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市川諒斗 RES
1、春期限定いちごタルト事件 米澤穂信
「あらすじ」
小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。二人は今日も手に手をとって清く慎ましい小市民を目指す。

まずこの小説はミステリではあるが出てくる謎や事件はどれも客観的にみても日常において大した問題ではない。大げさに言って事件ではある。無くしたポシェットを見つけるその程度のことだ。しかし、何故それは起きたのか、周りを取り巻く環境、関係者の言動、すべてを合わせた時に「その程度」のことと考えていたことが紛れも無いミステリに思えてくる。

2、夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤穂信
「あらすじ」
小市民シリーズの第二弾。高校二年になった小鳩君と小山内さん。小市民を目指す二人の夏の話。

今作では小鳩君と小山内さん二人の関係に変化が起こる。小市民を目指すという共通の目的のもと結んでいた互恵関係を解消することとなる。これに至るにあたってもそれを未然に防ぐことが出来た。しかし、小鳩君は出来なかった。さらに二人のこの関係についての考え方の違いも間接的に感じられる。言葉を詰まらせながら話す小鳩君とあっさり淡々としている小山内さん。互恵関係に少しの以上を求めていた小鳩君が見て取れる。

3、秋期限定栗きんとん事件 上下 米澤穂信

「あらすじ」
小市民シリーズ第三弾。互恵関係解消した小鳩君と小山内さん。今作では主に小鳩君と新たに登場した堂島という二人の視点で進む。

今作では主に堂島が連続放火魔に挑む過程が描かれる。しかし、最終的に事件は小鳩君の推理によって暴かれる。真相が解明されるシーンにおいて堂島は犯人を捕まえることを急ぐあまり誤った推理を披露してしまうが、謎を解くことに重点を置いた小鳩君は冷静に推理を行う対比が描かれる。
小鳩君と小山内さんの互恵関係にも新たな変化が見える。

4、冬期限定ボンボンショコラ事件 米澤穂信

「あらすじ」
小市民シリーズ第四弾。高校三年になった小鳩君はある日ひき逃げに遭い、病院に運ばれる。
小鳩君と小山内さんの出会いから事件までを描く。

今作では主に病室のベッドの上で物語が進行する。事件の後犯人を突き止めると同時に二人が出会うきっかけとなった事件を回想するシーンが交互に語られる。きっかけとなった事件と今回の交通事故との関係が明かされたシーンでは手に汗握るものになった。
また、互恵関係でしかなかった二人の関係にも変化がおとずれ、やがてその存在を求めあうような関係に変わる。
2025/10/01(水) 00:21 No.2131 EDIT DEL
2年 成瀬 RES
①『国宝』(映画)
【あらすじ】
任侠の一門に生まれた喜久雄は15歳の時に抗争で父を亡くし、天涯孤独となってしまう。喜久雄の天性の才能を見抜いた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は彼を引き取り、喜久雄は思いがけず歌舞伎の世界へ飛び込むことに。喜久雄は半二郎の跡取り息子・俊介と兄弟のように育てられ、親友として、ライバルとして互いに高めあい、芸に青春を捧げていく。そんなある日、事故で入院した半二郎が自身の代役に俊介ではなく喜久雄を指名したことから、2人の運命は大きく揺るがされる。

【考察】
芸を極めることの代償、なにが正解なのかわからない世界でもがき苦しみ、それでも舞台に立ち続ける。伝統文化である歌舞伎において重要視される血に振り回されつつも、空っぽでなにもなかった喜久雄がどんどん吸収していき、言い方は悪いが怪物のようになるのが印象的だった。人間国宝の役で出てきた万菊の喜久雄や俊介に対する温かさと圧倒的な存在感が素晴らしいなと思った。あと玉三郎さんのような目を惹くような鷺娘に感動した。

②『いつかは賢いレジデント生活』(ドラマ)
【あらすじ】
『賢い医師生活』に登場したユルジェ病院の分院・鍾路ユルジェ病院の産婦人科を舞台に、レジデント(専攻医)1年目の4人が悪戦苦闘しながらも成長していく姿を描く。

【考察】
賢い医師生活のスピンオフ版として配信されているもので、レジデントと言っているように研修医たちの話になる。うまく行かず失敗を繰り返して、辞めたいや逃げたいなど、たくさんの弱音を吐きながらも成長していく姿に勇気をもらった。人間らしさマックスで見やすい作品だった。

③『ロマンティックキラー』(アニメ)
【あらすじ】
恋愛に全く興味がない女子高生・星野杏子が、魔法使いリリによって「恋愛エネルギー」を生み出すプロジェクトに強制参加させられる物語。大好きなゲーム、チョコ、猫という「三大欲求」をリリに没収された杏子は、次々と現れるイケメン男子たちからの「ロマンティック・トラップ」を回避するために奮闘しますが、その過程で彼らにも変化が訪れる。

【考察】
少女漫画のあるある展開がたくさん、でも全く靡かない杏子とイケメンたちと魔法使いリリの掛け合いのテンポが良かった。薄いイケメンではなく、キャラ設定がしっかりしてあるクセの強いイケメンばかり、今の所は誰にも落ちていないが果たして誰かと恋をするのか気になるところではある、映画に期待

④『エミリー、パリへ行く』(ドラマ)
【あらすじ】
シカゴのマーケティング会社で働くエミリー・クーパーが、 上司の代理でフランス・パリのサヴォワールに転勤することになり、夢のパリ生活を開始する物語。エミリーはアメリカとフランスの文化の違いに戸惑いながらも、フランス語が話せないことや、現地の同僚の反発に直面しながらも、SNS戦略の刷新に奮闘。さらに、隣人のシェフ、ガブリエルとのロマンスや、歌手を目指す友人ミンディーとの友情を築きながら、仕事と恋愛、友情に情熱を燃やす姿が描かれる。

【考察】
アメリカとフランスの文化の違いから起こる問題に戸惑いながらも時には楽しむ。仕事ではエミリーの斬新なアイデアに興味を惹かれ、どんどん仕事を任されていく姿や、時に恋も仕事もうまく行かず悩んでいる姿がリアルだと思ったし、なによりどこを切り取っても映える街並みなのに、シリーズ1ではまるで拒絶されているように感じているところに苦しさを感じた。シリーズを重ねていくごとにパリを本当に好きになっていくエミリーが素敵だった。見た後はどこかスッキリできる作品

⑤『気象庁の人々 社内恋愛は予測不可能!?』(ドラマ)
【あらすじ】
気象庁で働く優秀な予報官チン・ハギョンが、結婚を控えていた恋人の浮気で破談になり社内恋愛を避けると誓うが、天気にしか興味がない自由奔放な新入社員イ・シウと出会い、再び予測不能な恋に落ちるというラブコメディです。

【考察】
韓国ドラマあるあるのぶっ飛んだ設定ではなく、ありそうな現実味のあるストーリー。気象庁を舞台に進む話でこういうところをみて予報出しているんだと勉強になった。社内恋愛の難しさ、仕事と家庭の両立など本当に現実的な考えさせられる場面が多かった。天気を各話のタイトルに模してるのも粋

⑥『グランメゾン東京』(ドラマ)
【あらすじ】
木村拓哉演じる型破りなシェフ・尾花夏樹が、パリで二つ星を獲得するも慢心から全てを失った後、鈴木京香演じる女性シェフ・早見倫子と出会い、日本で三つ星レストラン「グランメゾン東京」をオープンして世界最高峰のミシュラン三つ星獲得を目指す物語

【考察】
大人が真剣に夢を追いかけるってかっこいいと思った。展開はまあ読めるがそれでもそこに辿り着くまでの努力がすごい。

⑦『ロストケア』(映画)
【あらすじ】

老人と訪問介護センターの所長の死体が早朝の民家で発見された。容疑者として浮上したのは亡くなった所長が勤めていたセンターで介護士として働く斯波宗典。検事の大友秀実は彼が働き始めてから亡くなった介護センターの利用者が40人を超えていることを突き止める。真実を明らかにしようと斯波を追い詰めていく大友に、彼は自分のしたことは「殺人」ではなく「救い」であったと主張する。

【考察】
人の命を奪う権利は誰にもないことはわかっているが、それでも介護の辛さや、誰にもわかってもらえない孤独、今まで自分たちが目を背けていた問題なのではないかと思わされた。綺麗事を並べるだけでは解決できない自分の気持ちをどこに仕舞えばいいのかがわからなくなるような作品であった。斯波を演じた松山ケンイチの優しい雰囲気があったからこそより裏切られた気持ちが強く感じた。

⑧『ダンダダン』(アニメ)
【あらすじ】
霊媒師の家系に生まれた女子高生・モモ(綾瀬桃)と、宇宙人を信じ幽霊を信じないオカルト好きの同級生・オカルン(高倉健)が、互いの信じる存在を証明するために向かった怪異スポットで、理解を超えた宇宙人と怪奇現象に遭遇し、窮地の中で秘めた力に目覚め、呪いの力を手にした二人が迫りくる怪異に立ち向かうオカルティックバトル&青春物語

【考察】
大胆でユーモア溢れるテンポ感でサクサク進む。ラブコメ、オカルト、バトルといった合わさることのなさそうな組み合わせだからこそカオスだけどそこに魅力を感じるのだと思った。


⑨『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』(映画)
【あらすじ】

鬼となった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため鬼狩りの組織《鬼殺隊》に入った竈門炭治郎。入隊後、仲間である我妻善逸、嘴平伊之助と共に様々な鬼と戦い、
成長しながら友情や絆を深めていく。そして炭治郎は《鬼殺隊》最高位の剣士である《柱》と共に戦い、「無限列車」では炎柱・煉󠄁獄杏寿郎、「遊郭」では音柱・宇髄天元、「刀鍛冶の里」では、霞柱・時透無一郎、恋柱・甘露寺蜜璃と共に激闘を繰り広げていった。その後、来たる鬼との決戦に備えて、隊士たちと共に《柱》による合同強化訓練《柱稽古》に挑んでいる最中、《鬼殺隊》の本部である産屋敷邸に現れた鬼舞辻󠄀無惨。お館様の危機に駆けつけた《柱》たちと炭治郎であったが、 無惨の手によって
謎の空間へと落とされてしまう

【考察】
獪岳、童磨、猗窩座の鬼となった過去が明かされたが、そこに尺を取りすぎなように感じた。猗窩座の回想シーンでは小雪の柔らかさがより伝わって良かった。そこからの現実もどってからの干渉に浸る間がなくて怒涛すぎて感情が忙しかった。

⑩『ストレンジャー・シングス 未知の世界』
【あらすじ】
姿を消した少年、人目を忍び行われる数々の実験、破壊的な超常現象、突然現れた少女。すべての不可解な謎をつなぐのは、小さな町に隠された恐ろしい秘密。

【考察】
ホラー要素ありつつもウィルが生き続けてると信じて行動するジョイスや勇敢に突き進むナンシー
普通に戻ることはないかもしれないが、表と裏の世界が合わさっているSF感がたまらなかった

⑪池袋ウエストゲートパーク(ドラマ)
【あらすじ】
池袋に住む青年「マコト」が、街に渦巻くストリート犯罪やヤクザの抗争、そして当時の社会問題に直面しながら、持ち込まれるトラブルを次々と解決していくストリート・サスペンスドラマ(または小説シリーズ)。主人公マコトは、ヤクザ絡みの難事件を解決する「池袋のトラブルシューター」として知られ、その活躍を通じて都会の裏側で生きる人々の人間ドラマが描かれる。

【考察】
めんどくせえが口癖のマコトに多くのトラブルが舞いこんでくる。2000年放送で、その時代の雰囲気、若者文化、ストリートギャング、都市空間の危うさなどを、ドラマ構成・演出・セリフで巧みに描き出している。池袋西口公園(ウエストゲートパーク)を「若者たちの起点・人間模様の交差点」として扱うことで、都市の切れ目・リアルな生活感が画面に滲み出るようになっている

⑫『火垂るの墓』(映画)
【あらすじ】
昭和20年、神戸。14歳の少年と4歳の妹は、空襲で母が入院することになり、叔母のもとに身を寄せる。やがて母が死ぬと、叔母は兄妹を邪険に扱うようになり、2人は家を出ることにする。誰もいない防空壕で、新たな生活を始める子供たち。しかし、そこには厳しい現実が待っていた。

【考察】
見る年齢によって感じ方が変わる作品。幼少期には
おばさんの理不尽さにしか目がいかなかったが、おばさんの立場からしたらカンタたちの態度が悪くも感じるからこそ、何度でも見るべき映画だと思う

⑬『TOKYO MER 走る緊急救命室』(ドラマ)

【あらすじ】
物語の舞台となるのは、都知事の命で新設された「TOKYO MER」という救命救急のプロフェッショナルチーム。“MER”とは、モバイル・エマージェンシー・ルームの略称で、彼らの使命は最新の医療機器とオペ室を搭載した大型車両(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施すこと。“一人も死者を出さないこと”が、彼らに課されたミッションである。

【考察】
1話1話各話メンバーを絞って焦点を当てていくスタイルで王道的な話ではあるが、鈴木亮平演じる喜多見の命を本当の意味で平等に扱っていて、まるでヒーローだった。しかし組織としては認められないこともある中で命とは何かを問うていると思った。

⑭『空飛ぶ広報室』(ドラマ)
【あらすじ】
元戦闘機パイロットの夢を怪我で絶たれた空井大祐と、取材で航空自衛隊の広報室を訪れた情報番組ディレクターの稲葉リカが出会い、お互いの挫折や葛藤を乗り越えながら、広報の仕事を通して航空自衛隊の魅力を伝え、成長していく物語

【考察】
恋愛要素だけではなく、夢を一度は諦めた者たちがどのようにして向き合ってまた立ち上がるのかそこに視点をおいて見た時にこの作品がより輝くと思った。3.11の描写を入れたりして、戦闘集団のようなイメージではなく、一人一人の人間である上でステレオタイプを打ち崩す効果があるように感じた。航空祭やブルーインパルスといった、リアルな描写、防衛省の協力があってこそできているから映像に新鮮さを感じさせた。

⑮『母性』(映画)
【あらすじ】
ある日、女子高生の遺体が発見された。しかし、事件がなぜ起きたのかはわからないままだった。この事件の証言者として話を聞かれることになったのは、ルミ子と清佳という、娘を愛せない母とそんな母に愛されたい娘の2人。同じ時刻に起きた同じ出来事を思い浮かべているはずの2人の証言は食い違い、彼女たちの抱える複雑な関係性や秘密が浮き彫りになっていく。

【考察】
小説と同様に母の視点と娘の視点で語られることでお互いの主観で語られる分、ずれがや矛盾が生じ、独特の不穏な雰囲気を出していると思った。戸田恵梨香演じるルミ子の周りには母から愛されている時は色とりどりになっているが、清佳に母として接する時には色があまりないことに気づいた。そこにはルミ子の心情もあったように思う。

⑯『死刑にいたる病』(映画)
【あらすじ】
大学生の雅也は、24人もの少年少女を殺害したとして世間を震撼させている稀代の連続殺人鬼・榛村 (はいむら)から1通の手紙を受け取る。すでに一審で死刑判決を受けている榛村。一方、雅也は中学時代に地元でパン屋の店主をしていた彼をよく知っていた。

【考察】
榛村のぶれないサイコパスを見事に表現していると思った。本来の自分を見つめ、大切なものとは何かを探す中で自分を見失ってしまったから絶望の中で、人を殺すという答えになったと思った。雅也も自分の状況から目を逸らして現実を見ないようにしていたために、榛村を信仰し、自分と同一視してしまったのではないかと思った。なかなかゾッとする結末であった。

⑯『恋わずらいのエリー』(映画)
【あらすじ】
学校イチのさわやか王子・オミくん(宮世琉弥)を眺めつつ、彼との妄想を“恋わずらいのエリー”の名前でSNS上でつぶやくのが日課の妄想大好き女子・エリー(原 菜乃華)。
ところが、パーフェクトだと思っていたオミくんは、実は口が悪いウラオモテ男子だった!
しかも、超恥ずかしい妄想が彼にバレてしまい、絶体絶命の大ピンチ…のはずが、「その妄想、叶えてあげてもいーよ?」と、オミくんはエリーを面白がり、まさかの急接近!
最初こそオミくんの裏の顔にショックを受けたエリーだったが、彼の飾らない素の部分を知っていくうちに恋心も妄想も、さらに膨らんでいく。
そんなある日、ちょっと変わったクラスメイト・要くん(西村拓哉)に“恋わずらいのエリー”であることがバレてしまう。
エリーに興味を持った要くんは、急に距離を詰めて「友達になって」と迫り、まさかの三角関係…?!
果たして、オミくんとエリーの恋の行方は…?

