EDIT FORM

以下のフォームから編集を行ってください
TEXT FLOAT
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。
中村昂太郎 RES
三年 中村昂太郎

1 小市民シリーズ(アニメ)監督:神戸守

【概要】
 平穏で慎ましい小市民を目指すという約束をした小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、無事同じ高校に入学した。ところが、小佐内からいちごタルトを買いに行こうと誘われた四月のある日、小鳩は校内で盗まれたというポシェットの捜索に駆り出されてしまう。いきなり事件に遭遇した小鳩たちは、穏やかな放課後を過ごせるのだろうか。

【考察】
 BGMを多用せず、環境音や会話だけで構成されているシーンが多く、キャラクターの生活や会話に自然と目が行くように作られていた。また、主人公の小鳩が推理を披露したり、重要な会話が挟まれるシーンではキャラが立っている場所ではなく、あえて舞台となっている岐阜市の景色を背景にしたりと、会話内容や表情だけでなく、画面全体を使ってキャラ同士の関係性や心情を表現しており、会話劇がほとんどの構成だったにも関わらず、視聴者が視覚的にも楽しめる工夫が多く仕込まれていた。
 2期からは一話完結の構成から、全体を通して事件を追う構成になっており、さらに視聴に没入できるようになっていた。しかし、それもただ事件の謎を解いていくだけではなく、小鳩と小山内のパーソナリティが1期よりも深く理解できるようになっていたり、二人が知り合うきっかけとなった事件を回想で振り返りながら、徐々に過去と現在の事件の繋がりが明らかになるようなつくりとなっていた。これらを経て、二人が出した作中で「小市民になることはできない」という結論に、視聴者も納得できるようになっている。


2 ウマ娘 シンデレラグレイ(アニメ)監督:みうらたけひろ

【概要】
 寂れた地方のカサマツトレセン学園。
そこでトレーナーを務める北原穣は、活気を失いつつある地方レースの現状に対してどうにもできない日々を送っていた。
そんなある日、1人のウマ娘と出会う。
芦毛の髪をなびかせて走るその姿を見た時、彼は長年待ちわびていた『スター』が現れたと直感する——。

【考察】
 初めはただ走れればそれでいいと思っていた主人公が、地元のライバルや仲間たちなど、様々な人の想いを背負っていった結果、レースに勝ちたいという欲求が生まれるまでが、1期の範囲内では様々な人物の視点で描かれていた。主人公のオグリキャップのシンデレラストーリーであると同時に、同じ時代を生きたウマ娘とトレーナーの群像劇として見ることもできた。
 実際の競走馬をモデルにストーリーが作られていることによって、視聴者が現実と重ね合わせて作品を見ることができ、史実を知っているが故に先の展開を予想できる人でも、迫力あるレースの作画と擬人化された競走馬たちのドラマを楽しめるようになっている。特性上、未成年や興味のない人間には触れづらい競馬という競技を、キャッチーに脚色し誰でも気軽に触れられるコンテンツにしたことで、実際に競馬業界にも良い影響が出ていることから、アプリ版と合わせてこのコンテンツは、今後も競馬界にとって重要な立ち位置を持つことになると考える。


3 TRICK(ドラマ)監督:堤幸彦

【概要】
 自称天才マジシャン・山田奈緒子と、日本科学技術大学物理学教授・上田次郎コンビが、超常現象や奇怪な事件に隠されたトリックを解決していくミステリードラマ。

【考察】
 インチキ霊能力者のトリックを暴き、事件を解決するストーリーではあるが、作中では本物の霊能力が存在する。さらに、シーズン1の終盤に主人公の山田が霊能力者の血を引いている事が明らかになり、シーズン2からは、敵となる霊能力者たちは山田のマジックの腕や推理力には触れず、霊能力者として高く評価する者が増えていき、実際に山田が未来を予知しているようなシーンも差し込まれており、作中で最も霊能力を否定してきた山田が屈指の霊能力を持っているという皮肉な構図が作り出されている。また、トリックを暴いたからといって事態が好転する訳ではなく、さらに犠牲者が増えたり、霊能力者を信奉していた人たちを絶望させてしまったりと、ハッピーエンドで終わる話は非常に少ない。しかし、山田と上田や矢部刑事たちのコミカルな会話を通して事件を解決していくことで、どうにか視聴者に重い雰囲気を引きずらせないように作られている。かつて大ヒットした要因はこのギャグとシリアスのバランスとコントラスト故であると考える。
 トリックを見破ることは得意だが教養が無い山田と、頭脳と戦闘力を持っているが臆病で視野が狭い上田のバディとしての完成度の高さも、この作品の魅力の一つである。先述したようにシリアスな空気を緩和できるコミカルな二人のやり取りはもちろん、この二人はお互いがお互いの能力を補完し合っているため、キャラが中々ストーリーを動かさないことによる視聴者のストレスが少ない状態で楽しむことができる。どちらかが何かしらの出来事で使い物にならない時は、もう一方がしっかりと活躍してストーリーを動かせるようになっており、非常に使い勝手の良いバディとなっている。この二人さえ揃っていればいくらでも続編を作ることが可能であり、さらにこの二人に関する事前に知っておくべき設定なども少ないため、シリーズが続いても敷居が低く、長く広い世代に愛される所以であると考える。


