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3年 橋原芽伊
RES
3年 橋原
春休み課題1~20
1.『カラオケ行こ!』(映画)
原作:和山やま 監督:山下敦弘
〈あらすじ〉合唱部部長の岡聡実はやくざの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児は組のカラオケ大会で最下位になったものを待ち受ける恐怖を回避するため、何が何でも上達しなければならないという。聡実は狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしか二人の関係には変化が訪れていく。
原作の漫画はギャグ寄りであり心の中でツッコミを入れたりするのだが、映画では心の声などのモノローグがないため、シリアス寄りに見える。また原作には聡実の狂児の歌声を表した「終始裏声が気持ち悪い。けどセンスは悪くはない。」というセリフがあるが、そのセリフの通りの歌声であり、他組員の歌声など全体的に歌の再現度が高いと考える。最後の聡実の歌声を原作では音として聞くことができず、ずっと実際に聞いてみたいと考えていたが、それを映画で聞くことができ感動した。しかし個人的に好きな場面が映画にはなく残念だった。
2.『MONSTER』(アニメ)
原作:浦沢直樹 監督:小島正幸
1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に勤め、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。そんなある日、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてきたことから、テンマの人生は一変することになる。そして1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れ、テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白する。殺人鬼を蘇らせてしまったとテンマは自らに責任を感じ、怪物ヨハンを自分が射殺しようと、殺人犯の濡れ衣を着せられドイツ国内を逃亡しながらもテンマはヨハンを追跡する。
この物語の黒幕であるヨハンが成長してからテンマの前に現れた後、成長後の姿が完全に登場し初めて顔が分かるのは23話であり、始まってからかなり後である。通常であればすぐ登場すると思うが、この作品ではすぐに登場しないことが、ヨハンがずっと裏で全てを操っているということを表すようで、よりヨハンの天才的な頭の良さと、ヨハンの恐ろしさが伝わってくる演出だと考える。人を殺すことを幼少期から何も躊躇わない少年と、医者という仕事の中で日々忖度される人の命に触れ、人の命とは平等ではないのかと自問自答し、やはり平等であるべきだと思い至った後で、助けた子供は怪物だったと知る絶望するような医者のストーリーが衝撃であり、そして視聴者も命の価値観についてもう一度考えさせられる話だと感じた。
3.『天官賜福3』(小説)
原作:墨香銅臭
仙楽国の太子・謝憐(シエ リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。それから八百年後、三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、今や謝憐の信徒は残っておらず、他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐は、ある日、三郎(サン ラン)と名乗る美しい少年に出会う。行くあてがないと言われ共に過ごすようになり、慕ってくれる彼と仲を深める謝憐。だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎には秘密があるようで――?
前巻の話から読者は辛くなっていたところをかなりの急展開が襲い、辛いだけではなく、思わず笑顔になってしまうような展開が起きたことで、謝憐の辛く重い過去が紐解かれていく中に読者に辛さだけを与えない演出があり、読者は常に先生の掌の上で転がされていると感じた。謝憐や読者は沈んでいても、それでも変わることはない、思わず溢れてしまう、深い花城の愛に胸が熱くなると考える。
4.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(漫画)
原作:謙虚なサークル 作画:石沢康介
血筋と才能に恵まれなかったとある魔術師は、貴族との決闘に負け無残な最期を迎えるも、死の間際も「もっと魔術を学びたかった」と考えていた。目を覚ますと、男はサルーム王国の第七王子・ロイドに転生していた。前世とは真逆の、恵まれた環境で前世の知識と記憶を武器に自由気ままに魔術を学び、習得していく。周囲からの評価は気にもせず、ロイドは魔術を極める無双ライフをエンジョイする。
主人公が前世から魔術にしか興味がなく、王位も名誉も更には自分を殺した相手のことや自分の命でさえも魔術を極めること以外には何も興味が無いという人物像が、行き過ぎる好意の狂気じみた感じを演出していると考える。物語が進むにつれ、ロイドの人柄が知られていき、ロイドの強さと狂気が徐々にあらわになっていく展開と、前世から現兄である第二王子や第一王子と関わりがあったという展開が熱いと感じた。またカラー作画が非常にクオリティが高く、このクオリティをアニメで再現できるのかと心配されていたが、アニメでもかなり再現されていて、音や演技も素晴らしくアニメにはアニメの良さがあると感じた。
5.『MONSTERS一百三情飛龍侍極』(アニメ)
原作:尾田栄一郎 監督:朴性厚
