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中村 果凜 RES
3年 中村 果凜

1. 怪獣8号(アニメ)
怪獣が日常を脅かす世界。民間清掃会社で働く日比野カフカは、後輩である市川レノとの出会いをきっかけに、諦めかけていた日本防衛隊に入隊するという夢を叶える決意をする。その矢先、謎の生物に寄生されたことで、怪獣8号へ変身する力を身につけてしまう。 32歳である主人公が若者に負けるどころか、1番目標に向かって挑み続ける姿勢は、非常に主人公らしく、みている側が応援したくなると感じる。いつ主人公が怪獣8号であると明かさられるのかというドキドキと、主人公の見せる最強演出への期待が1期のストーリーを通して続いていて、飽きさせない展開であった。オープニング映像でかなりグロさが強調されていたため、そこに嫌悪感を抱く視聴者もいるかと思うが、本編はオープニングほどそのような演出がなかった。第2期が放送決定しているので、続きを楽しみに待ちたいと思う。

2. 新しい上司はど天然(アニメ)
上司からのパワハラで精神と胃をやられ、広告代理店の営業職に転職した桃瀬。しかし過去のトラウマが原因で「新しい上司もまたパワハラ上司だったらどうしよう……」と、初日早々に胃痛で動けなくなってしまう。そんな時、一緒に外回り中だった新しい上司・白崎がまさかの行動をとる。予想外の上司の「ど天然」行動に癒されるお仕事コメディ。 仕事が早く、人、動物に優しく思いやりのある白崎主任の格好良さと行動の可愛さ面白さがギャップとなり、短編の物語全てがほっこりしたものになっている。理想的な職場、人間関係が描かれ、ほのぼのするストーリーのなかには感動する場面、笑える場面があり、楽しみながら視聴した。このような職場で働きたい、こんな上司がいたらいいなと思う反面、パワハラ上司に苦しめられたらどうしよう、ブラック企業で働くことになるかもしれないという不安を持ったが、これは就活中である今みたからであると思われる。

3. 鬼滅の刃 柱稽古編(アニメ)
刀鍛冶の里にて上弦の鬼二体の強襲にあった炭治郎たち。玄弥や二人の柱との共闘でこれらを撃退した戦いは、禰豆子が太陽を克服し収束した。鬼として初めて日の光を浴びても消滅しない存在となった禰豆子は、炭治郎の禰豆子を人間に戻す念願に近づいたと同時に、太陽の克服を目論む鬼の元凶、鬼舞辻無惨の標的となったことを意味する。これを受けて鬼殺隊は、来る無惨たち鬼との戦いに備え全鬼殺隊員を招集した大規模な訓練、柱稽古を開催する。炭治郎たち隊員は、柱たちによる厳しい稽古に身を 投じることとなる。 全8話のなかで、柱がメインに描かれており、そのなかには今までのシリーズであまり登場していなかった悲鳴嶼行冥をはじめとするキャラクターが多く活躍していた。また、冨岡義勇の過去や善逸の覚醒など、短い話数ながらも内容は盛りだくさんであった。特に8話のお館様と鬼舞辻の邂逅のシーンや、無限城の作画、演出のクオリティが凄まじい。マンガでは9話分とのことで、若干見ていて引き伸ばしているという風に感じる部分があったものの、修行シーンが入ることで、決戦に向かっていると感じるものとなったと考える。
4. 着信アリ (映画)
携帯電話に不気味な着信音がなり、本人の死を予告する謎のメッセージが入る。 女子大生の由美を取り巻く友人たちに次々と呪いの着信が入り、恐怖が広がっていく。 携帯電話の着信という身近なものが題材となっており、リアルな恐怖心が沸いた。現代のものがトリガーとなるというのは、画期的であると感じる。説明不足である点や理解に時間がかかる箇所があったため、どうしてそうなったのだろうという疑問が残る場面がいくつかあった。また、ポルターガイスト現象が序盤は多かったが、最後の方は物理的なものに変わっていった点がホラー要素を感じられず少し残念だった。しかし、含みのある最後は先の展開を予想させられ、面白いと感じた。

5. 東京リベンジャーズ 聖夜決戦編
戻った未来で稀咲鉄太に撃たれたタケミチこと花垣武道は、羽宮一虎に助けられる。一虎は稀咲の暴力・黒龍の金がマイキーを巨悪にしたと言う。過去に戻った途端、タケミチは東卍の弍番隊副隊長・柴八戒と意気投合。だが八戒の兄は黒龍十代目の総長・柴 大寿であり、成り行きで側近2人であるココ、イヌピーと大寿本人に絡まれてしまう。八戒はタケミチを助けるために「東卍をやめる」と宣言。また、八戒は大寿のDVが続くと確信し「大寿を殺す」と心に決める。納得行かないタケミチと千冬は、不本意ながら稀咲と半間 修二と一時的に手を組み、八戒による大寿殺害を阻止することに。クリスチャンの大寿が年に1回だけ単独行動を取る12月25日の深夜、渋谷の宇田川キリスト教会にて決戦が行われる。 今までのシリーズとは違って、チームの対立がメインではなく、家族がテーマであった。また、決戦が始まり、主人公たちがボロボロになった終盤でようやくマイキーが登場したことから、設定的に強すぎるのではないかと感じた。シリーズのなかで、聖夜決戦編のみが死者が出ないという点について、テーマが家族という部分が強く関わっているのではないかと考えた。

6. 東京リベンジャーズ 天竺編
変わり果てた東京卍會を救うため、 12年前にタイムリープして黒龍との 聖夜決戦を勝利に導いた花垣武道。 裏切り者の稀咲鉄太を除名することにも成功したが、 なぜか現代の状況は悪化する一方だった。 決意を新たに再びタイムリープしたある日、 東京卍會は天竺と名乗るチームの襲撃を受けてしまう。 混乱するタケミチの前に現れたのは、 天竺の特攻服を纏った稀咲だった。 東卍史上最大にして“最後”の抗争に向けて、 リベンジは続く。 天竺総長の黒川イザナが、最後の最後に自分の大切なものに気づくことができた、というストーリーは良かったと思うが、稀咲をはじめとした天竺幹部の行動があまりにも酷いという印象を受けた。特に、怪我の具合や死者が3人も出るというのは、話がかなり重くなったと感じさせる。稀咲の動機や結末が呆気ないと感じた。また、稀咲がいなくなった今後の展開が非常に気になる。
7. ブルーロック エピソード凪 (アニメ映画)
「めんどくさい」が口グセの高校2年生・凪誠士郎は、日々を無気力に生きていた。 W杯優勝を夢見る同級生の御影玲王が、その才能を見つけだすまでは。 玲王に誘われるがままにサッカーを始めた凪は、圧倒的なサッカーセンスを発揮。 ある日、ブルーロック(青い監獄)プロジェクトの招待状が届く。 そこで待ち受けていたのは、全国から集められた選りすぐりのストライカーたちとの出会いだった。 玲王とはじめた世界一への挑戦が、凪をまだ見ぬ世界へと連れて行く。 テレビ版のブルーロックの凪視点の話であった。原作よりもテンポよく話が進むため、アニメ版のダイジェストとしてもみることができるのではないだろうか。凪と玲王の始まりから仲違いまでが多く描かれており、ある意味では、恋愛ストーリーのようなものなのではないかと感じた。主題歌であるNissyとSKY-HIによる『Stomy』は、それぞれが凪視点、玲王視点を歌っており、話の内容とかなり合致していた。

8. ロストワールド/ジュラシック・パーク(洋画)
ジュラシック・パークでの悲劇から4年。イアン・マルコム博士はインジェン社の会長ハモンドに呼び出され、ジュラシック・パークに恐竜を供給するための遺伝子工場「サイトB」がイスラ・ソルナ島にあることを知らされる。閉鎖されたまま放置された島では、恐竜たちが繁殖・野生化しているという。ハモンドから島の調査を依頼されたイアンは危険であることを理由に断ろうとするが、恋人である古生物学者サラが既に現地入りしていることを知り、彼女を助けに行くことに。しかしハモンドの甥ルドローはパークの再建を企てており、島に恐竜ハンターたちを送り込んでいた。 1作目よりもアクションが少なく、あまりハラハラする展開がなかったことが残念だった。Tレックスの親子の絆を描くことにより、恐竜も命ある動物であるという印象付けがなされているように感じ、また、そこに感動があるように思う。前作から続いて登場する俳優の方がいたことで、繋がりをより強く感じた。雨が降っていたり密林であったり夜であったりする場面が非常に多く、全体的に暗かったため、何をしているのかよく分からないシーンがあった。

9. ジュラシックワールド(洋画)
恐竜と触れ合うことができるテーマパーク「ジュラシック・ワールド」がオープンし、連日多くの観光客で賑わっていた。施設の監督官であるクレアは、自身の甥であるザックとグレイが来園するも、新種の恐竜の準備のために多忙で相手ができない。そんな中、遺伝子組み換え操作によって創り出された巨大で凶暴な恐竜インドミナス・レックスが逃げ出し、未曾有の緊急事態となる。 叔母であるクレアは、最初、恐竜や甥達への関心が非常に薄いとわかるような場面が強調的に描かれるものの、話が進むにつれて興味、愛情が沸いていくのが伝わる。また、ザックとグレイも兄弟の絆や、オーウェンとラプトルの絆が描かれ、アクションや恐竜の迫力だけでない面白さがあった。

10. 傷物語 (アニメ映画)
高校二年生と三年生の狭間である春休み。阿良々木暦は、血も凍るような美女と遭遇する。彼女は自らを、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと名乗った。四肢を失い死に瀕していたキスショットは、暦に助けを求める。恐怖と混乱、そして葛藤の末に、暦は彼女を救うため自らの血を与える。そして次に目が覚めたとき、暦はキスショットの眷属となっていた。暦は吸血鬼から人間に戻りたいと望む。 だが、そのためにはキスショットが力を完全に取り戻す必要があった。交渉人をつとめる忍野メメが間に立ち、暦は失われた彼女の四肢を奪い返すべく、吸血鬼退治の専門家三人に挑むことになる。 総集編ということもあり、原作である西尾維新による小説や、アニメ、三部作として公開された映画とは異なり、様々な場面がカットされていた。特に、吸血鬼退治の専門家との戦闘シーンがかなり短縮されており、その分最初の出会う前のシーンがかなり長くなっているように感じた。ギャグシーンもほぼ省略されていたため、全体的にシリアスなイメージが強く残る映画であるという印象を受ける。また、主人公の同級生である羽川翼のイメージが、原作や他のシリーズを知っているかどうかでかなり変わる作品だった。どうして主人公に協力するのか等、謎が残るような話の流れだったため、もう少し主人公との絡みや説明があっても良かったのではないかと考える。

11. 彼女と彼女の猫 (アニメ映画)
ある夏の一番暑い日、彼女と飼い猫である“僕"の暮らしが始まった。彼女は短大の卒業を控え就職活動に追われる中、家族、友達、将来…いろいろなことがうまくいかず、立ち止まってしまいそうになる。そんな彼女を“僕”は見守っていたいと思っていた…。 猫である"僕"視点で話が進み、出会いと別れが描かれる。彼女と"僕"は言葉が通じないものの、幼い頃から傍にいて心配しながら見守っているという温かさが、音楽と共に伝わる。その一方で飼い主である彼女の状況がかなり悪く、心配になるほどであった。猫の動きや年齢と共に変わっていく様子が、非常にリアルに描かれていた。また、短編映画だからこそ、猫の寿命の短さをより感じた。犬や猫等のペットを飼っている人はさらに感情移入できるのではないだろうか。

12. つみきのいえ(アニメ)
海面が上昇したことで水没しつつある街にひとり人残り、まるで塔のようにそびえ立った家で暮らしている老人がいた。彼は家が沈みかけるたびに、積み木のように上へ上へと家を建て増しすることで難をしのぎつつも穏やかに暮らしていた。そんなある日、彼はお気に入りのパイプを海中へと落としてしまう。それを拾うために彼はダイバー姿になって海中へと潜っていくが、やがて彼はかつて共に暮らしていた家族との思い出を回想していく。 一切セリフがないが、音楽によっておじいさんの感情が伝えられる。おじいさんの人生と共に積み上げられたつみきのいえと共に思い返される記憶が、悲しげな音楽と美しい絵によって描かれ、心が揺さぶられる作品だった。思い出に対しておじいさんがどのような気持ちであるのかということがしっかりと伝えられていることに驚いた。自分で重ねてきたつみきのいえごと思い出を大切にするおじいさんの姿に切なさや感動を感じる。

13. 准教授・高槻彰良の推察(小説)
大学生である主人公深町と民俗学を研究している准教授高槻のサスペンスファンタジー。 深町は人の嘘を聞き分けられる能力を持ち、故に人を信じられない。そんな彼が出会ったのは全く嘘をつかない准教授だった。 高槻は研究の為に日々妖怪話を集めその真偽を確かめるも、どれも嘘や人が起こした事件であり本物の怪異に出会うことが無かった。しかし深町と高槻はそれぞれに人の所業では無い、怪異としか言い表しようのない体験を過去に持つ。自分達が過去に体験した原因は怪異か人か、実際は何だったのか。それを知る為に奔走する2人の物語。 作中の怪談の殆どが人によるものであり、ホラーかと背筋をぞくぞくとさせながら読むと最後人の狂気に当てられる。シリーズ物であり1冊のページ数が少ない為手軽に他と違う読後感を感じられる小説だ。

14. わたしは壁になりたい(漫画)
契約結婚した無性愛者の妻と同性愛者の夫の同棲生活をほのぼのとした柔らかいタッチで描いた漫画。 世間とのギャップに苦しみながらお互いを支え合い同棲生活をする様を描くことで、性的マイノリティの生きづらさとそのなかで出会う人々の温かさを感じさせている。他人との同居の難しさに四苦八苦しながらも、笑って日々を過ごせるように努力する彼らから、恋愛観に関係なく人との付き合いの大切さを学べるだろう。

15. 青に、ふれる。(漫画)
生まれつきの大きなアザを顔に持つ女子高生と、人の顔を判別できない相貌失認の担任教師の話。 自分自身であると共に周りから気を使われる対象であったアザを持つ主人公が人の機微に聡く高度な対人会話スキルを育てていたり、人の顔が分からない為に教師であるのに人とコミュニケーションをとる以前の問題を山のように抱えていたり。自分に足りないものを持っていて完璧に思えるような人間もその他の所で欠陥や問題を抱えて悩んでいる。お互いに不安を正直に打ち明け、補い合っていくことが大切であると読者に再認識させるストーリーである。

16. ちいかわ(アニメ)
ちいかわとその友達のハチワレ、うさぎが送る日常を一話完結という形で描いた物語。近くに沸くお菓子などの食べ物に関する話が多いが、仕事で収入を得て暮らしているという点や、ちいかわ達が命の危険に遭う話が描かれるという点において、シビアな世界観であることがわかる。個性の強いキャラクターのかわいさやほのぼのとした絵柄、とはギャップのある世界の根幹に関わる長編シリーズがあり、ただの可愛いキャラクターによるほのぼのするストーリーというという点が、人気の理由なのではないかと考える。

17. すみっコぐらし (アニメ)
ねこ、とんかつ・えびふらいのしっぽ、とかげ、しろくま、ぺんぎん?のそれぞれの過去のエピソードや、どんな風に出会ってすみっこにあつまってきたのかなど、すみっコたちの気持ちと空模様をリンクしながら綴られる。 隅にいるだけのキャラクターだと思いきや、重い過去を持っていたり、目標があったりとすみっこ達のかわいい意外な設定を知ることができる。一切セリフがなく、ナレーションにより優しく語られるストーリーは、時に感動するようなシーンがあり、少し考えさせられた。

18. すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ (アニメ映画)
ある日すみっコたちは、お気に入りのおみせ「喫茶すみっコ」の地下室で、古くなった一冊のとびだす絵本をみつける。 絵本を眺めていると、突然しかけが動き出し、絵本に吸い込まれてしまうすみっコたち。すると、どこからきたのか、自分がだれなのかもわからない、ひとりぼっちのひよこと出会う。新しいなかまのおうちを探すために、すみっコたちはひとはだ脱ぐことを決意する。 絵本の世界をめぐる旅が今始まる。 人魚姫や桃太郎、マッチ売りの少女などの様々な童話の世界が登場する。65分の映画のなかで、すみっコ達のセリフは一切なく、少々のナレーションで話が進む。しかし、効果音や表情で簡単に読み取ることができ、また、子供向けのためということもあり、かなりわかりやすいストーリーである。長い間、すみっコ達のかわいらしい姿にほのぼのするという話の展開が続くが、終盤になると、ひみつのコであるひよこの謎が明らかになると共に、すみっコ達の決断に感動させられる。終わりの切なさがあるものの、双方納得のいく形での結末と、心温まるひよこへ向けたすみっこ達の行動は、良い結末であった。

19. トリマニア (漫画) トリマニア共和国。そこは世界で唯一、背中に翼を持つ人々が住まう国。そんな国に留学に来た少女・あかりを中心に、一途な愛を貫くカラス、自身の恋に素直になれないカモメ、恋を傍観しすぎて前に進めないハトなど、トリマニアの人々は人生に悩みながら生きていく。 シュールな設定のキャラクターと複雑な人間関係が描かれる、とても不思議な世界観の漫画。キャラクターの鋭い指摘は、夢や希望が全くないことが多く、その毒気が心に刺さる。ただの日常系漫画ではなく、少女漫画要素も強くあることに、更なる面白さがあるのではないかと考える。

19. PUI PUI モルカー (アニメ)
アニメの舞台は、モルモットの車「モルカー」がいる世界で、人間とモルカーが共存している様を描いた日常系アニメとなっている。 ナレーションなどは一切なく、終始動きのみで話が展開され、ふわふわのフェルト生地で作られた 「モルカー」の人形を、1コマずつ撮影するストップモーションアニメの手法で制作されている。 1話ごとに変わるメインのモルカーによる、ダイナミックな展開、社会風刺とも取れる皮肉など、面白さが多く、視聴者を飽きさせない。また、フェルト生地だからこそのふわふわ感が非常にかわいらしく、どんな行動を取っていてもあまり憎めないような演出に繋がっていると感じた。

20. トナリはなにを食う人ぞ(漫画)
都内の大学へ進学し、一人暮らしを始めた稲葉すずな。大学デビューを目指してはりきるも、生活力のなさから上京早々金欠で行き倒れかける。そこを救ってくれたのが、マンションのお隣で大学のクラスメイト・瀬戸晴海。以来、すずなは瀬戸に料理を教わる日々を送る。 料理の腕前と女子力を向上させながら瀬戸と親交を深めていく、癒し系ラブストーリー。 料理を作るシーンや食べるシーンが多い。また、レシピや見た目までかなり詳しく説明されており、イラストの再現度も高いため、読んでいるだけでお腹がすいてくる。少女漫画でグルメがメインの物語はあまり見かけないため、新鮮な気持ちで読むことができる。また、あまり恋愛要素がそこまで強くないというのもこの漫画の魅力であると考える。