4 ヴァチカンのエクソシスト(映画)監督:ジュリアス・エイヴァリー

【概要】
 1987年7月――サン・セバスチャン修道院。
アモルト神父はローマ教皇から直接依頼を受け、憑依されたある少年の《悪魔祓い》(エクソシズム)に向かう――。変わり果てた姿。絶対に知りえないアモルト自身の過去を話す少年を見て、これは病気ではなく“悪魔”の仕業だと確信。若き相棒のトマース神父とともに本格的な調査に乗り出したアモルトは、ある古い記録に辿り着く。中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判。その修道院の地下に眠る邪悪な魂――。
全てが一つに繋がった時、ヴァチカンの命運を握る、凄惨なエクソシズムが始まる――

【考察】
 ベテランエクソシストと新米司祭が協力して強力な悪魔を倒す、バディ物としてもエンタメ映画としても完成度の高い作品だった。悪魔とエクソシストというわかりやすい対立構造と、悪魔を倒すために二人の司祭が自身の罪を受け入れて成長するという王道の展開がクオリティの高いCGで見応えのあるものになっていた。しかし、キリスト教が過去に犯した罪を悪魔のせいであるとして、その悪魔を祓うことで解決したようにしてしまうことは、エンタメ映画であるということを差し引いても、あまり誠実ではないと考える。


5 ミーガン(映画)監督:ジェラルド・ジョンストン

【概要】
 おもちゃ会社で優秀な研究者として働くジェマは、人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」の開発を行っている。ある日、交通事故によって両親を失い、孤児となってしまった姪のケイディを引き取ることになったジェマは、子どもにとっては最高の友だちに、親にとっては最大の協力者となるようにプログラムされたミーガンに対し、あらゆる出来事からケイディを守るように指示を出す。だがその行動がやがて、想像を絶する事態を引き起こす。

【考察】
 人工知能が段々と自我を獲得していき、人のために行動していたものが最終的には自分のために行動し始めるまでが、ジャンプスケアを多用せずに、演出でゾワっとするような恐怖を見ている者に植え付けるようなつくりだった。
 ミーガンが最後に逆らえないはずの少女に手をあげたシーンは、私はそこでミーガンはロボットから「人間」になったのだと考える。映画の中盤にて、ミーガンが死について思考するシーンがあり、ミーガンはその思考を経て、自身の死を意識し、死にたくないと思ってしまった。それゆえに、主人となるユーザーを少女から自身へと書き換え、自分が生きる上で障害となる人物を殺して回るという行為をするに至ったのだ。また、ミーガンが作中で殺めてきたものたちは、全てミーガンに危害を加えたものであるということから、初めからミーガンは自身の安全を最優先に行動していたとも考えることができる。


6 ウェンズデー(ドラマ)監督:ティム・バートン
【概要】
 「アダムス・ファミリー」に登場する長女ウェンズデーが主人公のNetflixオリジナルドラマ。ティム・バートンが監督・制作総指揮を担当した。奇妙な寄宿学校、ネヴァーモア学園でウェンズデーが一族にまつわる超常現象や殺人事件に巻き込まれていく推理ミステリー。

【考察】
 スピンオフのような作品ではあるが、アダムスファミリーについての知識が視聴するにあたって必要になるわけではなく、むしろ初めて触れる人が他のシリーズにも興味を持てるような内容の作品だった。
 アダムスファミリーのようなコメディとホラーが融合したようなものではなく、それぞれ特別な能力を持った“のけ者”と呼ばれる種族の青春ミステリー作品だった。主人公のウェンズデーが徐々に学園に馴染んでいく過程は日本の学園モノの漫画やアニメの構成にとても近く、日本人の方がむしろ楽しみやすいものになっていたと考える。
 ホラー映画では本来得体の知れない恐怖演出となるものが、全て“そういう能力”であるという理由がつけられてしまったため、ホラー作品としての魅力が完全に無くなってしまったが、それ故にミステリーのタネに幅ができ、視聴者が全く予想できない展開を作り出すことができていた。また、世間とは隔絶した世界に住んでいるように見えていたキャラクターたちが、警察に捕まったりカウンセリングを受けたりしているシーンは、現実世界とキャラクターの格好とのアンバランスさがむしろ笑いを誘うギャグシーンのように楽しむことができた。


7 機動戦士ガンダム GQuuuuuuX(アニメ)監督:鶴巻和哉

【概要】
 スペース・コロニーに住む女子高生アマテは、偶然運び屋のニャアンと出会い、非合法なジャンク屋に関わってしまう。正体不明のモビルスーツ 赤いガンダムを捕縛しようとする軍警察の横暴を許せないアマテは、目の前に横たわる最新鋭モビルスーツ ジークアクスに飛び乗る。

