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加藤一花
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3年加藤一花 夏休み課題
1.ブラッシュアップライフ(ドラマ)
演出/水野格、狩山俊輔、松田健斗 脚本/バカリズム
あらすじ
あーちんこと近藤麻美は、市役所の窓口職員の33歳。小学生からの幼馴染で親友の、なっちと、みーぽんとの飲み会の帰りに、交通事故で亡くなってしまう。気が付くと死後の世界の受付のような場所で案内人に出会う。
この作品では初めから命が軽いものだという印象を受けた。例えば麻美の一週目の人生が終わり白い空間に飛ばされた際、大きく取り乱すわけでも泣くわけでもなくいたって冷静に案内人に自分が死んだことを伝えていた。麻美が二週目、三週目と人生を繰り返していくごとに“またやり直せるし”という考えから命が軽くなっていくのなら理解できるのであるが、初めから軽く感じたのは不思議であった。しかしその軽さがあったからこそテンポよくストーリーが展開していたというふうに感じる。
2.名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
工藤新一宛てに、建築家の森谷からパーティーの招待状が届くが、コナンの姿では参加できず、彼は幼なじみの蘭に代理を頼む。その直後、街で連続放火事件が発生。その犯人と思われる人物が新一に爆破予告を突きつける。正体を隠しながら犯人と戦うコナン。しかし蘭までもが事件に巻き込まれてしまう。
これは1997年の映画なのだが、ところどころに時代を感じる表現などがあるように感じた。例えば犯人はボイスチェンジャーを使っていたのだがそのことに対し“手の込んだ”という発言があった。今であればボイスチェンジャーは気軽に使用できるものであるためこれは昔の映画だからこそのものなのだなと思う。それと阿笠博士が病院でブラウン管テレビを持ってくるというシーンがあった。その際“看護婦さんが貸してくれた”という発言があった。いまであれば“看護婦”とは差別的な用語であり放映されるには問題があるように感じるが時代が時代だったため問題にならなかったのかもしれないと思った。
3.名探偵コナン 14番目の標的(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
目黒警部・蘭の母で弁護士の妃英理・阿笠博士が何者かに命を狙われた。いずれも標的にされた人物が毛利小五郎と親しいことから、小五郎に恨みを持つ者だと推理し、事件の真相を追うコナンたち。さまざまなヒントを頼りに、海中レストランへ向かうが、そこには新たなる殺人劇が待ち受けていた…。
この作品ではラストシーンがただただ犯人を追い詰めるだけではなく過去にあった小五郎と英理のシーンと重なっている。コナンが小五郎の立ち位置、蘭が英理の立ち位置であったことから、新一と蘭、この二人の将来の関係性の揶揄かもしれないと感じた。
4.名探偵コナン 世紀末の魔術師(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
世間を騒がせる大怪盗・怪盗キッド。彼から、鈴木財閥の会長宅にあるロマノフ王朝の遺産”インペリアルイースターエッグ”を盗むという予告状が届く。怪盗キッドは予告通りエッグを盗み出すが、逃亡中に何者かに撃たれて行方不明に…。少年探偵団にも危機が迫る。
舞台が関西から関東になったり、今では定期的に登場するキッドや灰原哀といったキャラたちが初登場したり、複数の人物が全く違う思惑を抱えていたりとそれまでの二作品の映画とは異なる部分が多い映画だと感じた。特に舞台が大阪から城へ変わった際、キッドに関係なく物語が進んでいったため途中本筋が何なのか見失いそうになった瞬間があった。最後まで見るとそれまでのシーンの意味合いをしっかり理解できるのだが、定期的に現状を整理しつつ見ないと少々分かりづらい作品だというふうに感じた。
5.名探偵コナン 瞳の中の暗殺者(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
警察官を狙った連続殺人事件が発生。警察関係者が集まるパーティで佐藤刑事が襲われ、命を落とす。そこに居合わせた蘭が犯人の標的に。命を狙われる蘭をコナンは守り切れるのか…。
最後犯人から蘭とコナン二人で逃げるシーンがあったのだが、ボートに乗ったところで明らかに犯人の顔が見えるであろう距離になっても犯人が全身黒いままであった。その意図としては単純に最後の最後まで視聴者を楽しませるというのも大きいと思う。しかしそれに加えてもっとも犯人が近づいたということで、切羽詰まった状況であり、犯人が近くにいたとしてもそれを確認する余裕がないというのを表しているのではないかと感じた。
6.名探偵コナン 天国へのカウントダウン(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
キャンプの帰りに阿笠博士と少年探偵団たちは、日本一の高さを誇るツインタワービルに立ち寄る。ビル内では殺人事件が!さらにコナンは、ポルシェ356A-を目撃。灰原哀の怪しい動きや、黒の組織の存在に気づき、コナンは警戒を強める。
普段冷静沈着な灰原が、危険だとわかっていながら一瞬でも声が聞きたいがために姉に電話をかけるというシーンがあったのだが、そこにあまり見えない彼女の年相応の態度が見られたなと感じた。それと、最後爆風とともにビルからビルへ発車する直前、灰原が自己犠牲により他みんなを助けようとしたのを見て黒の組織に殺されるのは嫌だが、みんなのためなら死ぬことをいとわないという彼女なりのプライドが見えた気がした。
7.名探偵コナン ベイカー街の亡霊(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
仮想体感ゲーム「コクーン」の発表会が行われていた最中に、殺人事件が発生。コナンは事件の手がかりを求めて、コクーンに乗り込んだ。コナンは発表会に参加していた人たちと、助け合いながら事件を解決していく。
この物語序盤のノアズアークは、AIに対して危惧するべきことを伝えているのではないかと感じた。実際ノアズアークが暴走し子供達をゲームの世界に閉じ込めたとき、外からは干渉できずにただ傍観するしかなかった。つまりAIに完全敗北していたのである。確かにAIは便利であり上手く利用すればより生活しやすくなることは目に見えているであろう。しかしその一方で、自我を持った際のために対抗策を持っておくべきだということのメッセージ性があったのではないだろうか。
8.名探偵コナン 迷宮の十字路(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