21. HUNTER × HUNTER38巻 (漫画)
暗黒大陸を目指す船内での三つ巴のマフィア抗争は激化。2つの組が共闘し、さらにヒソカを追う幻影旅団も抗争に加わり、エイ=イ一家を狩り始める。その最中、ノブナガは幻影旅団結成のいきさつを追懐する。 幻影旅団とは、2話、18話と序盤から名称が登場する盗賊の集団であり、主人公の仲間であるクラピカの宿敵である。2000年〜2001年に連載されたヨークシン編で活躍した彼らの過去が、20年以上の時を経てようやく明かされる。幻影旅団は、極悪非道の集団として説明されるが、作中に登場する彼らは根っからの悪人ではないような印象があり、どのような過去があるのかというのはファンの間で謎とされていた。それがようやく明かされ、今後の展開が期待される。また、主人公であるゴンが表紙に描かれているが、作中で一切登場しないという点について、作者からも本書で言及されているが、いつになったら再登場するのか気になるところである。

22. 『世界でいちばん透きとおった物語』 杉井光(小説)
出会った事も無い父親の遺作を探すとある青年を描いた小説。主人公が遺作を探す中で読者はいくつもの謎に包まれる事になるが貴方はそれを全て解けるだろうか。 ネタバレ厳禁、電子書籍化不可能と銘打つこの作品。単行本化もされておらず紙の文庫本だけの販売。ネタバレ厳禁なので内容を説明することも自分が感動した話をすることも出来ない。それでも40万部売れている事はこの作品の人気を表していると言えるだろう。授業内の作品紹介で知り、ネタバレもされたうえで読んだが、内容を知った上で改めて秘密について考えるというのも面白かった。
23. 北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし(小説)
極寒の地を治める伯爵・リツハルド。男前の元軍人・ジークリンデ。彼女の鋭い眼差しに心奪われたリツハルドは、思わずプロポーズをする。一目惚れからはじまる、1年間のお試し婚。ソリを駆ってトナカイを狩り、解体・仕分け・熟成。ベリーを摘み、保存食に蝋燭、伝統工芸品も作る合間に、凍結湖で魚釣り。自給自足な狩猟民族的スローライフを通して、奥手な2人は無事、正式な夫婦になれるのか。オーロラ輝く辺境ではじまる、不器用夫婦(仮)のほのぼの物語。 日本最大級のライトノベルコンテストである「第3回なろう(小説家になろう)コン大賞、金賞受賞作。雪国の暮らしが非常に丁寧に描かれる。料理がとても美味しそうであったり、自給自足の辛さとだからこその達成感がしっかりと描かれたりしているところから、読了後にじゅうぶんな満足感がある。また、移住してくるヒロインが軍人であるからこそ、極寒の地に耐えられるというストーリーの始まりによく納得できるため、なろう小説でよくある矛盾設定ではないので、とても理解しやすく納得できるものである。2人の関係がどんどん深まっていく様子が伝わり、非常に暖かい気持ちになる物語である。

25. 18trip(ゲーム) リベル・エンタテインメントとポニーキャニオンが共同で開発した、近未来の横浜「HAMA18区」を舞台に、"旅"をテーマにしたおもてなしアドベンチャーゲーム。 完全フルボイスのメインストーリーは、LIVE2Dでキャラクターがいきいきと動き、キャラクターの感情がリアルに伝わるのも相まって、感情移入しやすいものになっている。コメディとシリアスの差が激しく、質も量も申し分ない内容である。各観光区の区長達が時にいがみ合い時に協力して目標を達成し、絆を深めていくが、そこに至るまでの障害の癖が強く、読んでいて非常に面白い。また、旅というテーマに合わせ、現実の観光地とリンクした場所やものが登場するため、聖地巡礼を楽しむことができる点も魅力である。視覚や聴覚、そして現実世界を楽しませるゲームとなっており、ゲーム内に登場する観光客だけでなく、プレイヤーである私たちもおもてなしされている気分を味わうことができる。

26. 『ゆびさきと恋々』(漫画)
聴覚障害をもつ女子大生雪と世界を駆け巡る男子大学生逸臣の恋愛漫画。 生活を送る中で聞こえないことによる初対面の人に感じる壁が逸臣には無かった。それはおそらく逸臣がこれまで言語に関係なくコミュニケーションをとってきた経験からなのだろう。純粋な少女漫画と同じように恋愛を楽しみながら、ギャップのある人間同士の認識のすり合わせや歩み寄る意識の大切さを感じられる作品だ。聴覚障害というテーマが無かったとしても面白い作品だからこそ、ストーリーの中に上手く取り入れられてることで私達が人と関わる上でぶつかる壁と聴覚障害は何ら変わりのないものなのだと思わせてくれる。興味関心の無かった人にも広く周知してくれる作品になっている。

27. ネト充のススメ(アニメ)
会社を辞めて、自らニートになることを決意した盛岡森子、30歳。現実よりもネット世界を充実させるべく、イケメンキャラの“林”としてネトゲを開始する。自称“エリートニート”森子のネト充生活が始まる。 ゲーム内の世界と現実世界が徐々に交錯していくストーリーは、少し無理やりなところが感じられたが、もしかして、と思わせるような演出がみられ、ワクワクした。現実世界では女性だがゲーム内では男性、現実世界では男性だがゲーム内では女性のそれぞれのキャラクターが恋に落ちるのは、面白い展開であった。現実とゲームでは異なる関係性や距離感にもどかしい気持ちになりながらも、ドキドキする場面が多く、心が動かされながらみることができる作品であった。

28. Ib (ゲーム)
kouri氏による美術館を舞台とした探索ホラーアドベンチャーゲーム。両親とゲルテナ展を観に美術館に訪れた少女のイヴ。様々な作品を観ていたイヴだが、ふと気がつくとひとりぼっちになっていた。誰かいないか探し回っていると、次々に美術館に異変が起こる。 プレイヤーはイヴとなり、美術館から脱出するため探索していくことになる。そこには無数のギミックが仕掛けられており、周辺を調べて必要なアイテムを見つけ出し、パズルのようなギミックを解きながら先へと進んでいく。道中では、ギャリーとメアリーのふたりと出会う。彼らとともに行動することになるが、会話や行動の選択肢によって結末が変わっていく。 難易度の絶妙な謎解きの作り込みの数々や、不気味な雰囲気がありつつ可愛らしいピクセルアート、美しい音楽によって、プレイヤーは引き込まれる。エンディングが複数あったり、周回向けの要素があったりする点も魅力である。

29. 星屑の王子様(漫画)
不夜城・新宿歌舞伎町。欲望渦巻くこの街にきらめく、愛と狂騒を金に換えるホストと呼ばれる男たち。空前のホストブームのさなか、ナンバーワンたちの日常は、常識も倫理も超越した事件やトラブルで溢れている。シャンパンの泡のように刹那的で煌びやかで、時に残酷で狂気に満ちた男たちの生き様を描く、超新宿系サディスティックコメディ。 歌舞伎町のきらびやかな面だけでなく非常にダークな現実がしっかりとわかりやすく描かれている。救いようのないほどに性格が悪いキャラクターが大勢登場する。内容は重すぎることは全くないが、軽いタッチで生々しく描かれるホストを中心とした世界は、この世界の厳しさを伝え、安易な気持ちで近づいてはいけないことを教えてくれる。