【考察】
いわゆる典型的なラブストーリーではあるが、妄想ツイートを垂れ流して、恋する乙女が一度は想像したことのある妄想だらけで、なぜか少し共感してしまうところがあった。直接言葉では伝えられないもどかしさも含めて甘酸っぱい作品。

⑰『あたしの!』(映画)
【あらすじ】
素直すぎて嘘がつけない高校2年生のあこ子は、新学期の初日、全校女子の人気者である直己が留年したことで同じ学年になる。ひと目で恋に落ちたあこ子は彼に告白するが、彼女を作る気はないと言われふられてしまう。直己の親友である成田から彼女を作らない理由を聞き、好きでい続けようと心に決めるが、あこ子とは小学校からの親友である充希が直己に近づき始める

【考察】
恋と友情どっちを取るのかという一生悩ましい問題を抱えて、傷つきながら成長している様子を見れた。ポップで明るい部分もあれば、トーンを下げた映像で見られる恋愛と友情の葛藤シーンはあち子と充希の隔たりをうまく表現している。最後の空港のシーンだけでもすごく胸がときめく。

⑱『2人のローマ教皇』(映画)
【あらすじ】
カトリック教会の方針に不満を抱くベルゴリオ枢機卿は、ベネディクト教皇に辞任を申し入れる。ところが、スキャンダルに直面して信頼を失っていたベネディクト教皇はそれを受け入れず、彼をローマへ呼びつける。ベネディクト教皇はベルゴリオから激しい批判を受けるも、彼を後継者と見定め、ある秘密を打ち明ける。やがて考えのまったく異なる2人は、カトリック教会の未来のために対話を重ね、理解を深めていく。

【考察】
カトリック教会にとって歴史的な転換点であった出来事を取り扱っている。カトリック教会のトップに立つことの重み、孤独そして教会の外にいる人々に人生をどのようにして生きるのかを問うていると思った。言いづらいことはラテン語で、というのが面白かった。

⑲『ちはやふる-めぐり-』(ドラマ)
【あらすじ】
「今どき部活なんてタイパ悪すぎでしょ」――梅園高校2年生のめぐる(當真あみ)は、競技かるた部の幽霊部員。目の前の青春よりも、将来への投資!何事もタイパ重視のめぐるは、学校が終わればバイト、からの学習塾、隙間時間にスマホアプリで積み立て投資。部活に入っていれば内申点に有利という理由だけでかるた部に在籍しているものの、一度も部活に出たことがなく、競技かるたのルールもチンプンカンプン。そんなめぐるの高校生活が、新たに競技かるた部の顧問になった古典オタクの非常勤講師・大江奏(上白石萌音)との出会いで変わり始め…。

【考察】
『ちはやふる』の瑞沢高校が舞台ではなく、梅園高校が舞台になる。かるたなんて、といったタイパ重視と言ったどちらかと言えば現代的な考えをしていて、かるた馬鹿と称されていた千早とはまた違った魅力に溢れていた。しかし千早のような周りを巻き込んで大きくなっていく、影響を与えながら強くなっていく姿や、瑞沢OB、OGとして前シリーズまでで出演していたメンバーたちが再登場し、10年の年月を感じさせるように成長しているのにも感動した。

⑳『今際の国のアリス』(ドラマ)
【あらすじ】
漫然と生きていたゲーマーが、友人2人と迷い込んだ異次元の東京。そこで次から次へと理不尽なゲームを突きつけられた彼らは、生きるか死ぬかの戦いを強いられる

【考察】
選ぶことの責任や、なぜ生きたいと思うのか。一度は考えたことがあるようなことだが、いざこの場面に置かれたら自分は生き残ろうとするのか。正常な世界があるのかわからない中で仲間が死んでしまうのを見ながら正常でいられるのかを常に考えながら見た。自己犠牲の上で成り立つゲームもあって、アリス自身の自己優先から他者のために命をかける姿に成長も見てとれた。

㉑『SPEC 警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(ドラマ)

【あらすじ】
ずば抜けたIQを有する型破りな刑事と左遷された元特殊部隊の司令塔。未詳事件特別対策係でコンビを組んだ2人は、常識では計り知れない能力"SPEC"を持つ犯罪者たちに立ち向かっていく。

【考察】
『SPEC』シリーズはただの超能力アクション/ミステリーではなく、「能力とは何か」「真実と記憶」「個と国家」「正義とは何か」といった重めの問いを娯楽として昇華させる作品だ。視聴者を飽きさせないキャラクターの魅力、多層的な構造、映像演出、そして謎解きのスピード感・衝撃には強い中毒性がある。異常を感じさせる演出は今のドラマなどでも使われるスローにして光が線になる演出などがあって、視覚的にも楽しめる。

㉒『薫る花は凛と咲く』(アニメ)
【あらすじ】
底辺男子校・千鳥高校の紬 凛太郎と、お嬢様学校・桔梗女子の和栗 薫子が出会い、惹かれ合う青春ラブストーリー。隣接する二校の溝の深さに反発し、互いへの偏見がない薫子に心を許していく凛太郎と、彼を「怖い」と思わない薫子が、距離を縮めながら周囲の人々にも心を開いていく物語

【考察】
薫子のふわっとした雰囲気が漫画で見ていた時よりも強調されていて、髪の毛の動きなどでも薫子の気持ちが表現されていて、かわいくてあざといけど計算されていない初心な可愛さで溢れていた。隣の校舎ながらも近くて遠い距離感だからこそ生まれる、凛太郎の不器用さや心理的距離と物理的距離が交錯していた。

㉓『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』
【あらすじ】
主人公の芦屋瑞稀が、男子に憧れる佐野泉をもう一度跳ばせたい一心で、男のふりをして全寮制男子校に編入する物語で、若手俳優が多数出演し、学園でのドキドキの共同生活や、男装するヒロインが女子であるとバレないかというハラハラする展開、そして登場人物たちの恋愛模様が描かれる、究極の学園青春ラブコメディ

【考察】
女性が“男装”して男子校に潜入するという設定自体が、性別の境界や社会的な“役割”を揺らす要素を含んでおり、視聴者に「性別・性というものをどう見るか」を無意識に問いかける。
キャストがものすごく豪華であることを前提としているが、青春ドラマ・ラブコメのテンプレートのひとつとなったことで、その後のドラマに“学園男装もの”“寮生活もの”“恋愛と友情の混合”といった要素が増えるきっかけになったと思われる

㉔『涙の女王』(ドラマ)
【あらすじ】
財閥の娘ホン・ヘインと、彼女の夫である田舎出身の弁護士ペク・ヒョヌが、結婚3年目の危機を経て再び愛を育むラブコメディ。離婚を決意したヒョヌが、ヘインの余命3ヶ月の脳腫瘍という衝撃的な事実を知ったことから物語は展開し、夫婦の愛と絆を取り戻す過程が描かれる。

【考察】
離婚の危機に直面しながらも愛を取り戻していく姿に胸キュンするところが多かった。対話すること、相手への尊敬の念があれば愛はいくらでも取り戻せると思った。いい瞬間に曲が入るのが韓国ドラマを感じさせる。スローのキスシーンとか

㉕『愛の不時着』(ドラマ)
【あらすじ】
パラグライダー中に思わぬ事故に巻き込まれ、北朝鮮に不時着してしまった韓国の財閥令嬢。そこで出会った堅物の将校の家で、身分を隠して暮らすことになるが...

【考察】
実際には絶対と言っていいほどあり得ない状況ではあるが、「運命」をめぐるラブストーリーではあるが、選択が一つでも違えば死んでいたかもしれない中で、出会うことの奇跡を感じた。当たり前に皆人間で温かさを持っているから、人生って彩りがあると思った。

㉖『ウェンズデー』 (ドラマ)
【あらすじ】
「アダムス・ファミリー」に登場する長女ウェンズデーが主人公のNetflixオリジナルドラマ。ティム・バートンが監督・制作総指揮を担当した。奇妙な寄宿学校、ネヴァーモア学園でウェンズデーが一族にまつわる超常現象や殺人事件に巻き込まれていく推理ミステリー。

【考察】
後半のシリーズになるにつれ、少しずつ感情が人間らしくなってくるウェンズデーが次第に明らかになってくるのが、シリーズ物の醍醐味を感じさせる。
自分本位だったウェンズデーがイーニッドのために、など行動する理由が自分から友達を守るために変わっていくのが普通の女の子で可愛いらしく感じる。

㉗『ブラッシュアップライフ』(ドラマ)
【あらすじ】
交通事故で死亡した女性は死後の世界に送られるが、生前の人生を最初からやり直すチャンスをつかみ取る。来世のために徳を積むべく、彼女の2周目の人生が幕を開ける。

【考察】
バカリズム脚本作品は、リアルを追求しているからこそセリフにあるあると言いたくなるような共感するところが多い。人生を何度もやり直すがやり直すたびに新しい問題が生まれて、完璧な人生なんて送れないけど前向いて生きることが大切なんだと思った。

㉘『コンジアム』(映画)
【あらすじ】
世界7大心霊スポットのひとつに選出されたコンジアム精神病院へ潜入し、ライブ配信する7人の男女。恐る恐る院内に足を踏み入れた一行は、次々と不気味な現象をカメラに収める。やがてアクセス数を順調に伸ばしていったが、想定していた以上の怪奇事件が続発する。

【考察】
配信視点から見ることが多く、YouTubeを映画にしたような印象を受けるが、カメラという肉眼では気づきづらいこともフィルターを通すことでわかりやすくなっていると思った。現代的なホラー作品である。白目で出てくるのが一般的だが、黒目も怖いと改めて思った。

㉙『呪詛』
【あらすじ】
かつてある宗教施設で禁忌を破り、呪いを受けたリー・ルオナン。そして6年後、あの時の呪いが今度は自分の娘に降りかかったと知り、必死で我が子を守ろうとする。

【考察】
ただのホラー映画のようなお化けが出てきてきゃーではなく、じわじわと蝕んでいくような怖さに包まれる。カルト宗教なだけあって異質でドキュメンタリー風な視点で進むから臨場感も味わえる。見る人によってはトラウマになると思うが、その気持ち悪さが醍醐味だと思った。

㉚『となりのMr.パーフェクト』(ドラマ)
【あらすじ】
人生をやり直すために韓国に戻ってきた女性が幼なじみと再会。そんなふたりの間には、かなり複雑な過去があり...。

【考察】
ラブコメではあるが、人生にミスを犯したり、迷いがある登場人物にとって「再び立ち上がること」「自分が本当に望む道に戻ること」などのリセットをモチーフにしつつも、明るく前に進んでいるとと思った。
2025/10/01(水) 00:08 No.2130 EDIT DEL
3年金澤颯汰 RES
3年 金澤颯汰 夏休み課題1-30

1.アニメ「お兄ちゃんはおしまい」1-12話
<あらすじ>
引きこもりのダメニートな緒山まひろは、ある日目覚めると“女の子”になっていた!?鏡に映る美少女が自分だと分からず混乱するまひろのもとに、飛び級で大学に入学した天才科学者である妹・緒山みはりが現れ、飲み物に怪しげな薬を盛られていたことが判明する...!
もう2年も外に出ないでいかがわしいゲーム三昧...たまには働いてもらわなきゃ!みはりによる “女の子になる薬”の経過観察として、女の子として暮らすことになったまひろにとって、トイレやお風呂、スカートやブラジャーなど “女の子の生活”は知らないことばかり....さらに、みはりの中学時代の同級生である穂月かえでやその妹・もみじ達とも知り合い、まひろの日常はどんどん賑やかさを増していく。苦難の連続に、果たしてお兄ちゃんの運命やいかに...!?
<感想>
原作は読んでいなかったので、完全にアニメ初見で観た。作画が良く、服装や髪型が細かく変わるのが印象的で、日常シーンのちょっとした動きにまでリアルさがあった。主人公が薬で女の子の体になってしまうというTS要素が軸になっていて、同時に制作陣フェチがかなり強く出ていると感じる。温泉回や下着のシーンなど、アニメでは体の描き方にかなり特徴がある。原作の絵柄を少し見たがそこまでフェチに振った絵柄ではなく、簡易的な作画だったのに対してアニメ版は立体が見える。色使いやストーリーのポップさで誤魔化されてるが、1歩間違えば危なかったと思う。


2.映画「オッペンハイマー」
<あらすじ>
第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト「マンハッタン計画」。これに参加したオッペンハイマーは、優秀な科学者たちを率いて、世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。やがて冷戦がおこり、激動の時代の波に、オッペンハイマーはのまれてゆくのだったー。
<感想>
上映時間180分という長尺ながら、映像の密度と音響の迫力で一気に引き込まれた。特に、オッペンハイマーが原爆の威力を目の当たりにするシーンでは、音響と映像の演出が圧倒的で、迫力がそのまま伝わってきた。原爆の投下を直接描かず、音と映像でその恐ろしさを表現する手法が印象的だった。また、クリストファー・ノーラン監督らしい複雑な構成が特徴的で、時間軸が前後する中でオッペンハイマーの内面が浮かび上がる。特に、カラーとモノクロの映像を使い分けることで、彼の葛藤と後悔が鮮明に伝わってきた。ただ、少し理解するのに時間がかかった。これは自分の非。
全体として、歴史的な事実を基にした重厚なドラマでありながら、ノーラン監督らしい映像美と音響が融合した作品だった。


3.映画「シン・ウルトラマン」
<あらすじ>
次々と巨大不明生物「禍威獣(カイジュウ)」があらわれ、その存在が日常となった日本。通常兵器は全く役に立たず、限界を迎える日本政府は、禍威獣対策のスペシャリストを集結し、【威獣特設対策室専従班】通称【特対(カトクタイ)】を設立。班長・田村君男、作戦立案担当官・神永新、非粒子物理学者・滝明久、汎用生物学者・船縁由美が選ばれ、任務に当たっていた。禍威獣の危機がせまる中、大気圏外から突如あらわれた銀色の巨人。禍特対には、巨人対策のために分析官・浅見弘子が新たに配属され、神永とバディを組むことに。浅見による報告書に書かれていたのは...【ウルトラマン (仮称)、正体不明】。
<感想>
ウルトラマンをあまり知らない自分としては、正直あまり面白く感じなかった。怪獣やウルトラマンの戦闘シーンは迫力があり、特にCG技術を駆使したアクションは見応えがあったが、ストーリーやキャラクターの描写に感情移入しづらかった。ウルトラマンファンにとっては、過去作へのオマージュや細かい演出が楽しめる部分も多いようだが、初心者には少し敷居が高く感じられた。全体的に、ウルトラマンの世界観や魅力を深く理解している人向けの作品だと感じた。


4.アニメ「ノーゲーム・ノーライフ」1-12話
<あらすじ>
ニートでヒキコモリ...だがネット上では「」(くうはく)の名で無敗を誇る天才ゲーマー兄妹・空(そら)と白(しろ)。ただの都市伝説とまで言われるほどの常識外れな腕前を持った空と白の前に、ある日“神”を名乗る少年・テトが現れる。テトはリアルをクソゲーと呼ぶ空と白の二人を異世界へと召喚してしまう。そこは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる世界だった!異世界に住まう十六の種族の中で最弱の人類種(イマニティ)。他種族に国土の大部分を奪われ、滅亡寸前に追い込まれている人類種を救うため、空と白は空前絶後の頭脳バトルに挑む!
<感想>
頭脳戦がメインの異世界バトルアニメで、全体的にテンポが良く観やすかった。空と白の兄妹の掛け合いがかなり癖になる。かつ、ゲームのルールや戦略が毎回工夫されているのも世界観に入り込めて良い。ジャンルとしては主人公最強系とも言えるが、ただ単に強い、一方的に敵に勝って終わるような構成ではなくちゃんと物語としての面白さがある。


5.映画「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」
<あらすじ>
一切の争いを禁じられ、全てがゲームで決まる<盤上の世界(ディス・ボード))。無敗の最強ゲーマー兄妹・空と白がこの世界に降り立つ六千と余年前、天を裂き、星を殺した、悠久の大戦を生きた少年と少女がいた。これは現在へと至る過去を紡ぐ、最も古き神話。語られることのない物語が今、幕を開けるーー。
<感想>
本編の前日譚で、ディスボード世界の誕生に至るまでの過去の戦争や人間ドラマが描かれている。キャラクターは本編の人物と重なるものが多く頭に入りやすかった。映像はかなり派手で迫力があり、特にシュヴィとリクの作戦シーンは戦略の緊張感とアクションの爽快感がうまく融合していた。キャラクターの感情表現がしっかり描かれていて、リクとシュヴィの絆や決断の場面はちゃんと伝わってくる。彼らが絶望的な状況でも頭を使って切り抜ける様子は、本編同様の頭脳戦の楽しさを感じられた。全体として、本編ファンならより深く世界観を味わえるし、映像やアクションだけでも十分楽しめる作品だと思う。


6.マンガ「デッドマン・ワンダーランド」1-13巻
<あらすじ>
東京の異変から10年後・疎開先の中学校に通う五十嵐丸太(ガンタ)は、クラスメイト達と平凡な毎日を送っていた。だがある日、学校に「赤い男」が現われ、ガンタの運命は一変。無実の罪で“死刑”を宣告されたガンタは、日本唯一の完全民営化刑務所「デッドマン・ワンダーランド」に収監されてしまう。「赤い男」への復讐を胸に、監獄での過酷な生活を送るガンタは、そこで、幼なじみの少女・シロと再会する。やがて、自らの特殊能力に気付いたガンタは、「デッドマン」と呼ばれる能力者同士のバトルに身を投じることになるが..!?
<感想>
絵が上手い。構図なども美しく見ていて飽きない。ストーリーはバトルがメインで展開も王道を征くだが、設定も凝られており読むたび続きが気になるし伏線などもしっかりしていて面白かった。最後の対決は戦いたくなくても戦わなくてはならないものになり、不条理や理不尽との戦いでもあると作中触れられていた。生きていれば大小、少なからずそういったことがあるだろう。その時にどう乗り越えるか私たちも考えなければいけない。この作品の終わり方について、ハッピーエンドであると世間一般では言われている。個人的にはハピエン厨なので、もっとハピエンだと嬉しかった。でも、あの状況からはあれが最大限のハピエンだったため受け入れるしかない。


7.マンガ「ワンピース(だいたいエッグヘッド編)」105-111巻
<あらすじ>
麦わらの一味が未来島「エッグヘッド」に上陸。そこには Dr.ベガパンク の研究所が存在し、島の技術・歴史・世界政府と深く関わる秘密が明かされる。ルフィたちはその渦中で、ベガパンクと共に世界を揺るがす事実に直面する。
<感想>
かなりワンピース世界の核心の部分まで迫ってきて、本当にもうすぐ完結しそうだと感じる。この編ではくまとボニーの親子関係が描かれ、それと同時にワンピース世界での天竜人、それに対抗する特殊な人種に触れられておりその人種がDだとかDじゃないとか。差別だったり迫害だったり、ワンピースでは様々な現実世界にも適応される問題について描かれるが、尾田先生はそういった問題に物語内で触れる際、誤魔化さず全部描くため、こちらも強制的に真剣に向き合わされることになる。そのため、読んでいて苦しくなる場面が多々あり、その度に改めて考えることが出来る。くまとボニーのエピソードがエグすぎて涙ちょちょぎれました。


8.マンガ「ニセコイ」1-25巻
<あらすじ>
極道一家「集英組」のひとり息子だが、ごく普通の高校生・一条楽。彼は、10年前、仲良くなった女の子と「再会したら結婚する」という約束をし、その時に貰ったペンダントを肌身離さずに持っていた。そんなある日、楽のクラスにやって来た転校生の美少女・桐崎千棘。最初の出会いから相性最悪で、事ある毎にケン力を繰り返す楽と千棘だが、とある事情から二人は恋人を演じることに。恋心を抱く、クラスメイトの小野寺小咲の事を気にしつつも、恋人のフリを続ける
楽。「偽恋物語」の行く末やいかに!?
<感想>
ジャンプで最長のラブコメだけあってラブコメの王道を詰め込んだ作品で、恋愛のすれ違いや勘違いが次々と起こるテンポの良さが面白かった。主人公の一条楽とヒロインたちの関係が複雑で、どのキャラクターもかわいいので、巻を追うごとに推しが増えていく。一方で、ギャグやお約束展開が多く、時々同じパターンが続くこともあるが、キャラクターたちの掛け合いや表情の描き方で飽きずに読めた。ラストに向けての展開は賛否があるみたいだが、長期連載として一貫して楽しめる作品だと思う。全体的に、純粋にラブコメを楽しみたい人に向いている漫画だった。個人的には大好きです。


9.アニメ「呪術廻戦」1-24話
<あらすじ>
少年は戦うーー「正しい死」を求めて辛酸・後悔・恥辱 人間が生む負の感情は呪いと化し日常に潜む呪いは世に蔓延る禍源であり、最悪の場合、人間を死へと導くそして、呪いは呪いでしか祓えない驚異的な身体能力を持つ、少年・虎杖にはごく普通の高校生活を送っていたが、ある日“呪い”に襲われた学友を救うため、特級呪物“両面宿儺の指”を喰らい、己の魂に呪いを宿してしまう呪いである “両面宿儺”と肉体を共有することとなった虎杖は、最強の呪術師である五条悟の案内で、対呪い専門機関である「東京都立呪術高等専門学校」へと編入することになり.....呪いを祓うべく呪いを宿した少年の後戻りのできない、壮絶な物語が廻りだすー
<感想>
作画がとにかく圧倒的で、戦闘シーンはひとつひとつの動きが滑らかで重みがある。攻撃の勢いだけでなく、演出まで細かく描かれていて、アニメーションとしての迫力を感じた。MAPPAが仕事しすぎと言われるのも納得。また、呪術や術式のルールが毎回少しずつ明かされる構成で、戦闘の展開にハラハラ感がある。随所に挟まれるギャグシーンが面白く、見ていて重くなりすぎない。全体として、アクションの気持ちよさとキャラクターの感情がうまく噛み合っていて、次の展開や伏線を考えながら見たくなる作品だった。


