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有田 真優美
RES
2年 有田
夏休み課題
1.『白雪姫殺人事件』 原作:湊かなえ
あらすじ:ある時、三木典子というOL女性が殺害される事件が起きる。ある女性に疑惑がかかり、テレビやネットなどで憶測が過激になっていく。真実はどこにあるのか
母性と似て別の視点によって見方が全く変わる作品だなと思った。
最初の城野さんはすごくやばい人のように語られていて、それに踊らされるネット、赤星という構図が面白いし、怖いなと思った。ネットの手のひらがえりもリアルで恐ろしいなと思った。誰が本当のことを言っているかなんて分からないし、当人は真実を言っていると思っていてもそれはその人目線でしかなく、事実とは限らないというのがこの作品を見てよくわかった。人間関係は表面的には良くても裏で様々なものが渦巻いている、人の裏が可視化されているなと思った。
2.『告白』 原作:湊かなえ
あらすじ:ある中学校の終業式。教室で担任がある告白をする。それは自分の娘が自分のクラスの生徒に殺されたという衝撃的なものだった。
歌っているシーンや劇的なBGMが前半にあり、生徒たちの何も考えていない馬鹿になっている集団心理がセリフがなくとも見えて、ストーリーの流れを無視した音楽などの演出はクラスという閉鎖された空間での違和感、気持ち悪さが際立っていた。
残酷な描写が多くあったが、子どもらしい単純さ、自己中心的な思考、詰めの甘さなどが出ていて、人の黒い部分を突き詰めたらこうなるのかなというくらい救いがないストーリーだった。何も考えていない人間、視野の狭い人間、自分のことしか考えていない人間、復讐心に燃える人間、残酷な分人間味をとても感じるストーリーだった。
3.『チェンソーマン』 第1期 監督:中山竜
あらすじ:貧しい生活をしていたデンジはある日ヤクザに殺されてしまう。しかし相棒のポチタの命と引き換えにチェンソーの悪魔として復活する。極貧生活から普通の生活を手に入れるためにデビルハンターとして悪魔討伐を目指すダークファンタジー。
まずチェンソーマンというビジュアルの強さがある。また、チェンソーマンは悪魔であり、王道のジャンプヒーローでは無い。1話から人を殺すシーンもたくさん出てくるが、目には目を歯には歯をの方式で悪魔には悪魔をというようなことかなと思う。性描写なども描かれており、ToLOVEるのようなコメディチックではなくリアリティがあるため、人間の欲望をよく描いた作品だと思う。デンジというキャラクター自身も自分の欲のためだけに動いている人間で尊敬はできないがいききった清々しさが逆に視聴者の目に留まるのではと思う。
4.『ハケンアニメ』原作:辻村深月 監督:吉野耕平
あらすじ:その時期に最も人気だった作品に与えられる称号、「覇権」。新人監督の斉藤瞳は様々な困難に振り回されながら仲間やライバルと共に切磋琢磨し作品を作っていく。
アニメ業界のリアルが細かく描かれているだけでなく、人間ドラマも描かれておりお仕事ドラマとして様々な人の視点から胸が熱くなる展開がずっと続いているという印象である。映画では、電車の窓の外にネットの書き込みが流れだすというようなファンタジックでポップな演出があり、アニメーションの華やかなイメージが感じられた。人気監督と新人監督のバトルという構図もエンタメ性があり、大変だが夢のある世界を感動的に、しかしリアルに描いているなと感じる。
5.『溺れるナイフ』原作:ジョージ朝倉 監督:山戸結希
あらすじ:海辺の町に引越した夏芽とその町で生きる自由奔放な少年航一朗。彼らは親密になっていくが、夏祭りの夜に起きたある事件がきっかけで歯車が狂っていく。
少女漫画原作ではあるが思春期のリアルな焦燥感や人間関係が描かれ、ハラハラする展開もあった。中学時代と高校生時代の重なりやキャラクターの成長や変化、逆に引きずっているものなどが分かった。また、海に飛び込むシーンなどは非現実的でありながら幻想的で、航の飄々とした感じも漫画的な魅力だと感じた。だがそれらがこの映画の全体的な幻想感に繋がっていて美しいなと思った。
6.『聲の形』原作:大今良時 監督:山田尚子
ガキ大将である石田将也は耳の不自由な転校生の西宮硝子と出会う。その後しょうやはある出来事により孤立していく。数年後2人は再会ししょうやは過去の自分と向き合うことになる。
将也の周りの人間の顔にバツ印がついているのはアニメーションらしい、でもある種リアルな表現だなと思った。誰もが頭の中で妄想したり想像することがあると思う。それを忠実に再現できるのは実写よりアニメでは無いかと思う。また、将也の心情とは反して空が快晴であったり背景の心情表現も細かくされていた。
7.『推しの子』原作:赤坂アカ・横槍メンゴ
監督:平牧大輔
医者の はある日何者かに殺害され、目覚めると推しのアイドルの子どもに転生していた。思いもしない幸せな生活に喜びを隠せないでいたが、そこにある悲劇が起きる。
芸能界を描く衝撃的なクライムサスペンス。
転生もののアニメはこれまでも多くあるが、芸能界をここまで赤裸々に描いた作品はあまりないように思う。そのファンタジーとリアルを融合させた新しさがある。
また、アニメにおけるサスペンスはファンタジー要素が含まれていることが多いように思う。「僕だけがいない街」などもあるが、そのような作品は実写が多いように思う。だがアニメでやることでサスペンスとキラキラしたアイドル、転生など現実ではありえない組み合わせで作品が成立するためアニメーションの強みだなと思う。
8.『 ばらかもん』 原作:ヨシノサツキ 監督:橘正紀
あらすじ:ある問題を起こした書道家半田清舟は頭を冷やすため五島列島に行くことに。そこで出会う小学生なるを初めとする島の人々との日々を描くハートフルコメディ。
五島列島の島暮らしという時間の流れがゆっくりな穏やかさに加えてなるを初めとする子どもたちと先生の関係性に癒される。このアニメの面白いところは子どもたちの声優が本当に子役を起用しているところである。他のアニメなら女性声優が演じるなどもあるが、この作品は皆子役のためリアリティが全く違う。ドラマを観ていても思ったが、子どもが言うから響く言葉というものがあると思う。同じ言葉でも誰が言うかによって受け取り方は大きく変わる。それがよく分かるアニメだと感じた。また、書道家というあまり知られていない職業にも視点があり、お仕事ドラマの一面もあると思う。
9.『賭ケグルイ』 原作:河本ほむら 監督:林祐一郎(アニメ) 英勉(ドラマ)
あらすじ 私立百花王学園はギャンブルで生徒の階級が決まる学校。そこに現れた蛇喰夢子。彼女はギャンブルが大好きな賭ケグルイだった。彼女はその圧倒的なギャンブルの強さで学園の均衡を揺らがしていく。
表情の作画や役者の演技が舞台かと思うくらいオーバーで実写でもそのオーバーさは健在で、そこにタイトル通りの狂気が感じられるし、他には無い面白さもあるなと感じる。
駆け引きや心理戦も考えられていて、賭ケグルイましょうという決めゼリフなどはシリーズ物の作品ならではのどんどん視聴者にハマっていくセリフだと思う。
10.『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