東京・京都・大阪で5人の男性が殺される事件が発生。古美術品ばかり狙う盗賊団・源氏蛍のメンバーが相次いで殺害されたことから、コナンと服部平次は慎重に捜査を進めることに…。
今作は平治と和葉中心の恋愛色強めの作品であったが終盤、コナンが一時的に新一の体に戻るという事態が発生した。この展開は、平治と和葉の過去の話という誰もが予想できる順序通りな展開だけではなく誰もが予想できない、印象に残るようなシーンを作りたかったがために入れたのではないかと感じた。
9.名探偵コナン 銀翼の奇術師(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
怪盗キッドは、コナンの正体に気づいている数少ない人物の1人。その怪盗キッドが大胆にもコナンの前に工藤新一に変装した姿で現れた。蘭は新一との再会に心を揺らす…。
よく“愛の力は偉大”などという言葉を耳にするが、この作品はまさにその言葉を体言したものに見えた。映画の後半、飛行機の操縦をすることになったものの、緊張であったり、大勢の人の命を預かっているという不安から手が震えていた蘭なのだが、電話先の新一の声を聞いてから震えがおさまり冷静になっていたように思う。これはまさに愛の力なのではないかと感じた。
10.名探偵コナン 水平線上の陰謀(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
鈴木園子に招待された「豪華客船アフロディーテ号」の処女航海に招待されたコナンと蘭・少年探偵団一行。
多くの著名人や政界人なども乗船する優雅な時間を過ごしていましたが、園子が何者かにさらわれ、八代造船の社長が殺害、会長が失跡。15年前にも海難事故を起こしている八代造船。この2つの事件にコナンたちが巻き込まれていく。
今作は普段なかなかない、小五郎自らが事件の真相を明らかにするという結末であった。その理由として、真犯人の秋吉美波子という女性が彼の妻である英理にどことなく似ていたために彼女が犯人ではない理由を探していたのだが、探せば探すほど彼女が犯人だという根拠が集まってしまったというものであった。
映画からは少し離れてしまうのだが、原作の方にも小五郎自ら真相を明らかにするというエピソードがある。それは小五郎の同窓会の最中に起きた殺人事件である。
上記の事件の共通点として、ともに彼の身内に関係している。彼はもともと様々な難事件を解決できるポテンシャルを秘めており、そこに身内が関わってくると覚醒しそのポテンシャルを発揮するのではないのかと思った。
11.名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
ある依頼を受けた毛利小五郎は、コナンと蘭、少年探偵団とともに、横浜のレジャーパーク「ミラクルランド」に隣接したホテルへと向かった。依頼人の秘書から受け取ったミラクルランドの腕時計型のフリーパスID。それには、閉園時間に爆発する「時限装置付きの爆弾」が仕掛けられていた…。
途中から一部捜査に加わった高校生探偵の白馬の正体が実は怪盗キッドだったというオチが最後に明らかになったと思うのだが、実はその前にも白馬が依頼人側の人間ではないと気がつけるシーンがあった。それは3人が伊東末彦の会社にたどり着いたということを確認するために伊東末彦が彼らのGPSを確認しているシーンである。伊東のモニターにはGPS付きのIDをもっている人数を示すであろう点が二つしか表示されていなかったのである。このような視聴者に向けた細かいヒントから、白馬はどこか怪しいと思わせる表現法はとても面白いと感じた。
12.名探偵コナン 紺碧の棺(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
財宝を探していたトレジャー・ハンターが、サメの群れに襲われて死亡する。毛利小五郎たちと一緒に島に居たコナンは、それが単なる事故ではないと気づき、捜査に乗り出す。
トレジャーハンターという目に見えて分かる悪人がいる分、真犯人は分かりづらくなるというミスリード的展開であった。このミスリードは他作品ではよく見る構図であったものの、幾多の事件が描かれている名探偵コナンという作品だからこそしっかりとミスリードがミスリードとして機能していたのだというふうに思った。
13.名探偵コナン 戦慄の楽譜(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
高名な元ピアニスト・堂本一輝の門下生たちが殺害される事件が発生する。そんな中、堂本音楽ホールのこけら落としコンサートに招かれるコナンたち一行。やがてコンサートの主役であるソプラノ歌手・秋庭怜子の命が狙われるが、コナンの活躍で彼女は事なきを得る。そして迎えた本番当日、入場直前に何者かに襲われて意識を失うコナン。蘭たちはそのことに気づかず会場へと向かい、やがてコンサートが始まってしまう。
今作に登場するソプラノ歌手・秋庭怜子について、一見厳しいが実は優しいというキャラクター性がわかりやすく描かれているように感じた。コンサート3日前なのにも関わらず小学校の校歌を教えてあげたり、トラックに狙われた際に自分を犠牲に他の子が助かるような動きをしたりなど、実は根底に隠れている優しさがわかりやすく見えるようになっていた。これは、幼い子供でもそのキャラクター性を理解できるように施された工夫なのではないかと考えた。
14.名探偵コナン 漆黒の追跡者(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
東京、神奈川、静岡、長野で、同一犯によるものと思われる殺人事件が発生。コナンはその広域連続殺人事件の捜査会議に、小さくなる薬を自分に飲ませた「黒ずくめの組織」のメンバーが紛れていることに気がつく。その後も殺人事件が続く中、コナンは危険を承知の上で、1人で捜査を進める。
最後、7人を殺した犯人が水谷だと発覚した直後に捜査会議に潜んでいたであろう人物が一瞬登場したシーンについて、視聴者は犯人が水谷だと知りそのことに頭が持っていかれている最中に一瞬黒ずくめの潜入者と気絶させられた警察官が映ることで消去法では犯人が割り出せないようになっているように感じた。あくまで最後まで誰が「黒ずくめの組織」のメンバーなのかを考え続けるようにする工夫なのではないかと思う。
15.名探偵コナン 天空の難破戦(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
大富豪の鈴木次郎吉は、自身がライバル視する怪盗キッドに挑戦状を叩きつける。その内容は、飛行船内で宝石を盗んでみろというものだった。次郎吉に招待されたコナンたちは、乗船してキッドを待つが、そこへ謎のテロリスト「赤いシャムネコ」が現れ、飛行船を襲う。
