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3年 髙橋
RES
冬・春休み課題1〜20
1.「シャドーハウス 2nd Season」(アニメ)
原作:ソウマトウ 制作:CloverWorks 監督:大橋一輝
顔のない一族のシャドーとその一人にひとり与えられ、彼らに仕える顔を持つ以外はシャドーと同じ姿の生き人形。シャドーと生き人形は断崖にあるシャドーハウスにてまるで貴族とその従者のように、幸せに暮らしていた。しかしシャドーの一人である少女ケイトは、ある時このシャドーハウスに隠された秘密に近づいてしまい……
本作はケイトたちがシャドーハウスの秘密を解き明かし、他のシャドーと対立していく構図が基本であるため、シーズン1以上にサスペンス的な要素が加わっている。カメラワークにはまるでどこかから覗き見するような斜めからのアングルが用いられ、音楽も上品でありながら緊張感のあるものが多い。その分シーズン1にあったコミカルな場面が減少しているため、物足りなく感じた人もいるかもしれない。だがそれ以上に登場人物の心理描写や謎解き要素を用いた丁寧な物語構成は素晴らしく、シリーズ全体を通してみれば完成度の高い作品だと考える。
2.「メイドインアビス 烈日の黄金郷」(アニメ)
原作:つくしあきひと 制作:キネマシトラス 監督:小島正幸
世界に残された秘境「アビス」を冒険する少女リコをリーダーとした一行。彼らは様々な困難を乗り越え、遂に深界六層の還らずの都へと辿り着いた。そこにあったのは探窟家が異形と化したもの「成れ果て」たちと、彼らが暮らす「成れ果て村」であった。その村に入ったリコたちは彼らの文化に触れる中で、ある過去を知ることとなる。
本作は様々な角度から視聴者に恐怖を与える作品となっている。化け物からの恐怖、人間からの恐怖、未知からの恐怖。そして精神的な恐怖と物理的な恐怖。そんな様々な恐怖の出所と方向性を組み合わせ視聴者に絶望とモヤモヤを与えるのが黄金郷編である。これまでのシリーズ作品はまだ爽快感の残る展開があったのだが今回はそれが無く、そのためこれまで以上に視聴者を選ぶ作品だと言えるだろう。しかし戦闘シーンの迫力や容赦のない描写、演出は脱帽ものなので最高潮な気分の悪さを味わいたい人には満面の笑顔でお勧めしたい。
3.「よふかしのうた」(アニメ)
原作:コトヤマ 制作:ライデンフィルム 総監督:板村智幸
なんとなくという理由で不登校になり、夜に眠りづらくなってしまった男子中学生の夜守コウは、ある日隠れて夜の街を彷徨うことにした。今までは触れてこなかった夜の世界に、コウは自由と心地良さを感じることとなる。そんな中、突如彼の前に現れた少女のナズナは自身が吸血鬼なのだと告げた。夜の良さを知ったコウは自身も吸血鬼になりたいとナズナに申し出るのだが、そのためにはある条件があるらしく……
本作は何より、作品の雰囲気づくりが上手いという特徴がある。漫画では描ききれなかった夜の街の姿をアニメ特有の誇張した色使いで鮮やかかつ丁寧に描き、更に挿入歌を加えることで魅力的に映している。また現実だと怪しげで危ういようにも見える体験を、登場人物の軽やかな会話などによって爽やかにも見せることで本作独特の雰囲気を作り出している。映像として見るならかなりクオリティの高いものだろう。しかしその世界観の描写が凝っていることで、物語のテンポが遅く感じ取れるのは勿体なかった。魅力的なキャラクターたちの掘り下げをもう少し足すことでより満足度の高い作品になったのではと考える。
4.「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(アニメ)
原作:矢立肇、富野由悠季 制作:サンライズ 監督:小林寛
舞台は数々の企業が宇宙に進出し、宇宙で暮らすスペーシアンと地球で暮らすアーシアンとの対立が深まっている世界。モビルスーツというロボットが普及し、企業らが争うように製造し合う中で、ガンダムと呼ばれる操縦者に害を与える可能性のある機体は禁忌とされていた。そんな世界のモビルスーツに関する教育に特化した学校に、ある日スレッタ・マーキュリーは編入する。スレッタはエアリアルと呼ばれる機体と共に、学園生活をしていくのだが……
本作はこれまでのガンダムシリーズと作風を大きく変化させつつもシリーズの系譜もしっかりと残した新生ガンダムだと私は考えている。学園モノということで触れやすさを残しつつも、生徒たちの背景にある企業間の競争や差別、そこから生まれる戦争といった要素を組み合わせることで制作陣が目標とした若年層向けのガンダムを見事に生み出している。
映像面でもカメラワークや細かな描写が凝っており、それらが作品全体に及ぶ謎を解くための手がかりに繋がるのでクオリティが高いと言える。今後が楽しみな一作だった。
5.「チェーンソーマン」(アニメ)
原作:藤本タツキ 制作:MAPPA 監督:中山竜
チェーンソーの悪魔であるポチタと暮らす青年、デンジは親が残した借金を払うためデビルハンターとして働きつつ貧しい暮らしを続けていた。そんな彼はある日、裏切りにより殺されてしまう。すると、ポチタのある言葉を最後にデンジはポチタの心臓を貰うことで「チェーンソーマン」として生き返ったのだった。
