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3年 飯森 RES
春休み課題1~10
1.『300〈スリーハンドレッド〉』
監督:ザック・スナイダー

スパルタ王のもとにペルシアから服従せよとの使者が訪れた。その使者を殺しスパルタ王率いるスパルタ300人とペルシア王クセルクセス率いる100万のペルシア軍との戦いの話。

高校の授業のころからこの実話をもとにしたこの作品をみたいと思っていてようやく見ることが出来た。公開した年が2007年にも関わらず映像がきれいで戦闘シーンは迫力があった。大味な作品と言われたらそれまでだが、不器用な男たちの生きざまを見ることが出来るので個人的には好きなタイプの映画でした。

2『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』
監督:モルテン・ティルドゥム

第二次世界大戦時にドイツが使っていた暗号を解読してイギリスを戦勝国に導こうとする主人公の数学者アラン・チューリングの人生を描いた映画。

この作品は実話ももとにして作られた話である。最初は独特の考えをもつチューリングについていけない他のメンバーがいたが徐々にチューリングの力を認めてついていき成果を出す過程が見ていてとても面白い。途中までは見ていてとても興奮するが、最後にはこの主人公の悲劇の実話を目にすると何ともいえない気持ちになる。

3『梨泰院クラス』
 制作:Netflix

犬猿の仲だった同級生により父を交通事故でなくしたセロイが人生をかけてその同級生と同級生の父親に復讐を誓う。そのためにセロイは梨泰院でタンバムという居酒屋を開き活路を見出していく。

1~2年前に流行っていたので見てみたが、ラスト4話目あたりまではとても面白く現実的にありそうな形で事業が展開されていき見ていて共感することが出来るがラスト3.4話が脚本家が変わってしまったと感じるほど、話が薄いにも関わらず急展開になってしまいひどく残念に感じてしまった。

4『グランドイリュージョン』監督:ジョン・M・チュウ
トリックを使い、悪いことをしてお金を荒稼ぎしているような人たちからお金をだまし取る現代の鼠小僧のようなストーリー設定になっている。どういうマジックを使ったのかの説明もされていたり、最後に大きな種明かしがあったりしていて最後まで楽しめる作品だった。

5『グランドイリュージョン 見破られたトリック』監督:ジョン・M・チュウ
1作目よりも規模や演出が大掛かりになり見ていてスカッとする作品だ。しかも途中に数メートル離れた仲間同士でトランプを渡しあうシーンがあるのだが、そのシーンは完全にリアルでやっているそうなので見ていてこんなことが現実にできるのかと驚いた。

6『人間失格 太宰府と3人の女たち』監督:蜷川実花
 人間失格を書く直前あたりの太宰を再現した作品。前からクズなような生活や人間性だと知ってはいたがリアルにするとここまでひどいのかと呆れた。文豪になるためにこのような行動をとることが許されたのは本当にその時代だから許されたたまたまの存在なのかもしれないと考えた。

7『ファンタスティックビースト』監督: デヴィッド・イェーツ
 ハリーポッターが出てくる100年ほど前の物語。今作品は魔法動物がメインに書かれていて、小さいころ夢に描いた魔法界の動物がいたらこんなだろうというイメージがそのまま登場しているので動物を見ているだけで楽しい。もちろん動物も魔法のような能力が使えるのでなおそこに注目してみてもいい。

8『ファンタスティックビーストと黒い魔法使いの誕生』監督: デヴィッド・イェーツ
 ファンタスティックビーストの2作目。今回から主人公たちの完全な敵キャラが登場するが、そのキャラはダンブルドアの親友でもあった人物。見ていて100年前にこんな戦いをしたにも関わらず、その100年後にはヴォルデモートと戦わなくてはいけないダンブルドアがかわいそうに思えた。

9『ファンタスティックビーストとダンブルドアの秘密』監督: デヴィッド・イェーツ
 3作目。正直今作品は面白味にかけたように思える。戦闘シーンも少なく、魔法動物も何となく登場させるぐらいだったのでこのシリーズでやる必要がある脚本だったのか疑問に思えた。

10『クイーンズギャンビット』監督: スコット・フランク
 ずっと見たかったネットフリックス独占配信のチェスの女王になる物語。孤児院から出発し自らのチェスの腕だけで世界へと羽ばたいていく主人公がたまらなくかっこいい。少し不器用で人付き合いがわるいにも関わらず、月日が経つごとに不器用ながら頑張って人に頼ろうとする努力も見えていて心温まる。
2022/06/01(水) 00:08 No.1852 EDIT DEL
yonemura RES
みなさん
 この調子で、100点目指して頑張ってください!
2022/04/18(月) 19:30 No.1851 EDIT DEL
新3年 髙田(梨) RES
1『エウロパの底から』小説
著者:入間人間
出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

 デビュー当時の勢いを失った小説家の「私」は、あることをきっかけに火がつき、新たな作品を書き上げる。しかし、「私」の小説と全く同じ事件が現実に発生する。

 本作は、SFを感じる作風でありながら、作者の自伝とも言えるだろう。若くしてデビューし、初期の作品が映像化されている点等において、「私」と作者は一致しており、自虐的な文章も見られる。
 事件の犯人と疑われた「私」は、小説を書いただけだと否定する。しかし犯人と疑われる以上に否定しようとしたものは未来予知の疑念だった。未来予知を小説にしたのであれば、それは自分の才能と呼べなくなるからである。自身の才能への不安と作品への誇りを持つ主人公に、自分を重ねる読者もいれば、作者を重ねる読者もいるのではないだろうか。

2『タコピーの原罪』漫画
著者:タイザン5
出版社:集英社

 ハッピー星から地球にやってきた宇宙人タコピーは、小学4年生の少女しずかをハッピーにするため奮闘する。

 いじめられっ子のしずか、両親の不仲が原因でいじめっ子になったまりな、優秀な兄と比べられることに悩む東は、それぞれが孤独を感じている。暴力や争いのないハッピー星で生まれたタコピーは彼らの境遇に戸惑い、過ちを犯しながらも、自身の力を尽くす。
 可愛らしい絵柄に反して生々しく描かれる暴力や家庭内の描写に心を抉られるが、本作の核はこのような辛い描写ではないと考える。タコピーはしずか達に「おはなし」することが何より大切だと話す。「おはなし」によって全てが解決するわけではないが、それぞれは孤独ではなくなる。家庭内の困難は抱えながらも、コミュニケーションを取り合って生きていくエピローグでのしずか達の姿は、本作の読後感を切なくも爽やかなものにするだろう。

