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2年 清水 RES
春期休暇課題

1. 『さくら荘のペットな彼女』(アニメ)
原作:鴨志田一 監督:いしづかあつこ 制作:J.C.STAFF
学園の問題児の巣窟「さくら荘」に住む2年生の神田空太は、変人たちに振り回されながら、「脱・さくら荘!!」を誓う毎日。
そんなある日、「さくら荘」に可愛くて清楚で、しかも世界的な天才画家である椎名ましろが越してくる。彼女を寮の変人たちから守らねば!と考える空太だったが、ましろにはとんでもない秘密があった。なんと彼女は外に出れば必ず道に迷い、部屋はめちゃくちゃ、ぱんつすら自分で選べないし、穿けない、生活破綻少女だったのだ!
空太は寮生たちによってましろの“飼い主”に任命されてしまう。こうして凡人・空太と天才少女・ましろの“飼い主とペット”生活が幕を開け・・・?
この物語は、変人と天才と凡人が織りなす青春学園ラブコメである。
(公式サイトより)

専修大学の最寄り駅である向ヶ丘遊園駅周辺が舞台となった作品。実際、作中で向ヶ丘遊園らしき駅と登戸駅が登場する。あらすじでは青春学園ラブコメなどと書いているが、クリエイターたちによる熱い物語の一面もある。天才と凡人の世界の違いが作中通してずっと付きまとってくる問題であり、凡人である主人公が才能の差に打ちのめされ複雑な感情を抱く場面がいくつもある。多くは登場する人物たちの言葉から読み取ることができるが、あえて表情を見せないようにしていることや悪天候を描写することが視聴者に心情を想像させる効果を担っている。常に重い雰囲気があるわけではなく、日常的な場面は非常にコミカルに描かれている。ほぼ毎話ある、ましろに対する空太のツッコミや第7話ではバナナを神のいたずらと指し示す、魚眼レンズから覗いたかのような絵で常識の崩壊を表現する等、徹底的に楽しませてくれる。お互いを慮るゆえのすれ違いや才能の壁に苦悩する話との比率がよく緩急がつけられている為、視聴者を飽きさせることがないと考えられる。

2. 『Re:ゼロから始める異世界生活』(アニメ)
原作:長月達平 監督:渡邊政治 制作:WHITE FOX
コンビニからの帰り道、突如として異世界へと召喚されてしまった少年・菜月昴。
頼れるものなど何一つない異世界で無力な少年が手にした唯一の力、それは死して時間を巻き戻す《死に戻り》の力だった。大切な人たちを守るため、そして確かにあったかけがえのない時間を取り戻すため、少年は絶望に抗い、過酷な運命に立ち向かっていく。(公式サイトより)

第一期では昴の成長に焦点が当てられていると感じた。エミリアと仲違いしたときには自分の言い分が正しいと信じ込む自己中心的な一面が見え、それを証明するために躍起になる子供っぽさがある人物であった。これは突然の異世界転移による孤独や頼れる者がエミリアしかいなかったことが影響していると思われる。また、死に戻りという能力故なのか死を軽視するような発言も見受けられた。死に戻りによる心の摩耗が瞳にも反映されており、ハイライトが消えてしまった時にはその絶望の深さを表していると考えられる。
第18話「ゼロから」でのレムの台詞が非常に有名であるが、昴の心の闇は影と頭上の雲で表されており、レムの空間が幻想的に描かれている為、心を浄化するヒーラーのような立ち位置になっている。ここで昴が自分について語るときは暗いのに対して、レムが昴について語るときに明るくなっているのは同じ人の違う部分に目を向けていることの対照さであると考えられる。
また、後期のゼミのなかでヴィルヘルム・ヴァン・アストレアの価値観が古いという話があったが、女性が進んで政治的、社会的地位の高い任務に就いている姿は見られた。しかしながらこの価値観が古いかと言われるとやや疑問が残る部分がある。例えばクルシュは自身が女性であることに複雑な想いを抱き男性用の軍服を着用している。それは上に立つものは男性のようでなければならないという考えとして捉えることも可能であり、女性は安全なところにいるべきであるという考えが社会的にも未だ浸透していると考えられる。