監督:原恵一
あらすじ:カスカベに「20世紀博」というものが誕生。大人たちは70年代の懐かしの暮らしができるテーマパークに夢中でやがて街から大人たちが消えてしまう。
テーマがかなり深いもので20世紀を永遠に過ごしたいというを誰もが感じたことのある懐古心がテーマになっており、クレヨンしんちゃんには珍しくラスボスが最後までシリアスで、ラストに近づくほど彼らに同情できる展開である。今が苦しいほどあの時は良かったと思ってしまうものだがそれでも未来を生きたいという深いストーリーだと思う。クレヨンしんちゃんは子ども向けアニメだが、大人になって観ると見方が変わる、むしろ大人にも観て欲しい作品であると感じる。このような子ども向けアニメは親子で映画館に行くというシチュエーションが多いため、一緒に観に来た親にも楽しんで欲しいというような意図もあるだろうなと思った。
11.『夜は短し歩けよ乙女』原作:森見登美彦 監督:湯浅政明
あらすじ:「黒髪の乙女」に思いを寄せる「先輩」が彼女の姿を追い求め様々な出来事に巻き込まれるファンタジー作品。
なるべく彼女の目に留まる、ナカメ作戦を始めた先輩。普通なら喋りかけに行くところを先輩に意気地がないためそのような行動を取ってしまうところのヘンテコさやその中で巻き起こる珍事件は肩の力が抜ける気の抜けた雰囲気がある。
黒髪の乙女のお酒を飲み喉からお腹が膨れ、お酒の導線がわかりやすい作画はコメディ感を増していて、全体的にコメディチックである中で深いセリフを軽いテンションで差し込むことで逆に視聴者に深く刺さると思う。
12.『おそ松さん』原作:赤塚不二夫 監督:藤田陽一
あらすじ:赤塚不二夫生誕80周年記念として放送された作品。「おそ松くん」では子どもだった六つ子達が童帝ニートになって帰ってきた。6人とその周りの人々によって巻き起こるドタバタコメディ。
初代のおそ松くんから何年も経っているため、内容は全く違うが、六つ子が暴れイヤミなどが振り回されるという展開は変わっていない。内容がかなり過激だが、他にない目新しさはある。またキャラの個性がとても強いため、六つ子でも視聴者によってそれぞれ推しが生まれたり、アイドルアニメでは無いのに六つ子セットのためそのような推しの概念があるのかなと思った。爆発的な人気はそこにも要因があるのではと感じる。
ひとつ思いついたのはキャッツアイなども3人の中で誰が好きかと分かれたりしたようで、やはりグループものだと比較がされるものなのかと思った。
13.『スパイファミリー 』第1期 原作:遠藤達哉 監督:古橋一浩
スパイの黄昏、妻で殺し屋のヨル、超能力者の娘アーニャ、予知能力を持つ犬ボンド。それぞれが正体を隠しながら家族を演じるスパイコメディ。
それぞれが目的があり、スパイ、殺し屋など一見重いようにも見えるが、みな誠実で優しく、本当の家族のようになっていく姿には癒される。また、超能力者であるアーニャの力によって起きるドタバタは物語に盛り上がりを見せてくれ、謎も多いためキーになるキャラクターであると思う。
14.『銀魂 紅桜篇』 監督:福田雄一
あらすじ:幕末に天人と呼ばれる宇宙人が入ってきた江戸で万事屋を営む侍坂田銀時と彼の周りに集まる人々のSF時代劇コメディ。
監督がコメディの巨匠なだけあり、しっかり笑える展開になっている。その笑いへの持っていき方は福田節が出ているが、原作の気だるさや緩い雰囲気などは出ているなと思う。何よりビジュアルがコスプレにも関わらず、それでも耐えられる勢いの良さなどは福田監督だからだと感じる。
15.『かくしごと』 原作:久米田康治 監督:村野佑太
あらすじ:漫画家のかくしは下ネタ満載の漫画家のため娘に自分が漫画家であることを隠していた。それを隠し通そうとする父と、娘の日常を描くハートフルコメディ。
小ネタが多く作者の他作品絶望先生のキャラクターが出てくるのも粋で面白い。
主人公が漫画家のためリアルなあるあるネタなどもある。父と娘の日常とは別で少女がかくしたちの家に訪れるシーンが毎話最後に描かれ、彼女は誰なのか、時間軸はどうなっているのかなど考察が捗りながら毎話コメディとしても楽しむことが出来る展開の仕方をしているなと思った。
16.『四畳半神話大系』 原作:森見登美彦 監督:湯浅政明
あらすじ:大学三回生の「私」は薔薇色のキャンパスライフを送るために人生をやり直したい。4つの平行世界で繰り広げられる青春奇譚。
森見登美彦特有の森見ワールドが広がっており、ワードセンスが心地よい。
主人公「私」のひねくれた性格に共感できるところもあれば、ひねくれすぎて面白いシーンもあり、テンポが良く、は小説ではあるがスピード感が出ているのはこの作品ならではで良い。
アニメーションでは主人公の私の語りがとてつもなく早口で行われている。
小説原作だと語り手がいるのは当然だが、映像化するにあたり省略されることも多いように思う。しかしこの作品はそこをカットすることなくすべて喋っているため、主人公の人間性や内面がよく分かる。また、それによりスピード感もあり他のキャラとの掛け合いやツッコミなどのテンポ感も気持ちが良いものになっている。また、アニメーションが変容していくシーンなどがあり4つの平行世界という世界観に合う夢夢しさもある。
17.『オオカミの家』 監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
あらすじ:チリの人集落に住むマリアはブタを逃がしてしまい、厳しい罰に耐えられず逃げ出してしまう。しかし森の中でオオカミの声が聞こえ、ある一軒家へ逃げ込む
ホラーと言うよりは鬱映画という感じだった。
序盤は壁に少女マリアが写し出され、一人称視点のフリーホラーゲームのような雰囲気を感じた。それは空間が変容し続けることでワンカットで最後まで物語が続いているからである。途中からマリアは姿を現すが、マリアや後に出てくる子ブタなどどれも一定の姿でいることなくストップモーションアニメとしてもとても細かく、常に変容し異形へと形を変える様が異様だった。
また、ジャンルとしてはホラーだがストーリーはオオカミへの恐怖というよりブタのペドロとアナが変容していく様やマリアが彼らに食べられそうになるという展開が不気味な世界観であると感じた。だが、童話のような世界観で恐怖よりもアニメーションの美しさにずっと魅了されていた。
18.『骨』監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
あらすじ: 少女が骨を掘り返して謎の儀式を行っていく。
ストップモーションアニメで、セリフがなく、いわゆる無声映画であった。ストーリーは完全には理解出来なかったが、少女が好きな人を蘇らせたいのかと思いきや最後婚約破棄をしていたため驚いた。また、途中に人形ではなく実写の少女が差し込まれ、骨にリアリティが増した。また実写の時は毎回同じ手を広げる動きをしていたためなにか別の意味合いがあるのだろうと思う。骨が教会のような場所で人間の姿になった際蘇生したと言うよりもホムンクルスを創り出したような感じだと思った。
19.『スキップとローファー』原作:高松美咲 監督:出会子都美
