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3年 上田
RES
1 『よふかしのうた』(漫画) 作:コトヤマ
中学2年生の夜守コウは、あることがきっかけで、突然何もかもが嫌になり、学校へ行くのを止めた。以来、体力を使わなくなったコウは、不眠症に悩むことになった。ある日、コウは初めて誰にも言わずに、夜一人で外に出た。人々が寝静まった中を、気分よくうろついていたコウは、頭からフードを被った黒ずくめの少女に出会う。少女の名は七草ナズナといい、その正体は吸血鬼だった。自分も吸血鬼になるのかという、コウの質問をナズナは否定し、人間が吸血鬼になるには、恋しなければならないという。夜の世界がすっかり気に入ったコウは、ナズナに「自分を吸血鬼にしてくれ」と頼む。ナズナは眷属を作らない主義だったが、「自分に恋をさせてほしい」と食い下がるコウに、「好きになりたければ、好きにしろ」と言い放つ。「吸血鬼らしく、格別に美味いコウの血を吸わせてもらうだけだ」と。こうして、コウはナズナに恋するために、毎日夜ふかしをするようになった。
吸血鬼というありがちなテーマだが、コウが本来恐れられるはずの吸血鬼になりたいと考える点に意外性があると感じた。また、夜に外に出る背徳感、ワクワクとした非日常感を味わうことのできる作品であり、見慣れたはずの街並みが夜になると姿を変える様がよく表されている。恋をした状態で吸血されることで吸血鬼になるという設定も新しいが、恋愛結婚が主流であり、子どもを持つ家庭も多くある現代で、吸血鬼も人間と似たような方法で種を増やしていくということなのかもしれない。
2 『片翼のドロップス』(漫画) 作:sora
西暦3015年。人類は”空を飛ぶ”進化を遂げていた。
ただし、私だけを除いて―――。
旧世代(ドロップ)と呼ばれ、唯一空を飛べない少女・深海ツバサは、そのせいで散々な人生を送っていた。
そんな過去をリセットしたいツバサだが、転校初日、同じく転校生の鷹月レンに“飛べない”ことがバレてしまって…!?
私だけの世界だった、はずなのに――
運命に立ち向かう、逆境ファンタジーロマンス!
『墜落JKと廃人教師』の作者であるsoraの短編作品。人が飛べるようになるという夢のある設定だが、ツバサだけが飛べないため、感情移入しやすくなっている。また、他の人を羨みながらも「地上は私が独り占めしている」と前向きに捉えていることで、運命に立ち向かうツバサの強さが現れている。クライマックスにて水に沈んだ現代の東京の街並みが描かれ、美しくも私たちの住む世界が沈んでしまったという切なさのある結末となっている。
3 『薬屋のひとりごと』(アニメ) 原作:日向夏 監督・シリーズ構成:長沼範裕
大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。
名前は、猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。
ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。
今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、
興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。
美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。
人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。
壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。
稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。
猫猫が頭脳明晰であるため、サクサクと謎が解けていくのが爽快である。毒に耐性がある特殊な体質や薬学の知識がなければ解けない謎も多く、設定を活かしたオリジナリティのあるストーリーだと感じる。壬氏と塩対応な猫猫の掛け合いも面白く、見どころの1つだ。猫猫の元へやたらと事件が飛び込んでくると思っていたが、それすらも伏線の1つだったことには驚かされた。
4 『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(アニメ) 原作:豊田悠 監督:奥田佳子
童貞のまま30歳を迎えた主人公・安達は「触れた人の心が読める魔法」を使えるようになってしまった。
地味な魔法の力を持て余していたある日、
ひょんなことから営業部エースのイケメン同期・黒沢の心を読んでしまう。黒沢の心の中は、なんと安達への恋心でいっぱいで――!?
ちょっと不思議な魔法の力が巻き起こす、“爽やかイケメン”から“30歳拗らせ童貞”へのダダ漏れ好意200%ラブコメディ、開幕!
「30歳まで童貞だと魔法が使える」という話はどこかで聞いたが、文字通り魔法を使えるようになってしまうようになるという設定に思わず笑ってしまう。安達は大人しくごくごく平凡なため、多くの人が違和感なくストーリーに入り込めるほか、物腰柔らかで完璧に見える黒沢が実は安達に対してのみ変態であることで、親しみを持ちやすいキャラクターとなっている。BL作品だがギャグが多く、表現もマイルドなため初心者でもハードルは高くないと考える。
5 『姫様"拷問"の時間です』(アニメ) 原作:春原ロビンソン・ひらけい 監督:金森陽子
国王軍と魔王軍が衝突をはじめ、幾年月。
王女にして、国王軍第三騎士団“騎士団長”である姫は、魔王軍によって囚われの身となっていた。
「姫様“拷問”の時間です」
監禁された姫を待ち受けていたのは、身悶えるような“拷問”の数々……。
ほわほわの焼きたてトースト!湯気がたちのぼる深夜のラーメン!愛くるしい動物たちと遊ぶ時間!