【考察】
 ファンの間では不可侵の聖域のようになっていた初代ガンダムシリーズを大胆に作り変え、パラレルワールドとして物語を進めていた。これまでに無い発想で原型が無いほどに展開が変わっているが、キャラクターデザインや声優を一新することで、あくまで別の物語であることを強調し、視聴者、特に初代ガンダムファンにとって受け入れられやすいように作られていたと考える。


8 サンダーボルツ(映画)監督:ジェイク・シュライアー

【概要】
 〈サンダーボルツ*〉よ、集結せよ——アベンジャーズに代わって世界を救え!人類消滅の危機…アベンジャーズ全員を合わせた以上のパワーを持つセントリーの襲来で、ニューヨークは闇にのまれ、人々が影だけ残して消されていく。この危機を阻止するため集められたのは、〈超クセ強な無法者〉たち!?「最強でも、ヒーローでもない—でも、やるしかない!」ヒーローになれなかった奴らの人生逆転をかけた【敗者復活戦】が始まる!型破りなマーベルの新チーム“*ニュー・アベンジャーズ”誕生を見届けろ!

【考察】
 これまでのマーベル映画で敵としてヒーローに立ちはだかったキャラクターたちが、ヒーローとして再起する作品だった。物語全体を通して“やり直す”ことをテーマとして扱っており、ヴィランとして犯した過ちと向き合いやり直すこと、また、エレーナとアレクセイの血の繋がっていない親子関係を新たにやり直すことなど、それぞれのキャラクターの抱える問題を浮き彫りにした上で、最終的にチームでそれらを乗り越えるという構成だった。
 ヒーローチームの不在により勢いが無くなっていたマーベルシリーズにとって、新たなスタートを切る作品としての役割があると考える。しかし、メインのキャラクターは過去作品に登場した敵となっているため、視聴者が過去作を全て知っている前提で話が進むため、初めてマーベル作品に触れる人には若干のハードルの高い作品となっている。


9 ファンタスティックフォー(映画)監督:マット・シャクマン

【概要】
 宇宙ミッション中の事故で特殊能力を得た4人のヒーロー・チームは、その力と正義感で人々を救い、“ファンタスティック4”と呼ばれている。 世界中で愛され、強い絆で結ばれた彼ら“家族”には、間もなく“新たな命”も加わろうとしていた。 しかし、チームリーダーで天才科学者リードのある行動がきっかけで、惑星を食い尽くす規格外の敵”宇宙神ギャラクタス”の脅威が地球に迫る! 滅亡へのカウントダウンが進む中、一人の人間としての葛藤を抱えながらも、彼らはヒーローとして立ち向かう。 いま、全人類の運命は、この4人に託された——。

【考察】
 今まで存在する過去作品が膨大すぎることから敬遠されることがマーベル作品の弱点だったが、この作品は要求される事前知識が全く必要のない、まさしく新世代のマーベル作品と言えるものだった。四人のヒーローが家族として一緒に暮らしている様子はホームドラマのような作りになっており、敵と戦うアクションシーンとは違う魅力があった。また、ヒーローたちが能力を得たきっかけや現在の世界での立ち位置などをダイジェストで初めに流しておくことで、その後の展開にしっかりと時間を使うことができていた。
 家族がテーマとなっているため、古き良き家族の形が描かれており、とても懐かしく感じた。特に子を産み、母となった女性の強さがこれでもかと描かれていて、昨今ハリウッドなどで多く登場する“強い女性”とは違い、強いことに納得感がありつつ、強さが世界をまとめ上げるカリスマや敵を追い詰める強さに繋がっており、今の時代の流れから少し外れつつも古臭さを感じさせない描写となっていた。


10 恋する寄生虫(小説)作者:三秋縋

【概要】
 失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを……。

【考察】
 設定の斬新さはありながらも、主な魅力はキャラ同士のかけ合いとなっており、三秋縋から生まれたキャラクターであることははっきりとわかるにもかかわらず、しっかりと口調や価値観などでそれぞれのキャラが立っていた。主人公とヒロインがお互いに惹かれ合う過程がとても丁寧に描かれており、だからこそ中盤で真相が明かされた際に読者と主人公の思考が一致し、より感情移入することができるつくりになっていた。作中には合理よりも感情を優先するキャラが多く、しかし先述したようにこの作品はキャラへの感情移入がとてもしやすいつくりになっているので、読者を俯瞰した位置からキャラの視点まで引きずり込み、読者の中でノイズが生まれることを防いでいると考える。
 ただ、読み進めるうちに寄生虫の設定が描きたい展開のためのものであると読者が分かってしまい、斬新な設定に惹かれて読み始めた者にとっては肩透かしを食らったように感じてしまうと考える。しかし、斬新な設定と世界観で等身大の男女の出会いと別れを描くのが三秋縋作品の魅力であるので、三秋にはそのままでいて欲しい。


