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4年 高垣 春休み20作品 RES
2026春休み 20作品

1『落下の王国』(2006)
時は1915年。映画の撮影中、橋から落ちて大怪我を負い、病室のベッドに横たわるスタントマンのロイは、自暴自棄になっていた。そこに現れたのは、木から落ちて腕を骨折し、入院中の5才の少女・アレクサンドリア。ロイは動けない自分に代わって、自殺するための薬を薬剤室から盗んで来させようと、思いつきの冒険物語を聞かせ始める。それは、愛する者や誇りを失い、深い闇に落ちていた6人の勇者たちが、力を合わせて悪に立ち向かう【愛と復讐の叙事詩】

アレクサンドリアの純粋さがロイの落ちた心に温かさを宿していく様子が感動的な映画。冒険物語の映像がとにかく壮大で美しく、ロケ地へのこだわりを感じた。構想26年、撮影期間4年もかけているのも納得で、今後同様のこだわりを詰め込んだ作品は出てこないだろうと感じた。


2『爆弾』(2025)
酔って逮捕された中年男・スズキタゴサクの一言により、東京を丸ごと恐怖に陥れる連続爆弾事件が起きる。爆弾はどこか、目的は何か、スズキはいったい何者なのか。密室の取調室で繰り広げられる謎解きゲームと東京中を駆け巡る爆弾探しが始まる。

基本取り調べのワンシチュエーションだが、怒涛の会話劇で先が読めない。ベテラン刑事や未来の明るい若者が翻弄され負けていくところ、推理が間違え爆発してしまう場面など、警察側の負けを何度も描くことで一筋縄ではいかないストーリーになっていた。

3『ウェポンズ』(2025)
これは、ある町で起きた本当の話。多くの⼈が命を落とした秘密の話。深夜2時17分、⼦どもたち17⼈が同時に姿を消した。消息を絶ったのは、ある学校の教室の⽣徒たちだけ。疑いをかけられた担任教師ジャスティンは、集団失踪事件の真相に迫ろうとするが、この⽇を境に不可解な事件が多発、やがて町全体が狂い出していく。

 怖い部分はしっかりと驚かしてくるが、基本はじわじわと不気味な雰囲気の映画だった。事件に巻き込まれる人それぞれの視点で物語が進んでいく形式で、見進めていくことで違った物語が見えてくるのが面白かった。シャイニングのオマージュがところどころみられた。

4『シャドウズ・エッジ』(2025)
ネオンに彩られたマカオ。 その裏で、神出鬼没のサイバー犯罪集団が静かに牙を研いでいた。 警察はなす術もなく、一線を退いた追跡のエキスパート・黄徳に頼ることに。 彼は若き精鋭たちとチームを組み、最新テクノロジーと旧式の捜査術で、犯罪集団を追い始める。 辿り着いたのは、“影”と呼ばれる指名手配犯の元暗殺者。 彼を首領とした犯罪集団は、巧みな変装と高度なコンピュータ技術を駆使し、警察の追跡をかわしていく。 そして、追跡から15日目。 ついに警察は“影”の居場所の特定に成功。 しかし、彼らを待ち受けるのは、最悪の罠だった。

 ジャッキーチェンの作品ということで、彼がメインの物語かと思っていたが、新米刑事の成長物語だったのが意外性が合って面白かった。香港映画の特徴である派手なアクションと泥沼な肉弾戦の多様さがありつつ、AI技術と古風な捜査を組み合わせた近年ならではの物語で、新しいアクション映画の形が見えたと思った。韓国映画の『監視者たち』の香港リメイクということだったので、韓国版とも見比べてみたい。


5『新劇場版銀魂 吉原大炎上』
 法の力が及ばない巨大な地下遊郭都市・吉原桃源郷。欲望渦巻く陽の当たらない常夜の街。江戸で何でも屋=万事屋を営む坂田銀時は、スリで生計を立てる孤児・晴太と出会った。晴太は生き別れた母を探しているという。そして吉原トップの花魁・日輪が母かもしれないと。吉原桃源郷の花魁達は夜王・鳳仙の支配下にある。鳳仙は戦闘民族・夜兎族の中でも圧倒的な強さを誇り、吉原の利権をすべて掌握し、莫大な金と権力を欲しいままにしていた。「一目でいいから母ちゃんに会いたい」。少年の小さな願いを叶えるために、銀時と仲間達が動き出す。

テレビアニメで放送され人気な回のセルフリメイク版。原作は完結していることから、主人公はこの時どのような想いをもって行動したのか、新たな想像が膨らみ、令和版としてとても楽しめた。キャラクターの表情の書き方や映し方の演出がTVアニメ版とは明らかに変えている部分もあり、制作サイドも完結を経て新たな解釈を加えていると思った。

6『グランメゾン東京』(ドラマ)
早見倫子は料理人として三ツ星を取ることを目指し、ひょんなことから出会った日本人シェフ・尾花夏樹と日本で店を作ることになる。尾花の以前の仲間たちを勧誘し店を作ろうとするが、次々と問題が起こる。

