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青山 凜香
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①『文豪ストレイドッグス』作:朝霧カフカ
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。それをきっかけに敦は太宰が所属する異能集団・武装探偵社が追う「人食い虎」の捜索を手伝うことになり、太宰と共に虎の出現を倉庫で待つことになる。そのとき、太宰は敦こそが虎の正体だと告げる。実は敦は無意識のうちに異能力、「月下獣」で虎に変身して徘徊しており、それゆえに孤児院を追い出されていたのだ。敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
入社試験を経て武装探偵社に入社した敦だったが、なぜか海外の異能者団体から莫大な懸賞金が敦にかけられていた。ヨコハマの港を縄張りにするポートマフィアの構成員芥川龍之介はその懸賞金目当てに敦を執拗に狙うが、部下の泉鏡花の裏切りもあって、敦に逃げられてしまう……。
自分も知っている文豪たちがキャラクター化され、代表作にちなんだ能力を持って戦うという作品。実際の文豪たちとは異なる部分も多く、違いを比較しながら観るととても面白い異能力バトル作品だと感じた。
②文豪ストレイドッグス(第2クール) 作:朝霧カフカ
今から4年前。ポートマフィア最下級構成員の織田作之助は、ポートマフィア幹部・太宰治、ポートマフィア情報員・坂口安吾とともに、バーで飲みながら、いつもの夜を過ごしていた。しかし、その日を最後に安吾が消息を絶つ。織田作は、ボス・森鴎外から直々に命令を受け、安吾捜索に乗り出す。同じ頃、海外の犯罪組織「ミミック」が入国し、その後ミミックの迎撃の命令が下される。織田作は、養っていた孤児たちを目の前で殺され、一人で敵陣へ乗り込む。しかし、それは、森の策略で、ポートマフィアが特務課と取引をし、異能開業許可証を手に入れるためだった。織田作はミミックの首領であるアンドレ・ジイドとの戦いの末、特異点を発生させるが相討ちになり、太宰に人を助ける側になれと言い残し死亡。ミミックとの抗争は幕を下ろした。
主要キャラクターの太宰治の過去に焦点を当てた第2クール。第1クールはバトル作品としての戦闘や謎解きの場面が目立っていたが、友達だった3人が別れてしまった理由、現在太宰治が武装探偵社として生きていくまでの流れが描かれていた。織田作之助、太宰治、坂口安吾の3人を巡るストーリーが予想外の連続で非常に面白かった。
③『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』作:古舘春一
高校バレーボールを題材にした古舘春一のコミックをアニメ化した「ハイキュー!!」の劇場版。コミックの中でも人気のあるエピソードの一つ「烏野高校VS音駒高校」を原作に、宮城県立烏野高校排球部と、ライバル校である音駒高校バレーボール部が公式戦でぶつかり合う。アニメシリーズにも携わってきた満仲勧が監督などを手掛け、『攻殻機動隊』シリーズなどの Production I.G がアニメーション制作を担当する。
宮城県立烏野高校排球部は、春の高校バレー宮城県代表決定戦と春の高校バレー初戦を勝ち抜き、2回戦で優勝候補の稲荷崎高校を倒す。そして東京体育館で行われる3回戦で、ライバル校である音駒高校バレーボール部と対戦。烏野高校の日向翔陽や影山飛雄らと、音駒高校の孤爪研磨や黒尾鉄朗らが公式戦での戦いに挑む。
とても素晴らしい映画だった。原作を履修してから観に行ったが、その場の空気や温度感がリアルに伝わってくる作品だと思う。演出の仕方が素晴らしく、呼吸やセリフの強調の仕方、キャラの成長を丁寧に描いており、映画を観ながら何度も泣いてしまった。自分もバレーがしたいと思わせてくれる作品だと思う。
④『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』作:水木しげる
水木しげる原作の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する鬼太郎の父と、水木という男との出会いを描いたアニメーション。行方不明になった妻を捜すため、とある村を訪れた鬼太郎の父と、密命を帯びたサラリーマンの水木が惨劇に遭遇する。ボイスキャストは関俊彦や木内秀信、古川登志夫、沢城みゆき、野沢雅子など。監督を『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』なども担当した古賀豪が務める。
廃虚となった哭倉(なぐら)村に鬼太郎と共にやってきた目玉おやじは、70年前に起きた出来事を思い出していた。昭和31年、哭倉村は政財界を裏で操る龍賀一族に支配されており、鬼太郎の父は失踪した妻を捜しに村に足を踏み入れたのだった。一方、血液銀行で龍賀製薬を担当する水木は、龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、ある密命を帯びて村を訪れるが、そこで一族の者が惨殺される事件が起こる。
原作ファンの友人に連れられて観た作品であったが、第五期を少し見ただけの自分でも引き込まれる作品でありながら、原作を履修すればするほど細かいところに込められている意味に気づくことができ、初見のひとにもコアなファンにも面白いと感じさせる良い作品だと思う。少々グロテスクな部分や近親相姦を想起させる部分があるため、ある程度人を選ぶが、それらに耐性があればストーリー性が非常に良いため、引き込まれる作品だと思う。
⑤『ガールクラッシュ』作:タヤマ碧
「舞台に上がるのは、理想のかっこいい女の子」百瀬天花(ももせ・てんか)・高校1年生。学校の成績がよくて、ビジュアル最強、ダンス部では1年生ながらセンターに立つ。天花が誰にも羨ましがられる存在=ガールクラッシュ(女子が憧れるかっこいい女子)になったきっかけは、小学生の頃。母親が不倫して、相手の男と一緒に失踪したのがクラスで噂になってしまい、ハブられていた天花は、いつも一人で行動していた。そんな折、クラスメイトの湊晴海(みなと・はるみ)くんが、声をかけてくれた。人気者の晴海は、天花の家庭環境など気にせず、フラットに付き合ってくれる。天花はいつしか、その優しさに惹かれ、次第に晴海が好きになっていく…。そこからは勉強も、部活も、すべて一生懸命やって、中学では彼女も人気者に。そしてパーフェクトに成長した天花だったが、恋にだけは奥手で、晴海に思いを伝えられずにいた。高校生になって、ダンス部として文化祭が近づいてくるなか、天花は、部活の仲間と屋上へダンスの練習へ向かう。その途中で出会ったのは、地味でパッとしない、佐藤恵梨杏(さとう・えりあん)だった。恵梨杏は、K-POPにかぶれていて、新大久保でバイトするほどだった。大好きなアイドルグループは、ブライトローズ。ブライトローズのリオナに憧れて、自分もK-POPアイドルになるために、独学で歌とダンスを練習し、韓国留学を計画していた。そのバイト先では、晴海も働いていて、仲良さそうな2人の姿を見てやきもちをやいた天花は、恵梨杏を焚き付ける。天花、恵梨杏、晴海の3人で、カラオケに行くということになり、いざ、ブライトローズの曲を歌う恵梨杏だったが……。きっかけは、恋。きっかけは、憧れ。天花と恵梨杏、2人の強い思いが、交錯する。巷で大流行するK-POP――日本の女子高生たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す!!