あらすじ:上京してきた高校生の美津未は勉強はできるが、同世代とのコミュニケーションが乏しかった。しかし持ち前の真っ直ぐさで周りと打ち解けていく。そして美津未の健気さは周りの人々を変えていく、青春ストーリー。
OPでダンスを取り入れており、tiktokなどで踊ってみた動画などが挙げられており、少女漫画のヒロインと男の子の組合わせは視聴者もOPからワクワクするものになっているなと感じる。
主人公が平凡なだけでなく少し変というのがほかの少女漫画と違い今の若者が主人公に共感したり惹かれたりする部分であると感じる。特にカラオケで最初に恥ずかしがらず、盛り上がる曲を歌うというシーンは妙にリアルで共感しやすいシーンだなと感じる。また、主人公が「良い子」である分周りが羨望の眼差しを向けるという構図はほかのキャラにも視聴者が感情移入しやすくどのキャラも立っていて魅力的だなと感じた。
20.『護られなかった者たちへ』監督:瀬々敬久
あらすじ:仙台でとある連続殺人事件が起きる。その裏にある10年目の真実とは。
震災の中でどうしても生き残ってしまったという感覚になってしまうというのは、これまでの記事などでも知っていた。今回の映画を観て、それぞれに生活があり、生き残ったあとも続いていくという当たり前のことが描かれていて、その先のことを考えたらサイバーズ・ギルドになってしまうのも致し方ないのかと気づいた。また、作中でスティグマという言葉も知り、このようなに言葉が生まれるほど、生活保護への負のイメージが強くあるんだと感じた。この作品はタイトル通り護られなかった人たちに焦点を向けていて、多くの人が分かったつもりになっていたり目を背けていることに改めて警鐘を鳴らすような作品だなと思う。震災や生活保護という遠いようでどちらすごく身近にある題材で観客も共感や同情しやすいなと思う。
災害とは人間の手に及ばないものだからこそ生き延びた人のその後の人生にも大きな影響を与えるものであり何年経とうが当事者の中で風化するものではなく、させてはいけないものだと思った。
21.『禁じられた遊び』 監督:中田秀夫
あらすじ:事故で亡くなった母を蘇らせようと母の体の一部を庭に埋め父から教わった呪文を唱える息子。父親の冗談半分の嘘のはずが不気味な出来事が起こり始める。
ホラー映画らしく急にこちらがビクッとなるような音や視覚による演出が多くある。また、カメラワークも揺れる感じがドキュメンタリー感があり緊迫感を煽っていると感じる。また、父と子の関係性や壊れていく様子があの家の中で描かれていて、そこの心理描写や狂っていく様は役者の妙だなと感じた。あの庭は美雪の趣味のガーデニングのための庭であり、息子の春翔が美雪を育てる庭でもありあの閉鎖的な感じは美雪の独占欲のようなものも感じた。
ホラーエンタメとして成立しており、美雪のビジュアルや美雪が斧を使うという展開など、今までのジャパニーズホラーの「静」な霊的なホラーやサイコホラーとはまた違うモンスターのような感じで新しさを感じた。その新しさも恐怖とともに面白さになっていたと思う。新しいものは嫌厭されがちだが、幽霊というのはこれまで多く映像化され、有名どころだと貞子などある種キャラクター化されている部分がある。そのためホラーは真剣なように見えてファンタジー要素なども相まって、とてもエンタメ性もあるジャンルなんだなと気づいた。ホラーは苦手な人も多いジャンルだが、本気で恐怖を煽る作品も良いがこの作品は苦手な人も楽しむことのできる面白さのある作品だと感じた。
22.『パプリカ』 監督:今敏
あらすじ:パプリカとして精神患者の治療を行っていたある女性。しかしdc装置というものが盗まれ、人々の夢に侵入される事件が起きる。パプリカはこの事態を収拾するため夢の世界へ向かう。
脈絡がない、連続性がない感じがまさに夢。
マッチカットが多様されていて、次から次に脈絡なくいつの間にか別の世界に切り替わっている感じが夢をそのまま映像化したようで、一見したら意味が分からないけどその意味わからなさが夢だなと思った。だからある意味リアリティだなと思う。でもこの作品はアニメーションだからこそできる表現ばかりで、作画も綺麗である。設定も作り込まれていて難しい分ファンタジーとしての完成度は高いなと思った。ファンタジーは現実ではありえないからこそ、辻褄を合わせ、ストーリーの解像度を上げるほど現実離れしたストーリーに観客を惹き込むことが出来るのではと思う。終始独自の世界観や言葉、アニメーションばかりで理解が難しいが、世界観が完成しているため、この独特な世界観が好みという人間には深く刺さる作品だと思う。
夢とはすべてその見ている人間の中にあるものであるから、夢の中で喋っている言葉たちも意味がなさそうであるものもあるんだろうなと思う。何度も観ると理解がより深まり、不思議な世界観をより理解できるのではないかと思う。
23.『森山中教習所』 原作:真造圭伍 全1巻
あらすじ:元中学校の教習所を舞台にノーテンキな大学生と高校の同級生のヤクザのひと夏の青春を描いたコメディ。
2人にとって教習所にいる間だけは暗い現実から離れてバカやれる空間なのかなと思った。清高は何も言わないけれど家庭環境に問題があり、轟木もヤクザという逃れられない世界にいる。それぞれ自分のことを語るシーンはないけれど、少しのセリフとあとは絵で環境が表現されていた。この再会による大きな変化はないけれど、ひと夏の青春を味わえたということに意味があるのかなと思った。コメディではあるが、大きな事件がなくただ免許を取るというだけで人間模様を描いていて面白いなと思った。また日常の感じやイラストの気だるい雰囲気がリアリティがあり、ノスタルジーや温かさも感じる漫画だった。
1巻という短さもまたひと夏のあっという間に過ぎ去る青春という感じがして良かった。
24.『リバーズ・エッジ』 監督:行定勲
あらすじ:ハルナは自分の彼氏にいじめられていた一匹狼の山田を救う。そこから山田に関わるようになり、山田の秘密の宝物を教えてもらう。それは河原の遺棄死体だった。
衝撃的で残酷な青春ストーリー。
短い永遠というようなセリフがあり、青春のモラトリアムのようなものを表しているのかなと思った。若者の焦燥感や欲望が丸出しの感じが過激な描写も相まってひりひりする展開だと思った。
高校生だからこその大人とは違う、家庭環境の悩みや学校の人間関係など子どもならではの暗い部分がよく見える作品だった。この作品は親の顔がちゃんと出てこないなと思った。そこから子ども目線の、親に隠れて内緒で色んなことをしている、考えている子どもたちの苦悩や葛藤が今しかできない青春の空気を感じた。
青春だなと思った、青春の残酷な面、暗い面がすごく出ていて、リアルよりもリアル感があるなと思った。時代背景が90年代で今みたいにネットも普及していない、できることが少ない閉塞感みたいなものが感じられた。
また、途中に挟まるインタビューもリアルな空気感を出しているなと思った。
死体や同じ学校の級友の死など死が多く描かれ、性的描写も多くあり、人間の生をこれでもかと感じる描写が多くあるなと思った。
マッチカットが効果的に使われていて、嫌なシーンがスルッと別のシーンに切り替わったりすると、全く関係ないシーンなのに少し連続性も感じて、ダブルミーニングのようなものも感じて面白い技法だなと思った。