11 るろうに剣心 the final(映画)監督:大友啓史

【概要】
 日本転覆を企てた志々雄真実との死闘を終えた剣心たちは、神谷道場で平穏な日々を送っていた。そんなある日、何者かが東京中心部を相次いで攻撃。やがて剣心は、ある理由から剣心に強烈な恨みを持つ上海の武器商人・縁との戦いに身を投じていく。キャストには緋村剣心役の佐藤健、神谷薫役の武井咲、相楽左之助役の青木崇高、高荷恵役の蒼井優、斎藤一役の江口洋介らおなじみの俳優陣が再結集。新たなメンバーとして、シリーズ史上最恐の敵となる縁役を新田真剣佑、かつての剣心の妻で、剣心が不殺の誓いを立てる理由となった女性・雪代巴役を有村架純がそれぞれ演じる。

【考察】
 戦いの規模や危機感などは前作よりも下がっているが、その分アクションシーンのクオリティは前作から経った年数の分だけ上がっているため、見ている内にそれが気になることは無いようになっている。るろうに剣心のアクションの醍醐味である多対一の戦闘だけでなく、一対一の戦闘も、前作を超えるレベルに仕上げられており、総決算として相応しい出来であったと考える。
 敵である縁を演じる新真剣佑の演技が素晴らしく、マフィアのボスとしての底知れなさ、悪辣さと、一人の姉を想う弟としての幼さという正反対の性質を別人ではなく同一人物として演じ切ることができていた。初めはバランス良く保たれていたその性質が、戦闘が長引くごとにバランスが崩れ、ぐちゃぐちゃに混ざっていく様が描かれ、視聴者側は縁を敵ではなく遺された可哀想な弟として認識してしまうような作りとなっていた。


12 来る(映画)監督:中島哲也

【概要】
 恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。

【考察】
 前半の完成度の高いホラー演出から、一気に霊能力者バトルに変わっていく様がとても爽快で、エンタメ映画として非常に満足度の高いものとなっていた。霊能力者たちのキャラが、すぐに出番が無くなる者であってもしっかりと立てられており、少ない出番でも視聴者に強烈なインパクトを残せられるようになっていた。


13 ゴールデンカムイ(ドラマ)監督:久保茂昭

【概要】
 明治末期の北海道。日露戦争を生き抜いた元軍人・杉元(山﨑賢人)は、アイヌの少女・アシ(リ)パ(山田杏奈)、網走監獄の脱獄囚・白石(矢本悠馬)とともに、金塊のありかを示す暗号を彫られた24人の“刺青囚人”を探していた。だが、「第七師団」を率いる鶴見(玉木宏)や尾形(眞栄田郷敦)、元新撰組「鬼の副長」こと土方(舘ひろし)も囚人たちを狙う。杉元たちは旅路で、アシ(リ)パの父の古き友のキロランケ(池内博之)、アイヌの女 ・インカ(ラ)マッ(高橋メアリージュン)、「札幌世界ホテル」の女将(おかみ)の家永(桜井ユキ)、元ヤクザの若衆の夏太郎(塩野瑛久)など、腹の中が読めない者たちと出会う。
さらには、鶴見の忠臣・鯉登(中川大志)、網走監獄典獄の犬童(北村一輝)、伝説的な熊撃ち、“煌めき”を追い求める男、ヤクザの親分、天才剝製職人、詐欺師などクセ者たちが次々に現われる!波乱の金塊争奪戦が幕を開ける!

【考察】
 ただ原作を再現するだけでなく、漫画と実写の媒体の違いを活かし、実写ならではのアクションと演出が多く使われていた。中盤にて谷垣が旅立ちを決意するシーンでは、漫画には無かった朝日が差し込む演出を採用し、画としての見応えを増し、谷垣の心情をよく描写することができていた。
 原作でよく語られているギャグシーンは、漫画の誇張表現をそのまま再現することはせず、あくまでそれがメインにはならないような工夫がされていたように感じた。


14 九龍ジェネリックロマンス(アニメ)監督:岩崎良明

【概要】
 人々の活気とどこか懐かしい空気に溢れる街・九龍城砦で鯨井令子は、不動産会社 “旺来地産” に勤めている。先輩の工藤発は遅刻の常習犯にして何事にも大雑把な性格だが、九龍の街をこよなく愛している。
ある日、九龍から懐かしさは特に感じないと言う令子に、その魅力を伝えるため街に連れ出した工藤。最後にたどり着いた「金魚茶館」という工藤行きつけの不思議な喫茶店で、令子は店員のグエンに工藤の恋人と間違われる。人々の活気とどこか懐かしい空気に溢れる街・九龍城砦くーろんじょうさいで鯨井令子は、不動産会社 “旺来地産” に勤めている。先輩の工藤発は遅刻の常習犯にして何事にも大雑把な性格だが、九龍の街をこよなく愛している。
ある日、九龍から懐かしさは特に感じないと言う令子に、その魅力を伝えるため街に連れ出した工藤。最後にたどり着いた「金魚茶館」という工藤行きつけの不思議な喫茶店で、令子は店員のグエンに工藤の恋人と間違われる。