元々KPOPアイドルをみることが趣味であったため、KPOPを舞台としたストーリーと本物のKPOPアイドルそのもののようなスタイルを描いた絵柄に惹かれ読み始めた。最初はなんでも器用にこなし全てを手に入れ、恵梨杏を少々見下すような描写があった天花だが、話が進むにつれ、自分のしがらみや殻を破りどんどん成長していく姿に胸を打たれる。
⑥『ハニーレモンソーダ』作:村田真優
内向的な性格からいじめを受けてきた優等生の石森羽花は、街で三浦界と出会い、彼と同じ高校に進学することを選ぶ。そして、高校生活を通して、塩対応だけど実は優しい三浦界に段々心惹かれていくとともに、彼らが周囲の友人たちと成長していく姿も描かれた、青春ラブストーリー。
炭酸のように清涼感のある作品だと思う。羽花の変わりたいという思いから生まれていくストーリーが思わず応援したくなるうえに、自分もこんな生活を送ってみたいと思わせる作品だと思った。羽花は受け身な態度で誰かの助けを待つばかりではなく自分から変わろうと努力する様がかっこよくも美しいなと感じた。その成長を助ける周りの人物も非常に魅力的な人物ばかりでどんどん読み進めてしまう。
⑦『月のお気に召すまま』作:木内ラムネ
高校2年生の女子、亀井歩は、中学時代、後輩男子の滝島月にからかわれ続けていた。月が同じ高校に入学したことを知った歩は、今度こそ先輩面してやろうと決意する。騙されやすい先輩女子と、好きだからこそいじめてしまう、素直になれないイケメン後輩男子を描いたラブコメディ。集英社「別冊マーガレット」2018年12月号より連載を開始。また、連載開始前の読み切り版『月のお気に召すまま。』(「ザ・マーガレット」6月号掲載)を同時収録している。
新学期、高2女子の亀井歩が通う高校に、中学時代の後輩男子、滝島月が入学してくる。中学時代、歩は月にからかわれ続けていた。月は、世界一可愛くない後輩で、歩の悩みのタネだったのだ。何か企んでいるのかと警戒する歩に、月は素直に頭を下げる。あの頃は困らせてばっかりだったけど、また仲良くしてほしいというのだ。高校でこそは先輩面してやる。そう意気込んだ歩は、わからないことがあれば教えてあげると答えた。すると月は、どうしたらモテるか、と歩に尋ねる。歩は、彼氏いない歴=年齢の非モテ女子。一瞬焦るが気を取り直してモテ女子のフリをする。そんなわけでモテテクを練習することになった二人だが、月に「壁ドン」なんかされたら、歩は赤面してしまい、男子に免疫がないことがバレてしまう。困った果てに、とっさに歩の口から出たモテテクは「顔ドン」だった。すると、こうですかと言いながら、月は歩の頭を引き寄せ、自分の頭を軽くぶつけた。思わぬ攻撃に胸キュンしてしまい赤面する歩。正面からですかと追い打ちをかけてくる月に、あたふたしていると、不意に月が笑い出した。彼は歩をからかっていたのだ。中学時代から月は全く変わっていなかったのだ。こうして歩の悩ましい高校生活が始まることになった。
お笑い要素やキュンとなるシーンがいい塩梅で盛り込まれており、読んでいて楽しい作品であると感じた。月が歩を振り回してるように見せかけて、実は天然ヒロインに振り回されてるところが可愛いポイントである。また、1話ごとに完結するため隙間時間に読みやすく何かと忙しい現代人におすすめな作品である。
⑧『青春シンデレラ』作:夕のぞむ
高校生時代は地味であか抜けない印象の萩野紫苑は、就職してビューティーアドバイザーとなり、人をキレイにする仕事にやりがいを感じていた。仕事柄、紫苑自身も容姿に気を遣うようになり、男性から褒められることも多くなったものの、今から10年前の高校生の時、片思いをしていた長谷川に酷い言葉でふられたことがトラウマになり、未だに恋愛ができずにいた。そんなある日、飲み会に参加した紫苑は、ふとしたきっかけで過去のトラウマがよみがえり、高校生の恋愛を引きずっている自分に嫌気が差す。すると突然、紫苑は10年前の長谷川にふられた次の日にタイムスリップしてしまう。17歳当時の容姿に戻った紫苑だったが知識はそのままで、ビューティーアドバイザーとして身につけたメイク技術を活かして、あか抜けた大人っぽい女性に変身し、2度目の高校生活を送ることになる。そんな中、紫苑は親友の美月が、自分が片思いをしていた長谷川に思いを寄せていることに気づく。自分より美月の恋が成就して欲しいと願う紫苑は、二人をくっつけるべく奔走する。しかし紫苑は、昔のように長谷川の言動に胸をときめかせてしまうのだった。
少女漫画を読んで、自分もこんな学生生活を送ってみたいと思っていた時に見つけた作品。あの時に戻れたら、あの時こうしていたら、という後悔は誰しもあると思うが、この作品はそういった経験がある人におすすめな作品だと思う。タイムスリップして振られた相手に復讐というわけでもなく、どんどん綺麗になっていく主人公を見ることが出来るので、復讐ものに飽きてしまった人にもおすすめな作品である。
⑨『ReLIFE』作:夜宵草
前職を3か月で退職し、求職中の海崎新太。元々大学受験で2浪した上、大学院に進学していたため社会人経験やキャリアが乏しく、現在27歳で就活は難航する。これからの生活に悩む海崎の前にリライフ研究所の職員を名乗る夜明了が現れる。夜明は海崎を社会復帰させるとして、『1年間の高校生活を送る秘密実験』に参加することを提案する。
1年間の生活費とその後の就職先の紹介のために、リライフ検証実験に参加することを決めた海崎は、2度目の高校生活を送り始める。大学院まで卒業したはずの海崎だが、テストを受ければ全教科赤点で追試の連続になり、体育ではボール投げでは肩が回らず、徒競走では足が釣って転倒する始末。
