになること、特別に思うこと、恋愛感情が分からない主人公の侑は、生徒会所属の先輩の七海の告白現場に出くわしてしまう。自分と同じような感情を持っているのではと考えた侑は七海に親近感を覚えることになり徐々に近づくことに決める。しかしある日、七海に思いもしなかった言葉を聞くとになるが。
本作品はいわゆる「百合」を素材とした作品の一つである。しかし、百合を素材として扱った他作品で珍しい各登場人物たちの性格や人物たちの視線、些細な言動、それによる感情の描写がうまく描写された作品である。肉体的な恋愛感情ではなく「特別」を感じることが出来なかった主人公がある日自分と同じ境遇を持つ人と出会い「特別」を教わっていきそこから感情の表現や表し方、自分の気持ちを確かめていく描写がうまく描かれていた作品である。
8.荒ぶる季節の乙女どもよ。(アニメ)
小野寺和紗は文芸部に所属する高校生である。今まではハリー・ポッターやモモなどの児童文学を愛読していたが、文学部で題材として扱われるのは、大人な世界へと誘う甘美な純文学ばかりであった。そんなギャップに戸惑いながらも、個性的な先輩や部員たちに囲まれながら楽しい日々を過ごしていた。ある日、部員みんなで読んでいた題材図書にあった過激な性的描写をきっかけに、部員たちは「性」について意識をし始める。寝ても覚めても性が頭から離れない、性に翻弄される彼女たちの高校生活ははたして正しい「性」について学ぶことができるだろうか。
本作品は文学を好きな少女たちがある日をきっかけに「性」についての興味を持つことになりそれぞれ自分たちのやり方で「性」について知っていく過程を描いた作品である。やはり、高校生という立場である主人公たちであるため「性」に近づく方法や速さは粗末であるかもしれない。しかし、彼女なりの、自分たちが好きな文学作品で知った「性」について自ら近づき知っていこうと抗う姿は思春期の少女たちの気持ちを上手く表現した作品であったと思う。
9.ノラガミ(アニメ)
優しい両親、豊な家庭、何一つ足りないことなく平穏な日常を過ごしていた壱岐ひよりはある日、交通事故に遭いそうになった男・夜トをたすけようとして代わりに自分が交通事故に巻き込まれることになる。そのせいで「半妖」体質になったひよりは詳しい事情を自分が助けた夜トに聞くことになる。夜とは社を持たない無名の神でありたった5円の賽銭で水道管の修理やコンビニのバイトなどなんでも引き受けるいわゆるデリバリーゴットであった。そんなでたらめで頼りない神・夜トを追いかけ次第に行動を共にするようになったひよりは自分の体質を治してもとの生活に戻れるだろうか。
本作品は同名の漫画を原作としてボンズでアニメーション制作されたアクション・ファンタジーアニメである。主人公の夜トが設定上では神であるため様々な妖怪や皆が一度は聞いてみたことがある神々たちも登場する。その神々たちは各々個性がはっきりと表れていて特徴を上手く生かしているためこれも見どころの一つである。アニメーションでは声優陣も豪華であるため声優好きな人であればぜひおすすめしたい。
10.アメージング・スパイダーマン(映画)
小さい頃失踪した両親の代わりに叔父夫婦と暮らしているごく普通な高校生であるピーター・パーカーは昔親父の同僚の博士の実験室で遺伝子変異の蜘蛛に噛まれ蜘蛛のような身体能力と人間離れした力を得ることになる。そしてある日叔父が銃に撃たれ死ぬこととなりその犯人を捕まえるために自分の正体を隠せるスーツを作りスパイダーマンとして町の平和を守るヒーローとして活動することを決意する。
本作品は数多のスパイダーマンシリーズの中でももっともスパイダーマンの特徴を上手く描写したと言われているシリーズの一つである。スパイダーマンの実写映画の最初作である「オリジナル・スパイダーマン」は体内から蜘蛛の糸が出る設定だったが、本作品のスパイダーマンは数学と科学を得意とする原作のピーターの特徴を生かして、自分が開発したフェブシューターを使って蜘蛛の糸を作り出す。そしてアクションシーンではもっとも蜘蛛のように戦闘をするスタイル、演出を見せてくれたため多くのファンたちからも評判を受けた作品である。
11.ダンブル何キロ持てる?(アニメ)
食べることが大好きな普通の女子高生・紗倉ひびきは友人の上原彩也香から最近太り気味であることを指摘されダイエットを決意する。近所に新しくできたジムに見学に行くと、そこには同じ学校の優等生・奏流院朱美も見学に来ていた。そのジムはボディービルダーやプロの格闘家が集う本格的な筋肉トレーニングジムであった。ひびきは少し怖気づいてやめようとするとき爽やかイケメンだが体はゴリマッチョのトレーナ・街雄鳴造に心惹かれひびきは入会を決めることになる。果たして、ひびきは理想の体を作り、ダイエットに成功することが出来るだろうか。
本作品は同名の漫画を原作として作られたアニメーション作品である。作品のテーマが今まで見ることが出来なかった筋トレをテーマにした作品であるため一時期話題となった作品である。筋トレをテーマにしているため作中では様々な筋トレ器具やその使い方、正しい姿勢などが説明されるため筋トレをしている人はもちろん、していない人たちも一度はジムに足を運びたくなる作品である。もうすぐ夏が訪れる今、皆も一度は筋トレを初めて理想のプロポーションを作ってみるのはどうだろうか。
12.ラブライブ(アニメ)
平穏な学校生活を送っていた高校2年生高坂穂乃果はある日突然、学校の廃校計画を理事長より聞かされる。自分が通っている大好きな学校が廃校となる予定であると聞かされショックを受けた穂乃果は親友の南ことりや園田海未とともに廃校を阻止するアイデアを考える。考えた結果、最近話題な「スクールアイドル」を自分たちで結成し学校を代表して「スクールアイドル・フェスティバル」で入賞すれば入学希望者も増え廃校を阻止できると判断する。そして穂乃果はことりと海未、この3人でスクールアイドル「μ's(ミューズ)」を結成し徐々にメンバーも増え9人グループとなる。はたして穂乃果たちのμ'sは スクールアイドル・フェスティバルで優勝し学校の廃校を阻止できるだろうか。
本作品は日本のサブカルチャーに大きな影響を及ぼしたラブライブシリーズの伝説の始まり、その第一作目の作品である。個性豊かなメンバーたち、アイドルであるため多くの名曲が含まれている本作品は日本のみならず多くの国からもファンを所有してる作品である。韓国では一時期熱狂的なファンたちの迷惑行為のせいで社会的な問題とされたことがあるが、それほどサブカルチャーの中でも随一の影響力を及ぼした作品である。9人の歌の女神たちμ'sの活躍をぜみ皆が見てほしい。
13.Re:ゼロから始める異世界生活(アニメ)
コンビニ帰りに突然、異世界に召喚された引きこもり高校生のナツキ・スバルは召喚されてすぐ命の危機にさらされる。その窮地から救ってくれたのは自分をサテラと名乗るハーフエルフの銀髪少女であった。その恩返しがしたいと思ったスバルは彼女の所在を探りあるお店に入ることになるがそこにはスバルを救ってくれた少女サテラの死体が床に倒れていて、それを目撃してすぐスバルも何者かによって殺される。そして、目を覚ますとスバルは最初に召喚された時点に戻っていた。いわゆるタイムループの能力を持っていたスバルはこの力を「死に戻り」と名付け、再び自分を救ってくれた少女を助けるために動き出す。スバルは自分の力で少女を救い、異世界でうまく暮らしていけるだろうか。
本作品はいわゆる異世界召喚物の体表作の一つであり、本作品がアニメーション化した年に似たようなテーマを持つ作品と比べて随一の人気を得た作品である。最近ではありふれたジャンルとなった異世界召喚物であるが本作品はタイムループという設定を活用し作中で出る様々な出来事やネタを上手く回収し見ている人もどのような展開になるのか予想がつかないため楽しく見れる作品である。
14.風が強く吹いている。(アニメ)
寛政大学4年の清瀬灰二は肌寒い三月、 類まれな「走り」で夜道を駆け抜けていく蔵原走に出くわし、 下宿の竹青荘に半ば強引に住まわせる。 ハイジには「夢と野望」があった。高校時代の怪我による挫折。 でももう一度、走りたい、駅伝の最高峰・箱根駅伝に出て、 自分の追求する走りを見せたい。その「夢と野望」を「現実」にするにはあと一年しかない。 竹青荘は特異な才能に恵まれた男子学生の巣窟だった。 寮生のため炊事をこなすハイジをはじめに、大学に5年在籍している25歳平田彰宏、双子の兄弟・ジョージ(城 次郎)とジョータ(城 太郎)、 留学生のムサ・カマラ、実家が山奥のど田舎にある杉山高志、 司法試験に合格済の音楽フリーク・ユキ(岩倉雪彦)、クイズ番組好きのキング・坂口洋平、 金と時間のすべてを漫画に捧げる王子・柏崎 茜、そんな個性豊かな面々が、その竹青荘が実は 「寛政大学陸上競技部錬成所」であることなど知らずに共同生活を送っていた。 ハイジは彼らを脅しすかし、奮い立たせ、「箱根」に挑む。 たった十人で。蔵原の屈折や過去、住人の身体能力と精神力の限界など、 壁と障害が立ちはだかるなか、果たして彼らは「あの山」の頂きにたどりつけるのか。
本作品は小説家・三浦しをんの同名の小説を原作としてProduction I.Gが制作したアニメーション作品である。 Production I.Gの作品の中でもあまり知られてない名作である。箱根駅伝をテーマとして作られた作品であるため、普段駅伝を好きな人も、興味がなかった人も楽しめる作品である。スポーツアニメの特徴の一つである努力と成就などを通じてみている人も胸熱くなる作品であると思う。アニメーションでは珍しい大学生たちを主人公にしているため彼だからこそ現実的な悩みや苦労が「風」に比喩されて描いているのではないかと個人的には思い、興味深く見た作品である。
15.Another(アニメ)
1998年の春、父の不在や自身の病気療養の為、母の実家に引っ越しして夜「見山北中学校」に転入してきた榊原恒一は何かに怯えている様なクラスの雰囲気に違和感を覚えた。彼は、同級生で不思議な存在感を放つ少女・見崎鳴に惹かれる。だがクラスメイトの反応から、彼女は恒一には見えて、他のクラスメイトには見えていないのでは無いかと感じる。そんなある日、三組の関係者が次々と凄惨な死を遂げ、三年三組が直面している現実を知らされることとなる。恒一の感じた数々の違和感は、26年前の1972年に起きた出来事を発端とする「言い伝え」によって点と点が結ばれることとなる。そして3組には恐ろしい秘密が存在して、唯一の対策である「おまじない」を破れば災厄という形でその現象は彼らに降りかかるのである。はたして恒一はこの不気味な事件が次々と起こる街で生き残れるのか。
本作品は同名の推理小説を原作として作られたアニメーション作品である。ホラー・ミステリージャンルを扱っているいるためグロイ演出やBGMなどが適切に使われ見ている人たちに緊張感を与える作品である。事件の進み方やネタの回収がうまく使われているため先の展開が読みづらく周りの関係者が次々と死んでいくため最後まで緊張を解くわけにはいなかい興味深い作品である。夏のホラー作品としてぜひこの作品をおすすめする。
16.ハンターxハンター(アニメ)
ある小さい島である「くじら島」で暮らす明朗な少年・ゴンの夢は、幼い頃に別れた父と同じ職業「ハンター」になることである。ハンターになるためには苦難の試験を合格しなければならない。その試験は下手をすれば死ぬころになるかもしれない危険な試験である。世界中に散らばる財宝、秘宝、珍品、珍獣など未知への挑戦に命を賭けるプロハンターになるのがゴンの夢である。ゴンはハンター試験を受けるために島から出て行って同じハンターを目指す受験生のクラピカ、レオリオ、キルアと出会うことになる。はたしてゴンはハンター試験に合格して父と再び再会することが出来るだろうか。
本作品はハンターという未知の世界へ挑むゴンたちの冒険と出来事を描いた少年漫画である。興味津々な展開、清々しいゴンの性格が合わされ少年漫画の特徴である主人公の成長を見届けることが出来る作品である。一番印象に残ったエピソードとしては人を食って成長する危険生物、通称「キメラアント」編である。作中の設定上、地球中の生物の頂点に君臨するキメラアントの王は人間はただ食い物でしかなくくだらない存在として認識しているが、目の見えない少女と出会いそれをきっかけに人間としての感情を覚え成長する物語である。このように哲学的な要素も含まれており楽しく見ることが出来る作品である。
17.PSYCHO-PASS(アニメ)
100年後の日本では、どれくらい犯罪を犯そうとしてるのか、数字で表せるようになっていた。主人公、狡噛慎也は失った相棒の仇を討つために数々の事件の裏を引く凶悪犯、槙島聖護を確保しようとするが、彼は犯罪係数を測定する事が出来ない、異常な精神の持ち主だった。 例外的存在の槙島にどうにかして制裁を加えようと、狡噛は法に背き、他の仲間はそれぞれ自らの意思で選んだ術をとっていく。
本作品は人の精神状態、そこから分かれる犯罪係数を数値化することができるドミネーターを使い犯罪者を逮捕するSFアクション作品である。しかし、この設定はある疑問を抱かせる。その疑問を抱かせる存在が作中に登場する最悪の犯罪者・ 槙島聖護である。彼は数々の犯罪を犯しているが、ドミネーターで測定した彼の犯罪係数は一般人と判断し逮捕することができない。つまり、絶対とされているドミネーターシステムが無罪と判断すればそれは無罪になることである。そこから生まれる倫理観とその仕組みに抗う主人公たちの苦悩を描いたのが本作品である。
18.かぐや様は告らせたい(アニメ)
将来日本を背負うと期待された秀才たちが集う名門校・秀知院学園。その生徒会に所属し副会長を務めている四宮かぐやと生徒会長・白金御行はお互いに惹かれている。しかし、両者ともに高すぎるプライドの持ち主で故に半年が経ってもどちからも告白したことがない。二人は先に告白した人が「負け」であるといつしか思うようになりどうすれば相手の方から告らせるのかを考えるようになり、お互いの高い頭脳を活用し、何としてでも相手が告白させようと策略をかける恋愛頭脳戦である。