美味しい食事&楽しい遊びを容赦なく突きつけられた姫は、“拷問”に打ち勝ち王国の秘密を守り抜くことができるのか!?
誰もが笑顔になれる世界一やさしい“拷問”ファンタジーアニメ開幕!
原作では漫画だからこそ描き込みによって料理を美味しそうに表現していたが、カラーと動きをつけることのできるアニメーションでは、グルメ番組と同じような表現が可能であるため、一層食欲が掻き立てられた。また、姫の元気な声とエクスの冷静な喋り方のコントラストが面白さを引き立てていたように感じる。アニメオリジナルとして、原作にはほとんどなかった騎士として活躍する姫の格好良い姿が描かれていたため、拷問に屈する姫の間抜けさが強調されていた。
6 『ゆびさきと恋々』(アニメ) 原作:森下suu 監督・絵コンテ:村野佑太
女子大生の雪は、ある日困っているところを同じ大学の先輩・逸臣に助けてもらう。 聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪にも動じることなく、自然に接してくれる逸臣。 自分に新しい世界を感じさせてくれる逸臣のことを雪は次第に意識し始めて…⁉
聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがはじまる。
主人公がろう者のため、手話が多く用いられる。漫画では動きが分かりづらい手話でも、アニメでは分かりやすく表現できるため、よりストーリーに集中して楽しむことができるのではないかと考える。ふんわりとした色使いで、優しい世界観に合わせた作画となっている点も魅力の1つだと感じる。主人公の幼馴染が「足音が聞こえないから後ろから抱きつかない方が良い」と注意する場面があるなど、ろう者との付き合い方を意識するきっかけにもなる作品。
7『思い、思われ、ふり、ふられ』(漫画) 作:咲坂伊緒
夢みがちな由奈と、現実的に恋する朱里。正反対のふたりだけど、友達になりました。モテる理央と、天然な和臣のふたりの男子も加わり、きらめく青春と本音をぶつけあう恋がスタートします!
王道のラブストーリー。主人公と後に親友となる少女の出会い方は突飛なものだったが、本作のメインである恋愛に関してはリアリティのある内容だと感じる。切ないすれ違いや、義姉弟となったために実らなくなってしまった恋など、一筋縄ではいかない恋愛が特徴の作品である。心情描写が丁寧なため、メインキャラクター4人は全く異なる性格だが感情移入しやすい。
8 『シンデレラクロゼット』(漫画) 作:柳井わかな
魔法をかけてあげる 自信がついちゃう、すっごいやつ
オシャレな大学生活に憧れて、地方から上京してきた春香。でも、キラキラした大学の雰囲気に全然なじめず、落ち込む毎日…。ある日、憧れの黒滝先輩が、突然、ご飯に誘ってくれたけど、着ていく服がないし(GパンとよれよれのTシャツしか持ってない)、メイクの知識もゼロ…。絶望した時、助けてくれたのは、謎の毒舌美女・光さん。だけど、光さんには秘密があって…⁉
おしゃれがよく分かっていなかった主人公が、偶然出会った女装男子・光と出会って垢抜けていく様が見ていて気持ちが良く、応援したくなる。初め主人公は光を少女だと思っていたが、女装男子だと判明した際は驚きつつも引かず、その様子に現代社会が反映されていると感じる。また、漫画では自分のことを「地味」と言いつつ可愛い主人公が多いが、比較的素朴な顔をしているのも新しいと思った。
9 『ガールクラッシュ』(漫画) 作:タヤマ碧
歌もダンスもできてスタイル抜群の百瀬天花は高校1年生。なんでも上手にこなせるけど、恋だけはうまくいかない。そんなとき、K-POPが大好きな佐藤恵梨杏に出会い、そのひたむきな姿に目がくらんで――。少女たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す‼
K-POPアイドルを目指す少女の物語。オーディションのパートが多いため、誰が勝つのかという緊張感が面白い。魅力的なキャラクターが多く、誰が勝っても嬉しい、誰が落ちても悔しいことが実際のサバイバルオーディションなどとリンクしているのではないかと考える。天才など一言で片付けないことや、なかなかデビューできずに苦しむキャラクターを登場させ、努力の過程を描くことでキャラクターたちの格好良さが引き立っている。
10 『ハイキュー‼』(漫画) 作:古舘春一
おれは飛べる‼バレーボールに魅せられ、中学最初で最後の公式戦に挑んだ日向翔陽。だが、「コート上の王様」と異名を取る天才選手・影山に惨敗してしまう。リベンジを誓い烏野高校バレー部の門を叩く日向だが⁉
スポーツに全く興味が無い私でも楽しめた。構図や効果線等で勢いが表現されており、試合中の緊張感やあちこちに飛ぶボールを追う選手たちの躍動感が見ていて楽しい。キャラクターの個性も豊かで、試合に対するスタンスやプレースタイルが違う点も人物像を深めている点の1つである。また、どこのチームも応援したくなることも作品の魅力だろうと思う。
11 『食べたい女と作りたい女』(漫画) 作:ゆざきさかおみ
ひとり暮らしで少食だし、作ったところで食べきれない。でも、本当はもっと作りたい! 料理が大好きな野本さんは、そんな想いと職場のストレスから、うっかり一人で食べきれないほどご飯を作ってしまう。そんなとき、お隣のお隣に住む春日さんのことを思い出して勇気を出して夕食に誘ってみると…?