3. 『Re:ゼロから始める異世界生活 2nd SEASON』(アニメ)
原作:長月達平 監督:渡邊政治 制作:WHITE FOX
魔女教大罪司教「怠惰」担当ペテルギウス・ロマネコンティを打倒し、エミリアとの
再会を果たしたナツキ・スバル。辛い決別を乗り越え、ようやく和解した二人だった
が、それは新たな波乱の幕開けだった。
想像を超える絶体絶命の危機、そして襲い来る無慈悲な現実。少年は再び過酷な運命
に立ち向かう。(公式サイトより)

第一期をスバルの成長とするのなら第二期はエミリアの成長の物語となっている。瞳を用いた表現が度々登場し、瞳に映る、映らないを通して心の通じ合いや他人をどのような人物と認識しているかが描かれている。特に第44話では育ての母の瞳にエミリアが映らないのに対して、エミリアの瞳には映っていることから互いに見ているもの違いが表れている。それ以外にも天候や些細な行動による感情の揺れも見ることができる。最終話ではエミリアが入った際には墓所に眠る人物の顔が映らなかったが、ベアトリスとロズワールが入った際に顔が明かされることで見た者にとっての重要度の違いを表していると考えた。
オットーという少年がスバルを助けようとするわけは詳しく語られなかったが、誰にも理解されない自分だけの世界を持っていることが共通している為、それが理由と考えられる。また、エミリアの成長は極めて困難であったと感じた。エミリアの言葉から極端な自己肯定感の低さ、孤独感、過去の記憶に対する不安等を読み取ることができ、これらの払拭には常に支え続けてくれるスバルの存在が必要不可欠であったと考えられる。
  第一期と比較すると登場人物たちが多く、それぞれが思惑に則って行動しているため、内容が非常に複雑かつ難解になってしまっている。アニメだけでの理解は不可能に近く原作小説も読むことで楽しめる作品だと感じた。

4. 『86-エイティシックス-』(アニメ)
原作:安里アサト 監督:石井俊匡 制作:A-1pictures
東部戦線第一戦区第一防衛戦隊、通称スピアヘッド戦隊。サンマグノリア共和国から排除された〈エイティシックス〉の少年少女たちで構成された彼らは、ギアーデ帝国が投入した無人兵器〈レギオン〉との過酷な戦いに身を投じていた。そして次々と数を減らしていくスピアヘッド戦隊に課せられた、成功率0%、任務期間無制限の「特別偵察任務」。それは母国からの実質上の死刑宣告であったが、リーダーのシンエイ・ノウゼン、ライデン・シュガ、セオト・リッカ、アンジュ・エマ、クレナ・ククミラの5人はそれでも前に進み続けること、戦い続けることを選択する。希望や未来を追い求めようとしたわけではない。戦場が彼らにとって唯一の居場所なのだから。
そしてその願いは皮肉にも、知らぬ間に足を踏み入れていた新天地で叶うことになるのだった。(公式サイトより)

本作はサンマグノリア共和国とエイティシックスの二つの視点で物語が進行していく。この二つの視点はAパートとBパートによって分けられていることが多く、戦況や指示する側の状況を互いに補う効果を持っている。サンマグノリア共和国の人たちの会話やニュースなどからはエイティシックスに対する根強い差別意識を感じさせ、エイティシックスはそれを恨み、バカにするような言動から相容れない存在であることを感じさせる。この他にも他国が共和国に批判的な意見を言い放つこともあり、ストーリー全体として差別意識や傲慢というのが背景にあると考えられる。
サンマグノリア共和国の視点で描かれている時には戦況は通信機による情報しか入ってこず、どのような戦いが行われているかは描かれない。それゆえに、悲鳴や死の間際の言葉が嫌な想像をさせる構成になっている。また、エイティシックスの指揮官であるレーナの葛藤もこちらの視点では強く描かれ、勲章のずれや立っている場所、染めた髪の毛などが彼女の心の内を表している。多くは語られないが、これらの要素から推測することが可能になっている。
エイティシックスが戦っているときの空は常に暗く描かれており、これが普段の日常の明るい空との対比になり、戦争そのものが本来は非日常の行為であるように感じさせる。焦点があてられるのは主にシンエイ・ノウゼンという人物であり、彼が戦う理由を見つけることが一つのテーマでもある。その中で仲間の死の受け止め方、死者との確執が描かれており、兄の呪縛からの解放等はモザイクの有無や服装の変化によって表現されている。

5. 『Another』(アニメ)
原作:綾辻行人 監督:水島努 制作:P.A.works
死者は誰――?
その学校のクラスには誰にも話してはならない“秘密”がある。
1998年、春。夜見山北中学校に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女・見崎鳴に惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、予想もしなかった惨事が起きてしまう。