本作品は他のラブコメジャンルとは少し違う線を行ってる作品と言える。それはお互いが好きであることは確かであるが、主人公たちがそれらを認めず、何としても相手の方から告白してもらおうと小細工や時には大胆な作戦を広げる頭脳戦であるところである。この特徴によって時には面白く、時には切ない二人の距離感が生まれ見る人たちもどのような展開になるのか気になる作品である。
19.恋愛革命(漫画)
事情があって独り暮らしをすることになった高校1年生のコン・ジュヨン(姫ノ宮レイ)。引っ越した部屋の近くに住んでいる同級生のワン・ジャリム(王子リン)と偶然出会い、彼女に一目ぼれしてしまう。だが、ジュヨンには運命だったその出来事が、ジャリムには何でもないことだったのが問題。明るく活発で自分の感情を抑えきれないジュヨンと、冷たくて理性的でシックなジャリムは、まるで水と油のようだ。断られても屈しないジュヨンの意志と友達の協力で、ついにはジュヨンの恋を受け入れるジャリム。一見、見るとお似合いのカップルのように見えるが果たして最初の出会いから最悪だったこの二人の恋愛はうまくいくのか。
本作品は韓国のNaverウェブトゥーンの人気作品である。日本ではライン漫画で見ることができる。名前からして見れば運命の赤い糸で繋がっているように見える二人は性格も正反対、趣味も正反対、出会い方も最悪、何もかもが合わない二人がどのように交際を初めてそこから起きる様々なトラブル、高校生であるため起きうる諸問題などを高校生の視点でうまく描いた作品として評価されている。最後になっては高校を卒業することとなりその展開がルーズすぎではなく結末まで綺麗に持って行った作品である。
20.模範タクシー(ドラマ)
世間の批判を浴びながら性犯罪者の男が出所する。ところが刑務所を出たばかりの男を乗せたタクシーが行方をくらましてしまう。そのタクシーは法では裁くことができない犯罪者たちを自分たちの正義で改めて裁く模範タクシーである。そのタクシー運転手・キム・ドギはかつて母親を殺された。しかし、社会の多くの犯罪者たちは与えられた刑を全部受けることなく予定よりの早い出所してしまうのが一般的である。このように犯罪者たちに苦しまれている多くの市民たちの代わりに復讐をしてくれる復讐代行人サービスが「模範タクシー」である。
本作品は法では裁くことが出来ない悪質な犯罪者たちを被害者たちの代わりに復讐してくれるキム・ドギと彼が所属している「模範タクシー」を描いた韓国ドラマである。韓国社会では法の力が弱く、いつも被害者が損を受けるおかしな仕組みになっている。このようなドラマが人気を得た理由を反証してくれるいい例として本作品は評判を受けている。社会から忘れた犯罪被害者たちの代わりに復讐をしてくれる模範タクシーを見ると痛快さすら感じることが出来て面白く見た作品である。
3年 阿部
RES
3年 阿部
春休み課題
1.『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』 プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 岩脇敏夫 森田和明
ストーリー
大地にまだハイラルという名がなく、人間達も大空に浮かぶ島スカイロフトで暮らしていた時代主人公リンクと幼なじみのゼルダはスカイバードに乗って散歩をしている時に謎の竜巻に巻き込まれゼルダは行方不明になってしまう。リンクはその後女神像に隠されていた剣とその剣に宿る精霊ファイに出会い雲の下に広がる未知の大地へと降りゼルダを探す冒険。
2011年にWii用アクションアドベンチャーゲームとして任天堂から発売され、その後スイッチでリメイクもされたゼルダの伝説25周年記念作品となっている。 ゼルダの伝説シリーズの始まりの物語として位置づけられ、シリーズ共通の要素であるマスターソードやトライフォースの誕生の経緯、ゼルダが伝説として伝えられていった理由が描かれた作品。Wiiリモコンの拡張機能のWiiモーションプラスを活かしてwithリモコンを剣、ヌンチャクを盾として扱うことができ、今作のテーマである「濃密ゼルダ」からもわかる通り、ストーリーはもちろん色々なギミックを楽しむことができる。ゼルダシリーズは基本的に「姫を救う」ことをスタンスにしていますが、そこを大幅に変え主人公リンク自身と初めは嫌な奴だったバドの成長、今まで支えてきた存在との別れ、リンクの表情の豊かさにより感情移入がしやすい事、マスターソードに対する見方が変わるというのがこの作品をより深くしていると感じた。また、ゼルダの伝説は三位一体がテーマのひとつになっており、主人公、ヒロイン、敵だけでなく今作はバドも含まれていて、リンクとゼルダ、バドそれぞれが主人公として描かれていると感じた。
2.『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター大澤徹 山田洋一 小野塚(青沼)英二
シナリオ 大澤徹
プログラマー 岩脇敏夫
ストーリー
ハイラルのどこかに眠る神の力「トライフォース」を手に入れるため、ガノンドロフが反乱を起こし再び世界が混沌に染まることになる。その頃、コキリ族の少年リンクはトライフォースを導く「森の精霊石」を託され、ガノンドロフの手にトライフォースが渡らないよう時のオカリナを手にハイラルの大地へと旅に出る。たくさんの出会いと別れを経験し、時を行き来しながら運命を変える戦いへと挑んでいく。
1998年にニンテンドー64用ソフトとして任天堂から発売され、その後3DSやスイッチなどでリメイクされた、ゼルダの伝説シリーズ初の3D作品となっています。今作での最終決戦をきっかけに世界線が3つに分岐し、他の作品へと繋がるゼルダシリーズをプレイする上で欠かせない作品。 3Dになった事で奥行きのある空間での謎解きや戦闘、自動照準機能ができ、最近のゲームと同じように楽しむことが出来る。 リンクが大人になってからゲームの内容が難しくなっているのは、ストーリーの前半で子供時代リンクの戦いが認められ「勇気のトライフォース」を送られることから、プレイヤー自身が「勇気のトライフォース」の持ち主であること。つまり、どんなにゲームが難しくても何度も試行錯誤する事と、リンクが強敵のガノンドロフに立ち向かっていく姿と重なり、ストーリーを自分自身でも体験出来るようになっていると感じた。
3.『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター 青沼英二 小泉歓晃
シナリオ 高野充浩
プログラマー 岩脇敏夫
ストーリー
〚時のオカリナ〛での冒険の後も旅を続けるリンクは森の中で奇妙な仮面を被ったスタルキッドと出会い、彼に誘われる形で4日間後の朝に月が堕ち滅びる運命にある世界「タルミナ」に迷い込んでしまう。滅びの元凶がスタルキッドの被るお面「ムジュラの仮面」であると知ったリンクは、時のオカリナで滅びまでの3日間を繰り返しながら月の墜落を阻止し、「ムジュラの仮面」を奪還するためタルミナを冒険する。
2000年にニンテンドー64で発売され、ゲームキューブ、wiiなどでリメイクされた。『時のオカリナ』で勇者が勝利し子供時代に戻った世界線の1作目に当たる作品。キャッチコピーが「今度のゼルダは”こわさ”がある」となっている通り、「恐怖」や「滅び」などホラー要素が多くなっている。月が堕ちてくる中でタルミナの住民たちのリアルな人間性が現れたり、お面屋のセリフの「人の心を見通せるという便利なようでそれは恐ろしい道具」、「なんで恐ろしいかって?それはあなたが人生経験を積めばやがてわかることです」から、キャッチコピーの「こわさ」には人間の恐さも含まれていると思った。
4.『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター 青沼英二
プログラマー 岩脇敏夫 森田和昭
ストーリー
物語の舞台は光の世界と影の世界のトワイライト。ハイラル王国が有る光の世界は、トワイライトと呼ばれる影の世界に侵略され、人々は魂だけの姿へ、モンスター達は影のような異型に。魔物にさらわれた子供達を追ってトワイライトに踏み込んだリンクは何故か獣の姿になってしまう。そこで出会った不思議な人物ミドナと共に光の世界を取り戻し、大切な人を助けるために冒険が始まる。
2006年に20周年の節目としてWii、ニンテンドーゲームキューブ用ソフトとして発売された。世界線は『ムジュラの仮面』の続編にあたる。 他の作品と比べると特徴的なグラフィックで輪郭が不明確で実在しているのに実態がないような感覚が、ストーリーの不気味さや感動的なシーンにより深みを出しているように感じた。最後の別れのシーンでゼルダの伝説は魂の生まれ変わりの物語なので、リンクとミドナの繋がりと、ザントとガノンの拒絶の対比になっていると感じた。
5.『ゼルダの伝説 風和のタクト』
プロデューサー 宮本茂 手塚卓志
ディレクター 青沼英二
プログラマー 岩脇敏夫 森田和明
ストーリー
時の勇者伝説が伝わる島で育った少年リンク。この島には勇者と同じ歳になった男の子にみどり衣を着せて祝う風習があった。この日時の勇者と同じ歳になったリンクは、おばあちゃんや妹のアリル、島のみんなに祝服され幸せな一日になる予定だったが、突如島に巨大な怪鳥が現れアリルがさらわれてしまう!リンクはアリルを助けるためにおんな海賊テトラと共に大海原へ。初めはアリルを助けるための旅だったがアリルをさらった黒幕にちかづくにつれ、いつしか世界の命運に関わる戦いに身を投じて行くことに。伝説の力、トライフォースを巡る壮大な冒険が今始まる。
2002年にゲームキューブ用に発売され、その後WiiUでリメイクされたアクションアドベンチャー。今までの3Dゼルダを踏襲しながらアニメ調のグラフィックが採用され、一新した雰囲気の作品。ゼルダシリーズの時系列では『時のオカリナ』で勇者が勝利しリンクがいなくなった世界線の1作目になっている。今作はリンクに家族がおり、勇者の血族ではない状態からハイラル王に見出されるというほかとは少し違った設定になっている。風のタクトはハイラルに縛られ続けたガノンが、最後はハイラルの消滅と共に本来の「ゲルドのガノンドロフ」に戻り、「未来」達を試していて、主人公はリンクだけど、ガノンドロフの物語となっていると感じた。
6.『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』 プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 堂田卓宏
ストーリー
ハイラルの地に大厄災が起こり、ハイラル王国が滅亡してから100年。地下の祠で長い眠りに着いていたリンクは、不思議な声に導かれて目を覚ます。過去の記憶を失っていたリンクが祠の外に出ると、目の前には豊かな自然溢れるハイラルの地が広がっていた。そこで出会ったフードの老人の助言により、今もハイラル城で100年間ガノンの力を押さえつけているゼルダ姫の救出と厄災の討伐を目指し、明確な目的を持たない冒険へと出かけていく。
2017年にWIIU、スイッチのソフトとして発売され、シリーズ初のオープンワールドが採用されている。また、今までのゼルダを見直すとされて出来たため、今までのゼルダシリーズの世界線とは別枠となっている。広大な地図に完全自由なオープンワールドでプレイヤー一人一人に違ったシナリオになっている。 今作の魅力は100年間眠り記憶が曖昧な中、突然使命を課せられたリンクと、プレイヤーの心情が同期し、ストーリーを進め記憶を取り戻す中でその使命に対し感じ方が変わってくるという感覚を共有出来る点だと感じた。今までとは違いストーリーを通して、どんなに練習しても封印の力が目覚めず「無才の姫」と呼ばれたゼルダと才能に溢れ勇者に選ばれたリンク。全てのトライフォースの力に目覚め、マスターソードの超えも聞けたゼルダと、トライフォースの力がなくマスターソードの声を聞けなかったリンクの対比が描かれていると思った。
7.『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』
プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 堂田卓宏
ストーリー
前作『ブレスオブザワイルド』でのリンクの活躍により厄災ガノンを打ち倒した後の物語。ハイラル城が宙へと浮かび、空からは謎の遺跡が降り注ぐという謎の天変地異に見舞われたハイラルを舞台に主人公リンクが新たなる冒険に繰り出していく。
2023年にスイッチのソフトとして発売された『ブレスオブザワイルド』の続編。ハイラル王国建国時代のストーリーや、前作では明かされなかったゾナウ文明についてなどが描かれた。新しい能力によってより冒険が楽しくなり、マップが空と地底にも広がったことで全体的にボリュームが多くなっている。今作は「手を伸ばす」「手を取る事」がテーマになっていると感じた。そのためガノンが特に孤高の存在であることが強調されていたり、最初に伸ばした手が届かないシーンから始まったりしていると思った。
8.『葬送のフリーレン』
原作 山田鐘人 作画 アベツカサ
あらすじ
物語の舞台は千年以上生きるエルフの魔法使いフリーレンが勇者ヒンメルたちと共に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした「その後」の世界。ヒンメル達と再会の約束をして旅に出たフリーレンは50年後にヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ姿のフリーレンに対しヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで「人を知ること」をしてこなかった自分を悔いたフリーレンは、「人を知るため」の旅に出る。