本作は原作ファンを中心に様々な意見が飛び交っているが、原作未読の私にとっては素晴らしい作品であった。物語の展開が丁寧でありつつもそれにより登場人物らのキャラ立ちがしっかりとしており、そこにスピーディーかつ爽快感ある迫力的な戦闘シーンが加わることで緩急が生まれている。ギャグとシリアスのバランスも良く、シーズン通して飽きることなく見ることが出来た。ただ主人公のデンジは年齢の割に幼い部分があるので、戦闘でより「無茶苦茶」な動きや速さをカメラワークなどを用いてより表現してもよかったのでは、とは感じた。
6.「ミッドサマー」(映画)
監督・脚本:アリ・アスター
妹の無理心中により家族を失った女子大学生ダニーは、彼氏のクリスチャンとある友人の故郷であるホルガ村への旅行に同行することにした。クリスチャンとの距離を感じ始めているダニーは精神状態が不安定な中で、ホルガ村の夏至祭に参加することとなる。明るいホルガ村の住民からあたたかく迎えられた一行だが、その祭りの中で様々な出来事に遭遇することとなる。
本作は評価が非常に難しい一作だ。物語の展開や演出は唐突で、登場人物への共感も非常にできるという訳でもなく、謎の気持ち悪さを常に感じさせられる。統一感を感じさせるのは明るい風景と音楽のみで、その他は統一性のないただただ恐ろしいものが広がるので視聴者が持つ感情がちぐはぐになっていくような感覚が得られる。正直、もう一度見たいと感じることはない。しかし、この映像は「人間が新興宗教にハマる過程」を覗くという思考の元で見ると非常に興味深いのではと感じられた。心理学を学んだ上で見るとストーリー、演出共に面白さを見出せるのかもしれない。
7.「モブサイコ100 Ⅲ」(アニメ)
原作:ONE 制作:ボンズ 総監督:立川譲
外見は平凡でありながらもその身体には強力な超能力が宿っている少年、モブ。彼は超能力者集団「爪」との対決を経て、学友との関わりやバイト先である霊とか相談所での仕事に触れる日常を取り戻した。しかし、かの戦いで生まれた「神樹」や想い人であるツボミちゃんの引っ越しにより、彼は再び波乱の中心へ向かうこととなる……
このシリーズが大好きな自分が正直本作を公平に見ることは難しいのだが、できるだけ控えめに感想を言うならば完成度の高い作品だった。作品紹介で述べたタッチの違いによる雰囲気作りと細かな心理描写は残されたまま、映像と音響が進化している。特に登場人物たちの精神的成長が細かな動きや声色、構図によって節々から感じ取れるのはたまらなかった。
ただ、最初の三話ほどは登場人物の成長や現状を映すための回なのでストーリー自体の面白さを求めていたのなら物足りなく感じた人がいるかもしれない。そんな人がいるならば、四話以降は物語が大きく展開するのでぜひ見て欲しい。本作の魅力の本質に触れずにいるのは非常に勿体ないと私は考える。
8.「ブルーロック」(アニメ)
原作:金城宗幸、ノ村優介 制作:エイトビット 監督:渡邉徹明
日本のサッカーチームをW杯優勝させる。この目的を達成するために絵心甚八は強力なストライカーが必要と考え、日本の若手フォワードたちをブルーロックと呼ばれる施設へ集めた。この場で行われる選考で勝ち残ったたった一人のストライカーだけが日本代表選手となる権利を与えられ、残りの選手は皆生涯日本代表になれないのだと絵心は語る。
そんなブルーロックに招かれた無名選手の潔世一は、この恐ろしい計画に参加することを決意した。
本作はこれまでのスポーツ漫画の概念を覆すような物語設定が魅力的となっている。周囲にいる人々は完全な仲間にはなりえず、求められる人間性は本来団体競技では重視されないエゴイストという要素。このデスゲーム的な設定は流行を捉えつつも新鮮味を感じさせる組み合わせで人気になるのは納得である。ただ、個人的にはその設定故に物語展開が平坦で盛り上がり切れなかった。登場人物に求められるもの、過程が確定しているため展開が読めるのだ。映像面のクオリティが高かったため、この物語展開自体に私が合わなかったのは残念だった。
9.「金色のガッシュベル」(アニメ)
原作:雷句誠 制作:東映アニメーション シリーズ構成:橋本裕志、大和屋暁
中学二年生でありながら天才的な頭脳を持つ高嶺清麿は、学校で浮いてしまい不登校になっていた。そんなある日、窓から記憶喪失の少年ガッシュ・ベルが現れ、彼は清麿の父に清麿を鍛え直すよう頼まれたと告げる。ガッシュの存在を鬱陶しく感じていた清麿だが、ある出来事を通して彼に救われ、また彼が魔界からやって来た魔物の子であることを知り、「魔界の王を決める戦い」へガッシュと共に挑むことを決意するのだった。
本作は昔の作品なので映像や演出が古臭い部分はあるが、太めの集中線や音喩といった漫画で用いられる技法を再現した演出が多く、「漫画を進化させたアニメ」という形で原作の魅力を最大限活かしている。
ただ後半からは回想シーンが多くなることで作品のテンポが遅くなりがちになるというのに、終盤は尺が足りず駆け足気味になるという矛盾が生じている。この回想を減らすことでより終盤のオリジナル展開を丁寧に描けたと考えられるので、その点は勿体なく感じた。
10.「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」(アニメ)
原作:かんばまゆこ、青山剛昌 制作:TMS/第1スタジオ 監督:大地丙太郎
米花町にある米花駅。ここに、ある男が現れた。彼の名は犯沢さん。ある男を殺すため、この町を訪れたらしい。
しかし彼はまだこの町に着いたばかり。彼は住居を求め、不動産屋を訪れる。
本作は「名探偵コナン」のスピンオフ作品であり、原作では敵である犯人視点で物語が展開される。しかしながらそこから紡がれるのは米花町の住民による犯罪ギャグとなっている。これは原作によって生まれたコナンの付近では事件が起こるというジンクスを活かした設定であり、それに原作の個性的なキャラを組み合わせることで面白さを生み出している。ギャグが続く展開ではあるものの、十五分の一話完結型ストーリーなので飽きることなく楽しむことが出来るだろう。