野本さんの作る食べ物と、春日さんの食べっぷりがものすごく食欲をそそる作品である。ただのグルメ漫画ではなく、「食べ物に対するスタンス」をはじめ、性的嗜好などに対しても「自分らしく在ることの大切さや難しさ」を描いている。ただ同性愛を描くだけでなく、その中でも幅があること、食べ物を描く漫画でありながら食べたくない人が登場することから、無意識の偏見をなくし、視野を広くすることのできる作品だと感じた。
12 『ふつうの軽音部』(漫画) 原作:クワハリ 漫画:出内テツオ
ちょっと渋めの邦ロックを愛する新高校1年生・鳩野ちひろ。新品のギターを背に、軽音部の門を叩くも――⁉超等身大のむきだし青春&音楽奮闘ドラマ、スタート!
冒頭はタイトル通り、軽音楽部のあるあるを集めたような内容であった。実際に軽音楽部に所属していたが、共感できる内容が多く、どこでも部内の雰囲気は似たものなのだということが分かり面白かった。しかし途中からキャラクターの個性が立ち、「普通の軽音部」ではなくなる。あるあるを楽しむのではなく物語自体の面白さが出てきたため、今後が楽しみな作品。
13 『ダンダダン』(漫画) 作:龍幸伸
幽霊を信じないオカルトマニアの少年・高倉と、宇宙人を信じない少女・綾瀬は、互いの理解を超越した圧倒的怪奇に出会う――…!オカルティック青春物語‼
ジャンルがオカルティック・ラブコメという全く新しい作品で、実際はオカルトものとバトルアクションにラブコメ要素を忘れず加えたような内容である。聞いたことのない宇宙人の名前から口裂け女などの有名な怪異まで様々登場するが、キャラクターデザインや彼らの習性などにオリジナリティがある。週刊連載とは思えないほどの緻密な作画も魅力の1つで、効果音が一切用いられていないにもかかわらず音が聞こえてきそうなほどである。
14 『2.5次元の誘惑』(漫画) 作:橋本悠
現実の女に興味無し!俺の嫁・リリエルは2次元にあり!そんな漫研部長・奥村の前に現れたのは…リアルなリリエル?ドキドキコスプレコメディ開幕!