山田くんは死体が宝物という人だから、カンナが死んだ時の山田くんの表情は生前はイライラするなと思ってたけど、死んだカンナに好感を持てた表情なのかなと思った。
25.『ピンクとグレー』 原作:加藤シゲアキ
あらすじ:芸能界が舞台。それぞれの道をゆく2人の親友同士の挫折と栄光を描く。
すごく主観的な感覚や肉体的、物理的な感覚を文章にして、それで感情を表現しているところが多くあって、ただ頭が痛いとかシンプルな言葉じゃないからより細かく繊細に主人公の感情がわかり、リアリティを感じた。
幼少期から大人になるまでの彼らを描いているからこの1冊で読者が彼らをずっと見守ってきたような気分になり彼らに感情移入しやすく、その分白木が死んだ時の悲しみなども大きいからより物語に引き込まれるのかなと思った。
ファレノプシスやリバー・フェニックスなど具体的な単語が多く出てきてそこに隠された登場人物の感情や意図を考えるのが面白いなと思った。現在と過去が交差して展開も計算されていて、2人がすれ違っていく矢先の白木蓮吾の死、その後の怒涛の展開は良かった。特に最後の白木を演じている河鳥は、役者の自分を見失っていく感覚が、白木の語りと合間に挟まるスタッフの声で現実と映画の作中を行き来している様子で伝わってきた。
作者が芸能界にいるからこそ書けるリアリティと物語にするための劇的なダークさが芸能界の不条理さを演出してて面白かった。
鮮やかなピンクと暗いグレー、でもどちらも白を混ぜたもの。この2つは、作中の2人は表裏一体なのかなとあとがきを読んで思った。どちらも似ているけれど周りが選んだのは白木のみだった。それによって交錯していく2人は読んでいて寂しいなと思った。
26.『母性』原作:湊かなえ 監督:廣木隆一
あらすじ:母の愛情を一身に受けたルミ子は母のことを溺愛していた。聖佳という娘ができ、娘は母、ルミ子に愛されたいと思っていた。しかしルミ子の視線の先にいるのは清佳ではなくルミ子の母で……。
女性には2つ種類があり、母親と娘というのが印象に残った。
ただ私は母親になったことがないので、どちらかは分からないなと思った。
でも確かに私の母もおばあちゃんと話している時は雰囲気が変わるし、娘になっているんだなと思う。
母親の視点、娘の視点、また過去の回想ベースで、何が本当なのか後からどんどん分かっていくのが、人間によって見え方が全く違うというのを表していて面白いなと思った。特に首を絞めるシーンは母視点では抱きしめていてどちらが本当なのだろうと思った。恐らく個人的には本当に首を絞めていたのだろうなと思う。
考え方は人それぞれだけど人への思いやりの仕方が母親は下手だったのかなと思う。誰かの娘であり続けたいというのは、ある意味母親というものに依存しているのかなと思った。
母は誰かの娘でいたい人ではあるけれど、娘のことも自分の母親が守ろうとした子だから愛しているのだろうなとは思う。でも娘を愛しているのも本当だけれど、あくまで自分の母親の影が消えることはないだろうなと思う。何十年もそうやって生きてきたのだから、たとえ間違いに気づいたとしても、人間性が大きく変わるというのはまずないと思う。
娘も母に愛されたいと強く思っている点では母親に似たところがあるのかなと思った。
27.『トゥルーマン・ショー』監督:ピーター・ウィアー
あらすじ:小さな島で平凡な日々を過ごす男。しかし彼の人生はテレビ番組のために作られた虚構の世界だった。生涯を放映され続けるお男を描いたヒューマンドラマ。
現実世界で考えると人権も何も無くありえない設定だが、視聴者は赤ちゃんの頃から彼を見ているため、彼のことを好きであり、最後には逃げることを応援もしている。
ペットをかわいがる飼い主のようだなと思った。拘束していることを許容しているのは視聴している視聴者自身なのに、彼らは親のような気持ちで見守っている気でいる。愛されているように見えて実際は本物の家族もすべて取りあげられている男の気持ちは考えていない。番組のプロデューサーがおかしいように見えて何も違和感を抱かない世間が1番気味が悪いなと思った。
28.『暗殺教室』原作:松井優征
あらすじ:ある日進学校の落ちこぼれクラスにタコ型未確認生物が現れた。その生物は既に月を破壊しており、地球の破壊も予告していた。政府にも暗殺できない危険生物だが、それは落ちこぼれクラスの担任を来年の3月、地球の破壊の日まで行うといい、言いその生物の暗殺は落ちこぼれクラスに託されることに。
暗殺という言葉の強さとは裏腹にコメディ要素も強い。危険生物である通称殺せんせーが化け物でありながらおちゃらけておりとても人間味があり、何よりしっかりと先生をしてくれる。そのため落ちこぼれクラスと呼ばれ生気のない3年E組を立て直していくという学園ドラマの一面もある。人間の教師ではなく、タコ型の生物が言うと説得力や考えさせられるのはアニマルスタディーズ的な観点が少しはあるのかなと思った。タコ型超生物は現実には存在しないが、可愛らしい見た目で普通の人間のキャラクターよりもインパクトがありそんなキャラクターから発される言葉は他より重みがあるのではと思う。アニメーションは多々動物などを喋らせるが、それは動物にすることで柔らかさや可愛らしさなどが生まれるなどするというような動物への偏見によるキャラの印象操作かなと思う。
29.『窮鼠はチーズの夢を見る』 原作:水城せとな 監督:行定勲
あらすじ:優柔不断で流されやすい大伴は不倫を重ねていた。ある日大学の後輩の今ケ瀬と再会する。密かに思いを寄せていた今ケ瀬は不倫の証拠を種に関係を迫る。大伴はそんな今ケ瀬のペースに流され関係を持つようになる。
男性同士の恋愛ならではの葛藤や心情の揺れが繊細に描かれた作品であると思う。また、まだまだ消えないジェンダー差別のようなものも描かれている。大伴は流されやすい男だが男女とはこうという固定概念はあり、周りの目だけではなく自分の中の常識との葛藤もあるように見える。今ケ瀬は自分は自分という感じで変わらないがそんな今ケ瀬と周りの目の差に悲哀感が増すと思う。ラストはそんなふたりが噛み合わず自然消滅してしまったのかなと思う。あまり言葉で表現されていないため難しいラストだったが恋人同士というのは簡単にくっつき離れるものだと思うため
そんな中で複雑な恋愛模様が描かれているなと思う。
30.『おおかみこどもの雨と雪』細田守
あらすじ:おおかみおとこを父に持つ2人のおおかみこどもとその母の絆と成長を描くファンタジー映画。
平凡な大学生だった少女がおおかみおとこと恋をし、子どもが生まれたことで普通の生活が一変していく様が不思議だと感じた。それは子どもが産まれる前の二人の関係性や生活をとても丁寧に描いているからであり、リアルな日常が続いていく中で差し込まれるおおかみおとこというインパクトの強さだと思う。また、おおかみこどもであることで雨と雪は大人になるにつれトラブルも起きるが、それは決しておおかみこどもだから起きることではなく普通の人間でも不登校にもなるし、クラスメイト同士の喧嘩も起きる。そのような現実的な問題にも焦点を当てた作品であると思う。だからおおかみこどもなんていなくとも観客は共感できる部分が多いと思う。雪はラストでもわかる通り人間よりもおおかみの血が強かったのだろうと思う。雨と雪がバラバラになるラストはおおかみと人間の間に生まれた彼らに与えられたもうひとつの道をそれぞれ描くためであると思う。