30. 魔道具士ダリヤはうつむかない(小説)
交易と魔法技術で栄えるオルディネ王国。その王都に居を構える魔導具師のダリヤ・ロセッティは、亡き父の弟子で婚約者のトビアス・オルランドから、結婚前日に一方的に婚約破棄を迫られる。トビアスには既に新しい恋人がおり、新居にも出入りしていたのだ。予期せぬ出来事に愕然とするダリヤだったが、周囲の助けもありトビアスとの婚約を破棄、さらには生活と魔導具開発のため自身の商会を立ち上げる。そんなある日、素材の採取に森を訪れたダリヤの前に、負傷した血塗れの男が現れる。彼は王国騎士団魔物討伐部隊で最も危険な役割を担う「赤鎧」のヴォルフレード・スカルファロットであった。 様々な魔道具の発明に取り組む主人公の姿にカッコ良さを感じ、また、それを手助けするヴォルフレードとの関係性が、恋愛要素を少しずつ含んでいく過程を楽しむことができる。しかし、恋愛要素をメインとするにはあまりにも2人の進展が遅いため、魔道具の制作が本筋なのであろうと考える。転生モノではあるものの、転生要素がかなり少ないため、異世界物語を普通に楽しむことができる。今後の2人の恋愛面での展開に期待したい。
2024/09/24(火) 00:13 No.2059 EDIT DEL
篠原結衣 RES
2年 篠原結衣
1, 忘却バッテリー(アニメ 2024)監督:中園真登
〈概要〉
 東京都立小手指高校に入学した山田太郎は中学球界で名をはせた完全無欠の剛腕投手・清峰葉流火、切れ者捕手の智将・要圭の怪物バッテリーに再会する。全国の強豪校からスカウトを受けていたはずの彼らがなぜ野球無名校の小手指高校にと疑問におもう山田。さらに要圭は記憶喪失で野球に関する知識も失っていた。野球から一度は離れた天才たちが集結し、彼らの野球が再び動き出す。
〈考察〉
 要圭が野球の面白さに気づくまでというのが描かれていた。最終話で「記憶を失って初めて野球を楽しいと思ってしまった」というセリフが出てくる。このセリフは記憶喪失前の要圭が語っているように思う。つまり、要圭は野球を楽しいと思っていない、または、野球を楽しいとは思ってはいけないと感じているということになると思う。今後、そんな要圭がどういう風に野球に向き合っていくかも見どころの一つだと思う。
2, グッバイ、ドン・グリーズ(映画 2022)監督:いしづかあつこ
〈概要〉
東京から少し離れた田舎町に住むロウマは周囲とうまくなじむことができず、同じように浮いた存在のトトと二人だけのチーム「ドン・グリーズ」を結成する。やがてトトは東京の大学に進学してしまう。地元の高校で一人ぼっちになったロウマは、アイスランドから日本にやってきた少年ドロップと意気投合し、ドロップもドン・グリーズの一員となる。夏休みになり、ひょんなことから山火事の犯人に仕立て上げられてしまった三人は、無実であることを証明するため、その証拠となる空のかなたへ消えたドローンを探しに行く。
  〈考察〉
周囲とうまくなじめないロウマと、広い世界に出て自分の小ささを目の当たりにしたトト、そして宝物を見つけるために日本に来た少年ドロップの三人が織りなす友情物語だと感じた。友情は時間の長さに比例しないというのがこの作品から伝わってきた。ドロップの表情を追ってみていると、ロウマとトトが中学時代の話をしているとき、少し寂しそうな表情をよくしていた。それは、ドロップが知らない二人のことを話していて、疎外感を覚えていたように見えた。しかし、ドロップと関わることでロウマやトトの考えや価値観が広がっていっているように表現されていたことから、二人の中でドロップはとても大きな存在になっていると思った。ロウマのセリフで「僕らはもうとっくに三人なのに」というものがあるが、これはロウマ、トト、ドロップの友情に差はなく、同じであるというのをあらわすセリフだと思う。友情は時間だけでなく、相手が与えてくれたものの大きさや、過ごした時間の濃さが大切なんだということを伝えてくれる作品だと思う。
3, 心が叫びたがってるんだ(映画 2015)監督:長井龍雪
〈概要〉
 幼いころ、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女、成瀬順は言葉を声に出すと、おなかが痛くなってしまうようになった。高校二年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。一緒に任命されたのは、全く接点のない三人のクラスメイト。担任の思惑によって交流会の出し物はミュージカルに決定する。そして、発表会当日、心に閉じ込めた、本当に伝えたかった気持ちをうたうと決めたはずの順だったが・・・。言葉で人を傷つけてしまった少女が再び言葉を取り戻す青春ストーリー。
〈考察〉
 音楽は世界中に通じる共通言語だという風に吹奏楽をしているときによく言われていた。音楽に感情を乗っけやすいのは事実だと思うし、人の心が動きやすいのもそうだと思う。おしゃべりでは伝えづらいことでも音楽だったら大丈夫だというのにはとても共感できた。順が創り出した玉子はきっと順がおしゃべりしないという自分を正当化するためのものだったのだろう。順は自分の言葉で人を傷つけることが怖くなって、口にチャックをしたんだと思うが、それは逃げていることだと感じた。自分の気持ちを言葉にして人に伝えるということはとても勇気がいることで体力も気力も使う。そこから逃げ出した順が音楽という言語を通して言葉を取り戻していく。その過程で自分の気持ちを言葉で伝えるということの難しさを表現しているのだと感じた。
4, 運命の人(漫画)作者:椎名軽穂
〈概要〉
高校を卒業して、胡桃沢梅は同じ大学に進学した黒沼爽子とかなり楽しく毎日を過ごしていた。ある日気乗りしない合コンに爽子を誘って参加したくるみはそこでおかしな男に絡まれてしまう。そんなピンチを救ってくれたのは爽子のいとこの赤星栄治だった。後日、爽子の家でのご飯に誘われたくるみと栄治。その帰り道、くるみは「つきあうか」と栄治にいきなり告白されてしまう。その場では断ったくるみだったが、だんだんと栄治に惹かれ始める。素直になれないくるみの不器用な恋の物語。
〈考察〉
 高校時代、爽子に出会うことで少しだけ自分に素直になれたくるみだったが、なかなか過去の自分の行いを自分で許すことができていないように見える。その後悔のせいで自分が幸せになることに罪悪感を覚えているように感じた。だから、人を試して自分は悪い子なのだと自分に暗示をかけて、その罪悪感から逃げているのかなと思った。そんなくるみに対して栄治は何の偽りもなくただひたすらにまっすぐ向き合い続けたからくるみの心が徐々に開いていったのかなと思う。まっすぐにぶつかってこられるとどうしても反発したくなったり、受け入れられなかったりすると思うけど、それを受け入れられるようになったのがくるみの成長だったのかなと思う。
5, コーヒーが冷めないうちに(映画 2018)監督:塚原あゆ子
〈概要〉
 時田数が働く喫茶店「フニクリフニクラ」には、ある席に座ると望み通りの時間に戻れるという不思議なうわさがあった。過去に戻るには面倒なルールがいくつもあったが、そのすべてを守ったとき、やさしい奇跡が舞い降りるのだという。今日も店には、うわさを聞き付けてやってきたキャリアウーマンの清川二美子や、訳あり常連客の高竹佳代と房木康徳、なぜか妹から逃げ回っている平井八絵子ら、それぞれ事情を抱える人々が訪れてくる。タイムスリップの引き金になるコーヒーを淹れることのできる数も近所の美大生、新谷亮介に導かれるように、自分自身の秘められた過去に向き合っている。
〈考察〉
 最後に数のために娘が未来からくるシーンがとても興味深かった。それまで、ずっと過去に行くということをクローズアップしていて、そのことをきっかけに未来に向かっていく物語かなと思っていたけど、新谷が過去でどうにかしようとせず、未来にかけたことが面白いポイントかなと思った。人は過ちを犯すと過去に戻ってどうにかしたいという発想になってしまいがちだと思うけど、そうではなくて、今からの自分がその過ちをどう正せるのか、そしてその過ちを糧にどう成長できるのかが大切なんだなと思わせてくれる作品だった。また、この作品は前半に起こったことを前提に後半15分で伏線を回収していくような構成になっていた。何気なく描かれていた新谷の存在も、彼がいなければ、数が自分を許すこともなく、物語が全然進まなかったのかなと思った。新谷の未来にかける思いが数を救ったのだと思う。
6, 君の膵臓をたべたい(小説 2015)作者:住野よる
〈概要〉
ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトの山内桜良がつづった、秘密の日記帳だった。そこには彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていた。彼女の秘密を唯一知っているクラスメイトとなった僕は彼女との日々を過ごしていくこととなる。
〈考察〉
これは自分自身で選択することというのが大切にされている物語だと思う。それでも自分自身で選択できない病気と桜良がどう向き合って、なにを選択して生涯を終えていくのか。そこに山内桜良の生きた軌跡があるのではないか。「君の膵臓をたべたい」というタイトルに最後は衝撃を受けた。最初は桜良の膵臓が悪いからそういうタイトルなのだと思っていたけど、そうではなくて、桜良と僕がお互いのようになりたいという意味で送りあった言葉であった。それも選択のうちなのだと思う。選択するということは自分で責任を取らなければならない重大な行動だと感じていたけど、この本では日常のとても些細なことでさえ自分で選択していることだという風に書いてあった。選択するということは責任を伴う大変な行為だけど、それでも自分の納得できる、自分らしい人生を送るためには選択するということは避けられないとても大切なことなんだと思うことができた。
7, 胸が鳴るのは君のせい(映画 2021)監督:高橋洋人
〈概要〉
 高校一年生の篠原つかさは、三学期に転校してきた有馬隼人に恋心を抱くようになる。そして、高校二年の最後の日に、つかさは思い切って彼に告白する。しかし、結果はあえなく玉砕。それでも、有馬への思いが募るばかりの彼女は振られても諦めないと有馬に宣言する。
  〈考察〉
最初から告白して振られるという演出は斬新で面白いなと思った。一途に片思いを続けるのは相当気力が必要だと思うが、それでも思い続けられるというのが彼女の魅力の一つなのだろうなと思った。有馬は明らかにつかさのことを特別に思っているようだったのに、なかなか自分の気持ちに素直になれていない様子だった。自分のことを好きだと言っていて、しかもふった女の子に対して少しも好意がなければ、もう一度仲良くしたり、遊んだりするのは難しいのではないかと考える。この物語はつかさの一途な恋だけでなく、有馬がつかさに対する恋心を自覚するまでの心情変化も見どころの一つだと思う。
8, 君は春に目を醒ます(漫画)作者:縞あさと
〈概要〉 
小学四年生の絃は同級生の弥太郎に泣かされてばかりいた。そんなときに守ってくれるのは、7歳年上の千遥だった。しかし、千遥に現代の医術では治せない病気が見つかり、治療のために人工冬眠(コールドスリープ)することになる。絃は千遥が目覚めるのを待ち続け、気づけばその年月は7年にもなっていた。そんなとき、連絡があり、千遥が目覚めたことを知らされた絃は急いで病院に向かう。憧れの兄から同級生に変化した距離感に戸惑いつつ、絃と千遥は高校生活を一緒に送っていく。
〈考察〉
 時間の大切さを教えてくれる作品だなという印象。人工冬眠の7年という月日がなければ、もしかしたら千遥は絃のことを妹以上に見ることはなかっただろうし、弥太郎ら同級生と関わることもなかったのだろうなと思うと、千遥にとってはとても大事な7年だったのではないかと思う。生きている時間がずれるということによって、もちろん変わらないものもあるとは思うが、それ以上に失うものも多いはずで、そんな中でも必死に失ったもの以上に得るものを増やしていこうとしている絃と千遥の姿がとても見どころだと思う。
9, 恋を知らない僕たちは(漫画)作者:水野美波
〈概要〉
 高校2年生の英二と直彦は中学からの親友同士である。英二は幼馴染の泉へ密かに思いを寄せていたが、英二が気持ちを伝える前に直彦と泉が付き合うことに。さらに、泉と同じクラスの小春は直彦に恋をし、瑞穂は英二を意識し始め、太一は瑞穂を一途に想い続ける。片思いが交錯する高校生の青春物語。
  〈考察〉
六人の交錯する恋がこじれにこじれていて、一人一人の感情機微の表し方がとても繊細で読みやすい印象だった。英二の泉への気持ちは、行き場がなくなって恋心というよりも、執着心になっていたのではないかなと思った。だから、泉にきちんと気持ちを告げられたことで気持ちに整理がつけられたように見えた。やはり、自分の思いを誰にも言わずに閉じ込めておくというのは精神的にもかなり体力を使うから、気持ちを伝えるということは大切な行動なんだなと改めて感じた作品になった。
10,俺物語!!(漫画)アルコ×河原和音
〈概要〉
高校生離れした顔面と巨体を持つ剛田猛男は、豪傑かつ硬派な日本男児だが、心根は優しく純粋な高校1年生。その外見のせいで女子には恐れられているが、男子からの信頼は厚かった。そんな猛男は、親友のイケメン・砂川誠と一緒にいたある時、街中で危機に陥っていた女子高生・大和凛子を助ける。大和に一目ぼれした猛男だったが、後日、3人で再び会った際、大和は砂川のことが好きなのだと察する。落ち込みながらも大和と砂川の仲を取り持とうとする猛男だったが……。
〈考察〉
 見た目で人を判断するのはよくないなと思った作品。この物語の登場人物、特に猛男、大和、砂川、は人の奥深くまでよく見ているように感じる。人をまっすぐに見ているからいい人が寄ってくるし、基本的にはみんなに好かれるんだろうなと思う。また、恋愛要素だけでなく、クスッと笑えるシーンや感動するシーンもあるので、誰でも読みやすい作品だと思う。
11,そしてバトンは渡された(映画 2021)監督:前田哲
〈概要〉
 血のつながらない親の間をリレーされ、これまで4回も名字が変わった優子。現在は料理上手な義理の父である森宮さんと2人で暮らす彼女は、将来のことや友達のことなど様々な悩みを抱えながら、卒業式にピアノを演奏する「旅立ちの日に」を猛練習する日々を送っていた。一方、夫を何度も変えながら自由奔放に生きる梨花は泣き虫な娘みぃたんに精一杯の愛情を注いでいたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。
〈考察〉
 最初は全く関係ない二つの家庭について話が進んでいるように思わせておいて、実はそこに登場していた女の子は同一人物であるという構成がとても物語に引き込ませてくれたと思う。タイトルから陸上とかの話かと想像していたが、全く違い、親と子供の深い絆を表した作品だった。親子って血のつながりを表しているような言葉だと思っていたけどそんなことなくて、血のつながりなんか関係なくて、ただ相手をどう思っているか、どれほど大切にしているかというのが本当は大切なのかなと思った。愛情というのはどんな形であっても相手に伝わるのだと思った。
12,恋は光(映画 2022)監督:小林啓一
〈概要〉
 「恋をしている女性が光って見える」という特異体質の大学生、西条は、自身は恋愛とは無縁の学生生活を送っていた。ある日、彼は「恋というものを知りたい」という文学少女の東雲に一目ぼれし、恋の定義について語り合う交換日記を始める。西条にずっと片思いをしてきた幼馴染の北代は、そんな2人の様子に心をざわつかせる。一方、恋人がいる男性ばかりを好きになってしまう宿木は西条を北代の彼氏だと思い込んで猛アプローチをかける。4人は奇妙な四角関係に陥っていく。
〈考察〉
 とても静かな印象の作品だった。恋とは何かと作中で何度も問われていたが、恋というのは一つに定義づけられるようなものではなくて、人それぞれでよいのだと最後に結論付けられているように感じた。人それぞれの恋が表現されていて、とても面白いなと思った。今まで何の接点もなかった女子三人が作品の最後の方で宅のみをするような仲になっていたのがとても印象的で、一つの恋が人間関係にも変化を与えていて素敵な恋だったのだろうなと思った。
13,空の青さを知る人よ(映画 2019)監督:長井龍雪
〈概要〉
 秩父の町に暮らす高校生の相生あおいは進路を決める大事な時期なのに受験勉強もせず、東京に出てバンドをやることを目指して大好きなベースを弾いて毎日を過ごしていた。あおいには唯一の家族である姉のあかねがいるが、二人は13年前に事故で両親を亡くしており、当時高校三年生だったあかねは恋人の金室慎之介との上京を断念して地元で就職し、妹の親代わりを務めてきた。あおいは自分を育てるために多くのことを諦めた姉に対し、負い目を感じていた。そんなある日、町の音楽祭に大物歌手の新渡戸団吉が出演することになり、そのバックミュージシャンとして、あかねと別れたきり音信不通だった慎之介が町に帰ってくる。時を同じくして、まだあかねと別れる前の慎之介が、13年前の過去から時を超えてあおいのまえに現れる。
〈考察〉
 とても共感できる作品だなと思った。高校生の時は結構自分が正しいと思いがちだし、夢中になっているときは自分のしていることが間違っているとは思わないけど、ふとした瞬間に冷静に物事を見ると、自分はそんなにすごくないし、周りの人の言っていることの方が正しいなと思うことが多い気がする。それでもあおいが間違わないで進んでいけたのは一番大切なものがはっきりと決まっていたからだと思う。そのあかねへの気持ちがあおいの力の糧になっているように思った。
14,柚木さんちの四兄弟(漫画)作者:藤沢志月
〈概要〉
 数年前に両親を亡くし、長男・隼、次男・尊、三男・湊、四男・岳で暮らす柚木四兄弟。支えあいながら賑やかに日々を過ごしていた。数々のハプニングに遭遇しながらも、周りに支えられながら力いっぱいに暮らしていく。笑いあり涙あり感動ありの未体験ファミリーストーリー。
〈考察〉
 基本的に一話完結なので読みやすいと思う。小学生、中学生、高校生、大人といろんな年代の人が登場し、それぞれの悩みにクローズアップしていくので共感しやすいし、自分が同じ年齢の時に同じように感じていたなと考えながら読めるのも魅力だなと思う。大人は子供に対して、何も考えられない、私たち大人の方が正しいと思いがちだと思うが、この作品を読んでいると、子供は子供なりにいっぱい考えて行動しているのだということを思い出させてくれた。幅広い年齢層の人たちが関わるからこそ生まれるいろんな悩みやそれぞれの視点が見られるところが見どころだと思う。
15,桜蘭高校ホスト部(漫画)作者:葉鳥ビスコ
〈概要〉
 上流階級の家柄の息子や令嬢ばかりが通う私立桜蘭学院高等部1年生の藤岡ハルヒは勉強ができる静かな場所を求めて南校舎の第三音楽室にたどり着く。しかし、そこは暇を持てあます美少年が、同じく暇を持て余す女生徒をもてなし潤すホスト部なる集団が活動していた。
〈考察〉
 この漫画は特に相手に気持ちを伝えることを大切にしていたように思う。ある話の時にハルヒが「伝えもしないでわかってもらおうなんて無茶な話です」という風に言うセリフがある。これは母親を亡くしたハルヒならではのセリフだと感じた。もう伝えたくても伝えられない気持ちを持っているハルヒだからこそこのセリフが出てくるのだと思った。伝えられる相手がまだ目の前にいるのなら、伝えるべきだという風に感じた。また、ギャグ多めの少女漫画なので、恋愛漫画苦手という人でも読みやすいと思う。よくある、お金持ちの学校に普通の庶民的な女の子が入っていって一波乱あるという設定なのに、ハルヒがあまり動じないせいか、ハラハラすることもあまりなく、すんなりと読めた印象である。やっていることが突飛で、豪勢なため、全く想像できないことが起こり、読み進めていっても全く飽きずに読めた。
16,君の名は。(映画 2016)監督:新海誠
〈概要〉
 1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。心と身体が入れ替わる現象が続き、互いの存在を知った瀧と三葉だったが、やがて彼らは意外な真実を知ることになる。
〈考察〉
 印象的だったのはやはり新海誠監督の特徴であるMV的なつくりになっているシーンである。音を絵に合わせるというよりも、絵を音楽に合わせて描いているようで、音楽の方が強く印象に残るように作られているみたいで面白いなと思った。瀧が奥寺先輩と行った写真展で糸守町の写真を見つけるシーンがある。その写真展の名前が「郷愁」だったので意味を調べてみると「故郷を離れている人が故郷を懐かしく感じる気持ち。また、昔を思い出して懐かしく思う気持ち(日本表現インフォ)」と書かれていたので、こういうシーンからでも糸守町は瀧の時代では昔になっているのかもしれないと予想できる。こういう小さなヒントを見つけながら何度も見るのも面白いと思う。
17,ワールドトリガー(漫画)作者:葦原大介
〈概要〉
 人口28万人を抱える三門市に突如現れた、異次元からの「門(ゲート)」。そこを潜り抜け、異次元の侵略者「近界民(ネイバー)」が周囲の街に襲いかかった。未知なる力を持ち、地球上の武器が効かない彼らに成す術もなく蹂躙されようとしたそのとき、「ボーダー」を名乗る組織が現れる。「こいつらのことは任せてほしい」と近界民たちを一掃した彼らは、その後界境防衛機関として組織を築き、近界民から街の平和を守り続けることになる。それから数年後のある日、ボーダーの末端に所属する三雲修の元に不思議な少年が現れる。近界民を名乗るも悪意の見えない空閑遊真との出会いは、世界に何をもたらすのか。
〈考察〉
 たくさんのキャラクターが出てくるのが魅力の一つかなと思う。また、たくさんのキャラクターがいて限られた戦闘スタイルの中なのにもかかわらず、それぞれのキャラクターにあった独自の戦い方が描かれているので戦闘シーンも停滞することなく楽しく読むことができたと思う。また、工夫次第でたくさんの無理難題を乗り越えていく主人公の姿にとても背中を押されるような作品だと思う。周りがどれだけ優れていても、自分を失わずに自分の良さを最大限引き出せるようにすればどんなことにでも立ち向かえるということを伝えているように感じた。
18,かがみの孤城(映画 2022)監督:原恵一
〈概要〉
 中学生のこころは学校に居場所をなくし、部屋に閉じこもる日々を送っていた。そんなある日、部屋の鏡が突如として光を放ち始める。鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこにはおとぎ話に出てくる城のような建物と、6人の見知らぬ中学生がいた。そこへ狼のお面をかぶった少女「オオカミさま」が姿を現し、ここにいる7人は選ばれた存在であること、そして城のどこかに秘密の鍵が1つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえると話す。
〈考察〉
 不登校になったときに、学校側とか親とかは不登校になった子本人に原因があるように考えがちだと思う。しかし、多くの場合本人よりも周りに原因があることが多いのだなと感じた。こころが母親に「おなかが痛い」というシーンで最終的に母親が「行かないのね」といい、その後こころが「行かないじゃなくて行けない」と思うシーンがある。普段もだが、特に追い込まれている人に対して、ちょっとした言葉の違いで簡単にその人たちの心を傷つけてしまうことがあるんだなと感じた。
19,初×婚(漫画)作者:黒崎みのり
〈概要〉
 初が入学した七海学園高校は、世界一の結婚を目指し、男女2人部屋で寮生活を送る特別な学校。3年後に「金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)」に選ばれると、卒業と同時に入籍、そして大手IT企業の社長になることができる。超正確なマッチングシステム“デステニー”に選ばれたパートナーの紺はつかめなくてちょっぴり意地悪な人だった。両親を亡くし、温かい家庭をつくりたいと願う真面目な女子高生と、一攫千金を狙うイケメン男子との学園ラブコメディー。
〈考察〉
 高校生は勉強に力を入れて、部活を両立し、余裕があれば恋愛をする、みたいなイメージを持っていたからか、恋愛をするために高校に入るというのが斬新な発想で驚いた。隣にいつもいてくれる人や同じ目標に向かっていく仲間やライバルが必死になっている姿を見ると、初めはどうでもいいと思っていたことでも誠心誠意向き合っていかなければという気持ちになるのかなと思った。必死に取り組むということは、周りにもいい影響を及ぼすということが分かった。
20,あのコの、トリコ(映画 2018)監督:宮脇亮
〈概要〉
 子供のころ、幼馴染の雫や昴とスーパースターになる夢を誓い合った頼。引っ越して二人と離れ離れになった頼は地味で平凡なメガネ男子に成長していたが、雫が人気モデル、昴が人気俳優になったことを知り、衝動的に雫の学校に転入する。雫の付き人としてCM撮影に立ち会ったことをきっかけに芸能界入りした頼は、事故で大けがを負った昴の代役として舞台で雫と共演することになり、幼いころから抱いていた雫への思いを募らせていく。
〈考察〉
 一度は俳優になるという夢を諦めたのにもかかわらず、雫の隣に胸を張って立てるようにと奮闘する頼の姿はとても応援したくなるような感じだった。雫の昴と頼に対する表情が印象的で、雫はどちらのことを好きなのか終始わからないような表現だったと思う。一度は諦めてしまったことも、もう一度頑張れば叶えることができるということを伝える作品だった。夢に挑戦することは、いつから始めようと遅くはなくて、自分の頑張り次第でどうにでもなるということを教えてくれたと思う。
21,インサイドヘッド2(映画 2024)監督:ケルシー・マン
〈概要〉
 少女ライリーを子どもの頃から見守ってきたヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの感情たちは、転校先の学校に慣れ新しい友人もできたライリーが幸せに暮らせるよう奮闘する日々を過ごしていた。そんなある日、高校入学を控え人生の転機に直面したライリーの頭の中で、謎の警報が鳴り響く。戸惑うヨロコビたちの前に現れたのは、最悪の未来を想像してしまう「シンパイ」、誰かを羨んでばかりいる「イイナー」、常に退屈&無気力な「ダリィ」、いつもモジモジして恥ずかしがっている「ハズカシ」という、大人になるための新しい感情たちだった。
〈考察〉
 ライリーの中にある感情たちがいきいきと動いているのを見るのはとても面白かった。誰もが経験する思春期をテーマにしていたので、共感しやすい作品だったのではないだろうか。思春期になるとどうしても自分の感情をうまくコントロールできなくなるように感じるが、ライリーの中の感情たちがあたふたしていることでうまくいかない感情のコントロールを表しているのかなと思った。私たちが経験したことは無駄ではなくて、そのひとつひとつの経験によって一人の人として人格が作られていくということがよくわかる作品だった。
22,あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(アニメ 2011)監督:長井龍雪
〈概要〉
じんたん、めんま、あなる、ゆきあつ、つるこ、ぽっぽの6人は、小学校時代に互いをあだ名で呼び合い、「超平和バスターズ」という名のグループを結成して秘密基地に集まって遊ぶ間柄だった。しかし突然のめんまの事故死をきっかけに、彼らの間には距離が生まれてしまい、超平和バスターズは決別、それぞれ後悔や未練や負い目を抱えつつも、中学校卒業後の現在では疎遠な関係となっていた。高校受験に失敗し、底辺高校に入学したじんたんは引きこもり気味の生活を送っていた。そんな彼の元にある日、死んだはずのめんまが現れ、彼女から「お願いを叶えて欲しい」と頼まれる。
〈考察〉
 後悔と償いの物語だなと感じた。それぞれがめんまに対して罪悪感、劣等感などを抱いたままめんまがいなくなってしまい、自分の中にあるその気持ちをどういう風に発散していいかわからないまま高校生になってしまったのだなと思った。そういう複雑な心の葛藤がとても繊細に表現されている作品だと思った。
23,Dr.STONE(漫画)作者:稲垣理一郎
〈概要〉
 全人類が謎の石化現象により一瞬で石化して数千年。超人的な頭脳と精神力をもつ根っからの科学少年、石神千空は石化後も一秒たりとも精神を途切れさせることなく3700年の時を経て目覚めた。千空は文明が滅んだ石の世界で、一から科学の力で世界を取り戻すことを決意した。同級生の大木大樹を筆頭に科学王国をつくりあげていくストーリー。
〈考察〉
 千空の高校生とは思えないような知識量と行動力に何度も驚かされて、物語にどんどんのめりこんでいってしまうなと感じた。科学の知識だけでなく、集団を動かすときにどんなことを意識すればいいのかとか、どうすれば周りの人間がリーダーについていきたくなるのかみたいなことも学べるように感じた。一人ではできないことも人の力が集まれば不可能なことはないと思わせてくれる作品だった。
24,花野井くんと恋の病(漫画)作者:森野萌
〈概要〉
 家族や友人に恵まれているけど、恋愛はちょっぴり縁遠かった高校一年生の日生ほたるは、ある日隣のクラスのイケメン、花野井くんがフラれる現場をたまたま見てしまった。その後、雪が降る公園で一人たたずんでいた彼を見てほたるは傘を差しだす。そのことがきっかけで、後日花野井くんから公開告白をされてしまう。恋がわからないほたると愛が重すぎる花野井くんが織りなす初恋ラブストーリー。
〈考察〉
 今まで恋愛ということに疎くて興味もなかったはずのほたるが花野井くんの猛烈なアピールを受けることでだんだん好きという気持ちを知っていくという描写がなんともかわいらしく描かれている。また、花野井くんもほたると関わることによって、今までは恋人以外に興味も関心も持たなかったのに、どんどん恋人以外の人たちと関わるようになっていって、お互いがお互いにいい影響を与えていくというのがとてもすてきだなと感じた。
25,わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!(映画 2024)監督:宮原直樹
〈概要〉
 人気ゲーム「ドキドキ・タヌキングダム」で遊ぶため集まったこむぎたち。ところが、みんなで仲良くゲームで遊んでいたところ、突然、あやしいタヌキがいるゲームの世界に吸い込まれてしまう。大好きないろはやみんなと離れ離れになってしまったこむぎは、いろはに会うためにさまざまなゲーム対決に挑むことになる。しかし、ゲームの世界には隠された秘密があり、その鍵はゲームを作った少女ナツキが握っていた。
〈考察〉
 ゲームの世界に入り込むという設定で3Dと2Dを使い分けているのがとても興味深かった。3Dの方ではいろんなアングルからキャラクターたちが描かれていて、こっちも一緒になってゲームをしているような感覚になった。また、歴代の二グループのプリキュアたちも出てきたので、わんだふるぷりきゅあだけでなく他のプリキュアも知っていると楽しみが増えるなと思った。男の子がプリキュアになるということも近年は違和感なく受け入れられるようになったんだと思える映画だった。
26,カワイイなんて聞いてない!!(漫画)作者:春藤なかば
〈概要〉
 高校生の河原まどかは、放課後、両親が営む食堂を手伝うが、そこへ女子が騒がずにはいられないほどの超絶イケメン、志倉百喜がバイトにやって来る。カワイイ系の年下男子が好きな女子高生のまどかと、イケメンだが、女子を極端に警戒するぶっきらぼうな年下の男子高校生である志倉とのラブコメディー。不愛想で女子に心を開かないイケメンの志倉が、実はドジで天然なかわいい一面を見せる。そのギャップにまどかは悶絶しながらときめいてしまう。
〈考察〉
 最初は女の子なんてみんな一緒で自分に好意を寄せてくる面倒な存在だったはずの志倉くんがまどかの気持ちに触れていくうちにどんどんほだされてかわいくなっていくのがよく伝わってくるなと思う。また、いろんなことを経て無表情やにらむような表情が多かった志倉くんがころころと表情を変えていくのが見どころの一つだと思う。最初はまどかのことを決めつけでほかの女子と同じような人間だと思い込んでいたけど、まどかのはっきりした宣言で自分が人のことを知らないうちに決めつけていたのだと気づいた様子だった。人にはっきりと気持ちを伝えるのは大事なことだと思った。
27,先輩は男の子(漫画)作者:ぽむ
〈概要〉
 男だけどかわいいものが大好きで女の子の姿高校生活を送る男の娘、花岡まこと。ある日の放課後、まことは女の子だと勘違いしたまま後輩女子、蒼井咲に告白される。「実は自分は男の子なのだ」と打ち明けて、告白を断ること。しかし、まことの予想に反し、咲は諦めるどころか、「男女両方の先輩が楽しめる」とテンションがアップ。さらに、「私が先輩の初恋の人になってみせます」と宣言した。
〈考察〉
 今の多様性といわれる時代にぴったりの作品だと思った。一昔前だとまことのような人たちはそれを隠して生きていかなければいけないような空気感があったけれど、それを受け入れてくれる学校や友達が存在していて、隠さなくてもいい時代になりつつあるんだよということを示している作品だなと思う。また、まことの心の中の葛藤や母親の反応を見てショックを受けたことが結構リアルに描かれていて、とても勉強になる作品だと思う。
28,夏へのトンネル、さよならの出口(映画 2022)監督:田口智久
〈概要〉
 とある田舎町で噂されている「ウラシマトンネル」。その不思議なトンネルに入ると、あるものを失う代わりに欲しいものが何でも手に入るのだという。掴みどころがない性格に見えて過去の事故が心の傷となっている高校生・塔野カオルは、芯の通った態度の裏で自身の理想像との違いに苦悩する転校生・花城あんずと、トンネルを調査してそれぞれの願いをかなえるため協力関係を結ぶ。
〈考察〉
 ウラシマトンネルと名付けられた不思議なトンネルが出てくる。トンネルはよく異世界への入り口とか現実との境目としての表現で使われているが、ここでも現実との境目として使われていると感じた。特別な才能が欲しかったあんずは未来のためにその才能を欲していたのに対して、カオルはカレンを連れ戻し、過去の幸せな家庭を取り戻すためにトンネルを利用しようとしていた。未来のためか過去のためか、そこに目的の大きな違いがある。父親の再婚相手が来た時、カオルが具合悪くなったのは、カレンが戻れば母親も戻ってきて、また昔みたいになれると信じてやまなかったから、新しい母親という、もう戻れない事実を突きつけられて絶望したのかなと思った。カオルは最終的にウラシマトンネルは「捨てたものを取り戻す」トンネルだと結論付けていたが、だからこそ、自分が捨てたあんずへの気持ちとこれからの人生を取り戻せたのだと思う。
29,泣きたい私は猫をかぶる(映画)監督:佐藤順一・柴山智隆
〈概要〉
 笹木美代は、いつも明るく陽気な中学二年生の女の子。空気を読まない言動で周囲を驚かせ、クラスメイトからは「ムゲ(無限大謎人間)」というあだ名で呼ばれている。しかし本当は周りに気を使い、「無限大謎人間」とは裏腹に自分の感情を抑えて日々を過ごしていた。そんなムゲは、熱烈な想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人へ毎日果敢にアタックを続けるが全く相手にされない。めげずにアピールし続ける彼女には誰にも言えない、とっておきの秘密があった。
〈考察〉
 ムゲはクラスで浮いているように描かれているが、それは本当の自分を隠すためにわざとそう見えるようにふるまっているように感じた。そのため、家では気を遣い、空気を読んで発言したり、笑顔を絶やさないようにしていたりと「無限大謎人間」と言われるような目立った行動は見えない。本当に言いたいことを家でも学校でも言えずにとても苦しんでいた時にその現実から逃げ出せる猫のお面をもらって、唯一弱音が吐ける環境ができてしまい、居心地よくなったのだろうと思った。誰か弱音を聞いてくれる存在が一人でもいればムゲは猫になろうなんて考えもしなかったのかなと思った。
30,サクラ、サク(漫画)作者:咲坂伊緒
〈概要〉
 目立たず、いてもいなくても変わらない存在だった藤ヶ谷咲。咲はある日「桜」という名前の人に助けられたことをきっかけに、自分も困っている人をほっておかないと心に決める。時は流れ、入学した高校で「桜」と呼ばれる男の子に出会う。
〈考察〉
 咲が助けられたことをきっかけに必死に変わろうとしている姿がとても印象的だった。最初は行動から変えていっていたけど、陽希に恋をしていくうちに気持ちの持ちようとかも変わっていっていたと思う。「いい子」というのがよく使われていたがそれは周りに言われたこととを何でも引き受けるとか何でも言うことを聞くとかそういうことではなくて、自分の気持ちにも相手の気持ちにも正直にまっすぐ向き合える子のことを言っているのかなと感じた。
2024/09/23(月) 23:24 No.2058 EDIT DEL
加藤一花 RES
3年加藤一花 夏休み課題