10.映画「呪術廻戦 0」
<あらすじ>
幼少のころ、幼なじみの祈本里香を交通事故により目の前で失った乙骨憂太。「約束だよ里香と憂太は大人になったら結婚するの」怨霊と化した里香の呪いに苦しみ、自身の死を望む乙骨だったが、最強の呪術師・五条悟によって、呪術高専に迎え入れられた。
そして、同級生の禪院真希・狗巻棘・パンダと出会い、て骨はある決意をする。「生きてていいって自信が欲しいんだ」「僕は呪術高専で里香ちゃんの呪いを解きます」一方、乙骨たちの前にかって一般人を大量虐殺し高専を追放された最悪の呪詛師・夏油傑が現れる。「来たる12月24日 我々は百鬼夜行を行う」呪術師だけの楽園を標榜する夏油は、非術師を殲滅させんと、ついに新宿・京都に千の呪いを放ち・果たして、乙骨は夏油を止められるのか、そして、里香の解呪の行方は・・・・
<感想>
乙骨憂太と里香の関係がずっと心に残る作品だった。最初は呪霊としてしか見えなかった里香が、乙骨の側で少しずつ人間らしさや感情を見せるときがあって辛かった。戦闘シーンは迫力だけでなく、術式や黒閃の使い方で緊張感がある。ネタにされている「失礼だな、純愛だよ」もいいセリフだった。また、仲間たちとのやり取りや小さな掛け合いも印象的で、戦闘の合間にちょっとした笑いや人間味を感じられるのが良かった。ラストは悲しみと希望が同時にある終わり方で、見終わったあともしばらく余韻に浸ってしまった。重くもあり、温かさもある、メンヘラみたいな作品だった。メンヘラに温かさないか。


11.アニメ「呪術廻戦 懐玉・玉折、渋谷事変」1-25話
<あらすじ>
2018年10月、特級呪霊による交流会の襲撃以降呪術高専内の緊張が高まる中、ついに内通者の正体が判明する。果たして内通者は誰なのか、その目的とは!?
そして、2018年10月31日。ハロウィンで賑わう渋谷駅周辺に突如“帳”が降ろされ大勢の一般人が閉じ込められる。“一般人のみが閉じ込められる帳”という高度な結界術に加え、一般人を介して告げられた「五条悟を連れてこい」という指名から、上層部は被害を最小限に抑えるために五条単独での渋谷平定を決定する。罠を仕掛け待ち構える夏油や真人ら呪詛師・呪霊達、そこに単独で乗り込む五条、さらには“帳”の外側に集結した虎杖、伏黒、釘崎、七海、そして数多くの呪術師たち。渋谷に集結した呪術師VS.呪詛師・呪霊のかつてない大規模な呪い合いがついに始まる!
<感想>
とにかく緊張感と絶望感がすごい。戦闘シーンの迫力はもちろんだが、キャラクターたちが危機に直面する心理描写や葛藤の描き方がうまかった。特に虎杖や伏黒、釘崎たちがそれぞれの信念や弱さを抱えながら戦う場面では、ただのバトルアニメとは違う、人間ドラマとしての重みを感じた。加えて、戦闘の合間に描かれる日常的なやり取りや軽いユーモアがあるからこそキャラクターたちの死や犠牲の重みがより際立つ構造になっている。戦闘や術式の描写も前期より複雑で、頭を使いながら見てしまうのが面白かった。全体として、ただのアクションの連続ではなく、絶望と希望、人間の感情が絡み合った作品だった。キャラクターの死が単なる展開上の装置にならず結構バタバタ死んでいくのも不条理を感じて良かった。


12.アニメ「タコピーの原罪」1-6話
<あらすじ>
ハッピーを広めるため地球に降り立ったハッピー星人のタコピーは人間の女の子しずかと出会う。ピンチを救ってもらったタコピーはしずかの笑顔を取り戻すため不思議な力を持つハッピー道具で奔走する。しかし、しずかはおうちと学校で何か事情を抱えているようで...。これは、ぼくときみの最高にハッピーな物語ーー
<感想>
原作を読んでいたが、アニメならではの演出で新しい発見が多かった。タコピーや直樹の感情が画面越しにすごく伝わってきて、特にしずかの怖さや不気味さが映像で強く印象に残った。背景の歪んだパースや色使いが心理状態を表していて、キャラクターの心の揺れがよりリアルに感じられる。告白や対立のシーンでは、動きやカメラワークの工夫でテンポよく感情が伝わってきて、原作を知っているのにハラハラしてしまった。細かい表情や仕草も丁寧に描かれていて、アニメでしか味わえない緊張感や恐怖があった。原作ファンとしても、新鮮な体験として楽しめる演出だった。


13.アニメ「チェンソーマン 総集篇」前後篇
<あらすじ>
「チェンソーの悪魔」ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。親が遺した借金返済のため、貧乏な生活を送る中、裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つもの「チェンソーマン」として蘇る。
<感想>
原作もアニメ本編も見ていたため、見なくてもいいと思っていたが評判が良かったので気になって見た。総集編で改めて追ってみると歯がゆかった部分やセリフが少し変わっていて、テンポや感情の伝わり方が改善されているのが分かった。セリフの微妙な言い回しも変わっていて、キャラクターの気持ちがより自然に伝わるようになっていたのが良かった。前後篇を通して、改めて忘れてた物語の流れやキャラクター同士の関係性が整理され、既に知っている話でも楽しめた。


14.アニメ「王様ランキング」1-23話
<あらすじ>
国の豊かさ、抱えている強者どもの数、そして王様自身がいかに勇者のごとく強いか、それらを総合的にランキングしたもの、それが "王様ランキング、である。主人公のボッジは、王様ランキング七位のボッス王が統治する王国の第一王子として生まれた。ところがボッジは、生まれつき耳が聞こえず、まともに剣すら振れぬほど非力であり、家臣はもちろん民衆からも「とても王の器ではない」と蔑まれていた。そんなボッジにできた初めての友達、カゲ。カゲとの出会い、そして小さな男気によって、ボッジの人生は大きく動きだす…。
<感想>
最初から最後まで、ボッジの成長とまわりの人たちとの関係性がすごく丁寧に描かれていて、観ていて自然に感情移入できた。ボッジの小さな勇気や葛藤がひとつひとつ積み重なっていく様子はかなり心にくる。また、カゲやダイダ、ヒリングといった仲間や周囲のキャラクターの描き方も丁寧で、単純な友情や敵味方の関係ではなく、それぞれの事情や感情がしっかり描かれているのが印象的だった。重いテーマではありつつも、終盤に向けてボッジが少しずつ自分の力を受け入れていく場面は、見ていて自然に応援したくなるような感覚があった。全体として、映像や世界観の美しさだけでなく、キャラクターの内面や成長をじっくり楽しめる、見応えのある作品だった。見たら人に勧めたくなる。


15.マンガ「サボのトゲ」
<あらすじ>
咲いたのは、たったひとつの命だった。
13年前、サボテンの子供が生まれた。ひっそり施設で暮らしていたが、その存在が政府に知られてしまい..。
<感想>
サボの存在は人とは違うといった理由で迫害されるが、施設では子供たちやおばあちゃんがそれを隠してくれている。しかし隠すにも限界があり、サボは段々と施設の人をも疑ってしまう、という流れが差別といった普遍的なテーマを考えさせられる。途中、おばあちゃんに対しての「愛してるなら抱きしめてよ」というセリフでおばあちゃんが躊躇ってしまう。サボ自身に加害する気はなくても傷つけてしまう「サボテン」という設定を活かしたやりとりで綺麗だった。むしろこのシーンを書くためにこの設定にしたんじゃないかと思った。


16.マンガ「ファイティングガールズ」
<あらすじ>
すべてはあの子に勝つために!
地元の空手教室でエースともてはやされる小梅は、ある日転校生のテイアラちゃんにあっさりと倒されてしまう。次は絶対勝つと決めて空手に打ち込む小梅だが、勝てないままどんどん月日が過ぎていき...
<感想>
タコピーの原罪を書いたタイザン5の読切作品。読切ということもあったが、設定やストーリー展開がすごく上手く一瞬で読めた。終盤まで小梅目線で話が進んでいくが、最後にティアラちゃん目線で全体が再描写され、お互いに意識して、お互いが支え合っていたのだとわかるのが良かった。そこまでのライバルとしての関係性が、どちらかと言えば一方的なもののように描かれていたこともあり報われた気分。


17.マンガ「でも美優ちゃんには僕がいないと」
<あらすじ>
世界一わがままな美優ちゃんと僕
依存体質で、束縛気質で、激重の、世界一わがままな美優ちゃんと、それに付き合ってしまう僕。『まい子と池田』『花のようなわたしたち』の新鋭、青木ミズが描く依存な関係39ページ。
<感想>
共依存。引きこもりの女の子に幼なじみというだけで信頼され、依存される男の子。毒親の押しつけにも見える期待に応えられず美優ちゃんに求められることで存在意義を見出す男の子。ハッキリとしたハッピーエンドみたいなオチは無かったが、お互いの共依存を楽しむ作品。共依存はすごく好きなので好きでした。


18.映画「国宝」
<あらすじ>
任侠の一門に生まれながら、女形としての才能を見出され歌舞伎役者の家に引取られた喜久雄。彼はやがて、その家の御曹司と切磋琢磨し芸に青春を捧げていく。
<感想>
演技激ウマ。ビジュ良すぎ。
三時間という上映時間は初め長いと感じたが、実際観たら三時間丸々集中して見ることが出来た。演技やストーリーの面白さもあるが、なにより、音響の工夫とシーンごとのテンポが速かったため集中していられるし、集中していなければ逃してしまいそうな緊張感があった。「ドーパミン中毒のガキでも観れる」と誰かが言っていたが、それは主にこの部分が大きいのかなと感じた。
この緊張感はただ、このシーンを見逃したら話が分からなくなるというものではなく、ストーリー展開としての緊張感もある。途中の歌舞伎演目のシーンでは音響による没入感と俳優の演技から伝わる緊張感とで、その演目の幕引きのシーンで観客と一緒に拍手しそうになった。歌舞伎の知識がなくても面白かったが、知識があればもっと楽しめたと思う。演目のシーン途中では演目を演じてるのか、人間を演じてるのか、そのどちらも並行して続けられてるのか、が自分に学が無いために上手く理解できなかった。


19.マンガ「ヒトナー」
<あらすじ>
ケモノは”ヒド”にフェチズムを感じるの?
『アイアンナイト』、『レッドスプライト』の屋宜知宏最新作!!獣人が住む星に一人の地球人が訪れる。獣人たちは初めて目にする"ヒド"の姿に動揺し!?獣たちの“ヒト"観察が始まる..!!
<感想>
人が神話上の存在として扱われており獣人が闊歩してる世界観。欲を言うならケモと人のイチャつきがもっと見たかった。世界観の作り方が凝らされていてちゃんとしていて続きが読みたくなるが、実際連載になった時に展開の広がりはないだろうと思い、それだけ読切として完結されている作品だった。


20.映画「おおかみこどもの雨と雪」
<あらすじ>
東京の郊外の大学に通う花(はな)は、おおかみの血を引く<おおかみおとこ>「彼」と恋に落ちた。共に暮らし始めた二人の間に生まれてきた子どもたちは、「人間とおおかみ」のふたつの顔を持つ、<おおかみこども>だった。二人は、雪の日に生まれた姉に雪(ゆき)、雨の日に生まれた弟に雨(あめ)と名づけた。4人のつつましくも幸せな日々は、「彼」の死によって突然奪われてしまう。残された花は、「二人をちゃんと育てる」と心に誓い、子どもたちが将来「人間か、おおかみか」どちらを選ぶこともできるように、豊かな自然に囲まれた田舎町のおんぼろの古民家に移り住むことを決意した。
<感想>
花と子どもたちの成長を通して、親子の絆や日常の大切さが伝わってくる作品だった。特に雨と雪が少しずつ成長していく過程を、映像で丁寧に追えるのがすごく良かった。子どもたちが自分の個性や力に向き合い、迷ったり失敗したりする様子がリアルで、遭遇した事の無い境遇でも感情移入しやすかった。自然の描写や季節の移ろいも印象的で、花が奮闘して家族を守る場面や、山や森の描写には映像ならではの温かみがあった。全体として愛情が強く描かれていたが、ラストが別れととるか、巣立ちととるか、観終わったあとの余韻が良かった。心に残る。


21.映画「聲の形」
<あらすじ>
“退屈すること”を何よりも嫌う少年、石田将也。ガキ大将だった小学生の彼は、転校生の少女、西宮硝子に無邪気な好奇心を覚える。彼女が来たことを期に、少年は退屈から解放された日々を手に入れた。しかし、硝子とのある出来事がきっかけで将也は周囲から孤立してしまう。やがて5年の時を経て、別々の場所で高校生へと成長した将也と硝子。“ある出来事”以来、固く心を閉ざしていた将也は硝子のもとを訪れるが...
<感想>
この作品で特に印象的だったのは、声や手話、沈黙そのものがコミュニケーションの手段として扱われているところ。硝子が話さないことで周囲との距離が生まれる場面や、将也が言葉に詰まるシーンでは、セリフ以上に空気や間の使い方で気持ちが伝わってくる。だから、感情の動きがセリフだけでなく、表情や手の動き、沈黙の長さから読み取れるのが面白かった。また、いじめや後悔といったテーマは重いが、直接的に説明されるのではなく、周囲の反応や小さなやり取りを通してじわじわと伝わる。特に将也と硝子が少しずつ互いを理解していく場面では、手話を交えた会話の間合いや視線の動きで距離感が変わっていくのを感じられ、映像ならではの表現だった。
全体として、言葉に頼らない表現が多いからこそ、観ている自分も自然に登場人物の気持ちを想像することになり、見る側の感覚まで巻き込まれるような映画だった。


22.映画「ヴェノム」
<あらすじ>
敏腕記者エディ・ブロックは、人体実験で死者をだしているという<ライフ財団>の真相を追う中、<シンビオート>と呼ばれる地球外生命体を発見し接触してしまう。
<感想>
ヴェノムとエディの関係性が面白く、二人のやり取りが映画の中心になっているのが印象的だった。シンビオートとしてのヴェノムの暴れっぷりや、エディの戸惑いとユーモアの描写が独特で、単なるアクション映画とは違う面白さがあった。ヴェノムが口を開くたびに変わる表情や言動で、まるで生き物として存在しているかのように感じられるのがすごかった。戦闘シーンも派手ではあるけど、暴力的な迫力よりも二人の共生関係や駆け引きが中心に描かれていて、ただ敵を倒すだけの爽快感ではなく、二人の関係の面白さが戦闘の中でも伝わってくる。エディがヴェノムをコントロールしようとするけど、うまくいかない絶妙なバランス感も良かった。


23.アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」1-13話
<あらすじ>
迷宮都市オラリオーー『ダンジョン』と通称される壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。未知という名の興奮、輝かしい栄誉、そして可愛い女の子とのロマンス。人の夢と欲望全てが息を潜めるこの場所で、少年は一人の小さな「神様」に出会った。「よし、ベル君、付いてくるんだ!【ファミリア】入団の儀式をやるぞ!」「はいっ!僕は強くなります!」どの【ファミリア】にも門前払いだった冒険者志望の少年と、構成員ゼロの神様が果たした運命の出会い。これは、少年が歩み、女神が記す、【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】
<感想>
1期はベルがまだ冒険者として未熟で、ダンジョン探索の中で少しずつ力をつけていく姿が中心。ヘスティアとの関係や日常の掛け合いが可愛らしく、彼の不器用さや頑張りに自然に感情移入できた。戦闘シーンは派手さよりも「どう工夫して勝つか」に焦点が当たり、戦略的でリアルな緊張感があった。恋愛要素やコメディも散りばめられていて、冒険と人間ドラマのバランスが程よく、飽きずに見られる序盤としての完成度が高かった。


24.アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ」1-12話
<あらすじ>
その街には多くの神々が住まい、その街の中心には地中奥深く-深淵へと至る『ダンジョン』が存在する。
その街の名は迷宮都市オラリオ。女神へスティアと冒険者ベル・クラネルは、相も変わらず主神とたったひとりの族という最小構成。だが、世界最速のランクアップという偉業を成し遂げたベルには、これまでにないほどの視線が注がれ始めていた
<感想>
2期では、ベルの成長が迷宮での戦闘だけでなく、街や他の冒険者、ファミリアとの関係の中で描かれるのが面白かった。特にイシュタル・ファミリアとの出会いは、ベルの力量や価値観が試される重要なポイントで、単なる敵対関係ではなく、複雑な駆け引きや心理戦の面白さがあった。
ヘスティアとの日常やコメディ要素も随所にあり、二人の絆や距離感が変化していく様子が丁寧に描かれていた。戦闘はより戦術的で、複数勢力が絡むため単独の力だけでは突破できない緊張感が増している。迷宮や冒険だけでなく、都市での人間関係やファミリアの力関係も描かれることで、1期にはなかった世界観の厚みが楽しめた。全体として、冒険だけでなく人間関係や心理戦の面白さを強く感じられる章だった。


25.アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅢ」1-12話
<あらすじ>
迷宮都市オラリオの中心に座するダンジョン-数多の怪物(モンスター)が産み落とされるこの大穴は、未だ人類が想像し得ない『未知』を無数に孕んでいる・女神へスティアと冒険者ベル・クラネルが【ヘスティア・ファミリア】を結成し、はや数ヶ月。幾人かの友を加え、彼らのファミリアは急速に成長の途を辿り、都市の注目を集めていた。突如彼らのもとに舞い込んできた『未知』・それは、異端児(ゼノス)と呼ばれる言葉を解する怪物(モンスター)だった・『未知』は混乱を誘(いざな) い、常識をも破壊し苦悩と葛藤を喚び起こす…その先にある『可能性』を覆い隠してしまうほどに.....
<感想>
3期で特に印象的だったのは、未知の存在である「異端児(ゼノス)」との対峙だった。言葉を理解し、考える力を持つ彼らはただの怪物ではなく、意思を持った生き物として描かれる。そのため、ベルたちは戦いながらも「倒すべき敵なのか」「理解すべき存在なのか」と葛藤し、観ているこちらも単純に戦闘を楽しむことができなかった。ゼノスの存在は、現実社会での“正しい悪”や“排除すべき異質”という問題にも通じていると思う。
戦闘シーンも迫力があるが、面白いのは単なるアクションだけでなく、仲間との連携や心理戦の緊張感がしっかり描かれていること。ヘスティア・ファミリアのメンバーが一緒に考え、迷い、試行錯誤する様子がリアルで、観ているこちらも一緒に頭を使っている気分になる。さらに、他のファミリアや冒険者たちとの駆け引きが絡むことで、街全体の力関係や社会の複雑さも感じられる。