初めはお色気要素の強いコスプレ漫画だったが、いかにして納得のいく衣装を作るか、最高の写真を撮影するかといったジャンプらしいスポ根要素が強まってきている。「愛」がテーマとなっており、コスプレ以外にも愛にまつわる悩みの掘り下げやそれを解決する熱い展開が多く、各章のクライマックスは毎度感動的である。女性の身体の描き分けも丁寧で、どのような特徴を持ったキャラクターがどのように衣装を着るかまでこだわって作画していることが窺える。
15 『半人前の恋人』(漫画) 作:川田大智
ある日、美術室で学校の備品を清作していると、すごく怖そうな女子がこちらを睨んでいて…⁉ 職人女子×美術男子 青春グラフィティ――
王道のかわいいラブコメ。美大志望の主人公と実家が太鼓屋であるヒロインが出会い、徐々に惹かれ合っていく様子が描かれる。交際までの展開は初々しく、とにかく癒やされる。交際後はお互いが尊敬し合う理想的な関係のため、恋愛の負の側面はあまり描かれない。多くの人が読みやすいと感じる作品ではないかと思う。
16『 シバタリアン』(漫画) 作:イワムロカツヤ
中学3年生の春。桜の下に埋まっている柴田を見つけた。一緒に映画を鑑賞し、柴田と友情を深めていく。そんな中、文化祭の展示作品として映画を撮ることになったのだが…。しかし、柴田を知る人は、校内に誰もいなかった…。誰も知らない柴田を知って、世界の全てが柴田になる――。柴田の、柴田による、柴田のための物語、上映開始。
とにかくB級ホラー映画の展開を詰め合わせたような作品。毎話がクライマックスのようで、いつ終わっても違和感がない。これは作者の引き出しの多さによると考えられるので、パニックホラーが好きなのかもしれない。また、実在する作品のオマージュやリスペクトもあるため、ホラー映画好きにはうってつけの作品ではないだろうか。
17 『鶴子の恩返し』(漫画) 作:横山左
ド真面目な高校教師・猫門。姉を亡くし一人で暮らす彼は、ある日偶然メイド服を着た姉のチェキを見つけてしまう。姉の秘密を探るためコンカフェに出かけた猫門は、鶴子と名乗る少女と出会い…⁉
コンカフェを舞台にしたすれ違いコメディ。教員である主人公が亡くなった姉の働いていたコンカフェに通い、死の真相を探るという物語だが、毎度姉について聞けないためただの常連客と化している。真面目な性格の主人公は「コンカフェに行っていることがバレたら社会的に終わる」と考えているため、必死で隠蔽する様子も面白い。設定がうまく練られている作品だと思う。また、教師×生徒だが、主人公のその性格故に絶対に恋愛にならないという安心感を持って読み進めることができる。
18 『クソ女に幸あれ』(漫画) 作:岸川瑞樹
「実は4股してるの ごめんね」。中学時代、人生で初めての彼女にヒドイ振られ方をした秋吉直(あきよし・すなお)。「もう誰かを好きになることなんてない」と思っていたが、大学生となり映画サークルの先輩に惹かれ始め…。だが、そんな折に自分を振った元カノと再会して…⁉入れ替わりすれ違いラブコメディ‼
ポップなイラストで紡がれる入れ替わりラブコメ。作中では、主人公が片想いする先輩に中身がヒロインの主人公が好かれ、主人公の親友は中身が主人公となったヒロインに恋をするという複雑な状況が生まれてしまう。これは全てを知っている読者視点による中身と見た目の不一致が面白いことや、文字によって状況が整理しやすくなることから、小説やアニメよりも漫画が適している作品ではないかと思う。
19 『先輩はおとこのこ〜出会い編〜』(漫画) 作:ぽむ
「僕は人とはちょっと違うのかな……?」。男の子だけど、可愛いものが好き。それの何がいけないのか、おかしいのか。でも、人には言えない、聞けない。可愛いものが好きなだけの男の子「まこと」と、なんでも要領よくやっていけるちょっと太っていた「りゅーじ」、そして後からゆっくり登場する「咲」。「ぱいのこ」の3人の中学生時代を描く、先輩はおとこのこ「出会い編」開幕!
『先輩はおとこのこ』にて生きにくさを感じていたメインキャラクター3人が、どのような経緯で自分たちの気持ちを自覚したのかを描く前日譚。無自覚ながらもそれぞれ悩みは既に抱えており、中学生時代特有の思春期と組み合わさってリアルな心情となっている。今後どのように気持ちを自覚し、向き合っていくのかを楽しみにしている。
20 『弱虫ペダル』(漫画) 作:渡辺航
ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km‼アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する高校生・小野田坂道、驚異の激コギ‼ワクワクの本格高校自転車ロードレース巨編‼
