REPLY FORM

以下のフォームから返信を行ってください
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。
二年 髙田(梨) RES
夏休み課題21~30

21『ダムキーパー』(短編アニメーション)
監督:ロバート・コンドウ、堤大介

 大気汚染から街を守るダムの管理を代々続けるブタの少年は、その役目に関わらず街の住人達から馬鹿にされ、いじめられている。孤独なブタの少年だったが、ある日キツネの少年が転校してきたことにより変化が訪れる。

 絵本を思わせる暖かいタッチで描かれる短編アニメーション映画。しかしその反面、街の住民がブタの少年をあざ笑うシーンは鮮明に描かれており、画風との差が印象に残る。
 年を取ったブタの少年によるナレーション以外のセリフがない本作で、ブタとキツネの少年の友情を表現するのは彼らが描く絵である。ブタの少年を元気づけるきっかけとなったキツネの少年の絵は、物語後半に誤解による仲たがいを起こすきっかけにもなってしまう。セリフのない短編において、このようなアイテムの活用は効果的だと感じた。

22『火花』(小説)
作者:又吉直樹
発行所:文藝春秋

 売れない芸人・徳永は、奇想の天才である先輩芸人・神谷に出会う。神谷の弟子にしてほしいと頼む徳永に神谷は「俺の伝記を書け」と告げる。彼らの追い求める笑いとは何なのか、彼らの人生はどう変わっていくのか。

 自身も芸人である又吉直樹による「笑い」とは何かを追及する真摯さを感じる作品。淡々とした語り口調でありながら、「笑い」を突き詰めていこうとする徳永達の不器用さを最大限に描いている。本作は芸人のサクセスストーリーではなく、劇的な大舞台も描かれない。しかし、それを悲劇としていないところに、本作の人生観があるのではないかと考える。失敗しても、自分を付き通せなくても、それらは悲観することではなく、人生は続くものではないだろうか。この物語は徳永達の半生であり、今もなおどこかで人生を送っているように思わせる作品である。

23『Axis powers ヘタリア』(漫画)
作者:日丸屋秀和
発行所:幻冬舎コミックス

 イタリアを主人公に、ドイツや日本の枢軸国をはじめとした世界各国を擬人化したコメディ。陽気でへたれなイタリアや、真面目で頑固なドイツ、自由奔放で快活なアメリカ等の登場人物により織り成される、史実の出来事や各国のあるあるなどのエピソード。

 歴史上の出来事や時事ネタが題材になっているが、個性豊かなキャラクターのコメディとして描くことで、知識がなくとも読みやすい作品となっている。更に、本作をきっかけに実際の国に興味を持つ読者も多く、知識の幅を広げるきっかけにもなり得る漫画である。
 四コマのギャグ漫画が中心の本作だが、国の独立や、国とその国民の物語など、シリアスな短編漫画も複数あり、魅力の一つとなっている。

24『チャーリーとチョコレート工場』(映画)
原作:ロアルド・ダール
監督:ティム・バートン

 風変りな男ウィリー・ウォンカのチョコレート工場を見学することができる、世界で5人だけの権利を掴んだのは、貧乏で家族思いの少年チャーリーだった。
 5人の少年少女とその保護者達は、ウィリー・ウォンカの工場で次々と不思議な体験をしていく。

 本作は大きく前半、中盤、後半と3つに分けることができる。
 工場を見学する権利になる金色のチケット入りチョコレートをチャーリーが手に入れるまでの前半は、貧乏だがお互いを愛するチャーリーの家族について描写される。
 中盤はチョコレート工場に入る場面であり、現実離れした怪しく不思議な工場が魅力的だ。この工場の中でチャーリー以外の少年達は、人の話を聞かなかったり、我儘を通したりした結果、大変な目にあってしまう。また、ウィリー・ウォンカが自身の過去について回想するのもこの中盤である。
 後半は、工場見学を終えたチャーリーとその祖父、そしてウィリー・ウォンカのその後である。非常に厳しかった父親に反発していたウィリー・ウォンカは、大人になって久方ぶりに父親と再会し、わだかまりを解く。そして、チャーリーの家に、家族として暖かく迎え入れられる。
 本作は、チャーリーの不思議な体験の物語であると同時に、大人になりきれなかったウィリー・ウォンカが成長する物語でもあるのだ。

25『ロンリー・プラネット』(漫画)
作者:売野機子
発行所:講談社

 美しい見た目で期待されるが、中身を何も持っていないことに悩む常盤一郎は、占い師である姉のトキワ未来と勘違いされたことから、偽ってトキワ未来のふりをすることになる。居酒屋で出会った少女漫画家や初恋の相手など、一郎とその周囲の人々の人生の一部を切り取って描いた短編集。

 主人公一郎の抱える悩みや弱さを繊細に描いた作品。また、一郎以外の登場人物が、それぞれの視点で自分の人生を語る場面も度々あり、各々が主人公であるような印象も受ける。男性と結婚しているが密かに女性の担当編集に恋をする少女漫画家や、恋心が空回りして怖がられてしまうキャビンアテンダントなど、一郎と同じく悩みや寂しさを抱える登場人物達がそれぞれの人生と向き合い進んでいく過程が描かれる。
 孤独と寂しさを感じ続けていた一郎だったが、「周回遅れでもかまわない」「どんな形でもいい」と自分の人生を肯定して前に進む。上手くいかなくても良いのだと寄り添ってくれる優しさを感じる作品である。