初期の劇場版と比べ、大きな一つの事件を追うという展開ではなく複数の事柄について同時並行で描いていく展開が多くなってきているなと思う。今回でいえば、怪盗キッドとの戦いと、テロリストである「赤いシャムネコ」との戦いが同時並行で描かれていた。そのため単純な犯人側と警察側の二項対立ではないため飽きにくくなっており、また毎年やっている映画のマンネリ化を防ぐための工夫のようにも感じた。
16.名探偵コナン 沈黙の15分(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
12月のある日、再選を果たした朝倉都知事宛に謎の脅迫状が届き、翌日開通したばかりの地下鉄トンネルが爆破された! コナンの機転で怪我人は出なかったものの、犯人は朝倉都知事が国土交通大臣時代に建設したダムの関係者だと思われ、コナンたちはダムが建設された新潟県へ向かう。移設5周年の記念式典を迎え多くの観光客で賑わう村、コナンは調査を始めるが、その矢先、雪原で不審な男性遺体が発見され…。
作品冒頭、コナンの「言葉は刃物なんだ」というセリフがあるのだが、これは大人や子供関係なくみんなが胸に刻むべき言葉であるなというふうに感じる。そのため毎年興行収入もよく、年齢層も幅広い「劇場版名探偵コナン」の中に取り入れることで多くの層、人々にこの言葉を届ける意図があったのではないかというふうに思った。
17.名探偵コナン 11人目のストライカー(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
コナンが少年探偵団や灰原たちとサッカー観戦を楽しんでいた頃、毛利探偵事務所に大規模爆破を予告する電話がかかってくる。それを阻止する方法は、犯人が残した謎の暗号を解読する以外にはなかった。蘭からの電話で事件を知ったコナンは、すぐさま暗号解読に乗り出す。
11人目のストライカーは2012年の作品なのだが、それよりも年代が前の作品と比べオープニングが変化しているように感じた。コナンをあまり見たことがない人でもわかるように必要最低限の説明があるという点では同じなのだが、光彦の「何ぶつぶつ言ってるんですか」や、灰原の「あれ忘れてるんじゃない」(この発言の後、決め台詞カットが入る)など、それまでにはなかった他の登場人物たちのメタ発言がとても印象的であった。この年からそれまで8年ほど監督を務めていた人から変わっているのを見ると、このメタ発言は静野監督の個性なのだというふうに感じた。
18.名探偵コナン 絶海の探偵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
海上自衛隊主催のイージス艦の体験航海に参加するため、京都・舞鶴港にやってきた蘭、小五郎、そして少年探偵団の一行。そんな中、謎の事件が発生して、ほどなくして遺体の一部が発見される。捜査に乗り出したコナンたちは、艦内に不審な人物が潜んでいることを突き止める。
作品終盤蘭が海にいることを知った後、コナンは蘭のつけている時計の電波から蘭の居場所を見つけ出せるかもしれないという渾身の案を絞り出し蘭を探しているみんながその案に対して希望を見出したシーンについて、終盤だということと、本筋である犯人はすでに逮捕されたということもあり多くの人がこれが蘭を見つける糸口になると感じたと思う。しかしながらすぐに成功させずにもう一波盛り上がりを作ったことにより蘭を救えるかどうかの緊張感が格段に上がったように感じた。
19.名探偵コナン 異次元の狙撃手(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
東京の高層タワーで男が狙撃される。超長距離からの狙撃という前代未聞の事態に、ある事件との関連を疑う米FBIと日本の警察との合同捜査が開始される。コナンも女子高生探偵の世良と共に犯人を追う。
異次元の狙撃手よりも前の作品と、今回の作品とではコナンの使用する携帯に変化があった。それまでガラケーだったコナンはスマホを使用するようになっていたのである。この作品は2014年のものであるが、小数であったとはいえ、現実でもこの年付近から小学生からスマホを使用しているという子が増えたと思う。特にそれが、いつも探偵バッチやサスペンダー、キックボードなど明らかに小学生らしからぬものをもっているコナンであれば違和感は薄いのかもしれないと感じた。
20.名探偵コナン 業火の向日葵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
ニューヨークで開かれたオークションで、鈴木次郎吉は焼失したといわれているゴッホの名画「ひまわり」を落札する。強固な護衛「7人のサムライ」を配備し、日本へ空輸するが、怪盗キッドによって絵画は盗まれてしまう。
今作は、他の作品と比べて犯人の手法にトリック的要素がなかったように感じる。いつもであれば、何か事件が起き、何人かの容疑者候補が現れアリバイなどを元に推理をしていくという流れがセオリーなのだが、今回に限り最後の推理パートの証拠は突発的で、作品を見てみる視聴者が推理できるというものではなかった。推理パートはついでに行われたと言われても納得してしまうほど雑なものなっていたと思う。
21.名探偵コナン 純黒の悪夢(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
警察に侵入したスパイが機密情報を持ち出そうとするも失敗し、スパイの車は道路から転落。翌日、コナンたちは水族館で記憶喪失になった女性を見つけ、回復の手助けをする。そのやりとりを、「黒ずくめの組織」が見ていた。
作品終盤キュラソーの死が暗示されるシーンにて、キュラソーの生前最期の登場シーンから彼女の死体は身元のわからないほど悲惨なものになっていないとおかしいが、名探偵コナンという幼い子も見るであろう映像にそこまでグロテスクなものを映せないという葛藤の末、“キュラソーの顔を見なくてもキュラソーだと認識できるものを持たせる必要”があったのだと感じた。状況が複雑化しても特に幼い子供たちに忘れさせないよう白色のいるかのキーホルダーを何度も印象付けさせることにより、どの年齢層でも見ている人たち全員に彼女の死をできるだけわかりやすく伝えていたのだと思う。
22.名探偵コナン から紅の恋歌(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
競技かるた大会の会見が行われている大阪のテレビ局で、爆破事件が発生する。中に取り残された探偵の服部平次、彼の幼なじみの和葉を助けたのはコナンだった。騒動のさなか、平次の婚約者だと言い張る大岡紅葉が現れる。