夏休み課題
1.『白雪姫殺人事件』 原作:湊かなえ
あらすじ:ある時、三木典子というOL女性が殺害される事件が起きる。ある女性に疑惑がかかり、テレビやネットなどで憶測が過激になっていく。真実はどこにあるのか
母性と似て別の視点によって見方が全く変わる作品だなと思った。
最初の城野さんはすごくやばい人のように語られていて、それに踊らされるネット、赤星という構図が面白いし、怖いなと思った。ネットの手のひらがえりもリアルで恐ろしいなと思った。誰が本当のことを言っているかなんて分からないし、当人は真実を言っていると思っていてもそれはその人目線でしかなく、事実とは限らないというのがこの作品を見てよくわかった。人間関係は表面的には良くても裏で様々なものが渦巻いている、人の裏が可視化されているなと思った。
2.『告白』 原作:湊かなえ
あらすじ:ある中学校の終業式。教室で担任がある告白をする。それは自分の娘が自分のクラスの生徒に殺されたという衝撃的なものだった。
歌っているシーンや劇的なBGMが前半にあり、生徒たちの何も考えていない馬鹿になっている集団心理がセリフがなくとも見えて、ストーリーの流れを無視した音楽などの演出はクラスという閉鎖された空間での違和感、気持ち悪さが際立っていた。
残酷な描写が多くあったが、子どもらしい単純さ、自己中心的な思考、詰めの甘さなどが出ていて、人の黒い部分を突き詰めたらこうなるのかなというくらい救いがないストーリーだった。何も考えていない人間、視野の狭い人間、自分のことしか考えていない人間、復讐心に燃える人間、残酷な分人間味をとても感じるストーリーだった。
3.『チェンソーマン』 第1期 監督:中山竜
あらすじ:貧しい生活をしていたデンジはある日ヤクザに殺されてしまう。しかし相棒のポチタの命と引き換えにチェンソーの悪魔として復活する。極貧生活から普通の生活を手に入れるためにデビルハンターとして悪魔討伐を目指すダークファンタジー。
まずチェンソーマンというビジュアルの強さがある。また、チェンソーマンは悪魔であり、王道のジャンプヒーローでは無い。1話から人を殺すシーンもたくさん出てくるが、目には目を歯には歯をの方式で悪魔には悪魔をというようなことかなと思う。性描写なども描かれており、ToLOVEるのようなコメディチックではなくリアリティがあるため、人間の欲望をよく描いた作品だと思う。デンジというキャラクター自身も自分の欲のためだけに動いている人間で尊敬はできないがいききった清々しさが逆に視聴者の目に留まるのではと思う。
4.『ハケンアニメ』原作:辻村深月 監督:吉野耕平
あらすじ:その時期に最も人気だった作品に与えられる称号、「覇権」。新人監督の斉藤瞳は様々な困難に振り回されながら仲間やライバルと共に切磋琢磨し作品を作っていく。
アニメ業界のリアルが細かく描かれているだけでなく、人間ドラマも描かれておりお仕事ドラマとして様々な人の視点から胸が熱くなる展開がずっと続いているという印象である。映画では、電車の窓の外にネットの書き込みが流れだすというようなファンタジックでポップな演出があり、アニメーションの華やかなイメージが感じられた。人気監督と新人監督のバトルという構図もエンタメ性があり、大変だが夢のある世界を感動的に、しかしリアルに描いているなと感じる。
5.『溺れるナイフ』原作:ジョージ朝倉 監督:山戸結希
あらすじ:海辺の町に引越した夏芽とその町で生きる自由奔放な少年航一朗。彼らは親密になっていくが、夏祭りの夜に起きたある事件がきっかけで歯車が狂っていく。
少女漫画原作ではあるが思春期のリアルな焦燥感や人間関係が描かれ、ハラハラする展開もあった。中学時代と高校生時代の重なりやキャラクターの成長や変化、逆に引きずっているものなどが分かった。また、海に飛び込むシーンなどは非現実的でありながら幻想的で、航の飄々とした感じも漫画的な魅力だと感じた。だがそれらがこの映画の全体的な幻想感に繋がっていて美しいなと思った。
6.『聲の形』原作:大今良時 監督:山田尚子
ガキ大将である石田将也は耳の不自由な転校生の西宮硝子と出会う。その後しょうやはある出来事により孤立していく。数年後2人は再会ししょうやは過去の自分と向き合うことになる。
将也の周りの人間の顔にバツ印がついているのはアニメーションらしい、でもある種リアルな表現だなと思った。誰もが頭の中で妄想したり想像することがあると思う。それを忠実に再現できるのは実写よりアニメでは無いかと思う。また、将也の心情とは反して空が快晴であったり背景の心情表現も細かくされていた。
7.『推しの子』原作:赤坂アカ・横槍メンゴ
監督:平牧大輔
医者の はある日何者かに殺害され、目覚めると推しのアイドルの子どもに転生していた。思いもしない幸せな生活に喜びを隠せないでいたが、そこにある悲劇が起きる。
芸能界を描く衝撃的なクライムサスペンス。
転生もののアニメはこれまでも多くあるが、芸能界をここまで赤裸々に描いた作品はあまりないように思う。そのファンタジーとリアルを融合させた新しさがある。
また、アニメにおけるサスペンスはファンタジー要素が含まれていることが多いように思う。「僕だけがいない街」などもあるが、そのような作品は実写が多いように思う。だがアニメでやることでサスペンスとキラキラしたアイドル、転生など現実ではありえない組み合わせで作品が成立するためアニメーションの強みだなと思う。
8.『 ばらかもん』 原作:ヨシノサツキ 監督:橘正紀
あらすじ:ある問題を起こした書道家半田清舟は頭を冷やすため五島列島に行くことに。そこで出会う小学生なるを初めとする島の人々との日々を描くハートフルコメディ。
五島列島の島暮らしという時間の流れがゆっくりな穏やかさに加えてなるを初めとする子どもたちと先生の関係性に癒される。このアニメの面白いところは子どもたちの声優が本当に子役を起用しているところである。他のアニメなら女性声優が演じるなどもあるが、この作品は皆子役のためリアリティが全く違う。ドラマを観ていても思ったが、子どもが言うから響く言葉というものがあると思う。同じ言葉でも誰が言うかによって受け取り方は大きく変わる。それがよく分かるアニメだと感じた。また、書道家というあまり知られていない職業にも視点があり、お仕事ドラマの一面もあると思う。
9.『賭ケグルイ』 原作:河本ほむら 監督:林祐一郎(アニメ) 英勉(ドラマ)
あらすじ 私立百花王学園はギャンブルで生徒の階級が決まる学校。そこに現れた蛇喰夢子。彼女はギャンブルが大好きな賭ケグルイだった。彼女はその圧倒的なギャンブルの強さで学園の均衡を揺らがしていく。
表情の作画や役者の演技が舞台かと思うくらいオーバーで実写でもそのオーバーさは健在で、そこにタイトル通りの狂気が感じられるし、他には無い面白さもあるなと感じる。
駆け引きや心理戦も考えられていて、賭ケグルイましょうという決めゼリフなどはシリーズ物の作品ならではのどんどん視聴者にハマっていくセリフだと思う。
10.『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
監督:原恵一