26.アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅣ」1-22話
<あらすじ>
迷宮都市オラリオーー『ダンジョン』と通称される、壮大な地下迷宮を保有する巨大都市。この街で、一柱の小さな女神と出会った冒険者志望の少年は、仲間をつくり、ダンジョンに挑み、多くの死地をくぐり抜け。さらなる<昇格(ランクアップ)>を遂げていた。そんな彼のもとにもたらされた一通の書状。書かれていたのは、ダンジョン未到達階層への遠征任務。未知なる冒険へ向けて、仲間たちと共に、少年は新たな一本を踏み出す。
<感想>
4期はリューとアストレア・ファミリアのエピソードが強烈だった。過去の悲劇や仲間との絆が戦闘の合間に描かれることで、ただの迷宮探索や力比べじゃない重みが生まれていて、ジャガーノートとの戦いでは、リューの必死さや恐怖、仲間を守ろうとする緊張感が分かり胸がぎゅってなった。ベルが階層を進むたびに、観ているこちらも一緒に息をのむような感覚になったし、深層への挑戦のスリルが終始続く。死がちゃんと描かれてる作品は見ていて命の重さを感じられるので好き。


27.アニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅤ」1-15話
<あらすじ>
女神祭ー一迷宮都市オラリオが活況に包まれる、実りの祝祭。豊穣を象徴する女神たちは祭壇に奉られ、その中にはあの『美の女神』の姿も。ダンジョン深層という死地から生還を果たし、日常を取り戻したべル・クラネルもまた、女神祭の賑を楽しむはずだった......-とある酒場の娘から一通の手紙が届くまでは。『ベルさんへ今度の女神祭、二人だけデートしてください。 シルより」都市の片隅、小さな酒場で
固まった、少女のたったひとつの決意が、少年と迷宮都市を狂わせていく。そして、『最強』を標榜する『強靭な勇士(エインヘリヤル)』達が今、動き出す。
<感想>
5期は、ベルとフレイヤ、そして新たな敵やイベントが絡むウォーゲーム編が中心で、その中でもシルが可哀想だったので最終的に丸く治まってよかった。展開としては終始ベルが痛々しくてそこを乗り越えての成長は大きかった。現状、アニメではここまでだが、かなり先が気になる。アニメでここまで長くて、更に見たいとなる作品は多くないので今回の課題を機に見れてよかった。


28.マンガ「ファイアパンチ」1-8巻
<あらすじ>
燃え上がる衝撃!圧巻の復讐劇...!
『氷の魔女』によって世界は雪と飢餓と狂気に覆われた。凍えた民は炎を求めた...!
<感想>
ストーリーがよく分からないと言われているそうだが、要するに主人公が自分が何かを探して奔走し続ける話だと思った。その中でたくさんの失敗を重ねてそれでも見つけられず、ラストのシーンも自分を見つけられたとハッキリ言うことが出来ないためよく分からなくなっている気がする。ただ、物語としてはハッピーエンドの部類になると思う。
途中で出てくる登場人物の性自認や「演技」といったものも各々の自分を探している。そのため、内容としては全体通して常に割と普遍的な問題が描かれてると感じた。


29.映画「劇場版 チェンソーマン レゼ篇」
<あらすじ>
デンジはマキマとのデートの帰り、雨宿りで入った電話ボックスで美少女レゼと出会う。紫の髪と緑の瞳を持つ彼女に一目で惹かれ、彼女が働くカフェ「二道」に通うようになる。積極的に距離を縮めてくるレゼと過ごすうちに、二人の関係は急速に深まっていく――。
<感想>
原作を読んでいたため流れは分かっていたが、飽きずに見れた。プールのシーンで水から顔を出したあとの顔の水を払う動作や、祭りのシーンでは何気なく手で顔を仰ぐ仕草からその場が少し暑いのだとわかる。映像になった強みとしてこういった細かい仕草がものすごい作画で描かれており実在感を感じ放題。あとは、なによりストーリーとしての完成度が高い。終わり方が綺麗すぎて見終わったあとの余韻がすごい。余韻浸りたい放題。


30.アニメ「化物語」1-15話
<あらすじ>
同級生である戦場ヶ原ひたぎの抱える秋密を知った阿良々木暦。そして問題解決のために協力を申し出る暦。実は暦もひたぎ同様、人に言えない秘密を隠していたのだった....それをきっかけに暦は、怪異に出遭った少女たちを助けるため次々と奔走することになる...
<感想>
数話完結の構成で、毎回違う怪異やキャラクターとのやり取りを楽しめるのが良かった。阿良々木暦とヒロインたちの会話のテンポが独特で、少しクセのある言い回しやウィットの効いた掛け合いに引き込まれた。怪異の描写や演出も個性的で、グラフィックや文字の使い方ひとつで緊張感や不思議さが伝わってくる。ストーリーが進むにつれて、怪異だけでなく人間関係や心の葛藤も描かれるようになり、コメディとシリアスのバランスが絶妙だと感じた。全体として、独特のテンポとセリフ回し、演出の面白さで飽きずに見られる作品だった。
2025/10/01(水) 00:00 No.2129 EDIT DEL
3年 谷澤佳歩 RES
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『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』(アニメ映画)(2024)監督:藤森雅也

【概要・あらすじ】
阪口和久の著書『小説 落第忍者乱太郎 ドクタケ忍者隊 最強の軍師』を原作とする亜細亜堂制作の日本の長編アニメーション映画。2011年に公開された『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』以来13年ぶりで3作目となる『忍たま乱太郎』の劇場アニメである。

【考察】
劇場版の忍たまということもあり、テレビで放映されているアニメ版とは少し異なる点が多い。直接的でグロテスクな描写こそないものの、時代背景に合わせた焼き討ちや戦争といった、シビアな世界観がアニメ版よりも顕著になっている。キャラクターの描画としては大人と子供の違いが明確になっており、特に大人組はアニメ版よりも頭身が高くなっている。戦闘力や力量差に関してもはっきり示されており、教師などのプロの忍者、高学年の忍たまと下級生の忍たまとで、戦闘の結果や出来ることの違いが残酷に浮き彫りになっている。カメラワークもアニメ版とは大きく異なり、POVやアニメ版では行われないような地面に設置したような低いカメラワーク、光の演出、遠景近景中景などの描き分けも特徴で、アニメ版より大きく動き、ダイナミックで臨場感が出るようになっている。ストーリー展開としては、最初に土井先生と乱太郎たちが行った会話が終盤で土井先生の記憶を取り戻すフックになっていたり、土井先生が行方不明という緊急事態に、下級生には実情を知らせないまま動く大人たちや上級生の普段(アニメ版)では見えないかっこよさや、足手まといだけにはならない一年生たちだったりの動きは見ていて楽しい。そして忍たまの登場人数を絞ることによって、大量にいる忍たまを覚えていない観客にとっても印象付けが十分に行われていると思う。戦闘描写はかなりのハイスピードで、スローや一時停止をしないと何が起こっているのかが分からないほどである。ビデオテープ風の巻き戻し演出や、時折時代背景にそぐわないものも出て来るが、ギャグファンタジーとシリアスのバランスが丁度良く、観客に飽きさせない構成になっている。

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『ミッドサマー』(映画)(2019)監督:アリ・アスター
【あらすじ】
大学生のダニーは、ある冬の日に双極性障害をわずらっていた妹が両親を道連れに無理心中して以来、深い心的外傷を負っていた。家族を失ったトラウマに苦しみ、詰められているダニーを恋人であるクリスチャンは内心重荷に感じながらも、別れを切り出せずにいた。
翌年の夏、ダニーはクリスチャンと一緒にパーティーに参加。ダニーはクリスチャンが友人と一緒に、スウェーデンからの留学生ペレの故郷のホルガ村を訪れる予定であることを知った。「自分の一族の故郷で、今年夏至祭が開催される。夏至祭は90年に1度しか開催されないので、見に来てはどうか」と誘われていたのである。大学で文化人類学を専攻するクリスチャンは、学問的関心もあってホルガ行きを決めたが、ダニーに隠していた負い目から仕方なくダニーも誘う。ダニーらはスウェーデンへ渡り、ペレの案内でヘルシングランド地方に位置するコミューンであるホルガを訪れた。

【考察】
映画の冒頭の伝承が描かれたような壁画?には、この映画の物語のほぼ全容が先に提示されており、言ってしまえば軽いネタバレである。映画の冒頭では冬のアメリカにおり、画面全体は非常に薄暗く彩度もかなり低めになっている。ダニーの心象を反映しているとも考えられる。物語に登場する人物はどこかしら人として欠点を抱えており、観客が感情移入しづらいような特徴もある。非常にグロテスクな描写が多い作品なので、その方が救いがあるかもしれない。スウェーデンについてからは一転して画面が明るく、これは映画の終盤までほぼずっと続く。作中での日にちや時間の経過感覚が分かりづらくなっている。冒頭の壁画以外にもホルガ村に伝わる恋愛成就の呪いの方法が描かれた旗が最初の方で描かれ、観客に嫌な予感を与えて来る。鏡や窓の光の反射を使った映り込みの演出が多く、カメラ外にいる人物の様子をも映すのに活用されている。ダニーたちが村に馴染み始め、儀式が進んでいくにつれて焦点深度が浅くなり背景がぼやけていたり歪んでいたり、ダニーの手元や足元から草が生えているような感覚に陥ったりと、トリップ状態になっている状況を主観的に描画している。アッテストゥパンという言葉は作中では検索しても出て来ないが、スウェーデン語でははっきり実在する言葉である。日本の姥捨て山の「恥」の概念や宗教観について齧ったことがある人は、ホルガ村の文化について理解は出来るかもしれない。服装や表面的な雰囲気とは裏腹に、行われている実情は村ぐるみの殺人や意図的な近親相姦などの行為が行われている他、その文化を侮辱したり禁忌を犯したり、村から無理やり出ようとしたが外部の人間を生贄として無理に殺害するなどの残酷なものや、恋愛の呪いとして陰毛や経血を食べ物に混ぜて食べさせたりと、現代社会の価値観とはかなり逸脱したものになっており、村の全体で一つの家族のような形態をとっている。ペレがクリスチャンとの恋人であるダニーにキスをしていたり、毎年選ばれるはずのメイクイーンらしき女性が村の中に見当たらなかったり、不穏な要素が数多く残されてもいる。

3
『東京ゴッドファーザーズ』(アニメ映画)(2003)監督:今敏
【概要・あらすじ】
『パーフェクトブルー』『千年女優』に続く今敏監督による長編劇場映画第3作である。
ストーリーとしてはシンプルで、東京の新宿に暮らす3人のホームレスがクリスマスの夜にゴミ捨て場で赤ちゃんを拾い、残された手掛かりから何とかその赤ちゃんを親元へ返そうと奮戦するというコメディである。本作は、1948年のアメリカ映画『三人の名付親』(原題: 3 Godfathers)に着想を得た映画としても知られている。

【考察】
色合いはクリスマスの一夜の出来事なので、画面は彩度が低く暗い場面が多いものの、オカマのハナが特に場を盛り上げてくれる。言ってしまえばストーリーは「そんなことある⁉」というご都合展開全開で飛ばしていく感じはあるものの、アニメ特有の展開というか、「聖夜の奇跡ならほなこういうこともあるか…」と妙に納得させられる感があった。観客の予想しないような形で伏線が回収されていくのは見ていて驚きや楽しさがあり飽きなかった。明確なファンタジー要素やファンタジー世界のものは登場せず、ひたすら現実世界の出来事に則して描かれており、虚構と現実が融け合う作風で有名な監督作品の中ではリアル寄りの作品になっている。作中では親子関係や家族関係について主要登場人物である三人を中心に描かれており、ホームレスで身寄りのない三人かと思われるも、人との繋がりから赤ん坊の家族を見つけ出し、最後にはミユキの父親が登場するというオチに繋がっている。
路地裏の廃棄物置き場から食料などを拝借する様子が描かれているが、今の東京の路地裏にはあれほどまでのごみ置き場のごみや廃棄物があると思えず、時代の変化を感じさせる。

4
『太陽の王子ホルスの大冒険』(アニメ映画)(1968)監督:高畑勲(「演出」名義)
【概要・あらすじ】
東映動画製作の日本の劇場用アニメ映画。シネスコ(東映スコープ)。『東映まんがパレード』(のちの『東映まんがまつり』)の一本として上映された。文部省選定作品。
父の手によって他の人間から離されて育ったホルスは、岩男モーグに出会い、肩に刺さっていた太陽の剣を抜き取る。モーグはそれをホルスに与え、それを鍛え直した暁にはそれを持つ者は太陽の王子と呼ばれるようになり、モーグ自身もその元に馳せ参ずると告げた。意気揚々と走るホルスに待っていたのは父の危篤の知らせだった。父は、ホルスを人間の元から離して育てた事は間違いであり、他の人間の所に向かうようにホルスに告げて、息絶える。父の遺言に従い、ホルスは他の人間の住む陸地に向けて船を出す。

【考察】
冒頭の狼と戦う場面のホルスたちの動きはかなり滑らかで、フルアニメーションなのだろうかと感じたほどだった。以降の村人と共闘して戦闘するシーンでは、人々の戦う声を背景に透けた戦闘の絵が挿入されているだけと、場面によって動きの幅に大きな差が見受けられる。作品の全般はリミテッド・アニメーションで、今の時代のアニメに見慣れた人からすると少しカクついている印象を受けると思われる。ヒルダがグルンワルドの妹であるという設定には、ヒルダに出会うよりも前にグルンワルドとホルスの会話にて「お前を弟にしてやろうか」と言っていたことが終盤にヒルダがホルスに「双子よ」と言う台詞の伏線になっている。これは実際にグルンワルドとヒルダに血縁の関係があるという訳ではなく、悪魔の心と人間の心という二つの側面を持つヒルダが、悪魔の心に囚われてからホルスたちによって人間の心を取り戻すという話に沿っている。村を襲撃され孤独感を募らせていたヒルダと、人間と離れて父と二人で暮らし、父が死んでから村へ来て父を失った孤独感を癒していたホルスが対比的になっていると考えられる。悪魔の心を増幅させていたヒルダと、そんなヒルダたちの悪魔に立ち向かうホルスの構図から学べることがありそうである。大カマスや怪鳥、太陽が大きくあしらわれた花嫁衣裳など、やや北欧らしい要素も見受けられるが、キャラクター達の服装や造形は比較的シンプルなものが多い。

5
『よなよなペンギン』(アニメ映画)(2009)監督:りんたろう
【概要・あらすじ】
原作は、りんたろう、マッドハウス製作、松竹配給。略称はよなペン。
毎晩、ペンギンの格好をして街を歩き回っていた少女ココ。ココは、天国のおとうさんが話してくれた、「ペンギンと空を飛んだことがある」という言葉を信じている。だから、彼女の願いは、いつか空を飛ぶということだった。 彼女の元に、ある日、空から招待状が届く。

【考察】
フルCGアニメーションになっており、以前に見た『ホッタラケの島』と似た作風の作品となっているが、動きは少し硬めになっている。キャラクターの陰影や質感などもリアル寄りであるとは言えず、全体的に似たようなプラスチックっぽい質感表現になっている。ストーリーとしては「信じていればきっと夢は叶う」というようなテーマになっていると考える。冒頭に出て来てココの夢をからかったいじめっ子が、その後にココの成し遂げたことを認識して考えを改めるというような描写がなかったのが少し残念。飛べないはずのペンギンが空を飛ぶ姿は、周囲の人々から諦められたり期待されなかったりしても、続けていれば報われることの象徴的な姿だと思う。ただ、ココがなぜ最後だけ飛べたのか、具体的な説明はなかったように思われる。また、同じ場に居合わせてスローモーションがかかっていたとしても、キャラクターやものによってはスロモの具合が違うのが少し気になった。悪魔らしき存在として登場するザミは、最初こそ「何だコイツ」と思うが、物語が進むにつれて性格に変化が現れ、最終的にかなり憎めないキャラクターになったのが印象的だった。敵の動きや味方の動きにはところどころご都合的な要素が見られて少し気になる点はあった(敵側の拠点の警備があまりにもザル過ぎる・敵が町の破壊行為を繰り返しているのに微動だにしない&ラスボスにトドメだけさす味方側の神様的存在)。


6
『呪術廻戦 懐玉・玉折 劇場版総集編』(アニメ映画)(2025)監督:御所園翔太
【概要・あらすじ】
TVアニメ第2期となる「懐玉・玉折/渋谷事変」が2023年7月から12月まで放送された。そのうちの全5話となる「懐玉・玉折」のストーリーが総集編として劇場にて上映。全編の音楽を5.1chサラウンドの劇場環境に合わせて再ミックスし、一部楽曲は劇場版用にリアレンジ。TVアニメ時のオープニングテーマをアレンジしたキタニタツヤの「青のすみか (Acoustic ver.)」を主題歌として迎える。
2006年 春。高専時代の五条悟と夏油傑。呪術師として活躍し、向かうところ敵のない2人の元に、不死の術式を持つ呪術界の要・天元からの依頼が届く。依頼は2つ。天元との適合者である“星漿体” 天内理子、その少女の「護衛」と「抹消」。呪術界存続の為の護衛任務へと赴くことになった2人だが、そこに伏黒を名乗る“術師殺し”が“星漿体”の暗殺を狙い介入する。
【考察】
テレビ放送版を見た後に映画館で鑑賞した際、印象として大きく異なったのは、五条・夏油の二人と伏黒甚爾である。テレビ版では特に夏油に視聴者が感情移入しやすく、敵側の伏黒がヘイトを買うような構図になっていたが、映画になって話の展開が途切れず一つの繋がったものとして見ていると、任務に対しての五条と夏油の若さゆえの甘さや粗さに気がつくと同時に、伏黒のクレバーさや計画の綿密性に目が付き、頭の切れる暗殺者として魅力的なキャラクターに感じられるようになったと考える。アニメ版よりも、殺された後に話が全然出て来ない天内がただ殺されただけのひたすら可哀そうな存在に思えた。何故かテレビ版ではそのままカラーで描写されていた五条と夏油の襲撃シーンが劇場版ではモノクロになるように編集されていたのかの理由が気になった。映画館の音響で音を聴くことによって、テレビ版では気がつかなかった声優の微かな演技などにも気がつくことが出来たと思う。クワイアの声を新たに録りなおしていることにも気がついたが、アニメ版の音楽に注意深く耳を傾けていれば、映画版との違いにも気がつけたかもしれない。

7
『劇場版 鬼滅の刃無限城編 第一章猗窩座再来』(アニメ映画)(2025)監督:外崎春雄
【概要・あらすじ】
吾峠呼世晴による漫画『鬼滅の刃』を原作としたufotable制作の日本の長編アニメーション映画。全三部作として制作され、2024年5月から6月に放送されたテレビアニメ版「柱稽古編」の続編として無限城での戦いを描く。
無惨の策略により鬼殺隊は鬼たちの根城である無限城へと落とされ、各々が鬼を討伐しながら無惨を探す。蟲柱・胡蝶しのぶは実姉を殺した張本人である上弦の弐・童磨と、我妻善逸はかつての兄弟子にして新上弦の陸となった獪岳、竈門炭治郎と水柱・冨岡義勇はかつて炎柱・煉獄杏寿郎を倒した上弦の参・猗窩座と遭遇し、戦いを繰り広げる。