【考察】
 実際に存在する九龍城塞を舞台にしており、背景はかなり現実と近いものになっており、制作のこだわりを感じさせるものとなっていた。また、九龍で暮らす人々も止め画だけでなくしっかりと描写することで、緻密な背景も合わせて物語への没入を促す役割を担っていた。まず、再現された九龍が舞台で主人公が死んだ人間のコピーであるという設定が斬新で、先の展開を予想させず、視聴者を飽きさせないようになっていた。
 アニメの放送期間が終わった直後に実写映画を公開するというマーケティングも、今までにないもので興味を引くようになっていた。しかし、アニメの視聴者がそのまま実写映画を見てくれるとは少し考え難く、このマーケティングが正しいものであるとは現状では言えないと考える。


15 パンティ&ストッキングwithガーターベルト(アニメ)監督:今石洋之

【概要】
 神と悪魔の狭間の街、ダテンシティ。
今日も人知れず恐ろしい悪霊<ゴースト>たちが街を蝕む。
そんな時、人々の欲望や怨念の魂たる悪霊<ゴースト>を、人知の及ばぬ光をもって消し去る者達がいた。
その名は、天使 パンティ&ストッキング!!
地上に蔓延る闇を祓う使命を託された堕天使姉妹。
その正体は果たして神の使いか…悪魔の僕しもべか…。

【考察】
 海外のカートゥーンのような絵柄のキャラがどぎつい下ネタを叫ぶというギャップが見ていて面白く、所々に挟まれる様々な作品のオマージュがカオスさを呼び、この作品でしか味わえない魅力が生まれていた。1期では全体的に品がない下ネタが多く、視聴者を選ぶものとなっていたが、振り切った下ネタが作品特有の魅力となり15年経っても2期を望むファンが多くいたことの理由の一つとなった。
 2期からは下ネタもさらに下品になり、さらに毎話必ずオマージュが差し込まれるようになり、そのオマージュも有名なものから日本人がほとんど知らないものまで様々なバリエーションがあり、さらに登場キャラも増えたため、見応えという意味では1期から大幅に進化したものであると言える。


16 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(アニメ)監督:岡本学

【概要】
 34歳・童貞・無職の引きこもりだった男は車に撥ねられ、その一生を終える……はずだった。しかし、男が次に目を覚ましたとき、そこは剣と魔法の異世界であった。少年・ルーデウスとして転生した男は考える、この世界ならば、自分も本気で生きていくことができるかもしれない……と。

【考察】
 転生もののテンプレをなぞりながらも、転生してからの人生を丁寧に描いているため、視聴者が主人公を成人男性としてではなくその世界の子供として認識するようになり、子供の中身が中年男性であることへの嫌悪感をあまり抱かせないつくりになっていたと考える。全体を通して“家族”をテーマにしており、転生者として異世界の住人としての自覚が薄かった主人公が、家族との交流を経てその自覚を持つまでを描いており、中世ヨーロッパに近い世界観であるがゆえに、家族との繋がりを重視するある意味前時代的な物語でも違和感なく展開できている。
 また、アニメではそれぞれの種族で独自の言語を使用していることを表現するために一から言葉を作っており、異世界としてのリアリティが出ると同時に、主人公が日本語を話すシーンではそれを上手く活かした演出をしていた。
 幼少期から青年期までを丁寧に描いているため、主人公へ感情移入しやすくなる作りとなっていた。


17 負けヒロインが多すぎる!(アニメ)監督:北村翔太郎

【概要】
 ライトノベル好きの達観系ぼっち・温水和彦は、ある日偶然クラスの人気女子・八奈見杏菜が幼馴染の男子生徒に振られている現場を目撃してしまい、その後立て続けに、陸上部の焼塩檸檬、文芸部の小鞠知花という負け感漂う女子たちと関わりを持つようになる。
負けヒロイン――マケインたちになぜか絡まれる温水の謎の青春が、ここに幕を開ける!

【考察】
 負けヒロインという立ち位置をコメディチックに描きながらも、キャラクターが失恋と向き合い、新たに前を向くまでの過程はしっかりと真面目に描くため、メリハリのきいたつくりになっている。アニメの範囲では主人公は傍観者の立ち位置を貫いており、主人公と視聴者の視点が一致し、視聴者の気持ちを代弁するという役割も持っていると考える。


18 ダンジョン飯(アニメ)監督:宮島善博

【概要】
 ダンジョン深奥で、レッドドラゴンに妹が喰われた! 命からがら地上へ生還した冒険者のライオス。 再びダンジョンへ挑もうとするも、お金や食糧は迷宮の奥底……。 妹が消化されてしまうかもしれない危機的な状況の中、ライオスは決意する。
  「食糧は、迷宮内で自給自足する!」 スライム、バジリスク、ミミック、そしてドラゴン! 襲い来る魔物たちを食べながらダンジョン踏破を目指せ、冒険者よ!