大きな出来事がある訳ではなく、たんたんと物語が進んでいくけど惹き込まれる作品だと思った。戦いの合間に魔法の設定開示や歴史解説などを和感なく説明していたり、エルフの時間の感じ方を長い時間経過を数コマでまとめてしまう事で感じさせたり、実際に登場した訳では無い登場人物の凄さの説明など世界観を読者に自然に共有しているのがこの作品の凄さだと感じた。
9.アニメ『マッシュル』
原作 甲本一
あらすじ
魔法使いが支配する「魔法界」に生まれながら、全く魔法を使うことができないマッシュ・バーンデッドは、家族と平穏な暮らしのできる世界を作るためにイーストン魔法学校へ入学する。そんなマッシュが鍛え上げた肉体だけを武器に闇の魔法組織と戦う姿を描いたアブノーマル魔法ファンタジー。
個性的な登場人物と、魔法が使えない事をマイナスにせずむしろ全部手でできると魔法を全否定してしまう素直すぎる主人公によるシュールな面白さで癖になる作品。野望や情熱がある訳ではなく、ただ家族と平和に過ごしたいという理由からくる淡々としてるけど面白いストーリーが魅力だと感じました。
10.『ハイキュー』
作者 古舘春一
あらすじ
偶然高校バレーのテレビ中継を見かけた小柄な少年・日向翔陽は「小さな巨人」と呼ばれる低身長ながらもコートの上で大活躍する選手の姿に憧れを抱く。やがて日向はその小さな巨人が在籍した宮城県立烏野高校に進学しバレーボール部に入部。そこには中学時代「コート上の王様」と呼ばれた天才セッター・影山飛雄の姿があった。
スポーツ漫画によくあるみんながプロを目指していたり、超人的な技が出る物語ではなく、日々の練習の積み重ねが試合結果や未来に繋がっていくことを現実的に描いている作品。試合中に選手がどこを見ているのか、ボールがどんな動きをしたのか、選手たちのスーパープレーや地味だけどとても重要な動きなど、時間や空間を自由自在に操れたり、心情描写を丁寧に描ける漫画というスポーツの相性の良さが抜群に現れているのがこの作品の魅力だと感じた。
11.『ハイキュー ゴミ捨て場の決戦』
原作者 古舘春一
監督 満仲勧
あらすじ
春高バレーのテレビ中継で見た小さな巨人に憧れ烏野高校男子バレー部に入部した日向翔陽は、東京の音駒高校男子バレー部の正セッターである孤爪研磨とひょんなことから出会う。幾度も試合を重ねて互いに成長していく両校は、無事春高バレーへの切符を手にする。迎えた春高バレー2回戦、烏野高校は優勝候補の稲荷崎高校を下し、3回戦でいよいよ因縁のライバル校、音駒高校との対戦を迎える。 これまで何度も戦ってきた烏野高校と音駒高校だったが、公式の舞台での戦いはこれが初めて。この因縁の戦い、通称ゴミ捨て場の決戦で、ついに翔陽と研磨はもう1回がない戦いを交える。
実際の試合時間を想定した85分という時間で試合を展開させるために重要なシーンも含め色々カットされてしまっていたけど、リアルなテンポ感や色々な視点からの映像など漫画の感じではなく実際のバレーを表現しているように感じた。また短い時間だからこそ「日向と研磨の戦い」をテーマにし、研磨がバレーを楽しいと発言した所を映画の盛り上がる部分にしたと思った。相手チームに話しかけはするけど練習試合のような緩さはなくお互いが本気でバチバチしている感じがより音声を付けることでリアルに表現されていると思った。
12.『哀れなるものたち』
原作者 アラスター・グレイ
監督 ヨルゴス・ランティモス
あらすじ
天才外科医のバクスターの手によって胎児の脳を移植されたベラは、不幸な死から蘇る。世界を自分の目で見たいという欲望に駆られたベラは、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。偏見から放たれたベラは世界を吸収し成長していく。
魚眼レンズを使った映像や、舞台背景や衣装、独特な色彩、不気味な音楽がすごく芸術面にとにかく惹き付けられる作品。 冒頭はカラー映像だったのに身投げをした次のシーンから白黒の映像になりしばらく映画が進んでから再びカラー映像になるのは、主人公のベラが胎児の脳を移植された事を明かされてから、子供の見え方を表しているからだと思った。ゼロ歳から実年齢に会うまでの成長を違和感なく自然に演じるエマ・ストーンがとにかく凄い。
13.『ゴールデンカムイ』
作者 野田サトル
あらすじ
「不死身の杉本」日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的のために大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手がかりが。立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そしてアイヌの少女、エゾ狼との出逢い。「黄金を巡る生存競争」がここに開幕する...。
個性が強すぎる登場人物が複数陣営に入り乱れて殺し合いと助け合いをする作品。それぞれが明確な目的を持って行動するため容赦がなく、北海道の広大で厳しい自然がより戦闘シーンに迫力を与えている。単純な戦闘だけでなく、高度な頭脳戦が展開されたり、伏線の張り方がすごく、読む度に新たな発見があるのが魅力だと思う。
14.『夏目友人帳』
作者緑川ゆき
あらすじ
小さい頃から妖怪を見ることが出来る少年・夏目貴志。彼は、祖母レイコが妖怪を子分とする証にその名を書かせた「友人帳」を継ぎ、自称用心棒の妖怪・ニャンコ先生と共に、妖怪達にその名を返す日々。ようやく手に入れた大切な場所で、友人たちとの深まる絆を感じながら夏目は妖怪たちとの出会いや別れを繰り返していく。
妖との交流を通して夏目が成長していく物語。同じ時間を共有できない人間と妖の通じ会えないからこその歯がゆさや、同じ妖を見える人でも、妖人の友人たちと同じように接するなつめと道具のように扱う祓いやの人達との妖への見方など、立場の違う登場人物達のそれぞれの心理描写が丁寧に描かれている所が魅力だと思う。
15.『ちはやふる』
作者 末次由紀
あらすじ
姉が日本一のモデルになることが夢である小学6年生の綾瀬千早は、転校生の綿谷新に「自分のことでないと夢にしてはいけない」と諭される。そんな新の夢は競技かるたで名人になること。普段は大人しい新が真剣に札を払う姿に衝撃を受けた千早は、幼なじみの真島太一も巻き込んでかるたの魅力に惹き込まれていく。
競技かるたのルールや百人一首をよく分からなくても楽しめる作品。読まれた音を聞く描写や、勢いのあるかるたを取るとき描写など実際にカルタをしている場面に自分もいるような感覚になれる。また、登場人物の感情や成長がカルタとリンクしているため、カルタを通して物語が伝えられる所がこの作品の魅力だと思う。
16.『FAIRY TAIL』
作者 真島ヒロ
あらすじ
人々の生活に魔法が根付く世界で、立派な魔道士を目指すルーシィが滅竜魔導士のナツと出会い、最強の魔道士ギルド「妖怪の尻尾」に加入する。チームを組んだふたりが様々な仕事に挑む中での冒険とキズナが描かれたファンタジー作品。
バトルものの作品で、強さによるわかりやすい面白さとその強さの理屈や筋の通った展開などライト層にも深く読む層にも楽しめる作品。ヒロインのルーシィがあまり初めは全然強くなかったけど、話が進むにつれて出来なかったことが少しづつできるようになっていく成長の度合いがわかりやすかったり、明確な修行パートがあるなど成長を読者がわかりやすい事が特徴だと思う。メインキャラクターが過去や未来に行くのはよくある展開だけど時間の経過に置いていかれるという斬新な展開が多くある作品になっている。
17.『名探偵コナン 黒鉄のサブマリン』
原作 青山剛昌
監督 立川譲
脚本 櫻井武晴
あらすじ
劇場版第26弾となる本作の舞台は、東京・八丈島近海にある、世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」。そこでひとりの女性エンジニアが、黒の組織に誘拐される事件が発生する。さらに組織のNo.2であるラムの側近と噂される、新たな黒の組織の一員・ピンガも動きだし、灰原哀のもとに黒い影が忍び寄る。
黒の組織関連の話や灰原が歩美ちゃんに言われた「逃げてばかりじゃ勝てないもん」というセリフを受けて 言ったセリフや、イルカのシーンなど過去の原作を思わせるようなシーンが多く含まれていると思った。
『天国のカウントダウン』で原が黒の組織のボスの正体をシステムを使って探ろうとしていたから消された為、今回老若認証システムごと爆発してしまったのだと思った。
18.『名探偵コナン 迷宮の十字路』
原作 青山剛昌
監督 こだま兼嗣 西森章
脚本 古内一成
あらすじ
東京・大阪・京都で5人の男が相次いで殺される事件が発生。5人は古美術を狙う窃盗団「源氏蛍」のメンバーでお互いを義経とその家臣たちの名で呼びあっており、残るは義経、弁慶、伊勢三郎の3名となった。別の仏像窃盗事件の解決を依頼された小五郎と共に京都を訪れたコナンは、源氏蛍の事件を追う服部平次と遭遇し、行動を共にすることに。だが、平次が弓で狙撃され...。犯人は源氏蛍のメンバーなのか、京都の街を2人の名探偵が駆け抜ける。
平次の初恋の人をめぐる物語が主題歌ともリンクし綺麗にまとまっている。また『義経記』を基にした物語になっており、新一と蘭を義経と静御前、コナンと平次を義経と弁慶になぞらえて描かれていたり、舞台の京都の色々な観光地を映画中でめぐり、コナンファンだけでなく、歴史や地理を楽しむことが出来、世界観、ラブコメ、謎解き、主題歌全てが綺麗にまとまっていると思った。
19.『名探偵コナン 紺青の拳』
原作 青山剛昌
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
あらすじ
19世紀末にシンガボール近海に沈んだとされる世界最大のブルーサファイア「紺青の拳」が現地の富豪によって回収されるが、殺人事件が発生。その現場には怪盗キッドの血塗られた予告状が残されていた。空手トーナメントの観戦で同地を訪れていた園子と蘭にたいし、コナンは留守番のはずだがキッドの奇術的な方法で強制的に連れてこられてしまう。コナンも変装し、アーサー・ヒライの偽名を使い事件の解決に挑む。
今作は犯人が分かりやすく倒叙形式のミステリーになっているが、トリックが複雑だと感じた。 またアクションパートは蘭や小五郎の戦闘、キッドと京極真の協力による白熱のバトルシーン、キッドが海賊にロケランを打ち込ませるシーンなどのアクションシーンはシリーズ屈指の派手なアクションになっていると感じた。
20.『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』 原作 青山剛昌
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
あらすじ
北海道、函館にある斧江財閥の収蔵庫に怪盗キッドから予告状が届く。キッドの狙いは新撰組副長・土方歳三にまつわる日本刀だったが、折しも函館で開会される剣道の大会のため、服部平次やコナンも同地を訪れていた。平次はキッドの変装を見破り、追い詰めていく。時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見され、捜査上には「死の商人」と呼ばれる日系アメリカ人の存在が浮上する。北海道・函館を舞台に謎に包まれた日本刀を巡るミステリーが展開する。
これまでのストーリーに出てきた登場人物やコナンだけでなくまじっく快斗、YAIBAの要素が多く出てきた作品だと思った。アクションも謎解きも伏線回収もしっかりしていながら綺麗にまとまっていた。 掛け軸の修理と偽って作業員に変装して刀を盗もうとしたが作業員が旅行中という事でバレたが、盗一は旅行中の川添刑事に変装しても最後までバレなかった。 キッドが変装した沖田は京都弁が下手くそですぐすぐ変装しているとコナン達に気づかれていたが、川添刑事の「わや」のイントネーションが変でも誰にも気づかれなかったという親子での差が多く描かれており、コナンと優作の間にまだ差があるのと重複していると感じた。
春休み課題
1.『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』 プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 岩脇敏夫 森田和明
ストーリー
大地にまだハイラルという名がなく、人間達も大空に浮かぶ島スカイロフトで暮らしていた時代主人公リンクと幼なじみのゼルダはスカイバードに乗って散歩をしている時に謎の竜巻に巻き込まれゼルダは行方不明になってしまう。リンクはその後女神像に隠されていた剣とその剣に宿る精霊ファイに出会い雲の下に広がる未知の大地へと降りゼルダを探す冒険。
2011年にWii用アクションアドベンチャーゲームとして任天堂から発売され、その後スイッチでリメイクもされたゼルダの伝説25周年記念作品となっている。 ゼルダの伝説シリーズの始まりの物語として位置づけられ、シリーズ共通の要素であるマスターソードやトライフォースの誕生の経緯、ゼルダが伝説として伝えられていった理由が描かれた作品。Wiiリモコンの拡張機能のWiiモーションプラスを活かしてwithリモコンを剣、ヌンチャクを盾として扱うことができ、今作のテーマである「濃密ゼルダ」からもわかる通り、ストーリーはもちろん色々なギミックを楽しむことができる。ゼルダシリーズは基本的に「姫を救う」ことをスタンスにしていますが、そこを大幅に変え主人公リンク自身と初めは嫌な奴だったバドの成長、今まで支えてきた存在との別れ、リンクの表情の豊かさにより感情移入がしやすい事、マスターソードに対する見方が変わるというのがこの作品をより深くしていると感じた。また、ゼルダの伝説は三位一体がテーマのひとつになっており、主人公、ヒロイン、敵だけでなく今作はバドも含まれていて、リンクとゼルダ、バドそれぞれが主人公として描かれていると感じた。
2.『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター大澤徹 山田洋一 小野塚(青沼)英二
シナリオ 大澤徹
プログラマー 岩脇敏夫
ストーリー