11.「The Visit」(映画)
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
姉のベッカと弟のタイラーはこれまで一切付き合いがなかった祖父母からの招待を受け、彼らの家で六日間過ごすことを決める。始めは優しい祖父母に迎えられた二人だが、その夜祖母の異様な姿を目撃してしまう。翌朝、その姿は体調不良だったからだと祖父から説明を受けた二人だったのだが、祖父母の不自然な行動はその後も浮き彫りになっていき……
本作はある家を舞台に展開されるホラー作品であり、視点にかなり特徴があると言える。何故ならこの作品は主人公の姉弟が持つカメラを視点とするためである。そのため受け手は主観で祖父母の狂気的な姿を捉えることとなり恐怖感が増すことに加え、視界の不安定さや狭さから常に緊張感を持つこととなる。ストーリー面だとそれぞれトラウマを持つ姉弟の成長物語として受け取れる部分もあり綺麗な終わりを迎えるのだが、彼らに襲い掛かる恐怖体験は怪我や死を間近にしたものではないので純粋なホラーを楽しみたい場合は合わない可能性がある。
12.「ジョゼと虎と魚たち」(映画)
原作:田辺聖子 監督:タムラコータロー 脚本:桑村さや香 制作:ボンズ
海洋専門学を専攻する大学生の恒夫はある日坂道を猛スピードで下りる車椅子に乗った女性、ジョゼを助けた。そしてこの出来事を機に、恒夫はジョゼの祖母に頼まれてジョゼの面倒を見るというバイトを引き受けることとなる。始めはジョゼの自分勝手な言動に腹が立っていた恒夫だが、ジョゼとの外出を通して徐々に心惹かれていく。
本作は原作の内容をかなりライトにした恋愛物語となっている。そのため原作の少し重めな雰囲気を好んでいたファンには向かないものの、アニメ特有の鮮やかな色彩に非常にマッチした一作だろう。特に海の中を巡るジョゼの夢のシーンはボンズの滑らかなアニメーションも相まって華やかなものになっている。アニメ映画版はこの映像とに合わせてストーリーも恒夫とジョゼの青春、若者特有の真っ直ぐなロマンスを描ききっており少女漫画好きにはたまらない一作と言える。
13.「Re:ゼロから始める異世界生活」(アニメ)
原作:長月達平 制作:WHITE FOX 監督:渡邊政治
引きこもり高校生であったスバルは、ある日コンビニ帰りに異世界に召喚されてしまう。状況もわからない中危機に見舞われたスバルは、自身を救ってくれた銀髪のハーフエルフに恩返しをするべく行動を共にすることにし、その中で何者かに襲われ死亡してしまう。しかし、何故かスバルは目を覚ました。彼は異世界にてタイムリープ能力を獲得したのだ。
本作は私が苦手な異世界召喚モノだったのだが、異世界召喚作品に多い主人公最強設定ではないので非常に好ましかった。スバルは戦闘力はほぼ無く、それによりヒロインらに好かれる理由も強さではなく人間性になるのでご都合主義感が非常に薄れている。また能力故に似た展開を繰り返すことはあるものの、細かな動きなどを変えつつ全体的な流れは省略せず描ききってくれるためスバルの成長やヒロインとの関係を築く過程をちゃんと理解することが出来る。この異世界召喚モノでありながらも細かく地道な展開は、アニメーションで生まれる華やかさと組み合わさることで私の中で大きな魅力になった。
14.「Into the Storm」(映画)
監督:スティーヴン・クォーレ 脚本:ジョン・スウェットナン
アメリカ合衆国にある町、シルバートンでは竜巻注意報が発令されていた。始めは大したことないのではと言われていた竜巻は大規模なものとなり、町はパニック状態となる。その日、高校にいたフラー一家と竜巻を撮影するために行動する竜巻ハンターはこの竜巻の脅威に立ち向かうことになる。
本作は竜巻に焦点を当てたディザスター映画となっており、2014年に制作されているので比較的高クオリティのCGを用いた竜巻の映像と音響から迫力のある仕上がりとなっている。特にCGで生み出された竜巻は遠くから見るショットと近くから見るショットどちらでも迫力があり臨場感を感じることが出来る。
ただ物語全編を通して描かれる人間関係は登場人物が多いゆえにまとまりきっておらずそこが残念だった。場面転換も多く作品世界に入りこみきれなかったため、メインキャラクターをフラー一家に絞り、親子関係の再構築をより深く描くと良いのではと考える。
15.「劇場版ポケットモンスター ココ」(映画)
原案:田尻智 監督:矢嶋哲生 脚本:冨岡淳広
ジャングルの奥地にあるオコヤの森。ここではザルードというポケモンを中心に様々なポケモンたちが暮らしていた。ある日、ザルードの一匹が森の川辺から赤ん坊を発見しその赤子を育てるために群れを離れ、裏切り者になることを決意する。そしてザルードは、その子をココと名付けたのだった。
本作はこれまでに多かった人間界の中でのポケモンではなく、自然界の中でのポケモンに焦点が当てられている。それにより生じるポケモンたちの中にあるコミュニティの描写はポケモンを擬人化させると同時に、ココとザルードの疑似親子関係は人間とポケモンが対等な立場であることを強調し、それらはポケモンをひとつの命として捉えさせることへと繋がって新たな感動を生み出していた。このポケモンに対する視点の変化はポケモン映画の新たな魅力を引き出すことになったと私は考える。また映像のクオリティも高く、非常に満足度の高い一作だった。ただ終盤のCGで描かれたロボットは少し浮いてしまっていたので、その点だけは残念である。