26『PUI PUI モルカー』(アニメ)
監督:見里朝希
制作:シンエイ動画、ジャパングリーンハーツ

 モルモットが車になった世界を舞台とした短編アニメーション。モルカーと呼ばれる個性豊かなキャラクターたちに起こるざまざまなハプニングを、愛らしく、時に勇敢に解決していく。

 羊毛フェルトを用いたストップモーションアニメで、モルモットらしい動きを再現している。モルカー達の表情の変化は、フェルトを一部つぶす等して作られており、羊毛フェルトならではの多彩な表現がされている。人間や猫など、モルカー以外の動物は、引きの構図では人形を用いているが、アップになる場面では写真によるストップモーションに変わる。モルカーにのみ羊毛フェルトを使用することで、毛並みの質感が強調されている。
 また、モルカー達の鳴き声は本物のモルモットの鳴き声を当てており、ストーリーにはモルモットの生態が組み込まれていたりと、こだわりを感じられる作品である。

27『モンスターズ・インク』(映画)
監督:ピート・ドクター、ジョン・ラセター、アンドリュー・スタントン
制作:ピクサー・アニメーション・スタジオ

 人間の子供の部屋に入り、子供を脅かした際の悲鳴をエネルギーに変換する会社モンスターズ・インクに務めるサリーとマイクを主人公とした作品。モンスター達の世界では、人間の子供は危険であるとされていたが、ある時、サリーは人間の女の子・ブーがモンスターの世界に入ってきてしまったのを目撃する。

 サリーとマイクは、ブーが自分達の世界にやってきた当初は他のモンスター達と同じく、人間の子供であるブーを怖がっていた。しかし、サリーは次第にブーを恐れず、かわいがるようになっていく。マイクはサリーのように情を表に出す場面は少ないが、ブーが連れ去られた際に共に追いるシーンや、ブーの部屋とモンスターの世界を繋ぐ扉が壊され、二度と会うことが出来ないと悲しむサリーに、修復したドアをサプライズで見せるラストシーンで、ブーと友人であるサリーへの愛情を感じられる。
 思い込みで恐れていた人間の子供と心を通わせる二人の姿には、人間同士の偏見による断絶はすべきではないという思いが込められているのではないだろうか。

28『ねじまきカギュー』(漫画)
作者:中山敦支
発行所:集英社

 新米高校教師の葱沢鴨は、怪物的女子に好かれる女難体質の男性。ある日、不良の女子高生に迫られている所に鉤生十兵衛と名乗る拳法家が現れ、「先生を護る」と宣言する。
 十兵衛は、鴨の幼馴染の少女だったのである。十兵衛は「将来の夢はカモ先生のおよめさんになること」と鴨を慕うが、鴨に恋をする女子が次々と現れる。

 本作のテーマは「愛」だと考えられる。卑怯な手を使い鴨を奪おうとする相手にも「カモ先生を好きになってくれてありがとう」と告げるほど純粋に鴨を愛する十兵衛や、幼馴染で自分を護ろうとする十兵衛を大切に思いながらも「生徒は皆同じくらい大切で愛しい」と平等な愛を持つ鴨をはじめ、幼い頃から共に育った相手への愛や、親子の愛情など、それぞれの愛の物語が展開される。登場人物がそれぞれの愛をもって戦うため、読者は応援せずにはいられないだろう。

29『まさかジープで来るとは』(俳句集)
作者:せきしろ、又吉直樹
発行所:幻冬舎

 自由律俳句607句と散文15篇が収録された俳句集。日常のごく短い一場面を拾ったような俳句は、気付かずに素通りしてしまいそうな風景でありながら、その物語を想像してしまう。例えば「人が住んでるのを知った」という句。幾度となく前を通り、空き家だと思っていた家に入っていく住人を見たのか、電気がついているのが見えたのだろうか。長年の思い違いが判明した瞬間だったかもしれないが、心の中にしまっておく程度のことだろうし、今後もその家の前は通るだろう。ただ、人が住んでいることを知っているという小さな変化がある。そんな、人生の中のなんとなく記憶に残っているような瞬間が集められた俳句集である。

30『マギ』(漫画)
作者:大高忍
発行所:小学館

 砂漠に囲まれた国で、不思議な少年アラジンとアリババは出会う。数年前から世界に突如出現した、宝の山が眠る「迷宮」と呼ばれる場所を攻略するため二人は協力する。しかし、「迷宮攻略」を目指す者は彼らの他にも存在し、行く手を阻まれてしまい……。
 千夜一夜物語を元に織り成される魔導冒険ファンタジー。

 魔人が出てくる金属の笛を持つアラジンと、剣技の腕が長けたアリババが、襲い来る敵を倒しながら迷宮を進む「迷宮攻略」は、冒険ファンタジーとして心躍るものである。
 しかし本作の魅力は、そのような読者をワクワクさせる冒険と共に、人間のエゴイズムを描いている点だと考える。一つ目の迷宮では、アラジン達の他に、街の領主が奴隷を連れて攻略に向かっていた。ここでは、奴隷を人間として扱わない領主と、奴隷を解放しようとするアラジン達の対比が表現されている。
 その他にも、貧しい民衆から税をむしり取り豪遊する貴族達に反乱を企てる民衆達と出会ったり、一見誰もが幸せそうな国で差別と階級制度が隠れていることを目の当たりにしたりと、簡単には解決できない現実にも通じる部分のある問題を抱えた世界が描かれている。
 そんな中で、真っすぐに問題に向き合うアラジン達を見て、我々も人間のエゴが生む問題について考えさせられる作品である。
2021/09/21(火) 01:06 No.1819 EDIT DEL
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。