3『メランコリック』映画
監督:田中征爾

 東大を卒業するも就職をせず、冴えない人生を送る青年・鍋岡は、高校時代の同級生・百合との再会をきっかけに銭湯で働くことになる。しかし、その銭湯は深夜に殺人を行うための場所となっていた。更に、先輩の小寺に加えて、同僚の松本が殺し屋であることを知ってしまった鍋岡の人生は変化していく。

 殺人が行われる銭湯という印象的なテーマを扱いながら、青年の普遍的な青春を描く作品。軽薄に見える松本ばかりが評価されることに不満を覚えていた鍋岡が、松本のことを知り、徐々に心を開く点などは、王道の友情ストーリーと言えるだろう。ハイリスクハイリターンな深夜の仕事を経て、ささやかな幸せを再認識する鍋岡の成長の物語でもあり、テーマに反して温かみすら感じる作品である。

4『ヒーリングっど♥プリキュア』アニメ
原作:東堂いづみ
アニメーション制作:東映アニメーション

 東映アニメーション制作「プリキュアシリーズ」17作目。
 地球を癒すヒーリングアニマル達は、病気を引き起こすビョーゲンズから地球を守るため、パートナーを探しに地球に訪れる。そこで出会った中学生・のどかは、病弱で入院続きの幼少期を送っていた他者思いの少女だった。パートナーに選ばれたのどかはプリキュアとなり、転校先で友人となったちゆ、ひなたと共に地球を守るため戦うことになる。

 本作で注目したいのは、中学2年生であるのどか達と、ヒーリングアニマル達の持つ悩みと解決である。のどか達の悩みは中学生の少女らしく、ヒーリングアニマル達の悩みはメインの視聴層となる幼稚園から小学校低学年に合わせたものと予想される。例えば、ひなたは周りと比べて自分が得意なものが分からず自信を失ってしまうが、のどか達に長所を教えてもらい、前を向く。ヒーリングアニマルのラビリンは、自分の好きなものが周りに笑われると思い、素直になれなかったが、正直に話すことで受け入れられる。
 このように、登場人物の年齢、メインターゲットとなる視聴層に分けたエピソードを描くことで、物語の深みと感情移入に繋がるのではないだろうか。

5『アイアムアヒーロー』映画
原作:花沢健吾
監督:佐藤信介

 ある日、謎のウイルスにより町中の人々が「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化す。冴えない漫画家アシスタントの英雄は、猟銃を使い、半ZQN化した女子高生・比呂美らと共に生き延びるために戦う。

 緊迫したアクションが魅力の作品。突如現れたZQNに対して、十分な策を取ることが出来ないままショッピングモールに籠城し、大量のZQNを相手にする英雄達の戦いは、多大な犠牲を伴い、間一髪のところで命を取り留めるものである。これを観る視聴者は固唾を飲むことだろう。
 また、冴えない地味な男である英雄が、勇気を出して行動する中で「ヒーロー」になっていく点も見所である。

6『忍者と極道』漫画
著者:近藤慎輔
出版社:講談社

 忍者と極道の対立は江戸時代から現代に至るまで続いていた。そんな中出会ったのは双方の後継者でありながら身分を隠している少年・忍者(しのは)と青年・極道(きわみ)。2人は互いの正体を知らないまま友人となるが、一方で忍者と極道の戦いは熾烈を極めて行く。

 大胆に描かれる忍者と極道によるバトルシーンが魅力。大人数が登場する戦いが多く、その豪快さと華やかさに圧倒されるだろう。
 また、そのような表現が多いからこそ、登場人物の孤独というテーマが際立つ。過去の出来事から笑うことが出来ない忍者(しのは)と、感情が動かない極道(きわみ)だが、それぞれの仲間の孤独に対する理解を誰より示すことが出来る。人情ものの側面を持つ作品でもある。
 このような両者の対立の中で2人の友情はどう変化していくのかが見所である。


7『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』映画
原作:J・K・ローリング
監督:デヴィッド・イェーツ

 魔法使いが人間に存在を隠して生きている世界が舞台。魔法動物学者のニュートがニューヨークに訪れた際、魔法動物の入ったトランクが人間のものと取り違えられてしまう。街に放たれた魔法動物達と、並行して発生する魔法による死亡事故にニュート達は奔走する。

 『ハリー・ポッター』シリーズの第1作目から70年前を描いた作品。魔法を使い料理をしたり建物を修復するシーンや、ニューヨークの街中に現れる魔法動物といった、日常の中に存在する魔法の演出に引き込まれる。
 また、本作だけでも完結する構成であると同時に、悪役・グリンデルバルドの思惑や、『ハリー・ポッター』シリーズにも登場するダンブルドアとの繋がりなど、過去作品を知っている人が楽しむことができ、続編への伏線にもなっている作品である。

8『スタンドバイミー』映画
原作:スティーヴン・キング
監督:ロブ・ライナー

 アメリカの田舎町に住む12歳の少年・ゴーディ、クリス、テディ、バーンは、性格は違えど仲の良い友達だった。ある時、行方不明の少年の遺体が森の奥の線路沿いにあるという噂を聞き、探しに旅に出かける。

 この作品は、大人になったゴーディが、クリスが刺殺された事件を知ったことで回想する語り手となる。一夏の冒険を繰り広げた少年達は、その後自然と疎遠になり、それぞれの人生を歩む。クリスの訃報により始まるこの物語には、過ぎた青春と友人との別れから感じられる切なさと同時に、当時の思い出の美しさを感じられる。

9『呪術廻戦0』映画
原作:芥見下々
監督:朴性厚

 幼い頃結婚の約束をしたが事故により命を落とした少女・里香に呪霊として憑かれている少年・乙骨は、里香の力により他人を傷つけてしまうことに苦悩していた。 
 しかし、その力を人のために使うことが出来ると告げられ、呪霊を祓う呪術師を育成する高等専門学校に入学する。

 自分は生きていてはいけないと自身を否定していた乙骨が、里香のため、友人のため、そして自分が生きても良いと思えるために行動するまでの成長を描いている。また、このような少年の変化を描きながら、「愛と呪い」も本作のテーマである。
 乙骨が願った結婚の約束は里香を呪霊として現世に止まらせたが、里香もまた乙骨を愛していた。そして里香の呪いを解いたものも、乙骨の愛だったのだと解釈した。