主人公の侍・リューマは放浪の末、ある町に辿り着き野垂れ死に寸前なところをとある食事処のウェイトレス・フレアに助けられた。時を同じくしてその町では、一級剣士と名高い男・シラノも現れた。嘗てシラノに命を救われたフレアはその再会に喜ぶが、丁度その頃、リューマは通りすがりの剣客・ディーアールに言いがかりをつけられ、ドラゴンを呼び寄せた濡れ衣を着せられてしまう。町1つを簡単に滅ぼす程の力を持ったドラゴンの襲来に人々は恐れ慄き、寄って集ってリューマを非難するが、シラノはそんな中で自分がドラゴンから町を守ると宣言する。その場に居た誰もが彼の雄姿を称え、その気持ちを信じたが、唯一人、リューマだけはそんなシラノに欺瞞の目を向けていた。
ボイスコミック版の主人公の声優はそのままで、アニメーションならではの動きのある作画と迫力がよりリューマの強さを引きたてていると考える。優しく偉大な人物だと思っていた人が悪役だったり、真実が分かるような展開が『ONEPIECE』の空島やアラバスタに似ているようで、そういった展開を面白く爽快に描き出すことがさすが尾田先生だと感じた。最後、主人公リューマと関わりがある『ONEPIECE』のゾロに繋がる演出が、漫画では『ONEPIECE』を描く前故に無いので、非常に熱い演出だと感じた。また当たり前ではあるのだが、リューマの刀が「秋水」であることに感動した。
6.『Doctor-X ~外科医・大門未知子 season1~7』(ドラマ)
企画:古賀誠一
特定の病院に属さないフリーラスの天才外科医大門未知子の病院や医局での活躍を描く医療ドラマ。主人公と周りの登場人物は同じだが、シリーズごとに舞台となる病院が変わり、移動先の病院での権力闘争に明け暮れる医局の医師たちや訳あり患者と大門の交流をコメディとシリアスを織りまぜた展開で描く。
主人公の大門未知子は病院側や病院長などの偉い方々からは嫌な存在として描かれているが、大門未知子は天才外科医であり、オペがしたいだけの人物なので、厄介払いせずに上手く利用すればいいのにという考えに視聴者は至ると考える。それを第三期では実際に行われるのだが、最終的に利用することも上手くいかずに終わることで、圧倒的な力や大門未知子の純粋な気持ちの前では人の策略も、他人が上手く操ることも出来ないのだと考えさせられる。そして一番上手く扱えるのはそんな大門未知子のことを一番に全て理解している神原晶であるのだと感じた。また、大学病院の権力闘争や出世に囚われた医師たちを描く中で、患者のことを一番に考え、命の重みを理解しているのは大門未知子である構図と、それに触発されて少しずつ考え直していく医師たちを描く演出がとても面白い。
7.『アンナチュナル』(ドラマ)
脚本:野木亜紀子
設立して2年弱の不自然死究明研究所=通称UDIラボに勤める法医解剖医の三澄ミコトが、訳ありベテラン法医解剖医の中堂系、東海林夕子、久部六郎、神倉保夫と協力し合いつつ、毎回様々な死を扱いながら、その裏側にある謎や事件、真実を解明していく。
主人公三澄ミコトには重い過去があるが、その家族や過去の件についてはあまり触れられず話が展開していく。通常の物語では主人公の事件を深堀していくと思うが、このドラマでは三澄ミコトの事件や過去は真犯人がいる訳でもなく、もう完結しているものであり、それに伴い今の三澄ミコトという人物ができていることを強く表していると感じた。そして主人公ではなく、中堂系の方に深堀し事件を解決することが、他作品と比べて珍しく、中堂系もこの物語において重要な人物であることが分かる。
8.『グリム組曲』(アニメ)
脚本:横手美智子
国中から収集したメルヘンを編纂しているヤコブとヴィルヘルム兄弟と、妹のシャルロッテ。兄弟が集めたメルヘンに対して、シャルロッテは疑問を投げかける。本当にシンデレラはいじめられていたのか。もしも狼が沢山いて、赤ずきんが普通の少女ではなかったなら。グレーテルは、実はヘンゼルのイマジナリーフレンドだったのではないか。小人の力を借りることが、必ずしも幸せに繋がるとは限らないのではないか。敵を倒すために一致団結した動物たちは、敵を打倒した後も仲良く暮らせるのか。笛吹き男に連れ去られた子どもたちは、その後どうなったのか。シャルロッテは頭の中で、それぞれの物語を兄たちとは違った角度から解釈する。
グリム童話を別角度で描いた物語が、視聴者に新たな気づきや視点を与え、凝り固まった視野を広げてくれると考える。第1話のシンデレラでは、シンデレラが被害者ではなく全て裏で操っていたらを描き、そんなシンデレラが『烏に単は似合わない』のあせびに似ていると感じた。
9.『金の国水の国』(映画)
原作:岩本ナオ 監督:渡邉こと乃
王女サーラの住む金の国と建築士ナランバヤルの住む水の国は100年間断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国の思惑に巻きこまれ偽りの夫婦を演じることになる。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、 真実を言い出せない不器用な2人のやさしい嘘は、国の未来を変えられるのか。
サーラとナランバヤルが最初に出会うシーンで、ナランバヤルがサーラに好意を抱き、惚れるシーンのナランバヤルの表情や演出がサーラに惚れたことが分かりやすく、視聴者もキュンとくるような心に響く演出だと考える。2つの国は国として王として思惑を持ち動くけれど、王個人や姉王女、左大臣の思っていることが徐々に分かり、誰も憎めないと感じる。
10.『ぶっちぎり?!』(アニメ)
監督:内海紘子
高校生の灯荒仁は、初彼女ゲットを夢見ていた。しかし、転校した先は不良だらけの威血頭高校であった。そこで彼は、学園一の美少女・神まほろに一目惚れ。そして運悪く、幼いころに本気人(ほんきびと)を目指そうと約束を交わしたかつての親友・浅観音真宝と再会した末に、不良同士の抗争に巻き込まれてしまう。そんな中で荒仁は、逃げ込んだ神社で本気人(マジン)の封印を解き、千夜という本気人に見込まれ、荒仁の額の横に付けられた飾りに宿りともに行動するように。それにより、迫る不良に対し荒仁の願望に呼応することで強大な力を発揮して撃退できるようになったが、荒仁の意思とは裏腹に不良に好かれる羽目に見舞われていく。
