REPLY FORM
スポンサードリンク
2年 橋原
RES
夏休み課題1~30
1.『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(アニメ)
作者:高田康太郎、麻生羽呂
監督:川越一生
〈あらすじ〉ブラック企業に勤めるアキラは、連日のパワハラやサービス残業により人間らしい生活をすることが叶わず、自殺願望を持つほど疲れ切っていた。そんな日々のとある朝、起床すると街はゾンビで溢れかえっていた。アキラはその様子を見ながら、「今日から会社に行かなくてもいいんじゃね?」と歓喜する。ブラック企業から解放されて自由の身となったアキラは、「ゾンビになるまでにしたい100のこと」というリストを作成し、親友のケンチョと共にその内容を達成すべく自分のやりたいことを次々に実現させていく。
〈考察〉物語序盤の会社に入社して希望を胸に抱き、新しい生活をスタートさせていく様子から、徐々に会社の闇に取り込まれ心身ともに疲弊していく様子を徐々に色が無くなりモノクロで表現し、会社から解放されて自由の身になった際にはモノクロから一気にカラフルな世界になる様子が主人公アキラの見ている世界を表していると感じた。また、血の表現を赤だけではなく色とりどりのカラフルな色で表現することで、ゾンビにあふれた世界をグロテスクに表現するのではなく、視聴者に不快感を与えず絶望した世界ではなく、あくまで主人公アキラの見ている楽観的な世界、コメディ作品ということを反映していると考える。
2.『アンデッドガール・マーダーファルス』(アニメ)
原作:青崎有吾
監督:畠山守
19世紀末の吸血鬼・人造人間・人狼など、異形な存在がまだ暮らしていた世界。首から下のない不老不死の探偵・輪堂鴉夜が、鬼殺しの異名を持つ半人半鬼の真打津軽と、彼女に付き従うメイドの馳井静句と共に、怪物専門の探偵「鳥籠使い」として数々の事件を解決しながら、鴉夜の奪われた体を探すなどそれぞれの目的のためにヨーロッパを巡る物語。
吸血鬼や人狼以外にも怪盗ルパンやシャーロック・ホームズ、モリアーティ教授など有名なキャラも多く登場し、探偵として様々な事件を解決したり、繰り広げる異能力バトルも迫力があったりするなど、物語の展開として見ていて飽きることがない。探偵として推理していく様や、鴉夜と津軽の目的である人物がつながっているなど、それぞれの目的や思惑が交差していて面白いと考える。
3.『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』(アニメ)
原作:天壱
監督:新田典生
8歳の時に乙女ゲーム「君と一筋の光を」の世界に転生していることに気付いたプライド第一王女。ゲームの通りなら、十数年後にはヒロインである妹のティアラ第二王女と攻略対象者たち、国民を苦しめる悲劇を巻き起こす最強外道ラスボスへと成り果ててしまう。特殊能力者が生まれる国フリージア王国で王位継承の証となる予知能力を目覚めさせたことにより第一王位継承者となったプライドは、持てる権力とチート能力で起こりうる悲劇から人々を救っていく。
乙女ゲームに悪役として転生し、主人公が前世の記憶を目覚めさせたことにより今までのわがままな性格とは一変して、素晴らしい人物となっていくというよくある設定だが、8歳から年齢が上がっていく話の展開から、年齢とともに体も心も強く成長していく主人公の様子を視聴者として間近で見ていくことで、応援したいなど主人公に対しての好感度が上がっていく作品だと考える。悲劇を回避し、本来なら憎まれるはずの攻略対象者達からも好かれ慕われているのに、元々のゲームでの自分の最悪具合を知っているが故に、常に怯えている主人公とそんな主人公を慕う登場人物たちの関係も見どころだと言える。
4.『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ後編』(映画)
原作:鈴木央
監督:阿部記之
七つの大罪の続編であり、黙示録の四騎士へとつながる物語。
メリオダスたちの冒険から14年後、メリオダスとエリザベスの息子・トリスタンが両親から受け継いだ大きな力と向き合いながら、戦いに挑む冒険ファンタジー。前編ではトリスタンがエリザベスを救うために元聖騎士・デスピアスと対峙し、後編ではデスピアスとの対決が佳境を迎え、前編で出会った妖精の正体とトリスタンとの過去が明かされ、壮大な物語が展開していく。
後編では、七つの大罪メンバーも登場しファンに嬉しい展開となった。原作では少しだけ描かれたトリスタンとランスロットの過去の場面を大きく扱い、それに対し抱えていた両者の葛藤なども描かれ、黙示録の四騎士につながる話としてふさわしいと考える。また最後までランスロットとバン、ランスロットとキングが邂逅しなかったこと、キングとディアンヌの子供なども描かれず終わったことで、黙示録の四騎士本編でもまだ出ていないことは描かれず、より本編を楽しみにさせている。
5.『劇場版アイドリッシュセブン LIVE4bit BEYOND THE PERiOD』(映画)
原作:バンダイナムコオンライン/都志見文太
監督:錦織博、山本健介
「ブラック・オア・ホワイト ライブショーダウン」を争った男性アイドル界のトップランナーたち、4つのグループによる夢のライブが開催。IDOLISH7・TRIGGER・Re:vale・ZOOLのそれぞれ異なる魅力を持つ4組が一同に会し、壮大なライブエンタテインメントが今幕を開ける。
この作品は映画でありながらも、アイドルたちのライブ映像を見ることができ、応援上映もできるなど、まるで本当のライブ会場にいるかのような感覚になることができる。正面から、後ろから、横から上からのライブ映像が見れ、実際のライブでは見ることができない角度からの映像があることや、また通常のライブに行ける回数には限りがあるが本作は上映期間の限り何回も見に行けることができるなど、映画という形を最大限に生かしている。内容もライブさながらであり、一曲一曲フルでアイドルたちのダンスと歌や、曲間のMC、全グループでの歌を映画館という大画面で見られること、また最後に期間限定でアフタートークがあるなど、ファンたちが喜ぶことが多くあり、制作側はファンたちのことをとても理解していると感じた。
6.『亜人』(漫画)
原作:三浦追儺 漫画:桜井画門
「亜人」と呼ばれるその生物は死なない。病気の妹の為に医者を目指していた高校生・永井圭はある日、交通事故で死ぬが、その直後に生き返った。そのことから彼が亜人であり人間でないことが判明し、そこから圭を取り巻く環境が一変する。政府に追われる身となった圭に、手を差し伸べたかつての幼馴染・海斗や、他の亜人である佐藤と出会い、亜人と政府の戦いに巻き込まれていくことになる。
主人公は医者を目指していたことから頭が良く、読んでいて為になる知識も多くあり、主人公と佐藤の頭脳戦もとても見ごたえがある。最初の妹を思う優しい兄という印象から変わる描写や、主人公の亜人特有の性質がなぜ強いのかそれが明らかになる場面、亜人はなぜ生まれたかという問いに対する答えとしての過去を想像する場面などが見ていてとても引き込まれるようで、そういった場面の描写の描き方が非常に優れていると考える。そして冷酷に見えた主人公の人間らしさが垣間見えたり、ずっと冷静に、持つ知識を使って戦ってきた主人公が最後は運に頼ったり、戦いが終わった後の主人公の目指す場所と終わり方が、ストーリーとしてとても面白くまとまっていると考える。
7.『憂国のモリアーティOp.5 最後の事件』(舞台)
原作:三好輝、竹内良輔
脚本・演出:西森英行
時は19世紀末、大英帝国最盛期のロンドン。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間たちに支配されている大英帝国。生まれ落ちた時から一生涯の階級制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。ジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話。そして天才的な頭脳を持つウィリアムと志を共にする仲間たちと共に、国から階級制度をなくす計画が佳境を迎えていた。
漫画原作の舞台であるが、原作のセリフや場面、キャラクターが忠実に再現されていて、原作ファンも舞台ファンもみんな楽しめる作品だと考える。ミュージカルとしても歌の迫力が凄く、このセリフを歌にしたのかと思う曲の作りこみや、時には映像を使うなど、舞台を生かしたそれぞれの場面の映え方が工夫されていた。また最後がどのように終わるのか気になっており、状況的にアニメでの終わり方かと思ったが、アニメにはない漫画の場面での終わりとなり、誰もが納得する終わりだと感じた。
8.『もののがたり』(漫画)
原作:オニグンソウ
歳を経た器物は、やがて神錆びて心を宿し付喪神となる。付喪神は常世と現世をつなぐ存在であり、そんな付喪神を常世に還すことを生業とする塞眼という一族がいた。その一族の一員であり付喪神に大切な人を奪われ、憎む青年・兵馬と六人の付喪神と共棲し、家族として愛する少女・長月ぼたんが、訳あって一緒に暮らすことになる。三者交わる共同生活、前途多難な屋根の下で繰り広げられる人と物、絆と恋の物語。
