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3年 小野寺 RES
春休み課題1~10

1. 『チェンソーマン』(TVアニメ)
原作:藤本タツキ 監督:中山竜 
『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。親が遺した借金返済のため、貧乏な生活を送る中、裏切りに遭い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つもの『 チェンソーマン 』として蘇る ─ 。

※ネタバレ注意
以前漫画について紹介しているが、アニメ版についても書きたくて取り上げる。まず興味深いのはビジネス面である。製作委員会方式を多く採用するアニメ製作において、MAPPAのみが出資しているという熱の入れようがすごい。また、EDを担当するアーティストが各話すべて違うため、『チェンソーマン』という1作品について、アーティストの様々な解釈や作品愛を感じることができる。アニオリシーンや演出によって、作品やキャラクターの解像度も増したと言えるだろう。特に見応えがあったのは8話だ。冒頭で姫野と友達になったにも関わらず、同じ話の中で姫野の死を描くという超スピード展開とストーリー構成の巧みさに驚いた。チェンソーマンがもつ物語の緩急や絶望感を分かりやすく提示していると感じる。また、後半パートのテンポ感・音楽・効果音の使い方が素晴らしく、25分のアニメではなく、1本の映画を見ているような感覚だった。一方でアニメ全体の感想として少し残念だったのが、監督による写実にこだわった演出や演技指導だ。『チェンソーマン』のもつダークさを見事に表現している反面、物語全体の雰囲気が終始暗く、メリハリがないように受け取られた。漫画はもっとポップさがあったと思うので、アニメならではの映像の飛躍や虚構による盛り上がりがあってもよかったのではと考える。特に、今後の展開的としてさらに残酷さが増していくため、初っ端から暗くしすぎた感が否めない。しかし、スタッフの作品への愛が感じられ、TVアニメとは思えないクオリティーに仕上がっているので、原作の続きが描かれるのであれば期待したい。

2. 『ブルーロック』(TVアニメ)
「世界一のエゴイストでなければ、世界一のストライカーにはなれない。」日本をW杯優勝に導くストライカーを育てるため、日本フットボール連合はある計画を立ち上げる。その名も“ブルーロック(青い監獄)”プロジェクト。集められたのは300人のFWの高校生。299人のサッカー生命を犠牲に誕生する、日本サッカーに革命を起こすストライカーとは??

以前、漫画について作品紹介をしたが、今回はTVアニメについて記述したい。アニメになったことで動きがつき、もともとスピード感があった作画にさらなる迫力が追加されたと感じる。ブルーロックという架空のプロジェクトながら、演出によって現実味が増し、テーマパークに来た時のようなワクワクもアニメによって感じやすくなっている。また、「難しいサッカーのルールを極力描かないようにしている(例:オフサイドの場面が出てこない等)」と原作者が言うように、サッカー初心者でも楽しみやすい。加えて、全員がFWという強みを生かして、サッカーの一番の醍醐味である「ゴール」に焦点を当てていることから、視聴者に爽快感を何度も与えていると感じる。サッカーの技術やシュートが、まるで技名のように用いられているのも興味深い。さらに、漫画を読んでいた時から感じているが、強めの喧嘩台詞を言うシーンが多く、スポーツよりもバトル漫画やアウトロー漫画に近い性質を持っているようにも感じる。

3. 『葬送のフリーレン(漫画)』
原作: 山田鐘人  作画: アベツカサ
王を倒した勇者一行の魔法使い・フリーレン。彼女はエルフで長生き。勇者・ヒンメルの死に何故自分が悲しんだのかわからず、人を 「知る」 旅に出る。出会いと別れを経て、思い起こされる勇者たちの言葉――物語は、魔王亡き後の世界を垣間見せる。英雄たちの“心の内”を物語る後日譚ファンタジー!

まず、魔王を倒すための物語でなく「後日譚」という切り口や勇者ではない主人公という設定が面白く、今までにない作品だと考える。人々との関わりが丁寧に描かれ、過去も現在もすべてが愛おしいと感じることができる作品。長生きする種族のエルフであるフリーレンの言葉や価値観が、徐々に変化していく様が心にしみた。SNSやコロナ禍によって人とのつながりが多様化している今だからこそ読んでほしい作品。

4. 『BLUE GIANT』(アニメ映画)
原作:石塚真一 監督:立川譲
「オレは世界一のジャズプレーヤーになる。」ジャズに魅了され、テナーサックスを始めた仙台の高校生・宮本大。卒業を機にジャズのため上京し、同世代の凄腕ピアニスト・沢辺雪祈と出会う。大は雪祈をバンドに誘い、大の熱さに感化されドラムを始めた玉田俊二が加わり、三人は“JASS”を結成する。