あらすじ:カスカベに「20世紀博」というものが誕生。大人たちは70年代の懐かしの暮らしができるテーマパークに夢中でやがて街から大人たちが消えてしまう。
テーマがかなり深いもので20世紀を永遠に過ごしたいというを誰もが感じたことのある懐古心がテーマになっており、クレヨンしんちゃんには珍しくラスボスが最後までシリアスで、ラストに近づくほど彼らに同情できる展開である。今が苦しいほどあの時は良かったと思ってしまうものだがそれでも未来を生きたいという深いストーリーだと思う。クレヨンしんちゃんは子ども向けアニメだが、大人になって観ると見方が変わる、むしろ大人にも観て欲しい作品であると感じる。このような子ども向けアニメは親子で映画館に行くというシチュエーションが多いため、一緒に観に来た親にも楽しんで欲しいというような意図もあるだろうなと思った。
11.『夜は短し歩けよ乙女』原作:森見登美彦 監督:湯浅政明
あらすじ:「黒髪の乙女」に思いを寄せる「先輩」が彼女の姿を追い求め様々な出来事に巻き込まれるファンタジー作品。
なるべく彼女の目に留まる、ナカメ作戦を始めた先輩。普通なら喋りかけに行くところを先輩に意気地がないためそのような行動を取ってしまうところのヘンテコさやその中で巻き起こる珍事件は肩の力が抜ける気の抜けた雰囲気がある。
黒髪の乙女のお酒を飲み喉からお腹が膨れ、お酒の導線がわかりやすい作画はコメディ感を増していて、全体的にコメディチックである中で深いセリフを軽いテンションで差し込むことで逆に視聴者に深く刺さると思う。
12.『おそ松さん』原作:赤塚不二夫 監督:藤田陽一
あらすじ:赤塚不二夫生誕80周年記念として放送された作品。「おそ松くん」では子どもだった六つ子達が童帝ニートになって帰ってきた。6人とその周りの人々によって巻き起こるドタバタコメディ。
初代のおそ松くんから何年も経っているため、内容は全く違うが、六つ子が暴れイヤミなどが振り回されるという展開は変わっていない。内容がかなり過激だが、他にない目新しさはある。またキャラの個性がとても強いため、六つ子でも視聴者によってそれぞれ推しが生まれたり、アイドルアニメでは無いのに六つ子セットのためそのような推しの概念があるのかなと思った。爆発的な人気はそこにも要因があるのではと感じる。
ひとつ思いついたのはキャッツアイなども3人の中で誰が好きかと分かれたりしたようで、やはりグループものだと比較がされるものなのかと思った。
13.『スパイファミリー 』第1期 原作:遠藤達哉 監督:古橋一浩
スパイの黄昏、妻で殺し屋のヨル、超能力者の娘アーニャ、予知能力を持つ犬ボンド。それぞれが正体を隠しながら家族を演じるスパイコメディ。
それぞれが目的があり、スパイ、殺し屋など一見重いようにも見えるが、みな誠実で優しく、本当の家族のようになっていく姿には癒される。また、超能力者であるアーニャの力によって起きるドタバタは物語に盛り上がりを見せてくれ、謎も多いためキーになるキャラクターであると思う。
14.『銀魂 紅桜篇』 監督:福田雄一
あらすじ:幕末に天人と呼ばれる宇宙人が入ってきた江戸で万事屋を営む侍坂田銀時と彼の周りに集まる人々のSF時代劇コメディ。
監督がコメディの巨匠なだけあり、しっかり笑える展開になっている。その笑いへの持っていき方は福田節が出ているが、原作の気だるさや緩い雰囲気などは出ているなと思う。何よりビジュアルがコスプレにも関わらず、それでも耐えられる勢いの良さなどは福田監督だからだと感じる。
15.『かくしごと』 原作:久米田康治 監督:村野佑太
あらすじ:漫画家のかくしは下ネタ満載の漫画家のため娘に自分が漫画家であることを隠していた。それを隠し通そうとする父と、娘の日常を描くハートフルコメディ。
小ネタが多く作者の他作品絶望先生のキャラクターが出てくるのも粋で面白い。
主人公が漫画家のためリアルなあるあるネタなどもある。父と娘の日常とは別で少女がかくしたちの家に訪れるシーンが毎話最後に描かれ、彼女は誰なのか、時間軸はどうなっているのかなど考察が捗りながら毎話コメディとしても楽しむことが出来る展開の仕方をしているなと思った。
16.『四畳半神話大系』 原作:森見登美彦 監督:湯浅政明
あらすじ:大学三回生の「私」は薔薇色のキャンパスライフを送るために人生をやり直したい。4つの平行世界で繰り広げられる青春奇譚。
森見登美彦特有の森見ワールドが広がっており、ワードセンスが心地よい。
主人公「私」のひねくれた性格に共感できるところもあれば、ひねくれすぎて面白いシーンもあり、テンポが良く、は小説ではあるがスピード感が出ているのはこの作品ならではで良い。
アニメーションでは主人公の私の語りがとてつもなく早口で行われている。
小説原作だと語り手がいるのは当然だが、映像化するにあたり省略されることも多いように思う。しかしこの作品はそこをカットすることなくすべて喋っているため、主人公の人間性や内面がよく分かる。また、それによりスピード感もあり他のキャラとの掛け合いやツッコミなどのテンポ感も気持ちが良いものになっている。また、アニメーションが変容していくシーンなどがあり4つの平行世界という世界観に合う夢夢しさもある。
17.『オオカミの家』 監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
あらすじ:チリの人集落に住むマリアはブタを逃がしてしまい、厳しい罰に耐えられず逃げ出してしまう。しかし森の中でオオカミの声が聞こえ、ある一軒家へ逃げ込む
ホラーと言うよりは鬱映画という感じだった。
序盤は壁に少女マリアが写し出され、一人称視点のフリーホラーゲームのような雰囲気を感じた。それは空間が変容し続けることでワンカットで最後まで物語が続いているからである。途中からマリアは姿を現すが、マリアや後に出てくる子ブタなどどれも一定の姿でいることなくストップモーションアニメとしてもとても細かく、常に変容し異形へと形を変える様が異様だった。
また、ジャンルとしてはホラーだがストーリーはオオカミへの恐怖というよりブタのペドロとアナが変容していく様やマリアが彼らに食べられそうになるという展開が不気味な世界観であると感じた。だが、童話のような世界観で恐怖よりもアニメーションの美しさにずっと魅了されていた。
18.『骨』監督:クリストバル・レオン、ホアキン・コシーニャ
あらすじ: 少女が骨を掘り返して謎の儀式を行っていく。
ストップモーションアニメで、セリフがなく、いわゆる無声映画であった。ストーリーは完全には理解出来なかったが、少女が好きな人を蘇らせたいのかと思いきや最後婚約破棄をしていたため驚いた。また、途中に人形ではなく実写の少女が差し込まれ、骨にリアリティが増した。また実写の時は毎回同じ手を広げる動きをしていたためなにか別の意味合いがあるのだろうと思う。骨が教会のような場所で人間の姿になった際蘇生したと言うよりもホムンクルスを創り出したような感じだと思った。
19.『スキップとローファー』原作:高松美咲 監督:出会子都美
あらすじ:上京してきた高校生の美津未は勉強はできるが、同世代とのコミュニケーションが乏しかった。しかし持ち前の真っ直ぐさで周りと打ち解けていく。そして美津未の健気さは周りの人々を変えていく、青春ストーリー。