アニメ『SK∞』のタッグであり、以前から注目していたのだが、不良と千夜一夜物語という内海紘子の特有なストーリーと惹かれるキャラクターデザインや世界観が、この作品に合っていると考える。荒仁と真宝、千夜と一夜などの友情や幼馴染の関係を描くことが『SK∞』同様、非常に面白いと感じる。
11.『正体』(ドラマ)
原作:染井為人 監督:中田秀夫/谷口正晃
脱獄した死刑囚である、鏑木慶一は逃走を続けながら、潜伏先で出会った人々を窮地から救ってゆく。やがて彼に助けられた人々は、彼が本当に残忍な殺人犯なのか疑問を抱き始める。
殺人犯として扱われているにも関わらず、最初から困っている人を最終的に助けてしまうようなお人好しとして主人公を描き、視聴者にも本当に主人公は殺人犯なのかと疑問を抱かせ、鏑木と出会った人物たちと共に後半になるにつれ、鏑木慶一という人物や事件の真相や犯人を暴いていく構成が物語を目を離せないものにしていると考える。その場にいたことや証拠があることで犯人ではない人を犯人にしてしまう検察や警察側が、本当にあったならとても恐ろしく、物語終盤の裁判官が主人公に謝罪するシーンが、主人公のこれまでの辛さを思い出させとても胸に来るものがあると感じた。また原作の小説では結末が違うらしく、原作はどうなるのか気になり、原作も読んでみたいと感じた。
12.『大奥』(漫画)
作者:よしながふみ
徳川三代将軍家光の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥である。その起こりから終焉までを、八代将軍吉宗の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録』の内容としてほぼ時系列順に描く。
男女逆転した江戸時代という世界観が非常に面白く、もし男女の立場が逆転していたらこうなっていたのかと考えさせられ、歴史の内容も男女が違うだけで史実に基づいているので分かりやすく勉強にもなると感じた。作品終盤の14代将軍・徳川家茂の妻である和宮が西郷隆盛の発言に激怒し、これまでの江戸の将軍統治の歴史は、代々の将軍や臣下達、女と男の一人一人の人生と努力の上にあるものであり、それを無かったことにするなと言う叫びが非常に感動し、現実の江戸の歴史も一人一人の人生の上に積み重なったものであり、今があるのだと強く考えさせられる作品である。
13.『魔女と野獣』(アニメ)
原作:佐竹幸典 監督:浜名孝行
はじまりは17人の「起源の魔女」。全ての力をその身に受け継いだものが、現代も世界各地に存在する。魔女の呪いによって少女の姿に変えられたギドと魔術師アシャフが世界各地を訪ね歩きながら、ギドに呪いをかけた魔女を追うダーク・ファンタジー。
原作の漫画で描かれる世界やキャラクター達はとても美しいが、アニメでも美しく、ギドの可愛さや綺麗さもそのままに描かれていると感じた。そして声があることでアシャフのかっこよさがより高まっている。またギドとアシャフはビジネスパートナーというようなお互いの目的のためだけの関係だが、本当はお互いに少し信頼していたりというような関係性が面白いと考える。
14.『ギヴン 柊mix』(映画)
原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。さらに柊は、立夏にやってみたいことがあると持ちかける。
ずっと聞きたかった柊の歌声と「syh」の曲を実際に耳で聞き、立夏が言っていたように柊のトラックメイカーとしての才能や評価されている「syh」の曲を体感することができ、非常に感動した。またそれを体感できるような作品通りの曲と歌声の完成度が高いと考える。この物語を通して改めて由紀の罪深さと、玄純の柊への思いの深さなどを実感し、柊と玄純が主役の物語として非常に面白く描かれていると考える。そして最後は次の真冬の話をより気になる形にさせる終わり方だと感じた。
15.『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~』(アニメ)
原作:未来人A 監督:加戸誉夫
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴族の子として生きることになった。アルスには特別な知力や武力は無いが、生まれながらにして他人の能力・ステータスを見抜く「鑑定スキル」を手にしていた。そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の領地へと変貌させていく。心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記。
設定はよくある異世界転生ものであるが、アニメでも漫画でもずっと一定に面白く、中緩みすることもなく展開が広がっていく度に面白くなっていくことがこの作品の凄い点だと考える。そして主人公の力が「鑑定スキル」であり、その力で強くなっていくストーリーが、結局最強なのは人の力であり、力を合わせることが強さなのだと感じた。
16.『陰陽師0』(映画)
原作:夢枕獏 監督:佐藤嗣麻子
平安時代、呪いや祟りから都を守る陰陽師の省庁であると共に彼らを育成する学校でもある「陰陽寮」が政治の中心にあった。若き日の安倍晴明は、呪術の天才と呼ばれる存在でありながら、陰陽師になる意欲や興味がない変わり者として知られていた。ある日晴明は、貴族の源博雅から怪現象の解決を依頼されたことをきっかけに、平安京を脅かす巨大な陰謀と呪いに挑むことになる。夢枕獏の小説シリーズ『陰陽師』を原作とし、夢枕獏全面協力の元、晴明が陰陽師となる前の青年時代を完全オリジナルストーリーとして描く。
『陰陽師』と言えば野村萬斎のイメージが強かったが、若き日の青年時代の安倍晴明として今作で山﨑賢人が演じた安倍晴明では、まだ精神的にも身体的にも若いという感じがよく出ていると感じた。アクションシーンやCGの演出も迫力があり、終盤は全て意識の中の話だったとしても、現実で起こっているかのようで面白いと考える。また最後に分かる、彼だけは本物だった、本物の呪術師だったということが熱い展開である。
17.『忍びの家 House of Ninjas』(ドラマ)
監督:デイブ・ボイル/瀧本智行/村尾嘉昭