10『Doki Doki Literature Club!』ゲーム
開発:チーム・サルバト

 一人称視点で展開するノベルゲーム。高校生の主人公は、幼馴染のサヨリに頼まれ、部員が4人の文芸部に入部する。しかし、部員達にはそれぞれが抱える問題があった。

 PCを使用したノベルゲームという媒体を活かした構成が魅力のゲームである。
 序盤は部員たちとの関係を深めるストーリーだが、徐々にそれぞれの関係が拗れ、サヨリが自殺する場面から異変が始まる。ゲームの開始時点に強制的に戻り、サヨリがいないまま物語は進む。更に、選択コマンドのカーソルが動かなくなるなど、プレイヤーの動きに影響する変化が現れる。
 そして終盤、部長であるモニカから、この世界がゲームであると自分だけが気付いており、主人公すなわちプレイヤーという現実の存在に干渉していたことを告げられる。また、物語の進行に従ってPC内のファイルが変化する仕組みがある。メタフィクションの手法が取られていることが判明する衝撃を味わえるゲームである。
2022/04/12(火) 06:47 No.1850 EDIT DEL
新3年 吉川 RES
春休み課題20点(11~20)
11.『がっこうぐらし!』(アニメ) 制作:Lerche 原作:海法紀光(ニトロプラス)×千葉サドル
 巡々丘高校三年生、ゆきは天真爛漫な女子生徒である。ゆきとくるみ、りーさん、みーくんの4人は、めぐねぇが顧問を務める学園生活部で充実した高校生活を送っている。学校に寝泊まりし、そのまま教室へ行って授業を受け、部室で料理を作って食べるなど、賑やかで楽しい日常だったが、ある日学園生活部で飼っていた太郎丸が脱走してしまう。
この作品は、 アニメOPや演出を含めて、少女たちがほのぼのとした高校生活を送る姿を描いている第1話では全く想像がつかないホラー作品である。学校内で太郎丸を探し回り、先生や生徒と会話するゆきの底抜けに明るい言動と裏腹に、段々とBGMの曲調が崩れていき、雲行きが怪しくなってくる。みーくんの視点に切り替わると、ゆきが誰もいない教室で、そこには居ない人達と話していたことが判明する。最初は先生たちと話そうとしないみーくんが引っ込み思案なのだろうと感じさせるが、実際は何も無い空間に喋りかけろと言われていたのである。ゆきが見ている世界は幻覚・幻想であり、学校は窓も割れてボロボロで、学校内外にゾンビが蔓延る世界であることが1話終盤で明かされる。この作品の魅力はその大どんでん返しも含めた、全く先が読めない点、1話だけでも見返すと最初から奇妙な描写があったことに気付かされる点にある。全く先が読めない上、ゆきの見ているものが現実なのかどうか信用出来ないため、平和なシーンでもハラハラさせられ、面白い作品だ。ほのぼのとしたOP映像も、話数が進み真実が判明してくるにつれ殺伐としたものに変わっていく。

12.『サクラ色の傷痕』(漫画) 作者:かわちゆかり
父親は不在、母親のネグレクトによりある日突然自宅に置き去り・監禁された幼い姉妹、果乃と莉乃。母親が帰ってこない、食べるものが尽きた絶望的な状況で2人は助かるのだろうか。
暴力やネグレクトによって虐待を受ける姉妹を描いた作品である。5歳の姉、果乃は食事を十分に与えられなかった上、母親から落ちた食事を食べろと怒鳴られたことがあり、後に養護施設に保護された際に床に落ちた食事を手づかみで食べるというシーンではその行動が体に染み付いているようで痛々しく感じた。虐待によって心身共に傷を負っている果乃は、養護施設でも孤立し、友達が出来てもいじめられている。また、果乃は母親に虐待されても、母親を恋しく思っているという描写もある。こういったシーンから、幼い子どもへの虐待は、その子の人格が歪められてしまうのだということを強く感じた。無条件に守られるはずの子どもに次々と困難が押し寄せてくるため非常に心が痛んだ。

13.『竜とそばかすの姫』(映画)監督:細田守
幼い頃事故で母親を亡くした鈴はそのことがきっかけで歌うことが出来なくなってしまっていた。ある日、親友に誘われ、インターネット上の仮想世界「U」(ユー)に参加することになる。鈴は「U」の世界で、自分の分身となる「As」(アズ)を作り、ベルと名付けた「As」の姿で母の死後初めて歌うことができた。ベルは世界中の注目を集め、「U」での歌姫になっていく。
作中では挿入歌をベルが歌うシーンが多くあり、ミュージカルのような楽しさがある。インターネット上では「U」を荒らす竜というキャラクターを、たくさんのユーザーたちが似たような言葉で誹謗中傷する様子が多く描かれており、匿名の集団が有名人などの個人を誹謗中傷する現在のSNSの気持ち悪さを描いていると感じた。一方で鈴がベルになることによってトラウマが解消される(歌うことが出来るようになる)ように、現実の世界では様々な事情によって成し遂げることが難しいことでも仮想の世界であればそれができるというインターネットの可能性も描いている。鈴はベルの姿をやめても歌うことが出来たため、インターネットを介して現実の自分を変えられたのだろうと感じた。

14.『ラ・ラ・ランド』(映画) 監督:デイミアン・チャゼル
カフェで働くミアは女優を目指して数々のオーディションに挑戦するが、手応えが無いままの日々を過ごしていた。ルームメイトに誘われ、顔を知ってもらうためにクリスマスパーティーに参加することになるがうまくいかず、1人で帰宅することになる。途中で寄ったレストランにて、以前高速の渋滞で苦情のクラクションを鳴らしてきた男がピアノを披露している所に遭遇する。
ミアとセブが出会い、ミアが女優になる夢、セブが本物のジャズを世に伝える夢、それぞれの夢を追いかけつつ共に過ごすというストーリーが冬、春、夏、秋のパートになっている。ミア視点のセブに寄せる期待が描かれ、それの通りに2人が恋人同士になるといういわゆる普通のラブストーリーとなっている。秋の最後で、ミアのことを聞きつけた業界人からのオファーのオーディションをミアが受け、それに受かればパリに滞在することになることが告げられる。その次のシーンがいきなり5年後の冬となり、ミアは他の男性と結婚し子どもを持っていた。あまりの展開に驚いたが、ミアはパリで女優として大成功したようであり、その隣にセブはいなかったということになる。ミアが夫と偶然寄った店がセブの店であり、セブはそこで自分の夢を叶えていた。セブとミアがお互いに気づき、そこで2人について何もかも上手くいった場合の回想がされる。セブがミアに出会った時酷い態度をとったこと、ミアの劇の客席がガラガラだったことなど過去に起きたことなどが、セブはミアに出会ったとたんハグし、ミアの劇は拍手喝采、そこからミアとセブは結婚するなど都合の良いように書き換えられている。その2人が結婚した場合の完璧な物語と現実との差について考えさせられる作品となっている。また、セブとミアが結婚した場合にセブは夢を叶えられないこと、ミアは現在の夫をそこまで愛していないことが示唆され、現実は全てが上手くいくわけではないことに気付かされた。

