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二年 髙田(梨)
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夏休み課題11~20
課題11~20
11『ゴールデンカムイ』(漫画)
作者:野田サトル
発行所:集英社
日露戦争での武功から「不死身の杉元」と呼ばれた元兵士・杉元佐一は、戦死した親友の妻の病を治すため、大金を求めて北海道で砂金を探していた。そんな中、かつてアイヌが北海道に隠した埋蔵金の手がかりを知った杉元は、ヒグマに襲われたことをきっかけにアイヌの少女・アシ(リ)パと出会う。
注:アシ(リ)パの「リ」は本来は小文字表記。
北海道の金塊を巡る競争には、網走監獄の脱獄囚や、陸軍最強と謳われる第七師団、旧幕府軍の生き残りといったつわもの揃いである。そんな中で杉元達は金塊を手に入れることができるのか。王道の冒険譚に、狩猟や食をはじめとしたアイヌ文化や、登場人物達の交差する過去や感情が加わり、緻密で重厚感のある作品となっている。
本作で主張される、アイヌを含む少数民族の文化の保存は現代にも続く課題であり、問題提起になっているだろう。主人公の杉元はアイヌの子供であるアシ(リ)パを「アシ(リ)パさん」と呼び、敬意を持って接する。明治時代を舞台とした本作で、和人とアイヌ、大人の男性と少女でありながら、二人の関係をこのように表現することで、肩書に囚われず相手を尊重することの重要さも描いている。
12『有閑倶楽部』(漫画)
作者:一条ゆかり
発行所:集英社
幼稚園から大学までの一貫制の名門私立校、聖プレジデント学園。この学園の高等部生徒会の6人は、全員が美男美女で権力にも才能にも恵まれているが、暇を持て余して刺激を求めている。いつしか「有閑倶楽部」と呼ばれ始めた生徒会6人は、様々な事件に首を突っ込み、時には巻き込まれていく。
上記の通り、過剰なほど恵まれた設定の6人が主人公の本作だが、嫌味を感じることはない。なぜなら、この設定こそが様々な事件のきっかけになるのである。身代金目的で誘拐されたり、高校生でありながらラスベガスで豪遊したり、夏休みに別荘で心霊体験に遭遇したりと、普通の学園ものでは難しい展開が次々と繰り広げられる。
これらの事件を彼らが時に面白がり、時に正義感から、解決へと導いていくドタバタコメディである。よって、本作は少女漫画誌「りぼん」に掲載されているが、恋愛には至らず、友情で結ばれた6人が描かれる。
13『おっさんずラブ』(ドラマ)
脚本:徳尾浩司
制作:テレビ朝日
不動産勤務のモテない33歳・春田は、あることをきっかけに尊敬する上司である黒澤が自分に恋愛感情を向けているのではないかと感じ始める。そんな中、本社から異動してきた後輩の牧に対し、母親が家出したことで家事に困っていた春田は同居を提案する。
しかし、ある日黒澤が春田に愛の告白をすることをきっかけに、春田の運命は動き始める。
本作では男性3人を中心とした恋愛を描くが、「この春いちばんピュアなラブストーリー」というキャッチコピーの通り、異性か同性かではなく「人を愛する」ことをメインテーマとしている。登場人物の内面にも同性であることの葛藤は描かれず、周囲からの反対などもない。
同性婚に関する法改正や、LGBTへの偏見は昨今でも改善すべき問題である。誰もがフラットな目線で人を愛する本作のような価値観が必要だと考える。
14『シンデレラコレクション』(漫画)
作者:今井康絵
発行所:小学館
小学6年生のニーナは、恥ずかしさや厳しい母親のせいもあり、ファッションに興味を持ちながらも手を出せず、周囲がおしゃれに夢中な中地味な恰好をしていた。
しかし、クラスメイトの旭との口論の末に、読者モデルになる約束をしてしまう。ためらうニーナだったが、先輩モデルの言葉を受けて、本気でモデルを目指すようになる。
ファッションブランド「メゾピアノ」とコラボレーションし、地味な少女がスーパーモデルへ駆け上がるシンデレラストーリーを描いた作品。