ハイラルのどこかに眠る神の力「トライフォース」を手に入れるため、ガノンドロフが反乱を起こし再び世界が混沌に染まることになる。その頃、コキリ族の少年リンクはトライフォースを導く「森の精霊石」を託され、ガノンドロフの手にトライフォースが渡らないよう時のオカリナを手にハイラルの大地へと旅に出る。たくさんの出会いと別れを経験し、時を行き来しながら運命を変える戦いへと挑んでいく。
1998年にニンテンドー64用ソフトとして任天堂から発売され、その後3DSやスイッチなどでリメイクされた、ゼルダの伝説シリーズ初の3D作品となっています。今作での最終決戦をきっかけに世界線が3つに分岐し、他の作品へと繋がるゼルダシリーズをプレイする上で欠かせない作品。 3Dになった事で奥行きのある空間での謎解きや戦闘、自動照準機能ができ、最近のゲームと同じように楽しむことが出来る。 リンクが大人になってからゲームの内容が難しくなっているのは、ストーリーの前半で子供時代リンクの戦いが認められ「勇気のトライフォース」を送られることから、プレイヤー自身が「勇気のトライフォース」の持ち主であること。つまり、どんなにゲームが難しくても何度も試行錯誤する事と、リンクが強敵のガノンドロフに立ち向かっていく姿と重なり、ストーリーを自分自身でも体験出来るようになっていると感じた。
3.『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター 青沼英二 小泉歓晃
シナリオ 高野充浩
プログラマー 岩脇敏夫
ストーリー
〚時のオカリナ〛での冒険の後も旅を続けるリンクは森の中で奇妙な仮面を被ったスタルキッドと出会い、彼に誘われる形で4日間後の朝に月が堕ち滅びる運命にある世界「タルミナ」に迷い込んでしまう。滅びの元凶がスタルキッドの被るお面「ムジュラの仮面」であると知ったリンクは、時のオカリナで滅びまでの3日間を繰り返しながら月の墜落を阻止し、「ムジュラの仮面」を奪還するためタルミナを冒険する。
2000年にニンテンドー64で発売され、ゲームキューブ、wiiなどでリメイクされた。『時のオカリナ』で勇者が勝利し子供時代に戻った世界線の1作目に当たる作品。キャッチコピーが「今度のゼルダは”こわさ”がある」となっている通り、「恐怖」や「滅び」などホラー要素が多くなっている。月が堕ちてくる中でタルミナの住民たちのリアルな人間性が現れたり、お面屋のセリフの「人の心を見通せるという便利なようでそれは恐ろしい道具」、「なんで恐ろしいかって?それはあなたが人生経験を積めばやがてわかることです」から、キャッチコピーの「こわさ」には人間の恐さも含まれていると思った。
4.『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』
プロデューサー 宮本茂
ディレクター 青沼英二
プログラマー 岩脇敏夫 森田和昭
ストーリー
物語の舞台は光の世界と影の世界のトワイライト。ハイラル王国が有る光の世界は、トワイライトと呼ばれる影の世界に侵略され、人々は魂だけの姿へ、モンスター達は影のような異型に。魔物にさらわれた子供達を追ってトワイライトに踏み込んだリンクは何故か獣の姿になってしまう。そこで出会った不思議な人物ミドナと共に光の世界を取り戻し、大切な人を助けるために冒険が始まる。
2006年に20周年の節目としてWii、ニンテンドーゲームキューブ用ソフトとして発売された。世界線は『ムジュラの仮面』の続編にあたる。 他の作品と比べると特徴的なグラフィックで輪郭が不明確で実在しているのに実態がないような感覚が、ストーリーの不気味さや感動的なシーンにより深みを出しているように感じた。最後の別れのシーンでゼルダの伝説は魂の生まれ変わりの物語なので、リンクとミドナの繋がりと、ザントとガノンの拒絶の対比になっていると感じた。
5.『ゼルダの伝説 風和のタクト』
プロデューサー 宮本茂 手塚卓志
ディレクター 青沼英二
プログラマー 岩脇敏夫 森田和明
ストーリー
時の勇者伝説が伝わる島で育った少年リンク。この島には勇者と同じ歳になった男の子にみどり衣を着せて祝う風習があった。この日時の勇者と同じ歳になったリンクは、おばあちゃんや妹のアリル、島のみんなに祝服され幸せな一日になる予定だったが、突如島に巨大な怪鳥が現れアリルがさらわれてしまう!リンクはアリルを助けるためにおんな海賊テトラと共に大海原へ。初めはアリルを助けるための旅だったがアリルをさらった黒幕にちかづくにつれ、いつしか世界の命運に関わる戦いに身を投じて行くことに。伝説の力、トライフォースを巡る壮大な冒険が今始まる。
2002年にゲームキューブ用に発売され、その後WiiUでリメイクされたアクションアドベンチャー。今までの3Dゼルダを踏襲しながらアニメ調のグラフィックが採用され、一新した雰囲気の作品。ゼルダシリーズの時系列では『時のオカリナ』で勇者が勝利しリンクがいなくなった世界線の1作目になっている。今作はリンクに家族がおり、勇者の血族ではない状態からハイラル王に見出されるというほかとは少し違った設定になっている。風のタクトはハイラルに縛られ続けたガノンが、最後はハイラルの消滅と共に本来の「ゲルドのガノンドロフ」に戻り、「未来」達を試していて、主人公はリンクだけど、ガノンドロフの物語となっていると感じた。
6.『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』 プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 堂田卓宏
ストーリー
ハイラルの地に大厄災が起こり、ハイラル王国が滅亡してから100年。地下の祠で長い眠りに着いていたリンクは、不思議な声に導かれて目を覚ます。過去の記憶を失っていたリンクが祠の外に出ると、目の前には豊かな自然溢れるハイラルの地が広がっていた。そこで出会ったフードの老人の助言により、今もハイラル城で100年間ガノンの力を押さえつけているゼルダ姫の救出と厄災の討伐を目指し、明確な目的を持たない冒険へと出かけていく。
2017年にWIIU、スイッチのソフトとして発売され、シリーズ初のオープンワールドが採用されている。また、今までのゼルダを見直すとされて出来たため、今までのゼルダシリーズの世界線とは別枠となっている。広大な地図に完全自由なオープンワールドでプレイヤー一人一人に違ったシナリオになっている。 今作の魅力は100年間眠り記憶が曖昧な中、突然使命を課せられたリンクと、プレイヤーの心情が同期し、ストーリーを進め記憶を取り戻す中でその使命に対し感じ方が変わってくるという感覚を共有出来る点だと感じた。今までとは違いストーリーを通して、どんなに練習しても封印の力が目覚めず「無才の姫」と呼ばれたゼルダと才能に溢れ勇者に選ばれたリンク。全てのトライフォースの力に目覚め、マスターソードの超えも聞けたゼルダと、トライフォースの力がなくマスターソードの声を聞けなかったリンクの対比が描かれていると思った。
7.『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』
プロデューサー 青沼英二
ディレクター 藤林秀麿
プログラマー 堂田卓宏
ストーリー
前作『ブレスオブザワイルド』でのリンクの活躍により厄災ガノンを打ち倒した後の物語。ハイラル城が宙へと浮かび、空からは謎の遺跡が降り注ぐという謎の天変地異に見舞われたハイラルを舞台に主人公リンクが新たなる冒険に繰り出していく。
2023年にスイッチのソフトとして発売された『ブレスオブザワイルド』の続編。ハイラル王国建国時代のストーリーや、前作では明かされなかったゾナウ文明についてなどが描かれた。新しい能力によってより冒険が楽しくなり、マップが空と地底にも広がったことで全体的にボリュームが多くなっている。今作は「手を伸ばす」「手を取る事」がテーマになっていると感じた。そのためガノンが特に孤高の存在であることが強調されていたり、最初に伸ばした手が届かないシーンから始まったりしていると思った。
8.『葬送のフリーレン』
原作 山田鐘人 作画 アベツカサ
あらすじ
物語の舞台は千年以上生きるエルフの魔法使いフリーレンが勇者ヒンメルたちと共に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした「その後」の世界。ヒンメル達と再会の約束をして旅に出たフリーレンは50年後にヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ姿のフリーレンに対しヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで「人を知ること」をしてこなかった自分を悔いたフリーレンは、「人を知るため」の旅に出る。
大きな出来事がある訳ではなく、たんたんと物語が進んでいくけど惹き込まれる作品だと思った。戦いの合間に魔法の設定開示や歴史解説などを和感なく説明していたり、エルフの時間の感じ方を長い時間経過を数コマでまとめてしまう事で感じさせたり、実際に登場した訳では無い登場人物の凄さの説明など世界観を読者に自然に共有しているのがこの作品の凄さだと感じた。
9.アニメ『マッシュル』
原作 甲本一
あらすじ
魔法使いが支配する「魔法界」に生まれながら、全く魔法を使うことができないマッシュ・バーンデッドは、家族と平穏な暮らしのできる世界を作るためにイーストン魔法学校へ入学する。そんなマッシュが鍛え上げた肉体だけを武器に闇の魔法組織と戦う姿を描いたアブノーマル魔法ファンタジー。
個性的な登場人物と、魔法が使えない事をマイナスにせずむしろ全部手でできると魔法を全否定してしまう素直すぎる主人公によるシュールな面白さで癖になる作品。野望や情熱がある訳ではなく、ただ家族と平和に過ごしたいという理由からくる淡々としてるけど面白いストーリーが魅力だと感じました。
10.『ハイキュー』
作者 古舘春一
あらすじ
偶然高校バレーのテレビ中継を見かけた小柄な少年・日向翔陽は「小さな巨人」と呼ばれる低身長ながらもコートの上で大活躍する選手の姿に憧れを抱く。やがて日向はその小さな巨人が在籍した宮城県立烏野高校に進学しバレーボール部に入部。そこには中学時代「コート上の王様」と呼ばれた天才セッター・影山飛雄の姿があった。
スポーツ漫画によくあるみんながプロを目指していたり、超人的な技が出る物語ではなく、日々の練習の積み重ねが試合結果や未来に繋がっていくことを現実的に描いている作品。試合中に選手がどこを見ているのか、ボールがどんな動きをしたのか、選手たちのスーパープレーや地味だけどとても重要な動きなど、時間や空間を自由自在に操れたり、心情描写を丁寧に描ける漫画というスポーツの相性の良さが抜群に現れているのがこの作品の魅力だと感じた。
11.『ハイキュー ゴミ捨て場の決戦』
原作者 古舘春一
監督 満仲勧
あらすじ
春高バレーのテレビ中継で見た小さな巨人に憧れ烏野高校男子バレー部に入部した日向翔陽は、東京の音駒高校男子バレー部の正セッターである孤爪研磨とひょんなことから出会う。幾度も試合を重ねて互いに成長していく両校は、無事春高バレーへの切符を手にする。迎えた春高バレー2回戦、烏野高校は優勝候補の稲荷崎高校を下し、3回戦でいよいよ因縁のライバル校、音駒高校との対戦を迎える。 これまで何度も戦ってきた烏野高校と音駒高校だったが、公式の舞台での戦いはこれが初めて。この因縁の戦い、通称ゴミ捨て場の決戦で、ついに翔陽と研磨はもう1回がない戦いを交える。
実際の試合時間を想定した85分という時間で試合を展開させるために重要なシーンも含め色々カットされてしまっていたけど、リアルなテンポ感や色々な視点からの映像など漫画の感じではなく実際のバレーを表現しているように感じた。また短い時間だからこそ「日向と研磨の戦い」をテーマにし、研磨がバレーを楽しいと発言した所を映画の盛り上がる部分にしたと思った。相手チームに話しかけはするけど練習試合のような緩さはなくお互いが本気でバチバチしている感じがより音声を付けることでリアルに表現されていると思った。
12.『哀れなるものたち』
原作者 アラスター・グレイ
監督 ヨルゴス・ランティモス
あらすじ
天才外科医のバクスターの手によって胎児の脳を移植されたベラは、不幸な死から蘇る。世界を自分の目で見たいという欲望に駆られたベラは、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る。偏見から放たれたベラは世界を吸収し成長していく。
魚眼レンズを使った映像や、舞台背景や衣装、独特な色彩、不気味な音楽がすごく芸術面にとにかく惹き付けられる作品。 冒頭はカラー映像だったのに身投げをした次のシーンから白黒の映像になりしばらく映画が進んでから再びカラー映像になるのは、主人公のベラが胎児の脳を移植された事を明かされてから、子供の見え方を表しているからだと思った。ゼロ歳から実年齢に会うまでの成長を違和感なく自然に演じるエマ・ストーンがとにかく凄い。
13.『ゴールデンカムイ』
作者 野田サトル
あらすじ
「不死身の杉本」日露戦争での鬼神の如き武功から、そう謳われた兵士は、ある目的のために大金を欲し、かつてゴールドラッシュに沸いた北海道へ足を踏み入れる。そこにはアイヌが隠した莫大な埋蔵金への手がかりが。立ち塞がる圧倒的な大自然と凶悪な死刑囚。そしてアイヌの少女、エゾ狼との出逢い。「黄金を巡る生存競争」がここに開幕する...。
個性が強すぎる登場人物が複数陣営に入り乱れて殺し合いと助け合いをする作品。それぞれが明確な目的を持って行動するため容赦がなく、北海道の広大で厳しい自然がより戦闘シーンに迫力を与えている。単純な戦闘だけでなく、高度な頭脳戦が展開されたり、伏線の張り方がすごく、読む度に新たな発見があるのが魅力だと思う。
14.『夏目友人帳』
作者緑川ゆき
あらすじ