ジャズのアニメで、音楽に上原ひろみさんを迎えていることもあり、音にとてもこだわりを感じる映画だった。プロの演奏が映画の鑑賞料で聴ける贅沢感があり、本当に生で演奏を聴いているような迫力があった。「ジャズって難しそう」と思っている人でも、ジャズバーやコンサートに行くより、映画館に行く方が身近だと思うので、この映画を機にジャズに興味を持つ人が増えるのではないかと思えるほどの熱量を感じた。今作は、ジャズを題材にしているため、作品の大部分を演奏シーンが占めている。ミュージカルや歌詞付きの歌を流す従来のアニメと違って、楽器の演奏が続くということは、過去の回想などが差し込まれたとしても、「物語の流れを一度止めてしまう」ということになってしまう。音楽を聴きなれない人にとっては、くどく感じ、ともすれば飽きてしまうだろう。しかし、宮本大の劇中のセリフ「感情の全部を、音で言えるんです」の通り、演奏の全てからキャラクターの感情が伝わり、いつの間にか魅了されて「音楽」で感動を味わえる説得力があった。個人的には、玉田に吹奏楽部時代の自分を重ねてしまい、劇場で初めて号泣してしまった。何かに全力で挑む勇気をもらえる作品だ。

5. 『レジェンド&バタフライ』(映画)
監督:大友啓史
政略結婚で結ばれた、恰好ばかりの織田信長と彼の暗殺を目論む濃姫は、全く気が合わない水と油の関係。ある日、濃姫の祖国で内乱が起こり、父が命を落としてしまう。自身の存在意義を失い自害しようとする濃姫に、再び生きる意味と場所を与えたのは、他でもない織田信長だった。〈魔王〉と恐れられた信長と、〈蝶〉のように自由を求めた濃姫、激動の時代を共に駆け抜けた2人の30年を描く。


「人気No.1の武将」に相応しく、これまで幾度となく映像化されてきた織田信長の人生を、今までとは全く違う視点で描いた映画。戦国ドラマにもかかわらず、戦のシーンが少なく、軸である「信長と濃姫の関係」を最初から最後まで丁寧に描いたラブストーリーだったことが印象的だった。次第に〈魔王〉に変貌してゆく木村拓哉の演技の気迫が凄まじく、アニメばかり見ていた私でも俳優の凄さに圧倒された。織田信長は、今までも名だたる俳優が演じ、漫画や小説などでもある程度の人物像が確立されている。また、戦国時代の女性の記録はほとんど残っていないため、フィクションの部分が多いと思うが、1本の映画として綺麗にまとまり、正しく“新しい信長像”を見ることができたと思う。信長の最愛の女性として、生駒吉乃という側室がいたという記録もあるが、映画のような「信長と濃姫の関係」が、実際にもあったのではないかと思わず想像したくなる、ダイナミックな作品だった。


6. 『金の国水の国』(アニメ映画)
原作:岩本ナオ 監督:渡邉こと乃
100年断絶している2つの国があった。「金の国」の誰からも相手にされないおっとり王女サーラと、「水の国」の家族思いの貧しい建築士ナランバヤル。敵国同士の二人は、国の思惑に巻き込まれ偽りの夫婦を演じることに。深刻な水不足に悩む金の国の未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の両国の国交を開かせようとするが…。
少女漫画原作のアニメ映画は、今まで苦手意識がありあまり見たことがなかった。しかし、映像や音楽の綺麗さ、おとぎ話の様な世界観の中にある骨太なストーリーとアクションシーンに最後まで引き込まれた。国の政治構造や2人のすれ違いが物語と見事にかみ合っており、映画後につい原作漫画を買ってしまった。1本の映画としてもまとまりがあり、素敵なエンディングで胸がいっぱいになった。賀来賢人と浜辺美波の2人の演技もとても自然で、キャラクターにマッチしていた。映像美やプロデュース力など、マッドハウスはこれからどんどん注目されるアニメ制作会社になるなと感じた。




7. 『山田くんとLv999の恋をする』(漫画)
ネトゲで彼氏に浮気されフラれた茜。ネトゲでストレス発散に雑魚モンスターを狩っていると同じギルドのメンバーのアフロ男・山田に声をかけられる。勢いで彼氏にフラれたことを山田に愚痴るも「興味はないすね」と超塩対応。後日、茜は元彼を見返そうとお洒落をしてネトゲのリアルイベントに乗り込むが!?ネトゲで終わったと思っていた私の恋、今度はネトゲで始まる!?