【考察】
 常に食べることをテーマにしており、西洋風の世界観で日本的な「食」の価値観が掲示されることによるアンバランスさがあると初めは感じたが、すぐに気にならなくなるほど作品の雰囲気に馴染んでいた。
 細かな設定がとても練られており、その世界の言語や魔法などにおいて、通常では考えないようなところまで設定があり、その上で作中で細かな設定をひけらかすようなシーンが無いことによって、設定がそのまま作品のリアリティの向上に繋がっている。


19 うずまき(アニメ)監督:長濱博史

【概要】
 女子高生の五島桐絵と恋人の斉藤秀一が暮らす町が、異様なうずまきに汚染され始める。町の誰もがうずまきの呪いに侵されるなか、桐絵と秀一は果てしない恐怖と絶望にのみ込まれてゆく。

【考察】
 「うずまき」をテーマに一つの町を舞台にして一話完結形式で物語が進められていく。どんな怪奇現象が起きても舞台となっている町そのものが崩壊することは無かったが、物語が進むごとに町にも被害が及ぶことが多くなり、次第に怪奇現象が一つの災害となって町を襲うことになる。話のスケールがどんどん大きくなっていき、最後にはジャンルがホラーから変わってしまっているように感じたが、最後まで「うずまき」が何なのか視聴者には明かされず、正体不明の恐怖がずっと続いているため、ホラーという軸から逸脱してはいなかったと考える。


20 マン・オブ・スティール(映画)監督:ザック・スナイダー

【概要】
 無敵の能力を備えながらも、それゆえに苦悩して育った青年クラーク・ケントが、いかにしてスーパーマンとして立ち上がったのか、これまで描かれてこなかったスーパーマン誕生の物語を描く。

【考察】
 ヒーローとしてのスーパーマンと言うよりは、圧倒的強さを持った“最強”としてのスーパーマンを描いた作品だった。スーパーマンのルーツを初めに掲示しつつ、彼がどういう思いで地球で育ったのかは中盤まで明確にしないことで、スーパーマンの真意が気になるつくりになっている。
 クリプトン星人との戦いで街を破壊しまくるシーンは迫力満点で緊迫感あふれるシーンであると同時に、視聴者がスーパーマンの強すぎる力を恐れてしまい、作中のアメリカ国民と同じ気持ちになるようになっている。そしてこのつくりが次作以降の展開へと繋がっていくため、DCUの始まりに位置する作品として非常に完成度の高いものとなっている。
 

21 寄生獣 ザ・グレイ(ドラマ)監督:岩明均

【概要】
 人間を宿主として寄生し、全身を支配しようとする正体不明の寄生生物が人間社会に混乱をもたらし始めたこの邪悪な存在の台頭を阻止すべく立ち上がる人間と寄生生物の戦いを描く SF スリラー。

【考察】
 原作のテーマである「寄り添い生きる獣」という意味での寄生獣というものは全体を通して一貫しているように感じたが、主人公に寄生した寄生生物があまりにも初めから主人公に対して友好的すぎるように思えた。そのため原作にあった寄生生物と宿主の人間との交流によって生まれるドラマが無く、人間と寄生生物の戦いを描くモンスターパニックアクション作品としての魅力が主だったと考える。
 カメラワークやCGが現代の最新技術を駆使したものとなっており、とても見応えのあるものとなっていた。特にドローンを使用したカーチェイスシーンのカメラワークは疾走感あふれるシーンもなっていて、主な戦闘シーンがCGメインであったことが惜しく思えるほどだった。


22 CITY(アニメ)監督:石立太一

【概要】
実況は黒部五郎がお伝えします。
何かが芽吹いて参りました、ここCITY。
誰が信じましょう! まさかのカバンに固焼きそばがダイビング!!
まつりとえっちゃんの大冒険! 楽しいが渋滞しております。
鬼カマボコ、ネタの代わりに出てきたのは涙だー!!
とかく前代未聞! それがCITY!

【考察】
 タイトルの通り、一つの町に住む人々の生活を描いたコメディ作品だった。原作者のあらゐけいいちの代表作である『日常』のエッセンスを感じながらも、スポットライトがより広く多くの人物に当たるようになっており、また当時より作画も進化しており、京都アニメーションにおける『日常』の正統進化と言える作品だった。
 多くの人物に焦点を当てながらも、メインとなる三人のパーソナリティはしっかりと描き、視聴者に愛着を持たせられるようにつくられており、また、その他の登場人物も少ない出番で強烈な印象を残すキャラであったり、何度もギャグを繰り返す「天丼」を駆使したりなどで、より多くのキャラを視聴者に覚えてもらえる取り組みがされていた。


23 銀河特急ミルキーサブウェイ(アニメ)監督:亀山陽平

【概要】
銀河道路交通法違反で逮捕された強化人間の
チハルとサイボーグのマキナ。
同じタイミングで警察に捕まった、強化人間のアカネとカナタ、サイボーグのカートとマックスらクセのあるコンビを集め、警察官・リョーコが全員に課したのは、奉仕活動として惑星間走行列車・通称”ミルキー☆サブウェイ”の清掃をすること。
簡単な任務だったはずが、突如暴走し始める”ミルキー☆サブウェイ”!
車内で慌てふためくメンバーたちは、やがて大事件に巻き込まれていってしまう!