紅の恋歌の数何前の作品から今作も含め、コナン以外の登場人物が中心に据えられている作品が多いと感じた。それも中心に据えられているのは安室や赤井、平次などの、ぽっと出のキャラクターではなくコナン本編にも定期的に登場する人物たちだ。これは本編ではコナンが中心的になる分、映画では本編である漫画やアニメといった作品との差異を生み出すための工夫なのではないかと感じた。
23.名探偵コナン ゼロの執行人(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
東京サミットの会場となる予定の東京湾の巨大施設で、大規模な爆発事件が起きる。そこには、警察庁の秘密組織に所属する安室透の影があった。そしてコナンが彼の行動に不信感を抱く中、小五郎が容疑者として逮捕されてしまう。
今回の映画では様々なキャラが無音で何か大事なことを喋っているということが分かる口元を強調されたシーンが多く描写されていたと思う。今作は警察官と公安の違いだったり検察官と裁判官の葛藤が描写されていたりと他の作品よりも理解が難しいものとなっていたため、せめてここが重要になるというポイントをわかりやすく可視化して描写したのではないだろうかと思った。
24.名探偵コナン 紺青の拳(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
シンガポールを舞台に、コナン、怪盗キッド、京極真の3人が海底に眠る伝説の秘宝ブルーサファイアをめぐって三つ巴の戦いを繰り広げる。
今までのコナンの映画で三項対立が描かれていた場合、内容が複雑化して分かりにくくなることが多かったのだが、今作ではわかりやすく描かれていたため分かりやすかったと思う。前半ではコナン・新一vs警察が中心的に描かれており、後半では園子と京極の2人が中心的に描かれていて、なおかつ前半と後半の内容がそこまで関係の深いものではなかったという点が複雑化しなかった理由だと感じる。
25.名探偵コナン 緋色の弾丸(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
4年に1度のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」で賑わう東京。開会式では最高時速1000キロを叩き出す世界初の「真空超電導リニア」の開発が発表される。そんな中、名だたる企業のトップたちが、次々と拉致される事件が発生。一方、混乱に陥る会場を、FBIを待機させた赤井秀一が監視していた。
作品終盤、脱線したリニアの中にいた4人は怪我をしていたものの全員無事であったという結末であったと思うのだが、通常あそこまで勢いよく脱線し、衝突すれば死んでいてもおかしくないと思う。確かに物語的にコナンが乗車している以上、リニアに乗っている人たちは生存させざるを得ないが、それであればそもそも脱線まではさせないようにするなどもう少し自然にリニアをとめる演出ができたのではないかと感じた。
26.名探偵コナン ハロウィンの花嫁(映画)
監督/満仲勧 原作/青山剛昌
あらすじ
渋谷で開かれていた佐藤刑事の結婚式会場で、突然暴漢が乱入する事件が発生。同じ頃、過去に起きた連続爆破事件の犯人が脱獄する。やがて、その人物を見つけ出す公安警察の降谷だったが、直後何者かによって首輪爆弾をつけられてしまう。爆弾を解除するべくコナンが奔走する中、謎の仮装爆弾犯の存在が浮かび上がる。
今作はいままでのものとだいぶオープニングが変化しているように感じた。今までも、監督が変わるごとに少しずつオープニングの変化があったのだが、今回は主要人物の顔と名前のテロップが同時に出るとともに、その声優の名前が出るタイミングも同じであった。つまり、主要人物に限りその役の顔、名前、声優が一致するようになっていた。それと、オープニング最後に子どもたちがそれぞれ仮装をして登場したのだが、このように登場人物たちがその作品の題名にちなんだ服を着ているというのもはじめてだったと思う。
27.名探偵コナン 黒鉄の魚影(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
八丈島を訪れたコナンは、ユーロポールの職員が黒づくめの組織・ジンに殺害されたと聞く。そこで彼は、事件の真相を追うため海洋施設「パシフィック・ブイ」潜入する。
今作は今までの映画と比べて登場人物やその派閥が単純で分かりやすかったと思うものであった。これまでは複雑な派閥の中、どこに犯人が潜んでいるのか予想するという楽しみ方があったが、今作はその分、犯人であったピンガの二面性が印象強く、その部分で展開を面白くしていたように感じた。
28.ディセンダント(映画)
監督/ケニー・オルテガ
あらすじ
ロスト島という魔法のバリアで覆われ、ヴィランズたちが閉じ込められている島に暮らすヴィランズの子供であるマル、イヴィ、ジェイ、カルロス。そんな彼女らが善人の住むオラドン合衆国のハイスクールに転校することになり彼らは、フェアリーゴッドマザーの杖を盗むというミッションを受けて学校に行く。しかしそこで次第に自分たちの道を見つける。
この作品はミュージカルであり、物語の起点は歌であることがほとんどである。そのため歌の歌詞に注目したいのだが、一曲目の「Rotten to the Core」では根っからの悪、腐りきっているといったネガティブな歌詞が多かった一方で、最後の曲である「Set It Off」では生まれなんて関係ないといったポジティブな歌詞が多い。つまりそこから確かな変化が見て取れるのではないかと思う。
29.キングダム 大将軍の帰還(映画)
監督/佐藤信介 原作/原泰久
あらすじ
春秋戦国時代の中国、馬陽の戦いで、敵将を討った信と仲間たちの前に、存在が隠されていた趙国の総大将である龐煖が突如現れる。自らを「武神」と称する龐煖の圧倒的な力で、飛信隊の仲間たちは次々と致命傷を負う。 信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。
この作品は前作とセットで一つの章を描いているという形であり、人々の心を揺さぶる展開がこの後半につまっていたと思う。特に王騎の死というのがメインであったと思うのだが、その死を際立たせることとなる要因の一つである蒙武の失態についての描かれ方が少し薄いように感じた。原作とは違い尺が決まっているという問題点があるのかもしれないが、蒙武が言いつけを破り窮地に陥るまでのテンポがはやすぎるという印象を抱いた。
30.アイヌ学入門
著者/瀬川拓郎
あらすじ
海を渡り北方世界と日本を繋ぐ大交易民族としてのアイヌ。中国王朝と戦うアイヌ。従来のステレオタイプを覆し、ダイナミックに外の世界と繋がった「海のノマド」としてのアイヌ像を様々なトピックから提示する。