ホラー作品のような暗い雰囲気が特徴的な作品。クラスに伝わるある呪いによって人が死んでいく。死に方が非常に絶妙であり、あり得ないと否定したいものの絶対に起きないということのできない死に方をする。これによって死が現実味のあるものになり観ている者に恐怖を味わせる効果を担っている。作中、曇りか雨の天候が多く、晴れている描写が少なかったのも恐怖を感じた要因の一つであったと思われる。
呪いの解消のために必要な差別をする描写があるが、結局のところ本音は自分が死を迎えたくないという利己的な理由であり、この側面は終盤にかけての疑心暗鬼とクラスメイト同士による殺し合いに反映されていた。
作中で気になったのが、4という数字。エレベーターの階数表示に存在しない描写があり、クラスの守り事についても規則の4つ目で急に場面が変わることがあった。これには4という数字が死を連想させるものということが何か関係しているのではないかと思った。

6. 『プラスティックメモリーズ』(アニメ)
原作・脚本:林直孝 監督:藤原佳幸 制作:動画工房
現代より少し科学が進んだ世界。
18歳の“水柿ツカサ”は大学受験に失敗したものの、親のツテのおかげで世界的大企業SAI社で働くことになった。SAI社は、心を持った人型のアンドロイド、通称『ギフティア』を製造・管理する企業で、ツカサはその中でも、ターミナルサービスという部署に配属される。だがそこは、寿命を迎えるギフティアを回収するのが業務という、いわゆる窓際部署。しかもツカサは、お茶汲み係をしているギフティアの少女“アイラ”とコンビを組んで仕事をすることになってしまう…。(公式サイトより)

動画工房制作のオリジナルアニメ。ギフティアと所有者たちの心と記憶の物語である。
本作のopでは最後にアイラの表情が必ず映されるのだが、その表情はアイラの心情によって変化するようになっており、感情の変化の波を追いやすくしてくれている。
思い出を作ることに消極的なアイラがツカサと関わっていくなかで少しずつ感情を取り戻していくのが本作の魅力である。それは全体を通して見るとアイラの表情に反映されている。第一話では感情の起伏が少なく、表情の変化も乏しく描かれていたが、終盤にかけてはツカサとの会話で表情が変わるようになっており、行動様式も大きく変化している。
また、ギフティアと所有者の関係についても深く描かれており、思い出が大きなカギになっている。この思い出はアイラが否定的な態度を示すものであるが、いくつもの回収業務をこなしていく中で、たくさんの人の思い出に触れていく。その中で辛い別れをもたらすものでありつつも次の幸福を願う原動力として思い出は描かれており、アイラ自身もそれを感じとっている。それが会話や何気ない行動で描かれるからこそ、最終話のあの別れが泣けるものになっていると考えられる。

7. 『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイルオンライン』(アニメ)
原作:時雨沢恵一 監督:迫井政行 制作:Studio 3Hz
銃と鋼鉄の世界《ガンゲイル・オンライン》でソロプレイを満喫している女性プレイヤー・レン。可愛いものが大好きな彼女は全身ピンクの装備で統一し、コツコツと地道にプレイを重ね、実力をつけていた。そしてとあることからPK―プレイヤー狩りの面白さに目覚めたレンはPKにのめり込み、ついには「ピンクの悪魔」と呼ばれるまでになる。
そんなレンは美人でミステリアスなプレイヤー・ピトフーイと出会い、意気投合。彼女に言われるがまま、チーム戦イベント《スクワッド・ジャム》に参加することになる。(公式サイトより)

ソードアート・オンラインシリーズで登場したゲームの一つを舞台にした作品。ゲームの概要、システム等についてきちんと説明がされるため、ソードアート・オンラインを全く知らない人でも楽しむことができる。
ソードアート・オンラインでは現実と仮想世界の繋がりについて多く描かれていたが、この作品では現実を切り離して考えている傾向が強いと感じた。そのわけはおそらく本伝に登場する人物たちが現実と似たような容姿のアバターを使用するのに対してレンやピトフーイは現実と異なる容姿のアバターであるからだと考えられる。
銃が主な武器となっているゲームであるのだが、肝心な武器に関する説明が多くないため、使用している武器の特性については把握しにくい部分がある。戦況はシステムを駆使した地図によって描かれることが多く、こちらは把握しやすいと感じた。また、レンの視点に合わせた移動の描写もあり、身長による視点の変化も感じやすくなっている。
また、ピトフーイという人物がゲーム上でのプレイヤーの死を楽しんでいる描写が多くあり、言動からは殺す覚悟を持った人に興味があると考えられる。その興味の対象となっているレンは潜在的には人を殺せる心の強さを持っていることになるのではないかと考えられ、GGOというゲームにどんどん染まっていたことからもその節があると思われる。