作中に登場する洋服は、作品連載当時(2003年~2005年)実際にメゾピアノで販売されていたもので、読者が主人公ニーナ達と同じファッションを楽しめることも本作の魅力である。また、ニーナのように、おしゃれをしたい気持ちは持つがためらいのある読者の背中を押す作品でもある。
15『ミヨリの森』(映画)
原作:小田ひで次
監督:山本二三
両親の不仲を見て育った11歳の少女ミヨリは、意地っ張りで他人に心を開こうとしない。そんなミヨリは、田舎の祖母の家で暮らすことになり、近くの森で精霊達に出会う。
少しずつ精霊たちや村の人々と心を通わせるミヨリは、村のダム開発による水没を止めるために、精霊と共に計画を建てる。
本作のテーマは主に2つあり、人間の便利さのために自然を荒らすことへの警鐘と、思春期の少女が両親以外の他者からの影響を受けて成長することである。
ミヨリははじめ、不仲な両親の影響で他人と良好な関係を築こうとしない。特に、親としての役割よりも恋を優先し、ミヨリにも同じように生きることを進める母親には反発している。子供は、身近な大人からの影響を受けやすく、次第にその他の他者と関わることで成長する。この成長を、田舎の祖母や子供たち、森の精霊との交流という形で暖かく描いたものが本作だと言えるだろう。
16『先生のおとりよせ』(漫画、小説)
漫画・挿絵:中村明日美子
小説:榎田ユウリ
発行所:リブレ出版株式会社
出版社の意向でコラボをすることになった漫画家・中田みるくと小説家・榎村遥華。対照的な性格で、お互いに性別を誤解していたこともあり第一印象も良くなかった二人だったが、共通の趣味である「おとりよせ」を通じて徐々に互いを理解していく。
この作品の大きな特徴は、漫画と小説のリレー形式で物語が展開される点である。主人公の二人と同様に漫画家と小説家がタッグを組むことで、作品にリアリティが生まれる。
小説のパートは三段組で、おとりよせ商品への感想など印象的なセリフが他の文字より大きく太字で主張されるなど、テンポよく読める工夫がなされている。
また、一話ごとに登場するおとりよせグルメは実在するものであり、写真と販売価格、賞味期限、販売ページのURLが掲載されており、作中の食べ物を実際に購入することが可能である。
17『止まりだしたら走らない』(小説)
作者:品田遊
発行所:リトルモア
中央線を舞台とした短編集。中央線の利用者や社員達の日常の中の物語と、同じく利用者の高校生・都築と新渡戸の物語が交互に描かれる。
最寄り駅の武蔵小金井ではなく、遠回りになる東京駅を起点として高尾山を目指すことになる都築と新渡戸は、電車旅の中で何を思うのか。
一話完結の短編と、繋がりのある物語を交互に載せる、やや特殊な形の短編集である。都築達の物語のみ青字で書かれていたり、他の物語には挿絵が入っていたりと、両者を明確に区切る演出がされている。
また、本作には、一人称視点で描くことにより読者をミスリードする手法が使われており、小説という媒体を活かした作品であると言える。
18『私の恋はチョコレート』(漫画)
作者:色井麻知子
発行所:小学館
恋に憧れる中学生のつぐみは、バレンタインにチョコレートで等身大の男の子を作る。そんなチョコレートの王子様にキスをすると、本物の人間の姿に変身する。
つぐみは突如現れた理想の王子と、クラスメイトの北原の間で恋心に揺れる。
チョコレートが人間の姿に変わるという衝撃的な物語の始まりから、恋の三角関係という王道の少女漫画的展開を、繊細で華やかなタッチで描くラブストーリー。しかし、ラスト数ページに至るまで、主人公つぐみがどちらの少年と結ばれるのか予想できないことが本作の大きな特徴である。単行本の描きおろしページでは、作者もどちらにするか苦悩したことを明かしており、この点において本作には所謂「王道」の三角関係から外れた魅力があるだろう。
19『帰ってきたヒトラー』(映画)
原作:ティムール・ヴェルメシュ
監督:デヴィッド・ヴェンド