【考察】
画面に占める情報の量や密度が非常に高い作品だと感じた。注視して見ても、とてつもないスピード感で映像が動いていくので、コマ送りして見たいと思う場面がいくつもあった。無限城に落下していくだけでも建物の数だけでその圧倒的な規模の大きさが分かる他、特に戦闘シーンでは何が起きているのか目で追うことすらままならないほどのハイスピードである。印象的だったのは劇伴で、アニメの一期などで使われていた各キャラクターのテーマのメロディーを豪勢にアレンジしたり、対戦するキャラクターのテーマを組み合わせた楽器を用いていたりと非常に凝っており、耳まで忙しい作品になっている。アニメ映画として興行収入が注目されている作品ではあるが、その質の良い作画と動きという情報が猛スピードで大量に押し寄せるため、何があったのか確認したい、何度でも見たいと観客に思わせるためもあるのではないかと思う。
ストーリーも、キャラクター達の遣る瀬無い想いや報われなかった願い、届かなかったことへの悔しさや自分が未来へ繋ぐ覚悟など、普遍的な人の思いを描いたものが多く、声優の演技や音楽も相まって感情を高ぶらせる・共感させるものとなっていると思う。

8
『タコピーの原罪』(Webアニメ)(2025)監督:飯野慎也
【概要・あらすじ】
タイザン5による同名の日本の漫画を原作に作られたWeb配信アニメ。複雑な家庭事情と学校でのいじめに苛まれる少女・しずかとタコ型地球外生命体・タコピーの交流譚を描く。

【考察】
原作の漫画の絵柄をかなり踏襲した絵柄が特徴的。表現も漫画由来かは分からないが、構図を利用した主観人物の心情表現が印象的だったと思う。東が自分の犯行がバレるかもしれないというシーンでは机の下から俯く大きく歪んだ東の焦燥した顔が見え、警察の声も水の中から聞いたような籠った音になっていたり、東が母からパンケーキを出され、諦められたことを言われた途端、それまでおいしそうだったパンケーキが残飯のように見えたり、テーブルの距離が伸びて母親との埋まらない心の距離を表していたり、実際にはそんなことはないのに東の兄に詰められるという幻想といったシーンが印象的だった。声優の演技も圧巻で、特に第六話でしずかが泣きながらタコピーに怒りをぶつけるシーンはかなり反響も大きかった。
ストーリーとしては、誰がいい子で誰が悪い子なのか、その逆転現象が次々に連鎖して起こっていく。しかし、一貫して大人たちが本当に悪い影響を子供たちに与えすぎていると思う。タコピーに「一体どうすればよかったの?」と聞くしずかに対して「分かんないっピ…」「いつもお話聞こうとしなくてごめんっピ」というのが非常に誠実で、タコピーの成長を感じた。この物語では、「お話」がハッピーを生むことも一貫して描かれており、最後にまりなとしずかが和解するときも、多少強引ではあるが二人の対話によるものになっている。

9
『彼女と彼女の猫』(テレビアニメ)(2016)監督:坂本一也
【概要・あらすじ】
新海誠による同名の自主制作短編アニメーション作品を原作とした日本の短編テレビアニメ。2016年3月『ULTRA SUPER ANIME TIME』枠内にて『彼女と彼女の猫 -Everything Flows-』のタイトルで放送された。1話約8分で全4話。略称は『彼女と彼女の猫 EF』。第4話エンドクレジット後のパートで、自主制作版の冒頭へつながるような演出がなされた。
都会で一人暮らしをする美優は、かつてルームシェアしていた親友の知歌が先に部屋を出て行ってしまい、猫のダルと二人暮らしをすることになる。

【考察】
猫のダルの特徴的なモノローグや声優の花澤香菜を起用していることにより、非常に新海らしさを感じる要素はあるものの、作品全体としては淡泊な印象だった。輪郭線が茶色いのは特徴の一つだが、作画にもこれとった大きな特徴は見受けられない。淡々と就職活動に追いつめられる美優とダルの日常を描いた作品になっているが、基本的にダルの視点を中心に世界が描写されている。落ち込む美優の枕元にトカゲを渡し、叫んだ美優の声を聞いて「よかった 元気になったみたい」など、やはり少し人間の感覚とはズレた猫の感性を持っている描写がされている。

10
『メアリと魔女の花』(アニメ映画)(2017)監督:米林宏昌
【概要・あらすじ】
原作はイギリスの女性作家メアリー・スチュアート(1916年 - 2014年)が1971年に発表した『The Little Broomstick』。
11歳の赤毛の少女メアリは、大叔母シャーロットが住む赤い館に引っ越して来たが、テレビやゲーム機も無く退屈な日々を過ごしていた。ある日、メアリは赤い館を訪れた12歳の少年ピーターと出会うが、彼の飼い猫ティブとギブを追って森に迷い込み、夜間飛行という花を見つける。その1輪を赤い館に持ち帰り、翌日、ティブを追って再び森に来たメアリは、赤毛の魔女が落とした箒を見つけるが、誤って夜間飛行の汁を箒に付けてしまう。すると箒は独りでに動き出し、メアリとティブを乗せたまま空高く舞い上がると、積乱雲の中にある魔女の国に入っていく。
【考察】
スタジオポノック作品だが、どうしてもジブリの系譜は感じざるを得ない。絵柄はほとんどジブリの特徴と一致している他、ファンタジーの描写などもかなりジブリっぽいという印象を受ける。ただ、はっきりと言葉にすることは出来ないものの、「ジブリ・宮崎作品よりもワクワク感がない…!」という感想が出た。物語に緊張と緩和の緩急がないような、緊張の度合いが少し緩めなのかもしれないと感じた。どうせ捕まってもなんとかなる・まさか死ぬようなことはないだろう・変身魔法で変身させられてしまっても魔導書と花があれば元に戻れる、といったような鬼気迫る感覚があまり感じられなかったように思う。前半の街での暮らしは、のどかな田舎と妖しい森という雰囲気に合っていたと思うが、後半の大学に入る場面でも「これは一体何だろう?」と観客に思わせるワクワク感があまりなかった。ハリー・ポッターのホグワーツの彩度を上げて造形を動植物モチーフに変えたような既視感からだろうか。加えて、魔法が科学と密接に関係がある・人間に一部の魔法は制御可能&近代化のような要素が込められていたからだろうかと考えた。音楽としてはハンマーダルシマーが非常に印象的なBGMになっていた。
魔女宅のキキとは違い、メアリの場合は黒いスパッツで守られていた。

11
『メトロポリス』(アニメ映画)(2001)監督:りんたろう
【概要・あらすじ】
手塚治虫の同名漫画『メトロポリス』を原作としたアニメーション映画。ジグラットという機械工学化や発展が急進的な街に、伴俊作という日本の探偵とケンイチという助手が訪れる。
【考察】
絵柄・テーマ共に手塚治虫作品らしい作品だと感じられた。鉄腕アトムなどの手塚プロのアニメーションを見たことがあるが、それよりも大分ヌルヌルと動くようになっており、手塚が生きていてこの映画を見たらよい反応をするのではないかと思った。ロボットを機械の奴隷として扱うか、それとも人間と同じように扱うのか、ジグラットで働くロボットたちは総じて前者寄りの待遇の元に活動している。しかし、ロボットたちの挙動や性格、見た目はかわいらしい、親しみが持てるように表現されているため、前者的な扱いをしているジグラットの人間に対してヘイトが向くような構図になっていると考える。ティマはレッド公の失われた娘を元に作られたと確かあったと思うので、非常に『鉄腕アトム』の持っていたテーマ性と似ているのではないかと感じた。ただ、奴隷のように扱った人間には天罰が下るという結末から町の大規模な破壊行動に及び、崩壊した町を見るとどことなく『AKIRA』のラストを感じられるラストにもなっている(脚本が大友克洋)。

12
『鉄コン筋クリート』(アニメ映画)(2006)監督:マイケル・アリアス
【概要・あらすじ】
『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)に連載された松本大洋による漫画を元にした劇場アニメ。義理人情とヤクザが蔓延る町・宝町。そこに住む<ネコ>と呼ばれる少年・クロとシロは、驚異的な身体能力で街の中を飛び回ることが出来た。そんなある日、開発という名の地上げでヤクザ、3人組の殺し屋、蛇という名の男性が現れる。
【考察】
カメラワークが非常に特徴的かつ絵柄もかなり独特な作風で、唯一無二の雰囲気を醸し出していると感じた。芸能人声優を何人も起用しているが、作品やキャラクターとの馴染みは良かったと思う。特にニノの声優としての演技については『実写版 暗殺教室』でも触れられていたが、不良少年の役としても、クロの持つ生意気なクソガキ感やその奥に眠る「イタチ」としての狂気も非常に表現出来ていると思った。アクションシーンは非常に軽やかながら、その軽さの中にも狂気が感じられる。ストーリーとしては、「流れ」や「闇」、「この街は長くない」などのキーワードらしきものはいくつもあるものの、どれもかなり抽象的でそれらが一体どういうものなのか、簡単に把握するのも難しいと感じた。アジアンチックながら世界のどこにもなさそうな乱雑な雰囲気の街で、半スラム化したような中華街のような街で繰り広げられる高低差を活かした戦いのシーンはインパクトがある。日本人が作らないようなアジアの街という印象を受けた。

13
『ももへの手紙』(アニメ映画)(2012)監督:沖浦啓之
【概要・あらすじ】
リアル系アニメーターの第一人者としても知られる沖浦啓之が前作『人狼 JIN-ROH』以来12年ぶりに手がけた2作目の監督作品で、オリジナル作品としては初となる長編劇場アニメ。
父が遺した書きかけの手紙には、ただその一言があるだけだった。心ない言葉をぶつけ、仲直りしないまま父を亡くしたももは、11歳の夏、後悔を抱えたまま母親のいく子とふたり、母が幼い頃住んだことのある瀬戸内の島に引っ越してきた。辿り着いた汐島は、昔ながらの家々と自然に囲まれたどこか幻想的な町だった。
【考察】
絵柄がリアル寄りのジブリ、あるいは『火垂るの墓』を思わせる絵柄だと思った。特に鼻・口回りの描画が省略されずに書かれており、それがリアルさに拍車をかけていると思われる。妖怪三人組の中ではマメが一番不気味だと感じた。ももの足を舐めたりももの入浴中に風呂に忍び込んだりと、本人は茫然としているがしっかりとももに絡んでくるあたりが少々気味が悪く思った。瀬戸内のレモンをつかった羊羹や海の見える穏やかな景色、人々の言葉遣いからも、見ていて本当に瀬戸内の田舎に移り住んだように感じられた。ももの同級生の男子との距離感が自然なのもリアルだと感じた。母の発作の悪化を食い止めるために暴風雨の中で橋を渡ったり、山をモノラックでのぼって猪から逃げたりと、移動を伴うアクションシーンは非常にワクワクした。妖怪たちの力を使って協力して一つの大きな・大変なことを成し遂げようとする構図にワクワクするのだろうかと考えた。妖怪たちは積極的なももの味方というわけではなく、むしろかなりのやらかしを人々にしている上にそれを把握しているのがももだけなので、かえってももが何か関係しているのではないかという誤解を周囲の人に与えかねない厄介な存在になっている。意思疎通こそできるけれどなかなか相容れない存在として描写されているのだろうかと考えた。



14
『舞台 呪術廻戦 懐玉・玉折』(舞台)(2025)脚本:喜安浩平
【概要】
芥見下々原作の漫画『呪術廻戦』のエピソード「懐玉・玉折」を舞台化。8月22日から9月7日まで東京・大阪で公演。

【考察】
二階席から観劇をした。距離的にキャストの人達の表情などは見えづらかったものの、立ち居振る舞いなどが正にキャラクターそのものを体現しているようで、本当にその場にキャラクターが「いる」と感じた。特に声質がアニメ版と大きく異なるキャストもいたが、それでも話し方や振る舞いを非常にキャラクターに寄せていたために全然違和感がないという現象が起こっていた。何がそのキャラクターをキャラクターたらしめるのかについて考えて見たくなった。人数などの関係上兼ね役なども当然あるが、中学二年生の女子の役を中年の男性が行っているのを見た時は会場内でも笑いが起こっていた。一日しか観劇には行けなかったものの、何度も通して観劇に行っている人の感想を見ると、やはり日によってコマかい箇所の台詞や演技が変化しており、「舞台は生もの」という役者の言葉を思い出した。
五条が逆さに浮いたりするシーンではアンサンブルの人が逆さに持ち上げていたり、空中浮遊するシーンではかなり高い台の上に乗って演技をしたりと、身体を張った演出方法だったことも印象に残っている。


15
『借りぐらしのアリエッティ』(アニメ映画)(2010)監督:米林宏昌
【概要・あらすじ】
監督は本作が初監督作品となる米林宏昌。メアリー・ノートンの著書『床下の小人たち』を原作として、翻案・脚色された作品であり、人間の屋敷で物を借りながら隠れ暮らす小人の一家や、小人の少女アリエッティと人間の少年翔の交流を描く。
【考察】
一見するとアリエッティが普通の大きさの女の子に見える前半パートだが、よく見ると水滴の大きさなどは一貫して大きく描かれており、小人たちの小ささが窺える。アリエッティが翔と初めて目が合うシーンは本当に突然なので、観客としても軽いジャンプスケアを経験した気持ちになった。アリエッティと同じ気持ちを体験した気分になった。アリエッティと翔が協力してアリエッティのお母さんを捜すシーンでは、二人の身体で出来ることと出来ないことを活かしあって助けていたのが印象的で、いつかはこうして小人と人間が共存し合える未来もあるのではないかという可能性を描いているのではないかと思った。序盤でアリエッティが受け取らなかった翔の角砂糖を最後に受け取るのも、その比喩なのではないかと感じた。

16
『めくらやなぎと眠る女』(アニメ映画)(2022)監督:ピエール・フォルデス
【概要・あらすじ】
村上春樹の3つの短編小説集『めくらやなぎと眠る女』『象の消滅』『神の子どもたちはみな踊る』から6編の短編小説を脚色し、東日本大震災直後の東京を舞台に、2人の銀行員を主人公として描いている。
本作は2022年度アヌシー国際アニメーション映画祭で初公開され、審査員賞を受賞。その後第47回トロント国際映画祭の現代ワールドシネマ部門でも上映された。日本での公開に際しては、20歳未満のキャラクターが喫煙するシーンがあることからPG-12指定がなされている。
【考察】
村上春樹作品を読んだことがある人間なら、この作品の原作が村上春樹のものであると恐らくすぐに分かると思う。特に緩急もないのっぺりとした展開や、「このシーン必要あるのか…?」とやや疑問に思うような場面がいくつかあるなどが小説を読んでいて覚える感覚に酷似しているのである。この映像作品もほとんどが人物たちの会話劇によって進行しており、恐らく動画かロトスコープ的な動きをしているので、表現としては本当にリアルに振り切った作品だと思う。アニメ版の『悪の華』を彷彿とさせる作品だと感じた。時折ある性描写や穏やかながらグロテスクな描写、喫煙に飲酒など、精神的にじわじわと追いつめられてくるような閉塞感を覚えた。

17
『好きでも嫌いなあまのじゃく』(アニメ映画)(2024)監督:柴山智隆
【概要・あらすじ】
制作は『泣きたい私は猫をかぶる』『ペンギン・ハイウェイ』などの作品で知られる多くのアニメ作品を生み出したスタジオコロリド。
高校1年生の八ツ瀬柊は、人から嫌われず周囲と上手にやっていきたいとの思いから、頼まれごとを断れない性格であったが、何をやってもうまくいかず親友と呼べる相手もいなかった。季節外れの雪が降った夏のある日、人間の世界に母親を探しに来た鬼の少女ツムギと出会う。柊と正反対の性格で、周囲の目を気にしないツムギは、柊を旅の道連れにする。
【考察】
終始「よく分かんないな…」となった作品だった。絵はこれまで手掛けてきた作品を含めて申し分はないものの、物語の設定に整合性が薄かったりツッコミどころが多かったりして、少し集中できなかったことは否めないと思った。例えば人が鬼になるという設定は、本当の気持ちが言えないまま貯め込んでしまう人は、身体から小鬼と呼ばれる雪のようなものが出て来て、それが出すぎると鬼になってしまうという設定があるのだが、それだとほとんどの人間は鬼になっていてもおかしくないのではないかと感じてしまった。また、ツムギ自身は鬼の両親から生まれたから鬼に決まっていると言っているものの、それなら尚更人間と鬼の人口は逆転していてもおかしくない上、鬼の角は鬼になりかけの人間や鬼同士にしか見えないため、なぜ鬼が隠れ里に住んでいるのかもよく分からない。自分の気持ちを隠して鬼になってしまうような人がのびのび生きられる場所としての役割があるらしいが、ツムギの母親が自分の本心を明かせずに雪の神になって悲しんでいた点を見るに、その役割すらうまく機能していないことが分かるので、やはり分からないという気持ちが強い。ただメッセージ性は伝えようとしているのは分かるものの、やはり要領を得ないという感想が出て来る。

18
『化け猫あんずちゃん』(アニメ映画)(2024)監督:久野遥子・山下敦弘
【概要・あらすじ】
いましろたかしによる同名の漫画作品を原作とした映画。南伊豆・池照町の一角にある草成寺で飼われていた猫、あんずちゃんは、10年、20年経っても死なず、30歳を過ぎて化け猫となっていた。飼い主であるおしょーさんの養子となり、寺の仕事を気まぐれにこなしつつ、日常生活をおくるあんずちゃん。彼と町の人々との交流を描く不思議な物語。

【考察】
何であんずちゃんは生きているのか、なんで喋れるのか、なんで自転車に乗っているのか?といった疑問や違和感は割と序盤ですぐに消え失せてしまった。周囲の人々があまりにも自然にあんずちゃんのことを受け入れているため、「まあいいか…」となってしまうのである。メインキャラクターのかりんを含め、登場人物全員に「コイツ…」と思うところもあればでもやっぱり憎めない点もあり、観客にキャラクターを好きになってもらえるような造形になっている。かりんの母親に会いになぜか地獄に行ったり、結局地獄に行って母を現世に蘇らせた重罪がどうなったのかなどについては触れられないものの、「まあ…なんとかなったっぽいしいいか…!」と思わせる適当さが愛おしいと思う。

19
『きみの色』(アニメ映画)(2024)監督:山田尚子
【あらすじ】
海に面した街のキリスト教系女子高校3年に在学する日暮トツ子は、会う人固有の「色」が見えるという特殊な感覚を持ち、周りの人間からは少し浮きがちであった。トツ子は「きれいな色」を感じた同学年の作永きみのことが気になっていたが、きみはいつの間にか学校を退学していた。「本屋で働いているのを見た」という噂をもとに、トツ子は市内の本屋を探し回り、ある古書店できみと再会する。
【考察】
画面の中の色彩が本当にどのシーンをとっても鮮やかで穏やかで、トツ子の視界を共有して見ているような感覚になった。動きのヌルヌルさや展開と人間関係の静かさ、トラブルなども特にない監督の作品性が非常に全面的に現れた作品だと思う。それでいてラストは割と王道よりの展開になっていくのも着地の座りが良い。披露される楽曲の三曲もどれも良く、特にトツ子の「水金地科目土天アーメン」は、掴みやすいフレーズとキャッチ―な歌詞から簡単に口ずさむことが出来る。足の描写が思ったより少なかったことが意外だった。