8. 『ソードアート・オンライン ―オーディナル・スケールー』(劇場アニメ)
原作:川原礫 監督: 伊藤智彦 制作:A-1pictures 公開日:2017年2月18日
2022年。天才プログラマー・茅場昌彦が開発した世界初のフルダイブ専用デバイス≪ナーヴギア≫――その革新的マシンはVR(仮想現実)世界に無限の可能性をもたらした。それから4年……。
≪ナーヴギア≫の後継VRマシン≪アミュスフィア≫に対抗するように、一つの次世代ウェアラブル・マルチデバイスが発売された。その名は≪オーグマー≫。
フルダイブ機能を排除した代わりに、AR(拡張現実)機能を最大限に広げた最先端マシン。≪オーグマー≫は覚醒状態で使用することが出来る安全性と利便性から瞬く間にユーザーへ広がっていった。その爆発的な広がりを牽引したのは、≪オーディナル・スケール(OS)≫と呼ばれる≪オーグマー≫専用ARMMO RPGだった。
アスナたちもプレイするそのゲームに、キリトも参戦しようとするが……。
(公式サイトより)

シリーズ初の劇場版となる作品。川原礫による完全オリジナルストーリーでARゲームが舞台となる。作中に登場するデバイス、オーグマーは現代の技術で開発することは不可能な代物であるが、秋葉原や代々木公園、恵比寿ガーデンといった東京のスポットが実際の風景に即して描かれており、オーグマーが提供するクーポンにはスターバックスコーヒーやローソンのからあげくんが登場している。この現実に即した風景と馴染み深いものによってファンタジーでありながら徹底的に現実的に描こうという制作側の意図が感じ取れ、いつかきっとこんな未来がくるであろうと思わせる効果がある。
VRの世界では登場人物たちの動きが速さを意識して描かれていたが、ARとなると動きがかなり遅くなっている。これはVRとARにおける体の感覚の違いを視覚的に表していると考えられ、特にキリトは序盤の戦闘では動きがかなり遅く、慣れてくるとスムーズになるといった感じである。
この作品では対比的な関係性が強く意識されているとも考えられる。キリトやアスナが旧アインクラッドのボスモンスターがOSに出現したことによって、SAOと同一視するようになるのに対して、敵となる人物はSAOとOSを完全に別のゲームと考えている。また、キリトと敵も対比的な関係と考えられる。SAOで両者に共通しているのは守ると誓った存在を守れなかったという点である。この点に関してキリトも敵も一度失意の底に落ちてしまうが、キリトが周囲の人による支えがあって立ち直ったのに対して、敵となるプレイヤーは最後まで立ち直ることが出来なかったという背景がある。この違いは後半部分での二人の戦闘中の会話、および、プレイヤーネームを変更していることに反映されていると考えられる。
アニメーションとしての表現やファンへのサービスも考えられており、ユナという少女が出現する際には蝶が飛んでいる描写が存在する。これは胡蝶の夢になぞらえて現実なのか夢なのか区別がつかないことを示唆していると考えられる。また、終盤でアスナが放ったソードスキルはテレビアニメ第二期までを視聴した人にとっては嬉しいサプライズになったと感じた。

9. 『ソードアート・オンライン ―プログレッシブー 星なき夜のアリア』(劇場アニメ)
原作:川原礫 監督:河野亜矢子 制作:A-1pictures 公開日:2021年10月30日
あの日、《ナーヴギア》を偶然被ってしまった《結城明日奈》は、本来ネットゲームとは無縁に生きる中学三年生の少女だった。
ゲームマスターは告げた。《これはゲームであっても遊びではない。》
ゲームの中での死は、そのまま現実の死につながっている。
それを聞いた全プレイヤーが混乱し、ゲーム内は阿鼻叫喚が渦巻いた。そのうちの一人であったアスナだが、彼女は世界のルールも分からないまま頂の見えない鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》の攻略へと踏み出す。
死と隣り合わせの世界を生き抜く中で、アスナに訪れる運命的な《出会い》。そして、《別れ》―。
《目の前の現実》に翻弄されるが、懸命に戦う彼女の前に現れたのは、孤高の剣士・キリトだった―。(公式サイトより)
  