明らかに運動ができなさそうなキャラクターデザインがされており、見た目通りオタクである主人公にロードレースの才能があるという設定が面白い。未経験故に自転車を持っておらず、入部早々に行われたレースにママチャリで出場させられるなど設定がおかしいところも所々あるが、それを気にさせない熱量で物語が進んでいく。アニソンを歌う、筋肉に名前をつける、極端な前傾姿勢で走るなど、個性的な走りを見せるキャラクターも注目すべき点である。
中学2年生の夜守コウは、あることがきっかけで、突然何もかもが嫌になり、学校へ行くのを止めた。以来、体力を使わなくなったコウは、不眠症に悩むことになった。ある日、コウは初めて誰にも言わずに、夜一人で外に出た。人々が寝静まった中を、気分よくうろついていたコウは、頭からフードを被った黒ずくめの少女に出会う。少女の名は七草ナズナといい、その正体は吸血鬼だった。自分も吸血鬼になるのかという、コウの質問をナズナは否定し、人間が吸血鬼になるには、恋しなければならないという。夜の世界がすっかり気に入ったコウは、ナズナに「自分を吸血鬼にしてくれ」と頼む。ナズナは眷属を作らない主義だったが、「自分に恋をさせてほしい」と食い下がるコウに、「好きになりたければ、好きにしろ」と言い放つ。「吸血鬼らしく、格別に美味いコウの血を吸わせてもらうだけだ」と。こうして、コウはナズナに恋するために、毎日夜ふかしをするようになった。
吸血鬼というありがちなテーマだが、コウが本来恐れられるはずの吸血鬼になりたいと考える点に意外性があると感じた。また、夜に外に出る背徳感、ワクワクとした非日常感を味わうことのできる作品であり、見慣れたはずの街並みが夜になると姿を変える様がよく表されている。恋をした状態で吸血されることで吸血鬼になるという設定も新しいが、恋愛結婚が主流であり、子どもを持つ家庭も多くある現代で、吸血鬼も人間と似たような方法で種を増やしていくということなのかもしれない。
2 『片翼のドロップス』(漫画) 作:sora
西暦3015年。人類は”空を飛ぶ”進化を遂げていた。
ただし、私だけを除いて―――。
旧世代(ドロップ)と呼ばれ、唯一空を飛べない少女・深海ツバサは、そのせいで散々な人生を送っていた。
そんな過去をリセットしたいツバサだが、転校初日、同じく転校生の鷹月レンに“飛べない”ことがバレてしまって…!?
私だけの世界だった、はずなのに――
運命に立ち向かう、逆境ファンタジーロマンス!
『墜落JKと廃人教師』の作者であるsoraの短編作品。人が飛べるようになるという夢のある設定だが、ツバサだけが飛べないため、感情移入しやすくなっている。また、他の人を羨みながらも「地上は私が独り占めしている」と前向きに捉えていることで、運命に立ち向かうツバサの強さが現れている。クライマックスにて水に沈んだ現代の東京の街並みが描かれ、美しくも私たちの住む世界が沈んでしまったという切なさのある結末となっている。
3 『薬屋のひとりごと』(アニメ) 原作:日向夏 監督・シリーズ構成:長沼範裕
大陸の中央に位置するとある大国。その国の帝の妃たちが住む後宮に一人の娘がいた。
名前は、猫猫(マオマオ)。
花街で薬師をやっていたが、現在は後宮で下働き中である。
ある日、帝の御子たちが皆短命であることを知る。
今現在いる二人の御子もともに病で次第に弱っている話を聞いた猫猫は、
興味本位でその原因を調べ始める。呪いなどあるわけないと言わんばかりに。
美形の宦官・壬氏(ジンシ)は、猫猫を帝の寵妃の毒見役にする。
人間には興味がないが、毒と薬の執着は異常、そんな花街育ちの薬師が巻き込まれる噂や事件。
壬氏からどんどん面倒事を押し付けられながらも、仕事をこなしていく猫猫。
稀代の毒好き娘が今日も後宮内を駆け回る。
猫猫が頭脳明晰であるため、サクサクと謎が解けていくのが爽快である。毒に耐性がある特殊な体質や薬学の知識がなければ解けない謎も多く、設定を活かしたオリジナリティのあるストーリーだと感じる。壬氏と塩対応な猫猫の掛け合いも面白く、見どころの1つだ。猫猫の元へやたらと事件が飛び込んでくると思っていたが、それすらも伏線の1つだったことには驚かされた。
4 『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(アニメ) 原作:豊田悠 監督:奥田佳子
童貞のまま30歳を迎えた主人公・安達は「触れた人の心が読める魔法」を使えるようになってしまった。
地味な魔法の力を持て余していたある日、
ひょんなことから営業部エースのイケメン同期・黒沢の心を読んでしまう。黒沢の心の中は、なんと安達への恋心でいっぱいで――!?
ちょっと不思議な魔法の力が巻き起こす、“爽やかイケメン”から“30歳拗らせ童貞”へのダダ漏れ好意200%ラブコメディ、開幕!