アイヌ人について、その文化から差別の現実まで様々なことがわかる内容となっている。私も含め、アイヌ人についての認識が間違っているという人はとても多そうであると感じた。この本を通して、まずはアイヌ自体のことを知って欲しい、あわよくば、現代を生きる多くのアイヌ人が抱える“アイヌと名乗ることは恥ずかしいことなのかもしれない”という現実が変わることを祈っているように思えた
1.ブラッシュアップライフ(ドラマ)
演出/水野格、狩山俊輔、松田健斗 脚本/バカリズム
あらすじ
あーちんこと近藤麻美は、市役所の窓口職員の33歳。小学生からの幼馴染で親友の、なっちと、みーぽんとの飲み会の帰りに、交通事故で亡くなってしまう。気が付くと死後の世界の受付のような場所で案内人に出会う。
この作品では初めから命が軽いものだという印象を受けた。例えば麻美の一週目の人生が終わり白い空間に飛ばされた際、大きく取り乱すわけでも泣くわけでもなくいたって冷静に案内人に自分が死んだことを伝えていた。麻美が二週目、三週目と人生を繰り返していくごとに“またやり直せるし”という考えから命が軽くなっていくのなら理解できるのであるが、初めから軽く感じたのは不思議であった。しかしその軽さがあったからこそテンポよくストーリーが展開していたというふうに感じる。
2.名探偵コナン 時計仕掛けの摩天楼(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
工藤新一宛てに、建築家の森谷からパーティーの招待状が届くが、コナンの姿では参加できず、彼は幼なじみの蘭に代理を頼む。その直後、街で連続放火事件が発生。その犯人と思われる人物が新一に爆破予告を突きつける。正体を隠しながら犯人と戦うコナン。しかし蘭までもが事件に巻き込まれてしまう。
これは1997年の映画なのだが、ところどころに時代を感じる表現などがあるように感じた。例えば犯人はボイスチェンジャーを使っていたのだがそのことに対し“手の込んだ”という発言があった。今であればボイスチェンジャーは気軽に使用できるものであるためこれは昔の映画だからこそのものなのだなと思う。それと阿笠博士が病院でブラウン管テレビを持ってくるというシーンがあった。その際“看護婦さんが貸してくれた”という発言があった。いまであれば“看護婦”とは差別的な用語であり放映されるには問題があるように感じるが時代が時代だったため問題にならなかったのかもしれないと思った。
3.名探偵コナン 14番目の標的(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
目黒警部・蘭の母で弁護士の妃英理・阿笠博士が何者かに命を狙われた。いずれも標的にされた人物が毛利小五郎と親しいことから、小五郎に恨みを持つ者だと推理し、事件の真相を追うコナンたち。さまざまなヒントを頼りに、海中レストランへ向かうが、そこには新たなる殺人劇が待ち受けていた…。
この作品ではラストシーンがただただ犯人を追い詰めるだけではなく過去にあった小五郎と英理のシーンと重なっている。コナンが小五郎の立ち位置、蘭が英理の立ち位置であったことから、新一と蘭、この二人の将来の関係性の揶揄かもしれないと感じた。
4.名探偵コナン 世紀末の魔術師(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
世間を騒がせる大怪盗・怪盗キッド。彼から、鈴木財閥の会長宅にあるロマノフ王朝の遺産”インペリアルイースターエッグ”を盗むという予告状が届く。怪盗キッドは予告通りエッグを盗み出すが、逃亡中に何者かに撃たれて行方不明に…。少年探偵団にも危機が迫る。
舞台が関西から関東になったり、今では定期的に登場するキッドや灰原哀といったキャラたちが初登場したり、複数の人物が全く違う思惑を抱えていたりとそれまでの二作品の映画とは異なる部分が多い映画だと感じた。特に舞台が大阪から城へ変わった際、キッドに関係なく物語が進んでいったため途中本筋が何なのか見失いそうになった瞬間があった。最後まで見るとそれまでのシーンの意味合いをしっかり理解できるのだが、定期的に現状を整理しつつ見ないと少々分かりづらい作品だというふうに感じた。
5.名探偵コナン 瞳の中の暗殺者(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
警察官を狙った連続殺人事件が発生。警察関係者が集まるパーティで佐藤刑事が襲われ、命を落とす。そこに居合わせた蘭が犯人の標的に。命を狙われる蘭をコナンは守り切れるのか…。
最後犯人から蘭とコナン二人で逃げるシーンがあったのだが、ボートに乗ったところで明らかに犯人の顔が見えるであろう距離になっても犯人が全身黒いままであった。その意図としては単純に最後の最後まで視聴者を楽しませるというのも大きいと思う。しかしそれに加えてもっとも犯人が近づいたということで、切羽詰まった状況であり、犯人が近くにいたとしてもそれを確認する余裕がないというのを表しているのではないかと感じた。
6.名探偵コナン 天国へのカウントダウン(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
キャンプの帰りに阿笠博士と少年探偵団たちは、日本一の高さを誇るツインタワービルに立ち寄る。ビル内では殺人事件が!さらにコナンは、ポルシェ356A-を目撃。灰原哀の怪しい動きや、黒の組織の存在に気づき、コナンは警戒を強める。
普段冷静沈着な灰原が、危険だとわかっていながら一瞬でも声が聞きたいがために姉に電話をかけるというシーンがあったのだが、そこにあまり見えない彼女の年相応の態度が見られたなと感じた。それと、最後爆風とともにビルからビルへ発車する直前、灰原が自己犠牲により他みんなを助けようとしたのを見て黒の組織に殺されるのは嫌だが、みんなのためなら死ぬことをいとわないという彼女なりのプライドが見えた気がした。
7.名探偵コナン ベイカー街の亡霊(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
仮想体感ゲーム「コクーン」の発表会が行われていた最中に、殺人事件が発生。コナンは事件の手がかりを求めて、コクーンに乗り込んだ。コナンは発表会に参加していた人たちと、助け合いながら事件を解決していく。
この物語序盤のノアズアークは、AIに対して危惧するべきことを伝えているのではないかと感じた。実際ノアズアークが暴走し子供達をゲームの世界に閉じ込めたとき、外からは干渉できずにただ傍観するしかなかった。つまりAIに完全敗北していたのである。確かにAIは便利であり上手く利用すればより生活しやすくなることは目に見えているであろう。しかしその一方で、自我を持った際のために対抗策を持っておくべきだということのメッセージ性があったのではないだろうか。
8.名探偵コナン 迷宮の十字路(映画)
監督/こだま兼嗣 原作/青山剛昌
あらすじ