現代の日本で「忍びの家」に住む忍びの一家、俵家。6年前、長男が任務中に死亡したことをきっかけに、俵家は忍者の規律を放棄し、普通の家族になろうとしていた。しかし、新たな危機が訪れようとする時、家族は再び過去の影へと引きずり戻されるのであった。
現代まで続く忍びの一家という設定や、アクションシーンのクオリティの高さ、長男の死をきっかけにバラバラになった家族と、それでも忍びという性から抜け出せない家族、そしてまた任務を通して家族と自分たちの関係性を再確認していく展開が面白い作品であると感じた。また忍者のアクションがメインかと思いきや、実は忍者一家のホームドラマがメインであり、死や家族に関しての想いは薄いように見えて皆強い想いがあることは、死と隣り合わせの任務に身を投じる者たちだからこそ、命の重さも理解し、家族への強い想いを持っているのだと考える。
18.『千秋 1』(小説)
原作:梦溪石
天下一の道門玄都山の掌教・沈嶠(シェンチアオ)は、昆邪(クン・イエ)との戦いで崖から落ちて瀕死の重傷を負ってしまう。そこへ救いの手を差しのべたのは、たまたま通りかかった魔教・浣月宗の宗主である晏無師(イエンウースー)だった。彼は沈嶠が記憶をなくして視力もほぼ失っているのをいいことに沈嶠を浣月宗に引き入れようとする。しかし、沈嶠はこれを拒み、自身の過去を確かめるべく旅に出ることに。長年、山にこもり世間を知らなかった沈嶠が善悪を知っていくなかで、なぜか晏無師が彼の前に度々現れて──。
主人公の沈嶠は、負った傷の影響が大きく病弱で儚い印象だが、実は天下で上位に名を連ねる武術の強さをもち、その上見た目はとても美しく、心も純粋で美しいという人物であることが、この作品の魅力だと考える。主人公には容赦なく様々な試練が襲いかかり、世の中の善悪を知っていくことになっていく展開は彼がどうなっていくのか興味を抱かせる展開である。そしてそんな展開が襲っても、主人公を追いかけ回す晏無師がどんなに主人公を悪く黒く染めようとしても、抗い続け綺麗な純白のままの主人公が魅力的であり、二人の関係性が変化していく様子も面白いと感じた。
19.『A3! 第13幕』(ゲーム)
シナリオ:トム 開発:リベル・エンタテインメント プロデューサー:沖田多久磨
東京の郊外・天鵞絨(びろうど)町には小劇場が立ち並ぶ一角があり、そこは「ビロードウェイ」と呼ばれている。ビロードウェイに専用劇場を構える劇団「MANKAIカンパニー」はかつて人気を博していたものの、今では1000万円もの借金を抱えている上に劇団員は1人しかおらず、劇団存続の瀬戸際に立たされていた。創設者立花幸夫の娘である立花いづみは、父の行方を捜す中でMANKAIカンパニーを訪れた際、主宰兼総監督として劇団の再建を任される。そして第四部第13幕では、新生フルール賞の概要が発表され、MANKAIカンパニーもその新たな仕組みに翻弄されることになる。そんな中、春組第十一回公演が回ってきて、新生春組旗揚げ公演の続編である『ロミオとジュリアス~Rosso e Blu~』を上演することになるのだが――。
メインストーリー第四部第13幕がやると発表になってから、「巣立つ」や「未来へ」「新時代」などという劇団員の別れや退団を思わせる単語が出てきていて心配していたが、春組の劇団員達それぞれの新しい道や考え、演劇とMANKAIカンパニーのためを思っての行動のことを指していて安心した。春組第十一回公演では、皆初めは演劇初心者だったとは思えないほど旗揚げ公演より遥かに演技が成長しており、特に主役の咲也の演技がとても上手く、旗揚げ公演の続編ということもあり今までのストーリーを思い出し、非常に感慨深いものがあった。また衣装が旗揚げ公演と比べて明らかに豪華になっており、昔と比べて幸の技術力が上がり、資金面が余裕になったのか、また莇のヘアメイクも追加されたということを演出していると考えられる。そのことからも次の夏組や秋組、冬組の公演もとても楽しみに感じさせる。そして、新生フルール賞というタイミングでの旗揚げ公演の時にはいなかったルーキーズを足しての続編という展開が熱く、新生フルール賞に対して本気で向かっている、物語が動いていると考えさせられる展開であると感じた。
20.『グッド・ナイト・ワールド』(アニメ)
原作:岡部閏 監督:菊池カツヤ
ネットゲーム「プラネット」において最強と呼ばれる4人組がいた。4人組の名前は“赤羽一家”。彼らはネットゲーム上の疑似家族である。しかし互いには知らないが、彼らの正体は現実世界で崩壊した本物の家族だった。引きこもりの長男、優等生の次男、我が子から尊敬されない父親、家庭を顧みない母親。彼らは家族のぬくもりを知らない。ネットゲーム上の家族が仮初めのぬくもりである事も知らない。そして互いが本当の家族である事も知らない。赤羽一家を中心としてネットゲーム『プラネット』の中で繰り広げられる、モンスターとのバトル、ギルド同士の戦い、そして最終標的“黒い鳥”をめぐる権謀術数。物語は現実世界を、そして現実の家族を巻き込んで大きく動き出す―― 。
ネットゲームでの擬似家族が、崩壊した現実の家族であり、互いに正体は知らないという設定が、現実では嫌いだけどゲームでは好きな人物であり、互いに真実を知ったあとも嫌いなのに今までゲームで見せてたものは何だったのかと気持ちが揺さぶられ、少しづつ終わりきった家族関係にも変化が生まれていくという展開に繋がり、面白いと感じた。ゲームと現実を交互に見ることで、家族関係の歪さや家族に何があって決定的な崩壊が起きたのかなど視聴者はよくよく知ることになり、そして実際は兄弟を思う気持ちがかなり強かったり、崩壊していても確かにそこには家族への愛があったのだと気づき感動する。また絵柄や演出が少し狂気じみていて、作者の『世界鬼』やそういったリアルで暗い作品が好きな人に刺さる作品だと考える。
春休み課題1~20
1.『カラオケ行こ!』(映画)
原作:和山やま 監督:山下敦弘