「30歳まで童貞だと魔法が使える」という話はどこかで聞いたが、文字通り魔法を使えるようになってしまうようになるという設定に思わず笑ってしまう。安達は大人しくごくごく平凡なため、多くの人が違和感なくストーリーに入り込めるほか、物腰柔らかで完璧に見える黒沢が実は安達に対してのみ変態であることで、親しみを持ちやすいキャラクターとなっている。BL作品だがギャグが多く、表現もマイルドなため初心者でもハードルは高くないと考える。
5 『姫様"拷問"の時間です』(アニメ) 原作:春原ロビンソン・ひらけい 監督:金森陽子
国王軍と魔王軍が衝突をはじめ、幾年月。
王女にして、国王軍第三騎士団“騎士団長”である姫は、魔王軍によって囚われの身となっていた。
「姫様“拷問”の時間です」
監禁された姫を待ち受けていたのは、身悶えるような“拷問”の数々……。
ほわほわの焼きたてトースト!湯気がたちのぼる深夜のラーメン!愛くるしい動物たちと遊ぶ時間!
美味しい食事&楽しい遊びを容赦なく突きつけられた姫は、“拷問”に打ち勝ち王国の秘密を守り抜くことができるのか!?
誰もが笑顔になれる世界一やさしい“拷問”ファンタジーアニメ開幕!
原作では漫画だからこそ描き込みによって料理を美味しそうに表現していたが、カラーと動きをつけることのできるアニメーションでは、グルメ番組と同じような表現が可能であるため、一層食欲が掻き立てられた。また、姫の元気な声とエクスの冷静な喋り方のコントラストが面白さを引き立てていたように感じる。アニメオリジナルとして、原作にはほとんどなかった騎士として活躍する姫の格好良い姿が描かれていたため、拷問に屈する姫の間抜けさが強調されていた。
6 『ゆびさきと恋々』(アニメ) 原作:森下suu 監督・絵コンテ:村野佑太
女子大生の雪は、ある日困っているところを同じ大学の先輩・逸臣に助けてもらう。 聴覚障がいがあって耳が聴こえない雪にも動じることなく、自然に接してくれる逸臣。 自分に新しい世界を感じさせてくれる逸臣のことを雪は次第に意識し始めて…⁉
聴覚障がいのある女の子・雪と世界を旅する大学の先輩・逸臣のピュアラブストーリーがはじまる。
主人公がろう者のため、手話が多く用いられる。漫画では動きが分かりづらい手話でも、アニメでは分かりやすく表現できるため、よりストーリーに集中して楽しむことができるのではないかと考える。ふんわりとした色使いで、優しい世界観に合わせた作画となっている点も魅力の1つだと感じる。主人公の幼馴染が「足音が聞こえないから後ろから抱きつかない方が良い」と注意する場面があるなど、ろう者との付き合い方を意識するきっかけにもなる作品。
7『思い、思われ、ふり、ふられ』(漫画) 作:咲坂伊緒
夢みがちな由奈と、現実的に恋する朱里。正反対のふたりだけど、友達になりました。モテる理央と、天然な和臣のふたりの男子も加わり、きらめく青春と本音をぶつけあう恋がスタートします!
王道のラブストーリー。主人公と後に親友となる少女の出会い方は突飛なものだったが、本作のメインである恋愛に関してはリアリティのある内容だと感じる。切ないすれ違いや、義姉弟となったために実らなくなってしまった恋など、一筋縄ではいかない恋愛が特徴の作品である。心情描写が丁寧なため、メインキャラクター4人は全く異なる性格だが感情移入しやすい。
8 『シンデレラクロゼット』(漫画) 作:柳井わかな
魔法をかけてあげる 自信がついちゃう、すっごいやつ
オシャレな大学生活に憧れて、地方から上京してきた春香。でも、キラキラした大学の雰囲気に全然なじめず、落ち込む毎日…。ある日、憧れの黒滝先輩が、突然、ご飯に誘ってくれたけど、着ていく服がないし(GパンとよれよれのTシャツしか持ってない)、メイクの知識もゼロ…。絶望した時、助けてくれたのは、謎の毒舌美女・光さん。だけど、光さんには秘密があって…⁉
おしゃれがよく分かっていなかった主人公が、偶然出会った女装男子・光と出会って垢抜けていく様が見ていて気持ちが良く、応援したくなる。初め主人公は光を少女だと思っていたが、女装男子だと判明した際は驚きつつも引かず、その様子に現代社会が反映されていると感じる。また、漫画では自分のことを「地味」と言いつつ可愛い主人公が多いが、比較的素朴な顔をしているのも新しいと思った。