15.『映像研には手を出すな!』(映画)監督・脚本:英勉
アニメが大好きで人並み外れた想像力を持っているが人見知りの浅草みどり、浅草の友人金森さやか、カリスマ読者モデル水崎ツバメの3人は利害の一致により映像研を立ち上げる。413の部活動と72の研究会の管理、統合を目論む大・生徒会からマークされている映像研だが、彼女らはアニメで「最強の世界」に挑戦する。
映像研のメンバーそれぞれの独特な性格がよく描かれた作品だと感じた。浅草や水崎が想像上で描いているイラストやアニメーションが等身大の線画が現れたように描かれている点が、溢れる想像力を表しているようだった。作中の冒頭に他のキャラクターが映像研を紹介するような形で映画のラストより後の時間軸となっており、本編はその時点より過去ということになる。本編では冒頭に至るまでの映像研の動向が語られ、そういった経緯の上「映像研には手を出すな!」というタイトルを回収していて面白いと思った。

16.『魔女の宅急便』(実写映画) 監督:清水崇
空を飛ぶ魔法が使える見習い魔女のキキ。魔女は13歳で1人立ちするというしきたりに則って、キキは猫のジジと共に修行のための町探しへと向かう。コリコ村に降り立ったキキは空を飛ぶ魔法を生かしてお届け物屋「魔女の宅急便」を始める。
この作品は角野栄子『魔女の宅急便』を実写映画化したものである。まず気になった点は舞台設定だ。日本の田舎にあるような建物や町並みに日本風の名前の人物が登場する。黒電話やラジオ、レコードがある時代の様だが風車のある西洋風にも見えるパン屋に、人が集う噴水がある広い公園、カバを運ぶ際の救命ボートなど時代、地域、テクノロジーがバラバラな印象を受けた。魔女が存在して、魔女を知っている世間というファンタジー世界と現代の日本のような世界が共存している点は好みが別れるだろうと感じた。動物園の飼育員の男が常に怒鳴っているが、少女のキキから見てよく分からないが怖い大人が1人はいるということを描いているのだろうと感じた。

17.『姫様"拷問"の時間です』(漫画)原作:春原ロビンソン 漫画:ひらけい
国王軍の姫様は捕らえられ、魔王軍の捕虜となってしまう。国王軍の弱み・秘密を吐かせるための姫様への“拷問”は避けられないだろう。姫様は"拷問"されてしまうのか、"拷問"に耐えられるのだろうか。
この作品は捕虜の姫様に主に美味しそうな食べ物を見せて食欲を煽る、いわゆる飯テロで"拷問"をする、ギャグ&ほのぼのストーリーである。"拷問"は飯テロの他に可愛らしい動物と触れ合いたい欲を煽ったり、楽しそうなゲームに混ざりたい欲を煽ったりする。姫様は毎回"拷問"に屈し、美味しい料理を食べたり動物と戯れたり遊んだりしている。拷問官の「姫様、"拷問"の時間です」というセリフから姫様が「屈する!」と言うのがテンプレ化しており、そこに喋る聖剣がツッコミをするという構図になっている。大部分は姫様が美味しい食べ物を美味しそうに食べるほのぼの漫画だが、そこに無生物が突っ込むという独特の面白さがある。色々とツッコミどころはあるが、剣が突っ込んでいるのが1番のツッコミどころだと思う。

18.『DUNE/デューン 砂の惑星』(映画) 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
アトレイデス家は高値で売れる有益なスパイスがとれる惑星アラキスを皇帝から与えられる。出世のように見えるが、それまでアラキスを統治していたアトレイデス家の宿敵ハルコンネン家と衝突させ、アトレイデス家、または両家を根絶させるための企みであった。
皇帝の企みの通りに、主人公ポール・アトレイデスの父、レト・アトレイデスは死亡する。アトレイデス家を継ぎ当主となったポールは命を狙われ、追っ手から逃れるため砂漠を旅する。この作品の魅力は、映像で描かれるSFの世界観だと感じる。虫の羽のようなもので飛ぶヘリコプターのような乗り物、広大な砂漠、砂虫、不可視のバリアの表現、軍の衝突のシーンでの戦車のようなものやレーザー光線など空想上のものも含めてかなり緻密に、違和感なく描かれている。このように本作はSFを描く技術が光る映像作品だったと感じる。話は主人公がようやくスタート地点に立った、という所で終わっており、続編が期待される。

19.『タコピーの原罪』(漫画7話まで)作者:タイザン5
ハッピー星から来たハッピー星人タコピーは笑わない少女しずかちゃんに出会う。タコピーはハッピー道具を使ってしずかちゃんを笑顔にするため奔走する。
学校ではしずかに対するかなり派手ないじめが起きているが、周りの大人が誰一人いじめを解決してくれない環境である上に、いじめを全く理解しないタコピーの明るさが不気味に感じられた。7話まで読んだが、いじめの主犯まりなが死亡した際しずかは目を輝かせて喜び、東とタコピーを自分の利益の為だけに使役するようになる。今まで被害者だったしずかは可哀想で助けてあげなければならない対象のように描かれていただけに、しずかが読者の想像する善意に溢れていて弱くて可哀想な少女では無かったことに新鮮さを感じた。しずか、まりな、東それぞれが家庭に問題を抱えており、登場人物の歪な倫理観が独特なホラーの雰囲気を作っていると感じた。