16.「ODDTAXI イン・ザ・ウッズ」(映画)
原作:P.I.C.S. 監督:木下麦 脚本:此元和津也 制作:P.I.C.S、OLM
世間を騒がせた練馬区女子高生失踪事件の後。事件の中心人物である小戸川と関係があった人々の元にとあるインタビュアーたちが訪れた。そのインタビューの中で、人々は語る。あの時、一体何があったのかと。
本作は映画作品であるもののアニメ版の補足という要素が大きく、物語の流れはアニメ版の総集編のような形になっているのでアニメ未視聴の人はわかりにくさを、視聴した人は物足りなさ感じる作品だろう。そのため正直あまりおすすめできない。途中でより事件の詳細がわかるシーンやラスト五分でアニメ版の続きとなる映像は含まれているのだが、これはアニメ版が最後まで視聴者に与えた謎の答え合わせであり、かつその時間が短いので拍子抜けな印象が拭えなくなってしまう。本作は真実をはっきりとさせたい人にとっては良作といえるが、作品の余韻を楽しみたい人には向かない作品だと考えた。
17.「死役所」(ドラマ)
原作:あずみきし 監督:湯浅弘章など 脚本:政池洋佑など
此岸と彼岸の境界にある施設、死役所。ここでは毎日様々な理由で死亡した人々が自身の死の手続きを行っていた。そんな死役所で活動するシ村、ニシ川、イシ間、ハヤシといった職員たちは、人々の死に触れながら彼らを成仏させるため手続きを進めていく。
本作は死後の世界という一見とっつきづらい世界が舞台ではあるものの、それを感じさせないほど舞台設定や生前の描写がリアリティに溢れており、登場人物に否応なく感情移入させられる作品となっている。取り上げられる死因のどれもが自身にもあり得る死の形であり、自分の人生について深く考えさせられる構成となっている。一話完結型ストーリーでありながら、その完成度の高さには驚かされた。
原作が完結していないためドラマ版の終わり方も謎の残るものではあったのだが、それまでの物語の面白さからそれが残念ではなく楽しみという形で処理できたので、ぜひ一度視聴し興味を持った人は漫画も触れてみて欲しい。
18.「銀河鉄道999」(アニメ)
原作:松本零士 制作:フジテレビ、東映動画
西暦2221年。人々は銀河鉄道を用いて宇宙への進出が可能となり、様々な惑星を行き来できるようになっていた。宇宙に散らばった人々の中でも裕福な者たちは機械の身体に魂を移し永遠の命が与えられる一方で、貧しい人々は迫害され苦しい生活を続けていた。
そんな中地球で貧しく暮らしていた人間、星野鉄郎は母を機械伯爵に殺された後に自身を助けてくれた女性メーテルの提案で共に機械の身体を無料で貰えるという星を目指し、銀河鉄道999に乗車することとなる。
本作は古くも味わいのある映像と共に現代の社会問題とも繋がる事柄を警鐘する先駆的な作品と言うことが出来る。全116話と非常にボリューミーな鉄郎の物語は、様々な惑星とそこにある人間模様や社会問題を正面から映し、視聴者は多くのことを考えさせられるだろう。絵柄がコミカルである分物語に染み込んだ哀愁や教訓をくどさを感じることなく受け取ることが出来るのが本作の魅力だ。基本一話完結型で毎話視聴者に気づきを与える作品なので、興味があればぜひ視聴してみて欲しい。
19.「竜とそばかすの姫」(映画)
原作・脚本・監督:細田守 制作:スタジオ地図
田舎町に住む地味な女子高校生すずは、幼い頃に起きた母の水難事故を機に歌を歌えなくなり父親とも距離を取るようになっていた。そんなすずはインターネット上の架空世界「U」で「ベル」というアバターを手に入れる。自分ではない自分を手に入れた彼女はUのなかで歌を歌うようになり、その姿は人々を魅了した。
ある日Uでコンサートを開いたベルだったが、そこに「竜」と呼ばれる存在が現れ……
本作は映像美を楽しむ作品とすると高い評価が挙げられる一方で、物語性を楽しむ作品とすると評価が低くなってしまうと私は感じた。リアリティや素朴さが残る現実世界と、華やかで壮大なUの世界の描写はどちらも違う意味で魅力にあふれており、美しい。そのため物語の粗雑さが際立ってしまっていたのは非常に勿体なかった。登場人物の心理描写が少なかったため、行動に納得できない部分が生じてしまっている。この映像美とUと現実世界の行き来によって生まれた緩急があるので、もう少し映像の時間を長くしても退屈さを感じずに物語を楽しめたのではと思った。
20.「Hotel Mumbai」(映画)
監督:アンソニー・マラス 脚本:ジョン・コリー、アンソニー・マラス
ムンバイにあるタージマハル・ホテルでは最高のサービスを提供するためスタッフたちが尽力していた。高級ホテルであるここにはVIPも訪れており、彼らは素晴らしい日を迎える予定だった。しかし彼らが訪れた11月26日の夜、ホテルはテロリストによって占拠されてしまう。
本作は実際にあった事件を題材とし、同事件から生まれたドキュメンタリーの影響を受けているのもあって緊張感の演出がとにかく優れている。映像に微妙な揺れを加えることで生存者視点になることができるのに加え、無駄な音楽や演出は一切ない。人々の呼吸音が際立った、それでも誇張されてはいない状況からはまるで事件を中継しているような緊迫感が感じられる。また様々な人物の視点から物語が構成されているというのにその切り替えが非常にスムーズで違和感一つなく視点移行が行われている。リアリティを限界まで追求した本作は視聴するにあたって精神的な体力の消費が伴うだろうが、その没入感は素晴らしいので見て損することはまずないだろう。