2度目の高校生活に悪戦苦闘する海崎だったが、秀才だがコミュ障でボッチ女子の日代千鶴、勉強は得意だが運動音痴なチャラ男の大神和臣、ぶっきらぼうで努力家の狩生玲奈、編入生で天然系の小野屋杏……といった個性的なクラスメイト達と共に翻弄されつつも高校生活を送るうちに、海崎の内面だけでなく周囲にも変化が起こっていく。
前述した『青春シンデレラ』とは違い、27歳の男性が主人公ということもあり、どちらかといえば思考が現実的になる。リアリティのある描写に惹かれるが、周りの助けによって成長し、変わっていく姿に思わず応援したくなる。
⑩『ラン』作:森絵都
家族を事故で亡くし同居していた叔母も亡くした環は自転車屋の紺野さんと飼い猫こよみが安らぎだったが紺野さんたちも去ってしまった。そんな時紺野さんから譲り受けた自転車であの世とこの世のはざまに辿り着いた環は亡き家族と叔母に出会う。しかしそこへ行くのも自転車のおかげ。自転車を元の持ち主に返さなくてはいけない環は自力で行けるように走る力を養う為にランナーズに参加する。
するすると読む手が止まらない作品であると思う。「レーン」を超えるために40kmマラソンを始める環。苦しみ、あがきながらも強く成長していく環の姿を見て応援したくなる。
様々な過去をかかえ「今」を生きる人たちとの交流も興味深く、読むのが楽しい作品である。
⑪『ルックバック』作:藤本タツキ
小学4年生の藤野は学年新聞で4コマ漫画を毎週連載し、同級生や家族から絶賛されていた。ある日、教師から京本の漫画を掲載したいため、藤野の連載している内の1枠を譲って欲しいと告げられる。
藤野は不登校児である京本を見下していたが、京本の画力は高く、掲載された京本の漫画は周囲の児童からも称賛され比べて藤野の絵は普通だと掌を返すような反応をされる。
藤野は屈辱を覚えながら絵の本格的な練習を開始し、友人・家族関係にも軋轢を生みながらも努力を重ねていく。だが、そうした研鑽の果てにも京本の画力には届かず、3年生の時から続けた連載を6年生の途中で辞めて、とうとうペンを折ることになる。
序盤はとことん天狗になっていた主人公の鼻を折ってさらに踏みつけるような描写が続き、見ているのが苦しくなってしまうほどでしたが、京本に褒められてからまた絵を描くことを再開しほっとしたのも束の間、絶交にまで至ってしまうというストーリーの展開に振り回されました。しかし、それが辛くも面白い作品でした。
⑫『ちーちゃんはちょっと足りない』作:阿部共実
成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生女子のちーちゃんとナツ。2人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、普通の日々を送っていた。そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子・藤岡から「万引きしねえ?」と声をかけられる。ナツはその場を上手くしのいだが、お金が足りずに買えなかった可愛いリボンが忘れられずにいた。後日、教室で女子バスケ部員が顧問の誕生日プレゼントを買うために、部員である藤岡から集金をしていた。その様子を目撃した旭は、「学校でお金のやり取りは危ない」と注意をしたが、部員達に煙たがられる。そして放課後、事件は起きた。
この作品は日常系のゆるっとした雰囲気を求めて手に取った作品だったが、驚かされることが多かった。表紙や最初のお話までは平和な日常系コメディのような展開が続くが、どんどん読み進めていくうちに人間の闇を描き始め、キャラクターの内面について深く切り込んでいく。そしてひとつひとつで完結する短編かと思えば、実は最後まで読むと全て繋がっていた、という驚きであふれている作品だった。
⑬『からかい上手の高木さん』作:山本崇一朗
中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディ。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片の視点から描かれている。各話を繋ぐ明確なストーリーはなく、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められている。
終始高木さんにかなわない西片と絶妙な距離感で西片をからかう高木さんの様子にほっこりさせられる。たまに放つ意味深で小悪魔な高木さんの言葉にこちらもドキッとさせられる。中学2年生という思春期真っ只中の甘酸っぱい青春が楽しめる作品だと思う。
⑭『宝石の国』第一巻 作:市川春子
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
宝石の美しさと脆さと強さを擬人化し、ドラマ化したSF作品。漫画というよりも、美術館に飾られている芸術作品に近いような特徴的な絵柄に一騎に引き込まれる。その美しさとはうって変わってとても重く苦しいストーリーに胸が痛くなる。
⑮『気になってる人が男じゃなかった』作:新井すみこ
イマドキの女子高生・あやは、一見すると派手なギャルに見えるけど、実は渋めの音楽好き。近所のCDショップに時々通って、そこで働く黒ずくめの「おにーさん」に会うのを楽しみにしていた。ミステリアスな「おにーさん」に惹かれ少しずつ近づくふたり。でも、その正体は地味で目立たないクラスメイトの女子・みつきだった――。これは、友情? それとも恋? Twitterで注目を集める女子高生の「愛情」をめぐる物語
Twitterで見かけたことがあり、気になって手に取った作品。好きなものがあってもともだちと分かり合えない苦しみともどかしさ、それがおにーさんと語り合えるようになって生き生きとするあや。あやとおにーさんを取り巻く登場人物の心理描写も良く描かれており、素敵な作品だと思う。
⑯『光が死んだ夏』作:モクモクれん