話の内容としてはバトルものに思われるが、付喪神によって家族を失った青年と、付喪神と家族として暮らしている少女の対比から両者がそれぞれの心に寄り添いあっていき、最後には結婚するという流れから、最初から一貫してこの物語は青年と少女の恋の物語だったということに気付かされる。また少女と暮らしている付喪神たちが婚礼調度であることからも最後本来の役割を行うことが物語としてまとまっていると考える。
9.『青の祓魔師』(漫画)
原作:加藤和恵
奥村燐とその双子の弟・雪男は神父・藤本獅郎に育てられ、修道院で暮らしていた。中学卒業から間もないある日、燐は「悪魔」の存在を知る。燐は悪魔の王「魔神(サタン)」の息子であり、その力を受け継いでいた。養父の獅郎は祓魔師であり、サタンの干渉から燐を守っていたが、サタンに憑依された後、命を懸けて燐を守り死んでしまう。燐は己の無力さを悔やみ、祓魔師になってサタンと戦うことを決意する。そして祓魔師となるべく専門の学校に入学する。
燐と雪男は双子だが、悪魔の力を持っているのは燐だけである。そのことを雪男は嫉妬のような感情をもっており、最初は雪男にも悪魔の力が目覚めて欲しいと感じていた。しかし、物語が進むにつれ、最終的には雪男は悪魔になることはなく人間として、どんどん悪魔として成長していく燐と対比的に描かれるようになる。それは、燐と雪男の母親であるユリが人間と悪魔の共存を願っていたことから、燐は悪魔として雪男は人間でいることに大きな意味があるのだと考える。悪魔になるのではなくあくまで人間として燐のそばに双子として存在し、時にはぶつかりあい、お互いに複雑な感情を抱きながらも、心の奥底では兄弟としてお互いを何より大切に思いあっている、仲の良い二人の姿がユリの描いた悪魔と人間の理想であり、希望なのだと感じた。また、そのユリの願いを知っているのが燐だけであることも燐が悪魔としてだけではなく、人間に寄り添う人間の心をもった悪魔という立場を引き立たせていると考える。
10.『クズ悪役の自己救済システム』(アニメ)
原作:墨香銅臭
監督:秦鶴陽
修仙の世界を舞台に、登場人物はみんなイカれて傲慢なのに、主役より強いキャラクターが出てこないという長編ハーレム小説「狂傲仙魔途」。トンデモ設定ばかりで伏線の回収もないその終わり方に納得できず、毒づいた言葉を書き込んだ沈垣は肉まんを喉に詰まらせて死んでしまう。しかしあろうことか、その小説の世界の主人公・洛氷河を苦しめるクズ悪役・沈清秋に転生してしまった。悪役の身に待ち受ける悲惨な結末を回避して生き延びるため、小説転生システムのルールを守りながら、沈清秋(沈垣)が動き始める。
転生したのがかなり洛氷河をいじめてしまっていたあとだったが、生き残るため主人公にこれまでとはかわって優しくしようとする主人公と、そんな主人公を最初は不振に思いつつ慕うようになる洛氷河の関係性の変化が面白い。また、すぐ優しくできるというわけではなく、悪役としてのキャラ設定を守らなければならないというシステムがあることで、ルールを守りつつ奮闘する主人公の姿が際立ち、より面白くさせていると考える。キャラ設定故にクールなキャラでいる主人公だが、実際は現代から転生したオタクであり、内心ハラハラしっぱなしというギャップや主人公の環境適応能力の高さに驚かされる作品である。元は中国の小説だが、アニメになることで設定が少し変わり万人受けしやすい作品になっており、アニメならではの工夫が多くされているところも原作とはまた違った良さがあり見どころの一つである。
11.『SAND LAND』(映画)
原作:鳥山明
監督:横嶋俊久
魔物と人間が共存するサンドランドは水のない砂漠の世界。唯一の水の所有も人間の国王が持っていた。サンドランドに暮らす悪魔の王子ベルゼブブは、魔物のシーフ、人間の保安官ラオと共に、水を失った砂漠のどこかにあるという幻の泉を探すため、危険な旅に出る。
人間より純粋な魔物と欲にまみれた人間、それだけではなく魔物の魔物ゆえの邪悪さや強さ、弱いだけではなく強い人間がいることや、正義を持つ人間など種族を超えて、あらゆるものの可能性が広く描かれていると感じた。また、始まりの泉を探しに行くとこから、危険な旅を経て様々な真実を知り、最後には水を得るところまで話の起承転結が綺麗にまとまっており、作品として見やすいと考える。最後のエンディングの入りもまた感動する。
12.『青のオーケストラ』(アニメ)
原作:阿久井真
監督:岸誠二
世界的に有名なヴァイオリニストである父のもとコンクールで活躍した、元天才ヴァイオリニストの青野一。とある理由からヴァイオリンを辞め無気力になっていたが、中三の秋に同級生の秋音律子との出会いをきっかけに音楽への情熱を取り戻す。青野は秋音とともにオーケストラ部のある海幕高校に進学するが、そこは強豪校の厳しい練習とさまざまな悩みを抱えた部員たちが一つの音を作るためにぶつかり合う世界だった。
漫画を読んでいてアニメで見たいシーンが多くあり、特にアニメ2話の最後に主人公がカノンを演奏するシーンは楽しみにしていたが、期待以上に素晴らしかった。アニメでの普段の演奏シーンはCGが使われているが、カノンのシーンは普通の作画で描かれており、そのことからもそのシーンにかける制作陣の意気込みの強さも大きいということがわかる。音があることで主人公やオーケストラ部の部員たちのそれぞれの演奏の違いや、演奏にかける思い、表現の仕方がよりダイレクトに伝わり、漫画とはまた違うアニメだからこそ表現できる世界観だと考える。
13.『101人目のアリス』(漫画)
原作:かわい千草
近隣諸国の音楽エリートが集まる音楽学校・モンドヴィル学園。通常は定員が100人だが、101人入学した年があった。祖父の願いとある目的を持って、その学園に入学したアリスティドは、実は音楽の基礎をほとんど身に着けていなかった。そんな彼をみんなは「101人目」と馬鹿にする。ところがヴァイオリンの授業で、ある彼の演奏を耳にしたとき、周囲の笑いは凍り付いた。波乱万丈なアリスの学園シンフォニーが開幕する。
音楽の基礎がなくても、ある曲では人々を魅了し驚かせる演奏をしたり、たまに天才的な音楽の才能を見せたりするなど、設定としても魅力的であり、読んでいて主人公の成長や演奏がとても楽しみな作品である。徐々に明らかになる主人公の目的や、隠れた才能の秘密、主人公の周りの人間関係も変化していくことで展開としても見飽きることはない。主人公もヴァイオリニストとして成長していくが、それと共に周りの登場人物たちも過去や家族というそれぞれに抱える闇から救われ成長していく物語だと考える。
14.『空棺の烏』(小説)
原作:阿部智里
八咫烏シリーズの第四弾。
人間の代わりに八咫烏の一族が住まう世界「山内」。優秀な兄宮が廃嫡され日嗣の御子の座についた若宮。若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に巻き込まれていく。エリート武官を養成する全寮制の学校「勁草院」に入学した雪哉。次の日嗣の御子たる若宮派と巻き返しを図る兄宮派との間で激化する対立の中で次々と起こる事件に雪哉は立ち向かい、また「勁草院」の競争の中で少年たちは友情を深めていく。
本作は若宮の近衛になると決意した主人公・雪哉が今までは優秀なことを隠し愚かなふりをしていたが徐々に本来の力を見せていく、シリーズの中でも読者が待ち望み楽しみにしていた展開になっていると感じる。雪哉の頭が良く冷静で冷酷な部分がより顕著に表れ、他の登場人物とは違う凡人ではない非凡な主人公という魅力が際立っている。また宮中を舞台としていた前作までとは違い、猿という敵、主従ではない仲間とのつながり、先代金烏の死の謎が描かれたことで、物語の世界が広がり、新たな展開が生まれたシリーズの転換点になった巻だと考える。
15.『サマーウォーズ』(映画)
監督:細田守
世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界OZがある世界。数学が得意な高校2年生の健二は憧れの先輩である夏希から、長野県上田市にある夏希の実家に一緒に行くというバイトに誘われる。26人の親戚が集まる中で健二は、ひょんなことから夏希の婚約者のふりをすることになった。宿泊中の夜、OZから謎のメールが届いた健二はその暗号を解いてしまう。翌朝起きると、OZのシステムがダウンし国中大混乱になり、その犯人として健二が指名手配されていた。
作中で夏希の実家に来た時期は甲子園の県予選の最中であり、そこに夏希の親戚が上田高校の野球部として登場し、度々中継が描かれている。その上田高校が好調に勝ち進んだ時には主人公たちの状況も好調に進み、危機的な場面を迎えた際は主人公たちも危ない状況に陥るなど、試合状況と作中の展開がシンクロしている。また隠し子という立場である侘助と本家の親戚たちは複雑な関係ではあるが、侘助が栄おばあちゃんを大切に思っていることや親戚たちと途中から協力関係を築くこと、幼い頃から夏希が慕っているという点を踏まえると、栄が幼い頃から侘助を他の子どもたち同様大切に育てていたということがうかがえる。作風も仮想世界のOZと現実世界が共存して描かれ、表現も現実ではできないことができるが、今の世でありえそうなことでもあるので、視聴者に非現実感だけではなく現実味をもたせ楽しませる作品だと考える。