小さい頃から妖怪を見ることが出来る少年・夏目貴志。彼は、祖母レイコが妖怪を子分とする証にその名を書かせた「友人帳」を継ぎ、自称用心棒の妖怪・ニャンコ先生と共に、妖怪達にその名を返す日々。ようやく手に入れた大切な場所で、友人たちとの深まる絆を感じながら夏目は妖怪たちとの出会いや別れを繰り返していく。
妖との交流を通して夏目が成長していく物語。同じ時間を共有できない人間と妖の通じ会えないからこその歯がゆさや、同じ妖を見える人でも、妖人の友人たちと同じように接するなつめと道具のように扱う祓いやの人達との妖への見方など、立場の違う登場人物達のそれぞれの心理描写が丁寧に描かれている所が魅力だと思う。
15.『ちはやふる』
作者 末次由紀
あらすじ
姉が日本一のモデルになることが夢である小学6年生の綾瀬千早は、転校生の綿谷新に「自分のことでないと夢にしてはいけない」と諭される。そんな新の夢は競技かるたで名人になること。普段は大人しい新が真剣に札を払う姿に衝撃を受けた千早は、幼なじみの真島太一も巻き込んでかるたの魅力に惹き込まれていく。
競技かるたのルールや百人一首をよく分からなくても楽しめる作品。読まれた音を聞く描写や、勢いのあるかるたを取るとき描写など実際にカルタをしている場面に自分もいるような感覚になれる。また、登場人物の感情や成長がカルタとリンクしているため、カルタを通して物語が伝えられる所がこの作品の魅力だと思う。
16.『FAIRY TAIL』
作者 真島ヒロ
あらすじ
人々の生活に魔法が根付く世界で、立派な魔道士を目指すルーシィが滅竜魔導士のナツと出会い、最強の魔道士ギルド「妖怪の尻尾」に加入する。チームを組んだふたりが様々な仕事に挑む中での冒険とキズナが描かれたファンタジー作品。
バトルものの作品で、強さによるわかりやすい面白さとその強さの理屈や筋の通った展開などライト層にも深く読む層にも楽しめる作品。ヒロインのルーシィがあまり初めは全然強くなかったけど、話が進むにつれて出来なかったことが少しづつできるようになっていく成長の度合いがわかりやすかったり、明確な修行パートがあるなど成長を読者がわかりやすい事が特徴だと思う。メインキャラクターが過去や未来に行くのはよくある展開だけど時間の経過に置いていかれるという斬新な展開が多くある作品になっている。
17.『名探偵コナン 黒鉄のサブマリン』
原作 青山剛昌
監督 立川譲
脚本 櫻井武晴
あらすじ
劇場版第26弾となる本作の舞台は、東京・八丈島近海にある、世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐための海洋施設「パシフィック・ブイ」。そこでひとりの女性エンジニアが、黒の組織に誘拐される事件が発生する。さらに組織のNo.2であるラムの側近と噂される、新たな黒の組織の一員・ピンガも動きだし、灰原哀のもとに黒い影が忍び寄る。
黒の組織関連の話や灰原が歩美ちゃんに言われた「逃げてばかりじゃ勝てないもん」というセリフを受けて 言ったセリフや、イルカのシーンなど過去の原作を思わせるようなシーンが多く含まれていると思った。
『天国のカウントダウン』で原が黒の組織のボスの正体をシステムを使って探ろうとしていたから消された為、今回老若認証システムごと爆発してしまったのだと思った。
18.『名探偵コナン 迷宮の十字路』
原作 青山剛昌
監督 こだま兼嗣 西森章
脚本 古内一成
あらすじ
東京・大阪・京都で5人の男が相次いで殺される事件が発生。5人は古美術を狙う窃盗団「源氏蛍」のメンバーでお互いを義経とその家臣たちの名で呼びあっており、残るは義経、弁慶、伊勢三郎の3名となった。別の仏像窃盗事件の解決を依頼された小五郎と共に京都を訪れたコナンは、源氏蛍の事件を追う服部平次と遭遇し、行動を共にすることに。だが、平次が弓で狙撃され...。犯人は源氏蛍のメンバーなのか、京都の街を2人の名探偵が駆け抜ける。
平次の初恋の人をめぐる物語が主題歌ともリンクし綺麗にまとまっている。また『義経記』を基にした物語になっており、新一と蘭を義経と静御前、コナンと平次を義経と弁慶になぞらえて描かれていたり、舞台の京都の色々な観光地を映画中でめぐり、コナンファンだけでなく、歴史や地理を楽しむことが出来、世界観、ラブコメ、謎解き、主題歌全てが綺麗にまとまっていると思った。
19.『名探偵コナン 紺青の拳』
原作 青山剛昌
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
あらすじ
19世紀末にシンガボール近海に沈んだとされる世界最大のブルーサファイア「紺青の拳」が現地の富豪によって回収されるが、殺人事件が発生。その現場には怪盗キッドの血塗られた予告状が残されていた。空手トーナメントの観戦で同地を訪れていた園子と蘭にたいし、コナンは留守番のはずだがキッドの奇術的な方法で強制的に連れてこられてしまう。コナンも変装し、アーサー・ヒライの偽名を使い事件の解決に挑む。
今作は犯人が分かりやすく倒叙形式のミステリーになっているが、トリックが複雑だと感じた。 またアクションパートは蘭や小五郎の戦闘、キッドと京極真の協力による白熱のバトルシーン、キッドが海賊にロケランを打ち込ませるシーンなどのアクションシーンはシリーズ屈指の派手なアクションになっていると感じた。
20.『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』 原作 青山剛昌
監督 永岡智佳
脚本 大倉崇裕
あらすじ
北海道、函館にある斧江財閥の収蔵庫に怪盗キッドから予告状が届く。キッドの狙いは新撰組副長・土方歳三にまつわる日本刀だったが、折しも函館で開会される剣道の大会のため、服部平次やコナンも同地を訪れていた。平次はキッドの変装を見破り、追い詰めていく。時を同じくして、胸に十文字の切り傷がつけられた遺体が函館倉庫街で発見され、捜査上には「死の商人」と呼ばれる日系アメリカ人の存在が浮上する。北海道・函館を舞台に謎に包まれた日本刀を巡るミステリーが展開する。
これまでのストーリーに出てきた登場人物やコナンだけでなくまじっく快斗、YAIBAの要素が多く出てきた作品だと思った。アクションも謎解きも伏線回収もしっかりしていながら綺麗にまとまっていた。 掛け軸の修理と偽って作業員に変装して刀を盗もうとしたが作業員が旅行中という事でバレたが、盗一は旅行中の川添刑事に変装しても最後までバレなかった。 キッドが変装した沖田は京都弁が下手くそですぐすぐ変装しているとコナン達に気づかれていたが、川添刑事の「わや」のイントネーションが変でも誰にも気づかれなかったという親子での差が多く描かれており、コナンと優作の間にまだ差があるのと重複していると感じた。
青山 凜香
RES
①『文豪ストレイドッグス』作:朝霧カフカ
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。それをきっかけに敦は太宰が所属する異能集団・武装探偵社が追う「人食い虎」の捜索を手伝うことになり、太宰と共に虎の出現を倉庫で待つことになる。そのとき、太宰は敦こそが虎の正体だと告げる。実は敦は無意識のうちに異能力、「月下獣」で虎に変身して徘徊しており、それゆえに孤児院を追い出されていたのだ。敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
入社試験を経て武装探偵社に入社した敦だったが、なぜか海外の異能者団体から莫大な懸賞金が敦にかけられていた。ヨコハマの港を縄張りにするポートマフィアの構成員芥川龍之介はその懸賞金目当てに敦を執拗に狙うが、部下の泉鏡花の裏切りもあって、敦に逃げられてしまう……。
自分も知っている文豪たちがキャラクター化され、代表作にちなんだ能力を持って戦うという作品。実際の文豪たちとは異なる部分も多く、違いを比較しながら観るととても面白い異能力バトル作品だと感じた。
②文豪ストレイドッグス(第2クール) 作:朝霧カフカ
今から4年前。ポートマフィア最下級構成員の織田作之助は、ポートマフィア幹部・太宰治、ポートマフィア情報員・坂口安吾とともに、バーで飲みながら、いつもの夜を過ごしていた。しかし、その日を最後に安吾が消息を絶つ。織田作は、ボス・森鴎外から直々に命令を受け、安吾捜索に乗り出す。同じ頃、海外の犯罪組織「ミミック」が入国し、その後ミミックの迎撃の命令が下される。織田作は、養っていた孤児たちを目の前で殺され、一人で敵陣へ乗り込む。しかし、それは、森の策略で、ポートマフィアが特務課と取引をし、異能開業許可証を手に入れるためだった。織田作はミミックの首領であるアンドレ・ジイドとの戦いの末、特異点を発生させるが相討ちになり、太宰に人を助ける側になれと言い残し死亡。ミミックとの抗争は幕を下ろした。
主要キャラクターの太宰治の過去に焦点を当てた第2クール。第1クールはバトル作品としての戦闘や謎解きの場面が目立っていたが、友達だった3人が別れてしまった理由、現在太宰治が武装探偵社として生きていくまでの流れが描かれていた。織田作之助、太宰治、坂口安吾の3人を巡るストーリーが予想外の連続で非常に面白かった。
③『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』作:古舘春一
高校バレーボールを題材にした古舘春一のコミックをアニメ化した「ハイキュー!!」の劇場版。コミックの中でも人気のあるエピソードの一つ「烏野高校VS音駒高校」を原作に、宮城県立烏野高校排球部と、ライバル校である音駒高校バレーボール部が公式戦でぶつかり合う。アニメシリーズにも携わってきた満仲勧が監督などを手掛け、『攻殻機動隊』シリーズなどの Production I.G がアニメーション制作を担当する。
宮城県立烏野高校排球部は、春の高校バレー宮城県代表決定戦と春の高校バレー初戦を勝ち抜き、2回戦で優勝候補の稲荷崎高校を倒す。そして東京体育館で行われる3回戦で、ライバル校である音駒高校バレーボール部と対戦。烏野高校の日向翔陽や影山飛雄らと、音駒高校の孤爪研磨や黒尾鉄朗らが公式戦での戦いに挑む。
とても素晴らしい映画だった。原作を履修してから観に行ったが、その場の空気や温度感がリアルに伝わってくる作品だと思う。演出の仕方が素晴らしく、呼吸やセリフの強調の仕方、キャラの成長を丁寧に描いており、映画を観ながら何度も泣いてしまった。自分もバレーがしたいと思わせてくれる作品だと思う。
④『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』作:水木しげる
水木しげる原作の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する鬼太郎の父と、水木という男との出会いを描いたアニメーション。行方不明になった妻を捜すため、とある村を訪れた鬼太郎の父と、密命を帯びたサラリーマンの水木が惨劇に遭遇する。ボイスキャストは関俊彦や木内秀信、古川登志夫、沢城みゆき、野沢雅子など。監督を『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』なども担当した古賀豪が務める。
廃虚となった哭倉(なぐら)村に鬼太郎と共にやってきた目玉おやじは、70年前に起きた出来事を思い出していた。昭和31年、哭倉村は政財界を裏で操る龍賀一族に支配されており、鬼太郎の父は失踪した妻を捜しに村に足を踏み入れたのだった。一方、血液銀行で龍賀製薬を担当する水木は、龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、ある密命を帯びて村を訪れるが、そこで一族の者が惨殺される事件が起こる。
原作ファンの友人に連れられて観た作品であったが、第五期を少し見ただけの自分でも引き込まれる作品でありながら、原作を履修すればするほど細かいところに込められている意味に気づくことができ、初見のひとにもコアなファンにも面白いと感じさせる良い作品だと思う。少々グロテスクな部分や近親相姦を想起させる部分があるため、ある程度人を選ぶが、それらに耐性があればストーリー性が非常に良いため、引き込まれる作品だと思う。
⑤『ガールクラッシュ』作:タヤマ碧
「舞台に上がるのは、理想のかっこいい女の子」百瀬天花(ももせ・てんか)・高校1年生。学校の成績がよくて、ビジュアル最強、ダンス部では1年生ながらセンターに立つ。天花が誰にも羨ましがられる存在=ガールクラッシュ(女子が憧れるかっこいい女子)になったきっかけは、小学生の頃。母親が不倫して、相手の男と一緒に失踪したのがクラスで噂になってしまい、ハブられていた天花は、いつも一人で行動していた。そんな折、クラスメイトの湊晴海(みなと・はるみ)くんが、声をかけてくれた。人気者の晴海は、天花の家庭環境など気にせず、フラットに付き合ってくれる。天花はいつしか、その優しさに惹かれ、次第に晴海が好きになっていく…。そこからは勉強も、部活も、すべて一生懸命やって、中学では彼女も人気者に。そしてパーフェクトに成長した天花だったが、恋にだけは奥手で、晴海に思いを伝えられずにいた。高校生になって、ダンス部として文化祭が近づいてくるなか、天花は、部活の仲間と屋上へダンスの練習へ向かう。その途中で出会ったのは、地味でパッとしない、佐藤恵梨杏(さとう・えりあん)だった。恵梨杏は、K-POPにかぶれていて、新大久保でバイトするほどだった。大好きなアイドルグループは、ブライトローズ。ブライトローズのリオナに憧れて、自分もK-POPアイドルになるために、独学で歌とダンスを練習し、韓国留学を計画していた。そのバイト先では、晴海も働いていて、仲良さそうな2人の姿を見てやきもちをやいた天花は、恵梨杏を焚き付ける。天花、恵梨杏、晴海の3人で、カラオケに行くということになり、いざ、ブライトローズの曲を歌う恵梨杏だったが……。きっかけは、恋。きっかけは、憧れ。天花と恵梨杏、2人の強い思いが、交錯する。巷で大流行するK-POP――日本の女子高生たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す!!