20
『さよなら絵梨』(漫画)(2022)作者:藤本タツキ
【あらすじ】
病の母が死ぬまで、スマートフォンで撮影をしていた中学生の優太。彼は母の死後、自殺をするために向かった病院の屋上で、とある少女に出会い、映画を撮影することになる。

【考察】
個人的に驚きだったのは、絵梨が眼鏡をかけて矯正をしていた女の子だったという点。作中では絵梨は一度もそんな描画はされていなかったため、漫画のコマの全部を合わせてもまだ読者には分からない絵梨や優太の真相があの漫画のコマの外にはあるのだなと思うと同時に、映画の撮影とこの漫画の構図が入れ子構造になっていることが分かる。

21
『ヌードモデル』(漫画)(2015)作者:山口つばさ
【概要・あらすじ】
高校の不良少年である百瀬は、所属するグループのルールに従い、罰ゲームとして美大を目指す同じクラスの女子高生の夏目と三日以内にヤッてこいと命令される。百瀬は夏目の家に行き、モデルがいなくて困っていた夏目に対し、自分がヌードモデルになることを提案する。

【考察】
最初はただ純粋に絵を描く・描かれるの関係だった二人だが、一方は裸を見られ一方は自分の貞操を狙われているのを分かっていた状況だったのが面白い。それでもお互いにヌードモデルと画家という関係を崩さなかったのが尊い関係だと感じた。百瀬が最後に夏目を馬鹿にした同級生を殴ったり夏目に謝ったりする場面が挟まったのは珍しいように感じた。夏目は、最初は笑わずに真剣な顔で絵を描くことから少し恐怖を覚えるが、最後の笑顔が非常にかわいらしく、全然能面なんかじゃないということが感じられて良かった。

22
『おんなのこ』(漫画)(2015)作者:山口つばさ
【概要・あらすじ】
女の喘ぎ声の真似をした録音を聴きながら自慰行為を行っていた矢田は、ひょんなことからその音声を同級生の男子に聴かれてしまう。しかし、声フェチだという桃井以外の誰にも声の正体が矢田であることはバレず、音声は男子たちの間に広がっていく。その様子に悪い気はしない矢田は、自分の声が裏で男子たちに求められることに関し、徐々に女子に対する優越感を抱く。
【考察】
女の子が経験する喜びと苦しみを男子が味わってみたらこういうことになるのだろうかと考えた。朝比奈が妹尾にレイプされているらしき描写はかなり序盤からあったものの、見逃してしまうと構図的には「気づけなかったことに対する申し訳なさ」が矢田と読者でリンクする形になっているのが巧みだと感じた。最後のおっぱいを抱える矢田の構図は、思春期の男子なら喜びそうな構図ながらも、その重みを理解した矢田の意識の変化が感じられる。

23
『ソフトさんの悲劇』(アニメ)(2009)監督:杉山実
【概要・あらすじ】
ソフトさんの悲劇は、ソフトクリームのキャラクター、ソフトさんが様々な状況で潰れ続けていく姿をユーモラスにえがいた、悲しくも可笑しい連続ショートアニメーション。
この作品はロカルノ映画祭(スイス)「MANGA IMPACT」2009/8/5や、Holland AnimationFilmFestival(オランダ)2009/11/4で公開され、NIPPONCONNECTION(ドイツ)2010/4/14でも上映されるなど海外でも高い評価を得ている。
【考察】
これはもはや考察をすべき作品ではないのでは…? という気さえしてきた。日常的なスポーツのものが大半を占めている印象を受ける。作品の大半はオチが想像できるものだが、中には視聴者の意表をつくオチもあったりと、意外と面白い。だが、子供向け作品という印象は否めない。

24
『ソフトさんの悲劇 新種誕生』(アニメ)(2011)監督:杉山実
【概要・あらすじ】
クリエイター・杉山実が手掛けたシュールなショートアニメーション第2弾。溶ける体をものともせず、さまざまなことにチャレンジし続けるソフトクリームのキャラクター、ソフトさんの日常を描く。
【考察】
前作よりも線が綺麗になり、色もかなり鮮やかになって色んな種類の仲間が増えているのも特徴。もしかしてソフトさんは、地球上で最強の生命体なのでは…?と感じ始めた。

25
『デス・ビリヤード』(アニメ)(2013)監督:立川譲
【概要・あらすじ】
文化庁の若手アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ2013』の参加作品として公開された。原作の立川譲は監督および脚本も務めており、作品の独特な世界はその作家性によるものが大きい。結末はリドル・ストーリー的に考察の余地を与えるものとなっている。
突如、謎のBARに連れてこられた若者と老人に、バーテンダーらしき人物は「命を懸けてゲームをして頂きます。」と答える。2人ともわけがわからないままビリヤードを始めるが、若者は次第にこのゲームを疑うようになる。
【考察】
新人が育成目的で作ったとは思えないクオリティの作品だと感じた。特に激しく若者たちが動くシーンにも迫力があった他、老人と若者が天国と地獄のどちらにいったのか、何となく答えが出ているような気がしないでもないのも興味深い。

26
『小さな英雄 カニとタマゴと透明人間「カニ―ニとカニーノ」』
(アニメ)(2018)監督:米林宏昌
【概要・あらすじ】
スタジオポノックのプロジェクト「ポノック短編劇場」の1作目。『メアリと魔女の花』に続く劇場用映画で、スタジオポノックとしては初の短編映画となる。3篇のアンソロジーとして発表。『カニーニとカニーノ』(監督/米林宏昌)、『サムライエッグ』(監督/百瀬義行)、『透明人間』(監督/山下明彦)。
サワガニの兄妹・カニーニとカニーノは、両親と共に川底で小魚を食べて暮らしていた。母が出産の為に棲み家を離れていた大嵐の日、激流に流されそうなカニーノを助ける父親。だが、代わりに父が流されて行ってしまった。兄弟だけになり、父を探すため危険を犯してカニーニとカニーノは下流に向かう。
【考察】
カニだからか、人間の言語らしきものは一切喋らず、名前や独自の言語を使っていたのが印象的だった。水の表現や魚の表現が非常にリアルで、ジブリらしさはそこからは感じなかった。

27
『「サムライエッグ」』(アニメ)(2018)監督:百瀬義行
【あらすじ】
野球好きな小学生・シュンは、両親と東京・府中市で暮らしていた。彼は生まれつき重度の卵アレルギーに苦しんでいた。アレルギーの治療は、わざと少量のアレルギー物質を食べて慣らして行くのだが、それは吐き気との闘いであり、まだ幼いシュンは治療を避けがちだった。
【考察】
玉子入りのアイスを食べてしまい、エピペンを持って家を飛び出していくシーンは疾走感と発疹による苦しみが表現されていて、見ていて涙腺が刺激された。

28
『「透明人間」』(アニメ)(2018)監督:山下明彦
【あらすじ】
港町で暮らす青年は透明人間だった。背広を着て会社に勤務しているが、同僚たちは彼が居ないかのように素通りする。常に重い消火器を担いでいる青年。手ぶらでは風船のように、何処までも浮いて行ってしまうのだ。
【考察】
彼の存在に気がつくのが盲導犬とその犬を連れた老人というのも感慨深い。その老人も透明人間なのかもしれないと思った。それにしても、一体どうやって就職できたのか、就職したころはまだ透明じゃなかったのかもしれないと思った。

29
『がんばっていきまっしょい』(アニメ映画)(2024)監督:櫻木優平
【概要・あらすじ】
敷村良子による私小説を原作としたアニメ映画。愛媛県松山市の高校を舞台に、ボート部の活動に打ち込む5人の女子高校生たちの姿を描いた物語。
【考察】
3DCGを用いたアニメで、光の使い方が鮮やかで美しい作品だった。主人公回りの急に生えたような恋愛要素には首をかしげたが、最後のレースの間に挿入される謎の寝そべる五人の絵と含めて、そこだけが微妙だったが、あとは概ね満足できる映画だった。

30
『セロ弾きのゴーシュ』(アニメ映画)(1982)監督:高畑勲
【概要・あらすじ】
高畑勲が監督しオープロダクションが5年の歳月をかけて完成させた自主制作作品。劇場公開は1982年1月23日であったが、同月発表された1981年度の第36回毎日映画コンクール・大藤信郎賞にノミネートして受賞している。
ゴーシュは町の活動写真館の楽団「金星音楽団」でセロを担当している。しかしあまりにも下手なためにいつも楽長に厳しく叱責されていた。そんなゴーシュのもとに、カッコウを始め様々な動物が夜毎に訪れ、いろいろと理由を付けてゴーシュに演奏を依頼する。
【考察】
最初は動物たちにも辛く当たっていたゴーシュが、動物たちのお願いごとを叶える度に少しずつ穏やかになり、最後にはセロの腕がうまくなるのが良かった。セロの振動が按摩になっているというのが現実的で意外だった。
2025/09/30(火) 23:58 No.2128 EDIT DEL
4年 宇都穂南 RES
4年 宇都
春休み課題6〜13

6.二癈人/江戸川乱歩
湯治場で出会った井原と斎藤は世捨て人的な廃人同士として意気投合する。斎藤が顔の崩れた原因である戦場の話をしたあと、今度は井原が自己の隠棲した理由を語る。井原は小さい時から夢遊病であった。しばらくはおさまっていたが、学生となって東京に出てくると、それが再発したらしく、本人はまったく覚えがないのだが、同じ下宿内の者の物を盗んだり、夜中に墓場をうろつくようになってしまったのだという。そしてついに下宿の主人の老人を夢遊病の発作を起こしたときに殺してしまったのだった。盗まれた老人の財産が井原の部屋にあり、井原のハンカチが現場に落ちていた。素封家である親や、学友木村の尽力で、病気のため無罪となったが、それ以来、井原は社会復帰する気をなくし、こうして隠棲の人生を歩むようになったのだという。それを聞いて斎藤が、それは木村があなたの夢遊病であることを最初から利用し、目当ての老人殺しをあなたのせいにしたのではないかという。井原がありうることだとして愕然となると斎藤は辞す。井原は顔こそ崩れてしまったが斎藤こそ木村なのではないかと思う。

この話の最後、井原は木村の機知をにくむというより讃美しないでいられなかったとある。奇想天外なアイデアを素晴らしいと思うことはあるだろうが、この場面で井原の立場で考えると讃美の感情は普通出てこないと思う。奇想天外なアイデアを使って小説を執筆してきた作者江戸川乱歩の趣向が出ているような気がする。

7.D坂の殺人事件/江戸川乱歩
9月初旬の夜、「私」がD坂の大通りにある喫茶店で、向かいの古本屋の美人妻を眺めることを目当てに長居をしていると、その美人妻の存在を教えてくれた「人間の研究をしている」という青年明智小五郎が通りかかり、彼も店内に入ってくる。しかし、件の美人妻も主人も店頭に姿を見せず、万引きの跋扈するのに任せたままにしているので、おかしいと思った二人が古本屋へと入って電灯をつけてみると、奥の部屋に古本屋の妻の絞殺死体があった。警察の捜査の結果、古本屋の主人のアリバイは証明されるが、死体が発見された部屋の出入り口はすべて見張られた状態にあり、犯人がどこから入り、どこから逃げたかはわからない。長屋内部の者の犯行か。しかも奥の座敷に誰か男がいるのを無双障子越しにちらりと見たという二人の学生は、男の着物は黒、もう一方は白だと違う証言をし、事件は謎を深める。

江戸川乱歩の生んだ名探偵・明智小五郎が「容疑者」として扱われ、「私」という一般人の主人公の視点から推理が語られるという変わった構造の推理小説である。「私」視点で捜査が進むため明智が本当に怪しく見えてくるが、終盤で明智の語る推理を聞くとこれまで信じていた手がかりや証拠、証言の信頼度がどんどんと落ちていく感覚を味わえる。読書体験として特殊ではないだろうか。

8.心理試験/江戸川乱歩
貧しい大学生・蕗屋清一郎は、同級生の斎藤勇から、斎藤の下宿先の家主である老婆が室内に置いている植木鉢の底に大金を隠していることを知る。老い先短い老婆より、まだ若くて未来のある自分がその大金を使うべきなのだ、と考えた蕗屋は、老婆を殺して金を奪う計画を立てる。基本方針は、小細工を弄しないで、大胆率直にことを進めた方が足がつかないというものだった。彼はそれを実行し、老婆を殺したあと、金の半分を奪い、残りは元の場所に、そして奪った金を財布に入れて拾得物として警察に届け、1年たつのを待つことにする。その後、老婆殺害のかどで斎藤が勾引される。斎藤は老婆殺人の第一発見者であったが、そのときに例の残りの金を盗んで自分の腹巻に入れ、そのまま警察に殺人を知らせにいき、そこで身体検査されたため、分不相応の金を持っていたということで容疑をかけられてしまったのだ。蕗屋はほくそ笑むが、自分が拾った大金を警察に届けたことが担当予審判事の笠森の耳に入ったことを知る。笠森が心理試験を行う判事であることを知っていた蕗屋は、その対策として、どんな質問にも策を弄せず素直に答えてみせるという訓練を自分に課す。斎藤と蕗屋を心理試験にかけてみた結果、混乱を呈しているのは斎藤のほうで、蕗屋のほうは平然としていることが分かり判事は頭を悩ますが、そこへ名素人探偵として名の轟きだしている明智小五郎がやってきて、私見を述べ、ひとつの罠をかけるため、蕗屋を呼びだすこととなる。

蕗屋という殺人犯がいかにして心理試験(呼吸、脈拍、筋肉の動きなど体の反応を感知して嘘を見破る捜査法)を突破するか、蕗屋と明智含む警察側の対決を見所としている。蕗屋の殺人の動機や方法について淡白な文章で書かれた後、心理試験対策を入念にした蕗屋と彼を追い詰める明智の会話に多くのページが割かれる。明智はミュンスターベルヒという心理学者の著作を引用し心理試験の効能について語るが、どうやら学者とその著作は実在しているようである。心理試験のようなものは現代にもあるが、「完璧な対策をする犯罪者がいたらどうなるのだろう?」という純粋な問いに明智が答えるような話である。

9.人間椅子/江戸川乱歩
外交官を夫に持つ閨秀作家(女性作家のこと)の佳子は、毎朝夫の登庁を見送った後、書斎に籠もり、ファンレターに目を通してから創作にとりかかることが日課だった。ある日、「私」から1通の手紙が届く。それは「私」の犯した罪悪の告白だった。
椅子専門の家具職人である「私」は、容貌が醜いため周囲の人間から蔑まれ、貧しいためにその悔しさを紛らわす術も持たなかった。しかし、私は職人としての腕はそれなりに評価されており、度々凝った椅子の注文が舞い込んだ。
ある日、外国人専門のホテルに納品される椅子を製作していた私は出来心から、椅子の中に人間が一人入り込める空洞を作り、水と食料と共にその中に入り込んだ。自分が椅子の中に入り込んだ時に、その椅子はホテルに納品されてしまう。それ以来、私は昼は椅子の中にこもり、夜になると椅子から這い出て、盗みを働くようになった。盗みで一財産出来たころ、私は外国人の少女が自分の上に座る感触を革ごしに感じることに喜びを感じた。それ以来、私は女性の感触を革ごしに感じることに夢中になった。やがて、私は言葉がわからない外国人ではなく日本人の女性の感触を感じたいと願うようになった。

推理小説というよりホラー小説に近い。江戸川乱歩の特異な点はその奇想天外なアイデアだと思うが、『人間椅子』はその代表ではないだろうか。もし椅子に人が入っていたら?というアイデア、手紙という形で語られる不快感の強い文章、オチのつけ方まで「江戸川乱歩らしい」小説だと感じる。ひと昔前の丁寧な日本語で語られた手紙にはなんとも言えない気味の悪さがあり、現代の日本語にはない独特な雰囲気がある。

10.ヒックとドラゴン(実写)/監督: ディーン・デュボア
何世代にも渡り人間とドラゴンが戦いを続けているバーク島で暮らすヒックはある日伝説のドラゴン、ナイト・フューリーと運命的な出会いを果たす。トゥースと名付け、友情を育む中で、ドラゴンと共生する方法がないか模索していくがある古代の脅威が世界を危機に陥れ…

ドラゴンに乗って飛ぶシーンでは主人公視点での映像が多用され爽快感があった。映画館で観たが少し酔った。前期の教科書では主人公ヒックがバイキングのリーダーの息子としては「障害」を持つ存在であるとされていたことが印象的だったが、実写版を観て最初に「障害者」として目に映ったのはヒックの師匠的存在のゲップというキャラクターである。彼は腕と脚が欠損しているが、義手や義肢を使って戦うことができる。バイキングの集まりを見ると彼以外にも四肢の欠損を抱える者がいることがわかる。このように身体障害者(ただし皆強い)が珍しくない集団の中で、身体的には健常者であるにも関わらず戦いに向かないヒックはかなり異質な浮いた存在であると感じた。

11.チェンソーマン レゼ篇/監督: 𠮷原達矢
悪魔の心臓を持つ「チェンソーマン」となり、公安対魔特異4課に所属するデビルハンターの少年・デンジ。憧れのマキマ とのデートで浮かれている中、急な雨に見舞われ、雨宿りしていると偶然“レゼ”という少女と出会った。
近所のカフェで働いているという彼女はデンジに優しく微笑み、二人は急速に親密に。この出会いを境に、デンジの日常は変わり始めていく……

大量に血が流れる作品なのだが、血液の色を紫や緑で表現している場面があり、悲壮感があまりないというかポップですらある気がした。レゼが起こす爆発による煙や閃光も途中からグレーやオレンジではなく様々な色になり、リアリティよりも画面の楽しさをとっているのかなと思った。またはデンジとレゼが一緒に見た花火をイメージして色を変えているのかもしれない。

12.街と、その不確かな壁/村上春樹
18歳の夏の夕暮れ、「僕」は「君」から高い壁に囲まれた「街」の話を聞く。君が言うには、ここに存在するのは自分の「影」に過ぎず、本当の彼女はその壁に囲まれた街の中にいるという。
君(の影)はその後まもなく死に、僕は君から聞いたことばをたよりに街に入り、予言者として「古い夢」を調べることになる。僕は本当の君に出会い、しだいに親しくなっていくが、影を失った彼女とはどんなに言葉を交わし、身体を重ねても、心を通わせることはできないことに気付く。
やがて古い夢を解放することに成功し、その底知れぬ悲しみを知った僕は、影を取り戻して街を出ることを決心し、留まらせようとする壁を振り切って現実世界へと回帰する。
弱くて暗い自分の影を背負い、その腐臭と共に生きることを選択した僕は、1秒ごとに死んでいく「ことば」を紡ぎながら君の記憶を語り続けていく。