20.『万引き家族』(映画)監督・脚本・原案:是枝裕和
高層マンションの合間にある古びた平屋に治、信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀、治の母初枝の5人が暮らしていた。建設現場で働く治の収入、クリーニング屋で働く信代のパート代、初枝の年金で生活するも生活費が足りず、治と祥太は日常的に万引きを繰り返していた。
この作品を観始めた時の印象は、お金が無いからと言って子どもに万引きをさせるなんて酷い父親だ、と思って観ていたのだが、映画を観終わればこの父親を批難出来なくなるような気持ちにさせられた。この作品の見どころは、家族が事情聴取される場面だろう。映画後半のこの部分で全員に血縁関係が無いことが明らかになるが、歪な家族でも治の父性愛、信代の母性愛を感じさせられる場面となっている。冷たい声の事情聴取に対し、治の、万引きくらいしか教えられることが無かった旨の発言は、治が、祥太に与えられる精一杯の「父親」だったのだろうと感じられ、物悲しい気持ちになった。信代が事情聴取でお母さんと呼ばれたことはありますかという問いに涙するシーンは演技だと思えないほど惹き込まれた。治と信代は過去に殺人をしており、万引きが常習であるなど、人として確実に悪い部分を持っているが、翔太やりんに向ける愛情、家族の形は偽物ではないだろうと感じた。作中でも、彼らの家族像は血の繋がりがあっても虐待がある家族と対比されている。
2022/04/12(火) 01:53 No.1849 EDIT DEL
新3年 吉川 RES
春休み課題20点(1~10)
1.『BEASTARS』(漫画97話まで) 作者:板垣巴留
肉食獣と草食獣が共存し、人間のように生活する世界を舞台に、全寮制の学校チェリートン学園へ通う動物たちが描かれる。ある日草食獣のアルパカの生徒テムが何者かに食い殺されるという「食殺事件」が起こる。その後学園では草食獣の生徒と肉食獣の生徒の間に距離が生まれていた。
この作品は一見擬人化された獣たちの学園ストーリーのように見えるが、その裏では肉食獣と草食獣が共存することで起こる問題に焦点が当てられている。その問題というのは、常に草食獣が弱者の立場にあることである。例えば現実の社会で様々な要因によって生まれる弱者強者の構造が、この作品では種族によって固定され明確化されている点が注目される。主人公のレゴシは肉食獣のハイイロオオカミで、大型の体格、鋭い爪や牙など、種族として持ち合わせた暴力性を保有しているが、根暗であり、繊細な性格をしている。草食獣のウサギのハルに出会ったことで、彼女に恋愛感情を持つが、その感情が本当に恋愛感情なのか狩猟本能なのかわからないという描写があり、弱い立場にある草食獣の抱える問題だけでなく、本能を持て余す肉食獣の苦悩を描いている。作中、世間では肉食獣と草食獣が対等な関係を築いているかのようだが、誰も口に出さないだけで力関係が偏っていることを所々示しており、表面上問題無いように見えて差別が内在する社会をよく表していると感じた。

2.『おいしいコーヒーのいれ方』(漫画) (66話まで) 作画:青沼裕貴 構成:雀村アオ 装画・挿画:結布 原作:村山由佳
この作品は村山由佳の恋愛小説『おいしいコーヒーのいれ方』が漫画化された作品だ。双方の父親の転勤のためいとこの関係にある和泉勝利、花村かれんとその弟花村丈の3人は同居生活を送ることとなる。勝利は幼少の時以来会っていなかったかれんが知らぬ間に美しく変貌したのを目にし、次第に心惹かれていくことになる。
かれんと勝利は恋人同士になるのだが、いとこ同士の恋愛であるため二人の関係をかれんの母、勝利からすると叔母の花村佐恵子に打ち明けられずにいる。しかし、実はいとこ同士の恋愛という認識が間違いで、かれんは実の両親を亡くしており、花村家の養子として引き取られた子であったため、いとこ同士というレッテルは剥がされる。そうは言っても、かれんは自分が養子だということに気づいているものの、佐恵子はかれんがそのことに気づいているということを知らないという事情がある。そのため、依然として二人の関係は佐恵子に伝えられないままである。そのような事情を鑑みて、秘密にせざるを得ない二人の恋愛のストーリーに読者は引き込まれていく。厳密には異なるが、いとこ同士の恋愛という難しい題材を取り上げつつも甘酸っぱく爽やかな物語になっているのは、かれんの年齢に見合わないほど純粋で素直なキャラクター像にあるだろう。

3.『からっぽのアイネ』(漫画) 作者:折山 漠
アマチュア弦楽チームで中心的な存在であり、チームで「海の見えるホールで演奏をする」という目標を定めた相根小夜子の死により、チームはバラバラになってしまっていた。2年後、バイオリンはもう弾かないと決めた吉識律の前に、相根小夜子の記憶を持つ少女、二瀬愛音が現れる。
物語は相根小夜子が他界して2年後から始まり、主人公の吉識が過去にバイオリンを弾いていたこと、二瀬愛音が自身の記憶を無くしており、代わりに相根小夜子の記憶を持っていることが語られる。二瀬の望みは、相根が結成した弦楽チーム「クインテット」のメンバーを再会させ、相根の目標だった「海の見えるホールで演奏をする」事を叶えることである。2年前のクインテットは相根の死がトリガーとなり崩壊することになったが、実はそれ以前からメンバー内ですれ違いが起きており、間接的に相根の死亡事故の原因となっていた。そのため元メンバーはクインテットと向き合うことが出来ずにいた。バラバラになった彼らを引き合せるのが、相根の記憶を持つ二瀬である。記憶を持っているとしても、相根のしようとしていたことを、全くの他人である二瀬が引き継ぐと宣言していることに違和感があったが、クインテット再会、メンバーそれぞれ個人の抱える問題を解決したのち消化不良だった相根の一件を清算し、二瀬は二瀬の人生を歩んでいくという結末に落ち着いた。変わった設定で物語が始まったため最初は物語に入り込むのに難儀したが、話が進むにつれ謎が理解に変わっていくのを楽しむことが出来た。物語のハードさが柔らかめの絵柄でカバーされ、寂しく儚い作品となっている。