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。
「偽物でもそばにいてほしいと願うよしき」と「自分が何者なのかもわからないけれど、心の底からよしきのことが好きな偽物の光」の不安定で歪んだ友情が描かれている。この二人の心理描写が事細かに描かれており、感情移入できる作品である。また、この二人が入れ替わったことによって集落で次々と異変が起こり始めるというホラー体験もすることができ、ホラー×ヒューマンドラマという要素が詰まった作品である。
⑰『作りたい女と食べたい女』作:ゆざきさかおみ
小食&一人暮らしのため、作りたい欲をセーブしていた野本さんと、同じ階に住む春日さんに出会い、作った料理を振る舞ったことをきっかけに、二人が徐々に距離を縮めていく物語。 毎回、野本さんの料理がおいしそうなのは勿論だが、春日さんの食べっぷりが気持ちが良い。そして話が進んでいくにつれて女性ならではの悩みがちりばめられていて、女性の方は特に共感しやすい作品であると思う。
⑱『うるわしの宵の月』作:やまもり三香
滝口宵は女であるが、女子から「王子」と呼ばれ慕われている。宵自身も姫よりヒーローや王子の方がしっくりくると自覚をしていたが、それを望んでいるわけではなかった。ある日宵は市村にぶつかり、男と勘違いをされ、失礼だと思っていた。宵がコンビニで買い物中に酔っぱらいに絡まれた店員を助けていると、市村が加勢に入った。それがきっかけで市村と話し、お姫様だっこをされた宵は、はじめて女の子扱いをされて動揺するのであった。市村から「気になっている」と言われ、それ以降宵は彼のことばかり考えていた。宵の忘れ物をカレー屋まで届けに来たり、熱を出した宵に付き添いをした市村と接するうちに毒された宵は、ためしに付き合うかという彼の提案を了承する。しかし何も進展がなければ付き合う意味がないと市村に指摘された宵は考え直すも、見定めるために自分からデートに誘う。友人たちとの会話により、「本気の恋」について考えた市村も行動を起こす。
まず「王子」と呼ばれていることからもわかるように主人公の宵がとても美麗である。その綺麗な見た目に引き込まれるが、市村と関わり変わっていく宵の心も本作の見どころだ。王子っぽさも含めて自分を肯定してくれる市村が非常に魅力的なキャラクターで素直になれない宵と冷たくあしらわれてもめげずにアタックする市村の二人を応援したくなってしまう作品。
⑲『今日、駅で見た可愛い女の子。』作:さかなこうじ
可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランドが崩れにくい? あ〜〜教えてくれ〜〜〜〜! あなたが夢中になった「乙女アイテム」がたくさん登場!全人類Kawaiiが大好きコメディ!
女装男子×乙女アイテム博識おじさんの、すれ違い観察型コメディ!
かわいいものに精通しているアラフォー男性の亀山が、駅で見かけるかわいい女子高生(実は男子高生)の、持ち物や身に着けているものから一方的に思いをめぐらす考察コメディ。実際に商品化されているものが登場するので可愛いものがすきな人におすすめな作品。
⑳『恋せよまやかし天使ども』作:卯月ココ
『なんで私が撃ち抜かれてんの!!?』自分以外の誰かから求められる自分像を崩さないように、常に完璧美少女を演じてきた桂おとぎ。ついた学園での異名は、その名も’心撃の天使’。だけど、誰にも見せないヒミツにするはずだった裏の顔を、気になっていた完璧男子の一 刻(にのまえとき)に見られてしまう…。ところが、優しくて完璧だと思っていた一 刻にもヒミツにしていた裏の顔があった!!! その一面を知ってしまったおとぎは彼から「共犯」相手として気に入られてしまう。思わぬ展開に心が振り回されるおとぎは…!?どちらもギャップがたまらない! 完璧を装う男女のだまし合い(?)ラブ、始まる。
互いに普段の姿を偽りあっている美形なふたり。求められる理想像に応え、自分を偽っているも、ひょんなことから本性が刻にバレてしまい、刻の知らない一面を知ってしまうことから始まるラブコメディ。素直ではないふたりに心乱されながらも応援したくなってしまう作品。
孤児院を追放され、ヨコハマを放浪する少年・中島敦は鶴見川で入水していた太宰治を助ける。それをきっかけに敦は太宰が所属する異能集団・武装探偵社が追う「人食い虎」の捜索を手伝うことになり、太宰と共に虎の出現を倉庫で待つことになる。そのとき、太宰は敦こそが虎の正体だと告げる。実は敦は無意識のうちに異能力、「月下獣」で虎に変身して徘徊しており、それゆえに孤児院を追い出されていたのだ。敦は自分の能力を制御出来ず、虎に変身して、太宰に襲いかかるが、太宰は相手の能力を無効化する異能力「人間失格」を発動して、敦を鎮静化させ、さらに敦が武装探偵社に入社出来るよう尽力する。
入社試験を経て武装探偵社に入社した敦だったが、なぜか海外の異能者団体から莫大な懸賞金が敦にかけられていた。ヨコハマの港を縄張りにするポートマフィアの構成員芥川龍之介はその懸賞金目当てに敦を執拗に狙うが、部下の泉鏡花の裏切りもあって、敦に逃げられてしまう……。
自分も知っている文豪たちがキャラクター化され、代表作にちなんだ能力を持って戦うという作品。実際の文豪たちとは異なる部分も多く、違いを比較しながら観るととても面白い異能力バトル作品だと感じた。
②文豪ストレイドッグス(第2クール) 作:朝霧カフカ