1.ブラッシュアップライフ(ドラマ)
演出/水野格、狩山俊輔、松田健斗 脚本/バカリズム
あらすじ
あーちんこと近藤麻美は、市役所の窓口職員の33歳。小学生からの幼馴染で親友の、なっちと、みーぽんとの飲み会の帰りに、交通事故で亡くなってしまう。気が付くと死後の世界の受付のような場所で案内人に出会う。

この作品では初めから命が軽いものだという印象を受けた。例えば麻美の一週目の人生が終わり白い空間に飛ばされた際、大きく取り乱すわけでも泣くわけでもなくいたって冷静に案内人に自分が死んだことを伝えていた。麻美が二週目、三週目と人生を繰り返していくごとに“またやり直せるし”という考えから命が軽くなっていくのなら理解できるのであるが、初めから軽く感じたのは不思議であった。しかしその軽さがあったからこそテンポよくストーリーが展開していたというふうに感じる。


2.名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
工藤新一宛てに、建築家の森谷からパーティーの招待状が届くが、コナンの姿では参加できず、彼は幼なじみの蘭に代理を頼む。その直後、街で連続放火事件が発生。その犯人と思われる人物が新一に爆破予告を突きつける。正体を隠しながら犯人と戦うコナン。しかし蘭までもが事件に巻き込まれてしまう。

これは1997年の映画なのだが、ところどころに時代を感じる表現などがあるように感じた。例えば犯人はボイスチェンジャーを使っていたのだがそのことに対し“手の込んだ”という発言があった。今であればボイスチェンジャーは気軽に使用できるものであるためこれは昔の映画だからこそのものなのだなと思う。それと阿笠博士が病院でブラウン管テレビを持ってくるというシーンがあった。その際“看護婦さんが貸してくれた”という発言があった。いまであれば“看護婦”とは差別的な用語であり放映されるには問題があるように感じるが時代が時代だったため問題にならなかったのかもしれないと思った。


3.名探偵コナン 14番目の標的(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
目黒警部・蘭の母で弁護士の妃英理・阿笠博士が何者かに命を狙われた。いずれも標的にされた人物が毛利小五郎と親しいことから、小五郎に恨みを持つ者だと推理し、事件の真相を追うコナンたち。さまざまなヒントを頼りに、海中レストランへ向かうが、そこには新たなる殺人劇が待ち受けていた…。

この作品ではラストシーンがただただ犯人を追い詰めるだけではなく過去にあった小五郎と英理のシーンと重なっている。コナンが小五郎の立ち位置、蘭が英理の立ち位置であったことから、新一と蘭、この二人の将来の関係性の揶揄かもしれないと感じた。


4.名探偵コナン 世紀末の魔術師(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
世間を騒がせる大怪盗・怪盗キッド。彼から、鈴木財閥の会長宅にあるロマノフ王朝の遺産”インペリアルイースターエッグ”を盗むという予告状が届く。怪盗キッドは予告通りエッグを盗み出すが、逃亡中に何者かに撃たれて行方不明に…。少年探偵団にも危機が迫る。

舞台が関西から関東になったり、今では定期的に登場するキッドや灰原哀といったキャラたちが初登場したり、複数の人物が全く違う思惑を抱えていたりとそれまでの二作品の映画とは異なる部分が多い映画だと感じた。特に舞台が大阪から城へ変わった際、キッドに関係なく物語が進んでいったため途中本筋が何なのか見失いそうになった瞬間があった。最後まで見るとそれまでのシーンの意味合いをしっかり理解できるのだが、定期的に現状を整理しつつ見ないと少々分かりづらい作品だというふうに感じた。


5.名探偵コナン 瞳の中の暗殺者(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
警察官を狙った連続殺人事件が発生。警察関係者が集まるパーティで佐藤刑事が襲われ、命を落とす。そこに居合わせた蘭が犯人の標的に。命を狙われる蘭をコナンは守り切れるのか…。

最後犯人から蘭とコナン二人で逃げるシーンがあったのだが、ボートに乗ったところで明らかに犯人の顔が見えるであろう距離になっても犯人が全身黒いままであった。その意図としては単純に最後の最後まで視聴者を楽しませるというのも大きいと思う。しかしそれに加えてもっとも犯人が近づいたということで、切羽詰まった状況であり、犯人が近くにいたとしてもそれを確認する余裕がないというのを表しているのではないかと感じた。


6.名探偵コナン 天国へのカウントダウン(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
キャンプの帰りに阿笠博士と少年探偵団たちは、日本一の高さを誇るツインタワービルに立ち寄る。ビル内では殺人事件が!さらにコナンは、ポルシェ356A-を目撃。灰原哀の怪しい動きや、黒の組織の存在に気づき、コナンは警戒を強める。

普段冷静沈着な灰原が、危険だとわかっていながら一瞬でも声が聞きたいがために姉に電話をかけるというシーンがあったのだが、そこにあまり見えない彼女の年相応の態度が見られたなと感じた。それと、最後爆風とともにビルからビルへ発車する直前、灰原が自己犠牲により他みんなを助けようとしたのを見て黒の組織に殺されるのは嫌だが、みんなのためなら死ぬことをいとわないという彼女なりのプライドが見えた気がした。


7.名探偵コナン ベイカー街の亡霊(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
仮想体感ゲーム「コクーン」の発表会が行われていた最中に、殺人事件が発生。コナンは事件の手がかりを求めて、コクーンに乗り込んだ。コナンは発表会に参加していた人たちと、助け合いながら事件を解決していく。

この物語序盤のノアズアークは、AIに対して危惧するべきことを伝えているのではないかと感じた。実際ノアズアークが暴走し子供達をゲームの世界に閉じ込めたとき、外からは干渉できずにただ傍観するしかなかった。つまりAIに完全敗北していたのである。確かにAIは便利であり上手く利用すればより生活しやすくなることは目に見えているであろう。しかしその一方で、自我を持った際のために対抗策を持っておくべきだということのメッセージ性があったのではないだろうか。


8.名探偵コナン 迷宮の十字路(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
東京・京都・大阪で5人の男性が殺される事件が発生。古美術品ばかり狙う盗賊団・源氏蛍のメンバーが相次いで殺害されたことから、コナンと服部平次は慎重に捜査を進めることに…。

今作は平治と和葉中心の恋愛色強めの作品であったが終盤、コナンが一時的に新一の体に戻るという事態が発生した。この展開は、平治と和葉の過去の話という誰もが予想できる順序通りな展開だけではなく誰もが予想できない、印象に残るようなシーンを作りたかったがために入れたのではないかと感じた。


9.名探偵コナン 銀翼の奇術師(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
怪盗キッドは、コナンの正体に気づいている数少ない人物の1人。その怪盗キッドが大胆にもコナンの前に工藤新一に変装した姿で現れた。蘭は新一との再会に心を揺らす…。

よく“愛の力は偉大”などという言葉を耳にするが、この作品はまさにその言葉を体言したものに見えた。映画の後半、飛行機の操縦をすることになったものの、緊張であったり、大勢の人の命を預かっているという不安から手が震えていた蘭なのだが、電話先の新一の声を聞いてから震えがおさまり冷静になっていたように思う。これはまさに愛の力なのではないかと感じた。


10.名探偵コナン 水平線上の陰謀(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
鈴木園子に招待された「豪華客船アフロディーテ号」の処女航海に招待されたコナンと蘭・少年探偵団一行。
多くの著名人や政界人なども乗船する優雅な時間を過ごしていましたが、園子が何者かにさらわれ、八代造船の社長が殺害、会長が失跡。15年前にも海難事故を起こしている八代造船。この2つの事件にコナンたちが巻き込まれていく。

今作は普段なかなかない、小五郎自らが事件の真相を明らかにするという結末であった。その理由として、真犯人の秋吉美波子という女性が彼の妻である英理にどことなく似ていたために彼女が犯人ではない理由を探していたのだが、探せば探すほど彼女が犯人だという根拠が集まってしまったというものであった。
映画からは少し離れてしまうのだが、原作の方にも小五郎自ら真相を明らかにするというエピソードがある。それは小五郎の同窓会の最中に起きた殺人事件である。
上記の事件の共通点として、ともに彼の身内に関係している。彼はもともと様々な難事件を解決できるポテンシャルを秘めており、そこに身内が関わってくると覚醒しそのポテンシャルを発揮するのではないのかと思った。


11.名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
ある依頼を受けた毛利小五郎は、コナンと蘭、少年探偵団とともに、横浜のレジャーパーク「ミラクルランド」に隣接したホテルへと向かった。依頼人の秘書から受け取ったミラクルランドの腕時計型のフリーパスID。それには、閉園時間に爆発する「時限装置付きの爆弾」が仕掛けられていた…。

途中から一部捜査に加わった高校生探偵の白馬の正体が実は怪盗キッドだったというオチが最後に明らかになったと思うのだが、実はその前にも白馬が依頼人側の人間ではないと気がつけるシーンがあった。それは3人が伊東末彦の会社にたどり着いたということを確認するために伊東末彦が彼らのGPSを確認しているシーンである。伊東のモニターにはGPS付きのIDをもっている人数を示すであろう点が二つしか表示されていなかったのである。このような視聴者に向けた細かいヒントから、白馬はどこか怪しいと思わせる表現法はとても面白いと感じた。


12.名探偵コナン 紺碧の棺(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
財宝を探していたトレジャー・ハンターが、サメの群れに襲われて死亡する。毛利小五郎たちと一緒に島に居たコナンは、それが単なる事故ではないと気づき、捜査に乗り出す。

トレジャーハンターという目に見えて分かる悪人がいる分、真犯人は分かりづらくなるというミスリード的展開であった。このミスリードは他作品ではよく見る構図であったものの、幾多の事件が描かれている名探偵コナンという作品だからこそしっかりとミスリードがミスリードとして機能していたのだというふうに思った。


13.名探偵コナン 戦慄の楽譜(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
高名な元ピアニスト・堂本一輝の門下生たちが殺害される事件が発生する。そんな中、堂本音楽ホールのこけら落としコンサートに招かれるコナンたち一行。やがてコンサートの主役であるソプラノ歌手・秋庭怜子の命が狙われるが、コナンの活躍で彼女は事なきを得る。そして迎えた本番当日、入場直前に何者かに襲われて意識を失うコナン。蘭たちはそのことに気づかず会場へと向かい、やがてコンサートが始まってしまう。

今作に登場するソプラノ歌手・秋庭怜子について、一見厳しいが実は優しいというキャラクター性がわかりやすく描かれているように感じた。コンサート3日前なのにも関わらず小学校の校歌を教えてあげたり、トラックに狙われた際に自分を犠牲に他の子が助かるような動きをしたりなど、実は根底に隠れている優しさがわかりやすく見えるようになっていた。これは、幼い子供でもそのキャラクター性を理解できるように施された工夫なのではないかと考えた。


14.名探偵コナン 漆黒の追跡者(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
東京、神奈川、静岡、長野で、同一犯によるものと思われる殺人事件が発生。コナンはその広域連続殺人事件の捜査会議に、小さくなる薬を自分に飲ませた「黒ずくめの組織」のメンバーが紛れていることに気がつく。その後も殺人事件が続く中、コナンは危険を承知の上で、1人で捜査を進める。

最後、7人を殺した犯人が水谷だと発覚した直後に捜査会議に潜んでいたであろう人物が一瞬登場したシーンについて、視聴者は犯人が水谷だと知りそのことに頭が持っていかれている最中に一瞬黒ずくめの潜入者と気絶させられた警察官が映ることで消去法では犯人が割り出せないようになっているように感じた。あくまで最後まで誰が「黒ずくめの組織」のメンバーなのかを考え続けるようにする工夫なのではないかと思う。


15.名探偵コナン 天空の難破戦(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
大富豪の鈴木次郎吉は、自身がライバル視する怪盗キッドに挑戦状を叩きつける。その内容は、飛行船内で宝石を盗んでみろというものだった。次郎吉に招待されたコナンたちは、乗船してキッドを待つが、そこへ謎のテロリスト「赤いシャムネコ」が現れ、飛行船を襲う。

初期の劇場版と比べ、大きな一つの事件を追うという展開ではなく複数の事柄について同時並行で描いていく展開が多くなってきているなと思う。今回でいえば、怪盗キッドとの戦いと、テロリストである「赤いシャムネコ」との戦いが同時並行で描かれていた。そのため単純な犯人側と警察側の二項対立ではないため飽きにくくなっており、また毎年やっている映画のマンネリ化を防ぐための工夫のようにも感じた。


16.名探偵コナン 沈黙の15分(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
12月のある日、再選を果たした朝倉都知事宛に謎の脅迫状が届き、翌日開通したばかりの地下鉄トンネルが爆破された! コナンの機転で怪我人は出なかったものの、犯人は朝倉都知事が国土交通大臣時代に建設したダムの関係者だと思われ、コナンたちはダムが建設された新潟県へ向かう。移設5周年の記念式典を迎え多くの観光客で賑わう村、コナンは調査を始めるが、その矢先、雪原で不審な男性遺体が発見され…。

作品冒頭、コナンの「言葉は刃物なんだ」というセリフがあるのだが、これは大人や子供関係なくみんなが胸に刻むべき言葉であるなというふうに感じる。そのため毎年興行収入もよく、年齢層も幅広い「劇場版名探偵コナン」の中に取り入れることで多くの層、人々にこの言葉を届ける意図があったのではないかというふうに思った。


17.名探偵コナン 11人目のストライカー(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
コナンが少年探偵団や灰原たちとサッカー観戦を楽しんでいた頃、毛利探偵事務所に大規模爆破を予告する電話がかかってくる。それを阻止する方法は、犯人が残した謎の暗号を解読する以外にはなかった。蘭からの電話で事件を知ったコナンは、すぐさま暗号解読に乗り出す。

11人目のストライカーは2012年の作品なのだが、それよりも年代が前の作品と比べオープニングが変化しているように感じた。コナンをあまり見たことがない人でもわかるように必要最低限の説明があるという点では同じなのだが、光彦の「何ぶつぶつ言ってるんですか」や、灰原の「あれ忘れてるんじゃない」(この発言の後、決め台詞カットが入る)など、それまでにはなかった他の登場人物たちのメタ発言がとても印象的であった。この年からそれまで8年ほど監督を務めていた人から変わっているのを見ると、このメタ発言は静野監督の個性なのだというふうに感じた。


18.名探偵コナン 絶海の探偵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
海上自衛隊主催のイージス艦の体験航海に参加するため、京都・舞鶴港にやってきた蘭、小五郎、そして少年探偵団の一行。そんな中、謎の事件が発生して、ほどなくして遺体の一部が発見される。捜査に乗り出したコナンたちは、艦内に不審な人物が潜んでいることを突き止める。