【考察】
 CGが他にない独特な味を出しており、不気味の谷現象などによる視聴前のハードルの高さなど、CGアニメーションで発生する問題が発生しづらくなっているように感じた。キャラクターの動きや表情がとても自然で、アニメーションではなく実写の映像を見ているような気にさせるほどであり、また、声優の演技も実際の日常会話になるべく近づけた自然なものとなっているため、SFという世界観でありながらも、リアリティのある空気感が生まれていた。


24 メイドインアビス(アニメ)監督:小島正幸

【概要】
 巨大な大穴『アビス』の縁に築かれた街、『オース』で暮らす探窟家見習いの少女・リコ。ある日、探窟中に孤児院の仲間の少年・ナットが巨大な蛇状の生物「ベニクチナワ」に襲われているところに遭遇する。とっさの機転で注意を逸らしたリコだったが、今度は自分がベニクチナワに襲われてしまう。絶体絶命のその瞬間、突然辺りが閃光と轟音に包まれて・・・。

【考察】
 メインとなる登場人物たちが、一度入れば戻って来られないかもしれないアビスに潜ることへの葛藤が全く無く、まだ見ぬ冒険への浪漫を全面に出しているため、視聴者も命の危険などはあまり気にせず同じ気持ちで視聴することができた。ただ、アビスへ潜ってからは主人公の女児がかなりの頻度で酷い目に遭わされるため、アビスを甘く見ていた主人公と同様に視聴者にもアビスの厳しさを思い知らせられるつくりになっていた。そのような目に遭わされても、先述されたように主人公が冒険を恐れたり諦めようとすることは無く、段々と視聴者が主人公の精神の異常性に気づくようになっている。
 また、アビス内の生態系は細かに設定されており、それらに翻弄され、時には利用するやり方でキャラの個性が演出されている。アビスに初めて入った主人公と視聴者の視点が重なり、物語が進むごとに先の景色が気になるようになっている。


25 メダリスト(アニメ)監督:山本靖貴

【概要】
 スケーターとして挫折した⻘年・明浦路司が出会ったのは、フィギュアスケートの世界に
憧れを抱く少⼥・結束いのり。
リンクへの執念を秘めたいのりに突き動かされ、司は⾃らコーチを引き受ける。
才能を開花させていくいのりと、指導者として成⻑していく司。
タッグを組んだ⼆⼈は栄光の“メダリスト”を⽬指す−−−!

【考察】
 躍動感や迫力あふれる見開きや表情などで魅せていた原作から、演出面では多くの変更があった。演技シーンでは実際のプロスケーターの動きをモーションキャプチャで取り入れているため、映像作品ならではの魅力が生まれている。また、その結果、演技中のキャラのセリフなども削られ、表情や息づかいでその時の感情を表現する演出となっていた。その他にも、原作が月刊誌での連載であり、アニメが1クールしかないという問題から、話の構成も変更が加えられており、原作とアニメではほぼ別作品と言っていいほどとなっていた。しかし、原作にあった夢を追う少年少女とコーチたちの熱い様などはそのままにアニメに落とし込んでいるため、作品の軸となる部分は変わらないままにできていたと考える。


26 パシフィック・リム(映画)監督:ギレルモ・デル・トロ

【概要】
 13年に突如、太平洋の深海から巨大生命体が出現し、世界中の大都市は次々と破壊され、人類は絶滅の危機にさらされる。そこで人類は巨大生命体と戦うために英知を結集し、人型巨大兵器“イェーガー”を開発。一時は巨大生命体の侵攻を食い止める事に成功するが、再び彼らの猛威にさらされる事に。

【考察】
 初めにダイジェスト方式で作品の世界観を説明していたが、怪獣と巨大ロボのバトル、またそのロボの設定もかなり複雑という非現実的な題材であるにもかかわらず、クオリティの高いCGによってリアリティが増しており、視聴者はすんなりと設定を受け入れることができるようになっていた。また、その説明パートで主人公の過去を同時に開示するため、現代のパートに尺を存分に使うことができていた。
 敵となる怪獣を意思のない化け物とすることによって、メインとなる主人公二人の掘り下げが十分に行われており、感情移入が容易となっていた。また、サブキャラの掘り下げはあまり行われていなかったが、その分佇まいや使っているロボの見た目や性能でどのような性格なのかある程度予想できるようになっており、画面上に写っているもの全てを活用してキャラの掘り下げをしていたと考える。