1.「シャドーハウス 2nd Season」(アニメ)
原作:ソウマトウ 制作:CloverWorks 監督:大橋一輝
顔のない一族のシャドーとその一人にひとり与えられ、彼らに仕える顔を持つ以外はシャドーと同じ姿の生き人形。シャドーと生き人形は断崖にあるシャドーハウスにてまるで貴族とその従者のように、幸せに暮らしていた。しかしシャドーの一人である少女ケイトは、ある時このシャドーハウスに隠された秘密に近づいてしまい……
本作はケイトたちがシャドーハウスの秘密を解き明かし、他のシャドーと対立していく構図が基本であるため、シーズン1以上にサスペンス的な要素が加わっている。カメラワークにはまるでどこかから覗き見するような斜めからのアングルが用いられ、音楽も上品でありながら緊張感のあるものが多い。その分シーズン1にあったコミカルな場面が減少しているため、物足りなく感じた人もいるかもしれない。だがそれ以上に登場人物の心理描写や謎解き要素を用いた丁寧な物語構成は素晴らしく、シリーズ全体を通してみれば完成度の高い作品だと考える。
2.「メイドインアビス 烈日の黄金郷」(アニメ)
原作:つくしあきひと 制作:キネマシトラス 監督:小島正幸
世界に残された秘境「アビス」を冒険する少女リコをリーダーとした一行。彼らは様々な困難を乗り越え、遂に深界六層の還らずの都へと辿り着いた。そこにあったのは探窟家が異形と化したもの「成れ果て」たちと、彼らが暮らす「成れ果て村」であった。その村に入ったリコたちは彼らの文化に触れる中で、ある過去を知ることとなる。
本作は様々な角度から視聴者に恐怖を与える作品となっている。化け物からの恐怖、人間からの恐怖、未知からの恐怖。そして精神的な恐怖と物理的な恐怖。そんな様々な恐怖の出所と方向性を組み合わせ視聴者に絶望とモヤモヤを与えるのが黄金郷編である。これまでのシリーズ作品はまだ爽快感の残る展開があったのだが今回はそれが無く、そのためこれまで以上に視聴者を選ぶ作品だと言えるだろう。しかし戦闘シーンの迫力や容赦のない描写、演出は脱帽ものなので最高潮な気分の悪さを味わいたい人には満面の笑顔でお勧めしたい。
3.「よふかしのうた」(アニメ)
原作:コトヤマ 制作:ライデンフィルム 総監督:板村智幸
なんとなくという理由で不登校になり、夜に眠りづらくなってしまった男子中学生の夜守コウは、ある日隠れて夜の街を彷徨うことにした。今までは触れてこなかった夜の世界に、コウは自由と心地良さを感じることとなる。そんな中、突如彼の前に現れた少女のナズナは自身が吸血鬼なのだと告げた。夜の良さを知ったコウは自身も吸血鬼になりたいとナズナに申し出るのだが、そのためにはある条件があるらしく……
本作は何より、作品の雰囲気づくりが上手いという特徴がある。漫画では描ききれなかった夜の街の姿をアニメ特有の誇張した色使いで鮮やかかつ丁寧に描き、更に挿入歌を加えることで魅力的に映している。また現実だと怪しげで危ういようにも見える体験を、登場人物の軽やかな会話などによって爽やかにも見せることで本作独特の雰囲気を作り出している。映像として見るならかなりクオリティの高いものだろう。しかしその世界観の描写が凝っていることで、物語のテンポが遅く感じ取れるのは勿体なかった。魅力的なキャラクターたちの掘り下げをもう少し足すことでより満足度の高い作品になったのではと考える。
4.「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(アニメ)
原作:矢立肇、富野由悠季 制作:サンライズ 監督:小林寛
舞台は数々の企業が宇宙に進出し、宇宙で暮らすスペーシアンと地球で暮らすアーシアンとの対立が深まっている世界。モビルスーツというロボットが普及し、企業らが争うように製造し合う中で、ガンダムと呼ばれる操縦者に害を与える可能性のある機体は禁忌とされていた。そんな世界のモビルスーツに関する教育に特化した学校に、ある日スレッタ・マーキュリーは編入する。スレッタはエアリアルと呼ばれる機体と共に、学園生活をしていくのだが……
本作はこれまでのガンダムシリーズと作風を大きく変化させつつもシリーズの系譜もしっかりと残した新生ガンダムだと私は考えている。学園モノということで触れやすさを残しつつも、生徒たちの背景にある企業間の競争や差別、そこから生まれる戦争といった要素を組み合わせることで制作陣が目標とした若年層向けのガンダムを見事に生み出している。
映像面でもカメラワークや細かな描写が凝っており、それらが作品全体に及ぶ謎を解くための手がかりに繋がるのでクオリティが高いと言える。今後が楽しみな一作だった。
5.「チェーンソーマン」(アニメ)
原作:藤本タツキ 制作:MAPPA 監督:中山竜
チェーンソーの悪魔であるポチタと暮らす青年、デンジは親が残した借金を払うためデビルハンターとして働きつつ貧しい暮らしを続けていた。そんな彼はある日、裏切りにより殺されてしまう。すると、ポチタのある言葉を最後にデンジはポチタの心臓を貰うことで「チェーンソーマン」として生き返ったのだった。
本作は原作ファンを中心に様々な意見が飛び交っているが、原作未読の私にとっては素晴らしい作品であった。物語の展開が丁寧でありつつもそれにより登場人物らのキャラ立ちがしっかりとしており、そこにスピーディーかつ爽快感ある迫力的な戦闘シーンが加わることで緩急が生まれている。ギャグとシリアスのバランスも良く、シーズン通して飽きることなく見ることが出来た。ただ主人公のデンジは年齢の割に幼い部分があるので、戦闘でより「無茶苦茶」な動きや速さをカメラワークなどを用いてより表現してもよかったのでは、とは感じた。