16.『ヒックとドラゴン1.2.3』(映画)
原作:クレシッダ・コーウェル
監督:ディーン・ジュボア、クリス・サンダース
以前より、バイキングとドラゴンの戦いが続いているバーク島。ある日、ひ弱な少年・ヒックは自分の開発した武器で最も危険とされるドラゴンのナイト・ヒューリーにケガをさせることに成功する。しかし誰もそのことを信じてくれない。ドラゴンを探しにいき、そこで自分がケガをさせたドラゴン・トゥースと出会う。ドラゴンの習性を知り、トゥースと友情を築いていく中で、ドラゴンを敵と決めつけるバイキング達の意識を変えたいと思うようになる。
1作目のトゥースと出会って心が通じ合う場面と、3作目でトゥースと別れの場面のトゥースとヒックの構図が一緒であり、友情が芽生え、育み、仕方がなく別れが訪れるというヒックとトゥースの友情物語としての最初と最後での対比だと考え、意図的であると考える。また冒頭部分にヒックがバーク島とドラゴンの立ち位置についての語りのシーンがあり、最後にもヒックの語りがあるが、その最初と最後での語りの対比も面白く、かっこいいと感じる。最初は凶暴で怖い存在に見えたドラゴンも、人間と仲良くなるにつれ可愛く描かれるようになり、ペットであり友達であり家族になった人間のドラゴンたちの見え方が変化しているからだと考える。
17.『この音とまれ!』(漫画)
原作:アミュー
先輩が卒業して箏曲部唯一の部員となってしまった武蔵。四月になり新入部員の勧誘に励むのだが、部の存在自体も知らない人もいる状態。そんな彼の前に見るからに不良である久遠愛が入部したいと言い出す。筝の家元の娘・鳳月さとわや、愛の友達の堺、足立、水原や、何か思惑がある来栖なども入部することになる。各々が抱える問題や過去と向き合いながら全国大会に向けて日々練習に励んでいく。
本作は主人公達がいる高校の箏曲部がメインとなるが、大会などで演奏をするにあたりその他の高校、部員にスポットが当たることがあり、それぞれの筝にかける思いが描かれるので誰もが主人公であるのだと感じさせる。主人公である久遠愛や鳳月さとわの重い家族関係や、倉田武蔵の弟との確執、顧問である滝波先生、筝曲部員の友情など漫画らしい設定もありつつ人間関係や天才と平凡の才能の違いなどがリアルでもあり、箏を通じて描かれるその家族関係と友人関係がとても感動する。最新話では全国大会に進み、最初は否定的だった滝波先生の筝曲部員への思いと笑顔が初めて描かれたり、愛の父親が遂に登場したりするなど読者が待ち望んでいた展開が訪れ、より一層引き込まれる展開だと考える。
18.『そこで星屑見上げてろ』(漫画)
原作:奥悠
国民的アイドル・天川秀と元有名女優の息子・天川彗は、父親の影響力によって平穏だった日常生活が少しずつ崩れ始めていた。その反抗心から、父親が関わっているアイドルオーディション番組「スターダストスターダム」に参加し、ぶち壊そうと決意するが、徐々に真剣にアイドルを目指し練習に取り組むようになる。
主人公が国民的アイドルと元女優の息子という立場から描かれる二世の苦悩や国民は知らない事情、近年多く見られるオーディション番組の裏側がリアルに描かれ、ストーリーとして非常に面白いと考える。最初は父親への復讐として参加した主人公も徐々にやる気と父親譲りの才能が現れ始める展開や設定も多くの読者が好きな特別な血筋と才能を持ち、恵まれた環境だけではなく重い過去や事情もあるという普通ではない主人公であり、そんな主人公がトップアイドルになっていくような成長物語であることも、作品を面白くさせていると考える。
19.『サツドウ』(漫画)
原作:雪永ちっち
製菓メーカーに勤めるごく普通のサラリーマン・赤森六男。ある日、残業を終えて帰宅途中、六男はオヤジ狩りをしている半グレ集団に遭遇する。六男も因縁をつけられるが、武器を持った半グレ集団を一瞬で倒してしまう。実は六男は伝説の殺法術「背神活殺流拳法」を受け継ぐ「赤森家」の子孫だった。平凡ではないサラリーマンが、平穏を求め迫りくる敵を倒し歩む、血と格闘にまみれた物語。
本作は一見平凡なサラリーマンが実はすごく強く、伝説の血筋を持った普通ではない生まれの主人公という、前述でもあるように読者が好む設定と言える。格闘の話であるので主人公や主人公を倒そうとする格闘家、暗殺者などとの戦いシーンもかっこよく描かれ、誰もが一度夢見た展開や設定であると考える。また、主人公は赤森家の六番目の子供であるので主人公の上にも兄弟がおり、存在がほのめかされるものの未だに全員登場していないことや、主人公の子供時代や家から抜けサラリーマンをしている理由が明確に明かされていないことから、この先の展開も読者を非常に楽しみにさせていると考える。
20.『8クラス魔法使いのやり直し』(漫画)
作者:Tess、Ryu song
皇帝ラグナルと帝国のため手を血に染めてきた数十年間。故郷に戻り、罪を償うごとく静かに暮らしていた8クラスの大魔法使いのイアン・ペイジ。ところが、友であり主君であったラグナルに裏切られ命を奪われそうになる。その時、時間魔法の呪文が刻まれている短剣で自らの心臓を貫き、30年前の過去に戻ってきた。人類初の8クラス魔法使いであるイアンが未来での死を防ぐべくやり直しをする物語。
本作は最強である魔法使いが過去に戻り、自らの後悔や死を防ごうと奮闘する話であり、過去の選択を違うものにしたり、本来もっと先に知るような出来事を過去に戻ってきたという強みを生かし、地位や強さを確立していくという設定自体は王道の回帰ものであるが、読者が好む設定だけではなく、作品自体に魅力があり楽しめる物語だと考える。主人公が無双していく展開もだが、本来の過去では知りえなかった真実が違う選択をしたことにより明らかになる展開もまた面白いストーリー構成である。終わりに近づくにつれ、この物語はイアンの2回の人生を経た、イアンとラグナルの友情関係を描いている物語なのだと感じた。
21.『武功教官ペク教師』(漫画)
作者:ORIBORI、S.JLEE、Ganjiajang
血教で教官をしていた男は捕らえられた天下一を争う四人の高手たちに10年間教えを請い、彼らと共に血教に反逆する。その後敗北し殺されたが、田舎にある武館のペク師匠に転生した。4人の師匠から授かった武功ともう一つの武功を駆使し青龍学館の人気講師になるべく教官として就職する。そこで師匠たちの武功を継承する弟子を探し、滅びたと言われる血教との過去の因縁に巻き込まれながら、武術界を鍛えなおしていく。
本作は武俠小説で転生ものというよく見られる設定だが、主人公が学校に入学する生徒ではなく先生というのが多くの作品との決定的な違いである。教師だからこそ、教わる立場ではなくものを教える立場として生徒や権力を持った家系に媚をうるような同僚たちを指導し正しい道につき進めるように指導していくことが本作の最大の魅力だと考える。また転生する前と転生した後で主人公自身も考えを改め、武功の強さも指導方法も成長していくので主人公個人も魅力的な作品である。
22.『ランカーの帰還』(漫画)
作者:zuno、TOWALK、B-ram
バーチャルリアリティゲーム「アレナ」の初期、世界最高のランカーだったメレーゴッド。そんな最強のランカー・メレーゴッドは突然姿を消した。メレーゴッドの正体である五条政典はアカウントを削除してゲームを辞めていた。しかし親の会社が倒産し多額の借金を背負ったことにより、生きるためお金を稼ごうと「アレナ」に復帰することを決意する。メレーゴッドだった正体を隠し、新たなアカウントを作り、名前をガキ大将としてゲームを進めていく。
主人公は元々ゲームの世界で最強の存在であり、ゲームを辞め新たなアカウントとして戻ってきたが、普通ならレベルも装備もない弱いアカウントでも強いという天才的な人物である。そんな主人公がレベルも装備も上のアカウントたちに勝利し、さらに驚異的な速度で成長し周囲を震撼させていくという展開は読者が好む無双ものであると言える。主人公のゲームへの考えの根底にゲームを楽しむという意識があり、単純にゲームを楽しんでいない、悪用しているような者たちを倒していく様子もまた爽快である。作中では度々ゲーム内でライブ配信が行われ、ライブ配信をしている体で視聴者のコメントも描かれ、本物のライブ配信をしているかのように話が進んでいくのだが、小説や一般的な漫画よりも読みやすく、webtoonの縦読みフルカラーだからこそ映える絵で強みを最大限生かしていると考える。
23.『無限の魔法使い』(漫画)
作者:Themis、kiraz、kim chi woo
厩舎に捨てられて平民として育てられたシロネ。生まれ持った洞察力で文字を学び、街に出たある日興味のあった魔法を経験する。それ以来魔術師を夢見るが、身分の壁がシロネに厚くのしかかる。大人になる前にこの世の裏側を知り尽くしてしまったシロネだが、ある日育ての父によって紹介された仕事により、道が少しずつ開けていくようになる。貴族が力を持つ歪んだ世界で魔術師になるため奮闘する。