〈あらすじ〉合唱部部長の岡聡実はやくざの成田狂児に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児は組のカラオケ大会で最下位になったものを待ち受ける恐怖を回避するため、何が何でも上達しなければならないという。聡実は狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしか二人の関係には変化が訪れていく。
原作の漫画はギャグ寄りであり心の中でツッコミを入れたりするのだが、映画では心の声などのモノローグがないため、シリアス寄りに見える。また原作には聡実の狂児の歌声を表した「終始裏声が気持ち悪い。けどセンスは悪くはない。」というセリフがあるが、そのセリフの通りの歌声であり、他組員の歌声など全体的に歌の再現度が高いと考える。最後の聡実の歌声を原作では音として聞くことができず、ずっと実際に聞いてみたいと考えていたが、それを映画で聞くことができ感動した。しかし個人的に好きな場面が映画にはなく残念だった。
2.『MONSTER』(アニメ)
原作:浦沢直樹 監督:小島正幸
1986年、天才的な技術を持つ日本人脳外科医・Dr.テンマは、西ドイツ(当時)・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に勤め、ハイネマン院長の娘エヴァと婚約し、ゆくゆくは外科部長から院長という出世コースを掴みかけていた。そんなある日、頭部を銃で撃たれた重傷の少年ヨハンが搬送されてきたことから、テンマの人生は一変することになる。そして1995年、外科部長となり職務に励んでいたテンマの前に、美しい青年に成長したヨハンが現れ、テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺し、過去の殺人を告白する。殺人鬼を蘇らせてしまったとテンマは自らに責任を感じ、怪物ヨハンを自分が射殺しようと、殺人犯の濡れ衣を着せられドイツ国内を逃亡しながらもテンマはヨハンを追跡する。
この物語の黒幕であるヨハンが成長してからテンマの前に現れた後、成長後の姿が完全に登場し初めて顔が分かるのは23話であり、始まってからかなり後である。通常であればすぐ登場すると思うが、この作品ではすぐに登場しないことが、ヨハンがずっと裏で全てを操っているということを表すようで、よりヨハンの天才的な頭の良さと、ヨハンの恐ろしさが伝わってくる演出だと考える。人を殺すことを幼少期から何も躊躇わない少年と、医者という仕事の中で日々忖度される人の命に触れ、人の命とは平等ではないのかと自問自答し、やはり平等であるべきだと思い至った後で、助けた子供は怪物だったと知る絶望するような医者のストーリーが衝撃であり、そして視聴者も命の価値観についてもう一度考えさせられる話だと感じた。
3.『天官賜福3』(小説)
原作:墨香銅臭
仙楽国の太子・謝憐(シエ リェン)は、十七歳の若さで飛昇し天界の武神となった。しかし、自らの行動が原因で二度も天界を追放されてしまう。それから八百年後、三度目の飛昇を果たし天界に復帰したものの、今や謝憐の信徒は残っておらず、他の神官たちからもはみ出し者扱いされてしまうのだった。地道に信徒を獲得しようと下界で一人奮闘する謝憐は、ある日、三郎(サン ラン)と名乗る美しい少年に出会う。行くあてがないと言われ共に過ごすようになり、慕ってくれる彼と仲を深める謝憐。だが、なぜか天界や鬼界に詳しい三郎には秘密があるようで――?
前巻の話から読者は辛くなっていたところをかなりの急展開が襲い、辛いだけではなく、思わず笑顔になってしまうような展開が起きたことで、謝憐の辛く重い過去が紐解かれていく中に読者に辛さだけを与えない演出があり、読者は常に先生の掌の上で転がされていると感じた。謝憐や読者は沈んでいても、それでも変わることはない、思わず溢れてしまう、深い花城の愛に胸が熱くなると考える。
4.『転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます』(漫画)
原作:謙虚なサークル 作画:石沢康介
血筋と才能に恵まれなかったとある魔術師は、貴族との決闘に負け無残な最期を迎えるも、死の間際も「もっと魔術を学びたかった」と考えていた。目を覚ますと、男はサルーム王国の第七王子・ロイドに転生していた。前世とは真逆の、恵まれた環境で前世の知識と記憶を武器に自由気ままに魔術を学び、習得していく。周囲からの評価は気にもせず、ロイドは魔術を極める無双ライフをエンジョイする。
主人公が前世から魔術にしか興味がなく、王位も名誉も更には自分を殺した相手のことや自分の命でさえも魔術を極めること以外には何も興味が無いという人物像が、行き過ぎる好意の狂気じみた感じを演出していると考える。物語が進むにつれ、ロイドの人柄が知られていき、ロイドの強さと狂気が徐々にあらわになっていく展開と、前世から現兄である第二王子や第一王子と関わりがあったという展開が熱いと感じた。またカラー作画が非常にクオリティが高く、このクオリティをアニメで再現できるのかと心配されていたが、アニメでもかなり再現されていて、音や演技も素晴らしくアニメにはアニメの良さがあると感じた。
5.『MONSTERS一百三情飛龍侍極』(アニメ)
原作:尾田栄一郎 監督:朴性厚
主人公の侍・リューマは放浪の末、ある町に辿り着き野垂れ死に寸前なところをとある食事処のウェイトレス・フレアに助けられた。時を同じくしてその町では、一級剣士と名高い男・シラノも現れた。嘗てシラノに命を救われたフレアはその再会に喜ぶが、丁度その頃、リューマは通りすがりの剣客・ディーアールに言いがかりをつけられ、ドラゴンを呼び寄せた濡れ衣を着せられてしまう。町1つを簡単に滅ぼす程の力を持ったドラゴンの襲来に人々は恐れ慄き、寄って集ってリューマを非難するが、シラノはそんな中で自分がドラゴンから町を守ると宣言する。その場に居た誰もが彼の雄姿を称え、その気持ちを信じたが、唯一人、リューマだけはそんなシラノに欺瞞の目を向けていた。