6.「ミッドサマー」(映画)
監督・脚本:アリ・アスター
妹の無理心中により家族を失った女子大学生ダニーは、彼氏のクリスチャンとある友人の故郷であるホルガ村への旅行に同行することにした。クリスチャンとの距離を感じ始めているダニーは精神状態が不安定な中で、ホルガ村の夏至祭に参加することとなる。明るいホルガ村の住民からあたたかく迎えられた一行だが、その祭りの中で様々な出来事に遭遇することとなる。
本作は評価が非常に難しい一作だ。物語の展開や演出は唐突で、登場人物への共感も非常にできるという訳でもなく、謎の気持ち悪さを常に感じさせられる。統一感を感じさせるのは明るい風景と音楽のみで、その他は統一性のないただただ恐ろしいものが広がるので視聴者が持つ感情がちぐはぐになっていくような感覚が得られる。正直、もう一度見たいと感じることはない。しかし、この映像は「人間が新興宗教にハマる過程」を覗くという思考の元で見ると非常に興味深いのではと感じられた。心理学を学んだ上で見るとストーリー、演出共に面白さを見出せるのかもしれない。
7.「モブサイコ100 Ⅲ」(アニメ)
原作:ONE 制作:ボンズ 総監督:立川譲
外見は平凡でありながらもその身体には強力な超能力が宿っている少年、モブ。彼は超能力者集団「爪」との対決を経て、学友との関わりやバイト先である霊とか相談所での仕事に触れる日常を取り戻した。しかし、かの戦いで生まれた「神樹」や想い人であるツボミちゃんの引っ越しにより、彼は再び波乱の中心へ向かうこととなる……
このシリーズが大好きな自分が正直本作を公平に見ることは難しいのだが、できるだけ控えめに感想を言うならば完成度の高い作品だった。作品紹介で述べたタッチの違いによる雰囲気作りと細かな心理描写は残されたまま、映像と音響が進化している。特に登場人物たちの精神的成長が細かな動きや声色、構図によって節々から感じ取れるのはたまらなかった。
ただ、最初の三話ほどは登場人物の成長や現状を映すための回なのでストーリー自体の面白さを求めていたのなら物足りなく感じた人がいるかもしれない。そんな人がいるならば、四話以降は物語が大きく展開するのでぜひ見て欲しい。本作の魅力の本質に触れずにいるのは非常に勿体ないと私は考える。
8.「ブルーロック」(アニメ)
原作:金城宗幸、ノ村優介 制作:エイトビット 監督:渡邉徹明
日本のサッカーチームをW杯優勝させる。この目的を達成するために絵心甚八は強力なストライカーが必要と考え、日本の若手フォワードたちをブルーロックと呼ばれる施設へ集めた。この場で行われる選考で勝ち残ったたった一人のストライカーだけが日本代表選手となる権利を与えられ、残りの選手は皆生涯日本代表になれないのだと絵心は語る。
そんなブルーロックに招かれた無名選手の潔世一は、この恐ろしい計画に参加することを決意した。
本作はこれまでのスポーツ漫画の概念を覆すような物語設定が魅力的となっている。周囲にいる人々は完全な仲間にはなりえず、求められる人間性は本来団体競技では重視されないエゴイストという要素。このデスゲーム的な設定は流行を捉えつつも新鮮味を感じさせる組み合わせで人気になるのは納得である。ただ、個人的にはその設定故に物語展開が平坦で盛り上がり切れなかった。登場人物に求められるもの、過程が確定しているため展開が読めるのだ。映像面のクオリティが高かったため、この物語展開自体に私が合わなかったのは残念だった。
9.「金色のガッシュベル」(アニメ)
原作:雷句誠 制作:東映アニメーション シリーズ構成:橋本裕志、大和屋暁
中学二年生でありながら天才的な頭脳を持つ高嶺清麿は、学校で浮いてしまい不登校になっていた。そんなある日、窓から記憶喪失の少年ガッシュ・ベルが現れ、彼は清麿の父に清麿を鍛え直すよう頼まれたと告げる。ガッシュの存在を鬱陶しく感じていた清麿だが、ある出来事を通して彼に救われ、また彼が魔界からやって来た魔物の子であることを知り、「魔界の王を決める戦い」へガッシュと共に挑むことを決意するのだった。
本作は昔の作品なので映像や演出が古臭い部分はあるが、太めの集中線や音喩といった漫画で用いられる技法を再現した演出が多く、「漫画を進化させたアニメ」という形で原作の魅力を最大限活かしている。
ただ後半からは回想シーンが多くなることで作品のテンポが遅くなりがちになるというのに、終盤は尺が足りず駆け足気味になるという矛盾が生じている。この回想を減らすことでより終盤のオリジナル展開を丁寧に描けたと考えられるので、その点は勿体なく感じた。
10.「名探偵コナン 犯人の犯沢さん」(アニメ)
原作:かんばまゆこ、青山剛昌 制作:TMS/第1スタジオ 監督:大地丙太郎
米花町にある米花駅。ここに、ある男が現れた。彼の名は犯沢さん。ある男を殺すため、この町を訪れたらしい。
しかし彼はまだこの町に着いたばかり。彼は住居を求め、不動産屋を訪れる。
本作は「名探偵コナン」のスピンオフ作品であり、原作では敵である犯人視点で物語が展開される。しかしながらそこから紡がれるのは米花町の住民による犯罪ギャグとなっている。これは原作によって生まれたコナンの付近では事件が起こるというジンクスを活かした設定であり、それに原作の個性的なキャラを組み合わせることで面白さを生み出している。ギャグが続く展開ではあるものの、十五分の一話完結型ストーリーなので飽きることなく楽しむことが出来るだろう。