東京・京都・大阪で5人の男性が殺される事件が発生。古美術品ばかり狙う盗賊団・源氏蛍のメンバーが相次いで殺害されたことから、コナンと服部平次は慎重に捜査を進めることに…。
今作は平治と和葉中心の恋愛色強めの作品であったが終盤、コナンが一時的に新一の体に戻るという事態が発生した。この展開は、平治と和葉の過去の話という誰もが予想できる順序通りな展開だけではなく誰もが予想できない、印象に残るようなシーンを作りたかったがために入れたのではないかと感じた。
9.名探偵コナン 銀翼の奇術師(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
怪盗キッドは、コナンの正体に気づいている数少ない人物の1人。その怪盗キッドが大胆にもコナンの前に工藤新一に変装した姿で現れた。蘭は新一との再会に心を揺らす…。
よく“愛の力は偉大”などという言葉を耳にするが、この作品はまさにその言葉を体言したものに見えた。映画の後半、飛行機の操縦をすることになったものの、緊張であったり、大勢の人の命を預かっているという不安から手が震えていた蘭なのだが、電話先の新一の声を聞いてから震えがおさまり冷静になっていたように思う。これはまさに愛の力なのではないかと感じた。
10.名探偵コナン 水平線上の陰謀(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
鈴木園子に招待された「豪華客船アフロディーテ号」の処女航海に招待されたコナンと蘭・少年探偵団一行。
多くの著名人や政界人なども乗船する優雅な時間を過ごしていましたが、園子が何者かにさらわれ、八代造船の社長が殺害、会長が失跡。15年前にも海難事故を起こしている八代造船。この2つの事件にコナンたちが巻き込まれていく。
今作は普段なかなかない、小五郎自らが事件の真相を明らかにするという結末であった。その理由として、真犯人の秋吉美波子という女性が彼の妻である英理にどことなく似ていたために彼女が犯人ではない理由を探していたのだが、探せば探すほど彼女が犯人だという根拠が集まってしまったというものであった。
映画からは少し離れてしまうのだが、原作の方にも小五郎自ら真相を明らかにするというエピソードがある。それは小五郎の同窓会の最中に起きた殺人事件である。
上記の事件の共通点として、ともに彼の身内に関係している。彼はもともと様々な難事件を解決できるポテンシャルを秘めており、そこに身内が関わってくると覚醒しそのポテンシャルを発揮するのではないのかと思った。
11.名探偵コナン 探偵たちの鎮魂歌(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
ある依頼を受けた毛利小五郎は、コナンと蘭、少年探偵団とともに、横浜のレジャーパーク「ミラクルランド」に隣接したホテルへと向かった。依頼人の秘書から受け取ったミラクルランドの腕時計型のフリーパスID。それには、閉園時間に爆発する「時限装置付きの爆弾」が仕掛けられていた…。
途中から一部捜査に加わった高校生探偵の白馬の正体が実は怪盗キッドだったというオチが最後に明らかになったと思うのだが、実はその前にも白馬が依頼人側の人間ではないと気がつけるシーンがあった。それは3人が伊東末彦の会社にたどり着いたということを確認するために伊東末彦が彼らのGPSを確認しているシーンである。伊東のモニターにはGPS付きのIDをもっている人数を示すであろう点が二つしか表示されていなかったのである。このような視聴者に向けた細かいヒントから、白馬はどこか怪しいと思わせる表現法はとても面白いと感じた。
12.名探偵コナン 紺碧の棺(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
財宝を探していたトレジャー・ハンターが、サメの群れに襲われて死亡する。毛利小五郎たちと一緒に島に居たコナンは、それが単なる事故ではないと気づき、捜査に乗り出す。
トレジャーハンターという目に見えて分かる悪人がいる分、真犯人は分かりづらくなるというミスリード的展開であった。このミスリードは他作品ではよく見る構図であったものの、幾多の事件が描かれている名探偵コナンという作品だからこそしっかりとミスリードがミスリードとして機能していたのだというふうに思った。
13.名探偵コナン 戦慄の楽譜(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
高名な元ピアニスト・堂本一輝の門下生たちが殺害される事件が発生する。そんな中、堂本音楽ホールのこけら落としコンサートに招かれるコナンたち一行。やがてコンサートの主役であるソプラノ歌手・秋庭怜子の命が狙われるが、コナンの活躍で彼女は事なきを得る。そして迎えた本番当日、入場直前に何者かに襲われて意識を失うコナン。蘭たちはそのことに気づかず会場へと向かい、やがてコンサートが始まってしまう。
今作に登場するソプラノ歌手・秋庭怜子について、一見厳しいが実は優しいというキャラクター性がわかりやすく描かれているように感じた。コンサート3日前なのにも関わらず小学校の校歌を教えてあげたり、トラックに狙われた際に自分を犠牲に他の子が助かるような動きをしたりなど、実は根底に隠れている優しさがわかりやすく見えるようになっていた。これは、幼い子供でもそのキャラクター性を理解できるように施された工夫なのではないかと考えた。
14.名探偵コナン 漆黒の追跡者(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
東京、神奈川、静岡、長野で、同一犯によるものと思われる殺人事件が発生。コナンはその広域連続殺人事件の捜査会議に、小さくなる薬を自分に飲ませた「黒ずくめの組織」のメンバーが紛れていることに気がつく。その後も殺人事件が続く中、コナンは危険を承知の上で、1人で捜査を進める。
最後、7人を殺した犯人が水谷だと発覚した直後に捜査会議に潜んでいたであろう人物が一瞬登場したシーンについて、視聴者は犯人が水谷だと知りそのことに頭が持っていかれている最中に一瞬黒ずくめの潜入者と気絶させられた警察官が映ることで消去法では犯人が割り出せないようになっているように感じた。あくまで最後まで誰が「黒ずくめの組織」のメンバーなのかを考え続けるようにする工夫なのではないかと思う。
15.名探偵コナン 天空の難破戦(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
大富豪の鈴木次郎吉は、自身がライバル視する怪盗キッドに挑戦状を叩きつける。その内容は、飛行船内で宝石を盗んでみろというものだった。次郎吉に招待されたコナンたちは、乗船してキッドを待つが、そこへ謎のテロリスト「赤いシャムネコ」が現れ、飛行船を襲う。