ボイスコミック版の主人公の声優はそのままで、アニメーションならではの動きのある作画と迫力がよりリューマの強さを引きたてていると考える。優しく偉大な人物だと思っていた人が悪役だったり、真実が分かるような展開が『ONEPIECE』の空島やアラバスタに似ているようで、そういった展開を面白く爽快に描き出すことがさすが尾田先生だと感じた。最後、主人公リューマと関わりがある『ONEPIECE』のゾロに繋がる演出が、漫画では『ONEPIECE』を描く前故に無いので、非常に熱い演出だと感じた。また当たり前ではあるのだが、リューマの刀が「秋水」であることに感動した。
6.『Doctor-X ~外科医・大門未知子 season1~7』(ドラマ)
企画:古賀誠一
特定の病院に属さないフリーラスの天才外科医大門未知子の病院や医局での活躍を描く医療ドラマ。主人公と周りの登場人物は同じだが、シリーズごとに舞台となる病院が変わり、移動先の病院での権力闘争に明け暮れる医局の医師たちや訳あり患者と大門の交流をコメディとシリアスを織りまぜた展開で描く。
主人公の大門未知子は病院側や病院長などの偉い方々からは嫌な存在として描かれているが、大門未知子は天才外科医であり、オペがしたいだけの人物なので、厄介払いせずに上手く利用すればいいのにという考えに視聴者は至ると考える。それを第三期では実際に行われるのだが、最終的に利用することも上手くいかずに終わることで、圧倒的な力や大門未知子の純粋な気持ちの前では人の策略も、他人が上手く操ることも出来ないのだと考えさせられる。そして一番上手く扱えるのはそんな大門未知子のことを一番に全て理解している神原晶であるのだと感じた。また、大学病院の権力闘争や出世に囚われた医師たちを描く中で、患者のことを一番に考え、命の重みを理解しているのは大門未知子である構図と、それに触発されて少しずつ考え直していく医師たちを描く演出がとても面白い。
7.『アンナチュナル』(ドラマ)
脚本:野木亜紀子
設立して2年弱の不自然死究明研究所=通称UDIラボに勤める法医解剖医の三澄ミコトが、訳ありベテラン法医解剖医の中堂系、東海林夕子、久部六郎、神倉保夫と協力し合いつつ、毎回様々な死を扱いながら、その裏側にある謎や事件、真実を解明していく。
主人公三澄ミコトには重い過去があるが、その家族や過去の件についてはあまり触れられず話が展開していく。通常の物語では主人公の事件を深堀していくと思うが、このドラマでは三澄ミコトの事件や過去は真犯人がいる訳でもなく、もう完結しているものであり、それに伴い今の三澄ミコトという人物ができていることを強く表していると感じた。そして主人公ではなく、中堂系の方に深堀し事件を解決することが、他作品と比べて珍しく、中堂系もこの物語において重要な人物であることが分かる。
8.『グリム組曲』(アニメ)
脚本:横手美智子
国中から収集したメルヘンを編纂しているヤコブとヴィルヘルム兄弟と、妹のシャルロッテ。兄弟が集めたメルヘンに対して、シャルロッテは疑問を投げかける。本当にシンデレラはいじめられていたのか。もしも狼が沢山いて、赤ずきんが普通の少女ではなかったなら。グレーテルは、実はヘンゼルのイマジナリーフレンドだったのではないか。小人の力を借りることが、必ずしも幸せに繋がるとは限らないのではないか。敵を倒すために一致団結した動物たちは、敵を打倒した後も仲良く暮らせるのか。笛吹き男に連れ去られた子どもたちは、その後どうなったのか。シャルロッテは頭の中で、それぞれの物語を兄たちとは違った角度から解釈する。
グリム童話を別角度で描いた物語が、視聴者に新たな気づきや視点を与え、凝り固まった視野を広げてくれると考える。第1話のシンデレラでは、シンデレラが被害者ではなく全て裏で操っていたらを描き、そんなシンデレラが『烏に単は似合わない』のあせびに似ていると感じた。
9.『金の国水の国』(映画)
原作:岩本ナオ 監督:渡邉こと乃
王女サーラの住む金の国と建築士ナランバヤルの住む水の国は100年間断絶していた。敵国同士出身のサーラとナランバヤルは、国の思惑に巻きこまれ偽りの夫婦を演じることになる。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の2つの国に国交を開かせようと決意する。お互いの想いを胸に秘めながら、 真実を言い出せない不器用な2人のやさしい嘘は、国の未来を変えられるのか。
サーラとナランバヤルが最初に出会うシーンで、ナランバヤルがサーラに好意を抱き、惚れるシーンのナランバヤルの表情や演出がサーラに惚れたことが分かりやすく、視聴者もキュンとくるような心に響く演出だと考える。2つの国は国として王として思惑を持ち動くけれど、王個人や姉王女、左大臣の思っていることが徐々に分かり、誰も憎めないと感じる。
10.『ぶっちぎり?!』(アニメ)
監督:内海紘子
高校生の灯荒仁は、初彼女ゲットを夢見ていた。しかし、転校した先は不良だらけの威血頭高校であった。そこで彼は、学園一の美少女・神まほろに一目惚れ。そして運悪く、幼いころに本気人(ほんきびと)を目指そうと約束を交わしたかつての親友・浅観音真宝と再会した末に、不良同士の抗争に巻き込まれてしまう。そんな中で荒仁は、逃げ込んだ神社で本気人(マジン)の封印を解き、千夜という本気人に見込まれ、荒仁の額の横に付けられた飾りに宿りともに行動するように。それにより、迫る不良に対し荒仁の願望に呼応することで強大な力を発揮して撃退できるようになったが、荒仁の意思とは裏腹に不良に好かれる羽目に見舞われていく。
アニメ『SK∞』のタッグであり、以前から注目していたのだが、不良と千夜一夜物語という内海紘子の特有なストーリーと惹かれるキャラクターデザインや世界観が、この作品に合っていると考える。荒仁と真宝、千夜と一夜などの友情や幼馴染の関係を描くことが『SK∞』同様、非常に面白いと感じる。
11.『正体』(ドラマ)
原作:染井為人 監督:中田秀夫/谷口正晃
脱獄した死刑囚である、鏑木慶一は逃走を続けながら、潜伏先で出会った人々を窮地から救ってゆく。やがて彼に助けられた人々は、彼が本当に残忍な殺人犯なのか疑問を抱き始める。