11.「The Visit」(映画)
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
姉のベッカと弟のタイラーはこれまで一切付き合いがなかった祖父母からの招待を受け、彼らの家で六日間過ごすことを決める。始めは優しい祖父母に迎えられた二人だが、その夜祖母の異様な姿を目撃してしまう。翌朝、その姿は体調不良だったからだと祖父から説明を受けた二人だったのだが、祖父母の不自然な行動はその後も浮き彫りになっていき……
本作はある家を舞台に展開されるホラー作品であり、視点にかなり特徴があると言える。何故ならこの作品は主人公の姉弟が持つカメラを視点とするためである。そのため受け手は主観で祖父母の狂気的な姿を捉えることとなり恐怖感が増すことに加え、視界の不安定さや狭さから常に緊張感を持つこととなる。ストーリー面だとそれぞれトラウマを持つ姉弟の成長物語として受け取れる部分もあり綺麗な終わりを迎えるのだが、彼らに襲い掛かる恐怖体験は怪我や死を間近にしたものではないので純粋なホラーを楽しみたい場合は合わない可能性がある。
12.「ジョゼと虎と魚たち」(映画)
原作:田辺聖子 監督:タムラコータロー 脚本:桑村さや香 制作:ボンズ
海洋専門学を専攻する大学生の恒夫はある日坂道を猛スピードで下りる車椅子に乗った女性、ジョゼを助けた。そしてこの出来事を機に、恒夫はジョゼの祖母に頼まれてジョゼの面倒を見るというバイトを引き受けることとなる。始めはジョゼの自分勝手な言動に腹が立っていた恒夫だが、ジョゼとの外出を通して徐々に心惹かれていく。
本作は原作の内容をかなりライトにした恋愛物語となっている。そのため原作の少し重めな雰囲気を好んでいたファンには向かないものの、アニメ特有の鮮やかな色彩に非常にマッチした一作だろう。特に海の中を巡るジョゼの夢のシーンはボンズの滑らかなアニメーションも相まって華やかなものになっている。アニメ映画版はこの映像とに合わせてストーリーも恒夫とジョゼの青春、若者特有の真っ直ぐなロマンスを描ききっており少女漫画好きにはたまらない一作と言える。
13.「Re:ゼロから始める異世界生活」(アニメ)
原作:長月達平 制作:WHITE FOX 監督:渡邊政治
引きこもり高校生であったスバルは、ある日コンビニ帰りに異世界に召喚されてしまう。状況もわからない中危機に見舞われたスバルは、自身を救ってくれた銀髪のハーフエルフに恩返しをするべく行動を共にすることにし、その中で何者かに襲われ死亡してしまう。しかし、何故かスバルは目を覚ました。彼は異世界にてタイムリープ能力を獲得したのだ。
本作は私が苦手な異世界召喚モノだったのだが、異世界召喚作品に多い主人公最強設定ではないので非常に好ましかった。スバルは戦闘力はほぼ無く、それによりヒロインらに好かれる理由も強さではなく人間性になるのでご都合主義感が非常に薄れている。また能力故に似た展開を繰り返すことはあるものの、細かな動きなどを変えつつ全体的な流れは省略せず描ききってくれるためスバルの成長やヒロインとの関係を築く過程をちゃんと理解することが出来る。この異世界召喚モノでありながらも細かく地道な展開は、アニメーションで生まれる華やかさと組み合わさることで私の中で大きな魅力になった。
14.「Into the Storm」(映画)
監督:スティーヴン・クォーレ 脚本:ジョン・スウェットナン
アメリカ合衆国にある町、シルバートンでは竜巻注意報が発令されていた。始めは大したことないのではと言われていた竜巻は大規模なものとなり、町はパニック状態となる。その日、高校にいたフラー一家と竜巻を撮影するために行動する竜巻ハンターはこの竜巻の脅威に立ち向かうことになる。
本作は竜巻に焦点を当てたディザスター映画となっており、2014年に制作されているので比較的高クオリティのCGを用いた竜巻の映像と音響から迫力のある仕上がりとなっている。特にCGで生み出された竜巻は遠くから見るショットと近くから見るショットどちらでも迫力があり臨場感を感じることが出来る。
ただ物語全編を通して描かれる人間関係は登場人物が多いゆえにまとまりきっておらずそこが残念だった。場面転換も多く作品世界に入りこみきれなかったため、メインキャラクターをフラー一家に絞り、親子関係の再構築をより深く描くと良いのではと考える。
15.「劇場版ポケットモンスター ココ」(映画)
原案:田尻智 監督:矢嶋哲生 脚本:冨岡淳広
ジャングルの奥地にあるオコヤの森。ここではザルードというポケモンを中心に様々なポケモンたちが暮らしていた。ある日、ザルードの一匹が森の川辺から赤ん坊を発見しその赤子を育てるために群れを離れ、裏切り者になることを決意する。そしてザルードは、その子をココと名付けたのだった。
本作はこれまでに多かった人間界の中でのポケモンではなく、自然界の中でのポケモンに焦点が当てられている。それにより生じるポケモンたちの中にあるコミュニティの描写はポケモンを擬人化させると同時に、ココとザルードの疑似親子関係は人間とポケモンが対等な立場であることを強調し、それらはポケモンをひとつの命として捉えさせることへと繋がって新たな感動を生み出していた。このポケモンに対する視点の変化はポケモン映画の新たな魅力を引き出すことになったと私は考える。また映像のクオリティも高く、非常に満足度の高い一作だった。ただ終盤のCGで描かれたロボットは少し浮いてしまっていたので、その点だけは残念である。