恋愛漫画の作品で、いい子ちゃん気質や恋愛体質の主人公が好きになれないことがあったが、この作品の主人公像には好感が持てた。ゲームはほどんどやらないが、ゲームによって広がる友好関係や出会いも素敵だと思わせてくれた作品。ヒーローである山田が、高校生で人付き合いが苦手だったわりに対応が大人びていたり、恋人になってからの溺愛ぶりだったりに、認識してきたキャラクター造形として戸惑いを覚えたものの、全体的に少女漫画よりも読みやすいテイストの作品だった。私のようにピュアな恋愛漫画が苦手な人に、ぜひ読んでみてほしい。

8. 『すずめの戸締り』(アニメ映画)
監督:新海誠
「扉の向こうには、すべての時間があった」九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。「すずめ すき」「おまえは じゃま」ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!災いの元となる”扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語。

内容の事前知識がないままに、地震描写の注意喚起はなされていたため、災害をテーマにした作品だと予想していた。『君の名は。』『天気の子』でも災害を描き、監督自身も東日本大震災について影響を受けていると公言していることから、今回もその暗喩として描かれると考えていたが、満を持して東日本大震災を真正面から取り扱ってきたと思った。正しく新海監督の集大成だったのだと思う。テンポ感や音楽とのマッチング、ファンタジー要素や日本文化との融合など、新海監督らしさが随所に感じられた。災いの象徴を「みみず」としたのは、村上春樹からきているのではないかと予想する。映画を見ながら、個人としては震災当時の記憶や気持ちを振り返って見なければならず、純粋にエンタメ作品として楽しむよりも、過去と向き合って再確認したり、自分の当時の気持ちを受け止めたりする作業を同時並行でしている感覚だった。何度も繰り返し見るのは難しい作品だが、物語化されることによって、過去と改めて対峙して深く考え、客観視できることもあると考えた。新海監督がTVのインタビューで、この作品にかける覚悟を話しており、その熱量が映像から伝わってきて、見ている側も真剣に臨まなければと思わせるだけの見応えがあり、そういった作品を見た時(特に映画館で見た時)に感じる、映画を見たとは思えない「いい意味での疲労感」があった。震災を経験している世代にも、経験したことがない世代にも見てほしい作品だ。

9. 『SAKAMOTO DAYS』(漫画)
作者:鈴木祐斗
最強の殺し屋がいた その名も坂本太郎。彼はすべての悪党から恐れられ、すべての殺し屋の憧れだった。しかしある日、彼は恋をした。引退、結婚、出産。幸せな結婚生活で、坂本は商店を営むふくよかな男に様変わり。しかし彼を暗殺しようと日々追手の魔の手が忍び寄る。一児のパパとして、迫りくる危険から家族と日常を守る、ソリッドなバトルとコメディーが交わるネオアクションストーリー開幕!

「元殺し屋」の設定は、少年マンガではたびたび登場する。しかし、このふくよかな体で、こんなにもかっこよく見える主人公がいただろうか。ほとんどの会話が脳内で成立しているのも珍しい。鈴木先生の見応えのある構図とスピード感のある作画で、ついつい引き込まれる作品となっている。キャラデザも素晴らしく、映像映えしそうな内容のため、アニメ化を期待したい

10. 『私は』(漫画)
作者:藤原ここあ
もうすぐ卒業を迎える高校三年生の冬。写真を撮ることが好きな主人公の女の子森永は、高校生活の間で表面的にしか人と関われず、孤独を感じていた。しかし、通っていたカメラ屋の店主のおじさんに好きなものと出会える喜びを教えられ、他人との上手く関われない淋しさは「空しいことではない」と生き方を肯定してもらえる。『お嬢様と妖怪執事~藤原ここあ短編集~』に収録されている、切なくも背中を押してもらえる作品。

藤原ここあ先生らしい可愛らしい絵柄かつ、淋しさをもつ主人公を描いた本作。クスッと笑えるギャグ要素を持つ作品が多いなかで、珍しく一切笑いがない物悲しい雰囲気を持つ異色の作品であり、作者のチャレンジ作品となっている。私自身、人との関わりが不得意で、孤独を感じることがあり共感する部分が多かった。特に卒業式での主人公の「頑張ってみたけど 私とうとう 皆との別れを淋しく思えなかった」という独白は、心に刺さると当時に「淋しくない事が淋しい気持ち」を感じてるのは私だけではないと教えられた気がして、少し心が軽くなった。また、この話を読んで、本を読むことの魅力として、世界観に没頭したり、新しい自分になったりする面白さだけではないことに気づいた。物語には、自分と向き合う「自分の心との対話の時間」を設けたり、無意識で言葉に表しにくい感情を「言語化」して、理解させてくれたりする魅力もあるのかもしれない。人付き合いに疲れた時に読んでほしい作品。
2023/04/04(火) 15:15 No.1948 EDIT DEL
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