主人公は平民でありながらも、貴族の生まれを感じさせるどこか普通ではない才能を持った人物である。夢を諦めることも、育ての両親を否定することもなく、逆境に立ち向かい成長していく様は読者に勇気を与えてくれると感じた。貴族の登場人物は心根は優しくても、結局はどこまでも貴族的な考えも持つ自分勝手な人物たちであり、そんな貴族たちに振り回されながらも強い意志と目標持って人生を歩んでいく主人公の姿は、単なる天才の最強になっていくような話ではなく、リアリティを持った深い話だと感じさせる。
24.『来世は他人がいい』(漫画)
作者:小西明日翔
極道の家で生まれ育った女子高生・染井吉乃。家庭環境は特殊でも、おとなしく平穏に日々を過ごしてきた。しかし婚約者だという深山霧島と出会い、彼の暮らす東京の極道の家に居候することになる。はみ出し者たちが織り成す、スリルと笑いが融合した極道エンタメ。
主人公は自分は普通だと考えているが、組長である祖父譲りの根っからの極道の考えを持った人物であり、それが初めて描かれ霧島が惚れるきっかけとなったシーンや、主人公の極道の部分を見せるシーンは迫力があり、読者を引き込ませるような魅力があると考える。物語が進むにつれ、主人公の父親が死んだ本当の理由や主人公が霧島の家に居候することになった本当の祖父の考え、霧島の主人公への思いの深さが明かされることになり、物語の展開としても面白い。本作は極道の世界を描き、フィクションであるのだが、登場人物や極道と一般人の世界の描かれ方がどこかリアルで現実味があるようで、重い話のような雰囲気を感じさせる。
25.『出禁のモグラ』(漫画)
作者:江口夏美
大学生の真木と八重子はある日、空から降ってきた広辞苑で男がケガをする現場に遭遇する。男は頭から血を流しているのに救急車も警察も嫌がり、どこか様子がおかしい。そして自らを仙人と名乗ったこの男・百暗桃弓木(モグラ)と出会ってから二人は何か妙なものが見えるようになる。モグラの目的のため、おかしなものに巻き込まれ、時に首を突っ込みながらモグラと関わっていく。
本作はこの世の幽霊や神様といったものが描かれ、モグラ自身もあの世に行けない元神様という立場であり、あの世のことなどを知っているように語っていることから、作者の前作である『鬼灯の冷徹』とつながっており、前作の登場人物がいずれ出てくるのではないかという期待感を持たせている。実際、最新話では前作の登場人物を感じさせるような人物が出てきており、他の登場人物や特に主人公の鬼灯の登場がとても楽しみである。また、作者は人間関係や個人の在り方を描くのが非常に優れていると感じ、それをまた作者特有の絵柄で引き立たせていると考える。リアルなだけでなく合間に挟まれるギャグも面白く、作品も重くなりすぎず読みやすいと感じる。
26.『陰陽師と天狗眼』(小説)
作者:歌峰由子
古より怪異と隣り合わせの町・広島県巴市。巴市役所の「危機管理課特自災害係(通称もののけトラブル係)」に採用された、出雲の高名な陰陽師一族出身ながら、少し訳アリの黒髪美青年・宮澤美郷と、幼い頃に在野の天狗を名乗る男に拾われ、フリーの山伏となった金髪緑銀眼の男・狩野怜路。いきなり同居することになった異色の二人が、現代に起こる怪異を華麗に、お役所仕事に追われながら解決していく。
美郷は陰陽師一族の才能あふれる身でありながら、呪いをうけたことで家から追われる羽目になったり、腹違いの弟がいたりなど生まれも育ちも複雑であるものの、それを感じさせない普段の明るい態度や時折見せる裏の部分が描かれることが魅力的である。しかし複雑ではあるもののそこまで父親や弟との関係は悪くもなく、徐々に家族関係などが明かされていく展開もまた面白い。陰陽師と山伏が怪異に立ち向かうという内容だが、アクションが多いバトルものではなく、仕事として怪異の事件を解決する日常物であるため、読みやすいというのも魅力の一つであると考える。
27.『グッド・ドクター名医の条件』(ドラマ)
原作:パク・ジェボム
企画:デイヴィッド・ショア
カリフォルニア州の権威ある聖ボナベントゥラ病院。院長グラスマンは、自閉症だが天才的な記憶力と驚異的な空間認知能力を持つサヴァン症候群の青年ショーンを自らの病院に外科研修医として招く。だが院長の座を狙う外科部長マーカスなど理事会メンバーや多くのドクターは、ショーンが自閉症であること自体が患者に不安を与えたり、現場に混乱をもたらすと彼の勤務に反対する。それでもただドクターになるという一心で、ショーンは難病を抱える患者たちを次々と救い、院内で旋風を巻き起こしていく。
元々は韓国原作のテレビドラマで、日本でもリメイクされ放送されている作品であるが、本作はアメリカ版のドラマである。韓国と日本のドラマを見ていないので比較できないが、本作だけ見てもとても面白い内容であり、その内容から世界各国でリメイクされているのだと考える。主人公の周りの登場人物の自閉症の捉え方、主人公への対応が最初の態度から主人公に関わっていくことで変化していく様子や、医者の苦悩、上司との関係の描かれ方にリアリティがあり、視聴者を魅了するストーリーだと感じた。
28.『真夜中のオカルト公務員』(漫画)
作者:たもつ葉子
東京23区全ての区役所に人知れず存在する“夜間地域交流課”。そこはアナザーと呼ばれるものと人間の問題“オカルト的事象”を解決する特殊な課だった。その新宿区役所に配属された社会人一年目の宮古新。配属一日目に本来なら理解できないはずのアナザーの話し声がわかる特殊な耳を持つ事が判明し、新宿御苑で会った天狗に「安倍晴明だ」と言われる。特殊な耳「砂の耳」を駆使し、アナザーの問題を解決していく区役所職員の物語。
主人公は他の人物が聞くことが出来ないアナザーの声が分かるという特殊な耳を持っていることで、アナザーの事件を解決するのにも役立つのだが、アナザーと人間の価値観や考えが決定的に違うことで上手く事が運ばないなど順調に行かないこともあり、紆余曲折に進むストーリーは見ていて飽きないと感じる。物語終盤途中で、主人公の特殊な耳の能力が奪われるという展開が訪れるが、最終的には本来の持ち主である主人公に戻り、主人公自身にしか使いこなせないことが分かるなど、主人公が特別な存在であるということも強調され、読者が好む展開と言えるだろう。また作中最大の事件であり目的が解決された後も、そこから何年か経ったあとも主人公達職員はアナザーの問題を日々解決しているという終わりで、物語が終わる訳ではなくこれからも日々は続いていくというような日常生活を強く感じさせる終わり方だと考える。
29.『AYAKA-あやか-』(アニメ)
原作:GoRA、KINGRECORDS
監督:長山延好
八凪幸人は、本土の児童養護施設で育った少年だったが、ある時亡き父の弟子であるという傍若無人な青年・沙川尽義がやってきて、幸人を故郷である綾ヵ島に連れ出してしまう。七つの島が連なる綾ヵ島は、火と水の龍の伝説が色濃く伝えられ、「ミタマ」と呼ばれる不思議な存在が当たり前のように生息する奇妙な島だった。 幸人は、綾ヵ島の調和を守る仙人であったという父の三人の弟子たちと関わりながら綾ヵ島で暮らし始める。だが尽義の二人の兄弟子である鞍馬春秋と伊吹朱の間には深い確執があった。調和の崩れ始めた「あやかい」島で、幸人が直面する真実とは何なのか。
主人公は児童養護施設で育ち特殊な力を持つという、主人公のお手本のような設定であるがそんな設定もまた視聴者が好む作品であると考える。さらに物語終盤で主人公の本当の力、正体が明かされ、力が覚醒するなどより視聴者を引き込ませる展開になっている。普通では無い主人公だが島に来て、ずっと欲しかった友達ができたことに喜ぶなど、子供らしい一面を持ち合わせていることも魅力の一つである。また主人公達が使う不思議な力が、作品の絵柄と色彩に合っていて内容を絵柄でより引き立たせていると考える。
30.『鹿楓堂よついろ日和』(漫画)
原作:清水ユウ
和風喫茶・鹿楓堂(ろくほうどう)が舞台のグルメ漫画。鹿楓堂では店主・料理人・パティシエ・バリスタの4人のスペシャリストが働いており、美味しい甘味や食事を提供しながら様々な客の悩みにそっと寄り添っていく。時に4人のバックグラウンドにも触れつつ1~2話完結方式がとられているハートフルストーリー。
本作の軸としては喫茶店を舞台とする、喫茶店の従業員とそこに訪れる客の話が描かれる日常ものであるのだが、時折従業員個人の過去などが描かれることで、物語に深みを持たせていると考える。主人公である店主のスイが抱える秘密として描かれる自身の出自では、双子の兄との確執は漫画とアニメで展開が変わってはいるものの一応は収まりを迎えたが、家族関係の特に父親との関係は未だに深くは明かされておらずこれからの展開が楽しみだと考える。最新話でも98話という話数でありながら、やっと最後の従業員のお店になぜ就職したのかという経緯が描かれ、読者が気になる話をすぐにせず、日常の合間合間に挟み、それに繋げるように日常を描いていくことで読者の読みたいという気持ちと期待感を高めさせ、長く読まれる作品にしているのだと感じた。