今から4年前。ポートマフィア最下級構成員の織田作之助は、ポートマフィア幹部・太宰治、ポートマフィア情報員・坂口安吾とともに、バーで飲みながら、いつもの夜を過ごしていた。しかし、その日を最後に安吾が消息を絶つ。織田作は、ボス・森鴎外から直々に命令を受け、安吾捜索に乗り出す。同じ頃、海外の犯罪組織「ミミック」が入国し、その後ミミックの迎撃の命令が下される。織田作は、養っていた孤児たちを目の前で殺され、一人で敵陣へ乗り込む。しかし、それは、森の策略で、ポートマフィアが特務課と取引をし、異能開業許可証を手に入れるためだった。織田作はミミックの首領であるアンドレ・ジイドとの戦いの末、特異点を発生させるが相討ちになり、太宰に人を助ける側になれと言い残し死亡。ミミックとの抗争は幕を下ろした。
主要キャラクターの太宰治の過去に焦点を当てた第2クール。第1クールはバトル作品としての戦闘や謎解きの場面が目立っていたが、友達だった3人が別れてしまった理由、現在太宰治が武装探偵社として生きていくまでの流れが描かれていた。織田作之助、太宰治、坂口安吾の3人を巡るストーリーが予想外の連続で非常に面白かった。
③『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』作:古舘春一
高校バレーボールを題材にした古舘春一のコミックをアニメ化した「ハイキュー!!」の劇場版。コミックの中でも人気のあるエピソードの一つ「烏野高校VS音駒高校」を原作に、宮城県立烏野高校排球部と、ライバル校である音駒高校バレーボール部が公式戦でぶつかり合う。アニメシリーズにも携わってきた満仲勧が監督などを手掛け、『攻殻機動隊』シリーズなどの Production I.G がアニメーション制作を担当する。
宮城県立烏野高校排球部は、春の高校バレー宮城県代表決定戦と春の高校バレー初戦を勝ち抜き、2回戦で優勝候補の稲荷崎高校を倒す。そして東京体育館で行われる3回戦で、ライバル校である音駒高校バレーボール部と対戦。烏野高校の日向翔陽や影山飛雄らと、音駒高校の孤爪研磨や黒尾鉄朗らが公式戦での戦いに挑む。
とても素晴らしい映画だった。原作を履修してから観に行ったが、その場の空気や温度感がリアルに伝わってくる作品だと思う。演出の仕方が素晴らしく、呼吸やセリフの強調の仕方、キャラの成長を丁寧に描いており、映画を観ながら何度も泣いてしまった。自分もバレーがしたいと思わせてくれる作品だと思う。
④『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』作:水木しげる
水木しげる原作の「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する鬼太郎の父と、水木という男との出会いを描いたアニメーション。行方不明になった妻を捜すため、とある村を訪れた鬼太郎の父と、密命を帯びたサラリーマンの水木が惨劇に遭遇する。ボイスキャストは関俊彦や木内秀信、古川登志夫、沢城みゆき、野沢雅子など。監督を『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』なども担当した古賀豪が務める。
廃虚となった哭倉(なぐら)村に鬼太郎と共にやってきた目玉おやじは、70年前に起きた出来事を思い出していた。昭和31年、哭倉村は政財界を裏で操る龍賀一族に支配されており、鬼太郎の父は失踪した妻を捜しに村に足を踏み入れたのだった。一方、血液銀行で龍賀製薬を担当する水木は、龍賀一族の当主・時貞の死に伴い、ある密命を帯びて村を訪れるが、そこで一族の者が惨殺される事件が起こる。
原作ファンの友人に連れられて観た作品であったが、第五期を少し見ただけの自分でも引き込まれる作品でありながら、原作を履修すればするほど細かいところに込められている意味に気づくことができ、初見のひとにもコアなファンにも面白いと感じさせる良い作品だと思う。少々グロテスクな部分や近親相姦を想起させる部分があるため、ある程度人を選ぶが、それらに耐性があればストーリー性が非常に良いため、引き込まれる作品だと思う。
⑤『ガールクラッシュ』作:タヤマ碧
「舞台に上がるのは、理想のかっこいい女の子」百瀬天花(ももせ・てんか)・高校1年生。学校の成績がよくて、ビジュアル最強、ダンス部では1年生ながらセンターに立つ。天花が誰にも羨ましがられる存在=ガールクラッシュ(女子が憧れるかっこいい女子)になったきっかけは、小学生の頃。母親が不倫して、相手の男と一緒に失踪したのがクラスで噂になってしまい、ハブられていた天花は、いつも一人で行動していた。そんな折、クラスメイトの湊晴海(みなと・はるみ)くんが、声をかけてくれた。人気者の晴海は、天花の家庭環境など気にせず、フラットに付き合ってくれる。天花はいつしか、その優しさに惹かれ、次第に晴海が好きになっていく…。そこからは勉強も、部活も、すべて一生懸命やって、中学では彼女も人気者に。そしてパーフェクトに成長した天花だったが、恋にだけは奥手で、晴海に思いを伝えられずにいた。高校生になって、ダンス部として文化祭が近づいてくるなか、天花は、部活の仲間と屋上へダンスの練習へ向かう。その途中で出会ったのは、地味でパッとしない、佐藤恵梨杏(さとう・えりあん)だった。恵梨杏は、K-POPにかぶれていて、新大久保でバイトするほどだった。大好きなアイドルグループは、ブライトローズ。ブライトローズのリオナに憧れて、自分もK-POPアイドルになるために、独学で歌とダンスを練習し、韓国留学を計画していた。そのバイト先では、晴海も働いていて、仲良さそうな2人の姿を見てやきもちをやいた天花は、恵梨杏を焚き付ける。天花、恵梨杏、晴海の3人で、カラオケに行くということになり、いざ、ブライトローズの曲を歌う恵梨杏だったが……。きっかけは、恋。きっかけは、憧れ。天花と恵梨杏、2人の強い思いが、交錯する。巷で大流行するK-POP――日本の女子高生たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す!!