雑誌に掲載されたものの本としては出版されることがなかった、村上春樹の幻の作品(国会図書館から取り寄せて読んだ)。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』や『街とその不確かな壁』の「街」とだいたいの設定は同じだが語句はところどころ違っている。この作品だけで読むと、自分の影=自分の弱さや暗い部分を抱えながら人は生きていくべきだ、というテーマに見える。『世界の終り〜』『街とその不確かな壁』になるとそのようなシンプルなテーマではなくなっていると感じる。

13.はじめに・回転木馬のデッド・ヒート/村上春樹
『回転木馬のデッド・ヒート』という短編集の始めの1章。この短編集には事実に基づいた話しか載っていない。小説というよりそれはいわば〈スケッチ〉である。「僕」は他人の話を聞くのが好きだが、それらの話は「僕」の中に「おり」として溜まっていく。「おり」とはつまり「我々はどこにも行けない」という無力感であり、我々は我々の人生というメリー・ゴーラウンドのようなシステムの上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートを繰り広げているように見える。

この「僕」が村上自身であるのか、「僕」という人格を持った主人公なのか、小説という形で〈スケッチ〉が語られる以上わからないところが面白い。この章では文章表現により精神が解放されるという命題に対し明確に否定されている。
2025/09/30(火) 23:57 No.2127 EDIT DEL
2年 佐藤歌南 RES
1.『ラーゲリより愛を込めて』監督:瀬々敬久

【あらすじ】
第二次世界大戦後、ソ連の強制収容所「ラーゲリ」に抑留された日本人・山本幡男(二宮和也)は、極寒のシベリアで過酷な労働を強いられながらも、仲間たちに希望を与え続ける。病に倒れ余命宣告を受けた彼は、日本に残した妻モジミ(北川景子)への想いを込めて遺書を書きますが、それは収容所で没収されてしまう。
しかし、彼の死後、仲間たちはその遺書を暗記し、日本に帰国後、家族のもとへ届ける。

【考察】
戦争によってたくさんの人が家族と離れ離れになり、たくさんの人が命を落とした、戦争の残酷さを改めて感じさせられる作品だった。そして、昔の人の強さを知り、私たちが日頃抱えている悩みなどちっぽけに感じてしまうような、それだけ当時の人々は苦しんだことを思い知らされた。私自身、満州にいた兵が捕虜としてソ連に捕らえられ、収容所に連れていかれたことを知らなかったので、戦争の実態を知り、その惨さに胸が苦しくなった。理不尽に不当な扱いを受ける、今では考えられないがこれが行われていたことに怒りを覚えたし、改めて今の日本が平和であることにありがたみを感じた。しかし、今も世界のどこかでは紛争が起こり、同じように苦しむ人達はたくさんいる。どうして同じような過ちを人は繰り返してしまうのか、
そして、この作品から、大切な人にいつでも想いを伝えることが出来ることは当たり前ではないということを気付かされたので、私も身近にいる人をより大切にし、後悔しないように想いを伝え続けていきたいと思った。


2.『最愛』監督:塚原あゆ子

【あらすじ】
実業家となった真田梨央が、15年前に起きた失踪事件と現在の殺人事件の重要参考人となり、初恋の相手である刑事・宮崎大輝に追われながら、弁護士・加瀬の助けを借りて事件の真相と向き合っていくサスペンスラブストーリー。

【考察】
愛のカタチは恋愛だけでなく、様々な形があって、登場人物それぞれの「最愛」について考えさせられる物語だった。それぞれが最愛の人を守りながら生きてきたのだと感じたし、「法律では守れないものがある」という台詞に、法律の抜け穴、この世の不条理さを思い知らされたような気がした。また、ラブストーリーとサスペンスのかけあわせが魅力的で、特に刑事・大輝と主人公・梨央の再開とすれ違いが切なく、もどかしさを覚えた。
そして、加瀬(弁護士)というキャラクターの恋愛を超えた家族愛に心を打たれた。法を超えてでも守り抜く、「私があなたを守ります」という台詞に覚悟のようなものを感じたし、この言葉に全ての意味が込められていたのだと思う。全ての罪を一心に背負うことで物語が締められるが、彼は自己犠牲の象徴として描かれ、「本当の愛とはなにか」という問いについて考えさせられるドラマだった。


3.『ブラッシュアップライフ』監督:水野格、狩山俊輔、松田健斗 脚本:バカリズム

【あらすじ】
地元の市役所で働く平凡な独身女性・近藤麻美(安藤サクラ)が、交通事故で死んだ後、死後の世界の案内人(バカリズム)から「来世は人間ではない」と告げられ、来世で人間になる確率を上げるため、同じ人生を最初からやり直すことを決意する物語。

【考察】
バカリズムさんが脚本を書かれた作品で、登場人物の会話がすごくリアルで面白かった。主人公の麻美は、死後に来世はオオアリクイだと告げられてしまったため、徳を積んで人間に生まれ変わるために人生を何度もやり直す。しかし、その周回を重ねるごとに人生をやり直す理由が「自分のため」から「他者のため」へと変化していく。この変化から、人生の価値は自分の幸せのためだけでなく、「他者との関係性」にあるということを教えられたように思う。「人は何のために生きるのか」ということを考えさせられるドラマだった。個人的には、主人公・麻美の子役時代を演じた永尾柚乃ちゃんの演技が光っていて、園児の親と先生の不倫を阻止するシーンで、見た目は子どもだけど、中身は2周目の大人なので、見た目と行動・言動のギャップを見事に演じきっていて、子どもっぽくない言葉を発するので、そこがすごくおもしくて、推しポイントになった。


4.『First Love初恋』監督:寒竹ゆり

【あらすじ】
宇多田ヒカルの名曲「First Love」と「初恋」にインスパイアされた壮大なラブストーリー。1990年代後半、北海道で出会った高校生の也英と晴道は、初恋に落ちる。しかし、ある事故をきっかけに2人は引き裂かれ、それぞれ別の人生を歩むことに。約20年後、タクシー運転手となった也英と、警備員として働く晴道は偶然再会。失われた記憶と過去の想いが交錯しながら、2人は“初恋”の続きを探し始める物語。

【考察】
この作品は色の演出が素敵で、主に青色がポジティブの象徴として使われていて、また2人の過去から孤独と静けさのようなもの意味にも捉えられる。北海道の雪と空の対比にもマッチしていて、青色が特に素敵に感じた。他にも、青には「青春」の意味も込められていて、2人の青春時代(高校時代)の思い出を思い出させるような効果もあるのかなと思った。この作品のセリフで、「人生はまるでジグソーパズル」という言葉があるのだが、作品がこのままに構成されている。過去と現在が交錯し、徐々にパズルのピースが埋まっていくように開示されていく点が台詞のひとつひとつにこだわっていることが読み取れた。作品自体、儚く、一人の人を愛する素晴らしさ、切ない恋愛の描写も描かれていて、「First Love」の曲とすごくあっていた。劇中でも宇多田ヒカルのその場面にあった曲がたくさん流れるので、音楽でも楽しむことの出来る作品だった。


5.『Beautiful Life〜ふたりでいた日々〜』監督:生野慈朗、土井裕泰 脚本:北川悦吏子

【あらすじ】
美容師の柊二と、難病で車椅子生活を送る図書館司書の杏子が運命的な出会いから恋に落ち、やがて杏子の病状が悪化する中で残された時間を精一杯に生きようとする、切なくも純粋な愛を描いたラブストーリー。

【考察】
この作品は、バリアフリーの大切さを世間に投げかけた作品であったと思う。母に聞いたら、この時代1995~2005は、特に障害を描いた作品が多かったと言う。私たちが生きる世の中には、バリアフリーが増えてきていて、映画館にも車椅子の人専用の席があったりするが、当時はあまりなく、外食するにも一苦労する姿が描かれていた。周りの人が向ける視線も冷たく、偏見のようなものが多く存在していて、生きずらさを感じる主人公の葛藤も描かれていた。こうした作品が多数生まれたことによって、バリアフリーが発展してきたのかなと思い、少しでも生きやすい世界になればいいなとも思った。また、大切な人と一緒にいれること、健康でいれることは当たり前ではないのだと改めて実感させられるドラマだった。


6.『花まんま(映画)』監督:前田哲

【あらすじ】
大阪の下町で暮らす二人きりの兄妹・俊徴とフミ子。 死んだ父との約束を胸に、兄として妹のフミ子を守り続けてきた俊徴は、フミ子の結婚が決まり、やっと肩の荷が下りるはずだった。ところが、遠い昔に封印したはずの、フミ子の秘密が今になって蘇る。

【考察】
この作品は、フミ子に宿った亡き人(喜代美)の記憶を背負い生きていくというメッセージ性が感じられた。劇中で登場する花まんまは、喜代美が父に伝えたかった生きて欲しいという思いの象徴として描かれ、「食べること=生きること」というテーマが隠されていて、食の大切さを改めて感じさせられた。最後にフミ子が結婚することで、前世の記憶、喜代美だった記憶をなくすシーンがあるのだが、ここから、過去にとらわれず今を生きることの大切さのようなものを感じた。また、両親をなくした兄妹の周りには、いつも支えてくれる大人がたくさんいて、その人たちのおかげで成長できた。私も周りの大人に対する感謝を忘れずに生きていきたいなと思った。


7.『366日(映画)』監督:新城毅彦

【あらすじ】
沖縄で恋に落ちた湊と美海。その後東京で再会し、幸せな日々を過ごす。しかし湊は突然美海に別れを告げ、美海のもとを去り、2人は別々の道を歩み始める。
HYの「366日」という楽曲をモチーフにした純愛ラブストーリー。沖縄と東京を舞台に約20年の時を超えて描かれる切なくも美しい物語。

【考察】
2人が恋に落ちたきっかけも嬉しいとき悲しい時に聞いていた曲もHYで2人の恋愛の形が「366日」の曲のように切なく描かれていた。恋愛はタイミングだなとも思ったし、伝えることの大切さを学んだような気がする。この作品を見るまでは、「366日」とはどういう意味なのかと思っていたけれど、主人公美海の誕生日が2月29日閏年で、希少な日が2人の思い出の日として描かれていて、365日では言えなかった想いや、すれ違ってしまった2人の姿と結びついていた。劇中の台詞「365日じゃ足りないくらいあなたを愛しています」という言葉が今でも印象に残っていて、ここまで人を愛せることのすばらしさを感じた。


8.『劇場版 鬼滅の刃〜第一章 猗窩座再来〜』監督:外崎春雄

【あらすじ】
炭治郎と義勇が上弦の参・猗窩座と再び激突する壮絶な戦いを描いた物語。猗窩座の過去が明かされ、彼の悲しみと葛藤が炭治郎の“透き通る世界”によって浄化されていく。鬼殺隊の仲間たちもそれぞれの因縁に挑み、無限城での死闘が始まる。

【考察】
2時間半という長さの映画だったが、見ている側を全く飽きさせない映像美の数々だった。特に無限城の描写が、漫画で見たときにどうなるのか、再現できるのかと思っていたけれど、想像を遥かに超えた、美しい作画だった。今回は猗窩座の過去にフォーカスされていたが、個人的に、猗窩座が名前を聞きたがる理由がすごい気になっていたのだが、何回も見るうちに、かつての師匠が一番最初に猗窩座に名前を聞いていたため、人間だった頃の記憶はないはずの猗窩座だが、それを無意識のうちにしているのかなと思った。猗窩座はその過去から女の子とは対峙しないと決めているところ、最後は自分で自分を殺したところから、たくさんの人を殺していることに変わりはないけれど、芯のところは温かい人だと思ったし、炭治郎も同じく心の温かい人間なので、このふたりの心の戦いの場面も目を離せないものがあった。また、善逸と獪岳の戦いの描写も最後に善逸が自分の作った型で決着をつける姿が本当にかっこよくて素敵だったし、同じ雷の呼吸の剣士だが、行き着くところが真逆になってしまった2人がすごく相対的に描かれていて、切なさも残るシーンだった。


9.『グラスハート』監督:柿本ケンサク、後藤孝太郎

【あらすじ】
理不尽な理由でバンドをクビになったドラマーの西条朱音が、天才音楽家・藤谷直季からスカウトされ、新バンド「TENBLANK」に参加することから物語が始まる。藤谷が作り出す独創的な楽曲と、4人のメンバーの熱い演奏によってバンドは瞬く間に世間を圧巻するが、その裏では、メンバーそれぞれが抱える葛藤や苦悩、音楽への情熱、そして人間模様が描かれる。

【考察】
このドラマでは、何かに命懸けになって打ち込むことの素晴らしさを学んだ。ガラスハートというタイトルのように、藤谷は孤独の中、音楽をやってきて、天才だからこそ繊細で壊れやすいガラスの心臓の持ち主だったが、仲間とバンドを組み、みんなで何か1つの作品を作り上げることの素晴らしさを学んだ藤谷の心がどんどん強くなっていく姿に心を打たれた。また、主人公・朱音が作品の冒頭で、女だからとクビになる場面があり、まだまだ、性別による偏見・差別は存在していて、それによって傷つく人はたくさんいることを実感した。それでも負けずに、音楽に再び立ち向かっていく朱音の姿はとてもかっこよく、夢を諦めない姿勢を見習いたいなとも思った。


10.『オレンジデイズ』監督:生野慈朗、土井裕泰、今井夏木

【あらすじ】
就職活動中の大学四年生・結城櫂と、病気で聴覚を失ったバイオリニスト・萩尾沙絵の恋愛を軸に、卒業を控えた若者たちの葛藤と成長を繊細に描いた青春ラブストーリー。

【考察】
オレンジの会の5人は大学四年生、大学生最後にして出会うが、たくさんの思い出を作っていく。5人で共有するオレンジノートは、言葉にできない気持ちや絆を描くことの出来るツールとして作られ、残り少ない大学生活を思い切り楽しむ姿が描かれている。才能と限界のリアルな描写もあり、沙絵がバイオリンを諦め、ピアノに挑戦するものの、聴力の限界に直面してしまう。それでも前を向いて進む姿が沙絵だけでなく、5人それぞれ描かれているため、今大学生の私にはとても刺さるものがあった。また、耳が聞こえなくなったことで、心を閉ざしてしまった沙絵を櫂が「僕が君を音の闇の中から救う」と手話で言う場面がとても感動的で、彼女の孤独に寄り添う姿に心を打たれた。この作品では、学生生活の美しい部分だけでなく、その裏にある葛藤や苦悩も描かれていて、親近感の湧く作品で、自分自身考えさせられるドラマだった。


11.『私の夫と結婚して(日本リメイク版)』監督:アン・ギルホ

【あらすじ】
余命わずかの主人公・美紗が、夫と親友の裏切りによって命を落とし、10年前にタイムリープ。今度の人生では、2人を結婚させて復讐を果たしながら、自分の幸せを掴もうとする物語。

【考察】
美沙は早くに病気にもなり、最終的には殺されてしまうのだが、この命を落とした瞬間に強い復讐心があったために、過去へ戻ることが出来たのだと思った。復讐心だけでなく、鈴木課長ももう一度やり直したいという過去への後悔が強く感じられたためにもう一度タイムリープすることになったので、過去への強い想いが2人が人生をやり直させたのだと思った。過去での失敗をしないために試行錯誤する姿は、誰しもやり直したいと思う瞬間を体現していて、見ていて、スッキリする場面が多かった。その一方で、復讐を遂げてからさらに、復讐をされそうになるというまさに韓国ドラマのような展開で、見ている側に休息を与えない、ハラハラ・ドキドキなシーンの数々に釘付けになった。俳優陣の演技力もものすごくて、特に嫌な親友・麗奈の憎たらしい演技に引き込まれたし、狂気すら感じた。最初から最後までおもしろいドラマだった。


12.『19番目のカルテ』監督:青山貴洋、棚澤孝義、泉正英

【あらすじ】
魚虎総合病院に新設された“19番目”の診療科=総合診療科。整形外科医・滝野みずきは、専門外の症状に悩む患者に対応できず苦しむ中、総合診療医・徳重と出会う。彼は問診を通じて患者の背景や心に寄り添い、診断のつかない痛みにも向き合っていく。物語は、患者・医師・家族それぞれの葛藤と再生を描きながら、滝野自身も医師として成長していく姿を追う。

【考察】
総合診療科の病気だけでなく、人そのものをみる、人間の本質に向き合う姿が印象的だった。1話の病名のない病に苦しむ患者さんの話を聞き、寄り添う姿には心を打たれた。病名も分からず、どこの科に行ったらいいのかわからないという状況はよくあることだと思っていて、そういった医療の抜け穴に落ちてしまった患者さんを救ってくれる寄り添ってくれる科が必要だと思うし、もっと普及して欲しいとも思った。ドラマの中で、総合診療科は採算が取れないため、なくすべきだという意見もあったが、患者さんの心の拠り所も必要だと思うので、こういった場所が増えればいいなと思った。


13.『国宝』監督:李相日

【あらすじ】
任侠の家に生まれた少年・喜久雄は、父の死をきっかけに歌舞伎役者の家に引き取られ、女方としての才能を開花。名門の御曹司・俊介との友情とライバル関係の中で芸を磨き、数々の別れと試練を乗り越えていく。やがて喜久雄は、すべてを芸に捧げた末に“人間国宝”として頂点に立つが、その栄光の裏には深い孤独があった。

【考察】
この作品は長い準備期間をかけて俳優さんがたくさん歌舞伎の練習に打ち込み、命をかけて作られた、映像美と、俳優の魂のようなものを感じた力強く美しい作品だった。血筋のない喜久雄が私生活を犠牲にしてでも芸に打ち込む姿。芸に全てを捧げる様は美しくもありながら、歌舞伎界の血縁の残酷さも感じた。俊介との関係性も魅力的で、一緒に切磋琢磨してきた同志であるが、俊介には血がある、家柄に恵まれていて、常に嫉妬する喜久雄の切ない描写も繊細に描かれ、この二人の関係性がこの作品に深みを与えていたと思うし、二人の絆の強さに心を打たれた。そして最後に「国宝」というタイトルの深さ、何もかも捨てて最終的に人間国宝に選ばれた喜久雄のラストは幸せだったのか否かという問いをなげかけられているような気がした。正解などないが、何か一つにここまで犠牲にできるほど打ち込めることの素晴らしさを知ることが出来た作品だった。


14.『花束みたいな恋をした』監督:土井裕泰

【あらすじ】
駅で終電を逃したことをきっかけに出会った麦と絹。お互いに音楽の好みや趣味が同じことを知り、すぐに恋に落ちる。大学を卒業してフリーターをしながら同棲生活をスタートさせ、日々変化する環境の中で日常を共有しながら大切に過ごしていた。この2人での生活を続けるために、就職活動に励んでいく。

【考察】
2人は共通の趣味から恋に落ちるが、最終的に別れてしまう。絹ちゃんは自分のやりたいことを仕事にしたい、未来を考えていたが、麦くんは今良ければいい、やりたくない仕事でも仕事だから気にしないというこの考え方の違いが2人をすれ違いさせたのだと思う。最後の別れのシーンで、麦くんの涙は「まだ好きだった」という未練、絹ちゃんの涙は「もう戻れない」という覚悟を意味し、同じ時間を過ごしていても、見ていた未来が違っていたことを表している決定的な場面だったと思う。この作品では、どのカップルもぶち当たるであろう壁をリアルに描いており、この価値観のすり合わせの難しさを改めて感じた。