作品終盤蘭が海にいることを知った後、コナンは蘭のつけている時計の電波から蘭の居場所を見つけ出せるかもしれないという渾身の案を絞り出し蘭を探しているみんながその案に対して希望を見出したシーンについて、終盤だということと、本筋である犯人はすでに逮捕されたということもあり多くの人がこれが蘭を見つける糸口になると感じたと思う。しかしながらすぐに成功させずにもう一波盛り上がりを作ったことにより蘭を救えるかどうかの緊張感が格段に上がったように感じた。


19.名探偵コナン 異次元の狙撃手(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
東京の高層タワーで男が狙撃される。超長距離からの狙撃という前代未聞の事態に、ある事件との関連を疑う米FBIと日本の警察との合同捜査が開始される。コナンも女子高生探偵の世良と共に犯人を追う。

異次元の狙撃手よりも前の作品と、今回の作品とではコナンの使用する携帯に変化があった。それまでガラケーだったコナンはスマホを使用するようになっていたのである。この作品は2014年のものであるが、小数であったとはいえ、現実でもこの年付近から小学生からスマホを使用しているという子が増えたと思う。特にそれが、いつも探偵バッチやサスペンダー、キックボードなど明らかに小学生らしからぬものをもっているコナンであれば違和感は薄いのかもしれないと感じた。


20.名探偵コナン 業火の向日葵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
ニューヨークで開かれたオークションで、鈴木次郎吉は焼失したといわれているゴッホの名画「ひまわり」を落札する。強固な護衛「7人のサムライ」を配備し、日本へ空輸するが、怪盗キッドによって絵画は盗まれてしまう。

今作は、他の作品と比べて犯人の手法にトリック的要素がなかったように感じる。いつもであれば、何か事件が起き、何人かの容疑者候補が現れアリバイなどを元に推理をしていくという流れがセオリーなのだが、今回に限り最後の推理パートの証拠は突発的で、作品を見てみる視聴者が推理できるというものではなかった。推理パートはついでに行われたと言われても納得してしまうほど雑なものなっていたと思う。


21.名探偵コナン 純黒の悪夢(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
警察に侵入したスパイが機密情報を持ち出そうとするも失敗し、スパイの車は道路から転落。翌日、コナンたちは水族館で記憶喪失になった女性を見つけ、回復の手助けをする。そのやりとりを、「黒ずくめの組織」が見ていた。

作品終盤キュラソーの死が暗示されるシーンにて、キュラソーの生前最期の登場シーンから彼女の死体は身元のわからないほど悲惨なものになっていないとおかしいが、名探偵コナンという幼い子も見るであろう映像にそこまでグロテスクなものを映せないという葛藤の末、“キュラソーの顔を見なくてもキュラソーだと認識できるものを持たせる必要”があったのだと感じた。状況が複雑化しても特に幼い子供たちに忘れさせないよう白色のいるかのキーホルダーを何度も印象付けさせることにより、どの年齢層でも見ている人たち全員に彼女の死をできるだけわかりやすく伝えていたのだと思う。


22.名探偵コナン から紅の恋歌(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
競技かるた大会の会見が行われている大阪のテレビ局で、爆破事件が発生する。中に取り残された探偵の服部平次、彼の幼なじみの和葉を助けたのはコナンだった。騒動のさなか、平次の婚約者だと言い張る大岡紅葉が現れる。

紅の恋歌の数何前の作品から今作も含め、コナン以外の登場人物が中心に据えられている作品が多いと感じた。それも中心に据えられているのは安室や赤井、平次などの、ぽっと出のキャラクターではなくコナン本編にも定期的に登場する人物たちだ。これは本編ではコナンが中心的になる分、映画では本編である漫画やアニメといった作品との差異を生み出すための工夫なのではないかと感じた。


23.名探偵コナン ゼロの執行人(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
東京サミットの会場となる予定の東京湾の巨大施設で、大規模な爆発事件が起きる。そこには、警察庁の秘密組織に所属する安室透の影があった。そしてコナンが彼の行動に不信感を抱く中、小五郎が容疑者として逮捕されてしまう。

今回の映画では様々なキャラが無音で何か大事なことを喋っているということが分かる口元を強調されたシーンが多く描写されていたと思う。今作は警察官と公安の違いだったり検察官と裁判官の葛藤が描写されていたりと他の作品よりも理解が難しいものとなっていたため、せめてここが重要になるというポイントをわかりやすく可視化して描写したのではないだろうかと思った。


24.名探偵コナン 紺青の拳(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
シンガポールを舞台に、コナン、怪盗キッド、京極真の3人が海底に眠る伝説の秘宝ブルーサファイアをめぐって三つ巴の戦いを繰り広げる。

今までのコナンの映画で三項対立が描かれていた場合、内容が複雑化して分かりにくくなることが多かったのだが、今作ではわかりやすく描かれていたため分かりやすかったと思う。前半ではコナン・新一vs警察が中心的に描かれており、後半では園子と京極の2人が中心的に描かれていて、なおかつ前半と後半の内容がそこまで関係の深いものではなかったという点が複雑化しなかった理由だと感じる。


25.名探偵コナン 緋色の弾丸(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
4年に1度のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」で賑わう東京。開会式では最高時速1000キロを叩き出す世界初の「真空超電導リニア」の開発が発表される。そんな中、名だたる企業のトップたちが、次々と拉致される事件が発生。一方、混乱に陥る会場を、FBIを待機させた赤井秀一が監視していた。

作品終盤、脱線したリニアの中にいた4人は怪我をしていたものの全員無事であったという結末であったと思うのだが、通常あそこまで勢いよく脱線し、衝突すれば死んでいてもおかしくないと思う。確かに物語的にコナンが乗車している以上、リニアに乗っている人たちは生存させざるを得ないが、それであればそもそも脱線まではさせないようにするなどもう少し自然にリニアをとめる演出ができたのではないかと感じた。


26.名探偵コナン ハロウィンの花嫁(映画)
監督/満仲勧 原作/青山剛昌
あらすじ
渋谷で開かれていた佐藤刑事の結婚式会場で、突然暴漢が乱入する事件が発生。同じ頃、過去に起きた連続爆破事件の犯人が脱獄する。やがて、その人物を見つけ出す公安警察の降谷だったが、直後何者かによって首輪爆弾をつけられてしまう。爆弾を解除するべくコナンが奔走する中、謎の仮装爆弾犯の存在が浮かび上がる。

今作はいままでのものとだいぶオープニングが変化しているように感じた。今までも、監督が変わるごとに少しずつオープニングの変化があったのだが、今回は主要人物の顔と名前のテロップが同時に出るとともに、その声優の名前が出るタイミングも同じであった。つまり、主要人物に限りその役の顔、名前、声優が一致するようになっていた。それと、オープニング最後に子どもたちがそれぞれ仮装をして登場したのだが、このように登場人物たちがその作品の題名にちなんだ服を着ているというのもはじめてだったと思う。


27.名探偵コナン 黒鉄の魚影(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
八丈島を訪れたコナンは、ユーロポールの職員が黒づくめの組織・ジンに殺害されたと聞く。そこで彼は、事件の真相を追うため海洋施設「パシフィック・ブイ」潜入する。

今作は今までの映画と比べて登場人物やその派閥が単純で分かりやすかったと思うものであった。これまでは複雑な派閥の中、どこに犯人が潜んでいるのか予想するという楽しみ方があったが、今作はその分、犯人であったピンガの二面性が印象強く、その部分で展開を面白くしていたように感じた。


28.ディセンダント(映画)
監督/ケニー・オルテガ 
あらすじ
ロスト島という魔法のバリアで覆われ、ヴィランズたちが閉じ込められている島に暮らすヴィランズの子供であるマル、イヴィ、ジェイ、カルロス。そんな彼女らが善人の住むオラドン合衆国のハイスクールに転校することになり彼らは、フェアリーゴッドマザーの杖を盗むというミッションを受けて学校に行く。しかしそこで次第に自分たちの道を見つける。

この作品はミュージカルであり、物語の起点は歌であることがほとんどである。そのため歌の歌詞に注目したいのだが、一曲目の「Rotten to the Core」では根っからの悪、腐りきっているといったネガティブな歌詞が多かった一方で、最後の曲である「Set It Off」では生まれなんて関係ないといったポジティブな歌詞が多い。つまりそこから確かな変化が見て取れるのではないかと思う。


29.キングダム 大将軍の帰還(映画)
監督/佐藤信介 原作/原泰久
あらすじ
春秋戦国時代の中国、馬陽の戦いで、敵将を討った信と仲間たちの前に、存在が隠されていた趙国の総大将である龐煖が突如現れる。自らを「武神」と称する龐煖の圧倒的な力で、飛信隊の仲間たちは次々と致命傷を負う。 信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。

この作品は前作とセットで一つの章を描いているという形であり、人々の心を揺さぶる展開がこの後半につまっていたと思う。特に王騎の死というのがメインであったと思うのだが、その死を際立たせることとなる要因の一つである蒙武の失態についての描かれ方が少し薄いように感じた。原作とは違い尺が決まっているという問題点があるのかもしれないが、蒙武が言いつけを破り窮地に陥るまでのテンポがはやすぎるという印象を抱いた。


30.アイヌ学入門
著者/瀬川拓郎
あらすじ
海を渡り北方世界と日本を繋ぐ大交易民族としてのアイヌ。中国王朝と戦うアイヌ。従来のステレオタイプを覆し、ダイナミックに外の世界と繋がった「海のノマド」としてのアイヌ像を様々なトピックから提示する。

アイヌ人について、その文化から差別の現実まで様々なことがわかる内容となっている。私も含め、アイヌ人についての認識が間違っているという人はとても多そうであると感じた。この本を通して、まずはアイヌ自体のことを知って欲しい、あわよくば、現代を生きる多くのアイヌ人が抱える“アイヌと名乗ることは恥ずかしいことなのかもしれない”という現実が変わることを祈っているように思えた
2024/09/23(月) 22:13 No.2057 EDIT DEL
横澤颯太 RES
2年 横澤颯太

1 『イナズマイレブン 世界への挑戦!!』(アニメ)(2010年)原作:日野晃博

【あらすじ】
エイリア学園との戦いから数か月後、U-15初の少年サッカー世界大会「フットボール・フロンティア・インターナショナル」(FFI)が開催されることになった。代表監督・久遠道也の采配のもと、円堂を始めとした16人の日本代表チーム「イナズマジャパン」の世界一を目指す挑戦が始まった。

【考察】
日本代表として各国と戦っていくのだが、言葉や人種などが全く異なっていてもサッカーという一つの共通点により、全力でぶつかり合いながら互いを理解することができるというメッセージがあると考えられる。また、これまでのイナズマイレブンでは敵の野望が絡むことや、地球を守るというような目的のために戦っていたが決勝戦ではそのような思惑などは一切なく、純粋にサッカーを愛する者が優勝したいという一心のもと戦っているところがサッカーは楽しいものだということを思い出させてくれるような作品だと考える。

2 『アイシールド21』(漫画)(2002年)原作:稲垣理一郎 作画:村田雄介

【あらすじ】
泥門高校に入学した小早川瀬那。幼い頃からパシリ人生を送っていたがそのおかげで(?)ずば抜けた俊足を持つ瀬那は、泥門の悪魔とよばれるヒル魔によりアメフト部へと引きずり込まれる。

【考察】
この作品では才能を持つ者と持たざる者の差がはっきりと描かれており、どれだけ努力をしても追いつくことのできない天才にどのようにして立ち向かうかがテーマとなっており、作中で示される自分に与えられた能力で一生戦い続けなければならないという考えは我々の人生においても当てはまるものだと考えられる。

3 『鋼の錬金術師』(漫画)(2001年)原作:荒木弘
【あらすじ】
亡くなった母にもう一度会うために錬金術の禁忌である人体錬成を行ったが、
失敗に終わってしまい、その代償としてエドワードは左足を失い、アルフォンスは全身を失ってしまった。その後エドワードが右腕を代償にアルフォンスの魂を鎧に定着させ、
二人は失った身体を取り戻すために「賢者の石」を探す旅に出る。

【考察】
初めは自分たちだけの力ですべてを成し遂げようとしていたが、最後には個人の力ではなくだれかと支え合いながら生きていくということを選んだことで、旅の中で一人の人間として成長していたことを示されていた。

4 『DRAGON BALL』(漫画) (1984年)原作:鳥山明

【あらすじ】
七つ集めるとどんな願いでも叶えることができるドラゴンボールを探す少女ブルマと山奥で暮らしていた孫悟空による摩訶不思議なアドベンチャー

【考察】(魔人ブウ編)
Z戦士たちは皆魔人ブウを倒す方法を模索していたが、ミスター・サタンだけは途中から歩み寄ることを選択したことによって、今までただのギャグ要因でしかなかったキャラクターが一人のキャラクターとして確立されたように感じた。また、ミスター・サタンの影響で普段は力のないギャグキャラクターが大事な場面で大きな活躍をするという構図が
出来上がったと考える。

5 『トリコ』(漫画)(2008年)原作:島袋光年

【あらすじ】
様々な食材が溢れている「グルメ時代」で人生のフルコースを完成させようとしている
美食屋トリコとホテルグルメのシェフである小松が食材を求めて冒険するグルメ漫画

【考察】
食事という日本と関わりの深い文化を取り扱ったことや、フルコースという要素が子供たちも真似しやすかったことも人気が出た要因であると考えた。

6 『ONEPIECE』(漫画)(1997年) 原作:尾田栄一郎

【あらすじ】
———富・名声・力。
この世のすべてを手に入れた男、海賊王ゴールド・ロジャー。
彼の死に際に放った一言は、人々を海へ駆り立てた。
「おれの財宝か?欲しけりゃくれてやる。探せ!この世のすべてをそこに置いてきた!
男達は、グランドラインを目指し、夢を追い続ける。
世はまさに、大海賊時代!

【考察】(魚人島)
この章のボスであるホーディは聞いた話だけで人間を憎む環境が生んだ化け物であり、
インターネットの発達によってこのような人間は現代に多く存在しており、そういった
者たちをうまく表していると感じた。

7 『NARUTO』(漫画)(1997年)原作:岸本斉史

【あらすじ】
体内に九尾の妖狐を封印された落ちこぼれ忍者・うずまきナルトが里一番の忍である火影を目指し、仲間たちと共に数々の試練を乗り越え成長していく物語。

【考察】
里の窮地を救い、民から救世主だと祭り上げられた際に今まで迫害された過去を忘れておらず、複雑な気持ちを持っていたことによって現実の人間と同じような感情を持っていることが示されており、それでも許す選択肢をとることが主人公としてのまぶしさを感じられる。

8 『ワールドトリガー』(漫画)(2013年)原作:葦原大介

【あらすじ】
異次元からの侵略者「近界民」の脅威にさらされている三門市。そこに住む少し正義感の強い中学生・三雲修は、謎の転校生・空閑遊真と出会う。遊真の行動に振り回される修の運命は!? 最新型SFアクション始動!!

【考察】
本作の魅力はジャンプでは珍しい集団戦の描き方にあり、キャラクター達が各々の判断で動くため複雑な戦いになりながらもしっかりと納得のいく行動をするため先が読めずドキドキしながら読み進めることが可能である。また、主人公の実力は作中でも平均以下なのだが集団で戦うためしっかりと役割が与えられており、すべての人にはそれぞれ役割が存在するということが作中で描かれている。

9『HUNTER×HUNTER』(漫画)(1998年)原作:富樫義博

【あらすじ】
主人公であるゴン=フリークスが、ハンターである父ジンを探すために同じハンターとなり成長していく物語である。

【考察】(キメラアント編)
人類の敵であるキメラアントを討伐する為にゴン達は戦うのだが、キメラアントの王が
段々と人間へ近づいているような描写が挟み込まれる。また、敵であるはずのキメラアントの一部と仲間になったりするなど二つの陣営が徐々に交わっていく過程がこの章の魅力であると考えられる。また、人間が作り出す戦争や貧富の差をキメラアントの王が狂気と言い切る描写は他の生き物にはない人間が持つ悪意が如実に表れていると言える。
10 『テラフォマーズ』(漫画)(2011年)原作:貴家悠 作画:橘賢一

【あらすじ】
世界は人口の増加や資源の枯渇などの問題を解決するために、火星にゴキブリを送り込むことによって火星を人類が生きることのできる惑星へと変える計画を実行した。しかし、26世紀に火星へ向かったところゴキブリたちは異常な進化を遂げており乗組員は全滅してしまった。そのため、昆虫の力を得ることができる「バグズ手術」を受けた人間たちが
再び火星へと赴くバトル漫画である。

【考察】
昆虫の力を使うたびにその昆虫の解説が入るため、漫画版の昆虫図鑑のように読むことが可能である。また、乗組員たちは家族や友人のために戦っており、全編を通して人間の
持つ愛がテーマとして描かれていた。

11 『ゴールデンカムイ』(漫画)(2014年)原作:野田サトル

【あらすじ】
明治末期、日露戦争終結直後の北海道を舞台に、主人公の元陸軍兵・杉本佐一が、アイヌの少女
アシリパと共に、埋蔵金のありかが描かれた「刺青人皮」を求めて旅する物語。

【考察】
現代において失われつつあるアイヌの文化を漫画という媒体で楽しみながら知ることができる作品である。また、登場人物は超人的な身体能力を持っているが自然には絶対にかなわないという点は最後まで一貫して描かれていたため、北海道という土地の過酷さが忠実に再現されているのだと
感じた。

12 『天気の子』(映画)(2019年)監督:新海誠

【あらすじ】
天候が狂い、雨が降り続く東京で「晴れ」をもたらす少女と家を出ていき場所をなくした少年の出会いがやがて世界を変える出来事を起こす。

【考察】
大まかな筋書きはよくある世界と恋人を天秤にかけるラブストーリーであるが、要素を取り出すと普通とは外れたものがいくつかある。まず、男側には一切特別な力がなくあくまで一般人として
好きな人を助けに行くという点である。また、物語において「雨」は絶望を表す情景として用いられるが、本作の終盤では「晴れ」が絶望として描かれており、珍しく感じた。

13 『新世界より』(小説)(2011年)原作:貴志祐介

【あらすじ】
舞台は1000年後の日本であり、人類は「呪力」と呼ばれる超能力を手に入れた。
主人公の渡辺早季たちが平穏に見える世界の秘密へと少しずつ近づいていくSF小説である。
【考察】
本作では1000年の時が経ったことによって環境や生物が大きく変わっていったのだが、それらは
人間の影響によるものであり、人間にとる自然破壊が示唆されていると考えられる。また、力を手にした人間による残酷さや傲慢さが描かれている。

14 『BLEACH』(漫画)(2001年)原作:久保帯人

【あらすじ】
霊感体質の高校生・黒崎一護が死神の少女・朽木ルキアと出会い、悪霊退治に協力する物語。

【考察】
通常のバトル漫画と比べて主人公が修行や戦いを重ねて新たな力を手に入れるのではなく、元々
主人公の中に存在している力をコントロールできるようになっていくという描き方が珍しいと感じた。