元々KPOPアイドルをみることが趣味であったため、KPOPを舞台としたストーリーと本物のKPOPアイドルそのもののようなスタイルを描いた絵柄に惹かれ読み始めた。最初はなんでも器用にこなし全てを手に入れ、恵梨杏を少々見下すような描写があった天花だが、話が進むにつれ、自分のしがらみや殻を破りどんどん成長していく姿に胸を打たれる。
⑥『ハニーレモンソーダ』作:村田真優
内向的な性格からいじめを受けてきた優等生の石森羽花は、街で三浦界と出会い、彼と同じ高校に進学することを選ぶ。そして、高校生活を通して、塩対応だけど実は優しい三浦界に段々心惹かれていくとともに、彼らが周囲の友人たちと成長していく姿も描かれた、青春ラブストーリー。
炭酸のように清涼感のある作品だと思う。羽花の変わりたいという思いから生まれていくストーリーが思わず応援したくなるうえに、自分もこんな生活を送ってみたいと思わせる作品だと思った。羽花は受け身な態度で誰かの助けを待つばかりではなく自分から変わろうと努力する様がかっこよくも美しいなと感じた。その成長を助ける周りの人物も非常に魅力的な人物ばかりでどんどん読み進めてしまう。
⑦『月のお気に召すまま』作:木内ラムネ
高校2年生の女子、亀井歩は、中学時代、後輩男子の滝島月にからかわれ続けていた。月が同じ高校に入学したことを知った歩は、今度こそ先輩面してやろうと決意する。騙されやすい先輩女子と、好きだからこそいじめてしまう、素直になれないイケメン後輩男子を描いたラブコメディ。集英社「別冊マーガレット」2018年12月号より連載を開始。また、連載開始前の読み切り版『月のお気に召すまま。』(「ザ・マーガレット」6月号掲載)を同時収録している。
新学期、高2女子の亀井歩が通う高校に、中学時代の後輩男子、滝島月が入学してくる。中学時代、歩は月にからかわれ続けていた。月は、世界一可愛くない後輩で、歩の悩みのタネだったのだ。何か企んでいるのかと警戒する歩に、月は素直に頭を下げる。あの頃は困らせてばっかりだったけど、また仲良くしてほしいというのだ。高校でこそは先輩面してやる。そう意気込んだ歩は、わからないことがあれば教えてあげると答えた。すると月は、どうしたらモテるか、と歩に尋ねる。歩は、彼氏いない歴=年齢の非モテ女子。一瞬焦るが気を取り直してモテ女子のフリをする。そんなわけでモテテクを練習することになった二人だが、月に「壁ドン」なんかされたら、歩は赤面してしまい、男子に免疫がないことがバレてしまう。困った果てに、とっさに歩の口から出たモテテクは「顔ドン」だった。すると、こうですかと言いながら、月は歩の頭を引き寄せ、自分の頭を軽くぶつけた。思わぬ攻撃に胸キュンしてしまい赤面する歩。正面からですかと追い打ちをかけてくる月に、あたふたしていると、不意に月が笑い出した。彼は歩をからかっていたのだ。中学時代から月は全く変わっていなかったのだ。こうして歩の悩ましい高校生活が始まることになった。
お笑い要素やキュンとなるシーンがいい塩梅で盛り込まれており、読んでいて楽しい作品であると感じた。月が歩を振り回してるように見せかけて、実は天然ヒロインに振り回されてるところが可愛いポイントである。また、1話ごとに完結するため隙間時間に読みやすく何かと忙しい現代人におすすめな作品である。
⑧『青春シンデレラ』作:夕のぞむ
高校生時代は地味であか抜けない印象の萩野紫苑は、就職してビューティーアドバイザーとなり、人をキレイにする仕事にやりがいを感じていた。仕事柄、紫苑自身も容姿に気を遣うようになり、男性から褒められることも多くなったものの、今から10年前の高校生の時、片思いをしていた長谷川に酷い言葉でふられたことがトラウマになり、未だに恋愛ができずにいた。そんなある日、飲み会に参加した紫苑は、ふとしたきっかけで過去のトラウマがよみがえり、高校生の恋愛を引きずっている自分に嫌気が差す。すると突然、紫苑は10年前の長谷川にふられた次の日にタイムスリップしてしまう。17歳当時の容姿に戻った紫苑だったが知識はそのままで、ビューティーアドバイザーとして身につけたメイク技術を活かして、あか抜けた大人っぽい女性に変身し、2度目の高校生活を送ることになる。そんな中、紫苑は親友の美月が、自分が片思いをしていた長谷川に思いを寄せていることに気づく。自分より美月の恋が成就して欲しいと願う紫苑は、二人をくっつけるべく奔走する。しかし紫苑は、昔のように長谷川の言動に胸をときめかせてしまうのだった。
少女漫画を読んで、自分もこんな学生生活を送ってみたいと思っていた時に見つけた作品。あの時に戻れたら、あの時こうしていたら、という後悔は誰しもあると思うが、この作品はそういった経験がある人におすすめな作品だと思う。タイムスリップして振られた相手に復讐というわけでもなく、どんどん綺麗になっていく主人公を見ることが出来るので、復讐ものに飽きてしまった人にもおすすめな作品である。
⑨『ReLIFE』作:夜宵草
前職を3か月で退職し、求職中の海崎新太。元々大学受験で2浪した上、大学院に進学していたため社会人経験やキャリアが乏しく、現在27歳で就活は難航する。これからの生活に悩む海崎の前にリライフ研究所の職員を名乗る夜明了が現れる。夜明は海崎を社会復帰させるとして、『1年間の高校生活を送る秘密実験』に参加することを提案する。