15.『マレフィセント』監督:ロバート・ストロンバーグ

【あらすじ】
妖精マレフィセントは、かつて純粋で優しい心を持っていたが、人間の裏切りによって心を閉ざし、復讐のためにオーロラ姫に呪いをかける。しかし、成長するオーロラを見守るうちに母性のような感情が芽生え、やがて“真実の愛”とは何かを問い直すことになる。物語は、善悪の境界を揺さぶりながら、マレフィセント自身の再生を描いていく。

【考察】
マレフィセントがなぜ、オーロラに呪いをかけたのかこの作品を見るまでは知る由もなかった。しかしその理由が、人間の汚い心、闘争心に巻き込まれてしまったためだったと知り、ヴィランズにもそれぞれ過去があって、仕方ない気もしてしまった。しかしマレフィセントは成長していくオーロラと接していく中で、本当の愛、母性的な愛を学んだ。最終的にオーロラを目覚めさせたのは、王子ではなくマレフィセントのキスだったため、恋愛だけが真実の愛ではないのだと、ディズニープリンセスの映画の固定観念を覆す作品だった。また、家族の形も血縁だけではないことに気付かされた。血縁上では繋がっていた父よりも時間を共にする中で芽生えた愛と、信頼関係こそが本物の家族像であり、最終的にオーロラはマレフィセントと一緒になるため、この2人の関係性は、現代的な家族像の在り方を映し出しているような気がした。


16.『恋はつづくよどこまでも』監督:田中健太、福田亮介、金子文紀

【あらすじ】
高校時代に医師の天堂浬と出会った佐倉七瀬が、彼のことを追いかけて看護師となり、5年後に天堂と同じ病院で働くことから始まる。しかし、天堂は「魔王」と呼ばれるドSで毒舌な人物であり、七瀬はそんな彼に振り向いてもらうため、仕事と恋に一生懸命に奮闘する。七瀬のまっすぐなひたむきさと勇気ある行動によって、次第に天堂の鉄の心が溶かされていくラブコメディ。

【考察】
なにごとにも一生懸命に向き合っていれば、いつか思いは届く、夢は叶うのだということを体現したドラマだと思った。天堂先生はかつての恋人を亡くした過去があり、冷徹な魔王として振る舞う。七瀬は一途に天童先生に向き合う勇者として描かれ、少しづつその良さに気づいていく、この姿から、傷(足りない部分)を補い合うことの大切さを学ぶことができ、他のキャラクターにも同じことが言えるため、この作品のテーマなのかなと思った。諦めない姿に私自身も立ち向かう勇気をもらった。


17.『流浪の月(映画)』監督:李相日

【あらすじ】
10歳の少女・更紗 (さらさ)は、引き取られた伯母の家に帰ることをためらい、雨の公園で孤独に時間を持て余していた。そこに現れた孤独な大学生の文 (ふみ)は、少女の事情を察して彼女を自宅に招き入れる。文の家でようやく心安らかな時を過ごし、初めて自分の居場所を手にした喜びを実感する更紗。しかし2ヵ月後、文が誘拐犯として逮捕され、2人の束の間の幸せは終わりを告げる。15年後、恋人と同棲生活を送っていた更紗は、カフェを営む文と偶然の再会を果たす。

【考察】
この作品は、人間の心の奥底に潜む、固定観念、決めつけてしまう、良くないところが映し出されている。SNSやメディアで取り上げられることを鵜呑みにして、あることないことで人のことを傷つける、誹謗中傷の数々によって生きずらい思いをする人がいることを知るべきであるというメッセージが込められている気がする。実際に悪いことをしている人にそういった言葉を向けるのには共感はできるが、世の中に出ている情報の全てが事実とも限らないし、部外者がとやかく言うのもちがうと思う。この作品の事件では、実際2人とも被害者であったため、情報を鵜呑みにする人間の弱い部分を改めて感じたし、自分自身見つめ直すきっかけになった。そして、恋愛関係ではなく、互いに「理解者」として落ち着くこの物語の深さにも感心した。お互いが社会的には批判されるかもしれないが、居場所を見つけた2人だけの世界観にも引き込まれた。



18.『陸王』監督:福澤克雄

【あらすじ】
埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」の四代目社長・宮沢が、年々先細る足袋の需要と資金難から、自社製品の「裸足感覚」を追求したランニングシューズ「陸王」の開発に挑む物語です。従業員20名ほどの零細企業が、 世界的なスポーツブランドとの競走、資金難、開発力不足、大手メーカーの妨害といった数々の困難に直面しながらも、足袋製造で培った伝統と情熱、そして家族や従業員、取引先との強い絆をバネに一世一代の勝負に挑む、企業再生のサクセスストーリー。

【考察】
この作品からは、新規事業の難しさと、実績が全ての世の中で人の温かさというお金では買えないものの人間として大切な心を教えられた。最初は誰にも相手にされないこはぜ屋が、企業努力を重ね、人と人とをつなぎ、その想いが選手を繋ぐ、最後のニューイヤー駅伝で茂木選手が陸王を履いて、優勝する場面には心を打たれた。スポーツとビジネスの交錯、そして世の中にある全てのものにたくさんの企業努力、物語があるのだと思うと、物をより大切にしようと思えた。そして、こはぜ屋の宮沢社長の絶対に貫く、やり遂げてみせるという信念、心の温かさ・人間性が身を結んだ結果だと思うため、諦めない心と共に、人間性の部分も高めていくことが大切だなと思った。


19.『やんごとなき一族』監督:田中亮、三橋利行、水戸祐介

【あらすじ】
庶民の女性・佐都が、400年以上の歴史を持つ名家「深山家」の御曹司である恋人・健太と結婚するも、一族の理不尽なしきたりや複雑な人間関係、後継者争いなどに翻弄されながらも、夫とともに立ち向かっていくアフターシンデレラストーリー。

【考察】
佐都は庶民として最初は見下されるが、彼女の誠実さや人間力が次第に周囲の人間を変えていく。本当の幸福とは何か、お金がすべではないのではという問いが込められているきがした。またこの作品では、家制度に縛られる女性たちの姿が描かれ、佐都自身もしきたりに苦しむ。女性ばかり、家のために自由や愛を犠牲にしなければならない、現代の女性の生きずらさを象徴していて、それに立ち向かう佐都の芯の強さにみんなが賛同していく姿が素敵だなと思った。お金があっても、心が豊かではないことはもったいない気もしたし、お金持ちだからこそ、心も豊かで人に向ける優しさを持つべきだと思った。


20.『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』監督:新城毅彦、中前勇児、飛田一樹

【あらすじ】
丸谷康介は、29歳の“あざかわ男子”。生まれ持った可愛さで人生を乗り切ってきたが、ある日突然「可愛いには消費期限がある」と未来の自分に告げられる。仕事も恋も順調だった康介は、若手の台頭や恋人との別れをきっかけに、自分の価値に疑問を持ち始める。そんな中、無愛想で恋愛経験ゼロの“ロボット女”真田和泉と出会い、人生初の本気の恋に落ちていく。

【考察】
外見や若さが全てではない、康介は可愛いを武器に生きてきたが、それが通用しなくなった時に、初めて自分自身と向き合うことになるこの作品は、見た目に囚われず、内面の大切さを改めて考えさせられるドラマだなと思う。そして恋愛を通じて、見た目の魅力から人間性の魅力へと変化していく過程が描かれていく。未来の自分を見た時に初めて、自分自身と向き合うことのできた康介は人生を再構築するため、本当の自分に気がつくことが出来た。外見至上主義の現代において、このドラマは、見た目が全てではないと強く訴えかけたドラマであったと言えると思う。


21.『JIN-仁-』監督:平川雄一朗、山室大輔、那須田淳

【あらすじ】
現代の脳外科医・南方仁は、ある手術をきっかけに幕末の江戸時代へタイムスリップしてしまう。
医療器具も薬もない時代で、仁は自らの知識と技術を駆使しながら、命を救い、歴史上の人物たちと関わっていく。坂本龍馬や吉原の花魁・野風、旗本の娘・橘咲らとの出会いを通じて、仁は「人を救うとは何か」「歴史を変えてしまう恐怖」と向き合いながら、現代に戻る方法を探していく。

【考察】
現代の医療を作った人たちの努力の過程を見ることができ、今の私たちが当たり前に受けることの出来る、治療や病院が当たり前にあることが、当たり前ではないのだと、医療のありがたみを改めて感じさせられるドラマであった。仁が医療に携わることで、歴史を変えてしまうのではないか、命を救うことの正義のせめぎあいが見ていてハラハラする展開だった。物語に登場する胎児の形をした腫瘍は、仁の過去や現在、未来を象徴するものであり、命のつながりや選択の重みも同時に象徴しているように思った。


22.『ラストマイル』監督:塚原あゆ子

【あらすじ】
大手ショッピングサイトの荷物に次々と爆発物が仕掛けられる謎の連続爆破事件が発生。巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナは、未曽有の危機に立ち向かっていく。

【考察】
この作品では、爆破事件と労働者のの過酷な労働環境を浮き彫りにすると同時に、犯人の悲痛な叫びのような、抗議を意味するものとして描かれ、現代におけるブラック企業、配送会社の現実が忠実に描かれた社会問題と結びついた作品であった。劇中で登場する「2.6km/s 70kg→0」は人間の運動エネルギーが0になる=死を意味することを暗示していて、働く人の命や尊厳が蔑ろにされていること、それを訴えるために山崎佑は命を犠牲にしたとも言えると思う。配送会社に限らず、過酷な労働環境を強いられ、自ら命を絶つ人は現実世界でも少なくないと思うので、労働環境の見直しは社会にとって大切なことだと思うし、それを世間に訴えかける映画だったと思う。


23.『正直不動産』監督:川村泰祐

【あらすじ】
登坂不動産の営業マン・永瀬財地は、嘘と口八丁でトップ営業成績を誇る男。ある日、地鎮祭で祠を壊したことが原因で「嘘が一切つけなくなる体質」になってしまう。正直にしか話せなくなった永瀬は、顧客に不都合な真実まで暴露してしまい、営業成績は急落。しかし、正直な営業スタイルが次第に信頼を生み、仲間や顧客との絆を深めていく。不動産業界の裏側や人間ドラマを描きながら、「誠実さとは何か」を問いかける痛快コメディ。

【考察】
この作品では、嘘をつけないがために、一時は損をしても、いずれかは自分に返ってくる、長期的に信頼を得ていく姿が描かれており、業界の闇やうそではなく、誠実に仕事に向き合う姿が最終的には人の心をつかみ、成功へと繋がっていくという、誠実さがいかに大切さかを学ぶことの出来るドラマだと思う。また、不動産の用語なども詳しく説明してくれるため、素人でも見やすく、物件を選ぶときのポイントも押さえられる勉強になる作品だった。



24.『ライオンの隠れ家』脚本:徳尾浩司

【あらすじ】
市役所職員の小森洸人は、自閉スペクトラム症を抱える弟・美路人と静かに暮らしていた。ある日、謎の少年「ライオン」が突然現れ、兄弟の生活は一変。ライオンの正体や過去に起きた母子失踪事件が次第に明らかになり、兄弟は事件の真相に巻き込まれていく。家族の絆、過去の傷、そして“守るべきもの”を問い直すヒューマンサスペンス。

【考察】
ライオンが家に来るまでは弟の美路人は兄の洸人に依存していたし、洸人も美路人を理由に結婚や人間関係を諦めていて、共依存の関係にあったが、ライオンの登場が家族の形を再定義するきっかけとなった。そして巻き込まれていく事件の中で美路人は自立し、一人で人生を歩むことを決意する、このことから、この共依存の関係からお互いへの信頼へ変化したと言えると思う。家族だからといって過保護になるのではなく、その人の力を信じて委ねることも大切なことだと感じた。また、この作品は虐待という社会問題を浮き彫りにした作品とも言えると思う。ライオンや愛生の怪我から児童虐待やネグレクトの問題を連想することができ、こういった家庭が少しでも減ればいいなと感じさせられるドラマだった。


25.『新世界より』原作:貴志祐介 監督:石浜真史

【あらすじ】
1000年後の日本、人類は「呪力」と呼ばれる超能力を持つが、社会は厳しく管理されていた。少女・渡辺早季は仲間とともに禁断の知識に触れ、世界の真実と向き合うことになる。やがて“悪鬼”や“バケネズミ”との戦争に巻き込まれ、平和の裏に潜む恐怖と人間の本質を知っていく。壮大なSFドラマが展開される。

【考察】
バケネズミがかつて人間であり、遺伝子操作により知能と外見を変えられ、家畜のように扱われるようになった事実が最後に明らかになり、人類の発展とともに犠牲になった人がいることや、呪力を持たないと言うだけで、同じ知性を持つ存在を差別・支配することを正当化する人間に恐怖を覚えたし、私たち人間も知らず知らずのうちに、偏見を持ち、差別してしまっているのかと感じたため、固定観念のあり方について考えさせられた。



26.『リロ&スティッチ(実写版)』監督:ディーン・フライシャー・キャンプ

【あらすじ】
両親を亡くした少女リロと姉のナニ。ひとりでリロを育てようと奮闘するナニだったが、若すぎる彼女は失敗ばかり。離れ離れになってしまいそうな姉妹の前に、見た目はかわいらしいのに、ものすごく暴れん坊な不思議な生き物が現れる。その生き物は、違法な遺伝子操作によって破壊生物として生み出された、「試作品626号」と呼ばれる地球外生物(エイリアン)だった。そんなことは知らずに、リロはその生き物を「スティッチ」と名付けて家に連れ帰る。予測不可能なスティッチの行動は平和な島に混乱を巻き起こすが、その出会いがやがて思いもよらない奇跡を呼び起こし、希望を失いかけていた姉妹を変えていく。

【考察】
スティッチの原作では、ガントゥがもっと家族に近い形で、どちらかと言うと味方で描かれていたが、実写版では完全に敵役として描かれていた。スティッチは暴れん坊で問題ばかり起こすけれど、リロと生活していく中で、愛を知り、リロ家族に徐々に馴染んでいく姿が描かれ、人の温かさに触れたことのなかったスティッチが家族を思いやる心を得る過程が見ている側の心を動かすものがあった。スティッチを通じて、家族自体も問題を乗り越える力を得て、家族が1つになり、以前よりも固い絆で結ばれるようになったため、スティッチは人と人とを繋ぐ存在として大きな役割を担っていたなと改めて思った。



27.『1リットルの涙』監督:岡村力

【あらすじ】
15歳で脊髄小脳変性症を発症し、25歳で亡くなった木藤亜也さんの実話に基づく物語。体は次第に自由を奪われていくものの、家族や友人たちに支えられ、前向きに生き抜いた彼女のひたむきな姿と、生きることの尊さを描いている。

【考察】
彼女はだんだん身体の機能が衰えていく中で、日記を残すのだが、この日記こそが「生きている」という証明になっていたような気がする。まだ書くことが出来る、生きているんだと生きる活力にもなっていたのかなと思う。また、徐々に歩けなくなったり、食べられなくなったり、喋ることができなくなったりと、できることが減っていく過程から、今健康に生きていることがどれだけすごいことで、ありがたいことなのか、当たり前ではないのだと改めて痛感させられるものがあった。そして、こういった病気がいつ誰に降りかかるとも限らないという恐怖も同時に感じた。また、彼女は失うものが増えていく中でも諦めず前を向いており、その姿に私自身も生きる活力をもらった気がした。


28.『彼女はキレイだった』監督:紙谷楓、木下高男、松田裕輔

【あらすじ】
子どもの頃は美少女だった佐藤愛は、成長とともに容姿に自信をなくし、冴えない生活を送っていた。一方、太っていた少年・長谷部宗介は、イケメンエリートに成長。再会を果たすも、愛は自分の姿を見せることができず、親友を身代わりにしてしまう。やがて同じ職場で働くことになり、正体を隠したまま惹かれ合っていく二人の“すれ違い”と“本当の自分”を描く、胸キュンラブコメディ。

【考察】
この作品は、タイトルからもわかるように、見た目にフォーカスした内容になっているが、見た目で人を判断できるのか、そして近年注目されてきているルッキズム社会が生む外見至上主義について考えさせられるドラマであった。最終的には、このタイトルは彼女の「内面」の美しさを指すものへと変化していき、愛が仕事に真剣に向き合い、見た目だけでなく、人として成長していく過程で、「きれい」の本質について考え直すきっかけになった。見た目だけでは人の善し悪しを判断することは出来ないし、内面がつくるその人の良さが人それぞれあることを改めて感じたので、これから私自身見た目に囚われすぎないようにしたいなとも思った。


29.『99.9-刑事専門弁護士-シーズン2』監督:木村ひさし

【あらすじ】
型破りな刑事専門弁護士・深山大翔が、99.9%有罪とされる事件に残された0.1%の可能性を信じて真実を追求するリーガルエンタメの続編。新たに元裁判官の弁護士・尾崎舞子が加わり、冤罪事件や司法の闇に挑む。
深山の父が巻き込まれた過去の殺人事件の真相にも迫りながら、法廷でのトリックや証拠の矛盾を暴いていく。

【考察】
この作品では、司法のあり方について世間になげかける場面が多数あった。特に第2話では、深山の父親が巻き込まれた冤罪事件の真相を辿っていく中で、司法は本来弁護士と検察、裁判所と公平中立なトライアングルでなければならないはずが、検察と裁判所によって歪んでしまっている構造が描かれており、このことから司法のあり方を改めて考えさせられたし、人を方で捌く以上、本来公平であるべきだと思った。また、日常の中に潜む会話の中で深山は事件解決に繋がるヒントを得ていくので、真実は意外なところ、身近なところに潜んでいることを示しているようだった。


30.『100万回言えばよかった』監督:金子文紀、山室大輔、古林淳太、渡部篤史

【あらすじ】
美容師の悠依と恋人の直木は再会を果たし、幸せな日々を過ごしていたが、直木は突然失踪。その後、彼は幽霊となって現れ、刑事・譲だけがその姿を認識できる。直木は未練と想いを抱えながら、事件の真相と“伝えられなかった言葉”に向き合っていく。切なく温かいファンタジーラブストーリー。

【考察】
直樹は生前、悠依に「愛してる」と伝えられなかった未練から、幽霊として現れる。この言えなかったことが物語に切なさを与えると同時に、言葉にすることの大切さと、言葉にできなかった想いとが交錯し、言葉の大切さを感じさせられる作品だった。直樹が幽霊として現れる理由として、事件が未解決のままであることも関係していて、安心できないため、成仏できないもどかしさも感じた。理不尽に事件に巻き込まれ、ある日突然日常を奪われてしまうこの作品は、生きていることや、伝えることの出来る環境にいることのありがたみを感じさせてくれるもので、伝えられるうちに感謝や想いを口にすることは大切なのだと改めて感じた。
2025/09/30(火) 23:56 No.2126 EDIT DEL