16.「ODDTAXI イン・ザ・ウッズ」(映画)
原作:P.I.C.S. 監督:木下麦 脚本:此元和津也 制作:P.I.C.S、OLM
世間を騒がせた練馬区女子高生失踪事件の後。事件の中心人物である小戸川と関係があった人々の元にとあるインタビュアーたちが訪れた。そのインタビューの中で、人々は語る。あの時、一体何があったのかと。
本作は映画作品であるもののアニメ版の補足という要素が大きく、物語の流れはアニメ版の総集編のような形になっているのでアニメ未視聴の人はわかりにくさを、視聴した人は物足りなさ感じる作品だろう。そのため正直あまりおすすめできない。途中でより事件の詳細がわかるシーンやラスト五分でアニメ版の続きとなる映像は含まれているのだが、これはアニメ版が最後まで視聴者に与えた謎の答え合わせであり、かつその時間が短いので拍子抜けな印象が拭えなくなってしまう。本作は真実をはっきりとさせたい人にとっては良作といえるが、作品の余韻を楽しみたい人には向かない作品だと考えた。
17.「死役所」(ドラマ)
原作:あずみきし 監督:湯浅弘章など 脚本:政池洋佑など
此岸と彼岸の境界にある施設、死役所。ここでは毎日様々な理由で死亡した人々が自身の死の手続きを行っていた。そんな死役所で活動するシ村、ニシ川、イシ間、ハヤシといった職員たちは、人々の死に触れながら彼らを成仏させるため手続きを進めていく。
本作は死後の世界という一見とっつきづらい世界が舞台ではあるものの、それを感じさせないほど舞台設定や生前の描写がリアリティに溢れており、登場人物に否応なく感情移入させられる作品となっている。取り上げられる死因のどれもが自身にもあり得る死の形であり、自分の人生について深く考えさせられる構成となっている。一話完結型ストーリーでありながら、その完成度の高さには驚かされた。
原作が完結していないためドラマ版の終わり方も謎の残るものではあったのだが、それまでの物語の面白さからそれが残念ではなく楽しみという形で処理できたので、ぜひ一度視聴し興味を持った人は漫画も触れてみて欲しい。
18.「銀河鉄道999」(アニメ)
原作:松本零士 制作:フジテレビ、東映動画
西暦2221年。人々は銀河鉄道を用いて宇宙への進出が可能となり、様々な惑星を行き来できるようになっていた。宇宙に散らばった人々の中でも裕福な者たちは機械の身体に魂を移し永遠の命が与えられる一方で、貧しい人々は迫害され苦しい生活を続けていた。
そんな中地球で貧しく暮らしていた人間、星野鉄郎は母を機械伯爵に殺された後に自身を助けてくれた女性メーテルの提案で共に機械の身体を無料で貰えるという星を目指し、銀河鉄道999に乗車することとなる。
本作は古くも味わいのある映像と共に現代の社会問題とも繋がる事柄を警鐘する先駆的な作品と言うことが出来る。全116話と非常にボリューミーな鉄郎の物語は、様々な惑星とそこにある人間模様や社会問題を正面から映し、視聴者は多くのことを考えさせられるだろう。絵柄がコミカルである分物語に染み込んだ哀愁や教訓をくどさを感じることなく受け取ることが出来るのが本作の魅力だ。基本一話完結型で毎話視聴者に気づきを与える作品なので、興味があればぜひ視聴してみて欲しい。
19.「竜とそばかすの姫」(映画)
原作・脚本・監督:細田守 制作:スタジオ地図
田舎町に住む地味な女子高校生すずは、幼い頃に起きた母の水難事故を機に歌を歌えなくなり父親とも距離を取るようになっていた。そんなすずはインターネット上の架空世界「U」で「ベル」というアバターを手に入れる。自分ではない自分を手に入れた彼女はUのなかで歌を歌うようになり、その姿は人々を魅了した。
ある日Uでコンサートを開いたベルだったが、そこに「竜」と呼ばれる存在が現れ……
本作は映像美を楽しむ作品とすると高い評価が挙げられる一方で、物語性を楽しむ作品とすると評価が低くなってしまうと私は感じた。リアリティや素朴さが残る現実世界と、華やかで壮大なUの世界の描写はどちらも違う意味で魅力にあふれており、美しい。そのため物語の粗雑さが際立ってしまっていたのは非常に勿体なかった。登場人物の心理描写が少なかったため、行動に納得できない部分が生じてしまっている。この映像美とUと現実世界の行き来によって生まれた緩急があるので、もう少し映像の時間を長くしても退屈さを感じずに物語を楽しめたのではと思った。
20.「Hotel Mumbai」(映画)
監督:アンソニー・マラス 脚本:ジョン・コリー、アンソニー・マラス
ムンバイにあるタージマハル・ホテルでは最高のサービスを提供するためスタッフたちが尽力していた。高級ホテルであるここにはVIPも訪れており、彼らは素晴らしい日を迎える予定だった。しかし彼らが訪れた11月26日の夜、ホテルはテロリストによって占拠されてしまう。
本作は実際にあった事件を題材とし、同事件から生まれたドキュメンタリーの影響を受けているのもあって緊張感の演出がとにかく優れている。映像に微妙な揺れを加えることで生存者視点になることができるのに加え、無駄な音楽や演出は一切ない。人々の呼吸音が際立った、それでも誇張されてはいない状況からはまるで事件を中継しているような緊迫感が感じられる。また様々な人物の視点から物語が構成されているというのにその切り替えが非常にスムーズで違和感一つなく視点移行が行われている。リアリティを限界まで追求した本作は視聴するにあたって精神的な体力の消費が伴うだろうが、その没入感は素晴らしいので見て損することはまずないだろう。