1.『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(アニメ)
作者:高田康太郎、麻生羽呂
監督:川越一生
〈あらすじ〉ブラック企業に勤めるアキラは、連日のパワハラやサービス残業により人間らしい生活をすることが叶わず、自殺願望を持つほど疲れ切っていた。そんな日々のとある朝、起床すると街はゾンビで溢れかえっていた。アキラはその様子を見ながら、「今日から会社に行かなくてもいいんじゃね?」と歓喜する。ブラック企業から解放されて自由の身となったアキラは、「ゾンビになるまでにしたい100のこと」というリストを作成し、親友のケンチョと共にその内容を達成すべく自分のやりたいことを次々に実現させていく。
〈考察〉物語序盤の会社に入社して希望を胸に抱き、新しい生活をスタートさせていく様子から、徐々に会社の闇に取り込まれ心身ともに疲弊していく様子を徐々に色が無くなりモノクロで表現し、会社から解放されて自由の身になった際にはモノクロから一気にカラフルな世界になる様子が主人公アキラの見ている世界を表していると感じた。また、血の表現を赤だけではなく色とりどりのカラフルな色で表現することで、ゾンビにあふれた世界をグロテスクに表現するのではなく、視聴者に不快感を与えず絶望した世界ではなく、あくまで主人公アキラの見ている楽観的な世界、コメディ作品ということを反映していると考える。
2.『アンデッドガール・マーダーファルス』(アニメ)
原作:青崎有吾
監督:畠山守
19世紀末の吸血鬼・人造人間・人狼など、異形な存在がまだ暮らしていた世界。首から下のない不老不死の探偵・輪堂鴉夜が、鬼殺しの異名を持つ半人半鬼の真打津軽と、彼女に付き従うメイドの馳井静句と共に、怪物専門の探偵「鳥籠使い」として数々の事件を解決しながら、鴉夜の奪われた体を探すなどそれぞれの目的のためにヨーロッパを巡る物語。
吸血鬼や人狼以外にも怪盗ルパンやシャーロック・ホームズ、モリアーティ教授など有名なキャラも多く登場し、探偵として様々な事件を解決したり、繰り広げる異能力バトルも迫力があったりするなど、物語の展開として見ていて飽きることがない。探偵として推理していく様や、鴉夜と津軽の目的である人物がつながっているなど、それぞれの目的や思惑が交差していて面白いと考える。
3.『悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。』(アニメ)
原作:天壱
監督:新田典生
8歳の時に乙女ゲーム「君と一筋の光を」の世界に転生していることに気付いたプライド第一王女。ゲームの通りなら、十数年後にはヒロインである妹のティアラ第二王女と攻略対象者たち、国民を苦しめる悲劇を巻き起こす最強外道ラスボスへと成り果ててしまう。特殊能力者が生まれる国フリージア王国で王位継承の証となる予知能力を目覚めさせたことにより第一王位継承者となったプライドは、持てる権力とチート能力で起こりうる悲劇から人々を救っていく。
乙女ゲームに悪役として転生し、主人公が前世の記憶を目覚めさせたことにより今までのわがままな性格とは一変して、素晴らしい人物となっていくというよくある設定だが、8歳から年齢が上がっていく話の展開から、年齢とともに体も心も強く成長していく主人公の様子を視聴者として間近で見ていくことで、応援したいなど主人公に対しての好感度が上がっていく作品だと考える。悲劇を回避し、本来なら憎まれるはずの攻略対象者達からも好かれ慕われているのに、元々のゲームでの自分の最悪具合を知っているが故に、常に怯えている主人公とそんな主人公を慕う登場人物たちの関係も見どころだと言える。
4.『七つの大罪 怨嗟のエジンバラ後編』(映画)
原作:鈴木央
監督:阿部記之
七つの大罪の続編であり、黙示録の四騎士へとつながる物語。
メリオダスたちの冒険から14年後、メリオダスとエリザベスの息子・トリスタンが両親から受け継いだ大きな力と向き合いながら、戦いに挑む冒険ファンタジー。前編ではトリスタンがエリザベスを救うために元聖騎士・デスピアスと対峙し、後編ではデスピアスとの対決が佳境を迎え、前編で出会った妖精の正体とトリスタンとの過去が明かされ、壮大な物語が展開していく。
後編では、七つの大罪メンバーも登場しファンに嬉しい展開となった。原作では少しだけ描かれたトリスタンとランスロットの過去の場面を大きく扱い、それに対し抱えていた両者の葛藤なども描かれ、黙示録の四騎士につながる話としてふさわしいと考える。また最後までランスロットとバン、ランスロットとキングが邂逅しなかったこと、キングとディアンヌの子供なども描かれず終わったことで、黙示録の四騎士本編でもまだ出ていないことは描かれず、より本編を楽しみにさせている。
5.『劇場版アイドリッシュセブン LIVE4bit BEYOND THE PERiOD』(映画)
原作:バンダイナムコオンライン/都志見文太
監督:錦織博、山本健介
「ブラック・オア・ホワイト ライブショーダウン」を争った男性アイドル界のトップランナーたち、4つのグループによる夢のライブが開催。IDOLISH7・TRIGGER・Re:vale・ZOOLのそれぞれ異なる魅力を持つ4組が一同に会し、壮大なライブエンタテインメントが今幕を開ける。
この作品は映画でありながらも、アイドルたちのライブ映像を見ることができ、応援上映もできるなど、まるで本当のライブ会場にいるかのような感覚になることができる。正面から、後ろから、横から上からのライブ映像が見れ、実際のライブでは見ることができない角度からの映像があることや、また通常のライブに行ける回数には限りがあるが本作は上映期間の限り何回も見に行けることができるなど、映画という形を最大限に生かしている。内容もライブさながらであり、一曲一曲フルでアイドルたちのダンスと歌や、曲間のMC、全グループでの歌を映画館という大画面で見られること、また最後に期間限定でアフタートークがあるなど、ファンたちが喜ぶことが多くあり、制作側はファンたちのことをとても理解していると感じた。
6.『亜人』(漫画)
原作:三浦追儺 漫画:桜井画門
「亜人」と呼ばれるその生物は死なない。病気の妹の為に医者を目指していた高校生・永井圭はある日、交通事故で死ぬが、その直後に生き返った。そのことから彼が亜人であり人間でないことが判明し、そこから圭を取り巻く環境が一変する。政府に追われる身となった圭に、手を差し伸べたかつての幼馴染・海斗や、他の亜人である佐藤と出会い、亜人と政府の戦いに巻き込まれていくことになる。
主人公は医者を目指していたことから頭が良く、読んでいて為になる知識も多くあり、主人公と佐藤の頭脳戦もとても見ごたえがある。最初の妹を思う優しい兄という印象から変わる描写や、主人公の亜人特有の性質がなぜ強いのかそれが明らかになる場面、亜人はなぜ生まれたかという問いに対する答えとしての過去を想像する場面などが見ていてとても引き込まれるようで、そういった場面の描写の描き方が非常に優れていると考える。そして冷酷に見えた主人公の人間らしさが垣間見えたり、ずっと冷静に、持つ知識を使って戦ってきた主人公が最後は運に頼ったり、戦いが終わった後の主人公の目指す場所と終わり方が、ストーリーとしてとても面白くまとまっていると考える。
7.『憂国のモリアーティOp.5 最後の事件』(舞台)
原作:三好輝、竹内良輔
脚本・演出:西森英行
時は19世紀末、大英帝国最盛期のロンドン。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間たちに支配されている大英帝国。生まれ落ちた時から一生涯の階級制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。ジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話。そして天才的な頭脳を持つウィリアムと志を共にする仲間たちと共に、国から階級制度をなくす計画が佳境を迎えていた。
漫画原作の舞台であるが、原作のセリフや場面、キャラクターが忠実に再現されていて、原作ファンも舞台ファンもみんな楽しめる作品だと考える。ミュージカルとしても歌の迫力が凄く、このセリフを歌にしたのかと思う曲の作りこみや、時には映像を使うなど、舞台を生かしたそれぞれの場面の映え方が工夫されていた。また最後がどのように終わるのか気になっており、状況的にアニメでの終わり方かと思ったが、アニメにはない漫画の場面での終わりとなり、誰もが納得する終わりだと感じた。
8.『もののがたり』(漫画)
原作:オニグンソウ
歳を経た器物は、やがて神錆びて心を宿し付喪神となる。付喪神は常世と現世をつなぐ存在であり、そんな付喪神を常世に還すことを生業とする塞眼という一族がいた。その一族の一員であり付喪神に大切な人を奪われ、憎む青年・兵馬と六人の付喪神と共棲し、家族として愛する少女・長月ぼたんが、訳あって一緒に暮らすことになる。三者交わる共同生活、前途多難な屋根の下で繰り広げられる人と物、絆と恋の物語。