1年間の生活費とその後の就職先の紹介のために、リライフ検証実験に参加することを決めた海崎は、2度目の高校生活を送り始める。大学院まで卒業したはずの海崎だが、テストを受ければ全教科赤点で追試の連続になり、体育ではボール投げでは肩が回らず、徒競走では足が釣って転倒する始末。
2度目の高校生活に悪戦苦闘する海崎だったが、秀才だがコミュ障でボッチ女子の日代千鶴、勉強は得意だが運動音痴なチャラ男の大神和臣、ぶっきらぼうで努力家の狩生玲奈、編入生で天然系の小野屋杏……といった個性的なクラスメイト達と共に翻弄されつつも高校生活を送るうちに、海崎の内面だけでなく周囲にも変化が起こっていく。
前述した『青春シンデレラ』とは違い、27歳の男性が主人公ということもあり、どちらかといえば思考が現実的になる。リアリティのある描写に惹かれるが、周りの助けによって成長し、変わっていく姿に思わず応援したくなる。
⑩『ラン』作:森絵都
家族を事故で亡くし同居していた叔母も亡くした環は自転車屋の紺野さんと飼い猫こよみが安らぎだったが紺野さんたちも去ってしまった。そんな時紺野さんから譲り受けた自転車であの世とこの世のはざまに辿り着いた環は亡き家族と叔母に出会う。しかしそこへ行くのも自転車のおかげ。自転車を元の持ち主に返さなくてはいけない環は自力で行けるように走る力を養う為にランナーズに参加する。
するすると読む手が止まらない作品であると思う。「レーン」を超えるために40kmマラソンを始める環。苦しみ、あがきながらも強く成長していく環の姿を見て応援したくなる。
様々な過去をかかえ「今」を生きる人たちとの交流も興味深く、読むのが楽しい作品である。
⑪『ルックバック』作:藤本タツキ
小学4年生の藤野は学年新聞で4コマ漫画を毎週連載し、同級生や家族から絶賛されていた。ある日、教師から京本の漫画を掲載したいため、藤野の連載している内の1枠を譲って欲しいと告げられる。
藤野は不登校児である京本を見下していたが、京本の画力は高く、掲載された京本の漫画は周囲の児童からも称賛され比べて藤野の絵は普通だと掌を返すような反応をされる。
藤野は屈辱を覚えながら絵の本格的な練習を開始し、友人・家族関係にも軋轢を生みながらも努力を重ねていく。だが、そうした研鑽の果てにも京本の画力には届かず、3年生の時から続けた連載を6年生の途中で辞めて、とうとうペンを折ることになる。
序盤はとことん天狗になっていた主人公の鼻を折ってさらに踏みつけるような描写が続き、見ているのが苦しくなってしまうほどでしたが、京本に褒められてからまた絵を描くことを再開しほっとしたのも束の間、絶交にまで至ってしまうというストーリーの展開に振り回されました。しかし、それが辛くも面白い作品でした。
⑫『ちーちゃんはちょっと足りない』作:阿部共実
成績、お金、恋人、友達、いつも何かが足りない気がする中学2年生女子のちーちゃんとナツ。2人はクラスの中で成績優秀な友達・旭や、学級委員に助けられながらも、普通の日々を送っていた。そんなある日、ナツとちーちゃんは学校帰りに寄ったお店で、クラスの目立つグループの女子・藤岡から「万引きしねえ?」と声をかけられる。ナツはその場を上手くしのいだが、お金が足りずに買えなかった可愛いリボンが忘れられずにいた。後日、教室で女子バスケ部員が顧問の誕生日プレゼントを買うために、部員である藤岡から集金をしていた。その様子を目撃した旭は、「学校でお金のやり取りは危ない」と注意をしたが、部員達に煙たがられる。そして放課後、事件は起きた。
この作品は日常系のゆるっとした雰囲気を求めて手に取った作品だったが、驚かされることが多かった。表紙や最初のお話までは平和な日常系コメディのような展開が続くが、どんどん読み進めていくうちに人間の闇を描き始め、キャラクターの内面について深く切り込んでいく。そしてひとつひとつで完結する短編かと思えば、実は最後まで読むと全て繋がっていた、という驚きであふれている作品だった。
⑬『からかい上手の高木さん』作:山本崇一朗
中学校の同級生同士である「西片」と「高木さん」のやりとりを描くラブコメディ。高木さんが西片をからかい、西片は高木さんに仕返しをしようとするが、高木さんに見破られてしまうという2人の関係性を軸に、西片の視点から描かれている。各話を繋ぐ明確なストーリーはなく、西片と高木さんの間のひとつの出来事が一話に収められている。
終始高木さんにかなわない西片と絶妙な距離感で西片をからかう高木さんの様子にほっこりさせられる。たまに放つ意味深で小悪魔な高木さんの言葉にこちらもドキッとさせられる。中学2年生という思春期真っ只中の甘酸っぱい青春が楽しめる作品だと思う。
⑭『宝石の国』第一巻 作:市川春子
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。
宝石の美しさと脆さと強さを擬人化し、ドラマ化したSF作品。漫画というよりも、美術館に飾られている芸術作品に近いような特徴的な絵柄に一騎に引き込まれる。その美しさとはうって変わってとても重く苦しいストーリーに胸が痛くなる。
⑮『気になってる人が男じゃなかった』作:新井すみこ