殺人犯として扱われているにも関わらず、最初から困っている人を最終的に助けてしまうようなお人好しとして主人公を描き、視聴者にも本当に主人公は殺人犯なのかと疑問を抱かせ、鏑木と出会った人物たちと共に後半になるにつれ、鏑木慶一という人物や事件の真相や犯人を暴いていく構成が物語を目を離せないものにしていると考える。その場にいたことや証拠があることで犯人ではない人を犯人にしてしまう検察や警察側が、本当にあったならとても恐ろしく、物語終盤の裁判官が主人公に謝罪するシーンが、主人公のこれまでの辛さを思い出させとても胸に来るものがあると感じた。また原作の小説では結末が違うらしく、原作はどうなるのか気になり、原作も読んでみたいと感じた。
12.『大奥』(漫画)
作者:よしながふみ
徳川三代将軍家光の時代、関東のとある山村で熊に致命傷を負わされた少年を発端に、赤面疱瘡と呼ばれる奇病が流行り始める。若い男にだけ感染するこの病は致死率80%、瞬く間に感染拡大し、約80年経過した頃には日本の男子人口は女子の1/4にまで減少していた。男子は子種を持つ大切な宝物扱い、女が全ての労働を担い家業を継ぎ、将軍職も三代目以降女が継ぐことに。夫を持てない貧しい女達は花街で種を付け、婿取りは富裕層の特権となる。その頂点として将軍が囲った、俗に美男3000人と謳われる女人禁制の城──それが大奥である。その起こりから終焉までを、八代将軍吉宗の時代を起点とし、それ以前の出来事は彼女が読む『没日録』の内容としてほぼ時系列順に描く。
男女逆転した江戸時代という世界観が非常に面白く、もし男女の立場が逆転していたらこうなっていたのかと考えさせられ、歴史の内容も男女が違うだけで史実に基づいているので分かりやすく勉強にもなると感じた。作品終盤の14代将軍・徳川家茂の妻である和宮が西郷隆盛の発言に激怒し、これまでの江戸の将軍統治の歴史は、代々の将軍や臣下達、女と男の一人一人の人生と努力の上にあるものであり、それを無かったことにするなと言う叫びが非常に感動し、現実の江戸の歴史も一人一人の人生の上に積み重なったものであり、今があるのだと強く考えさせられる作品である。
13.『魔女と野獣』(アニメ)
原作:佐竹幸典 監督:浜名孝行
はじまりは17人の「起源の魔女」。全ての力をその身に受け継いだものが、現代も世界各地に存在する。魔女の呪いによって少女の姿に変えられたギドと魔術師アシャフが世界各地を訪ね歩きながら、ギドに呪いをかけた魔女を追うダーク・ファンタジー。
原作の漫画で描かれる世界やキャラクター達はとても美しいが、アニメでも美しく、ギドの可愛さや綺麗さもそのままに描かれていると感じた。そして声があることでアシャフのかっこよさがより高まっている。またギドとアシャフはビジネスパートナーというようなお互いの目的のためだけの関係だが、本当はお互いに少し信頼していたりというような関係性が面白いと考える。
14.『ギヴン 柊mix』(映画)
原作:キヅナツキ 監督:橋本能理子
高校生の上ノ山立夏は、佐藤真冬の歌声に衝撃を受け、中山春樹、梶秋彦と組んでいるバンド「ギヴン」にボーカルとして真冬を加入させる。活動を続ける「ギヴン」はフェス出場をかけたコンテストに出場し、惜しくもライブ審査に落ちたものの、ますます注目を集めていた。その頃「ギヴン」が落ちたコンテストに受かった真冬の幼馴染み・鹿島柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」はデビューが決まっていた。柊は「syh」に不在のギターの一時的なサポートとして立夏に白羽の矢を立てる。さらに柊は、立夏にやってみたいことがあると持ちかける。
ずっと聞きたかった柊の歌声と「syh」の曲を実際に耳で聞き、立夏が言っていたように柊のトラックメイカーとしての才能や評価されている「syh」の曲を体感することができ、非常に感動した。またそれを体感できるような作品通りの曲と歌声の完成度が高いと考える。この物語を通して改めて由紀の罪深さと、玄純の柊への思いの深さなどを実感し、柊と玄純が主役の物語として非常に面白く描かれていると考える。そして最後は次の真冬の話をより気になる形にさせる終わり方だと感じた。
15.『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~』(アニメ)
原作:未来人A 監督:加戸誉夫
異世界に転生した主人公アルス・ローベントは、小さな領地を持つ弱小貴族の子として生きることになった。アルスには特別な知力や武力は無いが、生まれながらにして他人の能力・ステータスを見抜く「鑑定スキル」を手にしていた。そのスキルを活かして世に隠れた「逸材」を発掘し、弱小領地から最強の領地へと変貌させていく。心優しいアルスと、個性豊かな逸材たちの出会いと成長を描く異世界統一記。
設定はよくある異世界転生ものであるが、アニメでも漫画でもずっと一定に面白く、中緩みすることもなく展開が広がっていく度に面白くなっていくことがこの作品の凄い点だと考える。そして主人公の力が「鑑定スキル」であり、その力で強くなっていくストーリーが、結局最強なのは人の力であり、力を合わせることが強さなのだと感じた。
16.『陰陽師0』(映画)
原作:夢枕獏 監督:佐藤嗣麻子
平安時代、呪いや祟りから都を守る陰陽師の省庁であると共に彼らを育成する学校でもある「陰陽寮」が政治の中心にあった。若き日の安倍晴明は、呪術の天才と呼ばれる存在でありながら、陰陽師になる意欲や興味がない変わり者として知られていた。ある日晴明は、貴族の源博雅から怪現象の解決を依頼されたことをきっかけに、平安京を脅かす巨大な陰謀と呪いに挑むことになる。夢枕獏の小説シリーズ『陰陽師』を原作とし、夢枕獏全面協力の元、晴明が陰陽師となる前の青年時代を完全オリジナルストーリーとして描く。
『陰陽師』と言えば野村萬斎のイメージが強かったが、若き日の青年時代の安倍晴明として今作で山﨑賢人が演じた安倍晴明では、まだ精神的にも身体的にも若いという感じがよく出ていると感じた。アクションシーンやCGの演出も迫力があり、終盤は全て意識の中の話だったとしても、現実で起こっているかのようで面白いと考える。また最後に分かる、彼だけは本物だった、本物の呪術師だったということが熱い展開である。