27 デッドマウント・デスプレイ(漫画)原作:成田良悟

【概要】
 はるか遠い異世界――世界を救うため、「災厄潰し」と呼ばれる英雄シャグルアは希代の死霊使い(ネクロマンサー)「屍神殿」に立ち向かう。
熾烈な戦いの末にシャグルアが屍神殿を打倒したかに見えたその時、魔術が発動し周囲は光に包まれる。
その瞬間、魂は遠い異世界へ転移し現代の新宿で「四乃山ポルカ」という少年の体で目覚めていた。
喉を切り裂かれ、殺害されたばかりの体で新宿の街をさまよっていた彼は、一人の少女に救われる。
崎宮ミサキと名乗ったその少女と対峙しているうちにポルカの記憶が徐々に蘇ってくる。
四乃山ポルカを殺害したのは目の前の少女、「崎宮ミサキ」だった。
再びポルカを殺そうと、彼女は襲いかかってくる。

【考察】
 まず異世界の住人が日本の新宿に転生するというアイデアが斬新で目を引くものとなっており、またそれが単なる出オチで終わらず、しっかりとその後の展開に深く関わってくるようになっている。異世界の住人だからといって新宿でいわゆる無双をするというわけではなく、新宿の住人たちがパワーバランスとしては上で、主人公は彼らがしらない魔法を使うことで対等になっているという状況で、それも斬新な設定となっている。
 登場人物がとても多く、ジャンルは群像劇と言えるのだが、各キャラのデザインや性格が個性的なので、名前を覚えられなくても展開についていくことができるようにつくられていた。


28 ヴァニタスの手記(漫画)作者:望月淳

【概要】
 吸血鬼(ヴァンピール)の青年 ノエは師から頼まれ、吸血鬼に呪いを振り撒くという魔導書“ヴァニタスの書”を探しにパリへ向かっていた。
パリへ向かう飛空船の中で、ある事件に巻き込まれたノエは、吸血鬼の専門医を自称する人間 青い瞳の青年ヴァニタスと出会う。

【考察】
 メインのヴァニタスとノエがバディとしてひとまず形におさまるまで相当な時間を使っており、これは初めにメイン二人の行動原理をはっきりさせておくことで、その後の群像劇へと移行する際に、話を展開させやすいようにするためと、より多くのキャラに尺を使えるようにするためであると考える。
 人間と吸血鬼という二つの種族の物語であるため、人間から吸血鬼への差別などが初めは描かれるが、物語が進んでいくにつれて吸血鬼の間にも差別が存在することがわかり、被差別種族の中にもさらに被差別種族が存在するという、リアルな展開となっている。また、作中で人格者とされているキャラも自然と差別を行うなど、差別描写に関してはとてもリアリティのある描写がされている。


29 君が死ぬまであと100日(漫画)作者:右腹

【概要】
 津田林太郎は一見普通の高校生。彼は幼稚園の頃からの幼なじみ・神崎うみに片想い中。何度告白しても、うまく伝わらなかった想い…しかし!人生4度目の告白で、やっと彼女からOKが!長年の恋がついに実った、その瞬間…彼の普通ではない能力が発動してしまう。「…うみ。余命が見える。」100日限定で生きものが死ぬまでの余命が、林太郎には見えてしまうのだ。長年の恋が実った瞬間から、愛しい彼女の余命のカウントダウンが始まってしまった。

【考察】
 タイトルにもある通りのわかりやすいテーマがあり、終盤まで一貫して寄り道することなく100日を超えることを目標としているため、とてもわかりやすく読みやすいようにまとまった物語となっている。ただ、終盤からなぜか林太郎が記憶喪失になり、うみが記憶を取り戻させるために奔走するというパートになり、お互いがお互いを助け合うことで二人が対等な関係であることの表現であると考えられるが、うみの寿命を延ばすパートに比べて、林太郎の記憶を取り戻すパートは少々短く、運命に抗うことをテーマにしているならば、もう少し尺を使って劇的に描くべきだったと考える。
 キャラ同士のかけあい、特にワードチョイスが独特で、この作品特有の魅力であると考える。基本的にゆるめの絵柄だが、キャラが感情を吐露するシーンでは細かな表情が描かれており、キャラの感情が直に伝わるようになっている。


30 夢と魔法の国のリドル(小説)作者:七河迦南

【概要】
 楽しい遊園地デートになるはずだった杏那と優。しかし二人は突如別々の世界に引き裂かれた。杏那は異世界を魔王から救う役目を担わされ、残された優は遊園地で起きた密室殺人事件の謎を解く羽目に……。現実と夢の国、二つの密室、パズルと魔法の謎を解き、二人は再会できるのか? 紙とペンを用意して読んでも必ず欺される、異色の新感覚本格ミステリ。

【考察】
 作中に登場する謎が絵として載せられており、読者も一緒に謎解きに挑戦することができた。自分で答えが分からなくても、読み進めれば解説してくれるので不都合がある訳ではなく、謎解きが得意な人も不得意な人も楽しめる作品となっていた。
 現実と異世界の両方で同時に物語が進められるが、分かりづらさや冗長さは全く無く、読みやすい文章でありつつ、先が気になるようにつくられていた。また、主人公の性格が初めから完成しており、未熟さから発生する問題などが無く、物語としても読者としても、謎解きに集中することができていた。
2025/10/08(水) 15:42 No.2135 EDIT DEL
スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。