 テンポよく話が進んでいく部分や、失敗と成功の連続によって得られるカタルシスが近年のドラマの中でも丁度良く得られる作品だったと思う。料理シーンを役者がかなりの尺で自分でやっていたのが意外だった。


7『グランメゾン・パリ』
グランメゾン東京」が日本で“三つ星”を獲得してから時が経ち—尾花夏樹は早見倫子と、フランス料理の本場・パリで、新店舗「グランメゾン・パリ」を立ち上げ、アジア人初となるミシュラン“三つ星”を獲得するために奮闘していた。 名だたる巨匠たちがしのぎを削る本場フランスで、フランス料理で “三つ星”を獲得することは、尾花にとっての悲願。だが異国の地のシェフにとっては、満足のいく食材を手に入れることにすら高い壁があり、“三つ星”に選ばれるなど夢のまた夢。「グランメゾン・パリ」は結果を出せない日々が続いていた。そしてあるガラディナーでの失態が原因で、かつての師と「次のミシュランで三つ星を獲れなければ、店を辞めフランスから出ていく」という約束を交わしてしまう。

 グランメゾン東京は、早見倫子の成長のフォーカスが当てられていたが、今回の映画では、尾花夏樹の成長にフォーカスが当てられていたと思う。映像の重厚感も進化していて、ドラマ版は明るく前へ進む活気が表現されていたのに対し、映画版は尾花や従業員の苦悩が暗く彩度の低い映像で表現されていたと感じた。


8『呪術廻戦 三期 死滅回遊』51話 葦を啣む
「死滅回游」平定のため其々の役割に動き出す一行。その中で、真希は死滅回游に参加するための戦力を強化すべく呪具の回収のため禪院家に赴く。直哉からの罵倒、そして母からの制止も聞かずに忌庫へと向かう真希。そして忌庫の扉を開くと、空となった中身の代わりに、血まみれの真依と、父・禪院扇の姿があった。

呪術師として不完全であった双子が一人の犠牲により完全体へ進化するという、以前までの伏線がつながる重要な回だった。テンポとアニメーションが輝いている回でもあり、キャラクターの視線の揺れ方や術式の描き方のダイナミックさや衝撃度の高さは、本シリーズでも屈指のものであると思う。


9『戦場のメリークリスマス 4K修復版』
1942年戦時中のジャワ島、日本軍の俘虜収容所。収容所で起こった事件をきっかけに粗暴な日本軍軍曹ハラと温厚なイギリス人捕虜ロレンスが事件処理に奔走する。一方、ハラの上官で、規律を厳格に守る収容所所長で陸軍大尉のヨノイはある日、収容所に連行されてきた反抗的で美しいイギリス人俘虜のセリアズに心を奪われてしまう。

出演者の豪華さや楽曲に話題がいきがちな本作だが、大島渚の映画の中でもわかりやすいクイア映画だと感じた。テーマ性はわかりやすいが、説明は極端に少なく、節々の情報を自分で取りに行かないとおいていかれる。
最後の「メリークリスマス、ミスターローレンス」は様々な感情が乗り感動する。映画史に残る名場面だと思う。


10『ドールハウス』
5歳の娘・芽衣を亡くした鈴木佳恵と夫の忠彦。 哀しみに暮れる佳恵は、骨董市で見つけた、芽衣によく似た愛らしい人形をかわいがり、 元気を取り戻してゆく。 佳恵と忠彦の間に新たな娘・真衣が生まれると、2人は人形に心を向けなくなる。 やがて、5歳に成長した真衣が人形と遊ぶようになると、一家に変な出来事が次々と起きはじめる。 佳恵たちは人形を手放そうとするが、捨てても捨てても、 なぜかその人形は戻ってくる。

古典的な人形ホラー。ミスリードがあり、真相に気づいたときはぞっとする。
悲鳴を正面顔アップで撮るのはかなりリスキーだが、あえてそこを取ることで近年のホラーとは一線を画すものになっている。

11『TXQ FICTION/神木隆之介』
神木隆之介が本人役で出演し、10歳で失踪した子役「てるちゃん」の謎を追うフェイクドキュメンタリー。

4段構造になっており、第一話は神木隆之介のイベント内で流した心霊スポット探索のフェイク動画とそのあらまし、第2話以降は、神木が主演のフェイクドキュメンタリーをつくっていくという内容になっていて、だんだんフェイクとリアルの境がわからなくなっていく。3つの虚構の世界があり、回を重ねるにつれ虚構が繋がっていくところがフェイクドキュメンタリーの面白味でもある。神木隆之介が演じることによって、彼が何を憑依させ何を演じているのかという疑問を残して終わるのが、本作ならではだと感じた。


12『コンパニオン』
人里離れた山小屋で静かな週末を過ごすはずだった4人の男女。だが、その中のひとりが“人間”ではなかったと明かされた瞬間、空気は一変する。彼女は人間のために作られた従順なアンドロイドだったのだ。しかし、ある過去の記憶と感情に支配され、彼女の“プログラム”は暴走を始める。