4.『おくることば』(漫画) 作者:町田とし子
男子高校生の佐原はある日交通事故で死亡する。しかし、その事故は幼なじみの少女千秋によって起こされたものだった。なぜ千秋が佐原を殺したのかはわからないままだが、幽霊になった佐原はほかのクラスメイトに事件の真相を伝えるため奔走する。
第1話で主人公・佐原が死亡し、彼を道路に突き飛ばして殺したのが千秋とされる。佐原が死亡しているのにも関わらず、千秋は不気味な笑顔を浮かべるのだが、ここの描写がホラー漫画の悪霊のようなタッチで描かれており、千秋はなにを企んでいるのかと恐怖を感じさせる。話が進むにつれて、主人公の自己中心的な性格が判明し、過去によく遊んでいた少女みったんが佐原のせいで事故にあったという記憶を思い出す。そして、佐原は千秋に殺されたのではなく、交差点にみったんを見た佐原が衝動的に飛び出したことで事故にあっていた。千秋の不気味な笑みの正体は幼い頃祖母が亡くなる際に笑っていて欲しいと言われて感情表現の仕方が偏ったためであり、悲しくつらいからこその微笑みだったのだ。みったんの事故を思い出した佐原は病院で目を覚まし、みったんが目を覚ましたのを目撃した千秋が涙を流して物語は幕を閉じる。基本的に読者は主人公の視点で物語を読み進めるが、その主人公がズレた感覚の持ち主だったという点がこの作品の注目される点だろう。確かに千秋の笑顔の表現は殺人を想起させるが、それを見ているのは千秋に殺されたと思い込んでいる佐原である。このようなミスリードが多くあり、間違っているのは主人公側である読者側だったのだという驚きがある。千秋の感情表現の問題も、みったんが目覚める感動的なシーンで回収されており、3巻完結の作品ではあるが美しい終わり方だったと感じる。

5.『進撃の巨人』アニメ60話から81話(アニメ シーズン4、5) 制作:MAPPA 原作:諫山創
エレンの父の地下室で巨人の秘密を知ったエレン達は、幼少期の夢だった壁の向こうの海を見ることを達成した。その海のさらに向こうでは戦争が続いていた。マーレの少年兵ガビは銃弾が飛び交う最前線へ身を投じる。
 シーズン4では、世界では戦争が続いており、マーレが巨人を利用して他国を制圧している状況が語られる。マーレの兵力である巨人の力を継承するマーレの戦士候補生であるガビは正義感が強く、マーレに住むエルディア人としての誇りを持っており、マーレ側に偏った教育を信じているため、壁内のエルディア人を島の悪魔として憎んでいる。シーズン4の注目すべき点は、ガビが悪魔として疑わなかった壁内人類が、自分たちと変わらない普通の人間だと気づくまでの過程にあるだろう。ガビが壁内人類を憎むのは、大昔に大罪を犯した島の悪魔が存在しているせいで大陸にいる善良なエルディア人までもが迫害されているのだという思想のためである。実際はマーレ側からするとガビも含めた全てのエルディア人が巨人になることが出来る怪物だと認識されている。ガビは幼いころから施されたマーレの教育を疑うことなく受け入れ、マーレの策略の駒となっていき、島の悪魔だと思っていた複数人を強い憎しみをもって殺害している。マーレのレベリオ収容区で混乱が起きたときサシャを殺害し、捕虜として捉えられて逃げた先でサシャの故郷の人間に世話になる。マーレ人捕虜ニコロが経営するレストランで、ガビがサシャを殺した張本人であることが暴露され、その場の全員がサシャと親しかったという状況の中で、サシャの仇として殺されそうになる。サシャの父ブラウス氏はガビを許し、ガビを許せないカヤがナイフを手に取りガビを罵る。ここでガビは自分が島の悪魔だと思っていたものは居なかったことを理解する。島の悪魔を連呼する嫌な役として描かれていたガビだったが、このような少女を作ったのはマーレの政策であり、この一連の出来事で、偏った思想を持つことの危険、純粋な子どもに偏った思想を植え付けるプロパガンダの危険性を考えさせられた。真の意味では彼女に罪はないのだと感じる。

6.『東京リベンジャーズ』(アニメ) 制作:ライデンフィルム 原作:和久井健
 26歳フリーターとして華が無い生活を送っていた花垣武道は中学時代の彼女だった橘日向とその弟橘直人が犯罪集団東京卍會の抗争に巻き込まれ死亡したことをニュースで知る。翌日、タケミチは何者かによって駅のホームに突き落され死亡したかと思われたが、中学時代の走馬灯を体験し、その時代のナオトと接触することで現代での死を回避していた。走馬灯と思われたタケミチの体験はタイムリープだった。タケミチとナオトはヒナタを救うべく奔走する。
 タイムリープを利用してヒナタを助けるのがタケミチとナオトの望みだが、何度過去に干渉してもヒナタの生存ルートにならないことと、24話でキサキが涙した理由が謎のままである。作品はヤンキーものという題材にふさわしい友情・裏切りの描写や底辺から地位を得ていく成り上がりストーリーとなっており、ヤンキーの底辺のタケミチが根性を見せたことで東卍の総長マイキーに気に入られる点がその一つに挙げられる。8・3抗争での誰が敵かわからない状況や血のハロウィンでのバジの仲間を思う気持ちなど、波乱万丈なストーリーに魅力を感じた。

7.『ミッドサマー』(映画)監督:アリ・アスター 制作:ラース・クヌーセン、パトリック・アンデション
心理学を専攻する大学生ダニーは恋人のクリスチャンに依存しがちであり、クリスチャンは内心面倒に思いながらもダニーに別れを告げられずにいた。クリスチャンとその男友達4人は、そのうちの一人ペレの生まれ故郷であるスウェーデンのホルガ村に旅行をする計画を立てていた。その話を聞いたダニーもついて行くことになり、6人はホルガ村へと向かう。
この作品はアリ・アスターのホラー作品であり、優しく明るい住民が暮らすホルガ村という舞台で奇妙な恐怖を演出している。村の全員が朗らかで、白い衣装を着ており村特有の雰囲気を纏っていることで、全く知らないコミュニティに身一つで投げ出されたような不安を煽る。人を平気で、それも残酷な方法で生贄にするなどのホラー描写があるが、それ以外に前述のようなあからさまに「ホラー」といった描写が無いところでも恐怖を感じさせるような演出がこの作品の魅力だろう。
 
8.『テルマエ・ロマエ』(映画) 監督:武内英樹 原作:ヤマザキマリ
古代ローマ人の浴場設計技師が、現代の日本の銭湯にタイムスリップする。現代の風呂文化に衝撃を受けた彼は古代ローマに戻った際、その風呂文化を真似た入浴場を設計し、大注目を浴びる。
この作品はコメディものであり、現代の日本人があたりまえに使っている銭湯の細かな部分に古代ローマ人が驚愕し、彼なりの真面目な分析をするが現代人の感覚とはズレているという点が笑いを誘う。日本人だが濃い顔の持ち主の阿部寛が主演を務め、作中彼が日本人を見た時に「平たい顔」と驚くシーンはよく知られている。このシーンでは裏を返せば阿部寛の濃い顔が揶揄されており、そういった流れのギャグがところどころ見られる。