9 『ガールクラッシュ』(漫画) 作:タヤマ碧
歌もダンスもできてスタイル抜群の百瀬天花は高校1年生。なんでも上手にこなせるけど、恋だけはうまくいかない。そんなとき、K-POPが大好きな佐藤恵梨杏に出会い、そのひたむきな姿に目がくらんで――。少女たちの青春は、K-POPアイドルの夢に向かって動き出す‼
K-POPアイドルを目指す少女の物語。オーディションのパートが多いため、誰が勝つのかという緊張感が面白い。魅力的なキャラクターが多く、誰が勝っても嬉しい、誰が落ちても悔しいことが実際のサバイバルオーディションなどとリンクしているのではないかと考える。天才など一言で片付けないことや、なかなかデビューできずに苦しむキャラクターを登場させ、努力の過程を描くことでキャラクターたちの格好良さが引き立っている。
10 『ハイキュー‼』(漫画) 作:古舘春一
おれは飛べる‼バレーボールに魅せられ、中学最初で最後の公式戦に挑んだ日向翔陽。だが、「コート上の王様」と異名を取る天才選手・影山に惨敗してしまう。リベンジを誓い烏野高校バレー部の門を叩く日向だが⁉
スポーツに全く興味が無い私でも楽しめた。構図や効果線等で勢いが表現されており、試合中の緊張感やあちこちに飛ぶボールを追う選手たちの躍動感が見ていて楽しい。キャラクターの個性も豊かで、試合に対するスタンスやプレースタイルが違う点も人物像を深めている点の1つである。また、どこのチームも応援したくなることも作品の魅力だろうと思う。
11 『食べたい女と作りたい女』(漫画) 作:ゆざきさかおみ
ひとり暮らしで少食だし、作ったところで食べきれない。でも、本当はもっと作りたい! 料理が大好きな野本さんは、そんな想いと職場のストレスから、うっかり一人で食べきれないほどご飯を作ってしまう。そんなとき、お隣のお隣に住む春日さんのことを思い出して勇気を出して夕食に誘ってみると…?
野本さんの作る食べ物と、春日さんの食べっぷりがものすごく食欲をそそる作品である。ただのグルメ漫画ではなく、「食べ物に対するスタンス」をはじめ、性的嗜好などに対しても「自分らしく在ることの大切さや難しさ」を描いている。ただ同性愛を描くだけでなく、その中でも幅があること、食べ物を描く漫画でありながら食べたくない人が登場することから、無意識の偏見をなくし、視野を広くすることのできる作品だと感じた。
12 『ふつうの軽音部』(漫画) 原作:クワハリ 漫画:出内テツオ
ちょっと渋めの邦ロックを愛する新高校1年生・鳩野ちひろ。新品のギターを背に、軽音部の門を叩くも――⁉超等身大のむきだし青春&音楽奮闘ドラマ、スタート!
冒頭はタイトル通り、軽音楽部のあるあるを集めたような内容であった。実際に軽音楽部に所属していたが、共感できる内容が多く、どこでも部内の雰囲気は似たものなのだということが分かり面白かった。しかし途中からキャラクターの個性が立ち、「普通の軽音部」ではなくなる。あるあるを楽しむのではなく物語自体の面白さが出てきたため、今後が楽しみな作品。
13 『ダンダダン』(漫画) 作:龍幸伸
幽霊を信じないオカルトマニアの少年・高倉と、宇宙人を信じない少女・綾瀬は、互いの理解を超越した圧倒的怪奇に出会う――…!オカルティック青春物語‼
ジャンルがオカルティック・ラブコメという全く新しい作品で、実際はオカルトものとバトルアクションにラブコメ要素を忘れず加えたような内容である。聞いたことのない宇宙人の名前から口裂け女などの有名な怪異まで様々登場するが、キャラクターデザインや彼らの習性などにオリジナリティがある。週刊連載とは思えないほどの緻密な作画も魅力の1つで、効果音が一切用いられていないにもかかわらず音が聞こえてきそうなほどである。
14 『2.5次元の誘惑』(漫画) 作:橋本悠
現実の女に興味無し!俺の嫁・リリエルは2次元にあり!そんな漫研部長・奥村の前に現れたのは…リアルなリリエル?ドキドキコスプレコメディ開幕!