15『天使の囀り』(小説)(2000年)原作:貴志祐介

【あらすじ】
アマゾンの探検から日本に戻ってきた高梨が変死したのを皮切りに全国で不審な自殺が相次ぐようになり、高梨の恋人早苗が恋人の死の真相を探っていく物語。

【考察】
それぞれの人間が持つ漠然とした恐怖を題材としており、物語の終盤まで原因であるものを悪として認識していたが、最後のシーンを見ると善にも悪にも染まることができるものであり、結局は
人間の手にゆだねられるものだと感じた。

16『グリーン・レクイエム』(小説)(1980年)原作:新井素子

【あらすじ】
嶋村信彦は、大学の研究室で植物学者の松崎の助手をしている25歳の青年。そんな彼が長い髪を
持った女性・三沢明日香に恋心を抱くようになる。しかし、明日香の身体には地球の運命すら左右
する重大な秘密が隠されていた。

【考察】
本作は人間と植物系の異星人による恋の話であり、主人公にとって明日香は大好きな人であるのだが、研究者たちからしてみればただの研究材料でしかないという認識の違いが根幹にあると考えられる。また、終盤では植物の目線で人間が描かれており、人類が植物たちに行ってきた仕打ちを
愛によって許すことからもキャッチコピーの「愛」にかかっていると考える。

17 『残穢』(小説)(2012年)原作:小野不由美

【あらすじ】
京都府で暮らす小説家での「私」は読者から相談された実体験である「怖い話」の調査を始める。
【考察】
ホラー小説ではあるのだが、人間たちに怪異が牙をむくような作風ではなく、徐々に恐怖が日常の中に侵食していくような独特な恐ろしさが本作品の魅力であると考えられる。

18『図南の翼 十二国記』(小説)(2013年)原作:小野不由美

【あらすじ】
先王が斃れて27年、王不在のまま治安は乱れ混迷深まる国を憂える珠晶は自らが王になることを
決断する。

【考察】
世間を知らないお嬢様であるため他者と衝突する場面が多くあったが、自分の過ちをすぐに認め
柔軟に行動ができるのは子供ならではの純粋さからくるものだと考える。また、大人たちが目を背けることを真っ直ぐに見つめて考えながら行動する様は自然と応援したくなるようなキャラクターの造形だと考えられる。

19 『暗殺教室』(漫画)(2012年)松井優征

【あらすじ】
進学校・椚ヶ丘中学の落ちこぼれクラス3年E組に謎の生物が担当教師として現れる。政府はクラスの生徒たちを暗殺者に育て上げ、担当教師暗殺というミッションを下す。

【考察】
暗殺という一つの武器を持ったことによってそれを起点に生徒たちが大きく成長していくという
構成が面白いと感じた。また、暗殺のターゲットが教師であり一年間ずっと目の前にいるという
設定によって学園モノと上手く合っていると感じられる。

20 『ニセコイ』(漫画)(2011年)原作:古味直志

【あらすじ】
10年前、一条楽は短い時間だったが一人の少女と出会い、恋に落ちる。そして別れの時、彼女は
「ザクシャインラブ」の言葉と共に楽に錠を渡し、再会したときに『鍵』で中の物を取り出して
結婚することを約束する。

【考察】
ヒロインが「鍵」を持っているという設定によってヒロインレースの候補が可視化されるという
設定によってこのキャラクターもヒロインかもしれないと考察することができる。また、偽物の恋が本物になるという流れが美しいと感じた。

21 『殺戮にいたる病』(小説)(1996年)原作:我孫子武丸

【あらすじ】
永遠の愛をつかみたいと願う蒲生稔という男が東京の繫華街で次々と猟奇的な殺人を重ねていき、
その異常性が冒頭からラストシーンまで描かれている物語。

【考察】
本作では読者の先入観を利用したような物語であり、地の文でもそのヒントは節々に散りばめられているのだが、蒲生稔の異常性に目を向けさせられるためそれらが覆い隠されるような仕掛けに
なっているのだと考える。

22 『13階段』(小説)(2001年)原作:高野和明

【あらすじ】
仮釈放中の青年とベテランの刑務官が、冤罪の可能性がある死刑囚を救うため、10年前に起こった殺人事件の謎を追う物語。

【考察】
本作では人を殺めた者と残された遺族の禍根や法が生み出す歪みに焦点が当てられている。また、物語の中盤では刑務官が奪った命と殺人犯が奪った命に対してそれぞれ考え方が異なっていることが示されており、最後にも考え方の違いが強調されて描かれていたが、中盤とは読者の受け取り方が変化するものだと考える。

23 『ジョジョの奇妙な冒険』(漫画)(1986年)原作:荒木飛呂彦

【あらすじ】(4部)
1999年の日本を舞台に、杜王町という限定された空間でスタンド使いによって繰り広げられる奇妙な日常をベースとした物語。

【考察】
スタンドが初登場した3部と比べると全体的に敵が弱く描かれているのだが、それは杜王町という町の日常に重点を置いているからであり、日常に活用できそうな能力が多いのもそのためだと考える。

24 『コードギアス反逆のルルーシュ』(アニメ)(2006年)監督 大橋誉志光

【あらすじ】
ブリタニアの少年、ルルーシュがブリタニア占領下の日本でギアスという特殊な力を得たことを期に、仮面の男「ゼロ」として全世界を覆す壮絶な反逆の戦いに身を投じる物語。

【考察】
物語の序盤から主人公のルルーシュは自分にとっての命の順位をはっきりと決めており、自分の
目的のためならば犠牲を割り切って考えるという考えが一貫して描かれていると感じた。

25 『マギ』(漫画)(2009年)原作:大高忍

【あらすじ】
大金持ちを夢見るアリババはある日、不思議な力を持ったアラジンという少年と出会い、魔法の
アイテムや金銀財宝が眠っているという迷宮を冒険する物語。

【考察】
作中では数多くの精霊が登場して、それぞれが王と認めた人間に付き従うのだが、人の数だけ王としての形があり、キャラクター同士で生き方の指針なども異なっているため対話や関わりに重みが出ているのだと考える。

26『鷲尾須美は勇者である』(小説)(2014年)原作:タカヒロ

【あらすじ】
今まで接点のなかった3人の少女たちが世界を守る勇者として共に戦いながら絆を深めていく物語

【考察】
小学6年生の少女たちが話の中心であるため、まだ無邪気な一面を見せながらも、自分たちに課せられた役目と真摯に向き合う姿のギャップを感じた。また、短い付き合いだった仲間との別れを割り切ることのできない様子は、すぐに仲が良くなることが可能な子供だからこそ見られたものだと考える。

27 『遊戯王ZEXAL』(アニメ)(2011年)監督 桑原智

【あらすじ】
主人公の九十九遊馬は記憶を失ったアストラルという異世界の生命体と出会う。アストラルの記憶は99枚のナンバーズカードとなって離散してしまい、遊馬は様々なデュエリストと闘いながら記憶の欠片のナンバーズカードを集めていく。

【考察】
これまでの遊戯王の主人公はデュエルの天才だったのだが、遊馬はデュエルの初心者だったため序盤はアストラルの助言を聞きながらデュエルをしていたのだが、物語が進むにつれて一人のデュエリストへと成長していく。また、遊馬はデュエルの初心者であるため失敗することも多いが、
「かっとビング」という言葉とともに何度も立ち上がる姿は、失敗を恐れずに何度でも挑戦をしていこうというメッセージだと考えられる。

28 『呪術廻戦』(漫画)(2018年)原作:芥見下々

【あらすじ】
宿儺の器となったことによって死刑を宣告された虎杖が猶予を与えられると共に、都立呪術高専に入学して正しい死を探す物語。

【考察】
本作はアクションがわかりやすく、能力を生かしたバトル漫画なのだが、真の魅力は人間が持つ
後ろ向きの感情の機微であると考える。

29 『遊戯王5D’s』(アニメ)(2008年)監督 小野勝巳

【あらすじ】
ネオ童実野シティでは身分の高低が上層地帯と下層地帯と分けられており、その町ではD・ホイールと呼ばれるバイク型デュエルディスクを使用したライディング・デュエルが流行していた。

【考察】
作中で新しく登場するシンクロ召喚という召喚方法は、小さな力が集い、新たに輝く星となると
称されており、一人の力は小さくても力を合わせることによって大きな輝きを放つということを
示唆していると考える。

30 『左門くんはサモナー』(漫画)(2015年)原作:沼駿

【あらすじ】
これは「召喚術士」である左門召介によって天使のように「良い人」である天使ヶ原桜が地獄に
落ちる物語。

【考察】
基本的には主人公の左門がデフォルメされた悪魔を召喚し、それにヒロインの天使ヶ原が振り回されるようなギャグ漫画ではあるのだが、主人公がカス虫と呼ばれるようなカスであり、行動に対する制裁を毎回受けているため読者のヘイトコントロールもしっかりとできているように感じる。
また、悪魔が人間の欲望を手助けしたり、その力で人を救ったりするような描写がされている。
これは、昔話などでも人間にとって悪魔は利益をもたらすような描写があることから本編の悪魔はドラえもんの秘密道具のような描き方がされている。それに対して、ヒロインの天使ヶ原はたまに恐ろしい面が強調して描かれる話がある。これは、人間にとって天使とは超常的な存在で信仰の
対象であるとともに、畏怖の対象でもあるということが示唆されているものだと考える。
2024/09/23(月) 21:52 No.2056 EDIT DEL
3年 佐藤希実 RES
1、『テニスの王子様』(アニメ/監督:浜名孝行、マンガ/著:許斐剛)

【あらすじ】
 テニスの名門校・青春学園中等部に入学した越前リョーマ。アメリカJr.大会4連続優勝の経歴を持ち、天才少年と呼ばれていたリョーマは、テニス部の部長、手塚国光に「青学の柱になる」ことを託され、テニス部の仲間とともに全国制覇を目指す。

【考察】
 試合が始まる場面で、毎回俯瞰でコートを見下ろす視点になり、効果音とともにコートが六分割される演出は独特で印象に残った。他にも、跡部景吾の技“破滅への輪舞曲”では画面中心に向かって画面が縮小していくとともに同じ画面が増殖していくという演出がされていた。少ない動きや同じ画でどれだけ視聴者を飽きさせないかという工夫が盛り込まれているように感じる。本作のアニメーションは現在のアニメーションとは異なり、YouTubeやTikTokの動画編集技術に近いものを感じた。私が2000年代初期のアニメ作品をあまり知らないため、このアニメーションが本作独自のものかはわからない。
そして、アニメはオリジナルの展開が多い。特に、アニメでは関東大会準決勝の六角戦のシングルス3が越前VS葵だったのに対し、マンガでは、海堂VS葵と戦う相手が異なる。アニメでは、主人公である越前により焦点を当て、そのライバルたちを多く描きたい意図があることが要因にあるのかとも思ったが、関東大会決勝前の野試合越前VS切原がカットされ、その前に行われた関東大会準決勝の不動峰VS立海大附属がその展開に重ねられていたところから、その意図はないように思える。
また、アニメのオリジナルキャラクターは萌え要素が多く含まれているように感じた。サンリオキャラクターのキキララを彷彿とさせる派手な髪色で小柄、生意気な双子キャラや眼鏡をかけ、白衣を纏い、口元にほくろがある若い女教師キャラ、大柄で無表情なサイボーグキャラなど、現在のアニメキャラでも多く当てはまるであろう要素が多いと感じた。


2、『新テニスの王子様』(アニメ)監督:山本秀世

【あらすじ】
 舞台はU-17日本代表合宿。全国大会で激闘を繰り広げた中学生たち50名が選抜選手として選ばれた。彼らはこれまでとは比べ物にならない強さを持つ高校生たちに挑んでいく。

【考察】
 本作は、無印と同じようなアニメーションの手法は用いられず、3Dアニメーションで試合中のコート内のプレーを見せる場面がところどころに挟まれるといった変化があった。無印からテニスプレイのスケールが大きくなったことで、CGアニメーションなどの導入が求められたのだと感じた。「U-17 WORLD CUP」編(監督:川口敬一郎)では、各国の代表選手と戦うが、フランス代表の選手はモデル歩きをして登場し、試合中に点を決めるたびにポーズを決める、ギリシャ代表の選手は、ギリシャ神話に登場するゼウスやアポロンがそのまま用いられている。これらのキャラクターは、日本人が抱いているかもしれない他国のイメージを誇張しているものである。最近のオタク文化でも、企業やSNS、商品のイメージを擬人化するというものがあるがそれに近いと感じた。


3、『8月31日のロングサマー』(マンガ)著:伊藤一角

【あらすじ】
 高校2年生の鈴木くんを高木さんは、8月31日をループしている。夜中の24時に、2人の記憶や意識以外のすべてが31日の始まりに戻ってしまう。女の人の気持がわからない鈴木くんが夏休みにやり残した恋に向き合う青春タイムループコメディ。

【考察】
 青春タイムループコメディというタイムループものの中でもミステリー要素があまりない作品であり、ループする8月31日に特に何か事件が起こるわけではなく、ループしている意識を持つ鈴木くんと高木さんの進まない日常というループの非日常性とループに危機感を抱いていない日常的な二人の会話のアンバランスさが珍しい作品だと思った。そして、話の始まりは決まって同じコマ割り、人物構図、高木さんの「やあ」という言葉から始まることによって、たった1日をループしているという強調がされている。『ひぐらしのなく頃に』もループものだが、この作品では日にちは、日めくりカレンダーに焦点が当てられることでループしていることをキャラクターにも視聴者にも認識させていた。


4、『着信アリ』(映画)(2004年)監督:三池崇史

【あらすじ】
 携帯電話から、突然奇妙な着信音が響き、録音メッセージが残される。着信時刻は未来を示し、録音されていたのはおぞましい悲鳴だった。そして着信時刻が来ると、その人は死んでしまう。主人公の由美の周囲に「死の予告電話」が伝播していく。

【考察】
原作は秋元康の同題小説であり、映画の他にも漫画などにメディアミックス展開がされている。この作品では、代理によるミュンヒハウゼン症候群が取り上げられるが、その病を患っているのが母親ではなく、姉だったというのが観客をミスリードさせる要素になっていた。また、本作の恐怖となる携帯電話は2000年代初期、日本独自に進化し、ガラパゴスケータイ(ガラケー)として日本に浸透していた。そんな携帯電話の普及に伴った作品のために、日本の有名なホラー作品に挙げられる作品になっていると考えられる。現在のスマートフォンで着信音を設定している人は少ないだろう。当時の文化を取り入れた革新的な作品だったと言える。


5、『シュガー・ラッシュ』(映画)(2012年)監督:リッチ・ムーア

【あらすじ】
 閉店後のゲームセンターのゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の中には悪役でいることに嫌気がさしていた“壊し屋”のラルフが居た。ラルフはメダルを手に入れ、ヒーローになるため、自分のゲームを飛び出し、別のゲームでメダルを手に入れるが、お菓子の国のレース・ゲーム“シュガー・ラッシュ”で仲間はずれの少女ヴァネロペと出会い、彼女と仲良くなるにつれ、彼女に隠された秘密に気づいていく。しかし、ラルフの脱走はゲームの世界にパニックを引き起こす自体になっていた。ラルフの成長とヴァネロペとの友情を描いたファンタジー・アドベンチャー。

【考察】
 悪役が集会を開いて、自分たち悪役の必要性などについて励まし合っている場面が印象的だった。ゲーム世界では、ゲームのプログラム通りに動くこと、プレイヤーに操作されることを毎日の仕事だと言っている。しかし、その仕事での役割が、仕事外でもラルフの人間性に結びつくものだとして、ラルフは同じゲームの住人だけでなく、ゲームセンターの世界の住人の多くから避けられている。現実世界においても仕事と性格は結び付けられやすい。ただ、ラルフの場合、頭に血が上りやすい性格ではあり、仕事の役割が性格に影響することを示しているように感じた。


6、『シュガーラッシュ:オンライン』(映画)(2018年)監督:リッチ・ムーア、フィル・ジョンストン

【あらすじ】
 アーケードゲームの世界に暮らすキャラクターであるラルフとヴァネロペは自分たちのゲーム世界の危機を救い、大親友になった。そんなふたりは、またもやレースゲーム“シュガー・ラッシュ”が撤去される危機に直面する。シュガー・ラッシュを救うために、インターネットの世界に飛び込むが、そこには思いもよらない危険も潜んでいて、ふたりの冒険と友情は危機に陥ってしまう。

【考察】
 本作は変化と不変を主軸としてストーリーを描いていると考える。ラルフは悪役としての暮らしに満足し、ヴァネロペとの楽しい毎日が続いていくことを望んでいた、一方でヴァネロペは自分のレースゲームに刺激が無くなっていると感じ始め、変化を求めていた。この二人は結局、自分の望む道へと進み、住む世界を別とした。どちらかが折れるという結末ではない物語の終着点は、『トイ・ストーリー4』でも描かれていた。親友であったウッディとバズの別れ、ウッディが固執していた‘自分はアンディのおもちゃ’だという意識の破棄が描かれている。本作でもラルフとヴァネロペは世界を別とし、ラルフはヴァネロペへの執着を捨てることになる。
また、ゲームの世界も現実と同じく、変化が起きる。本作では、ゲームセンターの小さな枠組みの世界で生活していたラルフとヴァネロペが、WIFIの導入によって、インターネット世界に飛び込んでいく、インターネット上にはオンラインゲームはもちろん、有名なSNSやサイトが存在し、世界が果てしなく続いている。そんな世界で、ヴァネロペは素早く順応していくが、ラルフは怪しい広告に釣られそうになる描写があり、二人の違いが更に大きく描かれることになる。
そして、私達の暮らす現実に直面するのは変化を望むヴァネロペではなく、不変を望むラルフである。SNSでの誹謗中傷を目の当たりにすることや、親友が新しいオンラインゲームの面白さにハマっていくことで、自分が過ごしていたゲーム世界がその面白さに勝てないと気付くことなど、ラルフがインターネットの世界で得たものは現実で経験しうることに近い。その点は現実の諸行無常の絶対性を示していると感じた。


7、『火の鳥 エデンの宙』(アニメ)(2023年)監督:西見祥示郎

【あらすじ】
地球から逃亡したロミとジョージは、ロケットで辺境の惑星にたどり着く。ふたりは未開の惑星を新天地にしようと誓うのだが、その惑星には水源がなかった。水が日に日に減っていく中、ある日、ジョージは井戸掘り中に水を掘り当てた後に事故死してしまう。残されたロミは、息子のカインのために命を伸ばそうとコールドスリープをする決断をする。
手塚治虫の『火の鳥』望郷編を基にした作品。