9.『翔んで埼玉』(映画) 監督:武内英樹 原作:魔夜峰央
田舎や田舎者に対する激しい差別が行われている東京の名門校、白鵬堂学院に、容姿端麗、学問・スポーツ共に優秀な男子学生、麻実麗が転入してくる。都会的な姿や言動から、学院の生徒たちは麻実を慕うようになる。しかし、彼は学院の生徒たちが忌み嫌う埼玉県民だった。
この作品は「都会感」が誇張された東京都に住む東京都民が「田舎感」が誇張された埼玉県に住む埼玉県民を差別する世界観であり、埼玉県民の麻実麗が差別をなくそうと奔走する物語である。東京都民が埼玉県民を埼玉県人と呼んで差別するだけでなく、埼玉県民は千葉県民から海が無いことを罵られたり、茨城県民は格上の埼玉県民に強制労働させられたり、群馬県は秘境の地とされているなど、関東での覇権争いがネタにされている。「わかる人にはわかる」ブラックな笑いが多く盛り込まれている点がこの作品の魅力だろう。

10.『ザ・ファブル』(漫画) 作者:南勝久
裏社会の人間から「ファブル」と呼ばれる伝説の殺し屋がいた。彼はボスからの命令で佐藤明という名前を貰い、仕事仲間だった佐藤洋子という名前を貰った女性と兄妹という設定で一切殺しをせず、一般人と変わらない普通の暮らしをするという任務を受ける。
主人公の佐藤明は殺しのプロであるが、IT技術の進歩などの時代の流れによって、彼の持つ殺しの技術が通用しなくなる恐れがあった。そこで、明を気に入っているボスが、彼を「処分」せずに済むように一般人の暮らしをせよという命令をしたのである。この作品は、明が「プロとして」という言葉と共に一般人の振りをすること、つまり命令を忠実に守ること自体に誇りを持っており、あくまでプロの殺し屋として一般人を演じているという点が面白い。暴力団「真黒組」とのトラブルが起こるなどした際、本来は敵にもならないような実力差があるにもかかわらず、わざと拳を食らったりする。明の持つ天然なキャラクターと「最強の殺し屋」という二面性が作品の土台になっている。
2022/04/12(火) 01:51 No.1848 EDIT DEL
新4年 橋本 RES
11『女王オフィーリアよ、己の死の謎を解け』(小説)
著者:石田リンネ

若く麗しき女王オフィーリアは、ある日何者かに首を絞められ殺された。理想の妻、理想の女王であるため努力し耐えてきた彼女はとうとう幸せになれなかった。しかし、死の瞬間、彼女は何者かの声を聞く。声の持ち主によると、オフィーリアは妖精王の王冠の呪いによって十日間だけ生き返ることができるという。「さぁ、言ってごらん。君の最期の願いを!」
――私は、私を殺した犯人を知りたい。
恋する愚かな小娘は死んだ。十日間好きに生きると決めた女王は、自分を殺した者を暴くため奔走する。

夫も弟も大臣も自分の死を見て悲しまないどころか喜んですらいる。その姿を見た女王が、かつての優しさや穏やかさを捨て、強い女王として再臨し平手打ちをかましていくファンタジー推理小説。呪いによって生き返るというファンタジー要素はあるものの、冒頭に国王の部屋の地図があるなど推理色も強い。推理を進めながら、彼女のことを侮っていた人物たちに一泡吹かせに行く爽快感のある展開になっている。


12『榮国物語 春華とりかえ抄』(小説)
著者:一石月下

榮国地方に生まれた双子にはこのような噂がある。「姉は絶世の美女、弟は利発な有望株」。この噂が皇帝の耳に入り、姉の春蘭は後宮入りが決まり、弟の春雷は科挙を受けることに。しかし、実際は姉が利発なしっかり者で、弟が気弱で刺繡が得意な美人だった。二人は互いに苦手な環境に身を置くことを拒み、人生を入れ替わることを決意する。姉春蘭は春雷として科挙を受け、弟春雷は春蘭として後宮に入り、得意分野を生かしつつ役目をこなすが、二人は次第に国に関わる問題に巻き込まれていく。

後宮は女の園で、科挙を受けることができるのは男だけ。春蘭は科挙合格し枢密院に所属することになるが、もちろん男だらけの職場である。春雷は姫と、春蘭は気難しい上司の男と、性別がばれないようにしながら信頼関係を築くことになる。顔の似た双子であり思考回路も読める二人だからこそ、作中で入れ替わりを繰り返しながら問題解決に動く点、そしてそれによって生まれる人間関係が面白い。


13『コレットは死ぬことにした』(漫画)
著者:幸村アルト

薬師のコレットは助けを求める患者の声に応え、日々身を粉にして働いていた。休む暇がなく疲れ切ったコレットが思わず飛び込んだ先は井戸の底。そこにあったのは冥王ハデスが治める冥府だった。ハデスもまた具合が悪そうで、放っておけないコレットは冥府でも治療を開始する。

命を預かる薬師が羽を休める場所は、死んだ魂を裁く冥府。コレットがハデスと信頼関係を築くにつれ、神様との関わりも増えていく。どんな相手であろうと誠実に治療しようとするコレットの姿勢は揺らぐことはあれどまっすぐ前を向いており、読んでいると励まされるような作品。神話との関連も深く、神話を良く知った上で読むとまた新たな発見があるだろうと考えられる。


14『幻国の菓子使い』(小説)
著者:文月あかり

老舗和菓子店の娘である佐倉杏は、両親の死をきっかけに家を追い出され、和菓子職人を目指してアルバイトをしていた店でも佐倉の娘と知られてしまい邪険に扱われていた。そんな中、ある日父と母が眠る墓がある山に行ったことをきっかけに、杏は異世界へと迷い込んでしまう。その異世界には魔女にお菓子を捧げる祭典があった。魔女を満足させることができなかった国は滅ぼされてしまうというその祭典を間近に控える王国で、杏は騒動に巻き込まれていく。

神隠し×和菓子×異世界×魔法という和と洋が入り混じった異世界トリップもの。杏は異世界トリップについて多少知識がありオタク文化にも触れたことがあるようで、現代人らしい。異世界に行っても魔法が使えるようになるわけではないが、和菓子が好きだという気持ちを持ち、異世界で最初に出会った騎士スピカとギスギスしながらも協力することで、孤独と向き合っていく作品であると感じた。