初期の劇場版と比べ、大きな一つの事件を追うという展開ではなく複数の事柄について同時並行で描いていく展開が多くなってきているなと思う。今回でいえば、怪盗キッドとの戦いと、テロリストである「赤いシャムネコ」との戦いが同時並行で描かれていた。そのため単純な犯人側と警察側の二項対立ではないため飽きにくくなっており、また毎年やっている映画のマンネリ化を防ぐための工夫のようにも感じた。
16.名探偵コナン 沈黙の15分(映画)
監督/山本泰一郎 原作/青山剛昌
あらすじ
12月のある日、再選を果たした朝倉都知事宛に謎の脅迫状が届き、翌日開通したばかりの地下鉄トンネルが爆破された! コナンの機転で怪我人は出なかったものの、犯人は朝倉都知事が国土交通大臣時代に建設したダムの関係者だと思われ、コナンたちはダムが建設された新潟県へ向かう。移設5周年の記念式典を迎え多くの観光客で賑わう村、コナンは調査を始めるが、その矢先、雪原で不審な男性遺体が発見され…。
作品冒頭、コナンの「言葉は刃物なんだ」というセリフがあるのだが、これは大人や子供関係なくみんなが胸に刻むべき言葉であるなというふうに感じる。そのため毎年興行収入もよく、年齢層も幅広い「劇場版名探偵コナン」の中に取り入れることで多くの層、人々にこの言葉を届ける意図があったのではないかというふうに思った。
17.名探偵コナン 11人目のストライカー(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
コナンが少年探偵団や灰原たちとサッカー観戦を楽しんでいた頃、毛利探偵事務所に大規模爆破を予告する電話がかかってくる。それを阻止する方法は、犯人が残した謎の暗号を解読する以外にはなかった。蘭からの電話で事件を知ったコナンは、すぐさま暗号解読に乗り出す。
11人目のストライカーは2012年の作品なのだが、それよりも年代が前の作品と比べオープニングが変化しているように感じた。コナンをあまり見たことがない人でもわかるように必要最低限の説明があるという点では同じなのだが、光彦の「何ぶつぶつ言ってるんですか」や、灰原の「あれ忘れてるんじゃない」(この発言の後、決め台詞カットが入る)など、それまでにはなかった他の登場人物たちのメタ発言がとても印象的であった。この年からそれまで8年ほど監督を務めていた人から変わっているのを見ると、このメタ発言は静野監督の個性なのだというふうに感じた。
18.名探偵コナン 絶海の探偵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
海上自衛隊主催のイージス艦の体験航海に参加するため、京都・舞鶴港にやってきた蘭、小五郎、そして少年探偵団の一行。そんな中、謎の事件が発生して、ほどなくして遺体の一部が発見される。捜査に乗り出したコナンたちは、艦内に不審な人物が潜んでいることを突き止める。
作品終盤蘭が海にいることを知った後、コナンは蘭のつけている時計の電波から蘭の居場所を見つけ出せるかもしれないという渾身の案を絞り出し蘭を探しているみんながその案に対して希望を見出したシーンについて、終盤だということと、本筋である犯人はすでに逮捕されたということもあり多くの人がこれが蘭を見つける糸口になると感じたと思う。しかしながらすぐに成功させずにもう一波盛り上がりを作ったことにより蘭を救えるかどうかの緊張感が格段に上がったように感じた。
19.名探偵コナン 異次元の狙撃手(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
東京の高層タワーで男が狙撃される。超長距離からの狙撃という前代未聞の事態に、ある事件との関連を疑う米FBIと日本の警察との合同捜査が開始される。コナンも女子高生探偵の世良と共に犯人を追う。
異次元の狙撃手よりも前の作品と、今回の作品とではコナンの使用する携帯に変化があった。それまでガラケーだったコナンはスマホを使用するようになっていたのである。この作品は2014年のものであるが、小数であったとはいえ、現実でもこの年付近から小学生からスマホを使用しているという子が増えたと思う。特にそれが、いつも探偵バッチやサスペンダー、キックボードなど明らかに小学生らしからぬものをもっているコナンであれば違和感は薄いのかもしれないと感じた。
20.名探偵コナン 業火の向日葵(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
ニューヨークで開かれたオークションで、鈴木次郎吉は焼失したといわれているゴッホの名画「ひまわり」を落札する。強固な護衛「7人のサムライ」を配備し、日本へ空輸するが、怪盗キッドによって絵画は盗まれてしまう。
今作は、他の作品と比べて犯人の手法にトリック的要素がなかったように感じる。いつもであれば、何か事件が起き、何人かの容疑者候補が現れアリバイなどを元に推理をしていくという流れがセオリーなのだが、今回に限り最後の推理パートの証拠は突発的で、作品を見てみる視聴者が推理できるというものではなかった。推理パートはついでに行われたと言われても納得してしまうほど雑なものなっていたと思う。
21.名探偵コナン 純黒の悪夢(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
警察に侵入したスパイが機密情報を持ち出そうとするも失敗し、スパイの車は道路から転落。翌日、コナンたちは水族館で記憶喪失になった女性を見つけ、回復の手助けをする。そのやりとりを、「黒ずくめの組織」が見ていた。
作品終盤キュラソーの死が暗示されるシーンにて、キュラソーの生前最期の登場シーンから彼女の死体は身元のわからないほど悲惨なものになっていないとおかしいが、名探偵コナンという幼い子も見るであろう映像にそこまでグロテスクなものを映せないという葛藤の末、“キュラソーの顔を見なくてもキュラソーだと認識できるものを持たせる必要”があったのだと感じた。状況が複雑化しても特に幼い子供たちに忘れさせないよう白色のいるかのキーホルダーを何度も印象付けさせることにより、どの年齢層でも見ている人たち全員に彼女の死をできるだけわかりやすく伝えていたのだと思う。
22.名探偵コナン から紅の恋歌(映画)
監督/静野 孔文 原作/青山剛昌
あらすじ
競技かるた大会の会見が行われている大阪のテレビ局で、爆破事件が発生する。中に取り残された探偵の服部平次、彼の幼なじみの和葉を助けたのはコナンだった。騒動のさなか、平次の婚約者だと言い張る大岡紅葉が現れる。
紅の恋歌の数何前の作品から今作も含め、コナン以外の登場人物が中心に据えられている作品が多いと感じた。それも中心に据えられているのは安室や赤井、平次などの、ぽっと出のキャラクターではなくコナン本編にも定期的に登場する人物たちだ。これは本編ではコナンが中心的になる分、映画では本編である漫画やアニメといった作品との差異を生み出すための工夫なのではないかと感じた。