元々KPOPアイドルをみることが趣味であったため、KPOPを舞台としたストーリーと本物のKPOPアイドルそのもののようなスタイルを描いた絵柄に惹かれ読み始めた。最初はなんでも器用にこなし全てを手に入れ、恵梨杏を少々見下すような描写があった天花だが、話が進むにつれ、自分のしがらみや殻を破りどんどん成長していく姿に胸を打たれる。
⑥『ハニーレモンソーダ』作:村田真優
内向的な性格からいじめを受けてきた優等生の石森羽花は、街で三浦界と出会い、彼と同じ高校に進学することを選ぶ。そして、高校生活を通して、塩対応だけど実は優しい三浦界に段々心惹かれていくとともに、彼らが周囲の友人たちと成長していく姿も描かれた、青春ラブストーリー。
炭酸のように清涼感のある作品だと思う。羽花の変わりたいという思いから生まれていくストーリーが思わず応援したくなるうえに、自分もこんな生活を送ってみたいと思わせる作品だと思った。羽花は受け身な態度で誰かの助けを待つばかりではなく自分から変わろうと努力する様がかっこよくも美しいなと感じた。その成長を助ける周りの人物も非常に魅力的な人物ばかりでどんどん読み進めてしまう。
⑦『月のお気に召すまま』作:木内ラムネ
高校2年生の女子、亀井歩は、中学時代、後輩男子の滝島月にからかわれ続けていた。月が同じ高校に入学したことを知った歩は、今度こそ先輩面してやろうと決意する。騙されやすい先輩女子と、好きだからこそいじめてしまう、素直になれないイケメン後輩男子を描いたラブコメディ。集英社「別冊マーガレット」2018年12月号より連載を開始。また、連載開始前の読み切り版『月のお気に召すまま。』(「ザ・マーガレット」6月号掲載)を同時収録している。
新学期、高2女子の亀井歩が通う高校に、中学時代の後輩男子、滝島月が入学してくる。中学時代、歩は月にからかわれ続けていた。月は、世界一可愛くない後輩で、歩の悩みのタネだったのだ。何か企んでいるのかと警戒する歩に、月は素直に頭を下げる。あの頃は困らせてばっかりだったけど、また仲良くしてほしいというのだ。高校でこそは先輩面してやる。そう意気込んだ歩は、わからないことがあれば教えてあげると答えた。すると月は、どうしたらモテるか、と歩に尋ねる。歩は、彼氏いない歴=年齢の非モテ女子。一瞬焦るが気を取り直してモテ女子のフリをする。そんなわけでモテテクを練習することになった二人だが、月に「壁ドン」なんかされたら、歩は赤面してしまい、男子に免疫がないことがバレてしまう。困った果てに、とっさに歩の口から出たモテテクは「顔ドン」だった。すると、こうですかと言いながら、月は歩の頭を引き寄せ、自分の頭を軽くぶつけた。思わぬ攻撃に胸キュンしてしまい赤面する歩。正面からですかと追い打ちをかけてくる月に、あたふたしていると、不意に月が笑い出した。彼は歩をからかっていたのだ。中学時代から月は全く変わっていなかったのだ。こうして歩の悩ましい高校生活が始まることになった。
お笑い要素やキュンとなるシーンがいい塩梅で盛り込まれており、読んでいて楽しい作品であると感じた。月が歩を振り回してるように見せかけて、実は天然ヒロインに振り回されてるところが可愛いポイントである。また、1話ごとに完結するため隙間時間に読みやすく何かと忙しい現代人におすすめな作品である。
⑧『青春シンデレラ』作:夕のぞむ
高校生時代は地味であか抜けない印象の萩野紫苑は、就職してビューティーアドバイザーとなり、人をキレイにする仕事にやりがいを感じていた。仕事柄、紫苑自身も容姿に気を遣うようになり、男性から褒められることも多くなったものの、今から10年前の高校生の時、片思いをしていた長谷川に酷い言葉でふられたことがトラウマになり、未だに恋愛ができずにいた。そんなある日、飲み会に参加した紫苑は、ふとしたきっかけで過去のトラウマがよみがえり、高校生の恋愛を引きずっている自分に嫌気が差す。すると突然、紫苑は10年前の長谷川にふられた次の日にタイムスリップしてしまう。17歳当時の容姿に戻った紫苑だったが知識はそのままで、ビューティーアドバイザーとして身につけたメイク技術を活かして、あか抜けた大人っぽい女性に変身し、2度目の高校生活を送ることになる。そんな中、紫苑は親友の美月が、自分が片思いをしていた長谷川に思いを寄せていることに気づく。自分より美月の恋が成就して欲しいと願う紫苑は、二人をくっつけるべく奔走する。しかし紫苑は、昔のように長谷川の言動に胸をときめかせてしまうのだった。
少女漫画を読んで、自分もこんな学生生活を送ってみたいと思っていた時に見つけた作品。あの時に戻れたら、あの時こうしていたら、という後悔は誰しもあると思うが、この作品はそういった経験がある人におすすめな作品だと思う。タイムスリップして振られた相手に復讐というわけでもなく、どんどん綺麗になっていく主人公を見ることが出来るので、復讐ものに飽きてしまった人にもおすすめな作品である。
⑨『ReLIFE』作:夜宵草
前職を3か月で退職し、求職中の海崎新太。元々大学受験で2浪した上、大学院に進学していたため社会人経験やキャリアが乏しく、現在27歳で就活は難航する。これからの生活に悩む海崎の前にリライフ研究所の職員を名乗る夜明了が現れる。夜明は海崎を社会復帰させるとして、『1年間の高校生活を送る秘密実験』に参加することを提案する。
1年間の生活費とその後の就職先の紹介のために、リライフ検証実験に参加することを決めた海崎は、2度目の高校生活を送り始める。大学院まで卒業したはずの海崎だが、テストを受ければ全教科赤点で追試の連続になり、体育ではボール投げでは肩が回らず、徒競走では足が釣って転倒する始末。
2度目の高校生活に悪戦苦闘する海崎だったが、秀才だがコミュ障でボッチ女子の日代千鶴、勉強は得意だが運動音痴なチャラ男の大神和臣、ぶっきらぼうで努力家の狩生玲奈、編入生で天然系の小野屋杏……といった個性的なクラスメイト達と共に翻弄されつつも高校生活を送るうちに、海崎の内面だけでなく周囲にも変化が起こっていく。
前述した『青春シンデレラ』とは違い、27歳の男性が主人公ということもあり、どちらかといえば思考が現実的になる。リアリティのある描写に惹かれるが、周りの助けによって成長し、変わっていく姿に思わず応援したくなる。
⑩『ラン』作:森絵都
家族を事故で亡くし同居していた叔母も亡くした環は自転車屋の紺野さんと飼い猫こよみが安らぎだったが紺野さんたちも去ってしまった。そんな時紺野さんから譲り受けた自転車であの世とこの世のはざまに辿り着いた環は亡き家族と叔母に出会う。しかしそこへ行くのも自転車のおかげ。自転車を元の持ち主に返さなくてはいけない環は自力で行けるように走る力を養う為にランナーズに参加する。
するすると読む手が止まらない作品であると思う。「レーン」を超えるために40kmマラソンを始める環。苦しみ、あがきながらも強く成長していく環の姿を見て応援したくなる。
様々な過去をかかえ「今」を生きる人たちとの交流も興味深く、読むのが楽しい作品である。
⑪『ルックバック』作:藤本タツキ
小学4年生の藤野は学年新聞で4コマ漫画を毎週連載し、同級生や家族から絶賛されていた。ある日、教師から京本の漫画を掲載したいため、藤野の連載している内の1枠を譲って欲しいと告げられる。
藤野は不登校児である京本を見下していたが、京本の画力は高く、掲載された京本の漫画は周囲の児童からも称賛され比べて藤野の絵は普通だと掌を返すような反応をされる。
藤野は屈辱を覚えながら絵の本格的な練習を開始し、友人・家族関係にも軋轢を生みながらも努力を重ねていく。だが、そうした研鑽の果てにも京本の画力には届かず、3年生の時から続けた連載を6年生の途中で辞めて、とうとうペンを折ることになる。
序盤はとことん天狗になっていた主人公の鼻を折ってさらに踏みつけるような描写が続き、見ているのが苦しくなってしまうほどでしたが、京本に褒められてからまた絵を描くことを再開しほっとしたのも束の間、絶交にまで至ってしまうというストーリーの展開に振り回されました。しかし、それが辛くも面白い作品でした。
⑫『ちーちゃんはちょっと足りない』作:阿部共実
成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生女子のちーちゃんとナツ。2人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、普通の日々を送っていた。そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子・藤岡から「万引きしねえ?」と声をかけられる。ナツはその場を上手くしのいだが、お金が足りずに買えなかった可愛いリボンが忘れられずにいた。後日、教室で女子バスケ部員が顧問の誕生日プレゼントを買うために、部員である藤岡から集金をしていた。その様子を目撃した旭は、「学校でお金のやり取りは危ない」と注意をしたが、部員達に煙たがられる。そして放課後、事件は起きた。
この作品は日常系のゆるっとした雰囲気を求めて手に取った作品だったが、驚かされることが多かった。表紙や最初のお話までは平和な日常系コメディのような展開が続くが、どんどん読み進めていくうちに人間の闇を描き始め、キャラクターの内面について深く切り込んでいく。そしてひとつひとつで完結する短編かと思えば、実は最後まで読むと全て繋がっていた、という驚きであふれている作品だった。
⑬『からかい上手の高木さん』作:山本崇一朗
中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディ。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片の視点から描かれている。各話を繋ぐ明確なストーリーはなく、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められている。
終始高木さんにかなわない西片と絶妙な距離感で西片をからかう高木さんの様子にほっこりさせられる。たまに放つ意味深で小悪魔な高木さんの言葉にこちらもドキッとさせられる。中学2年生という思春期真っ只中の甘酸っぱい青春が楽しめる作品だと思う。
⑭『宝石の国』第一巻 作:市川春子
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
宝石の美しさと脆さと強さを擬人化し、ドラマ化したSF作品。漫画というよりも、美術館に飾られている芸術作品に近いような特徴的な絵柄に一騎に引き込まれる。その美しさとはうって変わってとても重く苦しいストーリーに胸が痛くなる。
⑮『気になってる人が男じゃなかった』作:新井すみこ
イマドキの女子高生・あやは、一見すると派手なギャルに見えるけど、実は渋めの音楽好き。近所のCDショップに時々通って、そこで働く黒ずくめの「おにーさん」に会うのを楽しみにしていた。ミステリアスな「おにーさん」に惹かれ少しずつ近づくふたり。でも、その正体は地味で目立たないクラスメイトの女子・みつきだった――。これは、友情? それとも恋? Twitterで注目を集める女子高生の「愛情」をめぐる物語
Twitterで見かけたことがあり、気になって手に取った作品。好きなものがあってもともだちと分かり合えない苦しみともどかしさ、それがおにーさんと語り合えるようになって生き生きとするあや。あやとおにーさんを取り巻く登場人物の心理描写も良く描かれており、素敵な作品だと思う。
⑯『光が死んだ夏』作:モクモクれん
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。
「偽物でもそばにいてほしいと願うよしき」と「自分が何者なのかもわからないけれど、心の底からよしきのことが好きな偽物の光」の不安定で歪んだ友情が描かれている。この二人の心理描写が事細かに描かれており、感情移入できる作品である。また、この二人が入れ替わったことによって集落で次々と異変が起こり始めるというホラー体験もすることができ、ホラー×ヒューマンドラマという要素が詰まった作品である。
⑰『作りたい女と食べたい女』作:ゆざきさかおみ
小食&一人暮らしのため、作りたい欲をセーブしていた野本さんと、同じ階に住む春日さんに出会い、作った料理を振る舞ったことをきっかけに、二人が徐々に距離を縮めていく物語。 毎回、野本さんの料理がおいしそうなのは勿論だが、春日さんの食べっぷりが気持ちが良い。そして話が進んでいくにつれて女性ならではの悩みがちりばめられていて、女性の方は特に共感しやすい作品であると思う。
⑱『うるわしの宵の月』作:やまもり三香
滝口宵は女であるが、女子から「王子」と呼ばれ慕われている。宵自身も姫よりヒーローや王子の方がしっくりくると自覚をしていたが、それを望んでいるわけではなかった。ある日宵は市村にぶつかり、男と勘違いをされ、失礼だと思っていた。宵がコンビニで買い物中に酔っぱらいに絡まれた店員を助けていると、市村が加勢に入った。それがきっかけで市村と話し、お姫様だっこをされた宵は、はじめて女の子扱いをされて動揺するのであった。市村から「気になっている」と言われ、それ以降宵は彼のことばかり考えていた。宵の忘れ物をカレー屋まで届けに来たり、熱を出した宵に付き添いをした市村と接するうちに毒された宵は、ためしに付き合うかという彼の提案を了承する。しかし何も進展がなければ付き合う意味がないと市村に指摘された宵は考え直すも、見定めるために自分からデートに誘う。友人たちとの会話により、「本気の恋」について考えた市村も行動を起こす。
まず「王子」と呼ばれていることからもわかるように主人公の宵がとても美麗である。その綺麗な見た目に引き込まれるが、市村と関わり変わっていく宵の心も本作の見どころだ。王子っぽさも含めて自分を肯定してくれる市村が非常に魅力的なキャラクターで素直になれない宵と冷たくあしらわれてもめげずにアタックする市村の二人を応援したくなってしまう作品。
⑲『今日、駅で見た可愛い女の子。』作:さかなこうじ
可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランドが崩れにくい? あ〜〜教えてくれ〜〜〜〜! あなたが夢中になった「乙女アイテム」がたくさん登場!全人類Kawaiiが大好きコメディ!