イマドキの女子高生・あやは、一見すると派手なギャルに見えるけど、実は渋めの音楽好き。近所のCDショップに時々通って、そこで働く黒ずくめの「おにーさん」に会うのを楽しみにしていた。ミステリアスな「おにーさん」に惹かれ少しずつ近づくふたり。でも、その正体は地味で目立たないクラスメイトの女子・みつきだった――。これは、友情? それとも恋? Twitterで注目を集める女子高生の「愛情」をめぐる物語
Twitterで見かけたことがあり、気になって手に取った作品。好きなものがあってもともだちと分かり合えない苦しみともどかしさ、それがおにーさんと語り合えるようになって生き生きとするあや。あやとおにーさんを取り巻く登場人物の心理描写も良く描かれており、素敵な作品だと思う。
⑯『光が死んだ夏』作:モクモクれん
ある集落で暮らす少年、よしきと光。同い年の2人はずっと一緒に育ってきた。しかしある日、よしきが光だと思っていたものは別のナニカにすり替わっていたことに確信を持ってしまう。それでも、一緒にいたい。友人の姿をしたナニカとの、いつも通りの日々が始まる。時を同じくして、集落では様々な事件が起こっていき――。
「偽物でもそばにいてほしいと願うよしき」と「自分が何者なのかもわからないけれど、心の底からよしきのことが好きな偽物の光」の不安定で歪んだ友情が描かれている。この二人の心理描写が事細かに描かれており、感情移入できる作品である。また、この二人が入れ替わったことによって集落で次々と異変が起こり始めるというホラー体験もすることができ、ホラー×ヒューマンドラマという要素が詰まった作品である。
⑰『作りたい女と食べたい女』作:ゆざきさかおみ
小食&一人暮らしのため、作りたい欲をセーブしていた野本さんと、同じ階に住む春日さんに出会い、作った料理を振る舞ったことをきっかけに、二人が徐々に距離を縮めていく物語。 毎回、野本さんの料理がおいしそうなのは勿論だが、春日さんの食べっぷりが気持ちが良い。そして話が進んでいくにつれて女性ならではの悩みがちりばめられていて、女性の方は特に共感しやすい作品であると思う。
⑱『うるわしの宵の月』作:やまもり三香
滝口宵は女であるが、女子から「王子」と呼ばれ慕われている。宵自身も姫よりヒーローや王子の方がしっくりくると自覚をしていたが、それを望んでいるわけではなかった。ある日宵は市村にぶつかり、男と勘違いをされ、失礼だと思っていた。宵がコンビニで買い物中に酔っぱらいに絡まれた店員を助けていると、市村が加勢に入った。それがきっかけで市村と話し、お姫様だっこをされた宵は、はじめて女の子扱いをされて動揺するのであった。市村から「気になっている」と言われ、それ以降宵は彼のことばかり考えていた。宵の忘れ物をカレー屋まで届けに来たり、熱を出した宵に付き添いをした市村と接するうちに毒された宵は、ためしに付き合うかという彼の提案を了承する。しかし何も進展がなければ付き合う意味がないと市村に指摘された宵は考え直すも、見定めるために自分からデートに誘う。友人たちとの会話により、「本気の恋」について考えた市村も行動を起こす。
まず「王子」と呼ばれていることからもわかるように主人公の宵がとても美麗である。その綺麗な見た目に引き込まれるが、市村と関わり変わっていく宵の心も本作の見どころだ。王子っぽさも含めて自分を肯定してくれる市村が非常に魅力的なキャラクターで素直になれない宵と冷たくあしらわれてもめげずにアタックする市村の二人を応援したくなってしまう作品。
⑲『今日、駅で見た可愛い女の子。』作:さかなこうじ
可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランドが崩れにくい? あ〜〜教えてくれ〜〜〜〜! あなたが夢中になった「乙女アイテム」がたくさん登場!全人類Kawaiiが大好きコメディ!
女装男子×乙女アイテム博識おじさんの、すれ違い観察型コメディ!
かわいいものに精通しているアラフォー男性の亀山が、駅で見かけるかわいい女子高生(実は男子高生)の、持ち物や身に着けているものから一方的に思いをめぐらす考察コメディ。実際に商品化されているものが登場するので可愛いものがすきな人におすすめな作品。
⑳『恋せよまやかし天使ども』作:卯月ココ
『なんで私が撃ち抜かれてんの!!?』自分以外の誰かから求められる自分像を崩さないように、常に完璧美少女を演じてきた桂おとぎ。ついた学園での異名は、その名も’心撃の天使’。だけど、誰にも見せないヒミツにするはずだった裏の顔を、気になっていた完璧男子の一 刻(にのまえとき)に見られてしまう…。ところが、優しくて完璧だと思っていた一 刻にもヒミツにしていた裏の顔があった!!! その一面を知ってしまったおとぎは彼から「共犯」相手として気に入られてしまう。思わぬ展開に心が振り回されるおとぎは…!?どちらもギャップがたまらない! 完璧を装う男女のだまし合い(?)ラブ、始まる。
互いに普段の姿を偽りあっている美形なふたり。求められる理想像に応え、自分を偽っているも、ひょんなことから本性が刻にバレてしまい、刻の知らない一面を知ってしまうことから始まるラブコメディ。素直ではないふたりに心乱されながらも応援したくなってしまう作品。
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