話の内容としてはバトルものに思われるが、付喪神によって家族を失った青年と、付喪神と家族として暮らしている少女の対比から両者がそれぞれの心に寄り添いあっていき、最後には結婚するという流れから、最初から一貫してこの物語は青年と少女の恋の物語だったということに気付かされる。また少女と暮らしている付喪神たちが婚礼調度であることからも最後本来の役割を行うことが物語としてまとまっていると考える。
9.『青の祓魔師』(漫画)
原作:加藤和恵
奥村燐とその双子の弟・雪男は神父・藤本獅郎に育てられ、修道院で暮らしていた。中学卒業から間もないある日、燐は「悪魔」の存在を知る。燐は悪魔の王「魔神(サタン)」の息子であり、その力を受け継いでいた。養父の獅郎は祓魔師であり、サタンの干渉から燐を守っていたが、サタンに憑依された後、命を懸けて燐を守り死んでしまう。燐は己の無力さを悔やみ、祓魔師になってサタンと戦うことを決意する。そして祓魔師となるべく専門の学校に入学する。
燐と雪男は双子だが、悪魔の力を持っているのは燐だけである。そのことを雪男は嫉妬のような感情をもっており、最初は雪男にも悪魔の力が目覚めて欲しいと感じていた。しかし、物語が進むにつれ、最終的には雪男は悪魔になることはなく人間として、どんどん悪魔として成長していく燐と対比的に描かれるようになる。それは、燐と雪男の母親であるユリが人間と悪魔の共存を願っていたことから、燐は悪魔として雪男は人間でいることに大きな意味があるのだと考える。悪魔になるのではなくあくまで人間として燐のそばに双子として存在し、時にはぶつかりあい、お互いに複雑な感情を抱きながらも、心の奥底では兄弟としてお互いを何より大切に思いあっている、仲の良い二人の姿がユリの描いた悪魔と人間の理想であり、希望なのだと感じた。また、そのユリの願いを知っているのが燐だけであることも燐が悪魔としてだけではなく、人間に寄り添う人間の心をもった悪魔という立場を引き立たせていると考える。
10.『クズ悪役の自己救済システム』(アニメ)
原作:墨香銅臭
監督:秦鶴陽
修仙の世界を舞台に、登場人物はみんなイカれて傲慢なのに、主役より強いキャラクターが出てこないという長編ハーレム小説「狂傲仙魔途」。トンデモ設定ばかりで伏線の回収もないその終わり方に納得できず、毒づいた言葉を書き込んだ沈垣は肉まんを喉に詰まらせて死んでしまう。しかしあろうことか、その小説の世界の主人公・洛氷河を苦しめるクズ悪役・沈清秋に転生してしまった。悪役の身に待ち受ける悲惨な結末を回避して生き延びるため、小説転生システムのルールを守りながら、沈清秋(沈垣)が動き始める。
転生したのがかなり洛氷河をいじめてしまっていたあとだったが、生き残るため主人公にこれまでとはかわって優しくしようとする主人公と、そんな主人公を最初は不振に思いつつ慕うようになる洛氷河の関係性の変化が面白い。また、すぐ優しくできるというわけではなく、悪役としてのキャラ設定を守らなければならないというシステムがあることで、ルールを守りつつ奮闘する主人公の姿が際立ち、より面白くさせていると考える。キャラ設定故にクールなキャラでいる主人公だが、実際は現代から転生したオタクであり、内心ハラハラしっぱなしというギャップや主人公の環境適応能力の高さに驚かされる作品である。元は中国の小説だが、アニメになることで設定が少し変わり万人受けしやすい作品になっており、アニメならではの工夫が多くされているところも原作とはまた違った良さがあり見どころの一つである。
11.『SAND LAND』(映画)
原作:鳥山明
監督:横嶋俊久
魔物と人間が共存するサンドランドは水のない砂漠の世界。唯一の水の所有も人間の国王が持っていた。サンドランドに暮らす悪魔の王子ベルゼブブは、魔物のシーフ、人間の保安官ラオと共に、水を失った砂漠のどこかにあるという幻の泉を探すため、危険な旅に出る。
人間より純粋な魔物と欲にまみれた人間、それだけではなく魔物の魔物ゆえの邪悪さや強さ、弱いだけではなく強い人間がいることや、正義を持つ人間など種族を超えて、あらゆるものの可能性が広く描かれていると感じた。また、始まりの泉を探しに行くとこから、危険な旅を経て様々な真実を知り、最後には水を得るところまで話の起承転結が綺麗にまとまっており、作品として見やすいと考える。最後のエンディングの入りもまた感動する。
12.『青のオーケストラ』(アニメ)
原作:阿久井真
監督:岸誠二
世界的に有名なヴァイオリニストである父のもとコンクールで活躍した、元天才ヴァイオリニストの青野一。とある理由からヴァイオリンを辞め無気力になっていたが、中三の秋に同級生の秋音律子との出会いをきっかけに音楽への情熱を取り戻す。青野は秋音とともにオーケストラ部のある海幕高校に進学するが、そこは強豪校の厳しい練習とさまざまな悩みを抱えた部員たちが一つの音を作るためにぶつかり合う世界だった。
漫画を読んでいてアニメで見たいシーンが多くあり、特にアニメ2話の最後に主人公がカノンを演奏するシーンは楽しみにしていたが、期待以上に素晴らしかった。アニメでの普段の演奏シーンはCGが使われているが、カノンのシーンは普通の作画で描かれており、そのことからもそのシーンにかける制作陣の意気込みの強さも大きいということがわかる。音があることで主人公やオーケストラ部の部員たちのそれぞれの演奏の違いや、演奏にかける思い、表現の仕方がよりダイレクトに伝わり、漫画とはまた違うアニメだからこそ表現できる世界観だと考える。
13.『101人目のアリス』(漫画)
原作:かわい千草
近隣諸国の音楽エリートが集まる音楽学校・モンドヴィル学園。通常は定員が100人だが、101人入学した年があった。祖父の願いとある目的を持って、その学園に入学したアリスティドは、実は音楽の基礎をほとんど身に着けていなかった。そんな彼をみんなは「101人目」と馬鹿にする。ところがヴァイオリンの授業で、ある彼の演奏を耳にしたとき、周囲の笑いは凍り付いた。波乱万丈なアリスの学園シンフォニーが開幕する。
音楽の基礎がなくても、ある曲では人々を魅了し驚かせる演奏をしたり、たまに天才的な音楽の才能を見せたりするなど、設定としても魅力的であり、読んでいて主人公の成長や演奏がとても楽しみな作品である。徐々に明らかになる主人公の目的や、隠れた才能の秘密、主人公の周りの人間関係も変化していくことで展開としても見飽きることはない。主人公もヴァイオリニストとして成長していくが、それと共に周りの登場人物たちも過去や家族というそれぞれに抱える闇から救われ成長していく物語だと考える。
14.『空棺の烏』(小説)
原作:阿部智里
八咫烏シリーズの第四弾。
人間の代わりに八咫烏の一族が住まう世界「山内」。優秀な兄宮が廃嫡され日嗣の御子の座についた若宮。若宮に仕えることになった少年・雪哉は、御身を狙う陰謀に巻き込まれていく。エリート武官を養成する全寮制の学校「勁草院」に入学した雪哉。次の日嗣の御子たる若宮派と巻き返しを図る兄宮派との間で激化する対立の中で次々と起こる事件に雪哉は立ち向かい、また「勁草院」の競争の中で少年たちは友情を深めていく。
本作は若宮の近衛になると決意した主人公・雪哉が今までは優秀なことを隠し愚かなふりをしていたが徐々に本来の力を見せていく、シリーズの中でも読者が待ち望み楽しみにしていた展開になっていると感じる。雪哉の頭が良く冷静で冷酷な部分がより顕著に表れ、他の登場人物とは違う凡人ではない非凡な主人公という魅力が際立っている。また宮中を舞台としていた前作までとは違い、猿という敵、主従ではない仲間とのつながり、先代金烏の死の謎が描かれたことで、物語の世界が広がり、新たな展開が生まれたシリーズの転換点になった巻だと考える。
15.『サマーウォーズ』(映画)
監督:細田守
世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界OZがある世界。数学が得意な高校2年生の健二は憧れの先輩である夏希から、長野県上田市にある夏希の実家に一緒に行くというバイトに誘われる。26人の親戚が集まる中で健二は、ひょんなことから夏希の婚約者のふりをすることになった。宿泊中の夜、OZから謎のメールが届いた健二はその暗号を解いてしまう。翌朝起きると、OZのシステムがダウンし国中大混乱になり、その犯人として健二が指名手配されていた。
作中で夏希の実家に来た時期は甲子園の県予選の最中であり、そこに夏希の親戚が上田高校の野球部として登場し、度々中継が描かれている。その上田高校が好調に勝ち進んだ時には主人公たちの状況も好調に進み、危機的な場面を迎えた際は主人公たちも危ない状況に陥るなど、試合状況と作中の展開がシンクロしている。また隠し子という立場である侘助と本家の親戚たちは複雑な関係ではあるが、侘助が栄おばあちゃんを大切に思っていることや親戚たちと途中から協力関係を築くこと、幼い頃から夏希が慕っているという点を踏まえると、栄が幼い頃から侘助を他の子どもたち同様大切に育てていたということがうかがえる。作風も仮想世界のOZと現実世界が共存して描かれ、表現も現実ではできないことができるが、今の世でありえそうなことでもあるので、視聴者に非現実感だけではなく現実味をもたせ楽しませる作品だと考える。