アンドロイドの暴走かと思ったが人間側がかなり汚い思考を持っていたので、どんでん返しですっきりする内容になっていた。


13『サブスタンス』
元トップ人気女優エリザベスは、50歳を超え、容姿の衰えと、それによる仕事の減少から、ある新しい再生医療<サブスタンス>に手を出した。接種するや、エリザベスの背を破り脱皮するかの如く現れたのは若く美しい、“エリザベス”の上位互換“スー”。抜群のルックスと、エリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に色めき立つテレビ業界。スーは一足飛びに、スターダムへと駆け上がる。一つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの生命とコンディションを維持するために、一週毎に入れ替わらなければならないのだが、スーがタイムシェアリングのルールを破りはじめる。

人の汚さや欲望を感じる一作。人気や美貌、それに価値をつけるビジネスマン、様々な人の思惑が交じり合い、思いもよらない展開になる。話の恐ろしさに、カメラの構図や美術によって映像の美しさが相まって不気味だった。

14『八つ墓村』(1996年版)
昭和24年、母を失いひとり身となった寺田辰弥は、突如資産家・田治見要蔵の遺児であることを知らされる。当の村を訪れた辰弥は、田治見家の後継ぎになるように言われる。そんな彼に地元の老婆が、辰弥がこの村に入ると八つ墓明神の祟りがあると言い放つ。

金田一耕助シリーズの中ではかなりの異色作。ホラーにかなり寄っており、推理パートがあまりなかったので少々肩透かし感があり、王道の金田一を求めると楽しめない、八つ墓村だけでも何作品かあるので、見比べると監督や俳優の違いを楽しめると思う。

15『禍々女』
スキになられたら死ぬまで逃れらない執拗に男に付きまとう“禍禍女”の正体とはなんなのか。宏のことが好きな早苗は、禍禍女の噂を聞き、好奇心から謎に迫る。そして妄想と狂気が交錯する混沌に飲み込まれていく。

ホラーテイストのコメディーだった。監督がゆりやんレトリーバーなので、彼女のシュールな芸風が反映されていて飽きないテンポ感だった。禍々女を中心とした群像劇的な話で、ミステリー要素もあり、最後まで予想できないオチがよかった。

16『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』
コナンと蘭・園⼦・⼩五郎は、バイクの祭典「神奈川モーターサイクルフェスティバル」が開催される横浜・みなとみらいに、バイク好きの世良真純と向かっていた。するとコナン達が乗った⾞の上を⾶び越え現れた、暴⾛する謎の“⿊いバイク”。そしてそれを追っていたのは、蘭がいつか⾒た「⾵の⼥神様」神奈川県警交通機動隊の萩原千速だった。

かなりアクションに全振りした作品。ミステリー要素はほとんどなく、萩原千速を描きたかったのだなと言った印象。


17『僕のヒーローアカデミア』第1話~第3話
人口の八割が超常能力「個性」を使い、社会を守る世界。中学生の緑谷出久は「無個性」だが、ヒーローになる夢はあきらめない。これは、緑谷出久が最高のヒーローになるまでの物語。

緑谷の変化がこの三話で大きくみられる。気持ちばかり、口ばかりだった緑谷が現実を突きつけられながらも、ヒーローになる精神的素質とそれ以上に努力しようとする姿勢が備わるようになり、彼がこの物語で主人公たる所以がこの三話で分かる。

18『TXQ FICTION/飯沼一家に謝罪します』
 都市伝説的に語られている、一夜限りのテレビ番組『飯沼一家に謝罪します』の謎を追うというフェイクドキュメンタリー。

少しづつ謎が解き明かされていく面白さと、その事実の不気味さが一話ずつ重なっていくところが、とても良質なホラーミステリーとなっている。

19『TXQ FICTION/イシナガキクエを探しています』
 緊急行方不明者捜索番組『イシナガキクエを探しています』この番組内では「イシナガキクエ」さんの情報提供を呼びかけ、だんだんと情報が集まっていくが、事態は不穏な方向に進んでいく。テレビ東京のフェイクドキュメンタリー。

 他作品同様の不気味さ怖さはありつつも、亡くなった恋人を追い求める人のドキュメンタリーでもあり切なかった。

20『マイケル』
圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、アーティストの枠を超え、全世界的なアイコンとなった“キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソン。野心家の父のもと厳しいレッスンを経て、兄弟グループ、ジャクソン5で幼少の頃から大成功を収めた彼は、やがて青年となり、ソロアーティストとして歴史的名曲の数々を生み出し、全世界の寵児となっていく。
しかし、その栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感、強権的な父親の呪縛、家族への愛と自分の中に溢れるビジョンとの間で葛藤する一人の人間の姿があった。

マイケルの音楽、生き写しのような主演の存在感、テンポのよいストーリー展開、最高に盛り上がる一作だった。マイケルの人間性や性格を象徴するものが美術や小道具にまで散りばめられていて、愛にあふれていた。しかし、伝記にしては脚色が多かった。父親のジョセフを完全悪として描きすぎていて、少々苦しくなった。
2026/07/18(土) 15:07 No.2141 EDIT DEL