アドルフ・ヒトラーが現代にタイムスリップした。しかし、現代の人々は彼をモノマネ芸人だと勘違いし、ヒトラーは大スターとなる。タイムスリップしたヒトラーの言動をコメディチックに描くが、次第に状況は変化していく。
作中、ヒトラーが街に繰り出し人々と話すシーンは、映画撮影であることを告げず、実際に一般人と会話しているという。よって、現代に存在するヒトラーに対する人々の反応が非常にリアリティを持つ。
上記の通り前半は笑いのあるシーンが多く、ヒトラーに愛着を抱く人もいるかもしれない。しかし、後半になり、彼は演説による民衆扇動の能力を発揮する。テレビやインターネットの普及した現代において、人々は簡単に影響される。
政治家をキャラクター化して扱う風潮は実際に見受けられるが、そういった状況下で発される発言の影響力について、慎重に考える必要があると再認識させる作品である。
20『キノの旅』(ライトノベル)
作者:時雨沢恵一
発行所:メディアワークス
旅人キノと人間の言葉を話す二輪車エルメスは、様々な国を巡っている。「人の痛みが分かる国」「多数決の国」など、少し変わった国を訪れたキノとエルメスは、3日間と決めている滞在期間で国民と言葉を交わしていく。
『キノの旅』1巻に収録されている『人の痛みが分かる国』は、機械技術が発達し、脳内で考えたことが即座に他人に伝えられるようになった国で生きる男の話である。他者の考えが分かれば痛みも分かるはずだと思われたが、本来であれば伝える言葉を選べるはずが全て伝わってしまうことによるトラブルが国中で起き、国民は対人恐怖症になってしまった。男は、「何を思っているのかわからない」キノの存在に感動する。
キノは、男の話を聞くが、アドバイスを与えたりはしない。キノはあくまで旅人であり、このエピソード以外でも、国を変えようと行動を起こすことは少ない。本作は三人称視点で書かれており、読者もキノが何を考えているのか全て理解することは出来ないが、それにより、分かろうと思考することや、全てを分からなくてもいいと割り切ることも時に必要だと感じさせる効果が生まれている。
課題11~20
11『ゴールデンカムイ』(漫画)
作者:野田サトル
発行所:集英社
日露戦争での武功から「不死身の杉元」と呼ばれた元兵士・杉元佐一は、戦死した親友の妻の病を治すため、大金を求めて北海道で砂金を探していた。そんな中、かつてアイヌが北海道に隠した埋蔵金の手がかりを知った杉元は、ヒグマに襲われたことをきっかけにアイヌの少女・アシ(リ)パと出会う。
注:アシ(リ)パの「リ」は本来は小文字表記。
北海道の金塊を巡る競争には、網走監獄の脱獄囚や、陸軍最強と謳われる第七師団、旧幕府軍の生き残りといったつわもの揃いである。そんな中で杉元達は金塊を手に入れることができるのか。王道の冒険譚に、狩猟や食をはじめとしたアイヌ文化や、登場人物達の交差する過去や感情が加わり、緻密で重厚感のある作品となっている。
本作で主張される、アイヌを含む少数民族の文化の保存は現代にも続く課題であり、問題提起になっているだろう。主人公の杉元はアイヌの子供であるアシ(リ)パを「アシ(リ)パさん」と呼び、敬意を持って接する。明治時代を舞台とした本作で、和人とアイヌ、大人の男性と少女でありながら、二人の関係をこのように表現することで、肩書に囚われず相手を尊重することの重要さも描いている。
12『有閑倶楽部』(漫画)
作者:一条ゆかり
発行所:集英社
幼稚園から大学までの一貫制の名門私立校、聖プレジデント学園。この学園の高等部生徒会の6人は、全員が美男美女で権力にも才能にも恵まれているが、暇を持て余して刺激を求めている。いつしか「有閑倶楽部」と呼ばれ始めた生徒会6人は、様々な事件に首を突っ込み、時には巻き込まれていく。
上記の通り、過剰なほど恵まれた設定の6人が主人公の本作だが、嫌味を感じることはない。なぜなら、この設定こそが様々な事件のきっかけになるのである。身代金目的で誘拐されたり、高校生でありながらラスベガスで豪遊したり、夏休みに別荘で心霊体験に遭遇したりと、普通の学園ものでは難しい展開が次々と繰り広げられる。