女装男子×乙女アイテム博識おじさんの、すれ違い観察型コメディ!
かわいいものに精通しているアラフォー男性の亀山が、駅で見かけるかわいい女子高生(実は男子高生)の、持ち物や身に着けているものから一方的に思いをめぐらす考察コメディ。実際に商品化されているものが登場するので可愛いものがすきな人におすすめな作品。
⑳『恋せよまやかし天使ども』作:卯月ココ
『なんで私が撃ち抜かれてんの!!?』自分以外の誰かから求められる自分像を崩さないように、常に完璧美少女を演じてきた桂おとぎ。ついた学園での異名は、その名も’心撃の天使’。だけど、誰にも見せないヒミツにするはずだった裏の顔を、気になっていた完璧男子の一 刻(にのまえとき)に見られてしまう…。ところが、優しくて完璧だと思っていた一 刻にもヒミツにしていた裏の顔があった!!! その一面を知ってしまったおとぎは彼から「共犯」相手として気に入られてしまう。思わぬ展開に心が振り回されるおとぎは…!?どちらもギャップがたまらない! 完璧を装う男女のだまし合い(?)ラブ、始まる。
互いに普段の姿を偽りあっている美形なふたり。求められる理想像に応え、自分を偽っているも、ひょんなことから本性が刻にバレてしまい、刻の知らない一面を知ってしまうことから始まるラブコメディ。素直ではないふたりに心乱されながらも応援したくなってしまう作品。
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。それをきっかけに敦は太宰が所属する異能集団・武装探偵社が追う「人食い虎」の捜索を手伝うことになり、太宰と共に虎の出現を倉庫で待つことになる。そのとき、太宰は敦こそが虎の正体だと告げる。実は敦は無意識のうちに異能力、「月下獣」で虎に変身して徘徊しており、それゆえに孤児院を追い出されていたのだ。敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
入社試験を経て武装探偵社に入社した敦だったが、なぜか海外の異能者団体から莫大な懸賞金が敦にかけられていた。ヨコハマの港を縄張りにするポートマフィアの構成員芥川龍之介はその懸賞金目当てに敦を執拗に狙うが、部下の泉鏡花の裏切りもあって、敦に逃げられてしまう……。
自分も知っている文豪たちがキャラクター化され、代表作にちなんだ能力を持って戦うという作品。実際の文豪たちとは異なる部分も多く、違いを比較しながら観るととても面白い異能力バトル作品だと感じた。
②文豪ストレイドッグス(第2クール) 作:朝霧カフカ
今から4年前。ポートマフィア最下級構成員の織田作之助は、ポートマフィア幹部・太宰治、ポートマフィア情報員・坂口安吾とともに、バーで飲みながら、いつもの夜を過ごしていた。しかし、その日を最後に安吾が消息を絶つ。織田作は、ボス・森鴎外から直々に命令を受け、安吾捜索に乗り出す。同じ頃、海外の犯罪組織「ミミック」が入国し、その後ミミックの迎撃の命令が下される。織田作は、養っていた孤児たちを目の前で殺され、一人で敵陣へ乗り込む。しかし、それは、森の策略で、ポートマフィアが特務課と取引をし、異能開業許可証を手に入れるためだった。織田作はミミックの首領であるアンドレ・ジイドとの戦いの末、特異点を発生させるが相討ちになり、太宰に人を助ける側になれと言い残し死亡。ミミックとの抗争は幕を下ろした。
主要キャラクターの太宰治の過去に焦点を当てた第2クール。第1クールはバトル作品としての戦闘や謎解きの場面が目立っていたが、友達だった3人が別れてしまった理由、現在太宰治が武装探偵社として生きていくまでの流れが描かれていた。織田作之助、太宰治、坂口安吾の3人を巡るストーリーが予想外の連続で非常に面白かった。
③『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』作:古舘春一
高校バレーボールを題材にした古舘春一のコミックをアニメ化した「ハイキュー!!」の劇場版。コミックの中でも人気のあるエピソードの一つ「烏野高校VS音駒高校」を原作に、宮城県立烏野高校排球部と、ライバル校である音駒高校バレーボール部が公式戦でぶつかり合う。アニメシリーズにも携わってきた満仲勧が監督などを手掛け、『攻殻機動隊』シリーズなどの Production I.G がアニメーション制作を担当する。
宮城県立烏野高校排球部は、春の高校バレー宮城県代表決定戦と春の高校バレー初戦を勝ち抜き、2回戦で優勝候補の稲荷崎高校を倒す。そして東京体育館で行われる3回戦で、ライバル校である音駒高校バレーボール部と対戦。烏野高校の日向翔陽や影山飛雄らと、音駒高校の孤爪研磨や黒尾鉄朗らが公式戦での戦いに挑む。
とても素晴らしい映画だった。原作を履修してから観に行ったが、その場の空気や温度感がリアルに伝わってくる作品だと思う。演出の仕方が素晴らしく、呼吸やセリフの強調の仕方、キャラの成長を丁寧に描いており、映画を観ながら何度も泣いてしまった。自分もバレーがしたいと思わせてくれる作品だと思う。
④『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』作:水木しげる
水木しげる原作の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する鬼太郎の父と、水木という男との出会いを描いたアニメーション。行方不明になった妻を捜すため、とある村を訪れた鬼太郎の父と、密命を帯びたサラリーマンの水木が惨劇に遭遇する。ボイスキャストは関俊彦や木内秀信、古川登志夫、沢城みゆき、野沢雅子など。監督を『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』なども担当した古賀豪が務める。
廃虚となった哭倉(なぐら)村に鬼太郎と共にやってきた目玉おやじは、70年前に起きた出来事を思い出していた。昭和31年、哭倉村は政財界を裏で操る龍賀一族に支配されており、鬼太郎の父は失踪した妻を捜しに村に足を踏み入れたのだった。一方、血液銀行で龍賀製薬を担当する水木は、龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、ある密命を帯びて村を訪れるが、そこで一族の者が惨殺される事件が起こる。
原作ファンの友人に連れられて観た作品であったが、第五期を少し見ただけの自分でも引き込まれる作品でありながら、原作を履修すればするほど細かいところに込められている意味に気づくことができ、初見のひとにもコアなファンにも面白いと感じさせる良い作品だと思う。少々グロテスクな部分や近親相姦を想起させる部分があるため、ある程度人を選ぶが、それらに耐性があればストーリー性が非常に良いため、引き込まれる作品だと思う。
⑤『ガールクラッシュ』作:タヤマ碧
「舞台に上がるのは、理想のかっこいい女の子」百瀬天花(ももせ・てんか)・高校1年生。学校の成績がよくて、ビジュアル最強、ダンス部では1年生ながらセンターに立つ。天花が誰にも羨ましがられる存在=ガールクラッシュ(女子が憧れるかっこいい女子)になったきっかけは、小学生の頃。母親が不倫して、相手の男と一緒に失踪したのがクラスで噂になってしまい、ハブられていた天花は、いつも一人で行動していた。そんな折、クラスメイトの湊晴海(みなと・はるみ)くんが、声をかけてくれた。人気者の晴海は、天花の家庭環境など気にせず、フラットに付き合ってくれる。天花はいつしか、その優しさに惹かれ、次第に晴海が好きになっていく…。そこからは勉強も、部活も、すべて一生懸命やって、中学では彼女も人気者に。そしてパーフェクトに成長した天花だったが、恋にだけは奥手で、晴海に思いを伝えられずにいた。高校生になって、ダンス部として文化祭が近づいてくるなか、天花は、部活の仲間と屋上へダンスの練習へ向かう。その途中で出会ったのは、地味でパッとしない、佐藤恵梨杏(さとう・えりあん)だった。恵梨杏は、K-POPにかぶれていて、新大久保でバイトするほどだった。大好きなアイドルグループは、ブライトローズ。ブライトローズのリオナに憧れて、自分もK-POPアイドルになるために、独学で歌とダンスを練習し、韓国留学を計画していた。そのバイト先では、晴海も働いていて、仲良さそうな2人の姿を見てやきもちをやいた天花は、恵梨杏を焚き付ける。天花、恵梨杏、晴海の3人で、カラオケに行くということになり、いざ、ブライトローズの曲を歌う恵梨杏だったが……。きっかけは、恋。きっかけは、憧れ。天花と恵梨杏、2人の強い思いが、交錯する。巷で大流行するK-POP――日本の女子高生たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す!!