23.名探偵コナン ゼロの執行人(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
東京サミットの会場となる予定の東京湾の巨大施設で、大規模な爆発事件が起きる。そこには、警察庁の秘密組織に所属する安室透の影があった。そしてコナンが彼の行動に不信感を抱く中、小五郎が容疑者として逮捕されてしまう。
今回の映画では様々なキャラが無音で何か大事なことを喋っているということが分かる口元を強調されたシーンが多く描写されていたと思う。今作は警察官と公安の違いだったり検察官と裁判官の葛藤が描写されていたりと他の作品よりも理解が難しいものとなっていたため、せめてここが重要になるというポイントをわかりやすく可視化して描写したのではないだろうかと思った。
24.名探偵コナン 紺青の拳(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
シンガポールを舞台に、コナン、怪盗キッド、京極真の3人が海底に眠る伝説の秘宝ブルーサファイアをめぐって三つ巴の戦いを繰り広げる。
今までのコナンの映画で三項対立が描かれていた場合、内容が複雑化して分かりにくくなることが多かったのだが、今作ではわかりやすく描かれていたため分かりやすかったと思う。前半ではコナン・新一vs警察が中心的に描かれており、後半では園子と京極の2人が中心的に描かれていて、なおかつ前半と後半の内容がそこまで関係の深いものではなかったという点が複雑化しなかった理由だと感じる。
25.名探偵コナン 緋色の弾丸(映画)
監督/永岡智佳 原作/青山剛昌
あらすじ
4年に1度のスポーツの祭典「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス」で賑わう東京。開会式では最高時速1000キロを叩き出す世界初の「真空超電導リニア」の開発が発表される。そんな中、名だたる企業のトップたちが、次々と拉致される事件が発生。一方、混乱に陥る会場を、FBIを待機させた赤井秀一が監視していた。
作品終盤、脱線したリニアの中にいた4人は怪我をしていたものの全員無事であったという結末であったと思うのだが、通常あそこまで勢いよく脱線し、衝突すれば死んでいてもおかしくないと思う。確かに物語的にコナンが乗車している以上、リニアに乗っている人たちは生存させざるを得ないが、それであればそもそも脱線まではさせないようにするなどもう少し自然にリニアをとめる演出ができたのではないかと感じた。
26.名探偵コナン ハロウィンの花嫁(映画)
監督/満仲勧 原作/青山剛昌
あらすじ
渋谷で開かれていた佐藤刑事の結婚式会場で、突然暴漢が乱入する事件が発生。同じ頃、過去に起きた連続爆破事件の犯人が脱獄する。やがて、その人物を見つけ出す公安警察の降谷だったが、直後何者かによって首輪爆弾をつけられてしまう。爆弾を解除するべくコナンが奔走する中、謎の仮装爆弾犯の存在が浮かび上がる。
今作はいままでのものとだいぶオープニングが変化しているように感じた。今までも、監督が変わるごとに少しずつオープニングの変化があったのだが、今回は主要人物の顔と名前のテロップが同時に出るとともに、その声優の名前が出るタイミングも同じであった。つまり、主要人物に限りその役の顔、名前、声優が一致するようになっていた。それと、オープニング最後に子どもたちがそれぞれ仮装をして登場したのだが、このように登場人物たちがその作品の題名にちなんだ服を着ているというのもはじめてだったと思う。
27.名探偵コナン 黒鉄の魚影(映画)
監督/立川譲 原作/青山剛昌
あらすじ
八丈島を訪れたコナンは、ユーロポールの職員が黒づくめの組織・ジンに殺害されたと聞く。そこで彼は、事件の真相を追うため海洋施設「パシフィック・ブイ」潜入する。
今作は今までの映画と比べて登場人物やその派閥が単純で分かりやすかったと思うものであった。これまでは複雑な派閥の中、どこに犯人が潜んでいるのか予想するという楽しみ方があったが、今作はその分、犯人であったピンガの二面性が印象強く、その部分で展開を面白くしていたように感じた。
28.ディセンダント(映画)
監督/ケニー・オルテガ
あらすじ
ロスト島という魔法のバリアで覆われ、ヴィランズたちが閉じ込められている島に暮らすヴィランズの子供であるマル、イヴィ、ジェイ、カルロス。そんな彼女らが善人の住むオラドン合衆国のハイスクールに転校することになり彼らは、フェアリーゴッドマザーの杖を盗むというミッションを受けて学校に行く。しかしそこで次第に自分たちの道を見つける。
この作品はミュージカルであり、物語の起点は歌であることがほとんどである。そのため歌の歌詞に注目したいのだが、一曲目の「Rotten to the Core」では根っからの悪、腐りきっているといったネガティブな歌詞が多かった一方で、最後の曲である「Set It Off」では生まれなんて関係ないといったポジティブな歌詞が多い。つまりそこから確かな変化が見て取れるのではないかと思う。
29.キングダム 大将軍の帰還(映画)
監督/佐藤信介 原作/原泰久
あらすじ
春秋戦国時代の中国、馬陽の戦いで、敵将を討った信と仲間たちの前に、存在が隠されていた趙国の総大将である龐煖が突如現れる。自らを「武神」と称する龐煖の圧倒的な力で、飛信隊の仲間たちは次々と致命傷を負う。 信を背負って、飛信隊は決死の脱出劇を試みる。
この作品は前作とセットで一つの章を描いているという形であり、人々の心を揺さぶる展開がこの後半につまっていたと思う。特に王騎の死というのがメインであったと思うのだが、その死を際立たせることとなる要因の一つである蒙武の失態についての描かれ方が少し薄いように感じた。原作とは違い尺が決まっているという問題点があるのかもしれないが、蒙武が言いつけを破り窮地に陥るまでのテンポがはやすぎるという印象を抱いた。
30.アイヌ学入門
著者/瀬川拓郎
あらすじ
海を渡り北方世界と日本を繋ぐ大交易民族としてのアイヌ。中国王朝と戦うアイヌ。従来のステレオタイプを覆し、ダイナミックに外の世界と繋がった「海のノマド」としてのアイヌ像を様々なトピックから提示する。
アイヌ人について、その文化から差別の現実まで様々なことがわかる内容となっている。私も含め、アイヌ人についての認識が間違っているという人はとても多そうであると感じた。この本を通して、まずはアイヌ自体のことを知って欲しい、あわよくば、現代を生きる多くのアイヌ人が抱える“アイヌと名乗ることは恥ずかしいことなのかもしれない”という現実が変わることを祈っているように思えた
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