これらの事件を彼らが時に面白がり、時に正義感から、解決へと導いていくドタバタコメディである。よって、本作は少女漫画誌「りぼん」に掲載されているが、恋愛には至らず、友情で結ばれた6人が描かれる。
13『おっさんずラブ』(ドラマ)
脚本:徳尾浩司
制作:テレビ朝日
不動産勤務のモテない33歳・春田は、あることをきっかけに尊敬する上司である黒澤が自分に恋愛感情を向けているのではないかと感じ始める。そんな中、本社から異動してきた後輩の牧に対し、母親が家出したことで家事に困っていた春田は同居を提案する。
しかし、ある日黒澤が春田に愛の告白をすることをきっかけに、春田の運命は動き始める。
本作では男性3人を中心とした恋愛を描くが、「この春いちばんピュアなラブストーリー」というキャッチコピーの通り、異性か同性かではなく「人を愛する」ことをメインテーマとしている。登場人物の内面にも同性であることの葛藤は描かれず、周囲からの反対などもない。
同性婚に関する法改正や、LGBTへの偏見は昨今でも改善すべき問題である。誰もがフラットな目線で人を愛する本作のような価値観が必要だと考える。
14『シンデレラコレクション』(漫画)
作者:今井康絵
発行所:小学館
小学6年生のニーナは、恥ずかしさや厳しい母親のせいもあり、ファッションに興味を持ちながらも手を出せず、周囲がおしゃれに夢中な中地味な恰好をしていた。
しかし、クラスメイトの旭との口論の末に、読者モデルになる約束をしてしまう。ためらうニーナだったが、先輩モデルの言葉を受けて、本気でモデルを目指すようになる。
ファッションブランド「メゾピアノ」とコラボレーションし、地味な少女がスーパーモデルへ駆け上がるシンデレラストーリーを描いた作品。
作中に登場する洋服は、作品連載当時(2003年~2005年)実際にメゾピアノで販売されていたもので、読者が主人公ニーナ達と同じファッションを楽しめることも本作の魅力である。また、ニーナのように、おしゃれをしたい気持ちは持つがためらいのある読者の背中を押す作品でもある。
15『ミヨリの森』(映画)
原作:小田ひで次
監督:山本二三
両親の不仲を見て育った11歳の少女ミヨリは、意地っ張りで他人に心を開こうとしない。そんなミヨリは、田舎の祖母の家で暮らすことになり、近くの森で精霊達に出会う。
少しずつ精霊たちや村の人々と心を通わせるミヨリは、村のダム開発による水没を止めるために、精霊と共に計画を建てる。
本作のテーマは主に2つあり、人間の便利さのために自然を荒らすことへの警鐘と、思春期の少女が両親以外の他者からの影響を受けて成長することである。
ミヨリははじめ、不仲な両親の影響で他人と良好な関係を築こうとしない。特に、親としての役割よりも恋を優先し、ミヨリにも同じように生きることを進める母親には反発している。子供は、身近な大人からの影響を受けやすく、次第にその他の他者と関わることで成長する。この成長を、田舎の祖母や子供たち、森の精霊との交流という形で暖かく描いたものが本作だと言えるだろう。
16『先生のおとりよせ』(漫画、小説)
漫画・挿絵:中村明日美子
小説:榎田ユウリ
発行所:リブレ出版株式会社
出版社の意向でコラボをすることになった漫画家・中田みるくと小説家・榎村遥華。対照的な性格で、お互いに性別を誤解していたこともあり第一印象も良くなかった二人だったが、共通の趣味である「おとりよせ」を通じて徐々に互いを理解していく。
この作品の大きな特徴は、漫画と小説のリレー形式で物語が展開される点である。主人公の二人と同様に漫画家と小説家がタッグを組むことで、作品にリアリティが生まれる。
小説のパートは三段組で、おとりよせ商品への感想など印象的なセリフが他の文字より大きく太字で主張されるなど、テンポよく読める工夫がなされている。
また、一話ごとに登場するおとりよせグルメは実在するものであり、写真と販売価格、賞味期限、販売ページのURLが掲載されており、作中の食べ物を実際に購入することが可能である。