【考察】
ロミが1300年後に目覚めるという事実に気づいたとき、カインがシバを叩き壊してしまった行動は、向こう見ずで未熟だと思うかもしれないが、この行動は前段階で、描写されていたカインを育てたのが感情のないロボットのシバであったことが、根拠になっていて納得が行く展開だと感じた。地球によく似た星で、生えていた花が襲ってくるシーンでの作画の変化は『魔法少女まどか☆マギカ』を連想させた。『魔法少女まどか☆マギカ』でも魔女の出現時には平面的な空間での少女たちの戦闘が描かれた。本作でも同様に、人物や無機物は3Dのような立体的な描写がされていたが、花は手描きのようなガサガサとした描写で、敵意や危険を異質性によって示していた。エデンには色が限りなく少なく、地球は機械化が進み、色はあっても地球のヘブン島は建物が緑で覆われ、自然と機械の対極化がされていた。
そして、物語での役割が男性と女性で異なるように感じた。まず、ロミの裸体が最初の場面から描かれ、女性の生まれ持つ身体が強く表象されていた。女性の主要な登場人物はロミとチヒロで、彼女たちは正義感に溢れ、強く、優しく、気高い、そして慈愛の心を持ち、包容力を備えている。その一方で男性の登場人物には攻撃性が目立つ。ジョージは水が減っていることへの怒りを行動に示し、カインはロミが自分の生きている間には目覚めないことに気づき、シバを破壊する。牧村は酔った勢いでロミを襲おうとする、最後には自分の命を優先し、ロミとコムを攻撃する。ズダーバンは自分の商売のため、エデンの国の人々の欲望を引き出し、国を荒廃に追い込む。しかし、子供であるコムは中性的であり、男女どっちの面も併せ持つ存在であると考えられる。コムは声を荒げることもないし、攻撃性も見られないが、エデンの混乱、荒廃はコムの無知によるものであり、コムは自分が原因の一部となっていることには気づいていない可能性がある。本作で無知は、どこかで暴力性を生んでしまうことがうまく示唆されている。しかし、最後の場面で荒廃したエデンで、チヒロからもらった種を持つロミとコムという構図は、『天空の城ラピュタ』でも描かれていると考えられる荒廃と再起をモチーフとしていると感じた。


8、『変な家』(小説)著:雨穴

【あらすじ】
 知人が購入を検討している都内の中古一軒家は開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家にはそこかしこに「奇妙な違和感」が存在すると言う。

【考察】
人間的な怖さが根源にあるように感じられる序盤から、展開が進んでいくに連れ、不気味な因習や跡目争いの問題が孕むことが明かされることで、一気にリアリティが失われ、近い場所にあった恐怖が遠くなってしまうと感じた。この因習や跡目争いとホラーの関係性は密接であり、『犬鳴村』や『ガンニバル』、『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』などでも描かれている。特に『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』は最近の作品かつ人気が爆発的だった作品だと認識している。因習とホラーの要素は最近の作品では多く見られ、どの作品も話題性に富んでいると感じられる。


9、『宝石の国』(アニメ)監督:京極尚彦、原作:市川春子

【あらすじ】
 宝石たちの中で最年少のフォスフォフィライトは、硬度3半と他の宝石よりもひときわ脆く、靭性も弱くて戦闘には向かなかった。また、他の仕事の適性もなく、まさに正真正銘の落ちこぼれだった。そんなフォスに、やっと「博物誌編纂」という初めての仕事が与えられる。しかし、フォスはその仕事には満足できず、月人との戦闘の仕事を望んでいた。そんな中、夜の見回りの仕事をするシンシャと出会い、彼にしかできない仕事を見つけると約束する。

【考察】
京極尚彦監督は『ラブライブ!』『ラブライブ!スーパースター』などの作品でも監督を努めており、少女性の演出に長けた人物だと言える。本作のキャラクターたちは、性別は不明であり、少女のような外見だが、一人称は「俺」「僕」で、他の鉱物との関係性も姉妹ではなく、兄弟という認識を持っている。この性別の曖昧さが視聴者に彼らを人間ではなく、鉱石と認識させる役割を持たせる要素となっていると感じた。もう一つの要素は効果音があると考えられる。キャラクター同士が触れ合う瞬間、ぶつかる瞬間、このアニメーションでは柔らかい音ではなく、硬いものがあたったときの重くて鈍い音がする。
また、3Dアニメーションには賛否が大きく分かれるイメージや一般的なセル画を用いたような2次元的なアニメーションよりも評価が伸びないイメージがあるが、本作は3Dアニメーションだからこその奥行き感がうまく作品の世界観と合わさっていると感じた。本作の世界観として、空間性の表現


10、『マレフィセント2』(映画)(2019年)監督:ヨアヒム・ローニング


【あらすじ】
 永遠の眠りから目覚めたプリンセスオーロラ姫とフィリップ王子の結婚は人間と妖精の間に平和をもたらし、世界を幸福に導くはずだった。しかしその婚礼には、マレフィセントとオーロラ姫の絆を引き裂き、妖精界を滅ぼそうとする王妃の恐るべき罠が隠されていた。迫り来る危機から愛するオーロラ姫を救うために、マレフィセントは運命を背負う。

【考察】
 アーロラ姫とマレフィセントの関係性が希薄に描かれているように感じた。意思をはっきりもっているはずのオーロラ姫が人間と妖精の国の平和のため、王妃に何を言われようとも黙っている様子は、彼女の変化を感じさせる。また、第2作目というのは主人公と近しいものとの別れが描かれる傾向が強いと考えられる。その傾向を踏襲した結果、本作のストーリー展開になったと考える。


11、『呪われた腕』著:トマス・ハーディ、訳:河野一郎

【あらすじ】
 搾乳場で牛の乳を絞る女は地主の男が若い妻を迎えたという噂を聞く。彼女は若い妻の容貌や様子を自分の息子に観察させ、報告をさせていた。そんなある日、彼女は地主の男の若い妻の悪夢のような夢を見る。その後、若い妻の腕には誰かに掴まれたような痣があり、その痣がいつまで経っても治らないことを知る。

【考察】
 本作ではロッジ夫人の名前は、ガートルードと表記されることもある。この表記の違いに関して、ローダが彼女を自分と関係を持った男を奪った悪い女と認識しているときや彼女自身が自分の夫を気にしている場合にはロッジ夫人と書かれ、彼女が個人の人格として認識される際にはガートルードと表記されるのだと感じた。


12、『ミュージカルテニスの王子様The Imperial Match 氷帝学園 in winter 2005-2006』(舞台映像)(2005-2006年)舞台監督:日高拓二/演出・振付:上島雪夫/原作:許斐剛『テニスの王子様』

【あらすじ】
 関東大会初戦、強豪の氷帝学園と対戦する青春学園中等部テニス部メンバー。青春学園は試合前の大石のハプニングや手塚の怪我を乗り越え、全国へコマを進めることはできるのか。

【考察】
 マンガを原作にもつ、いわゆる2.5次元ミュージカルのため、英米ミュージカルなどとは異なる点が多く見られた。まず、原作の内容を改変、再構築することはなく、原作の内容を少し省略し、150分程度の劇にしているという点である。英米ミュージカルでは2時間程度の尺があることで多少なりとも原作とはディテールが異なることがよくある。舞台ではなく映画ではあるが、『マチルダ・ザ・ミュージカル』では、マチルダが様々な本を読むきっかけをつくったミセス・フェルプスの出番が増え、役割が強まっていた。また、ミス・ハニーの両親が軽業師であるという内容の追加、話の要所々々に加えられるミュージカルナンバーによって、キャラクターの感情や出来事に関して、受け手の想像に頼るのではなく、マチルダの感情を共有させるといったような、メッセージが直線的になりすぎているようにも感じられた。一方で本作は、ミュージカルナンバーにおいても原作に忠実であり、マンガのセリフがナンバーの中にそのまま繰り返し用いられることで、ミュージカルナンバーにしてはセリフ染みていて、直接的な歌詞にはなっているが、原作のキャラクターやストーリーがブレることがない。そして、それは本作がもつキャラクター性の強さにも繋がってくる。『ミュージカルテニスの王子様』は2.5次元ミュージカルの嚆矢になった作品でもあり、2.5次元ミュージカルが2.5次元という枠組みを持つ理由が『ミュージカルテニスの王子様』には垣間見られる。マンガのコマの動きを徹底的に再現した俳優の動きや原作通りのセリフ、マンガのキャラクターの外見の再現、各キャラクターが持つ技の舞台上での再現これらが行われることで、マンガのキャラクターが現実にいる感覚、2.5次元となるのだと考えられる。


13、『ミュージカルテニスの王子様 青学VS氷帝』(舞台映像)(2011年)舞台監督:久保健一郎/脚色・演出:井関佳子/原作:許斐剛『テニスの王子様』

【あらすじ】
 関東大会初戦、強豪の氷帝学園と対戦する青春学園中等部テニス部メンバー。青春学園は試合前の大石のハプニングや手塚の怪我を乗り越え、全国へコマを進めることはできるのか。

【考察】
 『ミュージカルテニスの王子様』は、越前リョーマが青春学園中等部テニス部に入部し、全国大会で優勝するまでを1シーズンとし、全国大会決勝戦まですべての公演が終了すると、また再度、越前リョーマたち青春学園中等部が全国制覇するまでの内容からキャストをすべて入れ替えて公演している。本作は『ミュージカルテニスの王子様The Imperial Match 氷帝学園』(in winter 2005-2006)と原作の同じ試合内容を扱った作品であり、2シーズン目に該当する。
 本作が1stシーズンと大きく異なる点は滝萩之介というキャラクターの追加だと考えられる。滝萩之介は原作において、関東大会青学戦の前に宍戸亮との試合に敗れ、正レギュラーとしての座を失ったことで、目立つ試合シーンなどは描かれることがない。もちろん本作でも試合をすることはないキャラクターである。彼が追加された要素として、ストーリーの補填が挙げられる。1stシーズンでは彼がいないことによって、原作の内容を知っていないと宍戸亮が監督に頭を下げるシーンで滝の名前が出てくるにも関わらず、彼は舞台に出てこないため、物語として、分かりづらくなってしまっていた。そのため、本作では、滝萩之介が追加され、宍戸亮が彼に勝つシーンが描かれたと考えられる。


14、『スパイダーマン ホームカミング』(映画)(2017年)監督:ジョン・ワッツ

【あらすじ】
 ベルリンでのアベンジャーズの戦いに参加し、大興奮していたスパイダーマン=ピーター・パーカー。昼間は普通の高校生として生活しているが、放課後は憧れのアイアンマン=トニー・スタークから貰った特製スーツに身を包み、NYの街を救うべくパトロールをしていた。ある日、スタークに恨みを抱く“バルチャー”が、巨大な翼を装着しNYを危機に陥れる。スタークの忠告も聞かず、ピーターは一人戦いに挑んでしまう。

【考察】
 MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)版のスパイダーマン作品であり、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』、アンドリュー・ガーフィールド主演『アメイジング・スパイダーマン』とは話の導入から大きく異なっている。前出した『スパイダーマン』作品では、ピーターが蜘蛛に噛まれ、能力に目覚めるシーンやベンおじさんの死が描かれたのに対し、本作ではこれらは描かれていない。蜘蛛に噛まれるシーンがないことは、本作がピーターがスパイダーマンになる過程ではなく、スパイダーマンがアベンジャーズのヒーローになる過程を描くことを重要視しているのだと考えられる。
そして、ベンおじさんの役割はトニー・スタークに引き継がれていると考えられる。このことは『アベンジャーズ/エンドゲーム』においてトニー・スタークが殉職し、ピーターが立ち会うシーンが描かれることからもわかる。


15、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(映画)(2019年)監督:ジョン・ワッツ

【あらすじ】
 ピーターは夏休みに、学校の友人たちとヨーロッパ旅行に出かける。しかしそこに待っていたのは、元S.H.I.E.L.D.長官であるニック・フューリーだった。迫りくる新たな脅威を察したニックは、スパイダーマンの力を必要とし、目の前に立ちはだかる脅威に立ち向かう使命を託す。ヴェネチア、ベルリン、ロンドンといったヨーロッパ都市をはじめ、各国を危機に陥れるのは、“火”や“水”など自然の力を操る“エレメンタルズ”であった。世界に脅威が迫る中、ニックはミステリオをピーターに引き合わせる。異次元から来たという彼もまた、ピーターと共に敵に立ち向かっていくが、ミステリオの狙いは別にあった。

【考察】
 ミステリオがプロジェクターで映像を流すことでヒーローとしての戦闘や敵の存在を捏造していたという真実や最後の場面で、ニュースの中でミステリオによって作成されたフェイク動画が流れ、スパイダーマンが悪だとされ、正体までも街の人々に明かされてしまう展開はまさに現代的だと感じた。ニュースや動画が真実とは限らないことは、昨今のAIを用いたフェイク動画などで明白になっている。本作のように真実性を問う作品は多くあるが、長く続いてきた『スパイダーマン』作品がこのような要素を取り入れたことはチャレンジの1つのようにも思える。


16、『アベンジャーズ』(映画)(2012年)監督:ジョス・ウェドン

【あらすじ】
 国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.の長官ニック・フューリーは、世界の危機に対してヒーローチームを結成することを考え、“アベンジャーズ”チームを設立する。メンバーはアイアンマン、ハルク、ソー、キャプテン・アメリカ、さらにブラック・ウィドウとホークアイ。彼らはアスガルドの神であるロキとチタウリの軍と戦う。

【考察】
本作で戦闘のスケールが急激に大きくなったと感じた。アベンジャーズとして戦う意味をアベンジャーズとして招集されたメンバーたち自身だけでなく、観客にも証明させる必要があったのだと考えられる。また、メンバーの戦闘力に、バラつきがあることも珍しいように感じた。


17、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(映画)(2016年)監督:アンソニー、ジョー・ルッソ

【あらすじ】
 人類の平和を守るためのアベンジャーズによる戦いは、全世界に拡大した。多くを救う反面、その人的・物的被害は膨大なものになり、ついにアベンジャーズは国際的な政府組織の管理下に置かれる事態にまで追い込まれてしまう。一般市民を危険にさらしたという、罪の意識を持つアイアンマン=トニー・スタークと自らの行動は自らが決めるべきという信念のキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースは、反発し合う。彼らの対立が生み出す一触即発の緊張の中、テロ事件が発生し、犯人として、キャプテン・アメリカのかつての親友ウィンター・ソルジャー=バッキーが指名手配された。キャプテン・アメリカの決断は、最強チームアベンジャーズを二つに引き裂く禁断の戦いを告げる。

【考察】
 ヒーローとヒーローの戦いが描かれるのは興味深いと感じた。特に最後のアイアンマンとキャプテン・アメリカの戦闘シーンは3人の男たちの友情と決意が描かれ、殴り合うことで意思を貫こうとする様はまさに少年マンガで何度も見たシーンのように思われる。『NARUTO-ナルト-』でもナルトとサスケの戦闘シーンは見どころのある場面である。しかし、このような少年マンガと違う点は2人がわかりあえずにお互いに信じる道を歩む形で物語が終わる点である。


18、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(映画)(2019年)監督:アンソニー、ジョー・ルッソ

【あらすじ】
 最凶最悪の敵“サノス”によって、人類の半分が消し去られ、最強チーム“アベンジャーズ”も崩壊してしまった。失われた35億の人々と仲間を取り戻す方法を探し、大逆転のわずかな希望を信じて再び集結したアイアンマン、キャプテン・アメリカ、ソーたちは今はここにいない仲間のために、最後の逆襲を始める。

【考察】
 雷の神であるマイティ・ソーが『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』での戦いで心に傷を負い、酒に溺れ、性格も変わってしまっていることに驚いた。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では精神力が強く、力も持たなければ作ることのできない武器を作り上げたのにもかかわらず、サノスに周囲の大事な人たちを殺されたことから立ち直ることができなかった。地位があること、強者であることと喪失感からの立ち直れるかどうかの精神力は比例しないことというのは、キャラクターを身近なものにし、視聴者の共感を高める効果があると感じた。
目的は違えど、アベンジャーズ側もサノス側も「何を犠牲にしても」という同じ価値観を行動源としていた。見方や立場によってどちらが正義と感じるかが変わってしまう状況はまさに現実でも起きていることのように感じる。『龍が如く』シリーズでは、桐生一馬というヤクザの組に身を置くキャラクターの視点から、組織同士の抗争や政治的立場が上の人間の企みを止めるなどするストーリーが多いが、この作品ではヤクザという社会的に通常ではないとされる日常で生きる裏の人間が主人公のため、自動的に現実とゲーム世界で正義の立場が入れ替わる構造になっている。しかし、本作では、アベンジャーズのヒーローである正義の立場から敵役の正当性も感じさせていて、マーベル作品というだけ作り込まれているように思った。
最終決戦で消えた仲間が戻ってきて、再度サノスと戦うシーンでは、キャラクターたちのセリフは少なく抑えられ、劇伴音楽「One Shot」が流れ、戦いの高まりを効果的に表していた。その他、トニー・スタークの葬儀を行うシーンでも劇伴音楽「The Real Hero」が大きく流れた。劇伴音楽が徐々にメインの音楽になっていくことで、キャラクターたちの感情と観客の感情がリンクしていくことを感じた。音楽の役割の大きい作品であった。


19、『それもまたちいさな光』著:角田光代

【あらすじ】
 デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま1人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる、幼馴染の駒場雄大。人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。

【考察】
 本作でのラジオは日常の表象であると感じた。他人にとってはどうでもいい内容で溢れている。しかし、誰かに話せるレベルに置かれた日常である。私達は誰もがそうしたマン=い日を過ごしているのだと感じる。仁絵は結婚を意識し始めると、両親が意思疎通をしていることや部屋にピッタリとはまった感じのする家具を気にし始める。何かを意識すると日常の見えなかった部分が見えてくることをラジオを通して描いていると考えられる。


20、『アイアンマン』(映画)(2008年)監督・製作総指揮:ジョン・ファヴロー

【あらすじ】
 アフガニスタンで自社兵器のデモ実験に参加したトニー・スタークは、テロ組織に襲われ拉致されてしまう。捕虜となった彼は、戦闘用パワードスーツを敵の目を盗み開発。敵地からの脱出に成功するが、奇跡的に生還したトニーは、自分の会社が開発した兵器がテロ組織に使用されていた真実を知る。トニーはその償いをすべく、テロ撲滅に命を捧げることを決断し、最先端の技術を駆使し、アイアンマンとなる。


【考察】
 テロ組織の表象によって、トニー・スタークの兵器開発=破滅へ導くものとアイアンマン=正義のヒーローとを結びつけ、トニーの動機を確かなものにしていた。また、トニーは自分の会社の兵器がテロ組織に使用されていたことを知らない。このことは権力者ゆえの無知を的確に示すものであり、現代においても、イギリスなどの国で放送されている『Undercover Boss』という社長自ら現場に潜入し、覆面調査を行う番組がある。このような番組は本作の内容に近いと感じた。


21、『インクレディブル・ハルク』(映画)(2008年)監督:ルイ・レテリエ

【あらすじ】
科学者のブルース・バナーは、恋人ベティの父であるロス将軍の命令を受けて人体への放射線抵抗を研究していた。ところがその研究実験中に事故が発生し、多量のガンマ線を浴びてしまったブルースは、怒りを感じて心拍数が200を越えると巨大な緑色のモンスターハルクに変身する特殊体質となってしまう。

【考察】
 普段は謙虚で知性的な男が、緑色の怪物に変身してしまった途端に暴力的、感情的になるという構図は狼男が連想された。また、変身する際には顔の中でも目が画面の中で強調されて映し出され、目の色が変わるという演出の仕方にも相似が見られる。狼男が描かれた作品として思い出されるのは『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で登場したリーマス・ルーピンというキャラクターである。満月を見ることで狼に変身し我を忘れ、暴れてしまうため、満月を見ること(視覚)が狼への変身を誘発する点からも目の変化が強調されて描かれていた。しかし、本作では、心拍数の増加が変身へのトリガーとなるため、必ずしも視覚のみが要因とはならない。よって、目の変化の強調は、目が人間の顔の中で一番感情の変化が読み取れやすい部分であり、瞳孔の開き具合、色の変化、まぶたの開閉度合いなど、変化がつけやすい部分であるため、異常性を端的に伝える際に、描かれるのだと考えられる。