元々KPOPアイドルをみることが趣味であったため、KPOPを舞台としたストーリーと本物のKPOPアイドルそのもののようなスタイルを描いた絵柄に惹かれ読み始めた。最初はなんでも器用にこなし全てを手に入れ、恵梨杏を少々見下すような描写があった天花だが、話が進むにつれ、自分のしがらみや殻を破りどんどん成長していく姿に胸を打たれる。
⑥『ハニーレモンソーダ』作:村田真優
内向的な性格からいじめを受けてきた優等生の石森羽花は、街で三浦界と出会い、彼と同じ高校に進学することを選ぶ。そして、高校生活を通して、塩対応だけど実は優しい三浦界に段々心惹かれていくとともに、彼らが周囲の友人たちと成長していく姿も描かれた、青春ラブストーリー。
炭酸のように清涼感のある作品だと思う。羽花の変わりたいという思いから生まれていくストーリーが思わず応援したくなるうえに、自分もこんな生活を送ってみたいと思わせる作品だと思った。羽花は受け身な態度で誰かの助けを待つばかりではなく自分から変わろうと努力する様がかっこよくも美しいなと感じた。その成長を助ける周りの人物も非常に魅力的な人物ばかりでどんどん読み進めてしまう。
⑦『月のお気に召すまま』作:木内ラムネ
高校2年生の女子、亀井歩は、中学時代、後輩男子の滝島月にからかわれ続けていた。月が同じ高校に入学したことを知った歩は、今度こそ先輩面してやろうと決意する。騙されやすい先輩女子と、好きだからこそいじめてしまう、素直になれないイケメン後輩男子を描いたラブコメディ。集英社「別冊マーガレット」2018年12月号より連載を開始。また、連載開始前の読み切り版『月のお気に召すまま。』(「ザ・マーガレット」6月号掲載)を同時収録している。
新学期、高2女子の亀井歩が通う高校に、中学時代の後輩男子、滝島月が入学してくる。中学時代、歩は月にからかわれ続けていた。月は、世界一可愛くない後輩で、歩の悩みのタネだったのだ。何か企んでいるのかと警戒する歩に、月は素直に頭を下げる。あの頃は困らせてばっかりだったけど、また仲良くしてほしいというのだ。高校でこそは先輩面してやる。そう意気込んだ歩は、わからないことがあれば教えてあげると答えた。すると月は、どうしたらモテるか、と歩に尋ねる。歩は、彼氏いない歴=年齢の非モテ女子。一瞬焦るが気を取り直してモテ女子のフリをする。そんなわけでモテテクを練習することになった二人だが、月に「壁ドン」なんかされたら、歩は赤面してしまい、男子に免疫がないことがバレてしまう。困った果てに、とっさに歩の口から出たモテテクは「顔ドン」だった。すると、こうですかと言いながら、月は歩の頭を引き寄せ、自分の頭を軽くぶつけた。思わぬ攻撃に胸キュンしてしまい赤面する歩。正面からですかと追い打ちをかけてくる月に、あたふたしていると、不意に月が笑い出した。彼は歩をからかっていたのだ。中学時代から月は全く変わっていなかったのだ。こうして歩の悩ましい高校生活が始まることになった。
お笑い要素やキュンとなるシーンがいい塩梅で盛り込まれており、読んでいて楽しい作品であると感じた。月が歩を振り回してるように見せかけて、実は天然ヒロインに振り回されてるところが可愛いポイントである。また、1話ごとに完結するため隙間時間に読みやすく何かと忙しい現代人におすすめな作品である。
⑧『青春シンデレラ』作:夕のぞむ
高校生時代は地味であか抜けない印象の萩野紫苑は、就職してビューティーアドバイザーとなり、人をキレイにする仕事にやりがいを感じていた。仕事柄、紫苑自身も容姿に気を遣うようになり、男性から褒められることも多くなったものの、今から10年前の高校生の時、片思いをしていた長谷川に酷い言葉でふられたことがトラウマになり、未だに恋愛ができずにいた。そんなある日、飲み会に参加した紫苑は、ふとしたきっかけで過去のトラウマがよみがえり、高校生の恋愛を引きずっている自分に嫌気が差す。すると突然、紫苑は10年前の長谷川にふられた次の日にタイムスリップしてしまう。17歳当時の容姿に戻った紫苑だったが知識はそのままで、ビューティーアドバイザーとして身につけたメイク技術を活かして、あか抜けた大人っぽい女性に変身し、2度目の高校生活を送ることになる。そんな中、紫苑は親友の美月が、自分が片思いをしていた長谷川に思いを寄せていることに気づく。自分より美月の恋が成就して欲しいと願う紫苑は、二人をくっつけるべく奔走する。しかし紫苑は、昔のように長谷川の言動に胸をときめかせてしまうのだった。
少女漫画を読んで、自分もこんな学生生活を送ってみたいと思っていた時に見つけた作品。あの時に戻れたら、あの時こうしていたら、という後悔は誰しもあると思うが、この作品はそういった経験がある人におすすめな作品だと思う。タイムスリップして振られた相手に復讐というわけでもなく、どんどん綺麗になっていく主人公を見ることが出来るので、復讐ものに飽きてしまった人にもおすすめな作品である。
⑨『ReLIFE』作:夜宵草
前職を3か月で退職し、求職中の海崎新太。元々大学受験で2浪した上、大学院に進学していたため社会人経験やキャリアが乏しく、現在27歳で就活は難航する。これからの生活に悩む海崎の前にリライフ研究所の職員を名乗る夜明了が現れる。夜明は海崎を社会復帰させるとして、『1年間の高校生活を送る秘密実験』に参加することを提案する。
1年間の生活費とその後の就職先の紹介のために、リライフ検証実験に参加することを決めた海崎は、2度目の高校生活を送り始める。大学院まで卒業したはずの海崎だが、テストを受ければ全教科赤点で追試の連続になり、体育ではボール投げでは肩が回らず、徒競走では足が釣って転倒する始末。
2度目の高校生活に悪戦苦闘する海崎だったが、秀才だがコミュ障でボッチ女子の日代千鶴、勉強は得意だが運動音痴なチャラ男の大神和臣、ぶっきらぼうで努力家の狩生玲奈、編入生で天然系の小野屋杏……といった個性的なクラスメイト達と共に翻弄されつつも高校生活を送るうちに、海崎の内面だけでなく周囲にも変化が起こっていく。
前述した『青春シンデレラ』とは違い、27歳の男性が主人公ということもあり、どちらかといえば思考が現実的になる。リアリティのある描写に惹かれるが、周りの助けによって成長し、変わっていく姿に思わず応援したくなる。
⑩『ラン』作:森絵都
家族を事故で亡くし同居していた叔母も亡くした環は自転車屋の紺野さんと飼い猫こよみが安らぎだったが紺野さんたちも去ってしまった。そんな時紺野さんから譲り受けた自転車であの世とこの世のはざまに辿り着いた環は亡き家族と叔母に出会う。しかしそこへ行くのも自転車のおかげ。自転車を元の持ち主に返さなくてはいけない環は自力で行けるように走る力を養う為にランナーズに参加する。
するすると読む手が止まらない作品であると思う。「レーン」を超えるために40kmマラソンを始める環。苦しみ、あがきながらも強く成長していく環の姿を見て応援したくなる。
様々な過去をかかえ「今」を生きる人たちとの交流も興味深く、読むのが楽しい作品である。
⑪『ルックバック』作:藤本タツキ
小学4年生の藤野は学年新聞で4コマ漫画を毎週連載し、同級生や家族から絶賛されていた。ある日、教師から京本の漫画を掲載したいため、藤野の連載している内の1枠を譲って欲しいと告げられる。
藤野は不登校児である京本を見下していたが、京本の画力は高く、掲載された京本の漫画は周囲の児童からも称賛され比べて藤野の絵は普通だと掌を返すような反応をされる。
藤野は屈辱を覚えながら絵の本格的な練習を開始し、友人・家族関係にも軋轢を生みながらも努力を重ねていく。だが、そうした研鑽の果てにも京本の画力には届かず、3年生の時から続けた連載を6年生の途中で辞めて、とうとうペンを折ることになる。
序盤はとことん天狗になっていた主人公の鼻を折ってさらに踏みつけるような描写が続き、見ているのが苦しくなってしまうほどでしたが、京本に褒められてからまた絵を描くことを再開しほっとしたのも束の間、絶交にまで至ってしまうというストーリーの展開に振り回されました。しかし、それが辛くも面白い作品でした。
⑫『ちーちゃんはちょっと足りない』作:阿部共実
成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生女子のちーちゃんとナツ。2人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、普通の日々を送っていた。そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子・藤岡から「万引きしねえ?」と声をかけられる。ナツはその場を上手くしのいだが、お金が足りずに買えなかった可愛いリボンが忘れられずにいた。後日、教室で女子バスケ部員が顧問の誕生日プレゼントを買うために、部員である藤岡から集金をしていた。その様子を目撃した旭は、「学校でお金のやり取りは危ない」と注意をしたが、部員達に煙たがられる。そして放課後、事件は起きた。
この作品は日常系のゆるっとした雰囲気を求めて手に取った作品だったが、驚かされることが多かった。表紙や最初のお話までは平和な日常系コメディのような展開が続くが、どんどん読み進めていくうちに人間の闇を描き始め、キャラクターの内面について深く切り込んでいく。そしてひとつひとつで完結する短編かと思えば、実は最後まで読むと全て繋がっていた、という驚きであふれている作品だった。
⑬『からかい上手の高木さん』作:山本崇一朗
中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディ。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片の視点から描かれている。各話を繋ぐ明確なストーリーはなく、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められている。
終始高木さんにかなわない西片と絶妙な距離感で西片をからかう高木さんの様子にほっこりさせられる。たまに放つ意味深で小悪魔な高木さんの言葉にこちらもドキッとさせられる。中学2年生という思春期真っ只中の甘酸っぱい青春が楽しめる作品だと思う。
⑭『宝石の国』第一巻 作:市川春子
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
宝石の美しさと脆さと強さを擬人化し、ドラマ化したSF作品。漫画というよりも、美術館に飾られている芸術作品に近いような特徴的な絵柄に一騎に引き込まれる。その美しさとはうって変わってとても重く苦しいストーリーに胸が痛くなる。
⑮『気になってる人が男じゃなかった』作:新井すみこ
イマドキの女子高生・あやは、一見すると派手なギャルに見えるけど、実は渋めの音楽好き。近所のCDショップに時々通って、そこで働く黒ずくめの「おにーさん」に会うのを楽しみにしていた。ミステリアスな「おにーさん」に惹かれ少しずつ近づくふたり。でも、その正体は地味で目立たないクラスメイトの女子・みつきだった――。これは、友情? それとも恋? Twitterで注目を集める女子高生の「愛情」をめぐる物語
Twitterで見かけたことがあり、気になって手に取った作品。好きなものがあってもともだちと分かり合えない苦しみともどかしさ、それがおにーさんと語り合えるようになって生き生きとするあや。あやとおにーさんを取り巻く登場人物の心理描写も良く描かれており、素敵な作品だと思う。
⑯『光が死んだ夏』作:モクモクれん
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。
「偽物でもそばにいてほしいと願うよしき」と「自分が何者なのかもわからないけれど、心の底からよしきのことが好きな偽物の光」の不安定で歪んだ友情が描かれている。この二人の心理描写が事細かに描かれており、感情移入できる作品である。また、この二人が入れ替わったことによって集落で次々と異変が起こり始めるというホラー体験もすることができ、ホラー×ヒューマンドラマという要素が詰まった作品である。
⑰『作りたい女と食べたい女』作:ゆざきさかおみ
小食&一人暮らしのため、作りたい欲をセーブしていた野本さんと、同じ階に住む春日さんに出会い、作った料理を振る舞ったことをきっかけに、二人が徐々に距離を縮めていく物語。 毎回、野本さんの料理がおいしそうなのは勿論だが、春日さんの食べっぷりが気持ちが良い。そして話が進んでいくにつれて女性ならではの悩みがちりばめられていて、女性の方は特に共感しやすい作品であると思う。
⑱『うるわしの宵の月』作:やまもり三香
滝口宵は女であるが、女子から「王子」と呼ばれ慕われている。宵自身も姫よりヒーローや王子の方がしっくりくると自覚をしていたが、それを望んでいるわけではなかった。ある日宵は市村にぶつかり、男と勘違いをされ、失礼だと思っていた。宵がコンビニで買い物中に酔っぱらいに絡まれた店員を助けていると、市村が加勢に入った。それがきっかけで市村と話し、お姫様だっこをされた宵は、はじめて女の子扱いをされて動揺するのであった。市村から「気になっている」と言われ、それ以降宵は彼のことばかり考えていた。宵の忘れ物をカレー屋まで届けに来たり、熱を出した宵に付き添いをした市村と接するうちに毒された宵は、ためしに付き合うかという彼の提案を了承する。しかし何も進展がなければ付き合う意味がないと市村に指摘された宵は考え直すも、見定めるために自分からデートに誘う。友人たちとの会話により、「本気の恋」について考えた市村も行動を起こす。
まず「王子」と呼ばれていることからもわかるように主人公の宵がとても美麗である。その綺麗な見た目に引き込まれるが、市村と関わり変わっていく宵の心も本作の見どころだ。王子っぽさも含めて自分を肯定してくれる市村が非常に魅力的なキャラクターで素直になれない宵と冷たくあしらわれてもめげずにアタックする市村の二人を応援したくなってしまう作品。
⑲『今日、駅で見た可愛い女の子。』作:さかなこうじ
可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランドが崩れにくい? あ〜〜教えてくれ〜〜〜〜! あなたが夢中になった「乙女アイテム」がたくさん登場!全人類Kawaiiが大好きコメディ!
女装男子×乙女アイテム博識おじさんの、すれ違い観察型コメディ!
かわいいものに精通しているアラフォー男性の亀山が、駅で見かけるかわいい女子高生(実は男子高生)の、持ち物や身に着けているものから一方的に思いをめぐらす考察コメディ。実際に商品化されているものが登場するので可愛いものがすきな人におすすめな作品。
⑳『恋せよまやかし天使ども』作:卯月ココ
『なんで私が撃ち抜かれてんの!!?』自分以外の誰かから求められる自分像を崩さないように、常に完璧美少女を演じてきた桂おとぎ。ついた学園での異名は、その名も’心撃の天使’。だけど、誰にも見せないヒミツにするはずだった裏の顔を、気になっていた完璧男子の一 刻(にのまえとき)に見られてしまう…。ところが、優しくて完璧だと思っていた一 刻にもヒミツにしていた裏の顔があった!!! その一面を知ってしまったおとぎは彼から「共犯」相手として気に入られてしまう。思わぬ展開に心が振り回されるおとぎは…!?どちらもギャップがたまらない! 完璧を装う男女のだまし合い(?)ラブ、始まる。
互いに普段の姿を偽りあっている美形なふたり。求められる理想像に応え、自分を偽っているも、ひょんなことから本性が刻にバレてしまい、刻の知らない一面を知ってしまうことから始まるラブコメディ。素直ではないふたりに心乱されながらも応援したくなってしまう作品。