プログレッシブシリーズの劇場版第一弾。主人公をキリトからアスナに変更して最初の出会いを描いた作品である。
アスナを主人公にしたことでこれまで描かれることのなかったデスゲーム開始当初のアスナの不安、成長を存分に味わうことが出来る。そこにオリジナルキャラクターであるミトを加えることで、ゲームのシステムや知識に関する情報が明確に伝わるようになっており、原作ではややぼんやりしていたアスナの成長にも説得力を持たせてくれている。
特に、冒頭でミトがアスナを抱きしめて守ることを誓う場面とボス戦でアスナがミトを助け真正面から見つめ合う場面は、アスナが守られる立場から共に戦う立場へ成長した象徴であると考えられる。
本作では、HPバーが徐々に減少していく、ピンチになった際には目からハイライトが失われるといった描写がデスゲームの緊迫感を演出している。それ以外にも、洞窟内でプレイヤーがポリゴン片に変わる描写と、モンスターの凶悪そうな面を押し出した描写があり、潜在的に恐怖を植え付けているように感じられる。そして、もう一つ需要な要素がゲーム内でのアバターだと思われる。ソードアート・オンラインにおけるアバターはゲームマスターによって全員、現実と同じ姿にされている。現実とは違う姿であれば自分と別の存在という意識が働くが、現実世界と同じ姿で動いていると現実と仮想を切り離すことが困難になり、それが死の実感をより高めていると考えられる。
オリジナルキャラクターが加わるということもあって、改悪されてしまうのではないかという不安が個人的にはあったのだが、ミトというキャラクターがアスナの視界に入らなかったと思わせるような描写を追加することで、TVアニメ版から離れすぎないように配慮されている。その一方で、ボス戦でキリトが放つソードスキルが変更されているなど、ミトの存在を意識させるような描写も見られた。

 

10. 『ソードアート・オンライン ―プログレッシブ― 冥き夕闇のスケルツォ』(劇場アニメ)
原作:川原礫 監督:河野亜矢子 制作:A-1pictures 公開日:2022年10月22日
世界初のVRMMORPG《ソードアート・オンライン》がデスゲームと化し、1万人のユーザーがゲームの世界に閉じ込められてから、既にひと月以上が過ぎていた。
鋼鉄の浮遊城《アインクラッド》第一層を攻略したアスナは、キリトとコンビを組んだまま、最上階を目指し旅を続けていた。女情報屋アルゴの協力も加わり、攻略は順調に進んでいるかのように見えたが……
攻略を先導するトッププレイヤー集団、《ALS》(アインクラッド解放隊)と《DKB》(ドラゴンナイツブリゲード)。本来は共闘するべき2大ギルドの対立が勃発する。その陰には、暗躍する謎の人物の姿が―。
死と隣り合わせの危険な戦いのなか、《攻略》とはまた異なる《脅威》が、アスナとキリトを巻き込んでいく。(公式サイトより)

プログレッシブシリーズの劇場版第2弾。攻略を進めていった先、5層での物語となる。
本作ではキリトとアスナがパートナーであるということが非常に強調されているように感じられる。ダンジョン地下フロアに落ちたアスナをキリトが探し出し、恐怖で泣き出してしまったアスナをキリトが抱きしめる場面と5層ボス戦後にキリトが攻略組の人から悪口を言われることに涙を流し抱きしめる場面は立場が逆転している。終盤では黒フードの男に襲われる場面があるが、原作ではキリト一人が襲われたのに対して、本作ではキリトとアスナの二人に変わっている。このような原作改変と対照的な場面からキリトとアスナがパートナーであるということを軸として制作されたと考えられる。
また、舞台が2、3、4層を飛ばして5層となっているが前作『星なき夜のアリア』との繋がりも考えられている。その代表的な例がミトである。第5層ボス戦にてミトがアスナを助ける場面があるがこれは前作でアスナがミトを助けた場面と対になっている。さらに、アスナが「一緒にボスを倒すんでしょ。」と言い、互いの武器を交わす場面がある。前作にも同じような場面があったのだが、多少の違いがある。前作では助けた後、武器を交わすことはなかったのだが今作では武器を交わしている。些細な違いではあるが、この有無がアスナとミトが本当の意味で和解できた象徴であると捉えることもできると考えた。

2024/04/15(月) 16:08 No.2015 EDIT DEL
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