OPでダンスを取り入れており、tiktokなどで踊ってみた動画などが挙げられており、少女漫画のヒロインと男の子の組合わせは視聴者もOPからワクワクするものになっているなと感じる。
主人公が平凡なだけでなく少し変というのがほかの少女漫画と違い今の若者が主人公に共感したり惹かれたりする部分であると感じる。特にカラオケで最初に恥ずかしがらず、盛り上がる曲を歌うというシーンは妙にリアルで共感しやすいシーンだなと感じる。また、主人公が「良い子」である分周りが羨望の眼差しを向けるという構図はほかのキャラにも視聴者が感情移入しやすくどのキャラも立っていて魅力的だなと感じた。
20.『護られなかった者たちへ』監督:瀬々敬久
あらすじ:仙台でとある連続殺人事件が起きる。その裏にある10年目の真実とは。
震災の中でどうしても生き残ってしまったという感覚になってしまうというのは、これまでの記事などでも知っていた。今回の映画を観て、それぞれに生活があり、生き残ったあとも続いていくという当たり前のことが描かれていて、その先のことを考えたらサイバーズ・ギルドになってしまうのも致し方ないのかと気づいた。また、作中でスティグマという言葉も知り、このようなに言葉が生まれるほど、生活保護への負のイメージが強くあるんだと感じた。この作品はタイトル通り護られなかった人たちに焦点を向けていて、多くの人が分かったつもりになっていたり目を背けていることに改めて警鐘を鳴らすような作品だなと思う。震災や生活保護という遠いようでどちらすごく身近にある題材で観客も共感や同情しやすいなと思う。
災害とは人間の手に及ばないものだからこそ生き延びた人のその後の人生にも大きな影響を与えるものであり何年経とうが当事者の中で風化するものではなく、させてはいけないものだと思った。
21.『禁じられた遊び』 監督:中田秀夫
あらすじ:事故で亡くなった母を蘇らせようと母の体の一部を庭に埋め父から教わった呪文を唱える息子。父親の冗談半分の嘘のはずが不気味な出来事が起こり始める。
ホラー映画らしく急にこちらがビクッとなるような音や視覚による演出が多くある。また、カメラワークも揺れる感じがドキュメンタリー感があり緊迫感を煽っていると感じる。また、父と子の関係性や壊れていく様子があの家の中で描かれていて、そこの心理描写や狂っていく様は役者の妙だなと感じた。あの庭は美雪の趣味のガーデニングのための庭であり、息子の春翔が美雪を育てる庭でもありあの閉鎖的な感じは美雪の独占欲のようなものも感じた。
ホラーエンタメとして成立しており、美雪のビジュアルや美雪が斧を使うという展開など、今までのジャパニーズホラーの「静」な霊的なホラーやサイコホラーとはまた違うモンスターのような感じで新しさを感じた。その新しさも恐怖とともに面白さになっていたと思う。新しいものは嫌厭されがちだが、幽霊というのはこれまで多く映像化され、有名どころだと貞子などある種キャラクター化されている部分がある。そのためホラーは真剣なように見えてファンタジー要素なども相まって、とてもエンタメ性もあるジャンルなんだなと気づいた。ホラーは苦手な人も多いジャンルだが、本気で恐怖を煽る作品も良いがこの作品は苦手な人も楽しむことのできる面白さのある作品だと感じた。
22.『パプリカ』 監督:今敏
あらすじ:パプリカとして精神患者の治療を行っていたある女性。しかしdc装置というものが盗まれ、人々の夢に侵入される事件が起きる。パプリカはこの事態を収拾するため夢の世界へ向かう。
脈絡がない、連続性がない感じがまさに夢。
マッチカットが多様されていて、次から次に脈絡なくいつの間にか別の世界に切り替わっている感じが夢をそのまま映像化したようで、一見したら意味が分からないけどその意味わからなさが夢だなと思った。だからある意味リアリティだなと思う。でもこの作品はアニメーションだからこそできる表現ばかりで、作画も綺麗である。設定も作り込まれていて難しい分ファンタジーとしての完成度は高いなと思った。ファンタジーは現実ではありえないからこそ、辻褄を合わせ、ストーリーの解像度を上げるほど現実離れしたストーリーに観客を惹き込むことが出来るのではと思う。終始独自の世界観や言葉、アニメーションばかりで理解が難しいが、世界観が完成しているため、この独特な世界観が好みという人間には深く刺さる作品だと思う。
夢とはすべてその見ている人間の中にあるものであるから、夢の中で喋っている言葉たちも意味がなさそうであるものもあるんだろうなと思う。何度も観ると理解がより深まり、不思議な世界観をより理解できるのではないかと思う。
23.『森山中教習所』 原作:真造圭伍 全1巻
あらすじ:元中学校の教習所を舞台にノーテンキな大学生と高校の同級生のヤクザのひと夏の青春を描いたコメディ。
2人にとって教習所にいる間だけは暗い現実から離れてバカやれる空間なのかなと思った。清高は何も言わないけれど家庭環境に問題があり、轟木もヤクザという逃れられない世界にいる。それぞれ自分のことを語るシーンはないけれど、少しのセリフとあとは絵で環境が表現されていた。この再会による大きな変化はないけれど、ひと夏の青春を味わえたということに意味があるのかなと思った。コメディではあるが、大きな事件がなくただ免許を取るというだけで人間模様を描いていて面白いなと思った。また日常の感じやイラストの気だるい雰囲気がリアリティがあり、ノスタルジーや温かさも感じる漫画だった。
1巻という短さもまたひと夏のあっという間に過ぎ去る青春という感じがして良かった。
24.『リバーズ・エッジ』 監督:行定勲
あらすじ:ハルナは自分の彼氏にいじめられていた一匹狼の山田を救う。そこから山田に関わるようになり、山田の秘密の宝物を教えてもらう。それは河原の遺棄死体だった。
衝撃的で残酷な青春ストーリー。
短い永遠というようなセリフがあり、青春のモラトリアムのようなものを表しているのかなと思った。若者の焦燥感や欲望が丸出しの感じが過激な描写も相まってひりひりする展開だと思った。
高校生だからこその大人とは違う、家庭環境の悩みや学校の人間関係など子どもならではの暗い部分がよく見える作品だった。この作品は親の顔がちゃんと出てこないなと思った。そこから子ども目線の、親に隠れて内緒で色んなことをしている、考えている子どもたちの苦悩や葛藤が今しかできない青春の空気を感じた。
青春だなと思った、青春の残酷な面、暗い面がすごく出ていて、リアルよりもリアル感があるなと思った。時代背景が90年代で今みたいにネットも普及していない、できることが少ない閉塞感みたいなものが感じられた。
また、途中に挟まるインタビューもリアルな空気感を出しているなと思った。
死体や同じ学校の級友の死など死が多く描かれ、性的描写も多くあり、人間の生をこれでもかと感じる描写が多くあるなと思った。
マッチカットが効果的に使われていて、嫌なシーンがスルッと別のシーンに切り替わったりすると、全く関係ないシーンなのに少し連続性も感じて、ダブルミーニングのようなものも感じて面白い技法だなと思った。
山田くんは死体が宝物という人だから、カンナが死んだ時の山田くんの表情は生前はイライラするなと思ってたけど、死んだカンナに好感を持てた表情なのかなと思った。
25.『ピンクとグレー』 原作:加藤シゲアキ