15『恋に至る病』(小説)
著者:斜線堂有紀

宮嶺は、誰からも好かれている同級生である寄河景にどうしようもなく恋をしていた。優しかった彼女が徐々に変貌し、自殺教唆ゲーム『青い蝶』のマスターになり、罪悪感すら持たず150人以上の人間を間接的に殺してしまっても。
「世界が君を赦さなくても、僕だけは君の味方だから」
これは、宮嶺が、いかにして寄河景という化物を愛するようになったかの物語。

帯にどんでん返しという言葉があったため手に取った作品。いじめや痛みの中で生まれた歪な愛をいつまでも大事に大事に抱えた人間の話だったように思う。しかしながら、私はこの作品の本筋の解釈がうまくできなかった。あとがきに解釈のための材料は物語の冒頭から最後までにいくつもあると書かれているため、誰かに読んでもらい解釈を聞いてみたいという願望がある。


16『○○○○○○○○殺人事件』(小説)
著者:早坂吝

これは、作者から読者への挑戦状である。
主人公・沖健太郎の語る事件を読み解きながら、事件の真相とこの本のタイトルを当てることが、この本の楽しみ方である。

ネタバレをすることが憚れるため詳しいことは書けないが、何が来ても許せる人にしかおすすめできない。しかし、タイトルの○には対応する文字数のことわざが入るようになっており、推測することが難しくなく、トリックや犯人の推理が苦手な人でもタイトル当てから入ることで楽しめる作品になっている。また、冒頭や途中に作者が語りかけてくるような部分があり、作者との距離が近い点も新感覚だった。


17『Four Eyes 姿なき暗殺者からの脱出』(小説)
著者:SCRAP&稲村祐汰

元ヤクザの探偵は、過去の因縁を持ち出され、とある依頼を受けることになる。人を殺しては左目をくり抜き集めているという連続殺人鬼『コレクター』。次々に待ち受ける謎を解いていくことで、探偵はコレクター事件の真相へと迫っていく。

リアル脱出ゲームを手掛ける会社が作った体験型謎解きミステリー小説。ミステリー小説に謎が組み込まれており、解きながら読み進めるようなシステムになっている。解答の直前に重大な手がかりが描かれており、それによって背筋が寒くなるような衝撃を得たこともしばしばあった。大きい事件を追う途中で小さい謎を解いていく形式になっているため、謎が解けたときのすっきりした感覚が得られる場面が多く、ミステリー小説を推理しながら読む人には特におすすめ。


18『悪役令嬢、セシリア・シルビィは、死にたくないので男装することにした。』(小説)
著者:秋桜ヒロロ

セシリアは、五歳の時に義弟と出会い、前世の記憶を思い出す。義弟は乙女ゲームの攻略対象であり、自分は主人公の恋敵にあたる悪役令嬢。そして、自分に待ち受けている未来は『苦しみながらの死』か『一瞬の死』だけであることを…。攻略対象の一人、二年後に婚約者になる予定の王太子と本当に婚約者になってしまえば死が近づく。女性だけが選ばれる神子候補になっても死が近づく。それなら男になってフラグ回避しよう!
こうして問題の年、十七歳になったセシリアはセシルという男として学院に通うことになるが、イベントを間違えたり予想通りに行かなかったり問題に首を突っ込んだり…果たしてセシリアは死亡フラグを折りきって平和な生活を手にすることができるのか。

悪役令嬢関係なく死にやすいのでは?という世界観の転生悪役令嬢もの。主人公はお人よしで行動力があり人を惹きつけるタイプで、義弟とは前世のことを含めて秘密を共有しているほど仲が良く、学院中の女子生徒からは『王子様』と呼ばれるほどの人気ぶり。しかし、神子というシステムや、殺人鬼(キラー)の存在が平和な日常を許さない。次から次へと迫る死の危険を協力することで回避しようとする展開が魅力であると考える。


19『ジャックジャンヌ』(ゲーム)
監修:石田スイ 製作:ブロッコリー

立花希佐(デフォルトネーム)は、兄である継希の舞台を観てユニヴェール歌劇学校に入学したいという夢を持った。しかし、ユニヴェール歌劇は男性歌劇の最高峰。学校も男子校であり、女子である希佐は入学することができない。兄は学校を卒業後失踪し、希佐は夢を諦めて中卒で働きに出る…はずだった。ある日突然目の前に現れたユニヴェール歌劇学校の校長は、条件付きで希佐に受験資格を与えるという。
「立花継希は天才だった。お前はどうだ?」
女だとバレないようにすること、周囲と友好関係を築くこと、そして、ユニヴェール公演で主役になること。この三つの条件を心に留めながら、希佐は憧れのユニヴェール歌劇学校で夢を叶え続ける。

パラメーターなどの条件を達成するとクリスマスにキャラクター別ストーリーに分岐する構成になっており、分岐先には恋愛要素があるため乙女ゲームに類する作品であると言えるが、誰とも分岐することなく進む主人公ルートに関しては乙女ゲームではなくスポ根と言って差し支えないような内容になっている。同じクラスであるクォーツの生徒6人分のストーリーだけでなく、細かいエンドもたくさんあり、メイン6人+主人公ルートを180時間以上かけてクリアした現在でも全体の68%しか読めていないという大ボリュームさである。ゲーム内で5つの公演を観ることができ、ダンスパートや歌唱パートではリズムゲームを行う。歌の完成度の高さも大きな魅力である。乙女ゲームを避けている人にも主人公ルートだけでも見てほしいと言いたくなる作品。


20『ジャックジャンヌ 夏劇』(小説)
原作・イラスト:石田スイ 小説:十和田シン

ゲーム作品『ジャックジャンヌ』の中でも特に夏公演を中心に据えた小説。希佐が所属することになったクォーツというクラスで共に学生生活を送っている同級生や先輩が希佐に見せなかった姿を描く。希佐視点で進むゲームとは違い、そのキャラクターの心情をダイレクトに知ることができる。

ユニヴェールでの日常、キャラクターのプロフィール、本編に出てこない物語や舞台など、ゲームのファンならば見逃せないエピソードが詰め込まれている。この小説を見た後ゲームをプレイすると、キャラクターの心情をより深く読むことができたり、学校生活以外の日常の解像度が高まりより深くゲームの世界に入り込むことができる。
2022/04/12(火) 01:01 No.1847 EDIT DEL