22、『アイアンマン2』(映画)(2010年)製作総指揮・監督:ジョン・ファヴロー

【あらすじ】
 自らアイアンマンであることを告白したトニー・スタークは大企業スターク・インダストリーのCEOである。米国政府にパワードスーツの共有を命令されてしまうが、彼は技術が悪に利用されることを恐れ、拒否する。そして、彼に恨みを抱く謎の男“ウィップラッシュ”が一撃で車を真っ二つにする電流ムチを携えて現れ、ライバルの武器商人ハマーも独自のパワードスーツを開発する。そんな中、胸に埋め込んだエネルギー源“リアクター”の影響でトニーの体は蝕まれていく。

【考察】
 トニーの人間性が強く描かれた作品であった。特にパーティーのシーンでトニーがアイアンスーツを着たまま醜態をさらすシーンはヒーローとしてかけ離れた姿であった。
また、終盤には、日本庭園での戦闘シーンがあり、マーベル作品の視聴ターゲットに合わせた非日常的な日本の表象が行われていた。


23、『13日の金曜日』(映画)(2009年)監督:マーカス・ニスペル

【あらすじ】
 1人の少年が湖で溺死するという事故が起きて閉鎖されたキャンプ場クリスタル・レイク。数十年後、キャンプ場は再開されるも、そこを訪れた若者の一行が行方不明になってしまう。そんな中、失踪した妹ホイットニーを探すためクリスタル・レイクに向かうクレイ。そのキャンプ場には殺人鬼が潜んでいた。

【考察】
 アメリカのスラッシャー映画として有名な作品である。ゲーム作品であるが『UNTIL DAWN -惨劇の山荘-』や『クアリー~悪夢のサマーキャンプ』などでも本作と同じく、若い男女が隔離された場所で死の恐怖に怯えるというモチーフを持つ。このようなホラー作品は根強い人気があるのだと考えられる。


24、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(映画)(2018年)監督:アンソニー、ジョー・ルッソ

【あらすじ】
 6つすべてを手に入れると、全宇宙を滅ぼす無限大の力を得るインフィニティ・ストーン。そして、その究極の石を狙う“最凶最悪”のサノス。彼の野望を阻止するため、スパイダーマン、ドクター・ストレンジ、ブラックパンサー、ガーディアンズたちも集結した、最強ヒーローのチーム“アベンジャーズ”が、人類の命運を賭けた壮絶なバトルに挑む。

【考察】
 アベンジャーズが立ち向かうサノスが宇宙の星を次々に襲い、その星の住民の数を半分にするという一見非道な行動をしたことで、襲われた星は後に資源が均等に住民に行き届くようになり、困る人が少なくなったという事実を知ると、サノスを完全なる悪だと言えなくなる点が興味深く感じた。サノスによって正された星で新しく生まれた命は路頭に迷い、お腹が空かせることはなくなり、平和な青空ばかり見ることができている。現実の地球でも何年か前からSDGsの取り組みが始まり、日々教育現場では、資源の大切さが説かれている。このようなテーマを抱える敵キャラクターにより、宇宙で行われる非現実的な戦闘がリアリティのあるものとして観客に受け取られるのだと考えられる。そして、サノスはストーンを手に入れるために自分の手で自分の娘を殺めるが、その時の表情は、悪役の顔ではなく、苦悩に飲まれながらも選択する父親の顔であった。ヒーローものの作品は勧善懲悪だと思っていたが、敵役のこのような人間味があると、作品に魅力が増すと改めて感じた。


25、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(映画)(2011年)監督:ジョー・ジョンストン

【あらすじ】
 第2次世界大戦の最中、兵士として不適格とされた貧弱な青年、スティーブ・ロジャースは、軍の極秘実験「スーパーソルジャー計画」に名乗りを上げ、“キャプテン・アメリカ”として生まれ変わる。身体能力を極限にまで高めた強靭な肉体を手にし、極世界征服を目論むレッド・スカル率いる悪の組織ヒドラと戦う。

【考察】
 まず、キャプテン・アメリカにとなる前のスティーブ・ロジャースとキャプテン・アメリカとなったあとの彼とでは身体が身長から体格、筋肉量まで大きく異なっている点に注目した。筋肉量が増加したあとのスティーブ・ロジャースは彼を演じた俳優クリス・エヴァンス本人であるが、貧弱であったスティーブ・ロジャースはクリス・エヴァンスの顔と別の俳優の身体を合わせたCGが用いられた。CG技術の高さがうかがえる要素だと感じた。
 そして、本作で最も驚いたのは、キャプテン・アメリカというキャラクターは、敵であればためらいなく殺す意思を持っているように描かれているキャラクターである点である。『スパイダーマン』作品ではスパイダーマン自身が敵を殺す場面は描かれずに、助ける場面が集中的に描かれているように感じたが、本作では、明確に敵がキャプテン・アメリカによってなぎ倒され、死を遂げていることが明らかなシーンが多くあった。これらのことから、彼にはヒーローとしての正義感ではなく、軍人や兵士としての正義感が備わっていることが強調されているのだと感じた。


26、『マイティ・ソー』(映画)(2011年)監督:ケネス・ブラナー

【あらすじ】
 神の国<アスガルド>で無敵の強さを誇る戦士ソー。しかし、傲慢さゆえに9つの国を治める神々の王である父の怒りに触れ、最強の武器“ムジョルニア”と全ての力を奪われて人間界へ追放されてしまう。地球に落ちたソーは、天文学者のジェーンに出会ったことで変化していく。だがその頃、邪神ロキの陰謀で神の国は危機に瀕し、そして敵がソーを抹殺すべく地球に迫ろうとしていた。力を失ったソーは地球と神の国を守るために戦う。 

【考察】
 北欧神話が基になっていることや宇宙の国々と繋がるワームホールの存在が描かれていることから、願望的な作品だと感じた。また、主要なキャラクターにも強い願望がある。オーディンはソーが傲慢さを捨て、次の王にふさわしくなることを望み、ソーは父に柔軟な考えを望んだ後、王にふさわしい自分を望む、そしてロキは真実の愛を探しているのだと考えられる。


27、『アイアンマン3』(映画)(2013年)監督:シェーン・ブラック

【あらすじ】
 アベンジャーズの戦いか1年が経ち、トニー・スタークは未来の敵の脅威におびえ、一心不乱に新型パワードスーツの開発をしていた。心身ともに追いつめられたトニーはある日、世界転覆を企む謎の男マンダリンから攻撃を受け、全てを奪われてしまう。

【考察】
 トニー・スタークの語りから始まり、エンドクレジットの後に本編の内容はトニー・スタークがハルクであるブルース・バナー博士に語っていたものだということが明かされる。これはマーベル作品としては珍しい構成だと感じた。ペッパーを助けられなかったシーンに関しては、トニーの人間性がよく読み取れる。最愛であるペッパーを失っても彼は動揺するのみで戦意を喪失することはない。このことから、彼が誰かに執着することは決してないことがわかり、彼のアベンジャーズとしてのあり方にも繋がるものとなる。


28、『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』(映画)(2014年)監督:アンソニー、ジョー・ルッソ

【あらすじ】
 アベンジャーズのニューヨークでの戦いの後、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースはワシントンDCで静かに暮らし、現代社会に適応しようとしていた。しかしS.H.I.E.L.D.の仲間が襲われ、悪の組織ヒドラの陰謀に巻き込まれてしまう。キャプテン・アメリカは暗殺者から襲撃されながら、ブラック・ウィドウと力を合わせ、陰謀を暴こうとする。新たな仲間ファルコンの助けも加わり、強大な敵ウィンター・ソルジャーと戦う。

【考察】
 本作ではウィンター・ソルジャーが何者なのかが序盤の疑問として挙げられるが、その点がキャプテン・アメリカがスミソニアン博物館でキャプテン・アメリカの展示を見るシーンで前作で登場したキャラクターだという伏線が張られる流れができていた。このシーンではスティーブ・ロジャースの親友であるバーンズが戦死者だということが強調されている。その後、スティーブ・ロジャースの最愛の人であるペギーが存命であることが明かされることで、更に、ウィンター・ソルジャーの正体が明かされるシーンで観客の感情が高まる、いくつかのストーリーでよく見られる“どんでん返しの流れ”ができていると感じた。


29、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(映画)(2015年) 監督/脚本:ジョス・ウェドン

【あらすじ】
 トニー・スタークは⼈⼯知能の平和維持プログラム“ウルトロン”を開発する。しかし、進化と増殖を続けるウルトロンが選択した平和とは、⼈類を抹消することであった。世界中の都市を襲う⼈類滅亡の脅威に、最強チーム“アベンジャーズ”が再び結集し、平和のため戦う。

【考察】
 本作では、他国への意識が意図的に向けられているように感じた。韓国がクローズアップされ、ヘレン・チョ博士というキャラクターが登場し、このキャラクターは韓国の女優キム・スヒョンが演じている。また、同作品シリーズではこれまで様々な国が描かれてきたように思うが、本作では従来のように韓国の飲食店などの街並みでの戦闘が描かれるだけでなく、チョ博士が韓国語を話すシーンが物語に何度か挟まれている点が印象的だった。この韓国語が挟まれるシーンは、戦闘中または捕虜相手などに会話の内容を聞かせないようにする目的ではなく、研究もしくは治療の指示を出している時の会話であると推測される。
なぜ、本作でここまで韓国に焦点が当てられているのかは定かではないが、チョ博士は、今後もアベンジャーズの一人として活躍するヴィジョンが生まれるきっかけとなった重要なキャラクターであるため、何かしらの狙いがあるように考えられる。


30、『オズの魔法使い』(映画)(1939年)監督:ビクター・フレミング

【あらすじ】
カンザス州の農場で暮らす少女ドロシーが竜巻に飛ばされて、迷い込んだのはオズの国だった。“脳みそのない案山子”、“ハート(心)がないブリキ”そして“勇気のないライオン”と共にオズの国で旅をする。故郷に帰るという願いを叶えてもらうために、ドロシーと愛犬トトは仲間とともに黄色のレンガ道を辿りながら、オズの魔法使いを探す。

【考察】
 本作は、序盤のシーンでドロシーがカンザスにいるときには白黒、ドロシーが竜巻でオズの国へと到着した後、カラーに変わるというのが特徴の一つとして挙げられる。撮影の技法を少し変更することで、カンザスとオズの国が違う世界で、ドロシーにとってオズの国が輝いて見えるということが観客に一目瞭然となる。
2024/09/23(月) 21:13 No.2055 EDIT DEL
2年 野中涼風 RES
21.『海街diary』(映画)(2015)監督:是枝裕和

【あらすじ】
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面する。
父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として鎌倉で新たな生活を始める。家族の増えた香田家が、本当の意味で姉妹に、家族になっていく1年を描いている。

【考察】
綾瀬はるか演じる長女・幸は責任感が強く世間一般の長女像が強く投影されている。幸が母親と一緒に墓参りに行くシーンでは降っていた雨が止み、母親との関係性の向上が表されていた。

22.『ユ・ヨルの音楽アルバム』(映画)(2019)監督:チョン・ジウ

【あらすじ】
90年代のある日、小さなパン屋で偶然の出会いを果たした女子学生と無口な青年。それは、寄せては返す波のような、長く切ないすれ違いの恋の始まりだった。

【考察】
不慮の事故で亡くなった友人に責任を感じていたヒョヌは更生しようとしており、遺族に挨拶に行くが、謝罪は受け入れてもらえず、お金だけ持ち去られたことにやるせなさを覚えた。この映画からは、工事で事務をしていたミスがやりたかった仕事に就くシーンがあり、何歳からでも何にでもなれるということを学んだ。

23.『愛がなんだ』(映画)(2019)監督:今泉力哉

【あらすじ】
28歳のOLテルコはマモルに一目惚れして以来、生活の全てをマモルに捧げている。しかし、マモルはテルコを都合のいい女としか思っていなかった。念願叶ってマモルの家で一晩過ごしたテルコは、遂に恋人になれたかと思ったら、急に連絡が途絶えてしまう。

【考察】
テルコはマモルに依存し、マモルはすみれに依存しており、それぞれが依存していた。マモルは当初「うち来る?」と言っていたが後に「山田さん家行こっか」に変わっていたことや、テルコはマモルが体調不良になったとき手料理を作ってあげていたが、マモルはスーパーの手抜き料理でそこから2人の気持ちの相違が見えた。

24.『夏へのトンネル、さよならの出口』(映画)(2022)監督:田口智久

【あらすじ】
とある片田舎の町に、そのトンネルに入ったらあるものを失う代わりに欲しいものがなんでも手に入るという“ウラシマトンネル”が存在するという噂があった。掴みどころがない性格のように見えて、過去の事故を心の傷として抱える高校二年生の塔野カオル(声:鈴鹿央士)と、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む、東京からの転校生の花城あんず(飯豊まりえ)は、この不思議なトンネルを調査し、欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ……。

【考察】
ウラシマトンネル内に時間の流れが変わる境界があるように、水族館で2人が並んで話しているシーンにも2人の真ん中に線が引かれていた。トンネルについての物語だから水族館の海中トンネルで2人が会話しているのではないかと考える。海中トンネルで2人が話しているシーンでは2人を隔てる線がなくなって繋がっているように見えた。

25.『レオン』(映画)(1994)監督:リュック・ベッソン

【あらすじ】
『ニキータ』のリュック・ベッソン監督が描くバイオレンス・アクション。ニューヨークを舞台に、家族を惨殺された12歳の少女マチルダと隣の部屋に住む凄腕の殺し屋レオン、ふたりの凶暴な純愛を描く。

【考察】
レオンのいつも通りの日常が、マチルダと出会ってから変化していた。マチルダははるかに年上のレオンに恋しており、背伸びした年頃の女の子として描かれていた。レオンはマチルダを逃がすために敵を巻き込んで自爆しており、己を犠牲にしてまでもマチルダを守っており、レオンにとってのマチルダの存在の大きさを感じた。

26.『蛇にピアス』(映画)(2008)監督:蜷川幸雄

【あらすじ】
渋谷をふらつくルイ(吉高由里子)は、何をするあてもない19歳。そんな彼女の単調な日々を変えたのは、クラブで出会ったアマ(高良健吾)だった。赤毛のモヒカン、眉と唇にピアス、背中に龍の刺青…。ルイとは全く違う世界に住むアマの、蛇のような割れた舌に彼女は心を奪われる。しかし、なぜそこまでスプリットタンに惹かれたのか、ルイは自分でもよくわからない。アマに連れられて行った妖しげな店で、ルイは舌にピアスをあける。拡張を繰り返して穴を大きくし、自分も蛇の舌のようになるつもりであった。店長のシバ(ARATA)は、全身に刺青、顔中にピアスというアマ以上にパンクな風貌の彫り師で、おまけにサディストだという。シバと出会ったルイは、自分の身体にも最高の絵を刻みたいと、熱い思いに身を焼かれる。彼女が望んだ刺青は、アマの背中に彫られた龍とシバの右腕の麒麟。しかし、ルイの背中で絡み合う龍と麒麟に瞳はなかった。そんなルイはアマと一緒に暮らしながらも、シバとも密かに関係を続けている。どんなに探しても生きる意味が見つからない不安で空しい日々の中、彼らとの恋愛の痛みと、ピアスと刺青による身体の痛みだけが、ルイに生きている実感を与えていた。危うくも心地よい一瞬一瞬を重ねて、毎日命を繋いでいくルイ。そんなとき、アマが起こした暴力事件がきっかけとなり、3人の運命は思わぬ方向へと突き進んでいく……。

【考察】
映画が始まってからしばらく無音だったのは、ルイがイヤホンをしていたという演出だった。シバがアマを殺していたとしてもシバと一緒に生きていくという覚悟をシバが犯人にならないようにしていたところから感じた。

27.『ミッシング』(映画)(2024)監督:吉田恵輔

【あらすじ】
ある日、街で少女失踪事件が発生する。母親の沙織里はあらゆる手段で娘を捜すが、有力な手がかりも見つからないまま3カ月が経つ。世間の関心も薄れ、夫との温度差に苛立つ沙織里だったが、失踪当日にアイドルのライブに行っていたことがSNSに投稿され……

【考察】
この映画は沙織里の娘が楽しそうに遊んでいるシーンから始まり、娘が行方不明になったシーンの描写はないのが珍しいと考えた。映画内では、現代社会を目の当たりにした。例えば、テレビ番組を制作するにあたって、ビラ配りをする沙織里に演技指導をしたり、SNSの匿名性を利用した心無い誹謗中傷が書き込まれたりしていた。時間が経つにつれて、1人の少女が行方不明になったことなど、世間は忘れていき、風化していく様子に胸を痛めた。当事者にならないとわからない辛さがあるのだと考える。

28.『イエスマン“YES”は人生のパスワード』(映画)(2009)監督:ペイトン・リード

【あらすじ】
何事にも「ノー」「嫌だ」「パス」と答える極めて後ろ向きの男、カール。 「生き方を変えない限り、お前はひとりぼっちになる」と脅され、 勇気を振り絞り、とあるセミナーに参加する。“意味のある人生を送るための、唯一のルール”は、全てのことに、それがどんな事であっても「イエス」と言うだけ。カールは何事も否定せず「イエス」を連発する。

【考察】
元々は何事にも否定的だったカールがなぜこんなにも友人に好かれているのか気になった。山奥で携帯電話の充電が切れ、車の燃料が無くなるなどすべてにイエスと答えることは本当に幸せなのかと考えていたが、イエスと言うことが習慣になることで幸運を呼び寄せるということがわかった。

29.『縞模様のパジャマの少年』(映画)(2009)監督:マーク・ハーマン

【あらすじ】
第2次大戦下のドイツ。ナチス将校を父に持つ、8歳の少年ブルーノ。ブルーノはある日、行くことを禁じられた裏庭の先で、フェンスに囲まれた“農場”を発見した。そこで縞模様のパジャマを着たひとりの少年と出会う。

【考察】
子どもたちの遊びとして戦闘機ごっこや戦争ごっこが行われており、いかに戦争が身近なものであったかを理解することができた。8歳の子どもの悪気のない質問が辛かった。偽造された強制収容所の映像によって騙される人が大勢いることが想像できた。軍人である父親が行っていたユダヤ人の迫害にまさか息子が巻き込まれるとは思わなかった。

30.『ジーサンズ はじめての強盗』(映画)(2016)監督:ザック・ブラフ

【あらすじ】
ウィリー、ジョー、アルの3人は慎ましくも幸せな老後生活を送っていた。ところがある日、長年勤めていた会社の合併によって、年金を止められてしまう。このことをきっかけに、彼らはある企てを決意。なんとしてでも今までの生活を取り戻し、愛する家族と仲間たちとの幸せな余生を続けられるよう、3人は銀行のお金を奪おうと、大胆で危険な賭けに出るが……。

【考察】
3人の老紳士はとても仲が良く、この歳になっても共に危険を犯してくれる友人がいることに感動した。3人が銀行を襲ったときに居合わせた少女はジョーが身につけていた時計から犯人だとわかっていたが、ジョーにも大切な家族がいることを理解し、助けてあげていた。
2024/09/23(月) 21:00 No.2054 EDIT DEL