あらすじ:芸能界が舞台。それぞれの道をゆく2人の親友同士の挫折と栄光を描く。
すごく主観的な感覚や肉体的、物理的な感覚を文章にして、それで感情を表現しているところが多くあって、ただ頭が痛いとかシンプルな言葉じゃないからより細かく繊細に主人公の感情がわかり、リアリティを感じた。
幼少期から大人になるまでの彼らを描いているからこの1冊で読者が彼らをずっと見守ってきたような気分になり彼らに感情移入しやすく、その分白木が死んだ時の悲しみなども大きいからより物語に引き込まれるのかなと思った。
ファレノプシスやリバー・フェニックスなど具体的な単語が多く出てきてそこに隠された登場人物の感情や意図を考えるのが面白いなと思った。現在と過去が交差して展開も計算されていて、2人がすれ違っていく矢先の白木蓮吾の死、その後の怒涛の展開は良かった。特に最後の白木を演じている河鳥は、役者の自分を見失っていく感覚が、白木の語りと合間に挟まるスタッフの声で現実と映画の作中を行き来している様子で伝わってきた。
作者が芸能界にいるからこそ書けるリアリティと物語にするための劇的なダークさが芸能界の不条理さを演出してて面白かった。
鮮やかなピンクと暗いグレー、でもどちらも白を混ぜたもの。この2つは、作中の2人は表裏一体なのかなとあとがきを読んで思った。どちらも似ているけれど周りが選んだのは白木のみだった。それによって交錯していく2人は読んでいて寂しいなと思った。
26.『母性』原作:湊かなえ 監督:廣木隆一
あらすじ:母の愛情を一身に受けたルミ子は母のことを溺愛していた。聖佳という娘ができ、娘は母、ルミ子に愛されたいと思っていた。しかしルミ子の視線の先にいるのは清佳ではなくルミ子の母で……。
女性には2つ種類があり、母親と娘というのが印象に残った。
ただ私は母親になったことがないので、どちらかは分からないなと思った。
でも確かに私の母もおばあちゃんと話している時は雰囲気が変わるし、娘になっているんだなと思う。
母親の視点、娘の視点、また過去の回想ベースで、何が本当なのか後からどんどん分かっていくのが、人間によって見え方が全く違うというのを表していて面白いなと思った。特に首を絞めるシーンは母視点では抱きしめていてどちらが本当なのだろうと思った。恐らく個人的には本当に首を絞めていたのだろうなと思う。
考え方は人それぞれだけど人への思いやりの仕方が母親は下手だったのかなと思う。誰かの娘であり続けたいというのは、ある意味母親というものに依存しているのかなと思った。
母は誰かの娘でいたい人ではあるけれど、娘のことも自分の母親が守ろうとした子だから愛しているのだろうなとは思う。でも娘を愛しているのも本当だけれど、あくまで自分の母親の影が消えることはないだろうなと思う。何十年もそうやって生きてきたのだから、たとえ間違いに気づいたとしても、人間性が大きく変わるというのはまずないと思う。
娘も母に愛されたいと強く思っている点では母親に似たところがあるのかなと思った。
27.『トゥルーマン・ショー』監督:ピーター・ウィアー
あらすじ:小さな島で平凡な日々を過ごす男。しかし彼の人生はテレビ番組のために作られた虚構の世界だった。生涯を放映され続けるお男を描いたヒューマンドラマ。
現実世界で考えると人権も何も無くありえない設定だが、視聴者は赤ちゃんの頃から彼を見ているため、彼のことを好きであり、最後には逃げることを応援もしている。
ペットをかわいがる飼い主のようだなと思った。拘束していることを許容しているのは視聴している視聴者自身なのに、彼らは親のような気持ちで見守っている気でいる。愛されているように見えて実際は本物の家族もすべて取りあげられている男の気持ちは考えていない。番組のプロデューサーがおかしいように見えて何も違和感を抱かない世間が1番気味が悪いなと思った。
28.『暗殺教室』原作:松井優征
あらすじ:ある日進学校の落ちこぼれクラスにタコ型未確認生物が現れた。その生物は既に月を破壊しており、地球の破壊も予告していた。政府にも暗殺できない危険生物だが、それは落ちこぼれクラスの担任を来年の3月、地球の破壊の日まで行うといい、言いその生物の暗殺は落ちこぼれクラスに託されることに。
暗殺という言葉の強さとは裏腹にコメディ要素も強い。危険生物である通称殺せんせーが化け物でありながらおちゃらけておりとても人間味があり、何よりしっかりと先生をしてくれる。そのため落ちこぼれクラスと呼ばれ生気のない3年E組を立て直していくという学園ドラマの一面もある。人間の教師ではなく、タコ型の生物が言うと説得力や考えさせられるのはアニマルスタディーズ的な観点が少しはあるのかなと思った。タコ型超生物は現実には存在しないが、可愛らしい見た目で普通の人間のキャラクターよりもインパクトがありそんなキャラクターから発される言葉は他より重みがあるのではと思う。アニメーションは多々動物などを喋らせるが、それは動物にすることで柔らかさや可愛らしさなどが生まれるなどするというような動物への偏見によるキャラの印象操作かなと思う。
29.『窮鼠はチーズの夢を見る』 原作:水城せとな 監督:行定勲
あらすじ:優柔不断で流されやすい大伴は不倫を重ねていた。ある日大学の後輩の今ケ瀬と再会する。密かに思いを寄せていた今ケ瀬は不倫の証拠を種に関係を迫る。大伴はそんな今ケ瀬のペースに流され関係を持つようになる。
男性同士の恋愛ならではの葛藤や心情の揺れが繊細に描かれた作品であると思う。また、まだまだ消えないジェンダー差別のようなものも描かれている。大伴は流されやすい男だが男女とはこうという固定概念はあり、周りの目だけではなく自分の中の常識との葛藤もあるように見える。今ケ瀬は自分は自分という感じで変わらないがそんな今ケ瀬と周りの目の差に悲哀感が増すと思う。ラストはそんなふたりが噛み合わず自然消滅してしまったのかなと思う。あまり言葉で表現されていないため難しいラストだったが恋人同士というのは簡単にくっつき離れるものだと思うため
そんな中で複雑な恋愛模様が描かれているなと思う。
30.『おおかみこどもの雨と雪』細田守
あらすじ:おおかみおとこを父に持つ2人のおおかみこどもとその母の絆と成長を描くファンタジー映画。
平凡な大学生だった少女がおおかみおとこと恋をし、子どもが生まれたことで普通の生活が一変していく様が不思議だと感じた。それは子どもが産まれる前の二人の関係性や生活をとても丁寧に描いているからであり、リアルな日常が続いていく中で差し込まれるおおかみおとこというインパクトの強さだと思う。また、おおかみこどもであることで雨と雪は大人になるにつれトラブルも起きるが、それは決しておおかみこどもだから起きることではなく普通の人間でも不登校にもなるし、クラスメイト同士の喧嘩も起きる。そのような現実的な問題にも焦点を当てた作品であると思う。だからおおかみこどもなんていなくとも観客は共感できる部分が多いと思う。雪はラストでもわかる通り人間よりもおおかみの血が強かったのだろうと思う。雨と雪がバラバラになるラストはおおかみと人間の間に生まれた彼らに与えられたもうひとつの道をそれぞれ描くためであると思う。
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