16.『ヒックとドラゴン1.2.3』(映画)
原作:クレシッダ・コーウェル
監督:ディーン・ジュボア、クリス・サンダース
以前より、バイキングとドラゴンの戦いが続いているバーク島。ある日、ひ弱な少年・ヒックは自分の開発した武器で最も危険とされるドラゴンのナイト・ヒューリーにケガをさせることに成功する。しかし誰もそのことを信じてくれない。ドラゴンを探しにいき、そこで自分がケガをさせたドラゴン・トゥースと出会う。ドラゴンの習性を知り、トゥースと友情を築いていく中で、ドラゴンを敵と決めつけるバイキング達の意識を変えたいと思うようになる。
1作目のトゥースと出会って心が通じ合う場面と、3作目でトゥースと別れの場面のトゥースとヒックの構図が一緒であり、友情が芽生え、育み、仕方がなく別れが訪れるというヒックとトゥースの友情物語としての最初と最後での対比だと考え、意図的であると考える。また冒頭部分にヒックがバーク島とドラゴンの立ち位置についての語りのシーンがあり、最後にもヒックの語りがあるが、その最初と最後での語りの対比も面白く、かっこいいと感じる。最初は凶暴で怖い存在に見えたドラゴンも、人間と仲良くなるにつれ可愛く描かれるようになり、ペットであり友達であり家族になった人間のドラゴンたちの見え方が変化しているからだと考える。
17.『この音とまれ!』(漫画)
原作:アミュー
先輩が卒業して箏曲部唯一の部員となってしまった武蔵。四月になり新入部員の勧誘に励むのだが、部の存在自体も知らない人もいる状態。そんな彼の前に見るからに不良である久遠愛が入部したいと言い出す。筝の家元の娘・鳳月さとわや、愛の友達の堺、足立、水原や、何か思惑がある来栖なども入部することになる。各々が抱える問題や過去と向き合いながら全国大会に向けて日々練習に励んでいく。
本作は主人公達がいる高校の箏曲部がメインとなるが、大会などで演奏をするにあたりその他の高校、部員にスポットが当たることがあり、それぞれの筝にかける思いが描かれるので誰もが主人公であるのだと感じさせる。主人公である久遠愛や鳳月さとわの重い家族関係や、倉田武蔵の弟との確執、顧問である滝波先生、筝曲部員の友情など漫画らしい設定もありつつ人間関係や天才と平凡の才能の違いなどがリアルでもあり、箏を通じて描かれるその家族関係と友人関係がとても感動する。最新話では全国大会に進み、最初は否定的だった滝波先生の筝曲部員への思いと笑顔が初めて描かれたり、愛の父親が遂に登場したりするなど読者が待ち望んでいた展開が訪れ、より一層引き込まれる展開だと考える。
18.『そこで星屑見上げてろ』(漫画)
原作:奥悠
国民的アイドル・天川秀と元有名女優の息子・天川彗は、父親の影響力によって平穏だった日常生活が少しずつ崩れ始めていた。その反抗心から、父親が関わっているアイドルオーディション番組「スターダストスターダム」に参加し、ぶち壊そうと決意するが、徐々に真剣にアイドルを目指し練習に取り組むようになる。
主人公が国民的アイドルと元女優の息子という立場から描かれる二世の苦悩や国民は知らない事情、近年多く見られるオーディション番組の裏側がリアルに描かれ、ストーリーとして非常に面白いと考える。最初は父親への復讐として参加した主人公も徐々にやる気と父親譲りの才能が現れ始める展開や設定も多くの読者が好きな特別な血筋と才能を持ち、恵まれた環境だけではなく重い過去や事情もあるという普通ではない主人公であり、そんな主人公がトップアイドルになっていくような成長物語であることも、作品を面白くさせていると考える。
19.『サツドウ』(漫画)
原作:雪永ちっち
製菓メーカーに勤めるごく普通のサラリーマン・赤森六男。ある日、残業を終えて帰宅途中、六男はオヤジ狩りをしている半グレ集団に遭遇する。六男も因縁をつけられるが、武器を持った半グレ集団を一瞬で倒してしまう。実は六男は伝説の殺法術「背神活殺流拳法」を受け継ぐ「赤森家」の子孫だった。平凡ではないサラリーマンが、平穏を求め迫りくる敵を倒し歩む、血と格闘にまみれた物語。
本作は一見平凡なサラリーマンが実はすごく強く、伝説の血筋を持った普通ではない生まれの主人公という、前述でもあるように読者が好む設定と言える。格闘の話であるので主人公や主人公を倒そうとする格闘家、暗殺者などとの戦いシーンもかっこよく描かれ、誰もが一度夢見た展開や設定であると考える。また、主人公は赤森家の六番目の子供であるので主人公の上にも兄弟がおり、存在がほのめかされるものの未だに全員登場していないことや、主人公の子供時代や家から抜けサラリーマンをしている理由が明確に明かされていないことから、この先の展開も読者を非常に楽しみにさせていると考える。
20.『8クラス魔法使いのやり直し』(漫画)
作者:Tess、Ryu song
皇帝ラグナルと帝国のため手を血に染めてきた数十年間。故郷に戻り、罪を償うごとく静かに暮らしていた8クラスの大魔法使いのイアン・ペイジ。ところが、友であり主君であったラグナルに裏切られ命を奪われそうになる。その時、時間魔法の呪文が刻まれている短剣で自らの心臓を貫き、30年前の過去に戻ってきた。人類初の8クラス魔法使いであるイアンが未来での死を防ぐべくやり直しをする物語。
本作は最強である魔法使いが過去に戻り、自らの後悔や死を防ごうと奮闘する話であり、過去の選択を違うものにしたり、本来もっと先に知るような出来事を過去に戻ってきたという強みを生かし、地位や強さを確立していくという設定自体は王道の回帰ものであるが、読者が好む設定だけではなく、作品自体に魅力があり楽しめる物語だと考える。主人公が無双していく展開もだが、本来の過去では知りえなかった真実が違う選択をしたことにより明らかになる展開もまた面白いストーリー構成である。終わりに近づくにつれ、この物語はイアンの2回の人生を経た、イアンとラグナルの友情関係を描いている物語なのだと感じた。
21.『武功教官ペク教師』(漫画)
作者:ORIBORI、S.JLEE、Ganjiajang
血教で教官をしていた男は捕らえられた天下一を争う四人の高手たちに10年間教えを請い、彼らと共に血教に反逆する。その後敗北し殺されたが、田舎にある武館のペク師匠に転生した。4人の師匠から授かった武功ともう一つの武功を駆使し青龍学館の人気講師になるべく教官として就職する。そこで師匠たちの武功を継承する弟子を探し、滅びたと言われる血教との過去の因縁に巻き込まれながら、武術界を鍛えなおしていく。
本作は武俠小説で転生ものというよく見られる設定だが、主人公が学校に入学する生徒ではなく先生というのが多くの作品との決定的な違いである。教師だからこそ、教わる立場ではなくものを教える立場として生徒や権力を持った家系に媚をうるような同僚たちを指導し正しい道につき進めるように指導していくことが本作の最大の魅力だと考える。また転生する前と転生した後で主人公自身も考えを改め、武功の強さも指導方法も成長していくので主人公個人も魅力的な作品である。
22.『ランカーの帰還』(漫画)
作者:zuno、TOWALK、B-ram
バーチャルリアリティゲーム「アレナ」の初期、世界最高のランカーだったメレーゴッド。そんな最強のランカー・メレーゴッドは突然姿を消した。メレーゴッドの正体である五条政典はアカウントを削除してゲームを辞めていた。しかし親の会社が倒産し多額の借金を背負ったことにより、生きるためお金を稼ごうと「アレナ」に復帰することを決意する。メレーゴッドだった正体を隠し、新たなアカウントを作り、名前をガキ大将としてゲームを進めていく。
主人公は元々ゲームの世界で最強の存在であり、ゲームを辞め新たなアカウントとして戻ってきたが、普通ならレベルも装備もない弱いアカウントでも強いという天才的な人物である。そんな主人公がレベルも装備も上のアカウントたちに勝利し、さらに驚異的な速度で成長し周囲を震撼させていくという展開は読者が好む無双ものであると言える。主人公のゲームへの考えの根底にゲームを楽しむという意識があり、単純にゲームを楽しんでいない、悪用しているような者たちを倒していく様子もまた爽快である。作中では度々ゲーム内でライブ配信が行われ、ライブ配信をしている体で視聴者のコメントも描かれ、本物のライブ配信をしているかのように話が進んでいくのだが、小説や一般的な漫画よりも読みやすく、webtoonの縦読みフルカラーだからこそ映える絵で強みを最大限生かしていると考える。
23.『無限の魔法使い』(漫画)
作者:Themis、kiraz、kim chi woo
厩舎に捨てられて平民として育てられたシロネ。生まれ持った洞察力で文字を学び、街に出たある日興味のあった魔法を経験する。それ以来魔術師を夢見るが、身分の壁がシロネに厚くのしかかる。大人になる前にこの世の裏側を知り尽くしてしまったシロネだが、ある日育ての父によって紹介された仕事により、道が少しずつ開けていくようになる。貴族が力を持つ歪んだ世界で魔術師になるため奮闘する。