17.『忍びの家 House of Ninjas』(ドラマ)
監督:デイブ・ボイル/瀧本智行/村尾嘉昭
現代の日本で「忍びの家」に住む忍びの一家、俵家。6年前、長男が任務中に死亡したことをきっかけに、俵家は忍者の規律を放棄し、普通の家族になろうとしていた。しかし、新たな危機が訪れようとする時、家族は再び過去の影へと引きずり戻されるのであった。
現代まで続く忍びの一家という設定や、アクションシーンのクオリティの高さ、長男の死をきっかけにバラバラになった家族と、それでも忍びという性から抜け出せない家族、そしてまた任務を通して家族と自分たちの関係性を再確認していく展開が面白い作品であると感じた。また忍者のアクションがメインかと思いきや、実は忍者一家のホームドラマがメインであり、死や家族に関しての想いは薄いように見えて皆強い想いがあることは、死と隣り合わせの任務に身を投じる者たちだからこそ、命の重さも理解し、家族への強い想いを持っているのだと考える。
18.『千秋 1』(小説)
原作:梦溪石
天下一の道門玄都山の掌教・沈嶠(シェンチアオ)は、昆邪(クン・イエ)との戦いで崖から落ちて瀕死の重傷を負ってしまう。そこへ救いの手を差しのべたのは、たまたま通りかかった魔教・浣月宗の宗主である晏無師(イエンウースー)だった。彼は沈嶠が記憶をなくして視力もほぼ失っているのをいいことに沈嶠を浣月宗に引き入れようとする。しかし、沈嶠はこれを拒み、自身の過去を確かめるべく旅に出ることに。長年、山にこもり世間を知らなかった沈嶠が善悪を知っていくなかで、なぜか晏無師が彼の前に度々現れて──。
主人公の沈嶠は、負った傷の影響が大きく病弱で儚い印象だが、実は天下で上位に名を連ねる武術の強さをもち、その上見た目はとても美しく、心も純粋で美しいという人物であることが、この作品の魅力だと考える。主人公には容赦なく様々な試練が襲いかかり、世の中の善悪を知っていくことになっていく展開は彼がどうなっていくのか興味を抱かせる展開である。そしてそんな展開が襲っても、主人公を追いかけ回す晏無師がどんなに主人公を悪く黒く染めようとしても、抗い続け綺麗な純白のままの主人公が魅力的であり、二人の関係性が変化していく様子も面白いと感じた。
19.『A3! 第13幕』(ゲーム)
シナリオ:トム 開発:リベル・エンタテインメント プロデューサー:沖田多久磨
東京の郊外・天鵞絨(びろうど)町には小劇場が立ち並ぶ一角があり、そこは「ビロードウェイ」と呼ばれている。ビロードウェイに専用劇場を構える劇団「MANKAIカンパニー」はかつて人気を博していたものの、今では1000万円もの借金を抱えている上に劇団員は1人しかおらず、劇団存続の瀬戸際に立たされていた。創設者立花幸夫の娘である立花いづみは、父の行方を捜す中でMANKAIカンパニーを訪れた際、主宰兼総監督として劇団の再建を任される。そして第四部第13幕では、新生フルール賞の概要が発表され、MANKAIカンパニーもその新たな仕組みに翻弄されることになる。そんな中、春組第十一回公演が回ってきて、新生春組旗揚げ公演の続編である『ロミオとジュリアス~Rosso e Blu~』を上演することになるのだが――。
メインストーリー第四部第13幕がやると発表になってから、「巣立つ」や「未来へ」「新時代」などという劇団員の別れや退団を思わせる単語が出てきていて心配していたが、春組の劇団員達それぞれの新しい道や考え、演劇とMANKAIカンパニーのためを思っての行動のことを指していて安心した。春組第十一回公演では、皆初めは演劇初心者だったとは思えないほど旗揚げ公演より遥かに演技が成長しており、特に主役の咲也の演技がとても上手く、旗揚げ公演の続編ということもあり今までのストーリーを思い出し、非常に感慨深いものがあった。また衣装が旗揚げ公演と比べて明らかに豪華になっており、昔と比べて幸の技術力が上がり、資金面が余裕になったのか、また莇のヘアメイクも追加されたということを演出していると考えられる。そのことからも次の夏組や秋組、冬組の公演もとても楽しみに感じさせる。そして、新生フルール賞というタイミングでの旗揚げ公演の時にはいなかったルーキーズを足しての続編という展開が熱く、新生フルール賞に対して本気で向かっている、物語が動いていると考えさせられる展開であると感じた。
20.『グッド・ナイト・ワールド』(アニメ)
原作:岡部閏 監督:菊池カツヤ
ネットゲーム「プラネット」において最強と呼ばれる4人組がいた。4人組の名前は“赤羽一家”。彼らはネットゲーム上の疑似家族である。しかし互いには知らないが、彼らの正体は現実世界で崩壊した本物の家族だった。引きこもりの長男、優等生の次男、我が子から尊敬されない父親、家庭を顧みない母親。彼らは家族のぬくもりを知らない。ネットゲーム上の家族が仮初めのぬくもりである事も知らない。そして互いが本当の家族である事も知らない。赤羽一家を中心としてネットゲーム『プラネット』の中で繰り広げられる、モンスターとのバトル、ギルド同士の戦い、そして最終標的“黒い鳥”をめぐる権謀術数。物語は現実世界を、そして現実の家族を巻き込んで大きく動き出す―― 。
ネットゲームでの擬似家族が、崩壊した現実の家族であり、互いに正体は知らないという設定が、現実では嫌いだけどゲームでは好きな人物であり、互いに真実を知ったあとも嫌いなのに今までゲームで見せてたものは何だったのかと気持ちが揺さぶられ、少しづつ終わりきった家族関係にも変化が生まれていくという展開に繋がり、面白いと感じた。ゲームと現実を交互に見ることで、家族関係の歪さや家族に何があって決定的な崩壊が起きたのかなど視聴者はよくよく知ることになり、そして実際は兄弟を思う気持ちがかなり強かったり、崩壊していても確かにそこには家族への愛があったのだと気づき感動する。また絵柄や演出が少し狂気じみていて、作者の『世界鬼』やそういったリアルで暗い作品が好きな人に刺さる作品だと考える。
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