初めはお色気要素の強いコスプレ漫画だったが、いかにして納得のいく衣装を作るか、最高の写真を撮影するかといったジャンプらしいスポ根要素が強まってきている。「愛」がテーマとなっており、コスプレ以外にも愛にまつわる悩みの掘り下げやそれを解決する熱い展開が多く、各章のクライマックスは毎度感動的である。女性の身体の描き分けも丁寧で、どのような特徴を持ったキャラクターがどのように衣装を着るかまでこだわって作画していることが窺える。
15 『半人前の恋人』(漫画) 作:川田大智
ある日、美術室で学校の備品を清作していると、すごく怖そうな女子がこちらを睨んでいて…⁉ 職人女子×美術男子 青春グラフィティ――
王道のかわいいラブコメ。美大志望の主人公と実家が太鼓屋であるヒロインが出会い、徐々に惹かれ合っていく様子が描かれる。交際までの展開は初々しく、とにかく癒やされる。交際後はお互いが尊敬し合う理想的な関係のため、恋愛の負の側面はあまり描かれない。多くの人が読みやすいと感じる作品ではないかと思う。
16『 シバタリアン』(漫画) 作:イワムロカツヤ
中学3年生の春。桜の下に埋まっている柴田を見つけた。一緒に映画を鑑賞し、柴田と友情を深めていく。そんな中、文化祭の展示作品として映画を撮ることになったのだが…。しかし、柴田を知る人は、校内に誰もいなかった…。誰も知らない柴田を知って、世界の全てが柴田になる――。柴田の、柴田による、柴田のための物語、上映開始。
とにかくB級ホラー映画の展開を詰め合わせたような作品。毎話がクライマックスのようで、いつ終わっても違和感がない。これは作者の引き出しの多さによると考えられるので、パニックホラーが好きなのかもしれない。また、実在する作品のオマージュやリスペクトもあるため、ホラー映画好きにはうってつけの作品ではないだろうか。
17 『鶴子の恩返し』(漫画) 作:横山左
ド真面目な高校教師・猫門。姉を亡くし一人で暮らす彼は、ある日偶然メイド服を着た姉のチェキを見つけてしまう。姉の秘密を探るためコンカフェに出かけた猫門は、鶴子と名乗る少女と出会い…⁉
コンカフェを舞台にしたすれ違いコメディ。教員である主人公が亡くなった姉の働いていたコンカフェに通い、死の真相を探るという物語だが、毎度姉について聞けないためただの常連客と化している。真面目な性格の主人公は「コンカフェに行っていることがバレたら社会的に終わる」と考えているため、必死で隠蔽する様子も面白い。設定がうまく練られている作品だと思う。また、教師×生徒だが、主人公のその性格故に絶対に恋愛にならないという安心感を持って読み進めることができる。
18 『クソ女に幸あれ』(漫画) 作:岸川瑞樹
「実は4股してるの ごめんね」。中学時代、人生で初めての彼女にヒドイ振られ方をした秋吉直(あきよし・すなお)。「もう誰かを好きになることなんてない」と思っていたが、大学生となり映画サークルの先輩に惹かれ始め…。だが、そんな折に自分を振った元カノと再会して…⁉入れ替わりすれ違いラブコメディ‼
ポップなイラストで紡がれる入れ替わりラブコメ。作中では、主人公が片想いする先輩に中身がヒロインの主人公が好かれ、主人公の親友は中身が主人公となったヒロインに恋をするという複雑な状況が生まれてしまう。これは全てを知っている読者視点による中身と見た目の不一致が面白いことや、文字によって状況が整理しやすくなることから、小説やアニメよりも漫画が適している作品ではないかと思う。
19 『先輩はおとこのこ〜出会い編〜』(漫画) 作:ぽむ
「僕は人とはちょっと違うのかな……?」。男の子だけど、可愛いものが好き。それの何がいけないのか、おかしいのか。でも、人には言えない、聞けない。可愛いものが好きなだけの男の子「まこと」と、なんでも要領よくやっていけるちょっと太っていた「りゅーじ」、そして後からゆっくり登場する「咲」。「ぱいのこ」の3人の中学生時代を描く、先輩はおとこのこ「出会い編」開幕!
『先輩はおとこのこ』にて生きにくさを感じていたメインキャラクター3人が、どのような経緯で自分たちの気持ちを自覚したのかを描く前日譚。無自覚ながらもそれぞれ悩みは既に抱えており、中学生時代特有の思春期と組み合わさってリアルな心情となっている。今後どのように気持ちを自覚し、向き合っていくのかを楽しみにしている。
20 『弱虫ペダル』(漫画) 作:渡辺航
ママチャリで激坂を登り、秋葉原通い、往復90km‼アニメにゲーム、ガシャポンフィギュアを愛する高校生・小野田坂道、驚異の激コギ‼ワクワクの本格高校自転車ロードレース巨編‼
明らかに運動ができなさそうなキャラクターデザインがされており、見た目通りオタクである主人公にロードレースの才能があるという設定が面白い。未経験故に自転車を持っておらず、入部早々に行われたレースにママチャリで出場させられるなど設定がおかしいところも所々あるが、それを気にさせない熱量で物語が進んでいく。アニソンを歌う、筋肉に名前をつける、極端な前傾姿勢で走るなど、個性的な走りを見せるキャラクターも注目すべき点である。
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