17『止まりだしたら走らない』(小説)
作者:品田遊
発行所:リトルモア
中央線を舞台とした短編集。中央線の利用者や社員達の日常の中の物語と、同じく利用者の高校生・都築と新渡戸の物語が交互に描かれる。
最寄り駅の武蔵小金井ではなく、遠回りになる東京駅を起点として高尾山を目指すことになる都築と新渡戸は、電車旅の中で何を思うのか。
一話完結の短編と、繋がりのある物語を交互に載せる、やや特殊な形の短編集である。都築達の物語のみ青字で書かれていたり、他の物語には挿絵が入っていたりと、両者を明確に区切る演出がされている。
また、本作には、一人称視点で描くことにより読者をミスリードする手法が使われており、小説という媒体を活かした作品であると言える。
18『私の恋はチョコレート』(漫画)
作者:色井麻知子
発行所:小学館
恋に憧れる中学生のつぐみは、バレンタインにチョコレートで等身大の男の子を作る。そんなチョコレートの王子様にキスをすると、本物の人間の姿に変身する。
つぐみは突如現れた理想の王子と、クラスメイトの北原の間で恋心に揺れる。
チョコレートが人間の姿に変わるという衝撃的な物語の始まりから、恋の三角関係という王道の少女漫画的展開を、繊細で華やかなタッチで描くラブストーリー。しかし、ラスト数ページに至るまで、主人公つぐみがどちらの少年と結ばれるのか予想できないことが本作の大きな特徴である。単行本の描きおろしページでは、作者もどちらにするか苦悩したことを明かしており、この点において本作には所謂「王道」の三角関係から外れた魅力があるだろう。
19『帰ってきたヒトラー』(映画)
原作:ティムール・ヴェルメシュ
監督:デヴィッド・ヴェンド
アドルフ・ヒトラーが現代にタイムスリップした。しかし、現代の人々は彼をモノマネ芸人だと勘違いし、ヒトラーは大スターとなる。タイムスリップしたヒトラーの言動をコメディチックに描くが、次第に状況は変化していく。
作中、ヒトラーが街に繰り出し人々と話すシーンは、映画撮影であることを告げず、実際に一般人と会話しているという。よって、現代に存在するヒトラーに対する人々の反応が非常にリアリティを持つ。
上記の通り前半は笑いのあるシーンが多く、ヒトラーに愛着を抱く人もいるかもしれない。しかし、後半になり、彼は演説による民衆扇動の能力を発揮する。テレビやインターネットの普及した現代において、人々は簡単に影響される。
政治家をキャラクター化して扱う風潮は実際に見受けられるが、そういった状況下で発される発言の影響力について、慎重に考える必要があると再認識させる作品である。
20『キノの旅』(ライトノベル)
作者:時雨沢恵一
発行所:メディアワークス
旅人キノと人間の言葉を話す二輪車エルメスは、様々な国を巡っている。「人の痛みが分かる国」「多数決の国」など、少し変わった国を訪れたキノとエルメスは、3日間と決めている滞在期間で国民と言葉を交わしていく。
『キノの旅』1巻に収録されている『人の痛みが分かる国』は、機械技術が発達し、脳内で考えたことが即座に他人に伝えられるようになった国で生きる男の話である。他者の考えが分かれば痛みも分かるはずだと思われたが、本来であれば伝える言葉を選べるはずが全て伝わってしまうことによるトラブルが国中で起き、国民は対人恐怖症になってしまった。男は、「何を思っているのかわからない」キノの存在に感動する。
キノは、男の話を聞くが、アドバイスを与えたりはしない。キノはあくまで旅人であり、このエピソード以外でも、国を変えようと行動を起こすことは少ない。本作は三人称視点で書かれており、読者もキノが何を考えているのか全て理解することは出来ないが、それにより、分かろうと思考することや、全てを分からなくてもいいと割り切ることも時に必要だと感じさせる効果が生まれている。
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