主人公は平民でありながらも、貴族の生まれを感じさせるどこか普通ではない才能を持った人物である。夢を諦めることも、育ての両親を否定することもなく、逆境に立ち向かい成長していく様は読者に勇気を与えてくれると感じた。貴族の登場人物は心根は優しくても、結局はどこまでも貴族的な考えも持つ自分勝手な人物たちであり、そんな貴族たちに振り回されながらも強い意志と目標持って人生を歩んでいく主人公の姿は、単なる天才の最強になっていくような話ではなく、リアリティを持った深い話だと感じさせる。
24.『来世は他人がいい』(漫画)
作者:小西明日翔
極道の家で生まれ育った女子高生・染井吉乃。家庭環境は特殊でも、おとなしく平穏に日々を過ごしてきた。しかし婚約者だという深山霧島と出会い、彼の暮らす東京の極道の家に居候することになる。はみ出し者たちが織り成す、スリルと笑いが融合した極道エンタメ。
主人公は自分は普通だと考えているが、組長である祖父譲りの根っからの極道の考えを持った人物であり、それが初めて描かれ霧島が惚れるきっかけとなったシーンや、主人公の極道の部分を見せるシーンは迫力があり、読者を引き込ませるような魅力があると考える。物語が進むにつれ、主人公の父親が死んだ本当の理由や主人公が霧島の家に居候することになった本当の祖父の考え、霧島の主人公への思いの深さが明かされることになり、物語の展開としても面白い。本作は極道の世界を描き、フィクションであるのだが、登場人物や極道と一般人の世界の描かれ方がどこかリアルで現実味があるようで、重い話のような雰囲気を感じさせる。
25.『出禁のモグラ』(漫画)
作者:江口夏美
大学生の真木と八重子はある日、空から降ってきた広辞苑で男がケガをする現場に遭遇する。男は頭から血を流しているのに救急車も警察も嫌がり、どこか様子がおかしい。そして自らを仙人と名乗ったこの男・百暗桃弓木(モグラ)と出会ってから二人は何か妙なものが見えるようになる。モグラの目的のため、おかしなものに巻き込まれ、時に首を突っ込みながらモグラと関わっていく。
本作はこの世の幽霊や神様といったものが描かれ、モグラ自身もあの世に行けない元神様という立場であり、あの世のことなどを知っているように語っていることから、作者の前作である『鬼灯の冷徹』とつながっており、前作の登場人物がいずれ出てくるのではないかという期待感を持たせている。実際、最新話では前作の登場人物を感じさせるような人物が出てきており、他の登場人物や特に主人公の鬼灯の登場がとても楽しみである。また、作者は人間関係や個人の在り方を描くのが非常に優れていると感じ、それをまた作者特有の絵柄で引き立たせていると考える。リアルなだけでなく合間に挟まれるギャグも面白く、作品も重くなりすぎず読みやすいと感じる。
26.『陰陽師と天狗眼』(小説)
作者:歌峰由子
古より怪異と隣り合わせの町・広島県巴市。巴市役所の「危機管理課特自災害係(通称もののけトラブル係)」に採用された、出雲の高名な陰陽師一族出身ながら、少し訳アリの黒髪美青年・宮澤美郷と、幼い頃に在野の天狗を名乗る男に拾われ、フリーの山伏となった金髪緑銀眼の男・狩野怜路。いきなり同居することになった異色の二人が、現代に起こる怪異を華麗に、お役所仕事に追われながら解決していく。
美郷は陰陽師一族の才能あふれる身でありながら、呪いをうけたことで家から追われる羽目になったり、腹違いの弟がいたりなど生まれも育ちも複雑であるものの、それを感じさせない普段の明るい態度や時折見せる裏の部分が描かれることが魅力的である。しかし複雑ではあるもののそこまで父親や弟との関係は悪くもなく、徐々に家族関係などが明かされていく展開もまた面白い。陰陽師と山伏が怪異に立ち向かうという内容だが、アクションが多いバトルものではなく、仕事として怪異の事件を解決する日常物であるため、読みやすいというのも魅力の一つであると考える。
27.『グッド・ドクター名医の条件』(ドラマ)
原作:パク・ジェボム
企画:デイヴィッド・ショア
カリフォルニア州の権威ある聖ボナベントゥラ病院。院長グラスマンは、自閉症だが天才的な記憶力と驚異的な空間認知能力を持つサヴァン症候群の青年ショーンを自らの病院に外科研修医として招く。だが院長の座を狙う外科部長マーカスなど理事会メンバーや多くのドクターは、ショーンが自閉症であること自体が患者に不安を与えたり、現場に混乱をもたらすと彼の勤務に反対する。それでもただドクターになるという一心で、ショーンは難病を抱える患者たちを次々と救い、院内で旋風を巻き起こしていく。
元々は韓国原作のテレビドラマで、日本でもリメイクされ放送されている作品であるが、本作はアメリカ版のドラマである。韓国と日本のドラマを見ていないので比較できないが、本作だけ見てもとても面白い内容であり、その内容から世界各国でリメイクされているのだと考える。主人公の周りの登場人物の自閉症の捉え方、主人公への対応が最初の態度から主人公に関わっていくことで変化していく様子や、医者の苦悩、上司との関係の描かれ方にリアリティがあり、視聴者を魅了するストーリーだと感じた。
28.『真夜中のオカルト公務員』(漫画)
作者:たもつ葉子
東京23区全ての区役所に人知れず存在する“夜間地域交流課”。そこはアナザーと呼ばれるものと人間の問題“オカルト的事象”を解決する特殊な課だった。その新宿区役所に配属された社会人一年目の宮古新。配属一日目に本来なら理解できないはずのアナザーの話し声がわかる特殊な耳を持つ事が判明し、新宿御苑で会った天狗に「安倍晴明だ」と言われる。特殊な耳「砂の耳」を駆使し、アナザーの問題を解決していく区役所職員の物語。
主人公は他の人物が聞くことが出来ないアナザーの声が分かるという特殊な耳を持っていることで、アナザーの事件を解決するのにも役立つのだが、アナザーと人間の価値観や考えが決定的に違うことで上手く事が運ばないなど順調に行かないこともあり、紆余曲折に進むストーリーは見ていて飽きないと感じる。物語終盤途中で、主人公の特殊な耳の能力が奪われるという展開が訪れるが、最終的には本来の持ち主である主人公に戻り、主人公自身にしか使いこなせないことが分かるなど、主人公が特別な存在であるということも強調され、読者が好む展開と言えるだろう。また作中最大の事件であり目的が解決された後も、そこから何年か経ったあとも主人公達職員はアナザーの問題を日々解決しているという終わりで、物語が終わる訳ではなくこれからも日々は続いていくというような日常生活を強く感じさせる終わり方だと考える。
29.『AYAKA-あやか-』(アニメ)
原作:GoRA、KINGRECORDS
監督:長山延好
八凪幸人は、本土の児童養護施設で育った少年だったが、ある時亡き父の弟子であるという傍若無人な青年・沙川尽義がやってきて、幸人を故郷である綾ヵ島に連れ出してしまう。七つの島が連なる綾ヵ島は、火と水の龍の伝説が色濃く伝えられ、「ミタマ」と呼ばれる不思議な存在が当たり前のように生息する奇妙な島だった。 幸人は、綾ヵ島の調和を守る仙人であったという父の三人の弟子たちと関わりながら綾ヵ島で暮らし始める。だが尽義の二人の兄弟子である鞍馬春秋と伊吹朱の間には深い確執があった。調和の崩れ始めた「あやかい」島で、幸人が直面する真実とは何なのか。
主人公は児童養護施設で育ち特殊な力を持つという、主人公のお手本のような設定であるがそんな設定もまた視聴者が好む作品であると考える。さらに物語終盤で主人公の本当の力、正体が明かされ、力が覚醒するなどより視聴者を引き込ませる展開になっている。普通では無い主人公だが島に来て、ずっと欲しかった友達ができたことに喜ぶなど、子供らしい一面を持ち合わせていることも魅力の一つである。また主人公達が使う不思議な力が、作品の絵柄と色彩に合っていて内容を絵柄でより引き立たせていると考える。
30.『鹿楓堂よついろ日和』(漫画)
原作:清水ユウ
和風喫茶・鹿楓堂(ろくほうどう)が舞台のグルメ漫画。鹿楓堂では店主・料理人・パティシエ・バリスタの4人のスペシャリストが働いており、美味しい甘味や食事を提供しながら様々な客の悩みにそっと寄り添っていく。時に4人のバックグラウンドにも触れつつ1~2話完結方式がとられているハートフルストーリー。
本作の軸としては喫茶店を舞台とする、喫茶店の従業員とそこに訪れる客の話が描かれる日常ものであるのだが、時折従業員個人の過去などが描かれることで、物語に深みを持たせていると考える。主人公である店主のスイが抱える秘密として描かれる自身の出自では、双子の兄との確執は漫画とアニメで展開が変わってはいるものの一応は収まりを迎えたが、家族関係の特に父親との関係は未だに深くは明かされておらずこれからの展開が楽しみだと考える。最新話でも98話という話数でありながら、やっと最後の従業員のお店になぜ就職したのかという経緯が描かれ、読者が気になる話をすぐにせず、日常の合間合間に挟み、それに繋げるように日常を描いていくことで読者の読みたいという気持ちと期待感を高めさせ、長く読まれる作品にしているのだと感じた。
スポンサードリンク